金融審議会総会(第33回)・金融分科会(第21回)合同会合議事録

  • 1.日時:

    平成26年9月26日(金)10時30分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○吉野会長

それでは、麻生大臣もご到着になられましたので、ただいまから第33回金融審議会総会・第21回金融分科会合同会合を開催させていただきたいと思います。

本日はご多用のところ、ご参集いただきまして、ありがとうございます。

開催に先立ちまして、本日の議事は公開の形で行わせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

最初に開会に当たりまして、麻生副総理・財務大臣・金融担当大臣よりご挨拶をいただき、引き続きまして本審議会に対する新たな諮問をいただきたいと思います。麻生大臣、よろしくお願いいたします。

○麻生大臣

それでは、金融審議会の開催に当たりまして一言ご挨拶をさせていただきたいと存じます。

本日、大変お忙しい中、金融審議会総会にご参集いただきましてまことにありがとうございました。昨年まで金融審議会でご審議をいただいておりました「新規・成長企業へのリスクマネー供給のあり方」、並びに「保険商品・サービスの提供及び募集ルールのあり方」に関しましては、それぞれの報告書を踏まえた法律案が、本年5月無事成立をいたしております。委員会の皆様方のご支援に対して重ねて厚く御礼を申し上げる次第です。

さて、日本経済の現状を見ますと、アベノミクスの3本の矢の効果によりまして、好循環の動きが始まっており、長期停滞やデフレ不況から脱しつつあると考えております。このような好循環をさらに加速するためにも、コーポレートガバナンスの強化などを通じた企業の活力向上、NISAをはじめとした成長資金の供給拡大に向けた取組み、また、アジア・ナンバーワンの市場構築に向けた金融・資本市場の活性化への取組みが重要であると存じます。金融庁といたしましては、引き続きこのような施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。

次に、最近の金融・資本市場を取り巻く喫緊の課題について申し上げます。まずいわゆるプロ向けファンドに関して、リスクマネーを供給する健全なファンドがある一方で、悪質で詐欺的なファンドも存在し、投資家被害なども生じておりますのはご存じのとおりであります。

このため、悪質なファンドから一般投資家を保護するとともに、リスクマネーの更なる供給を図ることができる制度のあり方について検討していく必要があろうと存じます。また、近年情報通信技術の急速な発展などを背景に、決済サービスの高度化に対する要請が高まってきております。

こうした中にあって、決済サービスや決済に関する金融業務の今後のあり方、また、それらを支える基盤整備やグローバル戦略のあり方などについて多角的に検討していく必要があります。

これらの課題について、金融審議会の皆様方のご意見をいただきたく、本日、新たに諮問をさせていただく次第です。委員の皆様には活発なご議論をお願い申し上げます。

それでは、引き続き諮問を行わさせていただきたいと存じます。

金融審議会、会長吉野直行殿。

金融庁設置法第7条第1項第1号により下記のとおり諮問する。

投資運用等に関する検討。

投資家の保護及び成長資金の円滑な供給との観点を踏まえ、いわゆるプロ向けファンドをめぐる制度のあり方などの課題について検討すること。

決済業務等の高度化に関する検討。

決済サービスの高度化に対する要請の高まり等を踏まえ、決済及び関連する金融業務のあり方並びにそれらを支える基盤整備のあり方等について多角的に検討すること。

以上であります。よろしくお願い申し上げます。

(諮問書手交)

○吉野会長

ありがとうございます。

麻生副総理・金融担当大臣、ご諮問ありがとうございました。

それでは、投資運用等に関するファンドの検討、それから、決済業務の高度化、これに関する検討をしっかりやらせていただきたいと思います。麻生大臣、どうもありがとうございました。

麻生大臣はこれで所用のためにご退席でございます。どうもありがとうございました。

(麻生大臣退室)

○吉野会長

それでは、引き続きまして越智内閣府大臣政務官からご挨拶をいただきたいと思います。政務官、お願いいたします。

○越智政務官

皆様、おはようございます。このたび内閣府大臣政務官を拝命いたしました越智隆雄でございます。

金融審議会の委員の皆様方には、日ごろよりご多忙のところ、審議会の審議にご尽力いただきましてまことにありがとうございます。

金融行政は、社会・経済にとっての血液とも言える資金を安心して円滑にめぐらせるための礎となるべきものと考えます。技術革新などの環境変化も踏まえつつ、国民や企業が安心・安全に金融サービスを利用したり、投資したりできる環境を整え、資金が円滑に流れていくようにすることが重要となります。

今し方、大臣から投資運用等のあり方及び決済業務等の高度化の2点に関して諮問が行われたところであります。これらの検討においても、投資家や利用者の保護、決済等の安全性・安定性の確保といった観点と、成長資金の供給の促進や、より高度な決済サービスの展開といった観点との、双方を踏まえる必要があると思います。

委員の皆様方には今後とも活発なご議論を賜れますようお願い申し上げまして、一言ご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○吉野会長

越智大臣政務官どうもありがとうございました。

それでは、ここでカメラの方、退席をお願いしたいと思います。

(報道関係者退室)

○吉野会長

それでは、金融庁の事務局側に異動がございましたので、松尾企画課長から紹介させていただきたいと思いますす。

○松尾企画課長

このたび企画課長を拝命いたしました松尾でございます。どうかよろしくお願いいたします。委員の皆様方から向かいまして中央、今ご挨拶をいただいた越智内閣府大臣政務官の左隣からご紹介いたします。金融庁長官の細溝でございます。

○細溝長官

よろしくお願いします。

○松尾企画課長

金融国際審議官の河野でございます。

○河野金融国際審議官

よろしくお願いします。

○松尾企画課長

検査局長、遠藤でございます。

○遠藤検査局長

よろしくお願いします。

○松尾企画課長

総務企画局総務課長の栗田でございます。

○栗田総務課長

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

総務企画局国際室国際連携・協力室長の渡部でございます。

○渡部国際室国際連携・協力室長

よろしくお願いします。

○松尾企画課長

財務省大臣官房信用機構課長の吾郷でございます。

○吾郷信用機構課長

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

続きまして、私の右側から総務企画局長の池田でございます。

○池田総務企画局長

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

総務企画局審議官の小野でございます。

○小野審議官

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

総務企画局審議官の寺田でございます。

○寺田審議官

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

総務企画局参事官の中島でございます。

○中島参事官

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

総務企画局信用制度参事官の佐藤でございます。

○佐藤信用制度参事官

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

総務企画局企業開示課長の油布でございます。

○油布企業開示課長

よろしくお願いします。

○松尾企画課長

総務企画局市場課長の田原でございます。

○田原市場課長

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

総務企画局市場課市場機能強化室長の多田でございます。

○多田市場機能強化室長

よろしくお願いします。

○松尾企画課長

総務企画局保険企画室長の野崎でございます。

○野崎保険企画室長

よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

以上でございます。

○吉野会長

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

早速議題に入りたいと思います。まず最初は、投資運用に関しての説明、それから、決済業務等の高度化に関しての説明、これをお願いしたいと思います。それでは、市場課長からお願いいたします。

○田原市場課長

それでは、お手元の資料に沿いまして、諮問事項の1つ目でございます投資運用等に関する検討につきましてご説明を差し上げます。右肩、資料1「事務局説明資料(投資運用関連)」と書いてございます資料でご説明をさせていただきたいと思います。

