金融機関等の組織再編成の促進に関する特別措置法案要綱

一.総則

1 目的

この法律は、金融機関等をめぐる情勢の変化に対応して金融機関等の経営基盤の更なる強化を図るため、当分の間、金融機関等の組織再編成を促進するための特別の措置を講ずることにより、金融機関等の業務の健全かつ効率的な運営を期し、もって我が国の金融システムの強化と我が国経済の活性化に資することを目的とする。

(第1条関係)

2 定義

経営基盤強化を組織再編成と改革方針の策定により金融機関等が収益性の相当程度の向上を図ることと定義するほか、金融機関等、組織再編成金融機関等、優先株式等、劣後特約付金銭消費貸借、総会、協同組織中央金融機関、協同組織金融機関について、所要の定義規定を設ける。

(第2条関係)

二.経営基盤強化計画

1 経営基盤強化計画の認定の申請

金融機関等は、経営基盤強化に関する計画(以下「経営基盤強化計画」という。)を作成し、これを平成20年3月31日までに主務大臣に提出して、その認定を受けることができることとする。

(第3条関係)

2 経営基盤強化計画の記載事項

経営基盤強化計画には、経営基盤強化計画の実施期間(5年を超えないものに限る。)、経営基盤強化による収益性の向上の程度、組織再編成の内容及びその実施時期、改革方針の内容等を記載しなければならないこととする。

(第4条関係)

3 経営基盤強化計画の認定

主務大臣は、経営基盤強化計画の認定の申請があった場合において、その計画が次の(a)~(f)(金融機関等が連名で経営基盤強化計画を提出している場合は、(f)を除く。)のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

(a) 経営基盤強化計画の実施により、計画を提出する金融機関等(計画に従い新たに設立される金融機関等を含む。)の業務の効率の向上が図られ、その収益性が相当程度向上すること。

(b) 経営基盤強化計画が円滑かつ確実に実施されること。

(c) 経営基盤強化計画の実施により、計画を提出する金融機関等(計画に従い新たに設立される金融機関等を含む。)又はその子会社等が業務を行っている地域における金融の円滑が阻害されないこと。

(d) 経営基盤強化計画を提出する金融機関等が銀行法第14条の2その他これに類する他の法令の規定に規定する基準を勘案して主務省令で定める健全な自己資本の状況にある旨の区分に該当するものであること。

(e) 経営基盤強化計画の実施により従業員の地位が不当に害されるものでないこと。

(f) 経営基盤強化計画に係る組織再編成の当事者である他の金融機関等から経営基盤強化計画が提出されており、その計画が上記(a)~(e)のいずれにも適合するものであること。

(第5条関係)

4 優先株式等の引受け等を求める経営基盤強化計画の認定

(1) 金融機関等は、経営基盤強化計画の認定を受ける場合に、その計画において、組織再編成金融機関等の自己資本の充実のため預金保険機構(以下「機構」という。)による優先株式等の引受け又は劣後特約付金銭消費貸借による貸付け(以下「優先株式等の引受け等」という。)を求めるときは、機構を通じて、その認定を求めなければならないこととする。

(2) 主務大臣は、経営基盤強化計画が二.3の(a)~(f)に掲げる要件のいずれにも適合するものであるほか、優先株式等の引受け等が組織再編成金融機関等の自己資本の充実の状況の見込みに照らし組織再編成の実施のために必要な範囲を超えないことその他の主務大臣及び財務大臣が定めて公表する基準に適合するものであると認めるときは、財務大臣の同意を得て、その認定をするものとする。

(3) その他所要の規定を設けることとする。

(第6条関係)

5 認定を受けた経営基盤強化計画の変更

(1) 認定を受けた経営基盤強化計画を提出した金融機関等(計画に従い新たに設立される金融機関等を含む。)は、経営基盤強化計画を変更しようとするときは、変更後の経営基盤強化計画を主務大臣に提出して、その認定を受けなければならないこととする。

