金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第24回)議事録

 

1.日時:

令和元年6月3日(月)15時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室




【神田座長】 
 それでは、定刻でございますので、始めさせていただきます。ただいまから市場ワーキング・グループの第24回目の会合を開催いたします。皆様方には大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 
 それでは、まず、事務局から議事に関して事務的な説明をお願いいたします。
 
【小森市場課長】 
 本日も委員の皆様の座席についてでございますが、ランダムとさせていただいております。
 
 また、今回、参考人としてご参加いただく方をご紹介申し上げます。大阪取引所の多賀谷執行役員です。
 
【多賀谷参考人】 
 多賀谷でございます。
 
【小森市場課長】 
 以上でございます。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、本日の議事に移ります。
 
 本日ですが、まず、当ワーキング・グループとしての報告書の取りまとめを行います。その後またほかの事項についての議事がございます。そこでまず報告書の取りまとめにつきまして、前回からの主な修正点について事務局から説明をお願いいたします。

【小森市場課長】 
 前回、第23回目のワーキング・グループにおきまして報告書の案をお示しいたしまして、その場あるいはそれ以降、委員の先生方からご意見いただいたところでございます。変更点が幾つかございますけれども、そのうち主なものにつきまして、本日お配りしております資料1に沿いまして、ごく簡単にご説明申し上げたいと思います。
 
 まず、表紙のタイトルでございますけれども、このワーキング・グループの報告書の報告書と書かれているところの位置が変更になっております。市場ワーキング・グループ報告書ということでございます。
 
 それから13ページ、ウ、退職金給付の状況というところをご覧いただきたいと思います。この1つ目の段落でございますけれども、退職金給付の状況以外に関する記述を落として簡素化されているところでございます。
 
 この1段落目を改めて読み上げますと、「わが国に根付いてきた賃金制度として、退職金給付制度がある。かつては退職金と年金給付の二つをベースに老後生活を営むことが一般的であったと考えられるが、公的年金とともに老後生活を支えてきた退職金給付額は近年減少してきている」ということでございます。
 
 続きまして、24ページ(3)でございます。(3)のタイトル、今、「公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動」ということでお示ししておりまして、このタイトル、それから5行目から8行目にかけての記述が前回から変更になっている部分でございます。
 
 この変更の理由でございますけれども、当ワーキング・グループにおきましては、高齢社会における環境変化を踏まえまして、個々人の資産形成・管理、そしてそれをサポートする金融サービス提供者のあり方について議論を行ってきたところでございます。公的年金ですとか人口動態等々につきましても、踏まえるべき重要な現状の1つでございますけれども、当ワーキング・グループとして公的年金制度について正面から議論してきたということではないということでございます。今般、最終的な案文を取りまとめるに当たりまして、関係する記述を改めて見直す中、より客観性の高いものへと修正をしているものでございます。
 
 修正箇所の前後を含めて、3行目あたりから読み上げをさせていただきます。「公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けることは間違いないが、少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していくことを踏まえて、年金制度の持続可能性を担保するためにマクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることとなっている。こうした状況を踏まえ、今後は年金受給額を含めて自分自身の状況を「見える化」し、自らの望む生活水準に照らして、必要となる資産や収入が足りないと思われるのであれば」、以降省略いたしますけれども、変更部分を含めまして、このような案とさせていただいているところでございます。
 
 それから、次の点でございますけれども、33ページをご覧いただければと思います。ウのアドバイザーの充実というところがございまして、このうちの2つ目の段落の後半でございますけれども、下から6~7行目になるかと思いますが、「こうしたアドバイザーとなり得る主体としては」という一文を加えております。前の行から読み上げをいたしますと、「顧客の最善の利益を追求する立場に立って、顧客のライフステージに応じ、マネープランの策定などの総合的なアドバイスを提供できるアドバイザーである。こうしたアドバイザーとなり得る主体としては、投資助言・代理業、金融商品仲介業、保険代理店やフィナンシャルプランナーなど様々な業者が存在する」ということでございます。
 
 45ページをご覧いただければと思います。45ページの2つ目の段落の最後の部分でございます。この45ページ、44ページにある持続可能な金融サービスという中のところでございますけれども、金融サービスの提供者がそれぞれの強みを生かしていくことが重要という旨を追加しているものでございます。最後の文を読み上げますと、「そうした観点から金融サービス提供者各々は高齢社会において求められる金融サービスのあり方について具体的に考え、それぞれが持つ強みを生かしていくことが重要である」ということでございます。
 
 このほかにも数カ所修正点がございますけれども、冒頭のご紹介は以上とさせていただきたいと思います。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それで、当ワーキング・グループにおきましては、このテーマといいますか、高齢社会における資産形成・管理につきまして、高齢社会における金融サービスのあるべき姿とは何か、そして、個々人において高齢社会における資産形成や管理を行う上での留意点は何か、また、そのために必要な環境整備にはどのようなものがあるか、また、どのようなものであるべきか等について、幅広い観点からご議論をしていただきました。
 
 委員の皆様方には報告書の案を既にご確認いただいているというふうに承知しておりますので、今の報告書の案はこれまでこのワーキング・グループで皆様方にご議論をしていただいたところを反映したものであって、そういう意味ではおおむねご賛同をいただいているものというふうに思っております。
 
