金融制度スタディ・グループ(第9回)議事録

  • 1.日時:

    平成30年6月18日(月)16時00分~17時30分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(第9回)
平成30年6月18日
  
 

【岩原座長】
予定の時刻になりましたので、ただいまより、金融制度スタディ・グループの第9回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本スタディ・グループにおいては、これまで同一の機能・同一のリスクには同一のルールを適用するとの考え方のもと、現在基本的に業態別となっている金融規制体系を、より機能別・横断的なものとすることについて検討を進めてきたところでございます。
前回は、本スタディ・グループの中間整理(案)のたたき台についてご議論をいただきました。本日は、前回のご議論を踏まえて修正した中間整理(案)をご確認いただき、取りまとめを行いたいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
信用制度参事官の井上でございます。お手元に、A3横長の「中間整理(案)の概要」とA4縦の「中間整理(案)」をお配りしているかと思います。「中間整理(案)」につきましては、前回のご審議や、その後事務局に対してご連絡いただいたご指摘等を踏まえまして改訂したものでございます。概要につきましては、「中間整理(案)」のポイントをまとめさせていただいたものでございますので、ご説明は割愛させていただければと思います。
それでは、A4縦の「中間整理(案)」に移りまして、前回のご説明との重複を避ける観点から、前回のご議論等を踏まえまして、修正した点を中心にかいつまんで説明させていただければと思います。
まず、「中間整理(案)」の構成につきましては、表紙の次のページの「目次」のとおりでございます。前回からの変更点といたしましては、1ページ目の冒頭に「序章」を加えたことでございまして、昨年11月の金融審議会総会における諮問とそれを受けて設置されました本スタディ・グループの開催状況、そして、前回座長からご説明がございました中間整理の取りまとめの背景について記載させていただいております。
続きまして、4ページ目の中ほどに(注)がございまして、これは前回のご指摘も踏まえ、中央銀行が発行するデジタル通貨に関する議論に関して追記をしてございます。
続きまして、第2章でございますけれども、第2章の金融の「機能」の分類のうち「決済」につきましては、7ページ目の中ほど、「決済」に係る最後の段落におきまして、歴史的に大口決済が不履行になった場合などにシステミックリスクが顕在化してきたといったご指摘をいただきましたので、それについて追記してございます。
続きまして、「資金供与」につきましては、8ページ目の最後の段落とその下の(注1)に、前回のご議論も踏まえまして、資金需要者に対する過剰貸付の防止以外の観点について追記させていただいております。
続きまして、「資産運用」につきましては9ページ目に移っていただきまして、上から3つ目の段落を設けさせていただきまして、投資家から資産を預かって運用を行う者に関して追記をしてございます。
9ページ目の一番下の最後の(注)のところでございますけれども、これも前回のご議論を踏まえまして、「資金供与」と「資産運用」について、資金不足主体への資金の供給という点で両者は経済的には同様の機能であり、分けて考える必要はないというご指摘もいただきましたので、その点を追記してございます。続きまして、10ページ目の「リスク移転」でございます。これに関しては、その最後の段落において、リスク評価の精緻化についてのご指摘をいただきましたので、追記や表現の整理をさせていただいております。続きまして、11ページ目の第3章のすぐ上のシャドー・バンキングに関する段落につきましても前回ご指摘をいただいたところですので、その趣旨を明確化するような修正を加えさせていただいております。
続きまして、第3章の1.金融の各「機能」において達成されるべき利益につきましては、同じページの①「機能」の確実な履行に新たに(注)を加えさせていただいたほか、②利用者に対する情報提供等に関しまして、(注)を前回のご指摘を踏まえて追記・修正させていただいております。
また、12ページ目の真ん中あたりですけれども、前回のご議論でシステミックリスクの顕在化の防止についても項目として整理すべきというご意見をいただきましたので、⑥としてシステミックリスクの顕在化の防止と整理させていただいております。
続きまして、13ページ目でございますけれども、第3章の2.「規制」の態様と達成されるべき利益との関係につきまして、小見出しの下の柱書きの下に(注)を新設してございます。利益の達成の手段は(ア)から(オ)にあるような「規制」だけではなくて、技術の発展ですとか、サービス提供者間の競争、適切なガバナンスの発揮などといったような他の要素による部分もあることを、ご指摘を踏まえて追記してございます。
続きまして、同じ13ページの(ア)「機能」の確実な履行につきまして、これもご議論等を踏まえまして、財務規制につきましてサービス提供者が利用者から預かった資産の保護という観点のほか、損害賠償の実効性を確保するための措置という観点も含めて考えることができ、「機能」の確実な履行のための措置としての意味合いがあるという意見がございましたので、その点を(注)も含めて追記してございます。
また、同じ段落でございますけれども、その「機能」の履行において、利用者にとっての利便性の観点についても3行目から追記してございます。
続きまして、17ページからの第4章でございますけれども、業務範囲規制やセーフティネット等の主体別規制の考え方と機能別・横断的な規制体系につきましては、18ページの中ほど、「なお」で始まる段落につきまして、前回のご議論を踏まえまして趣旨を明確化するため、「こうした主体に係る規制群の見直しを行わないまま機能別規制において新規参入が促進されれば、」という修正を加えさせていただいております。
19ページの1.業務範囲規制につきましては、2つ目の段落につきまして趣旨を明確化する修正を行っております。「利益相反取引や優越的地位の濫用については、今後も適正に防止されていく必要がある」というところでございます。
その下に(注1)と(注2)を加えてございます。これは前回の会合でバンキングとコマースの関係についてご指摘をいただいたことを踏まえまして、(注1)で米国、(注2)で欧州指令・欧州規則における銀行グループに係る業務範囲規制についての概要を追記させていただいた上で、20ページの「こうしたことを踏まえつつ」で始まる2つの段落につきまして、ご指摘を踏まえまして追記・修正をさせていただいているところでございます。
21ページでございますけれども、セーフティネットに関しまして、真ん中から下のところの(注)を加えてございます。セーフティネット等の議論に関して、銀行・銀行グループに限らず存在しているというご指摘がございましたので、これについて(注)を追記させていただいたものでございます。
続きまして、第5章につきましては、22ページの下の「その際」で始まる段落の2文目につきまして、巨大なプラットフォーム提供者についてのご指摘をいただきましたので、その点を追記させていただいております。
次に、第6章の今後の課題につきまして、23ページ目のところでございますが、初めのほうの段落に(注1)と(注2)を追記してございます。同一の機能の中でもリスクが小さい場合にはルールが軽くなるといったことが考えられるというご指摘、あるいは複数のサービス提供者が一体となって金融機能を提供する場合についてのご指摘がございましたので、その2つの(注)を加えたものでございます。
24ページでございますけれども、②法令と自主規制等の組合せの下のところに、ルールベースとプリンシプルベースのアプローチの役割分担に留意する必要があることもご指摘を踏まえまして追加してございます。
最後に、④金融に関する基本的な概念・ルールの横断化に関しまして、25ページに(注)をつけ加えさせていただいております。技術の進展と規制の関係について、AI(人工知能)に関して、あるいは仮想通貨(暗号資産)に関してのご指摘をいただきましたので、それぞれ(注)としてつけ加えさせていただいたものでございます。
事務局からの変更点について等のご説明は以上でございます。何卒よろしくお願いいたします。

