金融審議会総会(第34回)・金融分科会(第22回)合同会合議事録

  • 1.日時:

    平成27年3月3日(火曜日)13時00分~14時30分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

○松尾企画課長

それでは、ただいまから、第34回金融審議会総会・第22回金融分科会合同会合を開催させていただきます。

本日は、皆様ご多用のところご参集いただき、ありがとうございます。また、金融審議会委員・臨時委員へのご就任をお引き受けくださいましたことにつきまして、改めて御礼申し上げます。

私、企画課長の松尾でございます。この後、新会長を選任していただきますが、それまでの間、議事の進行をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

本日は、麻生副総理・財務大臣・金融担当大臣は、国会審議の関係で欠席させていただいておりますので、ご了承いただければ幸いです。

では、議事を進めさせていただきたいと思いますが、本年1月25日の委員改選後初めての会合となりますので、委員・臨時委員の皆様をご紹介させていただきます。なお、全体の名簿につきましては、お手元に資料をお配りしておりますので、適宜ご参照いただければと存じます。

では座席順に、向かって委員の方々から見て右側のほうからご紹介させていただきます。

まず、秋池玲子委員でございます。

○秋池委員

秋池でございます。

○松尾企画課長

岩原紳作委員でございます。

○岩原委員

岩原でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

翁百合臨時委員です。

○翁臨時委員

翁でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

沖野眞已委員でございます。

○沖野委員

沖野でございます。どうかよろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

川島千裕委員です。

○川島委員

川島です。よろしくお願いします。

○松尾企画課長

川波洋一委員です。

○川波委員

川波でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

神作裕之委員です。

○神作委員

神作でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

神田秀樹臨時委員です。

○神田臨時委員

神田でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

黒沼悦郎委員です。

○黒沼委員

黒沼でございます。よろしくお願いします。

○松尾企画課長

河野栄子委員です。

○河野委員

河野でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

佐々木百合委員です。

○佐々木委員

佐々木でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

洲崎博史委員です。

○洲崎委員

洲崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

田邊栄一委員です。

○田邊委員

田邊でございます。どうぞよろしくお願いします。

○松尾企画課長

永沢裕美子委員です。

○永沢委員

永沢でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

原田喜美枝委員です。

○原田委員

原田でございます。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

福田慎一委員です。

○福田委員

福田でございます。よろしくお願いします。

○松尾企画課長

家森信善委員です。

○家森委員

家森です。よろしくお願いいたします。

○松尾企画課長

なお本日、大崎貞和委員及び田島優子委員がご欠席でございます。

それでは次に、金融審議会会長及び金融分科会会長をお決めいただきたいと存じます。金融審議会令第4条第1項及び第5条第3項の規定によりまして、委員の互選により選任することとされておりますので、皆様のご意見をお伺いしたいと思います。

福田委員、お願いします。

○福田委員

私は、ご経験やご見識を踏まえて、岩原委員をご推薦したいと思いますが、いかがでしょうか。

○松尾企画課長

ただいま岩原委員を推薦するというご発言がございましたが、ほかにいかがでございましょうか。田邊委員、お願いします。

○田邊委員

私も福田委員と同意見でございまして、岩原委員がご適任だと思っておりますので、推薦申し上げます。

○松尾企画課長

ありがとうございます。ほかにご発言ございますでしょうか。

ほかにご意見がないようでしたら、金融審議会会長及び金融分科会会長には、岩原委員が互選されたということになろうかと思いますが、いかがでございましょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○松尾企画課長

ありがとうございます。それでは、ご異論ございませんようですので、岩原委員のご承諾をもって会長、金融分科会長の就任をお願いしたいと思いますが、岩原委員、よろしゅうございましょうか。

○岩原委員

私に会長という大任が務まるか不安でございますが、ご指名でございますので、お引き受けさせていただきます。

○松尾企画課長

ありがとうございます。それでは、岩原委員に、会長及び分科会長をお願いしたいと存じますので、こちらの会長席のほうにお移りいただきますようお願いいたします。

(岩原委員、会長席へ移動)

○松尾企画課長

それでは、この後の議事進行は、新会長にお願いしたいと存じます。

○岩原会長

本日は、赤澤内閣府副大臣及び越智内閣府大臣政務官にご出席いただいておりますので、ご挨拶をいただきたいと思います。これからカメラが入りますので、少々お待ちいただきたいと存じます。

(報道関係者入室)

