金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第1回) 議事録

  • 1.日時:

    令和2年10月12日(月)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館9階 905C会議室

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第1回)
令和2年10月12日
 
【神田座長】  
 おはようございます。それでは、定刻となっておりますので始めさせていただきます。ただいまから、市場制度ワーキング・グループの第1回目の会合を開催いたします。

 皆様方には大変お忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 私は、当ワーキング・グループの座長を務めさせていただきます学習院大学の神田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の会合につきましては、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインでの開催とさせていただきます。一般傍聴はなしとさせていただきます。なお、メディアの関係者の方々には金融庁内の別室において傍聴いただいております。

 初めに、このワーキング・グループについて少し御説明させていただきます。このワーキング・グループでございますが、本年9月11日に開催されました金融審議会総会・金融分科会合同会合において大臣からいただきました諮問を受けて設置されたものであります。

 お手元に諮問文があるかと存じます。今、画面共有していただいていると思いますけれども、この諮問におきましては、「コロナ後の新たな経済社会を見据え、我が国資本市場の一層の機能発揮を通じた経済の回復と持続的な成長に向けて、投資家保護に配意しつつ、成長資金の供給、海外金融機関等の受入れに係る制度整備、金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等について検討を行うこと」が求められております。本日はこのワーキング・グループの初回、第1回目でございますので、まず初めに、ワーキング・グループに御参加いただくメンバーの皆様方を御紹介させていただきたいと思います。

 事務局からお願いいたします。

【太田原市場課長】  
 企画市場局市場課の太田原でございます。よろしくお願いします。

 それでは、当ワーキング・グループの委員の方々を御紹介申し上げます。お手元に資料2として名簿がございますので、そちらを御覧いただければと存じます。また、オブザーバーにつきましても同様に資料2に記載しております。事務局につきましては、お手元の配席表をもって御紹介に代えさせていただきます。

 メンバー等の御紹介につきましては以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。ただいま事務局から御紹介がありましたメンバー等につきましては、本ワーキング・グループは幅広いテーマを扱うことになりますので、今後の議論の発展あるいは進展状況によってはメンバー等の方々の追加等を検討することもあり得るものと考えております。

 次に、会議の運営について幾つか御承認いただきたいことがございます。会議ですけれども、今後の状況にもよるとは思いますが、現時点におきましては新型コロナウイルス感染症対策の観点から、今後も必要に応じて本日のようにオンライン開催ということにさせていただきたいと思います。

 議事の公開ですけれども、オンライン開催ではなくて、皆様方に実際にお集まりいただく場合には通常どおりメディア関係者の皆様や一般の傍聴はありとさせていただき、本日のようにオンラインの開催の場合には、恐縮ですが一般の傍聴はなしとさせていただいた上で、メディア関係者の皆様方には、先ほど申し上げたように金融庁内の別室において傍聴いただくということとさせていただきたいと思います。いずれの場合におきましても議事録は通常どおり作成して、後日金融庁のウェブサイトに掲載させていただきたいと思います。

 なお、私が会議に出席できない場合などに備えて座長代理をお願いしたいと思います。大変恐縮ですけれども神作委員にお願いできればありがたく存じます。

 以上の点につきまして、皆様方に御承認、御承諾いただけますでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)

【神田座長】  
 どうもありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。神作先生、よろしくお願いいたします。

【神作委員】  
 よろしくお願いいたします。

【神田座長】  
 それでは、議事に移る前に2点注意事項がございます。冒頭に事務局からも御連絡したと思いますけれども、まず、オンラインですので、御発言されない時間帯はマイクをミュート設定にしていただくようにお願いいたします。御発言される際にはミュートを解除し、御発言が終わられたらまたミュートということにしていただければありがたく存じます。

 次に、御発言を希望される際ですけれども、このオンライン会議システムのチャット機能を利用して、全員宛てにお名前、協会名・組織名等を御入力いただければと思います。それを確認した上で私から指名させていただきますので、御自身のお名前を名乗っていただいた上で御発言いただければと思います。これまでの経験では、主催者端末宛てのみにチャットを送られる方がいらっしゃいましたけども、そうしますと私どもは見られませんので、必ず全員宛てにチャットを送っていただければありがたく存じます。

 それでは、本日の議事に移らせていただきます。本日でございますけれども、まず市場制度ワーキング・グループで取り扱う内容の総論について御説明いただきます。その次に、海外金融機関等の受入れに係る制度をテーマに御議論をお願いしたいと思います。最後に、日本取引所グループから東証のシステム障害について一言お話があると伺っておりますので、その時間を予定しております。

 それでは、まず最初に市場制度ワーキング・グループで取り扱う内容の総論について、事務局から御説明をお願いします。よろしくお願いします。

【太田原市場課長】  
 それでは、資料3、事務局説明資料(市場制度を巡る諸課題に関する検討)について説明いたします。市場制度ワーキング・グループで今後議論していただくための問題意識や経済データ、そしてこれらを踏まえた主要な論点について、総論の位置づけとして紹介したいと思います。

 3ページ、検討の背景です。コロナ後の経済社会の姿については、デジタル・トランスフォーメーションの進展、サプライチェーンの再構築、サービス提供の非対面化・オンライン化、大都市集中の是正への対応などの構造変革が見込まれております。こうした産業構造の変革を資本市場からも力強く後押ししていくことが欠かせないと考えられます。

 そこで、諮問事項にもありますように、コロナ後の新たな経済社会を見据え、我が国資本市場の一層の機能発揮を通じた経済の回復と持続的な成長に向けて、投資家保護に配意しつつ、成長資金の供給、海外金融機関等の受入れに係る制度整備、金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等について検討を行うことが当市場制度ワーキング・グループでの検討事項とされています。

 6ページ、コロナ感染拡大を受けた足元の金融市場の動向についてです。左上のグラフでは、コロナ感染拡大を受け、国際金融環境は大幅にタイト化し、その後、中央銀行による大規模な金融緩和等の措置により、足元では市場関係は改善した姿となっています。他方、近年、銀行借入等による民間非金融部門の債務が増加しています。

 7ページ、コロナ後の資本市場のあり方に関する外国当局等の見解です。外国要人等からは、資本市場が秩序立って機能し続けることは、これまで及び今後、効果的なコロナ対応を進める上で不可欠な要素である。今回の危機及びその後の回復において、市民及び企業を支援するための一つの方法は、株式市場における企業の資金調達を支援することである。

 8ページに行きまして、企業が中長期的に事業存続(stay solvent)するためには、より安定的な資金調達構造が必要であり、中小企業が経済ショックから回復し、より頑健になるためには資本が必要である。グロースキャピタルにアクセスする機会を上場企業だけでなく幅広い企業に提供することが課題、といった見解が示されています。

 9ページ。資本性資金・負債性資金の供給の概念図を示しておりまして、様々な段階にある企業の資金ニーズに応じて、資本性資金と負債性資金のそれぞれが適切に活用されるよう、上場企業及び非上場企業にとって多様な資金調達手段が用意されている必要がある、としています。

 実際の資本市場の状況を10ページ以降で示しています。まず、上場企業による資金調達の日米英比較です。日本の株式市場においては、上場企業による資金調達額、新規株式公開(IPO)及び公募増資(PO)ですが、これが米国、英国と比較して少ない水準となっています。

 次に、11ページ。上場企業による資本還元等の日米英比較です。英国のデータが退出総額について欠けているため日米で比較しますと、日本の株式市場においては上場企業による資本還元額、自社株買いなどですが、米国と比較して少ない状況となっています。

 次に、12ページ、資金調達と資本還元等を合わせたグラフを示しています。ネットで見ますと、日米英ともに株式市場の資金調達の場としての重要性の低下が見られます。特に日本の株式市場においては、資金調達及び資本還元ともに米国・英国と比較して規模が小さいことが示されています。

 13ページで非上場企業による資金調達を示しています。ベンチャー・キャピタルとプライベート・エクイティファンドが関与する取引について、日米英いずれも取引総額はリーマンショック以降増加傾向にありますが、日本の取引総額は対GDP比で米国・英国の半分以下であり、米国・英国と比較してベンチャー・キャピタル、プライベート・エクイティファンドの取引市場規模は小さく、上場企業の資金調達手段は限定的と言えます。

 以上を踏まえまして、15ページでこの市場制度ワーキング・グループにおける主な検討課題を掲げています。コロナ後の新たな経済社会を見据え、経済の回復と持続的な成長を図る上で、日本の資本市場は、海外の主要市場と比較して、資金調達機能の発揮に改善の余地があると考えられます。また、中小企業がコロナ感染拡大により大きな影響を受けている状況を踏まえ、中小企業をはじめとする非上場企業の資金調達手段へのアクセスの拡充が不可欠である、という問題意識を前提に、取引所内外における資金の流れの多様化を促す施策など、制度のあり方を検討する必要があるのではないか、として、成長資金の供給のあり方、海外金融機関等の受入れに係る制度、金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等のあり方などを掲げています。なお、その他として取引所やPTSに関わる論点もあると考えられますが、技術的な点が中心となる場合は別の会議体で御検討いただくこともあり得るのではないかと考えております。

 続きまして、16ページからは各論点について記載しています。まず、成長資金の供給のあり方です。背景は、これまで説明してきたことを述べておりまして、検討課題として、上場企業及び非上場企業に対する成長資金の円滑な供給に向け、取引所内外における資金の流れを多様化する方策についてどう考えるか、としています。

