金融制度スタディ・グループ(平成30事務年度第3回)議事録

  • 1.日時:

    平成30年11月9日(金)9時30分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(平成30事務年度第3回)
平成30年11月9日
  

【岡田信用制度参事官】
おはようございます。定刻になりましたので、開始させていただきたいと思います。信用制度参事官の岡田でございます。
本日は、岩原座長からご欠席との連絡をいただきましたので、神田座長代理に議事進行をお願いしたいと存じます。では、神田先生、よろしくお願いいたします。

【神田座長代理】
おはようございます。僭越ではございますが、議事進行を務めさせていただきます。
ただいまから、「金融制度スタディ・グループ」の平成30事務年度、第3回目の会合を開催させていただきます。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日でございますけれども、決済に関する横断法制について、事務局から資料を用意していただいておりますので、これについてご説明をいただきます。その後で皆様方からご討議、ご審議をいただければと思います。
それでは、早速ですけれども、事務局からのご説明をお願いいたします。

【岡田信用制度参事官】
資料1、2、3とございますが、資料1からご説明申し上げます。めくっていただきまして、3ページから説明させていただければと存じます。
3ページが、決済分野で今後議論をお願いしたい事項の全体像でございます。一番上の四角囲いにございますように、様々な形態をとる「決済」という機能に対し、それぞれのリスクに応じた規制が過不足なく適用される法制の整備について検討をお願いしたいということでございまして、これを通じまして、イノベーション及びそのために必要なフィンテック事業者の新規参入を促進していくことができないかと、そういった問題意識でございます。
その際、横断化と柔構造化の両方が車輪の両輪として重要になっていくと考えております。まず、左側の横断化でございますが、この後ご紹介いたしますように、近年非常に多種多様な「決済」手段・サービスが出てきております。そうした中で、規制につきましては、銀行と資金移動業者の間に規制のレベルの大きな違い、崖のようなものがあるといった問題もございます。そのほか、資金移動業、前払式支払手段、クレジットカードといったものを組み合わせたビジネス、あるいは、送金につきましても、資金移動業だけでなくて前払式支払手段や収納代行といった法的形態をとって行うビジネス等、様々なものがあらわれている現状がございます。
それぞれのサービスが何らかの形で現行法制と折り合いをつけて行われているようでございますが、折り合いをつけるために、事前に様々な法的検討等が手間として必要になっているのではないかと思います。法制の設計によっては、複数のスキームの組み合わせをより行いやすくできたり、よりストレートな形でサービス提供ができたりといった可能性もあるように存じます。同時に、そうした法制について考えていくにあたっては、利用者保護その他の観点から何らかの規制が必要かどうか、そうしたものが過不足なくかかっているかという観点からの確認も必要かと思います。そうした検討を、中間整理でおまとめいただいた「決済」という概念に該当します様々な「決済」手段・サービスを視野に入れて検討してみてはどうかというのがここでの問題提起でございます。
あらかじめ誤解を防ぐために申し上げておきますと、当然のことながら今ここに並んでおりますようなもの、現在規制されていない収納代行やポイント等も含めまして、何か一律に既存の規制を適用したいということを申し上げているわけではございません。横断化といいますのは、右側にあります規制の柔構造化とセットの議論であると思っておりまして、横断化の対象となる「決済」の射程には入りつつも、利用者保護その他の観点から見て具体の規制の対象とする必要があるかどうかといったこともご議論いただくということだと思います。
続きまして、右側の柔構造化でございますが、多種多様な「決済」サービスの規模や態様によって異なる利用者の保護などの観点から、リスクに応じた規制を適用するということかと存じます。資料では、「利用者の保護等の観点からのリスク」と簡単に書いてございますが、その中身としましては、決済あるいはその準備のために業者側で預かっている顧客資産の毀損リスク、信用リスクといったこと、あるいは、毀損しないまでもすぐに返ってこないというある種の流動性リスク、特に企業間決済を取り扱う場合が中心になるかと思いますが決済が結了しないことから生じ得る経済活動への悪影響のリスク、それから、全く観点は違いますがマネロンのリスク等、様々なものがここには入っているということだと思います。また、あわせて、リスクが非常に小さい場合にどこまで規制という手法で対応するかというのは、規制コストとの兼ね合いで、制度を具体的に組み立てる段階では、どこかでそういったことも議論することが必要かと思います。
いずれにいたしましても、一般論として、リスクの大小に応じて規制の必要も重くなったり軽くなったりするということ自体は、おそらくあまりご異論がないところと思いますが、1点付言するとすれば、ここの図で言うところの縦線、その切り分けをいかにうまく行うかというところがポイントかと存じます。その際には、実態を踏まえた判断ということが重要になってくるのではないかと思っております。現状でも、送金サービスということであれば、資金移動業と銀行業の2つのカテゴリーに切り分けられているということだと思いますし、その両者でリスクと規制の重さに軽重があるということなのだと思いますが、前回のヒアリングの際のご議論を伺っておりますと、この2つのカテゴリーでよいのかどうかといったことも改めて考えていく必要があるのかと考えております。
柔構造化といいますのは、この左側の横断化と一体といいますか、つながっている議論でございますので、本日、この横断化のところのご議論をいただいた状況によって、更に検討しなければいけない課題というのが柔構造化という観点で出てくるものと思っております。本日は、柔構造化につきましては、1回100万円という資金移動業の送金上限額の規制をめぐってこれまで出てきているご意見などもありますので、事務局の資料としては、そちらを中心に準備をさせていただきましたが、それ以外の柔構造化の論点につきましては、本日のご議論を踏まえて準備させていただき、後日改めてご議論をお願いできればと考えております。
その上で、4ページは、「決済」関係の現行の主な制度の概要、5ページは中間整理の関連部分の抜粋ということでございます。必要に応じてご参照いただければと思います。
続きまして、7ページでございます。まず横断化のところの話でございますが、7ページは、左側が中間整理における「決済」という機能の概念を図示したものでございます。すなわち、「決済サービス提供者を介して、債権債務関係を解消すること」AND/OR「決済サービス提供者を介して、直接現金を輸送せずに、意図する額の資金を意図する先に移動すること」というものでございまして、このベン図の赤い太線の中というのが中間整理での「決済」という概念でございます。右側は非常に多種多様な手段・サービスを並べておりまして、どこまでを「決済」ということで今回の横断化の議論の射程に捉えるかということをご議論いただければと思います。
8ページは、諸外国の状況でございまして、決済関連の定義ということで、EUとシンガポールの例を紹介してございます。ご参考にしていただければと存じます。
9ページ以降が、我が国における多種多様な「決済」手段・サービスの実態のご紹介でございます。9ページでは、左側に、プリペイド、リアルタイムペイ、ポストペイといった分類をお示ししております。そして、右側では、左側のものを組み合わせている例があるということで、右側の①は、前払いと即時払い、あるいは前払いと後払いを組み合わせたようなサービスがあるということ、それから、②は、同じ前払いの中で、1つの業者が前払式支払手段によるサービスと資金移動業によるサービスの両方を提供し、利用者側においてサービスを選択できるというようなケースをご紹介しております。
それから、10ページでは、多種多様な「決済」手段・サービスのうち、実質的な個人間の送金を資金移動業以外の形で行っている例でございます。左側は、プリペイドカード業者、すなわち前払式支払手段発行者が、チャージ残高を顧客から顧客へ移転するというスキームでございます。この移転行為は、第三者型前払式支払手段として活用できる加盟店の範囲が十分に広ければ、経済実態としては個人間の送金に近づいていくということだと思いますが、プリカ業でこれを行っているということから、出口において出金・現金化はできない、やらないというような制約をサービスにおいて残しております。
右側は収納代行による例でございます。これは最初にお断りしておきますと、ここで紹介している収納代行のサービスにつきましては、業者さんから金融庁・財務局に資金移動業や前払式支払手段発行者として登録いただいているわけではございませんので、そういうサービス提供をされている業者さんを全て網羅できているわけでもございませんし、我々がたまたまこういうのがあるということを認識した場合も、詳細について十分に把握できているわけではございませんので、これから申し上げる説明は、実際の業者さんによる整理や実態とは違っている可能性があるというのを申し上げた上でご紹介いたします。
また、誤解があるといけないので申し上げますと、ここで具体の業者さんが提供しているサービスを現行法上どう整理するか、当てはめるかということでご議論をお願いしたいというよりは、むしろ今後、「決済」法制のあり方についてご議論いただく前提として、現象として今から申し上げるようなものが出てきているというのをご紹介したいということでございます。
その上で、右側のスキームのポイントというのは、宴会の代金を全員分まとめて店舗に支払った宴会幹事の方が、ほかの宴会参加者に対して有する債権、すなわち参加費の回収につきまして、アプリを提供している業者に依頼しているということでございます。業者がほかの宴会参加者から回収した代金をこの幹事さんにお返しするという部分が、実態的には個人間の送金のような形になっておりますが、収納代行という法的仕組みで行われているということとの関係で、収納代行の前提となる事実、すなわち、宴会参加費というのを立てかえていて、それを皆さんから回収する必要があるということについて、レシートの写真の添付のようなものを要求するといった形でサービスを提供されているというように理解しております。
こうした個人間の送金のようなものについて、プリカ、あるいは収納代行の形で提供されているサービスが実際にあらわれてきているわけですが、現行の法制度を前提に、それぞれサービスに一定の制約を課すといった対応をされているということだと思いますが、おそらくそのために様々な準備コスト、あるいは点検のコストといったものが生じているのかと思います。
ここで特にご議論をお願いしたいのは、前提とされている現行の法制度についてどう考えるかという点でございます。スマートフォン等に見られるようなITの進展に伴いまして、こうしたサービスが次々と提供されてくる中で、今ご紹介した例のように、実質的には同じ個人間の少額の送金を実現するサービスにつきましても、それらを仕組むための法的スキームの違いによって異なるルールが適用されているという現状についてどう考えていくのか。イノベーションを促進しつつ、しかし同時に、利用者保護その他の観点から過不足ないルールを適用していくには、現行の法制度についてどのように横断化と柔構造化を図っていくことが考えられるか。こうしたことについてご議論いただく材料としていただければと思います。
最後に、12ページ以下でございます。柔構造化のうち、先ほど申し上げましたとおり、前回ヒアリングでもご意見が多く出ました資金移動業に関するものについての参考資料でございます。12ページは、「決済」という場合に、金額の多寡ということや、リテールか企業間かということで、実際には非常に多様なものがあるということをお示ししております。
13ページは、今の話を利用者目線に置きかえて色々なものがあることを書き出してみたものでございます。ご覧いただければと思います。
14ページが、現在我が国にある銀行業と資金移動業の規制の比較、それから諸外国の例についてのご紹介でございます。そのうちEUは、特にPSD2という形で明確な制度が既に示されておりまして、ここではそれを国内法化している英国の事例をつけてございます。ご承知のとおり、1回当たりの決済金額というのは、この英国、EUの法制には上限がございません。他方で、認可制だったり、自己資本額の規制があったりといった点に加えまして、利用者資金の滞留につきまして、①具体的な送金指図を伴わない利用者資金は受入不可、それから、②利用者資金は運用・技術上必要とされる以上の期間保持されるべきでないというような規制が設けられているといった点で、我が国の資金移動業とは違いがあると思います。
運用・技術上必要とされる期間といったものの相場観につきまして、15ページをご覧ください。実務の取り扱いをある英国の業者から聞く機会がございまして、この図ですと、例えば利用者aが英国のロンドンにいて、利用者bがイタリアのローマにいて、aの銀行口座からbの銀行口座に資金が届くまで、全体で数十秒程度で終わるというように業者が言っておりました。もちろん全ての業者の全てのケースでそうなっているのかというのは保証の限りではございませんが、英国の送金サービス提供者に関する制度というのは、こうしたイメージのものとして運用されているということだと思います。
14ページに戻りまして、EU以外も現在調査しておりますが、米国はOCCで新たな取組みを始めているのですが、具体の事例がまだ出てきていないということ、それから、シンガポールも法案が議会を通過しておらず下位規範も整備されていないということで、詳細については、現状必ずしも明らかでない状況でございます。中国につきましては、送金サービスの提供者が人民銀行に預託すべき支払準備金の比率を段階的に上げてきておりまして、来年1月にはそれが100%になっていく予定というように聞いております。
16ページ以下は、前回若干ご紹介した点をもう少し詳細にご紹介するものでございます。仮に業者が破綻してしまった場合に、業者内に滞留している利用者資金の払い戻しがどうなるか、それから、破綻時に仕掛中だった決済が結了するかどうかということでございます。16ページは、まず滞留資金の払い戻しに関する資料でございます。銀行の欄をご覧いただきますと、破綻から数日以内、これはいわゆる「金月処理」というものでございまして、付保預金の範囲内の預金であれば数日以内に払い戻しが可能になります。他方で、資金移動業につきましては、破綻の際に払い戻しが必要な資金は、基本的には全額供託ということで保全されておりますし、その代替として、保全契約、あるいは信託契約といった形をとることも可能でありますが、保全契約、信託契約も含めて、いずれの形態をとった場合でありましても、破綻後、利用者からの債権申出を受ける期間を60日以上設けて、その後、配当表を作成・公示するといった手続を経る必要がございます。これまで資金移動業者について破綻の実例がないので具体的にはわかりませんが、こうしたことから、利用者が資金の払戻しを受けるまでに数か月を要することと思われます。
17ページはより細かな話でございますが、2点ございまして、1点目は、全額供託の「全額」ということにつきましては、現在の制度においては、最大2週間の時間差が伴うため、ある時点で必要な額と必ずしも1対1対応になっていないということでございます。それから、2点目は、破綻した場合に利用者が財務局への債権申出を行わない場合には不利益を被る可能性があるということでございます。
18ページは、破綻の時点での仕掛中の決済がどうなるかということに関するものでございます。銀行につきましては、破綻の時点において、図で言うところのⅠ、Ⅱ、Ⅲのいずれの段階にあった決済につきましても、結果的には必ず結了するという仕組みになっております。この背景には、預金保険制度により、決済債務が全額保護されているということがございます。これに対しまして、資金移動業の場合は、決済の途中で破綻しますと、ⅰ、ⅱ、ⅲのいずれの段階にあった場合でも、その決済自体は結了せず、先ほど申し上げた債権申出や配当に関する手続を経て、数か月後に履行保証金の返金として配当されることになっております。
ここでは、銀行の仕組みがすぐれているということを申し上げたいのではなくて、銀行のこのような仕組みの前提といたしまして、預金保険機構というような組織の維持や、銀行による名寄せの準備その他システムの対応等で、社会全体として相応のコストを負担しているということでございます。銀行の決済は、かなりの程度安全ではありますが、規制コストは相応に高いものであるということでございます。これに対し、現行の資金移動業者の決済は、利用者資金の払戻しまでに一定の期間がかかるといった点には留意が必要かもわかりませんが、規制コストは低いということでございます。こうした点を踏まえて、多種多様な決済の中でどういう風に役割分担をしていくのかといった点についてご意見をいただければと存じます。
次に、資料2は、今申し上げたことを文章でまとめたものでございますので、時間の都合上、ご説明は割愛させていただければと存じます。
それから、最後に資料3でございます。こちらにつきましては、前回、翁メンバーの資料をご紹介させていただいた際に頭出しさせていただいたところでございますが、政府としてキャッシュレスを推進していく中で、閣議決定されている未来投資戦略で掲げられております「キャッシュレス決済比率」は、国際比較可能な形で算出しているものとして政府として用いているわけでございますが、ただ、銀行の口座振替や振込が含まれていないといった点がございます。このため、我が国でのキャッシュレス決済の現状についてより理解を深める観点から、3メガバンクにご協力をいただきまして、3メガバンクに個人が保有する給与受取口座等について、その出金状況を検証したものがこちらになります。これは分子のみならず分母も政府のKPIとは違いますので、全く違う切り口での数字ということになります。
その結果は、右側の円グラフのとおりでございますが、3メガバンクの個人の給与受取口座等からの年間の出金約85兆円のうち、5割以上が口座振替・振込によって出金されておりまして、キャッシュ、現金での出金は5割を下回っております。我が国が今後キャッシュレスを推進していくに当たりましては、クレジットカードや資金移動業等に加えて、銀行にもキャッシュレスに向けた取り組みをより積極的に行っていくことを求めていくことも重要かと存じます。
私からは以上でございます。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、討議に移りたいと思います。皆様からご質問、ご意見等、どなたからでも結構でございますのでご発言をお願いしたいと思います。特に資料2に本日議論していただきたい事項というものが書かれておりますので、それもごらんいただきながらご発言をお願いできればと思います。
それでは、まず戸村さん、どうぞ。

