金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第26回)議事録

 

1.日時:

令和元年12月10日(火)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室





【神田座長】
 おはようございます。定刻になりましたので始めさせていただきます。ただいまから市場ワーキング・グループの第26回の会合を開催させていただきます。皆様方にはいつも大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日でございますけれども、前回に引き続きまして、顧客本位の業務運営のあり方についてのご議論をお願いしたいと存じます。早速議事に移らせていただきますが、今日はまず事務局から、前回の会合におきまして委員の皆様方からいただきましたご指摘やご質問に対する説明をしていただきます。その後に本日のメインの内容であります、顧客本位の業務運営に係る日本と欧米の対応について事務局からご説明をしていただいて、そして討議ということにさせていただきます。

 なお、本日も委員の皆様方の着席はランダムにさせていただいております。また、前回と同様、多くの委員にご発言いただく機会を確保する観点から、説明の方や委員の皆様方からの発言が一定時間を過ぎますと、残り時間の目安がスクリーンに映し出されるようになっているようでございます。ちょっと私は慣れていないのですが、ほかのワーキング・グループでも最近これが普通のやり方のようでございますので、ご発言の際のご参考にしていただければと思います。

 それでは、まず前回のご質問等についてですけれども、事務局の石村リスク分析総括課長からご説明をお願いいたします。

【石村リスク分析総括課長】
 総合政策局リスク分析総括課長の石村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。

 本日は、10月にご報告申し上げた顧客本位の業務運営の取組みのこれまでの振り返りと課題について、当日委員の皆様からいただきましたご質問・ご指摘に対する回答についてご説明申し上げたいと思います。

 まず資料でございますが、右上に資料1とあります事務局説明資料と、この資料に入れております金融機関の参考事例がスペースの関係で見にくくなっておりますため、拡大して参考資料ということで別途添付しておりますので、必要に応じてご覧いただければと思います。それでは早速説明に入らせていただきます。

 資料1、1枚おめくりいただきまして右下1ページと付してあるシートをご覧ください。まず、永沢委員からいただきました銀証連携に関する問題提起に対する回答でございますが、検証時間の制約もあり、販売額や顧客数を勘案し、メガバンクグループの検証結果となりますが、ご報告させていただきます。

 1枚おめくりいただきまして2ページ目をご覧ください。3メガ銀行ともグループ証券と連携したビジネスを拡大してきておりますが、紹介基準はおおむね金融資産3,000万円以上のマス・アフルエント層と言われる顧客などを対象としておりまして、顧客とは書面にて意思確認を実施しております。主な取引商品は積極的に増やすニーズに対応した債券、株式、投資信託となっております。

 また、銀行の業績評価上は、証券会社への紹介により高い手数料を得るインセンティブはほぼなくなっておりますが、銀行には顧客を証券会社に紹介する件数目標が存在する、または存在したことから、戦略的に証券会社での取引にシフトするグループとしての意図は窺われます。こうした中、証券会社の業績評価上の収益評価は実額による方法を採用しておりまして、銀行とは異なり、高い手数料の商品を販売するインセンティブが存在する可能性があろうかと思っております。

 結論といたしましては、一定のリスクがとれる富裕層等を中心に、それにふさわしい品揃えを行っている系列証券会社に紹介しているのが実態かと思われます。金融庁といたしましては、グループ全体の顧客本位の業務運営を遂行するためには、当該顧客にとって最善な分散投資ポートフォリオを担当者間で擦り合わせた上で顧客宛て提案を行うなど、グループとしての一貫した方針に基づいた提案を行うことが求められると考えており、こうした観点からモニタリングを行ってまいる所存でございます。

 続きまして3ページ目をご覧ください。黒沼委員よりご意見をいただきました、モニタリング結果を原則ごとに整理した方が議論がしやすくなるのではないかということに対して、系列会社の投信販売状況や外貨建保険等の苦情増加を踏まえた銀行と保険会社のやりとりを含めご報告させていただきます。

 まず原則1、方針の策定・公表につきましては、「原則」を採択しKPIを公表している金融事業者は増加傾向が継続しているものの、取組成果が未公表の事業者も多く、「原則」採択が目的化している懸念もあると考えております。

 1枚おめくりいただきまして4ページ目でございます。原則2につきましては、研修を充実させ、幅広い専門的な知識・スキル向上を促す取組みが見られるほか、自主的なKPIにFP等資格保有者数を設定して、専門知識の習得を促す取組みも見られております。また、企業文化として浸透・定着を図るために、経営陣がその重要性を職員に対して直接説明するなどの取組みも見られております。こうした中、投資信託の平均保有期間は長期化しており、回転売買に依存する営業姿勢に改善の兆しが見られる一方、月次販売額は引き続き四半期末ごとに伸びが認められ、プッシュ型営業が一定程度行われていることが窺われております。

 5ページ目でございます。原則3、利益相反の適切な管理についてでございます。金融機関では、例えば、取引方針に、商品提供会社から販売会社へ支払われる手数料や系列関係にとらわれることなく、お客様にふさわしい商品をご提案する旨明記し、役職員の評価において系列運用会社の商品販売を非系列運用会社の同種商品と比べて有利としないなどの対応方針を策定しております。こうした中、当庁のモニタリングでは、系列と非系列の運用会社の商品に対し、現在、業績評価上で差を設けている金融機関は認められておりません。

 1枚おめくりいただいて6ページ目でございます。もう少し分析を進めます。主要行・大手証券について、左のグラフでございますが、投資信託の販売額や取扱商品数に占める系列商品の割合を見たところ、販売額では4割から8割、取扱商品数では3割から7割と、各行・各社において区々な状況でございました。また、右下の表に示しておりますが、販売額上位5商品のうち、1から3銘柄が系列商品でございました。これらの系列商品のリターン、シャープレシオ、信託報酬率についてカテゴリー平均値と比較したところ、平均以下のところに網がかかっておりますが、いずれも区々な状況でございました。

 続きまして7ページ目でございます。原則4、手数料等の明確化につきましては、投資信託においては、一般的に顧客向けの説明資料において顧客が負担する手数料その他の費用を開示し、当該手数料がどのようなサービスの対価なのかについて記載するなど、明確化が図られているほか、取扱商品の手数料を一覧で比較開示しております。一方、外貨建保険等については、商品提案時に個別に開示しているものの、取扱商品の手数料を一覧で比較開示している金融機関は限定的でございました。

 1枚おめくりいただきまして8ページ目でございます。原則5、重要情報の分かりやすい提供については、金融機関ではタブレット端末を使い、資産構成シミュレーションにより商品提案を行うなど、分かりやすい情報提供に向けた取組みが広がってきております。その一方で、複数の金融商品をパッケージする場合・しない場合を顧客が比較可能な説明資料や類似商品の比較情報を一覧化した説明資料を提供している金融機関は限定的でございました。ちなみに好事例については9ページ目に掲載しておりますので、ご参考にしていただければと思います。

 10ページ目に飛ばさせていただきます。原則6、顧客にふさわしいサービスの提供につきましては、金融機関では販売員の研修において、資産運用の必要性、長期・分散投資の重要性、投資提案に必要な商品知識に加え、相続等の幅広い専門的な知識・スキルを身に付けさせるといった動きも広まっております。こうした中、好事例も一部には見られますが、個々の商品売りから脱し、最善の利益に適うような長期・分散投資提案を行うための人材育成には課題が認められております。

 11ページ目に移らせていただきます。金融取引被害を受けやすい属性の顧客への対応につきましては、高齢者への販売にあたり、家族同席等による確認ルールを設けるなどの取組みを行っております。また、全国銀行協会と生命保険協会では、外貨建保険の苦情増加を受けて、説明資料の改善や高齢者顧客対応等の更なる取組みを進めており、保険会社では、年次で代理店である金融機関に自主点検を求め報告させているほか、代理店による立入検査を実施し、販売プロセスについて確認を行うなどしております。

 また原則7、従業員に対する適切な動機づけにつきましては、業績評価において、資産形成層の基盤拡大に寄与する事項の評価項目への導入等を広く行っているほか、収益目標自体を廃止している事例が見られました。

 1枚おめくりいただきまして12ページ目でございます。神作委員よりご質問いただきました、販売員が顧客の意向・状況をどのように把握し、また販売員は販売している商品をどのくらいきちんと理解して販売しているのかという点についてご報告申し上げます。金融機関では顧客からご相談シート等により、資産内容などの定量情報や、運用に関する知識・経験や目的などの定性情報に加え、最近では14ページにあるようなシートを使って、将来のライフイベントに向けた所要額等についても把握するようになってきております。

 15ページ目に飛んでいただきまして、最後に、商品販売に関する販売員の理解状況でございます。先ほど申し上げたとおり、金融機関においては研修の充実を図るとともに、スキルについて内外資格の取得状況の把握等を通じて実態把握をしておりますが、繰り返しになりますが、長期・分散投資提案を行う人材育成に課題が認められると考えております。私からの説明は以上になります。ありがとうございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。今のご説明の中で銀行や証券会社、保険会社等の販売状況についてのお話がありましたけれども、もしオブザーバーの皆様方から何か補足でご発言とかコメントがあればここで伺いたいと思いますけれども、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。また後ほどご発言いただいても結構です。どうもありがとうございました。

