金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第20回) 議事録

  • 1.日時:

    令和4年9月12日(月曜)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
     

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第20回)
令和4年9月12日


【神田座長】  皆様、おはようございます。定刻になりましたので、始めさせていただきます。ただいまから、市場制度ワーキング・グループの第20回目の会合を開催いたします。皆様方には、本日も、大変お忙しい中を御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

 では、まず、議事に入ります前に、今般、本ワーキング・グループ委員の退任及び事務局において異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。

 よろしくお願いします。

【島崎企画市場局市場課長】  まず、本ワーキング・グループ委員の退任がございましたので御紹介いたします。8月末をもちまして、松本委員が本ワーキング・グループ委員を退任されました。

 続きまして、事務局である金融庁において人事異動がございましたので御紹介いたします。これまで企画市場局長でありました古澤に代わりまして、新たに井藤企画市場局長が着任いたしました。

 以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 このワーキング・グループでございますけれども、6月に、市場制度ワーキング・グループの中間整理を取りまとめさせていただいております。本日は、夏休み後の再開ということになるわけですけれども、この6月に取りまとめていただきました中間整理などを踏まえ、今後検討すべき課題について幅広く御議論を頂戴したいと思います。

 まず、お手元の事務局説明資料、資料2になるかと思いますけれども、これについて事務局から御説明をしていただきます。その後、皆様から御意見をいただければと思います。

 では、早速ですけれども、事務局からの説明をお願いいたします。

 島崎市場課長、よろしくお願いいたします。

【島崎企画市場局市場課長】  それでは、お手元の資料に沿って御説明させていただきます。まず、資料2に沿って御説明させていただこうと存じます。そのほか、資料3につきましては、途中で出てまいりますけれども、顧客本位の業務運営のモニタリング結果を添付させていただいておりますし、資料4については、資産運用業高度化プログレスレポート2022を添付させていただいております。

 それでは、資料2に従いまして御説明させていただきます。1ページ目は目次で、全体の構成といたしましては、1ページ、2ページ目にございますけれども、これまでの議論と今後の検討の進め方、それから、こちらが3本柱で議論してまいったと思いますが、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳは、その3つの柱ということで、経済成長の成果の家計への還元促進、それから成長資金の円滑な供給、市場インフラの機能向上、それからⅤとして、御議論いただきたい事項とさせていただいています。

 まず、これまでの議論と今後の検討の進め方でございます。3ページ目でございます。先ほども申し上げさせていただきましたが、成長・事業再生資金の供給により持続的な経済成長を実現するとともに、家計の適切な金融商品の選択を通じて成長の成果を還元させる「成長と分配の好循環」の実現のための施策について、中間整理で整理させていただいており、こちらに概要を載せています。具体的な対応策を示した事項については、順次実施、それから、その他の事項については、引き続き市場制度ワーキング・グループにおいて検討という位置づけで、中間的に整理いただきました。大きく分けますと、成長・事業再生資金の円滑な供給というのが上のほうに書いてありまして、左下、経済成長の成果の家計への還元促進、それから市場インフラの機能向上で、いわゆる成長と分配の好循環ということで重要なファクターとして3つ挙げさせていただいております。こちらの課題と対応につきましては、それぞれお取りまとめいただいたことですので、ここでは割愛させていただきます。

 4ページ目でございまして、同様に、これは6月に中間整理を取りまとめいただきましたけれども、政府で、2022年6月、資産所得倍増プランの策定について盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)等が閣議決定されておりまして、これは、上段のほうですが、骨太の方針で本年末に総合的な資産所得倍増プランを策定するとされていますし、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画においても同様に記載されております。

 こうしたものを受けまして、今後の検討の進め方でございます。5ページ目のところでございますが、3つの柱としてあった経済成長の成果の家計への還元促進、それから成長資金の円滑な供給、市場インフラの機能向上について記載しております。一番左の成果の家計への還元促進につきましては、具体策を専門的に検討するため、市場制度ワーキング・グループの下に顧客本位タスクフォースを設置してはどうかと考えております。また、今後、集中的に検討を進めるということを記載しております。それから、残り2つ、成長資金の円滑な供給と市場インフラの機能向上につきましては、引き続き市場制度ワーキング・グループにおいて検討を進めるということについて資料を載せさせていただいております。

 続きまして、6ページ目以降でございます。経済成長の成果の家計への還元促進でございますが、こちら、以前の市場制度ワーキング・グループにおいても出させていただいたものを、少し加筆などもしておりますが、安定的な資産形成を促し、資産所得の増加につなげていくためには、図表のほうで言いますと、右サイドの顧客本位の業務運営を確保することが必要というものと、併せて左側、金融リテラシーの向上というものが相まって、総合的アプローチとして施策を講じていく必要があろうということを記載しております。顧客本位の業務運営の確保につきましては、販売者・アドバイザーによる適切な勧誘・助言と情報提供の充実と、こちらのほうも中間整理に当然盛り込んでいただいているところでございますし、組成者による顧客の利益にかなった金融商品の組成・運用等を確保する制度的枠組み等について総合的に検討。それから本日、少しこの後ろでも資料を載せさせていただいておりますけれども、金融リテラシーの向上についても整理いただきました。学校におけるもの、それから職域におけるものですとか、あるいは効率的・効果的に進めるための団体の連携等々について、中間整理では記載いただいたものと考えております。下のほう、適切な勧誘・助言、顧客への情報提供の充実ということで、先ほど申し上げた制度的枠組みと、それからデジタルツールも活用した情報提供の充実、それから右側、プロダクトガバナンスの確保で、顧客の最善の利益にかなった金融商品組成のこと等々、それから独立社外取締役等による評価及び検証、それから二種ファンドのことを挙げさせていただいています。

 次、9ページ目以降でございますが、9ページ目においては、中間整理を改めて記載させていただいておりまして、販売・助言サービスの態様に応じた適切な制度の設計ということで、こちらは基本的に、これ以降も検討を行っていく項目、あるいはさらに検討を深めるべき項目について、記載させていただいています。ですので、こちらのほうは、勧誘・助言に関する制度的枠組みについて、さらに検討を深めるべきであるということを記載しております。それから金融機関によるデジタルツールの業務を活用した顧客への情報提供の充実ということであれば、深度ある、より分かりやすい情報提供というのが重要であろうということを記載しております。それで、「書面や、書面を単に電子化した電子ドキュメントよりも、充実した情報が分かりやすく提供されるように工夫していくことが」ということを第一ということは、おまとめいただいたところかと思っていますし、それから情報提供のデジタル化ということも、おまとめいただいたと思っております。引き続き検討していくことが考えられます。

 それから10ページ目でございます。こちらも、6月に中間整理をおまとめいただきましたが、それと同じような時期に、顧客本位につきましては、継続的に顧客本位の業務運営が行われ、定着に向けた動きが進んでいく中で、金融庁としてもモニタリングをしてきております。これが別添の資料3にも載せておりますし、全体としての方向性、全体としての動きでありますとか、あるいは銀行・証券などの、幾つか金融機関をピックアップした上でのモニタリングを行って、その結果等々を載せているもので、継続的なデータであるとか現状の把握ということに取り組んだものでございます。詳細は別添のほうになりますけれども、10ページ目はエッセンスを記載させていただきます。

 適切な金融商品を選択するためには、適切な勧誘・情報提供や助言が行われることが不可欠で、重要情報シートに商品比較が始まるなどの動きがある一方で、選定や説明の在り方、提案方法等に課題が指摘されているということで、プロセスに応じた意向確認と提案プロセス、商品選定プロセス、フォローアップ、業績評価、管理検証態勢等々について、提案ツールの活用ですとか、全体的に最適なポートフォリオの提案には必ずしもつながっていないということを太字で少しポイントは記させていただいておりますけれども、各プロセスにおいて、それこそ例えばインデックス投信の一物多価についても、共同で一物多価を解消する動きも見られる一方で、自社のホームページの検索機能の充実ですとか、あるいは手数料に差異がある場合の明示ですとか、望まれる事項なども記載させていただいています。フォローアップについて、こちらは顧客の意向等の属性の変化のフォローも大事でしょうし、業績評価については戦略と整合的な業績評価、それから管理検証体制についてはPDCAサイクルといったことについて記載しております。個別商品で言いますと、仕組債、それから、こちらのほう、顧客ニーズに即した商品としてふさわしいものなのかどうかですとか、ファンドラップ、対価関係について、外貨建て一時払い保険についても、課題となるようなことを指摘したレポートとなっていると思います。

 次に、11ページ目、12ページ目でございます。夏までの御議論の中で、制度的枠組みにつきましては、米国のもの、あるいはヨーロッパのもの、そうした材料、素材を出させていただいております。実際のビジネスの変遷・動向、全てを網羅したものではないのですけれども、そうしたものについても御参考の資料として、こちらを載せさせていただいていて、アメリカにおけるものを、ここでは1つ挙げさせていただいておりますが、大手証券の必ずしも社員ではない自営業型の証券外務員の台頭があったこと、あるいは投資顧問型のアドバイザーが注目されていっている経過、それから、こうしたRIAですとか、あるいは証券外務員・投資顧問業者を兼業するアドバイザーも増加していっている動きがございます。それから、少し12ページ目にも載せさせていただいていますけれども、個人向けアドバイス・サービスが高い評価を受けている大手金融機関の例でありますとか、あとは顧客目線に立った経営戦略を掲げて、預かり残高が業界一になっているチャールズ・シュワブの例ですとか、そういったものを御参考までに挙げさせていただいています。