○岩原会長

それでは、まずは赤澤内閣府副大臣、よろしくお願い申し上げます。

○赤澤副大臣

こんにちは。金融担当の内閣府副大臣の赤澤亮正でございます。今日は、先ほど司会の松尾課長からお話があったとおりで、麻生大臣が予算委員会にとられておりますので、私と同僚の越智政務官で足を運ばせていただきました。冒頭、ご挨拶をさせていただきます。

金融審議会の先生方には、ほんとうに日頃から大変お忙しいところ、精力的に審議を重ねていただきまして、まことにありがとうございます。平成26年9月に諮問をいたしました2つのテーマについて、大変精力的にこれまでもご審議を重ねていただいております。まず本日は、プロ向けファンドを巡る制度のあり方、これについてはワーキング・グループの検討結果が出たということで、これについての報告をいただくことになっております。この問題については、本日の報告や議論、しっかりと受けとめさせていただいて、投資家の保護、あるいは成長資金の円滑な供給とのバランスをよく見ながら、バランスのとれた制度見直しをしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。

もう一つのテーマであります、これも平成26年9月に諮問させていただきました、決済業務等の高度化については、現在スタディ・グループにおけるご審議が続いているというふうに承知をしております。IT技術の発展など、決済分野の構造的な変化への対応、あるいは決済インフラを巡る国際的な連携の強化など、課題が認識をされていると承知しております。今後、これらの課題について、さらなる先生方のご審議をよろしくお願いいたします。

こうした問題は、金融グループのIT戦略、さらには金融グループを巡る制度のあり方とも密接不可分な面を持っております。こうした認識に立って、金融グループを巡る制度のあり方について、金融審議会の先生方にご検討をお願いしたいと考えておりまして、本日はこの後、越智政務官のご挨拶の後で、麻生大臣にかわりまして新たに諮問をさせていただきたいと考えております。委員の皆様には、本件につきましても活発なご議論をいただけるよう、くれぐれもよろしくお願いいたします。

岩原新会長をはじめ皆様方のご協力に心から感謝をし、これからもどうかよろしくお願いいたしますと申し上げさせていただきまして、冒頭の私のご挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○岩原会長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、越智内閣府大臣政務官にお願い申し上げたいと思います。

○越智政務官

皆様、こんにちは。麻生大臣、そして赤澤副大臣のもとで金融を担当いたします、内閣府大臣政務官の越智隆雄でございます。

本日はお忙しい中、足をお運びいただきまして、また委員・臨時委員への就任につきましてもご快諾をいただきましてほんとうにありがとうございます。私からも御礼を申し上げます。ぜひともこれからの2年の任期の間、時々の環境や課題に対応いたしまして、適切な金融行政を遂行していくために、ご協力を賜れれば大変ありがたいと思っております。

金融行政を巡りましては、これからの2年間の間にもさまざまな検討課題が考えられます。デフレからの脱却と、経済の持続的な成長に向けた取り組みを金融面からしっかりと支えていくために、今後とも金融資本市場のさらなる活性化に向けて取り組んでいく必要があると思います。また金融行政においては、利用者の利便、保護等の観点も重要でございます。我が国の金融業を巡る環境は、国際化や情報通信技術の高度化、少子・高齢化など大きく変化しております。こうした環境変化に対応しつつ、金融業、ひいては日本経済のさらなる発展につながるように、ぜひ皆様方からご知見をおかりできればというふうに思っております。

どうかご指導、ご協力のほど心からお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。

○岩原会長

どうもありがとうございました。

引き続きまして、赤澤内閣府副大臣より、金融審議会に対する諮問をいただきたいと思います。

○赤澤副大臣

それでは、諮問を行わせていただきます。

金融庁設置法第7条第1項第1号により下記のとおり諮問する。

金融グループを巡る制度のあり方に関する検討。

金融グループの業務の多様化・国際化の進展等の環境変化を踏まえ、金融グループを巡る制度のあり方などについて検討を行うこと。

以上でございます。どうかよろしくお願いをいたします。

(諮問書手交)

○岩原会長

まことにありがとうございました。

赤澤内閣府副大臣は、公務のため、ここでご退席されます。赤澤副大臣、どうもありがとうございました。

○赤澤副大臣

どうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

(赤澤副大臣退室)

○岩原会長

それでは、カメラの方々はご退室をお願いしたいと存じます。

(報道関係者退室)