 それでは先へ進ませていただきます。次に、事務局の太田原市場課長より、顧客本位の業務運営に係る日本と欧米の対応についてのご説明をお願いします。

【太田原市場課長】
 市場課長の太田原でございます。よろしくお願いいたします。それでは資料2をご覧ください。まず1ページ目に目次がございます。最初に日本の制度などに関することを申し上げて、その次に欧米、米国とEUの状況について申し上げたいと思います。最後にそれらを踏まえた論点を提示させていただきたいと思います。

 資料の3ページをご覧ください。顧客本位の業務運営に関する原則につきましては、当市場ワーキング・グループで3年前にご議論いただきまして、2年前の3月30日に「原則」という形で策定してございます。こちらはインベストメント・チェーンに含まれます金融商品の販売、助言、商品開発、資産管理、運用等を行う全ての金融機関等のベスト・プラクティスの実現を目指したものでございまして、同原則ではプリンシプルベース・アプローチを採用しております。顧客本位の業務運営に関連する法令としましては、下の表にございますように、法律上、誠実公正義務や適合性原則等の包括的な行為規制のほか、開示義務等の個別具体的な行為規制が存在しておりまして、業種ごとにマトリックスにしております。一部、表の中で丸がついていないところでありましても、例えば生命保険会社の注のところにありますように、保険業法において意向把握義務や情報提供義務というブレークダウンした義務が規定されておりますし、また、外貨建保険など投資性のある保険の販売には、適合性原則など金商法上の一定の行為規制が準用されている形になっております。

 続きまして4ページでございます。前回の会議で報告されたいろいろな問題の中でも、特に販売業者に関連するお話が多かったように思いましたので、参考として、今述べましたものをさらにまた記載してございます。包括的な行為規制として、誠実公正義務、利益相反管理体制の整備義務、適合性原則といったものがあるとともに、参考として金商法の51条で、当局が公益または投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときには、上記の義務違反ということでなくても業務改善命令を出すことができることになっております。

 続きまして5ページをご覧ください。こういった制度上の枠組みをどのように使っているのか等について記載してございます。従来、金商法では投資者保護等の観点から、必要に応じて個別具体的な行為規制を追加して、これに基づいて行政対応が行われてきております。これに対しましては、例えば新たな問題が発生した場合に機動性に欠けるといったようなご指摘があります。また、金商法では誠実公正義務や適合性原則など包括的な行為規制が存在しますが、これまで当該義務違反はほとんど認定されていない状況にあります。ただし、上記の包括規制及び個別具体的な規制に対する違反ではないとしても、必要に応じて内部管理態勢不備を理由に業務改善命令を発出した事例はございますし、また、行政処分に至らない形で内部管理態勢の不備を指摘し、改善をモニタリングしている事例は10ページのようにございます。

 近年、顧客の属性や意向に照らしてリスクの高過ぎる取引や回転売買など過当な取引、あるいは顧客が契約内容やリスクをよく理解していない取引といった不適切な事例が指摘されてございます。こうした事例は個別具体的な行為規制の違反に該当すると指摘することが困難である場合でありましても、包括的な行為規制である誠実公正義務や適合性原則の観点から問題と認められる場合があると考えております。例えば下の点線の中でありますように、民事裁判におきましても、誠実公正義務違反や適合性原則違反を理由とした不法行為が認められる余地があることが示されております。

 6ページでございますけれども、こちらは証券取引等監視委員会の証券検査の過程で見られた不適切な事例でございます。上段ですけれども、営業員の勧誘に従って取引を行う高齢顧客に高頻度で売買を繰り返させたというものでございまして、投資先が米国株を中心とする外国株式取引で、米国株式市場が好調に推移しているにも関わらず、手数料負担が大きく影響し、大幅なマイナスとなっている事案でございます。さらにこの事案について見ますと、高頻度での売買に顧客から難色を示されても繰り返し説明し、最終的に顧客に納得してもらったと、同意があるということではあるのですけれども、全体として見た場合に適当ではないのではないかということで、内部管理態勢不備に係る指摘ということになっております。下段の方が、不適切な解約の引き止めがされていた事例でございまして、こちらも内部管理態勢の不備に係る指摘ということになっております。

 次に欧米の対応ということで、まず米国のレギュレーション・ベスト・インタレスト、最善の利益規則と訳していますけれども、こちらについて背景を紹介したいと思います。米国では投資アドバイザーと証券販売業者(ブローカー・ディーラー)には異なる法規制が課され、投資アドバイザーにはフィデューシャリー・デューティーが課されまして、一方で証券販売業者には一般にフィデューシャリー・デューティーは課されずに、主として適合性原則が課されております。ただし、近年では、証券販売業者が行う証券の推奨行為と投資アドバイザーの投資助言とが顧客から見て区別し難いということで、証券販売業者に対してもフィデューシャリー・デューティーを課すべきではないかという指摘があったところでございます。

 こうした中、リーマンショックの後、ドッド・フランク法で米国証券取引委員会(SEC)に対しまして、証券販売業者について投資アドバイザーと同等の行為基準を定める規則の制定権限が付与され、規則の制定の検討に入りました。しかしながら、SECにおきまして委員長の交代等によって同規則の制定が進まない間に、米国の労働省が、一定の範囲内で証券販売業者の推奨行為についてもフィデューシャリー・デューティーを課すという新ルールを2015年に発表しました。ただし、このルールは労働省の権限を越えるということで無効判決が下りまして、現在は効力が失われております。こうした中、SECにおきまして最善の利益規則が2018年4月に提案され、本年6月に最終規則として承認され、来年6月までに完全実施することにされております。

 このページの右下に点線で囲っておりますけれども、このレギュレーションの位置付けを申し上げますと、まずこちらはSECの定める行政規則であって、強制力を伴うものであると同時に、顧客の最善の利益実現のために行動するという包括的規定を置きまして、開示義務など下位義務を履行しなければならない最低基準として設けられております。こちらについて、先般、金融庁のスタッフが米国に出張しまして聞いてきたところ、こちらはルールでもありプリンシプルでもあるということで、ハイブリッドな位置付けであるという指摘がございました。

 続きまして9ページでございます。こちらの最善の利益規則の概要でございますけれども、何が最善の利益であるかということは定義をしておりません。他方でこの義務は、開示義務、注意義務、利益相反回避義務、法令遵守義務の4つの義務を全て履行した場合に最善の利益追求の義務が遵守される形になっております。次のパラグラフですが、こちらの最善の利益規則は、個々の取引ベースという証券販売業者のビジネスモデルを踏まえたものでありまして、形としては投資アドバイザーとの統一的なフィデューシャリー・デューティーそのものではないのですが、顧客から見て同等の保護を受けられることを目指しているとSECからも聞いております。こうした経緯から、最善の利益規則につきまして、金融業界からは歓迎される一方、消費者団体などからは投資者保護に不十分であって、統一的なフィデューシャリー・デューティーを課すべきであるということで、無効を求める訴訟が現在提起されているところでございます。

 義務の内容に戻りまして、次の10ページになります。先ほど申し上げた4つの義務ですけれども、例えば開示義務では、顧客に対しまして重要な手数料やコストですとか、利益相反に関する全ての重要な事実を完全かつ公正に顧客に開示しなければならないとされております。

 次に注意義務ですけれども、商品に関する潜在的なリスク、リターン、コストを理解することを前提に、個々の顧客の投資プロファイルに基づいて顧客の最善の利益となることですとか、一連の取引が全体として過度ではなく顧客の最善の利益となることについて合理的根拠を持たなければならないとされております。右側の備考の欄の※2にありますように、合理的な範囲の代替商品の検討が必要ともされております。

 次に利益相反回避義務ですが、推奨に関連する全ての利益相反を特定し、少なくとも開示義務に基づいて開示、あるいはそれができないのであれば排除しなければならないですとか、Dのところにありますように、限定された期間内で特定の証券の販売ノルマを排除しなければならないといったような方針・手続を策定するなどしなければならないとされております。

 最後に4番目として法令遵守義務がございます。

 そしてこの表のすぐ下にございますが、証券販売業者が上記義務を果たす限りで、証券販売業者の特性にも配慮されたと考えておりますが、取引ベースの手数料の請求ですとか、顧客以外の第三者からの報酬の受領といったものは直ちに禁止されるものではないとされております。開示義務に関しまして、Form CRS、顧客関係の概要書面と訳しておりますが、こちらにつきましても同時に公布され、同日施行予定とされております。

 こちらのForm CRSにつきましては11ページにさらに記載しております。まずこのフォームは最大でも2ページまでという分量で、かつ比較可能性を高めるものと位置付けられていると理解しております。

 内容面では例えば表に記載しておりますように、関係とサービスという欄では、どのような投資サービスとアドバイスを提供してくれるのかということで、主要なサービスの概要を記すとともに、右側にありますように顧客に促す質問の内容として、「顧客の財政状況を踏まえると、証券仲介サービスが適切か。なぜか」「金融機関はどのように考えて顧客にその投資を勧めることを選択したのか」といった顧客に考えを及ぼさせるような記載がされております。

 次に、費用・コスト、利益相反等につきましても、何の費用を払うのかということで、例えば「1万ドルを投資したら、そのうち何ドルが費用に費やされ、何ドルが正味の投資に回るのか」といったことですとか、あるいは利益相反につきましても、利益相反が生ずるというようなことを明記して、顧客に考えてもらうというような建付けになっているものと理解しております。