 12ページ目には、そこにある経営理念をまとめさせていただいていて、例えば一般的な米国民に対する良質なファイナンシャルプランニングの幅広い提供や、利益相反の抑制等々があるかと思います。チャールズ・シュワブのほうは、先ほどはエデルマンの例ですが、チャールズ・シュワブの例で言いますと、5項目から成る好循環などを設定されていて、御参考の資料として載せさせていただいています。

 13ページ目以降は、プロダクトガバナンスでございまして、13ページ目自体は、中間整理の抜粋となっておりまして、想定顧客属性の、例えば定型的な記載等々、あるいは信託報酬に分類するファンドの相違ですとか、そうしたものの指摘事項に加えて、顧客本位の業務運営に関する原則の見直し等々、考えてみるべき点等についておまとめいただいたものだと思います。

 これに当たりまして、14ページ目以降は、これも6月に資産運用業高度化プログレスレポートを資料4に載せさせていただいております。こちら資産運用業の進展、言ってみますと、もちろん課題も含めますけれども、例えば全体の動きですとか独立性のこと、それからアクティブを含んだパフォーマンスのこと、シャープ・レシオの動き、コストに見合っているか等々の動き、その他、ビジネスの国際的な比較ですとか、もちろんこの中で一物多価ですとか、個別の商品も扱ったレポートとなっています。こうしたものを基に、資産運用会社における顧客本位の業務運営に基づく取組方針について、簡潔に整理させていただいたのが14、15、16ページになっています。

 14ページ目ですけれども、家計の資産形成に資する金融商品が提供されるためには、資産運用会社等が自らのガバナンスを強化し、顧客の利益にかなった商品組成・提供・管理やリスク・リターンの向上を実現していくことが重要で、これによって顧客のリターンが増大していくことが資産運用会社のビジネスの拡大等に必須であると考えられるということを記載しております。資産運用会社の顧客本位の業務運営の取組方針においては、外部の意見を取り入れる体制の整備や利益相反の解消、従業員への動機づけなどの取組が表明されておりまして、好ましい事例が出てきている、あるいは出ている、と同時に改善が望まれる事例というのもございまして、上段は好ましい事例、下段は改善が望まれる事例で、外部の意見を取り入れる体制、あるいは兼務体制の解消ですとか、動機づけについても好ましい事例を触れさせていただいていると同時に、方針が抽象的である、あるいは実際の取組が方針と必ずしも合っていない、違っているのではないかと指摘されているようなことも、こうした顧客の最善の利益の追求、利益相反の適切な管理、動機づけ等々についてあるのではないかということをまとめさせていただいています。

 15ページ目が、こちらもプログレスレポートで、大きく3つに分けてガバナンス、開示、プロダクトガバナンスというようにポイントをまとめさせていただいています。それで、独立性の確保、顧客利益最優先の業務運営や運用力強化ということの重要性等々について、それぞれ、こちらはプログレスレポートのまとめになっておりますので、開示で言いますと、運用するファンドのパフォーマンス及び信託報酬等に係る情報開示の範囲・方法の改善、それから想定顧客属性につきましては、重要情報シートの在り方とか記載の仕方、そうしたもの、それからESG投信についてのポイントなどを載せさせていただいていますし、プロダクトガバナンスということにおいて言いますと、コスト水準のことですとか、あるいは検証プロセス等々について述べさせていただいています。

 16ページ目は、その中で、資産運用会社のガバナンスということで、顧客本位の業務運営ができるときの議論などからデータなどが出されて検討もされてきていると思いますが、そうしたものも、こちらの下のほうでは併せて示しながら材料を提供させていただいています。取締役会におけるグループ販売会社出身の人材の方々の割合ですとか、独立性の不十分性の指摘ですとか、あるいは運用関連業務の経験者が少ないという課題の指摘ですとか、そういったものについて載せさせていただいていますし、公募投信の新規設定の本数、それからESGのほうの動向についても示させていただいています。

 続きまして、17ページ目以降はリテラシーでございまして、18ページ目には、一部関係機関・団体の連携等々について、中間整理でおまとめいただいたことを記載させていただいていますが、19ページ目以降では、少し中間整理自体にもまとめておりますが、13年4月以降、金融経済教育研究会報告書、例えば20ページ目以降にも載っています、生活スキルとして最低限身につけるべき金融リテラシーとしての4分野15項目の内容の整理ですとか、あるいは、その課題に取り組む上で、6月には金融経済教育推進会議、こちらのほうもセットアップされ、有識者、金融関係団体、金融広報中央委員会、関係省庁から成り立っていまして、こうしたところを中心として金融リテラシー・マップ、これは別紙の2のほうで21ページ目ですけれども、の内容を年齢層別に具体化・体系化しております。中間整理のほうでも、学生それから社会人、それぞれ職域等々の取組が大事だということも示させていただいていますが、例えば21ページ目の金融リテラシー・マップで言いますと、年齢あるいはそれぞれの属性に従って具体化・体系化がされておりまして、これらに基づく取組を進めようとしているところだということです。

 具体的な取組としては、22ページ目以下でございまして、金融庁・財務局であれば、こうしたコンテンツや、あるいはオンライン事業への対応と、22ページ目でございます。こうした取組、これは一度、市場制度ワーキング・グループでもお示ししている資料かと思いますが、こうした対応をしておりますし、23ページ目で言いますと、金融広報中央委員会、金融関係団体において、それこそリテラシー・マップなどにも沿いながら、金融経済教育に関する取組が、それぞれ行われているかと存じます。基本的に教材作成・提供、出張講座、それから23ページ目でございますが、情報発信ということが基本の活動と各団体ともになっておりまして、学生向け、社会人向けと、それぞれ行っている形となっているかと存じます。

 続きまして、24ページ目のほうには、新学習指導要領における金融経済教育に関する記載ということで、こちらは、いわゆる教科書にどう載ることになってきているか、同時に、方法が確立されていないため内容に差が生じてしまうといった課題も指摘されている点について記載しております。25、26ページ目でも、金融リテラシー調査、こちらは金融広報中央委員会が調査されているものですけれども、少し数字を使いながら、金融教育の効果を年齢階層別に見ると、受けた方、受けたと認識されている方のほうが正答率が高いですとか、あるいはこれは他の金融機関や商品と比較した人の割合というふうに定義した上でですが、金融教育を受けたと認識している人のほうが望ましい金融行動を取る人の割合が高いということになっていようかと思っております。このアンケート調査については、これも16、19、22年になされているものかと存じます。

 26ページ目で言いますと、つみたてNISAの利用が伸びて、こうした金融経済教育の充実に向けた取組もあって変化も見受けられる一方で、金融リテラシーに関する調査結果や家計の金融資産の構成に大きな変化が見られないということを記載しております。リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査と、こちらのほうは金融庁で2021年6月30日に公表しておりますが、資産運用に関する知識がない、購入・保有することに不安を感じる等々について挙げられています。金融リテラシー調査で言いますと、やはりその商品性を理解せずに導入した人の割合というのが3割等々と、商品によって異なる部分もありますけれども、そうした値も出ていまして、その商品性を理解せずに購入している人がかなりの割合でいるということかと存じます。

 続きまして、27ページ目以降は、3本柱のうちの成長資金の円滑な供給ということで、中間整理では諸論点、取組についてまとめていただいております。ここでは、中間整理でまとめていただいたものについて、現在の進展や見込みなどを示させていただいております。例えば非上場株取引円滑化につきましては、今、金融庁のほうでも、関係団体などとも協力しながら、制度改正について検討を進めております。投資信託への非上場株式組入れについては2023年3月までに結論、それから東証ベンチャーファンド市場ということであれば、2022年3月に一度、制度の改正も行われておりますが、同市場の健全な発展に資する観点からのパブリックコメントなども実施しています。IPOプロセスの見直しで言いますと、基本的に日証協様のほうで報告書等々まとめられ、これに基づいて進展がなされておりますが、同時に関係機関、日証協様自体、それから東京証券取引所等々においても、初値形成時の成行注文の在り方なども含めて御検討が進んでいると理解しております。ダイレクトリスティングで言いますと、年内に結論を得た後に、東証規則の改正に向けて手続を進めるということでしょうし、M&Aで言いますと、こちらも日証協様のほうで従来より御検討がなされてきているところと思いますが、2023年3月までに結論を得た後、手続を進めると理解しております。

 30ページ目、31ページ目は、市場インフラのところでございまして、30ページ目で言いますと、中間整理の内容で、PTSの売買高上限等の在り方については、こちら、市場間競争を促す観点から売買高上限の緩和を引き続き検討することが考えられる、ということを記載しております。それから、その他取引情報の公表等についても引き続き検討ということになっております。それから非上場有価証券等の取引プラットフォームについては、柔軟化・迅速化等と並行して取扱いの対象となるものが一般向けになりますので、自主規制機関が関与する形での適切性の確認などの枠組みを構築していくということになっておりまして、31ページ目のほうは、PTSの状況ですとか、こういったものはもう市場制度ワーキング・グループにおいて御提示もさせていただいているところですけれども、今後の議論ということで1枚載せさせていただいております。

