金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」(第3回) 議事録

  • 1.日時:

    平成25年7月30日(火曜日)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○神田座長

おはようございます。皆様方おそろいでございますので、始めさせていただきたいと思います。

新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループの第3回目の会合になります。皆様方には、大変お忙しいところ、また、暑い中をお集まりいただきましてまことにありがとうございます。

本日でございますけれども、寺田副大臣にご出席いただいておりますので、最初にご挨拶を頂戴したいと思います。

副大臣、よろしくお願いいたします。

○寺田副大臣

皆様、おはようございます。副大臣の寺田でございます。

今日は3回目のワーキング・グループということで、これまでの活発なご議論を賜りましたことを、まずもって感謝を申し上げるものであります。前回ちょうど参議院選挙の真っただ中でありまして、私は第2回目、欠礼をさせていただきましたが、後ほど、事務方より皆様よりいただいたいろいろなやりとり、そして、その場での意見聴取の模様などを拝聴いたし、大変すばらしい前向きな議論を展開されておられますことをほんとうにうれしく思いました。

ちょうど昨日は、証券業協会を中心といたします証券関係諸団体の会合、これはちょうどこの時期は民間企業ですと株主総会、あるいはいろいろな団体の役員交代があります。その新旧役員の交代も兼ねた会合が開催され、私も大臣とともに出させていただきましたが、その場でも、この金融審の議論、とりわけクラウドファンディングでありますとか、あるいは証券業協会が主導されておりますグリーンシート、あるいはまた、今回新たに投資を呼び込むためのNISAの創設の話、いわゆる個人貯蓄口座の話、こういったような話題に花が咲いたわけであります。

前回以降のご報告をさせていただきますと、成長戦略の発表があったのはご承知のとおりでありますが、ちょうど今週から2ラウンド目がスタートいたしております。その先陣を切って規制改革会議、2ラウンド目がスタートし、これまでの部会に加え、グローバル対応のワーキング・グループ、これを設置いたすこととなりました。今日はその両方の委員を兼ねておられます大崎先生もおられるわけでありますが、特に国際対応となりますと、もちろんTPP、あるいは今現在これから進めようとしております日・EUの経済連携協定、その主要なアジェンダの1つがやはり「金融」の分野ということになってくるわけでありまして、そうした国際化のさまざまな諸問題の中においても、この金融の問題はやはり、極めて大きな問題となっております。

経済指標もご承知のとおりであります。アベノミクスで5月までは何となく、いわゆる市況物だけがよかったわけでありますが、6月には、これは数字の上でも消費などのほうに火がついてまいりました。街角景気などの消費が大変に盛り上がってきた、実需が出てきた、そうなりますと、当然前向きの設備投資が発生してまいります。ちょうど今、ピッグサイクルの下のところに来ておりますので、これからそうした投資が盛り上がる。そして設備資金は長期のお金、また、運転資金は短期のお金で対応するにせよ、そうした分野へのリスクマネー、成長マネーの供給というのがこれから極めて大事な局面に立ち至ってくるわけであります。いわゆる死の谷問題をオーバーライドして、リスクマネーを供給するというのが死活的に重要であります。この成長戦略の中でも大変重要なテーマとしてこの金融審での議論が注目をされているというふうになろうかと思います。

なお、実需のマッチングのほうは、リース機構の創設などによって、有休設備を成長分野に振り向ける、実際の設備や機械、現物、これを振り向けるためのリース機構の創設でありますとか、あるいは、農地についてはリース方式でさまざまな主体に参入をしていただくという、これもリース機構というふうに、あるいは中間支援機構というふうに呼んでおりますが、こうしたものの創設、こうしたものは成長力の促進の観点から、それぞれの担当の役所、経済産業省でありますとか、あるいは農林水産省、ここらが取り組んでいるところであります。

ぜひとも我々金融庁といたしましても、そうした金融面で成長戦略の一翼を担うことができればと思っております。引き続きの活発なご審議、ご議論のほどをお願いいたしまして、冒頭のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○神田座長

大変ありがとうございました。

それでは、本日でございますけれども、前回に引き続きまして、幅広い視点からのヒアリングをさせていただきたいと思います。

まず、国内におけるクラウドファンディングの運営会社として、そのクラウドファンディングの活用のあり方や課題などをお話しいただけるということで、ミュージックセキュリティーズ株式会社代表取締役の小松真実様にご出席いただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。

それから次に、リスクマネーを必要とする地方企業の実情や課題などをお話しいただけるということで、横浜銀行執行役員営業企画部長の原光宏様にご出席いただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。

そして、企業の上場後の資金調達の課題や虚偽記載に関する賠償責任などについてお話しいただけるということで、日本経済団体連合会の経済基盤本部長の阿部泰久様においでいただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。

本日は、このお三方からお話をいただきました後、一括して自由討議、こういう流れで議事を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、早速で恐縮でございますが、できましたらお一方15分程度ということでお願いできればありがたいのですけれども、まず、小松さんから、どうぞよろしくお願いいたします。

○小松参考人

ただいまご紹介いただきましたミュージックセキュリティーズの小松でございます。本日はよろしくお願いいたします。

こちらの資料1のほうで説明させていただきたいと思っております。

1ページめくっていただきますと、私どもは、いわゆるクラウドファンディングのような個人の方から資金を集めて成長マネーに使っていただくというような事業を行っている会社なんですけれども、まずは、新しい資金媒介経路の構築と供給量の拡大、銀行等の融資やベンチャーキャピタル等の出資だけではなくて、追加的な資金供給のスキームをどうやって進めていくのか、また、IPOを前提としていないような多くの中小企業への資本性資金の供給の拡大というものをテーマにして、今回はご報告させていただきたいと思っております。

まず1つ目が、マイクロ投資による事業資金の供給の現状についてということで、3ページから説明させていただきたいんですけれども、まず、私が申し上げているマイクロ投資とは、個人が非常に小口で企業や事業に投資できる手法で、また、主に匿名組合のスキームを用いて金融商品取引法に準拠しています。多くの場合、投資期間は1年から5年程度なんですが、投資対象の事業計画によっては、3カ月程度の短期間のものや、10年程度の長期間によるものもあります。

また、投資を受ける企業は、事業単位で資金調達ができて、事業資金として原価や販管費や設備にその資金を使うことができる。

また、投資対象事業の売り上げが投資家への分配原資となっておりまして、投資時の契約に基づく割合とタイミングで投資家へ分配するような金融のスキームになっております。

現在は、103社の会社様に193本のファンドとしてご提供させていただいておりまして、投資家会員として約7万人程度の方がこのようなサービスを使っていただいて、自分が応援したい、投資したいという会社に投資していただいております。

主な事業分野です。このような匿名組合のスキームを使って、やはり当社はもともと音楽家を応援するためのファンドづくりから始まっているので、67件ファンドをやっておりまして、1件当たりのファンド募集総額も1つのファンドで7,700万円以上の音楽CDをつくるためのファンドをつくったりしております。それから、純米酒の酒蔵さんを応援するようなファンドだったりとか、開発途上国の支援を行うようなファンド、あとは農業や林業などを行うファンド、あと、スポーツというのは、こちらはJリーグのヴェルディさんのファンドをやらせていただいたりとか、プロスポーツを地域が金融の仕組みで支えていくということを実現しています。

こういうことをずっとやっている中で東日本大震災がありまして、被災地の企業を応援するためのファンドということで、被災地応援ファンドということをやらせていただいております。

次のページが、どのような属性の方々が投資してくださっているかというような資料です。当社の約4万人の投資家の方の属性になりますが、大体男女比で言うと男性が多くて、やはりこの仕組みはインターネットで小口で集めているものなので、やはりまだまだ30代、40代の方が多い。ただ、最近非常に60歳以上の方が伸びておりまして、やはりシニアの方々の投資の意欲というのは非常に大きいなと思っております。

また、職業分布も会社員の方が多くて、いわゆる富裕層の方だけではなくて、一般的な会社員の方が投資をして、1口1万円から投資をしてくださっております。

また、県別分布も結構人口分布に近いことはあるんですが、例えば宮城県とか、被災地応援ファンド後のアンケートでもあるので、地元の方が地元の被災企業を応援しようという気持ちがここにあらわれているのではないかと思っています。

次のページ、5ページ目は、その仕組みになります。当社は第二種金融商品取引業者として、匿名組合の締結や取り扱い、出資金、分配金の仲介を行っております。それをインターネットでやっていますので、そのウエブサイトの管理などを行い、ファンド事業のモニタリングやIR業務等、任意監査を当社でやらせていただいております。

まず、このような投資のプラットフォームをマイクロ投資プラットフォームと呼んでいますが、その利用契約を結んでいただく右側の営業者の方、事業会社の方がいらっしゃって、その方々に左側の個人の方が匿名組合出資という形で事業資金の供給を行っているというような形になります。

その資金を使っていただいて事業を行っていただいて、その商品やサービスを出資者でもあるような消費者の方に販売をして、その売上代金を投資家の他に分配していくというようなモデルでやらせていただいております。

次のページ、6ページ目なんですけれども、この特徴として、やはり地域性というのが非常にあると思っております。これは例として、滋賀県の黒壁ガラス工房ファンドというものをやらせていただいているんですけれども、投資家の方の動機が、ガラス作家さんを応援したいから、また、黒壁という会社を応援したいからという方が多くて、逆に、「利益・利回りが出そうだから」が少ないのが特徴です。ただ、この中では、損はしてもいいということではなくて、金銭のリターン以外のあらゆるベネフィット、投資家特典や現地視察ツアー、投資した資金がほんとうにものづくりに活用されているという実感などが非金銭的なリターンと価値を判断してくださるような個人の方が投資してくださっていると思っております。

また、同じ地域の投資家の割合が多いということで、地域分布を見ますと、滋賀県のファンドなので滋賀県の方が非常に多い、18%ということです。また、シニアの方が非常に増えている。

そういう意味で、いかに地域を担う企業へ当スキームの有用性を告知して活用を促すか。あと、地域の投資家へいかに知っていただくのか。また、シニア層へ投資を促すために、地域金融機関の窓口の販売というのもやっぱり有効なのではないかなと思っております。

次のページは、当社はいかに成長マネーを供給できるのかということをテーマに考えていますので、やはり地域の連携モデルを大事にしております。こちらのように連携実績のある金融機関様をここに書かせていただいておりますが、事業者様をご紹介いただいたり、勉強会をしたり、出資者向けのセミナー、事業者さん向けセミナー、またビジネスアワードなども行わせていただくことで、この右にあるような三角形の中で連携を強めているという形でやらせていただいております。

