金融制度スタディ・グループ(平成30事務年度第11回)議事録

  • 1.日時:

    令和元年5月29日(水)15時30分~18時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(平成30事務年度第11回)
令和元年5月29日
  

【岩原座長】
それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまより「金融制度スタディ・グループ」平成30事務年度第11回会合を開催いたします。皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
昨年9月に再開した本スタディ・グループにおいては、これまで10回にわたり検討を行ってきたところであり、本日は「決済」法制と金融サービス仲介法制について、これまでの議論を整理し、基本的な考え方の取りまとめに向けたご議論をお願いできればと考えております。これに向けて、事務局に報告案を作成いただきましたので、本日は、まず、それについて事務局からご説明をいただきます。
次に、新経済連盟、日本資金決済業協会、Fintech協会からご発言のご希望がございますので、今申し上げた順番でご発言いただくことにしたいと思います。その後で討議を行います。
それでは、まず事務局から説明をお願いいたします。

【岡田信用制度参事官】
それでは、早速ですが、報告案、基本的な考え方につきまして、簡潔にご説明申し上げます。
めくっていただきまして、目次、それから参加いただいたメンバー等の名簿のページがあって、4ページ、5ページは「はじめに」で経緯でございますので、省略させていただきます。全体として、第1章が「決済」法制、第2章が金融サービス仲介法制という仕立てになっています。
6ページから「決済」法制のところが始まりますが、冒頭、背景と課題というところで、【参考】とありますが、昨年6月におまとめいただきました『中間整理』で、「決済」という言葉を概念として整理させていただきました。その用語を用いて、この後、議論しております。
具体的には、決済サービス提供者を介して、直接現金を輸送せずに、意図する額の資金を意図する先に移動すること、及び/又は、決済サービス提供者を介して、債権債務関係を解消することということでございました。
これ以下、そういう「決済」に関連する制度ということで、銀行から始まって、今日の資金決済法に至るまでの歴史を書かせていただいております。
7ページにまいりまして、3点ほど、現行の規制枠組みについて、今日では対応し切れていないとの指摘ということで挙げさせていただいております。(1)は、キャッシュレス化が進んでいく中で、具体的には資金移動業者が提供する送金サービスについて、送金の上限額、現在100万円ですが、それについて、それを超える送金に対するニーズがあるといった指摘があるということ、(2)は、少し違う観点で、情報通信技術の発展等により、「決済」手段・サービスの提供・利用のされ方が変化してきているということで、前払式支払手段の例を書かせていただいております。めくっていただきまして8ページですが、(3)で、少しまた違う観点からの課題として、資金決済法の制定から約10年が経過したということで、同法制定時の議論において“性急に制度整備を図ることなく、将来の課題とすることが適当”とされた収納代行やポイント・サービスについての検討、点検といったことがあろうかと思います。
そういったことで、これまでご議論いただいてまいりましたが、基本的な考え方として、次の黒丸の3点に留意しながら進めてきたと思っております。1つ目は、「決済」手段・サービスに関して、現行規制ですと縦割り構造になっているところがありますが、同じ「機能」・リスクであるものについては横断化を図っていくということ。2つ目は、サービスの態様や規模によって、リスクの度合いというのは変わってきますので、規制の柔構造化を図っていくということ。3つ目は、規制の平準化・統一を行う場合は、必要な場合を除き、イノベーション促進の観点から、“厳格な規制に平準化・統一する”こととはしないということでございます。そういったことを踏まえながら、各論ということで、以下、記載がございます。
資金移動業につきましては9ページから始まっておりますが、ポイントは10ページ以下のところでありまして、これまでの議論をまとめますと、金額によって、送金サービスに伴う各種リスクと、それに対応するための手当てというのが違ってくるということで、3つの類型というのがあるのではないかということでございます。
第1類型と仮にしていますが、「高額」送金を取り扱う事業者につきまして、これは現行の資金移動業者の1件あたりの送金上限額100万円を超えていくといった場合でありますが、新たな類型として、1つ目の黒丸にありますとおり、利用者資金の滞留について、イギリスの例などを参考に、一定の手当てというのは考えていく必要があろうということと、2つ目の黒丸にありますとおり、重点的な検査・監督等ということで、システムリスク、コンピュータがとまるといった意味でのシステムリスクですが、そういったものを含むオペレーショナルリスクの管理、それからマネー・ローンダリングやテロ資金供与についての対策といった観点で、より重点的な対応が必要であり、きめ細かな検査・監督が可能になるような制度というのが必要ではないかということが含意されていると思います。
それから、11ページのところですが、第2類型でございます。これは現行規制を前提に事業を行う事業者ということでありまして、これにつきましては、基本的に、当該事業者やその利用者の活動に支障が生ずることのないよう、現行の枠組みを基本的に変えないことが適当と考えられるということだったかと思います。
ただ、少々論点がありまして、「他方で」の段落ですが、現行の資金移動業は、特段、1口座当たり幾らまでなどというようなチャージ額の制限というのはないので、私どもが先般ご紹介した調査によりますと、1口座で10億円以上残高があるような事例もありまして、そうしたものについては、今後何か手当てが必要ではないかということを指摘させていただいております。
それから、第3類型は、「少額」送金を取り扱う事業者ということで、ここでの「少額」というのは、1件当たり数千円や数万円程度の決済ないし送金ということだということが、これまでの議論でもおそらく共通認識だと思うのですが、そういった「少額」のもののみを取り扱う資金移動業者につきましては、現行の規制から何らかの規制緩和を検討していく余地があるのではないかというようなことを指摘させていただいております。
その理屈として、「その場合」という段落ですが、送金額と利用者資金の受入額が、ともに、数千円とか数万円、「少額」ということに限定できれば、仮にその事業者が破綻した場合も、利用者一人ひとりがこうむる影響というのは限定的になるのではないかというような考え方に基づくものであります。
それから、12ページのところで、資金移動業関連で、2つ論点がございます。
①の保全方法等につきまして、これは実際に資金移動業等をされている方々のお話の中でもよく聞かれる話として、現行の規制が、供託又は保全契約により保全する場合、ある1週間における要履行保証額の最高額以上の額を、その週の末日から1週間以内に保全することとされており、保全すべき額を算定する時点と、その額を実際に保全している時点との間にタイムラグが存在するため、ある時点において資金移動業者が負っている債務額に比して、保全している額に過不足、過大だったり、過少だったりというようなことが生じているというようなご指摘がありました。こういったものについては、何らかの形でより適切な対応のあり方を今後検討していくことが重要ではないかというようなことでございます。
それから、②の利用者が他者から送金を受けた場合の資金の取扱いであります。とりわけ第1類型というのは、イギリスの例に倣って、資金を滞留させないというようなことをしていった場合に、利用者の資金の受け入れに一定の工夫が必要と考えられます。自分から送る前にアカウントに入金する場合は、それは送る予定があるのですかということで押さえられるかもしれません。利用者のアカウントへの入金の場面としては、このほか、他者からの送金を受ける場合が考えられますので、その際、速やかかつ確実に、例えば、利用者の預金口座に払い出すとか、現金化するとか、何らかの形で外に出すといった措置を講じる必要があるのではないかということでございます。これは第1類型で、資金滞留についての制限を設けたり、第3類型で、受け入れる資金の額も少額とする類型を制度設計したりする場合などに、こういった検討も今後していく必要があるのではないかという指摘であります。
以上が資金移動業でありまして、13ページからが前払式支払手段であります。
こちらにつきましては、先般ご議論いただきましたが、「こうしたことなどから」という段落にありますとおり、「第三者型」であって、「IC型」や「サーバ型」の前払式支払手段につきましては、送金サービスに類似した性質を有している、ないし有しつつあると考えられるという中で、「他方」という段落にありますとおり、前払式支払手段については利用者資金の保全が半額でいいということになっているのに対して、資金移動業のほうは全額保全ということになっていますので、例えば、この「第三者型」かつ、「IC型」や「サーバ型」の前払式支払手段につきまして、今後、この利用者資金の保全に関する規制等を見直していくことを検討していく必要があるのではないかというようなことを指摘させていただいております。
それから、14ページのところで、これは冒頭申し上げた中にあった、約10年前の資金決済法制定時に「将来の課題」とされた論点を幾つか、このスタディ・グループでも検討したということでありまして、1つ目は、収納代行・代金引換等というものであります。
これにつきましては、14ページの下のほうの黒丸のところにありますが、現在、既に大手のコンビニエンス・ストアによる収納代行や、大手運送業者による代金引換などが普及しているところと思いますが、債権者が事業者であり、かつ、支払人にとって二重支払いの危険がないということが確保されている場合には、既に一定の利用者保護は図られていると考えられるのではないかということでございます。そのことを前提としますと、現時点では、このようなものにつきましては、特段、これまでと取り扱いを変える必要はないのではないかと考えられるところであります。
次の「他方」という段落でありますが、債権者側も一般消費者である場合は、一般消費者が「収納代行」業者の信用リスクを負担することになるわけであります。そのため、こうした「収納代行」につきましては、利用者保護等の観点から、資金移動業として規制の対象とすることは適当であると考えられるとしております。ただし、この場合におきましても、後ほどご紹介があると思いますが、現在、非常にさまざまなサービスがあって、その中には、利用者にとっても役に立つ、有用なサービスもたくさんあって、そうした個々のサービスの実態というのを踏まえて、今後、きめ細かな検討をしていくことが重要ではないかということもあわせて書かせていただいております。
以上が収納代行関係でありまして、もう一つ、約10年前に検討した課題として、ポイント・サービスの話がございました。これにつきましても、その後の進展等をフォローして、このスタディ・グループでも1度ご議論いただきましたが、事務局としての整理では、2番目の段落にあります「他方」というところですが、現時点において、ポイント・サービスに関して、金融分野における制度整備が直ちに必要な状況にはないのではないかというようなことであろうかと思います。したがいまして、16ページにありますとおり、引き続き、サービス実態を踏まえつつ、利用者保護に欠ける事態が生じることがないよう、注視していく必要があるのではないかということでございます。
次に、16ページの(2)利用者利便の更なる向上に向けた検討ということで、大きく分けて2つのことを検討させていただきました。
1つは、広い意味での利用者トラブルへの対応ということであります。まず、i 加盟店に係る規定・抗弁権の接続に係る規定というところでございますが、今後の「決済」法制を展望していく中で、こういった規定について、資金移動業者が提供する送金サービスについてどうするかということで、ご検討いただきましたが、議論のまとめとしましては、17ページの3番目の段落、「こうしたことを踏まえ」というところですが、送金サービスについて、加盟店に係る規定や抗弁権の接続に係る規定を、法令上、一律・画一的に設けることは必ずしも適当ではないと考えられるということであったと理解しております。
それから、もう一つは、ii いわゆる無権限取引が行われた場合の責任分担等に関するルールでございます。銀行については、ご承知のとおり、一部法令、それから一部全国銀行協会の申合せということですが、一定の補償基準が定められているところでございます。
これついては、この項目の2番目の段落の「この点」というところに書いておりますが、スタディ・グループの議論でも、事業者の負担の軽減や利用者利便の向上の観点からは、自主的な対応に任せるべきという指摘もあった一方で、利用者保護の観点からは、責任分担等の実効性を確保するために何らかの立法措置をとるべきとの指摘もございまして、意見が分かれていたと思います。
さらに、こうしたことに加えまして、現在、利用者トラブルがどの程度発生しているのかや、利用者トラブルが発生した場合に事業者において利用者保護のための自主的な対応がなされているのかどうかなどの実態も踏まえた上で、いわゆる無権限取引が行われた場合の責任分担等に関するルールについてどうするのかというのを検討していくことが適当ではないかというようにまとめております。
それから、18ページからは、もう一つのテーマとして、いわゆるポストペイサービスの議論をまとめております。「ポストペイサービス」を提供する場合には、黒丸の3つの方法、すなわち、銀行法上の銀行業の免許を受けて行う方法、資金決済法上の資金移動業の登録と貸金業法上の貸金業の登録を受けて行う方法、それから割賦販売法上の信用購入あっせん業の登録を受けて行う方法があるところです。いずれにしましても、キャッシュレス推進の観点などから、資金移動業や前払式支払手段のような広い意味でのプリペイドの類型だけでなくて、ポストペイの類型のほうについても、いろいろなニーズがあるというご紹介がスタディ・グループでもあったと思います。
そうした中で、「こうした中」という段落にありますが、銀行につきましては、既にプリペイドとポストペイを組み合わせたサービスが提供されているところだと思うのですが、現時点で銀行以外の主体からは、プリペイドとポストペイを組み合わせたサービスというのは、なかなか提供が進んでいるとは言えず、その背景には、「ポストペイサービス」を提供する際に適用される貸金業法や割賦販売法上の義務への対応が負担であることがあるという指摘がございます。
もとより、ポストペイは、事業者が利用者に対して「信用供与」を行うものですので、いわゆる「決済」についての規範以外に、過剰与信を防止するための「信用供与」についての規制に適切に対応することが重要ということだと思います。
そうした中で、19ページですが、他方で、近年提供されているプリペイドの類型の多くは、1件当たり数千円以下の日常的な支払いでの利用が中心で、こうしたプリペイドの類型との組み合わせでの利用が想定されている「ポストペイサービス」も、多くの場合、1件当たり数千円以下の比較的「少額」での利用が念頭にあると思われます。
スタディ・グループでは、今までもご紹介申し上げましたとおり、前払式支払手段や資金移動業について、取扱額に応じた規制の柔構造化というのを検討してきたところでありまして、ポストペイの類型については、今申し上げましたとおり、「信用供与」についての規制が中心になるため、別途の検討が必要ですが、「少額」での利用に限定された「ポストペイサービス」というのを念頭に、過剰与信防止ということは確保されることが前提でありますが、今後検討していくことが適当であるとまとめております。
なお、割賦販売法につきましては、別途、経済産業省の産業構造審議会商務流通情報分科会割賦販売小委員会で、少額・低リスクのサービスに着目したリスクベース・アプローチその他につきまして、検討が進められているところと承知しております。このため、割賦についてはそちらの場、それから貸金業と資金移動業を組み合わせていくものについては金融審議会の場でということだと思いますが、まずは、「少額」を念頭に検討を進めていくということでございます。関係各法のより横断的な法制論につきましては、国際的な動向や我が国の制度環境を踏まえて、関係省庁で意義・目的を整理し、その具体的なあり方の検討を、今後、進めていくことが必要ではないかということでまとめさせていただいております。
以上が「決済」法制でございまして、20ページからは、金融サービス仲介法制についてでございます。
主な内容としましては、まず、20ページの2の下の(1)の参入規制の一本化等ということで、現在、利用者と金融機関との間に介在する仲介業者に関する現行規制は縦割りになっており、「機能」をまたいだ横断的なサービスを提供しにくいという声がありますので、シングルパスポートというか、参入規制の一本化というのを今後検討していくということです。ただ、その際に、21ページにありますが、入り口は同じでも、当然、行為規制のところにつきましては、それぞれ保険であれば保険、証券であれば証券、銀行であれば銀行、それぞれの性質に応じたルールがきちんと適用されていくことは重要であると考えられます。
主な内容のもう一つは、21ページの下半分、(2)の所属制に関する留意点ということであります。銀行代理業者、金融商品仲介業者、保険募集人のような仲介業者は、いわゆる所属制ということを前提としておりまして、所属制は、銀行、証券会社、保険会社といった所属金融機関による指導を通じた仲介業者の適切な業務運営の確保や、利用者に対する損害賠償資力の確保などに資するものであります。他方で、多くの金融機関が提供する商品・サービスを取り扱おうとする仲介業者の場合、所属金融機関それぞれから行われる指導に対応するための負担が大きいという指摘がありますので、今後、所属制を緩和することができないかというのを考えていくということでございます。所属制を緩和する場合は、所属金融機関による指導を通じた仲介業者の適切な業務運営の確保や、利用者に対する損害賠償資力の確保など、所属制が果たしている役割が薄まる、ないし、なくなるということですので、それを踏まえてどう対応するかというのもあわせて検討していく必要があるということを指摘させていただいております。
最後、22ページの(3)仲介業者のインセンティブというところですが、仲介業者の中には、法律上、金融機関の委託を受けて…を行うとされているものもあれば、利用者の委託を受けて…を行う、とされているものもあります。ただ、昨年末のご議論を踏まえますと、仲介業者の行動は、このような法的な定義・位置づけよりも、経済的なインセンティブの影響を強く受けるのではないかというようなことでありますので、今後の検討では、仲介業者の法律上の定義や位置づけに過度にとらわれることなく進めていくことが適当ではないかということを書かせていただいております。
最後に、23ページの「おわりに」でございます。「おわりに」の一番のポイントは、真ん中にある、着手が可能な論点から、今後、制度整備に向けた具体的な議論を進めていくことが期待されるということでございますが、最後になお書きがありまして、ご紹介させていただきたいと思います。「決済」法制、金融サービス仲介法制、いずれにも当てはまるのですが、金融分野におきまして、銀行、証券会社、保険会社といった伝統的な金融機関以外の事業者のシェア・規模・存在感が大きく拡大していくことも想定される中、そうした事業者が、仮に、将来的に、厳格な規制下にある伝統的な金融機関が金融システムにおいて従来果たしてきた役割を担うこととなった場合には、金融システムの安定を確保する観点などから必要な対応についても、今後、検討を進めていく必要があるということを、全体に共通する論点、留意事項として、最後に書かせていただいております。
事務局からは以上でございます。