 続きまして12ページがEUのMiFID Ⅱといわれるものでございます。2番目の白丸にあるように利益相反の回避というところでは、顧客の最善の利益のために行動する義務に反する従業員報酬、業績評価禁止ですとか、インセンティブを与える報酬体系や販売目標の設定禁止といったことが記載されてございます。その次の白丸の開示義務では、顧客が全体のコストとリターンに関する累積的効果を理解することができるよう、統合して開示することですとか、その次の適合性原則のところでは、金融商品組成時に対象客層を特定することや、推奨が顧客の最善の利益にならない頻度で行われた場合、個別では適合的でも、一連の取引としては不適合となり得るといった記載がございます。

 以上を踏まえまして、14ページからはこれまで述べた日本や欧米の記載を並べております。回転売買や過当取引等、誠実公正義務や適合性原則の観点から問題のある事例の要因と考えられる事項につきまして、日本でも法令や監督指針あるいは原則に関連する記述があると理解しております。他方、海外ではこれらにつきまして法令で詳細かつ具体的な関連規定が設けられている場合があると理解しております。

 例えば表のほうに記載しておりますけれども、1番目に、顧客の属性や意向を把握しているか、それを最善の利益にかなう推奨につなげられているかという点につきましては、日本では顧客の属性などは把握するよう求められておりますし、原則でも、例えば原則6で顧客にふさわしいサービスの提供がうたわれております。右側をご覧いただきますと、米国では顧客の最善の利益であると信じる合理的根拠を持つに足りるだけの情報の取得・分析が必要とされていたり、EUでは組成会社が商品組成時に特定した対象客層を考慮しているかどうかといったことが記載されております。

 次に、一連の取引を総合的に評価するという観点については、我が国では明示的には言及されていないと。ただ、原則では当然そのようなことに取り組んでいただくことは期待しているところでございます。米国あるいはEUでは一連の取引が過度かどうかということが明文で記載されているところでございます。

 続きまして15ページになりますけれども、販売員の業績評価やノルマについてでございます。日本では利益相反管理体制整備などについて触れられております。一方で米国では期間や商品を限ったうえでの販売ノルマの排除ですとか、EUでは最善利益のために行動する義務に反する報酬・業績評価禁止といった規定がございます。

 4番目に、利益相反に関する情報提供ですけれども、日本では利益相反の内容の開示は利益相反管理体制整備で触れられ、あるいは手数料は契約締結前交付書面、目論見書に記載することが求められている形になっておりまして、米国では利益相反に関する全ての重要事実は完全かつ公正な開示が必要、EUではあらゆる利益相反を特定、開示する必要という規定になっております。

 最後のスライドですけれども、論点としまして、①は、前述したような不適切な事例、主に最低基準の話をどうするかという目線の話でございますけれども、こちらにつきまして、どのように対応することが適当と考えられるかいうことで、A、B、Cを掲げております。Aは法令や監督指針を見直すことによる対応でございまして、例えば個別具体的な行為規制の追加ですとか、今ある包括的な行為規制に基づく法執行を円滑に行うための解釈の明確化、これによって例えば業務運営全体の状況ではなくて個別事案ごとに判断できるようにするかどうかというようなことを掲げております。Bはいわゆるソフトローであります原則の改訂。Cは上記2つ、AとBを組み合わせるということを書いております。

 ②は業者が証券・預金・保険の販売や仲介をあわせ行うこともある中、各業法で、最初に見ていただいたように例えば適合性原則といったものがございますけれども、そういった各業法の枠を超えて横断的に考えることも必要と考えられるがどうかということでございます。言い方を変えますと、それぞれ顧客に適合した商品の販売は各業法で規律されておりますけれども、それぞれの業法の範囲内では不適合と言えない中で、さらにその業をまたいで顧客にとって最善のものを提供するように仕向けるような仕組みがあり得るかどうかということでございます。

 最後③ですけれども、金融機関のベスト・プラクティス、こちらはベストを目指す動きですけれども、この実現を支えるメカニズムの醸成に資する方策としてはどのようなものが考えられるかという点でございます。例えば、紹介した米国のForm CRSのようなものについてどのように考えるかということを例示しております。

 駆け足でございましたが、私からは以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは以上のご説明につきまして皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければと思います。いつものことで恐縮ですけれども、時間も限られておりますので、ご発言は手短にお願いできればありがたく存じます。最長でも1人5分以内でお願いできればありがたいということでございます。それでは上柳委員、どうぞ。

【上柳委員】
 ありがとうございました。特にアメリカのレギュレーション・ベスト・インタレストについては大変注目すべきものと思いました。その中でも、半分質問なんですけれども、パワーポイントでいうと10ページの2のB)とかC)に「特定の顧客の投資プロファイル」という言葉があります。これの具体的な中身であるとか、このプロファイルを把握しないと最善の利益になるかどうかという判断はしにくいと思うのですけれども、どのような把握方法が推奨されているのか、あるいは示唆されているのか、規則であるとか、あるいは個社のレベルでどういうコンプライアンスでこれを確保しようとされているのか、情報があれば次回以降でも結構ですのでさらに教えていただければと思います。

 それに関連すると思うのですけれども、アメリカの考え方のポイントは、やはり、パワーポイントでいいますと14ページの「米国:最善の利益規則」と書いてあるところの2行目、合理的根拠を持つに足りるだけの情報の取得・分析が必要である。これは逆から言いますと、把握できた情報に基づいて合理的根拠があるかどうかという判断である。顧客情報が不十分な場合には推奨ができないことを含意しているのではないかと理解しているのですけれども、ここのところの考え方が日本の今の実務とは少し違うような気がしているのです。

 そういう意味で、結論的にはここのところの行為規制は日本でも導入したほうがいいとは思っております。としても、何が合理的かとか、何がふさわしいかということについては規則に書きようもないところもあるので、そこはやはり16ページの論点の書き方で言うと、最終的にはCにならざるを得ない。合理的根拠を持つに足りるだけの情報の取得・分析は必要だということはハードローで決めて、それを合理的根拠の確保、保護については業界なりあるいは個社のプラクティスを期待していくというふうにならざるを得ないと思うのです。投資プロファイルの把握について一定の行為規制が必要なのではないかと思っているところです。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。ご質問がありましたけれども、お願いします。澤井さん。

【澤井専門官】
 顧客の投資プロファイルですけれども、顧客の最善規則に定義がございまして、述べますと、顧客の年齢、他の投資、経済的状況及びニーズ、税務ステータス、投資目的、投資経験、投資対象期間、流動性ニーズ、リスク許容度、その他の顧客が推奨に関連して証券販売業者またはその販売員に開示できるあらゆる情報というように定義されております。ただ、これは限定列挙ではなくて、これに限られるものではないというような解釈も示されているところでございます。

 こういった個人情報の収集方法ですけれども、具体的に規則の解釈指針ですとかに何かというふうに書いてあるわけではございませんで、これは各社の創意工夫に委ねられているものと理解しております。それに関連しまして、収集できる情報が不十分な場合はどうなのかというご質問もあったと思うのですけれども、これに関しては非常に書き方が抽象的なところではあるのですけれども、SECがどのように解釈をしているかと申し上げますと、合理的努力を尽くしたにもかかわらず顧客の情報が得られなかった場合には、その推奨がその顧客の最善の利益であるか否かを適切に評価するために、顧客を十分理解しているかどうかを注意深く検証しなさいと書いてあるのみでございまして、得られた情報に基づいてどこまでできるかというところまで踏み込んでいないところが、彼らの現時点での解釈かと認識しております。

【神田座長】
 よろしゅうございますでしょうか。どうもありがとうございました。それではほかにいかがでしょうか。加藤さん、どうぞ。

【加藤委員】
 規制のエンフォースメントという観点から、3点コメントをさせていただきます。

 1点目ですが、本日の事務局説明資料2の6ページで、証券検査の過程で見られた不適切な事例をご紹介いただきました。この事例では、内部管理態勢不備に係る指摘という形で対処がなされていますが、別の言い方をすれば適合性原則の違反、つまり金商法の40条1号違反の認定はできない事案だったという理解で正しいのか、確認させてください。

 2点目ですが、同じ資料の4ページで、販売業者に関する行為規制を整理していただいております。そこで金融商品取引法51条が挙げられていますが、その特徴として、具体的な行為規制違反を認定する必要がないということがあります。先ほどのご説明では、具体的な行為規制違反を認定することが難しい事案であっても、内部管理態勢不備という形で対処がなされているとご紹介いただいたのですけれども、私は何か因果関係が逆のような気もしています。つまり、具体的な行為規制違反を認定しなくても対処できる仕組みがあるから具体的な行為規制の認定をしない、あえて避けているという仕組みになっている気がするのです。妙案があるわけではありませんが、例えば適合性原則違反や利益相反管理態勢の不備などの場合に限って発動可能な特別なエンフォースメントの手段を設けるなどして、金融庁において検査を担当する方により積極的に違反事実の認定を促す仕組みがあるとよいように思いました。

 3点目は、本日、アメリカと欧州の事情をご紹介いただきましたが、エンフォースメントの状況もご紹介いただくと、今後の議論の助けになると思います。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。金融庁から何かコメントとかありますか。

【太田原市場課長】
 ご質問ありがとうございます。ちょっと執行部門の人間ではないので、あまり責任ある回答はできないのですけれども。

 先ほどの事例では適合性原則の認定についてのご質問でしたけれども、まずは顧客の同意があったということでありますので、したがってそこで適合性原則の認定はなかなか難しかった事案ではなかったのかなと理解しております。

