金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」(第3回)議事録

  • 1.日時:

    令和3年11月26日(金曜)14時00分~16時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室

金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」(第3回)
令和3年11月26日
  
【神作座長】

定刻より少し早いですけれども、参加予定の皆様は既にお揃いということで、ただいまより、資金決済ワーキング・グループの第3回会合を開催いたします。皆様、御多忙のところを御参加いただき、誠にありがとうございます。

本日の会合も、前回に引き続きオンライン開催とし、一般の傍聴はなしとした上で、メディア関係者の皆様には、金融庁内の別室において傍聴をしていただくこととしております。

本日の会合も、オブザーバーにつきましては、本ワーキング・グループ設置時の各団体のほか、個人情報保護委員会事務局、日本銀行、預金保険機構、信託協会、日本証券業協会、日本暗号資産取引業協会、日本STO協会、新経済連盟、日本IT団体連盟に御参加いただいております。

それでは、議事に移ります。

本日は、まず前半の40分では、共同機関に対する業規制のあり方などについて、事務局より説明を聴取いたします。次に、全国銀行協会、伊藤企画委員長より、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関する利用者や国民への周知・広報に係る銀行界としての取組みについて御発表いただいた上で、メンバーの皆様に本論点の議論を深めていただきたいと存じます。

次に、後半の80分では、まず、ステーブルコインや前払式支払手段についての規律のあり方について、事務局より説明を聴取いたします。その後、日本資金決済業協会の長楽専務理事、新経済連盟の片岡様、アマゾンジャパン合同会社渉外本部の竹廣本部長より、前払式支払手段に係る不正利用防止等に関する取組み等について御発表いただいた上で、メンバーの皆様に本論点の議論を深めていただくという流れで進めさせていただきます。

なお、討議に当たりましては、資料1-2、資料2-2の本日討議いただきたい事項を適宜御参照いただければと存じます。

また、本日御欠席の翁メンバーより資料6の意見書を御提出いただいておりますので、メンバーの皆様におかれましては、適宜御覧いただければと存じます。

それでは、早速でございますけれども、事務局より説明をお願いいたします。

【端本信用制度参事官】

それでは、資料1-1に沿って御説明いたします。

1ページ、目次ですけれども、共同機関に対する業規制の概要案、それから、共同機関を含むAML/CFT業務に係る国民への周知・広報等という2点について御説明をさせていただきます。

まず、3ページでございます。共同機関に対する業規制の概要案ということで、これは前回見ていただいた資料に加筆したものでございます。

まず、基本的考え方、共同機関が多数の銀行等から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合、管理・監督に係る責任の所在が不明瞭となり、実効性が上がらないおそれ、それから、AML/CFT業務の中核的な部分を行うものであり、共同機関の業務が適切に行われなければ、日本の金融システムに与える影響が大きいものとなり得るということで、共同機関に対する業規制を導入し、当局による直接の検査・監督等を及ぼすということでございます。

対象業務につきましては、預金取扱等金融機関・資金移動業者からの委託を受けて、為替取引に関しまして、①取引フィルタリング関連の業務を行う、②取引モニタリング関連の業務を行うということでございます。

参入要件につきましては、前回の御議論を踏まえまして、2つ目のポツでございます。共同機関の業務に対する適切なガバナンス体制の確保や資金調達の容易性等の観点から株式会社形態ということで、取締役会及び監査役会等々を置くものということで規定させていただいております。

兼業規制につきましては、取引フィルタリング・モニタリングに関連するものが基本となるということでございます。

それから、個人情報の適正な取扱いにつきましては、多くの個人情報を取り扱うとの業務特性に鑑みまして、銀行等と同様の上乗せ規制、一定の体制整備義務等ということで、注のところに今回の共同機関でどういう形で個人情報を扱うかという想定を記載させていただきました。個人情報は分別管理し、他の銀行等と共有しないことを想定する。また、共同化によるメリットの1つである分析の実効性向上の観点から、特定の個人との対応関係が排斥された形でノウハウを共有することを想定するということでございます。

4ページ目以降は、前回と同一の資料になりますので、説明を省略させていただきまして、続きまして、12ページでございます。共同機関を含むAML/CFT業務に係る国民への周知・広報等ということで、共同機関の業務内容等についての銀行等や共同機関における情報の適切な提供に加えまして、政府においても、共同機関を含む銀行等におけるAML/CFTの取組みの重要性等について、引き続き国民に分かり易い形で周知・広報を行う必要があるということで、その下でございます。金融庁のウェブサイトにおきましても「金融機関窓口や郵送書類等による確認手続にご協力ください」ということを周知させていただいております。

銀行界におきます取組みにつきましては、後ほど伊藤企画委員長から御説明があろうかと思います。

続きまして、資料1-2に沿って、本日討議いただきたい事項を御紹介させていただきたいと思います。

これも前回見ていただいたものに加筆させていただいております。まず1ページ目、背景、それから2として銀行等によるAML/CFT業務の共同化、(1)AML/CFT業務の共同化の意義ということで、2ページ目に参りますと、(2)共同化の対象(対象業務・対象取引・対象金融機関)ということでございます。

注の7、それから注の8、注の9というところで、フィルタリング・モニタリング業務の意義、あるいは、その個人情報保護法の取扱いについての考え方を記載させていただいております。

それから、その下でございます。「なお」以下ですけれども、通常は、アの業務については、制裁対象者との取引の未然防止の観点から、イの業務については、行った取引について、犯収法に定める疑わしい取引の届出の要否を判断する観点から行われるという形で、位置付けを明確化させていただいております。

続きまして3ページ、3.上記業務を共同化して実施する主体(以下「共同機関」)に対する業規制のあり方ということで、(1)基本的な考え方のところでございます。2つ目のパラグラフ、この点、共同機関が多数の銀行等から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合に業規制の対象とするということでございますけれども、注の11のところでそのイメージといいますか、検討の基本となるイメージを記載させていただいております。

それから、その下のところでございます。こうした共同機関の業規制の意義といたしまして、こうした対応は、金融のデジタル化の進展やマネー・ローンダリング等の手口の巧妙化を踏まえ、国際的にもより高い水準が求められるAML/CFTの適切な実施にも資するものということで記載させていただいております。

(2)業規制の具体的な内容、①参入要件のところにつきましては、先ほど申し上げました株式会社形態ということを追記させていただきますとともに、注の13のところでございます。体制整備の具体的な内容といたしまして、共同機関において自律的に分析を高度化していくための体制確保が重要との御指摘を記載させていただいております。

4ページでございます。②兼業規制のところにつきましては、注の14、注の15、注の16のところで、それぞれの業務の意義、あるいはその詳細について記載させていただいております。

それから、③の個人情報の取扱いに係る体制整備義務等というところで、注の20でございます。金融分野における個人情報に関するガイドラインが適用されるということも明記させていただいております。

それから、5ページに参りまして、④検査・監督のところでございます。「なお」以下でございます。共同機関における不適切な業務運営があった場合、どうなるのかということでございますけれども、当局としては、まずは、共同機関に対する監督権等の行使により対応を行うこととなるという想定を記載させていただいております。

続きまして、4.個人情報の適正な取扱いのところでございます。6ページに行っていただきまして、注の30でございます。前回、そのデータの消去等の扱いはどうなるのかという御質問がございました。委託元の銀行等が情報管理に関する権限を有しております。共同機関との連携の下、委託元の銀行等が適切に対応するという考え方を明記させていただいております。

以上がこの全体像でございます。これらの整理につきまして御意見を頂ければというのが論点1、7ページの冒頭でございます。

続きまして、2つ目の論点、5.共同機関を含むAML/CFT業務に係る国民への周知・広報等ということで、前回頂いた御意見を2つ、ポツで示させていただいております。

(1)の一番下のところですけれども、共同機関を利用する銀行等において、現在通知・公表されている個人情報の利用目的について、より分かり易いものとなるよう検討する。それから、その2つ目のポツでございます。政府においても、共同機関を含む銀行等におけるAML/CFTの取組みの重要性等について、国民に分かり易い形で周知・広報を行うということでございます。

それから、(2)今後の課題ということでございます。今般の共同機関の業務は、個人情報の保護に配慮しつつ、銀行等におけるAML/CFTの高度化・効率化を図るものだということでございます。

次の8ページでございますけれども、AML/CFTの更なる実効性向上策として、個人情報の共有を可能とする等の対応につきましては、共同機関を含むAML/CFT業務に対する国民の十分な理解を得ていく中で、今後の共同機関における業務実施状況やマネー・ローンダリング等に関するリスク環境の変化等を踏まえて、将来的に検討すべき課題であるという形で整理させていただいております。

論点2につきましては、以上のような国民への周知・広報、あるいはその今後の課題、この辺りの考え方について御意見を頂ければということでございます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、全国銀行協会の伊藤企画委員長より御説明をお願いいたします。

【伊藤オブザーバー】

全国銀行協会企画委員長をしております三井住友銀行の伊藤でございます。本日は、こういうような機会を頂戴しまして、ありがとうございます。

私から全銀協におけるAML/CFTの重要な取組みに関する広報活動ということで、お示しの資料に沿った形で御説明させていただきます。

早速ではございますが、1ページを御覧ください。このページでは、まず、継続的顧客管理について御説明をいたしたいと思います。

銀行では、様々なAML/CFTの取組みを行っておりますが、その中でも重要な取組みの1つが継続的な顧客の管理ということでして、これは、お客様の最新情報に基づいたリスクの特定・評価を行い、当該リスクに応じた適切な措置を講じるため、最新のお客様の情報を定期的に確認するという行為でございます。

こうした継続的顧客管理を実施するために、銀行は、既存のお客様に対しまして、ダイレクトメールを送付する等の手段でその最新情報を確認しているところでございます。具体的には、個人であれば、氏名・住所・職業・お取引の目的等です。法人のお客様であれば、名称・住所・事業内容・お取引の目的・実質的支配者等の確認を行っているところです。

なお、お客様への質問内容や記入を依頼する書面、確認の方法は、個人・法人の別や、リスクカテゴリーによっても異なっております。

本年8月に公表されましたFATFの対日審査結果報告書でも、日本が優先的に取り組むべき行動として、リスクベースでの継続的な顧客管理というものが記載されておりまして、継続的顧客管理は、今後の対応強化が特に必要な分野と私どもは考えております。

2ページにお進みください。一方で、この継続的顧客管理の必要性につきましては、正直まだまだお客様に御理解いただけていないというのが現状でございまして、このページでお示しのとおり、お客様の最新情報を確認するためにダイレクトメールを銀行が送付しましても、お客様から質問や苦情が寄せられることも多く、ダイレクトメールでの返送率も3割程度にとどまっているのが現状です。

全銀協の相談室には、間違いなく銀行からの手紙なのかとか、どうして改めて回答をする必要があるのかですとか、そもそもどうして自分が調査の対象なのかといった、確認や御相談・苦情等が寄せられております。

継続的顧客管理の意味や重要性が理解されず、こうした御相談とか苦情が寄せられる背景としましては、日本では、マネロン・テロ資金供与といったものが、なかなか身近に感じにくく、対策の重要性を理解いただけないという点もあるかと思います。過去に大規模なテロが起こった国等と比べますと、日本では、なかなか身近にマネロン・テロ資金供与対策の必要性について、国民の皆様に感じていただけないということが結構大きいのかとは考えております。

また、自分の情報を確認することが、なぜマネロン対策につながるかが分かりにくいとか、あるいは、そもそも確認されたことに対して、自分がマネロンをしていると疑われているというふうに不快に思ってしまわれるというのも要因として考えられます。

加えて申しますと、イギリスとかシンガポールといった諸外国では、情報提供要請に応じていただけないお客様につきましては、その取引を制限することが法令として定められているということもあります。そのため、例えばお客様の側でも、情報提供をしなければ、取引制限や口座閉鎖等につながるという認識も浸透しているということはあるかと思います。一方で、本邦ではこうした法制度はございませんので、なかなかお客様にもその重要性が身をもって御理解いただけず、回答率が上がらないといった側面もあるかとは考えております。

それでは、3ページを御覧ください。そういった中でも、このページで、私どもとして、お客様の認知度向上のために具体的に取り組んでいるということを御理解いただければと思います。

全銀協では、AML/CFTにつきましてお客様の理解を促進するために、2018年度から金融庁と連携して継続的に広報活動を実施しているところです。今年度も昨年度に引き続きまして、この継続的顧客管理をテーマに、10月に全国で最新の顧客情報の確認に御協力をお願いするテレビCMを放送いたしました。また、11月25日の読売新聞朝刊ですけれども、全銀協会長と東京オリンピック銅メダリストの野口啓代さんとの対談形式ということで、日本のAML/CFTに対するFATFの評価ですとか、継続的顧客管理の必要性などについて、身近でお客様に感じていただくということを目的として記事広告を掲載しているというところでございます。このほか、10月から12月にかけましては、若い方々への訴求という意味もありまして、YouTubeでの広告ですとか、ディスプレイ広告、ウェブ広告なども実施をしていくということでございます。

このテレビCMですとかYouTube広告で利用した映像などは、各銀行の店頭でも放映しているということで、銀行協会としても様々な世代に対して訴えかける努力はしているということでございます。

次、この4ページですが、国民の皆様に御理解いただきたい項目や、その理解を得ていくに当たっての、私どもが今考えている課題をまとめております。

このAML/CFTは、内容が少し複雑ということもありまして、国民の皆様の御理解を深めていただくためには、いかに分かりやすくその内容をお伝えするかというのが重要だと思っておりまして、具体的には、マネロン・テロ資金供与とはそもそも何だとか、何でこのお客様の情報の確認というのがAML/CFTにつながるのかといったことを分かりやすく御説明して、理解を得ていくというプロセスが必要だと考えております。

いずれにしましても、このAML/CFTにつきましての国民の認知度はまだまだ低いということで、理解醸成のためには、継続的な、かつ地道な広報活動が不可欠だと思っています。