 18ページ、海外金融機関等の受入れに係る制度です。我が国において、国際金融ハブ機能の確立を目指していくことは、我が国資本市場における資金の流れの多様化、雇用・産業の創出や経済力向上の実現に資するのみならず、国際的にもリスク分散を通し、アジアひいては世界の金融市場の災害リスク等に対する強靭性を高めることが期待される、としています。そのため、検討課題として、海外投資運用業者の日本への受入れを一層促進するために、金融関係法令においてどのような制度整備が求められるか、としています。

 20ページ、金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等のあり方についてです。いわゆるファイアーウォール規制は、これまで段階的に緩和されてきたところでありますが、今年7月の成長戦略フォローアップでは、我が国金融資本市場の魅力を高める観点から、外国法人顧客情報の銀証ファイアーウォール規制の対象からの除外等について検討し、国内顧客を含めたファイアーウォール規制の必要性についても公正な競争環境に留意しつつ検討する旨、記載されております。このため、これらの点につきまして御議論いただきたいと考えています。

 私からは以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、海外金融機関等の受入れに係る制度について、事務局から御説明をいただきます。豊永さん、よろしくお願いいたします。

【豊永市場機能強化室長】  
 金融庁企画市場局市場課の豊永と申します。よろしくお願いいたします。私からは、主として海外の資金のみを運用する事業者の受入れに係る制度の現状と課題ということで御説明いたします。

 1ページを御覧ください。1ページから5ページ目までが現状の制度の説明になっております。まず、1ページでございますが、投資運用に係る制度の全体像ということで、右から御覧いただければと思います。ビークルと書いておりますが、運用会社が運用しております金融商品を書いておりまして、まず投資信託というものがございます。次に投資法人とあります。日本ではREITが主なものになっております。右下の四角のところに組合を列挙しておりますが、いわゆる組合型のファンドというものでございます。

 それぞれのビークルに対してそれぞれ運用業者がついておりまして、投資信託であれば投資信託委託会社、投資法人であれば資産運用会社というものがございます。組合型のファンドにつきましては、いわゆるGPと呼ばれている者でございますが、組合で集めた資金をその者が運用するということで、投資運用業者(自己運用)と書いておりますが、それも投資運用業に当たる行為でございます。それらの行為を行う場合には金商法上の登録が必要ということになっております。

 例外がございまして、運用の一番下のところでございますが適格機関投資家等特例業務と書いてございます。こちらは、括弧にもありますようにいわゆる「プロ向けのファンド」ということでございまして、こちらの自己運用を行う場合には届出でいいという制度になっております。

 もう一つ例外がございまして、投資運用業者のところに米印1というものがそれぞれついておりますが、こちらもいわゆるプロのみを対象とした運用行為でございまして、業務内容に一定の制限がついており、その代わりに登録の際の参入要件が一部緩和されているという制度でございます。

 左に進んでいただきまして投資家との接点というところでございますが、例えば投資信託では、その販売、投資家への勧誘を行うのは第一種金融商品取引業者とか登録金融機関、これは証券会社とか銀行というイメージでございますが、それらがおりまして、加えて、投資信託委託会社も投資家に直接勧誘することもできる、自己募集ということも可能となっております。組合型のほうも同様でございまして、自己運用を行う者が直接投資家に勧誘することもできますし、別の者が間に入って投資家に勧誘を行う場合には第二種金融商品取引業の登録が必要ということになります。

 続いて、2ページをお願いいたします。こちらは投資運用に関連する制度、法律改正の経緯ということでございます。左に投資一任・投資助言業務とございますが、投資一任契約に関する業務につきましては投資顧問業法という法律で規制しておりました。こちらの投資顧問業法は、2007年に金融商品取引法ができた際に金融商品取引法に取り込まれるという形で法律自体が廃止になっております。もう一つ、投資信託法というものがございます。現在の投資信託法というのは、投資信託や投資法人の組成をする際の仕組みを規定する法律になっておりまして、業者規制の部分につきましてはやはり2007年に金融商品取引法に取り込まれております。

 この2007年の枠の一番最後のところに「適格機関投資家等特例業務(いわゆる「プロ向けファンド」)を新設し」とございますが、こちらが届出でできる投資運用業ということで2007年に新たにできた制度でございます。

 続きまして、2011年の金融商品取引法改正のところでございますが、こちらは、先ほどもう一つのプロ向けの業務ということで簡素な登録でできるものがあると御説明いたしましたが、それができたのがこの2011年でございます。適格投資家向け投資運用業を新設ということで、その趣旨としましては、投資運用ファンドの立ち上げを促進するという観点から顧客がプロに限定されて、かつ運用財産の規模が200億円以下の投資運用業につきましては登録要件を緩和してございます。この緩和の内容については、また後ろのページで御説明いたします。

 最後に2015年のところですが、こちらも金商法改正がございまして、2007年にできました適格機関投資家等特例業務、こちらにつきまして一般投資家を巻き込むような投資家被害というものが発生しておりましたので、規制を強化するということから届出要件の厳格化ですとか、業者への行政処分権限の付与といった法改正が行われております。

 3ページをお願いいたします。こちらは現行の金融商品取引法上の業規制・行為規制(投資運用関係)ということで、今御説明しました投資運用業に関する制度が3つございますが、それを比較したものでございます。上の四角のところでございますが、日本国内における投資運用業は原則として登録が必要でございます。2つ目の丸のところですが、適格投資家向け投資運用業においては、出資者を適格投資家に限定し、運用財産総額を一定規模以下とすることで登録要件を一部緩和しております。こちらは下の表でいきますと真ん中のところでございますが、業務範囲のところを見ていただきますと、まず一般の投資運用業、左側と比べますと、対象投資家のところが適格投資家のみとなっておりまして、運用総額は200億円以下、参入要件のところが資本金が1,000万円あればいいということになっております。最後、右側の適格機関投資家等特例業務のところでございますが、こちらは、業務範囲のところを見ていただきますと1名以上の適格機関投資家が必ず必要であるということと、それ以外の投資家は49名以下ということになっております。あとファンド形態のところを見ていただきますと、登録の2つのものにつきましては特に制限はございませんが、適格機関投資家等特例業務の場合は集団投資スキーム、組合型のファンドの自己運用のみということになっております。参入規制のところは届出制となっておりまして、株式会社でなく、個人でも行うことができるということになっております。

 続きまして、4ページです。登録要件が緩和された投資運用業務であります適格投資家向け投資運用業について、通常の投資運用業との参入規制の比較をしております。表を見ていただきますと、参入規制の緩和ということで、株式会社である必要はあるのですが、通常の投資運用業の場合は取締役会設置会社でないといけないのに対して、適格投資家向けの場合は監査役設置会社でいいということになっております。最低資本金は通常の場合5,000万円以上必要ということに対して、適格投資家向けは1,000万円以上ということになっており、あと人的構成のところで、こちらはコンプライアンス部門につきましては外部委託することができるということになっております。

 続きまして、5ページをお願いいたします。こちらは届出でできる投資運用業、適格機関投資家等特例業務のほうでございます。右側の絵は、集団投資スキームの概念を書いたものでございまして、御確認いただきたいのは左側の国内・海外の投資家というところで、適格機関投資家は1名以上必須であり、その他の投資家は49名以内ということが書かれております。何ができるかというところで、上の四角の①②のところを見ていただきますと、国内外の組合型集団投資スキーム持分の私募ということで、投資家への勧誘もできるということになります。②のところは集団投資スキームで集めた資金の自己運用ができるということを書いております。

 ここまでが現状の制度の御説明になります。

 6ページをお願いいたします。こちらが今回、御議論いただければというところでまとめたものでございます。主として海外の資金のみを運用する事業所の受入れに係る課題ということで、主として海外の資金のみを運用する事業者が、①から③の既存の類型の業務を行う場合、それぞれの業務に応じて当局への登録または届出が必要でございますが、主として海外の資金のみを運用する事業者の受入れ環境の整備ということで、次の課題が指摘されているということで2点掲げております。

 まず、現行制度は、主として海外の資金のみを運用する事業者を必ずしも想定していないということで、それへの対応としましては、ファンドの投資家(顧客)が主として外国の法人や個人であるということに着目し、そういったファンドの運用業を新たな類型と捉えるということで、今は3つの類型がございますが、これに4つ目の類型をつくってはどうかということでございまして、4つ目の類型をつくった上で、簡素な参入手続で日本での業務を可能とする制度が考えられないかということでございます。

 2つ目の課題でございますが、現行制度は、海外の資金のみを運用する海外事業者について、参入時やその後の監督において、海外での業務実績や海外で監督を受けていることを勘案していない、ということです。こちらへの対応としましては、海外での資金のみを運用する海外事業者について、日本で本登録等を得る前にということで、今3つの類型がございますが、仮にこれに4つ目の類型を加えたとしても、海外で今行っている投資運用業というものが、金商法の類型に合致しているかどうかというと、必ずしも合致していない可能性もございます。その場合、本来ですとそのまま日本で業務を行うことはできないということになりますが、海外での業務実績があることですとか、監督を受けているということを勘案し、一定の期間、例えば数年間については金商法の投資運用業の類型に合致しないままでも、まず日本に来てもらって業務を続けることができるようにしてはどうかというものでございます。その一定期間の間に金商法における類型に合うようにビジネスモデルを直してもらい、その後それぞれの類型に合わせた登録なり届出を行ってもらって、引き続き日本で業務を行うことができるようにしてはどうかということを考えております。注2のところで書いておりますのは、言わば移行期間を設けるということを考えておりますが、この移行期間を設けること自体についても時限的な措置として、その間にぜひ日本に来て下さいということにして、集中的に呼び込むことが、海外業者を日本で受け入れることの促進につながるのではないか、という提案でございます。