 そこで、本日はお手元の案で取りまとめをさせていただきたいと考えておりますが、取りまとめをするに当たって、改めてご意見を述べたいという方もいらっしゃるかと思いますので、ここで委員の皆様方からご意見があれば、お伺いしたいと思います。できれば手短にお願いできますとありがたく存じます。
 
 いかがでございましょうか。池尾先生、どうぞ。
 
【池尾委員】 
 ちょっと1つ最初質問ですが、資料2の資料(案)取り扱いはどういうふうな形になるのでしょうか。
 
【小森市場課長】 
 報告書とあわせまして、私どものほうから公表させていただきたいというふうに思っております。
 
【池尾委員】 
 私としては、資料2の最後のページ、20ページに「取り組みの全体像のイメージ」というのが再掲ですけど、つけられたのが非常にありがたくて、前回申し上げたことの繰り返しになりますが、我々が議論していることは重要なテーマですけれども、ある種、一部の議論であって、全体としては先ほどの24ページの修正の件にも関連すると思いますが、やってもらわなきゃいけないことはたくさんあって、公的年金制度の改革、労働市場改革等々やっていただかないことには困るということがある。だから、そういう取り組みが進捗することを前提としながら、その中でこの報告書を生かしていくという位置づけだということを、前回申し上げたことの繰り返しですけど、確認させていただければよくて、そういう意味で20ページにこういうのがつけられたのは非常に好ましいと思っております。以上です。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、高田委員、鹿毛委員の順で、高田委員、どうぞ。
 
【高田委員】 
 どうもありがとうございます。この1年間といいましょうか、その前からということもありましたけれども、今回これだけ50ページもというような状況になりまして、取りまとめをなさった方々も大変なご尽力だったと思いますし、また一方で、ここにおられる方々というのでしょうか、かなり幅広い方々のご意見だと思います。そういう意味では、こういったものができたというようなことは非常に感慨深いものがあるなというふうに思っています。
 
 その上で、私は非常に今回時宜にかなったものじゃないかなというふうに思っております。といいますのは、これだけ国内の中で関心が高まっているということもあるのですが、一方でちょうど今週G20ということもありますし、グローバルな広がりもあるというようなことでもあります。特にG20の中でも高齢化、それから金融包摂といったものが取り上げられたというのも非常に画期的なことだと思います。その上でも、こうしたものが今回できたというのも重要だと思います。
 
 その上で、簡単ではあるのですが、3つの点についてちょっと申し上げさせていただきたいなというふうに改めて思っています。
 
 1つは、今回の議論は非常に幅広いという点ではないかと思います。私も昨年議論させていただいた中で、見える化、シームレス、トータルということで申し上げたのですけれども、従来の金融審議会における金融のあり方だけではなくて、医学的にというのでしょうか、ジェロントロジーというか、そういうものも含めて幅広くできたということも非常に広さという部分があったと思います。それから、もちろん今の公的な年金等もありますし、さまざまな部分というものはこれまでは議論されていたわけでありますけれども、単にパーツ、パーツにとどまらずに、非常に全体的な取りまとめというのでしょうか、シームレスにですね、それが非常に連関しているのだというようなことを改めて示されたことです。すなわち、自助であり、共助であり、公助でありといったようなことがシームレスにあり、その中で全体をどう取り上げるのかという発想が今回の議論の中では非常に重要な点ではないかなというふうに思っています。これが1点目。
 
 2点目ですけれども、私は、今回の状況というものは誰もがかかわり得ることなのだという今回の全体の中での発想というのでしょうか、流れる潮流というものが非常に重要ではないかなというふうに思っております。ある面で、一部分の人だけというよりは、まさに国民全体の国民運動といいましょうか、まさに全体が必要なことなのだと。そういう意味では、今回のこれだけ取りまとめられたものというのは、私はある面で高齢化の大綱的な部分があるのではないかなというふうに思っていまして、基本的な考え方として、全てのここにおられる方の業態ということもあろうかと思いますし、多くの方々が参照するというのでしょうか、そういう意味では、非常に広がりが、誰しもがかかわり得るという点が重要です。私も、成人式だけじゃなくて、高齢式もあるということを申し上げましたけれども、そういうようなことも含めた広がりがという点であります。
 
 それから3番目が、最後になりますけれども、私は、今後、ちょうど元号も変わった中で令和の高齢化プランと言ってもいいのではないかと思うのですが、これが第一歩であるということかと思っています。最初のところにも議論があるのですけれども、これからフォローアップをどうしていくかというようなところが重要になってくるということでもあると思います。それから、振り返ってみれば、平成という30年間というのはちょうど少子高齢化の観点でいえば、ちょうど生産年齢人口がピークを迎えて、まさにそれから坂を転げ落ちるような、そういう中での不安、いろんな意味で政治問題化した部分もあったわけでありますけれども、そうした状況の中で、不安の30年であったわけです。これからも環境は変わりにくいわけでありますけれども、そこを直視した上で新たな見える化というのでしょうか、そこの中でどうしていこうかというのを振り返って、ようやく、これからの状況というのは人口的にいいましてもややなぎの時期に入る時期ということでもありますので、そうした中でもう1回考える1つのいい時期になったのではないかなと。
 
