金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(第22回)議事録

日時:平成21年5月27日(水)13時30分~15時30分

場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○池尾座長

それでは、時間が過ぎましたので、ただいまから我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループの、通算で22回になりますが、会合を開催いたしたいと思います。

皆様には、本日はご多用中のところご参集頂きまして、誠にありがとうございます。

それから、毎度のことですが、本日の議事も公開の形で行わせて頂いておりますので、その旨をあらかじめお伝えしておきます。

それでは、早速本日の議事に入らせて頂きたいと思いますが、このスタディグループの議論もほぼ大詰めなのですが、本日は前回に引き続きまして、ガバナンス機構をめぐる議論を深めていきたいということで、お二方のゲストからお話を頂いた後、そのお二方にも加わって頂いて、いつものように自由討議をしたいというふうに思っております。

それで、本日は帝人株式会社の長島徹取締役会長をお迎えしております。

メンバーの皆様ももうご案内かとは思いますが、帝人株式会社は、コーポレート・ガバナンスの面で先駆的な取組みを行っておられまして、市場関係者からも高い評価がなされているというふうに伺っております。それで、長島取締役会長には帝人におけるご経験を踏まえて、ガバナンス機構のあり方について幅広くお考えをお伺いできればというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

それからまた、本日は議決権行使などの実務経験を通じて、内外の機関投資家の動向に詳しく、また企業側のコーポレート・ガバナンスの取組み状況についても通じていらっしゃる住友信託銀行証券代行部IRグループの小森博司グループ長にもお越し頂いております。小森グループ長には、機関投資家及び上場企業等の双方をご覧になっておられる立場から、コーポレート・ガバナンスに関する問題等についてお話を頂ければというふうに思っております。

繰り返しなんですが、お二方にはご多忙中のところ、ご出席頂きまして、誠にありがとうございます。

それでは、早速ですが、長島取締役会長からプレゼンテーション頂ければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○長島参考人

ご紹介頂きました帝人の長島でございます。

私どもの東京本社が、この金融庁の入っているビルの26階から31階にありまして、日頃お世話になっておりますし、時々健康のために14階ぐらいまで歩いて下りて歩いて上がるといった運動をする際に、階段をお借りしているということでお世話になっておりますのでよろしくお願いいたします。

本日は、この金融庁のスタディグループの大勢の皆様の前で、私どものガバナンスシステムをお話しする機会を頂きまして、誠にありがとうございます。特にガバナンスに関する専門家の皆様の前でお話しするのは若干緊張するところもございますが、帝人がこれまで行ってまいりました経営改革、あるいはガバナンス改革についてお話をして、皆様からご意見を頂ければ幸いだと思います。

本日、これから30分、あるいはそれよりもう少し長くなるかもしれませんが、お話しした後でご質問を受けるつもりでございます。

2ページ目に入りますが、話の内容は、最初にこれまで行ってきました経営改革、あるいはガバナンス改革の背景というものをご理解頂くために、弊社帝人の概要あるいは沿革に触れました後、帝人のコーポレート・ガバナンスについてお話しいたします。

そして最後に、「より善いコーポレート・ガバナンスのために」ということで、私が考えていることをお話ししたいと思います。

3ページにまいります。

2009年3月期の売上高は前年の1兆400億円より少し減りました。1,000億円ほど落ちまして9,400億円強になりました。これは2005年度のレベルになったということですが、繊維とあります合成繊維と、それから樹脂・フィルムの化学品、この2つの素材系で56%。それから、医薬・医療、製品流通、ITといったこうしたサービス系の事業で44%の構成になっております。

素材系の事業は、今回の経済危機で破滅的というか破壊的な状況になりまして、稼働率が50%以下、中には2割、3割といったところもございます。大変ひどい状態になりまして、大きな赤字を計上いたしました。

反面、サービス系の事業というのは、収益の成長は比較的穏やかですけれども、安定しておりまして、医薬・在宅医療分野は、売上と利益で過去最高を記録したところもございますから、事業の内容によって随分違っております。

国内外の売上高比率は国内全体で60%、それから海外が40%弱の売上比率になっております。将来は新興国などの比重が増加し、国内4割、海外6割ぐらいになるのではないかと思っています。

4ページに入ります。

私ども帝人は、1918年に創業いたしまして、昨年創立90周年を迎えたわけですが、元々は神戸の鈴木商店のベンチャー事業の一会社として、日本で初めての化学繊維、レーヨン繊維ですが、これの製造販売会社でスタートいたしました。戦前は一貫して日本のトップレーヨンメーカーで、最盛期には、1社でレーヨンの発祥の地であるフランスの生産量を凌駕したという時期もございましたが、戦後、レーヨンから合繊の時代に入ったときに、ナイロン等合成繊維の導入に遅れまして、業績が低迷すると言う事を経験しました。その後、大屋晋三という、財界・政界を両方経験した人ですが、この大屋晋三が政界から復帰して社長になって、ポリエステル繊維の技術を導入して、“テトロン”というブランドで発売し、合成繊維会社に変身いたしました。これが1958年のことで、その後、世界各国でポリエステル繊維製造、並びに、それに関連する事業を展開いたしました。ポリエステル繊維事業の“テトロン”は昨年で50周年を迎えたということになります。その後高分子化学をベースに、樹脂、フィルム事業等の多角化が行われました。そして、その中から医薬・医療、あるいは製品流通等のサービス事業を付加して多様化してきた歴史であります。

1999年から2001年にかけまして、炭素繊維だとか、それから防弾チョッキなんかに使用されますアラミド繊維事業の買収とか、ポリカーボネート樹脂の海外生産、あるいは世界中でデュポン社とポリエステルフィルムでの50:50の合弁会社を展開いたしまして、再びグローバル化時代を迎えております。

2003年に持株会社制に移行いたしまして、グローバルあるいはグループ経営の推進のためにコーポレート・ブランドの再構築に努めてまいりました。

2005年度までの3年間は、持株会社制という新しい経営システムの定着化に努め、安定経営というふうに言っていたのですが、これを完了いたしまして、2006年度からの技術イノベーションを通じた創造経営にシフトいたしました。

そして2007年には環境経営宣言を出しまして、1990年度比で、炭酸ガスの排出量を20%削減することを中心とした環境経営を推進しております。

5ページへいきます。

1958年に英国のICI社というところから技術を導入いたしました。ポリエステル繊維の生産を開始して、合繊メーカーに転身したというのは先程申し上げましたが、その後の動きを、歴代社長に沿って、もう少し詳しく見て行きます。大屋社長時代には、日本企業としては比較的早くからアジア、欧州、アメリカ、それからアフリカ、南米等の世界各国でポリエステル繊維とその関連事業を展開してまいりましたが、1970年代には、ポリエステルで儲けたお金を使って、イラン沖、ナイジェリア沖の原油掘削とか、牛の牧場の経営とか、レストラン経営とか様々な事業を、コア事業の関連から言いますと飛び跳ねたようなところに展開をいたしておりまして、多角化経営と言えば聞こえはいいんですが、急速に業容拡大を図りました。業容拡大というにはあまりにも急速であったことに加えまして、1974年頃にオイルショックが襲いまして、業績が急に悪化いたしました。

それで、1980年に大屋社長が亡くなられた後、こうした伸び切った戦線を思い切って縮小して、体質を良くするために、縮小均衡による生き残り策、即ち事業の撤退とか撤収が行われました。

こうして財務体質強化に努めた結果、1984年度の岡本社長時代には、過去最高利益を出すに至りました。

6ページをお願いします。

しかし、利益は出たのですが、縮小均衡策をずっと取ってきたために、社内はやはり積極性が失われて、どうしても内向きになった社内の雰囲気を活性化するために、その次の板垣社長時代には、社内の風土改善というものに着手しました。

1990年代の後半から、今、日本政策金融公庫総裁をやっておられます安居前々社長になるのですが、彼の時代にM&Aとかアライアンス等によりまして、再び業容拡大が行われて、グローバル化が進展いたしました。

2001年の11月に急に私が社長になったのですが、当時、連結決算の義務づけ、それからグループ経営の強化と、それからグローバル化の進展等々のこの環境変化に対応するために、2003年度から思い切って持株会社制に移行いたしました。同時にコーポレート・ブランドの再構築に努めました。

CSR経営という考え方も、当時ぼちぼち出ておりまして、このCSR経営と環境経営に配慮した経営を行いました。また、先程申し上げましたとおり、2006年度から、安定経営から創造経営にシフトし、新規事業の創出のために、研究開発の強化とともにマーケティングとのドッキングというか、そこの連携を重視する仕組みをつくりました。

私は6年半社長を務めた後、昨年、大八木社長に社長の席を譲りまして、新たな時代になり、今は大変な時期なんですが、頑張ってポートフォリオを含めた事業構造の改革に取り組んでいるところでございます。

7ページをお願いします。

その間の徳末・岡本社長時代以降の業績をスライドにお示ししているわけですが、1980年代は、いわゆるジャパン・アズ・ナンバーワンと、こう言われた時代でありまして、日本中が好景気に酔いしれた時代なのですが、そのときに私ども帝人グループは前の大屋社長時代の後始末も含めまして、財務体質強化を目指して、そこそこの利益は確保したんですが、売上は横ばいであったという、時代の勢いに対して少し反対の方向に動いていました。

それから90年代に入りまして、世の中がデフレ基調になった時、社内活性化に努め、世界で存在感のある企業グループを目指そうということで業容拡大、あるいはグローバル化を進めました。その結果、1990年代の後半になって、ようやく売上高が上昇し始めました。その後を追って、利益も上向きになりました。2007年3月期には、売上高が初めて1兆円を超したということでございます。

