金融制度スタディ・グループ(平成30事務年度第12回)議事録

  • 1.日時:

    令和元年6月10日(水)16時30分~18時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(平成30事務年度第12回)
令和元年6月10日
  

【岩原座長】
それでは、予定の時刻になりましたので、ただいまより「金融制度スタディ・グループ」平成30事務年度第12回会合を開催いたします。
皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、前回のご議論を踏まえて修正した、「決済」法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告≪基本的な考え方≫(案)をご確認いただき、取りまとめのための議論を行いたいと存じます。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。

【岡田信用制度参事官】
それでは、お手元の資料に基づきまして、前回からの主な修正点についてご説明いたします。
まず、8ページをお開きいただければと存じます。8ページの(3)の下、「以上は」以下の3つの段落について追記してございます。これは、報告書全体としての検討の基本的なスタンス、考え方についての記述でございますが、初めて読む方などにもわかりやすくということで、前回のものより詳しく書いて、中間整理の考え方などについても言及して整理をしております。
次に、9ページの脚注10でございます。現行の送金上限額を超える「高額」送金を取り扱うことができる新類型につきまして、前回、英国などの規制枠組みと同様に上限を設ける必要はないというご意見がありました一方で、何らかの上限を設けるべきというご意見もありましたので、こちらについては現時点では両方の意見を記載させていただいております。
めくっていただきまして、10ページ目の①の第1類型のところの説明であります。そこの2段落目で、「仮に、こうした送金上限額規制を緩和する場合、利用者保護や金融システムの安定を確保する観点から、追加的な対応が必要であると考えられる。」ということで、「このため、以下のような対応を図るとともに、他に必要な対応がないか検討していく必要がある。」としております。これまでの議論では、この下にある2つの黒丸のことを中心に議論してきておりますが、前回、これ以外にも必要な対応があるかどうか点検は必要ではないかというようなご意見がございましたので、それを踏まえたものでございます。
次に、11ページの上から2行目の「なお」のところですが、「例えば、欧州では既に、こうした規制枠組みを前提に、送金に特化したサービスが定着しているとの指摘もある。こうした海外における実態も踏まえつつ、検討を行うことも重要である。」とございます。これは、その前に、英国では利用者資金を必要以上に滞留させないための規制があるというような記述がある中で、規制がこうなっているということ以外に、実際、英国をはじめとする欧州では、送金に特化して、低コストで便利なサービスが提供されていることを記述してもよいのではないかといった趣旨のご指摘があったので、加えさせていただいたものでございます。
同じ11ページの②第2類型の最後のところ、「10億円以上に上る事例も確認されている。このため、資金移動業者に利用者資金が滞留することによるリスクを低減する観点からは」の次ですが、「利用者資金の受入れに、何らかの制限を設けることについて」と修文させていただいております。前回は、「例えば」ということで、送金上限額と同様の上限を設けることについて、といった表現になっていたのですが、こういうリスクを低減するための対応のあり方については、前回もいろいろなご意見がありましたし、今後、検討を進めていくべきだというご意見が多かったと思いましたので、何らかのということで、手法については、今後、検討ということを明確にしております。
めくっていただきまして、12ページでございます。ii 利用者資金の取扱いの①保全方法等というところですが、3つ目の段落のところを少し追記しております。具体的には「こうした課題のほか」というくだりでありますが、タイムラグに関する対応のあり方の検討ということ以外に、そもそも今ある3つの保全方法、すなわち、供託、保全契約、信託契約があるのですが、そういったものの使い勝手の観点ですとか、信託契約による保全が広くは用いられていないという指摘なども踏まえつつ、より合理的で適切なあり方を検討していくことが重要としております。
次に、13ページの上から2段落目の「仮に」で始まる段落の最後の4行です。利用者資金の受入れに制限を設けることとする場合の対応について、前回は、第3類型の対応の例示について、送金先の利用者のアカウント内の資金が受入れ上限額に達している場合にはその送金を実行不可とするための措置を講じることを挙げておりましたが、そういった手法では資金が送れないようなことがありますので、そういう例よりは、むしろアカウント内の資金を速やかかつ確実に利用者の預金口座に払い出すなどの措置を例示するほうが適切ではないかといった趣旨のご意見があったと思いますので、修正しております。