1ページおめくりいただきますと、金融商品取引法上の業規制・行為規制でございますが、これはもう委員の先生方ご承知のとおりだと思いますが、投資運用業につきましては、原則として当局へ登録を行うことにより可能となっているものでございます。

下の表をご覧いただきますとおわかりいただけますように、一番左側、投資運用業のところでございますが、登録制の下、登録をしたいと思われる方につきましては、登録の申請をいただきまして、その際問題があれば拒否要件があるということで、不適格な者は入れないような仕組みになっておりますし、最低資本金ということで財産的な要件が課されておるところでございます。

また、各種の行為規制が課されておりまして、問題を起こした業者に関しましては、行政処分を行うことが可能であり、かつ、最終的には登録取消し処分により、その事業ができなくなるということをもちまして、その業の適切性というものを担保しているものでございます。

この投資運用業でございますけれども、これまで規制上はさまざまな流れをたどってきておりまして、これ自体は従前の投資信託委託業者や投資一任業者等が一緒になった業でございますけれども、プロ向けに、東京市場の活性化という観点から、2つ目の丸になりますが、プロ向け運用業者におきましては、出資者を適格機関投資家に限定すること、また、運用財産総額を200億円以下とするということで、緩和された登録要件の下で業務を行うといったような規制緩和措置にも取り組んできているところでございます。しかしながら、こちらにつきましても、登録制ということで、その業の適切性を担保してきたという形でございます。

一方、今回問題になっておりますプロ向けファンドでございますけれども、こちらにつきましては、1名以上の適格機関投資家、いわゆるプロの方がいらっしゃいましたら、49名以内の適格機関投資家以外の投資家であります一般投資家の方、いわゆるアマの方々がいらっしゃる場合でありましても、届出のみで行うことが可能ということになってございます。これは金融商品取引法を制定するときの経緯で設けられた業種でございますけれども、下の表でいきますと左から3番目のところになりまして、届出により行うことができるということと、行為規制につきましては、虚偽説明と損失補塡のみを禁止しているという形になっているものでございます。

1ページおめくりをいただきまして、同じく販売業でございますけれども、金融商品販売業でございます有価証券の売買やその取次ぎ、募集・私募やその取扱い等につきましても、原則として当局への登録を行うことにより可能となっているものでございます。

一方で、今般問題になってございますプロ向けファンドでございますけれども、こちらは当局への届出のみで、組合契約等に基づき収益の分配を受ける権利につきまして、アマの方を含めて一般投資家に対して、私募を行うことが可能ということになっているものでございます。

また、販売に際しまして、書面交付義務、説明義務、断定的判断の提供の禁止などの行為規制も課されていないということになってございまして、下の表をご覧いただきますとわかりますとおり、第一種金融商品取引業、これはいわゆる証券会社等でございますけれども、こちらは登録制の下に登録の際には拒否要件が課されております。また、最低資本金が5,000万円、各種兼業規制、広告規制、書面交付義務・説明義務、虚偽説明・断定的判断の提供、利益相反行為等の禁止、損失補塡の禁止、適合性原則の遵守、商品によりましては、不招請勧誘・再勧誘の禁止と、こういった行為規制が行政処分などによって担保されていると。やはり問題が大きくなれば、登録取消しによりその業を営めなくなるということが根幹となっているところでございます。

ファンドの販売を行うことができます第二種金融商品取引業者につきましても、さまざまな規制がありますが、先般まさにリスクマネーの供給ということで、電子募集取扱業務という形の業種が創設されまして、こちらにつきましては、その事業の内容によりまして、登録の要件などを緩くした、規制緩和をしたという形になっているところでございます。

一方、一番右側の適格機関投資家等特例業務につきましては、プロ及び49名のアマの方にファンドが販売できるわけですけれども、届出制で実施ができるという形になっているものでございます。

1ページをおめくりいただきます。このプロ向けファンドでございますけれども、金融商品取引法を制定いたしました際に、従前からファンド販売業など、あるいは運用業などを行っている方々が、従前のビジネスに影響が出ない形、リスクマネーの供給などに影響が出ないようにということで設けられた制度でございますけれども、この数年間、その販売等を行う業者につきまして、①でございますが、他の金融商品取引業者と異なり、行為規制が緩い、また登録制でなく、行政処分、例えば業務改善・停止命令登録取消しのようなことができない、こういうこと。また、49名以内であれば投資の素人にも販売が可能といったことが悪用されまして、投資家に被害を与えるケースが増えております。

国民生活センターへの相談件数も近年急増しておりまして、左側の下のチャートでございますけれども、2009年に100件程度であったものが2012年には1,500件を超えるということになっておりまして、問題になっているということでございます。

証券取引等監視委員会による検査等を端緒として警告書を発出した事例も増加しております。

一番下の表でございますけれども、現在プロ向けファンドの届出業者というのは3,000社ぐらいございまして、下の注にありますが、年間500件ほど新規の届出がある一方で、500件程度の廃業届、廃止届が出るということで、大体この数で一定しているわけですが、このうち年間20件程度について証券取引等監視委員会が検査をいたしますと、半数以上の業者に警告書を発出するという形になっております。また、検査以外でもさまざまな端緒に応じまして警告書を発出しているわけでございますが、こちらのほうも年間10件から20件程度のものがあるということになっているところでございます。

1ページおめくりいただきますと、代表的な被害の例を新聞報道から引いてきておりますけれども、右側のものにつきましては、プロ向けファンドということで、香港に会社を設置するといった名目で数百人から三、四億円程度集めたということでございまして、かなりの大きな被害が生じたということでございます。

また、左側でございますけれども、「虚偽説明で100億円集金か」と書いてございますが、こちらはFXで投資をするという形で顧客からお金を集めまして、100億円ぐらいを集めて、ほぼ消失したという状態ではないかと言われているものでございます。

また1ページおめくりいただきますと、こちらもかなり問題になったケースでございますけれども、高齢者などに実体のない会社への投資を持ちかけまして、現金をだましとったということでございまして、「七福神」などという実体のない会社をでっち上げて、ファンド投資を呼びかけたというものでございまして、被害総額につきましては25億円以上かと言われているということでございます。

1ページおめくりいただきますと、こうした投資家被害の増加に対しまして、本年の4月、証券取引等監視委員会、消費者委員会から、投資家に関する要件を厳格化するなど制度を見直すべきという提言をちょうだいしたところでございます。この中身につきましては後ほど次のチャートで申し上げますけれども、証券取引等監視委員会から4月18日に、ファンドに係る投資家保護の一層の徹底を図る観点から、適格機関投資家等特例業務に関する特例について、出資者等に係る要件を厳格化する等、一般投資家の被害の発生等を防止するための適切な措置を講ずる必要があるという建議をいただきました。

また、4月22日には消費者委員会から提言をちょうだいいたしまして、その内容でございますけれども、適格機関投資家等特例業務は本来プロ向けの制度である。そこで、制度のあり方として、プロ向けの仕組みという制度趣旨に則って整備されるべく諸要件等を見直すことが適当であるとされ、特に購入者が法人の場合でございますけれども、契約締結前交付書面の交付義務をはじめとする投資家保護規定が限定的にしか適用されないことに鑑みますと、たとえ法人であっても、自衛能力や耐性のある投資家と認めるに足りる要件を別途設定する必要があるんじゃないかということでございます。また、個人の方にファンドを募集するに当たりましては、投資者被害の現状からいたしますと、少なくとも億単位の余剰資金をもちまして、投資性の金融取引を年単位で継続的に行っている投資家という要件を満たすべきであろうというような提言をちょうだいしたところでございます。