8ページをお願いします。

現在、日本、アジア、欧州、米国等で事業を展開しておりまして、全世界で従業員は約2万1,000人。グループ会社の数が約140社となっております。

9ページをお願いします。

企業理念は、Quality of Life の向上。社会とともに、社員とともに成長すると、こういうことです。このQuality of Life という言葉は、1993年に制定された当時は比較的新しく感じられたんですが、最近はどこでも使われるようになりまして、そんなに斬新的なことではないんですが、これをずっと続けております。

10ページをお願いします。

この企業理念のもとに、企業行動規範というものと、それから企業行動基準というものを設けております。この企業理念と、次の企業行動規範は、グループとして世界共通のものとしておりまして、それに基づく企業行動基準というのは、国別に、その国の法律あるいは社会規範に適合したものにアレンジいたしまして、英語、中国語、タイ語、インドネシア語等々で作成して全社員に配っております。

また、これとは別に、地球環境憲章を1992年に既に制定しておりまして、地球環境保全に留意してきたという歴史がございます。

11ページをお願いいたします。

2003年度に持株会社制に移行いたしましたときに、グローバルでグループ会社に働く人たちの求心力となるように、ブランド・ステートメントをつくりました。このブランド・ステートメントというのは、社会との約束でございまして、ここに書いてありますように、Human Chemistry, Human Solutions というものです。この最初のHuman は、ここでは人と地球環境を示しておりまして、Chemistry が高分子化学の技術の発展。次のHuman、すなわちここのHuman は社会と顧客を示しておりまして、お客さんや社会に対してSolutions、解決策を常に提供し続けよう、そういうことで成長していこうという意味にしております。

また、事業の成長、あるいは環境、社会、顧客を謳うということで、これはCSR経営にもつながるステートメントとして理解してもらっております。

12ページをお願いします。

ここから本題に入りたいと思うのですが、現在、世界中を揺るがす経済危機が進行中でありますけれども、グローバルスタンダードとしてももてはやされました金融資本主義の見直し議論が起こっております。欧米式と日本式のどちらが良いのかというようなことが議論されていますが、国内でも証券会社による個人情報の漏洩とか、あるいは政治献金問題等々、相変わらずガバナンス不在による社会問題が続いています。私は日本人というのはどうも農耕民族としてのDNAをずっと持ち続けておりまして、そのためにPlan・Do・Check・Action というPDCAのサイクルの中で、特にCの部分、Check の部分が総じて苦手だなというふうに考えております。これは、日本人の性善説とか、あるいは仲間意識というふうなものがどうしても働くからではないかと思います。企業の執行系のところでも、できるだけ透明性を上げて、そこで管理するというのも大切ですが、やはり第三者による監視・監督、Checkをきっちり行うこと、そして行ったら、その結果を報告して次のAction につなげる。こうしたことを日本人として特に留意すべきだというふうに考えております。

13ページをお願いします。

私どもは、10年後の2018年に創業100周年を迎えるわけですが、その時には帝人が世界で優れた企業、エクセレント企業と呼ばれて、しかも信頼される企業になることを目標として掲げております。そのためには、覇権とか、覇道ではなくて、経営の王道を進むことだと考えているのですが、この王道とは何かと言いますと、真善美という言葉がありますが、この真善美といったような揺るぎのない、普遍的な絶対価値。相対価値ではなくて、絶対価値を求める経営をすることが大切だと個人的には考えております。

そして、社会との約束でありますブランド・ステートメント、Human Chemistry, Human Solutions をベースといたしまして、市場と顧客に適切に対応して、そして継続して成長を図る事業戦略と、投資家とか株主を含めた全ステークホルダーに受け入れられる企業統治の仕組みであります、しっかりとしたコーポレート・ガバナンス・システムと、それから社会との調和を目標といたします健全なCSR経営のこの三点を経営の軸と考えております。そして、これらの経営の三要素によりますトライアングル経営を実行し、推進することが必須だというふうに考えております。

14ページをお願いします。

以上のことで、帝人は日本企業としては比較的早くからガバナンスというものを意識してきたわけですけれども、先程言いましたように、大屋社長時代は超ワンマン経営でした。その反省部分が相当部分、このガバナンスの中に含まれております。やはり、なぜ、何のためにガバナンスが必要なのかということを基本に返って考えてみることが大切だと思いますが、答えは3つのキーワード。健全に継続して成長、あるいは存続する。この言葉だと思うのですが、株主保護とか、それから他のステークホルダーの観点からも、これは必須条件の要素だと思います。

そして、ここに書きました、次の5つのコーポレート・ガバナンスに関する基本コンセプトを実現する仕組みというものが必要だと思います。それは、透明性、公正性、迅速性の3つと、それから独立性と説明責任の2つであります。

透明性は、いろんな案件が決定されるプロセスが透明であるということ。社長または経営トップ数人で密室の中で勝手に決めないことですね。そこには社外取締役とか、社外監査役が同席して、そういう人たちを含めた場所で決定することだと思います。

次の経営の公正性は、いわゆるフェアということですが、すなわち遵法精神を持つことだとか、あるいは社内であれ社外であれルールに従うということ。あるいは独禁法、商法、または社内ルールに違反しないということでいいかとも思います。基本的には人を騙してはだめですね。人を騙さないことです。

迅速性は責任と権限の委譲によりまして、決定と、それからその実行のスピードアップを図るということであります。

経営の独立性は業務執行と監視が分離されていることだと思います。したがいまして、社外の取締役、あるいは監査役が株主の立場から物を申すことが必要だというふうに考えております。

それから、従業員、顧客、社会、株主等々のステークホルダーへの説明責任が経営陣には求められる、こういうことだと思います。

15ページをお願いします。

1999年に、安居前社長により、最初に行われました改革というのは、先程申しました最初の3つですね。透明性、公正性、迅速性の実現を目指して策定されたものであります。したがいまして、そこでは取締役会では、取締役数を10名以下にしよう。現在は9名なんですけれども、10名以下にして戦略方針の迅速な意思決定を行うということでありました。

また、執行役員制度を同時に導入いたしまして、意思決定の迅速化と、それから責任体制の明確化、権限委譲の規定を作りまして、そこを明確にしてやってもらう。

それから、もう一つはアドバイザリー・ボードを、1999年に設置いたしまして、経営の透明性を上げようとしたことでありました。このアドバイザリー・ボードで、私も社長・CEOとして、ボードメンバーの前で英語で大体4時間から5時間ぐらいプレゼンテーションを行うことになりました。これはすごい緊張感をもった、非常に真面目な会議でありました。後で申し上げますが、外人の方も2人ほどおりますので、どういう言い方で分かってもらうかということで苦労いたしました。

このアドバイザリー・ボードにつきましては、後程詳細に触れたいと思います。

それから、監査役会は、このときから5名中3名を社外監査役として、法律に対応してまいりました。

16ページをお願いします。

約2年間の検討期間を経まして、2003年度に持株会社制に移行いたしました。持株会社制の構図は、ここに簡単にありますけれども、詳細は付録の28ページの方に付けておりますので、後でご参考にして頂ければと思います。

当時、連結は単体の売上の4倍、すなわち単体の売上が全体の25%ぐらいしかなかったということと、それから権限委譲を行って、決定のスピードを上げるためには、持株会社制の方がやりやすいのではないかなという判断で実行したわけですが、このときにガバナンスの内容をもう一度見直しまして、改善強化を図った内容が次の4点でございます。

1つ目が、会長は代表権を持たないということにいたしました。業務執行の監視・監督に徹しようということで、また二重権力の排除というものも考慮いたしました。社内的には、会長は取締役会とアドバイザリー・ボードの議長を務めるということにいたしました。2つ目が、社外取締役をこのときから3名設置いたしました。社外監査役とともに、独立性を担保するということに配慮いたしました。3つ目は過半数の社外監査役を置くことと、独立性を明記しました。4つ目は、TRM、Total Risk Management の略ですが、このTRMコミティーというものを取締役会の中に設置いたしまして、企業のリスクについて考えるようになりました。

17ページをお願いします。

社外取締役、それから社外監査役の独立性を担保するために、その要件を明文化しております。これは米国の上場規則やSEC規則、あるいは国内外の事例を参考にいたしまして定めております。当社のホームページでも、この独立性の要件というのは公開しております。

18ページをお願いします。

2004年から2006年の改革に移ります。もう一つの経営システムとして、CSR経営というものの導入を行いました。以前は環境、安全、健康を担当するCSHOというのと、それからリスクを担当するCROを置いていましたが、それを統合しまして、グループのCSR委員会を設置して、それを担当するCSROを任命いたしました。これらのガバナンスとCSRとの関係を見てみますと、ガバナンスは主として株主利益の保護という点での経営システムであると思います。CSRは株主だけではなく、全ステークホルダーと言い換えてもいいと思います。内部統制とか、コンプライアンスだとか、リスクマネジメント等がございます。

CSRは、多様なステークホルダーを対象とした企業の役割と責任というふうに考えられますが、もう一つの改革でありますリスクマネジメントの改善強化ということでは、業務運営上のリスクと経営戦略上のリスクに分けて考えております。業務運営上のリスクは、例えば火災事故とか、法令違反とか、クレームだとか、あるいはSARS等々への対応という分野であります。

経営戦略上のリスクといいますと、例えば経済前提条件です。原油価格高騰による原燃料価格のコストアップだとか、M&Aによって競争条件が変わるといった変化に対応する戦略変更を統合して管理する仕組みであります。企業価値の持続的な増大を実現するために、コーポレート・ガバナンスと、CSR経営というものを基盤にして、その上に正しい事業戦略で収益を上げて成長していく、こういう姿が大切だと思います。私どもの社員には、事業収益のことだけでなくて、会社持続の基盤となります、このガバナンス、あるいはCSRの意味というものをきちっと話して、理解してもらうことが重要と考えております。現在は欧米、アジアの3極で各国のグループ会社のトップを集めまして、グローバルCSR会議を開催しております。

