金融審議会総会(第21回)・金融分科会(第9回)議事録

日時:平成19年1月30日(火)12時30分~13時08分

場所:中央合同庁舎4号館9階金融庁特別会議室

○桑原企画課長

それでは、12時半、定刻になりましたので、ただいまから金融審議会総会を開催させていただきます。

本日は、皆様ご多忙、ご多用のところ、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。

また、金融審議会委員へのご就任をお引き受けくださいましたことにつきまして、改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

本日の総会には、山本金融担当大臣、それから、田村金融担当大臣政務官が出席をいたしておりますので、それぞれご挨拶をさせていただきます。まず、山本大臣からご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。

○山本金融担当大臣

金融担当大臣の山本でございます。金融審議会総会の開催に当たり、一言ご挨拶させていただきます。

初めに、皆様方には、金融審議会委員へのご就任を快くお引き受けいただきましたことに厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。

本審議会には、従来から金融行政の節目節目において、数多くの貴重なご提言をいただいております。一昨年12月には、投資者保護と金融イノベーション促進の両立のための横断的法制整備を内容とする、いわゆる投資サービス法の法制化に向けた報告を取りまとめていただきましたが、これに基づき金融商品取引法制が昨年6月国会で成立いたしております。また、信託法改正に伴う信託業法の見直しにつきましても、本審議会で取りまとめていただいた報告を踏まえ、信託法整備法として昨年12月国会で成立をいたしております。

金融庁の本年の課題を申し上げますと、本審議会においてご議論いただいた公認会計士・監査法人制度の見直しや、電子登録債権制度の導入などが挙げられます。これらにつきましては、今通常国会に提出すべく、昨年末に取りまとめていただいた報告に沿って、現在法制化の作業を進めているところでございます。

また、地域密着型金融につきましては、現在、地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラムに基づき取組みを進めておりますが、現在のアクションプログラムは本年3月末で終了いたしますことから、その後の推進の枠組みにつきましても検討課題となっております。今後、本審議会におきましてご検討願えればと考えております。

先般、私は英国及び米国を訪問し、世界の二大国際金融センターである両国の当局者等と意見交換を行いましたが、こうした意見交換を通じ、貯蓄から投資へという流れをより一層確かなものにし、我が国金融・資本市場の国際金融センターとしての魅力をさらに向上させていくことが重要であるとの認識を一層深めたところでございます。このため、本審議会にスタディグループを設置いただき、オープンな金融・資本市場を目指して自由闊達にご議論願いたいと考えております。

これらの取組みに当たり、高い見識を有していらっしゃる皆様の格段のご理解、ご協力をお願いいたしまして、簡単ではございますが私の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○桑原企画課長

ありがとうございました。

続いて、田村政務官からご挨拶を申し上げます。

○田村政務官

金融担当大臣政務官の田村耕太郎です。本当にいつもお世話になっています。

皆様には、いつも真摯で建設的な議論をいただき、今大臣からご紹介がありました2つの法案、公認会計士制度部会、そして技術革新ワーキンググループで議論いただきました2つの大切な流れに沿った法案でございます。1つは、財務諸表の適時開示、適切な開示を求める貯蓄から投資への流れを担保する大切な公認会計士・監査法人のあり方、これはしっかり議論して成立させてまいりたいと思います。

また、電子登録債権は、再チャレンジにも絡みまして、企業の資金調達の多様化、これを目指すものであります。これもきっちりと議論していいものにして成立させてまいりたいと思います。

大臣は、今お話にありましたとおり、ニューヨーク、ロンドンと東京より進んだ市場を視察してまいられたそうなのですが、私の方は東京を追い上げておりますシンガポール、香港を見てまいりました。やはりそこで税制規制、教育、インフラ整備、すべて国として危機感を持って、一体感を持って取り組んでいる、そういうことに対しまして、日本とのいろんな意味の差、情熱、そして危機感の違いを感じました。これも皆さんでしっかり議論していきたいと思います。資本市場のグローバル化にはプレイヤー、市場運営者、監督機関はもとより、投資家の国際化、グローバル化を求められます。これからも皆様の引き続き建設的で真摯な議論をお願いして、私の挨拶にかえさせていただきます。どうも皆さん、これからもよろしくお願いします。