【岩原座長】
どうもありがとうございました。中間整理(案)の内容につきましては、前回を含め、これまでの議論を取りまとめておりますので、ただいまご説明をいただきました中間整理(案)の内容をもって取りまとめとしたいと思いますが、ご発言がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。坂さん、どうぞ。

【坂メンバー】
取りまとめありがとうございました。整理(案)の内容については非常に大事な取りまとめをしていただきまして、まことにありがとうございました。
せっかくの機会ですので、今後幅広い議論を期待する観点から、2つだけ発言させていただければと思います。
1つは、ちょうど金融商品取引法が施行されたころから、私は消費者センターの相談員さんたちに金融商品取引法や金融商品販売法をはじめとする金融関連の法制度についてお話しする機会をいただいております。10年ぐらいの間に、金融商品取引法の分野ではかなり制度整備がされてきたことを実感しておりますが、他方で、投資トラブルの現場でも、金融と他分野との境界事案がふえてきた印象がございます。
例えば、トラブル案件の決済手段は、この10年間で多様化してきていますし、また、金商法の規制対象から外れる詐欺的な投資商品というのもいろいろ開発されてきています。こうした動きに応じて、金融関連の研修も金商法、金販法だけではなくて、資金決済法、割賦販売法、特定商取引法、特定商品預託法等にまたがるようになってきております。
全国の相談現場では、さまざまな努力がされておりますけれども、利用者、投資者保護の観点からも、機能別の横断法制が適切な形で整備されることは切望されていると思います。また、今後法制を具体的に考えるに当たっては、資金決済法、割賦販売法はもとより、特定商取引法や消費者契約法等の消費者法制との関係についても配意が必要と思われます。これが1点です。
もう1点ですけれども、これも金融法制自体というよりも関連事項ということになりますが、利用者教育、投資者教育について発言させていただければと思います。
今後どのような金融制度が必要とされるか、あるいは金融制度がどのように機能するかは、利用者、投資者のリテラシーが大きく関係すると思います。個々の利用者、投資者にはさまざまな人があり得ること、ともするとリテラシーの低い利用者、投資者や判断力の後退した高齢者等が犠牲になりやすい点については、十分な留意が必要かと思いますけれども、社会全体として金融に関する理解、認識を前進させることが重要と思います。
例えば、投資取引について、個々の金融商品が社会の中でどのような位置にあり、どのような社会的・経済的活動を背景にリターンが生み出されるのか、あるいは、みずから投じた資金がどのように経済社会に活用されていくのかということについて、投資者が相応のイメージを持つことは大切と思います。間接金融では、資金の供与先は銀行が選択し、その後のモニタリングも銀行がしてくれると思いますけれども、直接金融や市場型間接金融では、投資者も資金提供先の選択に参加し、継続的なモニタリングにも参加している面があると思います。貯蓄から資産形成ということが呼びかけられる中で、こうした観点も含めた利用者教育、あるいは投資者教育が重要と思います。
英国においても、金融制度改革に並行して投資者教育の推進が図られたとお聞きしております。我が国でも消費者教育一般については、平成24年の消費者教育推進法が消費者市民社会という考え方を提唱しておりますけれども、今回の制度改革の議論に並行して利用者教育、あるいは投資者教育が前進することを期待したいと思います。
以上です。

【岩原座長】
ほかに何かご発言ございますでしょうか。大野さんどうぞ。

【大野メンバー】
ありがとうございます。感想めいた意見をさせてください。
昨年11月の本スタディ・グループ発足以来、約7カ月間という比較的短い期間の間に極めて精力的に議論させていただきました。機能別・横断的な金融フレームワークの構築というスタディ・グループの目標に向けての重要な論点を中間整理という形で取りまとめていただいたことは大変意義深いものであると感じております。