それから、昨年4月から正式に始まりました内部統制に関するプロセスの整備も行いました。

19ページをお願いします。

これから帝人グループの経営の監視・監督のための機関設計の主なものをご紹介いたします。

まず、アドバイザリー・ボードですが、帝人は、ご承知のように経営の機関設計では委員会制度ではなくて、監査役会制度を採用しました。帝人のガバナンスの特徴で、委員会制度の特徴であります透明性・公平性を担保するために設置したのがアドバイザリー・ボードで、実質的に委員会制度が持つ指名委員会とか報酬委員会と同等の機能を、アドバイザリー・ボードに持たせておりまして、1999年から既に実施していたという事実があるわけです。基本的に、この1999年に設置されました役割機能というものとは、現在ほとんど変わっておりません。変わっているのはボードメンバーの方で、現在、日本人の社外取締役である、ベトナムやブラジルの大使をされました鈴木勝也さん、それから商船三井会長の鈴木邦雄さんと、TDK会長の澤部肇さんの3名にこのボードメンバーになって頂いております。

また、海外からは、米国人で、元デュポン社の上席副社長でありますジョン・ハイムズさんと、それから英国人で、現在UBSインベストメント・バンクの副会長を務めておられますレオン・ブリタン卿のお2人です。ブリタン卿は今年5月からの新メンバーで、この方はEU委員会の副委員長もされたという大変な有識者でございます。

日本人のアドバイザリー・ボードメンバー3名の方が社外取締役を兼ねて頂いているというところが味噌でありまして、多少オーバーラップはしていますが、いろんな観点から、物をその都度申して頂いているということであります。

アドバイザリー・ボードでの審議事項というのは、主としてここに掲げました5つございます。5つ目のCEOの後継者プランにつきましては、私がCEOに就任した翌年、1年後の11月のアドバイザリー・ボードに、まず候補者6名をボードに提出いたしました。その6名について毎年見直しを行い、入れ替えもしながら、最終的に3名に絞りまして、一昨年の11月のボードミーティングで最終的な私の後継者を決めて頂きました。

昨年1月末に取締役会で正式決定いたしまして、即座に公表して、昨年の6月に交代したということです。

リスク観点の点からいいますと、このCEOにもし万が一何か事故が発生した、あるいは緊急の場合に備えまして、その場合は誰にするかということも併せてこのアドバイザリー・ボードで議論、承認してもらったということでございます。

20ページをお願いします。

これは、社外の歴代アドバイザリー・ボードメンバーを示しております。国内は、元中国大使をされました國廣さんとか、それからキッコーマンの茂木会長さんを始めとしまして、そうそうたるメンバーの方になって頂いております。

それから、外国人はデュポンとか、ICIとか、同業のトップ経験者が結構多いですけれども、初代のメンバーであったロナルド・ハンペル卿は、英国のコーポレート・ガバナンスに関するハンペル委員会というのがございましたけれども、その委員長を務められた方です。

21ページをお願いいたします。

経営監視・監督のための機関設計の2番目、取締役会ですが、ミッションはグループ全体の基本戦略運営方針と、例えば100億円以上の設備投資のような個別事業に関わる重要事項の決定と、それから業務執行の監視・監督でございます。

2008年度は9名の取締役のうち3名の方に独立社外取締役として入って頂いております。

代表権のない会長が、先程言いましたように議長を務めて、CEOを始め、CMO・マーケティング・オフィサーとか、CTO・テクノロジー・オフィサーとか、そういった業務執行役員の横串機能を担当するチーフ・オフィサーで構成されております。

それからもう一つ、事前の根回しなしというのが安居社長時代からのルールで、ずっとやっております。

22ページをお願いします。

次は監査役会です。常勤監査役は、社内から経理財務系と技術系を1人ずつ、計2名になっておりまして、独立社外監査役は3名で、弁護士、会計士、それから経産省のOBで、今は大学教授をされている方にお願いしております。

監査役は、取締役会への出席はもちろんでございますが、社長権限で決定するCEO決定審議会、今はグループ経営戦略会議と言っているようですが、そこへの出席、それからグループ会社の個別事業の重要意思決定会議に出席して頂いております。

この監査役会では、各事業グループとの情報交換会とか、あるいはCEO、私会長と年に2回から3回、定期的な情報交換を実施しております。

それから、監査役は5名ですが、これ以外に監査役補佐2名並びに経営監査室長、会計監査人と一緒にグループ監査役会というものを通じまして、グループ全体の監査体制を強化して、質的な向上に努力をしています。

23ページをお願いします。

これは今申し上げました監査役、CEO直下の経営監査室、それから外の会計監査人の連携によりまして、監視・監督・監査機能を向上させる仕組みを示したものでございます。

それでは、最後のパートに入りたいと思います。25ページです。

例えば、J-SOXに基づくよいガバナンスシステムを持つこと、作ることというのは必要条件でありますけれども、これだけでは企業は継続してうまく存続できませんね。この反対側の十分条件としてのシステムあるいは仕組みを良く理解して実行する人、あるいは社員ですが、こうした社員をいかにつくるかが勝負のポイントだと思います。言い換えれば、入れ物に魂を入れること、これがトップの役目でございます。

それから第三者、あるいはステークホルダーの目を持つ社外取締役、あるいは社外監査役との信頼関係を築くために、日頃のコミュニケーションというものが大変重要でありまして、そういうコミュニケーションを通じて、彼らの意見を尊重することができると思うわけです。取締役会のあるときは昼前に来ていただいて、一緒に昼食を頂いて、その1時間の間にいろんな話を取り交わすということをしております。

言い方を変えれば、魂を入れるということはロジカルな左脳の部分と、それから情緒的な人の心の分といいますか、右脳の部分、ここのバランスを上手く取ることが経営においては大変大切だと思っております。

それで最後の部分ですが、帝人のガバナンスに関して、現在抱えております、あるいは考えております問題点、課題というものをご紹介します。次の4点でございまして、1つは持株会社において、取締役がラインの事業執行役員を兼務している時がございます。今も1人いますが、この兼務というところが、これから人材の教育・育成も含めまして、ガバナンスの観点から見ても、出来る限り事業ラインの執行役員と取締役との兼務は、避ける方がいいと考えております。

2番目は、社外取締役、社外監査役の人選難ということもあります。上場会社の現役の社長、あるいはCEOの方々は、社内の活動で大変忙しくて、なかなか引き受け手がおられません。また、一部上場会社の会長職で、見識が高くて、独立要件に合致して、年齢構成なんかも考えますと、なかなか引き受けて頂く方が見つからないという問題が現実にございます。それから、一方で事務系か技術系かというバランスを考えますと、もうごく僅かな方へ絞られるという現実問題がございます。

3番目は、現在、社外監査役は持株会社内での取締役会、あるいは事業グループとの監査役会、会長、CEOとの懇談会等々、平均して月3回ぐらいは拘束されて忙し過ぎるという声が聞こえてきますので、どのようにこの課題に対応するか、今検討中でございます。

4番目は、M&A等を通じまして、今後も増加傾向にあります海外のグループ会社とのガバナンス、これをどのように確立していくか、役員、監査役を含めて、今模索中でございます。

これらの課題はどんどん進化して変わっていくと思いますが、こういう課題が現在あるということです。少し時間が長くなりましたけれども、私の話をこれで終わらせて頂きたいと思います。どうもありがとうございました。

○池尾座長

長島会長、大変どうもありがとうございました。

ただいまのお話に対するご質問等あるとは思いますが、後で一括してディスカッションさせて頂きたいと思いますので。

○長島参考人

それから申し訳ないですけれども、私、3時20分頃にここを出させて頂いて、隣でやっております財政制度等審議会の方に行かせていただきます。

○池尾座長

分かりました。お忙しいところ、どうもありがとうございます。

引き続きまして、小森グループ長からお話を頂きたいと存じますので、よろしくお願いします。

○小森参考人

住友信託証券代行部IRグループの小森です。

弊社は、平成11年1月にIRグループを立ち上げまして、以来約10年間に亘りまして、特に株主総会と議決権行使、それからコーポレート・ガバナンスといったテーマで、毎年、国内外の主要な、できれば中長期の保有をして頂ける機関投資家を訪問しています。

その中で、彼らの要望であったり、議決権行使判断といった内容を弊社のお客様である企業に伝えると同時に、会社法や日本企業の取組みの進展、こういったものを外国人機関投資家に伝えるということをやっております。

また、その中で外国人が日本について誤解、あるいは認識不足の場合には、こちらから訂正、補足説明を行うということを毎年してきました。

本日は20分程のお時間の中ですけれども、こうした両サイドを見ることができる立場からの機関投資家と日本企業のポジションについて、具体的にお話をさせて頂きたいと思います。

まず、お手元の資料の2ページから4ページ。こちらはまず外国人機関投資家の対日株式投資のスタンスのデータを挙げております。

2ページは、東証の投資部門別売買状況統計です。外国人は昨年7月の売り越しの後、8月に若干買い越し、また9月から今年3月まで連続7カ月間売り越しという状況です。売買額自体も、2007年の622兆円から、2008年は496兆円と減少しておりまして、今年に入ってからの4カ月も、合計で87兆円のペースにとどまっているということが現実になっています。

3ページですが、これは毎年6月に全国5つの取引所が公開しておられます株式分布状況調査の対象2,957社の、平成19年度、期間的には平成19年4月1日から平成20年3月31日までの間に到来した最終決算期末日現在の業態別の株主分布になります。