(2) 主務大臣は、二.3の(a)~(e)の要件に該当し、かつ、変更を行うことについて予見し難い経済環境の変化その他のやむを得ない事情があると認めるときは、変更の認定をすることができることとする。

(第7条関係)

6 経営基盤強化計画の公表

主務大臣は、認定した経営基盤強化計画(以下「認定経営基盤強化計画」という。)を公表するものとする。ただし、計画を提出した金融機関等(計画に従い新たに設立される金融機関等を含む。)又はその子会社等が業務を行っている地域の信用秩序を損なうおそれのある事項等については、この限りでないこととする。

(第8条関係)

7 認定経営基盤強化計画の履行を確保するための監督上の措置

(1) 認定経営基盤強化計画を提出した金融機関等(計画に従い新たに設立された金融機関等を含む。)は、計画の履行状況について、主務大臣に対し報告を行わなければならないこととする。

(2) 主務大臣は、認定経営基盤強化計画の履行状況に照らして必要があると認めるときは、計画を提出した金融機関等(計画に従い新たに設立された金融機関等を含む。)に対し、認定経営基盤強化計画の履行状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出その他の監督上必要な措置を命ずることができることとする。

(第9・10条関係)

8 認定経営基盤強化計画の実施期間が終了した後の措置

(1) 主務大臣は、認定経営基盤強化計画(機構による優先株式等の引受け等が行われる場合に限る。)の実施期間が終了した場合であって、協定銀行が協定の定めにより取得した優先株式等又は貸付債権の全部につき処分をし、又は利益をもってする消却、償還若しくは返済を受けていない場合には、認定経営基盤強化計画を提出した金融機関等(認定経営基盤強化計画に従い新たに設立された金融機関等がある場合にあっては、新たに設立された金融機関等を含む。)に対し、経営計画を作成し、提出することを求めることができることとする。

(2) 経営計画には、計画の期間(5年を超えないものに限る。)、計画の期間中の収益見通し及び収益見通しを達成するための計画期間中の業務の運営方針等を記載しなければならないこととする。

(3) (1)の経営計画については、主務大臣は提出を受けたときに公表するものとし、経営計画を提出した金融機関等はその履行状況につき報告を行わなければならないこととする。

(4) 主務大臣は、協定銀行が協定の定めにより取得した優先株式等又は貸付債権の全部につき処分をし、又は利益をもってする消却、償還若しくは返済を受けるまでの間、経営計画の履行状況に照らして必要があると認めるときは、計画の履行を確保するため、計画を提出した金融機関等に対し、計画の履行状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出その他の監督上必要な措置を命ずることができることとする。

(第11条関係)

三 .経営基盤強化計画の認定を受けた金融機関等に係る特別措置

1 根抵当権の譲渡に係る特例

(1) 金融機関等がその認定経営基盤強化計画に従い営業又は事業の全部又は一部の譲渡により他の金融機関等に対し元本の確定前に根抵当権をその担保すべき債権の全部とともに譲渡しようとするときは、公告又は催告の手続を取ることにより、一定の期間内に根抵当権設定者が異議を述べなかった場合に、根抵当権の移転について根抵当権設定者の承諾があったものとみなすことができることとする。

(2) その他所要の規定を設けることとする。

(第12・13条関係)

2 優先出資の発行の特例

(1) 協同組織金融機関がその認定経営基盤強化計画に従い計画の実施期間内に優先出資を発行する場合には普通出資の総口数まで発行できることとする。

(2) その他所要の規定を設けることとする。

(第14条関係)

3 信用金庫等の持分に係る特例

(1) 信用金庫又は信用金庫連合会(以下「信用金庫等」という。)がその認定経営基盤強化計画に従い他の信用金庫等と合併を行う場合又は営業若しくは事業の全部の譲受けを行う場合には、計画が公表された日から計画の実施期間が終了するまでの間、総会の議決を経て、一定の持分(会員から合併又は営業若しくは事業の全部の譲受けの議決を行う総会に先立って書面をもって合併又は営業若しくは事業の全部の譲受けに反対の意思の通知を受け、議決の日から20日以内に書面をもって譲受けの請求を受けたもの)について消却することができることとするほか、所要の規定を設けることとする。

