金融審議会「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」(第22回)議事要旨

1. 日時:

平成21年5月27日(水)13時30分~15時30分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題

上場会社等のコーポレート・ガバナンスのあり方について

  • ヒアリング

    • 帝人株式会社

    • 住友信託銀行株式会社 証券代行部IRグループ

  • 討議

4. 議事内容

  • 上記についてヒアリングの後、討議が行われた。

  • 主なやりとりは以下のとおり。

    • 企業が健全に継続的に成長するためにはガバナンスが必要であり、経営には、透明性、公正性、迅速性、独立性、説明責任といったコーポレート・ガバナンスに関する基本コンセプトを実現する仕組みが必要。

    • 具体的には、取締役数の削減、執行役員制導入、指名・報酬委員会と同等の機能を持たせたアドバイザリー・ボードの設置、社外取締役の導入や社外取締役・監査役の独立性の担保等、ガバナンスの改善・強化を図っている。監査役については、CEO直属の経営監査室や会計監査人との連携により、監視・監督機能の向上に努めている。

    • また、より善いコーポレート・ガバナンスを実現するには、経営者・従業員の理解・実行と、ステークホルダーの目を持つ社外取締役・監査役との日頃のコミュニケーションを通じた信頼関係の構築が重要である。

    • 現在、グローバル運用において、日本企業は諸外国の企業と直接横並びで比較されている。日本のコーポレート・ガバナンスが改善しないことが、日本株全体がアンダーウェイトのポジションに置かれている理由の一つとなっている。

    • 日本の監査役設置会社における監査役の役割や権限については、委員会設置会社制度に慣れている外国人機関投資家には理解しにくいものであるが、業務執行に対する監督機能を担っていることは認識されている。外国人機関投資家は、社外監査役の独立性を厳しく求めており、社外監査役の選任議案に対しては、会社法上の社外要件を満たしていても、大量の反対行使を行っているのが現実。

    • 外国人機関投資家が最も重視しているのが社外取締役の問題。社外取締役には、株主と同じ目線でのアカウンタビリティの推進役としての機能と、有事における助言者としての機能、言い換えると会社がダウンサイドに行くリスクをセーブする安全装置としての機能が期待されている。社外取締役の候補者としては、経営の経験者や、他社での社外取締役の経験者等、何らかの形で経営判断に関わったことのある人が望ましい。実際に社外取締役を導入している企業からは、導入してよかったという声が多い。

    • 一方で、人材確保が困難といった問題点が指摘されている。英米では、経営者は早々にリタイアし、その後、社外取締役として社会貢献に生きがいを見出すといったことがある。経営者として会社から会社へ移るプロの経営者といったものの非常に厚い層がある国と、一つの会社に長く勤めて経営者になることが尊重される社会である日本とでは、前提条件が異なるのではないか。

    • 日本において社外取締役の候補者を増やすには、社会全体が社外取締役を引き受けることに対してプラスの評価をし、社外取締役になることに名誉を感じるようなベースが必要。

    • 社外取締役に関する議論については、共通認識ができているとは言い難い状況であると思うが、外国人機関投資家によるジャパン・パッシングの波が避けられない中で、今後も、外国人機関投資家にとって最重要のテーマである社外取締役の問題については、会社としても、株主との対話の中で考え方やメッセージを率直に出していく必要がある。

    • ガバナンスについて議論しなければならない理由は、第一は、経営者による違法行為や広い意味での利益相反行為の防止であり、第二は、会社の競争力をつけてくれるような経営者を選ぶという点である。特に後者が大事であり、経営者の選任プロセスにおいては、社外の目を入れて、本当に会社の将来を託せるような人が選ばれるようなプロセスを確保すべきである。日本企業には改善の余地があるのではないか。

    • 社外監査役は権限が限定されており、広い意味での利益相反行為のチェックにおいて十分でない面がある。このため、制度の改善を図る必要があり、その手段の一つとして、社外取締役の導入といったことも検討すべきではないか。

    • 本当の意味でガバナンスを改善するには、株主や資本市場自体が経営に対する監視を行うことが大事であり、米国のエリサ法等のように、機関投資家等が株主の利益のために働き、経営者が株主に対してアカウンタビリティを果たさざるを得ないような仕組みを作ることが一番重要ではないか。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3615)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

サイトマップ

ページの先頭に戻る