○桑原企画課長

ありがとうございました。

ここで、山本大臣は公務のため退席させていただきます。

なお、田村政務官につきましては、引き続き本会合に出席させていただく予定でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、議事を進めさせていただきます。

本日は、1月25日の委員任命後初めての総会でございますので、会長及び会長代理をお決めいただくこととなりますが、それまでの間、企画課長をいたしております私桑原が議事の進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

まず、当審議会の委員の皆様をご紹介させていただきます。

なお、全体の名簿につきましては、お手元にお配りしております資料に記しておりますので、適宜ご参照願えればと考えております。

それでは、本日ご出席いただいております委員の皆様をご紹介申し上げます。

委員の皆様の右側から、木村裕士委員でございます。

池尾和人委員でございます。

岩原紳作委員でございます。

植田和男委員でございます。

嘉治佐保子委員でございます。

金丸恭文委員でございます。

神作裕之委員でございます。

斎藤静樹委員でございます。

佐々木かをり委員でございます。

関哲夫委員でございます。

高橋伸子委員でございます。

根本直子委員でございます。

野村修也委員でございます。

原早苗委員でございます。

藤沢久美委員でございます。

藤原美喜子委員でございます。

淵田康之委員でございます。

堀内昭義委員でございます。

水上慎士委員でございます。

山下友信委員でございます。

吉野直行委員でございます。

若松誠委員でございます。

和仁亮裕委員でございます。

なお、本日は、翁百合委員、島崎憲明委員がご欠席でございます。

また、本日は、金融分科会を引き続き開催いたしますので、金融分科会の専門委員の皆様にもご出席をいただいております。ご紹介申し上げます。

安東俊夫委員でございます。

奥正之委員でございます。

松澤建委員でございます。

なお、本日は、岡本圀衞委員、大前孝治委員がご欠席でございます。

続きまして、当審議会の事務局のメンバーをご紹介申し上げます。

皆様方から向かいまして、私の左側から、五味金融庁長官でございます。

西原検査局長でございます。

佐藤監督局長でございます。

内藤証券取引等監視委員会事務局長でございます。

振角公認会計士・監査審査会事務局長でございます。

丸山総務企画局審議官でございます。

知原総務企画局参事官でございます。

河野監督局審議官でございます。

岳野総務企画局総務課長でございます。

川上監督局銀行第二課長でございます。

財務省より羽深信用機構課長でございます。

また、幹事として稲葉日本銀行理事でございます。

次に、皆様方から向かいまして、私の右側から、三國谷総務企画局長でございます。

中江総務企画局総括審議官でございます。

畑中総務企画局審議官でございます。

細溝総務企画局審議官でございます。

三井総務企画局市場課長でございます。

池田総務企画局企業開示課長でございます。

大森総務企画局信用制度参事官でございます。

高橋総務企画局企画課調査室長でございます。

以上でございます。

次に、当審議会の会長の選任をお願いいたしたいと存じます。

会長は、金融審議会令第4条第1項の規定によりまして、委員の互選により選任することとされておりますが、事務局で事前に幾人かの委員にお伺いいたしましたところ、前の体制で金融分科会長をお務めいただきましたご経験も踏まえ、堀内委員にお願いしてはどうかとのご意見が多くございましたが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

それでは、ご異議ございませんようですので、堀内委員のご承諾をもって会長へのご就任をお願いいたしたいと存じます。堀内委員、いかがでございましょうか。

○堀内委員

はい。

○桑原企画課長

どうもありがとうございます。

それでは、堀内委員に会長をお願いいたしたいと存じます。堀内新会長、会長席の方にお移りいただければと思います。

それでは、堀内会長よりご挨拶をいただき、その後の議事の進行をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○堀内会長