(2) 労働金庫又は労働金庫連合会(以下「労働金庫等」という。)についても、信用金庫等と同様に持分の消却を認めることとするほか、所要の規定を設けることとする。

(第15・16条関係)

四.組織再編成を行う金融機関等に対する資本の増強に関する特別措置

1 協同組織中央金融機関の業務の特例等

(1) 協同組織中央金融機関は、会員の協同組織金融機関に対し、その協同組織金融機関が経営基盤強化を実施するために必要な指導を行うことができることとする。

(2) 協同組織中央金融機関は、(1)の指導に基づき協同組織金融機関が実施する経営基盤強化のために優先出資の引受け又は劣後特約付金銭消費貸借による貸付けを行おうとするときは、その協同組織金融機関に対し、経営基盤強化計画の提出を求めなければならないこととする。

(第17条関係)

2 預金保険機構の業務の特例

(1) 機構は、預金保険法第34条に規定する業務のほか、本法の目的を達するため、同法附則第7条第1項第1号に規定する協定銀行(以下「協定銀行」という。)と、経営基盤強化に係る金融機関等の自己資本充実のための業務の委託に関する協定(以下「協定」という。)を締結し、及び協定を実施するための次の業務を行うことができることとする。

(a) 協定銀行に対し、協定の定めによる業務の円滑な実施のために必要とする資金の貸付け又は債務の保証を行うこと。

(b) 協定銀行に対し、協定の定めによる業務の実施により生じた損失の補てんを行うこと。

(c) 協定銀行から納付される金銭の収納を行うこと。

(d) (a)~(c)の業務に附帯する業務を行うこと。

(2) (1)にいう「経営基盤強化に係る金融機関等の自己資本充実のための業務」とは次に掲げる業務をいうこととする。

(a) 認定経営基盤強化計画に従い組織再編成金融機関等が発行する優先株式等の引受けを行うこと。

(b) 認定経営基盤強化計画に従い組織再編成金融機関等に対する劣後特約付金銭消費貸借による貸付けを行うこと。

(c) 主務大臣の決定に基づき協同組織中央金融機関が経営基盤強化計画に従い取得した優先出資等のみを信託する信託の受益権又は資産の流動化に関する法律に規定する優先出資若しくは特定社債(協同組織中央金融機関が取得した優先出資等又はその優先出資等を信託する信託の受益権のみを取得する特定資産として定める資産流動化計画に従い発行されるものに限る。)であって政令で定めるもの(以下「信託受益権等」という。)の買取りを行うこと。

(d) (a)の引受けにより取得した優先株式等の譲渡その他の処分を行うこと。

(e) (b)の貸付けにより取得した貸付債権の譲渡その他の処分を行うこと。

(f) (c)の買取りにより取得した信託受益権等の譲渡その他の処分を行うこと。

(g) (a)~(f)の業務に附帯する業務を行うこと。

(第18条関係)

3 協定

(1) 協定は、次に掲げる事項を含むものでなければならないこととする。

(a) 協定銀行は、認定経営基盤強化計画に従い優先株式等の引受け等を行うこと。

(b) 協定銀行は、主務大臣の決定に基づく信託受益権等の買取りを行うこと。

(c) 協定銀行は、機構による債務の保証の対象となる資金の借入れに関する契約の締結をしようとするときは、機構に対し、当該締結をしようとする契約の内容についての承認を申請し、その承認を受けること。