また、業界による広報活動、これは、今申し上げたようにこれまでもしっかりやってきておりますが、それだけでは限界もございますので、これは官民が一体となって取り組む必要もあると感じております。政府からの積極的広報は、国民の皆様の理解醸成のためには、大変重要だと考えておりますので、ぜひとも引き続き御協力を頂きたいと考えております。

私からの説明は以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明を踏まえて、メンバーの皆様に御討議いただきたいと存じます。なお、全体の時間がございますので、お1人当たり3分程度で御発言をお願いいたします。時間内に言い尽くせない点などがございましたら、後日メールなどで事務局にお寄せいただければ幸いでございます。

それでは、どなたからでも結構でございますので、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。松井メンバー、お願いいたします。

【松井委員】

御報告をありがとうございました。論点1と論点2について、それぞれ1つずつ御意見を差し上げたいと思います。

論点1につきましては、今回、株式会社として資金調達等、あるいはその管理・監督という面から、株式会社として運営するという案をお示しいただいたわけでございます。これは保振等と同じイメージで、恐らくその出資をなさる方として、銀行であるとか全銀協といったようなところを想定していると存じますが、その場合には、恐らく新しい株主を入れていく柔軟性というところにメリットがあるのであろうとは思いますけれども、一方で、持分、出資のあり方、あるいはその役会の構成員のあり方というものによって、例えばどういった方向性のシステムをつくるのかといった議論に影響があるのではないかと思います。そこで、どういったシステムを、将来的に利用する可能性のある主体も想定して、つくっていくのかという議論については、株式会社の経営陣だけでなく、引き続き監督庁が注意深くウォッチしながら決定していく形にしていく必要があるのではないかということでございます。

2つ目の論点2につきましては、全銀協様の御報告にあったように、その法的サンクションを含め、個人情報に関する顧客情報の確認に関する実効性を上げていくということは、重要ではないかと感じております。

一方で、素朴な疑問といたしまして、ダイレクトメールで確認をするという形で正しい回答が得られているのだろうかという点について、どのようにお考えなのかということが不思議に感じました。

恐らくその問題のない方々は、なぜマネロン対策として回答が必要なのか、疑われているのではないかと思うのでしょうけれども、一方で、問題がある方のところにダイレクトメールが届いた場合に、正しい回答が得られるのかという問題も、一方であるような気がいたしまして、このような確認の方法について、例えば他の考え方等があり得るのかという点について伺えればと思いました。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

全銀協の伊藤企画委員長に対して御質問がございました。ダイレクトメールの確認の有効性ですとか他の選択肢について、御説明いただけますか。

【伊藤オブザーバー】

伊藤でございます。御質問をありがとうございました。

ダイレクトメールで、仮に返ってきたとしても、その情報というのが実際本当に正しいのかどうかという御質問かと認識しております。

それにつきましては、そもそもそのお客様一人一人につきまして口座を開設する際に、適切な本人確認を実施し、問題ないと確認をしたお客様に対して口座を開設しております。住所を含めて確認したお客様に対して、その住所に書類を送りまして、その住所にお住まいの御本人様から御回答を頂いているということでございます。そういう意味では、入り口のところでしっかりと確認を行った、という前提ではありますが、ある一定の正しさというのは、確保はされていると考えております。

しかしながら、潜在的には、そういったリスクはあり得るとは思っていますが、いずれにしましても、入口のところでしっかりと本人確認・住所確認をした上で対応をしているというところで、一定の確からしさが確保されていると考えております。

【神作座長】

松井メンバー、いかがでしょうか。

【松井委員】

ありがとうございます。本人が知らないところで悪用をされているという場合には、有効な確認方法になるのかと理解いたしました。

本人が途中でこのアカウントの悪用に同意したというような場合は、どのような場合にも恐らく限界があるのでしょうから、今の御回答でよく了解できたと思います。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、河野メンバー、御発言をお願いいたします。

【河野委員】

御説明をありがとうございました。

議題1に関しまして、論点1の御説明は、ほぼこれまでの議論をまとめていただいておりますので、私自身、特段問題点はないと受け止めました。

8ページ以降の論点2に関して発言をさせていただきたいと思います。申し上げるまでもございませんけれども、今回の検討課題であるマネロン・テロ資金対策について、自分事として考えられる国民は多くはございません。それゆえに、悪意ある一部の利用者を排除するために、定期的な本人情報の確認を求められるなどの継続的な顧客管理を受けることに不安や嫌悪感を抱くことへの対策というのは、粘り強く継続的に行っていく必要があると思います。

継続的顧客管理に協力することの、不安感を払拭するというか、それを上回るメリットなどが提示できれば、よりその理解と協力を深めることにつながるかと思いますが、これは賛否あるところだと思いますけれども、例えばマイナンバーカード等の紐付けによるボーナス付与など、このマネロン対策に積極的に協力するのではない形での誘導というのもあってもいいのではないかと思いました。

10月中旬に放映されました全銀協さんのテレビCMは私も拝見いたしました。とても分かりやすいと思った反面、誰の話なのかという距離感もございました。今般共同機関が設立されることを最大限利用して、テレビCM、それからインターネットCM、デジタルサイネージ、それから、金融機関窓口でのポスター掲示や取引明細書への簡単で分かりやすい記述等、露出を高めていくことと、もう一つは、金融教育の1つとしてマネロン対策を盛り込むなど、官民挙げて多方面からのアプローチが大事だと思いました。

以上でございます。

【神作座長】

貴重な御意見をどうもありがとうございました。

それでは、続きまして、石井メンバー、御発言をお願いいたします。

【石井委員】

ありがとうございます。資料の御整理、大変お疲れさまです。

方向性に関しましては、論点1、論点2に関しても、特段大きな異論があるわけではありません。その上で若干コメントをさせていただければと思います。

まず1点目、これはタイトルの表現だけの問題ですが、項目で言いますと資料1-2の4.個人情報の適正な取扱いの(2)共同機関への個人情報の提供に際しての本人同意の取得等の同意についてです。この同意は基本取らないでやるという仕組みを使われると理解していますので、同意を取らないのであれば、タイトルを少し御検討いただければと思いました。

2点目、個人情報保護法の令和2年の改正を踏まえつつ、その情報漏えいなどの事故が発生したときの個人情報保護委員会への報告や本人への通知は、一旦個人情報保護法に基づく対応を共同機関においても行うという理解でよろしいのでしょうか。

特にその本人に通知するという話になったときに、悪質な人に対して、意図的にマネロンに関わっているような人に対しては、通知ができない、むしろしないほうがいいということだと思うのですが、他方、何かしらの漏えいの被害を受けて口座を不正に使われているような人に対しては、むしろ通知したほうがいいような場合もあるかもしれないと思います。個人情報保護委員会への報告や、被害者に対しての通知制度、連絡制度の活用方法、法的な整理がどのようになるのかということについて、確認をさせていただきたいと思った次第です。

3点目は法執行についてです。金融分野の個人情報保護ガイドラインは、個人情報保護委員会と金融庁の連名で出されていますが、個人情報保護法に基づく執行は個人情報保護委員会が担い、業法に基づく執行は金融庁が引き続き担うということで、執行は分かれてそれぞれやるという理解でよろしいのですか。

最後に、この問題については、個人情報を個人情報として共有することが求められるのだろうと思っています。一番最後の今後の課題のところで、個人情報として共有する場合でも法令上の根拠があり、特にマネロン対策という重要な、不正行為の対策のための必要性があるということであれば、そうそう批判が起きるということもないと思いますので、個人情報を個人情報として共有する仕組みがどういう条件で求められてくるのかについて、今後御検討いただく必要があるだろうと思いました。

その際に、海外とのやり取りというのも結構発生するのだろうと思いますので、国外への個人情報の提供、この辺りも今後は論点になってくるのかという印象を抱いております。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ただ今の御発言に御質問が含まれていたと思いますので、事務局からお答えをお願いできますか。

【端本信用制度参事官】

ありがとうございます。

まず、1点目の御質問ですけれども、注の30にありますとおり、基本的には、委託元の銀行が対応するということが基本かと思います。

それから、2点目の法執行については、それぞれ分かれるというのは御指摘のとおりだと思います。

いずれにしましても、その辺りにつきましては、次回に向けまして、もう少し記載をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございます。石井メンバー、よろしいでしょうか。

【石井委員】

はい。令和2年の個人情報保護法改正に基づく漏えい報告への対応は、個情法に基づいて行うということでよろしいのですね。

【端本信用制度参事官】

そういう理解でございます。

【石井委員】

分かりました。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。それでは、続きまして、末冨メンバー、お願いいたします。

【末冨委員】

ありがとうございます。

論点1につきましては、今までの議論を丁寧にまとめていただいているかと思います。それで、一部将来の議論に引き継ぐとしていただいている部分もあるかと思いますけれども、現時点でまとめ得るものを可能な限りまとめていただいていると理解をしております。

論点2の、国民への周知・広報については、難しい点があることは今御説明があったとおりかと思いますけれども、一般的に、アンチテロリストですとかマネー・ローンダリングと言うと、大々的なことを考えて、一般市民の生活とは無縁のような印象を持ちがちだとは思いますが、しかしながら、犯罪防止という大きな目的からすると、協力する我々個々人も翻ってはその被害者になり得るのだということを広報のところで周知していかれれば、みんなが同じ船に乗るために必要なのだというところが理解していただけるのではないかと思います。

例えば、飛行機に乗るときに、テロ目的がある人も、普通の人も、皆スクリーニングを受けなければ乗れないのだというのと同じように、それだけきちんとチェックをしている金融機関であれば、安心してその船に乗れますよということが広報・宣伝という形になっていけばよろしいのではないかと思いました。

ただ、その中で、先ほどダイレクトメールとか、あるいは電話での確認というお話がありましたが、昨今特に詐欺などで、電話、訪問、ダイレクトメール等で情報を取得することによる詐欺等が行われることについて、皆さんが結構心配をしていらっしゃるという事情がある中で、確認する側の金融機関がきちんと間違いない金融機関ですということの特定(アイデンティフィケーション)をどうやっていくか、ということは、課題になってくるかと思います。詐欺の加害者がそのような制度をうまく利用して個人情報を抜いていくというような手法も考えられないことはないかと思いますので、確認する側の特定化というのは難しいところかと思いました。

その点と関連して、今後、金融機関が窓口業務をだんだんと減らしていかれる中で、先ほどのFATFの報告の中でも課題としてあったというような顧客管理というのは、「Know Your Customer」という部分について、窓口業務を通して、長年の付き合いの中でよく知っているというのが基本形としてあって、直接のやりとりがだんだん薄れてきたとしても、窓口業務を基本として、電話、メール、あるいは郵便でということは考えられるところかと思うのですが、窓口業務が少なくなっている中で、顧客情報をよりきちんと管理する、あるいは、顧客をよく知っておくという点がますます難しくなってくるところかと思います。また、この点を広報しなければいけないという流れと並行して、反対にこのデジタル化が進むことによってより難しくなっているところかと思います。その解決方法としては、デジタルの技術を使うことによって、対面ではないにもかかわらずきちんとしたその確認ができる、きちんとした特定化ができるという方法を、恐らくいろいろ御検討中かと思いますけれども、解決策として考えられるところではないかと思っております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、井上メンバー、お願いいたします。

【井上委員】

ありがとうございます。先ほど御説明いただいた点について、資料1-2の論点1、2について1つずつ、繰り返しもありますけれども、簡単にコメントを差し上げたいと思います。

論点1について、共同機関に対する規制に関してですけれども、今回御整理いただいたことに賛成です。最初の一歩としては、こういう形で進めていくのがよいと思います。

ただ、前回も申し上げたのですけれども、個人情報の利用については、今回、業規制を何ら受けない人が銀行から委託を受ける場合と基本的に同じ範囲でのみ行うという整理で動き出すということだと思うのですけれども、現在考えられているように、共同機関が一定の監督を受け、規制を受けることを前提にしますと、何も規制・監督を受けていない人との比較で言えば、一歩踏み込んだ形での個人情報の利用ということが、今後の検討課題ではないかと思います。

現在は、パラメーターという形で、個人情報と紐付けない限度での利用を、A銀行から受けた情報に基づいてB銀行についても利用するということだと思います。もちろん、個人情報を外に出すことについては、極めて厳格に対処する必要がありますけれども、共同機関内で分析、利用する限度においては、A銀行から得た個人情報をB銀行からの依頼に基づく分析についても使うことは、現行の個人情報保護法そのままでは難しいと思いますけれども、一定の規制あるいは監督の下で、一定の条件を付した上で踏み出すことも今後御検討いただきたいと思います。これが1点目です。

2点目は、広報ですけれども、これも繰り返しになるかもしれませんが、先ほど全銀協から御説明くださったように、銀行側が言ってもなかなか共感が得られないということだろうと思います。辛抱強く理解を求める必要がある問題です。先ほど末冨メンバーから御指摘されたように、飛行機に乗るときのセキュリティーチェックについて、怒り出したり、不快に思ったり、自分が疑われたりというようなことはもはや感じない。安全のためにきちんとやってもらいたいという人がむしろ多いのではないかと思いますが、そこに至るまでには随分時間とエネルギーが必要だったかもしれません。AML/CFTについては、それに近づけるような方向で、特に政府からの呼びかけをやっていただければと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、後藤メンバー、お願いいたします。

【後藤委員】

御説明をどうもありがとうございました。私も論点の1と2、前半と後半でそれぞれ1点ずつコメントをさせていただきたいと思います。

まず、前半の共同機関について、お示しいただいている内容は、基本的にこれでよいのではないかと思っているのですが、この共同機関に対して委託をすることができる事業者の範囲について、お伺いしたいと思います。必ずしも文書自体からは正確に読み取れないところもあるのですが、主語が銀行等ということで、預金取扱等金融機関と資金移動業者が主に委託をすると想定されているように思います。