 そういう意味では、これをきっかけにといいましょうか、また、金融の面では、いかに金融機関というものも持続的なビジネスプランをこういう環境の中でやっていくのかということを正面から取り扱うような状況になってきたということが大切です。課題づけというのでしょうか、こうしたものも与えられたところだったのではないかなというふうに思っておりまして、いずれにしても、各層、各国民のみんなにかかわり、そして、ここに携わる金融ビジネスのものも持続性というものをもって改めてこういう中でどう制度設計をしていくのかが重要になります。先ほど池尾先生のお話もありましたように、制度的な部分もそうなのでありますけれども、そういう第一歩になる1つのいいきっかけになったのではないかと思いますし、また、こうしたものをより、これを機に何か取り上げて、フォローアップ3カ月置きとありましたけれども、いろんな意味で今後につながるものにできればいいなと、そんなふうに改めて感じた次第でございます。以上です。
 
【神田座長】 
 ありがとうございました。それでは、鹿毛委員、どうぞ。
 
【鹿毛委員】 
 今回のテーマは個人個人の人生観にかかわるものであるだけに、これだけ多様な意見が出されてきたわけですが、この報告書は今後の環境変化の認識と、問題提起、それに対して対応すべき考え方とその選択肢を明確に整理され、集約されて、まとめられたものと言えるでしょう。今後ますます重要になってくる高齢化時代への対応についての議論の共通のベースになるものではないかと思いますし、参加者としていささか手前味噌かもしれませんが、今後そういうふうに使われていくといいなと思っております。
 
 その意味で、参加された先生の皆様、オブザーバーの方々、それからもちろん取りまとめのリードしていただいた事務局、そして、毎回熱心に聞いていただいた傍聴の皆様に御礼申し上げたいと思います。
 
 ただ、ドラフトが公表されて以降、おそらく今後とも継続的に、本来多様性を持つテーマであるために、いろいろな立場からのご意見、異論、批判等は出てくると思います。そのほうがむしろ自然ではないかと思われますが、そういった議論をする上で1つの共通認識というのでしょうか、基本とすべき点について、チャールズ・エリスの意見を紹介します。「人間はいつかは必ず死ぬべき存在である。しかし、それがいつかは誰にもわからない、という厳然たる事実を直視すべきだ。」という認識です。要は、寿命が伸びていくことは、一般に幸せなことに違いないと思いますが、一方ではいろいろな意味でのリスクが大きくなっていく。特に想定以上に長生きした場合にはリスクが大きくなるので、伸びた寿命をいかに充実したものにしていくか、そのためには若いころから工夫が必要だろうということが、この報告書の基本メッセージだろうと思います。
 
 この基本メッセージがこれからいろいろな活動によって、1人でも多くの国民の方に共有され、そして定着していくということがもしできれば、この報告書にとっての最大の効果ではないかと考えます。どうもありがとうございました。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、林田委員、宮本委員、永沢委員、中野委員の順でお願いできればと思います。林田委員、どうぞ。
 
【林田委員】 
 ありがとうございます。大変手短に申し上げます。
 
 私なりに本報告書の性格みたいなものを確認しておきたいなと思っておりまして、本報告書は人生100年時代を迎えるに当たって、人々を支えている公助、共助、自助のうち、とりわけ資金面での自助の努力が尽くされているのだろうかという問題意識のもとに議論を重ねて、まとめられたものだと理解しています。
 
 むろん、公助や共助を軽視する意図というのはもともとないということでありまして、公的年金のマクロスライドでありますとか、厳しい財政状況でありますとか、そうしたものを前提にして、国民が老後をできるだけ豊かに暮らすにはどうしたらいいのだろうかということについて、知恵を出し合って処方箋としてまとめたものだと思っています。
 
 金融庁におきましては、池尾先生もご指摘されたように、いろいろな省庁とも連携していますので、そちらとも連携しながらですね、報告書の狙いが国民に広く周知、広報されるように努力していただきたいというお願いでございます。
 
 以上です。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。それでは、宮本委員どうぞ。
 
【宮本委員】 
 ありがとうございます。今回の報告書は、今の世の中の流れ、変化を捉えた、タイムリーなものであって、これまでのワーキング・グループでの多岐にわたる議論を十分に踏まえてまとめていただいた、と認識しております。
 
 今後、この報告書の取り組みを社会に浸透させていき、これらをいかに実行に移してフォローアップしていくかがポイントだと考えています。産業界としても資産形成や心構え等についての意識づけを現役期からできるように、教育や仕組みづくりに今まで以上に取り組むことが重要なのではないでしょうか。
 
 特に、官庁、金融機関、アドバイザー、産業界、教育機関等の関係者が連携して、この取り組みの後押しをしていくことが望まれます。以上です。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。では、永沢委員、どうぞ。
 
【永沢委員】 
 ありがとうございます。この報告書がインターネットで開示されて以降、いろんな意見が寄せられいるということは私も聞いております。鹿毛先生もおっしゃったように、多様である価値観について、本報告書は踏み込んで触れておりますので、多様なご意見が寄せられることは当然のことと私も思います。
 
