金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第19回) 議事録

  • 1.日時:

    令和4年6月21日(火曜)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
     

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第19回)
令和4年6月21日


【神田座長】  おはようございます。定刻になりましたので、始めさせていただきます。

 ただいまから、市場制度ワーキング・グループの第19回目の会合を開催させていただきます。皆様方には、いつも大変お忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 前回の会合でも申し上げたかと思いますけれども、本日は中間整理(案)について御議論をいただき、できれば中間整理の取りまとめをお願いしたいと思います。

 そこでまず、市場制度ワーキング・グループ、このワーキング・グループの中間整理(案)について事務局からの御説明をお願いします。島崎市場課長、よろしくお願いします。

【島崎市場課長】  よろしくお願いいたします。それでは、お手元の資料1に沿って御説明させていただきます。

 市場制度ワーキング・グループ中間整理(案)ということで、まず初めは目次となっております。これから御説明いたしますが、「はじめに」があり、それから、これまで御議論いただいてまいりました枠組みに沿いまして、Ⅰ.成長・事業再生資金の円滑な供給、Ⅱ.経済成長の成果の家計への還元促進のそれぞれの項目がございます。それからページを移りまして、Ⅲ.市場インフラの機能向上、Ⅳ.社債市場の活性化とありまして、最後に「おわりに」という構成にさせていただいております。

 それぞれのセクションも含め、「はじめに」から御説明させていただきますと、1ページ目、「はじめに」ございますが、1990年代以降、様々な環境整備が進められてきておりまして、一定の状況の進展も見られますが、他方、2つ目のパラグラフでございますが、金融・資本市場が持続的でより力強い経済成長を後押しし、家計が経済成長のもたらす大きな果実を、ニーズに沿った金融商品を選択し、適切なポートフォリオを構築することを通じて享受するための環境整備に向けた取組は道半ばと考えられます。

 例えば、国内スタートアップへの資金供給は増加しているものの、欧米と比べて規模は小さいということや、機関投資家の方々による資金提供の拡大が必要であるということ、また、家計の金融資産を見ると、リスク資産の保有額はやや増加しているものの、資産構成の変化は小さく、現預金が引き続きほぼ半分を占めているということ、というような道半ばの状況でございます。

 また、家計資産については、今後、御説明いたしますが、顧客本位の業務運営の確保や、家計自体のリテラシーの向上のための環境整備が必要であるとの指摘があり、こうした、1ページ目の一番下からですけれども、スタートアップ、非上場企業、上場企業等への円滑な成長資金の供給を通じて、持続的で力強い経済成長を実現するとともに、家計による適切な金融商品の選択やポートフォリオの構築を通じて経済成長の成果を家計に還元し、資産所得を増加させていく、すなわち「成長と分配の好循環の実現」が必要であり、その観点から、金融・資本市場に関する諸施策を進めることが求められていると記載しております。

 こうしたことを「はじめに」で述べさせていただきまして、3ページ目以降が今申し上げました問題意識について、各セクションにて記載しております。Ⅰ.成長・事業再生資金の円滑な供給でございますが、大きく分けますと目次のとおり、スタートアップ・非上場企業への成長・事業再生資金の円滑な供給と、企業の成長に資する上場等のあり方ということに分かれるかと思います。これは算用数字の1番目と2番目に分かれています。

 まずⅠ.成長・事業再生資金の円滑な供給ですが、3ページ目の後ろになりますが、(1)機関投資家による資金供給の拡大の①アセットオーナー等による資金供給の拡大ということで、欧米などとも比較いたしましても、国内の年金基金等のアセットオーナー等による資金供給は限定的で、4ページ目になりますけれども、こうしたアセットオーナー等による国内ベンチャーキャピタル等への投資の拡大に向け、専門人材の育成や運用ノウハウに関するベストプラクティスの共有などが有効と考えられると記載しております。また、国内ベンチャーキャピタルでは、公正価値で投資先のバリュエーションを行うことが推進されており、こうした取組の進展が期待されるということかと思います。

 ②投資信託への非上場株式の組み入れということで、こちらは、2番目のパラグラフになりますが、投資信託協会において非上場株式の組入れ比率のあり方や、非上場株式の評価のあり方について、適切な枠組みを整備するべきであると記載しております。

 (2)非上場株式のセカンダリー取引の円滑化(私設取引システム(PTS)による「特定投資家向け有価証券」の取扱い)でございますが、この特定投資家向け有価証券は、PTSで取り扱うことが認められておりませんが、3つ目のパラグラフのところ、日本証券業協会における制度整備なども踏まえ、非上場株式のセカンダリー取引の円滑化に向けて、PTSが協会と連携し、一般投資家が取引に参加することのないよう参加証券会社を管理する枠組みなどを構築した上で、PTSにおける「特定投資家向け有価証券」の取扱いを可能とするための具体的な制度改正について検討を進めるべきであると記載しておりまして、こちらは金融庁で制度改正について実施に向けて検討していくということでございます。

 (3)金融サービスの高度化に向けた個別課題でございますが、①地域企業の事業再生・事業承継の円滑化に向けた非上場株式の取引ということで、6ページ目になりますが、日本証券業協会の自主規制規則について、勧誘可能な非上場株式の取引の範囲を拡大するよう自主規制の見直しを行うべきであるとしております。

 ②デットファイナンスの拡充(事業全体に対する担保制度)でございますが、3つ目のパラグラフに、金融機関の実務慣行等を十分に踏まえつつ、「事業成長担保権(仮称)」について検討を行うべきであるということを記載しております。

 ③銀証ファイアーウォール規制でございますが、第二次報告での記述などを引用しているセクションの後で、末尾でございますが、こうした課題等については、スタートアップを含む中堅・中小企業の資金調達の円滑化等に資するかといった観点も踏まえつつ、引き続き検討を行っていくことが考えられるとしております。

 続きまして、Ⅰ.成長・事業再生資金の円滑な供給の2.企業の成長に資する上場等のあり方でございます。

 (1)新規公開(ⅠPO)プロセスの見直しでございますが、日本証券業協会のワーキング・グループにおいて改善策の取りまとめが行われ、今後公開価格設定プロセス等の見直しを、必要な制度的対応を行いつつ、着実に進展させる必要があると記載しております。

 それから、(2)企業特性に合わせた上場審査のあり方でございますが、8ページ目ですけれども、取引所において、第三者の企業価値評価の活用や投資家への企業特性に応じたリスク情報の開示を含め、企業特性に合わせた上場審査を実現し、より多様な企業が円滑に上場できるようにすべきであると記載しております。

 (3)上場手法等の多様化につきましては、①ダイレクトリスティングでございますが、こちらも取引所におきまして、スタートアップによる上場手法の多様化に向け、グロース市場を含めてダイレクトリスティングを利用しやすい環境を整備する必要があるとさせていただいています。

 ②合併・買収(M&A)でございますが、日本証券業協会において、M&Aを目的とする公募増資の円滑化に向けた見直しの検討が現在行われているところでございます。原則1年以内とされている資金の充当期限の緩和等を行うべきであると記載しております。

 9ページ目で③SPAC(特別買収目的会社)でございますが、こちらは米国における状況等を見ますと、制度の進展もあると思いますが、不正事例や訴訟の増加等も見られ、3つ目のパラグラフでございますが、海外の動向などについて継続して情報収集を行うとともに、我が国の市場の特性や投資家保護上の論点を踏まえながら、我が国における導入の意義や必要性を引き続き検証することが適当と考えられる。また、導入する場合の制度整備について、グローバル・スタンダードを踏まえ、参加可能な投資家を限定する等、投資家保護に十分に配慮しつつ検討を行う必要があるとしております。

 10ページ目以降は大きなセクションの2つ目でございまして、Ⅱ.経済成長の成果の家計への還元促進でございます。2つ目のパラグラフのところ、具体的には、いわゆる回転売買や、運用内容やコストが家計の資産形成ニーズに適合しない金融商品の組成・販売、手数料やリスクに関する不十分な情報提供、あるいは金融商品の運用実態やその内容の把握に問題がある事例等が指摘されていることなども含めて、現在の状況や成長の果実を享受し切れていない要因を記載しております。

 3つ目のパラグラフでございますが、経済成長の成果を家計に還元し、その安定的な資産形成につなげていくためには、経済成長の果実をより大きくしていくとともに、後ろの部分に各施策が出てまいりますが、金融商品の組成・販売・管理等の各段階における金融事業者が顧客の最善の利益のために行動するための顧客本位の業務運営の確保と、家計の金融リテラシーの向上に向けた取組を総合的に進めていくことが不可欠であるとしております。

