金融制度スタディ・グループ(第2回)議事録

  • 1.日時:

    平成29年12月15日(金)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(第2回)
平成29年12月15日
 
 
【岩原座長】
それでは、予定されている皆様はお集まりのご様子ですので、少し早いですが、ただいまより「金融制度スタディ・グループ」第2回会合を開催いたします。
皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
さて、本スタディ・グループにおいては、前回の討議にもございましたように、機能別、横断的な金融規制の整備など情報技術の進展、その他の我が国の金融を取り巻く環境変化を踏まえた金融制度のあり方について検討していくこととし、同一の機能・リスクに同一のルールを適用することなどについて議論していくこととしたいと考えております。
本日は事務局から、機能の分類に関する討議資料についてご説明いただいた上で討議を行いたいと考えております。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
おはようございます。信用制度参事官の井上でございます。私からは、討議資料と記載のございますA4の縦の資料に基づいて説明をさせていただきたいと思います。
まず、1ページ目の「1.金融を取り巻く環境の変化と課題」につきましては、前回もご議論いただきました会合資料の概要でございます。(1)の金融を取り巻く環境の変化につきましては、前回主に議論いただきましたアンバンドリング、リバンドリング化の動き、シャドー・バンキングの進展、あるいは金融機関のビジネスモデルの再構築、さらにデジタル通貨の出現等が金融システム、金融サービスや金融機関のあり方に抜本的な変革がもたらされる可能性があることを簡単にまとめさせていただいております。
(2)の現行制度の特徴と課題についても、前回事務局からも説明させていただきました。現在の金融制度では業態ごとに業法が存在いたしまして、事業者が類似の機能・リスクを有していても業態ごとに規制の内容が異なり得ます。このため、イノベーションの阻害でありましたり、規制が緩い業態への移動や業態間の規制の隙間の利用等を通じまして、規制を回避する動きが生じるおそれがあることを書かせていただいております。
2ページ目にお移りいただきまして、(参考)現行制度の概要のところです。銀行法、金融商品取引法、保険業法における業概念の枠組みについて簡単にご紹介しておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
下に移らせていただきまして、「2.検討の方向性-同一の機能・リスクへの同一のルールの適用」についても前回ご議論いただきました。大筋でこの方針についてはご賛同いただいたものという理解でございます。その場で出ました論点等も踏まえまして、2ページ目の下から黒丸の3つでご意見を簡単に要約させていただいています。
2ページ目の下のところは、各プレイヤーを各業法の業態に当てはめてそれぞれの業態に応じたルールを適用するというよりも、各プレイヤーが自由にビジネスを選択していただいて、そうしたビジネスの機能・リスクに応じたルールを適用していくことが重要ではないかという視点です。
3ページ目にお移りいただきまして、上の丸です。利用者保護や公正な競争条件の観点が重要ではないかという点です。
3ページ目の2つ目の黒丸ですが、ビジネスの環境の変化に対応したようなルールとしていくことが重要ではないかという点を記載させていただいています。
3ページ目の「3.金融の『機能』の分類」から、本日、主に議論いただきたい点を記載させていただいております。
まず、(1)の総論は機能の分類を行っていくに当たってのアプローチについて、幾つか論点を記述させていただいています。1つ目の丸でございます。同一の機能・リスクには同一のルールを適用することを検討するに当たっては、金融の各機能が果たすことが期待されている役割、あるいは金融法制が当該役割の達成に向けて何を守ろうとしていて、そのためにはどのような手段が適切なのかという規制の目的、あるいはルールについての考え方を整理する必要があると考えております。議論の順番といたしまして、事務局といたしましてはこれらがどのようなものかについては、次回以降ご検討をお願いすることとしたいと考えております。その前提といたしまして、まず「機能」の分類を検討することとさせていただければと思います。
3ページ目の(1)の2つ目の丸でございます。金融の「機能」の分類に当たっては、以下の2つの方向性が考えられるのではないかと書かせていただいております。①はそれ以上分割できないような最小単位(機能)に分類した上で、それぞれに対するルールをつくっていくというアプローチです。②はある程度大きな単位(機能)に分類した上で、各「機能」の中で業務の内容・範囲・リスクに応じて区分を設け、各区分に応じてルールの内容や程度を調整する規制の柔構造化のようなアプローチでございます。
4ページ目に、事務局としての考え方のご提案をまとめさせていただいております。4ページ目の1つ目の丸です。①の場合、「機能」を細分化していくようなアプローチの場合でございます。その「機能」およびその組み合わせのパターンが膨大な数に及ぶことが想定され、事業者が自身の行為に適用されるルールを検討するコストや、トラブル発生時などに利用者が参照すべきルールを検討するコストが大きくなるおそれがあるのではないか。将来の更なる環境変化などによりまして、金融サービスのあり方に変化が生じた場合、「機能」の数に応じて多数の規制の隙間が生まれるおそれがあるほか、「機能」の分類やその組み合わせに対するルールをその都度調整する必要が生じる可能性があるという視点を書かせていただいています。
次の丸です。これに対して②の場合、ある程度大くくりの単位で分類する場合でございます。この場合、「機能」で補捉することで新たなプレイヤーやサービスが登場しても一定の対応が可能となるほか、①の細分化アプローチの場合よりも簡素な規制体系で、業務の内容・範囲・リスクに応じてルールを調整することが可能になると考えられるのではないかと書かせていただいています。
(参考)のところで、シンガポール通貨監督庁(MAS:Monetary Authority of Singapore)の幅広い決済サービスについてのアクティビティ・ベースの規制枠組みの提案について、再度記載しております。これについては、前回の参考資料でも簡単にご説明させていただきました。今回も1枚紙で参考資料を別途ご用意させていただいています。
現在、第2次コンサルテーション中でございます。アクティビティ・ベースの規制枠組みという大枠は変わっておりませんが、それに加えまして一部リスクベース・アプローチを採用するという提案を加えておられます。これにつきましては、前回もご紹介いたしましたとおり、来年の1月8日までのコンサルテーションとなっております。適宜ご参照いただければと思います。
本文に戻らせていただきます。4ページ目の3つ目の丸でございます。以上を踏まえまして、当面②のある程度「機能」を大くくりにするようなアプローチで検討を進めさせていただきたいと思います。その後の検討におきまして、各「機能」の中の具体的な行為について更なる類型化を行うことが適切なものがあれば、更に必要な分析をしていくこととしてはどうかというご提案をさせていただいております。この点についてもご議論いただければと思います。
次でございます。なお、金融の「機能」、規制の目的及び当該目的を達成するのに適切なルールを検討するに当たりましては、上記のように「機能」を分類した上で「機能」ごとに規制の目的を分析するアプローチのほか、はじめに金融規制の目的を分析した上で、規制の目的を共通にする行為の固まりを1つの「機能」として分類するアプローチもあり得るかと思います。ここでは、まず便宜上「機能」を分類した上で各「機能」における規制の目的を分析し、そうした検討の中で必要が生じた場合に、改めて「機能」の分類を見直すことで作業を進めてまいりたいというご提案をさせていただきたいと思います。
次に、5ページ目にお移りいただきます。(2)の各論でございます。まず、(ア)の基本的な考え方といたしまして、金融の「機能」をある程度大きな単位に分類いたしますと、以下のように整理できるのではないかと考えられるがどうかということです。4つの分類、前回も示させていただきましたが、それをご提案させていただいております。