平成18年度から平成19年度にかけて、僅かですけれども、右から2つ目の「外国人」が久し振りに0.4%ですけれども減少しました。この後の最新の平成21年度、期間で言いますと、平成20年4月1日から平成21年3月31日までの業態別分布は、恐らく来月にも公表されるかと思いますけれども、2ページの先程の売り越しの状況を反映しまして、外国人比率が更に下がるであろうということは確実と見ております。

4ページは、こういったデータを根拠としました外国人投資家のスタンスをまとめたものなんですけれども、ここでは「ジャパン・パッシング」という言葉を挙げました。これは、ヨーロッパ、アメリカ、その他の先進国市場であったり、BRICsに代表される新興国市場との比較において、日本株のリターンが相対的にやはり低かったという事実があります。これを理由としまして、外国人投資家が日本株投資に対するインセンティブであったり、関心を感じなくなった状態を言っています。

この時期に運用の現場で起きていた変化が一つあります。以前は、こういった低リターンの時期も、日本企業の経営方針であったり、中長期で考える時間軸、それから物作りにかけては世界一という優位性を評価してくれていた日本株の良き理解者であり、かつ現役として在日経験も相当持っていたベテランの日本株担当ファンドマネジャーやアナリストがいたわけですけれども、こういった人たちがあるタイミングから消えてしまいました。代わりに、日本株を今見ている人たちというのは、次の世代、あるいは次の次の世代のグローバル株やアジア株を担当している人たちです。日本株担当がいた時代は、彼らが日本企業と本国の投資判断責任者、あるいはお客さんとの間に立たれて、橋渡しのような役割で日本株に対する安定的な資金の供給、投資の供給をしてくれていたわけですけれども、その安定したボリュームの中で、セクター別の企業比較や分析が行われていたということになります。

したがって、言い換えれば、日本株の比較対象というのは日本株、それも多くの場合は同じセクターの同業他社であったという時代が長く続いていました。現在、状況は一変しまして、グローバル運用では、日本企業が直接アメリカ、イギリス、ヨーロッパ企業と比較されていますし、アジア株に至っては、BRICsの中国、インド、韓国、シンガポール、マレーシアといったアジア企業と直接横並びで比較をされています。日本側から見れば、相手側のプレーヤーが完全に入れ替わってしまったという状況が出てしまったわけですけれども、そういった彼らの投資判断の物差しというのは、偏にリターンが第一に来ると思います。

同時に、日本のことをよく知らない、あまり日本に関心がない、こういった方たちにとって、同じリターン、あるいは同じ将来性という分析ができるのであれば、コーポレート・ガバナンスやディスクロージャーのレベル、客観的な比較で、より安心できる投資対象、国、地域を選ぶという傾向も同時にご理解頂けるのではないかと思います。

結果としまして、一部の本当の優良銘柄を除いた日本株全体が、アクティブ、パッシブ、両面の投資家から、アンダーウェイトのポジションに置かれていました。あるいは現在も置かれているかもしれません。彼らからすれば、「日本のコーポレート・ガバナンスが改善しないことがアンダーウェイトの理由の一つなんだ」ということを明言しています。ですが、状況は今回の世界同時不況により、世界中の株式市場が崩壊したということになりまして、もう一度日本株が浮かび上がりました。ただ、これは決して日本株が自分たちのプラス要因で上がってきたわけではなくて、比較対象のマーケットや企業が地盤沈下した結果にすぎないというふうに思っています。したがって、私もよくお話をさせて頂く企業のIRのご担当の方々、それから日本株関連の市場の関係者の方々が今恐れていることとして、このまま日本株が何かの魅力を見せられないまま、時間の経過とともにアジア株、それから欧米株が回復し始めた場合に、今度のジャパン・パッシングは本当に深刻なものにならざるを得ないということを言われております。

次に、5ページの2番、海外機関投資家の要望です。ここには主な要望項目として7項目を挙げました。こちらは東証のアンケートから抜粋したものなんですけれども、弊社も年に何回かの出張の際に、機関投資家とのミーティングで必ず出てくる事柄ばかりです。東証のこういった資料を見てみますと、つい最近の出張でも、「東証のアンケートに対して、こういうものを書いて出した」と言っていた投資家もおりました。

このうち、新株発行、それから第三者割当、株式併合等についてはかなり議論が進んでいるように見受けられますし、共通の理解としても、株主の権利が不当に毀損されることは避けなければならないというものは共通していると思います。

株式持合いについてですけれども、確かにヨーロッパ、アメリカと比べると、この持合いという制度があるのは、恐らく先進国の中では日本だけと言っても過言ではないと思うんですが、投資家によっては持合い自体を否定して解消を求める人たちもいますし、一方で日本の商慣習の一つであるということの理解のもとに、持合いの解消自体は求めないんだけれども、銘柄であったり、株数、保有期間、理由とメリット、これは開示してもらいたいという声も同時によく耳にいたします。

一方、買収防衛策についてですけれども、これは議決権行使推奨機関のガイドラインのとおり、厳しい独立性を備えた社外取締役がいるかいないか、あるいは他社比の業績、それから株価、株主価値の比較によりまして、最悪、経営陣の保身ととられる場合には、外国人投資家は100%受け入れないツールということになっています。

株主総会では、議決権行使という形で反対というものが突きつけられているわけですけれども、同時に、こういったタイプの買収防衛策については、国内の機関投資家も最近スタンスを徐々に厳しいものにしているかと思います。

この要望の中で、外国人機関投資家も繰り返し言っていますし、私自身も最重要の問題だと思っていますのが社外取締役になります。まず、過去10年間、特にここ最近の4、5年間、この問題を集中的に外国人と議論しているわけですけれども、海外の機関投資家、特に中長期の保有方針の投資家と議論している中で、社外取締役を導入すれば業績向上につながるんだという表現は、私自身は一度も聞いたことがありません。彼らが言っていますのは2つあります。1つは、株主と同じ目線でのアカウンタビリティ、例えば株主価値を毀損するおそれのある第三者割当であったり、株式持合い状況の開示の問題ですね。それから、少数株主の利害に関わるポイントについて、説明であったり、情報開示の推進役の機能、これが1つ目になります。

もう1つは、会社の長い歴史の中で、経営の効率化が低下するかもしれない戦略あるいは案件に、「もう一度考え直した方がいいんじゃないか」といった助言をしたり、あるいは何かの要因で経営がぶれそうな曲面で、取締役のメンバーに助け舟を出す機能ということを言っています。

後者の方を言い換えますと、彼らもはっきり認めていますのは、現場や日常のオペレーションのことは自分たちに分かるわけがないんだということです。これはもう、これこそ社内の取締役の方々、執行役員の方々、執行役の領域であって、業界経験や社内人脈を持っていない社外取締役には分からない部分である。ただし、社外取締役が他の会社で経営トップを経験しているような方であれば、CEOたちと話す中でトップの方々の思考回路を感じまして、自分自身の過去の成功体験やエラーと重ねることで意見が言える。また、例えば現在のCEOの方が次の候補者の方々の人材の比較において、どうも判断が難しいと。誰かに相談したいというときの相談相手、またはこれだけ数カ月で状況が変わってしまうような、非常にグローバルな環境の変化の厳しい中で、社内の人間だけでやっていけるんだろうかというような不安がある場合に助言をするといったポジションが、外国人機関投資家がイメージしている社外取締役の機能になります。

別の言葉で言い換えますと、会社がダウンサイドに行くリスクをセーブする機能であったり、会社内の安全装置といった位置づけになるかと思います。ですので、候補者の資質として、第1番目としては、やはり経営の経験者である方がベストだと思いますし、セカンドベストとしましては、他社で社外取締役を経験されておられる方々、何らかの形で経営判断に関わったことがある方々、そういう経験を持つ方々がセカンドベストの選択ではないかということが言われています。

中長期の機関投資家、我々の考えでいきますと、短くても5年から10年、あるいはそれ以上持つ方々と話をしていますと、こういった社外取締役の存在を受け、何年も続けていく中での積み重ねによって、中長期的に業績の下振れを防ぎ、安全装置も機能するといった、非常にしっかりした経営基盤を持った会社になって頂きたいという期待になります。

もし現在の経営陣の方々がスーパーマンであれば、社外取締役というポジションは必要ない会社、あるいはそういうタイミングもあるかもしれません。ただ、10年、20年、30年、そういう完璧な状態が続くことも少し考えにくいわけですので、安全装置がやはり長い目で見れば必要ではないかという考え方を彼らはしています。

また、一方、社外取締役に求められる役割、要件も会社によって違うと思いますし、その時々の経営陣の方々の資質、問題意識、環境、事業の局面によって、かなり色々なバラエティーが求められるということになると思います。

一方、監査役設置会社における監査役という機能は、委員会制度に慣れていますアメリカ、イギリスの外国人機関投資家からすると、正直なところ、役割とか権限について正確に理解をしているようには見えないときがあります。ただし、現実問題としましては、業務執行に対する監督機能を担っているわけですので、そこだけは認識されておりますから、社外監査役の独立性が厳しく求められているという現実があります。したがって、国内では会社法上の要件を満たしながらも、議案推奨機関の反対推奨をベースにしまして、株主総会では外国人機関投資家が大量の反対行使を、社外監査役の方々の選任議案に投じてきているということも現実として出てきています。

議決権行使結果の開示についてですけれども、これは3年ほど前から、外国人株主が日本企業に対して株主提案を多数出すようになりました。結果は彼らが全敗だったわけですけれども、では細かい賛否の結果を見ようと思った場合に、どこにも出ていないということが初めて投資家サイドも分かったということになります。それまでは外国人から議決権行使結果の開示ということを聞いたことがありませんので、彼らも別に重要視はしていなかったと思いますが、いざそういうタイミングになったときに、このデータが何もないということが、一つ彼らにとっての認識を大きく改めるタイミングであったと言えます。