 ですので、末尾のほうでお話しました成長資金供給、それから市場インフラの機能向上のところというのは、今後、当然10月、11月となってこようかと思いますけれども、市場制度ワーキング・グループのほうでということになろうかと存じます。それよりも前のほうの顧客本位ですとかリテラシーの話というのは、顧客本位タスクフォースでということになろうかと存じます。

 33ページ目で言いますと、こちらが本日、御議論いただきたい事項でございまして、経済財政運営の改革の基本方針2022では、本年末までに資産所得倍増プランを策定することとされているということでございます。中間整理を踏まえ、市場制度ワーキング・グループ及び顧客本位タスクフォースで、成長と分配の好循環の実現に向けた具体的な対応策の検討を進めるに当たって、以下のポイントを含め、どのような点について検討していくべきかということでございます。家計による安定的な資産形成を促し、資産所得を増やしていくためには、販売会社やアドバイザーが顧客本位の販売・情報提供やアドバイスを行うとともに、資産運用会社が自らのガバナンスを強化し、プロダクトガバナンスの確保や運用体制の強化等を行うことが重要である、こういった点についてどのような取組を行うべきか。また、家計におけるリスク性金融商品に関する理解が進んでいないとの指摘があるところ、ライフステージに応じた安定的な資産形成を行うための金融リテラシーの向上に向けてどのような取組を行うべきか、それから成長資金の円滑な供給については、関係者が連携して中間整理に記載した施策の検討が進められているところであるが、これまでの施策に加え、今後どのような取組を行うべきか。それから市場インフラについては、市場全体としての機能向上の観点から、金融商品取引所、私設取引システム(PTS)それぞれの機能発揮に向けて、中間整理で示された課題を含め、今後どのような取組を行うべきかという記載をさせていただいておりまして、本日、議論をお願いできればと存じます。

 私からの御説明は以上でございます。

【神田座長】  どうも御説明ありがとうございました。

 それでは、今の御説明を踏まえ、今後検討していく事項について、論点ですとか、それに関する御意見をお伺いできればと思います。

 今、御説明にありましたように、最後のページ、33ページに御議論いただきたい事項を書いていただいていますけれども、今日は再開後初回ということでもありますので、皆様方からは幅広く御発言をいただければありがたく存じます。

 いつものように、まず委員の皆様方から御発言をいただき、その後でオブザーバーの皆様方から御発言をいただく時間を設けたいと思います。

 また、冒頭、事務局から御説明いただいていると思いますけれども、御発言をいただける方には、大変恐縮ですが、オンラインシステム上のチャット欄に発言希望と入れていただきましたら、私から御指名をさせていただきます。そうしましたら、マイクをオンにして、ミュートをオフにして御発言いただき、御発言が終了したら、恐縮ですけれども、またミュートをオン、マイクをオフにしていただければと存じます。

 これもこれまでのやり方ですけれども、多くの委員の皆様方に御発言いただく機会を確保する観点から、御発言のお時間としては、大体割り算を致しますと、5分程度が目安になるかと思います。4分過ぎたところで事務局から、発言時間が残り1分である旨のチャットが御発言されている委員のみに送付されますので、発言時間の参考にしていただければと思います。

 それでは早速、委員の皆様方から、まず御質問、御意見等の御発言をいただければありがたく思います。御発言いただける方には、チャット欄に1行入れていただけるとありがたいのですけれども、いかがでしょうか。

 ありがとうございます。神作委員、どうぞお願いいたします。

【神作委員】  ありがとうございます。東京大学の神作でございます。事務局からの御説明、大変ありがとうございました。

 3点コメントさせていただきたいと思います。第1は、顧客本位の業務運営及びプロダクトガバナンスについてで
ございます。事務局からの御説明にもございましたし、また、資料3の投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について、及び添付いただいた資料4の資産運用業高度化プログレスレポート2022を拝見し、多数の重要なデータが示され、分析がなされており、大変勉強になりました。そこでは多くの課題が指摘されておりますけれども、一例を挙げますと、例えば仕組債には、そもそも商品性の問題があること。特に中長期的な資産形成を目指す一般的な顧客ニーズに即した商品としては、必ずしもふさわしいものとは考えにくいこと。また、想定顧客層を具体的に明確にせず、比較的広い範囲の顧客に対して十分な情報提供がなされないまま販売・勧誘されているといった販売体制の問題も指摘されております。これらの御指摘は、プロダクトガバナンスの実践や、顧客本位の運営というのが、まだまだ発展途上であり、また、特に適切な勧誘・助言や重要情報シートによる効果的な情報提供についても課題が多いということを示していると思います。金融庁は、好事例の比較分析等のポイントを考えられる事項について、顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイントとして取りまとめ、公表されておられますけれども、これらの好事例をも参考にしつつ、プロダクトガバナンスや重要情報シートの実効性を高め、顧客本位の業務運営がなされるように、さらに検討を進めていく余地があると思います。また、これまで顧客本位の業務運営の原則は、ソフトローとして策定・運用されてきましたけれども、基本的な部分については、法制上の整備も視野に入れて見直すべき場面もあるように思われます。以上が第1点でございます。

 続いて、第2に、金融リテラシーの向上についてコメントさせていただきます。金融広報中央委員会及び金融関係団体において、金融リテラシーの向上について既に熱心な取組がなされ、投資体験に着目した教材の作成や、金融経済教育に関する取組が実施されているほか、各金融機関も、金融経済教育に関する独自の取組を実施されているということで、大変結構と存じます。しかし、資料2のスライド23ページを拝見いたしますと、各団体及び金融機関が行っておられることの目的と対象には共通する部分がかなりあると思われ、実施する側にとっても、また参加する側にとっても、かなり重複感と申しますか、非効率があるように思われます。共通化できる部分については、統合することによって効率化を進めるとともに、さらに連携と協力を進めることによって、内容的にも、より豊かなものにしていってはいかがかと思います。

 第3に、市場インフラの機能向上について発言させていただきます。本ワーキング・グループの中間整理は、PTSについては、それを運営する事業者数は少数にとどまるほか、オークション方式の活用が進んでおらず、市場間競争を促す観点から、オークション方式に係る売買高上限の緩和を引き続き検討するとともに、不公正取引への対応や取引情報の公表等の義務づけについて検討を進めることを提案しております。方向性といたしましては、PTSについてのオークション方式の売買高上限を緩和し、市場間競争を促すとともに、金融商品市場、金融商品取引所の規制とPTSの規制がレベルプレイングフィールドになっているかどうかを検討し、市場全体としての機能が向上するような方向で競争がなされるような制度設計を考える必要があると思われます。中間整理において指摘されております不公正取引への対応や取引情報の公表のほかにも、例えばティックサイズの在り方なども論点になると思われます。ティックサイズが小さいことは、投資家にとって便利であり、市場の機能を高める可能性がある反面、過度に小さなティックサイズは、投資家に混乱をもたらし、市場機能をかえって損なうおそれがあること、また、市場間でティックサイズが異なることは、ゆがみを利用した利益を獲得するといった行動を促進するおそれがあることが指摘されていると承知しています。ティックサイズについて規制を導入している先進国も増加しております。呼値を含め、市場インフラの整備について、金融商品取引所とPTSについて、法規制を含めた規制の在り方を点検し、先ほど申し上げましたように、市場全体としての機能が向上するような方向で市場間競争を促すということを考えていく必要があると思われます。

 長くなりましたが、以上でございます。どうもありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、チャットをいただいております順番で、原田委員、佐々木委員の順番でお願いします。

 原田委員、どうぞお願いいたします。

【原田委員】  御説明、ありがとうございました。

 2点ございます。1点目は、33ページに挙げていただいている議論するポイントに関することです。大きなくくりから見ると、今までも議論してきたポイントであろうかと思います。例えば、家計に資産所得を増やすために何ができるかですとか、成長資金の円滑な供給のために今後さらに何ができるかといったところに関して、今までもいろいろと策を練り、実施してきたところでありますので、これからの議論を有効にするためには、これまでの取組の結果を具体的に数字で示していただけると、規制緩和などの取組が有効に機能しているかなどが見えてきて、参考になると思っております。例えば、規制緩和でこれだけの増加がありましたといったようなことを示していただくと、方向性が見えやすくなり参考になるはずです。ただ、数字で示すことに適さないものもあると思いますし、すぐには結果が出てこないということもあるかと思います。できる範囲で検討していただければというのが1つ目のお願いになります。関連しまして、統計数値は内容が変わらないほうがいいですので、できるだけ長期時系列で同じものを集めて出していただくということもお願いさせていただきたいです、1点目、要望になります。

