金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第16回) 議事録

  • 1.日時:

    令和4年3月29日(火曜)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
     

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第16回)
令和4年3月29日


【神田座長】 
 皆様、おはようございます。予定の時間になりましたので、ただいまから市場制度ワーキング・グループの第16回目の会合を開催させていただきます。

 皆様方にはいつも大変お忙しいところ、御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 今回からオブザーバーとして新たに6つの団体の方々に御参加していただくことになりました。投資信託協会、日本投資顧問業協会、第二種金融商品取引業協会、日本STO協会、証券・金融商品あっせん相談センター、そして信託協会、以上の皆様方が今回からオブザーバーとして御参加されますので、御案内申し上げます。資料1の名簿に追記をさせていただいておりますので、適宜御覧いただければと存じます。

 本日のテーマでありますけれども、事務局から顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上に関する説明資料について御説明をいただきます。その後、皆様方に討議をお願いするという流れになります。

 それでは、早速ですけれども、事務局説明資料について事務局からの説明をお願いいたします。島崎課長、よろしくお願いいたします。

【島崎市場課長】 
 よろしくお願いいたします。資料の2に沿って御説明させていただきます。

 まず、1ページ目、資金需要者への資金供給と経済成長の成果の家計への還元ということで、このワーキング・グループで御議論いただいている大きな3テーマを載せていただいておりまして、今回は1.経済成長の成果の家計への還元促進のところでございます。13回会合でも御議論いただいておりますが、本日も御議論よろしくお願いいたします。

 4ページ目、5ページ目のところに、13回会合で御議論いただきました、適切な販売勧誘・助言、顧客への情報提供の充実ですとか、あとは、顧客のニーズに沿った金融商品組成・手数料設定、適切な商品選択に資する情報提供と評価/検証等と、プロダクトガバナンスでございますが、こちらについても御意見賜りました。

 5ページ目でございますが、本日も御議論いただきます投資運用業者等の受託者責任の明確化を通じた運用財産の運用・管理のあり方、それから二種ファンドの募集・運用の適切性を確保するためのルールの見直しの関係についても御議論いただいているところで、本日も御議論をよろしくお願いいたします。

 6ページ目でございます。今回も含め、このテーマについて御議論いただくときの総合的アプローチについて概要を示させていただいております。

 顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上に向けた課題でございますが、家計の中長期的に安定した資産形成を実現していくためには、下の図にもございますが、顧客本位の業務運営の確保、それから金融リテラシーの向上というのが必要で、下のほうに、登場する主体を示させていただいておりまして、今回、金融リテラシーの向上については直接取り扱いませんが、図では家計のところの上に記させていただいていて、組成に携わる金融事業者、それから販売に携わる金融事業者という主体も下に載せさせていただいています。

 図の右側では、顧客本位の業務の確保というテーマを記させていただいていて、プリンシプルベースで進めてきた顧客本位の業務運営の確保について、それを支える制度的枠組みの検討ということも本日、御議論いただければと思っております。その下の、「プロダクト・ガバナンスの確保」、それから「適切な販売勧誘・助言、顧客への情報提供の充実」というように主体の上に載せさせていただいていますが、もちろんそこに必ず1対1の関係ということではなく、当然相互に関係し合いますが、基本的な位置として、プロダクトガバナンスの確保については、組成に携わる金融事業者とも密接に関係しますので、顧客のニーズに沿った金融商品組成・手数料設定、それから適切な商品選択に資する情報提供、商品性の評価/検証がテーマになります。矢印の向きの順で申し上げますと、次が販売局面で、適切な販売勧誘・助言、顧客への情報提供の充実ということで、販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化、顧客への情報提供の充実とデジタル化というのが大きなテーマになります。今回も御議論いただきます、助言業者についても販売業者のところに載せさせていただいています。

 プロダクトガバナンスのところに、注をつけさせていただいていますが、プロダクトガバナンスについて説明しているものとしてESMAの記述がございまして、金融商品の組成会社・販売会社が金融商品やサービスのライフサイクルのすべての段階において顧客の最善の利益のために行動することを確保するための仕組みというように説明しているところでございまして、この言葉が出てくるときにひとつ説明としてされているものをここでは示させていただきました。

 7ページ目、8ページ目でございます。そうした大きな全体の問題意識に沿いまして、そこからブレークダウンしていく各パートについても、どのような問題意識と課題なのかということを示させていただいています。

 先ほども少し触れましたが、顧客本位の業務運営を支える制度的基盤の確保という点で、右側の「課題」には、「プリンシプル」と「ルール」の役割分担など、制度的な枠組みのあり方や、販売面では、販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化、組成面では、プロダクトガバナンスの確保等についてどう考えるかというような課題がございます。

 この全体の総論の下、2.適切な販売勧誘・助言、顧客への情報提供の充実以下でございますが、左側が「問題意識」、右側が「課題」となっておりますが、資産形成を進める上での助言・説明の重要性の高まりの中で、家計がより適切な助言や勧誘を受けられるようにすることの重要性に鑑みますと、(1)販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化のところ、この後御議論いただくにあたっての資料もございますが、第一種金融商品取引業を行う金融商品取引業者等によるコンサルティング・アドバイスの重視や、これらの金融商品取引業者や金融商品仲介業者による預かり資産残高に連動した手数料でのサービス提供の動きがあるなか、諸外国制度も踏まえ、助言の対価の収受と助言に係る責任のあり方を含め、販売・助言サービスの態様に応じた制度整備の必要性(柔構造化)についてどのように考えるかということを課題としております。

 それから、第一種金融商品取引業を行う金融商品取引業者等が顧客の資産形成に係るコンサルティングやアドバイスを重視する動きが出てきていますが、現行制度がこのような動きに適切に対応できているかどうかというところで、右側(2)第一種金融商品取引業者等が投資助言業務を行うための制度整備でございますが、こうした残高連動手数料を収受して助言サービスを提供しようとする第一種金融商品取引業者や、その他の多様な主体が、投資助言業者として適切にサービスを提供するときにどのような環境整備が必要かということが課題としてございます。投資助言業務を行うにあたっての環境整備ということで、例えば第一種金融商品取引業者、それからその他の主体について、現在の制度が過不足ないか、どのような制度の検討が必要かということがございます。

 もう一つは、(3)顧客への情報提供の充実とデジタル化の課題がございますが、こちらは次回御議論いただければと思っているテーマでございます。

 8ページ目でございます。3.プロダクトガバナンスの確保と資産運用業の高度化ということで、運用機関による組成のあり方ですとか、あるいは顧客の手数料、費用負担ですとか、そういった情報提供等について課題の指摘もしております。

 プロダクトガバナンスをより適切に実践していく上で、海外の動向も踏まえつつ、どのような取組が求められるかということで、①、②、③とございますが、資産運用会社等におけるプロダクトガバナンスというのが1つございます。諸外国の制度を踏まえつつ、どのような取組が必要であるかということでございます。

 それから、プロダクトガバナンスを確保するための資産運用会社自身のガバナンスの構築を促進するためにどのような取組が必要かというのも分けて設定しています。

 それからもう一つ、不正事案関係でございますが、投資信託やソーシャルレンディング等をめぐる不正事案を踏まえて、投資家保護を確保するための措置を講じることが必要という問題意識に立ちまして、(2)と(3)に記させていただいております。(2)投資運用業者等の受託者責任の明確化を通じた運用財産の運用・管理のあり方ということで、投資先における運用財産の運用・管理状況を把握していない不適切な事例の発生を踏まえ、受託者である信託銀行を含め、運用財産の運用・管理状況の把握のためにどのような取組が必要かということでございます。

 それから、(3)二種ファンドの募集・運用の適切性を確保するためのルールの見直しでございますが、こちらも13回会合で御議論もいただきましたが、投資家への情報提供、貸付先に対する審査やモニタリング等の不適切な事例の発生を踏まえ、どのような取組が必要かということでございます。

 それぞれのテーマになりますが、10ページ目からでございます。10ページ目は、販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化ということで、先ほども少し触れましたが、第一種金融商品取引業を行う金融商品取引業者等において、コンサルティングやアドバイスを重視する動きの一環として、残高連動手数料を収受し、助言を行う動きが広がりつつございます。

 金商法上、対価を得て行う助言は投資助言業務に該当し、忠実義務・善管注意義務を負います。対価を得ずに行われる助言については、これらの義務は規定されておらず、適用されるルールが大きく異なっております。

 このため、第一種金融商品取引業者が残高連動手数料を収受して行う助言については、同様の販売・助言サービスであっても、その手数料が助言への対価を含むと判断されるか否かによって取扱、助言に係る義務が大きく異なり得ます。