 本日はマスコミの方も多く傍聴席にいらっしゃっていますので、マスコミの方にこの機会にぜひお願いしたいことがございます。それは、前半の部分は現状の整理というに過ぎず、その前半部分が世間的には衝撃的だった部分もあったのかもしれないということで、皆様の関心を呼んでいるとは思いますけど、私としては、25ページからの「考えられる対応」の部分を読んでいただきたいということをお願いさせてください。この部分こそが、この市場ワーキンググループの場でみんなで知恵を寄せ合って取りまとめた部分です。参加したメンバーが、自分自身や自分の周囲の人の人生がよりよいものとなることを願い、そのためには、お金との付き合いについてどうあったらいいのかということを考えて意見を出し合い、知恵を寄せ集めて、その考え方をまとめたつもりでおります。前半を読んで終わりにせず、25ページ以降の後半のところをぜひ読んでください。その上で、ご自分の立場でいろいろなことを考えてください。別の違う考え方もあるのではないかとか、このように取り組んだらいいのではないかということを、これから一緒に考えていただけたらと思っております。本報告書はそうした議論の端緒であってほしいと願っております。
 
 以上でございます。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。では、中野委員、どうぞ。
 
【中野委員】 
 ありがとうございます。まず、政府、行政がこの国の今後のあり方に対するビジョンを構築する上で、大変勇気を奮って課題提起をされた報告書ができ上がったということで、このグループの委員として参加した1人として非常にうれしく思いますし、ここの取りまとめにご尽力された事務局の皆様に改めて感謝を申し上げたいと思います。
 
 その上で、まず、当報告書に立脚した国民あるいは生活者へ行動惹起をいざなう、そういった部分での社会的使命を負う金融サービス業者という観点から、私もその現場の1人としてお願いしたいことがありますが、今後のご当局の監督行政の基本的理念の1つとして、そこにしっかりこの報告書を置いていただきたい。そして、金融業界の今後のビジネスモデル構築の前提となるような、そういった位置づけにこれをしっかりと存在させていただけるような形で一緒にご尽力いただきたいというふうに、これだけお願い申し上げます。以上です。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。では、島田委員、どうぞ。
 
【島田委員】 
 多様な意見をここまでまとめていただきまして、どうもありがとうございました。その多様な意見があるだけに、現在も異論もたくさん出てきておりますし、しばらくは出続けると思いますけれども、少なくともこの報告書を練り上げていく中でなされた議論というのは、個々の国民が将来をより豊かに、より安らかに過ごせることができるように、なるべくよい道筋をどうやってつくっていくかということが基本にあったと思います。ですから、異論がある中で、そこで議論することを恐れることはないと思いますし、このワーキングで考えてきたことをそれぞれの立場でこれから広く、なるべく誤解がないように世の中に伝えていくことも私たち委員の役目の1つなのかなと思っております。また、当局、あるいはご関連の業界の皆様のこれからのご努力も、そこが一番重要なのではないかと思っています。
 
 入り口のところでまず誤解をされてしまいますと、この議論全てが誤解されてしまうという非常にもったいないことになってしまいますので、ぜひそこのところを国民みんながよりよくなることを考えてやったことだということを、ぜひ伝えていきたいと思いますし、皆さんにもお願いしたいと思います。
 
 若い方たちになるべく早く、少しずつでもお金を将来のために運用してほしいということは、私ども日ごろの仕事の中でも伝えているところでございますが、高齢者の方たちがより安心して過ごせるようにするには、やはり業界の皆様のお取り組み、それからそのお取り組みをフォローアップしていただく当局の仕事が非常に重要になってきますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。野尻委員、どうぞ。
 
【野尻委員】 
 簡単に。12回に及ぶ議論があった中で、全て参加させていただくことができました。最初は、正直申し上げると、かなり裾野を広げたのではないかという、非常に心配というと生意気な言い方ですが、気になったところではあったのですが、ここまでの形でまとめができたことは、事務局の皆様方、それから委員の皆様方の尽力だとほんとうに驚きと感謝であります。
 
 個人的には、高齢社会における、これまでずっと資産形成だけが中核になっていたのに対して、取り崩しも金融サービスの一環だということをきちんと織り込んだ議論ができたことに対しては非常に私としては高く評価をしています。その意味で、人生をずっと俯瞰した形での高齢社会における金融サービスという点にフォーカスをしていくことを非常によくまとめられたというふうに感じています。自分が参加しながらこう言うのも何ですけど。
 
 それから、何名かの委員の方もおっしゃっていたと思うのですけれども、これで終わりではなくて、これをどうやってフォローアップしていくか、もしくは実際のビジネスに落とし込んでいくのかというところはきちんと見ていきたいなというところで、委員の皆様にもぜひお力添えをいただきたいなというふうに思います。以上です。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。竹川委員、どうぞ。
 
【竹川委員】 
 ほんとうに多様な意見が出ましたが、このようにまとめていただきまして、ありがとうございます。手短に申し上げたいと思います。
 
 このワーキングに関しては、先ほど林田委員からもありましたが、公助、共助、自助の中で自助をどうしていくかという話を中心に議論してきたものと認識しております。人生を通して、1人ひとりがお金をマネジメントしていく必要性があるということ、そして、若い頃からきちんと資産形成をし、リタイア後には運用しながら取り崩していくという一連の流れを示したことは大きかったと思います。
 