こういった提言、また、被害の現状を踏まえまして、私ども、関係省庁並びに関係諸団体といろいろ協議をいたしまして、このような案で、政令・内閣府令の改正案のパブリックコメントを今年の5月から6月に実施させていただいたところでございます。

上のほうの「プロ向けファンド」という四角に囲まれた点線の中の内容が現行の規制でございますけれども、こちらにつきましては、適格機関投資家の方が1名以上いらっしゃる場合には、適格機関投資家以外の方について、属性に制限なく、一般の投資家の方、アマの方を含めて49名以内であれば募集可能ということになっているわけでございますけれども、結局この仕組みが悪用されたということに鑑みまして、一般個人を含めるべきではないというようなご意見をいただいたということもございまして、要件を、よりリテラシーの高い方々、プロ向けファンドの趣旨に沿った方々にある程度絞り込むと。ただ、その範囲につきましては、既存の資金の流れというものに極力影響させないということで、改正案を考えたものでございます。

改正案でございますけれども、適格機関投資家の方が1名以上いるというのは同じでございますが、適格機関投資家以外の方につきましては、例えば上場会社、資本金5,000万円超の株式会社、上場会社等の子会社・関連会社、一定の年金基金、富裕層個人投資家、これは投資性の金融資産を1億円以上保有される方ということでございます。それから、資産管理会社、ファンド運営業者の役職員等ということで、こういった方々が49名以内であれば、プロ向けファンドとして募集を行うことができるという案をパブリックコメントに付させていただいたものでございます。

1ページおめくりいただきます。このパブリックコメントにつきましては、さまざまな意見が寄せられたわけでございますけれども、大きく分類いたしますと、プロ向けファンドの個人への販売は禁止すべきだという個人投資家の保護に非常に重点を置いたご意見が寄せられる一方で、販売可能な投資家の範囲が狭く、新たなファンドの組成が困難になるので、投資家の範囲を広げてほしいという意見も寄せられたところでございます。

細かい字で恐縮でございますが、その下のところに点線で囲んでございますが、日本弁護士会連合会からは、そもそも個人投資家に対するこのようなファンドの募集は禁止すべきであるというような意見が寄せられました一方で、独立系のベンチャーキャピタリストの方々からは、アメリカなどとのバランス、それから、経済活動の自由などを考えて、ベンチャーキャピタルへの投資を促進していくという観点からすれば、投資家の範囲が狭過ぎるというご意見が寄せられたところでございます。

この両者の意見につきましては、端的に申しますと、かなり隔たりがあるところでございまして、こういったリスクマネーの供給という観点、円滑な供給という観点と個人投資家の保護という観点をどのように調和させていくかということにつきまして、今回諮問事項とさせていただいたものでございます。

短いご説明でございますけれども、私の説明は以上とさせていただきます。

○吉野会長

田原市場課長、ありがとうございました。それでは、引き続きまして、資料2の決済業務等の高度化に関して、信用制度参事官からご説明お願いいたします。

○佐藤信用制度参事官

改めまして、信用制度参事官、佐藤でございます。

今お話ございました右肩に資料2と書いてある資料に沿ってご説明を申し上げます。まず表紙をおめくりいただきたいと存じます。1枚目に「決済業務等の高度化に関する検討について」ということで、背景と大まかな全体像をここでご説明申し上げます。

まず上の箱、「背景」というところをご覧いただきたいと存じます。背景につきましては、情報通信技術の発展など、決済をめぐる環境が近年大きく変化していると。また、電子商取引、いわゆるeコマース取引、eコマースの増大などに伴って、決済の高度化、すなわちさまざまな意味でより利便性の高い決済機能の提供ということに対する要請が近年急速に高まっているものと思われます。

こうした中にありまして、さまざまな新しい決済サービスが登場しております。また、サービスの内容そのものもさることながら、サービスの担い手という意味でも多様化が進んでおります。技術革新はおそらく今後ますます進展することが予想され、決済をめぐるこうした環境変化、趨勢というものはさらに加速するのではないかと考えられます。

こうした中にありまして、まず創意工夫、イノベーションを生かした決済ビジネスの展開、また、決済の高度化に向けた共通基盤の整備、さらにはグローバルに目を転じまして、アジアを含めた決済に関するグローバル戦略といったことが、今重要な課題として浮上しつつあるのではないかと考えられます。

こうした背景を受けまして、真ん中の緑の箇所ですが、決済業務等の高度化に向けて、まず将来的な決済のあり方、さらに決済に関連した金融業務全般のあり方、こうした決済の高度化を支えるために必要な基盤整備等について多角的に検討していくことをお願いしたいと考えております。

その下のオレンジのボックスですが、想定される幾つかの論点について、主な例を記載しております。まず左側でございます。「新しい決済サービスの発展と課題」ということで、決済ビジネスの発展の方向性や我が国の競争性、競争力の確保に向けた戦略をどう考えるか。多様なプレーヤーが登場している中、その連携や協働の可能性をどう考えるか。また、利便性が高まると、裏腹の関係として安全性・安定性ということも求められるものと考えられます。

したがいまして、システムの安定性など、決済機能を提供する上での要請や決済の高度化に向けた共通基盤の整備、こうしたものの要否などについて考えていく必要があるのではないかと考えております。

続きまして、真ん中の箱、今度は銀行、金融業界サイドから見たときにどういう論点があるかについて記載をしております。まず銀行に求められる中核的な機能とは何ぞや。それに加えて、独自に展開される決済ビジネスの基盤整備をどう考えるか。さらに、銀行間での、あるいは銀行と銀行以外のプレーヤーとの連携や協働の可能性、さらにそこに存する課題等についてどう考えるか。

また、その下に書いております電子記録債権についてですが、数年前に電子記録債権法が制定されました。ただ、現状を見ますと、普及は進んでおりますが、まだ爆発的な普及という状況には至っていないと考えられます。このさらなる普及に向けた課題がどうあって、その解決策をどう考えるかということも論点になろうかと考えております。

次に右側でございます。ちょっと目を転じまして、アジア・グローバル戦略ということで、まずアジアを中心とした電子決済の標準化等の動きがございます。こうしたアジアにおける共通の決済枠組み構築に対して、我が国の経済界、あるいは我が国全体として戦略的にどう関与していくのか。

また、「でんさい」、電子記録債権ですとか、あるいは地域レベルの決済システムなど、我が国の決済関連システムのインフラ輸出。ここで「システム」と書いておりますが、おそらくコンピューター的なシステムということだけではなしに、ノウハウですとか、あるいは法制度、そういうものも包含した上でのシステム輸出等についてどう考えていくのか。

その下、CMS、キャッシュ・マネジメント・サービスと記載しております。本邦企業が海外展開を行う中で、グループ内での資金管理をどう考え、それをどうサービスとしてバックアップしていくのか、こういった課題などもあろうかと考えております。