それはもちろん全く構わないのですけれども、その他の主体、例えば今日の後半の議題になります電子的支払手段の仲介業者についても、まさしくこのマネロンの関係が問題となっているわけですので、委託をできるようにしておいてはどうかという気がします。そういう主体は後から追加するということもあるのかもしれないのですけれども、あらかじめ幅広く委託をできるようにしておいたほうがよいのではないかと感じているところでございます。

この辺りの話は、兼業規制というところで、銀行等以外の金融機関も制裁対象者リストの情報の提供を受けることはあり得るということが書かれているのですけれども、ここであえて委託の範囲を絞る意味もあまりないような気がいたします。フィルタリングについては広く提供できる一方で、モニタリングは見るべき中身が違うのかもしれないということもあるのですが、今後のモニタリング技術の発展次第では、ほかの業種にも応用が利くようなことが生み出される可能性もあるかもしれませんので、その余地は広く取っておいたほうが、せっかくこういう組織をつくることにも資するのではないかと思います。

共同機関の財務上の健全性をここで計る必要がそこまであるのかという気もしますので、あまりここは制約的にならずに、広くできるようにしておいたほうがよいのかという気がしたというところでございます。

2点目、周知・広報のところですけれども、非常に大事なことですし、どういうことをやるにせよその国民の理解が必要になってくることは間違いないのかと思うのですが、ただ、周知・広報だけで本当にみんなが理解してくれるだろうかという気もします。ある程度物分かりのいい人は、嫌々ながらかもしれませんが、現状でもそれなりに分かっているのではないかという気がしまして、他方で、かたくなに拒む人に対して分かってほしいと言っても、それがどこまで分かってもらえるか、あまり期待できないような気もしているところでございます。

先ほどの末冨委員や井上委員からの御発言にもありました空港での飛行機に乗る際のセキュリティーチェックですが、あれをみんな受けているのは、受けないと乗れないからであって、中には納得していない人もいるかもしれないけれども、拒んだら乗せてもらえない、なので仕方なく全員が受けているわけです。

そうすると、銀行取引についても、本人確認に応じない限り使えないという機会をもう少し増やすということが、ひょっとしたら最終手段かもしれませんけれども、考えられるように思います。罰則を用意するとまでは申し上げませんけれども、例えば、窓口での取引の際とか、ATMを利用する際、またネットバンキングを利用する際に、毎回というのでは煩雑になるでしょうけれども、1年に1回の頻度なのか、ランダムなのか分かりませんが、ある程度の頻度で確認を求められて、きちんと進んでいかないとその先の取引ができないという事は考えられるかと思いました。これは恐らく苦情がたくさん来る可能性はあろうかとは思いますけれども、ダイレクトメールを送ったり、電話がどこからかかってきたのか分からないという心配もなく、銀行で聞かれていることに対して、答えなければ取引できないという形を導入することも考えていってもいいのではないかという気がいたしました。

ATMについては、これがコンビニのATMなどに入りますと、かえって特殊詐欺を疑うということもあるのかもしれませんので、どの範囲でそれをやれるかというのは分かりませんけれども、周知・広報だけに期待をするというよりは、もう少しある程度ソフトな形での強制力があることも考えていってもいいのではないかと思った次第でございます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、坂メンバー、御発言ください。

【坂委員】

ありがとうございます。各論点について少し発言させていただければと思います。

まず、論点1ですけれども、今回の提案内容は、個人情報やプライバシーを守りつつ情報の有効利用を図るという面があり、メリハリの利いた制度の具体化、運用が期待されるところと思います。

目的は、取引フィルタリングと取引モニタリングの精緻化であって、制裁対象者や疑わしい取引の検出がより洗練され、精緻になることにより、マネー・ローンダリングや特殊詐欺等の抑止、摘発や被害回復を実効的に図ること、それから、それに加えて個人情報やプライバシーがより洗練された形で保護されること、そのノウハウの蓄積等も望まれるところです。

個人情報やプライバシーとの関係では、個人情報の分別管理や、パラメーターと個人との対応関係の排斥が制度の要となると考えられます。他方で、情報の有効利用の点では、パラメーターを、その枠組みも含め、より精緻なものとして適切に情報を共有し、活用することが望まれるところです。

次に、論点2ですけれども、そういったメリハリの利いた運用による成果、検出の精緻化による特殊詐欺の抑止、摘発や被害回復の実績ですとか、あるいは、個人情報のより洗練された管理等について、これを分かりやすく目に見える形で公表していくことも必要と考えます。

取引フィルタリングや取引モニタリングは、ある意味多くの情報の中から、特異な値や異常な値を検出するという面があり、そうした検出のためには、多くの普通の情報や正常な取引に関する情報が必要になるのではないかと思います。そうした多くの協力によって検出が可能になり、被害防止等につながっていくということを分かりやすく伝えていくというのも1つの視点かと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、西川メンバー、よろしくお願いいたします。

【西川委員】

西川でございます。それでは、早速、論点1について2点、それと広報について1点、意見と質問をさせていただきます。

論点1に関して、まずこの共同化の進め方、枠組みについては、全体として整理、内容を含めて異論はありません。

共同化システムが本格稼働して、さらにその利用と適用範囲が広がるということが、今回FATFから厳しい評価を受けた本邦の金融システム全体のAML/CFT体制が段階的に高度化されていくことを意味していると思いますので、時間的に非常に厳しい制約があり、且つ難度の高い問題を含んでいる中で、まずここからやっていくのだろうと思います。

その中で、これは2ページの(2)共同化の対象のところに正確にお書きになっていますが、顧客管理と取引フィルタリング・取引モニタリングの組合せによって実効性を高めることと、各銀行等においてAML/CFTの基盤となる預金等の継続的顧客管理も適切に行うことが一体となって、犯罪対策であったり、説明力であったりを担保していくことが重要であるので、今後、金融庁の監督という観点においても、これらを一体にして金融システム全体のAML/CFT高度化を進めるというお考えなのかということについて、お考えをお示しいただきたいと思っています。

もう一つは、3ページの3の(1)の基本的な考え方に関して、金融のデジタル化の進展やマネー・ローンダリングの手口の巧妙化への対応に加えて、国際的により高い水準が求められるということもお示しいただいているのですが、これは結果として、今目指しているゴールが、現在認識している位置からムービングで動いていくことを意味しています。犯罪の巧妙化というのも進んでいくし、国際的な要求水準というのも上がっていくので、それに合わせて対応していくのが、今回の共同化の進め方、枠組みの全体を貫く考え方かと思います。

多くの委員からお話があった個人情報の取扱いについても、現時点、即時性が求められている中では、現状の枠組みに大きく手を入れない形で、銀行間で共有しないことを原則でつくるのだけれども、そこは状況の変化に合わせてリスクに応じた対応をお考えになっているということかと思っていますので、この点について御回答いただければと思っています。

それと、広報についてなのですが、これは全銀協の責任者の方に御質問なのですが、もし全銀協が共同化の広報を担う場合についてではございますけれど、過去の犯収法改正であったり、数々のAMLの体制強化を日本全体でやってきたときに、金融分野の各業態を跨いで、もしくは、業界団体の間での連携が非常に有効で、きめ細かい説明をお客様に行う際には1つのキーだったと記憶していますので、現時点でお考えになっている対応の方策があれば御説明をお願いしたいと思っています。

西川からは以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

事務局に対する御質問と全銀協に対する御質問がそれぞれ含まれていたと思います。

まず、事務局よりお答えいただけますか。

【端本信用制度参事官】

ありがとうございます。

まず、1点目、2ページの冒頭に記載してあるとおり、継続的な顧客管理とフィルタリング・モニタリングを組み合わせて実効性を高めることが重要だということは、金融庁としてそういう見解であるということでございます。

それから、2点目でございます。その求められる水準は、リスク環境に応じて変わっていくのかということでございますけれども、それにつきましても、資料1-2の8ページ、最後のところに書いてあろうかと思います。将来的な課題につきましては、マネー・ローンダリング等に関するリスク環境の変化等を踏まえ、検討すべき課題であるということで、まさにムービングで考えていく課題だという認識でございます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、全国銀行協会の伊藤企画委員長。御回答いただけますか。

【伊藤オブザーバー】

伊藤でございます。

御指摘のとおり、この共同機関のプラットフォームというのは、将来的には様々な業態も乗っかってくるというか、使ってくるということも十分考えられる想定でございますので、そういう意味では、御指摘のとおり、各業態でしっかり連携しながら、各々のノウハウを集約して、こうした広報活動ですとか周知活動の高度化、徹底を図っていくことが重要と考えております。

以上です。

【神作座長】

ありがとうございました。

西川メンバー、よろしいでしょうか。

【西川委員】

承知しました。ありがとうございます。

【神作座長】

それでは、オブザーバーの国際銀行協会の鳥海事務局次長から御発言の希望を頂いております。鳥海事務局次長、どうぞ。

【鳥海オブザーバー】

ありがとうございます。鳥海でございます。お時間が限られておりますので、絞って申し上げたいと思います。

私ども外資系の金融機関の立場から、この共同機関を利用させていただく場合を想定しまして、論点1について幾つか声が寄せられておりますので、御紹介させていただいて、今後の制度設計の参考にしていただきたく思います。それから、最後に質問を1点だけさせていただきたいと思います。

まず、共同機関の仕様・スペックについて2点。最初は、制裁対象者の範囲についてですけれども、国連の制裁対象者、それから我が国独自の制裁対象者だけでなくて、アメリカのOFACですとか、欧州のEUの制裁などを幅広く対象にしたほうが好ましいのではないかということでございます。

我が国の外為検査のガイドラインでは、制裁対象者の決議の公表から24時間以内に、まずアルファベットの名前でスクリーニングすべしとされておりますところ、外資系の金融機関が多く利用している情報ベンダーさんは、世界中の数か所の拠点で24時間体制でリストを更新しておられます。従いまして、共同機関におかれましても、かような水準で体制整備をしていただけると望ましいのではないかということでございます。

2点目が、この制裁対象者に加えて、ないものねだりかもしれませんけれども、反社会的勢力ですとか、PEPsですとか、法人顧客の実質支配者とか、それから兵器に関連するキーワードなど、こういったものもスクリーニングできるようにしていただけると、さらに有益なものとなるのではないかという声がございました。

続きまして、法律とか業法に関するイシューについて3点、3点目が質問となります。

まず、どのような業態でも、この共同機関を利用しないことをもってAML体制が脆弱であるかのような扱いとならないことをぜひ要望したいと思います。

2点目が、現状、犯収法上疑わしい取引の届出というのがございますけれども、個別の銀行が洗い出せるリスクについては、引き続き個別行から届出を出すと、これは従来どおりだと存じますけれども、今後この共同機関で比較横断的なリスクを洗い出すということになりますと、これは共同機関側でしか検知できませんし、他行における顧客情報ですとか取引情報が個別行の側に還元されるということでもないようですので、検知された場合には、共同機関から疑わしい取引の届出をしていただくということのほうが望ましいのではないかという声がございました。

最後に質問ですけれども、これは金融庁向けだと思うのですが、先日、大手銀行におけるシステム障害の際に、マネロン対策を後回しにして送金したことが法令違反になるという報道に接したところでございますけれども、共同機関においてシステム障害とか遅延が発生した場合に、スクリーニングが未了のまま送金してよいのか、それとも送金は差し止めるのか。はたまた差止めによってお客様に損害が生じた場合、これは共同機関の側が負うのか。あるいは、誤検知、スクリーニング漏れが発生していた場合には、この責任は共同機関にあるのか。この辺りをどのように考えておけばよろしいのかというのが質問となります。

以上でございます。

【神作座長】

ありがとうございます。御質問が含まれておりましたが、ご回答をお願いしてよろしいですか。

【端本信用制度参事官】

御質問の最後の点ですけれども、5ページのところに、共同機関における不適切な業務運営があった場合には、まずは、共同機関に対する監督権等の行使により対応を行うこととなる、これが基本的な考え方でございます。これに基づきまして、具体的にどう対応をするかというのは、今後検討をしていくべき話だと思います。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本IT団体連盟の木村様から御発言の希望を頂いております。どうぞ御発言ください。

【木村オブザーバー】

日本IT団体連盟の木村でございます。神作座長、御指名をありがとうございます。

論点2の、国民への周知や広報の重要性ですけれども、こちらは全銀協様の意見に賛成いたします。

銀行に限らず資金移動業者その他の特定事業者におきましては、サービス開始時に取引時確認を行うということに加えまして、今後は、継続的顧客管理を当局の指導に従いながら行っていくということになりますし、現に行っているというところだと思いますが、現実的には、ユーザーの反発がありましたり、ないしは、ユーザーが対応をしていただけない結果、サービスの利用を止めざるを得ないといったようなことも増えていくだろうと思います。最近はSNSで、金融機関から不当な取扱いを受けたという憤りをされるような投稿も多く見られるようになってきたかと感じております。

金融機関が顧客に対して行っているこうした管理、確認行為というのは、マネー・ローンダリング対策として、国際機関や日本政府の主導の下で行っているのだということ、それから、委員の先生方から御発言がございましたように、国民の協力がそもそも不可欠なのだと、そうでないと安心して金融インフラを使っていけないのだということを、政府が相応の費用を使っていただいて周知・広報をしていただくということを強く期待しております。

河野委員が御発言なさったように、マイナンバーカードを取得して、それと紐付ける形で何らかの特典を設けるとか、そういったことも十分検討に値するのではないかと考えています。

【神作座長】

どうもありがとうございました。ほかに御発言はございますか。

もし御発言がないようでしたら、前半の討議をこれで終了したいと思いますけれども、論点1につきましては、御発言いただいたメンバーの皆さんから、基本的に賛同であるという御意見を頂いたかと思います。もちろん情報の利用・活用について将来的な課題はあるということなどの御指摘をいただきましたけれども、少なくとも出発点としては、原案と申しますか、資料1-2にございます方向性で御賛同いただいたと理解いたしました。

また、論点2の広報・周知については、その重要性は皆さん御指摘されましたけれども、一体どのような方法で進めていくのかということについては、非常に様々な有益な御意見を頂きました。誠にありがとうございました。