 2番目の因果関係のところも、ちょっとそこはどういうものなのかというのは執行部門ともまた意見交換してみたいとは思っております。

 最後3番目の欧米のエンフォースメントですけれども、紹介しましたようにアメリカは完全実施が来年ということですので、中身についてはこれから見ていかなければいけないということで我々も注目しておりますし、何かわかればまたフィードバックしたいと思います。欧州のほうも調べてはいるのですけれども、ちょっとまだ調査が足りておりません。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは島田委員、黒沼委員の順で、島田委員どうぞ。

【島田委員】
 大枠で考えたことですけれども、まず、欧米を見てお手本にするのは非常にいいことだと思いますし、参考になる部分はたくさんあるとは思います。けれども、日本独自の問題というものがまだまだ残っている。特に独立してアドバイスをする、投資助言をするといった人たちがこれから様々な形で出てくるのではないかと思われます。が、どういう形で出てきているかというのがまだ欧米のようにはっきりしていない現時点で方向性を決めていくことになりますと、いろいろな形のアドバイザー、売る人もいる、アドバイスだけする人もいる、1つの金融機関に紐づけされている人もいる、複数の金融機関に紐づけされている人もいるといった中で、そういう方たち全てと金融機関に所属する販売員さんも含めて、全てにかかるようなものとして考えていく必要があるのではないかということを強く感じました。

 もう一つ、最後のところの②にありますように、「顧客の最善の利益を考慮する上では商品の枠を超えて横断的に考えることも必要」という、ここが非常に重要であると思います。その点では、米国のようにわかりやすいフォーマットをつくって顧客にあらゆる金融商品について比較可能、あるいはその特性を理解させるような簡単な書面ができたらいいと私も思います。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは黒沼委員、どうぞ。

【黒沼委員】
 今日ご紹介いただいたアメリカの最善の利益規則やEUのMiFID Ⅱの内容は、日本では法令や前回定めた顧客本位の業務運営に関する原則がその範囲をほぼカバーしているものだと思います。ですから、法令と原則を両方総合的に見ると、アメリカやEUで行われていることと同じことを日本で行っているか、それを推進している状態ではないかと思います。

 ただ、今回のご報告にもありましたように、日本では法令上、適合性原則とか誠実公正義務、それから一部の金商業者については忠実義務、善管注意義務の規定が置かれていて、その違反に対して行政処分をかけることができるのですが、その例がほとんどないのが実情です。この点について、やはりそれをブレークダウンした解釈とか具体的にどういうことをすべきだというものがないために、行政処分をかけにくくなっているのではないかと思います。それを例えば今回の米国の最善の利益規則が行おうとしているのではないかと思います。

 そこからもし参考にすることがあるとすれば、現在は、今申した米国の部分は日本では「顧客本位の業務運営に関する原則」のほうに含まれているのですが、その一部をルール化するというと言い過ぎかもしれませんけれども、法令のカバーする範囲に含めて、法令に基づく行政的な監督も及ぼすことができるようにすることだろうと思います。ただ、具体的にどういった内容を選び出すかというのはここで慎重に議論すべきではないかと思います。今日、論点として出していただいた①について、Aのように包括的な行為規制に基づく法執行を円滑に行うための解釈の明確化を行って、個別事案ごとの判断で法執行ができるようにすべきではないかと考えます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは多くの方に札を立てていただいておりますけれども、中野委員、神戸委員、野村委員、高田委員、永沢委員、鹿毛委員の順でお願いできればと思います。中野委員、どうぞ。

【中野委員】
 ありがとうございます。今日発表いただきました説明資料でとりわけMiFID Ⅱについては始まって注目していましたけれども、特にアメリカのその後の政権も変わって進行がどうなったかというようなことをアップデートしていただいて、改めて勉強になりました。まずありがとうございます。

 その上で、今、事務局さんのほうで悩んでおられると言っていい論点を具体的に課題提起いただいたということで、ちょっと1、2、3の順にシンプルに私の感じたことを申し上げたいと思います。

 まず1の、ルール化するかどうかということについては、まずリーマンショックがあった10年ちょっと前を思い出していただくと、アメリカもヨーロッパもいわゆる強欲資本主義のようなものが金融業界の中で徹底して顕在化してリーマンショックを引き起こした。その結果、大いなる自己反省によって強いルール化が進んだと捉えられます。一方日本はそこまで悪くなかったんだということも踏まえれば、この歴史的経緯に鑑みたならば、アメリカ、ヨーロッパの事例に対して日本が果たして周回遅れなのかどうかという判断は必要だと思います。私は必ずしもそうではないと思っていまして、一方で行政当局が掲げてきたプリンシプルベース行政というものに対して、引き続き根本的にはその高みを目指していただきたいと思います。それは日本の金融業界の文化と言ってもいいのですけれども、ルール化して画一化することによって金融業界全体が思考停止になることが、何よりも金融サービスの高度化や競争の発展の阻害につながってしまうだろうということを憂慮しているからであります。

 2つ目については、島田委員がおっしゃったことに私も本当に同感でありまして、これは縦割り行政の部分が出ているということでもあるので、こういった金融商品あるいは細かい業界を超えた包括的なルールが必要で一定のルール化をしてもいいのではないか。そのルールをベースに実際に顧客との対話については高度なプリンシプルを合わせ技でやっていけばいいので、例えば金融取引アドバイス法といったようなものを根っこに据えるといったことが必要な時期になっているのではないかと感じています。

 そして3つ目の部分ですけれども、これが具体的にこれからどういうふうに顧客本位を進めていったらいいかのメインストリームになると思います。例えば、日本独特の商慣習やヒエラルキーということを、投資信託で言えば、圧倒的な販売会社主導という部分があります。これは業界、業種のヒエラルキーで言うと、販売する人が偉くて、それをつくる側、供給する側が偉くないということで、まずここを正していかなくてはいけない。すなわち、この目線をまずイコールに合わせていくところから始めなければいけないのですが、具体的に一つのご提案としては、商品供給側も販売業者をきちんと選択していくのだといった形での相互監視、すなわち、相互のモニタリングといったものを義務化する、そしてそれを公表していくということです。例えば商品を供給する側も、顧客本位でない販売をする業者と判断したならば、そこに対して一定の糾弾をしていく、あるいは取引を停止するといった行動をしっかりとっていくことによって、顧客本位でない事業者を業界の中で自浄していく作用をつくっていく。それはフィデューシャリー・デューティーの概念から言うと、顧客に対する一定の共同責任、相互責任があるのだということを自覚するべきだろうと思います。

 顧客本位の自主的実践の促進につながる金融業界内相互の牽制機能をルール化することで、プリンシプルベースの一定水準を確保していくといった側面的なルールに付加したような、先ほどハイブリッド型と事務局もおっしゃっていましたけれども、そういった考え方を、これから具体的に考えていったらいいのではないかと感じております。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それではお隣の神戸委員、どうぞ。

【神戸委員】
 ありがとうございます。今回の論点の中でおおもとの部分ともいえるでしょうが、顧客本位の業務運営やベスト・プラクティスという言葉自体の受け止め方が人によって異なるのではないか、というところをまず確認する必要があると思っております。私は実際にいろいろな金融機関さんの話を伺ったり、研修の講師をやらせていただく機会も多いのですが、以前は顧客満足度の高い営業スタイル、いわゆるCS営業というのをいろいろな金融機関さんが標榜されていたわけです。それと顧客本位の業務運営はどこが違うのかというところの理解がもう一つではないかと感じることがよくあります。

 顧客満足度が高い営業というのは、例えば証券会社さんのケースが一番わかりやすいと思うのですが、売りたいものを売れる、買いたいものを買える、というのが当然顧客の満足度は高くなるわけです。新規公開株いかがですかというように、儲けたいと思っているお客さんに喜ばれるものを提供する、あるいは売りたいと言われたら止めずにそのまま売らせるという営業スタイルが、おそらく顧客の満足度を上げる方向に機能するでしょう。一方、今回議論している顧客本位の業務運営というのは、販売する側が倫理観を持って、この商品はその顧客に本当に買わせていいのか、あるいは申し出のまま今売らせていいのかも判断する必要がある、というところが一番大きな違いではないかと思っています。

 経済合理性が高いことが本当にその顧客にとって最善なのか、顧客の最善の利益というのは一体何なのかという議論にもつながってしまうのですけれども、資料の6ページにありました不適切な事例というんですか、売るのを止めたという下の例ですね。解約引き止めを行ったのがあまりよろしくないという例として出されていると思いますが。

 顧客本位の業務運営というのは、どれだけお客さんのことを金融機関側が知っているかというのが最終的に問われる営業スタイルだと私は思うのですが、お客さんに長期・積立・分散での投資をアドバイスしていたときには、運用の途中で大きく相場が下落した場面でも、解約を思い止まらせるべきケースがあると思います。実際はそういう場面で解約したり、あるいは積み立てを休止してしまいたがる顧客が多いはずですが、その人が本当にリタイア後に向けて長期的に資産を形成している途中であれば、そこは売らない方がいいですよとアドバイスする方が正しいかもしれないわけです。そのお客さんの将来のライフプランについてどれだけ知っているかが問われる場面でしょう。顧客の最善の利益というのは経済合理性だけではないということを理解することが、生活者向けのアドバイザーに求められるところではないのかと思っています。

 そういう判断を倫理観を持って行わねばいけないというのが顧客本位の業務運営ということになるでしょう。持つべき倫理観として、資料にある4つの項目、開示義務、注意義務、利益相反回避、法令遵守というのは、ベースになるものだと思います。これらに関してはやはり身に着けておくべき基本項目だと思いますから、ルール化があってもいいのではないでしょうか。