当然このような地域の金融機関様だけでなくて、自治体様との連携というのも非常に今強めております。

静岡市、京都市では、太陽光発電のファンドを市が持っている土地を活用した形で行うため、住民の方に投資をしていただくことによってコンセンサスができて、生まれる収益も市民の方に分配できるということで、このようなモデルを有効に活用していただいております。

同じようなニーズは全国各地から多数お話をいただいている状況ではあります。

これによって、地域を担う企業が、地域を担うというのはどういうことかと申しますと、地域経済や地域文化を担うような企業のことですが、資金調達が増えて、お客さんも増えて、それによって金融機関からの融資も増えるというものを期待しているというような形になっております。

その下の8ページ目、自治体連携モデルの1つとして大阪府との取り組みがございます。まず、大阪府は、中小企業の新たな資金調達の仕組みを開拓、経済のイノベーション促進に不可欠な起業・ベンチャー企業創出や中小企業の新規事業展開への資金ニーズに応えたい。また、金融の空白域の解消ということで、リスクマネーの提供。金融機関やベンチャーキャピタル以外の担い手の創出を狙っていらっしゃいます。

メリットとしては、企業は新たな資金調達手段、マーケットリサーチ、府民のメリットとしては、みずからが共感する事業を応援する仕組みができること、行政としては、税金に依存しない中小企業支援スキームができるということをメリットとして考えていらっしゃいます。

大阪府が当社の子会社でもある大阪セキュリティーズに対して委託をして、委託期間の中でPR活動・普及啓発活動を行い、このような匿名組合のファンドを使いたい会社をどんどん発掘していく。それを受け、大阪府がいうところのクラウド型ファンド事業者である当社等がファンドとして組成して資金調達していくような形で考えております。

以上が現状でございまして、次の9ページ目が課題と強化策ということで、課題マル1としては、当社は広い意味で手法としてのクラウドファンディングというような領域の中の位置づけだとは思うのですが、ただ、やはり寄付や購入というクラウドファンディングと同列に語ってしまうことによって、個人の投資家だったり事業者がリスクとリターンや規制について誤解を生んでいる場合もあるのではないかなというのは思っております。

そういうような中で金商法にのっとる金融スキームであれば、外国から生まれたようなインターネット用語ではなくて、日本発の金融用語で語るべきではないかなと思っております。

課題マル2として、個人の出資者の利便性向上を考える上で、他の金融商品と比べて税制面で不利なので、NISAにも非対応ということで、証券税制の適用外にもなっており、ほかの金融商品と損益の通算ができず税制優遇がないという状況です。それにもかかわらず、今でも個人の投資家の方はたくさん参加してくださっているのは、やはり応援しようというインセンティブが非常に高いからだと思いますが、下記にあるような優遇措置案も検討できたらと思っております。

課題マル3として、金融機関での窓口販売を実現するために、地域金融機関からの要望というのもたくさんいただいております。個人の預金者に対しては、地元の活性化のための新しいお金の生かし方、地元の事業者さんに対しては成長マネー供給、資本不足に直面する企業のバランスシート改善につながるため、窓口での販売も含め関心は強いです。ただ、ほかに先んじて取り組むことへのメリットが少ないとか、社内規定整備や各種書類の作成とか、コンプライアンス・リーガルチェックなどの手続が、1社でやるには非常に負担が大きいということです。対応策として、銀行や信金では金商法上取り扱いが可能なので、標準的な取扱/勧誘マニュアルの制定など環境整備のサポートを行っていただいて、各金融機関のリスクや負担の軽減を図って新規参入を促すことなどが非常に重要なのではないかなと思っております。

次が、マイクロ投資を活用した資本性資金の供給ということで、1ページめくっていただきますと、2011年11月22日に、金融庁より、『十分な資本的性質が認められる借入金(「資本性借入金」)について、「資本」とみなすことができる条件』ということで、金融検査マニュアルを変更いただいておりますが、このように投資家の方から預かった資金を資本とみなせるようになったということで、当社のファンドでもこのように資本とみなしていただいて金融機関からの融資が実際に増えているという、特に被災地の事例なども多く挙がっておりますので、資本の供給という意味でも、このマイクロ投資というのは有効に活用できるのではないかなと考えております。

あと、下の12ページは、資本の供給ということを考える上で、いわゆるクラウドファンディングによる寄付や購入による資金供給と、今ご説明させていただいているようなマイクロ投資による匿名組合による資金供給、あとは、今後大きなテーマになっていくと思われるクラウドファンディングの手法を用いたエクイティ・ファイナンスについて、メリット、デメリットについての比較です。

次のページに行っていただくと、匿名組合での出資により事業資金を供給するような仕組みを活用し、いかに資本性借入金として供給していくかということと、いかにエクイティ・ファイナンスとしてこういう制度を活用していくという案です。まずは、マイクロ投資による匿名組合が株式を取得できるようになるとどうかということです。

その2は、マイクロ投資で例えば1億円の資金を2,532人の方が出資するような匿名組合のファンドもありますので、その出資者の方々に向けて第三者割当増資を行っていくということです。

3つ目が、マイクロ投資の匿名組合持ち分を株式化する。デット・エクイティ・スワップのような手法を用いて、資本として長期間にわたる形で企業を応援していただくというような方法もあるのではないかと思っております。

そのようななかで、課題としては、いかにバリュエーションをきちんと個人の投資家の方に説明できるのかということです。

あとは、例えばこのマル1番の匿名組合が株式を取得するようにする場合の検討課題として、やはり投資運用業の資格が必要だと思いますが、株数と価格とを明確にすることで二種業種でも取り扱いができるようにできないかというのもあります。あとは、14ページに行きますと、エンジェル税制と組み合わせられないかとか、他の金融商品と損益の通算ができないかとか、クレジットカード決済ができないかとかいう課題もございます。

また、留意事項としても、やはり投資家も利用する事業者も資本政策などのコーポレートファイナンスに関する一定の知識が必要と思います。また、セミナーや説明会の実施により、顔の見える投資にすることが必要だと思います。また、譲渡制限を設ける必要があるということと、また、多くの未上場企業の個人投資家が生まれるので、セカンダリー市場の整備も必要ではないかなということで、私としては、新しいグリーンシートの制度に非常に期待しているということでございます。

次のページ以降は、海外の投資家を呼び込むというのも1つの大きなテーマなのではないかと思っております。16ページに私どもがフランスで開催された「Japan Expo 2013」でフランス人を対象に調査をした結果を記載しました。いろいろと調査しましたが、やはりクールジャパン分野である日本の技術やこのようなコンテンツに対しての投資家の投資意欲を確認できましたので、17ページにあるような海外の投資家を呼び込むような策も実施してみるというのもいいのではないかなと思っております。

最後にまとめですが、マイクロ投資による事業資金の供給は、東日本大震災の被災企業を含め進んでいる。ただ、有効にもかかわらず、企業や投資家へ認知が進んでおらず、市場としても小さいので、供給強化策の実施が必要なのではないか。

新規企業や地域において経済や文化を担う企業は、もともと資本が少ない企業が多く、資本の供給強化策の実施が必要なのではないか。マイクロ投資によって事業資金を調達して、事業が成長し、その投資家が株主になっていくプロセスの実現は重要だと思います。地域の資本増加に伴って、地域の金融機関からの融資総額の増加も見込まれると考えています。

また、日本の魅力的な文化や技術は、海外の投資家からも十分魅力的である。制度的な後押しによって、海外からのマイクロ投資は、新しく有効な資金媒介経路になる可能性を秘めていると考えております。

少し長くなってしまいましたが、以上になります。ありがとうございました。

○神田座長

大変ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、原さんからもお話をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○原参考人

それでは、私、横浜銀行の原でございます。よろしくお願いいたします。

お手元に資料2をご用意しておりますので、こちらのほうをごらんください。こちらにあるとおり、「創業・新事業支援先への取り組み」ということで、本日は私どもの取り組みの現状についてご説明をさせていただければというふうに存じます。

1ページ目をめくっていただきまして目次がございますけれども、本日お話しさせていただきますのは、まずは成長ステージ別に総合金融サービスをどのような形でやっているのかというところをざっとご説明させていただいた後、創業・新事業支援先への取り組み体制ということで、中身としては、ベンチャーファンドとしてのゆめファンドと、今、当行が力を入れてやっております成長支援ファンドといったところの投資ファンドについてご説明をさせていただいた最後に、課題といった形でまとめさせていただければというふうに思います。

まず、右下、2ページというところ、数字を振っておりますので、こちらの2ページ目をごらんいただきたいんですけれども、成長ステージに応じた総合金融サービスの提供というところでございますが、こちらの絵にあるとおり、創業期、成長期、成熟期、変革期といったそれぞれのステージに応じまして、資金面だけでなくて、当行グループの機能を結集して総合的にサポートさせていただこうと、それを目指していこうというところでございます。

まず、創業期のところでは、創業・ニュービジネス支援ということで、地公体でさまざまな制度融資をご用意されていますので、こういった制度融資をご案内させていただく。また、公的補助金というのもさまざまございますけれども、実際その内容をよくご存じの方々というのは、お取引先では非常に少のうございますので、こういったところの申請支援といったようなものもサポートをさせていただいております。

成長期に入ってくると、資金面のサポートというところで言いますと、いろいろございますが、最近ですと環境配慮を行う企業向けの環境格付融資といったようなものもさせていただいたりとか、いろいろ関連会社で浜銀ファイナンスというところでリースであるとか、もしくはエクイティ・ファイナンスの提供といったようなものもさせていただいております。

一方、成熟期に入ってきますと、ここにあるように、情報やノウハウ提供による経営支援ということで、ビジネスマッチングの商談会、また、ここでも今度は金額が大きくなりますけれども、公的補助金の情報提供、もしくは海外進出サポート支援といったようなものもさせていただいております。

変革期に参りますと、M&Aによる事業拡大、もしくは事業再構築、事業承継、また経営改善支援といったさまざまなニーズがございますけれども、ファンドとしての性格がちょっと異なりますけれども、いわゆる再生支援ファンド、こちらについてもご用意をさせていただいておりまして、再生支援をさせていただいているというところでございます。

全体としてはそんなようなところでございます。

細かく入っていきます。3ページ目をごらんください。

創業・新事業支援ということで、大きく2つのファンドがございます。いわゆるご融資という点で言いますと、私ども、ゆめ基金という名前で総額200億円、この絵で言いますと中段のあたりですけれども、総額200億円でゆめ基金というご融資、これは単に地公体の制度融資をいろいろまとめたものなんですけれども、先ほどご説明したように、内容についてご存じない方が非常に多いということもありまして、これをお客様に応じた制度をご案内させていただいて、今、推進をしておるというところでございます。