1つ目が「決済」、為替取引等の概念でございます。2つ目が「資金供与」としておりますが、貸付等、主に間接金融を念頭に置いております。3番目が「資産運用」とさせていただいておりますが、金融商品取引法で横断的に規制されている行為等を念頭に置いております。4番目は「リスク移転」と書かせていただいておりますが、主に保険等の保障機能を念頭に置いております。(注)のところで書いておりますように、それぞれの大きな単位での「機能」の呼称としてこの4つの言い方が適切かどうか、あるいはその外縁や当該「機能」の中で類型化すべき行為を整理していく中で、その呼称が適切かどうかについては改めて検討させていただきたいと考えております。
各論の次の論点として、これは前回も何人かのメンバーの方からご指摘をいただいていると思います。「預金受入れ」の取扱いについてでございます。上記の(ア)の分類に関しまして、銀行に認められている「預金受入れ」については、元本保証されているところに特徴があり、また経済社会全体の信認と安定などの政策的配慮から公的なセーフティネットにより更に保護が強化されていると。こういうことを踏まえますと、上記4つの「機能」から独立した別の「機能」として位置づける考え方もあり得るのではないかということでございます。
他方、このような「預金受入れ」を行うことが認められている銀行は、「預金受入れ」のみならず、貸付や決済インフラの提供をあわせて本業をしていることを踏まえますと、「預金受入れ」を上記4つの機能から独立した別の「機能」と位置づけるのではなく、「資金供与」または「決済」と組み合わせられるものとして整理する考え方もあり得るかと思います。
(注1)で、これも前回ご指摘いただきましたが、「預金受入れ」と「資金供与」の組合せによって信用創造が生じ、それぞれの「機能」を単独で提供する場合よりもリスクが大きくなる場合には加重されたルールが必要という考え方もあるかと思います。この「預金受入れ」の取扱いに当たってこの点もご参考にしていただければと思います。(注2)につきましては、信用創造を銀行が行っていることを簡単に書かせていただいております。
6ページにお移りいただきます。6ページ目の1つ目の白丸でございます。「預金受入れ」の扱いを検討するに当たりもう1つの視点といたしまして、ITの進展等によりサーバー型前払式支払手段などのように、資産を預けて電子的に決済に利用できる預金類似とも言える手段が登場しております。それによって、「預金」の位置づけが変容してきている考えもあるのではないかということでございます。さらに、前回ご覧いただきましたように、将来的にデジタル通貨がどうなるかによっては、預金の位置づけが抜本的に変容することもあり得るのではないかと書かせていただいています。
その上で、次の丸でご提案でございます。このような環境変化を踏まえますと、当面上記(ア)のような4分類の整理のもとで検討を進めていただきまして、最終的に「預金受入れ」を独立の「機能」と位置づけるか否かにつきましては、現在及び将来の預金や、あるいは「預金受入れ業」の位置づけ等について検討した上で、改めてご判断していただいてはどうかと書かせていただきました。
6ページ目の(ウ)でございます。「機能」分類に当たりまして、その他の考え方を整理させていただいております。1つ目の丸は信託財産の管理、あるいは有価証券取引等に関して顧客から金銭・有価証券等の預託を受ける行為(投資商品の保護預り)等を「資産管理」機能として独立して整理する考え方もあり得るかと思います。しかしながら、信託財産の管理は委託者側から見ますと、運用を含めて財産の管理を委託することが少なくないと考えられます。便宜上「資産運用」の位置づけとして検討を始めまして、必要があれば各「機能」内における行為の類型化を更に検討する中で、より詳細な分析をしていただくことが考えられるのではないかと書かせていただいています。また、投資商品の保護預りにつきましては、「資産運用」に関連して行われることが一般的と考えられます。また、現行の金商法の中でも資産管理として整理されていることも踏まえますと、従来どおり「資産運用」の一類型と位置づけてはどうかと書かせていただいております。
次の丸は、間接金融と直接金融の区別に係る概念でございます。間接金融と直接金融を含む概念をあわせて「資金調達」機能と整理していただく考え方もあり得るかと思います。しかし、前者の間接金融を預金者から見ますと、貸付のリスクは一義的には預金者ではなく銀行が負うことになるのに対しまして、後者の直接金融のほうは投資家から見ますと投資のリスクは投資家が直接負うことになると考えられます。このように、両者の性質が異なることに着目いたしますれば前者を「資金供与」、後者を「資産運用」と便宜的に位置づけて検討を進めることが考えられるのではないかと書いております。この点についてもご意見をいただければと思います。
7ページ目の(エ)は、少し違った視点からの分類論でございます。商品・サービスの提供プロセスに関する区分を述べさせていただきます。金融の「機能」の分類に当たりましては、今までご覧いただきましたように、「決済」「資金供与」「資産運用」「リスク移転」といったサービスの性質に着目する方法以外にも、ある金融商品・サービスが業者において生み出されてから実際に顧客に購入・利用されるまでのプロセスにおける各段階の行為、例えば金融機関において組成され、販売業者が販売する、あるいは助言・仲介業者が助言・マッチングを行うような行為に着目して分類を行う考え方もあり得るかと思います。
次の丸でございます。しかし、金融に係る商品・サービスは現状でも多種多様でございます。また、今後も新たな商品・サービスが登場する可能性も踏まえれば、上記のような商品・サービスの提供プロセスにおける各段階の行為のそれぞれにつきまして、金融に係るあらゆる商品・サービスに共通する性質を抽出してルールを整備することは難しいのではないかと考えております。むしろ、各段階の行為の一部について、「決済」「資金供与」「資産運用」「リスク移転」といった「機能」の差異にかかわらず共通の性質が認められるような場合には、各「機能」の中でそれぞれの行為に対するルールを調整する際に、当該共通の性質を考慮することが考えられるのではないかということでございます。例えば、金融商品の販売時におけるルールを、横串を刺してできるだけ統一化していく視点もあるかと考えております。
その下のところに異なる論点ではございますが、個人間の金融取引のマッチングを促進したり、資金調達のための媒体の組成・販売・マッチングに係るようなサービスを提供したりするものが、FinTechの進展とともに新たに多数出てきている状況でございます。このような方々をプラットフォーム提供者と位置づけた上で、そうしたプラットフォーム提供者を介して金融「機能」の一端を担う個々人を直接の規制の対象とするよりも、プラットフォーム提供者に対して一定の規律を設けることで、プラットフォーム内の取引の適正化を図るというアプローチもあるのではないかと記させていただいております。
最後に、8ページ目の(オ)です。区分に当たってのその他の留意点として書かせていただいているものをご説明したいと思います。1つ目の丸ですが、一見すると同じ「機能」に属する行為でありましても、例えば規模が極めて大きい、あるいは金融システム内ではハブ的な役割を果たしているなど相互連関性(interconnectedness)が高い等の理由によりまして、サービスが停止された場合の金融システムに与える影響が大きい場合には、規制の目的が異なってくると整理することも考えられます。これらについては、別の「機能」・行為として分類する考え方もあり得るのではないかと思います。システム上重要な金融機関に対しましても、国際的に議論されている規制を念頭に置いております。
こうした点につきましては、セーフティネットにより何を保護すべきかなど、次回以降に検討していただくことを予定しております論点とも関係すると考えております。今後これらの議論を踏まえて、必要に応じてご精査いただくことをご提案させていただければと思います。
事務局の説明資料は以上でございます。必ずしも、包括的、網羅的に論点を拾えている自信はございません。一番下に書いておりますように、その他金融の「機能」の分類に関しまして検討すべき点がございましたら、ご提案、お伝えいただければと思います。事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