続いて、後半のテーマに移ります。まずは、事務局より説明をお願いいたします。

【端本信用制度参事官】

それでは、資料2-1に沿って御説明をさせていただきたいと思います。

1ページおめくりいただきまして、まず目次ということですけれども、電子的支払手段に関する規律のあり方、ここでステーブルコインに対する対応等々ということでございます。それから、関連する論点といたしまして、発行者の提供する機能と金融システムへ与える影響等と、それから、AML/CFTの観点からの規律ということで、前払式支払手段について御議論いただきたいと思います。

次のページへ行っていただけますか。4ページでございます。まず、ステーブルコインは幅広いものがございますけれども、ここで御議論いただいておりますのは、ここの1デジタルマネー類似型というものについて御議論いただいているということの確認でございます。2につきましては、有価証券あるいは暗号資産として規律されるということでございます。

5ページでございます。これも現行制度の確認でございます。1のデジタルマネー類似型、これを発行する、移転する行為は為替取引に該当し得ますので、銀行業免許あるいは資金移動業登録を受けなければ行えないこととされております。

次の6ページでございます。諸外国における対応といたしまして、米国では、決済用のステーブルコインにつきまして、発行者を預金保険対象の預金取扱金融機関に限定する等の案が出ております。EUにつきましても、単一法定通貨建てのステーブルコインの発行者を信用機関あるいは電子マネー機関とする規制案を提案しているということで、現在ワーキング・グループで議論していただいている方向性と同一の方向かと存じます。

7ページは飛ばしていただきまして、発行者と仲介者との分離に伴う課題ということで、9ページでございます。議論をしていただいておりますのは、この右側にございます暗号資産をベースとして、誰かがその安定を図るということで、ステーブルコインが出てきているわけですけれども、一番右側でございます。発行・償還等を行う発行者、それから、移転・管理等々を行う仲介者、これが分かれた場合にも過不足ない規制にすべきだという観点から御議論いただいております。

続きまして、11ページ以降、発行者に関する規律ということで、これは前回も見ていただきました。現行の暗号資産取引につきましては、私法上の権利義務関係が不明確であるという指摘もございます。

こうしたこともございますので、次のページへ行っていただいて、12ページでございます。利用者の発行者に対する償還請求権が明確なものといたしまして、一番左が預金スキーム、それから、資金移動業者が発行者となる場合もあり得ます。未達債務に係るものということで真ん中に明示させていただいております。それから、信託受益権を扱ったものもあり得るということでございます。

13ページへ行っていただけますか。そうした観点からは、発行者または仲介者破綻時においても、利用者の資産が適切に保護されることが重要だということで、速やかな帳簿の連携等が必要となるということで、具体的な事務のフローを書かせていただいております。

続きまして、14ページでございます。移転した場合の第三者対抗要件についての御質問も頂きました。これは1つのスキームといいますか、実務上の仕組みとして、受益権、受益証券発行信託の仕組みを利用して、実務上、譲渡人及び譲受人が受益権を譲渡しようとする場合に、仲介者を経由して、受益権原簿の名義書換を請求するという仕組みでやっていただくことも1つ考えられるのではないかという御紹介でございます。

それから、15ページでございます。信託受益権につきましては、金融商品取引法の適用がどうなるかという論点もございます。それにつきましては、その2つ目の丸でございます。信託財産を全額円建ての要求払い預金で管理するものにつきましては、信用リスク、金利リスク・流動性リスク、為替リスクが最小化されております。金商法上の開示規制等々の適用の必要はないのではないかという形で整理させていただいております。

続きまして、仲介者に関する規制でございます。17ページでございます。

仲介者がどのような行為を行うかということで、(1)預金を用いたスキームの場合ですと、銀行を代理して預金債権の発生・消滅を行う。(2)資金移動業者を発行者とする場合は、資金移動業者を代理して未達債務に係る債権の発生・消滅を行う。それから、信託受益権を用いたスキームですと、その右側になりますけれども、信託受益権の売買・交換、あるいはそうしたものの媒介、あるいは信託受益権の管理ということで、移転する、あるいはウォレットで権利を保管する。そうした行為が考えられるということでございます。

18ページ、既存の業者と業規制との関係についても御質問を頂いております。まず、今回の仲介業と電子決済等代行業者は、銀行に対して送金指図の伝達を行うのみ、代理権はないということで、違うということでございます。それから、銀行代理業者との関係でございますけれども、銀行代理業者は、所属制の下で、預金契約の締結等に係る代理・媒介を行う点で、今回の仲介者とは違うということでございます。

それから、20ページに行っていただけますか。不正利用に関する補償についての対応が重要だという御指摘も頂きました。現行の制度、あるいは現行の運用をまとめさせていただいております。銀行預金の不正利用に対する補償につきましては、偽造・盗難カードについては法律上の措置がございます。インターネットバンキングの不正利用や盗難通帳に関するものにつきましては、監督指針や協会の申し合せによって補償等の措置が示されております。また、資金移動業者、電代業者についても、ガイドラインや業界団体において補償方針等の措置を取るよう示されております。こうした取扱いを踏まえまして、仲介者についても適切な対応をすることは重要だと考えております。

続きまして、発行者と仲介者の関係等に関する規律ということでございまして、22ページでございます。まず、AML/CFTの観点からの要請への対応ということで、現在米国で流通しておりますステーブルコイン、右側にありますとおりパーミッションレス型の分散型台帳を使っております。こうした場合につきましては、本人確認をしない者の間の取引が可能ということで、この辺りについて、システム仕様等で対応することを検討していただく必要があるのではないかと考えております。

23ページでございます。発行者と仲介者が分かれるということですと、両者の責任関係をどういう形で規律するかということについて、あらかじめ契約等で明確にしていただく必要があるのではないかという論点でございます。

続きまして、グローバル・ステーブルコインに関する規律ということで、25ページ、FSBから10の勧告が出てきております。今見ていただきましたステーブルコインに対する対応案、これを踏まえたものでございます。規模が大きくなった場合には、深度ある監督で対応するということが基本かと思います。

26ページ、次のページに行っていただきますと、この金融市場に対する影響等につきましても国際的に議論があるわけですけれども、現行法のデジタルマネーの発行者に対する規制モデル、銀行モデルでございますと、銀行監督で対応する。資金移動業者については、供託等々で対応するということとなっております。

続きまして、27ページ以降、関連する論点を御紹介させていただきます。CBDCに関する資料があるわけですけれども、1点、ステーブルコインへの対応を議論していただく上では、30ページでございます。G7でリテール型のCBDCに関する公共政策上の原則というのが出ているわけですけれども、原則5のところにありますとおり、CBDCは既存の民間の決済手段と共存すべきであるという前提で議論をされているということを御紹介させていただきたいと思います。

続きまして、前回、預金保険の取扱いとの関係の議論もございました。32ページでございます。現行の取扱いは、利用者等から受け入れた、あるいはチャージされた資金を預金といたしまして、その性格に応じまして、決済用預金または一般預金として、預金保険の保護対象としております。

33ページを見ていただきますと、今の銀行等が提供をしておりますデジタルマネーサービス、一番右側の銀行間送金と比べますと、QRコード決済ということで、チャージ不要型のサービス、あるいは、コインということでチャージした上でという形でサービス提供されておりますけれども、銀行の口座間、AからBに移るという面では、既存の銀行送金の仕組みと類似しています。こうした中で、機能上これらを分けて議論することが可能かどうかというのも1つ論点になろうかと思います。

続きまして、関連する論点ということで、もう一つのAML/CFTの観点から規律を申し上げたいと思います。

FATFへの対応ということで、銀行・資金移動業者の送金、あるいは、暗号資産の中でもステーブルコインについての対応ということで議論をしていただいております。前払式支払手段、こうした中でどう考えるかということでございますけれども、35ページでございます。前払式支払手段、価値の移転等が可能なものと、そうでないものがあるということでございます。その右側、価値の移転が可能なもの、番号通知型、残高譲渡型とあります。こうしたもので、高額のチャージ、あるいは高額の価値移転等が可能なものについてどう考えるかということでございます。

36ページでございます。まず1つの提案といたしまして、番号通知型の前払式支払手段の不正利用防止策ということで、残高譲渡型につきましては、この5月からその体制整備義務が施行されて適切な対応を取っていただいていると思います。番号通知型につきましても、こうした残高譲渡型と同様に価値移転に焦点を当てた体制整備を求めることが考えられるのではないかということでございます。

これに関連いたしまして、転売サイトの利用等々の問題も指摘されております。対応のイのところにございますとおり、当局としても、転売サイトの利用等を控えるよう周知徹底を図っていくことが重要だと考えております。

それから、37ページでございます。高額電子移転可能型前払式支払手段への対応案ということで、前払式支払手段の中でもマネロン上のリスクが特に高いと考えられるものにつきましては、資金決済法において業務実施計画の届出を求め、当局によるモニタリングを強化する。それを前提に、犯収法に基づく本人確認等の規律の適用関係を検討してはどうかということで、高額電子移転可能型前払式支払手段、ここにありますとおり、アからオまでということで案を示させていただいております。

第三者型前払式支払手段である。電子情報処理組織を用いて移転できる。アカウントにおいて管理。リチャージできるアカウントで管理されている。それから、アカウントに係る未使用残高の上限額が高額になる。残高譲渡型の場合につきましては、他のアカウントに移転できる額が一定の範囲内のものを除くということですので、これを超えるものを対象としてはどうかということでございます。それに基づきます犯収法上等の対応につきましては、注の4で具体的に記載させていただいております。

最後に、少し飛んでいただきますけれども、44ページでございます。オンラインで本人確認できるのかということでございます。これにつきましては、本人確認書類を用いた方法もございますし、現在マイナンバーカードの普及が進んでおります。そうしたものを用いた電子証明書を用いた方法も可能になっているということでございます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本資金決済業協会の長楽専務理事より御説明をお願いいたします。

【長楽オブザーバー】

日本資金決済業協会の長楽でございます。本日は、発言の機会を頂き、誠にありがとうございます。

提示されました高額電子移転可能型の前払式支払手段への犯収法の本人確認等の規律の適用関係について、協会事務局としての意見を申し上げます。

11月11日に開催されました第2回ワーキングにおきまして、協会からサーバ型等の第三者型前払式支払手段発行者である会員に対しまして、電子的な方法で移転・譲渡ができる前払式支払手段の発行の有無とか、利用実態、規制が導入された場合のサービスや利用者への影響等について、アンケートを行うことについて発言をさせていただきました。

ただ、資金決済ワーキング・グループにおいて、犯収法の規律の適用の検討が提示されたのが11月11日であり、協会でアンケート様式を定めて調査を開始したのが11月16日、検討までの時間がないことから回答期限を11月19日と、4日間という極めて短期間で設定させていただきました。

138社にアンケートを発出しましたが、そのうち68社からアンケート結果の提出があり、提出状況は5割に満たない状況でございます。会員から極めて性急な対応との意見が多く、十分な対応ができないとの声が多数あり、電子的に移転・譲渡できる前払式支払手段の発行状況、利用実態、犯収法が適用された場合の影響等について、協会事務局として現時点でその実態を正確かつ十分に把握できていない状況にあるのではないかと考えております。

本日、事務局資料として、高額電子移転可能型前払式支払手段の定義とか、規制のあり方、特定事業者・特定取引等の考え方及び不正利用防止策等の対応案が示されましたので、改めてアンケートを実施し、十分な時間をかけて、会員と意見交換の上、アンケート結果と協会事務局の意見を申し上げる機会を頂きたいと思います

あまりにも急な対応であり、事業者から影響が見えないとの不安の声が寄せられております。そういう状況の中の限られた情報であることを前提に、移転・譲渡できる前払式支払手段の発行状況、前払いサービスの継続や経営に与える影響等の意見について、御報告をさせていただきます。

報告のあった68社中、譲渡できる前払式支払手段を発行している会員は14社、譲渡できる前払式支払手段の種類は33種類、うち番号通知型は14種類、残高譲渡型は19種類となっております。

アンケートでは、犯収法が適用された場合の前払いサービスや経営に与える影響が大きいとの回答が多く寄せられました。実際の意見をご紹介します。電子的に譲渡できる前払式支払手段のうち、高額なものに限定して犯収法の本人確認等の規律が適用されることとなったとしても、チャージ上限額によってシステム上区別していないため、現在発行する前払式支払手段をチャージ上限額によって区別する場合、新たな種類の前払式支払手段を発行するのと同様に、システム改修に時間を要し、相応の投資負担を要するという意見が寄せられております。

また、犯収法の規制の内容にもよると思いますが、会員からは、サービスの継続が不可能といった意見もありました。具体的には、利用者への本人確認手続の理解を得る必要があるところ、前払式支払手段の利用者は簡単な手続で利用できる点を重視するため、本人確認手続を進める中で、その利用を諦める例が多く発生するおそれがあり、事業に大きな影響があるといった意見、本人確認手続を導入すると、サービスの継続自体に影響があるといった意見が寄せられております。

さらに、既存のアカウントにも犯収法の規制が及ぶ場合、高額の移転・譲渡を利用する顧客はごく少数であっても、システム上の区別が困難である場合もあり、顧客への影響は甚大といった意見が寄せられております。

また、別の観点では、架空請求等詐欺被害への対応は、詐欺被害の温床となっている転売サイトへの規制、アカウント転売の規制など、詐欺被害の全体像からの評価による規制でないと、詐欺被害防止に対する効果は極めて限定的となってしまうとの意見が寄せられております。

こうしたアンケート結果の背景には、会員である前払式支払手段発行者による不正利用防止の積極的な取組みがあると考えております。前払式支払手段発行者は、架空請求等詐欺被害への対応に関する事務ガイドライン等を踏まえ、詐欺被害を速やかに受け付ける態勢の整備や詐取等をされた前払式支払手段を特定し、当該前払式支払手段の利用停止の措置を講じることや、不正が判明した場合の番号の無効化、発行者のウェブサイトにおいて転売サイトでの購入禁止の周知など不正防止のための様々な取組みを行っております。実際、今回報告があった番号通知型の前払式支払手段の利用規約には全て転売禁止が明記されています。