 続いて7ページ、8ページですが、こちらは参考資料ということでございまして、詳細の説明は割愛させていただきます。

 まず、7ページでございますが、先ほどからプロ投資家とかプロ向けという御説明をしてまいりましたが、金商法の中でプロの概念が幾つかございまして、それをまとめたものでございます。左側が適格機関投資家ということで、言わばプロ中のプロという者がおりまして、その横に特定投資家というものがあります。この特定投資家というのは、金融商品取引法ができた際にプロ投資家、アマ投資家という概念ができましたので、その際にできたプロ投資家というのが特定投資家ということになります。その横の適格投資家でございますが、こちらは少し参入要件が緩和された登録でできる投資運用業務の顧客になるプロ投資家のことでございまして、プロ向け投資運用業が創設されたときにできた制度でございます。特定投資家と対象となる投資家はほぼ同じ状態になっております。一番右側が適格機関投資家等特例業務対象投資家ということで、届出でできる投資運用業で、適格機関投資家以外の49名の対象となる投資家ということでございます。投資家層としましては、適格投資家とか特定投資家と同じような投資家になっておりますが、右下のほうを御覧いただきますと、例えば金融商品取引業者の関連会社であるとか、当該特定業者の3親等以内の親族といったところまで入っておりまして、適格投資家と比べて少し範囲が広がっております。

 次が8ページでございますが、投資運用業に関する海外法制比較ということで、今回はアジアにおける国際金融センターということで、ライバルになりそうな香港、シンガポール両国の比較をしております。いずれも登録制なり免許制となっておりまして、シンガポールを見ていただきますと、やはり運用総額ですとか投資家層によって規制に差が設けられているという状況になっております。

 私からの説明は以上となります。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまの事務局からの御説明を踏まえて、委員の皆様方に御議論をお願いしたいと思います。資料3のほうが総論でして、総論における検討課題として、資料では15ページ、そして16、18、20ページに検討課題を挙げていただいておりますけれども、15ページにありますとおり、今日は初回ですので、ここに挙がっている以外のことで、大臣の諮問に答えるという観点からこういうテーマも取り上げてはどうかというようなものがあれば、ぜひ御指摘いただければと思います。それから、資料4のほうは各論のうちの一つで、現在の規制は大変複雑になっておりますけれども、今後ということで海外から来ていただくという、そういう政策を取っていってはどうかということで、具体的な課題は資料4の6ページ目に2つ挙がっております。これらについても御意見をいただけるとありがたく存じます。

 それでは、どなたからでも、御質問もあるかと思います、御質問、御意見をお出しいただければありがたく存じます。いつものようにというか、先ほど申しましたようにチャット機能を御利用いただければと思います。今、チャットをいただきました。上柳委員、どうぞ。

【上柳委員】  
 すみません。ありがとうございます。

 1つ目の質問は、資料3の15ページの下のほうの顧客情報の共有等のあり方の位置づけについてです。この問題と、すぐ上の2つのポツ、成長資金なり、あるいは海外金融機関の受入れとの関係についての質問です。というのは、成長資金の供給を円滑にすることは、特に中小企業向けのもの、これは大変重要な問題だと思いますし、それから、海外金融機関の受入れ、香港だけではないかも分かりませんが、諸外国のいろいろな状況との関係で、相当急いで東京あるいは日本にもう少し受け入れられるようにするということは大変よく分かります。が、それらと顧客情報の共有のあり方とは関係するのでしょうか。海外とイコールフッティングするということについては分かるんですけれども、銀行と金商業者との間でファイアーウォールを緩めるということと成長資金とは直接の関係がないような気がするんですが、どのように整理されているのかというのが1つ目の質問です。

 それから2つ目は、資料4の6枚目に関して、いわゆるプロ向けファンドについては5年前、6年前に大変被害がたくさん出たということで苦い思い出があります。今日の資料の中でも「主として外国法人や外国居住の個人」という表現があったんですが、「主として」の意味がなかなか難しいなと。これは技術的なところかもしれませんけれども、今の段階で想定があればということです。

 よろしくお願いします。

【神田座長】  
 ありがとうございました。では、事務局から、もしあればお願いします。

【古澤企画市場局長】  
 御質問ありがとうございました。上柳先生からお話がございましたとおり、1つ目のファイアーウォールの問題をどのように取り上げるかというのは、我々の中でも議論しておりましたし、金融審総会でも、銀行制度等ワーキング・グループの問題と市場制度ワーキング・グループの問題の両方に重なる問題なので、よくそこのコーディネーションを考えてほしいとの御意見をいただいたところです。

 これはまさに委員の先生方からこれから御議論いただくところと思っていますけれども、我々の問題意識の1つといたしましては、資本市場において証券系のサービスと銀行系のサービスが併せて提供されるという枠組みについて、今は入り口での情報共有を規律しているわけですけれども、利益相反それから優越的地位の防止といった規制の中身の実質を考えた場合、今の時点でそれについてどういうように考えるか。また、そのことが証券サービスにおける競争力強化と申しますか、サービスの向上、競争力を高める、機能発揮につながるか。これらの視点でこれを資本市場の問題として市場制度ワーキング・グループで取り上げたらどうだと。銀行制度と資本市場のあり方との境界線の問題でありますけれども、連携に配意しつつ、市場制度ワーキング・グループのほうで御議論いただいたらどうだということで論点として挙げさせていただいてございます。おっしゃるとおり本件が、非上場企業に対するサービス提供と直接つながるのかとの点につきましては、上柳委員の御議論のとおり、必ずしもそこはダイレクトにつながるものではないと我々も思っております。中途半端なコメントで恐縮ですが、取りあえずの答えとさせていただければと思います。

【神田座長】  
 ありがとうございました。2点目は、豊永さん。

【豊永市場機能強化室長】  
 6ページでございます。主として外国法人や個人というところでございますが、ここで言う外国の個人につきまして、この資料では特に言及はしていないんですが、やはり一般の投資家よりはある程度プロと呼べるような投資家ということにしてはどうかというのは、今検討しているところでございます。あと、この「主として外国」というところがまたもう一つの論点になるかと思っておりまして、こちらは、海外から来た業者が運用するファンドで日本の投資家をどの程度認めるかというところも論点になるのかなと思っております。

【神田座長】  
 上柳先生、よろしゅうございますでしょうか。これらから御議論いただきたいとは思いますけれども。

【上柳委員】  
 承知いたしました。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、チャットをいただいている順番で、佐々木委員、有吉委員の順にお願いします。佐々木委員、どうぞ。

【佐々木委員】  
 ありがとうございます。主に質問というか意見になるかと思うんですが、説明資料の20ページ、ファイアーウォール規制についての部分で3点ほどお話ししたいと思います。

 1点目としまして、基本的なことなのですけど、もちろん手続的な無駄を省くということは非常に重要だと思っています。その一方で、心配になるのが1つは利益相反の問題だと思います。アメリカでも、皆さん御存じのように業際規制というのは厳しくなったり、緩和されたりが繰り返されている状態で、グラム・リーチ・ブライリー法の後、リーマンショック後にまたボルカー・ルールで厳しくされたり、またそれを緩和しようということになったりというように非常に大きく揺れている状態だと思います。ですので、今回もそういった意味で利益相反が後々問題にならないようにということが第一点、一番重要なところかなと思っております。

 あともう一点、今回このファイアーウォール規制ということになりますと、やはり銀行と証券の間の規制ですから、独立系の証券会社に与える影響と、銀行と関係があるところへ影響というのが異なってくる可能性があると思います。また、あるいはやり方によっては今後もそういった銀行と証券の連携というのを推進することになるかもしれないので、そういった視点での検討というのも非常に重要になってくると感じております。

 あと、最後にもう一点なのですけど、これは恐らく検討されていると思いますけど、書面とか印鑑という部分は、今現在のコロナ禍におきましてもすごく話題になっていることですが、そういった無駄を省いていくということには賛成ですので、この機会に努めていただければと思います。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。よろしいですかね、書面について。

【太田原市場課長】  
 では、答えさせていただきます。

 佐々木委員、ありがとうございました。今、御指摘いただいた点は、いずれも我々も考慮しなければいけない点と考えております。繰り返しですが念のために申し上げると、利益相反が生じないようにするということは必ず考慮しなければいけない点と考えております。

 また、証券会社といっても独立系と銀行系と異なるという、その性格の違いというのも認識した上で、それぞれの御意見というのを拾い上げていきたいと考えております。

 最後の書面と印鑑の問題、デジタル化といったことも手続の中で配慮していきたいと考えております。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

【佐々木委員】  
 ありがとうございます。

【神田座長】  
 それでは、続きまして、有吉委員、どうぞ。

【有吉委員】  
 弁護士の有吉でございます。よろしくお願いいたします。私からは、資料3で掲げられている3つの項目につきまして、それぞれ簡単にコメントさせていただきたいと思います。