【岩原座長】
どうもありがとうございました。
それでは、次に、新経済連盟の小木曽様、お願いいたします。

【小木曽オブザーバー】
今回、機会をいただきまして、ありがとうございます。新経済連盟の「《基本的な考え方》(案)に対する意見」という資料をご覧いただければと思います。
1ページおめくりいただきまして、2ページ目の総論というところ。今回の報告書案について、どのようなビジネスが影響を受けるのか、どういう懸念があり得るのかということについて中で議論をしてまとめたものを、今回、お出ししております。
大きな視点として、今、第4次産業革命が起こっている中で、どの国でも、産業政策として、どういうルール、法制度をつくっていくかということの、法制度間の競争が起こっていると思っております。まさに利用者保護とイノベーションをどういうふうに両立させていくか、本当にきめ細かい部分で、どうやっていくのがいいのかということを全世界的にも競争しながらやっているという点で、まさに細かい部分がポイントになってくると思っております。
その観点から、我々としては、成長戦略と言われているキャッシュレス社会、あるいはプラットフォームビジネスの振興、あるいはシェアリングエコノミーなど、第4次産業革命に対応して新しいビジネスモデルができるわけですが、それらのビジネスにおいて、今まさに議論している分野というのは非常に重要な役割を果たしていく中で、制度設計によっては、大きな影響を及ぼしてしまい、もしかすると流れを止めてしまうかもしれないということに懸念を持っております。
大きく言いますと、書いてあります下段を見ていただきたいんですが、3点ございます。
まず、収納代行を資金移動業と位置づけて規制を強化すること。これについては、国内プレイヤーによるプラットフォームビジネスやシェアリングエコノミーの衰退という可能性があります。それから、第三者型かつIC/サーバ型前払式支払手段を100%保全に規制強化。これについては、2倍の資金調達コストが発生し、キャッシュレスがかなり後退してしまう可能性もあるのではないかと思っております。それから、最後の3点目、現行の資金移動業の利用者資金受け入れに送金上限と同じ上限額を設ける規制強化。これについては、一時的に受領や送金準備が重なった場合などがあり得ますので、著しくサービスが不便になってしまう可能性があり得るということでございます。
このような懸念がありまして、今、岡田様からご紹介があったとおり、報告書には、所々「実態を踏まえて」という言葉があったと思いますが、まさに我々はその実態を一部把握している。当然、経済団体なので把握していると思いますので、今後の議論の中でも、どういう状況にあるのかということは情報を提供させていただいて、積極的に議論に参画をさせていただいて、ルールメーキングにも貢献をしていきたいと思っております。
それが総論で、報告書(案)に沿って、個別にご説明させていただきます。1ページ、おめくりください。
最初の資金移動業の3類型のところでございます。まず、「高額」のところ。これは今後またいろんなニーズを聞いていかないといけないと思っています。懸念しているのは、せっかく制度をつくっていただいたのに、誰も使わないというのではもったいないので、そこはよく意見を聞いて、適切な制度になるようにしていっていただきたいなというところ。
それから、第2類型のところは、我々としては、先ほど「例えば」という形で書かれていた方向性については反対の意見を持っております。一時的に送金準備あるいは受領が重なった場合に利用できなくなり、サービスの安定性を欠くことになってしまうということでございます。
それから第3類型、「少額」送金。そういう類型をつくっていただくことは、もちろん大賛成でございます。ただ、この「少額」って幾らだろうというところもありまして、その辺も、まさにサービス実態を踏まえて、せっかくつくったけど意味がなかったということだともったいないので、そこもまさに実態がどうなっているのかの検討が必要だと思います。
それから、保全方法・資金の取り扱いですけれども、現在、保全方法として3つあると思いますけれども、信託なんかも、もうちょっと使いようがあるのじゃないかというところで、使われていない原因をもう少し分析をして、事業者から言わせると、いろんな手段があったほうがもちろんいいので、信託も含めて、それぞれの活用可能性を高めていただきたいということで、選択肢の多様化を図るべき。
それからまた、2番と3番。ここで②、③と言っているのがありますが、②と③がシームレスに移行できるような制度というのも、事業者の立場からいうと、非常にニーズがあるのではないかというふうに思いますので、そういった話も今後聞いていっていただけるとありがたいと思っております。
1ページ、おめくりください。前払式支払手段のところでございます。
先ほど「送金類似」というところで報告書(案)では規制をしていくという方向性になっていたと思いますが、まさにこれは、そもそも横断法制の、機能別に見ていくというときのポイントだと思いますが、要するに何が似ているのかというところを議論していくべきで、ユーザ間のバリューの送付のことを言っているのか、加盟店との精算に着目をしているのか、あるいはそれ以外なのか、そういうことが、まず前提として、何が類似ですかという大前提を議論しないと、なぜ、何を規制をする必要があるのかが明確化されないのではないかと思っております。
従来紙型ではできなかった形のサービス提供がIC型/サーバ型でできるということは、これはもう従前から、資金決済法に定められたときから変わっておりませんので、それ自体、別に規制強化の理由にはならない。前払式支払手段というのは、現金との関係でいえば、やはり発行者と契約関係のある加盟店でしか使えないものですから、現金と全く同じということではないと思っています。
その観点から、電子マネーと資金移動というのを、先ほどどこかの文脈で、「厳格な規制に平準化・統一するべきではない」という言葉があったと思いますが、まさにここにもその考えを当てはめてほしいということです。
第三者型の電子マネーは、不必要にお金を持っているということではなくて、第三者型でお金が必要になる理由の一番は、加盟店との精算。日々決済が行われて、加盟店と精算をするために、現金というものが必要になります。これ、本当に実態を申しているんですが、そういう実態を継続的にできるようにするために、本当に100%保全というのが可能なのかどうかということで、これをもし求められてしまうと、純粋に現状の2倍の資金調達コストがかかってしまう。このコスト増による有効期間の短縮や利用者側でのコスト負担といった事態が絶対に招かれないとは言えないと思っております。
また、ご案内のとおり、電子マネーは、外国の人がその昔、日本の電子マネーはすごい、となるような、日本発のサービスだったと思います。このようなものがかえって使いにくくなってしまうというのは、キャッシュレス大国を目指していくと日本政府も標榜していると思いますが、そこと真逆になってしまう可能性があると強く懸念をしております。
1ページおめくりください。収納代行のところです。
収納代行のところも、報告書の案に、資金移動業としての整理とありましたが、これについても強く反対をさせていただきます。資金移動と同一であり、潜脱行為と評価されるようなもの、要するに、これも何が問題とすべきものなのかというところを、対象を明らかにする必要があると思います。資金移動と同一であり、潜脱行為と評価されるものというのは、まさにどんなものなのかというところの切り分けの議論をすべきだろうと思っています。
収納代行に二重払いの危険がない、あるいはこれまで社会・経済的に重大な被害が発生していないという記述につきましてはBtoCとCtoC取引とは全く同じ状況だと思っておりまして、異質なものとして整理するというファクトはないだろうと思っております。
また、今行われている、事業者が行っている自主的取り組みで、受け手の保護に資すると評価してもいいもの存在しております。先ほど、私、切り分けという議論を言いましたが、切り分けとして1つあり得るとすれば、プラットフォーム内の取引に付随する形で行われているのか、あるいはもとの取引に一切関知しない形で完全に切り離されている、完全分離型とでも申せばよいでしょうか。そういったものを分けて議論していくことは、頭の整理論としてあるんじゃないかなと思っています。
今の実態では、フリマアプリ、あるいはシェアリングエコノミーなど、CtoCの取引のプラットフォームでは、エスクロー決済というのが一般です。エスクロー決済は、見ず知らずの人に、いきなりお金を振り込まなければならないという不安を解消し、利用者同士のトラブルを防止する、そして取引に付随するという形で行われており、それがセットでビジネスが存在しています。消費者保護も図りながら、産業振興もしていく、日本発シェアリングエコノミーサービスを展開していく中で、消費者庁や消費者委員会の議論でも、エスクロー決済が重視され、普及しているだけでなく、重要な機能として認識されております。
こういった機能がせっかくある中で、収納代行が送金規制の対象とされてしまったときの影響というのは無視できないものになります。そこに書いておりますが、利用者の不安解消もできないし、もしかしたら提供を断念せざるを得ない、あるいは産業そのものがなくなってしまうかもしれない、そういう非常に大きな影響です。収納代行を今後どう位置づけるかによっては、産業構造の転換で出てきたサービスを全部潰してしまう可能性があるのではないかと思っております。
1ページ、おめくりください。すいません。ちょっと説明長くなって、もう少しで終わります。
ポイント・サービスです。
ポイントは昔から行われている、おまけ、割引クーポンで、マーケティングのためのツールだと思っております。金融制度の中に組み込んで、現時点で規制対象とするという話ではないと考えます。
無権限取引のところです。両論、いろんな意見があったということは書いた上で、今後また検討していくということでしたが、我々としては、これについて何か立法措置をするということが不要だろうと思っておりまして、まさに事業者の自主性、事業者間の競争の問題だろうと思っております。その中で、どのように消費者に選択をしていただけるかということだと思います。
それから、ポストペイサービスのところは、ここは少額・低リスクというところを取り出して、別途、規制の柔構造化をしていくという方向性については大賛成でございます。一方で、今後、議論されるのかされないのかわかりませんが、マンスリークリアのクレジット決済とか、あるいはキャリア決済、請求書払いなど、既に商慣行として、今、実際に行われているものがございますので、これらについて、逆に規制が強化されるとすると、現行、問題なく行われている商慣行というものと真逆になってしまうので、先んじて、ここで論点として挙げさせていただいています。
あと最後、金融サービス仲介法制。当然、ワンストップでいろいろできるようになるという仲介法制の整備は大賛成でございます。
所属制の見直しのところも、見直しの対象を今後議論を精緻にされていくんだと思いますが、過度に狭くし過ぎてしまうと、せっかくつくったのに何だったのかとなってしまうので、そこもよく実態を聞いていただきたい。
あと最後、仲介業者のインセンティブのところで、我々経済界から見ると、インセンティブというのが、いろんなインセンティブがあって、別に報酬のみとも限らないということもあるということにも留意していただけるとありがたいと思います。
すいません。ちょっと長くなりました。以上でございます。ありがとうございます。