【岩原座長】
どうもありがとうございました。
本日は、今後の議論をしていくに当たり、差し当たりどのように機能を分類するかという点を中心にご議論いただきたいと考えております。それでは、討議に移りたいと思います。どなたからでも結構でございますので、ご発言をお願いしたいと思います。
岩下さん、どうぞ。

【岩下メンバー】
ありがとうございます。今回の事務局の整理討議資料は大変よくまとまっており、かつ新しい時代の規制を考えるに当たってとてもよい基盤を提供してくれるものだと思います。私からは3点ほど、とりわけ比較的長いこと金融業界において実際にさまざまな、例えば統計づくりや金融間の監察をしてきた立場から申し上げたいと思います。
まず、第1に5ページの(イ)の丸の中の預金受入れの取扱いでございます。この預金を受け入れるかどうかが、金融機関の機能の中でどのくらいの位置を占めるのかという議論については、実は随分昔から議論があると思っております。私が1980年代に日本銀行で経済の統計を作っておりました際はIMFのIFS、International Financial Statisticsという統計を担当しておりまして、その中で、用語としてはDMB、Deposit Money Bankという概念が非常に重要な概念として使われておりました。DMBであるか、その他金融機関であるかが決定的に重要であると。当時のある意味で主流であった持続的な考え方をもとに銀行が預金を持っているか、それとも預金を持っていないその他の金融機関であるかが、1つの大きなメルクマールであったのだと思います。当時のそうした分類の、言ってみれば理論的支柱になっていたのは、昭和57年に当時ミネアポリス連銀の総裁であったE.ジェラルド・コリガンが発表した“Are Banks Special?”というわりと有名なエッセーがございます。その中で、銀行は決済性の預金を持っていること、流動性の提供の機能を持っていること、金融政策の導管であるという、この3つの点を挙げて銀行はスペシャルであり、したがってセーフティネットの提供が認められ、かつバンキングとコマースは分離しなければいけないという結論が導き出されたものと記憶しております。
それから35年ほどたって、今回我々はその預金とはどういうものかと改めて考えてみると、預金の性格がかなり変質していると。つまり、日本の銀行の預金が、果たして従来コリガンの時代に考えられていたような決済性の資金としての非常に重要な役割を果たすものであろうかという議論が、多分今特にFinTechの議論として大きく取り上げられているのだと思います。逆に言うと、例えば、アリペイやWeChat-Payといった非預金であるものの非銀行であるところの負債が、非常に高い決済性を持つようになっている世の中において、銀行が預金を持っているから特別な規制を受け、それ以外の預金を持っていない銀行、その他の金融機関であるという分類が徐々に時代の趨勢に合わなくなってきているような気もいたします。
ただ、一方で我々の実感としては、給与の振込みを預金でもらうのは何となくありがたい感じがいたしますが、これが何か特別な、それこそFinTechの特殊な負債でもらうとあまりうれしくない感じもします。そこに何か違いがあるかと。一般的な受容性や広く受け入れられるかどうかについての認識は、日本の実態からするとまだ少し距離があるのかもしれません。ただ、これも例えばお給料なり、お年玉なりをアリペイやWeChat Payで受け取っている中国の労働者や子供たちにおいては、既にそこの差異はない可能性があります。そういう意味で、我々がこれから目指していく世界はどういう世界なのかということがこのエンドにおいて大きな影響を持つものと思うわけであります。
それから、続きまして、論点としては6ページから7ページにかけてでございます。これはそれほど大きな議論ではないわけですが、多分この中で出している資金を提供する機能は、その下7ページに出てくるマッチングをする機能というと、質的にどう違うのかという議論がございます。今世界的にも、あるいはアメリカでも、中国でも「peer to peer lending」と言われるような貸出しの形態が急速に拡大しております。これはこれで出し手と受け手とをマッチングするビジネスであると同時に、その資金の調達者にとってはあたかもそのマッチングをする機能を果たしている。例えばLending Clubという会社から資金を調達しているようにも見えるわけであります。そこの部分が、これはマッチングであって、これは資金運用と調達を同時に行っているのであってという形の両方から捉えられるとすると、それはせっかく分けようとしているのに、この部分がきれいに分けられない可能性があるのが2点目の指摘であります。
3点目の指摘は、これは今回のペーパー全体の中には見当たらないことのような感じがします。金融機関の機能が、昔から経済学的には「情報の生産を行うこと」とよく言ってまいりました。それは経済学的な分析としては真っ当な議論であって、さまざまなエージェンシー問題であるなどを解決するために、情報の非対称性を解消するために対応しているという議論があったわけでございます。
今まさに我々が直面しているのは、この金融機関で取り扱う、あるいは金融機関類似の企業が取り扱う情報が爆発的に拡大している状況であります。そうすると、そういう情報をどう扱ってどのような機能を果たしていくかという部分、あるいはデータのガバナンスといったことが金融機関の機能において非常に重要な意味を果たしてくるのではないかと思えるわけです。そういった視点は、こういう機能の分類の中にどうやって入れていくのだろうかと。これは答えはないわけですが、問題提起としてコメントさせていただきます。
以上、3点申し上げました。

【岩原座長】
それでは、次に福田さん、お願いします。

【福田メンバー】
ありがとうございます。非常に整理された討議資料で、非常に参考にさせていただきました。
まず、3点ほど私からも申し上げたいと思います。アクティビティ・ベースか、業態別かというと、基本的にはアクティビティ・ベースに移って規制を考えることは非常に大事です。その際、どのように機能を分割していくかは非常に難しい問題だろうとは思います。実際その日々機能が複雑に変わっている時代に、どういう規制が必要かということだと思います。
そのときにもう1つの観点としてはプリンシプルベースか、ルールベースかという観点が別の観点として成り立ち得ると思います。プリンシプルベースは、そもそもなぜ規制が必要なのかの原則で規制する考え方です。ルールベースは、むしろそれをベースに細かくルールを決めていくことだと思います。現在のめまぐるしく変わっていく世の中では、この細かなルールで規制するやり方はなじまないことだと思います。基本的にはアクティビティ・ベースの考え方に加えて、プリンシプルベースという考え方を基本に規制を考えるべきなのではないかと考えております。
それから、預金をどうするか。あるいは間接金融、直接金融をどうするかという分類も適切に議論されているとは思いますが、そこら辺もグレーゾーンは当然存在するだろうと思います。例えば、伝統的な銀行論でも、もちろんご指摘のように預金者には貸付の信用リスクはないですが、例えば、満期返還リスクはあります。銀行預金でも長期の定期に預けておく際のリスクはあります。ただ、より現在重要なのは、外貨預金等をどのように考えるかということだろうと思います。当然銀行預金だけれども、為替リスクは預金者が負うわけですので、単純には二分法はなかなか難しいだろうとは思います。
それから、プリンシプルベースか、ルールベースか、あるいはアクティビティ・ベースか、業態別か以外に、リスクベースのアプローチは私は非常に重要な考え方だと思っています。いろいろな金融は特殊かと先ほども議論が出ていました。私も依然として金融業に関しては特殊だという性質はあって、そういう意味では、ほかの業態に比べれば非常に保守的に規制を考えていかなければいけない事実はまだ依然として残っているとは思います。
かといって、非常に小規模な取引までいろいろと規制すればイノベーションは阻害されることになるわけです。規制は、リスクがどれぐらい大きな社会的なインパクトを持っているかによって変えていく。実際あまりいい参考例ではないかもしれませんが、バーゼル3でもG-SIFIsというのは、まさにシステミックに非常に影響のあるところを特別に規制していることはあるわけです。そういう意味では、リスクベースの規制は、どのように社会に影響があるかということで考えていくべきだろうと考えております。
ただ、日本の場合の特殊性はあります。これは金融庁のほかのところでもいろいろ議論になっていますが、日本の個人資産の中では、依然として預貯金が半分以上を占めている。これはもうほかの国にはない非常に特殊な国だという日本の特殊性があります。アメリカでそうだから、あるいはヨーロッパでそうだからということに加えて、預金者の保護が別の観点というのは日本の個人資産に占めている依然として大きい、これから変わっていく可能性は非常に高いとは思います。しかし、現状を踏まえたら、それには特別な配慮を日本でもやってもいいと考えております。
私からは以上でございます。