 まず1つ目、成長資金の供給のあり方という点でございますが、成長資金の供給に加えて地方創生的な観点からも株主コミュニティ制度を活用するなど、非上場株式の取引の活性化には賛成したいと思いますので、ぜひ取組を進めていただきたいと思います。ただ、特に成長資金の供給という観点からは、やみくもに規制緩和をするということではなくて、どういった当事者がスタートアップ企業にお金を出すのが望ましいのかといったような視点を踏まえて、的確な制度を検討していっていただきたいと思っております。

 それから2点目、海外金融機関の受入れ関係でございますが、こちらも法律実務家の観点からも参入要件の緩和ということはぜひ進めてほしいと思っておりますが、単に要件を緩やかにするというだけではなくて、その予見可能性が高い要件をうまく設定していただきたいと思っております。例えば業務を的確に遂行するに足りる人的構成とか、業務を的確に遂行するために必要な体制が整っているとか、こういった要件が書いてあっても何が必要なのかよく分からないということで参入も進みにくい面があると思いますので、もし人的構成とか体制面の要件が必要になるのであれば、具体的、客観的な要件になるよう御検討いただきたいと思っております。なお、この関連では英語対応ということもぜひ進めていただきたいと思うのですが、合わせて円滑に当局とのコミュニケーションができるように、例えばメールで簡単な照会をしたら、面談をしないと回答しないとか、返信に何週間もかかるとかそういうことではなくて、短期間で簡潔なメールでの回答をしていただけるというような体制を構築していくこともぜひ進めていただきたいと考えております。

 最後に、ファイアーウォール規制についてですが、今までのいろいろな法制度の改正の中で、金融機関の中でも利益相反管理とか顧客本位を意識した業務運営とか、こういった考え方は非常に進んでいると思いますので、一般論としては、一律形式的な規制はできるだけ少なくしていくべきと考えております。ただ、例えばアメリカにはファイアーウォール規制がないから日本でも不要といったような短絡的な議論は、これも避けるべきだと思っておりまして、アメリカでの規制執行の状況とか、秘密保持契約などの契約実務であるとか、さらには銀行と投資家の関係性とか、こういったものは日本と大分状況も異なると思いますので、結局のところは日本において特に顧客、利用者の側にとってどのようなメリットがあって、どのようなニーズがあるのかということを具体的に検証された上で、先ほど佐々木メンバーからも御発言がございましたとおり、利益相反とか、あと優越的地位の濫用とか、従来から言われているような弊害と比較検討の上、プラスマイナスを評価して規制緩和を進めるべきなのか、進めるとしてどういった内容にすべきなのかということを御検討いただき、またこの場で議論していきたいと思っております。

 以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、野村委員、どうぞ、お願いします。

【野村委員】  
 野村資本市場研究所の野村でございます。もう既に何人かの委員の方々から出た御発言と若干重複するところがあるのですけれども、幾つかコメントさせていただければと存じます。

 まず、資料3で幾つかポイントとして議論すべきことを取り上げておられますけれども、できればこれらの項目をばらばらに捉えるというよりは、トータルな観点で、かつ業者目線ではいけませんので、顧客の利便性、顧客目線を中心に市場の健全な発展に資するような議論を続けてやっていくというのが重要かなと考えております。

 その上で、既に御指摘があったところではございますけれども、いわゆるファイアーウォール規制のところは、何といっても業者の論理はなくて、顧客の真のニーズに基づくかどうかというところが極めて重要かなと思いますので、そこのところの確認等を行う、そういったことも大事ではないかと思いますし、やはり競争環境の公正性、それが本当に担保できるのか、それはなかんずくルールがきちんと執行されているのかというエンフォースメントのところ、そういったところまで見据えて議論していくということが大事ではないかと思います。

 また成長資金のところ、これは非常に重要なテーマではないかと思います。投資家ですとか、あとは流通、セカンダリーのマーケットの未発達なところをどんどんよくしていくなど、非常に潜在的な可能性がまだまだ高い分野ではないかとも思いますので、米国など海外のことを参照しながら規制緩和、制度整備を積極的にやっていくのがいいのではないかなと思います。

 あと、資料4ですけれども、これは非常に具体的な御提案というような気がいたしております。冒頭で申したような全体的なトータルな観点でというところにも関わってくるのですが、心としては海外からの参入をしやすくすることにより国際金融ハブ機能を確立していきたいと、最初の資料の御説明でもあったところかと思いますので、極めて具体的に参入しやすくするための規制緩和を御提示していただいているわけですけれども、その先に何があるのかという意味では、やはり日本のマーケットをビジネスの場として非常に魅力ある存在にしていくのが何よりの呼び込みのポイントではないかなと思います。それこそ成長資金のトピックとも関わるかもしれませんけれども、いろいろな観点から魅力ある市場の確立と、そういう意味では前のワーキングのところでも議論になった1つのトピックかもしれませんが、例えば日本にある1,800兆円を超える家計金融資産、これは魅力の1つではないかとも思われますので、例えばそういったところのビジネスを活性化するにはどのような、まさに顧客目線での利便性の高いものが考えられるのか、制度として整備できるものはあるのかと、そういったようなことをいろいろとトータルに議論していくことも重要ではないかなと思います。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、松本委員、お願いいたします。

【松本委員】  
 VISITS Technologiesの松本と申します。よろしくお願いいたします。全体像につきましては、ほかの委員の方々からコメントをいただきましたので、私は、まさに非上場の企業であるというスタートアップという立場から、資料の16ページ、具体的な非上場株式の流通とか、そちらについて意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、非上場株式のところ、いわゆる非上場企業が資金調達をしていく上で今後必要となる施策についてお話しさせていただければと思うんですけれども、1点目は、コンバーティブルエクイティの活用というものが有効ではないかと思っております。特に非上場株式というのは取引所における取引価格が存在しないため、適正な価格というのは幾らなのかというところが非常に難しい、算定が難しいという側面があります。そういった場合には、J-KISSと言われるようなコンバーティブルエクイティの利用というのは非常に有効で、ガイドラインなどの整備を行うことで資金供給の円滑化につながるのではないかと思います。コンバーティブルエクイティは、最初に発行時に株式価値の算定を行わず、次のラウンドのときに、そのときの発行価格をベースに一定のディカウントで株式に変換するというところなので、まず、実用化されるまで価値算定が難しいような技術系のスタートアップに対する投資だったりとか、大企業とスタートアップの協業時のPoCですね、そのための資金調達の際には非常に有効です。例えば、協業のシナジーがあると分かった時点で株式に変換するなどの柔軟に対応ができるという強みがあります。また、銀行等による新株引受権付融資などの発展も、非常にこういうコロナ禍では重要な資金供給手段だと考えます。日本政策金融公庫には新株予約権付融資があるんですが、多くのスタートアップでは既に活用しておりますが、他の銀行等でも拡充されていくと非常に有効なのではと思っております。

 2点目なんですけども、実はIPOでの資金調達について懸念点というか、多様化されることによって資金供給が減ってしまうという懸念なんですけども、近年、海外ではSpotify、Slack、最近ではAsana、あとPalantir Technologiesといった大型上場がダイレクトリスティングという手法を使ってIPOをしています。今後こういった手法が広がっていくのではと思われているんですけども、こちらの方法はいわゆる従来の主幹事がロードショーを通じて発行価格を決めて新規に投資家を募集するという方法ではなくて、既存株主が保有する株式を市場で直接売り出すという手法です。この場合、企業に新規の資金供給が行われないので、こういった手法が増えてくると、市場のいわゆる資金供給というのが減ってしまうんじゃないかなと思っています。こういったものが海外で増えている背景は、証券会社の設定する公募価格に対する企業側の不満です。主幹事証券が投資家を募集しやすくするために適正な水準に設定していないことも多くて、実際に上場初日に株価が急騰するケースが目立つんですけども、こういった場合は発行体である既存の企業であったりとか、既存のVCといった株主にとっては安い価格で売出しに応じざるを得ないので、非常にアンハッピーであるというところが問題だと思います。実際、日本でもこういった不満がかなり多くのスタートアップから聞かれるようになっています。特にコロナをきっかけに保守的な発行価格を決められているがために、実際の初値は公募価格よりもはるかに高い状態が続いています。こういったところで是正が行われないと、日本でもこういった機運が高まってくる可能性があるのではないかと考えております。

 3点目、もう少しだけお時間をいただくと、これは結構重要な話なんですが、やはり日本のスタートアップエコシステム全体の弱さというものに課題を感じています。それはスタートアップ側、投資家側の双方の問題だと私たちは考えています。スタートアップ側で言いますと、海外で成功しているサービスを基に日本で類似サービスを展開するスタートアップも多くて、こういった場合には海外展開というのはもはや期待できないというところが結構あります。それに対して、投資家側から見れば、グローバル規模で事業を展開する海外スタートアップのほうがどうしても魅力的に見えてしまうという問題点があります。一方、投資家側の問題点は、日本では自ら事業を起こしたことのない人材がVC、CVC側に多くて、一部の独立系のベンチャー・キャピタルを除いてベンチャーの育成にはほとんど貢献できていないという点です。VC、CVCに期待されるのは資金面のみならず、具体的な成長支援であるため、そのような支援の提供ができる人材の育成が期待されます。そういった目利き人材が投資家側で育成されないと、本当にすばらしい革新的な企業に資金が供給されないという問題が生じます。海外のキャピタリストをスカウトとしてでも日本の能力強化を図るべきと考えています。