ただいまご指名に預かりました堀内でございます。大変微力でございますけれども、一応任期2年ということだと思いますけれども、務めさせていただきます。よろしくお願いします。

それでは、金融審議会令第4条第3項にしたがって会長代理を指名させていただきたいと思います。私としましては、これまでにも金融審議会の会長代理をお務めいただきました関哲夫委員にぜひ、代理をお願いしたいのですが、いかがでございましょうか。

よろしくお願いいたします。関委員、どうもありがとうございます。

続きまして、議事運営につきましては、お手元に配付してあります金融審議会議事規則に則りまして今後とも行っていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。また、原則として会議は公開とさせていただきたいと思います。これもよろしゅうございますか。それでは、原則公開ということでお認めいただきました。どうもありがとうございます。

それから、金融審議会令第6条第1項の規定によりまして、現在総会の下に設置されております自動車損害賠償責任保険制度部会、それから公認会計士制度部会の2つの部会を引き続き設置するということにしたいと存じます。これもよろしゅうございますでしょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、引き続きまして、今申しました2つの部会を設置することにしたいと思います。

それから、金融審議会令の第6条第3項において、各部会の部会長は会長が指名するということになっておりますので、私の方から自動車損害賠償責任保険制度部会の部会長を山下委員に、それから公認会計士制度部会の部会長を関委員にそれぞれお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

どうもありがとうございます。

また、金融審議会令第6条の第2項によって、各部会に所属します委員を指名することも私の役割になっております。この点につきましては、私の方から2人の部会長とも相談の上、具体的に事務を進めていきたいと思います。皆様方には後日メールなどでご連絡申し上げますので、ご了承いただけますでしょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、本日の総会で予定しておりました議事は終了いたしましたので、ここで総会を終了させていただきます。

総会の今後の日程などにつきましては、事務局より後日調整の上、ご連絡させていただきたいと思います。

これで総会を終了いたします。どうもありがとうございました。

○桑原企画課長

引き続きまして、金融分科会を開催させていただきます。

今回、金融審議会委員の任命後初めての金融分科会の会合でございますので、先ほどの総会と同様、ここで分科会長をお決めいただくことになります。分科会長は、金融審議会令第5条第3項の規定によりまして委員の互選によることとされておりますが、これも事務局で事前に幾人かの委員にお伺いいたしましたところ、前の体制で金融分科会長をお務めいただいておりました堀内会長に引き続き金融分科会長もお引き受けいただいてはどうかとの意見が多うございましたが、いかがでございましょうか。

ありがとうございます。

それでは、ご異議ございませんようですので、堀内会長のご承諾をもって分科会長へのご就任をお願いいたしたいと存じます。いかがでございましょうか。

○堀内会長

はい。

○桑原企画課長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続きでございますけれども、堀内分科会長に、分科会の今後の議事進行をお願いいたしたいと存じます。よろしくお願いします。

○堀内分科会長

これも総会の方と同じようなことになりますけれども、まず分科会の会長代理を指名させていただきたいと思いますが、金融審議会令第5条の第5項によりますと、分科会長代理は分科会長が指名するということになっております。私としましては、先ほど金融審議会の会長代理をお引き受けいただいた関哲夫さんに恐縮でございますけれども、分科会の会長代理もお願いしたいということでよろしくお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○関委員

はい。

○堀内分科会長

どうもありがとうございます。

それでは、関委員に会長代理をお願いしたということでございます。

続きまして、議事運営につきましては、お手元に配付されております金融分科会議事規則に則りまして引き続き今後とも行いたいと存じます。それから、会議は原則として公開といたしたいと思いますが、これらの点はよろしゅうございますでしょうか。