次に、13ページの下からのⅡ 前払式支払手段のところであります。前回、オブザーバーである新経済連盟、日本資金決済業協会、Fintech協会の方から、特にご意見があった論点の一つだと思うのですけれども、「第三者型」かつ、「IC型」や「サーバ型」の前払式支払手段に関して、利用者資金の保全に関する規制等を見直すことを検討していく場合に、「送金サービスに類似した性質」をどのように考えていくかを、今後、より明らかにした上で議論すべきではないかというご指摘があって、それを受けたものです。
まず、13ページの下から2行目の「例えば」の段落は、あくまで例示でございまして、「送金サービスに類似した性質」をどのように考えていくかは今後の議論に委ねさせていただくことになりますが、プリペイドカードであっても「チャージ残高の譲渡」として個人間の送金を実質的に行うサービスが現れていることや、「チャージ残高の譲渡」ができないものであっても、幅広い加盟店で使用が可能なものについて、利用者がその番号などを第三者にメールその他で送付するようなことについてどう考えるかということで、決め打ちはしておりませんが、イメージが湧きやすいように書かせていただいています。
その上で、14ページの中央付近の「なお」という段落ですが、「なお、見直しの検討にあたっては、利用実態等を踏まえるとともに、提供されているサービスの内容を踏まえ、『送金サービスに類似した性質』をどのように考えていくかを明らかにする必要がある。」ということを追記させていただいております。
その下、「その際には」以下の6行は、今回、新たに追加したものであります。前回もご指摘があったと思うのですけれども、我が国において、前払式支払手段による電子マネーが独自の発展を遂げてきていて、キャッシュレス化の促進にとって重要な役割を果たしてきていることも考慮して検討していく必要があるのではないかということを書いた上で、例えば、受入れ上限額が数万円以下の前払式支払手段については、仮に事業者にもしものことがあった場合でも、利用者一人ひとりが被る影響は限定的になるのではないかということなどを踏まえて検討することが重要であるとしております。前回も、この上の「取扱額に応じて規制を柔構造化するなど」ということで、同じような思想は入っておりましたが、よりわかりやすい形で書かせていただいております。
次に、15ページのi 収納代行・代金引換等のところであります。1つ目の段落は特に変更ございません。2段落目の「その後の」というところでありまして、この分野における状況の変化として、新しいものが出てきていて、例えば、いわゆる「割り勘アプリ」といった形で、「収納代行」の形式をとりつつ、実質的に個人間送金を行うサービスが出てきております。こうしたサービスの「機能」が「決済」に該当することは明らかであり、利用者資金の適切な保全その他が必要ではないか、こうした「収納代行」については、資金決済法上の資金移動業にあたることを明らかにした上で、必要な場合については規制を及ぼすことが考えられると書かせていただいた上で、「他方で」ということで、「収納代行」にも様々な形態のものがあって、一律に規制対象とすることは適当ではないとしております。
次の黒丸は、前回から変更ありません。
2番目の黒丸は、債権者が一般消費者である場合、すなわち、いわゆるC to Cの「収納代行」というものについてですが、こうしたものは一般消費者が「収納代行」業者の信用リスクを負担することになるので、上述のような実質的に個人間送金にあたるようなものは資金移動業として規制対象とすることが適当であるとしております。他方で、その他の個人間の「収納代行」につきましては、今後、実態について把握を行い、資金移動業の規制の潜脱と評価されるものはどのようなものかについて、きめ細かに検討していくことが重要であるとしております。さらに、「その際には」ということで、前回、事業者の方からご指摘がありました、いわゆるエスクローサービスのように、例えば、フリマアプリやシェアリングサービスなどにおいて、利用者保護上、重要な役割を果たしているものについては、そのエコシステムに支障が生じることのないよう特に留意すべきであるといった点についても追記させていただいております。
次に、16ページの下の脚注19でございますが、「ポイント」と称していても、利用者から対価を得て発行されるなど、一定の要件を満たすものは前払式支払手段に該当して、資金決済法の規制の対象となることを確認的に記載しております。
次に、ポストペイのところで、20ページの最後の段落の「なお、割賦販売法についても」というところで、経済産業省の割賦販売小委員会の検討を紹介しておりますが、そこでは、少額・低リスクのサービスだけではなくて、AIなどの技術やデータを活用した与信審査、リスク管理の議論をしているというご指摘がありましたので、「リスク管理の視点も踏まえつつ」という文言を追加して、より正確に記述しております。
次に、22ページの下に脚注21を追加し、所属制についての説明を付記しております。
最後に、24ページ、おわりにの2段落目の2文目で、「その際」というところですが、こうした制度を前提として新たなビジネスを営む事業者に対し、当局が適切に検査・監督を行っていくため、必要な対応を講じることも重要である、と追記しております。こういう制度整備を行う中で、いろいろなビジネスモデルの事業者が出てくると考えられ、それに対する当局側の対応も重要であるというご指摘があったかと思いますので、追加させていただいております。
私からは以上でございます。