【岩原座長】
それでは、次に、日本資金決済業協会の長楽様、お願いします。

【長楽オブザーバー】
日本資金決済業協会の長楽でございます。発言の機会いただき、まことにありがとうございます。
取りまとめていただきました基本的な考え方(案)のうち、前払式支払手段発行者及び資金移動業者に大きな影響を与えると考えられる事項がございますので、ご意見・ご要望を申し上げさせていただきます。
これからお話をさせていただきます意見・要望につきましては、協会の機関決定を受けておりません。あくまで協会の事務局限りの意見・要望ということで発言をさせていただきます。
そうしましたら、お手元にございます、「協会事務局 金融審議会発言骨子」をごらんください。
最初に、前払式支払手段について申し上げます。
基本的な考え方(案)の13ページに記載がございます、前払式支払手段に関する利用者資金の保全規制の件でございます。供託等保全義務については、未使用残高の2分の1以上の額に相当する額を超える負担を求めることはないようにお願い申し上げます。
その主な理由でございますが、以下の2点でございます。
まず、1点目でございますが、4月5日の金融制度スタディ・グループでご報告いたしましたが、その後、会員からご報告がありましたデータを含めた協会の緊急アンケート結果におきましても、4月5日にご報告したサーバ型及びIC型の利用者の一IDの未使用残高の金額階層別のID個数の全個数に対する構成比には変わりはなく、ほとんどが小口のものとなっております。
このように前払式支払手段の利用実態は、他の決済手段と比べて、その利用が少額であり、リスクの程度も小さいと考えられます。また、あくまで物品の購入やサービスの提供を受けるための前払いであり、ほとんどの前払式支払手段は利用範囲がごく限定されており、一部の広範囲に利用できるものであっても、加盟店での利用に範囲が限られるのでございまして、制度上、原則払戻し禁止のため、現金化できない以上、どこでも利用できるものではなく、送金サービスとは本質的に異なるものと考えております。
次に、2点目でございますが、供託等保全義務の見直しに当たり、取扱額に応じて規制を柔構造化するなど、リスクに応じた規制としていく必要があるということでございますけれども、発行業務の現状を見ますと、利用者のニーズに応じた多種多様な前払式支払手段を提供している発行者もございまして、このような発行者の事業展開・事業継続を阻害しかねないことになり得ると考えます。また、先ほど申し上げた協会の緊急アンケート結果によりますと、供託等保全義務の強化は、発行者の資金繰りを悪化させるとともに、資金調達コストの増加に伴う収益悪化などによりまして、発行者の事業継続の見直しや事業継続を困難にさせる事態を招きかねないとの意見が少なからず寄せられております。さらに、供託等保全義務の強化は、発行コストの増加を招き利用者の利便性を損なわせるおそれがあり、また、イノベーション促進も阻害しかねず、ひいては、少額決済の担い手である前払式支払手段発行者の新規参入や既存発行者の事業継続が困難となり、これまで拡大してきた便利な少額決済サービスの発展が阻害されかねないことにもなり得ると考えます。こうしたことを踏まえますと、供託等保全義務の強化は、政府が強力に推し進めているキャッシュレス社会の実現にも支障を与えかねないものにもなり得ると思います。
次に、2の資金移動業につきまして、3点、意見・要望を申し述べさせていただきます。
まず1点目でございますが、基本的な考え方(案)の11ページに記載がございます、現行規制を前提に事業を行う事業者に対しまして、利用者資金の受入額に上限を設けることについての意見・要望でございます。現行規制の枠組みの資金移動業者に対し、仮に一利用者の利用者資金の受入額に上限を設けることとされた場合には、資金移動業者のビジネスモデルによりましては、利用者にとって著しく利便性を損なう事態が生じ、事業の大幅な見直しや、場合によっては事業を継続できない事態も生じ得ると考えます。こうしたことを踏まえ、利用者の受入額に上限を設けないようにお願いいたします。
例えば、受入額は多額であっても、送金までの期間が短い場合など、リスクの判断の要素は、受入額のみならず、ビジネスの規模、送金の件数や送金までの期間など、他の要因との相関関係によるものであることから、現行の資金移動業者の利用者資金の受入の実態を十分に踏まえていただきまして、利用者にとって利便性を損なうことや、資金移動業者の事業継続に重大な支障が生じることがないよう、またイノベーションの促進を阻害することがないよう、慎重な検討をお願いいたします。
2点目でございますが、基本的な考え方(案)11ページに記載がございます、現行規制の枠組みを前提に行う事業者についてでございますが、現行規制の枠組みでの資金移動業者に対する取扱上限額につきまして、100万円相当額以下から500万円相当額以下への引上げを引き続き検討していただくようお願い申し上げます。
2ページをごらんください。
その理由でございますが、第2回の金融制度スタディ・グループでもご報告いたしており、恐縮ではございますが、再度、お願いを申し上げさせていただきます。
協会の利用実態調査によりますと、制度上100万円超の送金が可能になることを6割強が希望していることや、資金移動業者に対し、法人または個人の顧客から、商品購入資金、投資資金、不動産関連資金、留学資金、医療費等を中心に、1回当たり100万円を超える送金依頼の問い合わせ、相談が多数寄せられているとのことでございますが、現行の上限規制により、利用者ニーズに応えられていない状況にあります。また、この上限規制が制約となり、新たなビジネスモデルの構築や新規参入を躊躇させる要因ともなっているとの声もございます。1回当たりの取引額が500万円程度以下の送金ニーズへの対応は、新しい形態での参入による場合、規制コスト等に伴う利用者利便に影響を与えるおそれがあること等を考えますと、現行の資金移動業者に対する規制の枠組みで対応するのが現実的ではないかと考えられます。
協会の資金移動業者へのアンケート結果での要望を踏まえ、取扱上限額の100万円相当額以下から500万円相当額以下への引上げについて、引き続き検討をいただくよう、お願い申し上げます。
次に3点目でございます。基本的考え方、17ページに記載がございます、いわゆる無権限取引が行われた場合の責任分担等に関するルールについての意見・要望を申し上げます。
全銀協の申し合わせ、インターネット・バンキングによる預金等の不正払戻し対応によりますと、インターネット技術は日々高度化しており、各行が提供するセキュリティ対策を含め一様でないことから、過失・重過失の類型やそれに応じた補償割合を定型的に策定することは困難として、具体的な対応については、各行に委ねられているのものと理解しております。現行の資金移動業者は、一件一件の送金金額が小口であることや、金融機関等を介した送金は常時滞留している預金からの振替によるものである一方で、資金移動業者の送金は、送金のための資金の一時預かりであること、資金移動業者による送金のサービスは多種多様であり、また、システムも新しい技術が日々取り入れられ、一律に補償の基準やセキュリティ対策を想定することが難しいものと考えられます。加えまして、これまで送金依頼者の過失がない無権限取引による送金トラブル事例は承知していないことも考慮いたしますと、現状では民事法に基づく個別対応でもよいのではないかと考えます。
最後に、送金を取り扱う事業者に対する今後の制度設計に関し、意見・要望を申し上げます。
送金を取り扱う事業者の今後の制度設計の検討に当たりましては、キャッシュレス社会の実現に支障が生じないようご配慮いただきたいと思います。また、送金を取り扱う事業者の今後の制度設計の検討に当たりましては、送金業の利用の実態を把握し、送金・決済の担い手の一翼を担っている資金決済業者で構成する当協会の会員に対しまして、積極的にヒアリングや意見交換等を行う機会を設けていただきたいと思います。当協会も、送金業に係る利用者ニーズや会員が検討しているビジネスモデル等の把握に努め、金融庁に対し、情報提供や意見交換などを行わせていただく機会を設けていただくことにより、利用者にとってよりよい制度設計につながるよう協力してまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

【岩原座長】
次に、Fintech協会の丸山様、お願いします。

【丸山オブザーバー】
Fintech協会でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私どものほうから、右肩にピンク色のFintech協会のロゴがある資料を使ってご説明させていただきたいと思います。
まず、これまでイノベーション促進という観点から、メンバーの皆様、金融庁の皆様にご議論いただきまして、ありがとうございます。基本的な方向感に関しては、我々もご同意させていただいているというところではございますが、先ほど岡田参事官のほうからは、今後検討するいったようなところ、多くございました。今後の検討に向けて、ご留意、ご配慮いただきたいというところを考えているところをお話しさせていただければと思っております。
まず、1ページ目の総論でございます。
今回、未来投資会議に記載されているとおり、イノベーションの促進ですとか新規事業者の参入の促進という趣旨で、機能的・横断的法制の検討もあったと思っておりますので、継続した、この趣旨に基づいた検討をお願いしたいと思っております。
また、これを実現するに当たって、我々事業者のビジネスモデルというものもご配慮いただきまして、今後、具体的な議論・検討に我々も協力をさせていただければと思っているところであります。
また、総論の2点目なんですけれども、この検討の結果、当然、新規参入の余地をつくっていただいているというところですが、新規参入じゃなくて、既存の事業者に影響が出るという部分が結果として多く出てしまった場合、国民全員のサービスのメリットと悪影響、バランスが崩れてしまうことがないよう、趣旨に沿った検討をいただければと思っております。
また、3点目ですけれども、今回、いろいろ検討をするという範囲、多く広がってございます。今後の検討ですので、必ずしも規制の範囲が広がるということではないとは思いますが、検討範囲が広がることで、企業活動がその検討が終わるまで少しストップするですとか、法令が実際に拡大しまして、それに対応する社会コストが増え、キャッシュレス推進が少しスピードが鈍る、こういったことがないようにご配慮いただければというふうに思ってございます。
2ページ目以降で、報告書に書いてありました個別事項に関して、何点か述べさせていただきたいと思っております。
まず、2ページ目に関しましては、資金移動業に関してご検討いただきたいと思っている点でございます。
まず1点目、第1類型のところです。今回、高額送金というところを新たに設けていただけることは、非常にありがたいと思っておりますけれども、過度に厳しい制限ですとか、あとは実際の事業者の実務に落とし込んだときに、果たして耐え得るのか。例えば、送金指図の方法など、細かいところもヒアリング等いただきまして、実効性のある制度のご検討をいただければと思っております。
2点目の第2類型でございますけれども、こちらも資金決済業協会様からもございましたけれども、既存類型における100万円上限緩和に関しまして、継続的な検討も、ぜひお願いしたいと思っております。また、受け入れの条件につきまして、リスク等のご指摘の部分は当然あるとは理解しておりますが、いろいろな類型がございます。サービスの中身がいろいろございますので、一律に法令で決めるべきなのかというところをご検討いただければというふうに思っております。
3点目の第3類型のところでございます。少額の新類型に関しても非常にありがたいと思っておりますが、少額の定義が数千円から数万円というような記載がございますが、あまりにも少額で、実際に利用者が使いにくいということがないようなこともご配慮いただければと思っております。
4点目の保全の方法でございます。やはりここは少額事業者等々も含めまして、非常に過大な負担となってしまいますと、結局、事業者のコストが利用者へのサービスへ影響するというところがあるかと思っておりますので、既存の保全方法、これを残した上で新たな方法ということをご検討いただければと思っております。
5点目の点で、他社からの送金の受領のところで、一定金額を超えた場合、他社からの受領に関しても不可とするというような案も記載をされておりましたが、非常に利用者の利便性としては使いにくいということと、そういったことを行うと、事業者側のシステムコスト等々も非常に多くかかってくるんじゃなかろうかと懸念しております。ですので、もし一定金額を超えてしまった場合に、送れないということではなく、一定金額超えてしまった場合は、適切に引き出すことを促すというようなオペレーション、こういったもので解消できるのではないかというふうに考えてございます。
続いて、次のページでございます。上段が前払式支払手段に関してになります。
こちらも皆様からもありましたけれども、相当な高額等、一部の事例においてのリスクの懸念等はご意見あったようには理解しておりますけれども、一律、全体に係るということは、利用者利便、事業者のコスト、こういうところから、非常にこういった対応は難しいんじゃなかろうかというふうに考えております。やはり先ほど来ありますとおり、日本のキャッシュレス推進は、他国と違って、電子マネー、プリペイドが牽引していくという部分がございますので、こういったところにご配慮いただきまして、過度な規制、利用者利便にマイナスになるようなことがないよう、ご検討いただければと思っております。
続いて、下段の収納代行に関してです。こちらも債権者が一般消費者である場合、先ほど岡田参事官からのご説明の中で、「個々の実態踏まえ」というふうにございましたが、まさにそこでございます。基本的に一律の規制ということはないというふうに理解しておりますが、プラットフォームビジネスにおいても、非常に多くのサービスが生まれてきております。今後、新たな付加価値を生み出す事業者もどんどん出てくると思っています。こういった場合に、一律に資金移動に対応しますということになると、コストの懸念から参入が進まない、イノベーションが進まないというようなことも懸念されるんじゃないかというふうに思っております。ですので、2点目の中段あたりに書いてあるんですけれども、送金行為の潜脱になっていると思われるようなケース。先ほど来でいきますと、プラットフォームと独立したようなケースが、もしかすると、それに当たるのじゃないかと思いますが、そういったケースのみを規制対象にするといったような考え方をご検討いただければと思っております。
続きまして、最後のページ、4ページ目になります。
仲介法制のあり方につきまして、横断的な法制度を検討いただきまして、大変ありがたいと思ってございます。ご検討いただきたい点としましては、1点目ですけれども、代理仲介に当たらない電子決済等代行業のようなユーザ指図という観点も含めて、広い範囲で検討いただけますとありがたいと思っております。
また、もう一点、ご検討いただければと思っておりますが、特に3点目でございまして、インセンティブの考え方におきましては、電代業の検討の中から、銀行法がガイドラインで示された考え方があると理解しております。今回の記載内容がそれを上書くものではなく、それとは別のものと理解しておりますので、そこを明らかにしていただけますと、非常にありがたいと思っています。
最後、いろいろとプラットフォーマーの件で書いておりまして、報酬がイコールインセンティブであるということではなく、利用者に無償でサービスを提供いただけるかわりにデータを提供するですとか、報酬ではない、いろんな情報のやりとり、インセンティブ、メリットのやりとりがあるというふうに思っておりますので、必ずしも報酬、金銭的報酬ということに、流れに限った検討ではないということを実例を見ながらご検討いただければというふうに思ってございます。
Fintech協会からのご要望事項は以上となります。

【岩原座長】
それでは、討議に移りたいと存じます。なお、審議時間が限られておりますので、ご発言は簡潔にお願いしたいと存じます。
それでは、どなたからでも結構ですので、ご発言をお願いします。
加毛さん、お願いします。

【加毛メンバー】
ありがとうございます。
まず、資料1の事務局の報告書案の記述につきまして、3点、ご検討をお願いしたいことがあります。
1点目が12ページの「保全方法等」についてです。本日、小木曽さんの資料の3ページや、丸山さんの資料の2ページでも言及がありましたが、現行法上、保全方法として、3つの方法が認められているものの、信託契約がほとんど利用されていないことについては、このスタディ・グループの会合においても取り上げられました。しかし、信託契約が利用されない理由については、よくわからないところがあります。報告書案では、供託と保全契約に関する要履行保証額の把握の時点の問題には言及がございますけれども、そのほか、信託契約という保全方法の問題点の検討についても記載してはどうかと思います。
2点目は、13ページの「前払式支払手段」の供託義務に関する記述についてです。本日の参考人の皆様から批判が集中しているところですが、報告書案の記述の仕方が、やや誤解を与えているのではないか、という印象を受けます。このスタディ・グループでは、前払式支払手段についても、少額サービスに関する規制緩和を検討して参りました。報告書案では規制強化につながる点のみが記載されておりますが、こちらの点についても、併せて記載をしてはどうかと考えます。実際、少額サービスに関する規制緩和が実現されるのであれば、参考人の皆様のご懸念の多くも払拭されるのではないかと思われます。
3点目は、18ページから19ページにかけてのポストペイサービスについてです。19ページで、経済産業省の割賦販売小委員会の議論が紹介されています。そこには「まずは、「少額」を念頭に検討を進めていく」という記述があるのですけれども、割賦販売小委員会の議論は「少額」であることのみを根拠として規制緩和を考えているのではないと認識しています。むしろ、18ページから19ページにもあるとおり、過剰与信の問題が重要な問題関心であり、それに対処するために、技術の進展に伴う高度のリスク管理の仕組みを、どのようにして導入していくのかが議論の中心なのではないかと思います。それゆえ、現在の記述は「少額」というところを強調し過ぎているような印象を受けた次第です。表現ぶりについてご検討をお願いできないだろうかと思います。
以上3点が報告書案に対するコメントです。その上で、3名の参考人に対して、都合3点のご質問をさしあげたいと思いますが、続けてよろしいでしょうか。