(d) 協定銀行は、優先株式等の引受け等を行ったときは、速やかに、その内容を機構に報告すること。

(e) 協定銀行は、信託受益権等の買取りを行ったときは、速やかに、その内容を機構に報告すること。

(f) 協定銀行は、取得した優先株式等、貸付債権又は信託受益権等について、できる限り早期に譲渡その他の処分を行うよう努めること。

(g) 協定銀行は、取得した優先株式等、貸付債権又は信託受益権等について譲渡その他の処分を行おうとするときは、機構に対し、当該処分を行うことについての承認を申請し、その承認を受けること。

(h) 協定銀行は、取得した優先株式等、貸付債権又は信託受益権等について譲渡その他の処分を行ったときは、速やかに、その内容を機構に報告すること。

(i) 協定銀行は、協定の定めによる業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定を設けて整理すること。

(2) 機構は、協定を締結したときは、直ちに、その協定の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならないこととする。

(第19条関係)

4 協定銀行への機構からの通知等

(1) 機構は、主務大臣から優先株式等の引受け等を求める経営基盤強化計画の認定の通知を受けたときは、その旨を協定銀行に通知しなければならないこととする。

(2) 機構は、協定銀行から優先株式等の引受け等の報告を受けたときは、直ちに、その報告の内容を主務大臣及び財務大臣に報告しなければならないこととする。

(第20条関係)

5 信託受益権等の買取りの決定

(1) 機構は、協同組織中央金融機関から平成20年3月31日までに信託受益権等の買取りの申込みを受けたときは、主務大臣に対し、信託受益権等の買取りを行うかどうかの決定を求めなければならないこととする。

(2) 協同組織中央金融機関は、買取りの申込みをした信託受益権等に係る協同組織金融機関(信託受益権等に係る優先出資の発行者又は貸付債権の債務者である協同組織金融機関をいう。)の経営基盤強化の実施についての指導に関する計画(以下「経営基盤強化指導計画」という。)を、主務大臣に対し、機構を通じて、提出しなければならないこととする。

(3) 経営基盤強化指導計画は、(a)信託受益権等に係る協同組織金融機関が経営基盤強化を実施するために協同組織中央金融機関が行う指導の実施期間及び指導の内容、(b)協同組織中央金融機関が信託受益権等に係る協同組織金融機関から提出を受けた経営基盤強化計画の内容等を含まなければならないこととする。

(4) 主務大臣は、次に掲げる要件のいずれにも適合すると認めるときは、財務大臣の同意を得て、(1)の申込みに係る信託受益権等の買取りを行うべき旨の決定をするものとする。

(a) 協同組織中央金融機関が信託受益権等に係る協同組織金融機関から提出を受けた経営基盤強化計画が二.3.(a)、(c)、(d)、(e)のいずれにも適合するものであること。

(b) 経営基盤強化指導計画の履行を通じて、信託受益権等に係る協同組織金融機関によりその経営基盤強化計画が円滑かつ確実に実施されること。

(c) 協同組織中央金融機関の優先出資又は貸付債権の取得が、信託受益権等に係る協同組織金融機関の組織再編成の実施のために必要な範囲を超えないことその他の主務大臣及び財務大臣が定めて公表する基準に適合して行われたものであること。

(d) 信託受益権等に係る協同組織金融機関の組織再編成が一部の事業譲渡・譲受けに係るものである場合にあっては、譲渡・譲受けの相手方である協同組織金融機関が健全な自己資本の状況にある旨の区分に該当していたものであること。

(第21条関係)

6 経営基盤強化指導計画の公表

主務大臣は、信託受益権等の買取りの決定をしたときは、提出を受けた経営基盤強化指導計画を公表するものとする。ただし、経営基盤強化指導計画を提出した協同組織中央金融機関又は信託受益権等に係る協同組織金融機関が業務を行っている地域の信用秩序を損なうおそれのある事項等については、この限りでないこととする。

(第22条関係)

7 経営基盤強化指導計画の履行を確保するための監督上の措置

(1) 協定銀行が協定の定めにより取得した信託受益権等の全部につき処分をし、又は消却若しくは償還を受けるまでの間、経営基盤強化指導計画を提出した協同組織中央金融機関は、計画の履行状況につき、主務大臣に対し報告を行わなければならないこととする。