○岩原会長

それでは、会長を拝命するに当たりまして、私からもご挨拶をさせていただきたいと思います。皆様のご協力を得て、何とかこの金融審議会が活発な議論をし、そして日本の金融をよくするための提言をまとめることができるよう、力を尽くしたいと考えております。

私は、10年間金融審議会の委員を務めた後、4年前に退任いたしまして、それ以降は金融システム安定化のワーキング・グループや、決済システムの高度化のスタディ・グループなど若干のお手伝いはさせていただいておりますが、金融審議会本体には出席しておりませんでしたので、慣れないこと、最近の事情でわからないことなど、至らぬことが多いかと思いますが、皆様のご協力、お力添えをお願いして、活発な審議会の議論を通じて、よりよい提言を審議会がまとめられるよう力を尽くしたいと存じますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

以上、簡単でございますが、ご挨拶とさせていただきます。

それでは、引き続き議事を進めさせていただきます。まず議事運営についてでございますが、今後とも金融審議会議事規則及び金融分科会議事規則にのっとって執り行ってまいりたいと思います。

なお、会議は原則として公開といたしますので、ご承知おきをお願いいたします。

また、各部会の部会長は、会長が指名することになっております。自動車損害賠償責任保険制度部会の部会長につきましては、引き続き洲崎委員にお願いしたいと存じます。公認会計士制度部会の部会長につきましては、私、岩原が務めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原会長

続きまして、投資運用等に関するワーキング・グループの審議の結果及び報告書の説明を、同ワーキング・グループの座長でいらっしゃいます神田教授からお願いしたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。

○神田臨時委員

投資運用等に関するワーキング・グループの座長を務めさせていただいております神田と申します。

このワーキング・グループにおきましては、昨年の10月から本年1月までの間、6回にわたり適格機関投資家等特例業務、いわゆるプロ向けファンドを巡る制度のあり方について審議を行いました。投資家の保護及び成長資金の円滑な供給という観点を踏まえ、適切なバランスがとれた対応をすることができるよう、ベンチャー・キャピタル関係者や消費者保護に関する有識者からヒアリングを行い、検討を行いました。以下、このワーキング・グループにおきまして取りまとめをさせていただいた報告書について、お手元の資料に沿ってご報告いたします。

お手元の資料ですけれども、資料1-1の数枚目から、ワーキング・グループの報告書があります。それから、資料1-2というのが概要になっておりまして、この資料1-2の概要のほうに沿ってご報告をさせていただきます。

最初に「プロ向けファンド」を巡る状況についての現状認識をワーキング・グループでは整理をいたしました。ファンドは、リスクマネー供給において大きな役割を果たすようになってきています。リスクマネー供給が経済成長に果たす役割等を踏まえますと、ファンドによる成長資金の供給が円滑に行われるようにしていくことが求められていると思われます。

一方、プロ向けファンド制度におきまして、アマといいますか、一般投資家への詐欺的な投資勧誘が行われ、投資家被害が増加しているという実情がありまして、そのことに鑑みますと、ファンドへの信頼を確保することにより、成長資金を円滑に供給していくためにも、投資家被害を適切に防止していくことが必要になります。

海外における規制の状況を見ますと、アメリカ、ヨーロッパ、シンガポール等では、ファンドに係る規制が強化されておりまして、登録制・認可制・免許制といったことが適用されております。例外としまして、アメリカにおけるベンチャー・キャピタルにつきましては、届出制が残っている形になっておりますけれども、登録と同じ情報の提出等が求められておりまして、また各種の行為規制や行政処分の対象とされております。

プロ向けファンドを巡る被害につきましては、例えばですけれども、実際には適格機関投資家からほとんど出資を受けておらず、詐欺的な勧誘がされていること、出資金の契約とは異なる投資へ流用されていること、運営内容について十分な情報提供が行われないこと等の問題が報告されております。

そこで、資料1-2の右側半分になりますけれども、適格機関投資家等特例業務制度のあり方ということでございます。このような状況を踏まえまして、適格機関投資家等特例業務制度のあり方につきまして、成長資金の円滑な供給を確保しつつ、投資家の保護を図っていくためには、出資者の範囲の見直しだけにとどまらず、総合的な対応を行っていくことが求められるということでありまして、法律改正を含めた次のような措置が必要と考えられるというのが、ワーキング・グループでの報告書でございます。