【岩原座長】
では、続けてください。

【加毛メンバー】
ありがとうございます。
1点目の質問は、小木曽さん、丸山さん、長楽さんの皆様にお伺いしたいものです。資金移動業者について受入金額の上限を設定することに対して、小木曽さんの資料では3ページ、長楽さんの資料では1ページ、丸山さんの資料では2ページで、それぞれ反対の意見が表明されています。他方で、報告書案の11ページでは、受入額の上限を設定する理由は、「資金移動業者に利用者資金が滞留することによるリスクを低減する」ことにあるとされています。この目的を達成するうえでは、受入額の上限を設けることのほか、資金滞留の期間に制限を設けるという方法も考えられます。例えば、口座に入金された資金を、短期間のうちに払い出さなければならないようにする規制を設けることがあり得ます。預り金規制との関係で、資金移動業については、そもそも資金滞留が予定されていなかったことからすると、むしろ、そのような規制手法の方が自然といえるかもしれません。そこで、受入額の上限規制ではなく、資金滞留期間の規制を設けることについてどのようにお考えであるかを、3名の参考人にお伺いしたく思います。
2点目は、長楽さんと丸山さんに対する質問です。現在の資金決済法のもとで、資金移動業につき、100万円の送金額の上限規制が存在するところ、それを500万円に引き上げることや、金額を示さずに送金上限額を引き上げることに関するご要望がありました。他方、これまでの議論の経緯や、本日の報告書案では、そのようなご要望を、第1類型で受け止めることを想定していたように思います。これに対して、本日のご提案が、第1類型を新たに設けるのではなく、現在の第2類型を維持したうえで上限額を引き上げることにあるのだとすると、その理由がどの辺りにあるのかを、お聞かせいただけないでしょうか。
長楽さんの資料の2ページでは、「新しい形態での参入による場合、規制コスト等に伴う利用者利便に影響を与えるおそれがある」という記述がありますが、具体的に何を懸念されているのかを明らかにしていただければと思います。
3点目は、小木曽さんに対する質問となります。資料の5ページにおいて、収納代行に対する規制の導入に反対される根拠として、「事業者の自主的取組で受け手の保護に資すると評価しうるものも存在する」ことが挙げられています。これが具体的にどのような取組みであるかについて、ご説明いただけないでしょうか。エスクロー決済が、銀行口座の情報などを取引相手に伝えなくてよいなどの点で、利用者にとって利便性のあるサービスであることは確かだと思います。しかしながら、不適切な事業者がエスクロー事業に参入し、倒産したりした場合には、利用者が多大な被害を受けるおそれが生じます。そこで、利用者保護の観点から、事業者が自主的にいかなる取組みをしているのかについて教えていただければと思う次第です。
以上です。

【岩原座長】
それでは、ただいまのご質問について、まず小木曽さんからお答えいただけますか。

【小木曽オブザーバー】
3人共通のということでご質問受けた期間制限のところは、規制のあり方としては、選択肢としてはなくはないんじゃないでしょうか。ただ、期間の置き方をどうするかによって、まさにそこの影響がどうなるかというのがわかるので、そこはちょっと私も事業者とよく相談をしないといけませんが、ただ、検討の方向性としてはあり得るとは思います。
それから、最後のご質問ですが、自主的な取り組みをやっていることというところですが、例えば、事業者が代理受領した資金の保持期間を一定期間に制限している、それから、一定金額以上に達した場合は、自動的に振り込むとか、あるいは定期的に一定の期間で締めの作業をして自動的に振り込むなど、こんなことが行われているのが実態でございます。それを意識して書きました。
すいません。質問への回答ではないのですが1点、収納代行のところの理屈づけでご紹介するのを忘れてしまったんですが、アメリカでは、プラットフォームによる収納代行というものを送金業の規制の対象外と整理をしているようですので、むしろ我々は、そういうアメリカの法律を参考にすべきじゃないかなと思っています。
以上です。

【岩原座長】
それでは、長楽さん、お願いします。

【長楽オブザーバー】
受入額に上限を設けることについてお答えいたします。
現行の資金移動業者のビジネスモデルの一つとして、例えば、商品代金の返金業務等を行う事業者がおります。このような事業者の場合、例えば、一万人の利用者の返金業務を一括して請け負い、返金資金の送金を行う場合でございますと、仮に一人1,000円の返金でも、相当な金額に上ることになります。利用者資金の受入れ額に金額の上限を設けますと、このようなビジネスモデルの事業ができなくなる可能性がございます。今おっしゃいました、送金資金を預かってから送金完了までの期間をどうするかというのも、あろうかと思います。いずれにいたしましても、利用実態を踏まえた議論をお願いしたいと思います。まず利用実態を把握し解消できる期間というのを設けない限りは、現行の資金移動業のビジネスモデルの中の一部の事業者かもしれませんが、事業を継続できない事態が生じることになるかもしれないという気がいたします。
2点目のご質問ですが、ここにございます利用者資金の滞留制限が、現行の資金移動業者との関係で、どこまで、どういう形での厳しいものになるかによって、規制コストが上がり、そのため利用者利便に影響が生じることになるのではないのかという懸念でございます。また、第2回金融制度スタディ・グループにおいては資金移動業の取扱上限額の引上げは要望いたしましたが、アンケートを取っていなかったことから具体的な引上げ額の要望はいたしませんでした。今回はアンケート結果が出ましたので示させていただいたということでございます。

【岩原座長】
それでは、丸山さん、お願いします。

【丸山オブザーバー】
まず1点目の期間の点でございますが、まさにご指摘の11ページの記載からいくと、リスクの低減の観点から、期間という概念も当然考えられるんだとは思っております。
資料に記載もしているとおり、要はサービスによって、どれが適しているのかが一律に決めにくいのかなと思っています。期間で決めるやり方もあれば、上限を決めるやり方もあればということと思っておりますので、現時点で法令で一律ということでは、まだないのかなという思いもありまして、期間も含め、サービスごとに検討してもいいんじゃないかと思っています。
低額の観点もできましたので、今の第2類型のものが第3類型になることによって、少額のものが便利になる等もありますが、全体のバランスから見ると、ちょっとまだ現時点で第2類型のサービスのどれがどのリスクに当たるのか特定しきれないので、このような柔軟な検討の仕方をいただけると有難いと思っているところではございます。
2点目の、100万を超える第2類型の部分も、基本的には100万を超える部分は第1類型ですということだとは思っておるんですが、第1類型のほうの、この具体的な決済サイズも含め、滞留制限も含め、相当高額なことを念頭に置かれてつくられるのかなと思っておりますので、金額の多寡はありますが、100万円から少し出ていくような金額か、そこにおいては、第1類型とはまた違う範囲でご検討いただけないかということで記載をさせていただいたというものになります。

【岩原座長】
よろしいでしょうか。
それでは、戸村さん、お願いします。

【戸村メンバー】
ありがとうございます。
まず、報告書(案)の書きぶりについて、個人的な意見を申し述べさせていただきたいと思います。
第1点目は、10ページから述べられている「高額」送金を取り扱う事業者についてですけれども、1日の間に、各利用者が高頻度で資金の出し入れを行う場合、一つ一つの資金の流れの滞留時間は短くても、利用者が1日の間の相当の時間、送金事業者に預け金を持つ状態も生じると思います。また、送金事業者が破綻したときの保全資産の払い出しには一定の時間がかかる問題があることは、既に本スタディ・グループで事務局から報告があったとおりですが、速やかな資金の払い出しのために「高額」送金を取り扱う事業者についてセーフティーネットを置く必要があるかは、引き続き検討課題として残っていると思います。ですので、「高額」送金を取り扱う事業者については、資金の滞留を制限すれば規制の目的を達するのに十分なのかどうかという点と、またセーフティーネットを設ける必要があるかどうかという2点目の点は検討課題として残っている旨の記述が報告書にあるとよいと思います。
第2点目は、23ページ目の「おわりに」についてのコメントですけれども、非銀行の送金事業者が、軽い規制のもとで銀行の行うサービスに近いものができるようになる一方で、銀行及び銀行持株会社に向けた従来の保守的な規制が残るということになりますと、利益の出る事業を侵食されつつも、当分の間は預金の流入が続く銀行がリスクの高い融資に走るというような事態も懸念されます。
歴史を振り返りますと、1980年代の我が国での資産バブルの形成を含め、金融システムの一部分だけ規制緩和を先行させることによる規制のゆがみが金融システムの不安定化の発生要因の1つとなったという経済学上の学説も存在しますので、23ページ目の「おわりに」の最後の段では、現状の表現よりも明確な形で、伝統的な金融機関についても継続的にリスクに応じた規制の見直しを行うという原則の確認があるとよいと思います。
第3点目は加毛先生と同じで、12ページ目からの保全方法等についての項では、「適切な対応のあり方を検討していくことが重要である」という表現がありますけれども、より効率的な保全の方法、新しい保全の方法の検討も含めた広い意味を持たせるとよいと思います。
報告書(案)のその他の箇所については、今のところは異論はないのですけれども、事業者団体の代表者の方々から出された論点の一部について、手短に個人的な意見を述べたいと思います。
最初に総論として、規制があるがゆえに不良事業者が排除されているということもありますので、現状で不良事業者が見当たらないので規制が不要という結論には、すぐにはならないと考えております。
次に各論ですけれども、複数の方から言及があった収納代行については、収納代行やエスクローサービスと自分のサービスを呼びさえすれば、銀行や資金移動業などの送金サービスに係る規制を回避できるということになりかねないという問題を感じております。例えば、そのような状態が発生しますと、マネロン規制は骨抜きになります。また、借り手保護など、他の社会的な要請もあります。これはポストペイをする場合ですけれども。銀行なども含めて、送金サービス一般に規制が不要ということであれば、1つの考え方だと思いますが、そういう趣旨の主張ではないと思うので、もし、特定の要件を満たす送金サービスについては規制が不要という場合は、法規制の適用の予見性を担保する形で要件を定義することが必要になってくると思っております。
また、関連して、新しいサービスの育成の問題は大事な問題だと思いますけれども、収納代行など、特定の例外をつくって対応するのではなく、少額の送金事業者への柔規制のところで包括的に検討されるものと理解しております。
最後に、前払式支払手段と資金移動業についてですけれども、これらの大きな違いは、前払式支払手段においては、送金目的には使いにくいために、本人確認を不要としている点だと思っております。現金の払い出しが自由にできなくても送金サービスのように使える態様の前払式支払手段が出現してきますと、資金移動業と異なる取り扱いをする理由がなくなってくる、そのように考えております。
以上です。

【岩原座長】
その次に、神作さん、お願いします。

【神作メンバー】
ありがとうございます。
私が申し上げようと思っていたことは、先ほど加毛メンバーが既にご指摘されたのですけれども、スタディ・グループの考え方に対する意見の中に、報告書(案)で申しますと、10ページ、11ページに関連して、第2類型の現行規制を前提に事業を行う事業者についての送金の限度額の引上げを検討してもらいたいというご意見がありました。私は、この点については、加毛メンバーと同じ理解をしておりまして、この問題は第1類型の中に吸収されており、私たちはそのような前提の下で議論と整理をしてきたと理解しております。
その点に関連して、むしろ事務局に教えていただきたいのですけれども、10ページの第1類型なのですが、2段落目に、「仮にこうした送金上限額規制を緩和する場合」という言葉がございますけれども、この緩和というのは上限を撤廃するという趣旨なのか、それとも、具体的な上限額は明示されていないけれども何らかの上限額が想定されているのかというのが、1つ目のご質問でございます。
それから、2つ目のご質問は、第1類型の中でも、さらに上限があるのかどうかという論点にも関連してくると思いますけれども、利用者保護の観点から、利用者資金の滞留についての何らかの規制が必要であるという点と、それから、特にオペレーショナルリスクの管理、あるいは体制整備、特にマネロンとかテロ資金についての体制整備についての規制の必要性が述べられています。第1類型について、主として行為規制と滞留規制について挙げられておりますけれども、特に「高額」送金について上限を全く考えないというようなときに、私もこれまでのスタディ・グループで何回かご発言させていただきましたように、決済というのは、ほかの与信等の金融機能の提供に比べるとリスクは低いと考えられますので、全体的には規制のレベルは低くても、緩和されていても結構であると思うのですけれども、それにしても、例えば、財務規制ですとか、滞留規制や行為規制以外の規制についても幅広く検討する余地があるようにも思われます。ここで挙げられている2つは、それに尽きているものなのか、それとも、さらにここは検討の範囲を広げていく余地があるのか。あるいはまた、冒頭に申し上げました上限額との関係で、規制の中身についても上限額の有無やその高低に応じて変わっていくという前提なのか、やや細かな話かもしれませんけれども、教えていただければと思います。

【岩原座長】
では、岡田さん、お願いします。

【岡田信用制度参事官】
ありがとうございます。第1類型について、最初のご質問は、送金上限額というのが何かあるのか、あるいは青天井なのかというご質問だったと思います。この報告(案)自体は、これまでのスタディ・グループのご議論をまとめた形になっておりまして、これまでのご議論の中では、青天井なのか、上限がどこなのかという点については明示的に議論をしておらず、はっきりとは決まってないということだと思うのですが、ヨーロッパの法制などを参考に検討していますので、上限額はないというような認識で議論されてきたメンバーの方が多いのではないかと思います。
その上で、2つ目のご質問に関して、追加的な対応の中身でございますが、これまでのご議論では、利用者資金の滞留について、イギリスなども参考に、具体的にどう仕組むかというのは今後詰めていかなければいけないのですが、何らかの形で利用者資金の滞留を防ぐ仕組みが必要ということと、重点的な検査・監督ということ、とりわけシステムリスクを含むオペレーショナルリスクの管理とマネー・ローンダリングやテロ資金供与に係る対策の話はこれまでのご議論で明示的に指摘があったため書いております。100万以下の現行の資金移動業とは、ある種、質、量ともに違うリスクがあるということに着目して、それにふさわしい規制枠組みを設けなければいけないということで、個々の行為規制の話もあろうかと思いますが、単に規制で事前にルールを書き切るというよりは、きめ細かな検査や監督・モニタリングを当局ができるという仕掛けも重要になってくると思います。現行の資金移動業は登録制でありますが、イギリスなどの例のように、「認可制」と訳していますけれども、もう少し当局でいろいろな監督上の観点を考慮しやすいような枠組みにするとか、財務規制などにつきましても、オペレーショナルリスクの管理やマネロン対策、利用者資金の滞留を防ぐための仕掛けなど、そういったものに応じていくために十分な財産的な基盤がどれぐらいになるのか、そういったことで相互に関連しますので、総合的に検討していかなければいけないということなのだと思います。
ただ、これまでのスタディ・グループで明示的に、「高額」の送金を取り扱う事業者について、留意すべき点として挙がったのは、主に、大きくは、この2つの黒丸の話だったと思っておりまして、それをどう具体化していくかというのは、まさに今後の法制化に向けた議論の中での課題だと思っております。