ちなみに、今、1,360社で約80億円の残高になっており、200億円を目指してやっているというところでございます。

一方、投資ファンドというところで言いますと、下段のほうですけれども、ゆめファンドで総額25億円、成長支援ファンドで総額20億円といったところを今ご用意させていただいております。若干性格が異なりまして、ゆめファンドのほうは、この上の囲みにあるとおり、IPOを目指すベンチャー企業、成長支援ファンドは、IPO市場が今このような状況でございますので、IPOに限らず成長性のある企業ということで、成長支援ファンドでご支援しようということでございます。

続きまして4ページ目、ゆめファンドについてもうちょっと詳しく現状をご報告させていただきます。

こちらの概要は、この下のポンチ絵にあるとおりでございますけれども、これはIPOの可能性がある中小企業を対象としてエクイティ資金を供給しています。1号から4号まで、総額25億円ということでやっておりますが、こちらは投資はほぼ完了しておりまして、これまでに100社近く投資を行っております。このうち13社が上場されているということでございますので、100分の13というのは、高いか低いかというのはいろいろご議論あるのかもしれませんけれども、当時としては100社投資して10社ぐらい上場すれば十分ファンドとしては採算が合うのではないかというふうにしておりましたけれども、実際は若干赤字と、13社上場していますけれども、収支は若干赤字で着地しそうといったところでございます。ゆめファンドはそんなような状況でございます。

その次の成長ファンド、5ページ目をごらんください。

こちら、成長支援ファンドの概要でございますが、これはいわゆる環境や医療など今後成長が見込まれる事業に取り組むお客様への支援強化ということで、エクイティ機能の充実を図るために、おととしの8月、ちょうど2年前に成長支援ファンドということで、横浜キャピタルと連携して創設いたしました。

こちらについては、エクイティによる長期安定資金を供給していこうというところと、それだけではなくて、資金供給後にグループ全体の機能を活用して経営をバックアップしていこうといった趣旨で設立したものでございます。

こちらのスキームについて、若干詳しく次の6ページ目でご説明させていただきますと、成長支援ファンドは神奈川県の新産業育成の施策の1つであります「かながわベンチャー輝きファンド」、こちらに選定されておりまして、神奈川県と連携して県内のベンチャー企業への投資を行っております。

神奈川県はファンドの積極的な広報及び県が実施するベンチャー支援施策などの情報及び県が支援を実施するベンチャー企業の情報といったものを私どもの横浜キャピタルに提供していただいて、連携をしながらご支援をしているといったところでございます。

また、次の7ページ目、引き続きですけれども、この成長支援ファンドにつきましては、投資だけではなくて、その投資に際してということなんですけれども、外部の目利き力の活用といったこともやっております。何分横浜キャピタル、浜銀総研というのは、元銀行員とか、もしくは金融関連のノウハウは相応にあるんですけれども、いわゆる目利きという、例えばメーカーさんの目利きといった点では、なかなか追いつかないというところでございますので、こちらにありますとおり、いわゆる外部、大手メーカーの元社員の方々、技術開発等々に携わった方々で既にリタイヤをしたような60歳前後の方々を中心にお世話になっているということでございます。実際にこういった方々に投資の検討先に赴いていただいて、いろいろ実際に見ていただいて、話を聞いていただいて、私どものほうの投資に反映させるといったようなところでございます。

今、ざっと成長支援ファンドについてご説明させていただいておりますけれども、具体的な投資事例についてお話ししたほうがイメージが沸きやすいというところもあろうかと思いますので、事例について幾つかかいつまんでお話をしたいと思います。

8ページ目をごらんください。

こちらは【投資事例マル1】というふうにありますが、これは健康分野の投資をした事例でございますけれども、アーリーステージの開発資金調達ニーズがある企業に投資をいたしました。こちらにあるとおり、業種は医療機器の開発ということなんですけれども、売上がまだ立っていなくて、業歴も1年以内といったようなところの普通株を引き受けた。出口はIPOということでございます。お取引先にとっては創業間もない、手元資金も乏しいということで、本ファンドによって当面の研究開発費を確保したというところでございます。かなりハイリスクではあるんですけれども、こちらの企業は、大学発のベンチャー、産学連携といった企業さんであるところ、それと、大手メーカーとの共同開発の契約もご予定あったといったようなことで、そういったところを期待して投資をさせていただきました。数年後のIPOによる回収を目指しておるところでございます。

続きまして、9ページ目でございますけれども、今度は環境分野でございます。これもアーリーステージの開発資金調達ニーズがある企業に対して投資をした事例でございますけれども、業種ということで特殊電気自動車というふうに書いてあります。特殊というのは、一般的には電気自動車というのは乗用車が多いと思うんですけれども、これは貨物自動車でございます。売り上げが、そうは言ってもまだ5,000万円以内で、業歴も3年以内ということで、アーリーというステージなんですけれども、2年間返済据え置きの長期資金を、今回は社債という形なんですけれども、提供させていただいたというところです。お取引先にとっても、とりあえず当面2年間返済する必要がないといった資金で研究開発をやっていこうといったようなところでございます。私どもとしても、こちら、親会社さんのご支援もあるといったような企業さんでございましたので、投資をさせていただいたということでございます。

その次、10ページ目ですけれども、今度はエネルギー分野でございます。これはハイブリッドの蓄電装置の開発をやっていらっしゃる企業さんということで、売り上げは1億円弱、業歴もそろそろ10年といったところでございます。こちらについてもIPOを目指していらっしゃるというところでございますが、お取引先のニーズとしては、この資金が必要というのもありましたけれども、それよりも、より将来的なIPOに向けた資本政策上のアドバイスがもらいたいといったようなニーズがあって、私どもにお声かけいただいたといったところでございます。

次に11ページ目をごらんください。

今度はアジア市場ということなんですけれども、こちらは飲食業でございます。海外出店を本格化するに当たり、自己資本の充実及び毎月の返済を伴わない長期安定資金の調達ニーズがあったという企業さんでございますけれども、売り上げも10億円、業歴は10年以内ですけれども、相応な規模の企業さんということでございます。国内に順次出店をしていらっしゃった企業さんでございますけれども、こちらについては国内の出店効果というのはある程度予測できるわけですけれども、海外は何分初めてということで、非常に不透明な部分が多いので、長期的な資金を確保したいというところもございましたし、また、非常にキャッシュフローは相応にある企業さんでございましたので、金融機関の調達は円滑にできておったんですけれども、何分成長が早かったということで、このペースで成長していくと、あまりにも自己資本比率が低くなり過ぎてしまって、早晩、銀行借入も難しくなるのではないか、そういったような危機感もお持ちでいらっしゃいましたので、こちらにあるとおり、優先配当のある種類株で投資をさせていただいて、利益によって内部留保が積み上がってくるまで自己資本をつなぐと、そんなようなことをやらせていただいたということでございます。

その次、12ページ目でございますけれども、こちらも環境分野でございます。こちらは、産業廃棄物のリサイクル業で、売り上げも20億円、業歴も10年以上あるようなしっかりとした企業さんでいらっしゃいます。そういう意味では、金融機関からの借り入れも順調であったわけですけれども、設備投資を行うに当たりまして、融資とかリースといったような従来からの調達手段に加えて、今回、新株発行ということで資金調達を行いたいというニーズが、こちらは地公体の優良認定業者としてのご指定を受けていらっしゃる企業さんでいらっしゃいまして、それの要件が一部自己資本比率の維持というのがあったということでしたので、資金調達を借り入れに頼るのではなく、自己資本比率を一時期、こちらも先ほどの企業さんと似ていますけれども、内部留保が積み上がってくるまで自己資本をつないでもらいたいといったようなことがございましたので、投資をさせていただきました。

その次、13ページ目でございます。こちらは健康分野でございますけれども、業種は食品添加物、これは自然由来の商品による食品添加物のメーカーさんでございます。こちらも売り上げ15億円、業歴20年以上ということでしっかりとした企業さんでございますけれども、今回について、優先配当のある種類株式を取得させていただいたということなんですけれども、これはニーズとしては、いわゆる銀行はあくまでも債権者だろうということでございまして、株主としての目線でアドバイスをしてもらいたいといったようなこともありまして、投資をさせていただいたといったようなものでございます。

今ちょっと駆け足で6例ほどいろいろな事例をご説明させていただきましたけれども、最後に、課題ということでご説明をさせていただきたいと思います。

まず、4つほど課題を挙げさせていただいておりますけれども、1点目が官・民によるリスクシェアでございます。アーリーステージの企業さんが特にということになりますけれども、事業実績のない企業さんへの与信判断ということになりますので、積極的なリスクテイクが簡単ではないということでございます。やはり金融機関ですと民間でございますので、リスクに応じたリターンの追求といったところが必要になってくるわけですけれども、アーリーステージですと、そのリスクがどの程度あるのかという、その計量化が非常に難しいというところがございますので、特にアーリーのところの官によるご支援というものをいろいろ頂戴できればなというところでございます。

2点目、目利き力の向上ということですけれども、これは永遠のテーマでございますが、専門性の高い分野についても事業性の評価を金融機関としてしっかりやっていかなければいけないということはあるわけですけれども、なかなか技術開発の進展も早うございますので、そういった事業性の評価が難しい面がございます。そういう意味では、こういったところで単独で将来性を判断するということは限界がございますので、目利き力の向上についても何か官・民で連携ができないかといったようなところもございます。

また、ノウハウの共有というところで言いますと、政府系金融機関によるデューデリジェンスの結果といったようなものが与信判断、各行で共有できないかといったようなものもこちらに記載させていただきました。

最後に、ベンチャー支援策の拡充という意味で言いますと、技術評価に基づき投融資を行った企業さんが、経営管理面の要因で伸び悩むケースもございますので、私どももお声かけいただいた企業さんに人材派遣といったような形でさせていただいている部分もあまたございますけれども、そこだけではなかなか人材が乏しいというところもございますので、こういったところもご支援がいただけないかといったようなところでございます。

まとめてまいりますと、特に先ほど冒頭申し上げましたとおり、計量化が困難な創業とか、アーリーのステージのところでの官によるリスクテイクのサポートといったところ、こちら、例えばエクイティ資金であるとか、保証協会さんの無担保枠の拡大といったようなところでご支援賜れると私どもとしてもやりやすいのかなといったようなところがございます。

雑駁な説明で恐縮でございますけれども、以上でございます。

○神田座長

大変ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、阿部さん、よろしくお願いいたします。

○阿部参考人

お手元、資料3に従いましてご説明させていただきます。

経団連は主として既存大企業の集まりでございますので、諮問の中で3番目にございます「上場企業等の機動的な資金調達を可能にするための開示制度の見直し」、あるいは4番目、「その他、近年の金融資本市場の状況に鑑み、必要となる制度の整備について検討すること」を中心に意見を述べさせていただきます。

