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金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第3回)議事録
日時:
令和7年12月19日(金曜)10時00分~12時00分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室 ※オンライン併用
【神作座長】
皆様おそろいでございますので、ただいまより市場制度ワーキング・グループの第3回会合を開催いたします。皆様、大変御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、早速ですけれども、議事に移ります。
本日は、本ワーキング・グループにおける議論を取りまとめました市場制度ワーキング・グループ報告(案)について御議論をいただきたいと存じます。資料1として配付しております報告(案)について、まず、事務局より御説明をいただいた後、討議を行いたいと存じます。
それでは、事務局より、報告(案)についての御説明をお願いいたします。
【太田市場機能強化室長】
それでは、お手元の資料1に沿って御説明いたします。報告(案)、1ページを御覧ください。
左端に行番号を記載しております。22行目以降、Ⅱインサイダー取引規制の対象者の範囲拡大等についてでございます。
1.公開買付者等関係者の範囲拡大についてでございます。現行の公開買付け等に係るインサイダー取引規制においては、公開買付者等関係者として、公開買付け等の対象企業側につきましては、発行者とその役員等が規定されています。この点、発行者のアドバイザー等が公開買付者等関係者として規制対象になっておらず、その範囲が不十分ではないかとの指摘があります。
42行目、そのため、発行者の役員等以外の一定の関係者についても、当該役員等と同程度に、公開買付け等事実への近接性があると考えられることから、公開買付者等関係者として規制の対象とすることが適当である。具体的には、公開買付者等の一定の関係者と同様に、発行者の役員等以外の一定の関係者(発行者の親会社の役員等、発行者(その親会社を含む。)の会計帳簿閲覧請求権者、法令に基づく権限を有する者、契約締結者・交渉者)についても、公開買付者等関係者に追加することが適当であるとしております。その他、公開買付者等又は発行者が投資法人である場合の資産運用会社及びその親会社の一定の関係者についても、公開買付者等関係者に含めることが適当であるとしております。
56行目以降、なお、現行法では、第二次以降の情報受領者は規制対象とされておりません。この点について、第一次情報受領者に限らず、第二次以降の情報受領者も含め、内部情報であることを知った者について規制対象とすべきとの意見があった一方で、第二次以降の情報受領者を規制対象とすることは現時点では慎重に考える必要がある、実務を踏まえながら内部情報を知り得る特別の立場にある者と一般的に考えられる者をできるだけ広く規制対象者に加えていくことが適当と考えられるとしております。
続いて2.インサイダー取引規制における「親会社」の定義の見直しについてでございます。インサイダー取引規制上、上場会社・公開買付者等の「親会社」の関係者は、会社関係者・公開買付者等関係者として規制の対象とされているところですが、有価証券報告書等の記載に依拠して「親会社」を定義することにより、以下に掲げているような問題が生じております。このため、インサイダー取引規制上の「親会社」を、有価証券報告書等の記載に依拠せず、「他の会社の意思決定機関を支配している会社」とすることが適当であるとしております。
4ページ、Ⅲ課徴金制度の見直しについてでございます。1.課徴金の算定方法の見直しについてです。106行目、現行法では、課徴金制度の目的が違反行為の抑止であることを踏まえ、課徴金額について、違反行為から得られた利得に着目しつつ、現実の利得額から切り離された、一般的・抽象的に想定し得る経済的利得相当額を基準としております。
(1)公開買付者等関係者によるインサイダー取引等に係る課徴金の算定方法の見直しについてでございます。2008年の金融商品取引法改正により、課徴金の水準が実質的に引き上げられました。しかしながら、その後も、公開買付者等関係者によるインサイダー取引の事案は多く発生している状況であります。特に公開買付け等の実施に関する事実は、その公表後から市場価格が急騰する傾向にあるため、当該事実を未公表の段階で知った者は、対象となる株券等の取引を行うことで利益を容易に得られることとなり、インサイダー取引を行うことへの誘因が強く働くことから、違反行為の抑止力を高める必要があるとしております。
132行目です。公開買付け等の実施に関する事実を知って株券等の買付けを行った公開買付者等関係者が、違反行為の時点で期待し得る最大の経済的利得相当額は、公開買付け等の実施に関する事実の公表後の発行者との交渉による公開買付価格の引上げや、対抗する別の公開買付け等の発生に伴う上昇後の市場価格を加味したものとすることが適当と考えられるとしております。
141行目以降です。そこで、公開買付け等の実施に関する事実の公表による市場価格への影響について、過去の事例分析により平均的な上昇割合を算出し、当該上昇割合を当該公表日前日の終値に乗じた額を公開買付者等関係者が期待し得る一般的な経済的利得相当額として用いることが考えられるとしております。この場合、違反行為の抑止の観点から、現行の課徴金の算定方法による課徴金の額と比較して、いずれか高い方とすることが適当であるとしております。
150行目以降です。なお、課徴金の水準については、違反行為が発覚しない可能性の指摘も含めれば、違反行為により得た経済的利得相当額を課すだけでは抑止効果が十分でなく、利得にこだわらずに課徴金額の算定方法を定めるべきとの意見がある一方、違反行為に対する抑止効果については、単に課徴金による期待損失だけではなく、刑事罰を受ける可能性や、所属する会社から懲戒解雇される可能性など、様々な社会的不利益があり得ることも総合的に勘案されるべきとの指摘もあります。
そのため、159行目以降、課徴金の算定方法の抜本的な見直しは将来的な課題としつつ、まずは現状において違反行為の抑止力を高めることが必要と考えられるものについて、経済的利得相当額に関する算定方法を見直すことが適当と考えられるとしております。
(2)大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載に係る課徴金の算定方法等の見直しについてでございます。大量保有報告制度における課徴金の対象となる違反行為は、大量保有・変更報告書の不提出、重要な事項につき虚偽記載のある大量保有・変更報告書の提出であり、課徴金は時価総額の10万分の1により算定されます。