我々が初めてこの問題について、ある外国人機関投資家から聞かれたときのことを覚えているんですけれども、特にこの投資家は株主提案者に非常に近いポジションでしたので、かなり不満を抱えた状態でした。いきなり、「なぜ日本企業は株主総会の議決権行使結果を開示しないんだ」と。みんなで、つまり会社と株主名簿管理人である我々とが一緒になって隠しているんじゃないかというような見方をしておりました。

私もちょっと頭にきましたので詳しく説明をしましたが、片方でやはりそういう目で見られているということ自体がショックであったことは正直に申し上げたいと思います。さすがにそれ以外の、通常、会社が海外IR等でお会いになっておられるメインストリームの中長期の機関投資家の方々はこういう見方はしていませんけれども、最近ではやはり彼らでさえ、議決権行使をした以上結果を見てみたいという要望を出してくるのは、ある意味では自然なのかもしれないというふうに思います。

6ページは、以上の外国人機関投資家からの背景、要請に対する項目の中で、現時点において、日本企業と外国人投資家との間でギャップが大きい3つを挙げました。

最初は買収防衛策です。これは初動段階で時間を稼ぐという日本企業の目的自体は、外国人機関投資家は理解しています。ただし、結果としては議案推奨機関の反対推奨がありますので、100%に近い反対行使になってしまっているというのが現実です。ただ、最近では経済産業省企業価値研究会の報告書、それから金商法による公開買付ルールの整備もあり、会社も初年度から比べるとかなり落ちついてきた感じはあると思います。何より、日本企業自身が株主価値に配慮するようになった結果、特に今年の6月総会シーズンにかけましては、より公平なスキームへの見直し、変更であったり、少数ですけれども、廃止といったケースも見られるようになっています。もう一度日本企業にとっても、トータルでのメリット、デメリットの判断が冷静にできるようになりつつある環境が出てきているとは感じております。

2番目の社外取締役の件なんですけれども、まず弊社の委託会社を含む委員会設置会社、あるいは監査役会設置会社で、社外取締役導入をされている会社に自己採点を伺いますと、ほとんどの場合が「導入してよかった」という声です。メリットは、会社によって様々なんですけれども、基本的にはやはり先程の外国人が期待している、業績とは別の部分で会社に期待している効果と非常に共通した結果が出てきているのではないかと思います。

一方、「何かネックはありますか」という質問に対しては、先程も長島会長がおっしゃっておられましたけれども、「人材確保がやはり難しい」ということを言っておられる会社が、これも予想以上に多いのが事実です。要素としては多分2つあるんではないかと思うんですけれども、私自身の感覚でもありますが、まず会社であったり、経営者を取り巻く環境が、イギリス、アメリカと日本ではかなり違っているんではないかという気がしています。私自身は若い頃にイギリスに駐在しておりまして、現在も毎年、海外出張で3カ月近く海外におります。そういった目で見てみますと、イギリス、アメリカ、特にアメリカでは、成功した経営者の方々は40代から50代ぐらいでリタイアをしてしまって、あとは悠々自適の中で、キリスト教的なものもあるかもしれませんが、社外取締役として社会貢献に生きがいを見出すということがあるかと思います。同時に、MBA100年の歴史の国ですので、経営者として会社から会社へ移るプロの経営者、こういったものの非常に厚い層がある国と、最近多少変わってきてはいますが、やはり1つの会社に長く勤めること、経営者になることが尊重されている社会で、結果としてなかなか他社の経営に首を突っ込むようなメンタリティーにはなりにくい風土の日本とでは、やはりいろんなことを考える前提条件が違うのではないかという気がしております。

ただ、一方で、現実にとにかく試行錯誤しながらも、社外取締役の方を1人受け入れられ、メリットを出して、2人目、3人目の方々を探そうと思ったときに、ここで人がいないという話をよく聞きます。

現実に日本の取締役会というのは、最低やはり月1回、年間12回開かれますし、多いところでは年間20回以上開催されています。一方、英米というのは、本当に重要事項だけをやりますので、3カ月に1回ぐらいの頻度という話を聞いております。また片方で社外取締役についての議案推奨機関の出席率のガイドラインが75%という非常に高いハードルがありますので、特に東京以外の地方では、人材確保において非常なハンディがあるというのは、よく会社から聞く話です。

こんな中ですけれども、東証上場会社で社外取締役を導入済みの会社が44%ということで、予想以上に増えているということは、これは確かにアピールポイントなんですけれども、まだ56%の会社、つまり過半数は導入されておられません。この場合によく聞く理由としまして、「事業を知らない社外の方には難しいのではないでしょうか」という声を聞きます。これも取締役会の機能の違いだと思うんですけれども、英米の取締役会というのは、純粋に監督機能に集中しているのに対しまして、日本は執行機能も備えておりますし、現実に多くの会社で圧倒的に執行機能の割合が強いというのが取締役会ということも事実だと思います。

こうした感覚としまして、拒絶するのではなくて、日々の細かい案件を議論する取締役会に社外の方々がいることのメリットが見えにくい状況にあるのも、現実のメンタリティーではないかと思います。

何を申し上げたいかといいますと、1つは、社外取締役に関する議論、こういったスタディグループでの議論も含めまして、まだまだ始まったばかりだという印象がありますし、導入実績は広まっている一方で、過半数には至っていない。増えるとは思いますけれども、まだまだ過半数には至っていない。ということは、まだ共通認識ができているとは言いがたい状況だと思います。

社外取締役の期待事項が会社によってかなりバラエティーがありますので、上場会社の数から比較しますと、自薦、他薦を含む、かなりいろんなバックグラウンドの方々が予備軍として、候補者として何百人単位でいないと、このタイミングで、もし、例えば義務化というようなことになった場合に、会社の方でかなり混乱であったり、負担が生じるような恐れを感じています。

プラスの自己評価をしておられる会社が成功した最大の要因は、社外取締役のメリットであったり、要件、それから導入のための事前準備について、相当時間をかけて議論を重ね、最終的に取締役会全体が理解された上で、納得の上で社外取締役を迎えたことがスタートポイントになっていると思います。また、一方、社外取締役という存在そのものは、一義的には発行会社のプラスにならなければならない制度でもありますので、今現在のタイミングとしては非常に微妙な時期というか、どちらともびしっと割り切れない要素が多いタイミングではないかと思います。

ただし、このまま何もしないでいますと、先程のジャパン・パッシングの波、これは恐らくラストチャンスだというふうに思いますけれども、この波が避けられない中で、多くの会社がやはり機関投資家とのミーティングの中で、社外取締役導入のプレッシャー、それから既に導入されている会社であれば、複数化、かつ独立性強化というプレッシャーを多かれ少なかれ感じていらっしゃると思います。株主構成にもよると思いますけれども、今後もこういった社外取締役の問題は機関投資家が注目し続けます最重要のテーマですし、会社としてもその覚悟で、株主との対話の中で考え方、方針、メッセージを率直に出していかないとまずい事態になってしまうのではないかなというのが感じるところではあります。

議決権行使結果の開示も、基本的には同じ性質の問題と考えています。議決権行使結果を開示しない、イコール何か隠しているのではないか、あるいは表に出したくない何かがあるのではないかという考え方が投資家の間で広まらないことを祈りますけれども、逆に会社から積極的に開示することで、例えば機関投資家の信頼を得られるといったメリットが具体的に見えてくるようになれば、放っておいても恐らく会社の判断で自主的に開示するケースも出てくるということの期待は持っております。

最後の7ページですけれども、外国人機関投資家と話をしていますと、「こんなことも知らないのか」とか、「会社実務を知らない人間にこんなことを言われたくない」という感じはよく持ちます。ただし、そういう状況でも、会社によっては、国内外といった国籍に関係なく、機関投資家という株主グループとの間で、業績、それからコーポレート・ガバナンス、ディスクロージャーを強めることで信頼関係を築いておられる会社が多数あります。現実にマーケットを見ますと、外国人の方から日本株に注目していた時代ではなくて、彼らの運用資産をいかに日本に引っ張ってくるか、あるいはその中で自分たちにどう向けさせるかという国際運用資産の分捕り合戦のような状況になっています。かつ我々は少し前にジャパン・パッシングも経験しております。株価を決めているのは株主ですし、その中心が外国人機関投資家であるのであれば、もう一度このタイミングで会社自身が要望に耳を傾ける、あるいはもしかしたら期待できるかもしれないメリットを感じて頂くというタイミングではないかと思います。

一方、彼らの言うことを受け入れているばかりではいけませんので、こちらにはこちらの事情、現実問題があるんだということもストレートに言うべきではないかと。これで多分コミュニケーションが成り立つんではないかと思うんですけれども。

こういった理解者というか窓口というのは、先程のお話のように、日本株担当の人たちがやってくれていました。現在、例えばACGAのようなところですね、こういった機関投資家を取りまとめて、かつ日本のことも研究した上で、厳しい内容ではありますけれども、対日白書のようなものを出している人たちが実際に存在するようになっています。IRであったり、株主総会、決算説明会を通じた中で、こういったACGAのメンバー等も、今81機関、ほとんどが日本株を中長期で持っている機関投資家が多いですので、こういったところとの息の長い議論を通じて、彼らの理解を取りつけるというのも一つの有効な手ではないかというふうに感じております。

以上で私の説明を終わらせて頂きます。どうもありがとうございました。

○池尾座長

小森グループ長、どうもありがとうございました。

それでは、フリーディスカッションに入りたいと思いますが、先程もありましたように、長島会長はちょっと早目に退席されますので、まずは長島会長のプレゼンテーションに関連いたしまして、何かご質問とかご意見がありましたら、それから優先的に出して頂ければというふうに思います。