【岩原座長】
よろしいですか。

【神作メンバー】
どうもありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、後藤さん、お願いします。

【後藤メンバー】
どうもありがとうございます。報告書全体の方向性については、これでよいかと思っておりまして、細かな点ばかりになるんですけれども、事務局からの報告書の案と、また、各業界団体さんからの意見について、まとめながら、何点かコメントさせていただければと思います。
まず、11ページの第2類型、第3類型のところです。ここでは受入額についての上限というお話と、送金の上限額というお話が2つ出てきています。何回か発言をさせていただいていますが、利用者から見た場合の業者の倒産リスクに関連するのは、主に受入額の上限の方でして、それとは別に送金の上限額を設定する必要性はどこにあるのかということが、いまひとつ理解できておりません。
現行法は、受入額の上限がなく、送金額の上限のみが設定されているのですが、それは業者の倒産リスクについては、何も手当てをしていないということであり、送金額の上限は他の目的、具体的には銀行取引と資金移動取引のすみ分けのために設けられているということになると思います。銀行取引と資金移動取引をすみ分ける必要性は、業際問題的なところもあるかもしれませんが、システミックリスクや金融のコントロールなどの観点からは、高額の決済は銀行システムに乗せた方がよいということもあるのだと思います。
いずれにせよ、第2類型について問題になっているのが、利用者から見た場合の資金移動業者の倒産リスクなのだとしますと、受入の上限額が、送金の上限額と同額である必要性は、論理必然的にはないと考えております。また、これを同額としますと、複数回の送金を同時または短期間に受けた時に非常に不便になるという各業界団体のご指摘は、非常にもっともなものであると思っております。そこで、11ページの②の一番下のところですが、「利用者資金の受入れ額に、例えば、送金上限額と同様の上限を設けることについて」となっておりますけれども、ここは、「例えば」から「同様の」までを削り、「利用者資金の受入れ額に上限を設けることについて今後検討する必要がある」とすれば十分なのではないかと感じております。
また、第3類型につきましては、このときの受け入れの上限額はおそらく、高くてせいぜい10万円、5万円とかその程度なのかと思っておりますが、その10万円、5万円を一度に使いたいという場合に、それを制約するロジックは何もないように感じております。この点の緩和の要件は、「①取り扱う1件あたりの送金額が『少額』であることに加え、②利用者1人あたりから受け入れる資金の額も『少額』であること」となっておりますけれども、①の方は不要ではないかと考えております。
次に、利用者資金の取り扱いのところで、他者から送金を受けた場合に、12ページの②の下のほうで、第3類型については、受け入れの上限額、例えば10万円に既に達してしまっているときには送金が実行不可にすることが提案されています。これでは送金する側が困るというご指摘が各業界団体からあったところで、それはもっともだと思いますが、実行不可とするのはちょっと厳し過ぎであるとしても、フィンテック協会さんからのご提案のように、適切に引き出すことを促すというだけでは、促したけれども引き出さなかった場合どうなるのかという問題が残ってしまいます。そうすると、1つ考えられるのは、事前に銀行口座を指定しておいてもらって、10万円を超えた分は自動的に払い出しますというやり方です。そのときの払い出しの手数料負担をどうするかとかはいろいろあるかもしれませんが、自動的に払い出すことにしていれば、受入額の上限との関係では何の問題もなくなるのではないかと感じているところでございます。
続いて前払式支払手段ですけれども、利用者資金の保全の水準を2分の1から100%に引き上げることに関連して、新経済連盟さんから、第三者型の電子マネーは加盟店との間で常に精算をしているので、仮に100%保全が求められることになると現在の2倍の資金調達コストがかかってしまうので、特に負担が大きいというご指摘がありました。私の理解が不十分なのかもしれないのですけれども、利用者が支払いに使った額が加盟店と電子マネーの運営主体との間で精算された場合には、利用者の資金はもう使われたことになるので、本来そこでもう保全は必要なくなるはずだと思います。本来そうであるべきなのに、依然としてこの分を保全しなければいけないことになるのは、基準となる額の計算方法によるもので、具体的には前の週の最高額を積まなければいけないので、もう既に利用されて精算した分についても、まだ基準時が来てないので、まだ置いておかなければいけないからだと思います。そうだとしますと、これは保全の水準が50%か100%かというところの問題ではなくて、計算の仕方の話だと思います。
紙の商品券の時代は、未使用額をリアルタイムでトラックすることは不可能だったと思うわけですけれども、現在想定されているような事業については、かなり追跡できるようになっているのではないかと素人考えで思っています。仮にそうだとすれば、基準時を修正することで、100%の保全を要求しても負担は減るんじゃないかということを考えておりますが、それで果たしてワークするのかということを、今日でなくても結構ですので、各業者さんに教えていただければと思っております。
次に、収納代行のところですが、プラットフォームで、例えばフリマアプリなどにおいてエスクローサービスがあると便利だということ、消費者としても、どこの誰かわからない買い主よりは事業者のほうが信頼できるだろうということはもっともなんですけれども、これも何人かのメンバーから既にご指摘がありましたように、業者の信頼性をどうやって確保するのかという問題は依然として残ると思っております。
この点について、新経済連盟さんからは、アメリカではそういうのは送金業の対象外になるということのご紹介がありましたが、確かカリフォルニア州などは、エスクロー業の規制があったように認識をしております。送金業の対象から外されているのは、エスクロー業の規制でカバーされているからだとすると、その評価には気をつける必要があると思います。日本では、エスクロー業規制が存在しないかわりに信託業規制があるわけですが、管理型信託ということになるのかもしれませんけれども、登録をして信託会社として規制されるというのは重いとすると、別枠の規制をここでつくるべきなのかどうかというところを検討しなければならず、アメリカの実態が、この辺りまで含めてどうなっているかを見なければいけないように思っております。
いずれも負担だということになってきますと、これは結局、利用者が業者の倒産リスクをどれだけ負うかという話になると思います。まだ資金移動業の規制緩和がどうなるかわかっていないので議論がしにくいところはあるのですが、同じように考えて、一定額以下であれば、利便性を重視して、例えば、10万円までの受け入れの第3類型について規制が緩和されるのであれば、同じように、10万円までのエスクローサービスについては何も規制はかからないという考え方も、例えばですけれども、あり得るように感じております。
最後、無権限取引について、資金決済業協会さんの資料の2ページ目で、現状では民事法に基づく個別対応でもよいのではないかというご指摘がありました。この趣旨がいま一つよくわからなくて、ここで民事法と言われているのは何なのかということでなんですけれども、銀行のカードについての特別法として、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律がありますが、あれも結局、民法478条の特別法ですので、民事法といえば民事法です。この特別法が必要になりましたのは、偽造カードや盗難カードを使った預金の払い出しというのは、特別法がなければ民法478条の債権の準占有者に対する弁済として有効性が認められるかという問題になりますので、債務者である銀行が善意無過失だったかどうかという1点によって処理されてしまう。これでは、預金者側の過失も考慮することができないし、また、オール・オア・ナッシングできめ細かな解決がしにくいということで、より大量に発生している事案について適切な処理ができるかというところできめ細かな対応をしたということだと思っております。そうしますと、送金依頼者の過失がなければ、むしろ478条でいいわけですので、過失があるからこそ特別法が必要ということになってくるとしますと、資金決済業協会さんのご意見は、少しポイントがずれているような気がしました。ただ、いずれにせよ、銀行預金の払い出しは債務の弁済になるのですが、資金移動の依頼というものは、おそらく民法478条ではない別のルートに乗るかと思いますので、それがそもそも何なのかというところを確認することも含めて、どういった対応をするかということはオープンに検討を深めるべきかと思っております。
以上でございます。

【岩原座長】
坂さん、お願いします。

【坂メンバー】
ありがとうございます。総論的なところについて何点かと、各論的に何点か申し上げたいと思います。
まず、総論的な点についてですけれども、今日は事業者の皆さんからさまざまなご意見をいただきました。ありがとうございました。今日いただいたご意見の中で、事業者の皆さんのお考えといいますか、わかったところはあるんですけれども、他方で、利用者の皆さんがいるわけで、こちらの皆さんの立ち位置についてよく配慮して、バランスのとれた規制枠組みを考える必要があると改めて思いました。
それから、お話の中で、キャッシュレスに触れるものが幾つかあったかと思います。キャッシュレスについては、利用者の立場からは、利便性とともに安全・安心なサービスの提供が求められていると思います。安全・安心かどうかは、なかなか目に見えにくいところもありますので、そこは規制制度がきちんとバックアップをしていく必要があるんだろうと思います。安全・安心な制度を確保することが、普及に資する面があることに留意が必要と思います。
規制対応によって、事業者の皆さんに負担感が生じることは理解をしますけれども、利用者の立場からは、必要とされる対応があればそこは工夫をお願いしたいというところと思います。誤解を恐れずに申し上げさせていただきますと、むしろ規制枠組みがはっきりすることによって、安全・安心に難点のある事業者が淘汰をされて、高度化に向けた競争が促進されるとすれば、利用者にとってはそのほうが利益と思われる面があると思いますし、中長期的には、産業全体あるいは経済全体にプラスとなり得るようにも思われます。
また、制度の検討に当たっては、現行法の制度趣旨を十分踏まえる必要があると思っておりまして、例えば資金移動業については、現行の法律のたてつけというのは、100万円の限りで登録制による参入を認めているということと、それから資金の滞留については、基本的には、ごく一時的なものしか前提としてないというのが本来の枠組みと思います。こういった点をよく踏まえた上で、規制のバランスを考えることが必要と思います。
既に何人かの先生からご指摘もありましたけれども、資金移動業の第2類型について、300万円、500万円の引き上げ要望というのは出ておりますけれども、これはむしろ、この間の議論の中では、第1類型の中で考えるというのが、この場での議論の経過であったと思います。
規制の全体のあり方を考えていく際に、規制とイノベーションの関係をどう考えるのかというのが、この間ずっと議論になっておりますけれども、規制については、解決すべき課題を提示して、その方向にイノベーションを促進するという役割があることも、一応念頭に置きたいと考えております。
以上を前提に各論的なところですけれども、まず、9ページの高額の送金事業のところについてです。これは先ほど、上限額についてご議論ありましたが、上限額をどう考えるかということは、これはそのほかの規制枠組みとのバランスをどう考えるかというところかと思います。
規制枠組みを厳しくすれば上限額なしということもあり得るかもしれませんけれども、基本的には、何らかの上限額は必要ではないかと思いますし、また、規制枠組みが緩やかになれば、上限額は基本的には低くなっていくということになるのではないかと思います。
それから資金滞留については、高額送金事業については、基本的にはむしろ認められないということを前提として考えるべきところと思います。
次に、第2類型の現行規制を前提とする事業のところですけれども、高額の滞留資金が生じていることはやはり問題であって、こういう事態は10年前の資金決済法制定時には予定していなかったし、現行法上も許容されているのかどうなのか疑問があるところではないかと思います。
高額の送金事業が整備されることも考えあわせますと、滞留資金には送金上限と同様の上限を設けることが必要なのではないかと思います。やはり基本的に100万以上のレンジについては、高額送金の枠組みの中で考えていくのが基本的な方向性なのではないかと思います。
次に、少額の送金事業についてですけれども、以前、現行制度のもとでの利用状況について、送金額が1件当たり数千円以下のものがかなりの部分を占めるというご報告があったかと思います。現行制度は、既に低額のレンジで現に機能している面があるわけで、これを踏まえる必要があるのではないかと思います。
資金移動のために顧客から受け入れる資金は、本来は顧客のために保管されるべきものであるということから考えますと、やはり保全について緩めるのはその趣旨からは外れるという印象を持っております。
そのほか、システム運営の確保ですとか、あるいは情報保護等、少額取引においても基本的に確保されるべき価値があるところについては十分な配慮が必要ではないかと考えます。
また、少額であってもマネロン対策が必要だというのは非常に重要な点で、少額に分散してロンダリングをすることが技術的に容易になって、仮想通貨では現にそうした事態が生じていることについては十分な留意が必要かと思います。
少額送金サービスについては、基本的な検討の方向性としては、保全措置について実効性を確保しつつ、使いやすいものにしていくことが視点としては非常に重要ではないかと思っておりまして、ここは技術的な工夫も含めた対応の検討が必要だと思います。保全措置について、できれば、制度間あるいはサービス提供者間で何らかの競争が働くような、そういった仕組みが工夫できないかと思ったりもするところであります。
それから、次に前払式支払手段ですけれども、第三者型かつIC型、サーバー型については、これも発行者から加盟店への支払いは資金として出ていくことになりますので、こういった経済的な構造実態からも、資金移動業に準じて利用者資金の保全規制を見直すことはぜひとも必要と思います。
なお、資金移動業における滞留資金を正面から認める場合には、前払式支払手段と資金移動の違いは、払い戻しが認められるかどうかと、それから、これに連動して、取引時確認等の義務が存するかどうかに整理されることになるんだろうと思います。
次に、14ページの収納代行ですけれども、これについては、一般消費者が収納代行業者の信用リスクを負担する事態が生じることと、これが広がっていることに鑑みますと、収納代行を資金移動業として規律することは極めて重要であろうと思います。一般消費者が安心して取引できる環境を整える方向へのイノベーションを促進するとともに、規制のアービトラージを回避する観点からも、規制枠組みを整えることは必要と思います。この点は強く賛成したいと思います。
それから、16ページの加盟店管理のところですけれども、ここについては、一律・画一的な規律は適当ではないと思いますけれども、一律・画一的でない形での規律の必要性については、なおご検討いただければと思ったりいたします。
17ページ、無権限取引のルールについてですけれども、ここはキャッシュレス化が進められる中で極めて重要な課題となってきているのではないかと思います。先ほどもありましたが、かつて預金については、偽造盗難カードによる無権限の引き出しが社会問題となったことから、預金者保護法が制定されておりますけれども、その後、インターネットバンキングやデビットカード等が普及して、さらに最近では、スーパーや駅でのキャッシュアウトの取り組みも広がりつつあるというところだと思います。
実は、相談事例等においてもデビットカード事例が目につくようにもなってきておりまして、デビットカードについては、預金者保護法の適用ないし類推適用について解釈が分かれているところと思いますけれども、ここはルールの明確が必要ではないかと思います。
それから、デビットやクレジットカードでは無権限取引については、現状、約款による対応がされる場合が多いと思われますけれども、これらの約款では、暗証番号等の認証手続がとられた場合には、顧客の負担としているというものが見られます。こうした規定は、民法や消費者契約法との関係において検討すべき点があると思いますけれども、実践的には、技術の進展の中において、この無権限取引の対応をどう図っていくかという観点から考える必要があるように思います。
認証手続をめぐる技術が進展する中で、無権限利用のリスクが、これは未知のものも含めて高まり得る面があることに鑑みますと、事業者によるイノベーティブな対応がまさに求められているところであろうかと思います。かかる対応を促す観点から、責任分担を規律していくことが極めて重要なのではないかと思います。
それから、資金移動業における送金サービスについても、今後、一定の範囲で資金の滞留を前提とする場合には、無権限取引のルール整備が必要と思われますし、特に議論されております給与の払い込み先として利用されるような場合には、ルールの整備は不可欠と言うべきと思います。
次に、17ページのポストペイサービスについてですけれども、ここについては、ご指摘のとおり、過剰与信防止を適切に図ることは極めて重要だと思います。問題状況ないし課題の性格について認識を深める観点から3点述べたいと思います。
1つは、過剰与信防止の課題は、事業者目線と利用者目線が異なり得る点です。事業者の立場からは、貸し倒れにならない限り借りてもらうこと、あるいは、より多く借りてもらうことに利益があって、貸し倒れにならない程度の高い水準で借り続けてもらう場合に利益が最大となり得るような構造があります。
他方で、利用者にとっては借り入れがあること、借り入れが多いことが必ずしもよいわけではなく、貸し倒れにならない程度まで債務を抱えると、将来のための蓄積も回らない状況になろうかと思います。利用者の生活にとっては、貸し倒れに近い水準に至るもっと前の段階で、過剰与信の防止が図られる必要があるのではないかとも思われます。
2つ目ですけれども、情報利用や情報伝達等の新しい技術によって、従来と異なる形で事業者が効率的に利用者に働きかけることが可能となってきています。こうした技術は、利用者の借り入れを増やす方向にも用いることができますし、抑制する方向にも用いることができると思います。技術の使い方によって、金融排除への対応となり得る反面、過剰与信の原因ともなり得る点には留意が必要と思います。
3つ目ですけれども、信用供与の分野は、ともすると質の悪い業者が入りやすい面があるという点で、これは過去の歴史からも見てとれるところではないかと思います。
以上を踏まえつつ、少額のポストペイサービスについてですけれども、その検討には、利用者をめぐる実態を踏まえることが重要と思います。少額の利用が利用者に抵抗なく受け入れられ、債務依存や多重債務の入り口となるおそれもあり得ること、少額といえども、件数が多くなったり、あるいは多数の業者で利用すれば、もはや少額でなくなるということには十分な注意が必要と思います。かかる観点から、少額の意義については、1件当たりの額もさることながら、まとめ払いとなる与信総額が幾らかが問題となるのではないかと思われます。
最後に、取り扱い可能な商品・サービスが問題となっております仲介のところですけれども、取り扱い可能な商品・サービスを利用者保護上のリスクが低いもの、かつ複雑でないものに限定することが提案されていますけれども、この点は極めて重要だと思います。
2つありまして、1つは、今後、スマホによる取引の普及等があり得ることに鑑みますと、限られた画面の中で利用者が対応できる範囲はおのずと限界があり得ると思います。多種多様なものから選ぶよりも、ある程度限定された中から選ぶ環境のほうが利用者は取引をしやすい面があるところもあると思います。
2つ目ですけれども、現状、上場投信も含め、かなり複雑な商品・サービスが金融の分野で生み出されてきています。これらが社会的に見て適切な資金配分やリスク分配に資するものとなっているかどうかは検証が必要かと思いますけれども、少なくとも利用者の投資判断が適切な資金分配あるいはリスク分担に資するものとして機能するためには、利用者の判断可能な範囲で商品・サービスが提供される必要があると考えられます。こういった観点から、やはり仲介業者が入っていく場合に、取り扱い可能な商品をある程度限定していくことは極めて重要な観点かと思っております。
以上です。