経団連としての確定的な意見を幾つか持っておりますので、それを順にご説明いたします。その前に、本来のメインテーマであります、いわゆる新規・成長企業に対するリスクマネー供給について、一言だけ私どもの感想という程度でお聞き頂きたいのですが、今、クラウドファンディングでありますとか、今日ご説明いただきましたような匿名組合契約を用いたマイクロ投資のスキームでありますとか、あるいは信託でありますとか、有限責任組合を使ったさまざまな仕組みが動いているわけでありますが、一言で申しますと、「触るな、見守れ」と言いたい。非常に冷たい言い方でありますが、既存の制度の中でさまざまな創意工夫を凝らして現実に動いておられるものに対して、何か新たな支援を行うとなると、必ず規制とセットになってしまいます。本来、現行制度の中でできるべきもの、創意工夫を凝らしてやっていただくべきものを、規制を網のようにかけてしまって潰してしまう可能性のほうが高いと思っております。

特にクラウドファンディングについて、ここでは、株式投資の場にしようというような議論があるかと思います。アメリカSECが実際どのようなスキームをつくるか見物だと思っているわけでありますが、当然、証券取引市場と同じよう規制体系を持ち込まざるを得ないと思います。そのときにこれまでできていたものについてまで、同じような規制対象になってしまいますと、あるいは規制対象になるかのような懸念が生じてしまいますと、かえってこれまでの取組みを阻害するのではないかと思っています。

唯一意味がある支援策は、これも後ほど申し上げますが、税制だと思いますので、それを前提にして私どもの説明をお聞き取り願いたいと思います。

資料の表紙をめくりまして2ページでございますが、1番目が、新規・成長企業への投資促進策ということであります。一言で申しますと、税制に尽きると考えております。

経団連は、別途、税制提言という形で毎年のように新規産業あるいは成長産業に対する税制優遇をお願いしておりますし、今回は日本再興戦略に基づく税制措置ということで、特にベンチャー支援について、かなりボリュームを割いた提言を出しておりますが、一言で申しますと、得をしたときに優遇するという仕組みは全く必要ないと思っております。益ができたら税金を払えばいいわけでありますので、むしろ必要なのは損をどうやって軽減できるかということでございます。まさにリスクマネーでございます。ベンチャー投資というのは非常にリスクが高い投資でありますので、最初から投資ではなくて、損金として考えてくれというのが私どもの最大の要望でございます。ベンチャー投資等のような出資は、本来はエクイティ・ファイナンスでありますが、ここは出資ではなくて、一種の損失だと考えて、その分について最初から損をとれるようにしてほしいということです。その後、実際にうまくいって益が出たら、全て譲渡益課税の対象とすればいいわけでありますので、益をどうするかという議論は必要ないと思います。損をどうやって軽減できるかというところに集中して、特に、個人のエンジェル税制でございますとか、あるいは法人のエンジェル税制に近いものの議論を進めて頂ければと思っております。

仕組みとして意味があるものは税でございます。これは税制調査会でご議論いただければと思うわけでありますが、この金融審議会の場でも、ぜひともサポートいただければありがたいと思っております。

それからもう1つと言われたら、実際にIPOを行おうとしている企業について、体の大きさを超えたコストをかけさせているのではないかということでございます。具体的には、会計・監査・開示等の負担について、もう少し軽減できるのではないかなと思っております。日本の新興市場は非常にいい仕組みになってきたと思います。ごく小規模の出資でもIPOができるという世界にもまれな優れた市場になっていると思うわけですが、もう少し立ち上がりのときの負担を軽減できるような仕組みがあれば、新規企業を成長させる場として非常に意味があるものになるのではないかと思っております。

そのほか、皆さまがおっしゃっている話でありますが、体制というか、まさに目利きでありますとか、メンタルでありますとか、実際に成長を支援する人たちの育成が最初の課題であると思っております。

以上が新規・成長企業への投資促進策ということであります。あまり経団連として中身のある考え方は持っておりません。ともかく税制を何とかしてくれということに尽きると思っております。

2番目以降は、経団連としての、主として発行体としての、確定的な意見をもとに申し上げます。最初は、発行開示制度に対する要望でございますが、これもいつもさまざまな場でお願いしていることでございますが、まず発行登録制度の使い勝手をよくしてくれということであります。

ここに具体的なことを書いてございますし、既に何度も金融庁にも金融審の場でもずっとお願いしてきた話でございますけれども、なかなか規制緩和が進まないということでございます。

特に訂正発行登録書というのは非常に手間がかかるわりには中身がないのではないかと思っております。訂正発行登録書が何で必要なのかということについては、もう少し議論していただいてもよいのではないかと思っております。

次に、有価証券の募集・売り出しにおける勧誘の範囲の見直しでございますが、ここは仕組みとしては、法律というよりは、むしろ金融庁のガイドライン等で対応して頂きたいと思いますが、「勧誘」の範囲をもう少し限定的に考えて頂きたい。特にプレヒアリングを勧誘だと言われてしまいますと、他の国でできていることが日本ではできなくなってしまいますので、ここはぜひとも何とかしていただきたいということでございます。

それから、有価証券の募集・売り出しにおける公告期間のルール、最低7日ということでありますが、7日というのは結構長い期間でございますので、もう少し短くならないかということは切なるお願いでございます。

3ページに参りまして、継続開示制度に対する要望でございますが、最大のお願いは、有価証券報告書の虚偽記載の損害賠償責任について発行体の責任が重すぎるということでございます。現在は、無過失責任とされておりますが、既に企業は内部統制システムを十分に構築しております。なおかつ、意図せざるミスでございますが、うっかり間違えてしまったとか、市場に与える影響は重大ではないけれども、数字として明らかに間違えてしまったというようなことについて、無過失責任というのは厳しすぎると思っております。ぜひともこの機会に検討いただければと思っております。

継続開示書類の中身につきまして、特に四半期開示でございますが、大分緩和をしていただいたとは思いますが、それでもなお、ほかの開示と重複している内容があるのではないかと思っております。具体的には、提出会社の状況の中での新株予約権の内容、ライツプランの内容、発行済株式総数、資本金等の推移等については、他の開示書類を見ればわかるものでありますので、あえてこれを四半期開示で出す必要はないと思っております。

最後に、これは前回の企業会計審議会の報告書でお示しいただきましたが、金商法上の単体開示の見直しを是非とも廃止の方向でお願いしたいということでございます。これは繰り返し何度でもお願いしたいと思っております。

4番目が、大量保有報告制度に対する要望でございますが、最大のお願いは、自己株式に関する取引を制度の範疇から外してほしいということでございます。自己株式が取得・処分されても、何か経営権の移転があるわけでもないわけであります。そもそも大量保有報告制度の趣旨に照らして、自己株式に関する取引は関係ないと私どもは思っております。ぜひともこの機会に見直しをお願いしたいと思っております。

やや細かいお話でございますが、変更報告書の提出要件につきまして、発行体側の事情によって、大量保有報告制度に基づく報告をしなければならないということは、わりと頻繁にございます。いろいろな議論があるとは思いますが、取得者側の意図と関係なく、発行体側の事情で報告が必要になるということはおかしいと思っておりますので、なくせとまでは言いませんが、緩和してほしいということをぜひともこの際お願いしたいと思っております。

2つ目でありますが、発行体側の第三者割当増資によって、報告者の保有割合が1%以上減少した場合については報告義務はありませんが、その先、1株でも売買し、直近の届け出時点から1%以上増減した場合に、報告義務が生じます。ここは少し見直す必要があるかなと思っております。

それから、3ページ目の下でございますが、大量報告書提出の前日までに新たに変更報告書を提出しなければならない事由が生じた場合の同時提出義務につきましては、事務的に無理ですのでやめてくださいというお願いでございます。

以上、これまでも経団連としてお願いしているようなことを再度整理してお願いしているわけでございますが、今回、諮問の中で、上場企業等への機動的な資金調達を可能にするための開示制度の見直しということであえて明記頂いておりますので、この機会にぜひともお願いしたいと思っております。

最後に、まとめということで、簡単に4ページに記載している点ございますが、まず、いわゆる新規・新興企業に対するリスクマネー供給につきましては、ともかく「インセンティブ」を講じてほしい。具体的には、税制のこととしてお読みください。何か意味がある施策が講じられるとしたら、税制が最大のものだと思います。この機会にぜひとも意味のある税制の構築をお願いしたいと思いますし、これは金融審、金融庁からぜひとも強く主張いただきたいと思っております。

それから、先ほど説明してきた点でございますが、上場会社が普通におこなっている資金調達活動について、あまり無理な負担をかけさせないでくれということでございます。発行開示制度、継続開示制度、大量保有報告制度につきまして、従来からのお願いでございますが、この機会にぜひともお考えいただければと思うわけでございます。

以上でございます。

○神田座長

大変ありがとうございました。

それでは、これから自由討議に移らせていただきたいと思います。

本日のお三人の参考人の方々からのお話についてのご質問、ご意見、それから、そのほかリスクマネーの供給全般にわたるようなことでももちろん結構でございますので、皆様方から、ご質問、ご意見等をご自由にお出しいただければと思います。どなたからでも、どの点についてでもお願いいたします。

とうぞ。出雲委員。

○出雲委員

ありがとうございます。

非上場企業の円滑なリスクマネーの供給と、上場後の上場企業の発行体の円滑な資金調達に向けてということで、上場前後で1つずつ意見を述べさせていただきます。

まず1つ目は、上場前の非上場企業のリスクマネーの調達の際に、第1回でもご議論いただいた内容なんですけれども、代表者のリスクをどのように考えるのか。中でも特に発行体の融資もしくは出資をいただく際に、クラウドファンディングの場合にはあまり個人保証とかそういうのはないと思うんですけれども、今、ベンチャーキャピタルからリスクマネーを供給いただくときに、かなり代表者、代表取締役にとって厳しい株主間契約書が依然として残っているという実態はあると思います。

具体的には、投資、その出資、リスクマネーを株主から出資していただいても、一定の期間の間にエグジットできなかった場合に、その出資金について発行体の企業の代表者が何らかの方法で弁済するであるとか、ほかのエグジット先を見つけてくるといった協力なのか義務なのかは場合によって違うんですけれども、そういったものが代表者、もしくは新しくベンチャーをしようとする人にとって非常に大きな負担となっております。