ページをおめくりいただきたいと存じます。2ページ以降におきまして、今申し上げた全体像を基に、若干敷衍してお話を申し上げたいと考えております。まず欧米の状況について簡単に書いております。2枚目の上のところをご覧いただきたいと思います。上に丸で2つ書いております。米国のFRB、欧州のECB、欧州中央銀行の決済についての方向性等を提示したものの概要を書いております。

まず上のFRBでございますが、決済システムの高度化を経済戦略上の主要課題と位置づけ、決済のリアルタイム化やユビキタス化、安全性の確保等々について、10年間の主要アジェンダを特定し、改革を推進していく。

欧州ECBとしましては、効率的な決済がEUの競争力と成長の鍵と位置づけ、域内の決済システムの統合を推進していく。今後統合された決済システムのリアルタイム化等を目指すことを将来的な課題として提示していく。

いずれも、決済の高度化ということを、成長力とか経済の競争力向上のための重要な課題と位置づけた上で、将来を見据えて戦略を考えていくということがうかがわれる次第でございます。

その下に「欧米における決済高度化に向けた取組み」の例を図示しております。左上のほうから簡単に申し上げますと、まずノンバンク・プレーヤーによる新たな決済サービスが次々と提供されている。また、多様なプレーヤー間での連携やICTを活用した情報活用等も進んでいる。また、グローバル化に対応したキャッシュ・マネジメント・サービスの強化も進んでいる。右上のところからご説明しますと、こうした新たなサービスの提供を支えるための基盤として、まず決済システムの改革に向けた各種のイニシアティブが推進されている。地域・グローバルにおける決済システムの標準化や統合化が進んでいる。また、決済業務の高度化に向けた共通基盤の整備ということも進んでいるというところでございます。

ページをおめくりいただきたいと存じます。次にアジアの状況について簡単に記載をしております。上の箱の中で、APN、Asian Payment Networkと記載しております。これは主としてASEAN諸国の中央銀行主導で設立されたネットワークでございます。各国の決済インフラ業者等が参加して、ATM等システムの標準化や相互接続を推進しているということでございます。ASEAN以外、韓国や中国からも参加があり、また日本からは、本年1月から民間事業者1社が参加しているという状況にございます。

アジア域内での決済の標準化、特に現在ATMに特に注力しているようでございますが、ATMシステムの標準化などを踏まえて、域内での決済の高度化・統合化に向けた動きが進んでおります。

下に参考としまして、決済に係るアジア諸国と金融庁との協力の状況について簡単に図示しております。ミャンマー、タイ、ベトナム等々と覚書を結んで、決済システムの高度化等を含めた協力関係を構築しているところでございます。こうした、成長するアジアにおける決済のあり方について、今後の戦略ということも考えていく必要があろうかと考えております。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。4ページ目に「決済をめぐる最近の展開」としまして、国内における電子商取引、あるいは電子決済がどういう状況で推移しているのか、簡単にグラフで書いております。

上のところをご覧いただきたいと存じますが、「家計における決済手段の変化」ということで、これはいずれもアンケート調査をもとにしたデータでございます。左上の日常的な買い物等の支払い、右側の公共料金等の定期的な支払い、いずれもクレジットカードあるいは電子マネーなどの割合が増加しているという状況にございます。

左下のほうに電子商取引の市場規模についてグラフ化しております。棒グラフがEC市場の規模ということで、左目盛りでEC市場の額の推移を記載しております。折れ線グラフは、EC化率ということで、全ての商取引市場規模に対するEC市場規模の割合を示しております。近年、着実な伸びが見られるところでございます。

右下のところ、「インターネットにおける決済手段」ということで、これもアンケート調査でございますが、複数回答可ということで回答を集計した結果として、「クレジットカード」、「代金引換」、「コンビニ支払」、ついで、「金融機関窓口・ATMでの振込」というように、インターネットにおける決済手段としてクレジットカード等々が上位を占めているという状況にございます。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。「決済をめぐる最近の展開」として、新たな決済サービスについて概要を記載しております。まず上の段、「銀行」というところでございます。まず「銀行による多様なサービスの登場・普及」ということで、国内の事業者向けの決済ソリューションの強化ですとか、あるいは事業者向け、またリテール向けを含めましたインターネットバンキング、モバイルバンキングの登場や普及が進んでおります。また、国際ブランド付きのデビットカードなど、デビットカードの面でも新たな動きが登場しております。

さらに「金融サービス業への異業種からの参入」ということで、流通系事業との連携、あるいは電子商取引市場との連携等も進んでいるということでございます。

右のほうにまた棒グラフと折れ線グラフで、ネット銀行等いわゆる新たな形態の銀行の口座数や預金残高の推移を示しております。ネット専業銀行、流通系銀行とも、口座数、預金残高について、着実に増加が見られるところでございます。

その下の段、クレジットカード、プリペイドカード・資金移動業、その他コンビニの収納代行とか、宅配の代引きの件数等について記載をしております。詳細は時間の関係上割愛させていただきますが、いずれも着実な伸びが見られるところでございます。やはりそこには利便性等々の背景も想定されます。また、右下のポイント発行高、これは全企業というわけではありませんが、主立った企業の発行残高の合計で約8,700億円となっており、ポイントの残高も相応の額になっているというところでございます。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。6ページ目に、最近の展開として、幾つかのサービスの具体例を写真等を使いまして図示しております。左上のところに小型クレジットカード決済端末、いわゆるドングルと言われているものでございます。従来、店舗に大きなカードリーダーを設置しておりましたが、スマートフォンにドングルという端末をつけることによって簡単にクレジットカード等の決済ができる。したがいまして、小規模な店舗でもクレジットカード等が容易に使えるようになるといった動きがございます。

その右側に「顔パス」決済というのがございます。事前に自分の顔とクレジットカード番号等を入力することによって、店舗に入ったときに、顔だけで決済ができるといったサービスも導入されております。

右下のところ、「電子商取引市場の出店者向け融資」ですが、これは電子商取引市場の運営事業者が出店店舗に対して、グループ内の金融サービス事業者から、口座等を経由した取引の状況を見た上で、それを審査に使って融資をしているといった電子商取引市場と金融サービスとの融合という例も出てきておるところでございます。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。今まで、国内の新たな展開ということで、リテール面を中心にご説明申し上げましたが、いわゆるホールセール、企業向けのサービスについてですが、まず、「日本企業のサプライチェーンの拡大・深化」という動きが背景としてあります。経済産業省の調査でございますが、海外における日本企業の現地法人数、これが着実に増加しており、特にアジアについては、2003年、2012年を比べて2倍超に伸びております。こうしたクロスボーダーでのグループ企業の増加が進みますと、グループ内での資金融通をどうやって効率的に行っていくのかということが重要な課題となっております。

下の箱で「キャッシュ・マネジメント・サービス」と書いておりますが、グループ会社があり、グローバルな統括会社があって、国内の統括会社、海外の地域統括会社、その下にさまざまな子会社がぶらさがっている例であります。グループ内で、資金不足の会社もあれば、資金余剰の会社もある。そうすると、その余剰資金を不足の会社にどうやってうまく円滑に融通をし、足りないところは銀行が融資をすると。さらにそこには多数の通貨を取り扱わなくてはいけない。銀行からキャッシュ・マネジメント・サービスを提供し、グループ会社全体の資金過不足を把握して、不足した会社に対して各種通貨によって資金融通を行い、余剰資金は運用して、またグループ会社の支払い等を一括して代行するといったサービスの提供がございます。