それから、全体として議論して頂きたい事項に関しましては、いつものように資料3という形で、大きな項目だけを整理して掲げておりますので、ご参考にして頂ければというふうに思います。

それでは、どなたからでも結構ですが、ご意見いかがでしょうか。

どうぞ、根本メンバー。

○根本メンバー

長島会長にご質問したいと思います。

色々とガバナンスの仕組みを会社の目的に沿って非常に改革されていて、印象深いと思いました。

質問は、1つは社外取締役の方を3名ということで、1名でもなく過半数でもなく、このように置いていらっしゃるという理由と、それを過半数とかにされることをご検討になったことがあるのかということをちょっと伺いたい。あと、アドバイザリー・ボードに関して、外部の海外の方も含めた非常に多様な構成であると思うんですけれど、その経営陣への提案、助言というところが、本当に実効性があるのかというところ。例えば経営の方と意見が食い違うときはどういう扱いになるのかとか、どのくらいに取り入れられているのかということをちょっとお伺いしたいというふうに思いました。

○長島参考人

ありがとうございます。

最初の社外取締役が3名の理由は、たまたまアドバイザリー・ボードを1999年にスタートいたしましたときに、日本人で社外の方3名と、欧州から1人、アメリカから1人という5人の社外の方、それに会長が1人とCEOが1人、7名でアドバイザリー・ボードはスタートしたということがございまして、当時はアドバイザリー・ボードから、やはりいろんな高所からの、彼らの経験を通じてあるべき論をガバナンスシステム、あるいは事業の大きなポートフォリオを含めた観点から、色々と助言がありました。その助言があったことをすべてまとめて、次の取締役会でみんなの前で、日本語にしましたけれども、公表してきました。

それをどう取り込んで、どう実施するかはCEOの権限なんですけれども、必ずしも言われたとおりにすぐできるかというと大変難しい問題もありまして、それは少し段階を経て実行するようなことになったり、それから、この中で報酬委員会もございましたから、社長の評価をそこで実際に5人の方々がやったということもあって、緊張感をそこで持たせたというのがありましたね。

事情を良く分かっておられるということで、そこの3人の日本人をとりあえずは社外取締役として兼任して頂こうと。10人のうちのとりあえず3人、あるいは9人のうちの3人ですから、大体3割程度がとりあえず日本人の取締役会としてはいいかなと、そんな感じでやって、過半数をオーバーすると人材の大変さが急速に出てきますので、3人程度がいいかなと思っております。

私もこの3月から、旭硝子さんの社外取締役に任命されましたけれども、そこもやはり社外取締役3人、それから社内の取締役4人で、やはり過半数は社内の方が持っておられました。それを反対にして、社外を過半にするということのメリットが、まだ私たちにははっきりと分かっていないという段階だと思います。

一緒にして答えてしまったようですけれども、よろしゅうございますか。

○池尾座長

ちょっと関連して一つ。ここまでされていて、委員会設置会社に移行されなかった理由というか、もうここまでしていれば、別に委員会設置会社になろうがなるまいが関係ないのかもしれませんが、監査役設置会社という形態でいるということは特に理由があるんでしょうか。

○長島参考人

1つは、委員会設置会社になりますと、社外取締役と、それから社長、あるいは会長とで委員会をつくりますね。3つ要りますから、そこの兼ね合いで社外取締役の労働が少し大きくなるのではないかなというような感じもありましたし、同じ機能をアドバイザリー・ボードに持たせているということもありました。それから監査役会があって、その下に色々補佐するような部署、経営監査室とか、社外の会計監査役とか色々ありますから、日本の企業の中では、効率的には監査役会の方がいいかなということで、総合的に委員会制度へ無理にしなくてもいいという考えでやってきました。

○池尾座長

ありがとうございました。

それでは、他にご意見、ご質問。直接長島会長に対するご質問でなくても結構ですが。

それでは藤巻メンバー。

○藤巻メンバー

1つは、全く脱線で申し訳ないんですけれども、せっかくの機会なんでちょっとお聞きしたいと思います。小森参考人がご提出くださった日本株投資スタンス推移で外国人の割合が平成7年から2桁に上がって、今でも下がったとはいえ25%以上あるわけですけれども、この外国人というのは青い目の外国人なんでしょうか。それとも黒い目の外国人も含まれているかということなんですか。というのは、要するに日本人がイギリスとか香港のブローカーを使って買ってきた場合、これは外国人としてとられたんではないかと。もしそういう割合が高いのであれば、すなわち本当の外国人がもっともっと低い数字であるならば、これは非常に由々しき問題かなと思うので、外国人投資家の定義を教えて頂きたいのが1つ。

もう一つ、小森さんがおっしゃっていたとおり、確かに外国、欧米の企業というのは、取締役が早くリタイアしますね。小森さんがおっしゃったように、社外取締役は経営の経験者が良いということであるならば、欧米の社会においては確かに適格な社外取締役の供給が沢山あるわけです。けれども、日本の場合には経営者の方は随分歳を取られるまでやられるとなると、欧米の真似をした制度では、人材不足ということになってしまうと思うんですが、その辺はどうやって解消したらよろしいんでしょうか。

○小森参考人

まず、最初のご質問の外国人のパーセンテージですけれども、これは両方向あると思います。おっしゃるように、日本のお金が海外へ行って、海外のファンドマネジャーの手によって日本へ戻ってくるという場合には、この外国人というパーセンテージに含まれております。ただ、一方で東京にいる、例えば外資系の東京オフィスの数字というのは国内の信託銀行の中に含まれていますので、プラスマイナスの実数はちょっとよく見えない部分はあるんですけれども、外国人の中に黒目も混じっていますし、国内の信託銀行の勘定の中にも、東京にいる青目が混じっているんですね。これはやはり会社によってパーセンテージが色々異なりますので、一口にばさっと、何%、何%、プラスマイナスというのが、我々も申し上げられないんですけれども、会社のいろんな分析をやっている中では明らかに両サイド、両方向の数字がいますので、そういう前提で、外国人が例えば直近で27.6%というふうにご覧頂くのが、多分一番正しい見方ではないかと思います。

2点目は、どうすれば良いのか、これは私も正直なところよく分かりません。ただ、イギリス、アメリカの人たちと話していると、あまり私は「日本的ガバナンス」という言葉は使いたくないんですけれども、やはりどうも社会そのものが違うという感じは否めないんですね。その中でどうやって社外取締役の候補の方々を増やしていくかということになると、これは多分社会全体が社外取締役を引き受けることに対して、物すごくプラスの評価を、温かく評価をするというベースがないと、なかなか実際の流れにはつながっていかないのではないかという気がします。つまり名誉ですね。社外取締役になることに名誉を感じるような何かは多分決定的に必要だと思います。それ以外に、例えば今ですと、日本取締役協会ですとか、社外取締役ネットワークといった団体の方々が育成、あるいは候補者を見つけてくるということも、多分欠かすことができない要素だと思いますので、多分両方が必要だというふうには感じております。

○池尾座長

ありがとうございました。

他に。

○江原メンバー

2つコメントを述べさせて頂きたいと思います。

まずは長島さんのご説明、本当にありがとうございました。素晴らしい仕組みを導入しているんではないかなと強く感銘しました。その中で、特にアドバイザリー・ボードに対して、指名及び報酬委員会機能というものを付与しているということで、ちょっとセンシティブな話かもしれませんが、本当に客観性というものがどれだけ導入されているのか、またされにくいのか。ここではあくまでも取締役会に対しての提案、提言、助言と、こういう形になっていますが、うまく機能したケース等がありましたらばコメントを聞かせて頂きたいと思います。

あともう一つは、これは小森さんからの説明に対する私のコメントなんですが、大変素晴らしいご提案が含まれていたような気がします。小森さんからのご説明では、海外の機関投資家の声と、こういうふうな前提でのお話だったと思いますが、実を言うと、私は、日本の国内の機関投資家もかなり似たような意見を持っていらっしゃる方が多いんではないかなという印象を持っております。海外の方々はそれなり、ボーカルに意見を言うと。したがって小森さんの耳にも当然入るということだと思うんですが、もしかしたらば、日本の多くの機関投資家も、海外の投資家ほどはっきりは言わないかもしれないけれども、似たような印象、意見を持っていらっしゃるんではないかなと思いますので、そこら辺の小森さんのご意見を聞きたいと思います。

○池尾座長

まず長島会長からお願いいたします。

○長島参考人

アドバイザリー・ボードというのは、まず報酬委員会でございますけれども、これは社長、CEOが毎年4月に、今年度の1年間の社長としてのいわゆる事業ターゲットと、これに営業利益、あるいは営業利益率、それからキャッシュフロー、こういったものを目標値として出して、それに対してどう実行していくかという説明をします。

もう一つはプロジェクトということで、新たに人材あるいはシステム、他の買収案件等々のプロジェクトをいつ頃までにどうしますという説明を4月か5月の春のアドバイザリー・ボードでやって、翌年結果が出たところで、それに応じて、そのパフォーマンスについて全員が意見を言い合って点数化する。それをそのメンバーの中の人に議長になってもらって、全員から点数を集めて数値化したものをボーナス部分のところへ加えたり引いたりということを行ないます。最終的には、基礎の部分は営業利益ROAで決まってきますから、もう入り口が決まっていて、計算上でバッーと出てくるようになっています。それを全員で承認した後、本人を呼び込んで、こういうことで、君はもっとこういうところに努力しろというコメントを、議長が英語で、その議長も日本人がやりますから大変なんですけれども、指示をします。それが決まらないと報酬も決まりません。ですけれども、社長、CEOは自分で鉛筆をなめずに済むので、ありがたいと、こういうふうに思っています。