 もう一つは、この市場制度ワーキング・グループというよりも、恐らく顧客本位タスクフォースで考えていただく際に御留意いただければと思うことです。販売会社、運用会社自らがガバナンスを強化して、プロダクトガバナンスの確保ですとか運用体制の強化を図るということは、書いていただいているように大事なことであります。今日の参考資料にもプログレスレポートを上げていただいていますが、いろいろな課題が追及されているところです。それで、例えば投資信託、運用会社の扱う商品の代表例ですが、幅広い投資家が参加していますし、顧客サービスには多大な費用も生じているものになります。販売会社にしても運用会社にしても、自ら顧客に提供するサービスの内容に応じた形で手数料を決めているはずです。自らの競争環境を意識して自ら決めるということは業界の発展のためにも顧客のためにも、よりよいサービスの提供のためにも必要な考え方であろうかと思います。顧客本位の運営の考えから信託報酬の削減を求める、コスト削減を促すというのは1つの考え方であろうと思いますが、業界の中での競争を意識して、運用会社自らが考えていく面というのもあると感じます。業界の中で健全な競争が働いていないとしたら改善を求めることになるのであろうかと考えます。

 例えばETFなどは最たるものだと思うのですけれども、プログレスレポートには一物多価の現状、本日もインデックス投信の一物多価というお話をいただきましたが、一物多価の現状についての議論があります。パッシブな運用商品について、どこまでが一物として考えられるのだろうかというのが、これはプロダクトガバナンスの観点からも少々疑問に思うところです。先ほど申し上げましたETFですと、市場の8割強が、中央銀行が金融政策の一環として持っているという形です。複数銘柄持っていますけれども、恐らくプログレスレポートの議論だと一物ということになるかと思います。ほぼ全てTOPIXに連動するETFですので。そうすると、では、これらのETFが一物だとすると、信託報酬の安いETFに乗り換えることができるかというと、現実的にはやはりできないと思います。会計基準によると、そこは売買処理をして、含み損益が確定してしまうから、金融政策として、より公平に持つということにしようと乗り換えることはできないのだろうなと思います。何が言いたいかといいますと、中身が同じだから一物という見方は1つの考え方ではありますけれども、現実には会計上は別のものとして取り扱っていたりする現状があります。少々各論的な話をしてしまいましたけれども、プロダクトガバナンスの議論をする際に、1つの視点として、業界の健全な成長のために何が必要かという視点での議論というものを御留意いただければと思いました。

 以上になります。ありがとうございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 1つ目の要望は、その方向で検討させていただきたく思いますが、島崎課長、いかがでしょうか。

【島崎企画市場局市場課長】  どうしたことができますのか、可能なことを考えてまいりたいと思います。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、佐々木委員、どうぞお願いいたします。

【佐々木委員】  ありがとうございます。

 私からは顧客本位の業務運営を中心に、少々意見を述べさせていただきます。経済成長の果実を家計に還元促進するという視点はよく分かるのですが、やはりこれまで、それがなかなか進まなかったということを踏まえると、今回、本当にそういうことを実効的に進めたいのであれば、繰り返しになってしまって、前にも申し上げたので恐縮なんですけれども、マクロ的な視点、あと目的の明確化、それから学術分析というのが必要だと思います。

 マクロ的視点については、例えば前にお話ししたのは税制ですが、いろいろな税金の控除があるわけですけれども、ただ、iDeCo、NISA増やすというのではなくて、個人から見たら様々な税金の控除があって、その中からいろいろな資産を組んでいくわけですから、やはりマクロ的なバランスというのも必要ではないかと思います。

 それから、あとはやはり、せめて所得別や年代別の預貯金や金融資産の動向を確認し、どこがターゲットであるかということを、目標を明確化したほうがいいのではないかと思います。例えば、簡単なものだと金融広報委員会のアンケート調査などがありますが、そういうものを見ても、実際、富裕層、所得の高い人は当然、証券投資とかをしている、金融資産を持っている額も大きいわけです。例えば、日本人全体の預貯金が50%以上あります、これが問題です、これを下げたいですといったときに、所得の多い人に、もっともっと投資してくださいという形にすることが、もしかしたらやり方としては、そういう率を変えるのに有効かもしれないと思います。しかし、今回の進めていらっしゃる様子を見ても、例えば金融リテラシーに力を入れていらっしゃるということは、やはりむしろターゲットとしては、これまであまり金融商品に縁のなかった層の方に、そういう成長の果実を還元できるようにということが目標であるようにも見えます。そうすると、やはりターゲットとして、どういった層を目標にしているかということで、やり方も変わってくるのではないかなと思うので、そこを少しはっきりさせて、ただ単に日本人全体の預貯金の率を減らしたいのか、それとも、こういう層の人に、ぜひもっとそういうものを持ってほしいということなのか、その辺をある程度しっかり確認した上で、どういった策が有効なのかを詰めたほうがいいのではないかと思います。

 このようなことを行うに当たって、もちろん今までいろいろ検証していただいているとは思うのですけれども、最終的にはいろいろな学術分析というのも必要だと思います。例えば、今回、金融リテラシーの効果について記載していただいているのは非常に参考になりましたし、意味があると思ったのですけれども、さらに、学術論文などを検索してみると、金融リテラシーについても分析されている方はこれまでにもおりますし、世界的な分析とかもありますので、やはりそういった視点も入れていくことで本当の効果を確認することができるのではないかと思います。そういうことは、中の方にやっていただくのは大変です。例えば、金融庁にも、金融研究センターがございますけれども、そういったところを活用するとか、研究している人にそういう分析を依頼するとか、委託するとか、そういったことも考えられるのではないかと思いますので、ぜひ、原田委員の検証とか、そういったお話にも関係すると思うのですが、そういった面を考えていただきたいと思います。

 もう1点、細かいことですけれども、金融運用業高度化プログレスレポートなどを見ていても、神作委員が御指摘の問題点なども、私も気になったのですが、それと加えて、やはり利益相反に関する記述も結構ありまして、今回、どういう形で取り上げられるのか分かりませんけれども、もしファイアーウォールの議論など進めるときには、そういったことも非常に参考になるのではないかと思いました。

 以上です。どうもありがとうございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 御指摘のうちの学術研究についても、できるだけ前向きに検討していただけると思います。

 島崎課長、よろしゅうございますでしょうか。

【島崎企画市場局市場課長】  承知いたしました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

【佐々木委員】  よろしくお願いします。ありがとうございました。

【神田座長】  ありがとうございました。

 それでは、チャットをいただいている順番で、次が有吉委員、どうぞお願いいたします。

【有吉委員】  有吉でございます。御説明どうもありがとうございました。

 金融市場の機能をよりよく発揮させるという観点から、引き続き社会経済の変化に合わせて制度のブラッシュアップを進めていくと、こういったことはとても重要だと思いますので、ぜひ進めていってほしいと思っております。

 そういった規制の見直しに当たっては、やはり様々な意味でバランスの取れた制度設計とすることが非常に重要であると常日頃考えております。そういった観点から、事務局説明資料33ページの項目とは必ずしも対応しない形で恐縮でございますが、私からは総論的なコメントを4点ほど述べさせていただきたいと思います。

 まず1点目は、家計からの投資の促進という観点から、リテール取引との関係で金融取引の信頼性を高めるといった目的で規制を強化するという方向性は理解できるところでございます。ただ、他方でイノベーションの促進とか金融取引の利便性といったことを過度に阻害しないようにするという発想も非常に重要なわけでございまして、特にプロ向けの取引への波及がないようにするという発想で規制の見直しを進めていくことが必要であると考えております。例えばということで申し上げれば、プロ向けの取引において、今後議論されるようなプロダクトガバナンスという観点からリテール取引に求められるような規律が、同じように義務づけられるということは必ずしも適切ではないと思いますし、また、市場インフラの観点につきましても、プロ投資家に限定されたような市場においては緩やかな規制で柔軟にプラットフォームが運営できるといった制度設計が望ましいのではないかと感じます。

 2点目でございますが、経済成長の成果の家計への還元促進というテーマにつきましては、今回の事務局説明資料でもそうですし、それからこれまでの本ワーキング・グループの議論でもそうだったと思いますが、基本的に家計ないし一般の投資家が直接、投資活動を行うといった場面を想定した内容であり議論になっていたと思います。ただ、経済成長の成果を家計に還元するということについては、間接的な方法で還元を行うという視点も重要なのではないかと感じます。例えば、これに限るものではございませんし、所管官庁の問題などもあるのかもしれませんが、企業年金の年金基金の受益者に対する責任の在り方とか、こういったことも経済成長の成果の家計への還元促進というテーマの中では議論してもよいのではないかと感じました。

 それから3点目でございますが、プロダクトガバナンスの観点でございます。事務局説明資料の中では、プロダクトガバナンスという項目について、主に投資信託を対象にしているように見受けられます。ただ、こういった発想というのは、ほかの仕組み的な商品、具体的にはリートだったり、仕組債だったり、組合型のファンドだったり、証券化商品だったり、あるいは投資性の保険商品などもそうかもしれませんが、こういった仕組み商品にも共通して妥当する考え方であると思います。このワーキング・グループないしはタスクフォースの場での議論の対象をどの範囲にするかということについては、私もよく分からないところもございますが、いずれにしましても、投資信託のことだけを念頭に置いてプロダクトガバナンスということを議論するのではなくて、仕組み商品全般に妥当し得る規律であるということを踏まえて、バランスの取れた規制を目指すということが必要と思います。プロダクトガバナンスに関連してもう1点、現状の顧客本位の業務運営に関する原則の中でも若干記述があるところではございますけれども、特に商品を組成する業者と商品を販売する業者、この両者が適切に連携して顧客のニーズに即した商品が組成されるという枠組みをもう少し制度的にうまく誘導していけないかということを検討するとよいのではないかと思います。