【戸村メンバー】
ありがとうございます。
本日、提示された論点について、個人的な意見を申し述べたいと思います。
最初に、決済分野の規制の横断化の対象、論点の最初の論点ですけれども、一般論として、消費者にとって似たものに見える支払い手段については、横断化の対象とするべきだと思います。例えば、クレジットカードと前払式支払手段については、電子マネーの与信を行いたいというような事業者も出てき得ると思いますので、統一的な規制のもとで対応したほうがイノベーションに資するのではないかと思います。
ただし、前払式支払手段については1つ難しい問題があると思っておりまして、前払式支払手段については、本人確認を必要としないというユニークな特徴があります。この特徴をどのような場合に維持できるかは検討すべきだと思います。
例えば、今回の資料にあるような形で、前払式支払手段の残高の移転の利用が社会全体に広がった場合は、換金性がなくても実質的な資金移動サービスとなると思いますので、そのような場合は、資金移動業同様の本人確認の必要性が出てくると思います。
もう一つの例として、個人間の資金移動を収納代行という名目で行うことを許すかどうかについてですけれども、こちらについても個人間の資金移動の場合は、支払いを行うほうのみならず受けたほうも利用者保護の対象になりますので、個人間の資金移動を収納代行という名目で行うことを許すのは望ましくないと思います。この点については、決済分野の規制の横断化の整理とともに、不特定多数の顧客から支払いを受ける事業者のみを収納代行の対象とするような取り扱いを検討するのがよいのではないかと思います。
また、今回の論点からは外れますが、ここの例にあるような、個人間の資金移動を収納代行でやるような、ここで今回の資料にあるサービスも、実は、銀行システムの更新系APIを使ったインターフェースの開発が行われると、社会的には効率的だと思います。
次に、決済の横断的規制において、送金とは何かを定義する必要が出てくると思うのですが、この点について自分の考えを述べたいと思います。送金を定義するに当たって、もし財産的価値の移転という形で送金を定義した場合、今度は財産的価値とは何かということを定義しなければならないという問題が生じ得ると思います。この種のトートロジーは、法解釈に柔軟性を与えるので便利な一方、仮想通貨について一部見られたように、政府が財産的価値を認めたとして、ある種のお墨つきを与えたような誤解を利用者側に与える懸念もあります。以前申し上げたことですが、不特定多数に対する台帳の提供というような外形的な様態をもって送金サービスを定義すればこの問題は回避できます。また、送金と台帳の提供の関係に着目することは、資金決済のみならずさまざまな取引を1つの台帳に記録するほうが効率的であり、現行の銀行法においても情報の記録を包括的に銀行業の付随業務とみなしたほうがよいような状況になっていることとも整合的です。
とは言うものの、外形的な要件で送金を定義してしまうと、今後新しいサービスが登場した場合に、実質ベースで柔軟な法解釈を行うことが難しくなるおそれもあると思いますので、結局のところ法律の専門家の判断に委ねざるを得ないとは思うのですけれども、送金の定義についてトレードオフがあるという点は、個人の意見として発言しておきたいと思います。
長くなりましたが、最後に資金移動業への規制のあり方についてですが、資金の滞留を抑えることが1つの論点になっておりますが、私は、資金の滞留を抑えることにこだわるのは、利用者にとっての利便性を損なうおそれがあると思います。資金の滞留が問題になるのであれば、少なくともローコスト送金が既に実現している国内送金については、銀行システムの更新系APIの開放を促進することで、利用者向けインターフェースのイノベーションを促していくべき課題であるように思います。
また、今回の資料に示されているように、資金移動業者が高額の預け金を引き受ける場合には、何しろセーフティネットの整備が必要になります。また、セーフティネットがあれば、資金の滞留は利用者保護の観点からは問題ではなくなります。ですので、大規模な資金移動業者については、どのようにセーフティネットをかけるのかというのが真の論点になるように思います。この点については、預金保険機構のようなファシリティの維持には人件費も含め固定費がかかりますので、大規模な資金移動業者向けのセーフティネットを別個につくるよりは、大規模な資金移動業者については、ナローバンクとして銀行の一種として位置づけ、既存の預金保険機構のファシリティを利用させるのが社会的に効率的なあり方であるように思います。
また、前回申し上げたように、ナローバンクに対する規制は、フルセットの銀行規制ではなく、効率的な流動性規制を中心として最低資本金規制を置かないなど、できるだけ簡素なものにすることを検討するべきだと思います。
以上です。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、植田メンバー、加毛メンバー、岩下メンバーの順で、植田さん、どうぞ。

【植田メンバー】
いつも非常に参考になる資料をつくっていただき、ありがとうございます。
私も戸村メンバーとほぼ同じような話をしたいと思うのですが、若干少し違うところもあるかと思います。
1つ目ですが、どんな民間のサービスも確実な履行というのは考えにくいというか、だからこそ破産法があるわけです。ただし、もちろん、前々から言っていますように、トラディショナルな銀行業は特別ということで預金保険とか日本銀行のバックがございますから、そこはかなりもう確実になっているわけです。では、そうではない決済専門のことをやっているところをどうするかという話になるかと思うのですけれども、トラディショナルな銀行業、銀行業だと言わない限りにおいては、預金保険とか日本銀行などを通じた完全なバックアップというのを公的にやるというのはどうもおかしいと思います。それを言い出すと、では証券業界とか、ミューチュアルファンドの業界とか、いろいろな金融サービスで、我々ももっとしっかりと安全網を政府がバックアップしてくれと言ってきて、歯どめが全く効かなくなると思うのですよね。
そうしますと、戸村メンバーがおっしゃったとおり、最後まで行っても先ほどの破綻処理のところでトラディショナルな銀行とは違って、もしも破産というようなことになればいろいろな決済が履行されない可能性があることをどうするかです。が、それは使っている方々がそれを理解して使ってもらうのがまず1つ目で、それでも大規模な場合とか、むしろほんとうに理解されたら使ってくれないではないかというような業者さんからの不満もあるかと思うのですけれども、ただ、逆にそこをほんとうに理解してもらいたいのであれば、決済専門かもしれないけれども、しっかりとした銀行として登録して、銀行法のもとでほかの銀行と同じような規制を受けるべきだと思います。
これはもちろん皆様ご存じのとおり、昔は外為専門銀行だとか、長期信用専門銀行だとかがございましたけれども、結局のところその区別をするというのはますます難しくなる世の中ですので、ここで新たに決済専門銀行みたいなものを打ち立てて、また別の枠で別の規制と別の預金保険の取り扱いというのは、少しおかしいという気がします。なので、ここは、もしも預金保険を使う、非常に公的なセーフティネットでバックアップをもらうということであれば、普通に銀行として、普通銀行として活動していただければ。もちろんその内容として決済しかやらないという選択はあると思うのですけれども、それはそれでいいかと思います。
ただ、先ほど、この間も少し言ったのですけれども、もちろん1つ、私、この100万円の規制というのは、どうもおかしいとは思っているのですね。ある程度、もう少しその100万円の上限というのはとってもよいと思うのですけれども、それとリスクの観点はそれとしてあるのですが、もう一つ、マクロ経済側から見た観点があります。この間も少々言ったのですけれども、もしも金利がしっかりとついている、ポジティブについている世界であれば、資金をわざわざ金利がつかないところに滞留させていくというメリットは非常にないので、皆さんは本来は金利がつく銀行預金に預けるのだろうと思うのですけれども、問題は、今のようなゼロ金利のもとでは、銀行預金に預けていても、こういう決済サービスの業者さんに預けておいても、結局金利がつかないものだから滞留するという部分もあると思うのですね。預けているほうから見れば同じことですけれども、マクロ経済的には随分違って、何度も言うとおり、トラディショナルな銀行の役割というのは、そういう預金を集めて長期的な貸し出しをして、投資とか住宅投資などに資金を転換していくというところに非常に大きな役割がありまして、それは決済業者の方は建てつけ上できないのですね。全部安全資産として持っていないといけないわけですから。そうしますと、マクロ経済的に見ると、もしもこのゼロ金利下で、どんどん資金が銀行から決済業者にわっと集まってしまうと、企業貸出ががっと減っていくということも予想される。なので、それを、マクロプルーデンシャル規制という考え方があるのですけれども、経済政策の一環としては、このゼロ金利のようなことが当面続く場合には、あまり資金が滞留しないような形で考えていくという規制の考え方もあり得るかと思います。
そういうことも考えますと、もともと資金移動業者なわけですから、前回も言いましたけれども、6カ月とか、3カ月とか、1年とか区切りを切って、先入先出みたいな考え方で資金が滞留しないようにしていくということは必要かと思います。そのときに、例えば100万円以下の小口ならそこまで考える必要はないのではないかというような話は出てくるとは思います。
以上です。よろしくお願いします。
 