【岩原座長】
次に、植田さん、お願いします。

【植田メンバー】
どうも非常にわかりやすい資料をありがとうございました。私から見て少々細かいことをいつも考えているので、それほど大きな話にならないかもしれません。
まず、この5ページにあります金融の機能です。事務の方々によって決済、資金供与、資産運用、リスク移転と分けられています。私から見ると、少し違う感じがします。というのは、1つは、資金は出す側と受け取る側が常にいるので、出し手から見た機能と受け入れ側から見た機能は少し違うと思います。それらを分けて表を作る感じで考えていかないといけないのではないかと思います。
出し手から見れば、それはおそらく最低2つに分けられると思います。資料に書かれているように、一つは現金もしくは要求払いの預金です。いざというときにすぐに決済には使える、いざというときが来たらすぐに使えるものです。それに対して、もう1つはまさに資産運用と言うものです。これはある意味では、例えば今でも売っているかわかりませんが、10年定期預金などで、それはとても決済に使えるものではないわけです。ですから、そういうような資産運用的なもの、そういう預金も考え得るわけです。要求払いかどうか、すぐには現金化できないのかという、そこの機能の違いが多分出し手のほうから見てあると思います。
受け手から見ますと、これまた同じく時間軸の長さによると思います。先ほどの出し手から見れば、すぐに使えるかどうかが主に考え方の中心だと思います。受け手は時間軸的に多分3つぐらいに分かれます。
1つは基本的には決済に使うということです。出してもらったお金、すぐに売った商品の代金を欲しいという、そういう意味でも受け手の決済ですよね。その決済が必要です。多少はそこに時間差、クレジットカードであったり、売掛債権が多少発生したり、時間差はあるかもしれません。ただし基本的には決済の部分があると思います。
2つ目はもう少し長めの中期的な話です。中期的というのは感覚的には一、二カ月、3カ月から1年ちょっとぐらいだと思います。一時的に収入の上下が、当然ビジネスをやっている方でも、一般的な家計でも病気になったり、例えば今年は天気が悪くて農業が不作だったり、いろいろな一時的な収入の上下が当然ございます。そういった一時的な上下をならすための、何とか3カ月後まで資金をつなぎたい、1年間は資金をつなぎたいという意味での借入が当然ございます。そういうものは、銀行業で言えば多分クレジットラインを設定してその枠内では自由に引き出せるなど、場合によってはクレジットカードを使ってそういうものに対応することもあるかと思います。当然直接金融で言えばコマーシャルペーパーなどであり、もしくは銀行業でないにしても貸金業は多分ここを狙ったものだと思います。そういうものも機能的にはあるわけです。
最後のもう1つは、時間軸で長いものです。これが企業で言えば設備投資で、5年、10年たたないとうまく回収できないものがあります。もちろん、家計にとってみれば住宅資金、これもまた通常長いローンが組まれますから、これまた受け手にとって違う機能だと思うわけです。
実は先ほど間接金融か、直接金融か、銀行の業務は何かという話もあったと思います。もしも完全にリスクを無くしていくのであれば、全てにおいてマチュリティを完全にあわせればいいわけです。短期商品が欲しい人は裏に短期を合わせて、つまり皆がMMFを買えば銀行預金は要らないでしょうし、長期資金を出せる人が長期に、これは株式でも債券でもいいですし、銀行の長期融資に直に回せるように、銀行は必ず長期融資とあわせて長期定期預金を出せと言えばいいわけです。そうやってやれば確かにリスクはないです。
問題はマクロ的に見て、出し手側と受け手側に時間軸に対するミスマッチが当然あるわけです。我々出すほうは、ほぼ要求払預金がかなりいまだに大きいわけです。出すほうとしてはいざというときに使いたいものですから、短期が中心になって来ざるを得ない。それに比べて、受けるほうはいまだに住宅資金も必要ですし、設備投資金もいまだに必要です。長期の需要はありますし、また中期、1年から2年、もしくは3カ月から6カ月の中期も必要です。すぐに返せと言われても返せないものはたくさんあるわけです。そうすると、マクロ的に見てどうしてもミスマッチはあるわけです。
アメリカでも、当然銀行で債権化等を通じて銀行自体がミスマッチをなくそうとしてきたのですが、この前のリーマンショックでわかるとおり、大手の銀行ですらそこのリスクは完全になくすことはできなかった。つまり、マクロ的に見てあるミスマッチはどう頑張ってもあるものはあります。
そうすると、最終的には間接金融の、伝統的に銀行の大事な機能と言われていた短期の出し手を取って長期に貸すという、長短のマチュリティのトランスフォーメーションと言うのですが、この機能が残らざるを得ないです。
意外とバーゼルの資本規制はここに端を発している。これは次回以降の話かもしれません。どうしてもマチュリティのミスマッチをやっているというような、この短期で取ってきて長期で貸すことをやっている、この機能をやっている部分は、当然風評被害による取りつけ騒ぎはあり得ます。それを防ぐために中央銀行の最後の貸し手機能や預金保険ができてきているわけですから。そして、また逆に言うと、そうした保護があるからこそ銀行は安全だとなってしまい、銀行が今度は逆にリスクを、放っておくと、取り過ぎてしまうのではないかという懸念が生じて、そこに何らかの資本規制が必要だという話になってきます。そうしますと、規制の議論は次にいたしましても、この出し手と受け手側の両方の機能を考えながら、機能の組み合わせも考えていかないといけないと思います。
最後に、5ページに書かれているリスク移転、保険の話です。保険というのは、私から見るといろいろなところに、その機能はありとあらゆる組み合わせでつけられるべきですよね。例えば物価連動国債ですが、国債に物価に対する保険をつけているようなものです。これは預金でも、場合によっては物価連動預金を出してもいいわけです。いろいろなところに保険はつけられます。そもそもいざというときのためにお金を持っておくということ自体が保険的な考えです。その保険というのは、ある意味でいろいろなところにつけられるものだという形で、別個ではないですが同時に並行して考えていくべき機能ではないかと思います。

【岩原座長】
それでは、舩津さん、お願いします。

【舩津メンバー】
ありがとうございます。
金融の機能をある程度大きな単位に分類する、その上で議論するのは規律の検討をする上での効率性の観点からはいいと思うわけですが、5ページの機能の分類のところで、先ほど植田メンバーからもありましたが、私自身がよく理解をしていない部分があります。ここで言う機能というのはどういう視点から見て議論をしているのかということです。
私はどちらかと言いますと、具体的な話がないとイメージがわかない人間です。どうしても法的にどう規定するかという観点から分類をイメージしてしまいます。そうだとすると、一番わかりやすいのは、業者が何をするか、どういう行為をするかという観点かと思います。他方で、顧客から見て業者が何をしてくれるのか、そういう観点もあると思います。 先ほどのリスク移転などの話ですと、植田メンバーがおっしゃっておられたのはおそらくリスク移転機能は顧客から見ればリスクが移転されているという発想かと思います。
したがって、業者が何をするのか、行為をするのかという点と顧客から見てどういう機能を果たすのかという点、それから、最後におそらく社会経済的にどういう機能があるのかというその3つが観点としてあり得るという気がしております。
同じような話になりますが、業者が何をしているかという観点から見た場合に、例えば資産運用という場合に、業者が自ら投資先を選定する、業者が投資をする、業者が運用することはおそらく入るだろうと思います。では、顧客から見て資産運用をしているような、単純に言えばほかで組成した商品を業者が売る場合が、資産運用に含まれるのかどうかが気になります。
もしかすると、業者が何をしているかや顧客にとっての機能というよりも、むしろ社会経済的な機能という観点からの整理がされているのかもしれませんが、そうであるならば、岩下メンバーからもありましたが、情報生産機能などまで含めて議論をするのが本来なのではないかという気がしております。
私からは以上です。