特に、ITと異なり大学発ベンチャー企業、特に何かしらの技術をもって、その技術を形にするためのベンチャー企業は、比較的初期の投資、リスクマネーとして供給していただきたい金額が数千万から数億、数十億と規模感が大きくなることが一般的なんですけれども、そういった場合に、そんな金額、とても個人として代表者が保証するというのは、非常に大きなリスクでありますので、この点をどういう方法がいいのか、緩和の方向でご議論いただきたいと思います。

その最初のリスクマネーを大学発ベンチャー企業が供給していただくときに、私は必要だと思っておりますのは、プロトタイプの商品ですとか、もしくは大学発ベンチャー企業はパテントしかない、もしくはプロトタイプの商品しかないということが普通でありまして、そういったパテントですとか、プロトタイプの商品をつくるところまではクラウドファンディングが非常に重要であります。少額の数百万円の資金でパテントを取得する、もしくは1つプロトタイプの商品をつくるところまでをクラウドファンディング等でより簡便に資金を調達して、VCからも非常に厳しい株主間契約に基づく資金ではなく、クラウドファンディングでパテントやプロトタイプの1つ目の商品をつくるところまでスムーズにリスクマネーが供給されて、そのパテントやプロトタイプをもとに評価いただいて、個人保証などがない形でベンチャーキャピタルから出資をいただくというような仕組みができれば非常にすばらしいのではないかなと思っております。

上場後のことについては、今日、阿部様から大変簡潔に円滑な資金調達に向けて3枚にまとめていただいておりますので、もう私、ここに書いてあることがほとんど全てだと思います。2ページ目の一番最下段の2の発行開示制度に対する要望、四角3の有価証券届出書または発行登録書提出から効力発生までの期間の短縮化ですとか、次のページの発行体の無過失責任を負うという現状の枠組み、その意図せざる虚偽記載も含めて、非常に煩雑な訂正報告書の提出を強いられるというのは、公開後間もない少人数で運営している上場企業にとって大変大きな負担となっておりますので、ここに記載されていることについては、ほんとうに私ども発行体として、ぜひお願いしたいと思っております。

最後に、ちょっと蛇足になってしまって大変申しわけないんですけれども、前回、リブセンスの村上さんが来られたときに、私、欠席して申しわけなかったんですが、EDINET、大量保有報告の中で、今、私以外にこういう発言をする人はあまりいないと思うので今日はあえて申し上げますと、代表者個人の住所を番地まで記載することが要件となっておりまして、私、ユーグレナ社の代表取締役を務めておりますけれども、何か訂正報告もしくは大量保有報告をEDINETで出させていただくときに、私は個人の番地の住所を一体誰が必要としているのか、なかなか意見として出てくることはないと思うんですけれども、こういった部分も不要であろうと思いますので、緩和ですとか、あまり厳しく、意味のない部分については提出要件を緩和するということをぜひお願いしたいと存じます。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

原田委員、どうぞ。

○原田委員

ご説明ありがとうございました。小松様に2点と、原様に1点お伺いしたいことがございます。

1点目としましては、まず、ミュージックセキュリティーズさんのほうなんですけれども、資料1の4ページに、投資家の属性ということでいろいろ情報開示していただいております。職業分布や県別の分布がございますが、ここで投資金額が平均幾らぐらいなのかというところがちょっと気になるところでありまして、多分事業分野ごとに違うかと思うんですけれども、少額と高額のところを外して真ん中あたりで見たときに、少額のほうが多いのか、あるいは平均的に分散しているのかという、金額の分布について何かお教えいただければと思います。このワーキング・グループでも投資の上限を設けるといったような案がありますので、金額について1点お伺いしたいと思います。

そして2点目としまして、御社は第2種金融業者として登録を受けておられて、小口ファンドへの出資を匿名組合契約の媒介という形で行っていらっしゃいます。業者によっては、金商業者でなくても情報サービスとしてプロジェクトへの投資を募っていくところもあるかと思いますので、そうすると、投資というときに、自己責任の部分はあるかと思うんですが、自己責任を超えた安全性の確保というのが1つ重要なテーマになるのではないかなと思いました。そうしますと、御社の場合、今、地銀さんとの連携などをしていらっしゃいますが、あと、クラウドファンディングと言わずにマイクロ投資とおっしゃっていますが、その辺の安全性の確保という面について、どういうことをお考えなのかということをお伺いしたいと思います。

原様には、スキームに関して1点お伺いさせてください。

先ほどのご説明では、資料2の4ページ、ゆめファンドのご紹介のところで、100社近くに出資をしていらっしゃって、13社ほどがIPOしたと。しかし、若干赤字であるというご説明でした。次の成長支援ファンドのところでは、スキームを見ると、県との連携が非常に強いように思います。県内のベンチャー企業への投資ということでこのファンドができているようですが、まだできて2年なので、経営状態というのは、まだ今の現状では何もないのかもしれないんですが、見通しとしてはどのくらいなのかということと、あと、県や、あるいは何らかの制度的な補助が入っている仕組みなのかという、スキーム図からは出資の構図が見えてこないので、その辺をちょっとご説明いただければと思います。

以上になります。

○神田座長

ありがとうございます。

それでは、小松さんからお願いします。

○小松参考人

ありがとうございます。

まず1つ目のご質問ですが、平均して皆様のものをおしなべてみると、大体5万円ぐらいというのが1人当たりの投資金額です。当社は、1人当たり1ファンドに投資できる上限を決めていまして、ファンドによるんですけれども、50万とか、100万とか、上限を決めて、できるだけ多くの方に投資していただけるようにというふうに考えてやらせていただいています。

全体として1ファンドで集める金額も大体数千万円ぐらいというのが今は多くなっています。

分布もやはり1口1万円から投資できる場合が多いので、1万円という方が非常に多いですが、平均すると5万円ぐらいという感じです。

2つ目の安全性など個人の方に対してどうやって情報開示していくのかという部分ですが、当社は第二種金融商品取引業者として金商法にのっとってやっていますので、当然開示に対する規制がありますし、重要事項の説明というのは、フォントの大きさもきちんと定められた上で、きちんと投資家の方には開示をして、理解いただいた上で投資をしていただくという形になっています。先ほど少し触れていただいたいわゆるクラウドファンディングとの違いは、寄付とか購入でやっているようなインターネットサービスは金商法は関係なく、情報の開示に対しての規制が違います。投資家の方はそれを見て信じてお金を寄付したり購入したりすると思います。当社がやっているのは、いわゆる投資なので、金銭的なリターンがあるものなので、当然、規制のある中でやっているので、言葉を分けたほうが混乱した議論にならないと思っています。あくまで投資は投資、金商法の中でやっているものは金商法の用語で語るべきというふうに思っています。

投資の部分はやはり投資、お金を出す方も、金商法にある種守られている規制の中でやっているという認識を持っていただくということは大事なことだと思っています。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、原さん、お願いします。

○原参考人

それでは、まず、ゆめファンドのほうでございますけれども、こちら、お手元の資料の4ページ目にゆめファンドの概要というのがございます。今、委員からお話がありましたとおり、100社近くに投資を行って13社が上場したけれども、正直赤字ですというふうにご説明をさせていただきました。当初、これが立ち上がったころというのは、おそらく投資に対して10倍ぐらいの回収が見込めるのではないかというふうに見ておったわけですけれども、実際は、特に最後のほうですけれども、公開をしても投資とほぼ同額、もしくは若干上乗せぐらいにしかつかないといったようなことも多うございましたので、結果的には赤字での着地見込みであるといったことでございます。

一方、成長支援ファンドのほうについてもご質問いただきました。こちらは5ページ目でございますけれども、まず出資につきましては、これは神奈川県の冠ファンドではあるんですけれども、出資については、5ページ目の下の概要の2行目に出資者というところがございますけれども、横浜銀行と横浜キャピタルの2社で出資をしておりまして、その他からの出資はいただいてはおりません。今、運用状況としましては、数社に投資をしておるというところ、先ほど、ご説明したようなところではございますけれども、見通しとしましては、ゆめファンドのほうがアーリーステージに打率10分の1ぐらいで投資をしたという部分があったわけですけれども、成長支援ファンドのほうは、当然そういった打率1割でもというようなものは期待ができませんので、1件1件かなりしっかり見ながら、回収についても道筋をつけながらやっておるといったようなところでございますので、一部アーリーステージの企業さんにも投資はさせていただいていますけれども、トータルでは、当然でございますけれども、リスク・リターンが合うようにしたいというふうに思って今やっておるところでございます。

以上でございます。

○神田座長

ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

それでは、お隣の永沢委員、それから、神作委員の順で、お願いします。

○永沢委員

本日は、貴重なお話をありがとうございました。

まず、阿部様から、ベンチャーは出資ではなく損失だと考えてほしいというお話をいただきましたが、私もまさしく同感でございまして、もちろん一定の要件を満たしたものという前提はあるかと思いますが、個人の投資家でもやはりそういった分野へ踏み込んでいくためには、そういう発想の出発点が必要ではないかと思いました。

次に、小松様に投資型のクラウドファンディングについて質問等させていただきたいと思います。

まず、小松様から、「クラウドファンディング」という言葉が非常に曖昧であるというご指摘をいただきました。私もそのとおりだと思っております。ここにいらっしゃる皆様方はクラウドファンディングの「クラウド」が「群衆」だということをご理解なさっていると思いますが、一般人の中には「雲」だと思っている人もかなりおりまして、青空に浮かぶ雲のようなところからお金が出てくるようなイメージを抱いている方もいないわけではございません。「クラウドファンディング」という言葉は非常にはやっておりますけれども、小松様からは、わかりやすい日本語で定義をすることが大事というご提言をいただいたと思います。私も全く同感でございます。例えば投資信託でも、ファンドと投資信託の混同が起こっておりますので、こういった言葉というのは一般の個人にとっては大変重要なことでございます。

続いて質問ですが、ミュージックセキュリティーズでなさっているものは、分散投資ではないファンドのように理解したのですが、一般人はファンドと言うと分散投資をするものという発想が出発点としてあります。分散投資はしていないと言うことは、事業リスクをそのまま受け取っているということになるかと思います。適合性の原則というルールがありますが、ファンドに入れてはいけないお金、入っていいお金というものがあると思います。投資家と事業者との間にトラブルが生じるとコストがかかってしまいますので、そうしたトラブルを避けるために、こういうお金は入ってよい、入ってはいけないというようなことを、経験上お持ちで仕分けていらっしゃるのでしょうか。それとも、投資家の属性に関係なく、投資額の上限を定めてしまえば、そういった問題は軽減できるものでしょうか。

それから、大変恥ずかしい質問ですが、インターネットを開いておりますと、投資ファンドのバナーが目に入ってまいります。ご説明いただいておりますマイクロ投資と投資ファンドの違いがよくわかっておりませんので、この点、一般の者にわかりやすくご説明いただけたらと思っています。マイクロ投資というのは、投資ファンドの一つなのでしょうか。