183行目です。現行の大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載に係る課徴金の水準は、これまでの事案を踏まえると、提出遅延等を意図的に行う悪質な事案に対する十分な抑止力が働かない一方、提出を失念した場合に、その重大性の如何を問わず、上記の算定方法による課徴金が一律に課されることとなり、過剰な規制となっているという指摘もあります。このため、大量保有・変更報告書の不提出については、課徴金の抑止力をより高めるべき違反行為に課徴金の対象を限定した上で、大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載に係る課徴金について抑止力を高めることが適当であるとしております。
ア.大量保有・変更報告書の不提出に係る課徴金の対象の限定についてでございます。大量保有・変更報告書の不提出については、その不提出が課徴金の対象となる変更報告書を、株券等の取引に追随者が生じて市場価格が変動する可能性が類型的に高い変更、例えば、株券等保有割合の1%以上の増減に係るものや、これに準ずる変更に限定することが適当であり、また、それらの中でも投資判断への影響が軽微と考えられる事由があるものについては、その対象の明確性を確保しつつ、課徴金の対象から除外することも適当であるとしております。
具体的な対象の限定については、課徴金の対象から除外された不提出の類型を意図的に利用すること等による潜脱行為のおそれに留意しつつ、悪質性が高いとまではいえない事案に殊更に高額の課徴金を課すことにならないよう、市場関係者の意見も踏まえながら検討していくべきであるとしております。
イ.大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載に係る課徴金の水準の引上げについてでございます。現行の大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載に係る課徴金の水準は、導入当時の事例分析における、調査対象機関へ提出された東証一部上場会社株式に係るもの全ての大量保有・変更報告書の提出直後の市場価格への結果を踏まえて規定されたものです。この点、例えば、以下に掲げておりますような調査対象となる変更報告書を市場価格の変動が想定される類型に限定することなどを踏まえて、大量保有・変更報告書の市場価格への影響を再調査することにより、課徴金の水準を引き上げることが考えられるとしております。
(3)高速取引行為による相場操縦等に係る課徴金の算定方法等の見直しについてでございます。237行目以降です。現行の、自己の計算による相場操縦等に係る課徴金の算定方法は、違反行為の開始時・終了時の特定を前提としますが、高速取引行為による場合、その性質上、高速・高頻度で大量の発注・取消しを伴うことから、違反行為の開始時・終了時の特定に極めて膨大な作業が必要となり、円滑なエンフォースメントが阻害されかねないことが指摘されています。この点、高速取引行為による相場操縦等においては、違反者は、違反行為と、一連の取引戦略をプログラム化した上で、一定期間自動で当該戦略に基づく取引行為を継続運用させることが想定されます。そのため、違反行為を個々に特定するのではなく、違反行為が一定期間継続するとみなすことが可能であり、高速取引行為を行う者はポジションを当日中で解消する傾向があることに鑑みて、違反行為に係る銘柄の取引について、違反行為日に確定した利益を課徴金の額とすることが考えられるとしております。
また、高速取引行為による相場操縦等においては、各違反行為日における銘柄ごとの課徴金の算定額が1万円未満になる場合が想定されますが、1万円未満の端数として切捨処理されて課徴金を課すことができないこととならないよう、端数の切捨処理の基準値を1円未満に引き下げることが適当であるとしております。
続いて、2.他人名義口座の提供を受けるなどして不公正取引を行う事案への対応についてでございます。
(1)他人名義口座の提供を受けるなどして不公正取引を行う者に対する課徴金の水準の引上げでございます。263行目、不公正取引事案においては、知人等から口座の提供を受けるなどして他人名義の口座を利用する事案が多く発生している状況にあります。こうした行為を行う者は、自らの違反行為の発覚を免れることを目的として他人名義口座を利用するものと考えられ、これにより違反行為への心理的障壁が通常よりも低くなるため、通常の事案よりも高い抑止力が必要となるとしております。違反行為への心理的障壁・抑止力を通常よりも高めるべく、違反行為を繰り返した場合は課徴金の額を1.5倍としていること等も参考にしつつ、課徴金の水準を引き上げることが適当であるとしております。
(2)口座の提供等の協力行為を行った者に対する課徴金の創設についてでございます。278行目、不公正取引を行う者に対する口座の提供は事案を複雑化し、違反行為への心理的障壁を低くし、又は違反行為を助長するものであり、不公正取引を抑止する上では、不公正取引を行おうとしていることを知りながら協力行為を行うことに対しても抑止を図っていくべきである。これはまた、不公正取引を行う者に対する資金の提供を行う者についても、違反行為を助長する点で同様であると考えられる。このため、例えば、インサイダー取引規制に関する情報伝達規制においては、違反者に対して情報受領者が行ったインサイダー取引に係る利得相当額の半額を課徴金の額としていること等も参考にしつつ、そうした協力行為を行う者に対する課徴金を創設することが適当であるとしております。
ただし、例えば、口座等の用途を明確には知らされずに従属的な立場で提供する場合もあれば、口座等の用途を十分に理解した上で積極的な意図をもって協力する場合もあるなど、協力行為の対応は様々であることに留意しつつ課徴金の対象を検討すべきと考えられるとしております。
なお、本課徴金制度については、正犯行為である不公正取引の早期発見につながるよう、課徴金減算制度の対象とすることが適当であるとしております。
続いて、3.課徴金減算制度の見直しについてでございます。現行法における課徴金減算制度は、継続的・反復的に行われる可能性が高く、かつ、外部から容易に発見しづらい違反行為について早期発見されることの公益性が強く、かつ、早期発見・是正のインセンティブを与える必要があるため、違反者が調査開始前に違反行為を報告した場合に課徴金の額を50%減額する制度であります。
305行目です。実際の課徴金減算制度の運用においては、調査開始前に違反行為を報告した違反者が課徴金の額の50%の減額を受けつつ、自ら申告した違反を否認する事案が発生しており、当該制度の趣旨が貫徹されるよう、調査開始後においても当局の調査に協力するインセンティブがあるものとすることが適当と考えられるとしております。
この点、独占禁止法の課徴金減免制度を参考に、金融商品取引法の課徴金減算制度においても、調査開始後における協力度合いに応じて減算する制度を導入すべきであるとしております。その場合、調査開始前に報告した場合の減算率と調査開始後に協力した場合の減算率の合計の上限は、現行制度における減算率と同水準とすることが適当であるとしております。