【岩原座長】
その次に、大野さん、お願いします。

【大野メンバー】
岩原座長、ありがとうございます。それから、事務局に対しては今回も大変要点を得た説明に感謝申し上げます。私からは3点ほど意見を申し述べたいと思います。
1つ目は検討の方向性でございます。事務局のペーパーの最初にある同一機能・同一リスクに対して同一のルールを適用するとの基本方針、これに賛同いたします。この考え方がイノベーションの健全な発展を促す上で、極めて重要な基本的な視点、視座であると思っております。特に、事務局ペーパーの2ページ目の下にある記述、黒丸の1つ目です。イノベーションの促進と利用者の利便性の向上を図る観点から、自由にビジネスを選択してビジネスの機能・リスクに応じたルールを適用していくことが重要である、このスタンスを私としては強く支持したいという点を述べさせていただきます。
2番目は、機能の分類方法についてです。私は大きな単位での分類から始めて、適宜必要に応じて中分類などにブレイクダウンするアプローチがよいと考えております。こうした方法はメンバーの皆様との間でイメージを膨らませたり、認識を共有させていく上で役に立つのではないかと考えております。
次に、4分類でございます。事務局から提示された、決済、資金供与、資産運用、リスク移転、この4つを議論のスタート台とすることに違和感はございません。ただ、4番目のリスク移転という概念はかなり抽象的でございますので、ここについては多少なりともブレイクダウンをしていただくことが有益ではないかと感じております。
この観点での留意点として、2つ申し述べます。1つは、おそらく既に今ご議論がありましたが、分類に際しては「割りきり」が必要ではないかと感じています。多少の重複をあまり恐れることなく各分類を広めの受け皿とすること、その後でダブり感などがあれば整合性をとればよいといった柔軟な姿勢で臨むのがよいのではないかと考えております。例えば6ページにある信託財産の管理などは資産運用の分類に入れてはどうかと思います。さらには、アドバイザリー業務やコンサルティング的な業務もうまく取り込んで行くのがよいと思います。これらも資産運用の方でいいかもしれませんし、場合によってはほかのところに入れるという手もあるかもしれません。その意味では、この第3分類の「資産運用」の枠組み、ここをもう少し広めに、例えば「資産の管理・運用」とするのも一考に値すると感じております。
次に、留意点のその2は、今後必要な措置などを検討する際には、重要性の原則で判断することが大切ではないかと考えております。まず、典型的な業務や取引を各分類に当てはめていき、次に重要性の原則で判断することです。すなわち取引の大きさやリスクの大きさを用いて重要だと思われる点について、照準(フォーカス)を絞って、大きな論点に対して考察や検討を深めていくのがよいと思います。これは先ほどの福田さんのリスクベース・アプローチ、あるいはプリンシプルが重要であるというところと共通の考え方に根差すものであります。
最後に3番目として感想、所感を少し述べさせていただきたいと思います。それは、金融業と異業種の連携・競合、あるいは金融業のビジネスモデルの抜本的な改革の動きを意識して検討に臨みたいと思っているということです。事務局が提示された4分類、この基本的な考え方は、おそらく従来の伝統的な金融業務ないし金融取引をもとに用意されたのではないかと推察しております。
しかしながら、イノベーションが急速に進展する大きな流れの中におきましては、今後金融機関のビジネスモデルが大きく変革する可能性が高いと思われます。目指す方向性はまだはっきりと見定めることは難しい状況ではございます。しかしながら、金融機関が今後力を入れていくビジネス、あるいは収益の源泉、これが変わっていく可能性についても、今後このスタディ・グループの検討の目的である機能別・横断的金融制度のあり方、このテーマを考えていく際には念頭に置いていくことが肝要ではないかと感じております。
そうした萌芽と言えるような動きとしては、例えば生命保険業界においては、これまでの残されたご遺族に対する保険金の支払いというコンセプトを主体とするサービスから、近年では、健康増進といったサービスへの拡充といった動きが見られております。このケースでは、保険ビジネス、それから健康管理、さらには介護や医療という異業種をまたがるサービスがパッケージとして顧客に提供されることになります。
このほか、海外の事例なども見ますと、金融機関と非金融産業との連携強化という動きがございます。例えば、銀行と住宅産業、貸出しと自動車販売、こういった組合せです。非金融産業との連携強化、こういった発展可能性もあるかと思っております。もちろん、非金融機関の側から金融ビジネスに入ってくるケースもあるはずでございます。プラットフォーマーによる自動車保険の参入などが例として挙げられます。
これらの多くのケースでは、おそらくビジネスを分解すれば伝統的な4分類に落とし込むことができるかもしれません。しかしながら、この枠組みからはみ出す可能性、これも当然出てくると予想されます。このため、こうした業界や業種を越えた動き、あるいは金融機関のビジネスモデルの大きな変革の動き、こういったものに注視していきたいと感じております。キーワードはまだ難しいですが、例えばデータ分析に基づく付加価値の創出、これは岩下メンバーが最初におっしゃったことと同じような意識を私も持っております。マーケティング、送客のような機能もここに加わってくるような気がいたします。
最後に、今申し上げた観点から見ても、プラットフォームサービスの提供をどのように捉えていくかは、極めて重要な論点であると思っております。7ページの下にある事務局からの問題提起には「プラットフォーム提供者に対して一定の規律を設けること、これをもってプラットフォーム内の取引の適正化を図ることも考えられるのではないか」とあります。この問題意識について私は強い共感を覚えております。
以上です。ありがとうございました。

【岩原座長】
坂さん、お願いします。

【坂メンバー】
ありがとうございます。
私からはこの4分類に関してです。この4分類については基本的な方向性については賛成です。特に、この中で資金供与と資産運用に関して、4点ほど発言させていただければと思います。
まず、1点目です。この資金供与と資産運用は、資金の融通といいますか、信用の仲介に関するもと思われますが、先ほどご指摘がありましたどういう視点から分類を考えるかとも関連するかと思います。資金の融通ないし信用の仲介では、関係当事者として資金の出し手と資金の受け手が登場することになるのであれば、こういった当事者の観点から機能を整理する考え方もあり得るのではないかと思われます。資金の受け手に対するサービスを中心に資金供与という機能をひとまとめにして、資金の出し手に対するサービスを中心に資産運用の機能を切り出すことも、考え方としてはあり得るのではないかと思います。
このような整理は金融サービスにおけるユーザー・インターフェースに対応したものとも考えられますし、また資金の出し手にとっては、さまざまな運用手段の中でどれが自分に合っているのか、あるいは、資金の受け手にとっては、さまざまな資金調達手段の中でどれが適切かということも重大な関心事となり得るだろうと思います。こういった観点から見たときに、それぞれについてできるだけ統一的な規律によることが望ましいのではないかと思われます。
また、資金の出し手、資金の受け手という当事者に対応する形で機能をまとめておくことが複数の機能が組み合わさった際の規律、これは利益相反関係も含めてになろうかと思いますが、そういったことを検討する上でも整理がしやすいのではないかと思います。必ずしもこだわるものではありませんが、こういった観点からも検討も必要なのではないかと思います。
それから、2点目ですが、預金の受入れについてです。預金の受入れについて、独立した機能としない考え方に賛成でありますが、この提案の中では資金供与または決済の形で位置づける案が示されています。先ほどの1点目とも関係するのですが、これは資金運用または決済に位置づける考え方もあり得るのではないか。要するに資金供与というよりも、資金運用の中に位置づけられないかという問題意識です。
これは、最終的には資金供与と資金運用の内容をどのように考えるかという問題と思います。資金を持つ者にとっては、預金は数ある運用方法の1つとなりますし、デフレ等の経済環境のもとでは預金も実質的に運用としての経済的運用を持ちうること、それから、預金の中にも定期預金のほか、外貨建ての預金等投資性の預金もあることに鑑みますと、あり得ない考え方ではないのではないかと思われます。このように考えるときには、間接金融は資金供与と資産運用の組合せという把握の仕方になるのではないかと思います。
3点目ですが、資産運用の捉え方についてです。この資産運用の項目では「資金」という言葉ではなくて「資産」という言葉が使われており、これは比較的対象を広く捉えようとする考えも背景にあるのではないかと受け止めました。前回もありました金融とその非金融の境界の曖昧化という点とも関連します。投資取引にさまざまな形のものが現れてきていることを十分踏まえて検討していく必要があるだろうと思います。
例えば、不動産関連の投資を考えてみても、現物の不動産への投資もありますし、不動産関連のファンドへの投資もありますし、不動産投資信託への投資もあります。こういったさまざまな投資の仕方があるわけです。現物の不動産に投資する場合も、不動産購入とともに管理契約を締結し、業者がその管理運営を行い、所有者がリターンを得るだけという形になっていきますと、実質的な性格は金融商品にかなり近づいてくることになるのではないかと思います。
こうしたさまざまな方法のうちどれがよいかについて、投資者の立場からは必ずしも十分な情報を持たないと、情報提供を得たいというニーズがあり得ると思います。これに応えたい業者もあり得るのではないかと思います。これらの中には、現行法上投資リスクや効果について、業者が情報提供義務を負うものもあれば、負わないものもあるだろうと思います。
それから、投資取引に関しては、現物取引の形式を取ることによって規制を回避する効果が得られると、問題業者がこれを乱用する例がありますので、こういった点にも留意が必要かと思います。
こういった状況を考えますと、最終的に投資取引のどの部分を金融法制の対象とするかは検討が必要ですし、最終的に規制対象の設定の際に、相応の整理や絞込みも必要と思われますが、規制対象は法形式にとらわれることなく実質的に検討する必要があり、当面の検討に際しては「資金」運用ではなく、「資産」運用ということで、比較的広めに検討を行っていくことが望ましいのではないかと思います。
長くなって申しわけありませんが、4点目です。資金供与、資金の受け手の話と資産運用、資金の出し手の話とも関係しますが、この双方が相関関係にあることをきちんと確認をしておきたいと思います。要するに、資金の出し手、資産運用の観点からしますと、運用先の選択が適切に行われる、あるいは運用先への働きかけが適切に行われることによって、資金の供与、資金の受け手への資金の流れが適切に実現される面があると。また、そのようにして資金の供与が適切が行われることによって、資金供与先でリターンの源泉が生み出されると。それが資金の出し手に運用成果として返ってくることになります。こうした相関関係は十分に留意をした上で、検討していく必要があるのではないかと思います。
以上です。