 4つ目のパラグラフでございますが、投資判断に資する重要な情報が分かりやすく提供されることをはじめ、顧客ニーズに沿った適切な勧誘、助言を受けることが重要であると記載しております。それから、プロダクトガバナンスについて、これはこちらでかぎ括弧付きで、以下「プロダクトガバナンス」という、という形で、その意味するところを、「想定する顧客を明確にし、その利益に適う商品を組成するとともに、そうした商品が想定した顧客に必要な情報とともに提供されるよう、販売にあたる金融事業者に必要な情報提供や、これらの評価・検証等をすること」とさせていただいて、以下「プロダクトガバナンス」ということで使わせていただいているところです。プロダクトガバナンスについては、その十分な確保が必要であるとしており、また、金融リテラシーの向上についての重要性も述べております。

 11ページ目以降が、1.顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上ということで、コンサルティングやアドバイスを重視する動きの話とともに、資産形成目的の顧客に対して、デリバティブ商品を組み合わせた、複雑でコストの高い仕組債を販売するなど、顧客のニーズに適さない商品の組成や販売が行われているのではないかとの懸念が未だに指摘されている等の状況認識も示した上で、(1)販売・助言サービスの態様に応じた適切な制度の設計について記載しております。

 これは①と②の2つに分かれておりまして、①が、投資助言業の兼業に係る制度整備ということで、現在のコンサルティングやアドバイスを重視する動き、それから包括的な手数料(残高連動手数料)の話について言及しておりますが、12ページ目の中段ほど、従来、投資助言業務のみを行う事業者は比較的小規模の事業者が多いと想定される中で運用されてきたところですが、現状、大手の、あるいは証券会社などが登場する動きがありまして、証券会社等が提供する助言サービスの態様に応じ、投資助言業を兼業して、適切に「有償」の助言を行えるよう、業務の実態を点検し、これに応じた環境整備を行うことが適切であると記載しております。

 具体的にア、イ、ウ、エについて検討を進め、適切な措置を講じるべきであるということで、このア、イ、ウ、エについて適切な措置を講じるべきであるという方向性をいただいて、金融庁で具体的な制度整備をしていくということだと思っております。

 アは、投資助言業に係る登録申請・届出でございます。これは重要な使用人について、組織内部で助言業務に従事する者の状況が適切に管理されている場合には、その氏名の記載を省略することを可能とすることが考えられると記載しております。それからイについては、投資顧問契約等の契約締結前交付書面・契約締結時交付書面で、3つ目のパラグラフにございます、個々の助言に係る分析者等や助言者が事業者の記録上特定されており、かつ、顧客が必要とすればその情報が提供されることを前提に分析等や助言を行う部署の名称等の記載で代替可能とすることが考えられると記載しております。また、ウの投資顧問契約に基づく助言の内容を記載した書面でございますが、助言の内容を記載した書面で、記載すべき事項やその内容等が明確でないですとか、あとはその個々の助言の記録の事務的な負担についての御意見を踏まえて記載にあたっての留意点を明確化することや、実務上用いられている記録方法を活用して負担を軽減できるよう、録音データ等の保存による代替を可能とすることが考えられるとしています。

 エのところは投資助言業務に関する貸付け等の禁止でございまして、投資助言業者は、その行う投資助言業務に関して、顧客への貸付け、貸付けの媒介・取次ぎ・代理が禁止されております。14ページ目になりますけれども、この兼業に伴う課題へのソリューションといたしまして、第一種金融商品取引業者等が現在行っている貸付け等の実態について十分に把握した上で、必要に応じ、利益相反管理や内部管理体制の充実等を求め、これと同等の体制整備を前提に、投資助言業を行う場合についても、第一種金融商品取引業者等による貸付け等を認めることが考えられるとしております。

 ①は有償の投資助言業に関する兼業の際の業務の実態を反映した適切な措置と、制度見直しということですが、②は勧誘・助言に関する制度的枠組みの検討ということで、助言についての「有償」、「無償」によって適用されるルールが異なるということについて取り上げているセクションでございます。こちらの制度について、14ページ目のアの現状の課題の末尾にもありますが、この「有償」、「無償」によって適用されるルールが異なることで、例えばコンサルティングやアドバイスに係る柔軟なビジネスや手数料の設定を妨げている可能性の指摘や、あるいは投資者保護の観点からも同様の助言行為について事業者に求められるルールが異なりうることは好ましくないとの指摘があると、審議会でも御議論していただいてまいりました。

 イの勧誘・助言に関する制度的枠組みの今後の検討のところで、更に検討を深めるべきであるとして記載しておりますところ、今後の検討でございますが、諸外国の制度も参考にしつつ、我が国におけるビジネスの実態や金融商品の販売・勧誘に係るこれまでの実務の積み重ねにも十分配慮した上で、勧誘・助言に関する制度的枠組みについて更に検討を深めるべきであるとしております。

 (2)は金融機関によるデジタルツールも活用した顧客への情報提供の充実でございますが、①は、深度ある、より分かりやすい情報提供で、顧客本位の業務運営に関する原則にもございますが、顧客にとって分かりやすく簡潔に重要な情報を提供し、多様な商品の比較を行いやすくするということが大事でございまして、「重要情報シート」が導入されたところでございます。「重要情報シート」自体についても、定型的な記載が多く比較しにくいですとか、文字ばかりで分かりにくい等との指摘もございます。

 重要な情報を簡潔に分かりやすく提供するという、さらなる改善が期待されるとともに、デジタルツールとの関係でもこの情報提供の意味合いというのが非常に重要で、効果的に活用し、書面や書面を単に電子化した電子ドキュメントよりも、充実した情報が分かりやすく提供されるように工夫していくことが重要であると考えられるということで、取組を期待するところでございます。

 ②が情報提供のデジタル化でございまして、こちらにつきましては、デジタル・リテラシー等の顧客属性に応じた保護を図りつつ、デジタルによる情報提供を原則とする枠組みへ移行していくことについての検討が求められていることの中で、17ページ目の上でございますが、引き続き検討していく課題として記載しております。

 (3)プロダクトガバナンスと資産運用業の高度化でございますが、国内の資産運用会社等においては、顧客の最善の利益を重視した取組を始める動きが見られるところですが、課題も指摘されております。ですので、資産運用会社等に対してプロダクトガバナンスの確保を促す観点から、諸外国の制度を踏まえつつ、18ページ目にわたりますけれども、顧客の最善の利益に適った金融商品組成や手数料等の設定、それから適切な商品選択に資する想定顧客属性や費用といった商品性の情報提供、独立社外取締役等によるこれらの評価及び検証のほか、こうした枠組みを確保するための資産運用会社等自身のガバナンスの強化を図っていくため、「顧客本位の業務運営に関する原則」の見直しを検討すべきである。また、制度化についても引き続き検討を進めていく必要があるとしております。

 ②が二種ファンドの募集・運用の適切性の確保のためのルールの見直しで、こちらは、ファンドの運用内容や運用財産の管理状況の確認等が不適切な事例が発生しておりまして、18ページ目の中ほどですが、投資家被害を抑止するため、ソーシャルレンディングを含む投資・運用行為を行っている事業者等に対して、同様の行為を行うファンドと同様のルールを適用するなど、二種ファンドの業務の適切性を確保するために必要な措置を講じるべきであるということで、金融庁で制度整備に向けた具体的な検討をしていくということになります。

 アのところが、善管注意義務や忠実義務、追加的な情報提供を含めた運用行為に係る制度を整備し、それから情報提供のあり方について引き続き検討すべきであると記載しております。それからイで、インターネットで完結する募集の取扱業務にのみ適用されている情報提供等の制度がございますが、ソーシャルレンディングや、インターネットで完結する自己募集についても整備し、また実質的な貸付先に対する審査や、審査結果等の投資判断に必要な情報の投資家への提供などについて、制度の検討を行う必要があると記載しております。

 ③が投資運用業者等の受託者責任の明確化で、こちらも事案が発生していることを踏まえ、運用財産の運用・管理状況について、投資先のファンドのリスクの高さに応じて、受託者責任を負う投資運用業者や信託銀行が必要な資料を入手・確認するよう、制度面を含めた必要な見直しを行うべきであると記載しております。

 (4)はその他で、こちらは投資信託及び投資法人に関する法律において善管注意義務・忠実義務を負う投資信託委託会社が、受益者に対して任務懈怠により損害を生じさせた際に、その損害を賠償する責任を負う旨を明確化する確認的な規定が置かれています。それ以外の金融商品取引業者に関しても義務違反に対して民事法上の責任を負う旨を明確化する規定を整備する必要性について、引き続き検討する必要があると記載しております。

 2.家計の資産形成に向けた金融リテラシーの向上でございますが、20ページ目でございますけれども、こちらもこれまで様々な取組がなされてきておりまして、金融経済教育推進会議が2014年に策定した金融リテラシー・マップに基づいて、政府、金融関係団体、金融広報中央委員会において、様々な取組が進められています。