続いて、318行目以降、Ⅳ調査権限等の拡充についてでございます。1.出頭を求める権限の追加です。330行目以降です。2017年に出頭強制の権限等が追加されるなど、強化された多国間覚書(IOSCO EMMoU)が策定されているものの、金融庁は現在、出頭命令の権限を有しておらず、署名のための要件を満たしていない状況にあります。この点、外国規制当局との法執行協力においては相互主義が原則であるため、金融庁から外国規制当局に対する協力要請に応じてもらうためには、金融庁が外国規制当局に対する協力要請に対応できるような権限を整備する必要があります。そこで、外国規制当局からの行政上の調査に関する協力要請に応じて行う調査の権限に関し、出頭を求める権限を追加することが適当であるとしております。
349行目、2.金融商品取引業の無登録業等に対する犯則調査権限の追加についてでございます。金融商品取引法における犯則調査権限は、1992年の証券取引法改正により、証券取引等監視委員会の設置とともに創設されたものであり、362行目ですが、当時は証券業の無免許営業等はそれ自体で市場の機能を損なう行為ではなく、また、免許(現行の登録)の有無という明瞭に判別できるものであって、専門的知識や経験を要するものではないと考えられたため、犯則事件とされませんでした。しかしながら、実態としては、無登録業等において投資者保護上問題のある事案が認められる状態であったことから順次罰則の強化が行われ、また、民事効規定の創設や、証券取引等監視委員会に対し裁判所による緊急差止命令の申立て権限を付与する等の制度的対応が行われてきた今日においては、金融商品取引業の無登録業等は有価証券の売買等の公正を害する蓋然性があり、それ自体で市場の機能を損なう行為と考えられるとしております。
その上で、複雑化する金融商品取引業の無登録業等の事案の解明には専門的知識・能力が必要となっており、近年の事案においては、より一層の専門的知識・能力が必要とされている状況になっています。これらの点を踏まえると、金融商品取引業の無登録業等の罪に係る事件を証券取引等監視委員会による犯則調査の対象となる犯則事件に追加することが適当であるとしております。
3.市場監視の態勢整備・啓発活動等の強化についてでございます。不公正取引等の抑止の観点からは、規制を強化するのみならず、その実効性を確保するために、証券取引等監視委員会や日本取引所自主規制法人において必要な人的・物的資源を確保し、テクノロジーの活用を含め、市場監視態勢を強化することが考えられます。
それと同時に、厳格な市場監視が行われているため、不公正取引等が見逃されず摘発されることや、違反行為に対する制裁は課徴金により利得が失われる、更には損失が生じ得ることにとどまらず、課徴金以外の様々な社会的不利益が想定されることを市場参加者に対して十分に認識させることも重要です。そうした観点から、実際の違反事例や見直し後の制度内容を周知していくとともに、幅広い層へアプローチされるような効果的な取組を行うことが期待されるとしております。
Ⅴその他の論点についてでございます。1.犯則調査手続のデジタル化についてでございます。刑事訴訟法の改正によりまして、刑事訴訟手続のデジタル化が行われることとなりました。犯則調査手続は、告発により刑事手続に移行することが前提とされており、手続の円滑化・迅速化を図る観点から、刑事訴訟法改正と同様に、規定の整備を行うことが適当であるとしております。
2.金融商品取引業者の退出時における顧客財産の返還に関する制度の創設についてでございます。金融商品取引業者については、顧客財産の分別管理義務や、退出時における顧客財産の返還義務といった規制が整備されておりますが、これまでに退出した金商業者において、顧客財産の返還を行う者がいなくなった事案が発生しております。顧客財産の返還に係る執行体制を確保する仕組みを検討する必要があるとの指摘があります。
423行目です。そのため、金融商品取引業者の退出時における顧客財産の適切かつ円滑な返還を確保する観点から、現在の経営陣には顧客財産の返還に関する適切な業務運営が期待できない場合に、行政において管理人を選任し、当該経営陣に代わって金融商品取引業者の業務及び財産を管理すること等を可能とする制度を創設することが適当である。具体的には、管理人につきまして、顧客財産の返還に関する業務を適確に遂行するために必要な権限等の規定を整備すること等が考えられるとしております。
最後のページです。Ⅵおわりにといたしまして、今後、関係者において本報告の内容を踏まえて必要な対応が進められることが期待されるとしております。また、今後においても、今般の見直し後の不公正取引等の発生状況等について適切にフォローアップするとともに、当ワーキング・グループにおいて示された意見も参照しつつ、規制の過不足があることが認められた場合は、不断の見直しを行っていくべきであるとしております。
説明は以上でございます。
【神作座長】
御説明どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明を踏まえて、報告(案)についての御意見等をいただきたいと存じます。御発言を希望される際は、対面で御参加されている方におかれましては、机上の名札を縦にしていただき、オンラインで参加されている方におかれましては、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てに発言がある旨を御入力いただければ、それを確認して、私が御指名をさせていただきます。なお、御発言の順番に関しましては、若干前後する場合があろうかと存じますが、あらかじめ御了承いただきますようお願いいたします。
それでは、どなたからでも結構でございます。御発言の御希望のある方は、その意思を示していただければと存じます。いかがでしょうか。坂委員、どうぞ御発言ください。
【坂委員】
ありがとうございます。報告書(案)のお取りまとめ、ありがとうございました。
報告書(案)は証券取引等監視委員会をはじめとする当局の取組に基づく実態分析及び法執行実務の実効確保の観点から制度の見直しを提言するものであり、全体として賛同いたします。今後とも重要と考えられる点について、3点述べさせていただければと思います。
1点目です。他人名義口座による不公正取引事案への対応についてです。275行目以下のとおり、口座提供等の協力行為には、不公正取引の幇助犯が成立します。また、注27のとおり、マネー・ローンダリング対策のために本人確認手続が厳格にされてきており、証券会社は仮名取引であると知りながら顧客から注文を受けることが禁止をされております。犯罪収益移転防止法上、仮名名義、借名名義の疑いのある口座開設や、係る口座を使用した取引は、「疑わしい取引」に該当し得る例の1つともされております。FATF等による国際的なマネロン対策の観点からも、今後とも借名口座や仮名口座はできるだけ抑制していく必要があり、289行目以下のとおり課徴金の対象を具体化するに際しては、こうした観点を十分勘案すべきと考えます。