また、今年5月に施行された改正資金決済法や事務ガイドラインにおいて、残高譲渡型の前払式支払手段については、不適切利用防止措置を講じることや、口座連携サービス等においてセキュリティの確保や不正利用防止策の態勢整備が求められています。これを受けて、発行者においては、セキュリティの高度化を図るとともに、一定の敷居値やシナリオを設けて、不正利用の防止をするために常時モニタリングを行っており、不正利用の疑いがある場合には、アカウントを凍結すること等により、不正利用の防止に努めております。このように発行者においては、大部分の健全な利用者の利便性を損なうことなくサービスの信頼性を高めるために、様々な工夫をし、不断の取組みを継続しているところであります。

また、前払式支払手段は、発行者や加盟店が提供する物品の購入やサービスの範囲内でその支払を行うための決済手段として制度化され、利用者のニーズを踏まえた発行者による様々な創意工夫等により、いろいろな媒体による利便性の高い決済サービスを開発し提供してきており、現在、前払式支払手段は、便利でかつ身近な小口決済手段として国民生活に広く浸透しており、キャッシュレス化の進展にも寄与しているのではないかと考えております。

当協会及び会員である発行者としても、前払式支払手段の不正利用、マネー・ローンダリングへの悪用を防ぎ、健全な決済手段として信頼を確保し、より一層社会に定着することを目指しております。そのためには、現状の不正利用防止策で対応でき得ていない事例を踏まえ、実効性のある対策をすることが肝要と考えております。

この点、令和2年11月に公表されました警察庁の犯罪収益移転危険度調査書によりますと、電子マネーを買取業者やインターネット仲介業者へ転売し現金化した事例や買取業者が介在した事例が挙げられております。事務局資料によりますと、当局において転売サイトの利用等を控えるよう周知徹底を図るとされておりますが、前払式支払手段がマネー・ローンダリングに悪用されることを防止するためには、入口だけではなく、出口である買取業者等に対しても法規制が行われることがその実効性を高めることになるのではないかと考えます。

最後に、電子的に移転・譲渡できる高額な前払式支払手段に対する犯収法の本人確認等の規律の適用の検討に当たりましては、前払式支払手段発行事業の実態、規制が適用された場合のサービスに与える影響、新規の利用者及び既存の利用者に与える影響等を網羅的に把握・分析し、例えば、高額の例示として示された各アカウントの未使用残高の上限額等についても、キャッシュレス化の中で利用者に普及しているサービスの継続や、さらなるキャッシュレス推進に向けた新たなサービス展開への影響などについて、改めて十分にご検討いただきたいと考えております。

前払式支払手段に係る不正利用、マネー・ローンダリングのリスクについて、その原因や問題の所在がどこにあり、今回提示された規制がマネー・ローンダリングの防止や、その捕捉のための手段・方法等として実効性があるのか、規制の目的や手段、範囲につきましては、サービス継続に支障が生じたり、大部分を占める健全な利用者の利便性を損なうこととならないように、また、発行者の健全なビジネスに影響を与えないように、さらにキャッシュレス化の健全な発展を阻害しないように、くれぐれも慎重かつ十分な検討・配慮をお願いいたします。

当協会も、実態把握のための情報提供に積極的にご協力する所存でございます。引き続き会員や協会との意見交換を行う機会を十分に設けていただくようお願いいたします。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、新経済連盟の片岡様より御説明をお願いいたします。

【片岡オブザーバー】

新経済連盟の片岡です。本日は、発表の機会を頂き、誠にありがとうございます。

では、1枚めくっていただきまして、一番最初に意見をまとめておりまして、その後に具体的な事例などを踏まえながら御説明をしたいと思います。

まず、今回、事務局資料で提案されている対応策についてです。いろいろありますけれども、特に懸念を抱いておりますのが、犯収法による規制の必要性、あるいはその内容といったところでございます。

まず、前提として、確かにキャッシュレスは大分普及してきまして、電子マネーを使う方が増えたりはしておりますが、前払式支払手段というのは、強制通用力があるわけではなくて、使えるところが、発行業者と契約関係にある加盟店であるという点、それから払戻しができないという点、そこが現金とは根本的に異なるものだと思っております。

それから、番号譲渡や残高譲渡型といったものが最近出てきたという話を聞くことがありますが、実は、その前払式支払手段というものに着目すると、皆さんも御記憶かと思いますけれども、以前から贈答用の商品券があったわけでして、電子マネーの普及と同時に、この贈答用の商品券というような考え方が電子マネーにも入ってきたという側面もございます。

それから、電子マネーは利便性が高いというところもありまして、日本独自の発展を遂げて、キャッシュレスの推進に寄与しているというところがございます。ですので、お店で使える決済手段として、あまり強い制限をかけてしまうとキャッシュレス推進にブレーキがかかってしまうと思っております。

それから、今回提示いただいた資料などや過去の経緯などを見ても、電子マネーサービスの件で2019年に金融制度スタディ・グループでも少し議論がなされたわけなのですが、その頃から少なくともこの加盟店での決済に使われる電子マネーサービスにおいて、マネロンリスクに大きな変化は生じていないと認識しております。

既存のサービスに大きな影響を及ぼし得るにもかかわらず、我々としてもこういった規制の話が出ていると知ってからまだ1か月ぐらいですけれども、極めて短い時間で、十分な議論がされているとは考えておりません。ですので、結論を急いでしまってはいけないと思っています。

後ほど説明しますけれども、既存の電子マネーサービスについては、犯罪に利用されないように、それぞれのサービスの態様に応じて、様々なタイミングで、様々な切り口からモニタリング等が行われております。本当にいろいろな事業者さんが、いろいろなタイミングで工夫されているということです。

このモニタリングを強化しましょうということについては理解ができるのですけれども、犯収法の対象として取引時確認をするということになると少し異なるかと思っています。資料の中でもありますとおり、具体的事例としてあげられている事案は、買取業者や転売業者が絡んでいる事案、あるいは、正規のアカウントに不正ログインをされてしまう事案ですので、アカウントの本人確認によっては、この問題は解決しません。もしそういった問題に対しての対処として今回の取引時確認という話をしようとしているのであれば、それは目的と手段とが合致していないのではないかと思っています。

現在起こっている具体的事例ではなく、周囲のマネロン対策を強化することによる、前払式支払手段の将来的なマネロンリスクへの対応なのだということであれば、具体的にどういうリスクが想定されて対応する必要があるのかということをしっかりと考えて、それに対応できるようなところを捉えていかなければいけないと思っています。そうでないと、何となくリスクがありそうだからこうしましょうと言われてしまうと、そういった曖昧な理由で次々と規制がつくられてしまうことになり、事業者としても困ってしまいますので、しっかり分析をしていただきたいと思っています。

もし仮に、2019年当時にまとめられた結論から、またさらに発展して、当時には存在していなかった新たなサービス形態が、お店で物やサービスの決済に使えるサービスとは違うサービスが出現してきているのであれば、そこに着目して、これまでのサービスとは区別して対処方法を考えるべきだと思っております。

次のページです。番号通知型、それから残高譲渡型と言葉がいろいろ出てきますけれども、具体的なイメージを持っていただくために、事業者がやっているサービスとしてどんなものがあり得るのかというのを、簡単に図にまとめました。いろいろな事業者がやっているサービスを1枚ずつにまとめていますので、サービスによって、事業者によってここの組合せが異なってきます。

まず、番号通知型ですが、購入から利用までどういうステップがあるかというと、ステップ①としてギフトコードの購入があります。この時点では、購入したバリューのアカウントへの紐付けはないという状態です。ただ、このバリューをウェブサイトなどで買うときは、そのウェブサイトの会員登録が必要で、バリューが直接アカウントに紐付いたウォレットに入っているわけではないけれども、登録したアカウントを用いて買われているということもあります。

あとは、この選択肢で書いてありますけれども、コンビニなどの実店舗で購入する場合もあります。実際は、コンビニで買えるようなものは、1つのPINコード当たり5万円以下のものが多いという印象を受けております。あとは、発行業者や発行会社と契約した企業のサイトで購入、これはウェブサイトで購入するようなものです。

それから、これが意外と多くありそうな感じがしておりまして、企業が販促用に発行会社からギフトコードを買って、それを顧客に配布して、顧客が番号を使ってチャージするというようなやり方があります。

また、このギフトコードについて、今現在、前払式支払手段として発行されているものもあれば、使用有効期限が6か月以内のものとして発行されている、資金決済法の適用外のものもあります。また、現在、法の適用対象外であるものを、今後適用対象の電子マネーに切り替えるというようなことを検討する事業者もいると認識しております。

その次のステップです。もちろん自分でギフトコードを買って自分で使うという場合もありますけれども、そうではない場合は、他人に番号を送付するというプロセスになりますが、この段階でもバリュー自体のアカウントへの紐付けはないということになっています。先ほど申し上げたとおり、他人に贈るだけではなく、企業から個人に配布されるものがあったりもするということになっています。

ここで、このステップ間に入ってくる買取業者や転売サイトというのが具体的事案として出てきている問題に大きく関わっていっているということになります。

ステップ③のところなのですが、利用をするに当たって、このギフトコードをどうするかというと、まず1つあるのが、アカウントへの紐付けです。ここでもらったコードをアカウントに紐付けます。大体は、1度紐付けると紐付けの解除はできません。1番号ずつ紐付けていくということになっています。もう一つが、アカウントに紐付けずにPINコードのまま使うというようなものもございます。

最後のステップが利用というところで、アカウントに紐付けたものを、そのアカウントを利用して決済に使用するということです。ここは結構いろいろ皆さんが工夫しているところがあります。どこで何の支払いに使えるかというのはサービスによりますし、使える場所は発行会社と契約関係にある加盟店のみになっておりますが、アカウントと紐付けられていますので、どのアカウントがどの加盟店で幾ら使ったかというようなことのトレースが可能になっていたり、通信販売ですと商品が送られるということもありますので、配送先情報もあるということです。

それから、ここも各社が工夫しているところで、1度に使える金額の上限を設定している場合があります。それも一律ではなく、こういうところで使う場合には幾らまで、こういうところで使う場合には幾らまでといったようなグラデーションをつけて上限を設けている場合があります。上限の設定の仕方も、ギフトコードを紐付ける際に上限を設けているところと、ギフトコードを紐付けることはできるのだけれども、それを実際使おうとするときに制限を設けているところと、いろいろなタイプがあります。

1つ課題になってくるのが、ギフトコードでチャージするというタイプはいろいろあるのですけれども、例えば自分のクレジットカードで最初からアカウントに紐付けてチャージしたバリューと、ギフトコード経由でチャージしたバリューが、1つの前払式支払手段のお財布に入っている場合がありますので、そうした場合、今回提案されているような「残高」で考えてしまうと、混ざった状態で残高を考えなければいけなくなってしまうというのが課題だと思っています。このタイプの場合も、このステップ②のところ以外については、左側はアカウントを用いて買われた場合ですけれども、モニタリングがされているということになります。

次のページです。今問題になっているのが、その間に入り込む事業者ということで、前回の事務局資料に出されていた画像を一部持ってきました。実は、その右側が重要ということで出してきたのですけれども、例えば前払式支払手段を、コンビニなどの店頭で買ってこいと言われて買ってしまいますと、架空請求などにより、その番号が犯人に移転されます。この犯人がそのままその番号をアカウントにチャージしてサイト等で使うわけではなくて、買取業者に買い取らせたり、転売サイトで売ったりします。転売サイトで売る場合も恐らく買取業者が1度間に入るということが多いのではないかと思うのですけれども、こういった買取業者から、転売サイトに移って、その転売サイトで一般の消費者の方がこれを少し安く買うという流れです。一般消費者がそれを買って、アカウントにチャージして利用しようとすると、被害者から申告を受けた発行業者がその番号を無効にしていたり、あるいは既にアカウントに紐付けられていれば、アカウントを停止したりというようなことがあるので、この買ってしまった一般の諸費者が被害を受けるということになっています。

こういった事案は、発行業者としても頭を悩ませているものでして、何とかしたいと思っています。もちろん注意喚起というのは重要なのですけれども、果たしてこのような買取事業者や転売サイトが、このまま堂々とこういった商売を続けていていいのかというところは疑問に思うところもありまして、何かしら法的対応ができないのかというのは、ぜひ御検討いただきたいと思っています。

あとは、転売サイトにおいて表示されている出品者の情報などを見ていますと、数十万件の販売実績があるようなことを謳っているような出品者もいますので、いろいろな法律の適用も考えられるのではないかと思っています。

次のページです。次に、残高譲渡型ですけれども、先ほどと違うところは、買う段階でアカウントに紐付いているというところです。ただ、そのチャージをする際の支払方法は、店頭でできたり、ウェブサイトでできたりというようなことがあります。

ステップ②として残高の送付をするわけですが、これの特徴としては、この段階では、送る側の人のアカウントに紐付いているのですが、実際は、送るに当たって送付用のURLを発行して、それをメールやSNSで送付するといったようなやり方もあるのが実態です。

残高の受取りについては、受取人が自分のアカウントに紐付けます。このアカウント間譲渡の場合は、比較的短い期間だと認識していますけれども、一定期間内に受取作業をしない場合は、送付がキャンセルされて元のアカウントに戻るというような仕様が多いと思っております。

あとは、対象サービスのアカウントをこのときに持っていなくても、受取可能期間に新規でアカウントを作成すれば受取可能といったサービスもあると認識しています。

次に、利用タイミングですが、これももちろんアカウントへの紐付けは引き続き受取人のアカウントにあるということで、ここにおけるモニタリングは、先ほどの番号譲渡型と同じで、それぞれの事業者が工夫をしながらモニタリングをしています。