まず第1点ですけれども、「適格機関投資家等特例業務の届出者」についてです。この届出者には運用者としての一定の資質が求められますので、拒否要件・欠格事由等を設定すること、そして、届出書の記載事項の拡充・公表を行うことが適当であるとされました。

第2に、「適格機関投資家の位置付け」であります。これにつきましては、適格機関投資家に問題が多いという被害の実態に鑑みまして、出資者としての実態を伴わない適格機関投資家を排除する等のために、適格機関投資家の範囲や要件の設定を行うことが適当であるとされました。

第3に、「届出者に対する行為規制」であります。これについては、投資家被害の実態や諸外国の制度等に鑑み、届出制のもとでも、登録制の場合と同様の規定を設けることが適当と考えられます。そこで、適合性原則、契約の概要やリスク等を説明する契約締結前の書面の交付義務等を課すことが適当であるとされました。ただし、プロ同士の自由な取引を阻害しないという観点から、特定投資家から出資を受ける場合には、特定投資家との間の取引について適合性原則、契約締結前書面交付義務等は適用しないことが適当であるとされました。

第4に、「問題のある届出者への対応」です。これにつきましては、業務改善・停止命令等の監督上の処分の導入、罰則の引き上げ、投資家保護の観点から検査を行うことができることを明確化するのが適当であるとされました。

第5に、「出資者の範囲」であります。この点につきましては、プロ向けファンドの実態等を踏まえまして、投資判断能力を有する一定の投資家及び特例業者と密接に関連する者に限定することが適当であるとされました。

具体的には、昨年5月にパブリック・コメントに付された改正案というものがございますけれども、それに対して、株式会社について資本金のみならず純資産を基準とすること、それから、株式会社に加えてその他の法人も同様の基準とすることとされました。そして、ファンド運用者の子会社等や国、あるいは地方公共団体も対象とすること等の修正を加えまして、出資者の範囲を拡大すべきであるとされました。また、このことに加えまして、ベンチャー・ファンドについてですけれども、成長資金を供給するなどの役割があることや、アメリカ等においても別途の扱いがされているという例があることを踏まえまして、ガバナンスの確保、公認会計士による会計監査の実施など、相応の体制が整備されることを前提として、上場会社等の役員・元役員、新規事業の立ち上げ等の業務に直接かかわった経験があり、専門的な知識や能力を有する者等も含めるということが適当であるとされました。

以上、簡単でございますけれども、投資運用等に関するワーキング・グループの報告書の概要をご報告させていただきました。ありがとうございました。

○岩原会長

どうもありがとうございました。それでは、ただいまご説明いただきました投資運用等に関するワーキング・グループの報告書につきまして、ご質問、ご意見等があればお願いいたしたいと存じます。いかがでしょうか。何かご質問、ご意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

特にないということでございましたら、ただいまの投資運用等に関するワーキング・グループの報告を、金融審議会の報告とさせていただくということでよろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原会長

どうもありがとうございます。それでは、ただいまの投資運用等に関するワーキング・グループの報告を、金融審議会の報告とさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。

なお、この投資運用等に関するワーキング・グループの報告書につきましては、別途私のほうから大臣にお渡しをすることといたしたいと存じます。

続きまして、事務局より、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループにおける検討状況及び今後の予定についての説明、続けて本日の諮問事項に関する補足説明をお願いいたします。

○佐藤信用制度参事官

総務企画局信用制度参事官、佐藤でございます。私のほうから、決済業務等の高度化に関するスタディ・グループの検討状況及び本日諮問がございました、金融グループを巡る制度のあり方についてご説明を申し上げます。

資料といたしまして、資料2と右肩に書いております、決済業務の高度化に関するスタディ・グループの資料がお手元に配付されているかと存じます。

表紙をおめくりいただきたいと存じます。これまでのご審議の概要ということで、簡単にまとめております。麻生金融担当大臣より、昨年の9月26日、本金融審議会総会に対して諮問がございました。諮問の内容をそこに記載しております。決済業務等の高度化に関する検討ということで、決済サービスの高度化に対する要請の高まり等を踏まえ、決済及び関連する金融業務のあり方並びにそれらを支える基盤整備のあり方等について多角的に検討を行うことという諮問でございました。

この諮問を受けましてスタディ・グループが設置され、10月から審議を開始しているところでございます。スタディ・グループの委員のメンバーは、最後のページに記載しておりますが、本日会長に互選されました岩原先生を座長としまして、また本審議会委員の田邊委員、永沢委員、また翁臨時委員にもご参加いただいて、オブザーバーを含めて総勢二十数名にわたる委員にご参加をいただいて、ご審議をいただいているところでございます。