 他方、教育を受けた経験のある者が一部にとどまっている等々の課題もございまして、(1)学校における取組の支援、それから(2)職域における取組の支援については、職域において社員向けの教育を継続的に行うための支援を進めていく必要があるといったことですとか、(3)関係機関・団体の連携ということで効率的・効果的に連携を進めていくべきであるとしておりまして、その際の重点についても、21ページ目に記載させていただいております。

 22ページ目からはⅢ.市場インフラの機能向上でございまして、3番目のセクションでございます。大きく分けますと、上場株式等と、それから非上場有価証券等としていまして、上場株式等の取引プラットフォームにつきましては、(1)にありますようにPTSの売買高上限等のあり方ということで、こちらは日本市場の構造のあり方についても議論しつつ、競売買方式に係る売買高上限の緩和を引き続き検討することが考えられると記載しております。

 それから、不公正取引への対応の実効性の強化も併せて述べていまして、例えば、PTSが、自主規制機関と連携して売買審査等にあたる枠組みなどの検討も記載しておりますし、(2)においては、PTSによる取引情報の公表の義務付けについても引き続き検討すべきであると記載しております。

 2.非上場有価証券等の取引プラットフォームでございますが、こちらは非上場株式、証券トークン、外国株式といった、より多様な有価証券の流通にPTSを活用するため、投資家保護に配意しつつ、取扱商品に応じたPTS認可審査の柔軟化・迅速化等の環境整備を進めていくべきとの指摘があるということを受けて、(1)認可審査の柔軟化・迅速化等を取り組むべきであるとしております。

 それから、(2)非上場有価証券等の取扱いに関する留意点のところでございますが、適切な流通を同時に確保する観点から、こうした非上場株式や、証券トークン、外国株式等について、自主規制機関が関与するかたちで適切性を確認するなどの枠組みを構築することが考えられると記載しております。

 また同時に、現行制度上、証券会社が有価証券取引についてマッチング・プラットフォーム(PTS)を運営する場合には認可取得が求められるが、デリバティブ取引については相当する規定は置かれていないことについての対応を引き続き検討するとしております。

 26ページ目でございます。Ⅳ.社債市場の活性化ということで、これまで2009年7月、日本証券業協会に「社債市場の活性化に関する懇談会」が設置されて以来、検討・取組が進められてきており、我が国社債市場の発行額は増加しておりますが、一方で活性化という点ではまだ道半ばという状況でございます。社債市場の機能の発揮のために、以下のような観点から総合的に進められることが重要であるとして、様々な市場との関係等についての意識を述べさせていただいています。

 こうしたなかで、他の債務との優先劣後関係を踏まえつつ、社債評価にあたって必要な情報の提供、十分な社債権者保護、発行・流通市場インフラの整備を図っていくことが重要であるということで、例えばということでございますが、「社債管理補助者制度」の創設と、それからその利用例の広がりの期待を示させていただいて、27ページ目、それぞれの諸要素の進展について少し書かせていただいて、関係者による適切な対応が行われるべきであるという実施面のことを記載しております。

 最後に28ページ目、「おわりに」でございます。以上が、当ワーキング・グループにおいて御議論いただきました審議の内容を中間的に整理させていただいたもので、具体的な対応策を示した事項については、関係者において制度整備も含め、早期にかつ積極的な取組が進められることを期待するとしております。

 その他の事項について、本文中でも検討を深められ、引き続きという形で記載させていただいておりますが、本報告の内容を踏まえ、引き続き当ワーキング・グループにおいて検討を進めていくとさせていただいております。

 私からの御説明は以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、今の御説明を踏まえて皆様方から御質問、御意見を出していただければと思います。いつものように、まず委員の皆様方から御質問、御意見をお伺いしたいと思います。それが終わってからオブザーバーの皆様方に御発言の機会を設けさせていただきたいと思います。

 それでは、委員の皆様で御発言いただける方は、いつものようにチャット欄に全員宛てで発言希望などと1行入れていただければありがたく存じます。私から御指名をさせていただきます。いかがでしょうか。

 ありがとうございます。それでは上柳委員、どうぞお願いいたします。

【上柳委員】  ありがとうございます。全体を通して賛同いたします。特にというと、選びにくいところもあるのですけれども、特に二種ファンドの規制のと、プロダクトガバナンスについて、施行といいますか、実務を進めていくということが重要だと思います。

 併せてですけれども、資産運用のところに関係して、プログレスレポートの引用がありました。大変重要な、といいますか、関心を持つべきと思われる実証データが載っておりました。仕組債の問題であるとか、このようなことも今後の規制実務に活かしていくことが重要だと思います。

 総じて、顧客本位の原則、それから欧州のMiFID IIであるとか、あるいはアメリカのレギュレーション・ベスト・インタレストなども見ながら、国際的にも必要な水準を確保していくことが重要だと思います。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、チャットをいただいております順番で、次に佐々木委員、どうぞお願いいたします。

【佐々木委員】  ありがとうございます。佐々木でございます。

 非常に多岐にわたるテーマですけれど、きれいにまとめていただきまして、ありがとうございます。私も基本的にこちらの中間整理は賛成です。いろいろな意見を、また細部にわたり入れていただいて、その点御礼申し上げます。私からは2つコメントを申し上げたいと思います。

 1つはマクロの視点が必要だという意見です。今回私が申し上げたことも脚注などにも入れていただいているのですが、ここのワーキング・グループは、金融市場制度にフォーカスした議論を進めるところだというのはもっともなことですが、それを踏まえたとしても、あえてマクロ的な視点をもう少し入れてもいいのではないかということを感じております。

 今回のことで言いますと、前に申し上げましたが、個人資産のポートフォリオがなかなか変わらないということを基に、どのように変えていったらいいかという議論がありますが、そのときに節税効果のある保険や不動産など、その個人のポートフォリオに影響を与えるほかの資産についても一緒に考えないと、NISAとかiDeCoを進めるということにしましても、議論が難しくなると思います。例えば既存の経済学の研究の中に、税制のあり方が個人のポートフォリオに影響を与えているというような分析もありますので、そういったことをしっかり踏まえた上で議論していくことが必要かと思います。

 同じように、投資助言などについても同様で、もちろん細かいことは投資についてですけれど、ほかの金融商品、金融資産への助言、例えば保険などに対する助言はどうなっているのか、そういったことを踏まえて、マクロ的な視点でどの位置にあるかというのを確認して議論していくことが大事かと思います。

 金融リテラシーについては、これは投資以外のものも含まれているものと思いますが、マクロ的な視点で捉えていただくことによって、個人の金融資産形成に影響を与えることができるのかというのが1つ目の意見です。

 もう一つが、学問的、専門的な研究分析を入れていただくことについてです。これはかつても何人かの委員の方からこういった意見は出たことがあるかと思うのですが、既存研究のレビューや事後的な検証が必要かと思いまして、データを確認するとかということだけではなく、もう少し専門的な見地からの分析もあってもいいのかと思います。

 例えばファイアーウォールとかがどういう影響、ここで話し合ったことがどのように世の中に落とされて、その効果がどれくらいあったかということを専門的に検証をするということも考えられると思います。

 ファイアーウォールに限らず、事前に既存研究でどのような指摘があるのかとか、政策が事後的にどのような影響を与えているのかということを分析すること、例えばこのワーキングでも学識経験者をはじめエコノミストとか、調査研究にたけた方が多く参加されているので、例えばそういった方に協力していただいて、簡単にどういった研究があるのかといったことを紹介してもらうなども考えられると思います。

 もう既にいろいろなところで委託調査をされたりとか、もちろん中の方が調べて、海外の制度を紹介していただいたりといったこともされているのですが、もう少し専門性の高い分析も入れていただいてもいいのかというのが2つ目の意見です。

 以上です。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に有吉委員、どうぞお願いいたします。

【有吉委員】  有吉でございます。多様な課題についての整理と、それから政策提言の取りまとめにまず感謝申し上げます。

 私も内容については、いずれについても賛成させていただきたいと思います。中間整理という表題となっていることもありまして、難しい宿題というか、引き続き検討するという項目も多く残っている印象がありますが、最後のページを見ると、引き続き当ワーキング・グループにおいて検討を進めていくということで、まだまだ悩まなければいけないのだなという感想を持ちました。その上で4点ほど各論について、コメントをさせていただきたいと思います。

 1点目は、販売・助言に関するサービスについてでございます。11ページ以下に記載があります、兼業の場面を念頭に置いた制度整備については、迅速に実施していただきたいということであり、賛成したいと思います。ただ、14ページにございますとおり、現状の枠組みには、柔軟なビジネスモデルや手数料体系を阻害している可能性があるということや、それから「有償」であるか「無償」であるかという技術的な整理によって適用される規制が異なるというような課題があるわけでございますので、これらを解決するべく制度のさらなる見直しを進めていただきたいと思っております。