今後我が国企業が海外展開する中で、海外展開を資金面からバックアップするという意味でも、こうしたキャッシュ・マネジメント・サービスの高度化ということが重要な課題になっていると考えられます。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。これも引き続きホールセールに近いところでございますが、電子記録債権の話でございます。電子記録債権法が2007年の6月に成立・公布されております。2008年12月から施行され、その後電子記録債権機関というものが幾つか設立されております。ご承知かと存じますが、既存の指名債権や手形債権等とは異なる新たな金銭債権として、電子記録機関の記録原簿に記録することによって発生・譲渡が行われる電子記録債権であります。

導入の狙いとしましては、ペーパーベースの手形から電子手形への切りかえを可能とする。それによってリスクや負担を軽減する。また、売掛金の流動化を通じた産業金融の高度化の推進等を目的としております。

一方で、下の欄、「電子記録債権の利用状況」でございますが、今現在4つの電子記録債権機関が設立されております。ただ、先ほど申しましたように、爆発的に増加が進んでいる、ペーパーから電子記録の手形に切りかわっているというふうにはなかなか言いがたい状況にございます。将来的な利便性ということを踏まえると、この電子記録債権の活用というのは有効なツールと考えられるところ、これをどう考えていくのか、どういう課題があってどういう解決策があるのか、こうしたことも重要な課題であるのかと考えております。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。9ページ目には「決済業務等の高度化に関する主な提言等」ということで、代表例として、本年の6月に閣議決定されました日本再興戦略及び金融庁、財務省が合同事務局を務めております金融・資本市場活性化有識者会合のそれぞれ抜粋を記載しております。詳細についてはご説明を割愛させていただきますが、資金決済の高度化ということが重要な課題として方向性が提示され、また提言がなされているといった状況にございます。

以上、簡単にご説明申し上げましたが、論点、非常に多岐にわたると考えております。ただ、技術革新のスピードが速い中、さらに国境を越えた世界のグローバルというところを見据えた上でも、多角的に検討していくべき課題が多いのではないかと思っております。そういった意味で、多角的な観点からの検討、ご審議をぜひお願いしたいと考えております。

以上でございます。

○吉野会長

佐藤信用制度参事官ありがとうございました。それでは、ただいま2つの投資運用に関するご説明、それから、決済業務の高度化に関しまして、委員の皆様からご意見あるいはご質問をいただきたいと思います。大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

ありがとうございます。投資運用等に関する検討について若干意見を申し上げたいと思うんですが、この問題、先ほどご説明いただいたとおり、金融庁としては、一旦、制度の改正内容を考えて、パブコメに付されたということで、もしかするとできればそのもともとの考え方でそのまま進めたいというようなことをお感じなのかもしれないなどと邪推するんですけれども、せっかくこういうご諮問をいただいたわけでありますので、一旦出した案がどうであったかということにあまりとらわれることなく、つまり、勧誘対象となる投資家の属性をどこまで緩めるか、厳しくするかという、その1点だけにとらわれずに、例えば投資助言代理業ですら、顧客属性にかかわらず、登録が一律に求められている中で、他人のお金を預かる投資運用が登録しなくてもできるということがそもそもいいのかとかですね。ただ、今度、一律に今の投資運用業の登録要件を課したら、これは従前の金商法制定以前の一任業務とか投資信託業の影響をかなり受けた要件になっていますので、非常に厳しいわけで、これだとちょっと現実が合わないんじゃないかとか、そもそも登録って何のために必要なのか、どの程度のどういう要件を課すことが本当の意味で投資家保護になり、市場の機能向上につながるのかということで、ぜひ白地でまっさらな形で議論をするような形にできればいいなと、私、思っております。

以上です。

○吉野会長

どうもありがとうございます。全く大崎委員おっしゃるように、成長マネーをいかにうまく供給するかということも重要ですので、あまりぎしぎしにしてしまいますと、せっかくのいい制度ができなくなりますし、また、緩過ぎると投資家保護にならない。まさにこのバランスだと思いますので、ぜひいろいろご検討いただければと思います。よろしくお願いします。

ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。後でも結構ですけど。では、沖野委員、どうぞ。

○沖野委員

ありがとうございました。私も投資運用関連についてです。リスクマネーの供給、あるいは成長マネーの供給が重要であるということそれ自体は確かにそうだと思います。けれども、そのためのルートというのはさまざまにあり得るんじゃないか。あるいは形も1つではあるまいという感じがいたします。ですから、このプロ向けファンドというものについても、それ自体が他のルートのある中での1つだということがありますし、またそのあり方は1つのだけではなくて、例えば複数のものを考えていく、そういう形で多様な観点から検討することが必要ではないかと考えます。対象となる投資家が非常に限定されたもの、あるいは対象が緩められるかわりに、各種の規制がもう少しかかってくるとか、そういうものも考えられるのではないかと思っているところです。

若干質問させていただきたいところがあります。抽象的には、成長マネーやリスクマネーの供給、その促進が重要だということはわかるのですけれども、これまでこのルートでの供給というものの実績といいますか、それはどうなっているのかです。資料の中では悪用例がかなりあるということが指摘されたのですけれども、他方で、これだけの実績もあるということも勘案しながら、その実績につながったものが何であるのか、どういう点を伸ばしていくのかということも検討しなければいけないのではないかと思っておるものですから、そういった資料などがありましたらまた教えていただければと思います。

それともう一つまた別な話で、細かいところなんですけれども、届出関連です。資料の3ページのところでは、年間500件程度の新規届出があって、同数の廃止届出があったというので、絶えず入れ替わっているということがここからはわかります。廃止届出というのがどういうことで行われるのか、またどのくらいで行われるのかです。まさに目的を達成し、そして達成の仕方としては、成功したものもあるし、リスクマネーですから、その意味ではうまくいかなかったこともあるけれども、本来のマネーの供給の仕方として目的を達したというものもあれば、お金だけ集めてやめてしまうというような悪用例もあるのか。実態を把握するためには、廃止の届出というのは、その内容も含めてデータとしてかなり重要じゃないかなというふうに思うものですから、その理由などがわかるものであるのかどうか、そのあたりでもし追加の情報があれば教えていただければと思います。

○吉野会長

市場課長、お願いいたします。

○田原市場課長

ご質問ありがとうございます。まず実際どういうものに対する投資が集められているかということですが、何しろ約3,000業種ございまして、なかなか実態把握が難しいものであるわけですが、随時任意で調査をしておりまして、その調査によりますと、不動産ファンド、おそらく不動産信託受益権のようなものだと思いますが、これがかなり多くなっておりまして、1,800本程度のプロ向けファンドがある中で、大体700本程度はこれではないかと。続きますのがベンチャーファンドというものでございまして、大体400本から500本ぐらいあるのではないかと。その後は、ファンド・オブ・ファンズですとか、ヘッジファンドですとか、バイアウトファンドですとか、事業再生ファンドなどが大体80件から90件ぐらいで並んでおります。このほかにも、多岐にわたっておりまして、コンテンツですとか、セカンダリー、こういったものも10本から20本あるというような状況になっているところでございます。