それで決まった代表取締役の評価をベースに、これは社長も副社長もそうなんですけれども、それを次の取締役会の時に、社長、会長、執行役の給料はこう決まりましたというものを出して、それでみんなで承認を取る。形式上はそこで決めるということになります。

それから、上手く機能した面ですが、前任のイギリス人でUBSのインベストメント・バンクのバイスチェアマンだったウィリアム・バルドグレーブさんという方は、サブプライムローンの問題を結構早くからアドバイザリー・ボードで我々に言ってくれておりました。皆さんが考えたより、もっとこれは奥が深くて、グルーミーで先行きが分からなくてというようなことは表現されていましたけれども。

というようなことがございますし、これからは医薬・在宅医療といったところにもっと力を入れるべきだというようなことの助言があって、それに応じて私どももそこに力を入れるべきだと思っていましたから、アメリカの在宅医療の会社を買収したり、その後スペインでも買収を行いました。方向が一致すれば、あとはやり方は任せて頂ければという事ですが、こういうような実績もあります。

それから、これまでのアドバイザリー・ボードでは、社長、CEOが一方的に報告して、そこに対して意見を受けるスタイルから、最近では、メンバーの方々から、よく精通されていることに関するレポートを受ける。今回、レオナルド・ブリタンさんという、これも著名な方ですけれども、中国に精通しておられます。この5月18日に東京でアドバイザリー・ボードを開催する予定でしたが、例の新インフルエンザの関係でちょっと7月に延ばしたのですが、今回、ブリタンさんからは中国事情について色々サジェスチョンを受けることになっています。

○池尾座長

ありがとうございました。

それでは小森さん、国内投資家もという話。

○小森参考人

おっしゃるとおりだと思います。運用機関としては、出方は違うのかもしれないんですが、考え方としては共通のものはあるはずだと思います。

○池尾座長

では、藤原メンバー。

○藤原メンバー

小森様にご質問したいと思います。3ページの日本株投資スタンス推移の金融機関の箇所ですが、30.9という数字は、持合いしているから高い数字になっているのかどうか。それから、この数字に海外の金融機関も入っているかどうかに関して教えて下さい。2点目の質問は、欧米の経営者は株主のための経営ということを第一に考え、それゆえ、株主へのリターンを高くする経営をしてきているわけです。だから欧米の企業は日本と違い、株主へ支払う配当利回りも高いですし、キャピタルゲイン、プラス配当で株主リターンを出来るだけ高くするという努力を経営陣がしていきています。

一方、日本企業の経営陣はステークホルダーのための経営を目指し、必ずしも株主第一主義ではありません。日本の上場企業の経営者の中には、株主のための経営という意識がそれほど高くない人たちもいるように私は見えます。

それゆえ、リターンが第一という小森さんがおっしゃったことが実現されないのはそれなりの理由があるように思います。日本の経営者はステークホルダーための経営をしているから、つまり株主のための経営をしているわけでないから株主を代表する社外取締役は要らないということになるとお考えですか。このロジックについて、小森様がどう思われるのかについて教えていただけますか。

○小森参考人

まず金融機関のところは、これは国内に存在している金融機関になりまして、内訳として、都銀、地銀等、あるいは信託銀行。信託銀行の中でも、受託財産、投資信託、年金信託、あるいは生保、損保といった形に細かく分類をされています。

○藤原メンバー

ごめんなさい、私間違えていました。そうですね。

○小森参考人

ただ、間違いなく、金融機関、特に都銀、地銀のところに持合いが含まれているのは事実ですが、状況としては激減しているということも事実だと思います。

もう一点の後半の方のご質問は、私自身は証券代行部ということで、企業側にしか立ったことがありませんし、運用の経験も全くありません。正直なところ、事態としてはおっしゃるとおりだと思いますし、海外の機関投資家と話していると、まさにそのシナリオをぶつけてくる人たちが圧倒的に多いのも事実だと思います。

ただ、申し訳ありませんが、私自身はそれについて何かコメントできる立場にはありませんので、すみませんが、ここのところは控えさせて頂きたいと思います。

○池尾座長

はい、それではいかがでしょうか。

○藤巻メンバー

今の藤原メンバーの質問なんですけれども、私の記憶だと、私が勤めていた米銀は社外取締役ってみんなかなりの大株主だった記憶がありますし、これはちょっと推測ですけれども、結構報酬なんかも株で与えられていたんじゃないかという気がする。だとすると、やはり社外取締役は株主の代表なのかなという気がします。まあちょっとうろ覚えなんで、あまりはっきりしたこと言えませんけれども。

○池尾座長

はい、いかがでしょうか。

どうぞ、島崎メンバー。

○島崎メンバー

帝人のお話、非常に興味深く聞かせて頂きました。社外取締役を入れて経営されているなど、それが上手くいっておられるという例で非常に参考になりました。

先程小森さんがおっしゃったように、東証上場会社で44%が監査役設置会社であっても社外取締役を入れており、入れていないところも、帝人さんの19ページの資料のように、アドバイザリー・ボードとか、報酬委員会とか、あるいは経営をチェックする機能を補完して、外の意見を取り入れた経営をするという流れにはあるだろうと思います。一方、小森さんのお話と、それから長島さんのお話、両方あったんですけれども、社外のアドバイザリー・ボードだとか、取締役に期待している機能として、次のCEOの候補者を相談することが書かれています。欧米の場合には、恐らく経営の専門家を落下傘型に持ってくるというようなことですから、例えばコンペティターの企業から引き抜いてくるということだってあるわけで、割と外の人と、次はどういう人がいいんだろうかというような、話としては非常にオープンにできると思うんですけれども、日本の場合だと、CEOは内部から昇格するケースがほとんどであり、自分の後釜どうしようかという話を外の人に話すだろうかなと疑問に思うわけで、具体的にどういう場合にこういうことが機能として効果が出てくるのか。私自身も取締役をやっていたわけですが、ちょっとイメージが湧きづらいんですけれども、何か具体的に帝人さんの場合、こうしておられるということがあればお話し頂ければと思います。

○長島参考人

今まで、社外から社長、CEOを連れてきて、全く違う環境の人にやってもらおうと思ったことが、私にはまだ一度もないんですけれども、結局、社長、CEOは事業をいかに運営していくかということで、事業の内容をある程度知って、先頭に立ってそこのところを旗振りしないと、日本の企業では難しい。専門性のある部下に任せて、お前、新しいことをやれって言っても、なかなか買収案件とか何かは、下から上がってくる例が少ないということもございましたね。それで、やはり社長トップが自ら、ああしたらどうだろうか、こうしたらどうだろうかということで下におろして、下が検討して、またそこで討論しながら決めていくというやり方が多いものですから、事業に精通しているというのが一つの条件かなと、こういうふうに思っております。

したがいまして、社長の年俸も、従来ずっと来た年俸が引きずられておりまして、海外のように外から引き抜くために高額の年俸を払うという仕組みがない。したがって、相当アメリカのCEOと日本のCEOの平均では差が出てきて、これがグローバル化で海外、欧米の会社の、例えば買収によって連結対象の、いわゆるグループ会社にしたときの社長の給料ベースが全然違うんです。それどうしたものかと言うことですけれども、結局グローバリゼーションはローカリゼーションだと。そこのそれなりのやってきたところの報酬に従わざるを得ないなと思います。こう言いながら、矛盾点も色々出てくるのですが、そうしたところをこれからグローバル化ということでどうやって運営していくのか。人材の教育・育成、それからトップへの引き上げとか、そういった仕組みはこれから私どもまだまだ勉強している過程だというふうに考えてください。

アメリカ流はアメリカ流で、やはり出来上がりの人を連れてくるという、まあ人材が沢山いるのでしょうかね。そういう形でコンペティターも平気ですし、日本はコンペティターを自分の会社に置いていくというのは、何か変な目で見られるというか、難しいというところもありますし、それから相手方がそれを受け入れないということもありますね。非常に違った文化風土がお互いにあるということの前提から始まらないと、なかなかそこは同じような形でやるわけにいかないと思います。だけど、お互いにいいところは取り入れられることもありますから、それを見極めて取り入れることはありだというふうに話した方がいいと思います。分かったような、分からないような答えになりましたけれども。

○島崎メンバー

私の質問は、アドバイザリー・ボードのミッションが5つ書かれていますが、恐らく社外の取締役の方もそれがミッションだろうと思うんですが、ここの5つのうち、1、2、3、4は非常に分かるわけですね。5がちょっと日本で馴染むのかなという、そういう気がしたものですから、ちょっと質問させて頂きました。

○長島参考人

そうですか。これ、普通の一般の会社はどうでしょうね。社長が候補者をみんなに知られないように選んで金庫の中に納めておくと。いざ自分がだめになったときは金庫から取り出して、こういうことでしたって、それを取締役会にかけて決めていくというのが従来型でしたかね。違いますかね。他はどうなのかよく分かりませんけれども。

○新原経済産業省産業組織課長

事実のご説明だけさせていただきます。

今の島崎メンバーの質問に関してですが、確かに独立社外取締役については、外部からリクルートしてくることが多いのは事実です。ところがCEOについては、米国の会社でも社内昇進が圧倒的に多くなっております。それにも関わらず、指名委員会には議案をかけております。指名委員会ではどのように審議を行っているかというと、次期CEO候補者と目すべき人物を、その人物は現CEOが一般的に選ぶことになりますが、その場に出席させて議論をするということになっております。あの人物はどうだ、この人物はどうだと、このような方法で審議を行っております。

私も長島様とこの議論を始めたのはもう10年以上前で、長島様ご自身についても、私が調べた限り、このような次期候補者の審議の場に呼ばれていると思います。呼ばれて、なぜ呼ばれたのかよく分からずにご本人は出席して、様々な点で審議されたのだと思います。ですから、日本においても外部者を交えて次期CEOについて議論するということはできないことではないと考えます。