 ちょっと長くなりましたが以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、原田委員、お願いいたします。

【原田委員】  
 ありがとうございます。資料3に関しまして1点、資料4に関しまして1点、質問させてください。

 資料3の4ページ、最初の成長資金供給あり方に関するところになります。クラウドファンディング制度、株主コミュニティ制度について太字でアンダーラインが引いてありまして、ここもそのうち議論になるのかなと思っているのですけれども、実際の資本市場の状況ということで、10ページ目以降に図表で海外との比較をしていただいています。ここで、ベンチャー・キャピタル、PEファンドについてまで図表での比較がありまして、非上場企業による資金調達手段へのアクセスの拡充ということが一貫した大きなテーマであるということがわかります。これらの図表に追加で、ぜひともクラウドファンディングの規模感ですとか、非上場企業の株の取引制度による資金調達に関する図表も、諸外国と比較する形で上げていただけると、より様々な資金調達手段での比較というものができて、かつ成長資金供給という面での比較もできて、いいのかなと思いましたので、また今後出てくるのかもしれませんけれども、図示をお願いいたします。例えば、株主コミュニティ制度ですと、できてまだ数年ですので非常に歴史が浅くて、まだ周知徹底を図っていてもよい時期ではないかと思っていたんですけれども、今回成長戦略の中で見直し対象のひとつに出てきているということについても、なぜ今見直しなのかというのはちょっと疑問に思うところでありましたので、図での比較も有効かと考えました。

 資料4に関しまして、国際金融センターに関するところで、今、共有していただいているページのままで構わないんですけれども、今回の規制緩和としては、今ここに挙げていただいている「主として海外の資金のみを運用する事業者の受入れ」に関する規制緩和ということになっています。非常に具体的なテーマでありまして、日本としては制度面の手当てをおこない受け入れを容易にするというのは非常に重要であるかと思います。東京都においても国際金融センターとしてのプロジェクトがうごいているかと思いますので、何か連携はあるのでしょうかということと、情報の共有はあるのかといったところをお伺いさせていただければと思います。

 以上の2点になります。お願いいたします。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。最後の点は岡田さん。

【岡田総合政策課長】  
 総合政策課長の岡田でございます。

 国際金融センターでの東京都との連携につきましては、これまでも、例えば海外から事業者さんが参入される場合に登録届出といった金融行政上の手続は財務局・金融庁でやるのですが、合わせましてオフィスを探したりとか、いろいろな立地面で支援というのは東京都さんが窓口をコンシェルジュという形でつくられていて、そういったところと私どもの金融行政上の相談をする窓口で相互に連携して、片方に御相談があったらもう一方につなぐということなどをやってきております。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 それから、御指摘の一番最初のクラウドファンディングその他の資料等については、また次回以降に準備させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、井口委員、どうぞ、お願いいたします。

【井口委員】  
 よろしくお願いいたします。事務局から挙げられた3点についてコメント、そして御質問を1点させていただければと思います。

 最初の成長資金のあり方のところですが、事務局から御説明がありましたように株式市場がネットで資金流出が大きいというのは先進国共通の課題というように認識しておりますが、これを解決しようとすると1つの施策だけではなくて、日本の上場企業全体の力を強めるとか、あるいは貯蓄から投資の流れを加速させるとか、複合的な政策というのが必要ではないかと思います。ただ、最近、我々も新規上場企業、フィンテック企業などにかなり投資する機会ということも多くなっておりますが、こういった新しい企業や産業の取り込みを通じ、上場企業全体の力を高めることは重要と思っています。そういう意味では、資料3の16ページで取り上げられていることは非常に重要なところと思っています。新興企業への成長資金供給の促進を通じて成長を加速させ、将来有望な新興企業を上場させることや、既に上場されている上場企業と協業できる新興企業を増やすことを通じ、株式市場の資本調達の場としての役割を取り戻すことは重要と思っています。あと、原田委員からも御意見がありましたが、制度改正で株式クラウドファンティングも導入されていると思いますが、資料3の17ページにあります「死の谷」の問題というところも一つ大きな問題になっているとお聞きしておりますので、そういったところを解決する策として株式クラウドファンディングがどのように活用されているのか、というのも重要なポイントと思っています。

 2つ目は、顧客情報の共有のあり方というところです。投資家としては、上場企業の成長力を高めるというのは非常に重要で、そういう意味でいうと経営環境の変化に応じて、この場合は利益相反管理の体制整備を踏まえた上でということになると思いますが、必要なルールの改正ということはやっていくべきと思っています。ただ一方、今回初めて参加させていただくということで、前回の議事録とか資料などを拝見させていただきますと、これは10年近く前ということで、過去の状況を反映しているとは思いますが、当時の状況につき詳細な議論をなされた上で現在のファイアーウォールの水準が設定されたと思っております。この点については上柳委員から御質問があって、古澤局長からお答えがあったということだとは理解しておりますが、なぜ、この議論をするのかということ、フィンテック分野でいろいろな事業が立ち上がっていること、メガバンクさん中心に海外業務を強めているということ、あるいは顧客のニーズが変化していることなど、経営環境の変化などを踏まえた上でこのファイアーウォールの議論をしていくのがいいのではないかと思っています。

 最後、海外金融機関等の受入れに関わる制度のところです。方向性としては、国際金融都市の確立に向けて制度整備を行うということと、その中でも海外金融機関等の受入れを行うということは重要な施策と考えておりまして、賛同するところです。ただ、資料4の4ページの上のほうに具体的な業者名の範囲がありますが、そこの範囲、6ページを見ますと、かなり投資運用業からプロ投資業務でかなり広い範囲ということもありまして、既に活動している金融取引業者の方が制度上不利な立場に置かれないように配慮することも重要ではないかと思っております。その点、この資料にある課題2のところですが、海外でのトラック・レコードを勘案し、一定の期間参入を認め、その間に日本の制度に合わせていただくというのは、第一印象ではありますがよい方向性ではないかと思っております。課題1のところにいくとすると、先ほど申し上げた現状の金融商品取引業者、日本国内で活動している金融商品取引業者に制度的に不利益を与えるという可能性がないかを慎重に検討する必要があるのではないかと思っています。ここで申し上げているのは、現状の国内の金融業者の保護とかではなくて、制度面で平等であるかということをチェックする必要があるのではないかということです。

 最後、質問ですが、8ページにあります海外法制比較を見ますと、シンガポールではプロ向けでも免許制度を取られているということで、比較的厳しい監督体制が取られているとも見られまして、先ほどの課題2のところにもスムーズにいけるのかなというように理解していますが、この理解でいいのかどうかということだけ、今回でもいいですし、あるいは次回以降の議論する場でもいいですが、コメントをいただければと思っております。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

【豊永市場機能強化室長】  
 ありがとうございました。

 シンガポールの制度のところでございますが、こちらも詳細を把握しているわけではないのですが、免許制ということで一定程度の監督はなされているものだと思っております。またそこはもう少し勉強いたしまして、御説明したいと思います。

【井口委員】  
 ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、森下委員、どうぞ、お願いいたします。

【森下委員】  
 ありがとうございます。私からは4点、お話をさせていただければと思います。

 まず、1点目が成長資金の供給に関してであります。これは本当に大変重要な課題だと思っております。今、新型コロナに対応するということで、銀行部門が国の支援もあって緊急的に資金をつないでいるところがあると思いますけれども、こういった経済が非常に停滞している環境では、銀行のローンでつなぎ続けるというようなことは本当に可能なのか、あるいは適切なのか、むしろ資本性投資という形に切り替えていくというようなことが重要になってくるのではないか、どちらかというと、今ローンで出しているものをエクイティに転換していくというようなことが今後重要になってくるような気がいたします。そういたしますと、やはり資本市場といっても、そういった今銀行が出しているような資金をうまく引き継いで本当に長い目で投資をしてくれるような投資家、特に中小企業なども多いので、非上場企業に対するそういった資本供給ということも含めて、銀行部門と資本市場がうまく連携できるような形の制度設計というものがすごく大事になってくるのではないかと思います。ただ、銀行部門と資本市場ということになりますと古典的な利益相反の例というようなことでも引き合いに出されるような部分ですので、いろいろと工夫をする必要はあると思いますけれども、今申し上げたような新型コロナ後の世界ということを見た場合には、ぜひ銀行部門と資本部門がうまく連携できるような制度設計ということも考えていく必要があるのではないかというのが1点目であります。