【岩原座長】
それでは、次に永沢さん、お願いします。

【永沢メンバー】
ありがとうございます。まず、事務局のまとめてくださいました資料について意見を申し述べる前に、今日、3つの事業者団体の方々からご説明をいただきましたので、その感想からお話をさせていただきたいと思います。
既に、ほかのメンバーの方からも意見が出されているとおりですけれども、私自身も、ここで議論しておりますのは産業振興政策ではなく、利用者である国民が安心して安全に便利なサービスを広く持続的に利用できる制度をつくっていくことだと考えて参加しておりますので、その辺はバランスのよい議論をしていくことが必要で、事業者側の皆様の意見も理解できますが、最終的にはバランスのよい制度づくりが必要だと思っております。
加えて言いますと、利用者が安心・安全に使わなかったら、結局は新しい技術は使われることなく、ビジネスとしても持続可能ではなくなるのではないでしょうか。その点、まず、冒頭で申し上げさせていただきたいと思います。
もう一つ、ほんとうはこんな些細なことを申し上げるのは控えるべきかもしれませんが、資金決済業協会様の資料の2ページの2の(3)のところについて、後藤メンバーのような法的な観点からの指摘ではなく、一般消費者として残念だなと思ったということを述べさせていただきたいと思います。こうしたサービスを利用するのは一般の個人であり、そういった人たちが、トラブルにあった時に自分で動かなくてはいけないということですと、サービスとしての広がりはないと思います。ここの書きぶりは「送金トラブル事例は現時点では承知していないものの、民事法に基づく個別対応では足りないのではないかということを想定して今後準備を進める」と書いてほしかったと私は思いました。厳しいことを申しましたが、よろしくお願いしたいと思います。
そして、事務局のまとめてくださいました報告書についてですけれども、私は技術的なところ、法的なところはよくわかりませんが、10回にわたる議論の中であまり議論していない点についてもまとめていただいております。ポイントとポストペイサービスがそうだと思いますが、ポイントにつきましては、新経済連盟様の意見と異なります。確かに事業者にとってみれば、おまけや割引クーポンの類いはマーケティングのためのツールかもしれませんが、使っている利用者の中には、もちろんそう認識している人もいるとは思いますけれども、現時点ではそうではない方も増えてきていると思います。利用者の認識も変わりつつありますので、利用者がどのように認識しているかを想定し直して、利用者の保護を考えていく必要があると思います。
そして、16ページのところにつきまして、これは事務局に教えていただきたいと思いますし、もう少し踏み込んで書いていただけたらなと思ったところが、「なお」以下のところでございますけれども、例えば大きな不利益変更があった場合に、結果的に利用者が不利益をこうむるような場合には、これは行政のどこが対応することに現時点ではなっているのでしょうか。注視していくという金融庁の姿勢でほんとうに足りるのかどうかというところが少しひっかかるところです。行政のどこが対応されるのかということをお聞きした上で、可能なら、もう少し踏み込んで利用者保護について記載をお願いしたい思いました。
それから、ポストペイのところでございますけれども、私は、これは給与の前借り的なものが新しいサービスとして始まるのかなと思っておりますけれども、こういったサービスを利用する方は、月末に生活資金が少し足りないというような方が少額を借りるというような形で使われていくことになるのだろうと思いますし、それはそれで便利なものだとは思いますけれども、一方で、少額であっても継続して使えば、高い利率の借り入れをしていることと変わりがないことになるのではないでしょうか。また、坂先生からもご指摘がありましたように、おそらく全体の与信ですが、Aさんという人がいくらの借り入れをすることになるのかという把握がされるのかどうか、そこはよくわからないんですが、複数の業者からこうしたサービスを利用するようなことになれば、結果的に大きな債務を負うことになるのではないでしょうか。例えば生活資金の不足を補うために少額を借り入れることを続けてしまうことによって、雪だるま式に債務が膨らみ、それは結果的には生活破綻につながるのではないかが心配されます。パターナリスティックすぎるかもしれませんが、しかしながら、生活資金に困る方をさらに生活困窮に追い込むことがあってはいけないと思っております。今回、このポストペイサービスについてはあまり議論をしておりませんけれども、次の機会に、こうしたサービスの利用者をどのように保護していくのかという点をもっと具体的に議論する必要があると考えます。
私からは以上でございます。

【岩原座長】
それでは、その次に、舩津さん、お願いします。

【舩津メンバー】
ありがとうございます。報告の案につきまして、基本的には、おおむね今までの議論が反映されたものではないかと考えておりまして、私としても、おおむね賛同するところでございます。メンバーの皆様と重複することがありますけれども、コメントを若干、申し上げさせていただければと思います。
お三方から、事業者のお立場でこの報告書についての問題点というか、留意点をご指摘いただいたわけですけれども、既に戸村先生、坂先生もご指摘されていたと思うんですけれども、規制は必ずしも悪ではない、産業の発展にとってマイナスではないということかと思います。利用者保護はビジネスへの信頼につながる可能性があるわけですから、ビジネスを促進する保護という形で議論をしていくことは必要になってくるだろう思います。
そういう観点からしますと、先ほど、後藤メンバーからありましたけれども、電子化でリアルタイムの残高確認ができるようになっているんじゃないかとかいうあたりで、現代的な保護措置というようなものを、ぜひ事業者の方々にご提案いただくということを期待したいと私個人としては思っております。
ただ、もう一つ、現時点で事業されている事業者としての目線以外に、法規制については、参入障壁となり得る点が問題になるとは思います。それに関しては、一旦はあまり保護しないで、失敗してから考えればいいじゃないかという発想も当然あるとは思います。ただ、新参者の粗相といいますか、そういうものが全ての事業者、既存の事業者のビジネスを、あるいはビジネスの芽を全て摘んでしまうというようなことがあってはいけないという点では、やはりある程度の参入障壁となることはやむを得ないかもしれませんけれども、最低限の保護の法制は整備しておいたほうが、よりイノベーションにつながる可能性もあるのではないかと私は思います。
以上が総論でございますけれども、報告書の中身とそれに対する事業者の方からのコメントについて、私が思ったところを述べさせていただければと思います。
11ページの資金移動業の受け入れ上限についてでございますが、受け入れ上限を設定するかどうかということに関しては、後藤メンバーからもご提言ありましたけれども、倒産リスクである限りにおいては、いろいろな保全方法、あるいは保護方法のミックスとの兼ね合いで考えていくべき話であろうと思います。したがいまして、第2類型については、見直しは基本的には現状ベースでやるということですけれども、保全方法をより現代的なものとするような形で見直しをしていくというような提言があってもよいのかなとは思いました。
13ページの前払式支払手段ですけれども、一部事業者の方から、前払式は現金ではないんだから厳しくするのはよくない、キャッシュレスを推進する観点から規制をかけるのはよくない、という話だったわけですけれども、キャッシュレスが進めば、それはまさに現金代替物なわけです。そうなってくると、保護が問題になってくるわけでして、先回りして保護するのか、それとも普及してから保護するのかということになるかとは思います。そうしますと、どちらがいいかは言えないと思いますけれども、やはり何らかの保護をするという形の議論はしていくべきではないかと思います。
それから、この報告書のトーンとして、資金移動に関して、第3類型として、少額の軽い規制を置くという方向で議論がされているという点があります。資金決済業協会さんから、前払いは結構小口が多いということをおっしゃっておられたわけですけれども、仮に資金移動業と分類された場合であっても、そういった第3類型のほうに含まれるということであれば、結局のところ、主たる論点は、どの範囲まで100%保全するのかという、必ずしもそれだけではないですけれども、そういうことになってくるのかなという気がしております。
それから、若干余計なことになるかもしれませんけれども、仮に第3類型の規制をかなり軽いものにしていくということであるならば、もしかしたら、15ページのポイントといったものもそこに含め得るのではないかというのは、一つの考え方としてあるのではないかという気はしております。ポイントというのはおまけなんだよ、販促のための手段だよということであるとしても、もしかしたら第3類型に該当しないような額のポイントを付与するようなものが果たしておまけなのか、販促の手段なのかを考えていきますと、ポイントを第3類型として規律していくこともあり得るのではないかなという気はしております。
ただ、今回に関しては、ポイントは議論しないということだったかと思いますけども、少なくともそういった形で、前払式あるいは資金移動の潜脱になるようなものについてはポイントではないんだということは、何らかの形で表明したほうがいいのかなというのが感想でございます。
17ページですけれども、無権限取引についてです。事業者の方々から、事業者の負担とか利用者利便の向上の観点からは、自主的な対応に任せるべきというスタンスでのコメントがあったかと思います。確かに、そこでサービスの競争をして、よりよい無権限取引の保護ルールを作った事業者が勝っていくというのは、それはあり得る話かと思いますし、それは当然起こってほしい競争であるわけですけれども、ただ、保護の最低ラインを引くような形での無権限取引の利用者保護というルールを設定することと事業者間の競争は相反しないと思いますので、最低ラインが引ける可能性があるかどうかということを模索するような議論はやはり残しておいたほうがいいのではないかなという気がしております。
以上です。

【岩原座長】
それでは、森下さん、お願いします。

【森下メンバー】
ありがとうございます。私も、今回の報告書にまとめられた基本的な方針は、これまでこの場で議論されてきたことをよく整理されていると思いますし、基本的な方針に異論はございません。
先ほど、舩津先生、あるいは坂先生などからもお話はございましたが、新たな規制を加えることが直ちにイノベーションを阻害すると考えるのは、考えていらっしゃる方はおられないとは思うのですけれども、そのような考えではなくて、適切な規制を行うことができれば、それはさらなるイノベーションの発展につながると思います。何が適切な規制なんだろうかというような形で、事業者の方々と、あるいは研究者、あるいは実務家がいろんな議論をしていくことが大事なのかと思っております。
その観点からしますと、今回の報告書は、必ずこうしますという話よりも、まず、実態をしっかりと見ましょうと。それに応じて、メリハリつけたルール、あるいは「柔構造」という言葉が随所に見られると思いますけれども、そのようなことを検討していきましょう。その際に、この点には注意しなければいけないよねというようなことを整理してくださったものだと思いますので、まさにこれから知恵を出し合いながら議論していくことが重要であって、例えば、新たな規制が入ると事業が直ちに潰れますというようなお話を伺うと、本当なのかなというような気もいたします。これから、さらに具体的な実のある議論を行っていくことが大事なのではないかと思っております。
送金について3類型を設けるということも、ある程度大きな金額のニーズに応えるという必要性があることは事業者の方々からもお話が出ていたことですので、そういったことが可能になるような類型は設けられるとうことは良いのではないかと思います。あとは、具体的な規制の内容としてどういうものが適切なのか、リスクに応じた規制のあり方をこれからいろいろ議論していったらいいのではないかと思っております。
私自身は滞留資金について問題関心を抱いております。この点についても、実態を確認してはどうかということで、何度かこの場でも議論になったと思うのですが、では、滞留資金の実態がどうなのかということについては、少なくともこれまでのところ、あまり明らかになっていないような気がいたします。
例えば、具体的な指図を伴わないで、ある一定のお金を預かり続けるということになると、預かり金と何が違うのかというような気もいたします。また、例えばいつでも払い戻しますという約定がつけ加わっていたとしますと、倒産リスクだけではなく流動性リスクなどの問題も出てくるわけで、今後、滞留資金のあり方につきましても、実態を見て、適切な規制は何らかの形で必要なのではないかという気はいたします。
IC型とかサーバー型の電子マネーに関してです。これもやはり、必ず規制強化をしましょうというようなトーンが報告書に出ているというよりも、実態に応じた柔軟な規制が必要であるということが言われているのではないかと思います。電子マネーと現金は全然違うと、違うものも多々あると思うんですけれども、ただ、電子マネーの中には、例えば全国中でどこでも使えますというようなことを、むしろセールストークとして使っているような電子マネーもあるわけですね。そうすると、ほんとうに何が違うのかというようなこともございます。やはりメリハリをつけた規制が大事なのではないかと思います。
収納代行についても同じことが言えるのではないかと思います。エスクローが伸びるということについて、ビジネス上意味があるというようなご指摘がありました。確かにエスクローというものの使い勝手がよくなることは重要と思うのですが、そのことと、エスクローサービスを全く無規制で自由にできるような状態が望ましいのであるかどうかということとは別な話ではないかと思います。
米国の例、私、実際にそうなっているのか存じ上げないんですけれども、例えば諸外国では、オンラインのマーケットプレイスでなされるエスクロー・ビジネスを規制の対象としている国もあるように思います。そういう点も踏まえて、どういったものが望ましいのかということをこれから議論していくことが必要ではないかと思います。
無権限取引に関しましては、私はやはりある程度の規制が必要かと思います。この点について、無権限取引に関する対応について、まずは事業者の方々がどう工夫されるかはすごく大事だと思うのですけれども、事業者の方々がどの程度無権限取引に対応してくれるかを利用者が選択する、利用者が選別すればいいと言えるかどうかは、かなり疑問かなと思います。利用者が無権限取引があった場合のリスクに関する約定を分析した上でサービスを見きわめるというのは、期待できないのではないかという気がいたします。
だからこそ、諸外国の例ということであれば、例えば、米国でも欧州でも無権限取引については一定の規制を設けているということですので、そういった観点から諸外国を参照することがあってもいいのではないかと思っております。
最後に、仲介サービスです。サービスの範囲を拡大していくことになると、所属制ではなく、仲介者それ自身が必要な規制の対象となりつつ、いろいろなビジネスも展開していただくということがあっていいのではないかと思います。その際には、仲介業者が果たす機能やリスク、負うべき義務は商品によってさまざまですので、やはりそこもきめ細かく議論することが大事だと思いますし、繰り返しになりますが、事業者の方々からも、こういったところまでであれば責任を負える、だから、例えば、こういう規制ではどうかというようなさまざまな具体的なアイデアを出していただけると、今後の議論が非常に進めやすくなるではないかと考えております。
以上です。