どうもありがとうございます。

それから、金融審議会令第6条第1項の規定によりまして、現在当分科会の下に設置されております第一部会、第二部会、それから特別部会、金融税制に関するスタディグループ及び情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループにつきまして、これらの部会等を引き続き設置することにいたしたいと思いますが、これもよろしゅうございますでしょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、引き続き、第一部会、第二部会、特別部会、金融税制に関するスタディグループ及び情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループを設置するということにしたいと存じます。

それから、金融審議会令第6条第3項において、各部会の部会長は分科会長が指名するということになっておりますので、私の方からそれぞれの方を任命したいと思います。まず第一部会長には池尾和人委員にお願いしたいと思います。第二部会長には岩原委員に引き続きお願いしたいと思います。それから、特別部会長を山下委員にお願いしたいと思います。情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループ座長を、これも引き続きですが、野村委員にお願いしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。

さらに、金融税制に関するスタディグループにつきましては、これまで私が座長を務めてきたという経緯がございますので、引き続き恐縮ですが私が座長を務めさせていただくことにいたしたいと思います。

それから、各部会に所属する委員等につきましては、金融審議会令の第6条第2項によりまして分科会長が指名するとされておりますが、これは私が各部会長とご相談させていただいた上で、具体的な事務を進めさせていただきたいと思います。後日、委員の皆様方にはメール等を使ってご連絡申し上げたいと考えております。

続きまして、今日は我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループの設置につきましてお諮りしたいと存じます。

まず、この点につきまして、事務局の方からご説明をお願いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

○三井市場課長

お配りしております資料の中で、資料1というものをお開きいただきたいと存じます。

1枚表紙をおめくりいただきますと、「「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」の設置について」という紙がございます。趣旨でございますが、「貯蓄から投資へ」という流れの中で、我が国金融・資本市場の国際金融センターとしての魅力を更に向上させていく観点から、法制度面のみならず、人材、専門サービス、インフラ等を含め幅広く検討するために、金融審議会金融分科会の下に、「我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」を設置することとしてはどうかというものでございます。

以上でございます。

○堀内分科会長

どうもありがとうございました。

ただいま事務局からご説明がありましたが、我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループを金融分科会に設置したいということでございますが、いかがでございますか。ご承認いただけますでしょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、スタディグループを設置することといたしたいと思います。

なお、このスタディグループは、部会横断的なテーマを取り扱うことになりますが、第一部会とより強く関連すると考えますので、座長は第一部会長の池尾和人さんにお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。

どうもありがとうございます。

それでは、最近の各部会の活動状況などにつきまして、続きまして事務局の方からご説明をお願いしたいと思います。

まず、昨年の12月21日に取りまとめられました「電子登録債権法(仮称)の制定に向けて」に関しまして、高橋調査室長の方からご説明をお願いしたいと思います。

○高橋調査室長

資料は、資料2「電子登録債権法(仮称)の制定に向けて」でございます。

1枚おめくりいただきまして、電子登録債権についての簡単な内容をまとめたものでございます。電子登録債権の検討の背景といたしまして、手形の利用が減少している。手形が「紙」であるため、保管コスト等のリスクがある。あるいは事業者が多大な売掛金を保有しているという現状がございますが、売掛債権につきましては、その存在の確認等のコストやリスクがあるため、流動性に乏しく早期資金化が困難である。このような状況を踏まえまして、e-Japan戦略や、規制改革・民間開放推進3カ年計画等におきまして、新たな電子的手段による債権譲渡の推進による事業者の資金調達環境の整備ということがうたわれております。これらを踏まえまして、まず当分科会の下に設置されました情報技術革新と金融制度に関するワーキンググループにおきましてご議論いただきました。

また、昨年、法務省の法制審議会におきまして、この電子登録債権に関する私法上の問題点についての検討が具体化されたことも踏まえまして、第二部会とこのワーキンググループとの合同会合ということで昨年の6月以降、管理機関のあり方を中心にご審議をいただき別添のような報告書を取りまとめていただきました。