○長島参考人

私は本当に困ったんですけれども、執行役員のときに一度このアドバイザリー・ボードに呼ばれまして、自分の持っている事業のプレゼンテーションをみんなの前でやれと。これ、持ち時間20分ということでプレゼンテーションをする。それはそれで一つの場としてよかったんですけれども、単にプレゼンテーションをするぐらいですから、準備していけばできますよね。

それが翌年になりまして、また経営企画室長兼務のときにもう一度やれと、こう言われまして、またやらされるのかと思っていましたら、次も連続して3回やらされたんです。おかしいな、他の人にもっとやらせればいいのに、こんなにつらいのにと思っていましたけれども、それが3回目を終わったときの次ぐらいに、突如、お前、社長やれと、こう言われました。その間にアドバイザリー・ボードで、外国人を含めてディスカッションがあったように聞いています。

それから、私の場合も、社長になって1年後に6名を提出したと申しましたけれども、とりあえず6名はどこの誰で、どんな経歴があって、どんな特徴があってみたいなことを全員名簿にして、この人たちをよく観察してくださいとお願いしました。アドバイザリー・ボードのときは夕食歓迎会なんかもやりますし、その場に呼んで、色々食事をしながら会話や、昔はゴルフ会もあったんですけれども、最近はお金がかかるんで、やめていますが、ゴルフマナーなんかも見てもらったり、ああいうところに人間性がよく表れるものですから、外国人に見てもらったりしておりました。国内の社外取締役には、3カ月に一度ぐらい夕食会を開きまして、いろんな候補者を分からないようにミックスして、違う人、候補者でない人もミックスして夕食会をしながら観察して頂いたということもありますので、最終的にそのうちから3名に絞って提出して、この中から誰がいいかということを秘密裏にディスカッションして、ベストはこれだ。セカンドはこれだというような形で決めておきました。それは、私の場合は2007年11月のアドバイザリー・ボードで決めておきまして、2008年1月の取締役会でもう正式に決めようということにいたしました。その理由は、大体4月に決めて6月からが多いと思うのですが、私の周りを新聞社がうろうろし始めました。まだやるのか、もうやめるのかみたいなことになりましたから、もういっそ決めたなら早く1月の取締役で決めて公表しよう。その方がもう楽ですし、本人も心の準備があるでしょうから、昨年1月に決めて、6月の株主総会で交代しました。それでも社長、CEOの一番の仕事は後継者をどう選ぶかですから、やはり心配になりまして、もとデュポンのチェアマンをやられた、一番上にあるジョン・クロールさんという方が2005年にやめられるときに、あなたはこの6人のうち誰がいいと思いますかとか、それから既にやめられていました國廣さんとか茂木さんとかにも、個人的にはどなたがいいかというようなことを、やめた方にも意見を伺ったりして、よかった、全員一致だということで、今の社長になってもらったと、こういうことであります。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

それでは、どうぞ。

○長島参考人

時間になりましたので、すみません。

何か質問がございましたら、後程口頭なりあるいは文書なりで回答させて頂きます。

○池尾座長

どうもありがとうございました。

○長島参考人

どうもありがとうございました。

○池尾座長

それでは、もう少しだけ時間がありますので、他でご意見。

はい、岩原メンバー。

○岩原メンバー

最初に、今議論のありました独立取締役によるCEOの選任等については、私も、さっき新原さんがおっしゃいましたように、アメリカの企業も大部分は社内からの昇進であり、新原さんがおっしゃったようなプロセスを経て独立取締役が多数を占める取締役会がCEO等を選任していると理解しています。実は私の知人の日本人が、日本の企業がほぼ半分の株を支配している、ニューヨーク証券取引所上場のアメリカの会社で、支配企業である日本企業の推薦でCEOになったんですけれども。そのCEOに選ばれたときには、アメリカの会社の取締役全員から数時間ずつインタビューを受けて、それぞれから君なら大丈夫と最後に握手してもらって、それで選ばれたと言っていました。そういう形でやはり本当にこの人なら経営を任すのに足りる人だというのを、各独立取締役がそれぞれ責任を持ってよく見るということが行われていることは確かなようであります。

その上で、今回の資料3の討議すべき事項についてでありますけれども、まず、ガバナンス、特に独立取締役について、なぜ議論しなければならないかと言えば、恐らく大きく2つ理由があると思います。違法行為、あるいは利益相反行為が経営者によって行われないようにするというのが第一の意義であると思います。先程小森さんがおっしゃいました、本当に株主の目線で経営が行われているか。特に経営者のアカウンタビリティを確保して、経営者が株主の利益に沿った経営を行うようにすることが重要と存じます。違法行為をやってはいけないのは当然ですけれども、広い意味での利益相反的な経営が行われていないかというのをチェックするというのが、ガバナンス体制あるいは独立取締役に期待される非常に重要な、まず第一の意義ではないかと思います。

第二の意義は、会社の競争力をつけてくれるような経営者を選ぶという点、これが非常に大事であると思います。

この後者の方が、ある意味でいうと一番大事ですけれども、経営者というのは人次第ですので、一般論としてはなかなか議論が難しいところだと理解しております。ただ、日本の経営についていえば、従来の経営スタイルの場合ですと、社内取締役だけで決めている現状でいいのかという点はやはり反省するべき点であるように思っております。そういう点で外の目を入れて、さっきのCEOの選任のプロセスではありませんけれども、外の人から見てもおかしくないような、本当にその会社の将来を託せるような人が選ばれるようなプロセスを確保する必要があると思います。そのためには、内部だけではない、外の目も入ったプロセスがあってしかるべきではないかと考えております。

そういう意味で、多くの日本企業のガバナンスの現状には、この今申し上げた2つの点から見て、改善の余地はあるのではないかと思っています。

第一の違法行為や利益相反行為について申し上げますと、日本では監査役制度があるではないか。現在の法律で、特に大会社については半数以上の社外監査役が求められているではないかというご意見が当然あるとは思いますけれども、ただ、この社外監査役というのは権限が限定されております。違法行為、あるいはそれに準じる行為をチェックするのが監査役であり、さっき申しましたような広い意味での利益相反的な経営が行われていないかをチェックするという点については、やはり十分ではない面があるのではないかと感じております。

実際にも、カネボウにおける粉飾等の色々な事件もあり、その他第三者割当、買収防衛等、ここで取り上げたいろんな問題について、監査役制度をとっている会社で、社外監査役等を始めとする監査役がそういう違法行為、あるいは株主との利益相反的な経営が行われることをチェックし切れていないという例がかなり見られているわけであります。そういう意味でやはり制度の改善を図る必要があり、その一つの手段として、独立取締役を導入するといったようなことは十分考えられるべきではないかと思っております。

ただ、では独立取締役を導入すればそれでいいのかというと、多分それだけでは十分でないところがあるのではないかと思います。先程の小森さんのご説明は非常に説得力があるように思っておりまして、CEOの報酬はアメリカでは非常に高いですけれども、独立取締役はそんな高い報酬をもらっているわけではなくて、独立取締役の人たちに、どういうインセンティブで、どういうふうにちゃんと働いてくれるように確保するか、ということは、実は大きい問題であると感じております。

さっきの小森さんのお話にありましたように、一種の倫理みたいなもの、アメリカのプロの経営者の人たち、あるいは独立取締役になるような人たちの持っている倫理のようなものもある。さらにその背後にあるのは、何といっても株主、機関投資家を中心とする株主がそういう人たちをいわばプッシュしているし、そういう株主の力があって初めて、独立取締役というのはその役割を果たし、株主の期待に応えるために彼らは働いているし、またそれが評価される。そういうビジネスコミュニティーである、経済社会であるという大きな経済・社会の構造が背後にあるのではないかと思います。

そういう点で言えば、前にも申し上げましたように、本当の意味でガバナンスをより良く働くようにするには、何よりも株主や資本市場自体が本当に経営に対する監視を行い、モニタリングを行うことができるようにするというのが一番大事ではないかと思います。ガバナンスにおける一番上の構造である取締役会制度ですとか監査役ですとか、そういうところだけをいじっているだけではやはり限界があるのであって、アメリカであればエリサ法その他によって、機関投資家等が本当に株主の利益のために働き、そして株主に対して会社の経営者がこれだけのパフォーマンスを示すことができましたという、まさにアカウンタビリティを果たさざるを得ないような仕組みをつくっていく、それが一番重要ではないか。

むろん私は、取締役制度を改善して、さっき申しましたように、やはり社外というよりもむしろ独立取締役が求められるという制度にすることが望ましいと思っておりますが、それだけではだめであって、そういう独立取締役が本当に働けるようにするためには、機関投資家を中心にする株主が本当に経営者に対してモニタリングの機能を果たし、いわば経営者に影響力を行使できるような制度作りをきちんとやっていく必要があるのではないかというふうに考えております。

以上であります。

○池尾座長

大変どうもありがとうございました。全くごもっともな。

時間が来てしまいましたので、もうちょっとまだご意見あるかもしれませんが、今日はこれでそろそろ終わりにしたいと思います。

最後に、事務局の方から日程等につきまして、ご連絡をお願いしたいというふうに思います。

○池田市場課長

それでは、ご連絡させて頂きます。次回の日程でございますけれども、6月10日の水曜日、午前10時からということでお願いをしたいと思います。次回は、これまでの議論を踏まえまして、報告書の取りまとめに向けましたご審議をお願いしたいというふうに考えております。どうかよろしくお願いいたします。

○池尾座長

報告書案については、なるたけ事前にお送りできるように、6月10日の審議の前に送って頂くように事務局にお願いしていますので、実質的な審議を6月10日にできるだけやらせて頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、以上をもちまして、本日の会議は終了とさせて頂きます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3615)

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