【岩原座長】
どうもありがとうございました。
この報告案の内容につきましては、前回を含め、これまでのご議論をまとめたものでございますので、ただいまご説明をいただきました報告案の内容をもって取りまとめとしたいと存じますが、ご発言がございましたらお願いいたします。
坂メンバー、どうぞ。

【坂メンバー】
ありがとうございました。
前回までの議論について、事業者団体の皆さんのご指摘も含めて、適切におまとめいただいているところと思います。今後、さらに制度の具体化に向けた検討が進められると思いますけれども、感想的なところも含めて、手短に3点ほど述べさせていただければと思います。
1つは、求められておりますのは安全、安心、かつ利便性のあるサービスということで、安全、安心は当局、事業者の皆さん、それから利用者に共通の課題だろうと思います。関係各機関が連携しつつ、具体的場面で制度的、技術的な工夫が編み出されることが求められているのではないかと思っております。
2つ目ですけれども、報告書案の随所に触れられておりますが、実態を把握しつつ検討を進めるということが極めて重要と感じております。この間、暗号資産ですとか、FXの議論にも参加させていただきましたが、実態に関する認識を深めて共有することは議論を建設的に前進させる上で極めて重要と感じております。前回も、事業者団体の皆さんから、情報提供に積極的にご協力いただける旨のお話があったかと思いますが、この点はぜひ引き続きお願いしたいと考えております。
3つ目に、論点の一つである収納代行についてですけれども、この点も実態を子細に把握しつつ、検討をさらに進めることが重要かと思います。16ページのところでは、資金移動業の潜脱と評価されるものはどのようなものか、という視点が示されておりますけれども、この点はぜひ実質的、多面的に検討される必要があろうかと思います。一つの重要な視点は、顧客から資金を預かって、その保全が必要とされるような仕組み、あるいは経済的な実態が存するかどうかというところにあるのではないかと思っております。
エスクローサービスについても、16ページの記載の点に留意しつつ、利用者保護上、重要な役割と指摘されております点も含めて、仕組みや機能等の具体的な内容について認識を深めることが重要と感じております。また、前回、ご指摘あったところでもありますけれども、あわせて海外における規制の状況等についても引き続き検討がお願いできればと思っております。
以上です。

【岩原座長】
それでは、田中メンバー、お願いします。

【田中メンバー】
さまざまな議論をよくまとめていただいたと思うんですが、1点だけ申し上げます。
それは、前回も申し上げたと思うんですけれども、第1類型です。第1類型に関するシーリングの問題ですけれども、現時点でさまざまな動きが既に出ているわけで、例えば世界の金融機関などがブロックチェーンを使ったコンソーシアムつくろうという動きすらあります。そういう中で、グローバルなコンソーシアムができ上がって、世界のお金の流れをこうした新しいテクノロジーを使いながらつくり上げていこうというときに、日本だけこの制限条項があることによって、日本のプレーヤーはそうした限度額を意識しながら参加しなければいけないというような状況は、おそらく望ましくないだろうと思います。したがいまして、お金の流れというのは国境を越えるわけですから、そうした動きが発生したときにも、きちんと日本のプレーヤーがその中に参加していけるように、やはり基本的には全面的に撤廃するという方向でご検討いただきたいと思います。
一方、私は今、事業会社の経営者をやっていますが、事業会社の立場からしましても、こうした改革がされるのであれば、B to Bの観点からしても、きちんとした利用ができるようにぜひしていただきたいと思います。私の会社は、今度、オーストラリアの会社を買収するということで、3,000億円ぐらいの金額の送金があと2カ月ぐらいであるわけですけれども、シーリングがどういう根拠でもってつくられるかによって、こうした金額のレベルであると、送金で利用できないということになります。それは一体なぜなのかということにもなります。したがいまして、こうした改革がされるのであれば、事業会社の立場からしても、それが利用できるような形にしていただけばと思います。
以上です。

【岩原座長】
それでは、戸村メンバー、お願いします。

【戸村メンバー】
ありがとうございます。
報告書案には異論ありません。今日は、これまでの議論を振り返って、今後、留意しておくとよいのではないかという、細かい点ですけれども、2点、話をさせていただきたいと思います。
第1点は、資金の滞留ということですけれども、ここは今、岡田参事官がおっしゃったように、いろいろ意見の違いもあり、そのような表記が報告書案でなされており、妥当だと思うんですけれども、私は、資金の滞留を制限するとしても、マネーリザーブファンドなどもあるので、そういうものと組み合わせてトータルで、実は為替プラス預金業務のようなサービスを提供することも可能だと思います。そうだとすると、案外、資金の滞留を防げば銀行業務の大幅な開放を防げると思っていると、そうでもないという可能性もありますので、報告書案にありますように、英国の事例等も踏まえながら継続的に検討しておくとよいと思います。私自身は、資金の滞留の制限にあまりこだわらなくてもよいのではないかという意見なのは、前回、もしくは前のスタディ・グループで申し上げたとおりです。
2点目は、送金上限についてです。以前のスタディ・グループで、分割して送ればいいではないかみたいなご意見があったので、ここは私の意見を申し上げたいと思いますけれども、やはり送金というのはファイナリティが関わりますので、分割して送ってしまうと途中で、少しの間ではあっても信用リスクが生じることになりますので、やはり送金の分割というのは相当不便なものだというような意識はして、送金上限を設けるかどうかは今後の議論で検討するべきだろうと思います。
以上です。

