金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(第19回)議事要旨

1. 日時:

平成21年2月10日(火)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題

上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方について

  • (1)前回の審議の補足

  • (2)投資家行動等をめぐる論点について

  • 事務局説明

  • 討議

4. 議事内容

  • 上記について事務局からの説明の後、討議が行われた。

  • 主なやりとりは以下のとおり。

  • (1)前回の審議の補足

    • ガバナンスの強化については、中堅中小企業やベンチャー企業と、内外の機関投資家を対象とするような企業とは分類して考える必要がある。取引所から義務づけられているコーポレート・ガバナンス報告書や、内部統制報告書の監査法人による監査等、コーポレート・ガバナンスの高まりの中で、その負担感もかなり大きい。

    • それに関しては、上場か非上場かで分けて考える必要がある。上場会社については、上場後の責任の一つとして、社外取締役を入れた方がいいのではないかと思う。「監査役がいるから社外取締役はいらない」という意見をよく聞くが、例えば企業が役員会で経営に関する話し合いを行う場合に、株主を代表した社外取締役が1人入ることによって、議論がさらに活性化するということがある。監査役の場合は決議事項に対する投票権がないので、やはり監査役の仕事と取締役の仕事は違うと思う。

    • 2008年度、米国のサブプライム問題で株価が急落したが、日本はそれほど痛手を受けていないにも関わらず、日本の株価は40%以上下がり、米国やイギリスは30%台の下落で済んでいるというのは、事態が悪くなったときに、やはり日本の企業は透明性が低いのではないかといった点も一つの原因となって売られているところがあると思う。

    • 監査役の機能強化だけで安心感を得ることができるかは疑問という点については、例えばどういう疑問なのか。社外取締役には経営者の説明責任の確保や、暴走の防止・安全弁といった役割が期待されるとあるが、こういう面において監査役の機能では不十分ということなのか。あるいは議案の投票権を持っていないことに対する不安感なのか。実際に監査役設置会社で社外取締役を入れていない企業において、そういう問題があるのか。社外取締役を入れているところが不祥事が少ないのかどうかについても立証することは難しい問題だと思う。外国人投資家に対して、日本のガバナンス体制について不要の説明をしなくて済むという理由だけで社外取締役を入れるのであれば、それはそれで意味があるのかもしれないが、それだけのことかどうなのか。

    • 現行の委員会設置会社制度は、日本の実態に適わず、移行の促進は困難という指摘があるが、制度導入から6年たち、制度自体の定着は随分進んでいるし、ガバナンス機構としての評価ということでも、それなりに評価を得ているのではないかと思う。また、立法当時、委員会設置会社制度と監査役設置会社制度は、どちらを選ぶにしてもガバナンスとしては等価値であるということが基本にあったと思う。

  • (2)投資家行動等をめぐる論点について

    • 株主・投資者は短視眼的であるという指摘があるが、日本の企業は株の配当金が低いため、キャピタルゲイン狙いにならざるを得ないことも一因なのではないか。日本は、欧米のように「会社は株主のもの」という認識がないため、配当金を高めようというモチベーションが低いのではないか。

    • 短期的に行動することは必ずしも非合理的なことではない。経済が変動し、理論的な企業価値も刻々と変わっていく中で、投資銘柄を機動的に変更することは、決して非難されるようなことでもない。

    • 市場には、短期的な投資家だけでなく、長期的な投資家もいて、多様な価値観を持つ投資家が存在することが、資本市場の流動性と価格発見、価格形成機能を支えている。多様な活動を促進する方が、金融・資本市場の国際化・活性化という目的からすれば、望ましい。

    • 日本の機関投資家の投資期間が短いのは、運用者の運用成績の評価の仕方などと非常に密接に関係しているのではないか。また、日本ではファンドマネージャーが、3、4年でローテーション的に他のポジションに異動してしまうが、この点についても、もっと工夫すべきである。