【岩原座長】
次に、神田さん、お願いします。

【神田メンバー】
ありがとうございます。
今の坂先生、それから舩津先生や植田先生がおっしゃったことと重複しますが、少し感想を申し述べたいと思います。準備していただきました資料は、今後の検討にあたって非常に貴重なものであって、これを出発点にして今後の検討作業を進めることで非常によろしいかと思います。それで、資料の中には全て出ているのですが、今後の作業を進めていく上で私の観点から見て参考になるのではないかと思うことを、若干重複しますが申し上げます。
一番申し上げたいことは、機能ということとリスクということとは区分したほうがよくて、それぞれ機能は機能で、リスクはリスクで整理・分類をしたほうがいいと思うということです。その際先ほどご指摘がありましたが、取引の両当事者にとっての機能と社会にとっての機能は違うので、それぞれ分けたほうがいい。リスクについても同じです。
具体的に申し上げたいと思います。機能ということでは、既に指摘がございました。資料は主として業者がやることという観点から、そして、そのプロセスということで整理していただいていると思います。その観点に立つのであれば、5ページからの整理でいいと思います。私個人的には「その他」がもう1つあったほうがよいと思います。FinTechで何が出てくるかわからないというのがあるので。これは小さな話です。
預金を例にとって言いますと、金融機関から見れば預金はどういう機能があるかといえば、預金の受入れは貸出しの原資にもなるし、支払・決済サービスの手段としての預金を提供する、製造と言ってもいいと思います、にもなりますが、預金者から見れば支払、決済の手段としても使えるし、投資の対象、預金ですので投資というよりはストレージかもしれませんが、そういうものにもなるということかと思います。
2番目に、金融業者と顧客が接するという取引というか、そういう場面に着目します。例えばですが、例を挙げれば、ここでいう資産運用は金融商品の販売になります。売買といったほうが中立かもしれません。ただ、その金融商品の製造も自分で製造する場合と他人が製造する場合があります。預金や保険を例にとって言いますと、預金という金融商品を販売、あるいは売買する。あるいは、預金という金融商品を製造してそれを、保険も保険という金融商品を製造する、そして売ると。繰り返しになりますが、製造は自家製造の場合もあれば、支払手段でよく言われますが、他者が製造するものを使う場合もあるということになります。
3番目です。行為を機能の観点から見ると、重複する場合があります。当たり前のことですが、預金を例にとって言いますと、預金は金融商品の販売である面と支払の手段と両方の機能があります。例えばですが、今の法制度を抽象的、原理的に言えば預金も投資の対象になる以上は投資者保護法制がそこにかかるべきものである。けれども、他方で支払の手段となれば、そこで今度は利用者保護法制がかかる。シンガポールの資料にありますように、行為が重複する場合には調整する、二重規制は不要であります。
4番目です。プロセスの話で、資料にあるとおりですが、二次元で整理したほうがいいということです。すなわち、Aが金融業者でBが顧客だとすると、その間に入るという行為がいろいろあって大変重要だと思います。これは俗につなぐ行為とでも言うのでしょうか。銀行の分野で言えば、銀行代理店というような業がそれに当たります。それから、先ほどもご指摘がありましたし、資料にもありますが、プラットフォームのような場を提供するような業、行為もあります。金融事業者と顧客という二分法ではなくて、その間に立ったり、そこに何か場を提供したりという、そういう業なり行為も機能とリスクと両方を整理していただきたいと思います。
最後に5点目です。リスクですが、言うまでもなく、5ページにあるリスク移転は狭議の意味で使われていて、全ての金融取引はリスクの取引なわけです。システミックなものを除きますと、リスクをどう分類していくかということです。直感的には資金を出す側、受ける側というか、受信・与信と支払取引や株の売買などの仲介、フィービジネスなどと呼ばれてきた3分類ぐらいが出発点になるかと。と言いますのは、それぞれリスクの種類が異なると考えられるからです。
いずれにしても、出発点となるリスクを分類して、これは機能の分類とは別に分類したほうがわかりやすいように思います。その結果、イニシャルなリスクの当事者間の分担、負担、また、社会から見たリスクが明らかになれば法制度を設計する上ではそれを変更していくことになるわけです。それを変更していくことが社会にとってどうなのかといった議論を次にすることができることになると思います。
以上です。

【岩原座長】
その次に、永沢さん、お願いします。その後で、松井さん、お願いします。

【永沢メンバー】
ありがとうございます。
事務局でおまとめいただきました資料につきまして、全体としてこれから議論しなくてはいけない問題点をご提示いただき、ありがとうございます。総論については、これでよろしいのではないかと思いました。各論について、他のメンバーの意見と重複しますが、気づきましたことを幾つかお話させていただきたいと思います。
まず、各論の基本的な考え方で、機能を4つご提示いただきました。なるほどこの単位というのはわかりますが、植田委員からお話がありましたように、当事者の視点が混在しているのではないかと思います。規制の見直しをどのように考えていくのかというときに、どういう立場に立つのかでこの書きぶりは変わってくると思います。
例えば、私は一般個人の利用者になるわけです。そういった人間から見たときにわかりやすい分け方としては、資金供与は後ろに来るのではないかと思いました。Peer to peer lendingやクラウドファンディングのような形態も台頭してきており、一般の利用者が資金供与というのはあり得るとは思います。そういった意味では、決済、資産運用、リスク移転、資金供与の順番かと私なりには思ったりしましたし、「その他」もおそらくあるだろうと思っております。
また、業をなさっている方からすると、決済、サービスの提供、それから資産運用も「資産運用サービスの提供」、リスク移転についても「リスク移転の方法の提供」といった機能になるのではないかと思います。植田メンバーがお示しになられたような、それぞれの当事者から見てどうなのかをお示しいただいたほうがこれからの議論にはわかりやすいのではないかと思いました。
それから、2番目の銀行受入れの取扱いに関しましては、預金と預金類似のものについて、その利用者保護に関しての違いが出てくるのかどうかが気になるところです。統一的なルール、利用者保護の観点から最低限必要なことを考えながら、分類を考えていく必要があるのではないかとも思いました。
3番目といたしましては、7ページになります。先ほど大野メンバーをはじめいろいろな方がお話をされていましたが、非金融サービスとの連携も出てきます。例えば資産運用やリスク移転の方法に関連する金融商品を購入するときなどは、販売に直接関わらないが情報サービスの提供事業もここにはあるわけです。そういった付随的な、付帯的なところも金融の周りに事業としてあるわけです。そういう業務も、もしかしたら規制の対象として入れていくことが必要なのかもしれません。
それから、この7ページ目の最後です。プラットフォーム提供者に対して、一定の規律を設けるというご提案に関しては、大いに賛成いたします。何をしているのかという観点で規律を考えていくことが、健全なビジネスの育成につながると思っております。利用者から見て、何をしているのかという観点で規律が定められている方が利用者保護の観点ではすっきりしていると思います。インターネット上でクラウドファンディングやフリマアプリのようなものも出てきて、peer to peer、個人対個人の取引も広がってきており、そういったところで事業をされている方についても、一定の規律を求めることは必要なのではないかと思います。プラットフォームに関連して、最後になりますが、8ページ目のその他の留意点です。今回の議論に直接関係ないかもしれませんが、例えば投資信託の決済のシステムを提供している事業者も、銀行窓販などを後方で支えるシステムを提供しているところも1つのプラットフォームではないかと私は思っています。プラットフォームの定義を必ずしも理解できていないですが、現時点で規制がかかっているのかどうか私も十分理解してるわけではないですが、時間があるならば、ひとつ議論として入れていただけたらとも思っております。
以上でございます。