 金融機関さんは、顧客の属性はそれなりに把握されているのですけれども、将来のニーズあるいはライフプランについて十分に把握しているとは言いにくく、それらによって最善策は異なってくるはずです。投資とは少し事情が違うかもしれませんが、例えば相続対策のアドバイスで税金が一番安くなること、つまり経済合理性が最も高い提案がベストプランとは限りません。この場合、お客さんにとって、遺したいと思っているものを遺したい相手にスムーズに渡せるようにするというのが本当のニーズといえ、それにどれだけ応えられるかということがアドバイスする側には問われるはずです。

 各金融機関や証券会社のビジネスモデルにもよりますが、より資産を拡大させたい顧客の最善の利益の捉え方と、ライフプランを実現してリタイアに備えたい顧客が資産形成を考える場合の最善の利益は、異なるケースが大半だと思います。そのあたりをもう少し、金融機関さんなどが正しく理解できるように、金融庁さんも対話や指導を行っていかないと、受け止め方が人によってごちゃごちゃになってしまい、はっきりイメージできていない金融機関も多いという状況なのではないかと感じております。以上が、今回お示しいただいた内容についての私の意見です。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは野村委員、どうぞ。

【野村委員】
 詳細なご説明、どうもありがとうございました。前回に続き、本日の資料1の説明を伺っても、基本的に各原則につき、一定の進展があり、同時に一定の課題も見えてきているのが現状ではないかと思いました。その意味では、プリンシプルベースのスタンス、アプローチのもとで見えてきた課題をどんどん対応していくのが現状のステータスなのかな、ということがまず1点目でございます。

 先ほど来の皆様のコメントからもあるように、金融サービス業者は、究極的には、適切な顧客にとって最善のサービスを、適切な対価を得ながら提供することを目指すわけです。利益相反を管理する等々は当然のこととしても、価格が変動するプロダクトであることを踏まえれば、何が適正な対価かというのは難しいわけです。要するに何が言いたいかというと、本来的に、何が最適なサービスかは難しいということです。顧客によっても異なる、サービス提供業者によっても異なる、そもそも多様であるべきだということなので、そうやって考えると、米国で最善の利益が定義できなかったのは、もっともなことだとも思います。要は、本来的に簡単ではないことをやろうとしているのであり、現状見えてきた課題への対応をもう少し追求することがあってもいいのではないかと思いました。

 また、これも先ほど来コメントにあったと思うのですが、やはり日本の現状、日本の事情を踏まえることが何よりも大事だと思っております。日本の事情というのは、やはり何といっても資産形成に取り組む人をいかに増やしていくかということ、別の言い方をすると資産形成支援サービスの利用者をどうやって増やすかということであり、それが日本の重要な課題と理解しております。米国の場合はどちらかというと、そのような状況がある程度存在することを前提に、別の言い方をすると投資アドバイス提供や独立のアドバイザーといったものがある程度普及していることを前提に、彼らなりのいろいろな課題があって、ルール改正という流れだと思います。日本の場合は、言うなれば、オーディエンスを増やさなければいけない、増やしていきたいということがあると思いますので、ここは日本の事情である、いかに参加者を増やすかという目線を決して忘れてはならないと思います。

 また、私も資料2の16ページに至る14、15のあたりに注目しました。一つは、確かに情報開示は大事だと思いますし、有用な開示であれば追求する価値はあるかと思うのですが、一方でやはり開示にもコストはつきものですので、コストの観点は決して忘れてはならないということです。

 また、先ほど申しましたとおり、参加者を増やさなければという日本の現状に鑑みると、たくさん開示の文書等々を見せられると、不安に思う方が増えたり、やりづらいなと思う方が増えたりしないかと思います。利益相反といったことを伝えるのは大事だと思うのですが、過度に怖いと思われてしまうのではないか、日本のまだ資産形成という行為への参加がなかなか普及していない現状の中で、そのようなことへの留意はやはり必要なのではないかと思います。

 米国のForm CRSは、米国でブローカー・ディーラーとインベストメント・アドバイザーの提供しているサービスが収斂していくというか、似通ってきた中で、彼らがよって立つ法令が実は違うという、米国の事情が背景にあると理解しており、日本とは違う部分もあるかと思いました。

 これが最後ですが、資料2の16ページの②に書かれているところは非常に重要な論点だと思っております。顧客の目線に立てば業法の枠を超えて横断的であるべきかと思います。商品・サービスの提供者という意味では、先ほどご指摘もありましたとおり、独立系のアドバイザーは日本ではようやく黎明期という状況で、またそれに対する期待もあるのかなと思っております。そして同時にいわゆる異業種、金融以外という意味での異業種からの参入をめぐる議論もあるわけです。このあたりともすべからく整合的な形で考える必要があり、16ページの②で書いておられる横断的な考えは非常に重要だと思いました。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは高田委員、どうぞ。

【高田委員】
 事務局からのご説明、どうもありがとうございました。特に海外の状況、アメリカでございますとか、実際の実例を踏まえた上でのご説明、大変勉強させていただいた次第です。私は事務局からの説明の資料2の最後の論点のところ、いわゆる16ページについてちょっとだけコメントさせていただければと思います。

 まず第1の論点でありますけれども、ハードロー的なルールベースのもので見直すことでやっていこうという議論、それから2番目のBのところでプリンシプルベースというのでしょうか、ソフトロー的に原則を示しながら、一方で金融機関との対話等も実施しながら創意工夫も促していくという議論があるわけですけれども、私としては、やはりCの2つを組み合わせていくというようなやり方で対応していくのが今の状況ではいいのではないかと思います。

 それから、これまでも多くの委員の方から日本独自のというご指摘もあったわけでありますけれども、私もその辺については非常に同感でございまして、特に欧米における状況と日本との今の金融に関する初期条件がやはり随分違うのではないかと思うところであります。先ほど中野委員からリーマンショックの後の強欲を、というようなご指摘もございましたけれども、考えてみればアメリカなりヨーロッパの場合は特にこの三、四十年間といいましょうか、非常に成功体験がどんどんできるような状況でもございましたし、また、多様な商品がというような、いわゆる金融の自由化、いろいろ商品が多様化していくようなことが両輪で進んだ状況でもあったわけであります。その極致といいましょうか閾値的なところの中でリーマンショックが起き、それに対応して抑制的な様々な制度を対応していくようなところにレギュレーション・ベスト・インタレストの一つのあり方もあったのではないかと思うわけです。

 一方、日本につきましては、残念ながらそういう自由化のところが当然遅れたわけでもございますし、また一方で、このバブル崩壊後の30年間ということで言えば、なかなか成功体験というのでしょうか、こうしたものができにくい、また一方で、そういう中でこうした多様化も進みにくかったという状況があると思います。そういう中で今日、貯蓄から投資へというような状況の中で、いろいろな意味での資産運用に対して育成的に対応していこうという状況が初期条件の命題としてあるということを考える必要があります。もちろん、こういうルールといったものも重要であります。それがまた育成するために重要であることは言うまでもないわけでありますけれども、一方で、行動経済学的ナッジングといいましょうか、ちょっと肩を押すような状況というようなもの、またリテラシーをこうした状況の中で高めていくようなものも一緒に対応する必要がやはりあるのではないかと思います。そういう意味では、その辺の微妙なさじ加減と申しましょうか、またバランスをどのような形で対応していくかというところが、やはり今後重要な課題といえましょう。一方、もちろん先に進んだものをどう勉強しながら対応するかというようなものと、今申し上げた初期条件、あくまでもこれからの成長戦略をこの資産運用で日本の成長として対応していくのかということの両輪がやはり必要ではないかと思います。

 2番目の、最後のページの論点のところになるわけでありますけれども、そうした観点から申し上げますと、様々な業界と申しましょうか、証券・預金・保険の販売、様々なものの横断的にということはやはり非常に重要になってくるのだろうと思います。これまでの状況の中で、各業種というのでしょうか、業界が自らの商品をという、供給者を優先した対応がいわゆるBtoC的なものがあったとすれば、これからの状況はCtoB的に顧客の欲するものをどういう形で横断的に対応できるのかというようなことがあるわけであります。先ほど異業種からというものもございましたけれども、様々なこうしたものが広がってくる中で、いかにこういうものを包括的に、またわかりやすくというのでしょうか、対応できるかが今後の高齢化を含めた資産運用の中でやはり重要だと思います。

 最後になりますけれども、3番目の論点で、アメリカにおきましてForm CRSというようなものを策定しながらベスト・プラクティスをという議論がございました。私もこうしたものはやはり日本にとっても非常に重要ではないかと思っておりまして、先ほど前のところでの金融機関との対話という部分もございましたけれども、様々な創意工夫を促すという形で、いわゆる事例集みたいなものをどんどんつくって、そうしたものをどんどんいろいろな底上げのために対応していくようなことも必要ではないかと思います。そういう意味ではこういう事例集を積み上げること、また先ほどもいろいろな例としての比較みたいなものもありましたけれども、そうしたものを積み上げながら、この業界もしくは金融業の高度化を図ることができればと思っております。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それではお隣の永沢委員、どうぞ。

【永沢委員】
 ありがとうございます。まず、事務局には前回私も宿題を出させていただきました。いろいろ調べていただき、ありがとうございました。また、欧米の状況についても詳しくご説明いただき勉強になりました。