それから、投資ファンドにつきましては、いろいろと心配される事態も起きているように聞いております。やはり投資というものは、どの時代、どの世界でも詐欺的な行為を働く悪いやつがいるものでございます。小松様は、そういうものとご自身の取組みを区分けしていくためには、どのようなことが必要とお考えか、ご提言いただけたらと思います。規制以前に、何かこのようなことをすれば区分けができるとか、投資家が詐欺的なものに間違って入いりこまなくて済むようにするためのご提案がありましたら、ぜひお願いしたいと思います。

それから、これは事務局へのお願いになりますが、次回以降で結構ですが、匿名組合というものがこれまで何回も出てきております。皆様ご存じかとは思うんですけれども、匿名組合の情報開示というものは一体どのようになっているのかということを、この機会に、お教えいただけたらと思っております。

それから、細かいことで恐縮ですが、3ページで元本割れ14本というご説明をいだたきました。事業リスクをもろに受けるわけですから、元本をかなり割れるものもあるのかと思うのですが、もし差し支えがなければ、元本割れした場合、どれぐらい割れたのかをお教えいただけないでしょうか。

以上、長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

○神田座長

ありがとうございます。

それでは、お願いします。

○小松参考人

ありがとうございます。

まず、適合性の原則というか、入らないほうがいいお金はどう考えられているか、どう入れないかということですが、基本的には、小口で上限を設けているということで、何か大きなレバレッジをきかせているようなものでもないですし、投資をして大きなリターンを求めて投資されるという方は、現状、アンケートを見ている限り、あまりいらっしゃらないので、今のところ、そういう意味でも小口で少額で出していただけるということで対応することでまだいいのではないかと思っています。また、アンケートを続けていく中で、利益が目的という方が増えていった場合には、対応策を考えなければいけないかなというふうに思っております。

あと、投資ファンドとの違いですが、ご質問頂いた投資ファンドが何を意味しているのかがちょっとわからないので比較もできないのですけれども、いわゆる投資信託とか、いわゆるベンチャーファンドであれば、ある種、株式とか金融商品に投資するようなファンドのことを差す場合が多いんじゃないかなと思います。当社が今やっているような匿名組合のファンドは、やはり事業に投資をするような形のものでやっていますので、何が違うかと言われたら、投資対象が違うということではないかと思います。

また、詐欺的な業者との区分けという意味では、まずは当社自身がきちんと第二種金融商品取引業者として法律を遵守するということと、あとは第二種金融商品取引業協会という協会もありますので、そちらにきちんと加盟して自主規制をきちんとしていくということを示しております。あとは、トラックレコードをきちんと見せていくということが大事だと思っていますので、償還済みのファンドに関してはトラックレコードをきちんと出しています。当然、マイナスのものも出しております。

あとは、詐欺的な業者との区分けという意味では、できるだけ投資家の方と対話をできるように、当社自身もそうですし、投資対象となる事業を行う経営者の方もきちんと何をやるのかということを話していただいて、単純にインターネットサイト上だけで判断いただくのではなくて、実際に話を聞いていただいて、そこに何か心に響くようなものがあるのかどうかということかなと思っています。

また、もう1つ最後に、どれぐらい割れているのかという話なんですけれども、投資家の方には、まずは当然ゼロになるリスクもたくさんあるということを何回も何回もお伝えした上で、確認していただいたとチェックというか、そこを経ないと申し込みができないようにさせていただいています。実際はゼロになったのはないんですけれども、結果としてもう償還済みのもので言うと、半分以下になって償還しているものも当然あります。ただ、やはり事業に対する投資なので、金銭的なリターン以外の投資家の方への非金銭的なリターンというのをいかにお返しできるのかということを念頭に説明をきちんとするとか、余った在庫を分配するとか、そういうことで対応しているというような形になります。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

よろしゅうございますでしょうか。

あと、事務局に質問がありましたけれども、次回以降の対応ということでよろしゅうございますか。

それでは、副大臣からご発言いただけるということですので、お願いします。

○寺田副大臣

貴重なご意見を賜ったものと思っております。

横浜銀行の原部長さん、大変意欲的な成長支援ファンド等の取り組み、敬意を表するものでありますが、8ページから実際の具体の投資事例をご説明いただいたと思うのですが、例えば、投資事例マル1ですと、大手企業と提携をしているから投資を決めた点であるとか、あるいは、投資事例マル2で言いますと、親会社の支援があったから決めた。投資事例マル3で言うと、地方公共団体の経営アドバイス等があったから決めた。つまり、もちろんそうしたものも重要な要因でありますが、本来の目利き、あるいは、いわゆるプロジェクトファイナンス、これは先ほども個人保証の問題、あるいは過度に物的担保に依拠したものから我々は今脱却しようということで、ABLでありますとか、資本性借入金であるとか、さまざまな取り組みをスタートさせているわけでありますが、そうした中で、もちろんそうした大手と組んでいるとか、親会社の支援があるというのは1つの重要な要因ではあろうかとは思いますが、こうしたまさにまだ新しい、ニーズとシーズ段階の新規・成長企業に対する1つの出資、あるいは融資の姿勢として、そうした傍証的なことをカウントされるのはもちろん結構かと思いますが、本来のリスクテイク、目利き、あるいはバンカーとしての観点からごらんになって、真の決定要因、傍証的な部分はもちろん加味していいかと思いますが、それが一体何であるかというのは極めて大事ではないかというふうに思います。それぞれ事例ごとによって濃淡、あるいはケース・バイ・ケースの個別のご判断はあろうかと思いますが、そこらのリスクテイクの真の審査能力、これについてお聞きしたいのが1点と、あと、課題のところで、やはり官の支援というフレーズ、ターミノロジーが多々出てまいりました。リスクシェアにおける官の役割、あるいは目利きにおける官の支援、あるいはノウハウの共有における、これは政府系金融機関のほうです、デューデリの点を挙げられたかと思いますが、確かに一定の官の支援というのはあり得ると思います。現に、さきの国会などでも我々は官民ファンドの立上げを決めました。例えばクールジャパンファンド、あるいは都市再生ファンド、あるいは環境関連のファンドもですね。あと、地域再生ファンド、さらには、イーテックの後継のレビックが1兆円の与信枠、これは出資と融資、その他の諸支援機能、活性化事業等を取りそろえたのでありますが、残念ながらまだそうしたものに対する手が十分に挙がっていないのが現状です。官の支援が必要と言われて、現に官もさまざまなスキームが立ち上がっているのですが、なぜ手を挙げられないのか。あるいは、こういうふうなことがネックになってまだ手を挙げる状況にないのか、そこらをご教示いただければと思います。

○神田座長

大変ありがとうございます。

それでは、原さん、お願いします。

○原参考人

それでは、まず1点目のほうですけれども、特にアーリーステージについては、これが非常に難しいなというふうに正直考えております。私ども、特に地方銀行でございますので、実際に経営者の方と膝詰めでいろいろお話をする機会が多いわけですけれども、そういったところで、社長様の計画自体も、ちょっとこれはやってみないとわからないとか、ここから先はわからないんだけれども、とりあえずお金が要るんだというような状態ですと、なかなか我々としてはやりにくい。ただ、こういうふうに具体的にもう事業がある程度スタートしたんだと、もしくはスタートはしていないんだけれども、こういうあてがあるんだとかというところに社長も確信を持たれていて、私どももそれを評価できるときというのは投資ができるんだと思うんですけれども、そこについて、社長様ご自身も確信は正直ないと。ただ、とりあえずやってみたいんだというような場合は結構厳しいなと。今のようなIPO環境、例えば公開ができれば10倍になるんじゃないか。もしくは10倍以上になるのではないかというような場合であれば、投資をしやすい時期もあったかと思いますけれども、例えばご融資にした場合ですと、1,000万ご融資をして、ご返済いただくのは1,000万プラスアルファぐらいというようなものが皆さんから回収と。中で例えば9割ぐらいが、1,000万で10社にご融資をして9社が回収できない。1社うまくいったんだけれども、戻ってくるリターンは1,000万プラスアルファぐらいということで、ほぼ9,000万の損失というふうになってしまいますので、その辺のところがちょっと苦しいところかなと。目利きとか、そういった部分でしっかりこれからも私どもとしても力をつけていかなければいけないなと、そこが非常に課題だなというふうに思っておりますけれども、今はなかなかそこまでが十分にできていないというところでございます。

それとあと、いわゆる地公体、また、国、県、市との連携のところでございますけれども、こちらについては、従来から保証協会さんの無担保枠とか、もしくは先ほど最後のほうでご説明いたしましたとおり、いろいろ人材面、もしくは政府系金融機関でやられましたデューデリジェンスの共有といったようなところでの連携というのが私どもとしてはお願いをしておるところでございまして、先ほどの1兆円の枠に、ちょっと私も今、勉強不足で詳しく存じ上げなかったんですけれども、申しわけありません。

○寺田副大臣

地域経済活性化支援機構の1兆円という、これは3月18日に企業再生機構の後継として立ち上がりました支援機構の話でございます。

○原参考人

いわゆる私どもとして投資をさせていただく場合に、たとえ官のお金であるからと言って、その投資がうまくいかなくていいということでは決してないので、やはり投資である以上はしっかり回収しないといけないという部分があろうかと思います。私どもとしては、今、投資する資金が足りなくて投資ができないということではないというふうに思っております。やはり投資をして、それに見合ったリターンをいただかなければいけないという部分がございますので、そこの部分を、そういった企業さん、そういった案件を探してこなければいけないというところが我々の課題ではないのかなというふうに思っています。

ちょっとご説明になっていないかと思いますけれども、申しわけございません。

○神田座長

よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。

それでは、神作委員、大崎委員の順で、神作委員、どうぞお願いします。

○神作委員

ありがとうございます。

先ほどの原田委員のご質問、ご発言にも非常にかかわる点なのですけれども、小松様に1点、それから、小松様と原様に共通のご質問を1つさせていただきたいと思います。

先ほど、小松様から、出資者の投資リスクを限定するという観点から一定の措置を講じていること、例えば、ファンドの上限を決めるとか、一投資家が投資できる額の上限を決めるというようなお話があったかと思いますけれども、クラウドファンディングの1つの機能として、小規模な事業者でも自分の行っていることですとか、自分が実現しようとしているアイデアがどれくらい世間に受け入れられるのか、世間の支持を集めるか、そのような観点もあると思います。反対に、そのような計画やアイデアに対して一定の支持が集まらないような場合には、もうお金は集めないという工夫はなされていますでしょうか。具体的には、あるプロジェクトについて一定の金額以上が集まらないとそもそも募集をしないですとか、あるいは、一定の人数以上が集まらないと行わない等々、世間からの支持を指標とするいろいろな工夫が考えられるかと思うのですけれども、一定の支持を受けるということを事業に当たってどのような工夫をされているかということを教えていただきたいというのが小松様への質問です。