この中間整理の中では幾つもの重要な論点が浮き彫りにされております。業務範囲規制とセーフティネットの考え方、銀行本業へのリスク遮断の重要性、業務範囲規制にかかわるイコール・フッティングの課題、さらにはプラットフォーマーの位置づけ、利用者情報の保護と利活用のバランスの問題など、いずれも今後押さえるべき重要なポイントが挙げられていると思います。加えて最終版では、リスクベースアプローチ、それからプリンシプルアプローチの重要性について付言されている点も評価させていただきたいと思います。
また、今回用意された修正版では、22ページのところに、メガプラットフォーマーに関する問題意識についてもふれていただきました。この加筆修正に対して、本件に対して強い関心を持っているメンバーの一人としてお礼を申し上げたいと存じます。この中間整理の内容を公表することについて、ここに賛意を表させていただきたいと思っています。
それから、これまでの非常に広範囲にわたる議論をこのようなコンパクトな形で取りまとめていただきましたことに対して、井上参事官をはじめ事務局の方々の献身的な貢献に深謝いたします。今後は、この中間整理ペーパーの公表が一つのきっかけとなって金融業務に携わる関係者、それから金融サービスの利用者の方々、金融業務に関心を持つ非金融業界の方々、また、アカデミズムや研究者の方々など、幅広い層の皆様の間で機能別・横断的金融フレームワーク構築の問題について関心が高まり、議論が深まることを期待したいと思います。
私としましては、この中間整理の第1章4にございます現行制度の特徴と検討の基本的方向性を特に重視したいと思っております。中でも、その第2パラグラフで示されています次の考え方、要約しますとイノベーションの促進や利用者の利便性の向上を図る観点から、多様なプレーヤーが業態をまたぐものを含めて自由にビジネスモデルを選択する基盤を整えることとあります。この基本スタンスを貫いていくことが大切ではないかと思っております。
イノベーションの急速な発展がもたらすメリット・デメリット、光の部分と影の部分、この両者のバランスをうまくコントロールしながらイノベーションの推進と金融のビジネスモデルの抜本的な改革を促進できればと願っております。その果実として、金融業務の高度化が進み、利用者が享受できる、付加価値が高められていくような変化、これらを生みやすい環境を整備することが重要だと考えております。こうした改革が進めば、ひいては日本経済全体の競争力の強化であるとか、活性化につながるものと期待されます。是非ともこのビジョンを抱いていきたいと思っております。
以上の総論的な感想、コメントを申し上げた上で、2つほどお願いしたいことがございます。
1つ目は、対外公表に関してです。できれば中間整理の要約部分だけでも結構ですので、英語版の仮訳バージョンをご用意いただけないかというお願いであります。イノベーションの急速な進展に対して、金融フレームワークをどのように見直していくのがよいかという問いかけは、グローバルベースでも注目を集める世界共通の課題です。今後海外の有識者や関係者との間で議論を進めていく上でも、中間整理の英語版があると非常に役に立つと思われますので、ぜひご検討をお願いしたいと思います。
2つ目は、今あるフレームワークの活用に関してです。イノベーションを促進し、その果実を享受するためには、今回のスタディ・グループの主要テーマである制度、フレームワークや規制の構築が極めて重要であるのはもちろんであります。ただ、既に用意されている枠組みとも言われるレギュラトリー・サンドボックスであるとか、一昨年に道が開かれた金融機関のITなどへの業務範囲の拡大といった既存のフレームワークを活用する余地がまだあると感じております。金融機関サイドの意欲的なチャレンジやトライ・アンド・エラーの取り組みといった積極的なイノベーションの動きをうまく引き出すような当局によるたくみな指導やモニタリングを通じて、民間プレーヤーとの気合いをそろえていただくことも大切だと感じております。金融当局の方々には、イノベーションに優しい、イノベーション・フレンドリーな指導や監督という面になお一層目配りしていただければと期待しております。
最後に次のステップについては、新たな金融フレームワーク構築の制度設計の具体化に向けてのさらなる一歩を、スピード感を持って踏み出していただくことを祈念しております。この半年の間、大変お世話になりありがとうございました。
以上です。