それから、廃止の届出につきましては、基本的には運用が終わった段階で廃止の届出をいただくということになっております。

○吉野会長

ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。じゃあ、福田先生、どうぞ。

○福田委員

この決済業務の高度化に伴う国際的な協調、非常に重要なことだと思いますので、ぜひやっていただきたいと思います。金融技術もどんどん発展していることもありますし、経済統合、実物的な経済統合もすごい勢いで進んでいるわりには、やはり金融の統合というのはおくれがちだ。特にアジアの地域に関しては統合がおくれているということはかつてから伝えられていますので、ぜひ日本もおくれないようにやっていただければとは思います。

アジアの金融統合に関しては、以前から日本を主導としてやっていた面もあるんですけれども、なかなかうまくいっていないという面もありました。最近では日中韓の問題もあって、話し合いすらしばらくは滞っていたという問題もありますので、そういうことも乗り越えて、ぜひ日本が主導する形でこういうシステムの設計とかもできるよな形の工夫をしていただければと思います。

○吉野会長

ありがとうございます。それにつけ加えますと、例えば日本の場合にASEANとかインドとか、あちらのほうまで含めた、アジアの中でうまく政治が期待以上に動かないときには、もうちょっと南のほうといろいろ連携しながらやるとか、多分そういう政治的なストラテジーもぜひ考えていただきまして、このアジアでの決済というのを考えていただければと思います。

ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、ただいまいろんなご意見をいただきましたので、事務局の方々もこういうご意見を踏まえながら、ワーキンググループ、そしてスタディーグループを進めていただきたいと思います。

この2つの諮問事項に関しまして、まず第1番目の投資運用等に関する検討、これにつきましては、ワーキンググループを設置させていただきたいと思います。

それから、決済業務等の高度化に関する検討、これにつきましては、決済やそれに関連する金融業務等の全般のあり方について多角的に調査検討を行っていただきたいという趣旨から、スタディーグループというふうな形で設置をしていただきたいと思っております。

また、最初の投資運用等に関するワーキンググループにつきましては、神田先生に座長をお願いさせていただき、また、2番目の決済高度化等に関するスタディーグループの座長には岩原早稲田大学大学院法務研究科教授にお願いさせていただきたいと思っております。

また、このワーキンググループ、スタディーグループのメンバーにつきましては、私にご一任をいただきまして、皆様にまたいろいろお願いするということになると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

よろしいでしょうか。

ありがとうございました。それでは、次の議題に移りたいと思いますが、最近の金融行政の動向につきまして、事務局からご説明をお願いしたいと思います。

○松尾企画課長

企画課長でございます。資料3と右肩にあります「最近の金融行政の動向について」という資料に基づいてご説明させていただきます。

まず企業のガバナンス向上に向けた取り組みということで、4ページまでおめくりいただければと思います。金融庁といたしましても、企業のガバナンスを向上させて、企業の持続的な成長を促していくという取り組みとして、左のコーポレートガバナンス・コード及び右のスチュワードシップ・コード、この2つを推進していくということでございます。

そのうち、コーポレートガバナンス・コードは、左にございますように、企業の行動原則や株主やステークホルダーに対する責任を規定することで企業のガバナンスを上げていく。一方、スチュワードシップ・コードにつきましては、機関投資家の行動原則を規定しておりまして、機関投資家と企業との建設的な対話を通じガバナンスの向上や企業の持続的成長を促すというアプローチでございます。これがいわば車の両輪となって企業の持続的な成長を促していくということでございます。

1ページおめくりいただきまして5ページでございます。このコーポレートガバナンス・コードの位置づけでございますが、上の箱にございます日本再興戦略におきまして、下線部分に規定されております。下線部分でございますが、「東京証券取引所と金融庁を共同事務局をとする有識者会議において、秋頃までを目途に基本的な考え方を取りまとめ、東京証券取引所が、来年の株主総会のシーズンに間に合うよう新たに『コーポレートガバナンス・コード』を策定することを支援」。そして、その新コードにつきましては、「東京証券取引所の上場規則により、上場企業に対して“Comply or Explain”」、すなわち、「原則を実施するか、実施しない場合にはその理由を説明するか」というのを求めるものとなっております。

その検討状況でございますが、現在東証と共同で有識者会議を立ち上げており、これまでに2回の会合を開催して、近々また第3回目を開催する予定でございます。

1ページおめくりいただきまして、6ページ、コーポレートガバナンス・コードのイメージでございます。これはOECDのコーポレートガバナンス原則というのはこのようになっているということで、株主の権利や株主の平等な取り扱い、株主以外のステークホルダーの役割、開示及び透明性、取締役会の責任などについて規定がなされているということでございます。

次にスチュワードシップ・コードについてご説明します。8ページをご覧いただければと思います。この日本版スチュワードシップ・コードにつきましては、経緯にございますように、日本再興戦略を受け、金融庁の有識者検討会が検討を進め、本年2月に「『責任ある機関投資家』の諸原則」、すなわち日本版スチュワードシップ・コードを策定・公表しております。

その枠組みといたしまして、最初の横線にございますが、機関投資家がコードを受け入れるかどうかというのは任意ということでございますが、金融庁でコードの受け入れを表明した機関投資家のリストを3カ月ごとに更新する仕組みを通じまして、ボランタリーなコードの受け入れというのを促していくというふうな仕組みでございます。

 その機関投資家がとるべき行動につきまして、詳細に規定するのではなく、基本的な原則を提示する、“Principle-based”approachということでございます。

また、法令のように一律に義務を課するのではなく、機関投資家に対して、個別の原則ごとに、原則を実施するか、しない場合にはその理由を説明するかを求めております。

概要として、黄色い部分、例えば1番、機関投資家は基本方針を策定し、公表すべき。また、4番、建設的な対話を通じて投資先企業と認識を共有し、問題の改善に努めるべき。5番、議決権行使の方針と行使結果を公表すべきというような内容となっております。

1ページおめくりいただきまして、9ページでございます。この9月2日に金融庁は、8月末までにコードの受け入れを表明した機関投資家のリストを公表しております。一番上にございますように、コードの受け入れを表明した機関投資家数は、前回から33増加して160。一番下見ていただきますと、外資系の機関投資家数も67ということで、初回から17増加、うち海外本部から受け入れを表明した機関投資家は22ということで、初回から9増加という、高い関心を示されております。

1ページおめくりいただきまして10ページでございます。9月2日の公表に当たりまして、金融庁としても、機関投資家の皆様へということでメッセージを出しております。最初の丸の2段落目をご覧いただきますと、そのメッセージの中では、受け入れの是非を検討中の内外の機関投資家におかれましては、自らの置かれた状況を踏まえつつ投資先企業との建設的な対話を促進するという、本コードの趣旨・精神を踏まえ、さらに前向きな検討をお願いいたします、というお願いをしておりますほか、次の11ページご覧いただきますと、最初の丸の2行目でございます。各機関投資家の基本方針等についても、一旦公表したものは変えないということではなく、改訂を積み重ね、さらなる改善を図っていくという考え方がコードの趣旨・精神と整合するというようなお願いをしておるところでございます。

次に金融モニタリングレポートについてご説明します。13ページをご覧いただければと思います。この金融モニタリングレポートですが、昨年度、金融モニタリング基本方針というのを定めまして、その中で金融検査の基本的な方向性を何点か明らかにしております。