残高譲渡型については、番号通知型のような買取業者や転売業者の問題は発生していないと考えておりまして、ここ数年、比較的最近始まったサービスでもありますので、うまくモニタリングなども働いているのではないかと思っております。

次のページです。参考としまして、前回のスタディ・グループから現在までの状況を並べたのですけれども、事業者としては、一体何があったのだろうと驚いています。この間に大きく事情が変わっているわけではありません。実は、転売サイトに係る被害報告なども、事業者側からすると、2017年ぐらいをピークに減ってきているという印象はありまして、まだまだ頑張らなければいけないところはあるのですけれども、大きく状況は変化していないと思っております。ですので、どういうリスクに対応するために、どういうことをするのかというのを明確にする必要があると思っております。

例えば、今、事務局から提案されています高額電子移転可能型前払式支払手段は、その定義として、各アカウントに係る未使用残高というところに着目されていますが、番号通知型と残高譲渡型で条件を分けていると理解しています。残高譲渡型の場合は、1回当たりとか1か月当たり、金額であるとか、あるいは期間というのを考慮しているのですが、一方で番号通知型の場合は、それが考慮されてなくて残高のみになっています。そうすると、一時的な総残高に着目されているのか、あるいは、一定期間における繰り返しだとか、頻度のところに着目をしているのか、ブレがあるようにも感じますし、どういったリスクに対してどういった行動を制御するために何が必要なのかというのを改めて考える必要があります。また、それが果たして本人確認で解決できるのか、あるいは利用段階のモニタリングでいろいろ防ぐことができるのか。モニタリングで解決できるのであればそれでいいと思いますので、そういったところをしっかり考えていただきたいと思っております。

いずれにしても、かなり急に出てきた話という認識がございますので、しっかり時間をかけて、既存のサービスへの影響や、あるいは、もし本当に最近出てきた具体的な問題があるのであれば、そういったものとの切り分けなどを考えながら、しっかり慎重に議論をしていきたいと思っております。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、アマゾンジャパン合同会社の竹廣様より御説明をお願いいたします。

【竹廣オブザーバー】

御紹介をありがとうございます。アマゾンジャパンでございます。時間が限られていますので、少し早口になってしまいますけれども、御容赦ください。

本日は、弊社のギフト券について御紹介をさせていただく機会を頂きまして、感謝申し上げます。

弊社としましてもAML/CFT対策、または詐欺などの犯罪に対し対策を取っていくことは、極めて重要であると考えており、弊社のギフト券がそうした犯罪に使用されることのないよう様々な取組みを行ってまいりました。この点について御紹介させていただきます。

まず、Amazonギフト券の概要でございます。Amazon Gift Cards Japan株式会社が発行しておりますけれども、アマゾンサイト及び一部のAmazon Payの加盟店で利用できる電子マネーであります。資金決済法上は、第三者型前払式支払手段に当たるものになります。

様々なニーズに対して御利用いただいておりますが、例えばクレジットカードを使いたくない方、また保有してない方がアマゾンで買物をする場合に御購入いただくとか、また、お祝いや御礼の品として、昔の図書券、商品券のような形と同様に贈答用にも御購入いただいています。また、先ほどお話がありましたけれども、企業の方々の販促用として御利用いただく事例もございます。

次に、購入方法になりますけれども、大きく分けて5つございます。

1つ目は、チャージタイプです。自らのアカウントに自らチャージを行うタイプになります。これは、アマゾン自身が番号をお客様のアカウントに自動で登録する形になりますので、番号はお客様に対しては発行されません。ですので、移転譲渡は不可能なタイプになります。

2つ目から5つ目に関しては、媒体は様々でございますけれども、金融庁様の分類によれば番号通知型に当たるものと考えています。これらについては、番号がアカウントに登録、チャージされるまでは無償での譲渡が可能になります。ただし、弊社の細則において有償での販売は禁止しております。1回当たりの購入の上限額については、一番左のチャージタイプに関しては50万円ですが、印刷、Eメールタイプに関しては20万円、配送、カードタイプに関しては1枚当たり5万円という設定をしております。

なお、残高譲渡型とは異なり、アカウントにチャージ後は、アカウント間での譲渡は行えず、アマゾンでのお買物のみに使用できる仕組みになっております。

次に、不正利用の事前防止に向けた弊社の対応について御説明差し上げます。詐欺の被害に遭われそうになっているお客様に、冷静に判断していただくきっかけを提供するという観点から、コンビニにおけるKIOSK端末やレジ横端末における注意画面の表示や、より目立つようなポップの設置も行っております。また、カード裏面にも黄色と赤で目立つ色で注意書きも入れております。また、コンビニ各社にも御協力いただき、不自然な購入が見られた場合には、店員の方から一言お声がけいただくような御協力も頂いております。また、弊社のヘルプページにも情報提供を充実させ、最新の詐欺手口などの共有も行っております。また、弊社内にも専門チームを設置し、不自然な取引のモニタリング検知を行い、必要に応じてギフト券の凍結、またはアカウントの閉鎖といった厳格な手段も取らせていただいております。

次に、転売サイトに関する注意喚起になります。先ほど申し上げたとおり、弊社のギフト券は転売を禁止しております。しかし、残念ながら、アマゾンが承認していない購入サイト、転売サイト、買取サイトにおきまして、詐欺などの不正取得の可能性のあるアマゾンギフト券が販売されている事例が報告されており、弊社としても大変頭を悩ませております。

弊社としましては、こうしたサイトの具体名を弊社サイト内で明示しつつ、御購入をお控えいただくよう注意喚起を実施しております。また、弊社から当該サイトを運営する事業者に対しまして、かかるあっせん事業を中止するよう文書でも要請を行っております。しかしながら、いまだにサイトで販売されているという実態がございます。行政による注意喚起を強化していただくことも大変ありがたいと考えております。一方で、現状でもそうした行為がなくならないことに鑑みれば、転売が禁止されているギフト券であることを承知の上で、こういった換金、転売を行うような行為に対して、新たな法的規律というのをぜひ御検討いただきたいと考えてございます。

こうした本来換金できないはずのギフト券を換金する仕組みがあることで詐欺等を行う者は、アマゾンでアカウントを作ることなく現金化できてしまうということになります。従いまして、アカウント上で厳しい本人確認を導入したとしても、犯罪の抑止効果を得ることは非常に難しいのではないかと考えております。利用者の方々に多大な御不便を強いてしまうことになる本人確認というものを導入する前に、買取りサイト、転売サイトに対する対策を強化いただき、その効果をきちんと分析をすることが重要ではないかと考えてございます。

最後に、架空請求等の詐欺に遭われてしまった方、被害者の方々への対応になります。お客様から弊社に詐欺被害の申告が行われた場合には、弊社としては、直ちにそのギフト券の凍結を行います。その後、社内規定に基づきまして、被害届等を確認させていただき、迅速な返金処理を実施しております。こうしたプロセスが迅速かつ的確に行われるように、カスタマーサービスにおいて特別なトレーニングを受けた専任チームによる対策も行っています。また、そうした事案を不正調査部門で集約して分析し、その結果を次の不正対策の検討強化に活用しております。

また、数年にわたり毎月金融庁様に架空請求被害等の発生状況を報告させていただいておりますけれども、我々も、行政における様々な取組み、また弊社の取組みによって、利用者の方々から御申告いただく架空請求の金額は、過去のピーク時に比べて大幅に減少していると認識しております。従いまして、弊社としても、こういった組織犯罪防止に向けた対策を強化するという趣旨には賛同しておりますけれども、拙速に結論を出すのではなく、どのような具体的事例に対する対策として今回の提案がなされているのかということ、その対策の費用対効果はどうなのかということを慎重に検討いただく必要があるかと考えてございます。

以上でございます。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御説明を踏まえて御討議いただきたいと存じますけれども、後藤メンバーから討議に入る前に発言の御希望があります。後藤メンバー、お願いいたします。

【後藤委員】

後藤です。いろいろと御説明を頂きまして、どうもありがとうございました。ステーブルコインと、今の前払式支払手段について、1点ずつ質問というか、コメントをさせていただきたいと思います。

【神作座長】

メンバーの方々からまず御質問、御意見が終わった後、オブザーバーの方々にも御発言の機会を提供させていただきますが、お時間の関係がございますので、大変恐縮ですけれども、お一人当たり2、3分で御発言をお願いしたいと存じます。
 それでは、後藤メンバー。どうぞ御発言ください。

【後藤委員】

ありがとうございます。失礼いたしました。できるだけ簡潔に。

まず、ステーブルコインですけれども、銀行が発行する場合には預金保険の対象とするかどうかというお話がございました。これについて、欧米の扱いがどうなっているのかということですが、翁委員からの意見書にもございましたけれども、資料の記載では、預金取扱金融機関だけということになっていますけれども、預金保険が適用されるのかどうかというところが少しよく分からないように思えましたので、欧米の扱いはどうなっているのか、もう少し情報を頂ければと思いました。そちらが質問というか要望でございます。

次に、前払式支払手段ですけれども、前回の会合で、本人確認を入れるのがよいのではないかということを申し上げたのですが、今いろいろと御説明を伺いまして、少し誤解をしていたということに気がついた次第です。

新経連様の資料の3ページの絵のところで、転売サイトでギフトコードを買ってしまった一般消費者の本人確認を取っても意味がないだろうと指摘されているのは、確かにおっしゃるとおりかと思いました。私が前回イメージをしておりましたのは、この転売サイトで売っている転売業者などにも本人確認が要求されれば、そこへの抑止力が働くだろうということだったのですけれども、転売サイトが電子マネーの運営主体とは別の主体であり、運営主体は転売者に本人確認をしようがないのだとすると、確かにこの歯止めにはならないのかということで認識を新たにした次第です。

ただ、転売を禁止するだけでうまくいくのだろうかというところは、少し問題意識を持っております。転売を禁止して、事後的に無効にするという処置では、結局買ってしまった一般消費者が一番割を食うことになってしまう。それは、幾ら転売しては駄目ですよ、買っては駄目ですよと言っても、そういう人が一定数出てきてしまうのはやむを得ないのかと思っております。

転売行為の禁止ということから考えますと、似たような話が、例えばこの前のオリンピックのチケットとかでも、結局観戦はできなかったわけですけれども、ございました。その際には、闇サイトで転売してはいけませんということとともに、どうしても行けなくなってしまった人には、チケットの転売サイトをオリンピック委員会が用意するので、そこでやってくださいという仕組みがつくられていたわけです。そうすると、その中で転売されている限りは、価格をコントロールするという目的もあったのでしょうけれども、誰が出品して誰が買っているのかということを把握できるシステムがつくられていたわけです。これと同様のことができないのだろうかというのが、この前私が持っていたイメージに近いところでして、アマゾン様を例にとって言うと、もう使う見込みがなくなったので割安でもいいからアマゾンギフトカードを売りたいという人がいたら、それを出品できる仕組みというのがアマゾンの中に存在していれば、真っ当なものはそこに流れることができて、そこであれば安心して買えるということになると思います。逆にいうと、転売を禁止しているのに闇サイトでの取引が行われてしまうのは、正規の取引ができないからではないかということです。その上で、アマゾンの範囲内で転売が行われているのであれば、誰が売って誰が買っているかということは、本人確認はできるはずだろうと、そういうイメージでいたというところでございます。

そういうものが可能かどうかというのは、また事業者さんに御検討いただければと思います。以上が番号通知型の場合です。

他方で、残高譲渡型の場合には、アカウントは全部把握されているのだと思うのですけれども、このアカウントについての本人確認は、今現在は行われていないということなのかと理解したのですが、ここで本人確認をすることがどれだけの制約になってくるのでしょうか。もう既にアカウントがきちんと全部作ってあるのであれば、そこの確認を求めてもよいのではないかと思ったところです。

こちらでは、問題は起きにくいのかもしれないのですけれども、どうなのかというところを改めてお伺いしたいと思いました。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

急いでまとめていただいてありがとうございます。御質問がございました。預金保険法が諸外国においてステーブルコインに対して適用可能であるのか、実際に適用されているのかという御質問がございました。この点については既に調査等をされておられますか。

【端本信用制度参事官】

簡潔にお答えします。アメリカについては、規制案の考え方が出ている段階ですので、預金保険を適用するかどうかという点までは具体的に明示されておりません。

【神作座長】

残高譲渡型についての御質問は、これはどなたにお答えいただけますでしょうか。

【片岡オブザーバー】

新経済連盟からお答えいたします。

【神作座長】

よろしくお願いいたします。

【片岡オブザーバー】

皆さんが何も気にせずに本人確認をしていただけるようなことであれば、こういった意見を言うことにはなっていないと思っていまして、本当に皆さん、面倒だと思ってしまわれます。ですので、利便性という観点からすると、本人確認をすればいいじゃないということは簡単に言えない事情がございまして、アカウントで犯収法に基づく本人確認はなかなか難しいというのが正直なところです。

【神作座長】

後藤メンバー、いかがでしょうか。

【後藤委員】

どうもありがとうございました。恐らく私が残高譲渡型のイメージをきちんと持つことができていないということなのかと思うのですけれども、そうすると、これは本人確認をしないで、例えば偽名でアカウントをつくれてしまうというようなことになっているのでしょうか。あとは、例えばフリーメールのメールアドレスだけでも良いとか、そういう状態ということでしょうか。

【片岡オブザーバー】

実際は、チャージをするのにクレジットカードを使ったりとか、銀行口座を使ったりとか、あるいはいろいろなサービスを使うに当たって、お店に行って買ったことが分かったりとか、あるいは、通販を使えば物を送ったりとかという、いろいろな情報が紐付いてくるところがありますので、モニタリングをする側も、例えば、新しく作られたばかりのアカウントというと、少し注意をしてモニタリング等を行っておりますので、本人確認がない部分をカバーするためにモニタリングなどをして、今のところさほど問題が起きてないというのが実情というところです。

【後藤委員】

どうもありがとうございました。犯収法のフォーマットにこだわらなければ、それなりの情報は取れるということと理解をさせていただきましたが、またいろいろと考えさせていただければと思います。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、河野メンバー、お願いいたします。