 それから2点目で、こちらは確認をさせていただきたい事項でございますが、18ページの二種ファンドに関する記述の中で、「実態として同様の投資・運用行為を行っているソーシャルレンディングを含むいわゆる事業型ファンド」という記述がございます。その後、ア、イと規制の提言があるわけでございますけれども、このうちのアの規制の対象になるファンドの範囲を確認させていただきたいと思います。すなわち集めたお金を用いて貸付けを行うとか、あるいは金銭債権などを購入するとか、こういう投資活動を行うファンドのみを対象とするという想定であって、集めた資金で事業を行って収益を分配するようなファンドを想定したものではないという理解でよいかを確認させていただきたいと思います。

 過去の回でも発言させていただきましたとおり、イノベーションや、その利用者の利便性を過度に阻害することとならないように、規制強化の対象の範囲はあまり広げ過ぎるべきではないと思っており、この点を確認させていただきたいというのが2つ目のコメントでございます。

 それから3点目は、今言及しました二種ファンドであるとか、それからファンド・オブ・ファンズ形式の投資信託の点などについては、中間整理にございます、制度改正による手当てをまず進めていただきたいと思いますが、それに加えて、制度改正も踏まえて、不適切な業者が現れてしまったら、当局や自主規制機関が迅速・適切に監督を果たしていくことを期待していきたいと思っております。

 そういった対応が、市場やビジネスモデル全体の信頼性の維持・向上にもつながるという面があると思いますので、この点は制度改正をするというだけではなくて、その後の当局と自主規制機関の運用に強く期待しているということでございます。

 それから4点目、PTS規制の関連についてでございますけれども、ITを活用した多様な証券取引プラットフォームが登場してきているという状況の中におきまして、今回の制度の見直しも踏まえて、PTS規制によってイノベーションの阻害になったり、あるいは利便性の高いサービスが提供されなくなったりしてしまうといったことにならないよう、規制運用面での対応をぜひ心がけていただきたいと思います。

 今申し上げているのは、規制を緩やかに適用すべきというようなことを言っているわけではございませんで、例えばPTSに該当するような場面においては、認可基準の明確性や透明性を高めて、かつ認可手続を迅速に対応していただくということが必要だと思いますし、また、PTSとの境界線にあるようなプラットフォームサービスについては、PTSの要件の明確化を進めていくことで、市場関係者にとって予見可能性が高くなる形の規制運用を行っていただきたいということでございます。

 私からは以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。質問があったと思います。それでは、田原審議官お願いします。

【田原企画市場局審議官】  二種ファンドについての御質問がございました。基本的には同じような行為については同じようなルールを課すということでございますので、投資・運用行為を行っている事業者については、アに書いてありますように、投資・運用行為に関する同様のルールを課していくということを考えてまいりますし、今お話のあった集めた資金で事業を行うようなファンドについては、情報提供という観点で同じようなルールを適用するかについても、アで書いてあるとおりでございまして、それをまとめて記載したものが柱書の記載というところになっております。

【神田座長】  ありがとうございます。有吉委員、よろしゅうございますか。

【有吉委員】  事業目的のファンドに対して、直ちに投資活動を行っているようなファンドで想定されているその規制を課すわけではないと、こういう趣旨だと理解しましたが、それでよろしいでしょうか。

【田原企画市場局審議官】  投資活動を行っているものについては、投資活動に関するルールを課すということでございまして、今、御指摘のあったような事業活動については、どの程度しっかりと情報提供を行っていくかということについて少し考える余地があるということでございますので、そこについては事務的によく検討した上で、今後対応を考えてまいりたいと考えているところでございます。

【有吉委員】  ありがとうございます。理解できました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に進めさせていただきます。チャットをいただいている順番で次が原田委員、どうぞお願いいたします。

【原田委員】  ありがとうございます。原田でございます。取りまとめをしていただきまして、ありがとうございました。多岐にわたる検討課題でしたので、網羅していただいて、大勢の関係者の意見も主に脚注に取り込んでいただいて、御説明いただいたと思っています。

 また、今後の議論に関するテーマ、これも列挙していただいていますので、取りまとめいただいた内容に異論はございません。今後の課題、引き続き検討する事項に関係することでお願いしたいことが少々ございます。フォローアップする必要のある点がいくつか列挙されているかと思いますので、そうした点については状況を開示していただいて、引き続きの検討課題とされたテーマを議論する場で、客観的な情報として提供していただき、共有していただきたいというお願いになります。

 例えばファイアーウォール規制ですと、金融庁内に新しく情報収集の窓口がつくられますので、そこに寄せられた声は議論の場で共有をしていただきたいと思いますし、ファイアーウォール規制は制度が大きく変わりましたので、進捗状況を共有していただくことはお願いさせていただきます。

 あともう一つ例を挙げると、情報提供のデジタル化に関するところです。これも引き続きの検討事項になっています。今後議論する機会があれば、2つの視点を持っていただきたいと思います。一つは、欧州で導入された原則デジタル化の詳細を解説いただくということで、何がどこまで原則デジタル化であると決定されたかということを参考情報として共有していただきたいと思います。もう一つは、デジタル化の推進に関して、フィンテック会社の経営に携わるような比較的若い方々の意見も聞く場があるといいのではないかと思いました。今後の検討課題でお願いすることになります。

 先ほど有吉委員のコメントの1点目、販売・助言サービスの制度の設計に関するところですが、これに関して私も有吉委員と同様に感じております。引き続き分かりやすい制度設計のあり方は検討していただきたいと願います。

 今回、資料と一緒に参考資料として、プログレスレポートをいただいていますけれども、これに関して少々1点、意見を申し上げます。

 顧客本位の業務運営ということで、信託報酬に目が向けられているということは一つの特徴だと感じました。ただし、高い信託報酬水準が設定されているアクティブファンドで、アルファがマイナスでけしからんという見方が少々気になりまして、信託報酬が高いからリターンも高いというのは、そこの関連性は求めてはいけないと思いました。何か具体的にこうしてほしいという要望ではないのですが、パッシブ分も稼げないからアクティブは信託報酬が高過ぎるという議論は、顧客の利益にはつながらない考え方ではないかと感じました。

 ハイリスク・ハイリターンというのは、よく教科書などでも出てきますが、ハイ信託報酬であればハイリターンであれという印象を抱く分析が一部にあるように感じました。例えば去年のプログレスレポートですと、韓国の取組事例として小規模ファンドの整理をする制度ができたことが紹介されていました。よい取組だと思うのですけれども、そういったことを検討するのが一つの道筋ではないかと思いました。

 運用会社自らがファンドを整理するのは非常に難しいですので、プロダクトガバナンスという視点に関連して、何か新たな制度の検討ができないかなどということは、今後機会があれば検討していただければということで、関連する事項としてお願いをさせていただきます。

 以上になります。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。いくつか教えていただきましたけれども、今後についてはいかがいたしましょうか。

【島崎市場課長】  今後踏まえさせていただいて、検討を加えていければと思っております。

【神田座長】  どうもありがとうございました。それでは、そういうこととさせていただければと思います。

 それでは、チャットをいただいております順番で、次は野村委員、どうぞお願いいたします。

【野村委員】  野村でございます。ありがとうございます。

 まずは文書の取りまとめ、誠にお疲れさまでございます。何度か御発言にもありましたけれども、全体に各委員や他の皆様の発言を丁寧に拾い上げていただいて、バランスにも気をつけながら脚注も活用して取りまとめていただいているという印象でございます。内容について特段の異論はございません。簡単にコメントと、それからやや質問的なことを申し述べたいと思います。

 まずコメントですけれども、制度整備、それから規制の見直しといったようなことも記載されておりますが、その際には実務をよく踏まえた上で進めていただくことが重要であろうと思っております。

 また、規制緩和する部分について、意図せざる形で、結果的に新たな手続が増えてしまうようなことにはならないように、くれぐれもそこはしっかり注意して進めていくことが大事だろうとも思います。例えば16から17ページにかけての、デジタルによる情報提供の原則化へ移行していこうというところなどの記載を見て、その辺りで手続が結果的に意図せざる形で増えるということがないようにということを思った次第です。

 また、個人投資家向けのアドバイスサービスにつきましては、以前にも申したかもしれないですが、現在進行中の新しい取組を後押しするような形で議論を進めていくことが重要ではないかと思います。この文章においては基本的には「有償」、「無償」という形で区分整理されているわけですけれども、それ以外の論点や視点もあろうかと思いますので、そういったことも含めて議論を進めていくのが大事だろうと思います。

 今後の検討課題につきましては、内容も多岐に渡るところもあると思いますし、恐らく時間軸も異なるものがいろいろと混在していると思います。また、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画、並びに骨太の方針が公表されているわけでございますけれども、本ワーキング・グループの議題と関連性の高い事項も数多く盛り込まれていると思います。例えば資産所得倍増プランに関する部分ですとか、スタートアップ企業、GX・DXへの投資、あるいは国際金融センターの実現とアセットマネージャーの育成等と、そういったところが盛り込まれているという理解でおります。