 諸外国ですと、11ページ目にございますけれども、同様の販売・助言サービスに適用されるルールに大きな違いが生じないよう、その内容や態様に応じた柔構造化、制度設計がなされているということで、10ページ下の図は、今申し上げたことで、残高連動手数料の収受、そして行う助言の動きとともに出てきている動きを描写しています。

 11ページ目でございます。先ほど諸外国の事例と申し上げましたが、米国では、有償の助言を行う場合、投資助言業者としてフィデューシャリー・デューティーを負います。

 また、リテール顧客に対する投資商品の推奨、この中には無償の助言を含むと解されております、を行う場合は、投資助言業者とブローカー・ディーラーとの間で同等の義務を設けることを目的に制定されましたベストインタレスト規則における個別規定を遵守する必要がございます。

 フィデューシャリー・デューティーの内容は、SEC解釈で明確化されていますし、ベストインタレスト規則は、フィデューシャリーそのものではありませんが、開示・適合性・利益相反管理等の具体的なルールが定められております。

 続きまして、ドイツをはじめEUでございますが、有償、無償にかかわらず、投資助言を行う場合、金融商品の販売・勧誘は通常投資助言を伴うと考えられておりまして、投資会社は、投資助言に係る適合性原則のほか、開示・利益相反管理などの個別規定を遵守する必要がございます。

 注のところでございますが、ドイツをはじめEUでは、適合性の判断にあたり、顧客の知識、経験、財産の状況、投資目的等の必要な情報を入手できない場合は助言できないということになっております。

 こうした形で米国ですとかドイツの例を挙げさせていただきましたが、前ページで申し上げた同様の販売・助言サービスに適用されるルールというものに大きな違いが生じないような手当てということについて設計がなされているということでございます。

 続きまして12ページ目です。問題意識、課題のところで申し上げましたが、現行の投資助言業に係る制度は、投資助言業務のみを行う業者は比較的小規模の事業者が多いと考える中で運用されてまいりまして、他方、大手金融機関や事業会社の参入ですとか、あとは規模の大きい第一種金融商品取引業者が投資助言業を兼業し、残高連動手数料を収受して助言サービスを提供しようとする動きもございます。

 第一種金融商品取引業者が投資助言業を兼業し、残高連動手数料を収受して助言サービスを提供しようとする場合、制度が実態に応じたものとなっていない部分があると指摘もありますが、どのような環境整備が必要であるか、過不足ない環境整備を行うにはどのような制度が必要であるか検討するべきとの指摘がございます。

 それから、この他にも多様な主体が適切に助言サービスを提供できるよう、これは共通して言えることですけれども、業務の実態に応じた環境整備、制度整備というものがどのようなものであるのかというのがここでの課題設定でございます。下に意見のある制度の例を載せさせていただいています。

 13ページ目から17ページ目までは、先ほど御紹介させていただきました各国制度の概要につきまして、より詳細に、義務、個別ルールについて描写させていただいています。こちらは参考資料でございます。

 13ページは各国比較になっており、14ページ、15ページが米国、16ページ、17ページがEUですとかドイツの例となっていますが、ここでは詳細な御説明は省かせていただきます。

 それから19ページ目以降、プロダクトガバナンスに関する資料でございます。19ページ目、私どもが公表しております、資産運用高度化プログレスレポートをこの審議会でも素材として提供させていただいておりますけれども、こちらのほうで課題等について、あるいは取組等についてまとめさせていただいておりますが、ここでも、今回プロダクトガバナンスに着目するということですが、プロダクトガバナンスの強化についての指摘を、19ページのとおり、ファンド本数ですとか、費用体系ですとか、あとは費用の組込などについても指摘しているところです。

 20ページ目、国内資産運用会社等の取組例及び課題ですが、こちらの下の段右側の課題ですけれども、プロダクトガバナンスの主要素であります商品組成と情報提供について今の課題なども載せさせていただいています。

 顧客による必要以上の費用の負担ということや、これはコストとも関係しますけれども、ファンド数の高止まり、それから商品性に関する情報提供ですと、想定顧客属性についての定型的な記載、それから、公正価値との差額など、商品価格に内包されており、顧客から観察できない費用があるということを指摘しています。

 21ページ目以降は海外制度になっておりまして、欧米では投資家の最善の利益を確保するため、プロダクトガバナンスに関する取組が進められております。

 MiFIDⅡですと、資産運用会社、販売会社に対してそれぞれ主な義務を規定しておりまして、資産運用会社では、取締役会の監督の下、販売対象とする顧客層の特定するほか、モニタリングを通じて当該商品が特定された顧客層に適合しているかついての定期的な検証などをすることが求められております。また、販売会社には、やはり顧客層への適合、それから定期的な検証などについて求められております。

 22ページ目、パッケージ型商品について、こちらは前回重要情報シートとの関連等について少し御紹介させていただきましたが、PRIIPsでは商品特性ですとか、リスク・リターンですとか、顧客が負担するコストを資料で開示するように求められております。

 PRIIPsKIDは、キー・インフォメーション・ドキュメントと言われるもので、下の必要開示項目の⑥のコストのところをサンプルとして示させていただいたのが23ページ目のところでございます。

 続きまして、24ページ目でございます。先ほど申し上げた、プロダクトガバナンスの重要な2つの構成要素のうち、8ページ目の課題のところの②にあたるファンドあるいは資産運用会社のガバナンスの部分でございます。

 アメリカですと会社型ファンドのガバナンス、英国においては契約型などを主とするファンドのガバナンスを確保する施策が進められておりまして、関連する資料を以前御提出したこともあるかもしれませんが、それぞれの国においては、運用契約の、もちろん独立取締役についても規定されておりますし、Value for money等といった運用契約の評価・承認プロセス、コストに見合った成果ということも意識しながら、商品組成、手数料設定などについて評価するプロセスについて明示しているということでございます。

 独立取締役の設置ですとか、運用契約のファンドの価値評価ですとか、運用契約の評価・承認、それからイギリスの場合ですと、重要役職員等の適格性評価なども含んだものでございます。

 26ページ目以下が、先ほど冒頭に申し上げました不正事案等に根差す問題意識でございまして、26ページ目が投資運用業者等の受託者責任の明確化を通じた運用財産の運用・管理のあり方でございます。

 足下で、海外ファンドに投資する投資一任やファンド・オブ・ファンズ形式の投資信託において、投資先の海外ファンドにおける運用財産の運用・管理状況を適切に把握していない等の事案が複数発生しておりまして、投資運用業者及び受託者には様々な行為規制等が課せられておりますが、運用財産の運用・管理状況の把握ということに着目しますと、例えば、把握できる資料の入手・確認体制の確保ですとか、運用財産の適切な運用・管理のあり方といった課題があり、これをどのようにしていくのかということがひとつ課題であろうと思っております。

 28ページ目、もう一つありますのが二種ファンドでございまして、行政処分に至った事例を踏まえますと、投資家への適切な情報提供ですとか、審査やモニタリングに関する問題ということで、下に主な論点を載せさせていただいております。ソーシャルレンディングを含む事業型ファンドについて、投資運用業の適用対象外となっておりますが、性質に応じた制度としてはどのようなものが適当かということで、受託者責任のあり方ですとか情報提供等について論点として記載しております。

 それからインターネットを利用した募集ということでいいますと、インターネット上で申込みが完結する業務には業務管理体制の整備に関するルールが上乗せされていますが、同様の形態で勧誘を行うソーシャルレンディング等に関するルールのあり方についてどのように考えるかという問題がございます。

 30ページ、31ページについては、冒頭問題意識と課題として御説明させていただきましたが、右側の課題の部分が本日討議をお願いしたい事項になっておりまして、もう一度振り返らせていただきますと、総論としての1.顧客本位の業務運営の確保で、制度的な枠組みのあり方についてどのように考えるかについて御議論いただければと思います。

 それから、2.適切な販売勧誘・助言、顧客への情報提供の充実ということで、販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化ということで、コンサルティング・アドバイスの重視や預かり資産残高に連動した手数料でのサービス提供の動きがあるなかでの諸外国の制度も踏まえた制度整備の必要性等についてということがございます。

 それから第一種金融商品取引業者等が投資助言業務を行うための環境整備で、多様な主体が適切なサービスするためにどのような環境整備が必要かということがございます。

 それからプロダクトガバナンスにつきまして、海外の動向も踏まえつつ、資産運用会社などによるプロダクトガバナンスの確保の取組、それから資産運用会社自身のガバナンスの構築の促進ということがございます。