 今後は、フォローアップが大事だと思いますので、定期的に進捗状況をみていくことが必要ですし、(報告書をたたき台に)具体的な政策に落としていっていただきたいです。
 
 私は一番関わり合いがあるのは資産形成層ですので、NISAの恒久化も含めた制度や法律の改正、そして、アドバイザーの育成といったことも継続して議論していただきたいです。そして、最後に金融機関の皆様におかれましては「顧客本位の業務運営」を徹底していただきたいと思っております。個人が資産形成から活用、最終的に取り崩しを行い、安心して生活をしていく上では、(顧客本位の業務運営は)とても大切ですので、最後にお願いしたいと思います。以上です。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 
 よろしいでしょうか。それでは、そろそろといいますか、取りまとめをさせていただけますでしょうか。お手元の報告書(案)につきましては、皆様方からご賛同をいただけているというふうに理解はしております。表現の平仄などの最終的な精査につきましては、念のため私にご一任をいただき、最終的な確認を事務局と私とでさせていただいて、それをもって取りまとめとさせていただければ大変ありがたく存じます。
 
 そして関連いたしまして、公表等の取り扱いにつきましても、大変恐縮ですけれども、私のほうまでご一任いただければ大変ありがたく存じます。そのような形での取りまとめをさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 
 このワーキング・グループでは、昨年9月に議論を再開させていただいて以来、高齢社会における金融サービスのあり方を中心にご議論をしていただきました。メンバーの皆様方には大変お忙しい中を積極的にご参加いただき、精力的なご議論をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。きょう、このような形で報告書を取りまとめることができましたのも、ひとえに委員の皆様方、そしてオブザーバーの方々、また熱心に傍聴をしていただきました傍聴席の方々、そして、報告書(案)をドラフトしていただきました事務局の皆様方の尽力の賜物であり、この場を借りて心より厚く御礼申し上げます。
 
 それでは、まだ本日はほかにも議題がございますので、次の議題に移らせていただきます。総合取引所とダークプールについて報告事項がございます。総合取引所のほうにつきましては、昨年12月の第18回目の会合で、それからダークプールのほうにつきましては、今年2月の第19回目の会合でそれぞれご審議をいただきました。その後の進捗状況等について報告をしていただきます。
 
 まず、大阪取引所の多賀谷執行役員から、総合取引所について、恐縮ですが、5分程度でご説明をお願いいたします。
 
【多賀谷参考人】 
 日本取引所グループ大阪取引所の多賀谷と申します。この場を借りまして、金融庁様をはじめとします各官庁様にご尽力いただきまして、私どもが今まとめております総合取引所の実現についてご報告申し上げたいと思います。
 
 まず、資料の1ページ目でございます。こちらのグラフですが、総合取引所の話をすると必ず出てくるグラフでございますけれども、日本の商品デリバティブの動向と世界の商品デリバティブの動向を比べたものでございます。左右のスケールは全く違うので、規模感は全く違うのですけれども、見ていただきたいのはトレンドでございまして、世界の商品デリバティブはこの15年間で8倍程度に成長する一方、日本の商品デリバティブは同期間で5分の1以下に縮小しているということでございます。
 
 なぜここまで対照的な動きになっているかということを考えますと、原因はいろいろあると思うのですが、一番大きなものは参加者の多様性ということかと思います。世界の商品市場は金融系フロー、すなわちファンドですとか資金運用会社、あるいは仲介目的の金融機関、こういった主体の積極的な参加によりまして流動性が向上いたしまして、それによって生産者や消費者などの実需家のヘッジ市場としても十分機能しているということがございます。
 
 一方で、日本の商品先物市場の主要参加者は、伝統的に商品先物業者さんの先にいらっしゃる個人投資家さん、それと総合商社といったところでございます。この参加者の多様性が乏しいということが流動性の低下を招いて、これが当業者など実需家の参加も抑制されるといういわゆるネガティブなスパイラルに陥っている状況かと思います。
 
 この負の循環は市場運営主体にも及んでおりまして、東京商品取引所(TOCOM)さんの連結決算は4期連続の最終赤字、営業損益ベースでいうと、2008年の株式会社以降、11期連続の赤字という事態を招いておりまして、市場自体のサステナビリティーが危ぶまれる状況であるということでございます。
 
 2枚目でございます。では、なぜ日本では流動性の原動力たる金融系フローが流入しないのかということを考えますと、1点、日本固有の事情として、規制官庁が分断されているという事情が挙げられるかと思います。海外ではデリバティブというくくりで見ますと、これは原資産に関係なく金融からコモディティーまで根拠法であるとか監督官庁であるとかが一体一元化されているのが一般的というふうに言われておりますが、日本では金融は金商法、コモディティーは商先法に分かれておりまして、監督官庁も別という構図になっております。
 
 この中で金融フローの流入ということを考えてみますと、ファンドや資金運用者を顧客として持っているのはいわゆる証券会社、金融商品取引業者でございます。この証券会社が現在の状態で商品先物に参加しようとすれば、経産省及び農水省から商先法のライセンスを取得しなければならないということで、ただ、一方で、市場規模の縮小が見えている中、ビジネス機会が限定されるとなれば、なかなか二重規制を受けながらここに入っていこうという先は少ないというのが現状でございます。
 
 もちろん、こうした問題意識は最近のものではございませんので、これについては既に法改正も行われておるということでございます。具体的には2012年に商品所管官庁と金融所管官庁が協議、連携することにより、金融監督自体は金融所管官庁に一元化できるような形で法改正が行われております。
 
 このスキームは要約すれば、業者の側が右側の商先法の世界に入っていくのではなく、逆に投資家アクセスにすぐれた金商法の管轄にプロダクトとしてのコモディティーを持ってくるというような発想で改革を行っていけば、諸外国と比較しまして遜色なく一元化された取引所が実現できるということかと思っております。
 