 つきましては、これは来事務年度以降ということだと思うのですけれども、制度の変更等、具体化を早く目指していきたいものですとか、来事務年度時点では具体化までは踏み込めないけれども、時間がかかるので早々に議論は開始せねばならないものなどいろいろあると思います。次の段階として、そういった事項についてどのように着手していくのか、その方向感ですとか、イメージなどが持てるとよいと思っております。もし現段階で共有できることなどがありましたら、ぜひお願いできればと思います。

 私からは以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。最後の点について、事務局ございますか。

【島崎市場課長】  こちらでさらに検討を深めるべき事項という、あるいは引き続き検討という形で書かせていただいた、例えば助言に関することですとか、デジタル化ですとか、あるいはプロダクトガバナンスなどもそれに入ると思いますし、ファイアーウォールですとか、あるいはPTS関係のことですとかデリバティブ、それぞれあろうかと思いまして、現段階でこれらについてどういう手順で、どういう見通しでということについて、具体的な段取りについては、また夏をまたぎまして、よく必要な検討や御相談なども踏まえて進めさせていただきたいと思いますので、また後ほどの検討とさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【野村委員】  どうもありがとうございます。

【神田座長】  よろしゅうございますか。ありがとうございました。

 それでは、次に進ませていただきまして、井口委員、どうぞお願いいたします。

【井口委員】  ありがとうございます。皆さん同様、事務局には多様な意見をまとめていただきまして、ありがとうございます。また、脚注などのいくつかのポイントで意見を取り入れていただき、ありがとうございます。

 前回のワーキング・グループで包括的に意見を述べさせていただいておりまして、本日、追加的な意見はございませんので、報告書の内容に賛同させていただければと思っております。ただ、意見ではないですが、1点だけ補足をさせていただければと思っているところがございます。

 9ページのSPACのところになりますが、以前のワーキング・グループで、グローバルな長期投資家というのは、SPACの導入に対し、市場の規律が緩むため警戒的で、SPACの導入が日本の資本市場の地位向上につながらないのではないかということを申し上げました。ただ、これは私のグローバル投資家の方との対話内容に基づいたものでしたが、先週、6月13日にグローバル機関投資家団体のICGNから米国のSECへの意見書という形ではあるのですが、正式にSPACに対する考え方が提示されましたので、共有させていただければと思い発言しております。

 意見書の内容というのは、SPACには、投資機会の拡大というよい面はあるものの、それ以上に構造的なスポンサーとの利益相反課題など、多くのリスク面の課題があって、市場はこれに対応できていないということで、機関投資家も含め、投資家は不利な立場に立たされているという内容で、投資家保護の観点でSECのSPACの規制強化に全面的に賛同するという内容と私は理解しております。当報告書の9ページに、「海外の動向など情報収集に努める」という記載がありましたので、ここで補足説明させていただきました。

 今回はどうもありがとうございました。以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に福田委員、どうぞお願いいたします。

【福田委員】  ありがとうございます。私も皆さんと同様に、よくまとまった中間報告になっていると思います。また、全体の構成として、最初に何のためにこういうことをするのかという問題意識が「はじめに」に明確に述べられていています。家計の資産形成という長年の課題をどう解決するかということと、それから成長資金をどう供給していくかという2つの大きな問題意識の下にこういう議論がなされているのだと明確にされているのはよかったと思います。

 そういう意味では、目的がはっきりしていて、本文中に議論されている問題は、ある意味でそれを実現するための手段だというような位置づけで議論されているという構成になっていると思います。その目的をどのように達成するかということで、こういう問題を考えることが大事だと思いますし、やってみないと分からないということは多いと思います。なので、「おわりに」にあるように、これからもこういう取組をぜひともしていただきたいと思います。

 ただ、それに加えて、問題意識がはっきりしているわけですから、その目的を達成する上で、ここで議論された様々なことがどういう効果があったのかという検証も今後は同時にやっていくことも重要だと思います。「おわりに」がややあっさりしているところはあるとは思いますので、そういうことも含めての議論だということを、もし可能であれば「おわりに」に少し加えていただくということもいいのかとは思いました。ただし、全体として全く異論はございません。

 以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に松本委員、どうぞお願いいたします。

【松本委員】  今回の取りまとめにつきましては、非常によくまとめていただいておりまして、私も全面的に賛成させていただきたいと思っております。

 少しコメントをさせていただきますと、特にスタートアップ企業や非上場企業への円滑な資金供給という点について、現在、米国のインフレから始まって、グロース株、テック株の状況がよくないという現象が世界的に起こっております。これは日本においても例外ではなく、いわゆるミドルレイター、特にレイターステージにあるIPO前のユニコーンと言われる企業が、市場におけるバリエーションの基準がPSRからPERにシフトするとか、PSRにおいても、マルチプルが大きく低下してなかなかIPOできない状況が足下で起こっています。

 とはいえ彼らが今、IPOをできなくて、期間が延びたとしても、当面はファンドレイジングしたばかりのファンドの残りの資金が少しありますので存続はできるとは思うのですが、この先、新規のファンドレイズがVC側でも非常に厳しくなってくることが予測できますので、そういった意味では、アセットオーナー等による資金供給の拡大を急いでいただいて、年金基金等からVCにお金が流れるといったことや、投資信託への非上場株式の組入れといったことは、こういった市場環境においては非常に有意義であると思っております。

 また、そういったIPOの遅れが進んでいきますと、既存のVCのファンドの満期が近づいてきて、それを売却しなければいけないような機会が今後増えてくることも予測されますので、そういった意味では、非上場株式のセカンダリー取引の円滑化も進めていただけると非常にありがたいと思っております。

 また、最近私も何人かの起業家とお話しさせていただく機会がございましたが、その中で、新規公開、IPOプロセスの見直しは非常に皆さん期待をしておりまして、フェアなプライスで評価していただける機会が増えていくことに非常に期待が高いですので、ぜひ進めていただきたいと思っております。また、(2)の企業特性に合わせた上場審査のあり方についても、本当に革新的なビジネスモデルは、類似企業、コンプスと言われるような企業が存在しないため、バリュエーションが難しいというのが現状まだ課題として審査側にございますので、そういった革新的な企業のビジネスモデルに対してどのように正しい評価をしていくのかは引き続き検討していただけると非常にありがたいと思っております。

 私からは以上です。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に松尾委員、どうぞお願いいたします。

【松尾委員】  松尾でございます。的確におまとめくださり、ありがとうございます。報告書に示された内容については全く異存ございません。

 私からは今後の取組についてお願いがございます。先ほど来のやり取りで出ておりますとおり、引き続きの検討課題がまだたくさん残っております。それらにどう取り組むかというのは今後考えていかれるということでしたけれども、これだけいろいろありますと、ある程度優先順位をつけていかないといけないのではないかと思いまして、そういたしますと、中でも2つぐらいは重点的に取り組むべき課題があるのではないかと考えております。

 1つは14ページ以降にあります、助言業務に関する規制の枠組みのあり方のところです。もう1つが顧客への情報提供のデジタル化のところでありまして、この2つは当ワーキング・グループ内でもかなり基本的なところといいますか、大きなところから、皆様のお考えが異なっていることが確認できたようにも思いますので、ぜひこの2つの課題については重点的に取り組んでいただきたいということでございます。

 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に森下委員、どうぞお願いいたします。

【森下委員】  ありがとうございます。授業の関係で遅れてまいりまして、申し訳ありませんでした。

 中間整理(案)は多様な取組や課題について、ワーキング・グループにおける議論を適切におまとめいただいていると考えます。中間的整理(案)で取り上げられている課題や取組は相互に関連するものも多いと思います。そして、こういったものが全体として金融・資本市場の機能向上につながるものであると思います。

 したがって、今後の取組に際しましては、こういった課題や取組を全く個別の独立したものとして考えるのではなくて、相互関係に一層留意して、個々の取組がより有機的に結合して一層効果を発揮できるように工夫をしていく必要があると思いますので、全体的な視野ということをぜひ大事にしていただければと考えております。

 その上で、何点か個別の点についてコメントさせていただきたいと思います。必ずしも修正をお願いするものではありませんけれども、この機会に意見を述べさせていただきたいと思います。

 4ページ、アセットオーナー等に関する資金供給の拡大について触れられている点でありますけれども、そこで、専門人材の育成や運用ノウハウに関するベストプラクティスの共有などが有効と記載されております。これはベンチャーキャピタルに限った話ではないかもしれませんけれども、この運用能力の強化というのは我が国の大きな課題の一つだと思いますので、官民協力して具体的な施策をしっかりと進めていっていただきたいと考えております。