【岩原座長】
それでは、岩下メンバー。

【岩下メンバー】
どうもありがとうございます。
私、前回、この会合を欠席させていただきましたので、この報告書案全体についてコメントを申し上げる機会を逸してしまいました。私も、当然、今回の修正した案に異存があるわけでございません。このままで賛成させていただきますが、若干、思うことを申し述べさせていただければと思います。
昨日、一昨日と、福岡でG20の財務相・中央銀行総裁会議が開催されました。一昨日は、その福岡で、金融庁さんが主催されるハイレベルのフィナンシャルイノベーションに関するセミナーが開催されたわけでございます。麻生大臣や黒田総裁からもご挨拶を頂戴しましたが、IMFのラガルド専務理事がご発言になった中で、フィンテックを大変ポジティブに評価しつつも、フィンテックの登場によって混乱が生じるだろうと。一応、IMFの定訳によればそうなっているんですが、「A significant disruption to the financial landscape」という表現だと思いますけれども、そういうことをおっしゃったわけであります。
私、前回の議論を、特に収納代行でありますとか、保全の方法に関する事業者さんと委員の多くのメンバーとの議論を、どういう議論があったかということを金融庁さんのほうからお聞きしまして、ディスラプションと言うとちょっと言葉が激しいのかもしれませんが、そういう議論が、まさに新しい人々の参入によって起きている現象なのではないかと感じた次第です。もちろん、先ほどのご発言の中で、銀行業と銀行業以外の枠を引いて、そこをどういうように守るかという議論では必ずしもないように私は思うんです。
と申しますのは、もともとこのスタディ・グループ自体が金融審議会から諮問を受けた際には、情報技術の変化に伴って必要となる対策を考えるようにということで、別に必ずしも銀行とか、あるいはフィンテック企業をということで諮問を受けたわけではなかったはずでございます。その上で、全体として必要となるものというのは、たしか以前、田中メンバーがおっしゃっていたと思いますが、日本には、もしかして適切な規制がないというか、あるいは規制が厳し過ぎるがゆえに、世界的なフィンテックレイヤーが出てこないのではないかということを心配されていたと記憶しております。
そういった嫌いが全くないとは申しませんが、少なくとも前回の議論を聞く限りにおいては、今の規制が直接的な障害となって、世界と戦えるフィンテックのプレーヤーが出てこないということではないのかと理解しております。と申しますのは、例えば今回、問題になったエスクローその他の問題についても、あるいは保全の問題についても、現に今、行われていることをかなり上書きする、是認するというか、そういう形で今回の制度改正を進めようとされているわけでございまして、さらにここをこうしてほしいという声が特に出てきていないところを見ると、この部分がものすごい問題になっているということはない。多分、100万円という枠については、前回、もっと上げてほしいという話がありまして、今回、第1類型を設けることにいたしました。その意味では、そういった要請に応える体制は十分に進んでいると思います。
私としては、むしろ前回の議論の中で、今回、例えば問題となったエスクロー、あるいは、さまざまなシェアリングサービスなどにおける用途が現に存在するとしても、もちろんそのために、そのエコシステムを守ることもちろん大事なわけですけれども、それと同時に、先ほどから何度か出ていますが、やはり最終的には預金者なり、資金移動業の利用者の利益が損なわれることがないようにということが非常に大きな論点であって、そこの対立になるのだと思います。こういうことを申し上げるのは、とりわけ同じ資金決済法で仮想通貨、現在は暗号資産ですが、仮想通貨の事業者についてのルールを設けたときに、仮想通貨事業者が大きな事故を起こして、それによってトラブルになった事例が実際にあるからであります。
そういうことが今後、起こらないとも限らないわけでありまして、そういう場合にきちんとレギュレーターが対応できる体制というものをとっていくことが非常に大事であり、そのための足がかりとして、この報告書がきちんと作成されたという事実は非常に大事なことだと思いますので、以上の点をコメントとして申し上げさせていただきました。
以上であります。

【岩原座長】
それでは、次に舩津メンバー、お願いします。

【舩津メンバー】
ありがとうございます。
報告書案につきましては、前回の議論をまとめていただいており大変良いと思います。この間、収納代行につきまして、若干、批判的な報道等があったようでございまして、SNS等で盛り上がっているということがありましたので、その点について私の感想を述べさせていただければと思います。
前回の会合でも申し上げましたが、産業の発展にとって規制は悪ということでは必ずしもないわけでして、利用者保護はビジネスの信頼につながるということかと思います。ただ、規制は参入障壁となり得る点がありまして、その点がもしかしたら今般の議論で問題視された点があるのかもしれないということになります。あまりに規制のハードルを上げて新規参入を阻害するということは、もちろん望ましいことではないと思いますが、他方で個人的な感想といたしましては、失敗してからでいいかというと、我が国では残念ながらそのような風土はまだ根づいていないのではないか。そういうように考えますと、現時点ではやはり事前の規制を念頭に検討せざるを得ないと思います。
もっもと、正面からこういうことを言うとまた問題なのかもしれませんが、今般の報告書案で、資金移動業であるとか、第三者型前払式支払手段について、少額である場合、規律の軽い第3類型というものを認めるということを示しているわけですが、これというのは結局のところ、イノベーションのために規制も、破綻時のリスクを利用者に負担させる方向へかじを切るべきだということを示したということで、ある意味、画期的であると思います。
とはいえ、この規制方針の転換が成功したと言えるか、失敗したと評価されるかというのは、結局のところ、将来、仮に問題が生じた場合に、少額の場合にはカバーされないことに納得して使ったのだから仕方がないと、世の中が思ってくれるかというところが重要なのではないか、規制当局のモチベーションとしても重要なのではないかと考えます。
現状において、資金移動業規制がかからないスキームであるがゆえに、取引がすぐに始められますよというようなうたい文句がなされている反面で、破綻時にどうなりますというような話はあまり業者さんとして明らかにされていない気がしております。規制類型として軽いものでおさめるということは、破綻等のリスクは利用者が負うことになるのだということは、やはり当局側はもちろんのこと、それを仮に事業者側も望むのであれば、利用者に積極的に知らせていく責務があると考えます。
消費者の期待、どういう保護が受けられるかという期待がどのようなものか、それ自体を、今後、しっかりと見きわめる必要があるということはもちろんですが、仮にですが、消費者の現時点の期待に応えるような規制が、将来のイノベーションを阻害するということであるならば、消費者の期待を変えていく努力を、官民で協力してやっていくということも必要なのではないかと感じました。
以上です。