【岩原座長】
それでは、松井さん、お願いします。

【松井メンバー】
どうもありがとうございます。私からは2点ほどコメントをさせていただければと思います。
まず、1点目はかなり一般的な話です。今回新しい金融制度の枠組み等を考えるということでありますので、既存の枠組みからはできる限り自由に考えていったほうがいいだろうというのが基本的な感触でございます。そういう意味では、新たな規制のフレームワークを考える際、あるいはそのフレームワークのもとで個々の規制や規律を考える際に、機能からアプローチをしていくという今回のご提案については非常に興味深く、私も基本的に賛成したいと思っております。また、本日このようにご提示いただいた内容につきまして、これだけ各委員からの議論を喚起しているのは、それだけでも成功だったと思っている次第です。
それを踏まえて、2点目です。これは先ほどの神田メンバーの議論と重なってしまいますが、私も機能の切り分けの仕方については、もう少し分析的に見ていく必要があるのではないかと思っています。つまり、アクティビティをベースにして、機能で切り分けますという提案ないしアイデアを出していただいていますが、実はその中に、リスクという概念が隠れている、あるいはリスクという概念で切り分けられているのではないかと思われるところがあります。他方で、リスクとは無関係にカテゴライズされている部分もあり、このあたりの概念が混在しているのではないかと気になっています。
例えば、6ページの(ウ)を拝見しますと、一番下に間接金融と直接金融の話が出ております。これが分類に当たって、資産運用と資金供与を分ける1つの説明になっているわけです。ただ、ここで書かれていることは、結局、リスクがどう移転するかという観点からの切り分けであります。まさに、機能で分けていると同時に、リスクの移転あるいはリスクの質、中身によって分かれていることになります。
他方で、これも既に何名かのメンバーから出ているお話でございますが、この機能分類の中にリスク移転がありまして、保険等の保障機能が書いてあるわけです。ただ、非常に古典的な火災保険や生命保険となる保険を考える場合のリスク移転と、そのようなリスクを例えば市場性の商品を使って移転する場合ではかなり質的に違うはずです。したがって、これらは同じリスク移転というカテゴリーには盛り込めないのではないか、という感じがします。
つまり、何が申したいかと言いますと、リスクがどう移転するか、あるいは移転されるべきリスクの中身や質がいろいろあり得るのではないか、というときに、それぞれのリスクの移転の態様なり、リスクの質なりによって規制の枠組みを考えざるを得ないのではないか、ということです。なぜかと言うと、リスクによって関係者の行動パターンが変わるからであり、その部分は分析的に見ていく必要があるのではないかと思います。その意味で、今回ここで機能として提示された4点は、以上の観点からもう少し再考する余地があるのかもしれないと思っている次第です。
感想めいたことで恐縮ですが、私からは以上です。

【岩原座長】
それでは、加毛さん、お願いします。

【加毛メンバー】
ありがとうございます。他のメンバーのご発言と重なることばかりですが、簡単に4点申し上げます。
まず、議論の進め方については、3の(1)の総論で示されたように進めざるを得ないだろうと思います。
2点目は、大野メンバー、神田メンバー、松井メンバーがご指摘された点ですが、5ページの「リスク移転」は、その内実を明らかにする形で議論をする必要があると思います。神田メンバーもおっしゃったことですが、金融は一般にリスク移転としての性格を有するので、その中でどういったものを取り出すのかが問題になると思います。
3点目として、預金の受入れについて、今回の資料で示されているところは説得的であると思います。預金の受入れは決済とも結びつきますが、その特殊性がよく現れるのは資金供与と結びつく場合なのだろうと思います。そのことに関連して、最初に岩下メンバーが指摘された決済における預金の重要性の低下という問題が、資金供与との関係でどのように位置付けられるのかが問題になるように思われます。これは前回も議論の対象となりましたが、金銭をどのように理解するのかにも関わります。前払い式決済手段であれば法定通貨と結びついているといえますが、仮想通貨の中には法定通貨と結びつきがないものもあり、そのようなものが決済のみならず、資金供与との関係でも広く用いられるようになるのか否かで、今後の規制の在り方にも影響を与えるだろうと思います。
4点目は、何人ものメンバーから既にご指摘がありましたが、資金供与と資産運用の区別が曖昧であることは、そのとおりだと思います。おそらく、事務局もそのことを織り込み済みで前回から資料を準備されているのではないかと思います。
前回お配りいただいた資料の9ページに、金融ネットワーク構造の変革に関する紹介がございました。金融機関ハブ型、インターフェース企業中心型、そして分散型というようなさまざまな形態が今後登場しうるということに、以上の話は関わるのだろうと思います。従前の議論が金融機関という仲介者の存在を前提としていたのに対し、金融機関とは異なるタイプの仲介者が登場したり、あるいは仲介者の存在が非常に希薄で、個人と個人が直接に結びつくことになったりすると、資金供与と資産運用を明確に区別できるだろうかという話につながるように思われるところです。
以上です。ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、翁さん、お願いします。

【翁メンバー】
私も総論につきましてはこういう考え方であると思います。特に、同一の機能・リスクへの同一のルールの形になっておりまして、機能だけでなくリスクベースでも見ていく考え方が示されているところが重要であると思っております。
それから、金融の機能の各論でございます。5ページですが、私も皆様と似たような感想を持っております。金融の機能は経済学的、そういうアプローチで考えると、不確実性があるのとで経済的資源を時間や距離を越えて配分をし利用を促していく。金融の機能はそういうものだと思います。
そういった機能の基礎的なものは何かと分類すると、決済はとてもわかりやすいのですが、資金供与や資産運用については、今の業態や今の業務にやや寄った分類になっている印象を受けます。決済と資金仲介と全体を考えると、資金仲介も皆さんおっしゃっていますが、経済学的な機能であれば、リスク管理の部分と、それから経済資源の移転という機能に分かれるわけですから、今の分類は違和感がああります。
例えば、この資金供与のところに括弧で貸付等と書いてありまして、それが間接金融だというご説明がありました。しかし、貸付も資源の移転とリスクマネジメントの組合せでありまして、ほかの直接金融でもそうですが、デフォルトに対する保証を組み合わるなど、貸付はいろいろな形で資源の移転とリスク管理を組み合わせたものと捉えることができます。資金供与は資源配分という機能であると考えるのであれば、それとリスク移転の組合せが貸付という業務であると見ることもできると思っています。ですので、業務のレベルと左側のレベルの組合せも、いろいろ考えると違和感があるところがございます。
それと、先ほどから出ておりますが、資金供与と資産運用という活動もそういう経済的な機能で考えると、基本的には類似のものであると考えられるわけです。ただ、ここでは金融の機能はそういうものだけれど、こういうレギュレーションを考えるときにはこういうくくりで考えるという書きぶりであれば、私としては理解ができるとも思っております。
リスク移転も、ですから、そういう全部にかかってくるということで、ここに機能として書かれていることについては違和感はないです。真ん中の2つや右側との組合せは、少し工夫が必要だと思います。
それから、預金の受入れに関しましては、皆様がおっしゃっているようなことで特別に機能として書き分ける必要はないと私も思っております。決済やそれから資金仲介の入口としての機能、そういう位置づけであります。また、元本保証としてのそういう商品という位置づけもあり、いずれの機能も全部あわせ持っているものだと思います。それは5ページに書かれたような分類の中に当てはめて考えることができるのではないかと思います。
ただ、先ほどから植田委員もおっしゃったことですが、預金を受け入れる銀行という業態は、いつでも下ろせる預金を集めて、いつでも期限前弁済可能な貸出しをしているというそういった特殊な構造を持ち合わせている業態になっています。それが故に利益も得ていると思いますが、そういった業態、銀行という業務で行ってきた資金調達が預金という形態であるという位置づけであります。そういった観点から考えると、預金をどこまで特別に見るのかについて多面的な検討がこれから必要になると思います。