2点目です。無登録の金融商品取引業に対する犯則調査権限についてです。370行目以下のとおり、無登録による金融商品取引業は、それ自体で市場の機能を損なうものとなっております。注32に裁判所による緊急差止命令の申立て事案について触れていただいておりますけれども、過去10年間の事例を見ますと、実態把握が困難な海外関連の事案が多くなってきており、投資額や投資者数も全体として拡大してきております。金融商品取引法は、適切な資金の流れをつくり、投資家保護を図ることを目的としますが、無登録業により不適切な資金の流れが生じ、本来資金提供されるべきでない犯罪集団や不適切な事業者に資金が提供され、投資者に被害を生じさせております。無登録業は現在では単なる形式犯ではなく、実質犯としての実態を有するに至っているものであり、こうした実態解明のために、より一層の専門的知識・能力が必要であり、犯則調査権限の付与は極めて重要です。
3点目です。注33に記載していただきました無登録金商業の罰則強化についてです。調査権限による実態解明の先には、違法行為を抑止し得るサンクションが必要であり、罰則の強化が必要です。この点に関し、3点指摘したいと思います。
第1に、現状、罰則による抑止が弱い中で、無登録業の成長を許してしまっているという状況があります。現行法では、無登録業の法定刑は拘禁刑5年以下とされていますが、この間の刑事判決では、大規模に被害を生じた事案も含め、軒並み執行猶予判決が下されており、中には組織的犯罪処罰法上の仮装・隠匿の罪等も認められながら、執行猶予判決にとどまっているものもあります。かかる状況の下、緊急差止命令事案などに見るとおり、無登録業が拡大しており、さらに刑事事件判決事例の中には反社会勢力が関与しているものもあります。こうした中で、当事者自らが命を絶ってしまった事案も複数発生するに至っております。
第2に、こうした現状の背景構造についてです。無登録業者の事案は、実態は詐欺と考えられる事案も少なくありませんが、詐欺罪の立件には実態把握や故意の立証が必ずしも容易でなく、特に海外関連の事案は、海外当局との連携や情報取得に時間を要するなどの課題が大きいところです。他方、無登録業の罰則の水準は、現在における無登録業の実質を十分に捉えているとは言い難いように思われます。こうしたサンクションの実効の隙間が狙われている実情にあると考えます。
第3に、サンクションとしての罰則、特に拘禁刑等の自由刑の意味についてです。無登録の金融商品取引業もその1つと考えられますが、違法行為によって得られる利益が大きい場合には、自由刑による実効的なサンクションによらなければ十分な抑止は得られないということが、法と経済学の観点から指摘されております。こうした指摘は、無登録業の被害救済の現場感覚にも合致するところです。社会経済状況を背景に、禁止規定の実質的意義に鑑みての罰則強化は、過去にも行われてまいりました。本ワーキング・グループでは、主として不公正取引を課題としておりますが、公正な市場の確保という観点から、無登録業に関する罰則の強化は喫緊の課題であり、今回の法改正における実現が切望されているところです。
金融庁において今後の法案策定、あるいはその後の国会審議等においても、引き続きの検討をお願いしたいと思いますし、その実現に向けて努力したいと考えております。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、飯田委員、どうぞ御発言ください。
【飯田委員】
全体的に報告(案)に賛同いたします。3点コメントないし修正の提案といいますか、お願いをしたいと思います。
まず、3ページ、注8ないしは親会社の定義のところでございます。注8のところで、子会社の定義について、今回は改正しないというまとめになっていると思います。今回はそれでもよいのですが、親会社のほうが、実質概念のほうで行くのであれば、子会社の概念も同じようにそろえるというのも、立法論としては十分にあり得ると思います。また、重要事実の定義のところで子会社が使われるわけでありますから、子会社概念が現在の形式的な基準といいますか、有価証券報告書等に記載されていることが要件になっているということが、規制の穴が空くというようなこともあり得るのではないかと思います。それについては、現行法のバスケット条項の解釈で柔軟に解釈するということで埋まるのかもしれませんけれども、そこにはやや無理もあるように思いますから、不断の見直しというのが末尾に出てきましたが、そういう対象になり得る論点だろうと思っております。
2点目です。同じような話ですが、注9のところです。この点に関しては、規制の過不足があるということなのではないかと思っておりますので、ここも不断の見直しの対象に、ぜひ今後も検討を続けるべき論点だと思っております。ここはコメントでございます。
それから、大量保有についての課徴金の見直しに関連してのものです。例えば、7ページの注22のところに、大量保有報告書規制に違反して株式を取得した者の議決権を停止する制度を導入することも検討するべきであるという意見もあったですとか、公開買付規制に違反して株式を取得した者の議決権を停止する制度も検討するべきであるという意見があったですとか、そういったことを追加していただけるとありがたいと思っております。その趣旨については、第1回のときに申し上げたとおりです。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
ほかに御発言の御希望はございますでしょうか。それでは、鈴木謙輔委員、どうぞ御発言ください。
【鈴木(謙)委員】
長島・大野・常松法律事務所の鈴木です。報告書(案)の取りまとめ、どうもありがとうございました。2回目で議論した内容を大分反映していただいていて、全体的には賛同いたしますし、非常に取りまとめに御苦労されたのではないかなと考えております。
課徴金制度については、どうしても行政限りで発動する制裁であるということもあって、行政裁量を縛るようなルールになっており、その関係で必ずしも機動的に違反の実態であったり経済環境の変動であったりに対応できない部分が生じてしまうのではないかと思っています。そういった意味では、不断の見直しということでまとめていただいていますが、機動的に、その実態に見合った見直しというのは続けていただきたいと思っています。
その観点からは、今回提言されている内容の改正というのは、全般的に方向性としては、必要な改正であると考えています。そういった意味で、今回の報告書の内容を適切に改正に結びつけていただいて、課徴金額の引上げやインサイダー取引規制の適用対象の範囲の見直しを実現していただきたいと思っています。それによって権限が強化される部分は多いと思いますので、そういったものを通じて、日本の証券取引や証券市場の公正性を確保するというのは非常に重要なことだと思っています。そのために金融庁として、人的なリソースを十分に確保して、体制整備を図るというのも極めて重要だと考えています。