 次に、11ページの、顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上というところですけれども、「顧客本位の業務運営の確保」に向けた取組を進めていく必要があると書かれていますけれども、既にある程度進んでいる部分もありますので、「より一層進めていく」などのほうがいいのではないかと、大変細かい点ではございますけれども、そのように感じました。

 次に、12ページ以降の、投資助言業の兼業に関する環境整備のところについて少し意見を申し上げたいと思います。投資における助言に係る論点には、いろいろなレベルの異なる問題もありますので、ここで書かれていますように、まずは投資助言業に係る問題、そしてあとは、より広く勧誘・助言に関する制度的な枠組みの問題ということを分けて、2段階で検討することは適切であると思っております。

 その上で、投資助言業に係る問題については、中間整理(案)にありますように、助言者の個人を特定することや、あるいは助言者と顧客との間の会話を全て記録するといったようなことは不要であると考えます。一方で、助言の内容や質というものは、投資助言業者が提供するサービスそのものということだと思います。助言の記録がなければ、どのようなサービスを提供したのかというのが分からないということもあるかと思いますし、特に組織として対応するということを考えますと、どの担当者がいつ、どのような助言をしたのかということについての記録がなければ、他の担当者や管理者も困るのではないかと思っています。

 したがって、ある程度の記録をしっかり整えていくことは大事であって、助言者がどのようなサービスを提供することを約束したのか、どのようなサービスを実際に提供したのかというのが分かるような記録は大事なのではないかと思っております。

 また、利益相反管理の弊害が生じやすい取引類型について、利益相反管理のための整備体制を求めるということも適切だと思いますので、ここで提案されている具体的な内容は適切であると考えております。

 なお、助言の記録を求めることについて、議論の過程で助言の記録を求めると会話の全てを記録しなければいけなくなるのではないかといった、御懸念もあったかのように記憶をしておりますけれども、ただ、会話の全てを見ないと助言の内容が分からないということではないと思いますし、恐らく会話の全てを記録してくださいということは、多分誰も求めていないと思います。

 助言のエッセンスが適切に記録されて、助言者が助言のエッセンスであると考えたことが顧客にも誤解なく共有されるということが重要と思いますので、そうした観点から記載にあたっての留意点の明確化がしっかりと進められることが重要であると考えております。

 また、これは脚注50で触れられている点に関係するかと思いますけれども、個人による貯蓄から投資への本格的なシフトが進むためには、個人と市場を仲介する事業者の役割が大変大きいと考えております。事業者から顧客本位の業務運営の原則に従った良質のサービスを受けることができるという信頼感が個人の中に一層高まっていくということが、貯蓄から投資への本格的なシフトを後押しするものになるのではないかと思います。

 そうした観点から、勧誘・助言に関する制度枠組みの果たすべき役割は非常に重要であると考えております。勧誘・推奨・助言などについて顧客本位の業務運営の原則をより一層徹底するとともに、顧客が事業者に何を期待できるのか、事業者が何を顧客に約束しているのかということが分かりやすい形で顧客と事業者との間で共有されること、そして約束が実践されるということを実現していくことが、貯蓄から投資という流れを後押しする上での本当に重要な制度的な基盤になると考えております。

 最後ですけれども、17ページ以降で、資産運用会社等におけるプロダクトガバナンスの確保について触れられております。脚注の66で触れられている点に関係するかと思いますけれども、資産運用会社等におけるプロダクトガバナンスということで、コメントが、記載がされていますけれども、顧客のニーズに合った商品を提供するための顧客との接点になっているのが販売会社であることを考えますと、資産運用会社単体のプロダクトガバナンスで顧客の最善の利益を実現していこうということには限界があるように思います。

 ワーキング・グループにおける審議の過程でも、販売会社と資産運用会社との間の連携、あるいは関係、あるいは相互チェックということについての外国の例などもお話があったように記憶をしておりますけれども、そういった販売会社と資産運用会社との間の、共同でのガバナンスといったものをしっかりと検討を進めていくことが重要ではないかと考えております。

 長くなりましたが、以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、あと委員の皆様方で御意見を今日お伺いしていない方々は、名簿順で申しますと、神作委員、武田委員、松岡委員になるかと思います。無理に御発言をしていただきたいという趣旨ではございませんけれども、もし御発言があればぜひ承りたいと思います。

 神作委員、いかがでしょうか。

【神作委員】  神作でございます。御指名ありがとうございます。非常に多岐にわたる論点について、インテンシブに行われた議論の結果を的確におまとめいただいており、私も全面的に賛成いたします。事務局と神田座長の御尽力に厚く御礼申し上げます。

 私からは以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 武田委員、もし御発言があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。

【武田委員】  このたびは事務局におかれまして大変丁寧に取りまとめいただきまして、ありがとうございます。事前にコメントしましたことも織り込んでいただいており、改めて感謝申し上げます。

 私も前提として賛成の立場で、追加・修正を要望することはございませんけれども、せっかく御指名いただきましたので、1点、引き続きの検討にあたり御留意いただければという観点から意見を申し上げたいと思います。

 今回、様々な論点が盛り込まれておりまして、それをしっかり着実に進めていく、丁寧に議論を進めていくということは非常に大事なことだと思います。同時に、ここで出されていた最初の問題意識、先ほど福田委員がおっしゃいましたけども、大きな問題意識である2点について、根本的課題をどう解決していくのか、どう打破していくのかについては、もう一段広い視野での複合的な視点が必要なのではないかとも感じています。

 ミクロでの制度改正は確実に必要ですし、そういう丁寧な議論は必要ですが、マクロ全体で見て俯瞰してみたときに、何が一番ボトルネックになっているのかという点にも、もう少し踏み込む必要もある気がしております。例えば、今回成長資金について議論させていただいたときに、様々なレイヤーで目利き力の問題があったように思います。海外では目利き力が十分発揮できている、あるいはその度合いが日本よりは高いとするならば、そうした人材を日本で育成する、あるいは人材を海外から呼び込むという視点も必要とするならば、金融リテラシーとは、もう一段違った議論もできるのではないかと思います。

 また、マクロ全体で見ると、必ずしも日本には企業部門に資金がないわけではございません。企業に現預金、GDP対比では60%程度の規模があり、これが成長資金として一部流れるだけでも大きなインパクトは持ち得ます。そう考えますと、コーポレートガバナンス、改定されたばかりではございますけれども、そうしたことでさらに何か工夫する余地はあるのかどうか、こうした議論もあると思います。

 本ワーキング・グループだけの議論ではないと存じますけれども、他の審議会での議論も含めて、マクロ的にもう少し有機的に結びつけて、全体的に根本的な課題に対して対処していくという視点も必要な気がしております。

 以上でございます。いずれにしても大変丁寧に取りまとめていただきましたことを改めて感謝いたします。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは松岡委員、もし御意見等ございましたら承りたいと思いますが、いかがでしょうか。

【松岡委員】  どうもありがとうございます。まずは、様々なポイントをこれだけおまとめいただいて、整理をいただいたということで大変感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 今、お話もございましたので、企業の立場を中心に申し上げるとするならば、企業にとっては柔軟で機動性の高い、多様な資金調達機会が確保されることを望んでおりますし、それが経済の活力のためにも重要だと考えております。そのバックにある、デットとエクイティ・キャピタルの適切な投資促進と循環というのが確保されることも大変重要だと考えております。

 そういう意味では投資家の投資の観点からも、fit for purposeに沿って、安心して、活発な投資がなされるということが重要だと思いますし、いずれにしても、資金調達をする側、もしくは提供をする側にとっても、中長期的な成長や価値向上というのを志向する姿勢が大事だと思っておりまして、短期的な成功体験だけによるということではなく、そういった姿勢を重視するべきだと思いますし、そのためには家計の担い手はもちろんですけれども、先ほど来、御指摘がございます、プロ投資家も、また企業においても、その目利き力や、説明力を醸成させていく、適切なキャピタル・アロケーションのあり方についても全体的な向上を図るという、またそれを認識できる投資市場が確保されることが重要ではないかと思っております。

 さらにいろいろな議論の中で、またこういった様々なポイントをお話しさせていただくことで、発展的な状況を目指せればと思っております。どうもありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 これで委員の皆様方全員から御発言をいただくことができました。今日も大変貴重な御指摘や御発言をいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、オブザーバーの皆様方から、もし御意見、御質問等がございましたら承りたいと思います。チャット欄に全員宛てに入れていただければと思います。

 ありがとうございます。それではチャットをいただいている順番で、第二種金融商品取引業協会の青木さん、どうぞよろしくお願いいたします。

【青木オブザーバー】  青木でございます。二種ファンドのルールの見直しについて申し上げさせていただきます。二種ファンドは、スタートアップや非上場企業、イノベーションをはじめとしまして、投資家の共感を基礎とする地域活性化事業や、内外のSDGs関連事業などに幅広く利用され、資金調達が困難な場合の調達手段として一定の役割を果たすとともに、リスクを覚悟して成長資金を供給する投資家に投資機会を提供しております。このような二種ファンドは政府の成長戦略にも資するものと考えております。