それから、原様と小松様お二人に共通した質問ですけれども、仮に投資がうまくいったときの配分の仕方の問題なのですけれども、先ほど、例えば事業者に対して個人保証等も含めて厳しい拘束をしているというお話があったかと思います。そのような観点も重要ですが、投資である以上、うまくいったときに正当な分け前にあずかるという観点も大変重要と考えます。事業がうまくいったときにちょっと分け前を増やしてもらうような、そういう約定なり、工夫なりというものがなされているのかいないのか、特にIPOのときに、ファンドがどのような分け前を受けるかということについて、どのような工夫といいますか、約定というのがなされているのかどうか、差し支えのない限りで教えていただければと思います。

以上でございます。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは、小松さんからお願いします。

○小松参考人

ありがとうございます。

お金が集まらないときにどうするのかというお話もあったと思うんですけれども、逆に、当社としては、ほんとうはお金が集まらなかったとしても、絶対この事業をやり遂げるんだというような強い意思を持った事業者でないと当社としては個人の投資家を集めるべきではないと思っております。これは非常に難しい話だとは思うんですけれども、例えば、世の中で語られているクラウドファンディングにおいて、今のお話の場合、集まればやります、集まらなければやりませんというような形のほうが、ひょっとしたらお金を出す方にとってはわかりやすくていいのかもしれません。しかし、果たしてそのような事業が金銭的なリターンを伴う投資の場合に、果たしていいのかというのは、私の考えとしては、それではいけないと思っています。お金が集まらないときにどうするかと考えた場合に、やはり集められるように、例えば、募集期間を延長するとか、また第二次募集をするとか、最低必要な金額に達するまできっちり集め切っていくということは必要だと思います。もしくは自己資金をそこで入れるということも含めて、その事業に対してコミットしているような事業者でなければいけないのではないかなと私は思っております。

いろいろな業者がいることはいいことだと思います。この事業はまだうまくいくかわからない、けれども、支持があればやりますという、お金を集めるようなインターネットサイトがあってもいいと思います。ただ、私どもがやるのはそうではないというスタンスでやっていきたいと思っています。

あと、2番目の質問は、当然リスクとリターンというのをバランスよく考えていますので、当社も投資家の方にとっての損益分岐点に達するまでのリスクが高ければ、その後の分配も多くするなどで、投資家の方のリターンを増やすというのは必要なことだと思っております。

以上です。

○神田座長

ありがとうございました。

原さん、いかがでしょうか。

○原参考人

私どもの場合は、投資家は金融機関、横浜銀行なり横浜キャピタル、関連会社でございますので、そこに、こちら、マイクロ投資のように、その後ろに投資家がいるわけではございませんので、増やす増やさないというのは特にはございません。それは頂戴するということになります。

以上です。

○神田座長

ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

○神作委員

はい。ありがとうございました。

○神田座長

それでは、大崎委員、お願いします。

○大崎委員

原さんに1つお伺いしたいのと、小松さんのお話について感想的な意見をちょっと申し上げて、それに対してもし小松さんからコメントがあれば、お話を伺いたいというのが1つございます。

原さんにお伺いしたい点なんですが、先ほど副大臣からご指摘があったことともちょっと関連するようにも思うんですけれども、官のお金との連携とか、官の制度についてのいろいろなお話があったんですが、私ももちろん官の役割も非常に重要だとは思うんですけれども、こういうリスクテイクは、やっぱり民の自発的な行動といいますか、自主的な判断に基づいて進んでいくのが、ある種の理想だというふうに思っております。そういう面でちょっと意外に思ったのは、例えば具体的にご紹介いただいたゆめファンドですと、出資者が横浜銀行グループを別にすれば、中小企業基盤整備機構とか、神奈川産業振興センターということで、基本的に官的なものですよね。これは民間の例えば機関投資家みたいなものがここに参加してくるという可能性を横浜銀行グループとして探っておられないのかとか、あるいは、なかなかうまくいかない理由があるのかというようなことについて、何かご意見があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。それが原さんへの質問です。

それから、小松さんのお話で、これは感想なので聞き流していただければと思うんですが、ちょっと私、気になったのは、一方で事業への投資であると、それから、これは匿名組合であって株式ではないんだということを非常に強調されていた一方で、他の金融商品と税制上損益通算できないというようなお話をされていて、それをしたほうがいいんじゃないかみたいなことをおっしゃっていたんですが、そうなると、これはもう金融商品、投資であるということを正面から認めるということにもなるわけで、であれば、株式や債券と同じような情報開示や業規制を課すべきではないかという話にもなりかねないように思うんですね。ですから、そういう意味で、私はさっき、阿部さんがちょっとおっしゃっていた今の規制の範囲でやれることをやればいいので、何も手をつけないほうがいいんじゃないかというのにやや共感するところがありまして、その意味では、私は感想としてこの税の話はあんまり今やっておられることに関しては持ち出さないほうがいいのかなと思ったということでございます。

○神田座長

ありがとうございます。

それでは、原さん、お願いします。

○原参考人

それでは、特にゆめファンドについて、私どもと、公的なところの資金しか入っていないのではないかというご指摘を賜ったということなんですけれども、こちらについては、私どものほうで、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、リスク・リターンのある程度見える案件が押すな押すなで山ほどあって、でも、そうは言っても、これ以上リスクをとれない、資金がちょっと我々で足りないから投資ができないんだ、できればいろいろ民間の資金も募って、民間の活力を生かして成長させていこうじゃないかみたいな、そういうような流れになるのが、ほんとうにすばらしい理想だと思うんですけれども、今そういうリスク・リターンが見合うような案件が正直我々もまだ勉強が足りないということなんだと思いますけれども、それほどないというところでございます。ですから、資金が足りなくて投資ができないからという状態ではないので、そういった立てつけになっているということでご理解いただければというふうに思います。

○神田座長

ありがとうございます。

小松さん、もし感想があればということかと思いますが。

○小松参考人

ありがとうございます。

そうですね、確かにそういう面もあるかなとは思ったんですが、とはいえ、一応事業への投資も金商法で今決められている中できちんとやらせていただいていて、あえて投資家へのインセンティブを考えるとしたら何かと思ったら、そういうサポートもあるのではないかと思ったので書かせていただいたというような形でございます。

○阿部参考人

いいですか。

○神田座長

どうぞ、阿部さん。

○阿部参考人

済みません、税の話なので割り込ませていただきますけれども、小松さんのご説明の中で、いろいろ税制についてアイデアを示されておりますが、やはり証券取引と同じような扱いにするのはまずいと思います。これはやはり違う部分であると思います。あり得るとすると、エンジェル税制みたいな話として取り入れていくということは、十分可能かなと思います。要は、金融商品税制ではなく、エンジェル税制のほうに出口を見出したほうが解決できると考えております。

○神田座長

どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。

それでは、平田委員、それから山下委員の順で、平田さんからどうぞ。

○平田委員

小松さんに質問をさせていただきます。御社の仕組み自体は1つの企業に対して1つのファンド、あるいは1つの事業に対して1つのファンドという形でありますから、そういう意味では投資家にとって結構リスクが高い仕組みになるのではないかと思います。そうなりますと、ベンチャーキャピタルのように分散投資をするものよりも、それ以上に仲介者の立場として目利き能力、あるいは審査能力が必要になってくるかと思いますが、現在、その辺をどのように対応されているのかという点をまずお聞きしたいと思います。今後、この事業の株式形態での取扱いが展開されていく場合、大手の証券会社がなかなか参入しにくいと考えられる現状においては、中小の証券会社がここを担うようになると考えられますが、中小の証券会社は、大手の証券会社ほどの審査能力を有していないので取り扱うことができないとの話も多く聞いておりますので、まずその辺りの御社の状況をお聞きしたいと思います。

それから、先ほど、出資元本を下回ったファンドが14本ある中で、投資資金がゼロになるリスクもあるので、それを納得したお客さんでなければ出資しないといったご説明がありましたが、有価証券関連の場合には、元本割れが確実にある可能性があることを顧客に説明してもクレームが出る場合も多いという実態があります。御社のこの14本に関しては、過去クレームのようなものがあったのかどうかをお聞きしたいと思います。

また、当然ながら投資者は共感をもって投資しているのであれば、逆に、例えば非常に短い期間で終わってしまうファンドについては、リファイナンスの希望、あるいは、もう少し発行会社とかかわりたいみたいな希望などが投資者から出てくることがあるのかどうかについて、お聞かせいただければと思います。

○神田座長

ありがとうございます。

いかがでしょうか。

○小松参考人

ありがとうございます。

当社のファンドは、74本中14本下回っているんですが、そのほかのものはプラマイゼロだったり、上回っているものもたくさんあると、こういう状況を見て、一概にリスクが高いとは言えないとは思いますが、目利き、あるいは、仲介者として、どういう事業を選ぶのかということが非常に大事だと思っています。当社はこの事業を13年間やってまいりまして、最初は事業への投資なので事業性というのを中心にデューデリジェンスしておりましたが、最近は事業をやっている会社さんの財務状況や、ファンド期間中の企業の存続性を中心に、当社も公認会計士が5名おりますので、財務的な分析をかなり細かくさせていただいております。そういう中で、当然、投資家の方にも報告すべき重要事項があれば、きちんと開示していくということをさせていただいています。ただ、一番大事なのは、そういうデューデリジェンスだけではなくて、事業計画の確かさだったりとか、その事業が与える地域への影響だったりなどの評価というのも非常に高く感じていますので、それをいかに投資家の方にわかっていただくのかというふうに考えております。

すみませんが、もう一方の質問をお願いします。

○平田委員

クレームのようなものが過去あったかどうかという点です。

○小松参考人

クレームがあったか。下回ったことに対してのクレームというのは、現状はほとんどありません。ただ、もっと仕組みをわかりやすくしてほしいとか、例えば、本人確認が煩雑なので簡単にできないかということや、手続きに時間がかかるのをもっと短くできないかというなお話はよくあります。何で下回ったんだということのクレームなどはほとんどないというふうに感じております。

あと、また次の質問で、投資家の方は、やはり長くかかわりたいという方がいるのかということなんですけれども、そういう方は非常に多いです。投資の期間も数年で終わってしまうことも多いので、その後も購入者として長く買っていただくことも多いですし、ファンドが終わっても事業者の方と投資家の方と自主的に皆さん集まってその事業について語り合ったりとか、仕事を手伝ったりとかということはあるようです。そういう意味で、私としては、そういう方が長期間の株主になっていくというのは、すごくリーズナブルな話なのではないかなというふうに思っております。