(2) 主務大臣は、協定銀行が協定の定めにより取得した信託受益権等の全部につき処分をし、又は消却若しくは償還を受けるまでの間、経営基盤強化指導計画の履行状況に照らして必要があると認めるときは、計画を提出した協同組織中央金融機関に対し、計画の履行状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出その他の監督上必要な措置を命ずることができることとする。

(第23・24条関係)

8 経営基盤強化指導計画の実施期間が終了した後の措置

(1) 経営基盤強化指導計画の実施期間が終了した場合において、協定銀行が協定の定めにより取得した信託受益権等の全部につき処分をし、又は消却若しくは償還を受けていない場合には、経営基盤強化指導計画を提出した協同組織中央金融機関に対し、信託受益権等に係る協同組織金融機関に対する経営指導計画を作成し、提出することを求めることができることとする。

(2) 経営指導計画には、計画の期間(5年を超えないものに限る。)、信託受益権等に係る協同組織金融機関に対する指導の内容等を記載しなければならないこととする。

(3) 経営指導計画の公表、履行状況報告、履行を確保するための監督上の措置について所要の規定を設けることとする。

(第25条関係)

9 優先株式等の処分

(1) 機構は、協定銀行による優先株式等の処分に係る申請の承認をするときは、内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けなければならないこととする。

(2) 機構は、協定銀行から優先株式等の処分の報告を受けたときは、直ちに、その報告の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならないこととする。

(第26条関係)

10 資金の貸付け及び債務の保証

(1) 機構は、協定銀行から協定の定めによる業務の円滑な実施のために必要とする資金について、その資金の貸付け又は協定銀行によるその資金の借入れに係る債務の保証の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、その貸付け又は債務の保証を行うことができることとする。

(2) 機構は、協定銀行との間で(1)の貸付け又は債務の保証に係る契約を締結したときは、直ちに、その契約の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならないこととする。

(第27条関係)

11 損失の補てん

機構は、協定銀行に対し、協定の定めによる業務の実施により協定銀行に生じた損失の補てんを行うことができることとする。

(第28条関係)

12 利益の納付及び収納

(1) 機構は、協定において、協定銀行に協定の定めによる業務により生じた利益の額に相当する金額を機構に納付すべき旨を定めなければならないこととする。

(2) 機構は、協定銀行から納付される金銭を収納することができることとする。

(第29条関係)

13 報告の徴求

機構は、金融機関等経営基盤強化業務を行うため必要があるときは、協定銀行に対し、協定の実施又は財務の状況に関し報告を求めることができることとする。

(第30条関係)

14 区分経理

機構は、金融機関等経営基盤強化業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「金融機関等経営基盤強化勘定」という。)を設けて整理しなければならないこととする。

(第31条関係)

15 借入金及び預金保険機構債券

機構は、金融機関等経営基盤強化業務を行うため必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、日本銀行、金融機関等その他の者から資金の借入れをし、又は預金保険機構債券の発行をすることができることとする。

(第32条関係)

16 政府保証

政府は、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の金融機関等経営基盤強化業務を行うための借入れ又は債券に係る債務の保証をすることができることとする。

(第33条関係)

17 金融機関等経営基盤強化勘定の廃止

(1) 機構は、金融機関等経営基盤強化業務の終了の日として政令で定める日において、金融機関等経営基盤強化勘定を廃止するものとする。

(2) 機構は、金融機関等経営基盤強化勘定の廃止の際、金融機関等経営基盤強化勘定に残余があるときは、その額を国庫に納付しなければならないこととする。

(第34条関係)

18 内閣府令・財務省令への委任

機構の金融機関等経営基盤強化業務の実施に関し必要な事項は、内閣府令・財務省令で定めることとする。

(第35条関係)