 それから、投資運用業者の不正事案を踏まえた投資運用業者等についての運用財産の運用・管理のあり方、それから二種ファンドにつきましては、募集・運用の適切性を確保するためのルールの見直しについて本日は御議論いただけますと幸いでございます。

 私からの説明は以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、今の御説明を踏まえて皆様方から御質問、御意見をいただければと思います。討議事項として、資料の最後30ページと31ページにまとめてありまして、適宜御参照いただければと思います。

 また、いつものことで恐縮ですけれども、まず委員の皆様方から御質問、御意見を出していただき、その後でオブザーバーの皆様方からもし御発言があれば承る機会を設けたいと思います。

 また、多くの委員の皆様方に御発言いただく機会を確保する観点から、御発言のお時間としては、いつものことで大変恐縮ですけれども、1回あたり5分程度を目安にしていただければと思います。

 それでは、冒頭事務局から御説明あったと思いますけれども、チャット欄に御発言いただける方は全員宛てに入れていただければありがたく存じます。

 今、チャット欄にいただきました。ありがとうございます。松本委員、どうぞお願いいたします。

【松本委員】 
 御説明ありがとうございます。私からはプロダクトガバナンスについてコメントさせていただきたいと思います。

 今回、顧客ニーズに即した商品が提供できていないという課題について考える際に、やはりその課題が起こる根本的な原因は何かに着目する必要があると思います。例えば金融機関の中における組織や人材における課題に着目すると、例えば顧客ニーズの発掘スキルが備わっていないといったスキルの欠如や、本来金融機関が果たすべき役割をイメージできていないといったビジョンの欠如の問題があると思います。また、意思決定構造にも問題があると思います。例えば現場で顧客ニーズを把握していても、現場に裁量がなくて、トップダウンで戦略が決まってしまう構造などが課題になり得ます。また、さらに、例えば売上げといった定量評価が過剰に重視されるような社内文化や、評価制度、それに伴う現場のインセンティブの欠如、例えば短期的なものが重視されて、中長期的な観点で顧客に価値を提供するインセンティブが感じられない状況になっていないかも重要でしょう。

 こうした個別の要素が、顧客ニーズに即した商品が提供できてないという大きな課題の根本原因であろうと私は思っており、やはり大上段の顧客ニーズに即したものを提供するということを目指すのであれば、こういったブレークダウンしたそれぞれの要素にちゃんと着目して一つ一つ解決していくことが重要だろうと考えております。

 私からは以上となります。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、多くの方からチャットをいただいておりまして、有吉委員、どうぞお願いいたします。

【有吉委員】 
 有吉でございます。私からは、既に過去の回でコメントさせていただいたことの繰り返しになる点もあろうかと思いますが、課題として事務局説明資料に挙げられております各項目についてコメントさせていただきたいと思います。

 まず証券会社の助言サービスの関連でございますが、この点、過去の回でも申し上げましたとおり、証券会社が適切な形で顧客への助言であるとか投資情報の提供サービスを行うことは促進していくべきものと思います。

 事務局説明資料にもありますとおり、実務上、証券会社による助言サービスは無償であるという整理を前提に、投資助言・代理業に該当しないと整理をしていることが多いものと理解しております。ただ、サービスやビジネスモデル、あるいは手数料体系の多様化が進んでいる状況の中でどこまでの業務が無償と整理できるかというのは実務的に非常に不明確になっていると考えておりまして、イノベーションの阻害要因にもなっているのではないかと感じております。

 他方で、規制が適用されていないからといって証券会社が不適切な行為をしているということではないと思いますが、ただ、そういった助言サービスに善管注意義務であるとか、あるいは利益相反管理に関するルールが適用されないというのは少しアンバランスな状況にあるのではないかとも思っております。

 そういった意味で、事務局説明資料の12ページにあるような、形式的になじまない規制について適用関係を整理するということは必要だと思いますし、11ページに示されておりますようなアメリカ型か、EU型か、どちらがよいのかということについて定見はございませんが、結論としては、善管注意義務などの適用を前提に証券会社が柔軟に助言サービスを行うことができるような規制体系を整備すべきであると考えます。

 ただ、そのような制度設計をするにあたっては、助言と販売勧誘の範疇の中での情報提供というものの境界が必ずしも明確ではないことから、証券会社の通常の販売勧誘業務を過度に萎縮させることにならないようにすることに留意する必要があると思います。また、証券会社以外の多様な業態の金融関連業者が無償ということで提供している助言サービスについて変な波及効果が生じないようにするという観点も十分留意していただきたいと思います。制度設計が非常に難しい課題だと思いますが、うまく検討いただきたいというのが1点目でございます。

 2点目にプロダクトガバナンスの関連でございますが、先ほど事務局から丁寧な御説明があったところだとは思いますが、プロダクトガバナンスというのが何を意味するのか、顧客に配慮した商品組成を求めるということなのだろうとは思いますけれども、意味が分かるような、分からないような、そのような用語であると感じております。この言葉を使ってはいけないとか、あるいは厳密に定義することが必要だというわけではないのですが、この言葉だけが独り歩きしてしまうと理解が進まないとも思いますので、プロダクトガバナンスということに関して、具体的に何が求められるのかは明確になるよう、制度の立案を進めていただきたいと思います。

 それから、投資運用業者等の受託者責任の項目の関連でございます。まず、投資運用業者自体に対しては、資料でも示されているように、不適切事案に類似する事案が再発しないよう、当局であるとか自主規制機関による監督を通じて業態全体のコンプライアンスの強化を図るということは必須だと思いますし、特に投資運用先の状況を把握することなどに関して、体制整備や行為規制の具体的なルールを定めていくことも検討されるべきなのではないかと思います。

 一方で、受託者の側に求められる対応については、モニタリング等の規制強化に要するコストの増加という観点にもやはり十分に配慮する必要があると思います。もしお示しになっているような行政処分の事例というのが氷山の一角で、行政処分にまでは至らないとしても、投資運用業者という業態として不適切な事例が実は多く見られているのだということであれば、受託者のモニタリングを強化する方向での規制の見直しも十分あり得ると思います。

 ただ、そうではなくて、行政処分に至った不適切事例というのが一部の悪質な業者の問題にすぎないのであれば、仮に受託者による監督を強化する方向で規制を考えるとしても、例えば投資運用業者と最初に取引をする段階で体制整備のデューディリジェンスを行うとか、あるいは、特に不祥事、不適切な事例が生じやすい運用手法を取る場合など、一定の場面に限ってモニタリングを求めるとか、こういった限定された形での規制の強化という対応にとどめるべきではないかと感じます。

 それから、最後にソーシャルレンディングの関連でございます。ソーシャルレンディングと呼ばれるスキームの中でも、特に不動産とか、再生可能エネルギー施設とか、こういったものへの投資を目的とするスキームについては、行政処分にまで至ってしまった不祥事例というのも複数出ているところでございます。また、クラウドファンディングの特有の要素である共感とか、応援といった要素が希薄なタイプの投資スキームではないかと思います。つまり、純粋に投資目的で資金が出されるというスキームであると思いますので、投資者保護的な観点を緩める合理性というのは高くない投資スキームではないかと感じます。

 したがいまして、少なくても他のクラウドファンディングの類型と同様に、電子募集取扱業務に対する行為規制は適用される形に改めることが必要であると思いますし、場合によっては販売勧誘の場面だけではなくて、期間中のファンドの運営に対しても、運営者なのか、販売業者なのか分かりませんが、受託者責任を求めるような規制を適用するということもしっかり検討していくべきではないかと感じます。

 私からは以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に、神作委員、どうぞお願いいたします。

【神作委員】 
 どうもありがとうございます。神作でございます。初めに、投資助言業の定義と投資助言業者に対する規制のあり方について申し上げます。

 日本法は、事務局説明資料にもございましたように、米国法と同様に有価証券に係る投資助言・推奨を行い、かつ、当該サービスに対する報酬を受け取るということを要件としています。

 しかし、投資助言・推奨を行うという実態は、手数料の支払いの有無には関わりがないと考えられますので、同一の機能、リスクには同一のルールを適用すべきであるという考え方からすると、手数料の支払の有無で規制が異なるということは問題になると思われます。

 日本法の下では、投資助言業者には、誠実公正義務に加え、善管注意義務と忠実義務が課されており、鍵括弧のつかない正真正銘のフィデューシャリーであると言えます。

 これに対し、第一種金融商品取引業者等には、善管注意義務、忠実義務は課されておりませんけれども、第一種金融商品取引業者等の業務の重要性に鑑み、誠実公正義務が一般的に課されているほか、ルールベースでも顧客への金融商品の販売・勧誘の局面では、説明義務や適合性原則を課されています。