 最初に、資料2について、特に論点1、2、3について意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず1ですけれども、私はCが望ましいと思います。ほかの皆様がおっしゃった理由と同じですが、合理的という表現が鍵になると感じました。その合理的という言葉ですが、経済的な合理性と理解されがちですけれども、先ほど倫理観というご指摘をされた委員がいらっしゃいましたけれども、私も同様のことを感じておりまして、一般人が共感できるというところ、そういう行動をとったのか、その理由について皆が納得できるようなものであるのかどうかという視点で考えることが重要で、さらには、反省して検証することができるというようなところが必要なのかと思いました。この合理的という言葉を重要な鍵と考え、議論していきたいと思いました。

 2につきましては、もちろん賛成でございます。横断的にというところは顧客の目線にまさに適ったものでございますので、ぜひともここは進めていただきたいと思っております。

 3につきましても、Form CRSは、私は顧客と金融機関との間のコミュニケーションツールとして非常に有効なものと考えます。日本でも導入に向けて、強制ではなく、まずは金融業界全体でこのようなものを導入することを自主的かつ具体的に取り組んでいただけたらと思います。

 続いて、資料2ですが、加藤先生のご指摘だったと思いますけれども、6ページの事例の上のほうですけれども、これは大変よくあるケースで、私も何度か遭遇したことがございます。今の我が国のルールでは、こういう事案でお客様と金融機関の間で争いになったとき、金融機関側はルールは守っていると主張されることが多いわけですが、顧客側にはその主張はとうてい納得感がないわけです。ところが、ここで示されているようなアメリカの規則などを当てはめていきますと、当然こういうことはだめ、許されませんよということが明確に言えるわけで、消費者救済という点では格段に進んでいるように思います。ここに示していただいたようなアメリカの具体的な事例も含めて、今後のワーキング・グループの中で、アメリカのルールの具体的な適用事例をいろいろ示していただくことをお願いしたいと思います。

 補足ですが、現行の「顧客本位の業務運営に関する原則」は抽象的にとどまっており、現場の方々にも伝わるように具体化していかなくてはいけないと思っております。また、現時点では、会社が原則を宣言していますけれども、原則を実践するのはその会社に勤務されている個々の従業員の方々になるわけで、原則が世の中に実践されていくためには、金融業界で働く個人一人ひとりが考えて実践できるようなものにしていくことが必要なのではないかと思ってもおります。

 また、前回の私の質問に対して事務局から資料1をご用意いただきましたので、コメントを述べさせていただきたいと思います。

 確かに富裕層については多様な投資ニーズがありますので、丁寧にきめ細かく対応していくことが必要だと思います。系列の証券会社を通じて顧客のニーズに適った商品やサービスを提供することが顧客本位に通じることもあるという点についてなるほどと思った次第です。一方、富裕層だから金融リテラシーが高いというわけではございませんので、系列の証券会社に紹介いただいた後においても、引き続きそのお客様の最善の利益が図られているかというところは、グループとして管理はしていただくことが望ましいとも思います。

 それから黒沼委員からのご質問に対する分析に関しましては、改善傾向を確認することができたと同時に、課題が明確になったということが言えると思います。課題としては、保険の手数料の開示と、もう一つ、ご提案書については大変よい取り組みと評価しますが、こうした提案が本部で品質管理できるようにしていただく必要がある点を指摘しておきたいと思います。

 それから最後になりますが、適合性の原則にとどまらず、最善の利益とは何かを考えることができる人材をどうすれば育てることができるのかを、金融業界全体でもう一歩進めて考えていただきたいと思います。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは鹿毛委員、どうぞ。

【鹿毛委員】
 ありがとうございます。この16ページの論点が、これから「顧客本位の業務運営に関する原則」の実効性ある定着を図っていくための主要論点で、おそらくこのワーキング・グループの課題ということで、半年かけて答えを出していこうということだと思いますので、今日、私は議論の問題提起を2点ほど申し上げます。

 第一は、この原則やアメリカのベスト・インタレストのレギュレーションにしても、ミニマム・スタンダードに関するものとベスト・プラクティスに関するものとが混在している点に関連します。ミニマム・スタンダードの方は不適切事例が目につく状況で考えますと、まだまだやることがあるのではないか、ある程度強制力のあるハードローで埋めていく部分があるのではないかと思います。

 一方で、ベスト・プラクティスの部分は、本来は民間企業の自主的な努力で、個別の戦略で競争力をつけていく世界の話だと思いますので、これは基本的にはソフトローによる対応に適した分野と思います。

 ただ一つだけ、従来から指摘されているように、個人投資家、個人と供給サイドの金融機関との間に圧倒的な情報格差があることを考えますと、やはり情報開示というところは、今後、今回のワーキング・グループの議論の対象にしてはどうかと思います。

 第二に、何人かの方からもご指摘がありました顧客本位あるいはベスト・インタレストの中身の問題です。第一段階としては、「顧客本位」一般で議論してきたわけですが、現実には、お話がありましたように、高齢層と若手、資産があるかないか、リスクに対する考え方等人によってそのインタレストはもちろん変わってくるわけですし、しかも個人個人も、実は自分でこんな話を聞いたからぜひやりたいとか、高くなったから買いたいとか、いわゆる群集心理のようなものもあって、自分で考えているインタレストが本当の意味で自分のためになっていないことは現実にはたくさんあるわけです。しかもそれ自体も時とともに変わっていくこともあります。

 結局、ベスト・インタレストなり真の意味での顧客本位、特に「顧客にふさわしいサービス」という項目がありましたが、その中身は曖昧なものなのだろうと思います。そしてこうした曖昧なものというのは本来的には私はハードローの対象にはなりにくいのだろうと思います。アメリカのSEC規則の実施に当たって具体的にどうするかはちょっと興味のあるところです。ですから、仮にこの部分について何らかの形でさらなる対応が必要ということがあるとしても、これは相当工夫が必要となるのではないかと思いました。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それではお隣の竹川委員、どうぞ。

【竹川委員】
 詳しい資料、どうもありがとうございました。私からは2点申し上げたいと思います。

 ます1点目ですが、顧客の最善の利益を考えたときには全体最適を考える必要があります。そういう意味では16ページの②にあったように、1つ目は横断的に考える必要があると考えます。これまでは公募投信に関する議論が結構中心に置かれていましたが、公募投信だけを抜き出して議論してもあまり意味がないと思っております。例えば保険であるとか、(厚労省の所管にはなりますが)確定拠出年金における運営管理機関なども含めて横断的に考えていく必要があるのではないでしょうか。

 例えば、確定拠出年金の運営管理機関は、今年の7月に取り扱う運用商品の一覧を公表しましたが、資産クラス別、あるいは手数料の比較等がとてもしにくい状況になっています。来年、遅くても再来年にはiDeCoと企業型確定拠出年金を合わせた加入者は1,000万人を超えるといわれます。資産形成層にとっては、銀行や証券会社で初めて投資信託に出合う人よりも、会社で出合う人が今後は増えてくると考えられます。こうした背景を考えると、金融庁が主導して、投資信託の開示状況に関しては、包括的にフィデューシャリー・デューティーに当てはめるような形にしていただけるとありがたいです。

 横断的に、に加えて「縦」も考えてほしいです。個人は公的保障、企業内保障があり、その上で、自分で準備する分をどうするかという順番で考えるのがのぞましい。例えば、自営業の方が公的年金の保険料を払わずに個人年金保険に加入していたりということが現状ではあったりします。将来、無年金になってしまうかもしれない人に対して、個人年金を販売するのはよろしくないのではないか、と思います。本来は、公的保障、企業内保障があって初めて自分で準備する分をどうするかという話になるはずです。そうした教育がもう少し必要ではないかと思います。販売会社だけでなく、消費者も含めてですが、投資教育の前に、公的保障や企業内保障に対する理解が必要ではないかと考えています。

 2点目は、ほかの委員の方からもありましたが、日本の実情に沿った議論が必要だということです。例えばアドバイザーにしても、消費者にとってみるとイメージが曖昧で、思い描く姿はばらばらです。定義、対象をきちんとする、それから「見える化」も今後は必要ではないでしょうか。証券仲介業、保険代理店、それから投資助言代理業登録をしている方、それからファイナンシャルプランナーなど様々な人がいます。それぞれどういう方たちがいて、どのようにつき合っていったらいいのかを具体的に議論する必要があると思います。

 最後に、今回のテーマはではありませんが、今いろいろな報道がなされているNISAについて、本ワーキングでも様々な意見が委員から出されていましたので、次回以降で結構ですので、NISAのあり方、方向性について一度ご説明をいただけるとありがたいです。以上です。

【太田原市場課長】
 そうですね。

【神田座長】
 そうさせていただきます。それではお隣の池尾先生、どうぞ。

【池尾委員】
 ちょっと私、誤解しているかもしれないので、その場合は後でご指摘いただきたいのですけれども。今日ご紹介いただいた米国のレギュレーション・ベスト・インタレストの話ですけれども、資料2の9ページの真ん中あたり見ますとone-size-fits-allという表現になっていますから、「統一的」と訳すよりは「一律的」と訳したほうがニュアンスが近いのではないかという気がします。

 それで、投資アドバイザーと証券販売業者だとビジネスモデルが違うから、ビジネスモデルの違う主体に一律に同じルールを適用するのはふさわしくない、一律の同じようなアプローチをとるのはふさわしくないから、違うアプローチをとるという話になっているのではないかと理解したんです。それで、私はそれはそういう面が確かにあると思います。