他方で、やはり権限が強化されるというのは、それを適切に行使する責務といいますか、責任を伴うものだと考えております。その観点からは、この報告書(案)の中でも脚注に入れていただいておりますが、注29、適正な手続を確保するというところは、より慎重に検討いただきたいと思っておりますし、今回非常に工夫されて調整いただいた大量保有報告の課徴金の対象の限定というところについても、今後、具体的な対象を定めるルールを策定するに当たっては、悪質性が高いとまではいえない事案が課徴金の対象とならないようバランスを十分に勘案して定めていただきたいと思っています。
そういった意味で、内容としては以上のコメントになりますが、今回の報告書(案)の内容というのは、基本的には課徴金の性質を抜本的には見直さないという前提でなされていますし、インサイダー取引規制についても、不都合が生じているところを調整するという形で見直しを提言されていると理解しています。他方で今回、恐らくこれで報告書(案)を取りまとめて終わりになるかと思っておりますが、これだけの、非常に実績も十分な有識者の委員の方が集まっていますし、2回目の議論の中でも、課徴金のあり方や算定方法について、かなり様々な幅のある議論がなされていたかと思います。インサイダー取引規制における第二次情報受領者や対象範囲の議論についても同様だったと思います。そのため、今回はこういった形で議論をまとめていただいていると思いますが、やはり、より根本的にインサイダー取引規制のあり方や課徴金の制度のあり方について充実した議論を、今後行っていく場を設けていただくことも大事かと思っている次第です。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、野村委員、鈴木健嗣委員、佐伯委員の順番で御発言をお願いいたします。まず、野村委員からお願いいたします。
【野村委員】
野村資本市場研究所の野村でございます。まずは取りまとめ、どうもありがとうございました。私もこの報告(案)に書かれている方向性については、おおむね賛同させていただくところでございます。
今の鈴木委員からの御発言にほぼかぶるような形ですが、私も後半のところでおっしゃったところに同意でございまして、報告(案)に紐付けますと、脚注で本当に多数の「意見もあった」という旨の記載がございます。まさに鈴木委員がおっしゃったとおり、インサイダー取引規制対象者の範囲の第一次、第二次情報受領者といったようなところ、あるいは課徴金の経済的利得相当額をベースにする考え方など、今後もずっとそれだけなのかといった御指摘がありまして、これはかなり根本に係る論点と思います。
そこに深く突っ込んでいくような、踏み込んでいくような議論は、今回はそこまでには至らなかったかという認識でおります。そうはいっても今般の改正をきちんと実行していくのは大事なことですので、もしかすると、そこのめどをつけるといったことが必要なのかもしれませんが、いずれにしましても、先ほど申したようなこと、あるいはそれ以外も含めて、腰を据えた議論、時間をかけた議論が必要な論点というものがあろうかと思います。逆に、今そこにある危機でないだけに、どういうタイミングで、どういうロジック、立てつけでやっていくのかというのは少し難しいところがあるかもしれませんが、何らかの形で早めに、危機が生ずるというタイミングを待つことなく検討を始めるといった考え方もあるかと思いました。
以上でございます。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、鈴木健嗣委員、どうぞ。
【鈴木(健)委員】
ありがとうございます。学習院大学の鈴木でございます。初めに事務局から御説明がございました報告(案)につきまして、全体的に賛成しております。本報告(案)の取りまとめに御尽力いただきました関係者の皆様に、厚く御礼申し上げます。コメントを、私から2つほど申し上げたいと思います。
1つ目は、インサイダー取引規制における規制対象の範囲拡大についてでございます。先ほど鈴木委員や野村委員からございましたが、第一次、第二次情報受領者という話もございました。ただし、その中でも、例えば70行目、他者を介在させた伝達であっても第一次情報受領者として捉える解釈がなされていることを前提としつつ、実務を踏まえながら内部情報を知り得る特別の立場にある者と一般的に考えられる者をできるだけ広く規制対象に加えていくことが適当である、とあります。こういった、今の中でもより広げていくという、そういうことは非常に大事なことで、こういったことは昨今の情報伝達技術の発展や情報拡散の容易さを踏まえた、現実的で、かつ柔軟な対応なのではないかと非常に評価しております。
他方で、こうした規制対象の拡大につきましては、380行目以降の市場監視態勢の強化や啓発活動の強化といったところにも書かれておりますが、市場参加者にとって予見可能性が損なわれないように、今後ガイドラインを通じた解釈の明確化や丁寧な周知も併せて行っていただくことが重要なのではないかと考えております。
第2に、課徴金制度の見直しについてでございます。今回の見直しの、算定方式や経済的インパクトを改めて検証して、現下の取引実態に即した経済的利得を反映させることで、課徴金水準の実質的な引上げにつなげるという考え方は、抑止力の観点から有意義であると考えております。ただしその一方で、経済的利得を超えるというところにつきましては、まだ道半ばといいますか、まだそこまでは踏み込めていない。その一方で、他人名義口座の提供などを受けることで、不公正取引者に対して取引を行う者に対して課徴金額を経済的利得相当額の1.5倍を参考とする点、こういったところも経済的利得相当額を基準としつつ、これを上回り得る水準の課徴金と、そういう意味においては、これは一層の抑止効果というものを向上するのに寄与するものではないかと期待しております。
最後に、今後の課題として1点申し上げます。今回のように、規制対象者の範囲の拡大や、課徴金水準の実質的な引上げなどが行われた場合に、それが実際にどのような経済的なインパクト、構造的なインパクトをもたらしたのかということについて、一定期間の経過後でも結構ですので、フォローアップを行っていただいて、その結果を制度改善にフィードバックしていただくということが重要ではないかと考えております。これは具体的に検証するのは非常に難しいのですけれども、違反の件数だけではなくて、疑わしい行為の通報や情報の提供数といったことの推移、匿名性の高い取引手法や名義借りの取引の減少といったことが本当に行われているのか、こういったことを検証されるのが望ましいのではないかと考えております。
私からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、佐伯委員、どうぞ御発言ください。
【佐伯委員】
どうもありがとうございます。報告書(案)を適切に取りまとめていただき、ありがとうございます。いずれの論点についても適切な内容であると思います。賛成いたします。