 したがって、顧客の個々の投資判断のプロセスという観点から見れば両者の規制上の相違点はそれほど大きくないとも言えるのかもしれません。

 しかし、例えば投資助言業者の負うフィデューシャリー・デューティーは、顧客との関係全体について継続的に適用されるのに対し、例えばアフターフォローの義務のようなものも含めて、継続的、関係全体について適用されるのに対し、第一種金融商品取引業者等の義務は、顧客に対し、助言・推奨を行う時点においてのみ適用されるにすぎないといった違いが生じ得ると考えられます。

 また、手数料に着目すると、手数料の収受を投資助言業の要件とする法制の下では、手数料についての様々な創意工夫を妨げる誘因を与えるという弊害があるように思われます。

 米国では一般に個々の取引ごとにコミッションを課す方式が通常の証券業務の提供に係る対価の徴収方法であるのに対して、資産残高に応じてフィーを徴収するという方式は投資助言サービスの対価の一般的な徴収方法であると言われておりますけれども、手数料が助言への対価を含むと判断されるかどうかの基準は必ずしも明確ではなく、やや透明性に欠けるように思われます。

 そのように必ずしも明確とはいえない基準に基づいて判断される手数料の取り方によって適用される規制が変わってくるということになると、先ほど述べたように、同一の機能、リスクに対し同一のルールを適用するという原則に反するだけではなく、規制をにらんだ手数料体系の設定を行うようになり、裏から言うと、自由で柔軟な手数料の設定に対する事実上の障害になり得るように思われます。

 以上から、将来的には、EU法のように、手数料の収受を問わず、投資助言業を定義するとともに、顧客だけから報酬を受領する場合には、上乗せ規制を検討し、階層的な規制構造にするということも検討の対象にすべきであるように思われます。

 その場合には、利益相反規制ですとか開示規制を含む行為規制はできる限り平準化する一方、監督法的・取締法的な観点からの規制は合理化したり簡素化したりすることが課題になると思われます。

 特に顧客に対して直接的な影響が少ない監督法・取締法的な観点からの規制、例えば投資助言業規制における金融商品の価値等の分析に基づく投資判断を行う者の申請ですとか届出義務等の義務等については、合理化、簡素化の余地があり得るように思われます。

 さらに顧客だけから報酬を受領する場合には、まさに鍵括弧のない正真正銘のフィデューシャリーとしての独立報酬助言業者にふさわしい、上乗せされた業者ルールとは何かということを選別していく作業が必要と思われます。

 あわせて、投資助言や推奨の領域、また、後の論点にもつながりますけれども、投資運用ですとかカストディの領域では、顧客自身による民事的な救済が重要になると考えられます。顧客の利益を直接的に保護する規定の違反に対しては、民事救済の道を開き、その救済を得やすくするような工夫をすることによって、私人を通じた法の実現がかなり実効的に図られるようになると考えられるからです。

 顧客には民事救済を求める強いインセンティブがあり、私人による民事救済を通じて、金商法の趣旨・目的を実現し、他方、民事救済の実効性は、先ほど述べた監督法・取締法的な観点からの規制についての合理化、簡素化の程度に反比例する形で影響を与え得ると思われます。

 第2に、プロダクトガバナンスについて一言だけ申し上げさせていただきます。プロダクトガバナンスにおいては、組成する商品が設定している顧客層の設定、そして実際に販売した顧客が当該商品について適合性を有していたかということについての審査が大変重要になると思われます。

 顧客の類型化については、将来的にはさらに細分化し、具体化していくということが必要であると思われます。現在、やや抽象的と申しますか、一般的な類型化が行われていると思いますけれども、この点については将来的な課題になると考えます。

 以上でございます。どうもありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に、佐々木委員、どうぞお願いいたします。

【佐々木委員】 
 ありがとうございます。御説明どうもありがとうございました。私からは、意見2つと質問1つ申し上げたいと思います。

 1つ目の意見は、投資助言業について、今回は出てきておりませんが、今まで金融リテラシーについての話も随分出てきておりますが、実際、私は、金融リテラシーをつけたらどれだけ投資ができるのかなというところに若干疑問を持っています。やはり普通はすごい詳しくならない限りいろいろな投資とかができるようになるところまでなかなかいかず、その時間をかけるのが大変だから投資をしないというような人も多いのではないかと思っています。

 そういう意味でいうと、投資助言業というのが安心して利用できるものというのがあるというのは非常に重要なことではないかと思っています。

 例えば、かつてはよく分からない場合、少額、大した金額でなければ郵便局に預けて、あとは運用していただければいいとか、そういうような感じが昔はあったのかなと思いますが、やはり安心して顧客がどこに助言を求めたらいいかというのが分かる、また、助言に対価を払って、それによって適切なアドバイスを得られるというような環境整備が非常に重要なのではないかと思っております。リテラシーを高めるということも重要かもしれないですけど、それとともにそういった環境整備が重要だなと今日も思ってお伺いしました。

 2つ目の意見について、ソーシャルレンディングに関してですが、FinTechが進んできて、決済だけではなく、信用分野にいろんな形で進出してきています。現状としては、資産価格の暴落、特に地価の暴落などをここ10年ぐらい経験していませんので、ソーシャルレンディング等が発展する中で、顧客によっては、これまで暴落したことがありませんとか、今までの運用実績はこんなふうですとかという例を聞いて非常に軽い気持ちで投資している人もいるのではないかとちょっと懸念しています。

 特に資産暴落、地価の暴落などあったときに、住宅関係のソーシャルレンディングなどについては、例えばそのときになって初めて解約できないなどの問題に気がつくとか、そういった問題が出てくるのではないかと私も心配だと思っておりまして、そういった意味でルールの見直しというのは重要かと思います。

 ルールの見直しも重要ですが、この機会に質問したいのが、ソーシャルレンディング等に対するモニタリングや監督がどのようになっているかということです。今日も御参加かと思いますが、第二種金融商品取引業協会としても自主規制されているとは思いますが、実際立入りというと、現在、非常に小さいところも増えて、500社ぐらい二種業者があると思いますが、そういったところに対して、例えば自主規制が効いているのかどうかとか、どこがどういった形で関わって監督あるいはモニタリングされているのかというのをこの機会にお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。最後の質問の点、いかがですか。

【島崎市場課長】 
 準備ができているようでしたら当庁から御回答させていただきますがいかがでしょうか。今すぐ回答が難しければ、少し時間をおいて回答させていただきます。監督部局で回答をお願いしたいと思っていますけれども、可能でしょうか。

【青木オブザーバー】 
 第二種金融商品取引業協会でございます。

【神田座長】 
 どうぞ。

【青木オブザーバー】 
 私どもで、自主規制規則の策定、立入りを含めた監査、それから研修等を実施しております。

 立入りに関しましては、先ほどお話ありましたように、事業者数が600社ほどございますが、ソーシャルレンディングを行っている事業者の数は多くはなく、そうしたところを中心に監査を行っております。

 ルールにつきましても、研修等を通じて徹底を図っているところでございます。

【神田座長】 
 ありがとうございました。

【八木監督局証券課長】 
 モニタリングにつきましては、委員のおっしゃるとおり、二種業の会社自体は数が多く、全社に網羅的に一定のモニタリングをするというのはリソース的にも難しいところがございますので、例えば苦情の状況ですとか、取引の内容ですとか、そのような様々な情報を基にリスクベースでモニタリングをしております。また、必要に応じて、監督や検査につきましても、そのような様々な情報を踏まえて、実施しているところでございます。

【佐々木委員】 
 すいません。そういった問題があるかどうかというのはどうやって吸い上げるのでしょうか。

【八木監督局証券課長】 
 例えば、苦情の状況ですとか、事業報告書の内容ですとか、そういった様々な情報を基に、よりリスクが高いところを重点的にモニタリングすることとしております。

【佐々木委員】 
 具体的に、500社、600社かと思いますが、そのうち、年間にどれくらいのところを重点的にモニタリングされているのですか。

【八木監督局証券課長】 
 具体的な数は手元では持ち合わせておりません。

【佐々木委員】 
 分かりました。すいません。では、結構です。簡単には事前説明のときも質問いたしましたが、ここまでは聞いておりませんでした。第二種金融商品取引業協会とかの立入りまでされているのは10社とか20社ぐらいというのは、事業報告にも書いてありましたので、そのようなオーダーなのか、それともそうではないのか、私は全くイメージがないので、お伺いいたしました。