【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、加毛さん、どうぞ。

【加毛メンバー】
ありがとうございます。
事務局の資料につきまして、1点のコメントと、1点の提案のようなものがございます。
まず、コメントですけれども、資料2の2(2)におきまして、送金上限額規制の問題と資金滞留の問題が取り上げられていることにかかわります。既に戸村メンバーや植田メンバーのご発言にもありましたけれども、両者を区別して論ずる必要があることが、前回と今回の審議において明確にされたことが非常に重要だと思います。
100万円という送金上限額規制について、資金決済法の立法当時、立案担当者は「これまで銀行のみに認められてきた業務を、新たに銀行以外の一般事業者に認めるものであることから、今後、その事業遂行の実態を十分見極める必要がある」と説明していました。そうだとすれば、資金決済法の施行から8年以上が経って、資金移動業の実態を見て送金上限額を引き上げる、あるいは維持するといった議論がなされてしかるべきだと思います。そして前回の参考人ヒアリングにおいて明らかにされた通り、1回に200万円や300万円という金額を送金する利用者にとっての需要があるのだとすれば、送金上限額の引き上げについて積極的に検討してはどうかと考えています。
他方、現在の資金決済法の規制対象は、取引の1回当たりの送金額の上限のみであり、どの程度の金額をどのくらいの期間、資金移動口座に預けておくことができるのかについては、規制の対象とされていません。そのことが、資金滞留の問題を引き起こすことになります。資料2の2(2)では、その点を明確に認識したうえで、法改正にあたっては資金滞留の問題を直接検討の対象とすべきことが示されていると思います。送金上限額の規制の緩和を考えるうえでは、それと関連しつつも、区別される問題として、資金滞留への対処の必要性があるという指摘は、その通りだと考えます。
若干敷衍すると、現在、100万円という送金上限額規制があることによって、事実上、資金滞留が抑制されている側面があるかもしれません。送金額に上限があることで資金移動口座の使い勝手が悪くなり、資金移動口座にそれほど多くのお金を預けなくなるという間接的な抑制効果が働いている可能性が考えられます。そうすると、送金上限額の引き上げにより、資金滞留が助長されるおそれが生じることになります。そして資金滞留の問題が重要であると考えるのであれば、送金上限額の規制とは切り離した形で、この問題を正面から議論すべきであるといえます。本日の資料1及び資料2では、そのような検討の方向性が明確に示されており、そのことは適切であると考えています。以上が、事務局資料に対するコメントとなります。
2つ目は、今後の検討の方向性に関する提案です。本日の事務局資料の柱の1つである決済分野の規制の柔構造化についてです。岡田信用制度参事官のご説明の中にも示唆されていたように思われますけれども、規制の強化の必要性と同時に、規制を緩和する可能性についても同時並行的に考えていく必要があると考えます。
以下の発言は、このスタディ・グループの前身である金融制度ワーキング・グループの第2回会合における発言の繰り返しになりますけれども、例えば、資金決済法の履行保証金制度などの規制の根拠を考えると、小口債権者の保護がその中核にあるように思われます。小口債権者は資金移動業者の経営状況等をモニタリングする能力や意欲を有しないのが通常であるといえます。そこで、履行保証金制度などの規制を設けることで、モニタリング・コストを業者と公的機関が負担するところに、規制の正当化根拠が求められるのだろうと思います。
そして、仮にそうだとすれば、例えば、大口決済だけに特化したサービスを提供する業者については、現行法のような履行保証金制度が必要なのかが問題となります。大口決済サービスのみを提供する業者については、システミック・リスクなどの別の観点からの規制が必要になるかもしれませんけれども、現行法下での全額供託を原則とする制度を維持する必要があるのかは、検討を要する課題であると考えられます。
また他方で、小口債権者の保護に規制の根拠を求めるとしても、小口債権者の要保護性が類型的に低いタイプのサービスを想定することもできます。例えば、債権者1人について一定の少額、例えば2、3万円といった金額を上限としてサービスを提供する場合です。これは、1回の送金額の上限が2万円や3万円であるということではなく、口座に入金できる金額を2、3万円という金額に限定するということです。もし、このようなサービスを提供する業者が存在するとすれば、仮にその業者が破綻したとしても、利用者にとっては2、3万円が返却されないという程度の被害で済みます。その程度であれば、消費者である利用者にとって、負担できないコストではないだろうと思います。そうだとすれば、そのようなサービスを提供する業者について規制を緩和することで、安価で利便性の高いサービスの提供を可能にし、消費者である利用者の利益にも適うことになる可能性はあるだろうと思います。
以上のような観点から、規制の柔構造化について、規制を強化することの検討と同時に、規制を緩和する方向での議論もあわせてする必要があるだろうと考えております。
なお、小口債権者の要保護性が低いタイプのサービスの具体例となりうるものとして、本日の資料1の10ページでは、宴会幹事にかわって宴会参加者から参加費の回収を行うというサービスが紹介されています。また、13ページでは、サラリーマンが宴会参加費として5,000円を宴会幹事に送金する事例が挙げられています。これらの事例を念頭に置いた場合に、少額債権者の要保護性が類型的に低いといえるか否かを考えるうえでは、業者の倒産リスクを誰が負担するのかという観点が重要になります。
例えば、10ページの例では、宴会参加者は1人当たり5,000円や1万円などの少額の支払いをすれば済むと考えられますが、それが例えば100人が参加するような宴会になると、幹事が支払う金額は相当に高額になります。この場合に、幹事が業者の倒産リスクを負担するのであれば、そのような利用者の要保護性が低いとはいえないわけです。以上のような観点を踏まえまして、債権者1人について利用額を少額に限定した場合のサービスについて規制の見直しを検討してもよいのではないかという意見を申し上げておきたいと思います。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、岩下メンバー、どうぞ。

【岩下メンバー】
今回のこの決済に関する検討を行うに際しまして、そもそも決済とは何であるかということを踏まえて、昨日からどういうお話をしようかということを考えてきたわけでございますけれども、たまたま昨日、たしか名古屋でしたか、現金を大量に持った老人が強盗に遭ったという事件があったかと思います。これは何のために持っていたのかというと、不動産決済のために持っていたのであると報道されておりました。今現在でも不動産決済の手付金であるとか、時にはその決済の総額に至るまで現金を使う人たちは多いわけでございまして、これは何となれば、不動産登記という行為と現金の支払いという登記をできるだけ同時履行したいという希望があり、同時履行をするときに、多分今現在では、例えばインターネットバンキングでスマートフォンを見ながら同時履行が多分確認できるのではないかと私は思うのですが、今なお現金をそういうリスクを背負いながら使っていらっしゃる方々が多いということを改めてこの昨日の事件で意識したわけでございます。
私が前にいた職場では、決済というものが本来非常に信頼できる決済手段によって行われるということが非常に大事であるということで、例えば、高額な取引について言えば、中央銀行のマネーによって決済することが望ましい、だからRTGSが必要であるといった議論があったわけでございます。もちろんそういう意味では、現金と中央銀行マネーは、どちらも日本銀行という倒産することが事実上ない組織の負債であるということで、それが信頼できる決済の1つのよりどころになっていると私は理解しています。これに対して、それよりも若干ですが信用リスクのある組織が、今日議論になっている銀行業でございます。銀行業は、もちろんさまざまな形で規制・監督がなされており、かつ十分な自己資本を持っているとはいえ、信用リスクがゼロではないわけであります。したがって、その預金を用いた決済について常に完全な履行が保証されているわけではないので、さまざまな法的措置というか、対応が求められているということなのだと思います。
具体的には、例えば預金保険機構であるとか、さまざまな決済システムの仕組みが用いられている訳ですが、仮にそういうものがなければ、これによってきちんと決済をして、その結果、資金を確実に確保しようと思っていながら、実は取りっぱぐれると思う人たちが出て、その円滑な決済の履行が行われないという形になって、経済全体にマイナスの効果を来すことも、預金者保護という観点に加えてそういう視点もあるのかと思うわけであります。
ところで、そうした銀行業が、今回の全体的な見直しの中の重要な中核となっているわけですが、これについて、例えば、本日の資料1の5ページに改めてこの中間整理にありましたスタディ・グループの「決済」のところの議論というのが引用されているわけでございますが、この中の下から6行目ぐらいに、決済が決済システム内で密接につながることによって決済が円滑になるというような説明がございます。これは全くそのとおりだと私は思うわけですが、ただ、これは今の銀行業が発展してきた歴史の中では事実だったわけです。
ところが、今議論されている、例えば私もしょっちゅう使っておりますが、割り勘アプリであるとか、あるいは、各種のCtoC決済サービスであるとか、これは、実は密接につながってはいないように思います。例えば、paymoとKyashの間でのリンクはありませんし、LINE Payと楽天ペイの間の連絡もないわけですよね。そういう意味では、従来であれば、そういう連絡がないのであれば、それは使いにくかったはずであります。だからこそ銀行業というのは、全銀システムというのを全体として統合して使うようにしたわけです。ところが、今はそういうものがなくても便利に使える世の中になった。これは、多分ITが大きく世の中を変えた点であります。
したがって、従来その銀行業という業が業態として必要であったのは、まだそういった世の中がITによって十分につながっていなかった時代に、銀行同士をつなげることによって、この決済を円滑ならしめるということが非常に重要な要件であったと思われるわけですが、いまや銀行外の世界、インターネットによって、人々あるいはシステムというのは既にもう連動してしまっているので、そうすると、個々のサービスがあれば、もちろん例えば預金とつながらなくてはいけないとか、そういう部分はあるわけですが、これももしかしたら例えばSuicaとpaymoが連動すればいいのかもしれませんし、そういう意味で考えていくと、どんどん従来の現金の出納及びその預金の取り扱い、そして預金の連動という形で進化してきた銀行業及びそのための保護の仕組みというものから、全く新しい流れのものが出てきているというのが現状ではないかと私は理解しております。そう考えると、今の横断的な規制を考えるに当たって、伝統的な銀行業に当たるかどうか、あるいはその100万円の上限、もちろん非常に大事な論点だと思うのですけれども、それとは少し違った視点というのが必要な気がするわけであります。
具体的に申しますと、そういった形でつながって、世の中がシステムによってつながっているときに、その彼らに対してどういう規制というかルールに従ってもらうのかというのは、これは実はなかなか難しい問題があります。というのはどういうことかと言うと、従来の銀行業であれば、まさに同一のシステムを同じように使ってきたがゆえに、同じようなルールを事実上課していたわけですね。例えばFISCの安全対策基準というのがありますが、これを満たしていれば銀行は安全であるということが多くの場合言えるというふうに今多くの人たちは考えて安全対策というのを議論しているわけです。ところがこれを、同じものを例えば前払式決済の業者に、あるいは割り勘決済の業者に適用することがほんとうに現実的なのかと。そもそもFISCの安全対策基準というのは、クローズドシステムを前提とした銀行のネットワークを想定して策定されたものでありまして、できるだけインターネットとつながないようにというふうに、FISCの安全対策基準そのものではないですけれども、FISCの各種報告書には書いてあるわけであります。
ところが、今日議論している新しい決済サービスは、全てインターネットにつながったものです。同じ「決済」と言っても、システムそのものが違うという感じがいたします。そうすると、それらのものに対して求めるべき論点として、例えばサイバーセキュリティに対して安全性が保たれているかという視点について、「銀行と同じレベル」というのは言うのは簡単ですけれども、その銀行が業態として全体として守ってきたものというものとか、あるいは、技術のやり方として守ってきたものと同じようなものを求めるというのは、原理的に無理なはずです。
そうだとすると、果たしてこの新しい決済の担い手の人たちが十分な決済を担っていくだけの能力があるのかということについて、検討が必要です。例えば、今、現時点でLINE Payは、法律上の100万円の上限額にかかわらず、実際に使われるのは、10万円までです。Suicaなどの鉄道系については、2万円までしかチャージできません。これらは、決して各業者が規制があるからとめているのではなくて、各業者がみずからのリスクの判断によって定めている自主的な上限額と思われるところです。これに対して、銀行はある意味で無制限にというか、その人の残高がある限りは引き出せるような仕組みになっています。そうした実態を考えると、業者の間で同じような枠組みで規制して横断化するといっても、そこにおのずとその考え方の違いがあります。逆に言うと、銀行に対して従来のような考え方ではなくて、銀行もこれからAPI接続するなり、当然サイバーセキュリティ対策をするなりという形で新しい変化が起こっていくわけから、銀行に対するこの規制のあり方というか、そういうシステムの安全対策であるとか、あるいは全体としてのセーフティネットの仕組み自体についても新しい枠組みが必要なのであろうと。これが今まさに銀行業そのものに対して、そのビジネスモデルに疑問を呈されているというところの1つの大きな論点なのだろうと思うわけであります。
この点でもう1点だけ申し添えさせていただきますと、先ほど植田メンバーから、もし金利がつくならばそんなに滞留させないはずだというお話がありましたし、加毛メンバーからも、供託金そのものを、もっと本来の趣旨から言えば例えば100%準備、100%供託でなくてもいいのではないかという趣旨のようなご発言が聞かれたかと思います。それはいずれももっともな意見だと私は思うわけですが、そう考えると、今の新しい決済業者さんたちのビジネスモデルを前提にして新しい大枠の制度を議論することは、それで十分なのだろうかということが1つの論点としてあるのではないかと思うわけです。
どうしてかというと、明らかに今の決済業者さんたちのビジネスというのは、長く続いた極めて低い金利のもとで、流動性あるいは信用の供与枠のリミットのようなものが極めて高く設定されている、そういう時代において開始されたものであります。資金決済法自体が平成22年からの施行でございますので、逆に言うと、ほとんどの資金決済業者はゼロ金利の時代しか知らないはずであります。ところが、これがもし、植田メンバーが先ほどおっしゃったようにプラスの金利がつく時代になったならば、そもそも今のビジネスモデルでは立ち行かないのは明らかであります。何となれば、適正な利潤を獲得する手段が多分ないのではないかと思われるわけですね。これは、逆に言うと十分に高い利用者手数料であるとか、別のものを設定しなければ無理なところであります。あるいは、100%準備ではなくて、何らかのみずからの運用をするということも想定しなければいけないわけでありまして、これは時代が変わればそういう要請が当然出てくる。現時点ではないと思いますけれども、出てくるはずでありますので、そういうことに対応していく必要もあるのではないかと。
銀行制度自体はかなり50年とか、もっと100年とか続いたものでありましたが、それが今ある意味で疑問を呈されているというのが私の理解ですけれども、そういう意味で行くと、この新しい決済事業者に対しても環境変化に対してサステイナブルな仕組みという、規制というものを考えていく必要があるのではないかと思われます。その意味では、この現在示されている論点に若干加えて、そうした今申し上げたサイバーセキュリティ的な論点と、あるいはそのビジネスモデル的な論点というのですかね、これを考えていく必要があるのではないかと考える次第であります。
以上です。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、大野メンバー、どうぞ。