【岩原座長】
ほかに、何かご意見ございますでしょうか。それでは、森下メンバー、お願いします。

【森下メンバー】
ありがとうございます。
今回の報告書案につきましては、私も内容には異論ございません。さまざまな検討課題を、適切におまとめいただいたのではないかと思います。
いろいろなことが話題になりましたけれども、新しいサービスを発展させていけるような制度を考えていこうという点、それとともに、特にディテールについてだと思いますけれども、利用者の保護も大事にしていこうと。この2つのバランスをしっかりと考えていこう、それが大事だ、そのために知恵を絞っていこうという点については、監督当局の方も、我々メンバーも、あとは事業者の方々も、少なくとも一致しているのではないかと思います。
今後、さまざまな検討課題について、さらに具体的に詰めていくプロセスにおいては、私は、やはりもう少し議論をすり合わせていく、細かな点で、より具体的な議論をすり合わせていく必要があると思うのですけれども、そのときには、例えばいろいろリスクがあると指摘されていることについて、リスクがないのか、あるいは、無視できるほど小さいというような状態なのか、それとも、相当のリスクがあるのかというような点について、認識をすり合わせることが必要なのかなと思います。
ある方がリスクがあるという前提で議論し、別の方は大したリスクはないという前提で議論していても、生産的ではないのかなと思います。あとは、仮にリスクがあるとしても、例えば利用者に負担してもらうべきリスクだと考えるのか、そうでないと考えるのか、そこが論点になるようなものもあると思います。もし、そこが論点なのであれば、しっかりと的を絞って議論すべきかと思います。
リスクへの対応方法に関しても、規制で対応すること以外にも、例えば事業者の方々の創意工夫などによって契約で十分対応できる、あるいは社内のサービス提供時の工夫で対応できる、あるいは技術的な対応でリスクを相当程度削減できるなど、いろいろなリスクへの対応策があろうかと思います。そういったような点について、さまざまな具体的なアイデアが出てくることによって、例えば新しい規制を入れる必要がない、あるいは既存の規制を緩和できる、あるいはリスクも大きく、いい方法がなければ、新しい規制を考える。そういった、ほんとうに具体的で詰まった議論ができていくかと思います。これからより一層、議論はそういった点にシフトしていくかと思いますので、引き続き詰めた議論がなされていくといいのかなと思っております。
以上です。

【岩原座長】
それでは、大野メンバー、お願いします。

【大野メンバー】
ありがとうございます。
昨年9月以来、岡田参事官をはじめ事務局の皆様には、スタディ・グループの会議回し、資料の作成、報告書の取りまとめなどについて精力的にサポートいただき、大変お世話になりました。まず初めに、お礼申し上げたいと思います。
私は本日のさらに修文された報告書案を全面的にサポートさせていただきます。金融イノベーションが急速に進展する中での規制緩和施策につきましては、少し前になりますけれども、第1の矢としては3年前の金融高度化会社に関する緩和で、そして、本年には第2の矢として、当スタディ・グループでの検討を足がかりに、情報の利活用の促進を目指した規制緩和の具体策を打ち出し、法改正を行うことができました。また一歩前に進めたことは、大変喜ばしいものだと思っております。
そして、今回の報告書案が続きます。次のステップとしては、今回の報告書案の中に幾つもの重要な論点や提言が盛り込まれております。私は、その中でも2つのターゲット、1つは、第1章に掲げた資金移動に関する新たな3つのカテゴリーの整備を図ること、2つ目の、第2章のワンストップ的な金融仲介機能の整備を進めることが重要と思っています。この2つのターゲットをはじめとした新たな具体的な施策について、できるだけ早いタイミングでの実現を目指していただくよう、金融庁の皆様のさらなるご努力をお願いしたいと存じます。
それから、私は、ここ数年の金融庁の皆様の規制緩和やイノベーションを促進させるための前向きな姿勢を高く評価させていただいております。今後とも、引き続き金融機関やフィンテック企業をはじめとした、イノベーションを積極的に取り込む民間サイドの動きを後押しするような監督、指導に努めていただくようお願いできればと思っております。
最後に、事務局の皆様、それから岩原座長をはじめとしたスタディ・グループのメンバーの皆様には大変お世話になりましたし、また、オブザーバーとして参加された各業界の代表の方々から貴重なお話を聞かせていただいたと思っております。私としても、視野を広げる上でとても参考になりました。御礼を申し上げておきたいと思います。
ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、植田メンバー、お願いします。