報告書の概要につきましては、次の紙をおめくりいただきまして「概要」と書いてあるものでございます。ここに主な論点、ご報告いただきましたことを書いてございますが、まず電子登録債権の意義と管理機関の果たすべき役割ということで、今申し上げましたような電子登録債権の必要性についての記述がございます。電子的な記録によりまして、権利の発生等の効力が生ずるという新しい制度として電子登録債権制度が整備されますので、その管理機関につきましては、公正性・中立性が確保され、国民から信頼される存在である必要があるということがうたわれております。

また、電子登録債権の決済ということは商取引等との関係がございますので、債務者に二重支払いの危険性が発生しないよう、管理機関が電子登録債権の記録の抹消をできるような仕組みが必要というようなことがうたわれております。

また、このような電子登録債権を管理する管理機関の業務につきまして、公正性・中立性の確保、あるいは破綻の回避、登録原簿の信頼性の確保といった点に留意した制度設計が必要であるということがうたわれております。

そのほか、利用者保護のための適切な措置や、金融商品取引法等の規制との関係等をご議論いただきましてご報告をいただいたというものでございます。

非常に簡単でございますが、お時間の関係で概略のご説明にかえさせていただきます。

○堀内分科会長

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、昨年の12月22日に取りまとめられました「公認会計士・監査法人制度の充実・強化について」に関しまして、池田企業開示課長からご説明いただきたいと思います。

○池田企業開示課長

それでは、お手元に配付しております資料3に沿いましてご報告をさせていただきたいと思います。

まず、表紙をおめくりいただきまして、最初のページに公認会計士制度部会の審議経過について整理をしてございます。ここにございますように、昨年の4月以降、11回にわたりまして部会を開催いただきまして、一番下にございます12月22日に報告書、今日配付させていただいております冊子でございますけれども、報告書を取りまとめていただいたところでございます。

1枚おめくりいただきまして、制度部会の委員の名簿をつけさせていただいております。関部会長の下、ここに掲げてございます委員、臨時委員、専門委員、幹事の方にご参加をいただきました。

3ページ目、4ページ目がこの報告に盛り込まれました主な提言について整理をさせていただいております。

最初の四角の中にありますように、大きな問題意識として企業活動が多様化、複雑化、国際化している、そうした中で監査業務も複雑化、高度化している。一方で公認会計士監査をめぐる非違事例等が残念ながら発生していると。そうした中で監査法人等による組織的監査の重要性が一層高まっているという問題意識に立ち、様々な提言をいただいているところでございます。

提言は大きく3つの柱からなっておりまして、1番目の柱としましては、監査法人自身の品質管理・ガバナンス・ディスクロージャーの強化ということでございまして、ここの下にございますように、例えば(1)にございますように、監査法人において業務を執行する人、そうしたものをチェックする品質管理を担当する人、さらにそうした品質管理の方針等を決めていくマネジメント、こういう三者がきちんとそれぞれの役割を分担し、果たしていくということが重要であるということが示されております。

さらに、(3)にありますように、現在監査法人については、当局に対する報告義務は公認会計士法上存在しておりますが、公衆に対する開示の義務付けはございません。こうしたものを義務付けるということが提言されております。

2番目の柱としましては、監査人の独立性、地位の強化ということで、やはり監査人がしっかりとした会計監査を行っていく上では独立性を確保し、企業、企業経営者との関係でもしっかりとした地位、立場に立って監査を行っていくことが重要であるという問題意識に立つものであります。

独立性確保につきましては、ここの1から5に掲げてございますような様々な方策を提言いただいているところでございます。

また、(2)にございますように、監査人の地位の強化ということの中で、制度部会の中で強く指摘がされましたのが、このマル1にあります監査人の選任、監査報酬の決定に関する監査役の役割の強化という点でございまして、ご承知のように、この点については昨年に実施されました会社法において監査役に同意権が定められておりますが、こうしたものを議案等の決定権等、さらに監査役の役割を強化していくべきではないかという提言がされております。これは会社法に関連してくる事項でございますので、制度部会としては会社法に関して関係当局に検討を提言するという形の整理になっております。