【大野メンバー】
ありがとうございます。
まず、本スタディ・グループの射程については、今年1月の前事務年度第3回会合での議論、それから中間整理を経て、狭義の為替送金業務に加えて、決済サービス提供者を介して債権債務関係を解消することを含むとの広い概念で捉えていただいたことは、大変結構であると申し上げたいと思います。
今回の事務局のペーパーでは、ちょうど7ページの円グラフ、これで決済のイメージ図を非常にわかりやすく整理していただいております。また、その後の10ページでは、多種多様な決済手段やサービスの事例を紹介していただき、大変興味深く拝見したところであります。
私の感想といたしましては、この種の新しいサービスは、既にたくさん生まれていると思われますし、これからもどんどん新しいものが生まれてくるのではないかと思っております。そういう意味では、7ページの左の青い部分、送金などの資金の移動を伴わない形の決済関連サービス、ここの部分がさらに拡大していく可能性が高いような気がしております。
近年の支払い手段としましては、ご承知のとおりプリペイド方式に加えて、FeliCa、QRコード方式などの手法が開発されて、新たなサービスの提供が展開されています。また、最近では、ブロックチェーン技術のペイメントエリアへの応用に対しても期待が高まっていると感じております。しかも、どういった主体、誰がこれらのサービスを提供しているかということで言いますと、伝統的な金融機関のほかでもeコマース企業、通信キャリア、IT企業、フリマ企業、さらにはメガプラットフォーマーなどが重要な役割を果たすようになってきているのが特徴だと思っております。
もう一つつけ加えますと、先ほどの7ページの2つの円グラフの左側の外延をもっと広げる、あるいは広がっていくような動きがあるように思えます。どのようなものかと言えば、さまざまなサービスが連結されて拡張するような世界も想定されるのではないでしょうか。例えばということでは、証券取引とその決済であるとか、物品の売買とその決済、企業独自の通貨、エコシステムの中での決済、そういったものが今後広がっていくのではないかと思っております。このスタディ・グループの射程をそこまで広い領域まで広げるかというところについては、私もよくわかりません。しかしながら、少なくともそういうような拡張の可能性も意識のどこかに置きながら、広義の決済チェーンの安定性の確保を目指すことができればよいのではないかと感じております。
以上が私の現状に対する所感でございます。
次に何を守るべきかということについては、決済、この場合の決済というのはペイメントとセトルメントも含めてでございますが、これは国民経済活動の基盤を支える極めて重要な社会インフラであるということは言うまでもありません。このことに鑑みれば、決済の法制度的な安定性を確保するということが極めて重要な政策的な目標であるということでありますし、個々の取引や決済で求められる債権債務関係の解消を迅速かつ確実に、しかも不可逆的に実行することを担保する制度を整備するのが重要なのは言うまでもありません。その中には、もちろん顧客資産の保護というものが含まれると認識しております。さらには、利用者の個人情報の適切な管理と保護、加えてマネーロンダリング、これは特にロットの大きな送金などでの資金の移転については、管理を強化する重要なポイントと認識しております。
それでは、アプローチをどういうふうにすればいいかということについては、今申し上げたように、決済をめぐるサービスの内容がますます多様性を高める中においては、しかも重要なプレーヤーとして金融の世界から見て異業種に当たる企業が参画する状況を目の前にして、制度設計を考える者としてどのように対応すればよいのでしょうか、これが大きなクエスチョンだと思います。
私なりの回答としましては、必要な法制度の整備を施すことはもちろん重要であるとした上で、それとともに今まで以上にフレキシブルな対応、すなわち、柔構造的なフレームワークを活用するというハイブリッドなアプローチが効果的であるというものであります。守るべき原則をしっかりと定めた上で、自主規制などのソフトローの手段を積極的に活用する。また、イノベーションの芽を摘まないという観点からは、リスクベース・アプローチも巧みに取り入れるというような配慮が重要であると思います。規制対応のコストをどれだけ抑えることができるか、これがイノベーション促進の観点から重要な検討課題と思っております。先ほど加毛メンバーもおっしゃっていた規制の強化と緩和の余地、この双方に同時に目配りをすべきという考え方に非常に賛成するところでございます。
もう一つ、送金サービス提供者に対する規制のあり方ということについて若干意見を申し上げます。まず、送金リスク全般につきましては、私は、決済のデジタル化やテクノロジーの進展によって、送金事務処理の短期化、リアルタイム化が加速されているため、決済プロセスそのものに伴うリスク、特にタイムラグに伴うリスクは、既に相当程度軽減されておりますし、今後も削減が期待できるのではないかと見ております。そうすると、残る主要なリスクは、送金システムのトラブルが生じた場合、それから、先ほど来ご議論になっていますけれども、業者が破綻した場合のリスクをどのようにマネージするかということだと思います。
それからもう一つ資金の滞留の背景について、これは、植田メンバー、それから岩下メンバーも先ほどおっしゃっていました、低金利云々というところにもあるとは思いますけれども、私がもう一つ感じていることは、これは現在の取引ということよりもむしろ将来も展望してということですが、おそらくサービス提供者側、特にフィンテックベンチャーなどについては、みずからの送金関連の事務に乗ってきた顧客の資金をできるだけ身近に置いて、他の附随的なサービス、それは他の金融サービス取引かもしれませんし、商品の購買かもしれませんし、いろいろなエコシステムへの送客かもしれませんけれども、そういうものを提供したいとのインセンティブが働くのではないかと思っています。それ自体がダイナミックなサービスの提供につながるのではないかと考えられます。
他方顧客サイドでも、その他の付加価値のあるサービスの提供に対する期待が生じる、そういうものが背景にあるのではないかと感じております。もしそうであるとすれば、資金の滞留に対して必要な手当というのは、顧客資産のきちんとした管理、分別管理などをしっかりと求めるといった、決済分野固有というよりも、預かり資産などの管理において既にいろいろと検討が進んでいるような切り口から求められる規範をうまく適用するということができたらいいのではないかと現時点では感じております。
それから、資料2の2(2)にある、上限金額を引き上げる場合の留意点としては、マネーロンダリングなどの違法行為に対する対処があると思います。取り扱う金額の多寡にもよりますけれども、ロットが大きくなればなるほど、これまで銀行などが苦労して行っているような厳格な本人確認を初めとしたAMLなどのレベルを相応に引き上げる必要が出てくるかもしれないと感じております。それから、特殊詐欺の被害増大につながらないような防衛策についても一層の注意を要すると思います。
最後に、資料2の2(3)の留意点です。そうした規制をもし上乗せする場合にも、これまで送金サービス提供者やフィンテックベンチャー企業が創意工夫を凝らしているような少額取引のエリアに対しては、追加的な規制の賦課をできるだけ避けることによって、イノベーションの芽をつまないよう配慮をすることも望ましいと思えます。
以上です。ありがとうございました。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、たくさんの方から札を立てていただいておりますけれども、福田メンバー、舩津メンバー、坂メンバー、松井メンバー、翁メンバーの順で、福田先生、どうぞ。

【福田メンバー】
ありがとうございます。
事務局の資料を非常に興味深く読ませていただきました。2点コメントをさせていただきたいと思います。
まず第1点は、規制の柔構造化ということで、私も基本的には賛成ですけれども、この二次元の図でいいのかどうかということに関してです。規制の重さがリスクのみに対応して重くなっていくということでいいのか。具体的に言うと、三次元目のもう一つの観点としては、利便性という観点もあってもいいのかということです。リスクは同じでも極めて便利だ、あるいはコストが非常に低いサービスを提供している業者がある。そのときには、しかしリスクは同じだから規制は一緒だということは、1つの考え方だとは思いますけれども、例えばイノベーションを促進するという観点からすると、やや厳し過ぎるかという考え方もあって、いいサービス、いい利便性を提供する業者というのは、規制の観点から、リスクは同じだとしても、少し大目に見てあげるという考え方は、規制の柔構造化というイメージとしてはあり得るのかと思います。もちろんそのときに、リスクがわかりやすく十分説明されているということは大事だし、新しいサービスでどんなリスクが起こるかわからないということはないようにするということは大事ですけれども、三次元目の観点というのも柔構造化を考える場合には大事ではないかというのが私からの第1点目です。
それから、2点目は、若干超越的ですけれども、銀行自体が変わらなくていいのかという観点はあるかとは思います。銀行もなかなかイノベーションがない産業ではあったけれども、新しいイノベーションに直面していて、今までのようなサービスだけを提供していては、なかなか収益を確保できないという時代に入ってきていて、銀行も伝統的なサービスも提供しながらも、フィンテック業者がやっているようなサービスを銀行自体がやっていくという時代には少しずつ入っていくとは思います。
例えば、送金サービスで資金移動業者がやっているのとほぼ同じようなサービスを銀行自体が行うということも、これからは十分にあり得ます。それを銀行本体でやるのか銀行子会社でやるのかはわかりませんけれども、そういうことを銀行がやったときに、銀行がやるのだから100万円の上限はないけれども、同じサービスを業者が銀行ではないからやったら100万円の上限がかかるということでいいのかという問題はあり得ると思います。おそらく銀行自体も今後は変わっていくという発想もそれなりに大事で、私自身は変わっていかなければいけないと思います。銀行の中でも、もちろん伝統的な銀行だけではなくて、流通系の銀行とか、そういうところ自体はそういうことにもむしろ積極的なところもあるわけで、そういう銀行自体がここで言う資金移動業者なりのサービスとかなり類似のサービスを提供するときの規制の平等性を確保することも重要です。銀行は、もちろんいろいろな規制に直面していて不利な面もたくさんありますけれども、他方で銀行であることによる有利な面もないわけではなくて、そのバランスでどう考えるかという観点というのは、それなりに大事だろうとは思います。
私からは以上でございます。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
隣の舩津メンバー、どうぞ。

【舩津メンバー】
ありがとうございます。
決済を資金移動と債権債務の関係の解消という2つを含めて、そこに金銭のみならずほかの手段も含めるというのが中間整理のスタンスであり、このように広く捉える必要があるということは言えるかと思います。その際、本日はあまり焦点が当てられていませんけれども、前払式支払手段というものも決済の手段として把握すべきであるということはもちろんかと思います。
例えば、資料1の10ページを見てみますと、資金移動業以外でこういうような形で資金移動のようなことができているというようなことがあるわけですけれども、どういうユニットかはともかくとして、残高というものが実は送金に使えているようにも見えるし、そうではなくて、実は送金というには足りない、ニーズとしては満たしていないとも見ることができるということかと思います。
これを利用者の側から見ますと、ポイントという言い方はよくないかもしれませんけれども、同じ残高を有しているわけですけれども、その残高を有している相手が資金移動業者であれば現金化できる。しかし、資金移動業でなければ現金化ができないということで、個人的な感想としても、なぜこの業者からは引き出せないのだろうかというようなことを思うことはしばしばあるわけです。
そうしますと、この規制の問題というのは、前払式支払手段については払い戻しが許されていないという点になるわけですけれども、これは、要するに預り金を銀行以外が基本的に受け入れられないという話につながってくるのかと思います。まさにそこが、今回の主たる論点である送金の上限額の話ともかかわってくる話であり、預り金をなぜ受け入れてはいけないかということをもう一度吟味していく必要があるのではないかと考えております。送金上限額の問題も、資金の滞留、幾らまで滞留させてよいか、どれぐらいの期間滞留させてよいかという話なわけでして、それも結局のところ、預り金を禁止する趣旨と密接な関連があるわけです。
裏返して言いますと、滞留を問題とするかということは、言い方はよくないかもしれませんけれども、決済性預り金というものを認めるかどうかという問題ということになるかと思います。仮にそういうジャンルをもう認めるべきではないということであれば、イギリスのような形で、時間を切って、もうそれ以上は滞留させないというのが規制態度としては一貫しているでしょうし、おそらくそういう規制態度は、前払式支払手段についても及ぼすべきではないかと考えられます。他方で、決済性預り金というものを認めていくのだという方向に行ったとした場合であっても、加毛メンバーからもご指摘があったかと思いますけれども、リスクベースで考えて、例えば少額であれば要保護性が低いのだから少し規制を変えるのだということは、当然あり得る話かとは思います。
それがまず送金に関する1点目の話なわけですけれども、もう一つは、仮にそういう形で前払式支払手段についての払い戻しも含めて考えていくということにした場合に、戸村メンバーからご指摘がありましたように、本人確認をしなくていいから便利に使われていたという部分もあったと思います。そうなってきますと、そのまま本人確認がないままで現金化まで認めるということになると、マネロンとか特殊詐欺の問題というものがさらに前面に出てくるということになるかと思います。
先ほど、リスクベースで考えて少額であれば要保護性が低いと一応考えられると思うと申し上げたわけですけれども、ただ、そういったマネロンとか特殊詐欺といった犯罪行為に関する問題を金額でリスク評価してよいのかという点は、何というか、ためらいを覚えるところでもあり、難しい問題かと感じております。
以上でございます。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、坂メンバー、どうぞ。