 それから最後、4点目でございますが、証券会社による助言サービスの規制の在り方についてでございます。今後議論されていく中で、実質的に顧客に不利益が及ばないようにするために注意義務を求めるとか、あるいは情報開示を拡充するとか、そういう形での、実害が生じるような取引や行為態様を抑止するための枠組みは必要なのではないかと思います。特に既に何人かの委員の方が別の文脈でコメントされていらっしゃいましたとおり、利益相反状況の開示などについては、これは助言サービスの場面に限らず、もう少し規制の枠組みを整理してもよいのかなというような感想も持ちました。ただ、一方で、証券会社が助言サービスを行うことによって、形式的に提供できる商品とか取引の範囲が限定されてしまうといったようなこと、具体的にはグループ会社が関与した商品を投資対象にするようなアドバイスというのは一切やってはいけないとか、あるいは、そういった場面には何らかの書面を顧客に提出してもらわなければいけなくて、手続的に非常に重い負担が生じるとか、このような規制は、かえって顧客の利便性を低くして、家計から投資への流れを滞らせてしまう可能性が高いように思いますので、慎重であるべきではないかと思います。こういった意味で、証券会社による助言サービスに対する規制の在り方についてもバランスを配慮して、その制度設計をしていくことが重要ではないかと思います。

 私からは以上でございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 御指摘の中で、プロダクトガバナンスを議論する際のおおむねその対象というのは、おっしゃるとおり投資信託に限られるわけではないと思うのですけれども、これまでどうしても投資信託は課題が多かったので、そこに焦点が当たっていたかと思いますが、ほかのものも併せてということと思います。

 それでよろしいですよね。

【島崎企画市場局市場課長】  はい。

【神田座長】  ありがとうございます。

 それでは、次へ進ませていただきます。チャットをいただいている順番で、次は野村委員、どうぞお願いいたします。

【野村委員】  野村でございます。どうもありがとうございます。

 私からは、顧客本位タスクフォースに関連しての質問とコメント、それから情報提供のデジタル化についての質問、そして市場インフラ機能向上についてコメントさせていただければと思います。

 まず、顧客本位タスクフォースですが、御説明にもありましたとおり、年末までに資産所得倍増プランを策定するとされております。また、通常、法改正を要するような内容については、年末までに取りまとめることを目指すのではないかと理解しております。これを踏まえますと、3点ほど質問がございます。

 まず1つ目ですが、タスクフォースは、いわゆる最新動向のキャッチアップや知見の向上といったことが主眼ではなくて、集中して具体的な議論を行う場という理解でよろしいでしょうか。

 2つ目ですけれども、もしこの理解でよいといたしますと、7ページに挙げておられるように、勧誘・助言、プロダクトガバナンス、金融リテラシーの向上、これらはいずれも非常に重要かつ広範なテーマですが、この3つの全てを扱うということなのでしょうか。

 3つ目ですけれども、テーマによっては、恐らく異なる見解が存在するのではないかと思います。そういたしますと、実際のところ、年末までに具体的に何を実施し、そしてその先の道のりをどのようにつけていくのか、この辺りについて御教示いただければと思います。

 顧客本位タスクフォースに関連してのコメントですけれども、資料の11ページ、12ページに引用していただいておりますチャールズ・シュワブ、それからエデルマン・ファイナンシャル・エンジンズという会社がありますが、チャールズ・シュワブについては、成長というものへの揺るがぬ信念に裏打ちされた経営が特徴的と理解しておるところです。顧客の資産を成長させて自らの成長も目指すというのは、資料に書いておられるとおりですが、投資先への成長、要すれば、アメリカ経済の成長を信じ、また、長期にわたり、結果的には基本的に信じたとおりになったからこそ今があると言えるかと思います。エデルマン・ファイナンシャル・エンジンズも、創業者の理念に基づき、利益相反のない経営を目指すと、これは資料に書かれているとおりなのですけれども、名前にありますファイナンシャル・エンジンズ、こちらは、もともとは401Kプランのオンライン投資アドバイスを提供する会社として始まったものです。言うなればロボアドの先駆者であり、生き残りだったわけですが、たしか4年ほど前だったと思いますが、エデルマンと合併した。また、合併させたのはファンドだったという経緯です。つまり事業としてこういった取組を行い、生き延びるというのは、これは決して容易なことではないということが見てとれます。今まさに日本でも、勧誘、投資助言ということについては、新しい取組が進められているところです。プローカレッジやプロダクト販売からコンサルティング、ポートフォリオ運用サービスといったようなものへのシフト、こういうことが起きております。制度整備の観点から仮に理屈が合っていたとしても、顧客である個人の観点から不便になってしまう、あるいは意味がよく分からないといったことになる、また、サービスを提供する側のビジネスの観点から見合わないといったことになってしまいますと、結果的に制度は使われず、新しいサービスが進展することもないということになりかねません。現在の取組が撤退してしまう、あるいは後退してしまうというのは最悪の事態ですので、これは絶対避けねばならないと思います。時代の変化と時代の要請に現在の法制を追いつかせるというプロセスは、ステップ・バイ・ステップかもしれませんし、挑戦・変化を認知した上での議論をする必要があると思います。

 金融リテラシーについては、資料にもありますとおり、関係団体の連携等は既に進められております。次のフェーズに行く必要があると思います。学校教育の現場で教員の方々をどう支えるのか。また、社会人については、職場を具体的にどのように巻き込んでいくのか。金融庁の税制改正要望では資産形成に関する費用の法人税額控除といった提案も盛り込まれておりました。税は後押しにはなると思います。ただ、それだけでは本格的な変化は起きない。いろいろな取組が必要と存じます。

 情報提供のデジタル化ですけれども、顧客への情報提供の充実に含まれるデジタル化について、その後どのような状況になっているのかを教えていただければと思います。中間整理では顧客同意の要否、意思確認の方法、書面が可能であることの周知方法、書面交付のコスト負担の在り方、その他の顧客保護措置、業界全体への周知の在り方、要するにいろいろな検討事項が挙げられております。ただ、これは顧客の利便性を高めるためのものであると理解いたしますので、結果的に手続の上乗せになるようなことは避けたい、その点大丈夫なのかと思ったりもしております。

 最後に、市場インフラ機能についてでございます。PTSのシェア、上限、これは非常に重要な論点になるだろうと思います。また、価格発見機能をどうするのか、上場審査や売買の監視機能といったものをどうするのか、これは30ページに言及されているわけですけれども、PTSのビジネスの観点から対応可能なのかといったことも含めて、併せて煮詰めていく必要があると思います。また、地方証券取引所の役割をどう考えるのか。東証への一極集中というのは現実問題としてあるわけですが、災害時などのレジリエンスをどう考えるのか。そして非上場株式の流通について、決済制度のインフラといった問題はどう考えればいいのか。こういったことが論点としてあるのかなと思いました。

 私からは以上です。どうもありがとうございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 幾つか御質問があったと思いますのでお願いします。

【島崎企画市場局市場課長】  ありがとうございます。

 顧客本位タスクフォースに関しましては、御指摘のとおり、中間整理でも検討ということになっています、販売・助言サービスの対応に応じた適切な制度ですとか、あとはデジタルツールも活用した情報提供の充実ですとか、リテラシーですとか、こうした課題について集中的に議論いただければなと今の段階で考えていますし、当然、その他、検討を要することについても含まれていくものだと思っております。

 2番目が先に来てしまいましたけれども、こうしたことについて集中的・具体的に検討していくということで、プランとの関係や、法制化の関係は大丈夫なのかという御指摘をいただきましたが、そこのところは事務局として、2番目の質問にも通じますけれども、どうした形で制度の具体的な形をつくっていけばいいのかについての素案も考えていかなければいけないと思いますし、それについて集中的に御議論いただいて、それぞれ適切なタイミングで物事がなされていくようにしてまいりたいと思っております。

 2番目のデジタルにつきましては、御指摘のとおり幾つか考えなければいけないポイントで、意思確認の方法ですとか、あるいは選択可能であることの周知方法ですとか、あるいは顧客保護措置と、あるいは情報提供のデジタル化に関する全体としての周知の在り方等あると存じていまして、この夏の期間等々、事業者の方々ですとか、そういった方々にも現状ですとか、あるいは手法等々について伺ってまいりましたし、何よりも、もちろん顧客の方々の利益ということを情報提供の質の問題と併せて考えていかなければいけないということで関係の方々にもお話などを伺ってまいりました。今そういう過程でございまして、顧客本位タスクフォースのほうに、御議論いただく際には材料も提供させていただこうと思いますし、それから顧客本位タスクフォースにおいて議論をいただきまして、しかるべき報告書というのがまとまった後には、前回の最良執行の話もそうだったと存じますけれども、市場制度ワーキング・グループの場でもご意見というのをいただくということになると思いますのでよろしくお願いいたします。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 私からも、顧客のタスクフォースのほうでの御議論というのは、場合によっては途中の段階でも、こちらの市場制度ワーキング・グループの委員の皆様方には、必要に応じて情報を提供して個別に御感触を伺ったり、あるいは、なかなか難しいかもしれませんけれども、このワーキング・グループの会合での御報告をいただくなど。もちろん、そちらのほうで取りまとめがされれば、それはこのワーキング・グループに御報告いただいた上で、このワーキング・グループにて委員の皆様方からは十分に御意見等をいただくようにしたいと思っておりますが、そんなことでよろしゅうございますでしょうか。