 2点目は情報の点であります。銀行と証券の間の情報共有という問題もあると思うのですけれども、トータルとして全体的に今後は金融部門が持っている様々な情報をうまく活用して、そこから新しい価値を生み出していくこと、よりクオリティーの高い金融サービスを提供していくということが求められる傾向であり、それを実現できるような制度設計を考えていくかということが大事なのではないかと思います。それは海外などにおいてもそういうようなことは議論されていまして、やはり銀行部門が持っている情報をどのように活用していくのかというようなことは問題関心の一つになっていると思います。そのときには2つあると思いまして、1つは、これは有吉委員もおっしゃいましたけれども、利益相反に関する管理手法というものが発展してきている部分もあり、そういったようなことを生かして、あるいはさらに発展させることで、入り口でそもそも情報の交換を禁止するという以外の方法が何かないのだろうかというのが1点。あともう一つは、利用者側の情報利活用、利用者オリジンの情報利活用という視点が、日本はまだまだ発展していないのではないかと思います。恐らく顧客企業は、金融機関がどのような情報を持っているのか、銀行も証券も自分についてどういうような情報を持っているのかもよく分からず、それを活用する仕方もよく分からないというようなこともあると思うのですけれども、これも海外なんかを見ていますと、むしろ顧客が積極的に情報を活用できるようにすると、それには専門家のアドバイスということが必要になってくる場合もあると思いますけれども、そういった方向に進んでいるような気がいたします。我が国においても情報の利活用ということは社会全体として必要になってくることだと思いますので、そういった流れも意識しながら議論がされるといいのではないかと思っております。

 3点目ですが、国際金融都市ということなんですけれども、これも本当に今はいいタイミングだと思いますので、ぜひ積極的に進めていく必要があるのではないかと思いますが、その際に、今はレグテックというものが一つ国際的にも関心を集めていると思います。技術を使うことによって規制や監督上の負担を軽減するということであります。海外からの金融機関にとっては、いろいろな技術を使うことによって報告負担が減るとか、監督上のコストが減るというようなこと、あるいはレギュレーションなんかについて分かりやすくなるといったようなことが高まりますと参入もしやすくなるというようなこともあるかと思いますので、このワーキング・グループでの直接の課題かどうかはよく分かりませんけれども、日本はテクノロジーがあるはずですのでレグテックを大幅に取り入れていくと、世界最先端を目指すというくらいのことがあってもいいのではないかと思います。

 最後に、外国から資金を集めるときの投資運用に関してでございますけれども、この投資運用業の規制の主な目的が投資家保護ということなのであれば、専ら外国人投資家ということであれば、そこについて日本法が積極的に規制していくという必要がどこまであるのかと、むしろ外国法の規制に委ねるというような考え方というのは、規制の国際的な適用範囲の切り分けということから十分あり得るのではないかと思います。国内の投資家保護規制の抜け道として用いられるというようなことがないようにするという工夫は必要ですけれども、そういった方向性は十分あるのかなと思います。

 それに関して1点だけ質問なのですけれども、今日お答えくださいということではなく、今後議論が深まってきたときにということなのですけれども、現状、金融庁さんのウェブサイトで投資運用業について見ますと、投資運用業ガイドラインという中で詳細に外国籍ですとか、外国拠点ですとか、そういった外国に関連する要素があるときに一定の規制の対象になる、ならないということを様々な事例を挙げて御検討いただいていると思うのですけれども、現状あるそういった外国に関連する投資運用についての規制の適否問題と、今回御提案いただいているモデルとどこがどうリンクするのか、あるいは全く別な問題なのかということを含めて、いずれかのタイミングで教えていただければと思います。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。最後の点はどうしますか。

【豊永市場機能強化室長】  
 最後に御質問いただいたところについては、別途御説明をしたいと思います。

【神田座長】  
 ありがとうございました。それでは、続きまして、神作委員、お願いいたします。

【神作委員】  
 ありがとうございます。

 中長期的なエクイティ資本が日本においてやや欠けている部分があると、その必要性と重要性については、従来からの課題であったと思います。それが、新型コロナウイルス感染症の拡大、もっと一般的に言うと今後のパンデミックの可能性等を視野に入れると、エクイティ資本の必要性と重要性がますますクローズアップされてきたということだと思われます。しかも、これも従来からの課題だと思いますけれども、特にリスクマネーが必要な分野が、成長資金と地方の活性化のための資金の2つであるということも、既にかなり前から明らかになっており、共通の認識になっているものと思います。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響の下でますます中長期的なエクイティ資本の確保や促進について、さらに真剣に議論する必要性が出てきているということだと認識しております。中長期的なエクイティ資金について、大きく2つの類型に分けて考えていく必要があるのではないかと考えております。1つは非上場会社であり、1つは上場会社でございます。上場会社におきましては、コーポレートガバナンスの強化というのが中心になると思われます。コーポレートガバナンスコードや、それからスチュワードシップコードを車の両輪として、上場会社のコーポレートガバナンスを機関投資家をはじめとする株主が後押しをしていくことが必要と考えます。ただし、こちらの問題については恐らくまた別のところで議論されることになるのではないかと推察いたしますので、第2の非上場会社について申し上げます。非上場会社の問題については、まさに本市場制度ワーキング・グループで議論することが期待されていると思われますけれども、非上場会社の場合には証券会社がより積極的な関与をして、例えばハンズオンで付加価値を向上させるために投資家あるいは潜在的な投資家に対して様々な形でのサービスを提供するということがより活発に行われていくことが必要になっていると思います。

 もう一つ、投資運用業のほうでは、これはやはり担い手の拡大というのが非常に現実的で魅力的な選択肢だと思われますので、主として海外の資金のみを運用する担い手について第4の類型を設けるという方向性につきましては、これまでの委員の先生方のご発言にもございましたけれども、必要な手当、とりわけ投資者保護ですとか、あるいは規制の潜脱にならないか、さらには競争上の公平性など様々な論点があるかと思いますけれども、必要な手当てを講じた上で第4の類型を新たに考え、資産運用業者については担い手を拡大するという方向性に賛成いたします。いずれにしても、証券会社にしても、投資運用業者にしても顧客本位と申しますか、フィデューシャリーの理念が当然の前提になっており、それが裏づけになっていると思いますので、これも市場ワーキング・グループでこれまで継続的に議論してきたことですけれども、顧客本位の業務方針になっているかどうかという視点とそのエンフォースメントと申しますか、実効性に常に気を配りながら議論していくことが大事であると思います。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、福田委員、お願いいたします。どうぞ。

【福田委員】  
 福田でございます。ありがとうございます。私からも幾つか資料3と資料4に関してコメントさせていただきたいと思います。いずれの資料も非常によくまとまっておりまして、私も非常に勉強になりました。

 成長資金のあり方は非常に重要だとは思います。日本はなかなか成長資金が伸びてないということが大きな課題だと思います。その原因としては、大きく資金を提供する側の問題と、それから資金の需要する側の問題、それぞれ両方に問題があるんだろうと思っております。日本人の家計貯蓄で依然として預貯金が非常に多いということが、そもそも銀行に資金が集まっているので成長資金がそもそも供給されないという問題につながっているとは思います。けれども、恐らくそのような問題はこれまでも市場ワーキング・グループで多角的に議論されてきましたので、今回はむしろ資金を需要する側の問題として、どういう意味で成長資金の供給が不十分なのかということにフォーカスを当てられていくのかなと私は考えております。その際に重要な問題として、もちろんアメリカと比較するというのも大事なんですけど、アメリカと比較すると気が遠くなるような差があります。特にアメリカやイギリスというのはもともと非常に公開市場が進んだ国で、すぐにそのような国になるというのはなかなか大変です。本日は非常に詳細な資料を頂きましたけれども、できれば、例えばドイツとかフランスのような国の実態とも比較すること、これらは多分日本とアメリカの中間にあるような国々ですので、そういった国々の情報というのも適宜これから事務局の資料として提供していただければと思います。

 それから、最後の資料3の情報に関する共有というのも非常に大きな問題です。伝統的にはファイアーウォールの問題というのは大きな問題ですし、もともとの規制の意味というのは、私は別になくなってはいないとは思います。けれども、ただ、情報の利活用のあり方はフィンテックによって、何人かの方もおっしゃっているように非常に大きく変わってきています。まさにプラットフォーマーの存在、これは金融システムの外にあるかどうかは別として、いずれにしても顧客と金融システムの中間にあるような中間業者が非常に情報をたくさん所有するというような仕組みが、今も起こっていますし、今後の大きな流れとしてもどんどん起こっていくということです。このため、情報管理というあり方の中で顧客情報管理のあり方は、伝統的なファイアーウォールという考え方だけではなかなか議論が進まない時代に来ています。そういう意味での観点も含めながら議論をしていただければと思いますということです。

 以上が資料3に対する私のコメントです。

 それから、資料4に関しても、国際金融都市に向けた非常に大きな議論を提示していただいています。議論の出発的になるような題材をいろいろと出してしてくれたことはいずれも、重要な問題だとは思います。大きな論点としては、多くの方もおっしゃったように日本国内の投資家が日本国内に投資するという問題よりは、海外の投資家をどのように呼び込んでいくかということは大きな問題になるんだろうと思います。特に海外の投資家が日本の金融市場を利用するけれども投資先も日本国内ではないような、いわゆる外-外取引みたいな問題なども、日本の市場に持ってこられるといいのではないかとは思います。最近はそういう区別があまりなくなりましたけれども、かつてはオフショア市場、オンショア市場というような区別もされていました。私の理解では香港はその区別がもともとなく、非常に自由な市場だったんですが、シンガポールというのは国内のオンショアに関しては非常に規制があるけれども、オフショアといった外-外取引に関しては規制が緩くて、それがシンガポールの金融市場の発展につながったというのが伝統的な理解だったとは思います。最後の国際法制の比較ではシンガポールも非常に丁寧にまとめていただいていますが、そういう意味では伝統的な外-外取引あるいは海外の人たちに対するシンガポールの規制のあり方みたいなものも国内向けの規則とは別に少しまとめて教えていただけると、日本の今後のあり方みたいなものに役立つのではないかと思いました。