【河野委員】

ありがとうございます。簡潔に申し上げます。

事務局からお示しいただきました検討試案に関しまして、日経新聞には約70社が参加する企業連合が、早ければ2022年後半の実用化も視野に入れて、デジタル通貨の試験発行を始めると報じられていることなどを考えますと、今、電子的決済手段のマネロン対策を明確にすることの意義は、非常に大きいと思っています。

本日も多くの御意見がございましたように、金融ビジネスの自由な発展や、利用者の利便性向上など、その過度の規制への配慮というのは、当然必要だと思います。他方、これまでもどこか1か所の規制強化を行うと、規制の緩いほかの方法へ流れていくことを危惧する御意見もございました。そもそも悪意ある人間が意図的に利用することを防ぐということが求められていることを考えますと、多様な手段が次々と出現している電子的支払手段について、社会全体への警告を発し、抑止力としての効果を期待するという意味も重ね合わせて、規模の大小を問わず、現在使われているデジタル金融のあらゆる手段に対して、漏れのない検討を進めることで、事業者の皆様も対策をされているというのは、御発言からもよく分かりましたので、そういった皆様のお知恵も入れつつ、社会全体として納得のいく効果的な対応策を見つけることが大事だと考えます。

私からは以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、井上メンバー、御発言ください。

【井上委員】

ありがとうございます。

幾つかございますが、最初に、資料6として提出されている翁委員のコメント、意見について、一部先ほど回答がありましたけれども、私自身の関心事と重なるところがございますので、事務局からこれに関する回答といいますか、反応をしていただければというのが1点目です。

次は、具体的なステーブルコインの規制についてですけれども、発行者と仲介者に分ける形で規制を考えるというのは賛成です。

発行者については、銀行を発行者とする場合、預金の移転という形態を想定しているということだと思います。現在も当座預金を使って、その残高について資金移動する場合には、預金保険の全額保護の対象になるということですので、それと同じ仕組み、同じ預金を使ってステーブルコインを発行するのだとすると、全額保護になること自体は、結論として、日本の規制の中で考えるとそれほどおかしなことではないと思います。

ただ、現在利用されている当座預金の利用者と違ったタイプの利用者が非常にたくさん流入することになったときに、金融システム上のインパクトがどうなるのかは考えなければいけないですし、海外の銀行発行のステーブルコインにおける保護との比較も考えなければいけないと思います。

他方、非銀行が発行するステーブルコインについては、現在、資金移動業者が想定されていて、その未達債務の移転というか、実質的な移転と考えるということのようで、その場合、銀行と違って財務健全性規制や業務範囲規制が同じようにはかからないので、裏付け資産をきちんと保全することで利用者保護が図られるということだと理解しました。ただ、現在の資金移動業は3つのカテゴリーに分かれてはいますけれども、資金の移動がメインであって、資金の滞留に関しては規制の厳格化が図られたところですから、ステーブルコインを発行し、発行を受けた人が持っているという状況が資金移動業者に対する規制とうまくフィットするのかは考えなければならず、全額保全すること自体は守るべきだと思いますが、利用者の権利を守りつつ、ビジネスに障害が生じないように、非銀行であってもステーブルコインが現実に発行できるように考えていただきたいと思います。

信託については、信託財産を決済性預金で持つということであれば、銀行発行型と基本的には利用者の観点からすれば似たことになるのかと理解しました。

発行者についてはそのように考えておりますが、それと分けて仲介者を考えることになると、仲介者は、直接お金を預かることを考えていないので、規制については全然違ったものになろうと思います。基本的には、分別をきちんとして、自分の財産と混ぜこぜにしないことがメインで、あとは、本人確認その他のAML規制などをどのように仲介者を通じて実現していくのかが重要になろうかと思います。

その点では、一定程度違うことは理解しておりますが、暗号資産交換業者が仲介者として行っている業務と比較的似ていると思いますので、そちらの規制が参考になるのではないかと思います。現在、事務局資料で整理されている方向性には、賛成いたします。

ただ、ここで考えなければいけないのは、外国業者、外国の発行体の発行したステーブルコインを仲介者が日本で取り扱うときに、それが大きな障害になったりすると、日本だけが取り残されることになりかねないので、どういう形で規制をするのかが問題となります。外国の発行業者に日本国内で資産を積ませることは現実的でないと思いますから、そうすると、取扱いをしても問題なさそうな外国発行ステーブルコインをきちんと仲介者が審査をして、それで取り扱うと。これも暗号資産と似たような規制になるのかもしれませんが、そういったスタイルの規制も考えられると思います。

最後に、前払式支払手段についてもいろいろ議論が出ていまして、今日御説明いただいたことで理解が深まったように思いますけれども、まだ私の理解が十分に及んでいないところがあります。譲渡可能であり、かつ汎用性が高くていろいろなものを買えるものが浸透してきているので、元は贈答用の商品券と同じだったとしても、現実ではかなり違ったものになっているように思っておりまして、その点で、今からお尋ねするような事例で問題が生じないのかを教えていただければと思います。

例えば、A国にいるAさん、この人はブラックリストに載っていて銀行送金が使えない人だと仮定した場合に、このA国のAさんが日本にいるBさんにお金を送りたいときに、Aさんが前払式支払手段を購入して、その前払式支払手段を日本のBさんにネットを通じて送った場合に、Bさんが例えば管理コストがあまりかからなくて転売が非常に容易なものを買って、すぐに転売して現金化すると、事実上送金をしたのと似たようなことが行われるわけなので、こういう使い方をどういうふうに止めればいいのかを前々から疑問に思っていたのですが、この点について、どのように対処されているのかを教えていただければと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

資料6でいただいておりますのと同様の御質問があったかと思いますけれども、これは事務局からお答えいただけますか。

【端本信用制度参事官】

ありがとうございます。お時間もございますので、次回に向けて整理させていただきたいと思います。

まず、翁委員から御指摘されているナローバンク、この定義は多義的だと思います。預金保険適用がある銀行制度の中でのナローバンクというような議論もあろうかと思いますし、預金保険の適用のないノンバンクでというような議論もあろうかと思います。

それから、次の資産保全義務、まさにこれは日本ですと資金移動業者が同じようなタイプということかと思います。

それから、次のステーブルコインの全額保護は、日本だけの制度となる可能性があるという御指摘ですけれども、これにつきましては、ステーブルコインの問題というよりも、決済用預金という現行の預金保険制度の問題なのかと考えております。

その他は、時間の関係もございますので、整理させていただいて、次回、考え方等を示させていただければと思います。

以上でございます。

【神作座長】

ありがとうございました。

井上メンバーから最後に頂いた御質問につきましては、これはどなたか、お答えいただけますか。

【片岡オブザーバー】

では、新経済連盟から。

【神作座長】

お願いいたします。

【片岡オブザーバー】

まず、そのA国にいるAさんがどうやってそのバリューを買うかというところがありまして、少なくとも実店舗で買うためには、日本にいる誰かを使って実店舗で買わなければいけません。次にその人に今度はどう購入資金を渡すのかというところがあるので、なかなか容易なことではないと思うのと、実店舗でなくサイトで買うとなると、ではその支払手段として、クレジットカードなのか、銀行口座なのか、何を使うかというところがあったり、あるいは、サイトで買う場合ですと、海外からだと不正アクセス等も懸念されますので、モニタリングをしたりする場合もあります。なので、そう容易ではないというところが正直なところですが、そういうケースを今まで把握しているわけではないので、何とも言い難いところはあります。

物を買った場合、その物を転売されてしまうのではないかというのは、結構どの取引形態であっても発生し得ると思っているので、前払式支払手段の仕組みの中で、どこにどういう対応をするべきかは、どこで起こっている問題かというのをきちんと考えた上で考える必要があると思っています。お答えになっているか分かりませんが。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

すみません、予定の時間を超過しておりますので、急ぎ進めさせていただきます。

〈松井委員チャットによるコメント〉

委員の松井です。時間の都合もあり、重複しているため、チャットで失礼いたします。私も翁委員・井上委員の問題意識と関連して意見を述べたいと思います。すなわち、今般規制を検討しているステーブルコインの現実の使われ方は未定であるため、決済性資金としての規律を一律におよぼすと、機能的にCBDCと競合するコイン、GSCとして使われ国際的アービトラージが起きるコインなどが生ずることを排除できず、こうした点についての対処が重要と考えます。以上です。

【神作座長】

森下メンバーお願いいたします。

【森下委員】

ありがとうございます。私も井上委員がおっしゃられたように、ステーブルコインの発行者と仲介者についての規律を整備するという今回の方向性には、異論はありません。

ただ、松井委員もチャットにお書きになられているのですけれども、こういうステーブルコインが、金融制度全体として見たときに、どのように位置付けられるのかですとか、どのような機能を果たすべきなのかというところが、まだ少しはっきりしていなくて、そのために、何となくどこに問題点があるのかとか、本当に使われるのだろうかというところは、よく分からないということがあると思います。

整理の仕方ということに関してなのですけれども、例えば、今回、ステーブルコインについては、為替取引であるということから出発していると思うのですけれども、本当にそういった整理を維持すべきかどうかというのは、私個人としては疑問に思っております。

というのは、先ほど井上委員の話からもあったのですけれども、為替取引で、通常、資金を預かってから短期間で資金を送るというオペレーションで考えられる機能やリスクというものと、今回ステーブルコインを発行するというときの機能やリスクというのは、相当違うのではないかというような気がいたします。

例えば、資金移動業者についての未達債務の問題、これはまさに井上委員が御指摘されたとおりですけれども、長期間にわたって滞留するということを前提としたような仕組みになっているのだろうかというような辺りは、かなり疑問に感じている点であります。

どうせ新しい制度をつくるのですから、為替取引という従来の整理にとらわれず、本来であればもっと新しいステーブルコインにふさわしいような枠組みを考えるべきであると考えています。

また、ステーブルコインと前払式支払手段の関係もやや気になるところです。前払式支払手段については、現金化できないとか、使うところが限定されているというところが大変強調されるのですけれども、他方で、キャッシュレスが推進されている結果、かなりいろいろな形で使えるようになってきているということも一方で事実です。注の34のところでそういった点に目配りをされた記述がされていると思いますけれども、私はこういった視点は大変重要であると思います。

ステーブルコインと預金との関係ですけれども、銀行預金にリンクさせるようなタイプというのは、私の目から見ると、要するに銀行預金にほかならず、ただし、銀行預金の残高の管理ですとか、本人確認ですとか、そういうようなものを銀行がその仲介者に外注をしているといったようなタイプになるのかと思います。これは、今までの銀行業務においては想定していなかったようなことだと思います。そうしたときに、今まで銀行法務との関係でいろいろ考えてきたような、例えば本人確認ですとか、真の預金者ですとか、移転ですとか、いろいろな問題との関係で問題が生じないのかというのは、これは多分銀行の法務の方などを中心に1度検討をしておく必要があるのではないかと思っております。

また、私の理解するところですと、これも井上委員が少し言及されたと思うのですけれども、今実際に流通しているステーブルコインのうち、最も代表的なものはUSTetherだと思います。ただ、注の23を拝見させていただきますと、海外で発行されたステーブルコインについては、現行法上、発行者が日本で流出させる場合には、発行者に銀行業免許または資金移動業登録が求められるという記載があるかと思います。まず、デジタルな世界で、海外で発行されたとか、日本で流通させるということの見極めをどうするのかというのは、なかなか問題になりそうです。また、もし、例えばTetherについても、登録されていない限り日本法上は違法であるということまでを意図するのだとすると、果たしてそれが現実的なのかというようなことは考える必要があるように思います。この点、井上委員からのお話にもありましたけれども、例えば暗号資産と同じような規律に服させるですとか、あるいはプラスアルファ若干仲介業者さんにしっかりモニタリングをしていただくとか、そういうような工夫で対処できないのかというような気がいたします。

あとは、私法上の論点、例えばその注の32では、預金の発生・消滅と同様に考えられないかというような言及がされていますけれども、銀行が帳簿上預金者をAからBに変更したからといって、それが第三者との関係で対抗できるかというと、果たしてそう言えるかというのは疑問ですし、あとは、今回仲介者のみが個別に預金者を管理し、銀行自身は全くその誰が権利者かというのを把握してない、しかし資産は預かっているというような、債務者であるというような状態ですと、仲介者を飛び越して、直接この銀行に対して請求がなされたときに、では銀行は何ができるのかとか、あるいは、その仲介者が破綻した場合、大体破綻するような仲介者はきちんと帳簿を管理しているかどうかというのはよく分からないわけですけれども、そういった場合にはどうなるのかとか、私法上の論点というのは、いろいろ詰めるべき点があるのかと感じております。

最後、マネー・ローンダリングですけれども、前半の議題1のところでは、マネー・ローンダリングというのは非常に重要な問題であると、従って多少利便性を下げたとしても、しっかりとチェックをしていこうというような御議論が、割とそういうトーンだったような気もいたします。実務上の利便性と、実効性と、マネー・ローンダリングの規律の重要性というものをうまくバランスを取っていくことが必要で、銀行の預金については非常に厳しくやり、他方でほかの支払い手段についてはそうではないということ、金額が例えば10万円というところで考えた場合、もう少し一貫した目線をそろえた議論がなされる必要があるのではないかと感じております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、加藤メンバー、御発言ください。

【加藤委員】

私からは2点、コメントをさせていただきます。

1点目は、ステーブルコインの利用者保護についてです。資金決済法では、資金移動業と前払式支払手段について、それぞれ履行保証金や発行保証金を通じた利用者保護の仕組みが用意されております。その結果、利用者は、利用する決済サービスが資金移動業者によるものであれば同じレベルで保護され、前払式支払手段によるものであれば、やはり、同じレベルで保護されるという仕組みになっていると思います。