ちょっと長くなってすみませんでした。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、山下委員、どうぞ。

○山下委員

小松さんにお伺いしたいんですけれども、海外の投資家を呼び込むという点ですが、この点については非常にいろいろな難しさがあると思うんですけれども、非常に重要な1つのテーマだというふうに思っております。

当然、海外の各国のそれぞれの金融規制等ございますので、それに準拠するというのは、国ごとによって違う場合もありましょうし、非常に煩雑といいますか、大変な作業だろうとは思います。そういう中でどういった可能性があるのかということを探っておられるのだろうと思います。いろいろなやり方があると思います。そこら辺のやり方について、ある意味、日本の国内と別物という考え方でないとなかなか難しいようなところもあると思うんですけれども、金融商品ということではなくて、具体的な商品を販売するだけであるとか、あるいは、投資家を呼び込むという意味で、ここに書いてございます現地の子会社をつくるとか、あるいは現地の会社と提携する等の選択肢があると思います。あるいは、絶対海外に篤志家はいると思うんですよね。ですから、そういう方に限定して、初歩的なことだけで限定してやるとか、いろいろなアプローチがあると思います。どういう方法であれば可能性があるというふうにお考えなのか、ちょっとそこら辺のお話を伺えればと思います。

○小松参考人

ありがとうございます。

私としても非常に難易度は高いんですけれども重要なテーマだと思っておりまして、先ほど副大臣がおっしゃったように、クールジャパンの領域の中で、海外の方にアピールできるポイントはたくさんあると思っています。そういう意味で言うと、買っていただくだけではなくて投資していただくということも同じような文脈で興味を持つ方も多いと思っていまして、アンケートもとりました。

実際の実施については、やはりグローバルな金融機関の方々と連携するということも当然1つだと思いますし、金融ではなくて寄付とか事前購入型のクラウドファンディングを用いていくということも、そこから導入して投資、金融商品の形に変えていくということも当然1つだと思います。

ただ、やはり規制の話が非常にネックになってくると思うので、日本の金融商品であったとしても、現地の方向けに商品を勧誘していくということになると、当然現地のレギュレーションというものがかかってくるとは思うので、そこは私としては、日本の金融行政の方々と、その外国の向こうの金融行政の方との何か連携というものがあると、非常にスムーズなんじゃないかなとは思っています。今回ちょっと話が飛んでしまうからと思ったんですけれども、あえてこちらのほうに載せさせていただいたという形になります。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、福田委員。

○福田委員

個別の方への質問というより全体的な問題意識ということでのコメントです。こういうリスクマネーの問題とかを考えるときに、あるいは経済の問題を考えるときの視点として、ミクロの視点とマクロの視点、両方必要で、両方から攻めていくということが多分大事なんだろうと思うんですけれども、今日のお話は、基本的にはミクロの視点ということだと思います。いつもミクロのお話を聞くと、なるほどと思わされることが多くて、いろいろなことが行われているんだなというふうに思いますし、今日のお話も非常に有益なことが多かったと思います。

他方、じゃあ、マクロの視点を見たらどうなのかというと、基本的にはほとんど進んでいないというのがやっぱり現状だということだと思います。足元はアベノミクスで多少お金が回り始めてはいますけれども、預金も相変わらず非常に順調に伸びているのに比べて貸出は十分に伸びていないという状況です。日本は世界の中でも資産は、先ほど原さんのほうからもありましたけれども、お金は、個人資産はものすごくあるわけですよね。他方、その半分以上が預金に相変わらず積まれていて、これは主要国の中でも突出しているという実情もあって、非常にミクロではいろいろな試みがあるのにもかかわらず、それがマクロで見える形での大きな流れには少なくともつながっているということが現状なかなかない。そこのギャップをどういうふうに理解していいのかということは、やっぱり考えるべきなんじゃないでしょうか。ミクロでこれだけ一生懸命いろいろな試みがなされているんだけれども、それがなかなかマクロにつながっていないという問題というのがやっぱりこのワーキング・グループでもぜひ考えていただきたいということであります。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、武井委員、どうぞ。

○武井委員

2点ありまして、1点目が、原さんへの質問です。先ほど、出口としてのIPOが大事だという話がありまして、この事例を見ていますと、種類株を使っていらっしゃるところもあると思うんですけれども、種類株を残した状態での上場の可否、IPOの可否という点について、何か今、規制緩和を含めてご意見等があればということでございます。種類株を使った上場というのはまだまだ抑制的でして、数年前に1回緩和しましたが、まだまだ日本がほかの国に比べて厳しいのか、それとも現状のままでも別に構わないのかという点に関して、何か現場でお感じの点がもしあれば教えていただきたいというのが1点目です。

2点目は、これは事務局へのお願いとなります。先ほど阿部さんのほうから大量保有に関するお話が出ていまして、自己株関連の話がございました。そちらの点と似て非なる論点となります。自己株のところを今回取り扱うのであれば、あわせてご検討いただきたい点が1つございまして、それは何かと言いますと、例えば、ある株主さんA社が上場会社の株を19%で持っていますと。その上場会社が自己株消却をしたとき、A社の株券等保有割合は上がるわけです。たとえば株券等保有割合が19%から20%に上がったとします。しかし保有株券等の総数は変わっていないので、現行制度ではA社に大量保有報告の提出義務はないわけです。A社側に何かアクションがあったわけでもないので提出義務が課されていないというのはそれはそれで良いのですが、現行法制の取扱いですと、Aが任意に大量保有報告書を出すことも許していないわけです。しかしたとえば、19%が20%に上がるというのは、対象上場会社がA社からみて関連会社の対象になりえるのかなど重要な情報なので、みずから積極的に出したいと、大量保有に出したいという場合もあります。しかし現行法制の解釈では任意の提出を許していないということになっています。大量保有報告制度をどこまで硬くつくるのか、どこまで閉じた世界として設計するのかということに絡むことになりますが、その点をどう考えるか。今回、自己株周りをいじるのであれば、大量保有の提出義務がないところはそのままで良いのですが、任意の提出を本当に許さないのが良いのかという点に関して、一度議論なりブレインストーミングをしていただければというお願いでございます。以上です。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは、ご質問に当たる部分について……。

○原参考人

それでは、お答えいたします。

種類株ということではあるんですけれども、詳しくご説明いたしますと、取得請求権つきの配当優先株式が多うございまして、企業さんのほうでも、今は自己資本を厚くしたいけれども、ずっと金融機関に持ってもらいたいと思っていないと、むしろ配当は若干つけるけれども、償還したいんだと、今欲しいんだと、そういう企業さんが比較的多いものですから、そういった形をやっておりまして、特にIPOまでそれを持つといったようなイメージでやっていないというのが現状でございます。

○武井委員

オーナーさんが持つ種類株ではなく、金融機関さんのほうが持っている種類株のほうなので、上場前に消すことが多いということですね。

○原参考人

そうでございます。

○神田座長

よろしいでしょうか。

事務局への質問とかは、また今後検討させていただきます。

ほかにいかがでしょうか。

どうも失礼しました、岡野委員。

○岡野委員

小松さんへの質問なんですが、3ページのところで、現在取り組まれておられる事業分野というところを見ますと、かなり広がりがあるようで、実は非常にスピーシフィックな分野を取り組まれているというふうに見えまして、この辺の要因なんですが、もっと横に広げられるのかどうかという興味関心から質問したいんですが、1つには、まず、そもそもミュージックセキュリティーズさんが得意だからこの分野を選ばれているのか、それともマイクロ投資というスキームがふさわしくうまくいきそうな分野であるからこれらの分野に特化されているのかという点と、それから、仮に、必ずしもこれだけではないのではないかというふうにお感じになられているとすれば、どのような形の分野に今後横に広げられるような可能性というものを見ておられるか、そのあたりについてご意見があれば教えていただきたいと思います。

○小松参考人

ありがとうございます。

この分野なんですけれども、今は提携させていただいている地域の金融機関の方とか自治体の方からの推薦でファンド組成していることが非常に多くて、やはり傾向としては、その地域を代表するような業種、例えば今治のタオルだったりとか、岡山県のジーンズだったりとか、森林だったりとか、そのような形で地域の金融機関様が応援していきたいというような事業の方が多くなっています。当社としては、当社が選んでいるということよりも、そういうご提案をいただいた中できちんと審査等、デューデリジェンスをしていって、投資家の方にファンドとして提供しているというものが多くなっております。

特に当社が得意だからということでもないんですけれども、ただ、どちらかというと、ものづくりとか、何かこだわり系のハイクオリティだけど手間も時間もかかるみたいなものがすごく多いので、投資家の方もそういうものに対する投資意欲があるなというのは感じています。

今後は、ベンチャーだったりとか、新規事業に対しても当然このような資金調達の手法というのはとても有効だと思っています。今はどちらかというと、業歴が長い会社の場合が多いんですけれども、そういう新しい業種への対応というのは、今もiPhoneのアプリだったりとか、そのようなIT領域のファンドというのも組成しております。今後そういう形のものも増えてくるのではないかと思っております。

○岡野委員

ありがとうございます。

○神田座長

よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

大体よろしゅうございますでしょうか。

それでは、本日はこのあたりで自由討議を終わらせていただきたいと思います。

本日、皆様方からいただきましたご説明、ご意見等は、今後の具体的な検討に当たっての参考とさせていただきたいと思います。

また、本日は、小松さん、原さん、阿部さんには、大変お忙しいところ、長時間にわたり貴重なお話とご意見をいただきましてどうもありがとうございました。また、今後もご意見等をお伺いすることがあろうかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

委員の皆様方におかれましては、いつも同じことを言って恐縮ですけれども、追加でのご意見、ご要望等がございましたら、事務局にメールなどでお寄せいただきますようお願いいたします。

次回以降ですけれども、引き続きヒアリングを行いながらも個別の検討課題ごとのご議論を始めていただかないといけないと思いますので、そういう議論に取りかかりたいと思っております。最初は、次回ということになろうかと思いますが、クラウドファンディングについてのご議論をお願いしたいと考えております。

最後に、事務局からご連絡等がありましたら、お願いします。

○油布企業開示課長

次回のワーキング・グループの日程でございます。

8月はちょっとお休みをさせていただきますが、9月の初旬をめどに皆様のご都合をまたお聞かせ願った上で調整を行いまして、具体的な日程を後日また事務局からご連絡差し上げようと思います。よろしくお願いいたします。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、本日は以上をもちまして散会いたします。ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課・企業開示課(内線2638、3665、3802)

サイトマップ

ページの先頭に戻る