課徴金の算定方法を含めた制度の抜本的な見直しについては、将来的な課題としつつというふうに記載されたわけですが、既に各委員から御指摘ありましたように、あまり遠い将来にならないように、検討を継続していただければと願っております。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、亀坂委員、どうぞ御発言ください。
【亀坂委員】
まずは報告(案)の取りまとめ、ありがとうございます。
私は、報告(案)に関して、反対するところや違和感を持ったような内容はございませんでした。そのため、感想めいたことばかりコメントさせていただく格好になってしまうと思います。まずは前回までのワーキング・グループの私のコメントに対応する形だと思いますが、7ページの注21、2025年1月から3月までに提出された大量保有・変更報告書の市場価格への影響を算定していただいています。この時期は少し株価変動が大きかったので、さらなる追加検証ですとか追加資料をいただきたいというようなことを前回までにコメントさせていただきました。これは大変な作業だったと思いますが、同じ時期の1年前に繰り上げて追加で分析していただいたこと、大変感謝しております。これで2025年1月から3月までの分析が、特殊な結果ではなかったと私は理解いたしました。
このことに関して、私は、株式市場の分析を専門としており、大学院生時代からずっと株価の分析をしてきたものですから思うのですけれども、株式市場の分析は非常に大変です。行政に携わる一方で、こういった分析をされることについては非常に御負担をかけてしまったかと今、思っております。そのため、こういった分析をされるときには、あらかじめ例えば金融庁内の金融研究センターですとか、トピックに対して中立的な立場にある方々、組織の方々と必要に応じて連携してこういった分析をされるように、体制をまずは整えられたらよろしいのではないかと感じました。これが1点目の感想です。
2点目です。1点目のコメントにも関連することです。直近1、2年の大きな株価変動は非常に気になっています、株式市場の研究者として、東日本大震災が起きたときも、私は財務省財務総合政策研究所から発行されているフィナンシャル・レビューという雑誌に、東日本大震災時の日本の投資家行動の分析結果を掲載していただいているのですが、何かあると日本国内の投資家というのは非常に悲観的になって、売り過ぎてしまうのです。過剰に下がり過ぎてしまって、それを外国人投資家が拾って非常に収益を上げているといった研究結果を掲載していただいていることもありまして、過度に株価が下落したときの対策は何か練られないものかと、当時から非常に思っております。
例えばですけれども、株価が急落したときに、自社株買いをしやすくするような制度について導入できないか検討するですとか、あるいは市場制度ワーキング・グループでは、以前は資産運用立国をいかに推進するかというようなことを議論させていただいたと思いますが、新NISAには関心を持っていただいても、海外の株やオールカントリー型の商品にばかり日本の国民が投資してしまっており、日本株に投資していただくにはどうしたらいいのだろうかということも検討していたと思いますが、日本の投資家は遺伝子レベルでも非常にリスク回避的というような、医学分野の遺伝子レベルの分析結果の論文もありますので、例えばですが、新NISAの投資対象に、日本株にヘッジをつけたような商品を導入するですとか、そういったことも検討していただけないかと思っております。
以上、感想ばかりで申し訳ないですけれども、今思っていることを述べさせていただきました。以上です。
【神作座長】
大変参考になる御意見をありがとうございました。
それでは、齊藤委員、どうぞ御発言ください。
【齊藤委員】
齊藤でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。このたびは報告書(案)のお取りまとめをいただきまして、事務局の方々には深く感謝申し上げます。
報告書(案)の内容につきましては、全体として賛成いたします。それを踏まえて、4点簡単にコメントさせていただきます。
まず、1点目です。大量保有報告書・変更報告書制度につきましては、課徴金の水準を引き上げ、その対象を絞り、メリハリをつけたエンフォースメントをするという整理につきまして歓迎いたします。あわせて飯田委員からも御指摘があったと思いますが、会社法改正のほうで議決権停止の制裁の導入が実現するということを願っております。
2点目です。インサイダー取引に関する規制強化につきまして、インサイダー取引は誘惑が非常に強い行為でございますので、制裁を強化していくことが重要であると考えております。このような観点から、このたび口座提供の協力行為を捉えて実効性を高めるということにつきましても、監視が行き届きやすくなるという点で望ましいものであると考えております。他方で、課徴金も刑罰も社会的な制裁としては非常に重いものがございますので、幇助犯として捉えるべき範囲につきまして、法的侵害の有無の程度に応じて要件の具体化、運用を考えていただければと思います。また、知らずに口座を他人に利用されて違法行為に使われるような事態もあるわけでございますが、それ自体は犯罪ではなく、むしろ被害に遭っているわけでございますので、そういった事態に直面した方々においては、しかるべき相談窓口に相談すべきことなどについても併せて御周知いただくのがよいのではないかと思いました。
最後に、第1回の会合でも議題に上がったところでございますが、取引実務の高度化に伴いまして、市場の監視というのも一層難しいタスクになってきているように思います。そのために高度な市場取引に通じた人材を民間から登用し、また、規制当局の側からも規制の理念などに通じた人材を実務に送り出すという形で、国内外も含め、人材の交流を進めていただきたいと考えております。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、萬澤委員、どうぞ御発言ください。
【萬澤委員】
ありがとうございます。筑波大学の萬澤と申します。私も、報告(案)に全般的に賛同いたします。
「インサイダー取引規制の対象者の範囲拡大等」も、「課徴金制度の見直し」も、制度の趣旨に照らして不十分である、または、規制の趣旨から外れて運用されているということが明らかになったところを制度趣旨に沿うように修正するものと理解しておりまして、そのような修正は望ましいと思いますし、「口座の提供等の協力行為を行った者に対する課徴金の創設」につきましても、前回御議論があったところですけれども、一律に課徴金の対象とするのではなくて、趣旨に沿うように対象を限定する旨、報告書(案)で記載くださっているところで賛同いたします。
また、「調査権限等の拡充」につきましても、規制の実効性を確保する点から、エンフォースメントを強化する、充実化させるということにも賛同いたします。