 こうした中で、次、3ページ目でございますけれども、実際にはそういった法改正が行われた以降、なかなか議論は進まなかったところでございますが、昨年1年間、2018年度に大きく事態は動いております。やはり商品市場の縮小が進みまして、サステナビリティー自体が問われている中、規制改革推進会議等からも問題提起がありまして、所管官庁様に加えまして、取引所レベルでも議論が進みました。私ども日本取引所グループJPXではTOCOMさんと昨年10月から正式に協議を開始いたしまして、本年の3月末にこの総合取引所の実現を目的としました経営統合について基本合意に達しております。
 
 そのスキームは、こちらの上段と下段に分かれておりますけれども、2つのものからなります。まず、JPXによるTOCOMの完全子会社化という組織上の変更を行った上で、その次の段階としてこの下の段にあります取引所間での商品移管と清算機関統合を行っていくというスキームでございます。
 
 まず、上の完全子会社化ですが、こちらにつきましては、今月末にもTOB、株式公開買付けの手続を始めたいということで、現在、デューデリジェンス等いろいろな手続を進めておるところでございます。
 
 ただ、実質的な総合取引所の実現という意味でより重要なのは、この下の商品移管と清算機関統合でございます。商品移管といいますのは、現在TOCOMに上場しております貴金属、これは金ですとかプラチナですとか、そういったものですけれども、それとゴム、農産物、こういった商品をJPX傘下でデリバティブを運営しております私ども大阪取引所に移管しまして、金商法のもと、現在私どもで取引しております日経平均先物や国債の先物などと同様のスキームで同様の使い勝手で取引できるようにするというのが1つでございます。
 
 この点につきましては、法令上の手続は既に進んでおりまして、さる5月10日に金商法のもとで扱える商品の具体的な指定の告示について、金融庁さんからパブリックコメントの手続を開始いただいたところでございます。
 
 また、組織上のもう1点としては、財務基盤のぜい弱性が指摘されておりましたTOCOM傘下の清算機関でありますJCCHと書いてありますところ、このJCCHにつきまして、JPX傘下の清算機関、JSCC(日本証券クリアリング機構)に統合いたしまして、コモディティーについても市場参加者が安心して参加できるような環境を再構築したいと考えてございます。
 
 これらの実現時期ですが、この資料上は基本合意のところで公表された文言と同じく、おおむね2020年度ころの可能な限り早期というふうに書かれておりますけれども、現在、TOCOMさんとの間でいろいろ話し合っておりますのは、来年2020年の夏ごろ、ちょうど1年ちょっと先ですけれども、そういった時期に実現したいということで制度設計移行計画を準備しているところでございます。
 
 私どもJPXとしましては、こうしたステップを円滑に進めまして、国内外の金融系投資家はもちろんのこと、当業者をはじめとするビジネス主体にも安心してご参加いただけるような国際競争力の高い市場を実現してまいりたいと考えておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 
 ご説明は以上でございます。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 
 それでは、続きまして、ダークプールにつきまして、事務局の菅昌市場機能強化室長から5分程度でご説明をお願いいたします。
 
【菅昌市場機能強化室長】 
 市場機能強化室長の菅昌です。よろしくお願いいたします。
 
 ダークプールにつきまして、今年の2月19日のワーキング・グループのほうでご議論いただいたところでございますけれども、その議論を踏まえまして、現状のダークプールとしての透明化等に向けた対応策の検討方針につきまして、資料4に基づいてご報告のほうをさせていただきたいと思います。
 
 資料4、めくっていただきまして1ページ目でございますけれども、第19回、2月19日での議論の概要でございますけれども、ダークプール取引における課題としましては、今後、個人投資家向けのダークプールの拡大が見込まれる中で、1つはダークプールを経由した注文の把握、それからダークプール運営情報の開示等、それから価格改善の実効性の確保、この3点について主に議論いただいたところでございます。
 
 委員の皆様からいただきました主なご意見といたしましては、1ページの下のほうにありますけれども、ダークプール取引数量の把握に向けて取引を進めるべきである。それから、個人投資家・機関投資家の別であったり、ダークプール取引への理解度、価格改善に対する期待度等、顧客の属性やニーズに応じて適切な説明・対応を行うべきではないか。
 
 それから、特に個人投資家については、ダークプール取引について十分な理解なく利用している、そういう状況があるのではないかということ。
 
 それから、現段階では市場規制ではなく、金融業者の仕事のやり方や方法として業者規制の一環として手当てするべきではないか。こういったご意見をいただいたところでございます。
 
 踏まえまして、資料2ページ目でございますけれども、方針案といたしまして対応策をまとめているところでございます。
 
 1つ目は、ダークプールを経由した注文の把握ということで、東京証券取引所におきましてダークプールの市場規模のほうを把握できますよう、その立会外市場(ToSTNeT)に注文を出す際に、ダークプールで対当した注文であることを明示させるということを考えております。
 
 それから2番目にダークプールへの回送条件・運営情報の説明ということで、顧客保護の観点から、顧客からの注文をダークプールに回送する金融商品取引業者、これをダークプール回送者と呼んでおきますけれども、について以下を求めることを考えております。
 