それから、次のページに3つ目の柱でございますが、監査法人に対する監督・責任のあり方の見直しということで、また様々な提言をいただいております。

(1)、(2)にございますように、1つは行政処分の多様化ということで提言をいただいております。現在の公認会計士法では監査法人に対する行政処分の類型としましては、ここにありますように戒告、業務停止、解散命令と3つの類型に限られるところでありますが、業務改善命令、役員等解任命令、あるいは(1)にありますように、経済的な非違抑止手段ということで、具体的には課徴金制度の導入等について提言がされているところでございます。

(3)にありますように、一方で現在の監査法人制度は合名会社形態に立ったもので、監査法人の社員には民事上、無限連帯責任がすべての社員に対して適用されるという形になっております。この点について、無限責任形態の監査法人の制度と並行して有限責任形態の監査法人制度を容認してもよいのではないかという提言をいただいております。ただし、その際には、ここに掲げてありますような要件、登録制ですとか最低資本金ですとか保証金の供託等、そうしたものを併せて手当てすることが提言されているところでございます。

さらに、(5)にございますように、現在の公認会計士法では、例えば外国会社などについては、外国の監査事務所が監査をするケースがございますが、そうした外国監査事務所に対する監督権限が規定されていないということがございます。この点について監督権限の整備をすることが提言されているところでございます。

以上、主な提言をご紹介させていただきました。金融庁ではこの報告の内容を踏まえまして、公認会計士法等に関しまして所要の改正を提案すべく現在法案化の作業を進めているところでございます。引き続きのご支援をいただきたいと考える次第でございます。ありがとうございました。

○堀内分科会長

どうもありがとうございました。

続きまして、第二部会に設けられておりますリレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループの再開に関しまして、岩原第二部会長からご発言がございます。

岩原部会長、よろしくお願いいたします。

○岩原第二部会長

地域金融機関につきましては、地域密着型金融の機能強化に向けた取組みを進めているところでございますが、現行のアクションプログラムが来年3月末で終了することから、4月以降、どのような枠組みの下にこれを推進していくかについて検討していくことが必要になります。

つきましては、金融審議会金融分科会第二部会の下に設置されておりますリレーションシップバンキングのあり方に関するワーキンググループを開催いたしましてご検討いただきたいと考えております。

また、ワーキンググループの人選につきましては、変更の必要がございますれば、ワーキンググループの座長であります堀内会長にご一任したいと考えております。

以上でございます。

○堀内分科会長

どうもありがとうございました。

それでは、予定されておりました議事はすべて終了いたしました。以上をもちまして、本日の金融分科会を終了いたしたいと思います。

なお、本日の会合の模様につきましては、この会議の終了後、私の方から記者会見を行わせていただきたいと思います。

それから、今後の日程などにつきましては、事務局の方で調整していただいた上で、後日ご連絡させていただくということにいたしたいと存じます。

それから、本日は、この後、我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループの第1回会合の開催が予定されております。開始時間等につきまして、事務局より連絡がございます。

○桑原企画課長

ただいま堀内分科会長からご案内ございました、我が国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ第1回会合を引き続きこの場で開催させていただきたく存じます。開始時刻は、若干今回早目に終わりましたのでお時間が空いて恐縮でございますけれども、ほかのメンバーの方々に1時半とご案内いたしておりますので、1時半から始めさせていただきたいと思います。

それで、このスタディグループのメンバーとなっていらっしゃいます委員におかれましては、現在お座りのお席をそのままご使用いただければと思います。

また、今回スタディグループのメンバー以外の委員の方々でスタディグループにご出席を予定されていらっしゃる委員におかれましては、大変恐縮ではございますけれども、お席を移動していただくことになります。詳細につきましては、事務局の担当者がご案内させていただきますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○堀内分科会長 

それでは、本日は大変お忙しい中をお集まりいただきましてどうもありがとうございました。

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3513)

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