【植田メンバー】
では、私からも一言だけ。
事務局の皆さん、それから業界の皆さん、いろいろとどうもありがとうございました。私、前回、休んでいたので何も大きな声で言えないのですけれども、最初の案を見させていただいたときは、確かになかなかわかりにくいところもありまして、規制強化なのか、規制緩和なのかわかりにくいなと思っていたのですけれども、本日の案を見させていただいて、やはりしっかりと予定どおりといいますか、ここで議論したように規制緩和の方向性がしっかりと出されている案になっていると思います。その上で、もちろん今までのビジネス慣行を重視した上で、尊重した上で、より規制緩和をする方向性を打ち出しているものとして、しっかりと書かれていると思います。
一言、戸村メンバーと岩下メンバーの話にもつながるかもしれませんけれども、いろいろ世界が変わっていく中で、それでもどうしたわけか金融の世界は、いつも銀行の話があって、銀行業の特殊性があって、預金保険というセーフティーネットがあって、それに絡むちょっと強い規制があって、重い規制があってという中で、どうしてもまだまだ外れないものがあるので、では銀行ではないものとは何かということをやった上で、規制緩和せざるを得ないようなところがまだまだ続いているような気がします。その意味で、書きにくい、やりにくいものになっているのだろうと思っております。
その中で、やはり滞留というのも、銀行に関して言えばシステミックリスク、銀行危機のようなリスクのことを考えた規制があるのですけれども、戸村メンバーおっしゃるとおり、もしも完全に、100%資産保全ができて、リアルタイムに安全性が確保されていれば、そういう状況になっていれば、確かにシステミックリスクの観点からの規制は資金移動業にも要らないのかもしれないのですが、現状では、やはり技術上、制度上、どうしてもタイムラグがあるので、そこのところが、銀行業のような信用創造とどう区別をつけるのか、どうしても難しいところだと思います。今後、また、システミックリスクの観点も踏まえて議論を深めていければと思います。
どうもありがとうございました。

【岩原座長】
ほかにございますか。翁メンバー、どうぞ。

【翁メンバー】
私も、この報告書案に関しましては、大きな決済分野での規制改革と、また、利用者の利便性や安心を踏まえた報告書案になっていると思っております。
今まで金融と考えられていた分野に多くの新規参入者が入ってきておりまして、その意味で、なかなか金融庁としても実態把握が難しくなってきていると思います。今回も報告書案をつくる段階でいろいろご紹介いただいたんですけれども、これからダイナミックにいろいろ変化していくと思っておりますので、そういった実態をぜひ把握していただいた上で、今後、適切な、具体的な規制の議論を深めていただきたいと思います。
特に、英国などを中心に、監督のあり方につきましてもレグテック、スプテックという形で、やはりさまざまな新しい技術を活用した形での監督、規制が考えられてきていると思います。今回、例えば供託という保全方法についても課題がいろいろ指摘されてきていますけれども、できるだけそういった新しい技術とか、リスク管理方法を踏まえた形で、新しい時代にふさわしい規制のあり方をご検討いただければと考えております。
以上でございます。

【岩原座長】
ほかに、何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、生命保険協会の畑中オブザーバー。

【畑中オブザーバー】
生命保険協会一般委員長の第一生命畑中です。本スタディ・グループにオブザーバーとして参加させていただき、ご説明やコメントの機会を頂戴しまして、ありがとうございます。
金融サービス仲介法制に関しまして、利用者ニーズの多様化や、テクノロジーの進化等の環境変化が急速に進む中、利用者利便の向上に資する新たなサービス等が創出されるのは望ましいことと考えており、報告書案の方向性に賛同しています。
今後の検討におきましては、報告書案に記載の、利用者保護等の観点から必要とされる対応につきまして、提供される商品・サービスに応じた検討を行うことが重要と考えています。
生命保険は、公的な社会保障を補完するインフラとしての役割を担っており、生存、死亡、医療、介護、健康増進など、ライフサイクルにおける個々人の自助努力の必要性に応じた商品やサービスの提供が求められることから、生命保険商品の購入指図については適切な対応が図られる必要があると考えています。
また、所属制に関しましては、利用者保護の観点からは財務面の対応も検討する必要があり、例えば、保険仲立人の規制は所属制を廃した先行例として一部参考になるかと考えられます。
今般取りまとめられた基本的な考え方をベースとした、今後の具体的な制度整備に向けた議論に期待しつつ、生保業界としても貢献させていただきたいと考えています。
ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、新経済連盟の片岡オブザーバー、お願いします。