【岩原座長】
岩下さん、どうぞ。

【岩下メンバー】
どうもありがとうございます。学務の関係で前回出席できなかったものでございますから、少しだけ発言させていただきます。こちらのペーパーについて修正を求めるものではございません。皆さんがおっしゃったとおり、大変難しい問題をコンパクトかつ要点を押さえて要約されたものであり、異論はございません。ただ、私からも若干感想を述べさせていただきたいと思います。
実は、このスタディ・グループの初期から、バンク・イズ・スペシャルであるとか、銀行の預金の特殊性については大変大きな問題意識を持っていたところ、この第2章の金融の「機能」の分類の中で、まさにこの最後の4の後に(注)があって、預金受け入れの取り扱いが別書きをされているところに私は注目しました。本来預金の受け入れというのは、銀行の本当の本来業務であって、銀行の機能を考えたときには、非常に重要な点である一方で、まさに(注)の後段に書いてあるように、ITの進展により、預金類似と言える手段が登場し、その預金の重要性が相対的なものになっていく可能性があることを明示したものであり、これは大変大きな指摘であると感じております。
と申しますのは、この分類の1の決済のところで、決済を安全に履行することが大事であって、そのためのツールとして預金というものをみんなが整備してきた経緯があるわけでございますが、現在のIT化の中では、もしかしたら預金と同等、あるいはそれ以上に安全な決済手段というものが出てくることも当然考えられるわけですし、そうなったときに、果たして現在のフレームワークがそのまま維持すべきものかどうかということはさまざまな議論があるのだろうと思います。そういう観点から、今回その預金というものをあえて機能の中から外して、注書きに落としたことに私は事務局の意図を受け取ると同時に、その考え方に賛同するものであります。
もう1点、今回の報告はあくまでも中間整理(案)であって、今後の検討、今後の課題が大事かと思います。第6章の今後の課題の中で、私自身は、実は一番気になっているのが国際的なサービス展開の対応・国際的な整合性でございます。かつて金融業というものはサービス業でありまして、経済学的に言うと非貿易財というべきものでした。例えば、床屋のサービスをどんなにニューヨークの床屋がよくても東京から受けには行かれないように、海外の銀行のサービスを日本で受けることはなかなか難しかった実態がございます。ところが、インターネットが普及し、さらに仮想通貨をここで例に出していいのかどうかよくわかりませんが、既存の金融制度の枠外で決済機能的なものを持ち得るような存在が出てきてしまった現状において、その非貿易財の貿易財化の動向が非常に高まっています。となると、これは必然的に規制のハーモナイゼーションを進めなければさまざまな規制のアービトラージが発生することはもうやむを得ないところであります。
現在でも、金融のイノベーションの分野のさまざまな論点において、「それは海外でやればいいではないか」という話を聞くのですが、それが一般的になってしまいますと、日本の新しい金融のイノベーションの分野が空洞化するおそれがございます。国際金融のトリレンマという言葉がありますが、金融規制の世界でも金融規制の国別の自由度と国際的な利用可能性との間にトレードオフがありそうです。この点についてはいろいろと考えていくべきことがあると思います。ぜひこの分野について、今後の発展的な議論の中で議論を尽くしていただきたいと希望するものでございます。
私からは以上でございます。