【坂メンバー】
ありがとうございます。
5点ないし6点ほど述べさせていただければと思います。
まず、1点目、今ご指摘があった点と若干関係するのですけれども、資金決済法では、資金決済の実行を確保するために、事業者に体制整備を求めるとともに、資金保全義務を課していると。払い戻しは原則不可とする前払式支払手段と、払い戻しが行われる資金移動業で、資金保全義務の内容を異にしていて、これはリスクの性質に応じた規制内容としてつくられているものだと思います。ですから、実質を考えますと、現金を戻していいかどうかというところは、金額の問題もありますけれども、保全措置がどの程度きちんと確保されるかということとの相関関係で検討すべき問題であるかと思います。
2点目ですけれども、規制の範囲をどうするかということとの関係では、収納代行をどうするかということと、それから、ポイントをどうするかというところが論点になるのだと思います。まず、収納代行についてですけれども、現行は資金移動業の規制対象とはされていませんけれども、これは法制定当時に、コンビニの収納代行ですとか、あるいは代引きを念頭に、利用者の代行者への支払いと同時に原因関係上の債務が消滅するのであれば、利用者から資金を預かるという状況はなく、必ずしも利用者保護の必要性は高くないのではないかと考えられたことによるものと思います。ここでは、基本的にBtoCの取引を念頭に、事業者である債権者側が資金移動のリスクを実質的に負担するということが前提とされていたのだろうと思います。
他方、この10年近くの間にさまざまなサービスが新しく生まれていて、例えば、事務局資料の10ページの(2)のサービスなどについても、これは新しく出てきているものであろうと思います。これは、収納代行という法的形式をとるということでありますけれども、先ほどもご指摘がありましたとおり、CtoCの決済ということになり、これを収納代行と考えた場合に、債務者の資産保全という問題は生じないかもしれませんけれども、債権者側の資産保全という問題は生じますので、これはどのように確保するかということは重要な課題ということになっているのだろうと思います。
改めて収納代行については、これを為替取引の一形態として、資金移動業の規制対象にすることを明確にするということも1つ重要な選択肢として考えるべきではないかと思います。もっとも全ての収納代行を同じように一律に規制するかということは議論があり得るところだろうと思いますので、相応の適用除外ということもあわせて考える必要はあるのだろうと思います。
次に、ポイントについてですけれども、ポイントについても、この10年近くの間に発行額がどんどんふえ続けていると。報道されているところでは、2017年度の発行額は1兆8,000億円近くというふうにも言われているところと思います。また、中身においても、汎用性の高い共通ポイントを採用する事業者が拡大して、利用者の利用も広がっているというのが実情と思います。おまけとしての性格から、次第に現預金に準ずる決済手段としての性格を強めていると思われますし、その傾向は今後強まっていくと思います。
また、現行法上、対価を支払って取得するポイントについては、前払式支払手段として規制する、対価を支払わないポイントについては規制対象から外れるという枠組みになっていると思いますけれども、この枠組みをめぐる状況も変わってきていると思います。現状は、ポイント業者が利用者の購買履歴という経済的価値のある情報を得て利益を上げるという状況になってきています。利用者は、情報を提供してポイントを得ているわけで、このやりとりは、経済的にある種の対価関係としての性格を強めているのではないかと思われます。金銭的な支払をしないポイントについて、単純に対価の支払いがないものとして評価してよいか、疑義のあり得るところと思います。
さらに、この点とも関係しますけれども、ポイントサービスについては、適切な情報管理を確保する要請も以前に比べて格段に高まっていると思います。
現行法上、ポイントについては、会計上のポイント引当金で対応していると思いますけれども、これで足りるかどうかということは検討が必要で、例えば、前払式支払手段の一形態、あるいはそれに準ずるようなものとして、何らかの規制枠組みを考えるということも選択肢の1つとして考えるべきではないかと思います。ただ、いずれにしてもポイントについては、現状の把握が第一と思いますので、その点をぜひお願いできればと思います。
それから、次に資金移動業の関係ですけれども、14ページの表の中に、現状の規制の説明がされており、この中で利用者資金の滞留について議論があるところと思います。記載のとおり滞留金額の上限規制等は設けられていませんけれども、資金決済法立法当時の国会の審議を拝見しましても、資金の滞留はあくまでも資金移動に附随するものであって、基本的に一時的なものであり、資金を長期に預けることや、資金の保管を主目的とした利用は前提とされていないように思います。
他方で、この間の経過と今後の展開に鑑みますと、キャッシュレスの推進等の中で資金移動業者のアカウントにおいて資金が滞留する傾向というのは、今の制度を前提にすると強まっていく可能性があるのだろうと思います。こういう状況の中で、現行の履行保証金の制度が十分かどうかは要検討かと思っておりまして、具体的には、現行制度上の供託額について、算定のその基準期間と実際に供託される時点との間の1週間のタイムラグ、この間に資金移動業者が抱える残高が大きく増大するということになりますと、供託額が不足するという事態も生じ得るところかと思います。また、その供託額の取り戻しに時間がかかるということも指摘をされているところで、こうした点について、何らかの手当てができないかどうかは、検討するべき点ではないかと思います。
こうした見直しは、100万円の上限額の緩和にかかわりなく、現状、滞留ということが傾向としてあるということであれば、利用状況の変化に合わせた制度の更新として検討すべきではないかと思います。
以上は、資金の滞留を前提とした考え方ですけれども、これに対して資金の滞留自体に対して手当をするという方法もあり得るとは思います。英国の送金サービス提供者のあり方や、15ページのような方法も紹介されておりますけれども、こういった方向で手当をするというのも1つの方法かとは思います。
それから、次に資料2の2(3)で言われている点についてですけれども、従来の規制を前提に事業を行うフィンテック事業者の活動に支障が生じるのではないかという点についてです。現在既に行われている事業について、相応に尊重すべきという点は指摘のとおりだと思いますけれども、留意すべき点はあると思います。
1つは、新しく提供されるサービスというのが、既存の法制が想定した形のものなのかどうかという点で、既存の法制が想定した形のものでは必ずしもない新しいものであって、それが新しいリスクを伴うということなのであれば、適切な規制は及ぼすべきであろうかと思います。最近の例では、仮想通貨などは1つの典型ではないかと思います。
それから、いま一つは、新しいサービスの提供について、良質なサービスを提供する業者がいる他方で、あまり質のよくない事業者がサービス提供を行い、そこで問題が生じるということなのであれば、規制の整備は必要かと思います。この規制は、質のよくない事業者が、利用者に見えにくい部分の質を落としてコストを下げることによって、競争上有利になるということを防ぐ観点からも必要があるのではないかと思います。他方、その制度の規制の整備に当たっては、良質なサービス提供を行う業者の取組みが十分尊重されるべきと思いますし、例えば、こうした取組みが十分かどうかということはある程度きちんと見ながら、その標準化を図るとか、そういった観点で規制のあり方を考えることも一案かと思います。
それから、最後に資料2の3のところに関して、前回も若干指摘をさせていただいたところですけれども、利用者保護の観点からも横断化というのは重要な論点かと思っておりまして、今日の資料の中では、資料1の9ページのところにいろいろなサービスの提供のあり方が紹介されていますけれども、この中でも異なるサービスの組み合わせがされた場合に、例えば抗弁の対抗等の利用者保護の法律の適用関係がどうなるのか等、かなり複雑になってくるだろうと思われます。それから、また関係当事者が多くなってくることによって、誰を相手に主張すべきかということについても一般の利用者にはわかりにくいと。こういった問題は既に生じていることかと思います。利用の場で利便性が高まる一方で、保護の程度が低くなるといいますか、保護のあり方に難点が出てくるということ、目に見えにくい利用上のリスクが高まるとすれば、そこは何らかの手当てが必要だろうと思います。
我が国では、前払い、即時払い、後払いは、法律上、法制上、卒然と分けられていますけれども、おそらく一般の利用者はその区別もつきにくいという事情があり、他方で国際ブランドのカード等では、例えば、利用者保護に機能するチャージバック等の適用関係においては、あまり3つの態様を区別してないとお聞きします。特に利用者保護の観点からも、できる限りの横断化が図られるべきと思います。
以上です。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、松井さん、どうぞ。

【松井メンバー】
ありがとうございます。
もう既に皆様がお話しいただいたことと重なるところもあろうと思いますけれども、お許しいただければと思います。
資料2で討議いただきたい事項というものをいただきましたので、これに従って少しコメント等をさせていただければと思います。
まず1つ目の横断化の話でありますけれども、ここには少し次元の違う話が2つあるかと思っております。そもそも債権債務関係の消滅、決済という観点から言うのであれば、これはこのようなサービスを提供している事業者全てが対象になってくるのだと思います。他方で、特に利用者の保護等の話に着目するのであれば、「決済手段」を預かるというところにリスクが発生しますから、ここに着目して規制をかけていくことになるだろうと思います。そうしますと後者の場合、例えば今日の資料1でポストペイと言われている事業者、つまりクレジットカード事業者などは、規制の対象から外れてくるだろうと思います。議論の出発点としては、おそらく私は対象を絞って後者からスタートをしていったほうが非常にやりやすいのではないかと思っております。つまり何らかの形で「決済手段」を預かる、そしてそれを使って債権債務関係を消滅させる、というこの一連のサービスについてどういう規制があり得るのかという点から議論がするのがよいかと思っております。
この議論をする際に、今、少し抽象度を上げて「決済手段」と申し上げたのですが、この内容としては、現金や預金という形をとっている場合があろうかと思います。他方、坂メンバーがおっしゃったように、難しいのはポイントです。当事者の合意でその内容が幾らでも変わり得る決済手段というのを議論の対象にするかどうかは、かなり難しい変数になるかと思います。ですので、これは難しい課題として、後の議論として、議論の順序を変えていったほうがよいかと思っている次第です。
続きまして、2つ目の柔構造化につきましては、全体的な話として私も賛成でございます。2(1)の送金サービス提供者に対する規制のあり方ですけれども、この際に考えるべきは、まず誰のどのような利益を保護するかということと、そしてその保護のためにどのような規制手法を使っていくかという議論かと思います。保護すべき主体としては、1つはこのサービスの利用者、あるいはこの関係者だと思います。決済の依頼者が利用者でありその受け手になる相手方とそのサービスを提供する事業者が関係者でありまして、これらの利益を適切に保護するのは当然のことかと思います。もう1つは、かりにこれらの利用者等がどのような形であれ規制はなくてよい、保護はいらないと言ったとしても、なお規制をかける場合というのがあり、これはシステミック・リスク等のシステムに影響する場合かと思います。この場合は、利用者や関係者の保護の場合とは議論が違ってくるだろうと思っております。
以上に合わせて規制の手法も考えなければいけないわけですけれども、リスクの内容等からサービスの利用者等について特段保護が要らないというような場合があれば、これは民事ルールに委ねればよいのかもしれません。例えば、ほとんど事業者に資金が滞留しないとか、額が非常に小さいとか、業界が自主的にその解決する手段を設けている場合とか、そういった場合には基本は民事ルールで行けば足りるのではないかと思います。他方で、システミック・リスク等につながる場合については、非常に高度な規制、特にエンティティ規制を中心とした高度な規制が要るということになるでしょう。おそらくその中間が今回のこのスタディ・グループでいろいろ議論されるところだと思いますけれども、エンティティに対する緩やかな規制があるのか。例えば、エンティティに対する行為規制としてどのようなものがあるのか、あるいは情報開示等で対応できる部分があるのか、そういった規制手法のミックスを考えていくということが必要になるのだろうと思っております。
それから、2(2)の利用者の資金の滞留の規模の話でございますけれども、これは、資金規模が大きくなれば利用者の要保護性が高くなる、要するに何かでトラブルが起こったときに保護すべき必要性が高くなるのは言うまでもないかと思います。また、資金規模が大きくなれば、その資金がその後に展開する可能性も高くなるわけですから、当然単なる利用者の保護にとどまらないリスクが高まっていくということになるのだろうと思います。その資金規模の線引きをどこにすべきなのか、私もほとんどわからないのですが、ただ例えば、資金規模が大きくなったときに事業者が供託金を積んでいくと言っても、あるところからは多分禁止的にそれは難しくなっていくはずで、そこはどこなのかというような問題はあるかもしれません。あるいは、ある程度資金規模が大きくなったときに、要はシステミック・リスクに至らないようにとりうる手法としてどこに限界があるのか、というようなことも突き詰めて考えなければいけないと思っています。これは、私自身まだ解がありませんので、今後自分でも考えたいと思いますけれども、おそらくどこかにそういった閾値があるはずなので、それを可能な限り探していくという作業が必要になるのだろうと思いました。
また、2(2)と関連しまして、これはこれまでさまざまな委員の方がおっしゃっていることですけれども、資金を預かる期間が長くなれば、その分だけ利用者の保護を図るべき必要も出てきますので、これがもう一つの変数としてあるのだろうと思いました。
それから、最後の2(3)のフィンテック事業者の活動への支障というのは、これはおそらく最初からこれを目的として規制を考えるという類いのものではなくて、利用者の保護や、あるいはシステムへの影響といったことを考えて規制を考えていく際、過度にこのフィンテック事業者の活動を制約するような形に規制をつくらないようにする必要があるということで、附随的に考慮していく要素かと思いました。そういう意味では、最初からターゲットにはならないけれども、規制を構築していく際に常に置いておかなければいけない視点なのだろうと思いました。先ほど、福田メンバーが3つ目の軸とおっしゃった点につきまして、私はそのように理解しておりまして、その意味で2(3)は、2(1)や2(2)と少し次元が違う形で議論ができるのかと思った次第でございます。
以上でございます。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、翁さん、どうぞ。