【八木監督局証券課長】 
 検査の数は確認をして、後ほどお伝えさせていただきます。

【佐々木委員】 
 分かりました。今じゃなくて結構です。どうもありがとうございました。

【神田座長】 
 それでは、佐々木委員、よろしゅうございますでしょうか。

【佐々木委員】 
 大丈夫です。ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に、チャットの順番ですと、森下委員、福田委員になるのですけども、森下委員もそうかと思いますが、今日途中退席と伺っている武田委員もいらっしゃっていて、もし差し支えなければ武田委員に御意見があれば手短に述べていただいて、その後に森下委員にお願いできればと思いますけれども、武田委員、いかがでしょうか。

【武田委員】 
 では、先に失礼いたします。本日は大変丁寧にまとめて整理いただいて、ありがとうございました。全般として資料で述べられている課題認識については私も共感するところでございます。

 特にプロダクトガバナンスに関しまして、顧客のニーズに沿った金融商品組成、適切な情報提供、強化の確保について、20ページに整理いただいている課題に対してぜひ改善していければと考えております。

 ただ、本日御説明いただいたテーマについて、今後、どのような方法で実効性を持たせていけるのかということも重要ではないかと思っております。

 6ページには、プリンシプルベースで進めてきたものについて、制度的枠組みの検討との文言もございますけれども、本日の資料で述べられている様々な課題、あるいは問題提起に関して、プリンシプルベースで改善するべきもの、プリンシプルベースからルールベースへ変えていくもの、あるいは法改正を必要とするものがあるように思うのですが、それぞれどういったアプローチが適切なのかということについても整理いただく必要があると考えております。

 また、19ページに資産運用高度化のプログレスレポートを御紹介いただいており、そこでは4つの分類に整理されております。業務運営体制のうちの1つとしてプロダクトガバナンスの強化が位置づけられているわけでございますけれども、恐らく本質は、業務運営体制の1つ下にも書いてあります、必要な高度な知識等を兼ね備えた人材の育成、あるいは、左側に書いてあります経営体制にあると思います。これは一例ですけれども、親会社の人材中心の取締役会の構成の見直しは、4つの分類の業務運営体制の中の①がプロダクトガバナンスと書かれてはいるのですが、真にプロダクトガバナンスを強化・浸透させていくためには、他の3分類に書かれていることとも一体で進めていくことによって実効性を担保できるのではないかと考えますので、その点もぜひ御考慮いただければと考えます。

 以上です。先にありがとうございました。

【神田座長】 
 ありがとうございました。それでは、森下委員、お待たせして申し訳ございません。よろしくお願いします。

【森下委員】 
 ありがとうございました。まず助言と推奨について申し上げたいと思います。この点に関しては、事業者の側として、例えば自分たちは助言を行っている、推奨を行っている、勧誘を行っていると、いろいろな区別なり考え方というのはあると思うのですけれども、顧客の側の理解や期待という点が重要であるように思っております。

 やはり問題なのは、顧客の側が理解して期待したサービスが提供できないという点が一番問題であると考えています。先ほどアメリカのベストインタレスト規則のお話がありましたけれども、そういったベストインタレスト規則が導入されるようになっていった背景にも、投資アドバイザーとブローカー・ディーラーのサービスがいろいろと展開していく中で、両者の区別が顧客の側から見てはっきりしなくなっており、誰がどの程度の義務を負うのかがはっきりしなくなってきたというふうな事情があったと理解をしております。

 そうした観点からしますと、金融商品取引業者が行っている推奨や勧誘が実態として助言というようなものと似ているですとか、普通の投資家から見て区別がしにくい、同じような期待を顧客に与えるということであれば、同じような義務を負うような形で整理をするというのが適切であると思います。

 手数料の有無については、先ほど神作委員からお話がありましたけれども、私も手数料の有無が目的ではなく、何が約束されていたのかということのほうが重要であると思います。仮にお金をもらうという形で約束をしていなかったとしても、実際に顧客に対して推奨や勧誘あるいは助言に相当するようなことをしたのであれば、そういった行為をするということによってその義務を引き受けていると考えることができると思いますので、手数料の有無で一律に分けてしまうということはあまり適切ではないのではないかと思います。私法上もそのような考え方ができるのではないのかなと理解しております。

 あと、情報提供に関連してですけれども、重要情報シートというものはやはり重要な役割を果たすとは思うのですけれども、1点だけ、この機会になのですけれども、重要情報シートでは主に商品についての情報を提供すると思うのですけれども、フィデューシャリーですとかベストインタレストを果たそうと思えば、事業者が顧客をどう理解しているかというような情報ということが本当は重要で、我が社はお客さんのことをこういうふうに理解していますよ、だからこの製品を提供するんですよというような部分が記録に残っていくというようなことがあってもいいのかなと考えております。

 最後にプロダクトガバナンスについてです。資料の20ページで、取組例、そして課題が示されました。私は投資信託との関係で結構難しいと思いますのは、やはり販売会社と運用会社の関係で、専ら直接顧客と接しているのが販売会社であるという点をどう考えるか、どう対応していくかという点だと思っております。

 例えば20ページの課題というところで挙げていただいているものですけれども、顧客ニーズに即していないファンドの提供を行うですとか、想定顧客について定型的な記載が多く見られ十分に特定されていないというところも、プロフェッショナルである販売会社がしっかりと機能していれば、そこが直ちに大きな問題を顧客との関係で発生させるのかというのはよく分からないところです。投資信託に限らず、いろいろな金融商品がマーケットにあるところ、それぞれの商品に合った人とかニーズというものがあるはずであって、そこを見分けてしっかりと販売をしていくということがもし機能していないのだとすると、どのように運用会社の方で品ぞろえを考えたとしても、やはりニーズと商品のミスマッチということが起きてくるのかなと思います。

 この点に関して、資料の21ページでは、欧州の例として、運用会社と販売会社の連携、一体として顧客に対して責任を負うという観点からの工夫だと思うのですけれども、そういった連携についての例が述べられております。

 運用会社が販売会社をモニタリングするということだと思いますけれども、これが実際にどのように運用されていて、どこまで効果的なのかというのは興味深いところであります。実際に、例えば販売会社が運用会社にどのようなレベルの報告をするのか、どのような頻度で報告をするのか、仮に運用会社が想定しないような販売を販売業者がしていた場合には何が発生するのかというあたりを、もう少し、私が自分で調べればよかったのかもしれませんけれども、研究することによって、運用会社と販売会社との間の連携ですとか役割分担という、投資信託商品の適切な販売を考える上での重要なポイントをより良いものにしていくことができるのではないかと感じております。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に福田委員、どうぞお願いいたします。

【福田委員】 
 ありがとうございます。皆さんから多様な意見を伺いまして、私もそのとおりだとは思います。手数料をもらっているかどうかによって区別すべきかどうかという観点からすれば、プリンシプルとすればあんまり区別しないで、いろんな顧客の利益になるにはどうすればいいかという観点から判断すべきだという原則というのは大事なのだろうとは思います。

 ただ、それをルールでも同一視するというのは、多様な業務を阻むという点は気になるところで、やっぱりルール的にがちがちに似たような形で縛るというのはどうなのかなとは思います。

 具体的に言うと、投資助言に関して手数料をもらう会社ともらわない会社ではおのずと収入の源泉が違うということだと思います。例えばA証券会社が自分の顧客に対して無償で助言をする理由というのは、本来助言をしているわけだから手数料をもらうのが自然だけれども、その代わりに、自分の自社の会社の商品を買ってもらうことによる販売手数料という対価があるために無償で行っているという面があります。

 逆に独立系の助言会社というのは別に自社の商品を販売するわけではないわけですので、そういう意味ではおのずとやり方が違ってくるということはあるのだろうとは思います。そういう意味では、独立系の助言会社が特定の業者のものばかりを推奨するということになれば、これは好ましくないということにはなると思います。

 一方、A証券会社が、助言ではあるけど、他社の商品を推奨しないからといってこれはけしからんという話にはやっぱりならないのだろうとは思います。

 あと、自社の商品を推奨する場合、これが勧誘なのか、助言なのかの区別というのもなかなか難しいところがあって、例えばお客さんが来たときに、こういう商品が出ましたけれども、いかがですかと言ったときに、これは助言なのか、勧誘なのかというのはなかなか区別のつきにくいところはあって、そこら辺はなかなかグレーゾーンというのはあるのだろうとは思います。

 その際、もう一つの論点としては、手数料があるかないかということも1つの基準ですが、手数料が高いか低いかということによっても違いがあるのかということは、ひとつ私自身は興味深いことで、そこら辺はどうすればいいかというのは、私もちょっと判断はしにくいところではあります。