【岩原座長】
植田さん、お願いします。

【植田メンバー】
いろいろとどうもありがとうございました。非常によく今までの議論がまとまったものに仕上がっていると思います。
私も感想というのも変ですけれども、少々初心に戻って考えてみますと、多分金融業、日本の金融システムをめぐるところにどんな問題があるのかと言われたら、または問題かどうかはともかくとして、特徴があるかと言われたら、恐らく1つはベンチャーキャピタルなどを通じた起業が少ないということがよく知られた事実です。起業というのは、もちろん非金融の産業による起業及びフィンテックなどの金融系の産業もひっくるめての話ですけれども、起業が少ないというのは皆さんご存じかと思います。
もう一つは、預金保険や信用保証などによるセーフティネットは恐らくどの国よりも手厚い。それもまたご存じのことだと思います。
それから、これはどうしたわけかわかりませんけれども、銀行は依然として担保主義をとって、これもかなり安全性重視であると同時に、国民もいまだに預金を重視して、株式とか投資にあまり回さないと昔から言われております。相対的に言うと、どうしても皆さん安全性重視、制度も恐らく安全性重視に仕上がっていると思うのです。ですが、フィンテックにしろ、いろいろなところで今イノベーションが盛んに言われている中で、イノベーションというのは当然リスクがあるものなので、リスクを積極的に取りつついくためにはどうしたらいいかというのも考えないといけない。そこの議論を、こういう規制の話をしてしまいますと安全性が中心になってきてしまいますので、もうちょっとそこの議論に戻って、今後何かできるかという話をするべきではないのかという気が、感想として今のところございます。
ありがとうございました。

【岩原座長】
ほかに何かご発言ございますでしょうか。よろしいですか。森下さん。

【森下メンバー】
ありがとうございます。このようにすばらしいものを取りまとめいただきまして、大変ありがとうございました。
先ほどスピード感という話ですとか、英語でぜひ発信をという話がありましたけれども、私も同じような意見を持ちます。こうしたことは、諸外国などとの連携なども重要になってくると思いますので、ぜひ早い段階で英語版を出し、どんどん日本の考え方を諸外国にぶつけていくことがなされれば非常にいいのではないかと思っております。
1点、今回のペーパーでも何カ所かで述べられていることですけれども、私は1つの今後の課題として、金融部門と非金融部門のマージといいますか、境があいまいになってくるとか、相互に関連してくるという点があると思います。そういたしますと、金融業界、あるいは金融を所管する官庁だけで具体的な各論的な検討を進めていくのはなかなか難しくなってくる部分も少なくないのかと思います。今回これだけの取り組みをやろうというわけですから、今後具体的に進めていく次のフェーズにおいては、金融部門に加えて、もう少し視野を広げて、本当に実のある、より実効性のある取り組みが進められていくことが望ましいのではないかと思っております。
また、今回金融庁からこのような形でペーパーが出されますので、今度はこれに対して、例えば民間の事業者とか、あるいは研究者もたくさん宿題をいただいたと思っておりますので、そういったようなものを我々でもしっかり研究して、何か当局の次のアクションを待っているのではなくて、どしどし積極的に議論をしてそれをぶつけていく、産官学が協力をし合って意見をぶつけあっていく、そういう出発点としての材料が提供されたと受けとめて、次のステップに進んでいくことが非常に重要なのではないかと感じております。
どうもありがとうございました。

【岩原座長】
ほかに何か。よろしいですか。特にご意見がないようでしたら、本日の討議を終わらせていただきたいと存じます。
本日お示しした案については概ねご賛同いただいたものと思いますので、最終的な修正や「てにをは」などの表現ぶりについては私に一任をしていただき、必要に応じて修正したものをもって本スタディ・グループの中間整理(案)とさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】
どうもありがとうございます。
あわせて公表等の取り扱いについても一任させていただきたく存じます。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】
最後に事務局から連絡事項等がございましたらお願いいたします。

【井上信用制度参事官】
事務局からもこれまでのご審議に関して感謝を申し上げたいと思います。本スタディ・グループの今後の取り運び方につきましては、座長ともご相談させていただいた上で改めてご連絡させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、以上をもちまして、本日のスタディ・グループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

                                                    ―― 了 ――

 
 

サイトマップ

ページの先頭に戻る