最初のポツにございますように、金融機関・金融市場では一体何が起こっているかをリアルタイムで実態把握し、潜在的なリスクを早期に特定し、前広に対応するということ。

さらに、2ポツですが、重要なテーマについて、業態横断的な実態の把握・分析、課題の抽出、改善策を検討する。

また、ミニマム・スタンダードの遵守だけではなく、よりすぐれた業務運営、ベスト・プラクティスに近づく観点からモニタリングを実施していくということでございます。

このモニタリングレポートは、こうした金融モニタリングを通じて得られた検証結果や課題を取りまとめ、7月に初めて公表したものでございます。このレポートによって、金融機関や市場関係者、金融サービス利用者との間で認識の共有がなされ、当局との建設的な対話を通じて、よりすぐれたベスト・プラクティスや金融システム・金融市場の健全な発展につながることを期待して公表しているところでございます。

14ページご覧いただきますと、金融モニタリングレポートの内容でございます。第Ⅱ章にありますように、業態別の分析のほか、第Ⅲ章、先ほど申し上げたテーマ別の水平レビューの概要ということで、経営管理やマネロンへの対応、投信販売業務体制、ITガバナンス等について横ぐしからベスト・プラクティスにつながるような分析がなされております。

次、15ページ、金融モニタリング基本方針についてご説明します。16ページでございますが、この金融モニタリング基本方針は、監督・検査共通の基本的な考え方を初めて示したものでございまして、キーはデフレ脱却と好循環の実現ということで、緑にございます金融仲介機能を金融機関が発揮いたしますと、それが赤にございます顧客の成長・発展につながり、それがオレンジの安定的な収益確保、これはさらに金融仲介機能のさらなる発揮につながっていくという好循環を目指す。と同時に、下の囲みにございます「金融システム・金融機関の健全性の維持」というのう目指したものです。

17ページご覧いただきますと、その重点施策としては、まず1番、金融機関が顧客を第一に考え、真に顧客利益になる商品・サービスを提供しているか。

2番、銀行が財務データ等に依存せずに、自分で事業の内容、成長可能性を適切に評価し、融資や助言を行うための取り組みを行っているか。

3番、最初のポツですが、商品開発・販売・運用に携わる金融機関がその役割・責任を果たしているか、経営姿勢、提供商品・サービス、業績評価等について検証する。

4番、グローバルな経済市場動向と金融システムや金融機関の健全性の相互作用をフォワードルッキングに把握・分析していくということでございます。

そのほか、18ページにその他の重点施策というのが規定されております。

19ページご覧いただきますと、その具体的なモニタリングの取り組み方法が規定されております。

1番でございますが、まず何よりも監督局と検査局が共通の方針のもとで緊密に連携して、オンサイト・オフサイトモニタリングをやっていくということでございます。

2番目に、よりよい業務運営に向けての建設的な対話を行っていく。

3番目に、国際的な連携を強化していく。

4番目に、関係者との対話の充実、情報収集の強化を図っていくということでございます。

最後に、「アジアの金融インフラ整備支援」についてご説明いたします。21ページをご覧いただければと思います。この点につきましては、日本再興戦略の中で、2ポツ、2番目の丸にございます「アジアの金融インフラ整備支援」ということで、「中堅・中小企業等の海外活動に対する円滑な資金供給の確保等のため、アジア諸国に対し金融インフラ整備の技術支援を促進する」というふうに規定されております。

次のページ、22ページをご覧いただきますと、アジア諸国に対する金融支援の戦略的な対応の方法ですが、左にございますように、「金融インフラの発展状況」というのは、各国ともにかなり異なっております。この中で、真ん中の上にありますように、日本主導でテーマを設定し整備を支援していく。同時に右の青囲みにございますように、制度基盤の中では、法令制定や決済システムのIT化、国際基準の設定というふうに、かなり横ぐし的にも捉えられるものもございます。これらにつきまして、二国間共通の課題等について知見を共有していくというアプローチをとっております。

その具体的な状況ですが、23ページをご覧いただきたいと思います。ここに掲げてあるモンゴル、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシアを中心に金融技術協力に係る覚書をこのように計画的に締結を進めているということでございます。

このような覚書に基づきまして、その次のページ、24ページご覧いただきますと、アジア金融連携センターというのを設立しております。この活動の内容ですが、本年4月に設置されておりまして、この夏よりアジア諸国等から金融当局者を研究員、これも将来各国の幹部になるような方々として順次招聘しており、現に、参考にございますように、ベトナム中銀から現時点で1名、モンゴル金融規制委員会から2名の研究員が実際に研修をして、いろんな、例えば監視委員会とか、今、証券課とか、そういう実際の部局に入っていろんな研修を行っているところでございます。

私からのご説明は以上でございます。

○吉野会長

松尾企画課長、ありがとうございました。最後に、それでは、今の関連で、一番最後に、青い、横文字で「日本の金融業とアジア」というので2枚紙がございますので、4月からアジア開発銀行に行きまして、いろいろアジアを回っていまして、日本の金融業との関係を考えていますが、ちょっと最後に数分お話しさせていただきたいと思います。

横向きに「日本の金融業とアジア」と、まず第1番目のところをご覧いただきたいんですけれども、現在のアジアの世界に占めるGDPが、2行目ですが、2013年で38%です。それで、これが予想で2050年では半分ぐらいになるのではないかと、このまま成長が続けばですね、というふうに言われておりまして、やはりアジアをいかに日本の金融業が取り込んでいくか、アジアをいかにうまい市場として考えるかということは非常に大切だと思います。

それから、2番目ですけれども、日本の金融庁は、最初は不良債権の縮減、それから金融システムの安定化と、それから徐々にリレバンになってまいりまして、最近が成長戦略だというふうに思います。

ただ、次のページをちょっとご覧いただきたいと思いますが、労働生産性のアメリカとの比較という横長の図がございます。これをちょっとご覧いただきたいんですけれども、一番左側が一般機械、それから、左から2番目が輸送用機械、自動車ですね。この赤い線、100と書いてあるのがアメリカの労働生産性です。ですから、アメリカよりも労働生産性が高いのは、一般機械と輸送用機械しかないということです。左のほうの5、6番目に金融・保険というのがあると思いますが、これが71.5です。ですから、アメリカと比べると、日本の金融・保険業はやっぱり労働生産性が低いということが言えると思います。右のほうを見ていただきますと、卸売・小売とか飲食店というのはやっぱり相当低いと。日本の金融・保険業も、71.5ではなくて、100よりも上になるように労働生産性というのを上げていかなくては私はいけないと思います。

そういう意味では、今後、ひとつ金融行政の中にも、効率性といいますか、生産性といいますか、そういうものが日本の金融業はきちんとしているかどうかというのも、ぜひ視点に入れていただきたいと思います。

前のページにお戻りいただきたいと思いますが、4番目ですけれども、最近はやはりリスクマネーの供給という、あるいは成長資金というふうに言われてきましたが、しばらく前までよく日本の金融業で言われたことは、4番目の冒険を冒さないという、こういう言葉がよくありまして、例えばニューヨークとかシンガポールに行きますと、私の学生の上司が支店長なんですけれども、いろいろ提案しても、いや、リスクがあるからやめとこうと、こういうことが多かったようであります。特にニューヨークのアメリカ人なんかに言わせますと、本来であればもっともうけられるところに日本の金融機関は入っていっていないと。やっぱり冒険を冒さないというところが強かったような気がいたします。