【翁メンバー】
ありがとうございます。
資料1の3ページのところに規制の柔構造化のイメージという図がございますが、その右側のリスクがどういうリスクなのかということを考えてみますと、まず1つは、ここに書いてある利用者の保護の観点のリスクということになりますが、例えば、事業者が破綻する場合とか、うまく確実に決済が履行できないリスクというのが理念的にはあると思います。それから、あとはマネーロンダリングの問題のリスクというのがあります。あと、システミック・リスクという視点をどう考えるのかという視点があるかと思います。
こういったリスクに対してどういうふうに規制を考えていくかということを考えた場合、利用者の保護ということをまず考えますと、確実な履行については、オペレーションの話であり、例えばタイムラグを短くする、サイバーセキュリティをどう確保するか、あと、先進的な事業者がやっている、データ分析を行って送金のサービスを提供しているわけですが、こういったところは、むしろイノベーションの部分でございますので、業務設計をどう工夫していくかというようなことが非常に重要になってきて、伸ばしていく部分だと思います。そういったところは、できるだけ規制というよりもインセンティブをつけしっかりと技術革新等を発揮できるような設計を考えていく必要があると思っております。
一方で破綻の場合の利用者保護の観点で重要になってくるのは、皆様ご指摘になっているように、その資金の滞留の部分だと思うので、そこの部分についてきちんと保全できるようなことを確保していくということは重要な視点であると思っております。
それから、マネロンにつきましては、送金を考える以上、こちらは金額の大きさによらず、委員の方のご指摘もありましたけれども、本人確認やAMLに関してどうやってしっかりと体制を確保していくかということは、送金という分野に入った事業者については必要になってくると思っています。
それから、システミック・リスクという観点に関しましては、規模とかインターコネクテッドネスとか、そういったことが論点になるので、小規模な事業者について、そこまでシステミック・リスクというところまで考えなくてよいのではないかと思っております。
ただ、今日ご紹介にありました英国の大規模な送金業者というような業者については、トランスファーワイズとかだと思うのですけれども、こういったところは、今までとは全く違う、その100万円を上げるというレベルではなく、億円単位の送金を迅速にやっていくというようなニーズに応えるサービスだと思いますので、ここはまた違う考え、むしろシステミック・リスクとか、そういったことを意識した設計がどうできるかということを考えていく必要があるのではないかと思います。
ただ、そこについては、預金とは若干異なるので、私は、預金保険の世界に入れるというよりは、預金者保護という視点や貸し出しをするというものとは違うので、少し違う設計を考えたほうがいいのではないかと思います。イギリスの場合は、イングランド銀行の当預につないでいるわけですけれども、むしろそういった新しい、少し違う視点で考えていったほうがいいのではと思います。
一方で、小規模なところにつきましては、実態を踏まえて100万円を上げていくということについては、私は利用者利便の観点から、この金額をどこまでやるかという問題はありますけれども、引き上げを検討していくことが必要で、その引き上げ額に合う軽度の規制対応について考えればいいのではないかと思っております。
新しい大規模資金業者みたいなものが出てきたときに、これをまた異なる業として新たな何とか業というのを入れるのかというようなところも、今、業から横断的に考えていくという流れもあるので、シンガポールではまだ検討中ということですけれども、参入は決済業であるけれども、どういう行為をするかということで少し追加的なルールを考えていくといった法律の設計も少し考えてみてもいいのではないかと考えております。
それから、先ほどほかのメンバーからもご指摘があったのですけれども、銀行業の送金と新しい資金移動業者というのは、異なるリスクであるということでありますので、そこの開示をきちんとしていくということは重要な視点だというふうに思っております。
ただ、一方で、そうであるから預金だけが非常に特別なのだということがあまり際立つのもまた少し問題であり、あまりそこが行き過ぎると、預金だけが特別で、だから守らなければいけないものであるという、その預金であるからこそそこのセーフティネットを盤石なものにしていくということであると、またそのコストが大きくなってしまうので、同時に銀行の預金を何とか守らなければならないというようなコストも引き下げながらやっていくということが大事かと思っています。むしろたくさんの資金移動業者が出てくるということは、そういった銀行のコストやプレッシャーというのを少し減らす方向にも作用すると考えております。
最後で、資金移動業者について供託のやり方についてご説明をいただいたのですが、ここの部分は、もう少し迅速処理ができないのかと。利用者の保護というのは、銀行ではまさに迅速処理ということを担保するということが重要なやり方であると考えてきたわけでございまして、もっとITを活用したりして、もう少し時間を短縮し、効率的な処理をすることによって利用者を保護するということとも検討できないのかと思います。
以上でございます。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、田中さん、どうぞ。

【田中メンバー】
ありがとうございます。
金融庁がこういう会合で飲み会の割り勘をうまくやっていくための制度をつくるのを議論するというのは、大変楽しい議論だと思って聞いていましたが、この間までいましたコンサルティング会社の人が、最近というか半年ぐらい前だったですかね、上海へ行ったのです。中国人の同僚と、まさに飲み会をやりまして、それで割り勘で精算をやろうと思ったら、同僚が6人ぐらいいたのですけれども、6人はみんなアリペイで支払い、その出張者が現金を出したら、そのうちの1人が、いや、1年ぶりに現金を見たと言って、すごくエンバラッシングな状況になったというようなことを聞いたことがあります。世界で最も科学技術の進んだ国から来た人がそういうふうな立場になるというのは、何とかならないのかという気がするのです。
先ほど来お話を伺っていて、私は、福田メンバーがおっしゃったところがものすごく大事だと思っております。こうした議論を続けていくと、どんどんどんどん細かいところに入っていくのですが、原点は一体何だったのかと思うと、デジタルイノベーションが世界中で進んでいて、そしてそのことの結果、利用者利便というものがどんどんどんどん変わってきているいうことだったと思います。幾つかのポイントがあると思うのですが、ひとつは、決済コストです。デジタルイノベーションの結果、決済のコストが非常に低くなってきている。一方で、日本の状況を見ると、国内の送金手数料みたいなものがだんだん上がっていくとか、夜の9時以降に自分の口座からお金を出すと108円取られるとか、そんなことが新たにどんどんどんどんふえてきているというコストの面です。利用者にとってのコストという論点が、デジタルイノベーションとの兼ね合いではどうしてもあると思います。
それから、海外送金。これもウエブサイトをごらんになりますとさまざまな比較がされていますけれども、非常に高い、しかも遅いという、そうした論点が利用者側から随分言われているわけで、それを解決しようとしているのがまさにデジタルイノベーションを使った新しいフィンテックの業者たちです。
今日の議論の中でも少し思っていたのが、グローバルな資金フローについての論点があまり出てこないという気がいたします。例えば、最近テレビを見ていましたら、新宿にKYODAI Remittanceという会社があるのですかね。この会社の特集がされていまして、バングラデシュとかインド、ネパール、パキスタン、スリランカ、フィリピンとか、その他そうした国から日本に来て働いている人たちが、自分の家族に仕送りをそこからしているのです。そこから仕送りをするためのコストはものすごく低い。また、お金の到着に関しては、送り先に電話をすると、そこで直ちにその到着がわかるみたいな、そういったことがどんどん進んでいる。今政府でいろいろやっておられますけれども、外国人労働者がふえるということになるでしょうし、そうした方々が家族に仕送りをするに当たって、そうしたサービスが一番使われているという実態がそこにはあります。
それから、かつて、私は銀行で営業をやっていましたときに、日本の大企業が、例えばアフリカなどに駐在員を送って新たな事業をやるとか、プラントとかプロジェクトを始めるというときに、自分のところの従業員を送るわけですが、そこへ給料や経費の送金がほとんどできないというケースが幾つもあるのです。そうすると何カ所かの銀行を通じて給料を送るのですが、何とそのときの給料の金額よりも手数料のほうが多かったという経験があります。そういうのもこのデジタルイノベーションで変わっていくのだろうと思います。
そういうことを考えますと、もう1回繰り返しになりますけれども、この利用者利便ということを、決済コストの視点とか、迅速にお金が流れていくという論点とか、それから、グローバルな資金フローという観点というのは、見過ごすことはできないだろうと思います。そうやって何とか日本の決済の世界も国際的な競争力のある決済制度にするんだという視点を持っていただきたいと思います。
先ほど福田先生がおっしゃった第2の論点も非常に大事なものだと思うのですけれども、結局日本のフィンテックがいろいろなレポートの中で、大幅に世界からおくれてしまったとされている一番の理由は、UXの顕著な改善がないというところにあるのですね。要するにユーザーエクスペリエンスが大幅に変わってこないというところが大きな論点として上げられております。バックオフィスに新しいテクノロジーを使っています、AWSを使っていますというような話はよく出るのですが、ユーザーからするとSo what? ですよね。ところが、海外のフィンテックというのは、ユーザーエクスペリエンスを大幅に変えているというところが大事であって、そうしたことをこのデジタルイノベーションの中で推進していくと、そういう制度設計が私は必要なのだろうと思います。
1つ、今日いただきました資料の中で少し細かいことを申し上げたいと思うのですが、資料1の15ページをごらんいただけますでしょうか。この表ですが、私もこの会社をよく存じ上げていますが、この矢印を見て皆さんはどういうふうに感じられるのかと思ったのですね。この銀行口座から送金サービス提供者へプロセス①とあるのですけれども、これはお金の流れですか、それとも送金指示の流れですかという論点があると思うのです。
日本から、例えば東京にある銀行の支店からフランクフルトにある取引先の口座にお金をドルで送りますというと、送金の指示というのは、そのフランクフルトの銀行にも行くのですが、ドルですからこれはニューヨークにある支店に決済のための指示が行くわけです。ですから、お金の流れというのはどういうふうになるかというと、そのフランクフルトにある会社のニューヨークにある口座と日本にある銀行のニューヨークにある口座の間で発生します。つまりニューヨークでお金の流れが発生するわけです、ドルとドルの。しかし、指示は日本からフランクフルトへ行くわけです。この15ページは一体そこはどういうふうに分解しているのだろうと思います。法律の議論をするときは、それは物すごく大事なポイントだと思います。
この絵で見ますと、少し足したほうがいいかと思うのは、一番左の銀行、仮にこれを東京にあるA銀行としましょうか。500ユーロのかわりに50万円送りましょうとします。アカウント(利用者a)の持っているところにプロセス①は、これは指示をするわけで、ではお金の流れはどうなるかというと、この送金サービス提供者が、ここには書いてないのですが、この下に四角か何か、丸でもいいですけれども、B銀行というのをつくって、そのB銀行にこの送金サービス提供者が持っている口座、そこに一番左の口座からお金の流れとしてはそこに行くわけです。そして、プロセス②というのは、これはお金の流れではないですね、指示ですよね、お金を動かすための指示が行きます。そうすると、一番右側、仮にこれはニューヨークとしましょうか。そうすると、この50万円を送ったときに、アカウント(利用者b)のところ、この下にC銀行というのが仮にあるとします。これはニューヨークにある銀行となります。そこから、50万ですから、今ですと大体4,500ドルぐらいですかね。送金サービス提供者が持っているC銀行の口座から一番右にある、これはD銀行としましょうか、その口座にお金が流れるということで、要するに50万から4,500ドルに関しては、真ん中のところでお金は流れてないのですね。だから決済は早いわけです。指示だけで全て終わるということで、そうするとここで議論すべき資金の滞留というのは一体どこにあるのだということについては、ここに書いてないところに滞留するわけで、そこの部分についてどのように保護するのかという議論になっていくはずです。したがいまして、いろいろなケースがあると思うのですが、この決済を考えるときに、指示の流れとお金の流れは分解してよく理解するということが私は大事だと思っています。
それから、14ページに戻りますと、これは資金移動業者の例ですが、先ほどご説明はなかったのですが、今の論点について、ある意味ではサポートする技術がありまして、14ページの一番右にある【参考】の一番下にございます保全義務の①、これは、要するに「受入日の翌営業日を超え保持する場合」ですけれども、「分別管理の上、銀行預金もしくは当局が承認した安全資産への投資」となっていまして、今ご説明した中では、書いてない銀行に口座があるというのは、まさにその分別管理されているという、そういうことになるわけです。したがいまして、このお金の流れというものがきちんとこういう形で理解されて、かつそこに保全義務がかかっているというのがイギリスのこういう認可制の制度ですから、そこをしっかり理解していただく必要があるだろうと思います。
そういうことに加えまして、今日いただきました資料2には、討議いただきたい事項として、2に「決済」分野の規制の柔構造化、(1)、(2)、(3)とあるのですが、私は重要な論点が抜けていると思っていまして、その重要な論点は、日本だけにこの100万円のシーリングがあるわけですよね。そうすると、論点として、なぜ海外では全くない規制が日本だけあるのかという点が欠如していると思います。このガラパゴス規制みたいなものがなぜ日本にあるのかという論点があってもしかるべきではなかろうかということです。そして、海外でない規制が日本にあることに起因する課題は一体どういうものがあるのだろうという論点もあります。それは、世界のお金の流れの中で、日本のところだけ絞ってしまうという形になっていますから、私はいろいろな会合で何回も申し上げたと思うのですが、この100万円規制はなくすべきだと思っていますけれども、そうした論点がここに出るべきだろうと思います。
それから、最後に若干付加的なお話ですが、これは、BSA/AML、マネロン、犯収法その他の論点ですけれども、これをどんどんどんどん厳しくしていくと、欧米でもそうですけれども、物すごくコストがかかる。要するにコンプライアンスコストがいかに金融機関の収益性を弱めてきたかということは、もうこれは歴史的事実でありまして、それをこの業界に同様の形で適用していくということのレギュレーションの結果というものをしっかり認識しておく必要があるだろうと思います。先ほど来申し上げています決済コスト、それを明らかに高めるということにつながるでしょうし、そうすると、その解決策は何があるのだろうということをしっかり考えなければいけないと思います。
BOEその他でも検討されていますけれども、こうしたマネロンに関しては、別にこの資金決済業者だけに限らず、そろそろ金融界全体としてコモンキッチン化を考える必要があるのではなかろうかという気がしています。1つのユーティリティカンパニーをつくって、そこにBSA/AMLに関する情報を、犯収法もありますから警察庁とも共同しながら情報を集め、そこの証明書が得られれば、そのBSA/AMLに関するチェックは終わったというような形のコモンキッチン化、もしくはユーティリティ化、そうした機構をつくることをそろそろ真剣に考えるべき時期に来ているのではないかと思っております。
以上です。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、森下メンバー、どうぞ。