 1つは、回送先であるダークプールの運営状況をきちんと把握していく。
 
 それから2つ目は、ダークプールへの回送条件や運営情報、例えば運営者の会社情報であったり、参加者情報といったものでございますけれども、こういうものについて顧客の知識や経験等を踏まえた適切な説明を行うこと、こういったことをダークプール回送者に求めたいということを考えております。
 
 それから大きな3番目としまして、価格改善の実効性の確保ということで、顧客や当局からの求めがあった場合に、事後に価格改善の状況の確認ができるよう、ダークプール回送者に対しまして、ダークプールにおける対当状況(時刻や価格)といったものの記録・保管を求めるということ。もちろん顧客が価格改善よりも優先する事項がある場合を除きますけれども、こういったものを求めることによりまして、事後に価格改善の状況の確認ができるようにしたいと考えております。
 
 なお、第19回のワーキング・グループにおきましては、これらの論点に加えまして、ダークプールを利用した信用取引の課題についてもご指摘いただいたところでございます。そもそも取引所等におきます信用取引は、利用者保護でありますとか、市場の公正性への影響を踏まえて、無制限に許容されるものではなくて、さまざまルールを整備した上で実施されているものでございます。
 
 このことから、ダークプールを利用した信用取引につきましても同様の懸念点が考えられるほか、特段免許制等がダークプールにはございませんので、より慎重な規制が必要ではないかということを考えております。したがいまして、ダークプールを利用した信用取引の制限のあり方につきましても、市場関係者の意見も伺いながら、さらに検討を深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 
 以上の方針で、今後、利用者等へのヒアリングを踏まえまして、内閣府令や監督指針の改正等を検討してまいります。
 
 ダークプールに関する報告は以上です。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。
 
 それでは、今のご説明につきまして、委員の皆様方にもしご質問とかご意見があれば、お出しいただければと思います。上柳委員、どうぞ。
 
【上柳委員】 
 ありがとうございます。多賀谷さんに1つ質問ですけれども、こういう形で再編あるいは整備をされた上で、その後想定されている客層といいますか、特にエンドユーザーとしてどういう方々が利用されることを期待されているのかについて、ちょっと時期尚早なのかもわかりませんが、伺えればと思います。
 
 というのは、1つは、過去のことを振り返って、商品デリバティブが盛んだったころに、個人の投機を目的とした顧客について、私から見ると、過当な販売がなされたり、あるいは手数料稼ぎ的なことがあったような気がして、そういうことの悪夢の再現がないようにということが1つと、それからもう1つは、そうでなくて、大規模な取引、あるいはヘッジニーズかある方々が参入されることが期待されるのだと思いますが、そういう方々は既に別の国のアメリカなりヨーロッパの市場に直接アクセスされることで、もうニーズが満たされているのかなとか思いまして、そういったことの関係でいうと、わが日本取引所が利用されるためにどういう工夫をされているのかなというのを少し、とにかく再編についてもいろいろたくさんの方の労力なり、コストがかかることだと思いますので、考えておられることがあったら伺いたいと思って聞きました。以上です。
 
【神田座長】 
 多賀谷さん、いかがでしょうか。
 
【多賀谷委員】 
 今のご質問ですけれども、エンドユーザーとしましては、今後やっぱり広げていかなくてはいけないのは、海外、国内外のプロの投資家かと思っております。といいますのは、先ほど世界の商品市場と日本の商品市場を比べたときの商品の参加者の多様性というのが圧倒的に国内は欠けておる。伝統的に個人投資家と商社の撃ち合いみたいな形でずっとやってきたのが日本の商先市場だとすると、その構造を変えていかなきゃいけないというのがありますので、まずは海外のユーザーを連れていきたいというふうに考えています。
 これは、そういった投資家のニーズは海外の市場で満たされているではないかという部分も確かにあるのですけれども、どちらかというと、私どもは金融デリバティブをやっている中では、流動性が流動性を呼ぶという部分があるかと思っています。すなわち、流動性が見込める市場においては、そこでさやを抜くというような投資家さんのニーズというのはすごくありますので、そういった投資家さんをまず流入させることによって、マーケットの流動性自体を高めたいと。
 
 そうすると、その流動性を見たときに、実際、ビジネスで商品先物を使われている当業者さん、あるいは実需家の方々、こういった方々も使える市場になってくるのではないかというような、こういうステップで新しい商品市場のユーザーさんを考えているということでございます。
 
【神田座長】 
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。では、池尾先生、どうぞ。
 
【池尾委員】 
 同じく総合取引所に関しての質問ですが、総合取引所が実現することで実際のところ何がどう変わるのかというのがいまひとつ十分にイメージできないところがあるので、具体的にどう変わるのかということを教えていただきたいのですが、清算機関が統合することで財務基盤が強化されて、信用力が高まるというのは非常に効果的なことだと思っています。けれども、例えば、普通の投資家から見て何が変わるのかということで、証券会社に口座があれば、新しく口座を開かなくてもコモディティーも取引できるようになるという程度の変化なのでしょうかということで、例えば、損益通算等の税制上の手当てとか、特に追加的になされているとは存じあげないのですけれども、既にTOCOMは大阪取引所のシステムを使っているわけですので、どの程度投資家から見てほんとうに何が変わるのでしょうかということを具体的イメージとして教えていただければと思います。
 