1点コメントと申しますか、感想を申し上げたいと思います。先ほど野村委員や鈴木委員のほうからも少し話題に上がりました第二次情報受領者に対する規制についてです。これは第1回の会合から議論になって、様々な委員の方々の御意見を伺って、また、この報告(案)を拝読して、私自身は第二次情報受領者を規制対象とすることには慎重な立場である旨、第1回のときに申し上げたわけですけれども、ただそれでは事案によっては必要な規制を及ぼすことができず、結論として妥当性を欠いてしまうような場合もあり得るのではないかと思うに至りました。例えば、第二次情報受領者と第一次情報受領者との関係性が非常に密接であるといった場合で、報告(案)の2ページから3ページ目にかけて記述されているような、第二次情報受領者を規制対象とすることに慎重であるべきとする理由が当てはまらないような場合であれば、そのような事案に限って、第二次情報受領者も第一次情報受領者と同様に規制対象とするということも考えられるのではないかと思うようになりました。ほかの委員の方々もおっしゃっているところですけれども、こういったことにつきましても、議論が今後深められていくことを期待したいと思っております。
その議論におきましては、第二次情報受領者に対する規制をどうするかということを抽象的に論ずるというより、むしろ個別具体的な事案を幾つか想定して議論することが有益と思います。
以上となります。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、武田委員、どうぞ御発言ください。
【武田委員】
ありがとうございます。事務局におかれましては、取りまとめに御尽力をいただき、ありがとうございました。報告(案)については、基本的に賛成の立場です。その上で、意見を2点申し上げます。
1点目は実効性の強化です。先ほど他の委員がおっしゃったことと重なりますので、具体的には申し上げませんが、実効性をより上げるためには、テクノロジーの活用と、それを可能とする専門人材の採用が不可欠と考えます。また、海外との連携の重要性も高まっていると思いますので、その点は具体的に御検討いただき、制度や規制を強化すると同時に、実効性をいかに確保するかという点について、いま一度御検討いただきたいと思います。
2点目は周知の必要性です。NISAの普及もあり、現在、金融資産に占める現金・預金の割合が50%を割り込んでいる状況です。当然時価の影響や円安・株高の影響がありますが、金融庁をはじめ、金融業界の皆様の取組の成果で、「貯蓄から投資へ」という流れが進んでいると考えます。
一方で、様々なルールに関する知識や金融リテラシーなど、情報格差は今後、より問題になる可能性はございます。そのため、丁寧な周知を行う必要があると思います。御記載いただいているとおり、事例や制度の内容を十分周知することは大切です。より幅広い層へリーチするためには、どのような施策が効果的か考える必要があります。技術も進化していますので、動画やSNS等の活用がより重要になると思います。それらを実行するには、金融業界との連携も不可欠ではないかと申し上げましたが、脚注、かつ一部の声としての記載にとどまっています。連携しない場合、どのように周知を行うことを想定されているのか、改めて確認させていただければと思います。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
1点、周知に関して御質問と申しますか、コメントがあったと思いますけれども、現時点で何かお答えいただくことはございますか。
【齊藤市場課長】
では、事務局のほうからでございます。
様々な媒体を使っての周知活動を行っているところでございます。証券取引等監視委員会においても、SNSを使って周知活動を行っているということを聞いております。こういった活動を、今後も工夫しながら進めていきたいと思っているところでございます。
【神作座長】
ありがとうございます。
水谷証券取引等監視委員会事務局総務課長から何かコメントございますか。
【水谷証券取引等監視委員会事務局総務課長】
証券取引等監視委員会の水谷でございます。
先ほど市場課長からも発言したように、証券取引等監視委員会の勧告事例や公正取引のルール、そういった事案などを分かりやすく、未然防止のために伝えるということをやっているところです。広報啓発の効果的な方法については、これまでもSNSのXを活用した情報発信など、日々改善に努めてきたところですが、引き続き、より刺さるような発信ができるように検討してまいりたいと思います。
【神作座長】
ありがとうございます。武田委員、よろしゅうございますか。
【武田委員】
既にやっていただいていることは承知しておりますが、金融業界との連携をすれば、さらに周知の裾野を広げ、実際に売買するときに確認できたりすると思うのですが、そうしたことに取り組もう、やっていこうということについてはお考えではないということでしょうか。これは金融庁への確認になります。
【神作座長】
齊藤市場課長に御回答をお願いします。
【齊藤市場課長】
金融業界との連携、証券業界との連携ということも重要だと思っておりますので、今、具体的にこうするというものが見えているわけではございませんが、引き続き取り組んでいきたいと思っております。
【武田委員】
ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、松岡委員、どうぞ御発言ください。
【松岡委員】
松岡でございます。私のほうからは、主に市場参加者の中でも発行体企業の観点からの発言をさせていただきたいと思います。
まずは本件、取りまとめいただきまして、どうもありがとうございます。方向性に関しては、特に異存はございません。
私どもといたしましては、日本市場が世界に開かれた市場として、市場参加者である投資家及び発行体企業に対して、市場の信頼性、公平性、そして透明性、そのためのルール及び仕組みの実効性が十分であることが重要な基盤であると考えております。本件に関しましても、様々な市場の参加者に対してルールが非常に明確であって、かつエンフォースメントが有効に機能しており、かつ、それを示すことが非常に重要と考えております。
そのためのルールの明確化と実効性を持たせるため、委員の皆様からも御指摘がありました、十分なリソースと体制の整備が重要であると共に、事例を含めて幅広い参加者、これは直接、間接を問わずですけれども、また、潜在的な参加者に対しても、十分な周知活動と理解を得られるような取組みというのが肝要であると考えております。
何よりも日本市場がほかの市場と比べましても、一部の利得者にとって不当に魅力的な狩り場となるということは何としても避けなければいけないと考えております。具体的には、先に意見を申しました2点、すなわち大量保有・変更報告書の不提出の悪用のリスクに対する手当や、また、監視側の人的及び物理的な資源の確保、そしてテクノロジーや経験者の登用を含めた体制の整備、そして、先に御指摘のありました周知方法の多様化、これらに関しての取組み、それに関しての記述を反映いただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