【岩原座長】
ほかに何かありますか。多くのメンバーの方から大変充実したご意見をいただきまして、さらにそれにつけ加えたいというのがあれば……。福田さん。

【福田メンバー】
追加で。皆さんの有益なご意見は、私も非常に参考になりました。
業態別の規制からアクティビティ・ベースの規制、機能別に変えていくことは私も大賛成です。そのときにまっさらのキャンバスに新しい絵を描くわけではないとは思います。もともと業態別の規制をなぜつくったのかというと、それなりに機能を考えて規制をつくっているはずです。もともと業態がそもそも機能と1対1にほぼ対応していた。銀行業は銀行固有の機能があって、ほかの業態はそういう機能がないからこそ、業態別に規制することが事実上アクティビティ・ベースの規制にもなっていたのが、これまでの考え方だったと思います。
そういう意味では、昔考えていなかった機能がそれはどんどん登場してきてきた場合、そういうものに対しては新たな考え方で考えなければいけないのです。しかし、かつての業態別規制は何ら機能を考えずに規制していたのかというと、私は法律の専門家ではないですが、おそらくそうではない。業態別規制でも、当時の機能を考えて規制を考えていた側面はかなりある。
例えば、5ページに整理されている基本的な考え方の金融の機能は、少なくともこの4つの機能に関しては全く新しいものではなくて、昔からあったものです。それがかつては業態別にある意味では独立的に規制が作られていた。現在は、その枠組みが完全に現在は崩れつつあるので、業態別のアクティビティ・ベースに考えましょうということだと思います。
しかし、これまであった機能、なぜその機能で規制しなかったかという考え方は、別になくなるわけではないという視点は大事です。もちろん、新しく登場した機能に関しては別途いろいろな考え方は必要ですが、従来の考え方を完全否定してゼロからはじめる必要は、私はないのではないかと考えております。

【岩原座長】
おっしゃるとおりだろうと思います。今までの規制が全く合理性を欠いて、機能をよく考えずに作られてきたわけではなくて、むしろ歴史的にある機能に対応するためにそういう業態の類型ができて、それに対する規制が行われてきたと存じます。
ただし、ここに来てIT技術などの発展などにより、業態の間の境界がはっきりしなくなってきていることから、改めて機能ごとに規制のあり方を見直してみようということになっていると思われます。その上でそれをどういう立法につなげていくかは、また次の問題です。場合によったら既にあるキャンバス、即ち業態別の法制を利用しながら、実質的な機能ごとに平等な規制がなされるように各業法に手当てをしていくことも十分考えられると持っております。
本日の皆様のご意見はほんとうに有益なご意見が多く、私も大変教えられました。多くの方からご指摘があったのは、機能といっても当事者の観点、それと社会全体にとっての観点からの機能は、区別して考える必要があるだろうということです。資金の出し手から見た機能と、それからその受け手から見た機能など、それぞれ違うのではないかというお話があったかと思います。預金に関しても、預金は集める側からすれば資金調達かもしれません。集めた預金でもって資金供与をするわけです。出し手である預金者にとっては、特に日本では貯蓄性預金のウエートが大きかったことから、預金にはむしろ資産運用の側面が強かったことが言えると思います。そのように、当事者によってその機能が違ってくるわけです。そしてまた社会全体にとっての機能もまた考えなければいけないというご指摘をいただいたかと思います。そして、経済学的に見るとまた別の見方ができるというご指摘もありました。翁さんがご指摘のように金融という以上は全てリスク移転の側面があるでしょう。それから、金融は常に情報を処理するものであることも言えるかと思います。情報処理についての視点をもっと入れるべきではないかという見方もあると思います。
私が事務局討議資料の金融の機能に関する4つの分類を拝見したときに感じたのは、1つは預金の受入機能の追加の必要ですが、もう1つはマーケット、市場に関する指摘を入れてもよかったのではないかということです。市場、マーケットにおいて、情報を集積し、そこでの市場参加者によるボーティング・ビヘイビアを通じて価格形成をして社会全体に資産・資源をアロケートしていくといった側面も非常に大きい金融の機能です。しかも、証券市場などを考えると、将来と現在との間でのそういう資源のアロケーションもやっている。そういう情報の処理が適正に行われていくようにしていくのも金融規制の非常に重要な役目であって、金融商品取引法などがそういう役割を果たしているわけです。そういった点を含めて、事務局のまとめていただいた視点に限らない、いろいろな金融の機能に関する見方があると思いますので、今後そういった点を指摘していただければと思います。
ほかに何か、特にございますか。翁さん。

【翁メンバー】
私自身も、岩原先生がおっしゃった点が欠落しているのではないかと思っております。金融はいろいろな人が意思決定をする際に非常に重要なプライシングの機能を提供しているはずであります。価格情報提供というのは、金融市場の非常に重要な機能だと思います。アクティビティ・ベースで書かれていた分類だったので、この機能について先ほど言おうかどうか迷ったのですが、金融システム全体にとって私も重要だと考えておりますし、本来いろいろなインセンティブの問題にどう対応するかに対して、金融市場はいろいろな解決方法を与える機能も発揮していると思います。そういう視点もほんとうは重要かと思っております。

【岩原座長】
植田さん。

【植田メンバー】
私も全く同感でして、特に直接金融、間接金融という話の中で市場と銀行の話がありました。株式や債券の発行では、投資家から見ると情報が欲しいのですが、その企業などの情報をうまく取るためにはかなりある程度大きな企業でないと簡単に取れなかったわけです。ですから、伝統的に株式や社債が発行できたのは大きな企業でした。小さな企業には銀行がまさに情報産業として、銀行という組織でもって情報を集めて、それを小口で預金でパッケージにして売ってきていました。そこのまさに情報のコストが大幅に低下してきている。それから、情報処理プロセスのコストが大幅に低下してきているところが、1つのFinTechの特徴で、PtoPなど、そういうものが出てきています。この情報の面から見て、どのように市場と、制度としての間接金融と直接金融のあり方が変わってきたかという視点は大事だと思っております。

【岩原座長】
ほかに何かご指摘いただくことはございますか。
なければ、本日は予定した時間よりは早いのですが、司会者としては皆様に少しでも時間をお返しできればうれしいところであります。
それでは、ほかに何かご発言がなければ、討議を終わらせていただきたいと思います。本日いただきましたご説明やご意見等を踏まえ、さらに審議を深めていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後に、事務局から連絡事項等がございましたらお願いします。

【井上信用制度参事官】
熱心なご討議ありがとうございました。次回のスタディ・グループの日時につきましては、おそらく年明けになるかと思います。皆様のご都合を踏まえた上で、後日事務局よりご案内させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【岩原座長】
それでは、以上をもちまして審議を終えます。どうも長時間の熱心なご審議ありがとうございました。
 
―― 了 ――

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