 私からは以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、武田委員、お願いいたします。

【武田委員】  
 どうもありがとうございます。まず、資料の説明もいただき、ありがとうございました。大変勉強になりました。私からは意見を3点申し上げたいと思います。

 1点目は成長資金供給のあり方についてです。検討課題に沿って3点申し上げます。

 冒頭に御説明いただきましたとおり、コロナ禍で国際金融市場は一時不安定化致しましたが、現在は落ち着いた状況と考えています。ただ、3月時点での金融市場の混乱はリクイディティの問題であったのに対し、今後は債務が増加する中でソルベンシーの問題へと発展する懸念がございます。その点を踏まえますと、資本性の資金調達環境を整備していくということは重要と思います。一方で、成長資金の供給拡大の必要性については、20年以上も議論されている問題でございます。スタートアップが増えない背景にはエコシステム全体の問題であり、資金供給サイドだけではなく、需要サイドの問題もあると考えます。本審議会では市場整備のあり方を検討する場ということは十分理解しておりますけれども、成長資金供給が育ってこない、エコシステムが形成されてこなかった課題を把握し、その課題を克服する上で必要な市場整備は何かという議論が全体最適の観点から重要ではないかと考えます。

 2点目は、海外金融機関の受入れに関する制度についてです。国際金融ハブ機能向上も長年議論されてきた問題ですが、現在の国際情勢を踏まえますと、検討を加速させる必要があると考えます。一方で、既に他の委員から意見がございましたが、私も技術的な制度改革だけでは日本に海外からの資金は来ないのでないか、むしろ日本の市場自体の魅力を高めることが大事ではないかと思います。したがって、日本がどの部分で他の市場にはない強みを発揮できるのか、どこの部分で競争力を高める戦略が望ましいのか、もう少しトータルの議論をベースに、市場整備として何ができるのか検討して取り組む方がよいと考えます。

 3点目はファイアーウォールの問題です。こちらも既に多くの委員から御指摘がありましたので簡単に申し上げますけれども、業界の論理ではなく、社会や顧客目線での議論が重要と考えます。その上で、デジタル技術が進む中での金融業の将来を見据えた議論が必要ではないかと思います。当然ながら利益相反などを防ぐための対応は必要と考えます。その点、丁寧な議論が必要と考えます。

 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、松尾委員、どうぞ、お願いいたします。

【松尾委員】  
 ありがとうございます。大阪大学の松尾でございます。私からは成長資金の供給について、特にスタートアップ企業の資金調達との関係で一言申し上げたいと思います。

 スタートアップ企業の資金調達は、全体的な金額で見ますと他国にかなり見劣りするというのは、先ほど来御指摘のとおりかと思いますが、ペースとしては、順調に増えてきているというように認識しております。ただ中身を見ますと、資金調達に成功している会社の数は減っており、1社当たりの投資額、調達額が大きくなっているという傾向がここ数年はあると認識しております。その背景には、1つは、先ほど松本委員から御指摘がありましたがCVC、事業会社が大きな金額を1社にどんと出しているという傾向が出てきているということかと思います。調達額が増えること自体はいいと思うんですけれども、これも先ほど松本委員から出た話ですがエコシステムの発展ですとか人材育成という観点からは、もう少しエコシステム独自の成功例があったほうがいいのではないかなと考えております。事業会社ばかりになると、それはそれでまずいのではないかと、さらにそこに金融機関も出資することが緩和されるということになりますと、エコシステムが潰れてしまわないかなという危惧を少し持っております。それを法制の面から後押しするとしますと、勧誘ルールとの関係で、従来は特定投資家、プロ投資家の概念は主に金融商品のリスクに対する理解力とリスクを負担する資力の面から整理されてきたということかと思いますが、スタートアップ企業への資金供給、投資のあり方というのは、人的なネットワークがあって、投資先の企業そのものよりも、そこに投資をする投資家がいて、あの人がやるなら信頼できるからお金を出そうかなというようなこともあるように聞いております。そうしたことがうまくプロ投資家の要件に取り込んで、投資制限の少ないような勧誘ルールを、スタートアップのエコシステムの中におられる投資家向けにつくることはできないかを検討していただければありがたいなと考えております。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、松岡委員、どうぞ、お願いいたします。

【松岡委員】  
 皆様のお話、大変ありがとうございます。私は2点だけ、企業という観点から申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、成長資金の供給、それから市場制度もそうなんですけれども、先ほど皆様から御指摘がいろいろとございましたけれども、いずれにしても恐らく包括的なアプローチや複合的な政策のあり方というのは重要なんだろうと。ここで挙げられている課題の持つ、いろいろな要因が複合的にある中で、何がその中で重要かと、かつ解決するインパクトが大きいかというところで取り組んでいただけるといいと思っております。その1つの例を挙げさせていただくと、例えばリスクマネー、エクイティ投資に対する教育とか、大衆投資家を含めての教育とか認識とかのあり方というのは、例えば企業年金1つとっても、なかなかリスク認識というのは、エクイティに対するリスク認識というのは浸透するのが難しく、その問題も1つあると思っています。

 もう1点は、先ほど来のお話とも少し関連しますけれども、企業は成長、発展するというのが使命でございますので、その中で様々なステークホルダー等のマネジメント、やり取り、先ほどガバナンスの話も出ましたけれどもその中でやっているわけですが、やはりいろいろ見ておりますと、特に私自身は国際競争にもさらされている中でやっておりますけれども、マネーの情報、人的リソースの活用とかスピードというのが非常に大事ですし、ひょっとするとその辺りは、日本はもう少しいろいろと余地があるのではないかと思われるところがございます。ですので、そういったいろいろなマネーの情報、人的リソース、ノウハウの共有とか、教育とか、あとは活用という、成長資金も含めて発展させることによって全体のエコシステムが回るのではないかと思っております。

 よろしくお願いいたします。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、松本委員、どうぞ。

【松本委員】  
 すみません、VISITS Technologiesの松本です。ちょっとファイアーウォール規制について意見を述べさせていただければと思います。

 まず、外国法人の顧客に対する情報のファイアーウォール規制なんですけども、こちらはやはり大きい問題になるのはクロスボーダーM&Aとかそういったケースで、外国、海外のほうの企業からなかなか同意を得づらいことが多いと聞いております。これはひとえに海外、欧米ではそういった規定がないので、なかなか同意を取るのが難しかったりというところが原因なんですけども、そういったところでクロスボーダーM&Aというのがなかなかうまくいかないと、中長期的に見ると日本の企業の海外進出だとか海外ビジネス拡大に潜在的な機会損失を生じさせるというところが問題ではないかなと感じております。また、日本の銀行、証券会社がグローバルで戦っていくために、日本の金融機関は使いづらいといったことになってしまうと競争力を失ってしまうのではないかなと思っております。もちろんこういったものも、そういった様々なこういった課題ありきで規制が入っていますので、そういったところに対する監視監督というものを前提に、できる範囲で緩和していくべきではないかなと思っております。

 もう一点、国内顧客情報に関連するファイアーウォール規制というのは、短期的には、今、日本が高齢化社会で事業承継ニーズというのが高まっていたりとか、あとは、直近はコロナの影響で事業の売却を検討せざるを得ない会社というのが非常に増えているかと思います。特にファミリービジネスをされている場合、例えば銀行、証券、同意をもらえばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、実際に同意を取る対象が代表者だけじゃなくて、その御家族とかも同意取得の対象に含まれるケースが多いと聞いております。そういった場合には、実は代表の、大体お父さんになるんですかね、代表の方が、やっぱり家族には実は会社を売ろうとしているとか、そういったことはまだちょっとディールがクローズするまでは秘密にしたいというところで交渉を進めるといった場合に、ステークホルダーである家族全員からの同意を取らなければいけないというのがハードルとなるケースが増えているのではないかなと思います。そういった意味では、同意を取る、取らないというそういった2択の範囲ではなくて、誰にまで取らなければいけないのかというようなところ、範囲というものをもう少し柔軟に緩和するということも考えられるのではないかなと思いました。

 以上となります。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、オブザーバーの方々からもチャットを出していただいているのですけれども、日本プライベート・エクイティ協会の木村さんからは、御発言を御希望の趣旨かどうか、シンガポールの規制についてはというチャットをいただいておりますが、いかがでしょうか、もし御意見等があれば、どうぞ。

【木村オブザーバー】  
 すみません、日本プライベート・エクイティ協会長の木村です。よろしくお願いします。

 シンガポールで我々は運用会社をつくって、そちらで海外の投資アドバイザリー業務を行っているというところもあって、規制上のいいところ、悪いところ、そういうところに懸念がありますので、もしもそういう規制について御発言があればということでコメントさせていただいたという趣旨でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