今後は、実行及び様々な状況に応じて不断の見直しというフェーズに入ってくるかと思いますので、引き続き、御関係者の皆様と協力しながら、よろしくお願いしたいところでございます。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
本日御参加いただいた委員の皆様から御発言をいただきました。大変ありがとうございます。この報告(案)につきましては、大筋で基本的に、あるいは全面的に御賛同いただいたと承りました。
1点だけ、具体的に訂正と申しますか、修正の御要望がございましたのは、飯田委員から、大量保有報告の違反のサンクションと申しますか制裁について、議決権停止という意見が出されたということを注で記載してはどうかという御提案があったと思います。会社法改正について議論している法制審議会会社法制部会では、実質株主確認制度という新たに導入しようとしている制度との関係で、機能的には大量保有報告の違反に相当する場合に議決権の停止という制裁を加えることについて議論されています。そのような状況の下で、少し書きづらい部分もあるかもしれませんが、事務局におかれましては御検討いただくことはできますでしょうか。
【齊藤市場課長】
承知いたしました。
【神作座長】
よろしくお願いいたします。
そのほか、あわせて表現の平仄など、そういった問題もあるかと思いますが、もしよろしければ、今の議決権停止の点も含めまして私に御一任をいただき、取りまとめをさせていただきたく存じますけれども、そのような進め方でよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【神作座長】
大変ありがとうございます。
また、報告書の公表等の取扱いにつきましても、私に御一任をいただければと存じますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【神作座長】
どうもありがとうございます。それでは、そのように進めさせていただきます。
続いて、オブザーバーの方からも、もし御発言の御要望がありましたら、御発言いただければと思いますけれども、いかがでございますか。
それでは、日本取引所グループの市本さん、お願いいたします。
【日本取引所グループ】
日本取引所自主規制法人の市本でございます。先ほど御意見の中で啓発活動の話が出ましたので、私からも一言だけ申し上げたいと思います。
市場監視機能を高めることと、啓発活動等の強化による不公正取引の未然防止というのは車の両輪と考えており、私どもも、そこに今後も引き続きさらなる注力をしていきたいと思っております。
市場運営者を傘下に持つJPXにおいて自主規制を司る日本取引所自主規制法人は、市場に一番近い側で市場を見ておりますし、証券会社の方々とも顔の見える関係を築いております。そういう意味で、前回御説明をしましたCOMLEC(Compliance Learning Center)、これを利用した形等も含めて、今後とも金融庁、証券取引等監視委員会や市場関係者と連携しながら、市場の健全な発展に向けて貢献してまいりたいと思います。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
国際銀行協会の中村さん、どうぞ御発言ください。
【国際銀行協会】
国際銀行協会、中村でございます。発言の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。既に皆様おっしゃっていることと重複しますが、短時間で取りまとめされたことに大変な敬意を表したいと思います。ありがとうございました。
インサイダー取引規制対象の範囲拡大、課徴金の引上げ、出頭制度の創設、いずれも資本市場のさらなる発展に必要な施策であると思います。これらの大事な点については、関係者に周知をしたいと思っております。
1点、要望に近いことを申し上げさせてください。大量保有・変更報告書の提出にはEDINETというシステムを利用しておりますが、EDINETの利用については、弊協会会員にて問題意識がございますので、別途相談させていただければと思います。よろしくお願いします。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、日本証券業協会の後藤さん、どうぞ御発言ください。
【日本証券業協会】
野村證券の後藤でございます。日本証券業協会からオブザーバーとして参加させていただいております。発言の機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
まず、本報告(案)の作成に当たりまして、多岐にわたる討議事項に対する委員の皆様方の活発な御議論と、事務局を務められました金融庁の皆様の御尽力に心より感謝申し上げます。
昨今の資本市場をめぐる諸問題を踏まえまして、こうした不公正取引規制の強化等の論点に関して対応の方向が示されたということは、大変意義深いと考えております。本協会としましても、引き続き検討に協力してまいりたいと存じます。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
オンラインで御参加のほかのオブザーバーの皆様、御発言の御希望はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
先ほど、表現の平仄なども併せて、私に御一任いただきました。ありがとうございました。また、公表の取扱いについても、先ほど御一任をいただき、誠にありがとうございました。そのように取り扱わせていただきたいと存じます。
最後に、井上企画市場局長より、一言御挨拶をいただければと存じます。よろしくお願いいたします。
【井上局長】
ありがとうございます。本ワーキング・グループにおきましては、3回にわたり、座長の神作先生はじめ委員の皆様方に、精力的に御検討いただきました。大変ありがとうございます。厚く御礼申し上げたいと思います。
また、本件は、本年の6月20日に「市場監視機能強化に向けた建議」という形で証券取引等監視委員会から出されたものをベースにしておりますけれども、建議を行った当時の証券取引等監視委員会の事務局長の立場からも、皆様に併せて御礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
事務局といたしましては、今後、報告書に示された内容、また、本日いただいた様々な御意見も踏まえまして、法律改正を含めた制度整備等に取り組んでまいりたいと思います。今後とも、皆様方に御指導いただくこともあろうかと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。本日も活発な御議論をいただき、誠にありがとうございました。
―― 了 ――
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