 特に最近は、今日はあまり議論には出ていなかったですけども、ロボアドバイザー業務の会社というのは非常にシェアを高めているわけです。彼らはそういう意味ではAIを使って運用していますので、比較的手数料は安いとは思いますけれども、そういった会社にどういうルールを適用するのか。情報開示とか、あるいは説明責任のあり方というのは通常の対面でやるような助言会社とはおのずと違って、ネット上でいろんなことを説明するので、説明の仕方はかなり違ってきているということになります。そういう意味では、多様な助言業者がいる中で、プリンシプルとしては共通の規定、ただしルールとしては柔軟な運用というのが望ましいのではないかなとは思います。

 あと、今は業者の多様性という話をしましたけれども、顧客のほうも非常に多様な顧客というのが事実上存在しています。かなりプロに近いお客さんから金融リテラシーが非常に低い顧客というものもいるわけで、そういう意味ではおのずとガバナンスのありよう、あるいは情報提供のあり方というのも異なってくるのだろうと思います。リテラシーのある顧客であれば、情報提供さえきちっとされていれば、本人がその情報を理解してきちっと投資を判断できると思います。けれども、一般の顧客というのはそういう意味でのリテラシーというのはそこまでないとは思いますので、投資運用業者なり、あるいは助言業者のガバナンスやモニタリングというのを強化していく必要があると思います。どういうお客さんが対象なのかということによってのその大小というのは違ってくるのだろうとは思います。

 また、運用会社と販売会社の知識という話も少し出ていましたけれども、販売会社が販売手数料を取っているわけですけれども、その会社がどういう会社なのかというのは、私も含めて一般の投資家というのは分からないわけです。一方、運用会社の人は非常に豊富な知識を持っています。そういう意味では、運用会社を活用することで販売会社に対して重層構造的なガバナンスというものも働いているのだろうと思います。

 以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に野村委員、どうぞお願いいたします。

【野村委員】 
 野村でございます。どうもありがとうございます。私からは主に討議事項の2について、また、3についても少しコメントさせていただければと思います。

 第一種金融商品取引業者の個人向け投資サービスにおいて、コンサルティングやアドバイスが中心になっていくというのは、そのようなニーズが世の中にあり、それに対応しようとする取組が進んでいるということで、本日御紹介があったように、もしこれをめぐり何か難しい問題が生じているとすると、それは金融商品取引業の定義というか規定の内容が世の中の実態に合わなくなっているという問題だろうと思います。

 それに対して、報酬の形態、すなわちその都度なのか、それとも残高連動のような継続的なものなのかというのは、サービスの内容や、提供の形態と整合的であるべきだとは思いますけれども、業務の規定というか、内容、定義のような話とは本来的には別の話なのかなと思うところがございます。

 その上で、業の定義の話ということですが、これをきちんと、現在の状況に合わなくなっているので合わせていくという取組は非常に有意義だと思います。

 もちろん顧客本位業務運営原則により、第一種金融商品取引業者も含めて、実質的に顧客に対していろいろと求められるところがございまして、その中には顧客の最善の利益を追求する、あるいは利益相反の適切な管理を行うといったものも求められておりますので、討議事項の1番の問いかけにも関わると思いますけれども、プリンシプルベースについて見ればかなりの対応が進められてきているのかなとも思います。

 ただ、プリンシプルだけではコンサルティングやアドバイスが真に本格化していくという中では弱いのではないか、つまり、定義のようなものも見直していくべきではないかという考え方も十分理解できます。

 そうなりますと、どう見直すのかという話になりまして、資料のほうにも非常に分かりやすく整理してくださっているのですけれども、1つの方法としては、第一種業者の規定の内容、業務の内容を修正することだと思います。顧客のニーズに対応してサービス内容が変化していくわけですから、その規定がある意味陳腐化しているというのであれば、それを直していくということだと思います。

 もう一つが、投資助言業者としての登録を求めていくということでして、同時に投資助言のほうの規制を見直していく、合理化していくということになろうかと思います。

 これは実務上のフィージビリティーという観点が非常に、極めて重要だと思います。少なくとも12ページに挙げていただいたようなことの問題は解消していく必要があると思いますし、第一種業者の中に助言を適切に位置づけて、十分に利益相反が管理できるのだというような形にしていくのも一案だと思います。米国にはレップ・アズ・アドバイザーというやり方もあると聞いておりまして、例えばですが、そういったものも参考になるかもしれません。

 討議事項の3のほうですけれども、金融業界は目下、ファイナンシャルリターンとソーシャルリターンの関係をどう考えるかといったような、価値観といいますか、枠組みの大幅な転換点に置かれていると言っても過言ではないと思います。資産運用業界はこれをリードしていく、そういった存在になることも求められているのではないかと思っております。

 イノベーションには試行錯誤がつきものでして、だからこそプロダクトガバナンスが大事だという、そういう問いかけなのかなとも思いますけれども、あまり厳格化し過ぎて、結果的にイノベーションの取組が萎縮してしまうようなことはないようにしなければならないと思います。その観点からは、プリンシプルベースのほうがなじむ可能性もあるのかなと思うところです。

 いずれにしましても、顧客本位業務運営原則のほうで、商品の組成者についても前のワーキングの議論も踏まえ改訂があり、まだそこの改訂からは日が浅いような印象もございまして、その取組の十分な浸透を期待するという考え方もあるのかなと思います。

 私からは以上です。どうもありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に、松尾委員、どうぞお願いいたします。

【松尾委員】 
 ありがとうございます。松尾です。よろしくお願いします。私からは顧客への販売勧誘と助言についてまず申し上げます。

 私の理解しているところでは、少なくとも日本の証券会社の営業というのは外国でいうところの投資推奨にあたることは行っていたと考えております。それについては手数料を取っていないという整理で助言業の規制はかからないという整理だったのかと思いますけれども、やはりこれは顧客からしますと、単に注文の執行をするだけでしたら、手数料の安いオンラインですとか、そういうところを選べる中で、あえて対面と手数料の高いほうを選ぶということは、そこに投資推奨等のサービスが付加しているからだと考えているのではないかと思います。

 そうすると、顧客からすると投資推奨に対する対価を払っているという意識があるのではないかと思いますし、さらにそこに残高連動というような形の手数料の取り方が入ってきて、個々の注文の執行と手数料の徴収が切り離されてきておりますので、投資推奨については手数料を取ってないという整理が実態には合わなくなっている、そのことが顕著になっているということかと理解しております。

 そのような観点からしますと、諸外国の例を見ると、少なくともここには忠実義務ですとか善管注意義務というような法令上の義務を課すということを十分に検討する余地があるように思います。

 もっとも現在の販売勧誘のルールですとか、あるいは利益相反の管理については、自主規制も含めますとかなり詳細なところまでルールが定められているかと思いますので、仮に忠実義務、善管注意義務というようなことを定めるとしても、大きく今の営業の仕方、勧誘の仕方に変更を迫るということはないのではないかと思います。

 それでもなおやはり顧客本位の業務運営ということについて、忠実義務や善管注意義務という形で法令上の根拠が与えられるということには大きな意義があるのではないかと思いますし、特に顧客が私法上の救済を求める際には、これらの義務が法令、金商法本体に定められているということには大きな意義があるように思います。

 他方で、資料の12ページでお示しいただいたような現在の助言業に対する規制の中で負担になると指摘されているようなものにつきましては、規制の目的に照らして規制の内容が合理的なものになっているかということを、助言業としてくくられるものの中にもかなり段階的にいろいろなものがあるということを踏まえて、規制の目的の観点から検証し直す必要があるのではないかと感じました。

 次にプロダクトガバナンスについては、これは重要情報シートの記載事項で仕組債との関係でも以前申し上げたことですけれども、やはり手数料に関する情報提供というのが非常に重要であろうかと考えております。特に販売者が徴収する手数料に加えて、商品の組成をする人が受け取る手数料、報酬についても顧客に分かりやすく開示するということがよい商品が組成されていく上で非常に重要なことであろうと考えております。

 また、顧客のニーズに適した商品の設計、組成ということに関しても、既にこれも具体的にこのワーキング・グループで指摘されたことですが、レバレッジのかかったインデックス連動のETFのところでも見られたように、そもそもどういうニーズに適合した商品なのかということが説明しにくいというような商品が現れているように思います。それでも買ってくれる人がいるからいいのだという整理をするのか、もう少し事前の段階で、例えば上場商品でしたら取引所が審査するというような形で組成の面で何か関与できないのかなというようなことを感じました。

 以上です。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。今、チャットを監視委員会の油布事務局長からいただいていますので、ここで油布事務局長から御発言いただければと思います。よろしくお願いします。