【片岡オブザーバー】
新経済連盟の片岡です。
まずは、オブザーバーとしてこの会に参加の機会、あるいは発言の機会をいただきまして、本当に感謝しております。
報告書案の内容そのものということではなくて、この報告書案を受けて、今後、詳細な議論がされていくと認識しておりますので、今後に向けて少し意見を申し上げたいと思います。
報告書案にも書いてはありますけれども、今後の検討に当たっては、具体的にどういうことが問題になっているのかを、しっかり実態を把握することが必要だと思っておりますので、実務に携わる事業者も交えて、ぜひ、きめ細やかに議論していただきたいと思っております。新経済連盟も、さまざまな新しいサービスを展開する事業者が会員でおりますので、ぜひ実態把握に協力をしたいと思っております。
それから、今後の議論に向けて、具体的な論点で2点、申し上げておきます。
まず、1点ですが、前払式支払手段について、送金類似という指摘があるということですけれども、前払式支払手段は払い戻しができないという特徴がございますので、仮にどこかが似ているとしても、おそらく同一ではないと思っているので、そこをどう考えるか。
金額についても、金額によって段階をつけていくというような考え方もあると思うんですけれども、例えばキャッシュレスということを考えると、冷蔵庫とか少し高いものを買おうと思ったときに、それを買うためにお財布にちょっとだけ高いお金を入れるということは、皆さん、あると思うんです。そういう状態が一時的にあるものと、ずっとお財布の中にたくさんお金が入っているという状況は、また違うと思います。ですので、実態を把握して、どういった場合にどういうリスクが具体的に発生するのか、そこに対してどういう対応していくべきなのかという、事業者のアイデアと、どういうルールがふさわしいのかといった点を、具体的に議論していただくような場があればいいのかなと思っております。
2点目で、収納代行についてですけれども、これも報告書案に書いてあるとおりではありますが、さまざまなサービスがございます。特に、物品やサービスの取引そのものが行われるプラットフォームにおいては、トラブル防止のためにかなり発展してきた、重要な役割を果たしてきたという側面がございますので、こちらも実態把握をしつつ、どのあたりのリスクをどうやって改善していけばいいのかというところを、今後、具体的に議論いただければと思っております。
以上です。

【岩原座長】
日本資金決済業協会の長楽オブザーバー、お願いします。

【長楽オブザーバー】
オブザーバーとして発言の機会をいただき、まことにありがとうございます。
前回の報告案におきましては、現行規制を前提に事業を行う事業者に対し、利用者資金の受入れ額に送金上限額と同様の上限を設けることについて、今後、検討する必要があるとされておりましたが、本日の報告案では見直しを行っていただいており、ありがとうございます。
5月29日に開催された第11回金融制度スタディ・グループで、協会事務局として供託等保全義務など5項目について意見・要望を行わせていただきました。協会の委員会でも、これまで時間をかけて議論いたしましたが、現時点でも、要望内容に大きな変更はございません。規制の見直しに当たっては、利用者保護に配意しつつ、利用者の利便性を損なわせることがないよう、既存事業者の事業継続に支障がないよう、イノベーションの促進につながるよう、引き続き十分な検討・議論をさせていただければと考えております。
なお、送金サービスにおけるいわゆる無権限取引が行われた場合の利用者と事業者の責任分担等につきましては、前回会合では、民法に基づく個別対応でもよいのではないのかと申し上げました。協会の委員会で議論した結果、利用者負担の対応に当たりましては、協会事務局として送金トラブルの発生状況や事業者の対応に関する積極的な情報収集及び実態把握を行い、利用者保護のために必要な指導等に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
最後に、今後の進め方等に際し、お願いがございます。
今年の夏以降、「決済」法制の制度整備に向けた具体的な検討が金融審議会等で行われるものと予想されます。金融審議会等に、協会の会員である事業者、当協会も参加させていただきたいと考えておりますので検討の程お願い申し上げます。
また、「決済」法制に係る今後の具体的な制度設計の検討・議論に当たりましては、キャッシュレス社会の実現に支障が生じないように十分配慮いただくとともに、海外における送金サービスの動向を含め送金サービスに対する顧客のニーズや、その利用実態、事業者の提供する又は検討している様々なビジネスモデル等の把握が重要と考えられます。当協会の会員や当協会との間で、十分なヒアリングや意見交換が行えるよう、その場や機会を積極的に設けていただくようお願いいたします。
当協会も、送金業に係る利用者ニーズや、会員が検討しているビジネスモデル等の把握に努め、金融庁に対し、情報提供や意見交換などを行わせていただく機会を設けていただくことにより、利用者にとってよりよい制度設計につながるよう協力してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、日本損害保険協会の中村オブザーバー、お願いします。

【中村オブザーバー】
日本損害保険協会、一般委員長の中村でございます。このスタディ・グループにオブザーバーとしての参加の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。また、発言の機会もいただきまして、本当にありがとうございます。
金融サービスの仲介法制にかかわる制度整備について、今回の報告書案の方向性については賛同しているところでございますが、一言、考えを申し述べたいと思います。
先ほど、岩下メンバーよりご発言がございましたけれども、週末、福岡で開催されましたG20の技術革新セミナーにおきましても、まさに技術革新とリスク管理のバランスが非常に大事だと、必要だというような趣旨のご意見が多かったと受けとめております。金融システムを取り巻く環境が、とても大きく、かつ極めて速く変化をしているということは、もう誰もが実感しているところでございます。先日来、世界において、金融業がIT技術をうまく活用して、業績を拡大しているというような報道もございましたとおり、ITを活用して、そのような変化にしっかり対応していくことが、金融機関としても急務だと認識をしているところでございます。
報告書案に記載がありましたとおり、オンライン活用による多種多様な金融サービスの提供は、お客様が自らのニーズに合ったものを選択しやすくなるということを通じて、顧客利便にしっかり貢献するものだと考えてもおります。ただ、一方で、金融包摂という観点では、今、人生100年時代と言われて、かつてない高齢社会を迎える中で、デジタルだけではなく、それにヒトを介在させたような新たなビジネスモデルが望まれているということも、十分にあり得るのではないかと考えております。
前回のスタディ・グループで、多くのメンバーの方々からご指摘がありましたとおり、適切な規制によって、イノベーションをさらに発展させることができるというお考えには、まさに賛同しているところでございます。私たち損保業界は、安心、安全に貢献するという社会的使命を果たしていく必要があると考えております。顧客利便だけではなく、やはり顧客保護に留意が必要であるという意識に大きな異論はないことだと思いますが、利便を追求していく中で、意図しないリスクが忍び込まないように、また、そのような潜在リスクが顕在化しないように慎重な検証を進めていく、まさにそのバランスが重要だと思っておるところでございます。
今後、着手可能な論点から、制度整備に向けた具体的な議論が進められていくと思いますけれども、損保協会としましても、今後の議論に必要な貢献をしっかり果たしてまいりたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。