 また、事業型ファンドにつきましては、自主規制規則を設けているところであり、それらが機能している場合もあると思われます。

 したがいまして、ワーキング・グループにおいて委員の方からも御指摘がありましたが、規制の対象や内容が過度とならないよう、ルールの見直しにあたりましては、投資者被害を防ぐために必要な範囲で必要な手当てを行うという考え方に基づいて、規制対象や内容を御検討いただくことをお願い申し上げる次第でございます。

 その上で、今後のルールの見直し作業において具体的に御考慮いただきたい点を若干申し上げさせていただきます。

 まず、運用の規制に関しましては、1点目としまして、法人顧客やプロ向けのファンド、それから先ほども御議論がありましたが、貸付型ファンド以外のファンドをどこまで規制の対象に含めるべきか。それから2点目として、共感や支援を基礎とするSDGs関連のファンド等には収益性の低いものがありますが、規制によるコスト増によりファンドを通じた資金供給が困難となるおそれがないかどうか。3点目としましては、ファンドには他の法令の運用規制を受けているものがありますが、規制が重複することにならないか、などといった点に御配慮をお願いいたします。

 次に、インターネット規制に関しましては、1点目としまして、ソーシャルレンディング以外の自己募集に関しましては、そもそも現行の電子申込型電子募集取扱業務の制度になじまない場合もあるのではないかということ。2点目としましては、現行の規制をそのまま適用した場合に意図せざる影響が生じるような場合には、現行の規制を含めて見直すことも考えられるのではないか。3点目としましては、ソーシャルレンディングにおける実質的な貸付先に係る審査につきましては、事業者による融資審査と、販売会社によるファンドのデューディリジェンスのどちらにおいて行うことが適当か、などといったような点について御検討いただければと思います。

 縷々お願いを申し上げまして恐縮でございますが、詳細は事務局に文書で提出させていただきます。よろしく御検討のほどをお願い申し上げます。

 委員の皆様や事務局の御尽力に改めて感謝を申し上げますとともに、今般のルール見直しにより一層の投資家保護が図られ、ファンドに対する信頼感が高まることを切に期待いたしております。

 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に全国銀行協会、伊藤さん、よろしくお願いいたします。

【伊藤オブザーバー】  全国銀行協会の伊藤です。まずは中間整理(案)を取りまとめいただきまして、誠にありがとうございました。この場をお借りしまして、委員の皆様方、事務局の皆様方に厚く御礼を申し上げます。

 私ども銀行界としましても、今回お示しいただいた各論点の検討の方向性ついて、金融・資本市場のさらなる発展を通じた「成長と分配の好循環の実現」に資するものとして、前向きに受け止めております。「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」で掲げられておりますスタートアップや気候変動対応等への資金供給を通じて、力強い経済成長を実現し、その成果を家計に還元して「資産所得倍増」につなげていくということは大変大事だと思っておりますし、新しい資金の流れをつくり出していくということではないかと考えています。

 そのためには、我が国の金融界が、業界横断的に連携して、新しい取組に挑戦していくことも必要ではないかと考えております。

 この市場制度ワーキング・グループにおかれましても、このような挑戦、創意工夫を後押しいただくような規制の見直しについて、引き続き我が国の金融・資本市場のあるべき姿を見据えた骨太な御議論をお願いしたいとも考えております。私ども銀行界としましても、今後もそうした議論を前向きに捉えながら、引き続き貢献してまいりたいと思っております。

 私からは以上です。

【神田座長】  どうもありがとうございました。通信環境の関係で一部途切れたところがあるかもしれませんが、議事録で御確認いただければありがたく思います。

 それでは次に、日本証券業協会、飯山さん、どうぞお願いいたします。

【飯山オブザーバー】  ありがとうございます。まず、昨年10月以降、多岐にわたる討議事項について、座長及び委員の皆様による御議論、事務局の皆様の御尽力に改めて感謝申し上げたいと思います。前回、我々から意見書を提出させていただきましたが、中間整理(案)のいくつかの部分で考慮いただいた点についても感謝申し上げたいと思います。

 その上で、10ページ目以降、特に「(1)販売・助言サービスの態様に応じた適切な制度の設計」の部分について意見を申し述べたいと思います。

 今回の中間整理(案)では、証券会社等が投資助言業を兼業する場合の環境整備に関する検討と、勧誘・助言に関する制度的枠組みの今後の検討という2つの論点に内容が書き分けられてございます。これにより、論点及び時間軸がより明確になったと考えています。どちらの論点も、現行の証券会社等のビジネスや顧客が享受するサービスに大きな影響を与え得る内容ですが、検討を進めるにあたっては、我が国の証券会社等におけるビジネスの実態や、これまでの実務の積み重ねをしっかりと把握し、さらに顧客の実態や意向を十分に考慮いただきたいと思います。

 次に、残高連動手数料を収受する助言が「有償の助言」に該当するのはどのような場合か、その判断基準を明確にしていただきたいと考えております。残高連動手数料を導入する証券会社等は、現状まだ数社に過ぎません。残高連動手数料イコール投資助言業という前提での規制強化と受け止められるような認識が広まりますと、せっかく広がりが期待されている残高連動手数料への取組みを逆行させることにもなりかねません。現に、会員証券会社からはそうした声が出始めており、この点は改めて丁寧に整理いただきたいと思います。

 現行の投資助言業に関する規律についても、一定の緩和措置を講じる旨の記載がありますが、「助言の内容を記載した書面」の作成・保存、そして貸付け等の業務については証券会社の業務の実情を聞いていただき、業務への悪影響が出ないように御配慮をお願いしたいと思います。

 また、証券会社が行う販売・勧誘と投資助言業における助言の範囲や切り分けについては、必ずしも明確になっていないと考えますが、この点は議論の大前提であり、曖昧なまま検討が進むことを危惧しております。加えて、投資助言業の規律が証券業務に入ってくることにより、外務員制度や自主規制の考え方についても整理が必要になりますので、引き続き御相談させていただきたいと思います。

 そして、14ページから15ページにかけての「②勧誘・助言に関する制度的枠組みの検討」について申し上げたいと思います。我々が目指すべき姿は、顧客からのライフプランの相談に応じて、リスク許容度に合わせた適切なポートフォリオを提案することと考えておりますが、これは現行の投資助言業における「助言」には必ずしも該当しないと理解しています。一方で、これまでの議論では証券会社に対して、当然に投資助言業の規律を適用するといったバイアスがかかっているようにも感じています。

 議論を進めるにあたっては、残高連動手数料への取組みの広がりや、顧客の認知度の状況を見守りつつ、関係者の意見もしっかりと聞いていただきたいと思います。とりわけ、勧誘・助言は証券会社のみならず、同等の行為を行う全ての金融商品取引業者及び登録金融機関にも影響が及ぶものであることから、現行の投資助言業をベースとしてではなく、ゼロベースでの検討をお願いいたします。

 米国では約20年かけて、現在の投資顧問業ビジネスが形成されています。日本においても、相応の時間をかけて検討する必要があると考えます。

 最後に申し伝えますけれども、私どもとしましては、証券会社等の現場の声や、その顧客の実態などを踏まえつつ、顧客本位の業務運営をより一層充実させて、政府が推進する資産所得倍増プランに貢献すべく、オブザーバーとして議論に協力したいと考えております。どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に生命保険協会、角さん、よろしくお願いいたします。

【角オブザーバー】  ありがとうございます。大変多岐にわたる課題・論点につきまして、具体的な対応策及び今後の検討の方向性を示していただいており、非常に有意義なものと考えております。これまでの委員の皆様の御議論、並びに多岐にわたる論点をおまとめいただきました事務局の御尽力に心より感謝申し上げます。

 生命保険業界もオブザーバーとして参加させていただきました中で、特に情報提供のデジタル化に関しましては、これまでの討議を踏まえ整理いただいたものと認識しております。これまでも申し上げているとおりでございまして、脚注にも記載をいただいておりますが、今後の検討にあたりましては、事業者のビジネスモデルの差異や、顧客層の差異といった点にも配慮しつつ、柔軟な制度設計に向けて丁寧に議論が行われていくことを期待しているところでございます。

 以上です。ありがとうございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に国際銀行協会、平山さん、どうぞお願いいたします。

【平山オブザーバー】  ありがとうございます。中間整理の取りまとめをどうもありがとうございました。中間整理(案)につきましては異存ございません。

 今後の議論に関しまして、3点ほど述べさせていただきます。1点目、資料1の6ページに記載されている外務員の二重登録禁止規制についてです。資料1にて問題点・論点が指摘されております。一方で、例えば銀行・証券の両外務員がそろわないと、相場急落時にお客様が保有する商品について速やかな情報提供・助言ができないといったデメリットもあるかと思います。ですので、かかるデメリットも含めて今後御検討いただければと思います。