【島崎企画市場局市場課長】  はい。

【神田座長】  そんなところでよろしゅうございますでしょうか。

【野村委員】  はい。どうもありがとうございます。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、松尾委員、どうぞお願いいたします。

【松尾委員】  ありがとうございます。

 私からは、経済成長の成果の家計への還元について申し上げます。家計への還元については、資産運用の高度化、とりわけ運用力の向上というのが不可欠であると思います。資産運用会社の運用力の向上は、本来は、運用成果による業者間の競争を通じて実現されるべきものであると思いまして、法制度の役割というのは、そのような競争を阻害する要因を取り除いて競争を促進することにあると考えております。このような考え方からしますと、資産運用成果による競争がうまく機能していないところを見ていくことになるかと思います。そのような場面として、まず、これはプログレスレポートで、プロダクトガバナンスの問題として取り上げられていることに関係するかと思いますが、資産運用会社が、顧客の望む商品よりも、その販売会社が売りたい商品、あるいは売りやすい商品を優先して組成してしまっているのではないかということがあるように思います。顧客である投資家の利益ですとかニーズにかなう運用商品が提供されなければ、そもそもその運用力による競争というのは機能をしないことになるように思います。同様の問題は、資産運用商品の販売会社が、運用成果以外の要素によって、自社で販売する商品を選択しているという場合にも生じるように思います。仮に運用力の高い運用会社があったとしても、その会社の商品の販売チャネルが限定されますと、顧客である投資家に届きにくいという状況になってしまいまして、運用成果による競争というのがやはり機能しなくなるのではないかと考えております。さらに、これはプログレスレポートの末尾のほうのコラムで触れられているところで、先ほど有吉委員からも御発言があったところですけれども、企業年金の運用の委託の場面でも同じような問題があると指摘されているように思います。プログレスレポートでは、運用成果に基づく運用業務委託先間での競争原理の強化ということが課題の1つとして示されておりますけれども、このことは、企業年金の運用委託先の選定において、現状では運用成果以外の要素の影響が大きいということを示唆しているように思いました。今、申し上げたような場面は、もちろんほかにもたくさんあると思いますけれども、そういった場面で運用成果による競争を働かせるための施策というのを具体的に考えていくことになるかと思いますが、まずは、その前提として、何かしら根本的な規範のようなものとして、資産運用に関わる様々なプレーヤーが、顧客である投資家ですとか、年金の場合は加入者の利益を最優先に行動すべきこと、これを法律上の義務として定めるということも検討されてよいように思います。

 もう一つ、運用力による競争の促進という観点からは、情報開示の拡充も検討すべきであるように思います。具体的には、先ほどからも出ておりますが、顧客と業者の利益相反に関する開示、これは現に生じている利益相反状況の開示だけではなくて、顧客が各プレーヤーの利害状況を把握するために必要な情報、例えば、ある資産運用商品について顧客が支払うこととなる手数料ですとか報酬というのが、どのプレーヤーにどのように帰属するのかといった情報を開示した上で顧客が商品を比較検討できる、選択できると、そのようにすべきでないかと考えております。

 最後に、資産運用会社や運用商品の選択をする顧客の側のリテラシーの向上というものも、また欠かせないと考えております。とりわけ貯蓄から投資への移行を促すためには、なぜ貯蓄だけでは十分でないのかという点について家計の理解を深める必要があるのではないかと考えております。

 以上です。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、福田委員、どうぞお願いいたします。

【福田委員】  ありがとうございます。

 事務局から丁寧な御説明及び資料をありがとうございました。あと補足資料も、いろいろなエビデンスが載っていて非常によかったとは思います。私からは大きく分けて1つのコメントをさせていただきたいと思います。

 マクロ的に見れば成長と分配というのはセットで、成長すれば分配されるということにはなるとは思います。けれども、ミクロ的に見ると、やはり成長と分配というのはかなり違うタイプの問題を様々にはらんでくるということだと思います。そういう意味では、成長させるには大口の資金をどううまく運用するかということが大事になってくるわけです。けれども、分配という意味では様々な人たちがいて、所得が、あるいは資産が必ずしも多くない人にも、どう分配させていくかということが重要になってくるということだと思います。そういう意味では佐々木委員がおっしゃったように、想定顧客をどういうふうに考えるかということによっても議論は違ってくると思いますし、そういう意味では、どういう顧客をターゲットにしているのかということを明確に議論していただくというのは大事なのかなとは思います。

 それに関連して、ライフステージに応じた資産形成を行うための金融リテラシーの向上という形で議論していただきたいという話が出ていましたけれども、私が今日、御用意いただいた資料で1点だけ驚いた資料があります。25ページの金融リテラシーの成果に関する図ですが、金融教育を受けた人が限定的だというのは前からお示しいただいていたのですけれども、今回お示しいただいたもののうち、年齢別の金融教育の効果というものの表は、私にとっては非常にショッキングなデータでした。どういうことかというと、もちろん各年齢層で受けていない人と受けた人では、正答率が受けた人のほうが多いというのはそのとおりですけれども、これを見ると、高齢者は受けていない人であっても、あらゆるその他の年齢層に比べて、正答率が突出して高いということが分かります。受けた人はもちろん77%以上の正答率あるのですけれども、金融教育を受けていない人も64%の正答率があって、これはほかのあらゆる層の金融教育を受けた人の正答率を上回っているということです。逆に言えば若い人たちは、金融教育を受けても正答率が高くない傾向があって、その辺りはやはり、もう少しライフステージに応じた金融教育、あるいは何をターゲットに金融教育をすべきなのかということの1つの大きなヒントになります。また、金融教育を受けなくても、高齢者はこんなに高い正答率を得ているわけですから、そういう意味では何がそれにつながっているのかという分析もやはり必要です。恐らく若い人は資産もなくて、そもそも関心がないので、金融教育を受けてもあんまり身につかないのかもしれないですし、高齢者は金融教育を受けていなくても実際に運用しているので、運用会社による助言なのかどうかも分かりませんけれども、本人が関心が高いということもあって非常に正答率が高いのかもしれません。いずれにしても金融教育一本足打法ではなくて、やはりなぜ高齢者がこれだけ正答率が高くて、若い人が正答率が低いのかということも含めて、今後いろいろな形で分析していただくということが重要なのではないかと思います。

 以上です。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に、森下委員、どうぞお願いいたします。

【森下委員】  ありがとうございました。

 私からは、4点ほどお話をさせていただきたいと思います。まず1点は、顧客本位との関係で販売会社及び運用会社の責任ということに関してです。この点についてタスクフォースを設けて集中的に御議論をされるということは大変いいことではないかと思っています。その際に、それに関連して3点ほど申し上げたいと思います。

 まず1点目は、販売会社の責任ということを考える際に、今日いただいた資料では投資信託にフォーカスが当たっているように思いますけれども、運用といったときには投資信託以外に、株やその他のものの占める割合というのも非常に多いわけですから、投資信託に限らない幅広い金融商品の販売ということについて検討していただくのがいいのではないかと考えております。また、運用会社のところにはガバナンスということに関する言葉が結構強調されて出てきているのですけれども、やはり販売会社が抱える様々な問題の原因もガバナンスというところにあるのではないのかなと思っています。資料でも、本来であればリスクの高い商品が販売されるということが問題事例として挙げられていますけれども、なぜそういうようなことが起こるのかというのは、やっぱり顧客の利益よりも自分たちの収入というものをどうしても重視しがちで、そういったようなものを助長するような体制というものがあると、そういうような行為が出てくると思いますので、やはり販売会社のガバナンスというものは、1つ大きな軸として御検討いただくのがいいのではないかと思っています。

 2点目は、運用会社に関してです。運用会社のガバナンスなどについて御検討をするということが挙げられていますけれども、やはり運用会社が顧客の利益を最大限に実現するために一番大事なことというのはパフォーマンスだと思います。とにかくパフォーマンスの上がる商品をしっかりと提供できることということだと思います。その観点からは、これはタスクフォースの話ではないのかもしれませんけれども、運用会社のパフォーマンス向上のためにどういったことが考えられるかというのは、このワーキング・グループでも以前に議論になったことがあるかと思いますが、そういった視点というものは、やはり大事にしていかなければいけないのではないかと思います。

 あとは3点目ですが、販売会社と投信との関係などで、特にその販売会社と運用会社の関係というのが必ずしもうまくいっていないのではないかというような問題意識というものがあるように思います。タスクフォースなどでは、そういった販売会社と運用会社の間の望ましい関係と、相互にどういったようなことを連携して、あるいは役割分担として実施するのがいいのかということを具体的に御検討いただくということが必要なのではないかと考えています。