 目指すべきところというか、目的は共通で横断的で同一だとしても、それを実現するためのアプローチも共通で横断的で同一でなければならないという話ではないと思うんです。目的の共通性とか横断性と、アプローチの違いというのは当然あり得て、ちょっと前半に何人かの委員の方から包括的アプローチは必要だというご意見があったのですが、ちょっとそうなのかなという感じがします。プリンシプルベースのアプローチというのは目指すべき姿を示して、それをどうインプリメントするかはそれぞれの主体に創意工夫を促して考えてもらうというアプローチですよね。そうすると、それぞれの主体が創意工夫を凝らしてインプリメントの仕方を考えれば、アプローチは違ってくるはずだと。ビジネスモデルごとに大きく違ってくるはずだとも考えられるわけです。

 だから、ちょっと繰り返しでくどいかもしれませんが、確かに高いレベルで消費者といいますか、投資家の保護を実現するという意味で、目的に関しては横断的で共通で同一であるとは思いますが、それを実現するアプローチまで横断的でなければいけないというのはちょっと違うのではないか。何か、縦割りはよくないというような空気があるので、とにかく包括的とか横断的がいいんだみたいな感じになっていますが、アプローチについては違うのではないかという気がするので。最後の論点のところで言うと、顧客本位の業務運営に関する原則を対象金融業者というふうな包括的な対象にしている限り、これを具体化するとか改訂するといっても、ちょっとどういう話になるのかなというのがあって、やはりある程度販売業者なら販売業者に関して特定化した原則をつくるのか、目的と手段についてちょっと区別して議論する必要があるのではないかと感じました。誤解していたら教えてください。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。太田原さん、ありますか。

【太田原市場課長】
 池尾先生、ご質問ありがとうございます。私が時間の都合上、制約の都合上、端折ってしまった資料の9ページですけれども、こちら、SECの委員長のご発言を参考のところで点線で囲っております。これはまさに委員がおっしゃったようなことで、統一的アプローチはリスクを引き起こすということで、したがって現在のSECのレギュレーションは別のアプローチで同じ目的を目指すと位置づけであろうと我々も理解しております。

 その後、では日本ではどうかということで、論点として提示していたところはまだまだ議論の初期段階と考えていまして、横断的にという論点を提示させていただいたのは、手段まで全く同一のものというところまでは、全くまだ我々も検討は進んでおりませんで、同じ目的で違うやり方でということも当然あり得るとは考えていますし、具体的な方法論についてはこれからまたいろいろと皆様方のご意見も参考にさせていただきながら考えていきたいと思います。

【神田座長】
 ありがとうございました。若干私も発言させていただきます。アメリカでは伝統がありまして、フィデューシャリーというのは1940年投資顧問業者法の顧問業者はフィデューシャリーであるけれども、ブローカー・ディーラーは違うということが念頭にあるので、それをこの資料でもある意味重ねて強調しています。その理由はビジネスモデルが違うからということなのですが、そういう意味で池尾先生のおっしゃるような一律ではないというアプローチで臨みますということですね。高次の、高い目的はどこの国でも多分同じなので、それを達成する手段とかアプローチは国によっても違い得るし、今日の論点との関係で言うと、日本はハードローとソフトローのどういう組み合わせでいくのですかという話が中心だと思うのですね。それについてはいろいろ皆さん方のご意見をいただきつつあるのですけれども。ただどういうアプローチであれ、それは業規制を横断的にかけますかというのはまた別の次元の話としてもう一つあるので、そこは両立する。アプローチが違うことと、ハードローとソフトローのある種ベストミックスみたいなものがあるとしても、その適用は横断的にいったほうがいいのではないですかというのは、両方成り立つ話ではないかと思います。

 ついでにもう1点、16ページのところで、先ほどからCとかのご意見をいただいているのですけれども、今、顧客本位の業務運営に関する原則にあるいわばソフトロー規範というものの一部をハードロー化したほうがいいかどうかという話と、今存在しているハードロー規範、すなわち適合性原則のようなものをもっと具体化するというか、さらに具体化したハードローをつくっていったほうがいいのではないかという、両方の話があるので。上柳委員などは例えば顧客プロファイルのとり方について具体的なことをしていたハードローを充実させていったほうがいいのではないかというお話だったように理解しますので、ちょっとその辺も意識してご意見をいただければと思います。

 それではお隣の福田先生、どうぞ。

【福田委員】
 ありがとうございます。多くの方が既にいろいろな点をご指摘されていますので、あまり追加的に言うこともそんなにはないのですけれども、欧米の比較は非常に参考になったと思いますし、よく整理されていたと思います。けれども、日本の現状という問題は、多くの委員がご指摘になられたようにやはり考慮すべきです。顧客といったときに日本の場合にはそもそも投資していない人たちが非常にたくさんいる中で、今いる顧客でなくて潜在的な顧客というものも含めた形の顧客というイメージを考えなければいけない。そういう意味では投資経験が非常にない人たちが日本はやはり多い国なのだということは背景としてはあるのだろうとは思います。

 それからもう一つ日本の大きな特徴としては、超高齢化社会が起こってくる中で、そういう人たちが非常にたくさん資産を持っていることもあります。ただそういう人たちは当然ながら認知能力は若い人に比べればやはり低いという問題はほかの国以上に深刻な問題としてあります。そういう意味では投資経験がただでさえ少ない人たちが多い国で、かつ認知能力が相対的に低い人たちの層が資産をたくさん持っている国なのだという日本の特徴はあるのだということです。

 それからこれは必ずしも日本の特徴とまでは最近は言えなくなりましたけれども、資産の運用難に直面しているということです。安全資産にこれまでは運用しても、90年代ぐらいまではそれなりにリターンがあったのだけれども、もう国債とかを買っても全くリターンがとれない中で、どうしようかと考えている人の層はかなりいると思います。ただ、そういう人たちは、言葉は悪いかもしれませんが、だまされやすい可能性があります。ちょっと甘い言葉に乗りやすいことはあるのだろうと思いますし、足元では、ここでは投資信託とかの議論がたくさん出ていますけれども、例えば社債とかでも、それなりに本来はリスクプレミアムがあるべき社債を低い金利でも大量に個人が買っているような状況とかもあると思います。そういう意味では、欧米の比較もしながら日本の実情を考えたときには、より丁寧な説明、あるいはあまり複雑な商品ではない易しい商品、長期運用に適した商品を売れるような仕組みづくりはやはり必要なのだろうとは思います。

 そうした中で、ミニマム・スタンダードをどこまでにするかというレベルは、やはり欧米に比べてちょっと厚めになるかもしれないという観点はそれなりにあるかもしれないと思います。その上でベスト・インタレストということになるのかもしれないというのが私の考え方ではあります。ただ、ベスト・インタレストを全部業者に丸投げというと言葉は悪いかもしれませんが、業者にだけ任せていいのかという問題はやはりあります。やはり日本の場合は投資経験がない人たちがいるわけですので、リテラシーの問題は必ずしも金融業者だけの問題ではなくて、社会全体で取り組むべきです。日本国民の金融のリテラシーを高めて、問題がないような仕組みづくりを社会全体でしていくことは大事なのだろうとは思います。以上でございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは上田委員、どうぞ。

【上田委員】
 ありがとうございました。米国と欧州の特に新しい動きにつきましても詳細に出張報告を含めまして教えていただき、大変参考になりました。

 その上ですが、今まで皆様のご意見を伺っていますと、日本と欧米はちょっと実態も違うので、そういったものを勘案した今後の方向性をというご意見も多かったと思うのですが、実は私、先月までロンドンに勤務して戻ったばかりで、その感覚で言うと、実務、細かい点や歴史は違うのですけれども、大きな流れとか方向性は共通だと思っております。国民経済をサステーナブルに豊かにしていくこと。そのために金融というものはグリーディーにならずに、これを支援し、さらに業としても成功できるような仕組みを構築すること。この大きなところを履き違えて細かいところばかりになりますと、どんどん細かいルールばかりになってしまいます。特に実際のレギュレーションの段階ではともかくとして、こういった委員会の議論ではそういった大きなところをしっかり持つ必要があるのかとまず思っております。

 その上で、今後のエンフォースメントの方向性のようなものが資料2の最後の16ページに書かれていますが、世界的な潮流としてはハードローとしてのルールベース、そしてソフトローとしてのプリンシプルベース、これを組み合わせた、先ほど米国出張でハイブリッド型という答えがあったとありましたが、そういったものがおそらく、これは試行錯誤の結果、このあたりがベターなものということで今落ち着いてきているのだと思っております。具体的に言いますと、ミニマム・スタンダードもそうなのですが、大きな方向性、これは包括的な規定になるかと思うのですが、こういう枠組みというのはやはりある程度ルール化する必要もあるのかなと。

 その中で個別具体的な行為、先ほど池尾先生はアプローチとおっしゃいましたが、それにつきましてはベスト・プラクティスを構築するということであればプリンシプルベースが適切なのかと考えます。この組み合わせというところかが大切と思っております。具体的に言うと、例えば金融機関のスキルアップとかそういったものはプリンシプルベースで今実際に金融機関は取り組んでおられますので、そういったところだと思います。他方で、金融機関の業務そのもの、例えば今回ありましたけれども、一連の取引、米国株をそんなに回転売買させて手数料のほうがリターンよりも高いってちょっとびっくりして、機関投資家ではあり得ないことが起きていると。あるいは金融商品の組成時に誰を対象とするかの問題。例えば、極めてリスクの高い新興市場の通貨、ロンドンから見ているとあそこの国は戦争をしているのに、あの国の通貨建てであんなに売ってしまっていいのかなというようなことも話題になっていたりしていまして、そういうもの。こういったものについてはプリンシプルベースではもうおそらく相当取り組まれていた結果だと思いますので、ある程度ルールベースということも視野に入れざるを得ないのかなと思っております。