【岩原座長】
それでは、次に、神田さん、お願いします。

【神田メンバー】
どうもありがとうございます。報告書の案は、これまでの議論をうまく整理していただいていると思います。それで、感想めいたことになりますけれど、5点ほど、ほかの方々からのご指摘があった点と多少重複するかもしれませんけれども、申し上げます。
1点目、総論で6ページから8ページ目、特に8ページには、横断化と柔構造化という2つの概念をそこに書いていただいているのですが、8ページの記載がちょっと簡潔過ぎて、わかっている方にはこれでいいのでしょうけれども、報告書を読む人にとっては、なぜそうなのかがちょっとわかりにくいので、もう少し丁寧にというのですかね、数行のことでいいとは思うのですが、今日の状況では、金融とは何かがわからなくなっている。そして、規制とは何かも、それに応じて非常にわからなくなっている。そこで、機能に応じたアプローチが必要なのではないかと。機能に応じて、何が問題で、どこにリスクがあるのかと。それに応じて規制のあり方が論じられてしかるべきだ。その機能に着目して、例えば第1章の決済分野を見ると、全く横断化されていない。その結果、規制のアービトラージが生じ得るし、利用者利便あるいは利用者保護の観点からも、そういう状況は適切でないと。
もう少し手短でいいのですけど、もうちょっと書いていただく。そして横断化を進めていくには柔構造化ということが、先ほどからご指摘があるように、イノベーション促進、あるいは適切な規制という観点から不可避であるというか、必要であるという、その辺を加えていただけるといいように思います。
2点目は、10ページでイギリスの例が挙げられているのですけれども、ここは制限を設けるという文脈で書かれています。これは既にご指摘のあったことですが、むしろイギリスの例は、前向きという言い方はよくないかもしれませんが、資金を預からない類型も今後認めていってはどうかと書いたほうがいいように私自身は思います。特に機能という観点からすれば、滞留が認められる類型、滞留を認める類型と、送金ということを超えて資金を預からない、「イギリス型」と呼んでおきますけど、類型とでという、そういう書き方が望ましいように思います。
3点目は11ページの少額です。少額は何らかの規制緩和と書いてあるのですけれども、もちろん少額にもよりますけれども、例えばですけれども、供託等はもう不要とするなど思い切った適用除外とか、そういう感じでいいように私は思います。そして、それはポストペイも含めて、つまり、信用供与といっても数千円の信用供与なわけですから、それでいいと思います。
この点に関連して、類型の書き方ですけども、ここは金額の類型ということで3分類しておられて、それはそれでいいのですけれども、少額というのは1つの類型になると思うのですけれども、少額類型を除いた残りの2つを金額で分けるのがいいかどうかは、現状のルールからするといいのですけれども、機能から言うと、ほんとうは、繰り返しになるのですが、滞留を認める類型と、送金を超えて資金を預からない類型というほうが、機能から見た類型という意味ではいいように思います。ただ、ここは書き方の問題ですので、最後はお任せしたいと思います。
すみません、もう一つ、これに関連して、今後申し上げればいいことなのか、あるいは今後議論することなのかもしれませんが、少額であれ、大量の送金が同時に存在するという世界を考えますと、分別、非分別という話を今後よく検討したほうがいいと思います。といいますのは、保全という話は、業者さんの自己勘定というか、固有財産との分別ということなのですけれども、顧客財産間の分別というのでしょうか、つまり、複数の類型を扱う業者さんも出てくるでしょうし、そういうときに顧客の種類に応じて、顧客財産間の分別というか、言葉がうまく言えませんけど、もちろん場合によってということなのですけど、そういう分別、非分別のあり方ということが今後の検討課題だと思います。
4点目は、14ページから15ページの収納代行です。CtoCのところでご議論がありますけれども、私の感じでは、業者が1人入る場合と2以上の業者が入る場合とはちょっと区別できるような気がします。例えば、コンビニだけが支払プロセスに入っている場合は、そのコンビニに何らかのことを期待されるんではないかという話になると思うのですけれども、先ほどエスクローという話がありましたけれども、何かをする業者さんと別のことをする業者さんと2つの業者が支払プロセスに入ってくるような場合には、そこで何らかの期待される役割も違ってくると思いますので、これは区別されてしかるべきだと思います。今後の検討課題かと思います。
最後に5点目ですけれども、第2章の仲介です。所属型について横断化を検討するということは大変結構なことかと思います。それと並んで、私としては、所属型でない類型、ここでは「独立型」と呼んでおきますけれども、独立型というものについてもご検討いただければ非常にありがたいというか、特に利用者利便、ワンストップという観点からしますと、いいことであると思います。
以上です。

【岩原座長】
それでは次に、福田さん、お願いします。

【福田メンバー】
ありがとうございます。既に多くの方がいろいろとお話しされたこととほとんど重複してしまいますけれども、まず、基本的な事務局の方針には賛成ということでございます。
もちろん参考人の方がおっしゃったように、こういう問題というのは多種多様で、利用実態を踏まえて一律規制はやめたほうがいいという視点は非常に重要で、そういう意味では、ルールベースの規制よりもプリンシプルベースの規制になじむ問題だと思います。そういう意味では、具体的に何をどう規制すべきかという問題よりも、何のためにこういう規制が必要なのかという概念整理は、普通の報告書以上に丁寧に書いていただくことは大事だろうと思います。
先ほど、岡田参事官が、総合的に判断して検討と言われましたが、そういう視点も非常に大事だと思います。イノベーションという問題を考えたときに、一番よくないイノベーションというのは、規制を回避するためのイノベーションが活発になることです。いい例かどうかわかりませんけども、かつてのビール業界というのは、おいしいビールをつくることにイノベーションを発揮するんじゃなくて、税金を安くするためにどういうイノベーションがいいのかというようなことが行われたみたいな話もあります。けれども、そういうイノベーションは、規制の回避のための悪い方向のイノベーションです。真の我々の生活を豊かにするようなイノベーションが生まれるような方向性の規制という観点は大事だろうとは思います。
ただ、利用者保護という観点も私も大事だとは思っていて、特にこういう新しいサービスはどういう形で広がっていくかというと、最初は関連の技術とかサービスに詳しい人から利用していって、だんだんそういう技術やサービスのことをあんまり知らない人にだんだん広がっていくのが、通常なんだろうとは思います。そういう意味では、永沢メンバーとかがご懸念になっていたように、これまで大丈夫だったからという論理ではなくて、やはりリテラシーの普及が重要で、技術やサービスが広がっていくときに、関連の技術やサービスに対する知識が薄い人も利用できるような利用者保護はやはり念頭に置いて、ルール整備、規制も考えるべきだという発想は重要だと思いますので、そういう観点も踏まえての報告書になっていると理解したいと思います。よろしくお願いします。

【岩原座長】
それでは次に、翁さん、お願いします。

【翁メンバー】
私も、総論についてちょっとコメントして、あと細かいところ、少し重複いたしますが、コメントさせていただきます。
今回、資金移動業について、送金額に応じた規制という形で整理をされていて、これは利用者保護の観点から、例えば送金の履行の確保とか、滞留している資金の額にもよりますけれども、その破綻リスクの大きさなどを考えて一つの整理として結構かと思うんですが、幾つかの点に留意しておく必要があるということで申し上げます。1つは、やはりマネロンやテロ資金の問題というのは、金額の多寡にかかわらず重要でございますので、そうしたメッセージがとても大事だということ。それから、もう一つは、規制の潜脱が、どうしてもこういう金額でやりますと、そこでまたレギュラトリー・アービトラージが起こるようなことにならないように、そうしたことが起こらないように気をつける必要があるということ。
あと、本当にいろいろなビジネスモデルがございますので、先ほど神田先生が、滞留しているか否かというビジネスモデルで違うんじゃないかとおっしゃいましたし、また、グローバルに展開しているか否かということで、グローバルな平仄とかそういうところもあるでしょうから、いろいろなところも見ながら、規制についてどういうものが適切かを考えていく必要があるのではないかと思っております。
1つ、高額送金を取り扱う事業者については、今日、岡田参事官からご説明があったように、100万以上から青天井まで、ここで記載しているということでございました。100万が300万になるというレベルのこと、300万、500万ということであれば、こういったまさに利用者資金の滞留についての制限、重点的な検査の監督、十分だと思うんですけれども、例えば、1億円を超えて企業間で頻繁に国際送金を行うというようなビジネスモデルであった場合に、金融システムの観点から、本当にこれで十分なのかということについて、国際的な、例えば、トランスファーワイズの議論とかもイギリスでございますけれども、そういった点もよく検討しながら考えていく必要があるのではないかと思います。
それから、第2類型の送金上限額と同様の上限という表現でございますが、私は後藤委員と同じ意見でございまして、確かに信用リスク、利用者の保護の観点からは一定の上限を設けるべきであると思いますけれども、実務やビジネスモデルとの関係で、どのような上限額が適切かということについて今後検討していく必要があると思います。
それから、保全方法についても、これも多くの委員がおっしゃったんですが、私も、信託、保証という形態がより活用されるためにはどういうふうにすればいいかということと同時に、より事業者の工夫とか、リアルタイムでどういうふうに合理的な保全ができるかというような技術革新をより生かすような、先ほど、加毛委員もリスク管理とおっしゃいましたけれども、まさにこういうリスク管理インセンティブ、自主的にやることによって、よりビジネスモデルとして信頼されるというような、そういった方向で、この保全のやり方については抜本的に見直す必要があると考えます。
それから、収納代行については、ここで2つの要件で、コンビニとか代引きとか除外されていますが、それ以外の収納代行も、ほんとうにいろいろなビジネスモデルがあると私は思っております。ですので、もちろん送金とほとんど同じようなビジネスモデルであれば、きちんと規制を検討していく必要があると思うんですが、こちらで書いていただいているように、個々のサービスの実態をよく見て、ここについては検討していただく必要があると思っております。もちろんここでの整理、小口債権者が一般消費者になる場合について重点的に検討していくというご方針には賛成をしております。
それから、仲介業者の点でございますけれども、これはおそらくこれからは、縦の業者間の所属制といったタイプのものは少なくなっていて、神田先生がおっしゃった、独立型ということと同じ意味かわからないんですが、おそらくスマホでいろいろなものを提供するような形のものが出てくるということだと思います。これは、所属制というのがもう無理な業態になると思うんですけれども、ここは類似の業者が出てくれば、そこで自主規制のようなものを考えていくとか、そういう形で、より事業者の実態に合った自主規制と組み合わせて規制を考えていくことも考えられるのではないかと思っております。
最後になりますが、やはりいろいろなビジネスモデルが出てきますし、また、技術革新やデータ分析とかそういったものがどんどん進んでいきますので、やはり金融庁の監督体制というか、そういったものも非常に重要になってくるのではないかと考えておりますので、その点も申し添えたいと思います。
以上でございます。

【岩原座長】
大野さん、お願いします。

【大野メンバー】
ありがとうございます。既に多くの意見が出ていますので、重複するところもあると思いますが、簡潔に意見を述べたいと思います。
まず、総論ですけれども、本日用意していただいた報告案は、本年に入ってからのスタディ・グループにおける議論や論点を大変うまく整理されて、制度見直しに当たっての尊重すべき基本スタンスの確認もありますし、さらには、決済領域と金融仲介業に関する2つの制度的な見直しを提言されているということで、非常にクオリティーの高い、バランスのとれた内容だと思っております。基本的にサポートさせていただきたいと思います。
今日は第1章に大分議論が集中しておりますが、送金業者の3類型について私も、重複しますけれども、金額が多い100万円超については、これまでの議論は第1類型で受けるということでよいと思いますし、その場合には、以前から申し上げておりますけれども、マネー・ロンダリング、コンプライアンスなどの面で厳格な対応を求めると書いていただいておりますところ、ここを強調していただきたい、外せない条件であることを述べておきたいと思います。
やはり一番の規制緩和の目玉というのは、第3カテゴリーの少額取引、ここを設けるところ、この意義が非常に大きいと思います。基本的に規制緩和を図って、イノベーションの進展を促す受け皿ということで、ぜひ活用していただくのが良いかと思っています。
むしろ気になる点は、少額のカテゴリーの中にあっても、例えば非常に大規模なプラットフォーマーが出現するような場合も将来的には考えられるのではないかと思っています。その場合は、決済システムに対する信頼性を守る観点から、確実な取引の履行、サイバーセキュリティーやオペレーションのリスクなどへの対応が十全に図られるように目配りをきかせることが肝要だと考えております。
次の収納代行についてもいろいろご議論がありました。私は、14ページから15ページに示されております債権者の区分で2つに分けるという考え方が非常にしっくりしております。きめ細かい、メリハリのきいた対応を行うという方向性に賛同いたします。特に一般消費者が債権者の場合、ここについてはもう既にご議論がありましたけれども、やはり利用者保護に重点を置いた形で、実態をよく踏まえ、きめ細かく柔構造的なアプローチで、リスクベース・アプローチに沿って検討を進めることが重要であると考えております。
少し急ぎ足で第2章のところのワンストップサービスについてコメントしたいと思います。20ページには、基本的な方向性として、多くの金融機関が提供する多種多様な商品・サービスをワンストップで提供する仲介業者に適した制度について具体的な検討を進めることが適当とあります。この考え方を強くサポートいたします。
ここに掲げられているワンストップ的機能の拡充を実現させることは、高齢化社会への対応をはじめとした我が国の経済、社会が抱える社会的課題の解決を図る上で非常に大きなツール、道具立てを用意することになると期待されます。ぜひとも早期の実現を目指していただきたいと願っております。
あと1点、最後に、報告書23ページの「おわりに」のパートについて一言意見を申し上げたいと思います。ここでは、金融機関以外の異業種への対応について、異業種が将来的に金融分野でプレゼンスを高めていく場合には、金融システムの安定確保の観点などから、必要な対応について検討を進めてく必要があるとあります。私も、この問題意識に大いに共感を覚えるところであります。
この問題に向き合っていく際の基本的なスタンスとして、2つの点に配慮することが重要であると考えております。1つ目は、伝統的な金融機関とそれ以外の異業種の間での健全で競争的な環境、イコールフッティングを整えること、それによって、金融機関と異業種の間の競争と同時にコラボレーションを促すことが重要であると考えておりますし、さらには、金融システムの信頼や安定を確保するためには、利用者保護とフィデューシャリー・デューティー意識の浸透を図ることが極めて重要であると感じております。
以上の点、強調のために付言させていただきました。ありがとうございました。