五.その他の組織再編成の促進のための特別措置

1 預金保険等の保険金の額の特例

(1) 保険事故が発生した日前1年以内に合併により設立され、若しくは他の金融機関等と合併し、又は他の金融機関等から営業若しくは事業の全部を譲り受けた金融機関等に係る保険金の額についての預金保険法に規定する保険基準額は、「合併又は営業若しくは事業の全部の譲渡を行った金融機関の数に応じて政令で定める金額」とすることとする。

(2) 農水産業協同組合貯金保険法においても預金保険法と同様の規定を設けることとする。

(第36・37条関係)

2 合併等における総会手続等の特例

(1) 合併により消滅する信用金庫等の総会員の数が、合併後存続する信用金庫等(以下「存続信用金庫等」という。)の総会員の数の20分の1を超えない場合であって、かつ、合併により消滅する信用金庫等の最終の貸借対照表により現存する総資産額が、存続信用金庫等の最終の貸借対照表により現存する総資産額の20分の1を超えない場合は、存続信用金庫等の合併について、総会の議決を要しないこととするほか、所要の規定を設けることとする。

(2) 信用協同組合又は信用協同組合連合会(以下「信用協同組合等」という。)の合併、労働金庫等の合併、金融機関の合併及び転換に関する法律による合併、農林中央金庫、農業協同組合連合会、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合連合会の合併について(1)と同様の規定を設けることとする。

(3) 信用金庫等が銀行、他の信用金庫等、信用協同組合等又は労働金庫等の営業又は事業の全部又は一部を譲り受ける場合において、その対価が最終の貸借対照表によりその信用金庫等に現存する純資産額の20分の1を超えないときは、総会の議決を要しないこととするほか、所要の規定を設けることとする。

(4) 信用協同組合等又は労働金庫等が営業の一部又は事業の全部若しくは一部を譲り受ける場合並びに農林中央金庫、農業協同組合連合会、漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合連合会が信用事業の全部又は一部を譲り受ける場合について(3)と同様の規定を設けることとする。

(第38条~第53条関係)

3 合併等における債権者の異議の手続の特例

(1) 信用金庫等が他の信用金庫等と合併する場合において、合併を行う信用金庫等が債権者に対する異議の申出に関する公告を官報のほか、公告をする方法として定款に定めた時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載してするときは、知れている債権者に対する各別の催告は必要ないこととする。

(2) 信用協同組合等の合併、労働金庫等の合併、金融機関の合併及び転換に関する法律による合併について(1)と同様の規定を設けることとする。

(3) 金融機関等(銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、信用金庫連合会、信用協同組合連合会、労働金庫連合会)が営業又は事業の全部の譲渡又は譲受けを行う場合において、その金融機関等が債権者に対する異議の申出に関する公告を官報のほか、公告をする方法として定款に定めた時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載してするときは、知れている債権者に対する各別の催告は必要ないこととする。

(4) 農林中央金庫、農業協同組合連合会、漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合連合会が信用事業の全部の譲受けを行う場合について(3)と同様の規定を設けることとする。

(第54条~第62条関係)

六.雑則

1 農林中央金庫、農業協同組合連合会、漁業協同組合連合会又は水産加工業協同組合連合会が農業協同組合、漁業協同組合又は水産加工業協同組合から信用事業の全部又は一部を譲り受ける場合の本法の適用関係についての規定を設けることとする。

2 その他所要の規定を設けることとする。

(第63条~第70条関係)

七.罰則

所要の罰則規定を設けることとする。

(第71条~第73条関係)

八.附則

1 この法律は、平成15年1月1日から施行する。ただし、預金保険機構の業務の特例等及び預金保険等の保険金の額の特例に関する規定は、平成15年4月1日から施行する。

(附則第1条関係)

2 経過措置について所要の規定を設けることとする。

(附則第2・3条関係)

3 会社更生法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律について規定の整備を行うこととする。

(附則第4条関係)(附則第2・3条関係)

4 政府は、この法律の施行後平成20年3月31日までの間に、社会経済情勢の変化を勘案しつつ、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(附則第5条関係)

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