【森下メンバー】
ありがとうございます。
規制の柔構造化ということは、これまでメンバーもおっしゃられてきたように、ぜひ実行されるのがいいのではないかと思います。規制の対象についてお尋ねがありますけれども、資料1の8ページの表の中にある相殺のようなものと、実際に資金を送る、あるいは取り立てるようなタイプの決済方法ではかなりリスクも違ってくると思いますので、そこは、法制度のつくり方としては、大分違うものがまざっているのではないのかという気がいたします。
ポイントについては、先ほど来お話があったところで非常に難しい問題だと思いますけれども、無償だからいいのではないかというようなことで割り切るか、あるいは、利用者がある程度の価値を期待しているものを預かっているというような形で評価すれば、他の決済手段と同じような点も出てくると思いますので、ポイントについてはやや微妙かと思いますが、これは利用者利便という観点からいきますと、いろいろな創造性が発揮されていろいろなビジネスの発展に貢献しているところですので、何らかの規制をするにしても、よほどリスクが際立ったものを規制するというような形になるのではないのかというような気がいたします。
それで、決済に関する法制を考えるときには、今までお話もありましたように、安心して安価で利用できるようなものとすることに貢献できるような決済法制がいいと思うのですけれども、預かった資金の取り扱い、その滞留資金とか、そういったお金を預かったまま破綻した事業者に対してどうするかということのみならず、これは翁メンバーもおっしゃったと思うのですが、さまざまなリスクとか考えなければいけない要素があるのではないかと思います。
資料などに出ています欧州、あるいは英国の事例などにおきましても、破綻に対する備えというようなこと以外に、例えば確実に約束を履行しているかと。あるいは、例えばそれとの関係では、一定の期間内に送金が処理できなかった場合には一定の責任を負い得るとか、あるいは、送金がつかないというようなクレームが顧客からなされたときには、業者の側が積極的に説明をする責任を負うとか。あるいは、無権限の資金移動などについても規定を設けていると思いますが、我が国では、その無権限の取引に関するルールという部分は全銀協の取り決めに委ねられている、あるいは、少なくとも法制では手当がされていないというようなことがあるかと思います。あるいは、そのお客さんに対する一定の情報を提供しなければいけない。あるいは、顧客情報をどう取り扱わなければいけない。決済の法制としては、破綻の滞留資金の取り扱い以外にも気にしなければいけないことがいろいろありますので、今回このような形で決済の法制のあり方ということについてしっかりと議論しようという機会ですので、少し視野を広げてご議論いただくのが、ご検討いただくのがいいのではないかと考えています。
預かった資金の取り扱い、滞留資金の取り扱いということに関してですが、ほんとうにこれはどう滞留しているのだろうと。どこでどれぐらいのものが滞留しているのだろうというところがよくわからないというようなことがあろうかと思います。これは資金移動業者についてもそうですし、先ほど田中メンバーからお話のあったような部分も、どこに何がいくら滞留しているのかということによって全然リスクの度合いが違ってきまして、それによって規制のあり方も違ってくるのかと思います。一見滞留しているように見えても、それと対当額が常に、ほぼ対当額が常に供託をされているというメカニズムがとられているのであれば、それは現実的なリスクとしては低く見積もることができるということもできるかもしれませんし、そうでないのだとすると、何らかの形で事業者がフリーに使える資金が滞留するということになると全く別な話になるかと思います。
銀行の場合には、ここでフリーに使えるお金がどんとあるということですので、預金保険とかそういうような規制があるのだと思いますが、その部分、どういう形で滞留しているのかということについてもう少し細かな分析なりをしていかないと、適切な規制のあり方、ほんとうに過不足のない規制というのは難しいのではないかと思います。
あともう1点、破綻によるリスクとの関係では、私法上の整理というのも非常に重要で、例えば、特定の目的で分別して管理されている口座に保管されている資金が誰に帰属をするのかというところのちょっとした整理の仕方。これは必ずしもはっきりしない部分もあるのかもしれませんけれども、そういった部分の資金の帰属の整理の仕方によって、利用者が抱えるリスクの量というのが大分変わってくるかと思います。あともう一つは、破綻の処理の仕組みなどにもよって、一時的に払い出せるのかどうかとか、そういうような私法上の仕組みも検討することによって、リスク量も変わり、不必要な過度な規制を課さなくてもリスクの調整をすることができるということもありますので、この機会にそういった私法の観点からの整理もできないのかどうかということは検討すべきではないかと思います。
あと、確実に資金を届けることができるか、あるいは確実に指図を届けることができるかというような観点では、必ずしも預かった資金の取り扱いということとは関係がなく、その資金を預からなくても、あるいは、いろいろな決済の事業者についても共通するようなリスクで、仮に100%供託でカバーされているといったときであっても、例えば高額の資金について着実に履行してもらえないというリスクが大変多いというような状況か、そうではなくて、あまりそのようなリスクが発生していないのか、あるいは何らかのマネージの方法があるのかということによって、結構規制の仕方というのも変わってくるかと思いますので、預かった資金の取り扱いに関するリスクと、確実に指図を履行していますか、あるいはメッセージを届けられますかということに関するリスク、あるいは規制というものは、少し分けて考えたほうがいいのではないのかと思います。
あと、預かったものをどんどん送っていく順為替的な送金と、後で取り立てるようなものと両方あるかと思います。これは先ほど松井メンバーもおっしゃったような気がいたしますけれども、それについて何らかの形で規制を分けるかというような考え方もあり得ましょうが、ただ、約束された指図をしっかりと履行できますかという問題と、あとは、お金を預かったまま潰れないですよねというような観点からリスクがあると考えると、順為替のようなものも逆為替のようなものも基本的にはあまり差はない、リスクの性質としてはあまり差がないように思いますので、その点について大きな区別をしなくてもいいのではないか。おそらくEUのPSDにおいても、その点において非常に大きな差をつけているということはないのではないのかというような気がいたします。
以上でございます。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
大変貴重な意見をたくさんお寄せいただきまして、どうもありがとうございました。
私も一言だけ感想を、そちら側に座る予定だったものですから、少し述べさせていただければと思うのですけれども、私も柔構造化というのはぜひご検討いただきたいと思っておりまして、それに関連して抽象的な点を幾つかと、具体的な点を1点申し上げたいと思います。
抽象的な点の1点目は、現在の法制度では、資金移動業者という言葉が使われているのですけれども、これは主に歴史を引きずっているので、銀行法の例外をつくるためにこういうこととしたもので、その結果、先ほど田中メンバーがおっしゃったような制約もあるわけです。概念として考えるときは、今日の図にもありましたけれども、決済サービス業者というか、ペイメント・インスティテューションという概念で考えたほうがいいと思います。
それから、抽象的な2点目は、機能別のアプローチというのは私も賛成ですけれども、利便性とかテクノロジー、イノベーションというときには、そのいろいろな機能をアンバンドルすると同時にリバンドルできる状況にあるので、典型的な例で言いますと、先ほど飲み会の話がありましたけれども、将来はというか今もあると思うのですけれども、スマホだけを入口として、一度の認証で飲み会の予約から割り勘の支払いまで全部できますと、こういう話だと思うのですよね。ですから、そういうイノベーションはぜひ促進しなければいけないので、それを念頭に置きながら機能に応じたルールづくりというのをやっていくという姿勢が必要だと思います。
3点目は、舩津メンバーのおっしゃったことで、私も昔からよくわからないのが前払いというものでして、謎ですね。なぜ謎かというと、前払いという法形式は先に預けているので結構リスクがあるにもかかわらず、その使われ方はいろいろな使われ方があるわけで、別に前払いという法形式をとらなくてもいいのにとっているという。私はスタバのカードを持ってコーヒーを飲むのですけれども、何でそのカードを持っているのか、自分でもよくわからないです。単なる利便性ではない。ただ、消費者の気持ちとしては数百円のことなので放っておいてくれという、そういう世界があるべきと思います。この前払いの謎というのは、後払いについてもあるのかもしれませんけれども、あるように思いました。
抽象的な4点目は、田中メンバーがおっしゃったことで、図を描いたときには、指示の流れとお金の流れとおっしゃったのですけれども、指示に基づくブックエントリーとでもいうか、記帳というか、その記録と言うべきかもしれません。それとそのお金の流れの関係。これは仕組みによると思うのですよね。伝統的な銀行を通じた決済で言うと、ペイメントがあって、クリアリングがあって、セトルメントがあるので、全体で見ないとお金の流れは定義できないのですけれども、そうでない新しい決済サービスとかシステムの場合には、先ほどどこかにあるとおっしゃったと思いますが、そういういろいろな仕組みがあるので、仕組みごとに指示に基づくブックエントリーとお金の流れというのは、クリアリング、セトルメントも含めて、結局考えなければいけないというのはそのとおりだと思いました。
具体的な話は、柔構造化をするやり方ですけれども、まさに利便性と安全性がポイントであって、現在のルールから言えば緩和すべき分野もあるというのはそのとおりだと私も思います。類型化していく上で1つのヒントになるのは、事務局の資料で言うと12ページにある小口、高額、リテール、企業間という、こういうところかと思うのですけれども、もう一つは違う次元で、先ほどから皆様方からご指摘がございましたけれども、イギリス型というか、要は預からない類型というのですかね、これは1つ別の世界としてつくったほうがつくりやすいような感じが個人的にはしております。
私の個人の意見は以上です。
今日、司会進行役を務めさせていただいている観点から言いますと、資料2について、大体皆様方からご意見をいただいたように思うのですけれども、大きな方向感としては、横断化ということ、そして柔構造化ということについては、その方向でさらに詰めて検討を行っていくということでよろしいのではないかと思います。
それで、柔構造化ですけれども、非常に貴重なご指摘を多数いただいたのですけれども、少しいろいろなご意見があったように私は思いまして、現在の資金移動業の制度の柔構造化という課題が1つあるのですけれども、若干時間がありますので、そこについて、もしさらにご意見があれば承りたいと思いますが、特にイギリス型の預からないというものも1つあるべき姿なのか。今は預かるということが前提になっているので、金額制限だとか全額供託とかそういう話になるわけで、そこら辺ですね。どういうふうに柔構造化したらいいかについて、さらにもしご意見がいただければ大変ありがたく思います。
菅野さん、どうぞ。