 そういった上で、そもそもフィデューシャリー・デューティーの、顧客本位の業務運営の原則ですけれども、これも事前に事務局からご説明を受けましたら、どうも経営企画が対応している金融機関も少なくないというような話を聞きました。これは原則ですので、おそらくコンプライアンスのルール以前の話ではないのかなと思います。これが現場に周知徹底されていれば、先ほどの高頻度の売買等というのは、おそらくそちらからも網がかけられるのかと思いますので、そういった組み合わせでご検討いただけるのがいいのかなと思いました。以上でございます。ありがとうございます。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。それでは佃委員、どうぞ。

【佃委員】
 ありがとうございます。先ほど神田先生からハードローとソフトロー、どういう組み合わせがいいかといったことでガイドをいただきましたので、それに沿って言うと、ミニマム・スタンダードとプリンシプルベース・アプローチの組み合わせがどうあるべきかを考える上で、お手元の資料にある顧客本位の業務運営に関する原則の流れはもう一度押さえておくべきかなと思います。

 1ページの真ん中、「一方で」というのがあります。これらがミニマム・スタンダードとなり、金融事業者における形式的・画一的な対応を助長してきた面も指摘できると。これが出発点で、本来的には金融事業者が自ら主体的に創意工夫を発揮し、ベスト・プラクティスを目指して顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合い、よりよい取り組みを行う金融事業者が顧客から選択されていくメカニズムの実現が望ましいと、こういう流れだったと思います。

 そうした中で、例えば資料2の6ページにあるような、今、上田委員からもご指摘がございましたけれども、販売会社における不適切な事例がそもそもこれはベスト・プラクティスの追求との関係性の話なのかどうかという話があると思います。これは前回のこの場でも申し上げましたけれども、A or Bではなくて、やはりA and Bなのかなと。ベスト・プラクティスを目指すというのはやはり私は非常に大事だと思いまして、例えば論点の③に絡めて言いますと、日本において金融機関のベスト・プラクティスの実現、それを支えるためのメカニズムの醸成に資する方策としてどのようなものが考えられるか。やはり基本的には、論点③に関しては金融機関のベスト・プラクティスの実現は引き続き追求していくべきと。一方で、その後、やはりそれを支えるためのメカニズムの醸成、このメカニズムが強くなればなるほど、もともとの顧客本位の業務運営に関する原則に書かれている金融事業者の自らの主体性、創意工夫が逆に削がれていく懸念はないかといった部分はあると思います。当然、支えるためのメカニズムであって、そのメカニズムが主体になってはいけないといったところがあると思います。

 その範囲内で、では一方で論点の①に関して、さはさりながらということで見ると、論点の①も1行目には、不適切な事例の要因と考えられる各事項に対してどのような対応があるべきかと書かれていますので、それに関しては、個人的にはやはりAのミニマム・スタンダードと考えます。ミニマム・スタンダードがあったがゆえに、金融事業者における形式的・画一的な対応を助長してきた。それがゆえに、プリンシプルベース・アプローチになって、そのプリンシプルベース・アプローチは、金融機関が今後厳しい環境を乗り越えていく上で、非常に大事だと思います。

 ただし、厳しい環境であるがゆえに、最後やはり顧客の利益を保護しなければいけない事態はますます増えることが予想されますので、やはりミニマム・スタンダードも明確化していく形が必要ではないかと考えます。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。以上で今日の委員の皆様方からは全員ご発言いただいたことになります。まだ時間は若干ございますけれども、オブザーバーの方々、何かご発言があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。無理にということはありませんが。どうぞ、伊藤さん。

【伊藤オブザーバー】
 三井住友銀行の伊藤でございます。前回のご議論も含めまして、委員の先生方から我々業界に対していただいたご意見につきましては、我々金融機関といたしましても真摯に受けとめてまいりたいと考えております。

 2017年にこの原則が定められて以降、我々業界としましては、これを受け身に捉えるのではなく、先ほど来お話がありました顧客の最善の利益とは何か、そういったところを考えながら、ある種お客様へのサービスの質をそこでしのぎを削る分野として前向きに捉えてきた、またそれが重要と考えて取り組んできたところでございます。

 当然、先ほど来ご説明もありましたが、改善ができている分野もあれば、人材のレベルアップも含めましてまだまだ取り組みが必要なものもあると我々も認識しております。今回このワーキング・グループでご議論いただく中で、今申し上げましたように、この顧客本位の業務運営そのものが我々金融機関の主体的な取り組みを促す、ある種しのぎを削ることが可能となりますよう、引き続きご配慮をいただければと思っています。以上です。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。生保協会さん、どうぞ。

【朝日オブザーバー】
 ありがとうございます。生保協会の朝日でございます。前回のワーキング・グループにおいてもご説明を差し上げさせていただきましたとおり、今事務年度、生保協会は会員各社の「顧客本位の業務運営」の徹底を最重要課題として取り組んでおります。我々が今後も社会の役に立ち続けていくために、各社が顧客ニーズに寄り添う商品・サービスの開発であるとか、顧客への情報提供、それから販売、推奨、契約後のアフターサービスや支払いに至るまで、お客様の最善の利益を追求していく「顧客本位の業務運営」を徹底していくことが重要と考えております。いろいろとご指摘いただいておりますが、この「顧客本位の業務運営」に関する取り組みはまだ当然道半ばでございまして、この市場ワーキングにおける議論も踏まえまして、引き続き生命保険事業への社会の信頼をより強固なものにできるよう努めてまいりたいと思います。

 そうした意味で、本日の資料でもご紹介いただきましたとおり、自主的な取り組みとして、既に引受保険会社から代理店である金融機関が受け取る特定保険契約、いわゆる外貨建て保険などでございますけれども、この代理店手数料については商品提供時にお客様への開示が行われるような取り組みを進めておるところでございます。

 ご議論のありました法令化やルールベース化というようなことも、まずこうした自主的な取り組みを進めて、その定着状況などを見ていただきながらお考えいただけたらと思っております。ありがとうございました。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。投信協会さん、何かございますか。

【栗崎オブザーバー】
 いろいろなご意見を聞かせていただきありがとうございます。
投資信託協会、野村アセットマネジメントの栗崎でございます。
ご存知のように、投資信託というものは60有余年の歴史を持っているものですが、その60有余年に及ぶ歴史の中で、その残高は今現在110兆超というような水準、まだその程度でございます。その間、銀行の窓販開始ですとか郵政グループの取り扱い開始等々、販売経路を拡大してきたにもかかわらず、まだ投資信託の一般の方々への浸透は低い状況にあります。個人の金融資産の資産形成を考えたときに、やはり投資信託は非常に重要なプロダクトであることは強く認識しております。

 その歴史を振り返ると、最初は証券会社から認可を求めて、当時の大蔵省が認可をし、投資信託委託会社が設立されたと聞いております。証券会社のお客様というのは、当時基本的には富裕層でございます。私も証券会社の出身ですが、当時どういった方々をお客様にしていたかというと、社長・会長、理事長・院長・先生という肩書のある方が基本的にはお客様でした。いわゆる富裕層ですね。そういう富裕層の方々は、現在、投資信託を利用した運用ニーズは以前よりは低くなってきていると思います。そうした方々は、もっと総合的な税制のことだったり、不動産のことだったり、或いは事業承継であったり、М&Aだったりとトータル的なソリューションを求めている傾向にあり、投資信託による運用ニーズの比率は、残念ながら低下してきているのではないかと感じているところであります。

 ただ一方で、先ほど委員の先生の方のお話しにもありましたが、iDeCoですとかNISAというものに対する一般の方々のニーズは非常に高まってきていることも感じている次第です。

 商品の組成においては、今までは運用会社と販売会社とで協議し、今後こういう商品を考えているがどう思われますか?とか、このようなお客様にこういう商品はいかがですか?というようなことで商品提供を行ってまいりました。今後は運用会社自身が、販売会社のその先にいる最終受益者の方々をイメージしながら、投資経験ですとか資金性格ですとか年齢ですとか金融資産とか、そういったものを勘案して、こういうお客様にこういうプロダクトという提供の仕方、単品提供ではなく、お客様の層に合わせた商品提供が求められるのではないかと感じております。感想のようなものになってしまいましたが、今後ともよろしくお願いします。

【神田座長】
 どうもありがとうございました。信託協会さんはいかがですか。よろしゅうございますか。時間の関係もあってオブザーバーの皆様方にお伺いすることはちょっとできそうにないのですけれども、委員の皆様方からさらに追加でのご発言はございますでしょうか。特によろしゅうございますでしょうか。

 それではちょっといつもより時間が早いのですけれども、また将来、時間延長でご議論いただく必要が出てくるかとも思いますので、本日はこのあたりとさせていただきます。次回以降も引き続き、顧客本位の業務運営のあり方についてご議論をお願いする予定です。具体的な日程につきましては、後日事務局からご案内していただきます。

 それでは以上をもちまして本日のワーキング・グループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。


―― 了 ――
 

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