    • 日本の年金は、企業年金連合会の自家運用分以外は、外部の運用機関が議決権行使を行っているため、議決権行使に関するリソースが極めて限定的。一方で、受託運用機関は、アナリスト、ポートフォリオマネージャー、リソース等が十分にあり、年金等の機関投資家に比べれば議決権行使を行う条件が整っている。受託者責任の観点から議決権行使をしっかりやっていくことは大事だと思うが、その中身については、弾力性を残すことが適当ではないか。

    • 企業のガバナンスを改善するには、株主・投資者がきちんと経営者をウォッチしているという体制が必要。とりわけ、機関投資家が議決権行使等を通じて影響力を行使することが究極的なガバナンスの改善につながると思う。外部運用の場合でも、受託運用機関の議決権行使状況等について委託者が見張っていく必要がある。米国のエリサ法のような法制の整備を含めて、最終的な受益者のために、投資先の経営を監視するような、機関投資家の議決権行使体制を充実させることが非常に重要である。

    • 議決権行使ガイドラインを公表することは、それによってコーポレート・ガバナンスに対する考え方を広く周知し、発行体のガバナンスの向上、投資収益の増大に寄与するということが期待される。しかし、公表されているガイドラインに形式的に合わせればよいと考えてもらっては困る。機関投資家としては、ガイドラインを形式的に当てはめるのではなく、発行体との話し合いを通じて判断することが、議決権行使を行うにあたって重要な点ではないか。

    • 議決権行使ガイドラインを公表することはともかく、個別の行使結果の公表については、一律義務化することは適当ではなく、各機関投資家の判断に委ねられるべきではないか。受託者責任の観点からは、本来の資金の性質も投資スタイルもそれぞれ異なるという面もあるし、また、公表することによって様々な圧力が増えるリスクもあり得るため、逆に議決権行使の自由が阻害される危険がある。

    • 上場会社は、株主総会の議決結果について、可決か否決かだけではなく、票決の結果を公表すべきではないか。例えばイギリスの上場会社はごく当然のこととして公表している。

    • 実際の株主総会での手続きや、限界的な費用と効用ということを考えると、一律に賛成・反対の票数の公表を求めるのは現実的ではないのではないか。

    • 株主総会の当日の集計作業は、コスト、時間、実務といった面からの負担が伴い、難しい面があるが、現状でも前日までの議決権行使については集計ができているので、それを公表することは、実務的にも対応できるのではないか。当日の投票が議決の可否を左右するような場合は、当然、票決をやるべきであると思う。

    • 難しい面があるというが、これは経営陣が公表すると決めるかどうかの問題。株主に対する透明性や説明責任が問われていると思う。

    • 上場会社が議決結果を公表すれば、投資家は株主投票の重要性を認識し、議決権行使に積極的になることも考えられるので、義務化の方向性には賛成。ただ、実務的に当日の分を含めるのは難しいので、前日までの事前行使分を公表するとか、徐々に義務づけていくといったやり方をとればいいのではないか。

    • 上場会社約3,000社の中で、会社法に基づく電子投票制度を採用している会社は550社程度。また、議決権電子行使プラットフォームに参加している会社は東証一部約1,700社の2割未満。これだけインターネットが普及している時代において、もう少し採用に向けての動きがとれないのかと思う。

    • 現行、有価証券報告書に株主総会の書類を添付することになっているが、実際は、皆、EDINETとTDnetを見て行動している。従って、金商法上の有価証券報告書やタイムリー・ディスクロージャーの情報を踏まえて株主総会が開かれているのが現実。ここはむしろ金商法の世界を中心にして、株主総会がその上に展開するというような位置づけにした方が、現実にも即しており、望ましい。

    • 取引所は上場契約に基づいて上場会社を規律し、投資家サイドへの規律は限定的という論点があるが、金商法第一条の「資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図る」という目的を達成するために免許を与えられた免許法人が証券取引所なので、上場契約を根拠に規律するのはおかしい。資本市場の機能を守るために上場会社に情報提供させることは、免許法人に課せられた当然の責務であり、また、投資家も市場のプレイヤーの一つとして、ある程度の規模を超えた投資家であれば、規律の対象になり得るということは、むしろ当然ではないか。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3615)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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