【岩原座長】
田中さん、お願いします。

【田中メンバー】
ありがとうございます。今回の報告書案、基本的にはこういう方向でまとめられることに私も賛成です。
ビジネスの観点からお話をしたいんですけど、この報告書を具体化していくとどういうことが変化するのかと思いますと、私は大幅な規制緩和が起きるんじゃないかと思います。つまり、送金ビジネスであるとか決済ビジネスのマーケットに対する事業者の仕事の量は増えていくだろうと思うんです。それには理由がありまして、今日の議論をお伺いしましても、ほとんど利用者は個人であることを前提にした議論が大宗だったと思います。数回前に、BtoB、BtoCの議論が確かあったと思うんですが、特に第1類型というのは、これは明らかにBtoBに使われるだろうと思います。
そうすると、500万、1,000万の話じゃなくて、何億、何十億の送金がBtoBの世界では当然のように起きますから、我が国においてもグローバルにおいても送金マーケット、マーケットセグメントの観点からすると、明らかにここのほうがビジネスのチャンスが大きいわけです。そういうところをビジネスのチャンスとして捉えていき、そして、それがこの規制緩和によって実現していくというのは、これは極めて望ましいことではなかろうかと思います。
そういうことを考えますと、それから前回も、何回か前にも申し上げたんですが、我が国だけですね、100万円の天井を持っているのは。ほかの国は全部青天井という、そういうご報告がありましたから、私はこれはもう明らかに青天井にすべきだと思っています。
今日の議論でも、利用実態云々という議論も何回かありましたけども、このセグメントに関しては、この100万円のシーリングがあるために、今まで利用実態は当然ないわけで、むしろそこには海外の利用実態というものが参考になるでしょうし、それ以上に、実際にはこうした事業をやっている方々の、言ってみれば、イマジネーションみたいなもののほうがもっと大事じゃないかと思います。ここは非常に潜在的に大きな市場で、これまでは利用者としては個人中心で考えてきたものですけども、そこは大幅に考え方を変える必要があるだろう、アプローチを変える必要があるだろうと思います。そうなりますと、利用者が個人の場合と法人の場合では、一種、情報の非対称性という点も含めまして、それから利用者のソフィスティケーションのレベルから考えても、やっぱり規制の枠組みは少し変わってもいいんじゃないかと思います。
私自身、現在、事業会社の経営をしていますけれども、事業会社で、特にアジアの発展途上国等に送金をする、もしくは受け取る、もしくは日本の農業事業者が肥料その他を輸入する、そういうときの支払い手段が非常に楽になってくる、しかもコストも下がるということであれば、産業のためにも必ずプラスになると思うんです。
一方で、最近、海外送金に関しては、既存の銀行は手数料を上げたりしていますよね。そういうことを考えますと、やはりこうしたところで、法人を対象にした事業が発展していって、我が国の産業として1つの金融産業のセグメントとして大きくなっていくことができないだろうかという気がします。
私も、30歳ぐらい若かったらやろうかと、起業でもしようかと思うんですけど、それぐらいのチャンスがここにはあるんじゃないかという気が一ついたします。ですから、そうした動きを捉え、事業者の方々がそれぐらいのことを考えて、どんどん前に進められると、非常にいいんじゃないかと一つは思います。
それから、もう一つの規制緩和は第3類型ですね。これ、神田先生がおっしゃいましたように、思い切った適用除外とすることに私も大賛成です。ここもそういう意味で、規制緩和をすることが必要で、そうすると、少額というのは何だという議論がどうしても出てきますね。お役所としては幾らって決めなきゃいけないんでしょうけど、1,000円なのか5万円なのか。私なんか、ふと思うに、サラリーマンの平均月額の小遣いぐらいでいいんじゃないかと。3万円とか5万円とかありますよね。それだったら、少々失敗したとしても何とかなるだろうと。それぐらいのことで決めていくのがいいんじゃないかという気がします。それであれば、ここの部分についても、基本的に思い切った適用除外をしても、仮に何か社会的な問題が起きたとしても、被害はある程度抑えられるんじゃないかという気がいたします。
次に、今日の議論の中でも、滞留制限という議論が随分ございました。そもそも私、これ、議論がよくわからないんですが、今、50%、100%とあるわけですけど、そもそも何で50%が認められたんだろう、と思います。理由は、滞留しているお金って、お客さんのお金ですよね。こうした預かっているお金というのは、通常、分別管理が求められるんじゃないですかね。この送金資金というのは自分のお金じゃないですね。会社、事業者のお金じゃないですよね。そうすると、50%だけそれを滞留させて、残りの分は一体どこに行くんですかね。運転資金でも使われるんですかね。これ、流用してもいいという、そういう形になっているんですかね、と思います。
したがいまして、これ、保全義務とか滞留制限というよりも、もっと大事なのは分別管理の考え方だろうと思うんですよね。つまり、お客さんから送金のために預かったお金がきちんと分別管理をされているのか。そして、その分別管理の手法として、信託とか供託とか、いろんな方法があると思うんですけれども、そういうことがされているのかという、そういうことじゃないか。それができてないとすれば、これが仮に50%でいいということであれば、残りの50%は一体何に使っているんだろうと。それが運転資金なら、運転資金というのは、例えば、その事業者の給料なんかも入るわけですが、そういうところに流れてもいいという、そういう制度にしておくのかという問題ではないかという気が私はいたしております。
そういう点も踏まえて制度設計をしていただければいいと思うんですが、今日も、坂さんとか永沢さんとかおっしゃっていましたけれども、要するに、規制をきちんとすることによって、むしろ健全な産業として育成するという観点がやっぱり大事だろうと思います。信頼できないと、その産業は育成できませんし、利用者もそれを利用しない。20年前には、銀行がそういう立場にありましたね。非常に信頼されない状況になって、大変苦労した時期がありましたけれども、やはり信頼される産業をつくっていくという視点が大事だと思います。
先ほど来申しましたように、第1類型、第3類型みたいなところは大変な規制緩和を、もしくはマーケットを広げるということになると思いますので、利用者が安心して利用できる環境をつくることは非常に大事だろうと思っております。
以上です。

【岩原座長】
それでは、全国銀行協会の萩原さん。

【萩原オブザーバー】
オブザーバーでございますが、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。全銀協の萩原でございます。今、議論が幾つかあって、大変有意義な議論をしていただいて、ありがとうございます。そこで2点だけ、今後の討議のご参考としてコメントさせていただきたいと思います。
1点目は、本日もいろんな議論が出てきましたけれども、資金滞留の件でございます。資金滞留について、本日、期間の概念が必要ではないか、一時的なものにすべきだ、あるいはもともと一時的なものだったというご意見もございましたけども、資金滞留を認めていいとなりますと、預金との違は何だろうとか、出資法上の預かり金規制の関係も非常に気になるところでございます。この点については、森下先生からもご指摘がありましたけれども、そういう話だと思います。
少し具体的に言いますと、保全方法にも絡んできますが、保全契約、すなわち保証による保全を行った場合、滞留資金は供託する義務がなくなる。では、何に使うか。そのときに、仮に貸金業登録を持っていて、貸金業務を行えば、まさに信用創造ができるということになります。そうなると、まさに銀行業務と同じことができるということになるのではないかと思います。
また、今、田中メンバーからもお話がありましたけども、仮に資金移動業者が運転資金なり何なりで使ってしまったときに、財務悪化が起きたというようなときには、保証ですので保全契約が打ち切られる可能性もある。そうした場合には、まさに利用者の方の資金を保護できなくなってくるという事態もあるのではないかと思いますので、この滞留資金については、しっかりとした議論をお願いできればと思っております。
2点目は、これはお願いでございますけれども、まず、この「はじめに」のところで、もともと今回のスタディ・グループでは、当面4つの検討の論点をやりますと記載されていて、①情報の適切な利活用、②決済の横断法制、③プラットフォーマーの対応、4番目で、銀行・銀行グループに関する規制の見直しがテーマになっています。今回の報告書は、この中で言えば、②の決済の横断法制、③のプラットフォーマーを中心にまとめられておるんですけれども、ぜひ④にございます銀行・銀行グループに対する規制の見直しという観点も、引き続きご議論をいただければと思っております。
情報の利活用という点ではご議論いただいて、手当てもいただいているわけですけれども、これからまさに金融システムのプレイヤーの顔ぶれが変わり、競争環境も大きく変わってくる中にあって、プレイヤー間の活発な競争、あるいは協働を通じたよいサービスが提供できるようになるためにも、非伝統的と言われているプレイヤー、フィンテックなどの皆様と同じように、我々銀行・銀行グループに対する規制の見直しについても並行してご議論いただけると大変ありがたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
以上です。

【岩原座長】
それでは、次に、日本証券業協会の島村さん、お願いします。

【島村オブザーバー】
オブザーバーとして参加させていただいております日本証券業協会の島村でございます。所属制につきましてコメントさせていただきたいと存じます。
現在の仲介業制度につきましては、所属金融機関の委託を受けまして、媒介等の限られた業務を行い、また、所属金融機関が仲介業者の業務について一定の監督責任や、仲介業者が顧客に加えた損害に係る損害賠償を負うこと等を前提といたしまして、金融機関とは異なる規制を設けたものと理解しております。このことを前提といたしまして、私ども日証協では、仲介業者に守らせるべき内容を、協会員である所属金融商品取引業者等に適用する形で自主規制規則を定めておりまして、所属金商業者等がその内容を仲介業者に守らせることにより、間接的な形ではありますが、仲介業者の法令遵守や内部管理態勢の構築などを図っているところであります。
将来でございますが、所属制をはじめとして、仲介業者の規制のあり方について検討が行われる場合におきましては、今回の報告書案においても幾つか留意点が挙げられておりますが、これらとあわせまして、必要とされる利用者保護の水準が確保され得るかといった視点でございますとか、今申し上げた法的規制や自主規制のたてつけがどうあるべきかといった視点を含めまして、ご議論をしていただければと存じます。ありがとうございます。

【岩原座長】
新経済連盟の小木曽さん、どうぞ。

【小木曽オブザーバー】
先ほど、アメリカの法律の話をされましたので、ちょっとご説明を。雑な説明しかしてなかったので。
連邦法と州法、それぞれの規制があるんですけど、連邦法においては、マーケットプレイスで物品やサービス提供のために必要な決済サービスを行う場合、資金移動ライセンスが不要とされていまして、州法でも不要とする州が多いと聞いています。解釈だけではなく、明示的に不要と明記する州も増えていると聞いています。カリフォルニア州は、まさに明記をしていると聞いています。このあたりは、ぜひ金融庁様でもきめ細かく調査をしていただければと思います。
この背景は、やはりイノベーション促進の観点から、アメリカはプラットフォームの競争力が高くプラットフォームサービスが強いですけれども、そこをどういうふうにうまく捉えていくか。消費者保護、それから利用者利便、イノベーション促進の観点から、どういう仕組みづくりが必要かというところで考え抜いたところの切り分けみたいなところかと思っております。
改めて最後に、我々としては、収納代行が一律に資金決済法上の資金移動業であると整理することについては明確に反対をさせていただきます。エスクローサービスなしでCtoCプラットフォームが成り立つとはとても思えません。フリマアプリで、例えば、購入時にもいちいち本人確認するというのも現実的とはとても思えません。いずれにしても、慎重な議論が必要と思います。議論の中身を詰めていくに当たっては、いろんな情報提供などをさせていただくのは当然のことですので、またお呼びいただければと思います。よろしくお願いします。

【岩原座長】
岡田さん。

【岡田信用制度参事官】
2点ほど、手短に申し上げます。
まず、日証協の島村さんからのご指摘、ありがとうございます。いずれにしましても、今の金融商品仲介業者であっても、日証協の自主規制の直接の名宛人ではなくて、証券会社を通じて間接的に自主規制の遵守を求められている、そういう関係だと思いますので、そこは仮に、本日議題になっている所属制を外した仲介業者というものができた場合でも、おそらくは変わっていかないのではないかと思います。
所属制を外したとしても、いずれにしても、証券会社と仲介業者との間では、何らかの形で業務委託その他の契約は必要になると思いますので、そうした中で、各種ルールの遵守のようなことはおそらく記載することになるのだと思います。ただ、仮に所属制を外した場合は、何か仲介業者に違反があった場合に、金融機関側には何かそれを是正する義務、責任がないということだと思います。利用者も、金融機関に対して損害賠償請求をできないということだと思います。ルールを守るところのインセンティブが弱くなる可能性も考えられ、そこは今後制度を検討していく中で、どう補っていくか考えていかなければいけないということかと思います。
あと1点だけ、永沢さんからご質問があったポイント・サービスについて、何か不利益変更などがあったときに、現時点でどこかの官庁が対応するかという話ですが、ポイントを出している業者を監督している官庁が関係はするのですが、いずれにしても、ポイントの細かなところについて、何か規制があるというようなことは通常ないと思いますので、そういう意味では、直接の官庁ははっきり決まっていないということだと思います。業法がない分野もあると思いますので、そこはそういう関係なのだと思います。

【岩原座長】
よろしいでしょうか。本日も大変活発なご議論をいただきまして、まことにありがとうございました。非常に多様なご意見をいただきまして、大分議論を詰めることができたように思います。いろいろなご意見ございましたけれども、全般的に言えば、この報告書案の方向に基本的に賛成するというご意見が多かったかと思います。
私個人もちょっと申し上げさせていただきますと、平成21年の資金決済法を策定したときにそれにかかわった者としましては、例えば資金移動業者のところに資金が滞留するということは、そもそも想定していなかったと思います。それは当然、出資法に抵触してくるという前提で我々は立案した記憶であります。同様に出資法の考慮から、前払式支払証票についても現金による払い戻しは認めないことにしたわけであります。さっき、後藤さんから、資金移動業者につき、送金額の制限と受入額の制限とで、受入額のほうだけ制限すればいいのではないかというご議論があったと思いますけれども、そうすると、まさに預かり金になってしまうわけで、あくまでやはり、送金と結びつけて資金を受け入れることを考えていたのではないかと思います。
その他いろいろ、皆さんから知的刺激に富んだ非常にいいご意見を伺いまして、私も申し上げたいことは山とありますが、時間はとうにオーバーしておりますので、これぐらいにさせていただきます。
それでは、事務局で、本日皆様からいただいたご指摘を整理させていただいた上、次回の会合において、それらを踏まえて修正した報告案を用意いただき、取りまとめのための議論を行いたいと思います。
最後に、事務局から連絡事項等がございましたら、お願いいたします。

【岡田信用制度参事官】
ありがとうございます。次回の日程につきましては、毎度のことで恐縮ですが、皆さんのご都合を踏まえました上で、後日ご案内させていただきたいと思います。ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、長時間、大変熱心なご議論、ありがとうございました。
 

                                                    ―― 了 ――

 
 

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