 2点目、同じく6ページに記載されております、中堅・中小企業に関する規制の取扱いについてです。中堅・中小企業は、昨年の規制緩和で同意不要となった外国法人の本邦子会社であり、かつ、上場企業等に該当しない企業も含まれると理解しております。在日子会社は外国の親法人のガバナンスの下、業務をされておられ、また日本国外におられる外国法人のお客様が金融機関に対して包括的なサービス提供を期待している場合もあります。そのような場合、本邦情報授受規制が障害になり得ることから、上場企業等と同様の取扱いが好ましいと思います。

 3点目です。資料1の11ページ以降に記載されております投資助言業についてです。同業務に関する適切な制度設計の検討に賛同いたします。なお、その際は、14ページでも触れられておりますが、既存の証券会社が機関投資家顧客等に対して行っている、いわゆるリサーチセールス業務、すなわち勧誘時における無償の助言業務に大きな影響が出ないよう御配慮いただけると幸いでございます。

 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは次に、証券・金融商品あっせん相談センターの丸野さん、どうぞお願いいたします。

【丸野オブザーバー】  それでは証券・金融商品あっせん相談センターから一言申し上げます。

 おまとめいただいた中間整理(案)につきましては、まさに書かれているとおりで、一切異論はございません。ただ、投資家から実際に苦情を受けている私どもの立場から、販売・助言サービスについて一言申し上げさせていただければと思います。

 私どもは一般のリテール投資家、いわゆるマスリテールの投資家の方から苦情・相談を受けるケースが非常に多いのですけれども、一言で言うと、マスリテールに属する投資家の方々というのは非常にピュアな方が多いと思っております。「金融事業者の方を信頼していたのに、、、」というような形で、苦情なり相談なりを受けるケースが多いのですけれども、こういった方たちというのは、手数料を金融事業者に対してお支払いしているということは十分認識しております。しかしながら、それが何に対する対価なのかというところは、残念ながら十分に認識しているとは言い難い部分もあるのではないかと思っております。

 投資助言業務に関する苦情では、推奨された銘柄がなかなか値上がりしないというものが圧倒的に多い状況ではございます。また、もう少し広めに取りますと、アフターフォローが何もないといったような不満、こういったものも広く寄せられているところでございます。

 この中間整理(案)の中では、「有償」、「無償」と言ったような観点からお話をまとめられている部分もあろうかと思いますけれども、新たな有償サービスを開始するということであれば、金融事業者の方には、お客さんの信頼に甘えることなく、対価に値するサービスをしっかり提供していく体制を整えていただきたいと考えております。

 以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは日本STO協会、小柳さん、どうぞお願いいたします。

【小柳オブザーバー】  ありがとうございます。日本STO協会の小柳でございます。

 24ページのPTSに関する「(1)認可審査の柔軟化・迅速化等」について意見を述べさせていただきます。前回の本WGで、証券トークン、デジタル証券の流通市場の活性化に向けて、証券会社とお客様とのインターネットによる取引で、需給と供給の集約機能、価格形成機能がないものや、低いものは、デジタル店頭取引として、PTS業務に係る特別な認可が必要なく、その取扱いができるよう意見を提出いたしました。

 証券トークン等の流通のためには、デジタル店頭取引は必要不可欠であり、その実現には、PTS該当性の明確化が必要だと考えております。そこで、ぜひ(1)の本文、「証券トークン等の流通」とあるところに続けて、「証券トークン等の流通のために、PTS該当性の明確化を行う」と明記し、検討を進めていただきたいと存じます。

 また、次の「(2)非上場有価証券等の取扱いに関する留意点」に関連しまして、現在、日本STO協会では、特に公募型不動産デジタル証券につきまして、セカンダリー取引の円滑化、公正な取引の確保、投資家保護の観点から、適時開示、運用報告、不動産の評価、売買の参考となる取引指標価格の算定・提示など、必要な自主規制ルール、枠組みの検討を行っており、何とぞ御支援のほどをお願い申し上げます。

 最後に、デジタル化のさらなる推進に向けて、デジタル証券全般について、権利移転の法的安定性を高める措置が取られますよう、金融庁の強いリーダーシップの下、関係者において検討をお進めくださるようお願い申し上げます。

 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 ほかに御発言を御希望の方はいらっしゃいますか。また委員の皆様方でも、もし追加で御発言があれば承りますけれども。よろしゅうございますか。

 それでは、本日も多数の御指摘をいただきまして、繰返しになりますけれども、どうもありがとうございます。そこで、取りまとめをさせていただければと思います。

 お手元の資料1、中間整理(案)についてでございますけれども、本日も多数の貴重な御指摘や御意見をいただいたところですけれども、大筋においてはその内容について皆様方から御賛同をいただけていると思っており、その旨の御意見も多数いただいたと理解しております。そこで、本日いただきました御意見を、内容に関わらないという言い方がいいかどうかよく分からないのですけれども、内容の修正ということではなく、少し書き足せるところがあるかどうかという作業、具体的には、例えばということで申し上げますと、福田委員から、「おわりに」の部分に少し書き足してはどうかという御示唆等をいただいております。

 そういったところ、それからあと細かな点での御指摘も若干いただいておりまして、表現ぶりというのでしょうか、それから全体としての表現の平仄等も精査させていただく必要がございます。したがいまして、そうした作業ということになりますけれども、いつものことで恐縮ですけれども、私に御一任をいただければ大変ありがたく存じます。その上で取りまとめということにさせていただければありがたく思っております。

 なお、中間整理の公表等の取扱いにつきましても、大変恐縮ですけれども、私に御一任いただければありがたく存じております。以上のような形で取りまとめを進めさせていただくということとさせていただいてもよろしゅうございますか。
 
(「異議なし」の声あり)

【神田座長】  どうもありがとうございます。

 それでは、なかなか実開催でないものですから、皆様方の顔色というのをWebexの背後で推測するしかないのですけれども、大変恐縮ですけれども、御承認いただいたということとさせていただきます。

 このワーキング・グループですけれども、昨年10月以降、8回にわたって皆様方に御議論をしていただきました。メンバーの皆様方には、大変お忙しい中を毎回積極的に御参加いただき、また精力的で建設的な御議論を多数いただきましたことに厚く御礼申し上げます。また、オブザーバーの皆様方にも熱心に御参加いただきまして、どうもありがとうございました。

 言うまでもなく今回で終わりということではございませんで、今回の取りまとめも中間整理という名前にしているわけですけれども、さらに皆様方には継続して議論を深めていただく必要があります。しかも今日、何人かの方々から御指摘がありましたように、議論を深めるべき論点は多岐にわたるということでございまして、今後、中間整理の内容を踏まえ、引き続きこのワーキング・グループにおいて検討を行ってまいりますので、皆様方には引き続き御審議、積極的な御議論をしていただければと存じます。

 その際、今日も何人かの委員の方から御指摘いただきました。佐々木委員からは、マクロの議論ももう少し深めるべきではないかということ、武田委員にも同じ趣旨のことを御指摘いただいたと思います。また、佐々木委員から、学問的な研究についてもう少しうまく連携できないかというか、そういう成果等についてもこちらで議論できないかと。それから、原田委員からは、今までいろいろこのワーキングでも提言をして、今回も提言しているわけですけれども、そういったもののフォローアップの状況等についての共有をきちんとしていただきたい。その他の具体的な御指摘をいただいているところでございます。

 そういったことにも十分留意しながら、また引き続き皆様方に御議論をお願いすることになるかと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、最後に事務局からコメントがございましたらお願いいたします。

【島崎市場課長】  委員の皆様におかれましては、中間整理の取りまとめに向けて精力的に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。

 先ほど座長に御一任いただきました中間整理につきましては、今後しかるべきタイミングで公表となり、それからその後、金融審議会総会への報告という通例の段取りを経ていくものと予定しております。

 今後のワーキング・グループの日程等に関しましては、事務局より別途御案内させていただければと存じます。誠にありがとうございました。

【古澤企画市場局長】  ありがとうございました。一言御礼申し上げたいと思います。

 今回も多岐にわたる論点について御議論いただきました。野村委員から御指摘ございました資産形成プラン、それから今後の施策の枠組みでございますけれども、まさに今回の御検討が、ある意味でとても重要な土台になると考えております。マクロのインベストメントチェーン全体を見た論点のチェックという観点もございますし、それから、同時にミクロの必要な施策を今回の御検討で相当網羅的にカバーしていただいたと思います。それらの施策と資産形成プランという全体像をつなげていく作業が今後の私どもの大事な課題と考えております。

 引き続きの御指導をお願いするとともに、感謝申し上げまして、簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了とさせていただきます。皆様方、どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
お問い合わせ先

金融庁 03-3506-6000(代表)

企画市場局市場課(内線:2352、3970)

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