【木村オブザーバー】  
 ただ、もしも御発言をさせていただけるのであれば1点だけお願いしたいと思います。

【神田座長】  
 どうぞ。

【木村オブザーバー】  
 よろしいでしょうか、すみません。銀行協会、証券業協会様の後にしたのに発言してすみません。

 資料4の6ページのところです。海外の資金のみを運用する事業者の受入れに係る課題というところで、海外の投資家がなかなか日本の市場に入りにくい理由というところの中で、日本では時価評価基準ということがされていないというところがあります。やはり海外の投資家というのは、事業者も含めてなんですけども時価評価、これは海外でもう普通の通常状態なんです。日本では時価評価と、未上場株式の時価評価というのは徹底していないと、制度が構築されていないというのが一つ問題の根幹にあって、語学の問題もあるんですけど、そういう時価評価の問題というのがあるんじゃないかと、この辺の整備をやっていく必要があるんじゃないかなと。それには監査法人というところのプロの監査法人が少なくなっているというような面もありますので、そういう根本的な問題があるんじゃないかなということを1点だけ御指摘させていただければと思います。

 以上です。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、全国銀行協会の林さん、どうぞ、お願いいたします。

【林オブザーバー】  
 全国銀行協会の林でございます。本日は、発言の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 まずは銀行界といたしましては、お客様の資産価値、企業価値向上のために金融機能の高度化をもってしっかりと貢献してまいりたいと考えております。具体的には中小企業の事業承継の推進、地方創生の実現・活性化、大企業のグローバル産業再編・事業再編への対応、それに伴う総合的なファイナンス提案、オンライン・非対面・ペーパーレスの取引の実現、加えて我が国金融資本市場の国際金融都市としてのプレゼンス向上のためにファイアーウォール規制をはじめとした諸課題につきまして、今後ワーキング・グループにおきまして、ぜひ骨太な議論を頂戴したいと考えております。

 ファイアーウォール規制につきましては、入り口において銀証間の情報共有を画一的に制限する規制になっております。また、クロスマーケティングの制限につきましては、お客様が銀証一体の金融サービスを受けることを困難としていると考えており、私ども銀行界としては撤廃すべきものと考えております。当該規制については、平成5年の金融制度改革法において銀証の相互参入が認められた際に、優越的地位の濫用や利益相反等の弊害を防止する目的に加えて、証券業界に配慮した激変緩和措置の意味合いもあり、導入されたものと理解しております。以降、利益相反や優越的地位の濫用防止が、銀行法や金商法の諸法制、諸規則の体制整備義務や、個別の行為規制、独占禁止法の規律、顧客本位の業務運営に関する原則等の導入によりまして、各行が体制・ルールを整備し、そうした行為が生じないよう厳格に運用されてきていることと、銀証の相互参入の解禁とファイアーウォール規制の導入から30年近くが経過し、激変緩和措置の必要性も形骸化していると考えております。

 本日の事務局資料3の20ページにございますとおり、ファイアーウォール規制は個別の様々な規制の総称と理解しておりまして、成長戦略フォローアップに記載のとおり、国内顧客を含めたファイアーウォール規制の必要性について公正な競争環境に留意しつつ検討されていくということが必要とされております。繰り返しになりますが、検討の範囲を銀行・証券間の情報授受の取扱いなどに限定しない、幅広い議論を頂戴したいと考えております。また、関連される業界など幅広い関係者の皆様の御意見をしっかりと聴きながら議論が進行していくことが必要と考えており、全銀協は銀行界を代表して本ワーキング・グループにオブザーバー参加させていただいておりますけども、ほかの参加者の皆様におかれましても、個別企業の立場に拘泥することなく、業界の様々な意見を踏まえ、日本企業や家計、そして我が国自体が抱える社会問題の解決に向けて何が必要なのかという観点から御発信を頂戴できればと考えております。

 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、日本証券業協会の荻野さん、どうぞ。

【荻野オブザーバー】  
 日本証券業協会の荻野でございます。

 まず、今回の市場制度ワーキングにおいて、グローバルの競争力のある資本市場、そういったものを育成していこうということが議論されることは非常に望ましいことだと思っております。その上で、先ほど佐々木委員からもコメントがあったかと思いますが、証券業と申しましても、独立系の証券会社もあれば、銀行経営の証券会社もあります。さらには外資系の証券会社もあるということで、同じ方向を見ていても見えるものが違うというようなことがございます。グローバルとの比較において、時に制度ということで比較した際に単に字面だけを追うと、中には間違い部分もあろうかと思われますので、実態を見て判断していかなければいけないということもあるかと思います。そういう意味では、日本証券業協会の中では、そういったものを踏まえましていろいろ議論を重ねていきたいと考えております。その中で一番忘れてはいけないものは、これは誰のための制度の改革であるのかということで、顧客本位という視点を失わずに議論をしていきたいと思っております。

 以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、野村證券の飯山さん、どうぞ。

【飯山オブザーバー】  
 時間も押している中、発言の機会をいただきましてありがとうございます。一言だけお願いいたします。ファイアーウォール規制についてです。

 このことは顧客情報の共有等のあり方ということでございますので、誰を主語にした話かということが非常に重要かと思っております。顧客の利便性、及びゆがみのない健全な資本市場ということで、特にポストコロナにおける資本、リスクマネーの供給が非常に重要なポイントになってきておりますので、そういったところを忘れてはいけないと考えております。

 それで、2つの観点があるかと思うんですけども、1つは先ほど御指摘のありましたクロスボーダーという観点でいくと、日本の特殊事情は、やはり銀行さんが優越的地位にあるということが大きいかと思いますので、必ずしも優越的地位にいない外資系の金融機関さんが日本の顧客に対して行うビジネスですとか、逆に日本の金融機関さんが海外で優越的地位にない場合に行うビジネスとか、ここはいろいろ考え方があるのではないかなと思います。一律に全て0・100ということではなくて、丁寧な議論が必要なのかなと思います。

 それともう一つは、コロナでデジタル化ということが進んできている中で、規制云々という前に、まず手続論というか、やり方というか、もうちょっとこういう工夫があるんじゃないのという論点が、実はいろいろな方のお話を聞いていてあるのかなと思っておりますので、そういったこともこのワーキング・グループの中で議論していただければと思っております。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、続きまして、日本ベンチャーキャピタル協会の赤浦さん、どうぞ。

【赤浦オブザーバー】  
 お時間、ありがとうございます。日本ベンチャーキャピタル協会の赤浦でございます。私からはスタートアップエコシステムの中での問題点として、2点、お話しさせていただきたいと思います。

 1点目が個人の問題で、個人のエンジェル投資家からの資金調達が非常に少ないのではという点、2点目が海外からの資金調達が非常に少ないという、この2点についてお話します。スタートアップエコシステムは、我が国のスタートアップの資金調達総額が2019年で4,400億円と順調に増加してきておりますが、これは過去のピークに戻ったに過ぎない状況で、米国、中国また欧州については過去のピークを突き抜けて、米国においては14兆円まで広がっていると聞いております。平成元年頃は米国と日本の差はたしか10倍程度だったと思いますが、今は40倍まで広がっているという状況です。中を分析すると、米国の方は国外からの調達が35%ありますが、日本は0.8%です。また、個人投資家からの調達金額が、米国はたしか2兆8,000億円程度、日本はトラッキングできているだけですと44億円ということで、比較にならないぐらい米国は厚くなっております。日本も、個人金融資産1,800兆円という武器を生かせばというところもありますし、一方でベンチャー・キャピタルが抱えている資金についても、現在の投資事業有限責任組合法ですとどうしても海外の機関投資家から調達がしにくいという問題がありまして、税の問題等々あるかとは思いますが、有責法の改善等が必要になってくると思っております。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】  
 ありがとうございました。それでは、時間もそろそろではあるのですけれども、オブザーバーの国際銀行協会の中村さん、お願いいたします。

【中村オブザーバー】  
 ありがとうございます。お時間もないので一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 日本企業がグローバルに活動する中で、我々の金融機関もアジアの中で、そしてまたグローバルに活動させていただいております。そういった意味で、我々は世界の他の拠点とも連携しながら活動しているわけでございまして、ぜひグローバルに一貫性のある規制、情報規制を導入していただけると我々としても活動がしやすいことになります。日本の金融機関がグローバルになる中でも、世界の顧客情報をマネージしていく上で煩雑にならない、あるいは顧客のためのビジネスを行えるような規制の見直しをしていただければと考えております。

 よろしくお願い申し上げます。以上でございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。それでは、質疑応答、意見交換はこの辺りとさせていただければと思います。

 本日は、委員の皆様方からは、全員の方から御発言をいただきました。大変貴重な御指摘をたくさんいただきまして、ありがとうございました。また、オブザーバーの方々からも今、非常に多くの御発言をいただいたところでございます。本日いただきました御説明や御意見等を踏まえ、今後具体的な検討を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最後になりますけれども、日本取引所グループから東証のシステム障害についてお話があると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。

【川井オブザーバー】  
 日本取引所グループ、東京証券取引所としまして一言御挨拶申し上げます。

 先般、10月1日に当社の売買システムの障害によりまして終日売買停止ということになりまして、投資家をはじめとする市場関係者の皆様に多大なる御迷惑をおかけすることになりまして、深くおわび申し上げます。

 今回の障害の契機となりました機器交換や機能不全の改修、対処というものは行いましたけれども、マーケットの信頼回復に向けて、日本取引所グループ全体として根本的かつ幅広い原因究明と再発防止の徹底を進めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

 お時間を割いてしまいまして、申し訳ございませんでした。私からは以上でございます。ありがとうございます。

【神田座長】  
 どうもありがとうございました。

 それでは、次回のこのワーキング・グループの日程やテーマ等につきましては、また後日、事務局から御案内をさせていただきます。以上をもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
── 了 ──

 

 

 
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