【油布証券取引等監視委員会事務局長】 
 先ほど二種業の立入検査の件数、お尋ねいただきましたが、オンラインで会議に音がうまく入れず失礼しました。

 これは恐らくMRIの事案があったときだと思いますが、年によっては年間70件とか100件以上の二種業の立入検査をした時期もございましたけれども、足元は、二種業については、年に1桁台の9件ですとか、4~5件ですとか、その辺りの件数で立入検査を実施しております。対象はリスクベースで主に選んで、検査対象を絞って立入検査をしているということです。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に原田委員、どうもお待たせして申し訳ありません。よろしくお願いします。

【原田委員】 
 原田でございます。3点申し上げます。まず1点目、適切な販売勧誘・助言、情報提供の充実に関してです。これは何人もの委員の方がおっしゃっておられるように、同様の販売・助言サービスについてはルールに差は生じないようにするということは大事であります。

 また、サービスに名前をどうつけるかによって有償無償の線引きが変わるようなことがあってはいけないと考えます。

 ですので、一種業者が助言サービスを提供できるように、投資助言業務を行う際の環境整備を検討する必要があると書いていただいているのは、まさしくそのとおりで、異論はありません。

 ただ、10ページの表、すごくシンプルにまとめていただいているのですが、現実にはもっと複雑でありますので、11ページの各国比較のような形を参考にルールの整備をするという際には慎重にお願いしたいと考えます。

 一種業者等、等とありますけれども、一種業者でなくても、例えば地方銀行などでも、別会社をつくって包括的なアドバイスを中立的な立場でやりますとしているところもあります。

 ですので、関連するサービスは網羅的に、同じサービスには同じルールが適用されるような形で、ただ、あんまり締めつけになるような形ではなく、気を配っていただきたいということを要望としてお伝えをいたします。

 2点目としまして、プロダクトガバナンスについてです。運用パフォーマンスの見える化ですとか、運用パフォーマンスに限らず、プロダクトガバナンスに関連することとして、ダイバーシティーへの取組ですとか、どんどん見えるようにしていっていただくというのがよい方向なのではないかと考えます。

 事務局資料で今日御説明いただいた資料の中でも、プログレスレポート、資産運用業高度化プログレスレポートというのを取り上げていただいていますけれども、このレポートで見える化がどのくらい進んでいるのかなどを取り上げていただくというのもいいのではないかなと思っております。

 ちょっと余談ですけれども、このレポート、なかなか読み応えがありまして、いろいろな国の制度などを取り上げていただいているのですが、印象に残ったのが、韓国です。小規模ファンドの問題点というのが明確であるとされ、小規模ファンドを整理しますという政策のもと、小規模ファンド数が明らかに減っているということが示されています。規模に関係なく発生する固定費など、コストの面を考えると、小規模ファンドがたくさんあるというのは、顧客利益の優先、顧客本位の商品という観点からは望ましくないというここで、1つの取組として紹介されているものがありました。

 なかなかそこまでは踏み込めませんので、せめて見える化を進めていただくということ、これは重要な情報公開につながるはずであります。

 3点目、二種ファンド。これについてのルール策定はどう考えるかと書いていただいている論点ですけれども、ソーシャルレンディングを含む事業型のファンドは投資運用業の適用除外でありますが、適用除外になっている投資運用業ではない二種ファンドというのはかなりたくさんあるのではないかと感覚的に思うんですけれども、どのくらい多いかは分からないのですが、投資運用と類似するファンドというふうにここでは、今日の資料が書かれていますけれども、投資家から見ればそれらも投資運用ファンド、投資ファンドであるはずで、そういう意味では投資家を守るルールの策定が必要であることは間違いないですけれども、ただモニタリングのあり方一つとってもかなり難しいのではないかと思っております。

 そこで少しお願いがございまして、ルールのあり方をどう考えるかということの参考資料として、もう少し現時点での二種ファンド業界の全体像というのを示していただければと思っております。近年の情報まで含んでいる二種ファンド業界の全体像みたいなものがどこかに公開されているようでしたらお示しいただければと思います。類似の諸外国の規制などについてはあまりまだこのワーキングでもお示ししていただいていないかと思います。併せて分かるようでしたらお示しいただければと思います。

 ありがとうございます。以上です。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。最後の点についてはいかがでしょうか。

【島崎市場課長】 
 次回、御議論いただく時に備えて、材料として必要な部分を準備させていただこうと思います。ありがとうございます。

【神田座長】 
 事務局への宿題とさせていただいて、次に御議論いただく機会に御報告いただくようにしたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、チャットの順番で、次が井口委員、どうもお待たせして申し訳ありません。どうぞお願いします。

【井口委員】 
 よろしくお願いします。まず、事務局には、詳細な資料を作っていただきありがとうございました。

 本日は資料の30ページ以降の討議事項の中で、主に2の適切な販売勧誘、3の(3)の二種ファンドの募集・運用について、すでに皆様の御発言もありましたので、簡潔にコメントさせていただければと思います。なお、プロダクトガバナンスにつきましては、前回、社外取の有効性も含めて発言しておりますので、今回は発言を省略したく思います。

 最初、2の適切な販売勧誘についてですが、皆様と同様なのですが、事務局資料の11ページを拝見しますと、投資家保護の観点から、無償での助言に関し、特にリテール顧客の場合、国際比較の観点でも有償の場合の助言を拡大する形で一定のルールが必要ではないかと思います。既に実際には別のところで定めがあるとしても、改めて必要ではないかと思います。

 ただ一方、この審議会の別の議論、あるいは国策としても、他国に比して家計資産における預貯金の大きな存在から、この預貯金を投資信託、証券にどのように移管させていって経済成長につながるかという大きな課題があると思います。

 この課題解決のためには、リテール顧客等への金融リテラシーの啓蒙活動が必要になると思いますが、これが実践される大きな機会の1つというのが、リテール顧客に無償で勧誘・販売の説明をするときだと考えております。

 したがって、現状の家計資産の分布の状況を考えますと、制度設計あるいは制度の運用において勧誘の場が萎縮し過ぎない工夫が求められるのではないかと思っております。

 もう一つの3の(3)の二種ファンドの募集・運用の特にソーシャルレンディングにつきましては、前回も申し上げましたが、過去の不祥事の事例を見ますと、集められた資金が顧客に説明したとおりに行われていないということが主な不祥事の内容と理解しておりますので、当局には既に開示においてガイダンス等を出していらっしゃるとは理解しておりますが、今後とも最終投資家が投資判断を行う上で重要な事項を可能な限り開示させる制度設計が必要ではないかと考えております。

 短いですが、以上でございます。お願いいたします。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、次に、上柳委員、どうぞ。お待たせいたしました。お願いします。

【上柳委員】 
 ありがとうございます。事務局資料でいいますと30ページの2番の販売・助言の関係ですけれども、少し言葉尻を捉えるようですけれども、柔構造化という言葉はなかなか難しくて、これ、工夫をすればいい言葉なのですけれども、これが万が一にも顧客保護なり、あるいは顧客の信頼の水準を低下させることにはつながらないようにということだけ申し上げておきたいと思います。

 2の(2)の一種業者の助言サービスをもう少しきちんとといいますか、正面から位置づけようという問題意識は、重要というか、できればやったほうがいいと思いますけれども、他方、事務局資料でいうと21ページに諸外国の例を整理していただいておりますけれども、日本の分類というのは混乱しているようにも見えるわけですけれども、今までの体系の下で例えば適合性原則をそれこそ継続的契約関係がないところに適用させようと努力してきて、それが一定実務上定着してきたとか、それなりの工夫をしてきたものがあって、それなりに安定していると思われます。もちろん現在の水準に満足しているわけではなくて、特に先ほど神作委員がおっしゃった民事訴訟の役割であるとか、あるいは森下委員がおっしゃった、業者がどう顧客を理解しているかということをきちんと記録しておくということがポイントだろうという点は強く同意するところですけれども、私自身は弁護士になったいきなりのときに、投資ジャーナル事件で、本当紙切れだけでこんなお金を集めることができるのかとびっくりした思いがあるのですが、そういう過去の歴史もあるということを踏まえながらお願いしたいなと思います。理論的に整理していくということについては賛成でございます。

 プロダクトガバナンスについては、事務局資料でいいますと20ページの特に右下のところ、いわゆる想定顧客属性であるとか、あるいは公正価格についての工夫であるとか、かなりの水準を示していると思います。

 ですから、これは皆さんおっしゃったように、どのように履行していくのかということが課題だろうと思いますし、ただ、こういうふうに掲げても、失礼な言い方かも分かりませんけれども、業界のほうからは定型的な対応しかないとしたら、やっぱりもう1回欧米の、精神は同じだと思うのですが、いろいろ工夫をされている言葉なり概念を持ってこなければいけないのかなと感じております。でも、少し時期尚早ではないかと思ったりもしています。