そういう意味では、リスクをとれる金融。先ほどの投資信託のような、いろいろこれから議論していただくリスクマネーの供給と投資家保護というのが、まさに両方のバランスが必要だと思います。

それから、5番目が2番目の決済システムに関するスタディーグループに関係しますけれども、これからやっぱり10年後、20年後の金融業というのは、決済ばかりでなくて、アセットマネジメントでも相当変わってくると思います。だから、そういう意味では、決済システムが今後10年後、20年後どういうふうになっていくのか、そういうビジョンも考えていただいて、日本がそこで先端の技術が発展できて、それが世界に輸出できるような、それくらいの大きなところを見据えて、ぜひお願いしたいと思います。

それから、6番目ですけれども、「見える産業」と「見えない産業」と。これはどういうことかといいますと、「見える産業」は自動車とか、家電とか、製造業です。「見えない産業」がサービス業で、金融というのは見えないところでいろいろ説明をしながら資金を動かしていくということです。

日本の強いのは、やっぱり「見える産業」はとても強かったわけです。ところが、「見えない産業」のほうは、どうしても言葉のハンディとか、いろいろありまして、なかなかうまくいかなかったと。現在アジアに日本の金融業の方がたくさん出られていますが、これは「見える産業」が出ていっているので、そこにいかにサービスを提供するかということで、やっぱり「見える産業」についていっている金融業だというのがまた現状だと思います。

そういう意味では、金融業自身がアジアでもっと自分でいろいろ展開できる、そういうふうになることが必要だと思いまして、そうしますと、やっぱり英語の説明力、あるいは、もう少し現地の通訳ですね。これは日本に留学しているアジアの方々って多いものですから、そういう方々を活用するということもぜひ考えていただきたいと思います。

それから、7番目は、日本発の技術革新。これが金融業からぜひもっと出るようにですね。パテントの数というのが各業種で出ていると思いますけれども、多分金融・保険業のパテントの数というのは少ないのではないかと思います。

それらか、8番目が、情報の収集ということがやっぱり金融業の場合に大変大切だと思います。先ほどの企画課長からのご説明の中にもありましたけれども、そういうものに加えて、アジア全体の政治情勢とか、それから国の情勢とか、そういうものも含めた情報が民間の金融機関にもうまく流れるような、そういうシステムを構築していただきたいと思います。

それから、9番目は、いろいろアジアとの連携がありますが、私は金融の機関で働かれたOBの方々が活躍できる場面がアジアではすごくあると思うんです。ところが、あまり金融機関のOBの方、あるいは金融庁のOBの方が行っているのが少なくて、もっといろんな国に、アドバイザーなり、それからテクニカルアシスタント、TAとして行かれることが可能だと思います。そのときには、現地の人と日本に留学したような人で、説明できて、通訳ができるという人が重要だと思います。

それから、ちょっと戻りますが、先ほどのITのような決済システムのときに、ちょっと聞いた話では、せっかくアジアに売りに行っても、英語が最後うまくできなくて商談が成立しなかったというようなことが少しあるそうなんです。どういうことかといいますと、日本人で英語のうまい方が説明に行かれるんですけれども、ほんとうの技術のところになるとすると、非常に専門的な説明が必要になるそうです。ところが、通訳の方々は文化系の人が多いですから、そこまで説明できないと。アメリカやイギリスやヨーロッパであると、英語で自分で説明するので、ITの技術者が自分で説明できると。そうすると、向こうも納得して商談が行ってしまうと。

ですから、やっぱりどういう形で、決済のシステムとか、いろいろ日本がすぐれたところを、やっぱりアジア全体で同じようなシステムにしていただくと、日本の金融業もコストがかからなくて済むわけですから、何とかそういうシステムを含めて、それから、制度も含めて日本がアジアのシステムをつくっていけるようなところまで進めていただければと思います。

それから、最後は、金融機関の労働生産性が低いという中には、やっぱり金融経済教育でしっかり個人が勉強しておくべきことと金融機関がその場で説明することというのが両方あるような気がしまして、やっぱり金融経済教育が必要だろうと。一番最後に、「赤信号で渡っていけない」と、これはもう誰でも小学校1年生から知っているわけですね。「投資信託は元本保証されない」と。これがやっぱりよくわかっていないわけですね。これはやっぱりちょっと何か日本の金融経済教育の根本がよくできていないのではないかと思いまして、やはりリスク商品、安全商品、そういうものぐらいは金融経済教育でしっかり勉強し、金融機関の方々は、それプラスアルファのところで説明されるというような社会が私は必要ではないかと思います。

以上、事務局からの説明と、それから私の追加の説明でございます。もし何かご意見等がございましたら、いかがでしょうか。大崎委員、何かございましたら。よろしいですか。いかがでしょうか。じゃあ、家森先生、どうぞ。

○家森委員

金融モニタリングレポートは今回初めて出ましたが、私も読ませていただきました。、今後も継続して出していただきたいと思いますし、今回、業態を見ると、信用金庫、信用組合及び証券会社がないというような感じになっているので、何か事情があるんでしょうけれども、今後、できたら全金融業態、金融システム全体を鳥瞰するようなものにしていっていただければと思います。

それからもう一つ、アジア連携センターの活動もこれから大変重要になると思いますので、ぜひ一過性で終わらず、ずっと続けてやっていただきたいと思います。

以上です。

○吉野会長

原田委員、どうぞ。

○原田委員

今家森委員がおっしゃったことと同じなんですけれども、金融モニタリングレポート、今までは中央銀行のFSRしかなかったところ、このモニタリングレポートができたことはとてもいいことだと思いますので、今後も継続をお願いしたいと思います。

そして、モニタリングレポートに書いてあったことについて一点申し上げます。吉野会長がご説明くださった2枚目の紙になりますが、労働生産性について書いてあるところなんですけれども、これはモニタリングレポートにも類似の記述がありましたが、日本の預金取扱金融機関の国内貸出業務における利益が非常に薄いということであろうと思います。収益性が低いため多分ここの労働生産性の低さに関係してきているところだと思いますが、なかなか貸し出しの金利が引き上げられないということも問題であって、信用リスクが反映させられないということも問題であるということがレポートのほうにも書いてありました。そこのところは構造的な問題でありまして、いつの時代をはかるかにもよるんですけれども、この図表にある年代で見ると、日本の金融機関の生産性というのはどうしても低く出てしまうというところはやむを得ないかと思います。

今日ご説明になかった参考1という資料の中を見ますと、例えば2ページ目などで、メガバンクの純利益、銀行単体での純利益の比率が大分低下しているような図がありますが、いろいろ規制も厳しくなっていますし、金利も上げられない状況で、どうしていくかというところは、もう少し踏み込んでレポートのほうでも議論していただきたいなと思います。

以上です。

○吉野会長

どうもご意見ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、さまざまなご意見をどうもありがとうございました。これで予定の議事を全て終了いたしましたので、以上をもちまして金融審議会総会・金融分科会合同会合を終了させていただきたいと思います。

本日の議事の模様につきましては、事務局のほうから後ほど記者レクを行わせていただきますので、ご承知おきいただきたいと思います。

また、今後の日程に関しましては、事務局からご連絡をさせていただきたいと思います。

今日は越智政務官にお越しいただきまして、どうもありがとうございました。

それでは、これで終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3645、3520)
本議事録は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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