【岩原座長】
それでは、Fintech協会の丸山オブザーバー、お願いします。

【丸山オブザーバー】
Fintech協会の丸山でございます。オブザーバーの立場ながら、前回に引き続き意見を述べさせていただきまして、ありがとうございます。
前回、規制緩和を進めようとしながら、実は強化になってしまうバランスの部分、少し懸念を述べさせていただきましたが、本報告書案は我々としましても、緩和の部分と利用者の利便保護のバランスがとれて、方向性としては非常にすばらしい、意見を反映していただきまして、ありがたいと思っております。
今後、具体的なサービスを交えながらと、先ほど森下メンバーからもありましたが、リスクをどう抑えるのかとかといった具体的な部分に関しまして、フィンテック企業も、リスクを抑えつつ、利用者にわかりやすくする、便利だけれども、安全にというようなサービスも出ております。具体的な検討の部分、ぜひ事例を交えながらというところで、我々も協力をさせていただければと思っております。
あと、決済法制の部分、大きくご修正いただいているんですけれども、仲介部分に関しましても、今後、検討というところではあるかと思います。ほかの各事業者の方からも、人を介在する部分ですとか、リスクのある部分、しっかりというご意見ありましたけれども、我々としましても、最後の部分のインセンティブのところが、必ずしも金銭的なインセンティブだけでははかり切れない関係性も仲介業の中には出てきておりますので、さまざまな類型、どういうものが具体的にあるのか。こういったところの議論に関しましても、引き続き例示などをさせていただきながら、参加をさせいただければと思っているところでございます。
私からは以上になります。

【岩原座長】
ほかに、何かございますでしょうか。坂メンバー、どうぞ。

【坂メンバー】
すみません、手短にですけれども、先ほど少額の点についてご発言がありましたので、少し補足しておきたいと思います。
今回の報告書案ですけれども、資金移動業については、少額の部分について確定的に保全リスクを顧客側に一部を負わせるというところまでは、必ずしも結論づけていないのではないかと受けとめております。一つの有力な選択肢であるということは書いていると思いますけれども、そういった方向で考えるときには、非常に慎重な検討が必要ではないかと思っております。それから、もしそれを行う場合には、先ほどご指摘ありましたとおり、消費者の期待を変えるという視点も大事かと思います。ただ、期待を変えることがいいかどうかということも含めて、今後、検討が必要なのではないかと考えております。
以上です。

【岩原座長】
ほかに、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、特にほかにご発言がございませんようでしたら、本日の討議を終えさせていただきたいと存じます。
本日、お示ししました案につきましては、おおむねご賛同いただいたものと承知しております。そこで、最終的な修正や、てにをはなどの表現ぶりにつきましては、私に一任をしていただき、必要に応じて修正したものをもって、金融制度スタディ・グループの報告とさせていただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

【岩原座長】
どうもありがとうございます。
あわせて、公表等の取り扱いについても一任していただきたく存じます。
最後に、松尾参事官からご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【松尾参事官】
2017年の11月以降、皆様には大変熱心にご議論いただきましたこと、心より御礼申し上げます。
機能別・横断的な法制の実現に向けての検討は、論点が広範に及ぶため、全体の検討には相当の時間を要するものと考えられます。他方、金融業をめぐる環境が急速に変化していることを踏まえ、「議論が収束したものから取りまとめ、対応を求めていく」という観点から、1月には、金融機関による情報の利活用に関して、報告を取りまとめていただきました。これを踏まえた関連法案は、衆議院及び参議院における審議を経て成立し、6月7日に公布されたところでございます。
このたびは、「決済」法制と金融サービス仲介法制に関して、報告を取りまとめていただいたところでございます。今後は、この報告も踏まえ、「決済」法制と金融サービス仲介法制に関して、制度整備に向けた具体的な検討を進めていくことになると存じます。今後もご指導いただくこともあろうかと存じますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上をもちまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

【岩原座長】
どうもありがとうございます。
それでは、以上をもちまして、本日のスタディ・グループを終了させていただきます。
皆様、長い期間にわたりまして熱心なご議論をいただき、また、取りまとめにご協力いただきまして、まことにありがとうございました。
それでは、以上もちまして終了します。どうもありがとうございます。
 

                                                    ―― 了 ――

 
 

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