 最後ですけれども、投資運用業、二種業についても、これも問題事例が数年前にもあります。MRIについては、いまだにアメリカの手続が続いていて、配当率もなかなか厳しいところに、弁護団、そのほかの努力にもかかわらず、なっているのですけれども、そういう例を忘れずにお願いしたいなと思います。

 問題事例があるたびに、特に協会の方々がどのように苦労されているのか、伺っているところで、多分本音のところは、それこそ会費を上げるとか、事務局を充実できれば、もっといろいろ期待に応えられるのだろうとおっしゃる気はいたしますけれども、本当に過去のことを忘れず、制度設計、あるいは履行が必要だと思います。

 以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。そうしますと、今日御参加の委員の方々、ほとんどの方から御発言いただきましたけど、あと、松岡委員、もしいらっしゃって、御意見ございましたら、承りたいと思いますけど、いかがでしょうか。

【松岡委員】 
 ありがとうございます。皆様、いろいろおっしゃっていただいたところから大きく付け加えることはございませんけれども、1つ申し上げるとするならば、諸外国の状況にも鑑みて、やはりルールや制度の整備というのも大変重要でございますけれども、それ以外のところで、関係業者の方々はもちろん、顧客も含みまして、その素地となる環境とか条件を整えるということも重要と思っております。それには発想、それから人材や組織、教育やエキスパティーズの転換、高度化、発展が図られるということが大変必要だと思っております。それによって期待されるべき役割認識や役割発揮というものが確立して、それに伴うサービスや付加価値、そしてそれにふさわしい手数料や報酬体系につながるのではないかと思っておりますので、今後とも引き続き、検討を皆様とともに重ねていければと思っております、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。これで本日御出席いただいている委員の皆様方から、今日は全員御出席いただいたのですけれども、御発言をいただきました。もしオブザーバーの方々から御発言ございましたら承りたいと思いますので、チャット欄に入れていただければと思います。今入れていただきました証券業協会、ありがとうございます。飯山オブザーバー、どうぞお願いします。

【飯山オブザーバー】 
 ありがとうございます。日本証券業協会、オブザーバーの飯山でございます。討議事項2の適切な販売勧誘・助言、顧客への情報提供の充実について、各委員の方から多くの御意見頂戴しているところではありますけれども、実務を行う立場から発言させていただければと思います。

 まず議論の前提ですけれども、デジタル化の進展等により有価証券の売買の取次ぎ・媒介、こういった役務の付加価値は低下してきています。一方で、証券会社が日常的にお客様に提供しているアドバイスやコンサルティング、こういったものの付加価値は相対的に高まっていると感じております。

 そういった中で、お客様の個別のニーズに応じた、よりきめ細やかなサービスの提供が重要になってまいります。私どもも顧客から様々な声を聞いておりまして、何か1つの答えがあるわけではないという前提で議論する必要があるのかなと考えてございます。

 討議事項2の(1)、制度の柔構造化についてまず発言させていただきます。直近、金融商品取引業者において残高連動手数料のサービスが進んできていますが、これはコンサルティングやアドバイス、こういったものを重視する動きであると理解しております。顧客とベクトルを同じくすることで、顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上、まさにこれらを具現化するサービス形態と考えられます。

 こうした流れが進む一方、日本の顧客ニーズというのは多様でもあります。諸外国の制度を踏まえて、販売・助言サービスの態様に応じて制度整備を進めるということは非常に重要ではありますけれども、併せて日本のマーケットの特性や投資家の成熟度合い、こうしたことも考慮して、市場関係者と顧客の声も聞いていただきながら、時間をかけて慎重に議論し、実務に照らしてワークする制度を構築する必要があると考えています。

 次に、2の(2)、環境整備についてでございます。現行の金商法の規律の基礎として、同じ業務・サービスには、同じルール・規律を適用するという考え方があるものと理解しています。

 一方で、第一種金融商品取引業者は、金商法や日本証券業協会の自主規制規則、こういったものにおいて既に様々な規律に服しております。また、現行の投資助言業の規律は、旧投資顧問業法から引き継がれたもので、社会的な事件を契機とした取締り色の強い規制として制定されたものと理解しています。

 これらの点も踏まえますと、同じルールや規律を適用することを前提としつつも、機械的に投資助言業の規律を上乗せすることによる規制の重複は、極力避けていただきたいと思います。

 例えば、第一種金融商品取引業者には適合性原則に基づく様々な行為規制が適用されるとともに、外務員制度に基づく投資勧誘、投資助言を行っています。また、自主規制において内部管理体制の確保が図られている、こういったこともございます。それらも考慮した環境整備をぜひお願いしたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。オブザーバーの皆様方で、ほかに御発言はございませんでしょうか。

 ありがとうございます。信託協会、どうぞお願いいたします。

【重松オブザーバー】 
 信託協会の会長会社をつとめております三井住友トラスト・ホールディングスの重松と申します。よろしくお願いいたします。

 討議事項の3の(2)で信託銀行の役割について触れていただき、それにつきまして委員の方からも御意見ございましたので、こちらからも一言ご説明申し上げたいと思います。

 投信におきましては、信託銀行を受託者として、投信委託会社様の指図に従って信託財産の管理処分、それから信託財産の計算を行ってございます。そのような枠組みにおきまして、新規の投信の受託にあたりましては、投信委託会社様が信任し得る先かということ、それから信託銀行が受託者として事務履行が可能な資産かどうか、これを受託者として信託銀行の義務を果たすべく厳格な審査のもと確認しております。そういう意味では、信任し得る投信委託会社様から適切な運用資産の受託に努めていると、そういう状況になっているところでございます。

 また、信託銀行として受託をさせていただいた後も、投信の組入資産の時価のチェックを行っているほか、純資産総額等の堅確性を担保するためのモニタリングを実施するという実務が行われているところでございます。

 投資信託が、かように資産形成手段として一般投資家に普及している中で、その運用財産が適切に運用・管理されることは私どもとしても重要と考えているところでございます。

 ただ、同時に、今御説明いたしましたところの管理手段をさらなる強化をしていくということで、追加で投信にコストが発生するというところにつきましては慎重に見極めをしていく必要があるかと考えてございます。投資家に還元される収益への影響も十分考慮する必要があるということでございます。

 現在、昨今の事案も踏まえまして、投信委託会社様のほうにおきましても高度化等の検討が行われていると思われるところでございますけれども、我々信託銀行としても、それらの結果も踏まえた上で、現行以上に堅確性の向上に資することがないか等につきまして、当局、それから投資信託協会様、投信委託会社様とも種々協議をさせていただければと思っているところでございます。

 以上でございます。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 委員の皆様方にももし追加で御発言があればぜひ承りたいと思いますけど、若干いつもより時間に余裕があるようですので、もし追加での御発言等ありましたらお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 特によろしゅうございますでしょうか。

 それでは、多少いつもよりは早いのですけれども、今日はこの辺りとさせていただければと思います。方向性としては、皆様方、今日の事務局の説明の方向に賛同いただいていると思うのですけれども、何人かの委員の方がおっしゃったように、具体的にどうしていくのかというのは非常に難しくて、概念整理も難しいし、諸外国の制度にはそれなりの歴史があってそうやってきていて、日本にもそういう歴史があるので、なかなかこれ、議論を進めていくのは難しい問題ばかりかと思いますけれども、ぜひ、今日のテーマでいいますと、助言のところは助言業を育てていくと。そして資産形成というか、国民の資産形成というのを一層推し進めていくという観点から、そしてプロダクトガバナンスと二種ファンドのところは、適正化というのですかね、を図っていくということで、今後、皆様方にさらに議論を深めていただきたいと思います。

 必要な資料等は、先ほどからも少し御指摘をいただきましたけれども、また事務局のほうで準備していただけると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 皆様方におかれましては、追加で何かお気づきの点等ございましたら、ぜひ事務局までお知らせいただきますと大変助かります。よろしくお願いいたします。

 本日いただきました御説明、御意見等を踏まえ、今後、より具体的な検討を行ってまいりたいと思います。

 それでは、最後に事務局から御連絡等ございましたらお願いいたします。

【島崎市場課長】 
 本日はありがとうございました。

 次回の日程ですとかテーマ等に関しましては、また別途御案内させていただきます。ありがとうございました。

【神田座長】 
 どうもありがとうございました。前回2周して多少皆様からお時間をいただきましたので、その分今日お返しできてうれしい気もしますけれども、予定の時間よりは少し早いのですけれども、以上をもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 
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