【菅野オブザーバー】
ありがとうございます。日本銀行でございます。
討議事項の3番のその他に当たるのかもしれませんが、かなり実務的な観点からのコメントとしまして、手短に1点申し述べたいと思います。
まず、資金移動業者等による資金移動という決済業務の安全の確保ですとか利用者保護の観点からしますと、その取り扱う金額、利用者の範囲の広がりに応じて、また資金滞留の規模や長さに応じて、つまりリスクの大小に応じた柔構造的な形で、資金の分別管理など、資金の保全措置の実効性を高めていく必要がある、こういったことを幾人かのメンバーの皆様がご指摘されましたけれども、これは的を射たものかと思っております。
その上で、具体的に少しイメージをして考えてみますと、資金移動業者等において、システム障害ですとか、オペレーションのミスなどによりまして、予定された資金移動が履行されない結果、資金の受け手が資金繰りに窮する、例えば、当日の手形を落とすことができないといった問題は、移動可能資金の上限が引き上げられれば引き上げられるほど、また利用者数がふえればふえるほど、社会的・経済的な影響も大きくなり得るのではないかと推定されます。
そうした意味では、リアルタイムかつフルカバーの資金保全措置が仮に講じられた場合でもなお、あるいは破綻を前提としないとしましても、資金移動業者等のオペレーショナルリスクに係る現在の規制・監督、とりわけ監督という側面なのかもしれませんけれども、こういったオペレーショナルリスクの規制・監督が必要十分か、そういった観点でもご議論を深めていく必要があるのではないかと考えております。

【神田座長代理】
非常に貴重なご指摘をありがとうございました。
それでは、植田さん、どうぞ。

【植田メンバー】
たびたび済みません。私もこれは何度も何度も申し上げているのでくどいようですけれども、決済を考えるときには、銀行業とは何かという議論をずっとしてきたと思うのです。だからどうしてそこで預金保険や日銀の最後の貸出機能があるかと、ずっと議論してきたと思うのですけれども、そこでずっと問題になっているのは、短期の預金を取って長期に貸し出すところのマチュリティ変換と、それに伴う信用創造というところがトラディショナルな銀行業の本質だと思うのですね。そこが公的なセーフティネットなしではうまくいかない、なかなかうまくいかないというのが経済理論的にわかっているがために、経済理論的には、そこで公的なセーフティネットが必要だということです。決済はそれに比べると、私の見方からすると、公的なセーフティネットを入れる理論的なバックグラウンドが若干弱いと申しましょうか、弱い感じがしております。したがって、決済はまた別だと考えますと、決済業者がもしも100%しっかりとしたそのバックにある資産を保全しないで、一部を貸し出しに回してもいいのではないかと言い出したら、それは銀行になってもらわないと困るのですね。その裏を返せば、その意味では、決済業者というのは、資産をしっかりと保全すると、100%安全資産ないし何かで保全してもらわないといけないということに、1つなるのだと思います。
もう一つは、そこで破綻処理を見ますと、おそらくイギリスと日本の違いとして問題になるのは、実際金融危機のときに問題になったのは、ソルベンシーのリスクとリクイディティのリスクというのがあったのです。これは日本では100%供託されているからいいではないかと言うところです。これは60日とか120日、下手するとかかるので、ソルベンシーという意味では多少のラグはありましょうけれども、ほぼ資産は保全されているところです。その意味では、ソルベンシー的にはそれほど問題はないはずです。けれども、リクイディティ、つまり決済に使うということは、今すぐに使いたい人がいるわけなので、そこのリクイディティのリスクは、今の法制度のもとでは資金移動業者を使う利用者に対してリクイディティのリスクはあるのですね。それをではどうするかという話が多分ありまして、イギリスでは、多分そこのところで、銀行預金もしくは安全資産、国債のような安全資産のようなものを持たせることによって、すぐに換金できるような形でおそらく対応しているのだろうと思います。これは、銀行の流動性規制というバーゼルの新しい規制に対応するような形になるかと思います。それをやるかどうかという議論は1つあろうかと思います。供託のかわりに、少なくとも例えば20%とか30%、50%、供託ではなくてもいいけれども、そのかわり国債を持っていなさいとか銀行預金を持っていなさいというようなあり方はあり得る1つの手段かと思います。
滞留のところになってきますと、そのように完全に安全な資産でバックアップさせているのであれば、むしろ今度はある程度滞留してもいいではないかという議論なって、私もそこはいいとは思うのです。けれども、そこのところは、先ほどからリスクの観点ではなく、むしろ別の観点から申していまして、そういうナローバンクというもの、完全に安全資産だけで構成させているバンクの方が逆に安全だからということで集中してしまいますとマクロ的な資金の流れがうまくいかないので、そこはリスクの観点ではなく、別のマクロ経済運営上の観点からのことを多少考える必要があるのかと思っております。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
森下さん、どうぞ。

【森下メンバー】
先ほど日本銀行の方からご発言があったところは、まさに私が指摘したいと思っていたところでして、その滞留に係るリスクというものと、あとはしっかりとしたオペレーションをしてくれるリスクというようなものは、分けて考える必要があるのではないかという点を感じます。
あと、EUの法制についてですけれども、資金を保管しない、保持しないというのは、その滞留の部分に関する1つのリスクであると思いますけれども、オペレーションがうまくいかなかったときに関しては、例えば、何営業日以内にお金が着かなかったらそれを返還しなければいけないという法制もあることによって、必要以上に長期間未解決の状態でさらされるということはないと。お金が返ってくれば、そのお金で再度別に送金をするということもできますので、そういった制度、オペレーションに対する正確な信頼というようなものとワンセットになっていると考えるとすると、単純にお金を預かっていますか、預かっていませんかというようなところで、欧州等を根拠にして何らかの結論を導き出すというと、場合によっては比較が正確ではないということもあり得るのではないのかというような気がいたします。

【神田座長代理】
ありがとうございます。
それでは、戸村さん、どうぞ。

【戸村メンバー】
ありがとうございます。
神田先生がおっしゃった預からない資金移動をどう考えるかという点について、個人的な意見を述べたいと思います。
私もファースト・ベストとしては、今資金移動業がやっているのは決済サービスであって、預からなくてもよいものを預かっているというような形になっていると思うのですけれども、問題は、銀行業というのは独占力が強い産業で、そうすると、そこの独占力への対抗手段として今の資金移動業者が自分の預り金を持ちたいというような形になっているというような可能性があると思っているので、ファースト・ベストとしては、預からないのがベストですけれども、セカンド・ベストとしては、銀行の独占力に対するセカンド・ベストとして、どうしても資金移動業者、決済サービス事業者が資金を預からなければいけないような形になることも仕方がないのかというのが私の今の認識です。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
植田メンバーがおっしゃったことの前半部分というか、銀行の部分については、多分皆様の認識は大体共通だと思うのですね。後半部分が問題で、日銀の方もおっしゃったこと、森下メンバーもおっしゃったことで、そのオペレーションと言ってもいいし、あるいはリクイディティと言ってもいいのですけれども、送ったのだけれども何かうまくいかないというときに、もとの商取引がそれでめちゃくちゃなことになるのは困るということですけれども、そういうところは、今は銀行送金については、もう繰り返し説明もあったように、一遍仕掛りというか、プロセスに入ったものは保護するという形で規制で保護しているのですけれども、何らかの規制が必要になるものですかね。私は、それはもう無理だという感覚を持つのですけど。森下メンバーに聞くのがいいかわからないけれども、何らかの規制でそこを担保するということになるのですかね。どうでしょうかね。もしアイデアがあればお願いします。

【森下メンバー】
私が申し上げた趣旨は、例えば2営業日以内に少なくとも国内の送金であればとか、ある一定の範囲の送金であれば何営業日以内に着きますと。着かないのであれば、お金を利息をつけて返しますというような規制を、少なくとも私は欧州では入っていると理解をしておりますけれども、そのような規制は日本では銀行にもない規制ですので、銀行だからいいということではない。ただ、そういうようなことがあることによって、オペレーションがうまくいかなかった場合に、利用者に与える影響が少なくなるというような、そういった機能を果たす規制があるのだとすれば、そういったようなものが全くない世界で金額をどんどんどんどん上げていくと、金額の上限がないというようなことだけを欧州から取り上げて比較すると少しどうかというようなことと、今、神田座長代理がおっしゃった、その銀行の場合には、その仕掛りを必ずできるようにするというようなことについては、例えば、資金移動業者についても、少し先ほど申し上げましたけれども、その預かっているお金が誰のお金なのかとか、あるいは、破綻処理の中で、預かっているお金が分別されていて顧客の資金に帰属するといえるのであれば先にリリースを認めるというような、そういった処理の仕方もあると思いますので、そういった工夫の余地は十分あるのではないのかと思います。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、大野さん、どうぞ。

【大野メンバー】
神田先生が最後におっしゃった、「預かりのなし、あり」ということですけれども、まず初めにその預り金自体の実態がわからないというところをもっとはっきりするということを、何人かのメンバーもおっしゃったとおりクリアにできればと思います。その上で、預り金自体が長く滞留しても、新しいビジネスの中で預り金を組み合わせてバンドリングしたようなものを促進したほうがイノベーション発展の上では良いと思っております。その場合は、おそらく滞留期間が長く、いろいろ送客であるとか、ほかのビジネスと連携するような業者に対しては、よりしっかりした分別管理などについて、それは法制度だけではなくプリンシプルやソフトローを組み合わせて、規律を求めるという対応が必要と思います。それとの対比で言えば、預からない、もしくは瞬時に資金を出すということであれば、そういう対応を不必要とするところである程度の区別をつけるというのが、1つの方向感としてあるのではないかと感じました。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
福田先生、どうぞ。

【福田メンバー】
常にリスクと利便性はトレードオフの関係にあるという視点は大事で、リスクがあるからともかく滞留ないように、あるいは供託金か、あるいは前もってということを推進するというのはあまりいい考え方ではないと思います。むしろゲームのルールをしっかりと利用者に理解してもらうことが重要です。例えば、新しいタイプのリスクが嫌であれば銀行のシステムを使えばいいわけです。その選択肢は別に排除されているわけではなく、ただコストはかかりますよと。一方、他方のサービスというのは、コストが安くて利便性も高いかもしれないけれども、こういう問題もありますよということが周知されていれば、ある程度現状の問題があったとしてもそういうやり方も許容するということは、私はあってもいいのではないかと思います。それを禁止してなくするという選択肢、利用者がそのリスクも承知しながら利用したいのにその選択肢をなくす規制を課すことは、必ずしもいい方法なのかどうかは、私自身は思います。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
今、おっしゃっていただいたようなことで、柔構造化というのも複数の世界をつくっていくという話だとは確かに思いますし、その点については、多分皆様方にも共通の理解があると思います。
加毛さん、どうぞ。

【加毛メンバー】
ただいま神田先生がまとめてくださったところに異存ございません。利用者から資金を預からないタイプのサービスを1つの類型として想定することは重要だと思います。大切なのは、提供サービスに応じた規制が用意されていて、業者が様々なメニューの中から選択をできるということであり、それが規制の柔構造化の1つのポイントであると思います。
他方、そのような規制の体系を整備する場合には、先ほど菅野オブザーバーがご指摘された点にもかかわりますが、規制当局による監督の質を高める必要性が生じるように思われます。単に法律を改正してルールを新しくするというだけではなく、それを適切に運用する規制当局の能力の向上、人材の確保、予算の手当てなどを、あわせて検討する必要があるだろうと思います。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。大体よろしゅうございますか。
大変貴重なご意見をたくさんいただきまして、ありがとうございました。大きな方向性は出していただいたような気がいたしまして、そういう意味では、これからさらに、横断化もそうですけれども、柔構造化については、具体的な姿を今日いただきましたご意見を踏まえて事務局で整理していただくということになりますかね。それでさらにご議論いただくということで先へ進めればと思います。
そういうことで、今日を踏まえてさらにご議論いただきたい点につきましては、事務局で準備をさせていただきたいと思います。
それでは、最後に事務局から連絡事項等がございましたらお願いいたします。

【岡田信用制度参事官】
毎度のことですが、次回のスタディ・グループの日時につきましては、皆様のご都合を踏まえて、また後日ご連絡をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

【神田座長代理】
どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちましてスタディ・グループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。
 

                                                    ―― 了 ――

 
 

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