 次に、必ずしもその運用会社・販売会社ということではなく、顧客が投資しやすくなるような環境をつくっていくという観点から、2点、申し上げたいと思います。

 1点目は、新しくつくった金融サービス仲介業の制度というのは、やはり顧客がいろいろな金融商品に、自分のニーズに応じた投資をしやすくするようにしようと、必ずしも業界縦割りではなく顧客の側に立ったプレーヤーを新たに新設することによって投資しやすい環境をつくろうというようなことがあったと思うのですけれども、必ずしも十分には利用されていないと理解しています。そういうような状況が続いているのであれば、この際に、例えば取り扱う商品、あるいは役割、担当する部分、あるいは情報、そういった点で少し考え直してもいいのではないかと思います。

 あと、重要情報シートに関してです。重要情報シート、今は商品の説明などをそこでしていると思うのですけれども、金融商品をめぐるトラブルで多いのは、顧客ニーズの理解だと思います。本来であれば、単に商品を説明するだけではなく、販売業者が顧客のニーズをどのように理解しているか、そしてなぜこの商品を勧めるかということが記録として交わされるようなシステムが必要ではないかと思います。

 最後です。少々時間が長くなって申し訳ありませんが、リテラシーの部分です。金融リテラシーということが言われますが、どちらかというとライフマネジメントリテラシーで、金融に限った話ではないと思います。金融機関以外のいろいろなことも含めて、どう長い人生をマネージしていくかということですので、金融庁だけの金融教育ということではなく、政府一体として進めていただくというのが非常に重要であると思います。

 また、若い人については、大学ですとか、高校ですとか、そういうようなところで教育をするということもあると思いますが、高齢者の方々、必ずしもそういうような機会がない方にとっては、金融リテラシーを高めるいいチャンスというのは、金融機関に来て、投資をしようといって金融業者と接している場面、そこの会話の場面というのがいいチャンスだと思います。したがって、金融機関、販売会社など、顧客と接するプレーヤーの皆様に、金融リテラシーの向上に際して重要な役割を果たしていただけるような枠組みを考えていく、あるいはそのような御努力をいただくということが大事ではないかと思います。

 長くなりまして申し訳ありませんでした。

【神田座長】  いえいえ、どうもありがとうございました。

 それでは、次に、井口委員、どうぞお願いいたします。

【井口委員】  ありがとうございます。

 意見というほどのものでもないのですが、コメントを簡単にさせていただければと思います。まず、事務局の御説明、ありがとうございました。今後の議論の深め方などに関しましては、事務局案に賛同いたしたく思います。あと、御議論をいただきたい事項に関しましては、中間整理との比較で、社債市場の活性化の項目が中間整理ではあったのですが、こちらではないということが少々気になりました。御存じのように非上場企業でも、株式や借入れだけではなくて、一定規模になると社債を発行するということがありますので、ここにある成長資金の供給の議論の中にも含まれ得る事項にはなるのではないかと思っておりますが、特に今後の議論においては、スタートアップ企業に焦点を当てられているということで、資料の項目の中に入っていない、そして、優先順位がこちらに掲げていらっしゃるほうが高いというふうに理解しております。ということで、全般的に今後の議論の深め方、内容につきましては賛同いたしたく思います。

 本日は、簡単ですが、以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 御指摘いただいた点も非常に重要な点だとは思いますけれども、いろいろと御議論、御審議いただきたい点がたくさんあって大変恐縮ですが、その点も認識したいと思います。

【井口委員】  了解いたしました。ありがとうございます。

【神田座長】  ありがとうございます。

 それでは、続きまして、松岡委員、どうぞお願いいたします。

【松岡委員】  皆様の整理や、あと御説明、興味深く拝聴いたしております。どうもありがとうございます。

 主に今後の議論に関連して、少しだけ発言をさせていただきたい次第ですが、まず、様々な企業にとって、多様で機動的かつ柔軟な資金調達手段が存在し、それにアクセスがあるということが重要で、そのことを通した企業の成長が経済や金融市場の発展の要となるものと思っております。特に現在の世界の経済・政治、そして競争環境などが非常にダイナミックに変化する中で、それらに対応、あるいは備え、発展的な技術やサービス、ビジネスなどへ投資する意義や重要性は増しているかと存じます。そういったことが日本企業の成長を目指す上で肝要かと思う次第です。

 他方、そのためには、投資家、運用の専門家が、日本においてさらに裾野が広がり高度化することが重要と考えており、金融機関、また御関係の方々において、その促進が図られることに期待したいと思っております。洗練された目利き力や高度な運用能力、そしてそれに対するリワードがあり、健全な競争が確保され、投資と運用が表裏一体として機能することにより、経済成長や金融市場の発展があり得ると考えております。また、家計において、必ずしも効果的な資産運用につながらない要因として、他の委員の方からも御指摘があったとおり、成長に対するイメージが持ちづらいことが挙げられるかと思います。それは今申しました点の重要性を裏づけていると思います。

 さらには、実際のところ、どのような金融機関がどういった性質やリスクプロファイルの商品を扱っており、また、そのライフステージや投資目的によって、それらをどのように考えたらいいのかが、現実になかなか分かりづらいことも挙げられると思っております。企業の年金の運用などにおけるチャレンジも視野に考えますと、個人においてはさらに大変な状況なのではないかと想像いたしますので、そういったことも視野に取り組まれていかれることも期待したい次第でます。

 以上です。

【神田座長】  松岡委員、どうもありがとうございました。

 これで今日、御出席の委員の皆様方全員の方から御意見、御発言をいただきました。どうもありがとうございました。

 それでは、オブザーバーの方々で、もし御発言がおありであれば承りたいと思います。やはりチャット欄に、発言いただける方には発言希望と一言を入れていただけましたらありがたく存じます。いかがでしょうか。

 ありがとうございます。国際銀行協会の平山さん、お願いいたします。

【平山オブザーバー】  発言の機会をいただきましてありがとうございます。国際銀行協会の平山と申します。

 3点述べさせていただきます。1点目、顧客本位の業務運営についてです。今後、投資助言業務の制度全体の検討がなされると理解いたしました。この際、付随業務である情報提供業務の見直しも検討されることになるかと存じます。この点、投資家が、金融商品取引業者等から受けることができるサービスの種類について、簡潔で分かりやすい環境整備が行われることが大切だと思っております。証券会社は何を提供しているのか明確に開示し、それに沿ったどういうサービスがあるのか、明確になっている必要があると思います。一方、投資家も、自身が投資商品を求めているのか、単にリサーチセールスのような銘柄推奨だけを望んでいるのかを明確にして、そしてそれに沿った選択をする必要があると思います。他国の実務から大きく乖離することがないよう議論を進めていただければと存じます。

 2点目、金融リテラシーについてです。資産形成に資する教育等の実施は大事だと思います。教育を資産運用の入り口と位置づけるのであれば、実際の投資行動が出口に位置づけられると思います。このことから、出口の充実は、リテラシー向上にも貢献すると思います。安心して、かつ長期間投資をできる制度であるNISA、iDeCo、そして、これまで議論されてこなかった日本版の401Kの制度を拡充することが、結果的にはリテラシー向上につながると思います。ぜひ、この出口の議論も検討していただければと存じます。

 最後に3点目、市場インフラ機能の向上についてです。資料の30ページ、そして本日御議論から、今後はPTSの売買高上限等の在り方が議論されると理解しております。売買高上限が緩和され流動性が高まれば、適正な市場間競争も高まり、投資がその恩恵にあずかることができます。このような市場環境に向けて体制整備をしていくことが肝要であると思います。もっとも、流動性の増加に伴い、不公正取引も増加することは好ましくありません。資料に御記載のとおり、売買審査体制も併せて御検討いただけると幸甚です。また、未上場株、証券トークン、外国株式等の各商品を扱えることは、市場インフラ機能向上の一助になると思いますので、特定の商品に特化したPTSが参入することも想定されます。今後、そういった参入に際しての分かりやすいルールづくりと同時に、投資家保護とのバランスを考慮した体制整備が必要だと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、全国銀行協会から宮下さん、どうぞお願いいたします。

【宮下オブザーバー】  ありがとうございます。全国銀行協会の宮下です。本日は、オブザーバーとして発言の機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 本ワーキング・グループで掲げられました「経済成長の成果の家計への還元促進」について、顧客本位の業務運営の確保、並びに金融リテラシーの向上の両輪を回していくことが必要であるという点は、全くそのとおりであると理解しております。我々銀行業界が果たす役割も非常に大きいと考えているところです。

 それらに関連して、3つの観点でコメントをさせていただきます。

 1つ目は、顧客本位の業務運営についてです。金融商品の販売・助言や商品開発、資産管理、それから運用等の各段階に関わる全ての金融機関が、それぞれの役割を十分に認識した上で、適切にサービスを提供していくことが重要であると考えています。こうした取組によって、お客様の金融商品に対する理解が深まるとともに、金融機関に対する信頼が高まることも期待され、「貯蓄から投資へ」という政府の目指す方向性にも合致するものと認識しております。一方で、一律の規制や過度な規制強化によって、提案する金融機関と運用するお客様が、必要以上にリスク性資産を避けてしまうことは本意ではないと考えております。むしろ、顧客本位の業務運営にのっとり、経験やリスク許容度等を踏まえた適切な適合性の判断と、お客様のニーズに応じた最適な提案を行うことが重要ではないかと考えているところです。