一方、ステーブルコインについては、今回の検討作業において、少なくとも銀行が発行者となるもの、資金移動業者が発行者となるもの、受益証券発行信託を利用するものと、様々な形態で発行可能であることが前提とされています。そうすると、各ステーブルコインの利用者保護のレベルが異なってくる可能性があるように思います。

たとえば、銀行が発行者となる場合でも、ステーブルコインの仕組みによっては、預金保険制度の中で、決済用預金なのか、一般預金なのか割り振りが異なる可能性があるかもしれません。また、銀行が発行者となる場合と受益証券発行信託を用いる場合では、裏付け資産は同じ銀行預金だが、銀行が発行者の場合には決済用預金であるけれども、受益証券発行信託の信託財産である銀行預金については一般預金という取扱いがされる可能性があるかもしれません。このような可能性が現実のものになると同じ資金決済法に基づき発行されているステーブルコインであるにもかかわらず、利用者保護のレベルに大きな差が出てくることになります。

もちろんこのような問題は業者が利用者に対する説明をしっかりすることによって解決できるのかもしれません。しかし、制度設計に際して、資金移動業や前払式支払手段と比べると、ステーブルコインという決済手段に対する利用者保護のレベルが、どのような仕組みによってステーブルコインを組成するかによって差が出てくる可能性があることに注意すべきであると考えます。

2点目は前払式支払手段の話についてです。今回の実務の皆様のお話を聞いて大変勉強になりました。ありがとうございます。その中で共通して現行制度の問題点として、転売サイトや買取業者の問題が挙げられていました。転売サイトなどの問題は、前払式支払手段の中に古物営業法の対象となるものとならないものが混ざっている点に由来している可能性があります。しかし、古物営業法によって対応するというのは、その対象について物品という縛りを外した場合に対象範囲を上手く確定することができなくなる可能性があるため、難しいかもしれません。このような制約がある中で、金融規制として何ができるかを考えることが重要であると思います。

私からは以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、坂メンバーお願いいたします。

【坂委員】

ありがとうございます。時間の関係もありますので、前払式支払手段に絞って発言させていただければと思います。

この電子移転可能型の前払式支払手段ですけれども、為替取引規制や、あるいはマネー・ローンダリング対策の観点からも、問題は前払式支払手段の譲渡・換金がいかに自由に行えるようになってきているのかということであり、またもう一つは、匿名性がいかにあるのかというところです。ここの辺りの実態をよく踏まえる必要があります。

オブザーバーの皆様には、今日は、いろいろ御報告をいただきまして、ありがとうございました。御報告から、残高譲渡型については、かなり譲渡が容易になってきていると感じたところです。電子マネー利用のマネロン件数が増加傾向にあるという御報告からも、こうしたものに犯収法上の規律を課さないというのは、なかなか説明がつきにくくなってきている実情があるものと思われます。他方、利便性の高い決済サービスであることに鑑みますと、いろいろな工夫が必要かとは考えられるところで、リスクの高いものと低いものを区別して規律をするということも1つの視点です。

問題は、リスクの高いものと低いものの範囲をいかに画するかということですが、これは御指摘があったとおり、利便性の確保とマネー・ローンダリング対策等の必要性をどうバランスさせるかという問題と思います。利用者にできるだけ大きく影響を与えずに、実効的にマネー・ローンダリング対策を確保するという範囲を探っていくことになるのだろうと思います。この範囲の策定は、実際に生じているマネロン事例における行為者を相当程度捕捉できる必要がありますし、また、詐欺事案等にも相当程度対応し得る水準である必要があるものと考えられます。

資料2-2の17ページに、「高額電子移転可能型前払式支払手段」の要件の金額水準が示されておりますけれども、個人的には、高過ぎるという印象を受けているところです。

いずれにしろ、この点についても、実態に鑑みて検討をしていくべきものと考えます。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、IT団体連盟の木村様、御発言をお願いいたします。

【木村オブザーバー】

日本IT団体連盟の木村でございます。

前払式支払手段の移転・譲渡に関する規制の件につきまして、意見と質問です。これはかなり影響の大きな規制であると我々も考えており、結論を早期に取りまとめてしまうということには反対でございます。

こういった価値の移転が可能なサービスを提供している発行者に対して、具体的なサービスですとか、システムの仕様、こういったものにつきまして、十分な時間をかけてヒアリングをしてから、政策目的の達成に必要な範囲で規制の内容を決めていただきたいと考えております。

金融庁やほかの省庁が、業界団体や代表的な事業者を通しまして、サービスとかシステムといったものの詳細を把握していくには、相応の時間が必要なのではないかと考えているところです。

翻りまして、この譲渡額や、アカウントへの入金額、こういったものに着目した規制がどうしても必要であると判断される場合ですが、最も大事なことは、決済手段としての機能を損なわないという点だと考えます。

すなわち、敷居値をどういうふうに設定するのかということ、それから、本人確認を必要とするタイミングをどう設定するのかということです。先ほど後藤委員と新経連との間のやり取りでも出てきましたけれども、本人確認をそれこそ面倒だと思うユーザーの方はとても多いわけですので、アカウント開設時に本人確認を求めてしまうと、新しくサービスを使ってもらえないという可能性が極めて高い。できる限りそれは避けていただいて、マネロンリスクが高い行為をするときに、初めて本人確認をするという形がよろしいのではないかと考えます。

また、敷居値という観点でも、決済手段ということを考えますと、家電等々そこそこ高額なものを買うに当たって必要な額というものも本人確認なしで買えるようにするべきと考えています。

最後に質問です、こちらはもし今回時間がなければ次回でも結構でございますが、残高譲渡型と整理されているもの、こちらは資料2-2にもありますとおり、既に各事業者が自主規制として、24時間以内に、例えばですけれども、10万円ですとか、過去30日間で50万円以内といった譲渡上限額を求めております。金融庁の定めているガイドラインに従っているということでもあると思いますが、既にそういった自主規制がかなり徹底されているところに、法律上の規制を設ける必要があるのか、必ずしも明確になっていないと我々は考えております。この点をどういうふうに考えておられるのかというところです。

また、もう一方の番号通知型、こちらは既に御発言がいろいろなところからありましたけれども、譲渡規制のほうが有効ではないのかと。転売者規制をするに当たっては、新たな業を制定するというよりも、転売禁止と知りながらそれを買い取る行為、それから転売を仲介する行為、こういったものを規制すれば足りる、著作権法が違法と知りながらダウンロードをする行為も違法としているのと同じだと思います。こういった形で、前払式支払手段に新たな規制を課すよりも、転売者側についての行為の規制をするという方向性は考えられないのかというところが質問の2つ目です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。申し訳ありませんが、時間の関係で、御質問については、次回御回答いただくということとさせていただきます。

大変失礼しました。メンバーの方から御発言希望があるのを、私、失念しておりました。まず、巽メンバー、お願いいたします。

【巽委員】

巽でございます。お時間のないところを申し訳ございません。

最後の前払式支払手段の点についてのみ一言申し上げたいと思います。少し議論がかみ合わないまま進んでいる印象がございまして、金融庁の資料の整理ですと、37ページですけれども、まずは、資金決済法上の前払式支払手段発行者に対する規律を強化するという論点が先にあって、その上で必要があれば犯収法の特定事業者をさらに検討するという順番でアジェンダが出ているように見えるのですけれども、今回その後半にかなり議論が集中した結果、その前提にある前者の部分があまり出てきていないのが気になっているというところであります。

要するに、資料ですと、前払式支払手段発行者にも業務実施計画を届け出てもらうとか、そういう規律の提案があるわけですが、ここは事業者の方にとってどうだったのかということは、お伺いしたかったところです。これは次回以降ということで結構でございます。

本日のお話を聞いておりますと、まずこの部分に、例えば転売対策として各発行者の方々がどういうことをやっていくのかということを書いてもらって、それを届け出てもらい、官民のコンセンサスとして重要な位置付けを与えるとか、そういう形で漸進的に進めていくというのが1つあり得るでしょうし、金融庁の資料もまずはそういう趣旨なのではないかと私は思っておりましたので、犯収法の話に行く前に、前払式支払手段発行者の規律をどうするのかというところを、もう少し具体的に詰めておかないといけないのではと思っております。

犯収法の話もいたしますと、特定事業者として本人確認の義務を負わせるのは、私もまずは転売業者のほうだと思っております。そうなりますと、これは金融法制というよりは、業規制一般との見合いの話になってまいりまして、先ほど加藤先生から古物営業法の話がありましたけれども、貴金属を扱う古物営業者、古物商というのは、犯収法上の特定事業者に既になっております。こういう高額な物を取り扱っているところというのは、もうスポットで犯収法の義務が課せられているわけですが、そういった趣旨の規制をこの転売サイトについても及ぼすという形で犯収法が整理されていくという流れになるのだろうと、行政法から見ると思うところであります。

ただ、転売サイトというのが、日本ではうまいこと個別の業法にはまってこなかったというところもあります。去年の特定DPF法ができたことで、アマゾン様とか、楽天様とか、大きなプラットフォーム事業者は、経産省所管の業法のようなもので規律されることになったわけですけれども、今回話題になっているような、前払式支払手段の転売に特化したマーケットプレイスということですと、少なくとも既存の個別の業法は当てはまってこないので、仮に犯収法上の特定事業者に指定したとしても、それがしっかり執行できるのかというのは、怪しいと思うところもございます。

そう考えますと、結局は、転売業者を規制してもなお残るリスクというのはあるだろうと思いますので、発行者に対して犯収法の規律がどうなるのかという点は、今回新経連様の御議論のとおり、性急に進めてはいけないと思いますが、範囲を厳密に絞った上でなお検討を続けるべきだろうと思った次第です。

個人的な経験ですと、インターネット上で本人確認ができると資料で金融庁はおっしゃっていましたけれども、利用者としては本当に面倒なこともあり、例えばマイナンバーカードをカメラに写す角度が少しずれるとやり直しになるということを何回も経験しまして、これがもし普段から使う前払式支払手段に無限定に入ってきてしまうと本当に大変だと思うところですので、その範囲を厳密に絞るということはきちんとやっていかないといけないと思いますが、検討のアジェンダから下すということは、やはり問題だろうと思った次第です。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

末冨メンバー、お願いいたします。

【末冨委員】

ありがとうございます。時間の関係もございますので、簡単に1点だけお尋ね、確認をさせていただければと思います。

ステーブルコインについて、ここで御説明があったように、業規制も及ぼしつつ、また、その預金保険制度との関係でもしっかりと手当をした上で、金融システムに取り込んでいくという、大きく舵を切られたという印象を受けております。

すなわち、ステーブルコインに業規制を及ぼしつつ、その金融システムに入れる以上は、消費者も、またその関係者も保護しつつ、日本の金融システムに対する信頼も保護するのだというような覚悟・姿勢を、印象としては受け取りました。多くの委員が御指摘になったように、一定の基準を満たさないものが依然として残ったり、あるいは新しく出てくるということがあるかと思います。そうしますと、ステーブルコインあるいはどういう名称であるかを問わず業規制を満たし、それで金融資産、金融制度に対する信頼と同じようなものに値するステーブルコインとそうではないものというのが、差別化されるような形で、今後存在していくことが、推測はされますが、そのような状況を想定されているのかというのが、疑問というか、確認させていただきたいところでございます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

それでは、オブザーバーの方の御発言がまだ残っております。大幅に時間が超過しておりますけれども、もう少し延長させていただければと思います。預金保険機構の林部長、お願いいたします。

【林オブザーバー】

ありがとうございます。預金保険機構預金保険部長の林でございます。

デジタルマネーの預金保険との関係等につきましては、繰り返しになりますが、幅広い議論をお願いしたいと考えております。

以上です。

【神作座長】

簡潔にありがとうございます。

信託協会の木屋委員長、お願いいたします。

【木屋オブザーバー】

発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。信託協会業務委員長の木屋でございます。

事務局からの御説明で、資料2-1の12ページのところで、実際にこの信託を使ったスキームもございましたけれども、実際にこの信託を受託できるのかどうかについては、最終的には、各信託銀行、各信託会社のビジネスジャッジになるのかと考えておりますが、それはそれとして、制度上の観点から、1点、御検討をお願いしたいこととして申し上げさせていただきたいと思います。

このスキーム図のところにもございますとおり、受託者は信託会社ということになっておりますけれども、この信託会社には、信託兼営の金融機関である銀行、つまり信託銀行と、それ以外の銀行ではない信託会社、この双方が想定されます。そこで検討が必要な事項としましては、信託会社と信託銀行では、信託財産の運用先となる銀行預金において、預金保険の取扱いがそれぞれで異なるのではないかと考えているところでございます。

具体的には、現行の預金保険法上、信託会社が受託者となり預金を行う場合、この預金は預金保険の対象となりますけれども、金融機関である信託銀行が預金を行う場合は、預金保険の対象外と理解しております。

今回想定されております信託スキームのポイントは、各種リスクを最小化するために、信託財産の全額を円建ての要求払い預金で管理するということだと認識しておりますけれども、そういった信託受託者の属性によってリスクの差異が生じるということは、利用者保護上、避けるべきかとも考えております。

この点、ある意味イコールフッティングの観点からも、信託銀行などの信託兼営金融機関が受託者となる、そういったときの銀行預金を行う場合においても預金保険の対象となるようにするなど、制度上の手当ても御検討いただければと考えております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。まだ様々な御議論があると思いますけれども、時間を大幅に超過しておりますので、次回以降にまた御議論を続けていただければと思いますけれども、最後に事務局から何かございますか。

【端本信用制度参事官】

次回の日程につきましては、皆様の御都合を踏まえた上で、後日御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【神作座長】

それでは、事務局におかれましては、本日の御議論の内容を踏まえて、報告案の取りまとめに向けて、論点整理等をお願いしたいと思います。お時間の都合で言い尽くせなかった点などがございましたら、どうかメール等で事務局に御意見をお寄せいただければと思います。

それでは、以上をもちまして、本日のワーキング・グループを終了いたします。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局総務課信用制度参事官室(内線3572、3556)

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