【多賀谷参考人】 
 おっしゃるとおり、まさに今やろうとしているのは、金商法の中でコモディティーデリバティブを取り扱うということですので、例えば、証券会社に口座をお持ちの方、これは金商法のもとで金融デリバティブと同じ枠組みで商品先物もできるという形になります。リテール投資家の方に関して言うと、それでどこまで広がるのかという話はあると思いますが、一方で、例えば外資系の証券会社の顧客である海外投資家視点で見ると、現状、日本では彼らの金商法に基づく口座の中で日経平均先物とかJGB先物しか取引できず、コモディティーは別の口座を開設して取引しなければならないという不便な状態にあります。それが1つの口座で1つの資金管理の中でできるということに大きなメリットがあるかと思っています。
 
 そういう意味で、法律が一元化されて、証券会社も新しいチャネルができることで投資家の幅は広がるかと思います。
 
 ただ、今、池尾先生がおっしゃられたとおり、これだけで何か劇的に変わるのかというと、まだまだ取り組まなくてはいけない問題というのはあると思います。特に損益通算の問題ですとか、あるいはヘッジ会計の問題ですとか、おそらくこの先も研究していかなければいけない問題はたくさんあると思っていまして、そういうことも含めて、今後、市場活性化のためにそこは役所の方とも協働したいと考えております。
 
【神田座長】 
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。林田さん、どうぞ。
 
【林田委員】 
 私も多賀谷さんに質問なのですが、東証、TOCOMのところにエネルギー関連の先物は残るような、移管商品の中に入っていないようなのですけれども、これは将来的にもそういうことになるのか、もうちょっと進展があるのか、そのあたりはどんなふうに考えればよろしいでしょうか。
 
【多賀谷参考人】 
 これは、3月末時点での基本合意では、現在TOCOMに上場している石油関連商品については当面置いたままにするという結論でございます。この当面というのは、総合取引所としての効率性というか、効果というのを考えると、これは石油も含めて全部金商法のほうに持っていくというのがベターだというのは我々も当然認識しているのですけれども、一方で、この問題についてなかなか何年も議論が続かなかったもう1つの背景として、例えば、経産省さん側から見たときのエネルギー政策としての先物と現物の一体性というところでございます。特に経産省さんとしては、今回の総合取引所の創設というのも政府の成長戦略に乗っておりますけれども、一方で総合エネルギー市場の創設というのも大事だといった文脈で、これから電力のスポット市場であるとか、電力の先物市場であるとか、そういったものの創設ないし発展というのを考えているときに、燃料市場がやはり商先法の中から分かれてしまうというところに対して、すごく抵抗があったということと認識してございます。
 
 したがって、ここは大きな論点であったことは事実ではあるのですけれども、ここの1点だけに集約して、この総合取引所全体が進まないのでは日本のコモディティーデリバティブ自体が死んでしまうということもありますので、基本合意時点ではまずそこの部分を切り離して、貴金属、ゴム、農産物をまずは金商法下に移管してくることから始めるということで、現在のところは決着しております。
 
 また、この一連の議論の中で、今申し上げたように、現在、TOCOMに上場している石油は残すことにしましたが、今後、新しい石油を上場する際にはその限りでないという合意もしております。
 
 これはどのような意味かといいますと、現在TOCOMで上場しているのは中東原油の先物でございますけれども、世界にはもっと金融商品的に扱われている、例えばWTIの原油だとかブレントの原油などもございます。それと同種の商品を金融商品として大阪取引所に上場するというのは、それはそれでリーズナブルではないかという議論も一方でしておりまして、そういう意味では、石油関連商品を金商法下で取り扱える余地を残したというのが現在の決着でございます。
 
【神田座長】 
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 
 大体よろしゅうございますでしょうか。今日は大体予定の時間がそろそろということになっておりますので、もしよろしければ本日の審議はこのあたりとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 
 それでは、事務局から今後についてのご説明をお願いいたします。
 
【小森市場課長】 
 委員の皆様におかれましては、報告書の取りまとめをいただき、また、それに加えまして、本日も幅広い議論に対しましてご意見をいただきまして、まことにありがとうございました。取りまとめいただきました高齢社会における資産形成・管理の報告書につきましては、座長にも最終的にご確認をいただき、なるべく速やかに公表させていただきたいというふうに考えております。
 
 昨年の秋以降、ご議論いただいてまいりました高齢社会における金融サービスのあり方の議論につきましては、今回の報告書の取りまとめをもって終わらせていただくこととしたく存じます。しかし、報告書にもございますように、また、本日の意見交換でもご意見いただきましたけれども、金融面での高齢社会への対応はこれで完結するものではないということでございまして、金融サービス提供者による取り組み等の状況につきまして、例えば、四半期ごとにフォローアップしていくといったこと等を考えているところでございます。
 
 今後は報告書の内容についての実行のフェーズに移るということでございまして、それにふさわしい形で進めさせていただくということを考えられますところ、具体的な進め方等につきましては今後、神田座長ともご相談させていただきたいというふうに考えているところでございます。
 
【神田座長】 
 どうもありがとうございました。今、事務局からご説明いただきましたように、このワーキング・グループとしてというか、このワーキング・グループにおけるといいますか、高齢社会における金融サービスのあり方についてのご議論は、この報告書の取りまとめをもって終わらせていただきたいと思います。その上で、今後につきましてはまた必要に応じて改めてご案内をさせていただきたいと存じます。
 
 それでは、重ねまして、皆様方のこれまでの精力的なご議論に心より厚く感謝申し上げます。以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 
 
―― 了 ――

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