 続いて、金融経済教育については、日証協の皆様と結びましたMOUにのっとり、コンテンツの作成やセミナーの開催等を行っております。現状、民間企業や各団体が独自の取組を行っておりますが、政府の旗振りの下で、これらの取組みが連携されれば、全国民の金融リテラシー向上につながるものと思います。また、実際の投資促進につなげていくためには、インプット中心の教育のみならず、投資体験などのアウトプットを意識した実践的な教育を行うことも重要ではないかと考えております。

 最後に、ファイアーウォール規制に関連して、少しコメントをさせていただきます。ファイアーウォール規制の見直しは、中間整理に明記されている上、政府の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」でも今後の検討事項として掲げられており、今後、本ワーキング・グループの中で議論されるものと認識しており、これらは顧客本位にもつながるものと理解しております。顧客本位の業務運営には、お客様が求める金融サービスを適切に提供することが求められますが、情報授受規制や外務員二重登録禁止規制が見直されれば、多様なお客様の潜在ニーズにお応えし、最適な資産形成に一層貢献できるようになると考えております。私どもとしては、お客様に安心して御利用いただける管理体制を構築しながら、総合的な金融サービスの提供を通して顧客本位の業務運営を強化し、お客さまの最適な資産形成に貢献してまいりたいと考えております。また、その他のファイアーウォール規制に関連する課題についても、スタートアップを含む企業の資金調達の円滑化を介して、資本市場の活性化につながるものと理解しており、次回以降、全ての残課題について議論が行われることを期待しております。

 いずれにしても、本協会としては、このワーキング・グループ、あるいはタスクフォースの議論に積極的に貢献してまいりたいと思います。ありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に、日本証券業協会から荻野さん、どうぞお願いいたします。

【荻野オブザーバー】  まず、オブザーバーとして発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の論点について4点、そして今、全国銀行協会からご発言のあったファイアーウォールの件についてコメントをさせていただければと思います。

 まず1点目は、顧客本位の業務運営の確保に向けた取組みについてでございます。勧誘・助言に関する制度的枠組みについては、顧客本位の業務運営に関するこれまでの取組みを踏まえ、現行の法規制で足りない部分があるのであれば、その問題意識を顧客にも販売会社にも分かりやすい形で整理した上で、必要最小限のルール化の議論を進めていただきたいと思います。先ほど、アメリカの証券ビジネスの事例が紹介されましたが、アメリカではビジネスの面でも規制の面でも、お客様への影響を最大限考慮しながら、長い時間をかけて現在の形がつくられてきたと認識しております。翻って我が国においても、顧客の最善の利益のために新たな枠組みを検討するのであれば、中間層の資産所得倍増に影響が生じないような制度設計をお願いしたいと思います。

 2点目は、金融リテラシーの向上に向けた取組みについてでございます。我が国の金融リテラシーの現状を踏まえると、中間層の資産所得倍増のためには、NISAの抜本的拡充等の税制措置とともに、国家戦略として公的な資産形成の教育・相談機能の拡充が必要と考えます。8月31日に公表された「金融行政方針」においても、「国全体として、中立的立場から、資産形成に関する金融経済教育の機会提供に向けた取組みを推進するための体制を検討する」との方針が示されていることを歓迎し、評価したいと思います。本ワーキング・グループ及びタスクフォースにおいて、我が国の金融リテラシー戦略の検討を進めるに当たっても、こうした方向性と軌を一にし、中間層の資産所得倍増のため、集中的・精力的な検討をお願いしたいと思います。

 3点目は、成長資金の円滑な供給及び市場インフラの機能向上についてでございます。「Ⅲ.の成長資金の円滑な供給」及び「Ⅳ.の市場インフラの整備」において、資料に記載をいただいているとおり、本協会としても、非上場有価証券等の流通市場の整備が必要であると考えております。PTSも含めた非上場有価証券等の流通市場全体について、取引実態に即した検討をいただくようお願いしたいと思います。

 4点目は、情報提供のデジタル化についてでございます。顧客への情報提供について、デジタル化を原則とする枠組みへの移行の検討に当たっては、現代のデジタル社会に親和的な形で、顧客にとっても証券会社にとっても利便性の向上が図られるような枠組みとなるよう御議論いただきたいと思います。

 そして、先ほどのファイアーウォールの件については、今年の6月22日から施行・適用された新たな枠組みとして、「簡便的なオプトアウト制度の導入」や「Need to Know原則」、「優越的地位の濫用防止」等が明記されたものと理解しております。まだ、現在、この取組みが始められたばかりであり、本改正による弊害が起きていないかをまず慎重に検証する必要があると思っており、拙速に議論を始めることは、少々早いのではないかと思っております。

 以上、お時間いただきましてありがとうございました。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、次に、生命保険協会から竹内さん、どうぞお願いいたします。

【竹内オブザーバー】  生命保険協会の竹内と申します。オブザーバーといたしまして発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日、事務局から御提示いただきましたいずれの論点につきましても、大変重要だと考えております。生命保険協会といたしましても、必要な点につきましてはしっかりと御議論に参画できたらと考えてございます。とりわけ、今回、立ち上げることとなりましたタスクフォースにつきまして申し上げますと、経済成長の成果の家計への還元促進のアプローチとして、金融機関の顧客本位の業務運営、それと金融リテラシーの向上について集中的に議論するということにつきましては、とりわけ賛同いたしたいと考えております。中でも顧客本位の業務運営につきましては、生保業界といたしましても、かねてより重要性を認識して、各種の募集のルール、それと、アフターフォローも含む顧客対応の強化等様々な取組を行ってきたところであります。こうした業界ごとの従来の取組に加えまして、商品の特性や現行の実務を踏まえた議論を行っていくことが重要だと考えておりますので、新たなタスクフォースにおける議論においても、生保業界からもぜひ議論に参画をさせていただきたいと考えております。引き続き、しっかりと役割を果たしていきたいと考えております。

 以上、よろしくお願いいたします。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 ほかにオブザーバーの皆様方で御発言希望はございませんでしょうか。

 委員の皆様方で、今、オブザーバーの方々の御発言等もお聞きになって、追加での御発言があれば承りたいと思いますけれども、もしよろしければどうかチャット欄に発言希望と入れていただければと思いますが、いかがでしょうか。あるいは追加での御発言を委員の皆様方からいただくということでも結構ですけれども。

 特によろしゅうございますでしょうか。

 それでは、本日、御参加の委員の皆様方全員の方から貴重な御意見を幅広くいただきまして、どうもありがとうございました。また、オブザーバーの皆様方にも貴重な御指摘をいただきましてありがとうございました。

 今後の本ワーキング・グループの運営についてでございますけれども、冒頭、事務局から御説明をしていただきましたように、このワーキング・グループの下にタスクフォースを設置し、資産形成の促進に関する顧客本位の業務運営等について、具体策を専門的に検討していただいてはどうかと思います。また、そのタスクフォースのメンバーでございますけれども、大変恐縮でございますが、私に御一任をいただければありがたく存じますが、そのような形で進めさせていただくということで御了解いただけますでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)

【神田座長】  どうもありがとうございます。

 それでは、なかなかオンライン会議で、顔色をお互いに拝見することができなくて恐縮ですけれども、御発言や挙手、どうもありがとうございました。御異議ないということで進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ということで、本日いただきました御説明や御意見等を踏まえ、事務局において、さらに今後検討すべき課題について整理をしていただき、また、次の会に御検討いただくということにさせていただきます。

 本日、少し時間が早いのですけれども、また、将来、延長をお願いすることもあり得るかと思いますので、本日の会議は、この辺りで終了とさせていただきます。

 局長、何か御発言はありますでしょうか。

【井藤企画市場局長】  この夏から、古澤の後任で企画市場局長を拝命しております井藤でございます。どうぞ委員の皆様方、よろしくお願いいたします。

 この議論、いろいろな多様な議論を今日もいただきまして、市場周りの論点については、基本的に6月に取りまとめいただいた大枠の中でということなのですけれども、新しく資産所得倍増プランを年末までに策定するというのが政府の方針でございまして、それに沿って金融庁としても方針を踏まえて、様々な施策を考えていく必要があると考えてございます。今日の御指摘の中では、なかなか難しい課題であり広範な課題であるという点を御指摘いただきましたけれども、私どもといたしましては、タスクフォース等を中心に、年末までに、とにかく一歩でも二歩でも、こうしたことを進められるよう、できることを取りまとめていただければと思っていますし、また、これは、継続して取り組むべき課題でもあり、今回、総理のリーダーシップも踏まえ、このような形で、今までよりも一段力を入れた対応をしようということで検討するということでございますが、当然、年末の段階で全てが終わりというわけではございません。当然、追加的な宿題もいただくことになろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、現実の取組を進めていきたいという思いでおりますので、年末までの取りまとめに向けて精力的な御議論をタスクフォースでお願いしたいですし、また、市場周りの課題、あるいはタスクフォースから上がってきた報告を踏まえた各委員、先生方の議論というものもお願いしたいと考えてございます。

 いろいろと忙しい秋になろうかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

【神田座長】  どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
お問い合わせ先

金融庁 03-3506-6000(代表)

企画市場局市場課(内線:2352、3970)

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