これまでの審議の流れとしまして、昨年内は10月以降毎月二、三回程度と集中的なペースで、主にヒアリングを行ってまいりました。主に決済に関する国内外の動向や各国の取り組みなどについて、委員の方々、また外部の有識者の方々からヒアリングを行いまして、ファクト・ファインディング(実態把握等)を昨年内は行ってきたところでございます。

年明け以降、このファクト・ファインディングを通じて把握された問題等を踏まえ、決済の高度化に向けた基本的な論点や方向性について、テーマごとにご審議をいただいている最中でございます。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。これまでのご審議における主な議論ということで、各回ごとの主なテーマを記載しております。昨年10月の第1回の会合におきましては、主にリテール分野、新たな決済サービスの登場やリテール分野を中心とした決済イノベーションの加速などについてご審議をいただきました。第2回以降第4回ぐらいまで、国際的な動向や、決済インフラの状況、またいわゆるホールセール、企業向けのキャッシュ・マネジメント・サービスの状況などについてヒアリング、ご審議をいただいていたところでございます。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。第5回、第6回と、銀行サイドから目を転じまして、ノンバンク・プレーヤーによる決済サービスの発展について、ヒアリングを行いました。第7回目につきましては、消費者トラブル、また情報セキュリティの観点からの諸問題についてご審議をいただきました。第8回につきましては、アジアを中心としたグローバルな連携・協力のあり方、また電子記録債権の利用状況と今後の課題等についてヒアリング、ご審議をいただいたところでございます。

もう1枚おめくりいただきたいと存じます。第9回、第10回につきましては、昨年内のヒアリングを踏まえまして、消費者保護に関する具体的な取り組みの状況、また銀行業規制等のあり方、全銀システムの高度化に向けた取り組みと今後の課題、銀行の決済関連業務の現状と課題等についてご審議をいただいていたところでございます。

4月ごろを目途といたしまして、スタディ・グループとしての議論の中間整理を行った上で、このスタディ・グループをワーキング・グループに改組し、さらにご審議を深めていただく予定と考えております。このファクト・ファインディングの過程におきましては、ITの進化の早さ、またITの進化も背景としまして、各国ともさまざまな取り組みが行われているといったご紹介が、ヒアリングを通じてございました。これに対して、例えば邦銀が十分に顧客の要請に応えきれているのかといったご意見もございました。さらにヒアリングの過程で、ある意味象徴的・印象的な言葉といたしまして、アメリカのJPモルガン・チェースのCEO、ジェイミー・ダイモンという方ですが、我々はグーグルやフェイスブック、その他の企業と競合することになるだろうというふうなご発言も紹介されました。

こうしたことを踏まえると、決済の高度化ということは、金融グループの IT戦略、さらにはグループ全体の経営戦略とも密接に関連しているのではないかといったことが認識されているところでございます。

続きまして、今の問題認識も受けまして、新たな諮問となりました金融グループ関連諮問の背景について、資料3-1、3-2と書かれた資料が配付されているかと思います。この2つの資料を使いまして、ご説明を申し上げます。まず、資料3-1の表紙をおめくりいただきたいと存じます。

1枚紙にまとめておりますが、本日の諮問の背景につきまして、この紙にまとめております。資料3-2で参考となる、グラフなどをつけております。これも使いながらご説明を申し上げたいと存じます。

まず、今回の諮問の背景といたしまして、金融審議会では、今、ご紹介申し上げました決済業務の高度化についての審議が進められております。そこでの議論等を通じて、この問題が金融グループのIT戦略、さらにはグループ全体の経営戦略の問題と密接不可分であることが認識されている。参考資料、ちょっと表紙をおめくりいただきたいと存じます。

円グラフと棒グラフが並んでおります。円グラフのほうは、アメリカの銀行のIT予算の優先投資分野について、『Technology Business Research』という雑誌が、ヒアリング等を通じてまとめたものでございます。この中では、維持への投資という、いわゆるメンテナンス、レガシーシステムの維持というのが大体312億ドル。一方で、変化への投資、新しいマルチチャネルやデータマネジメント、サービスの高度化等に向けた投資が半分以上を占めているという図となっております。

右側のほうは、日本の邦銀のシステム関連経費。これはFISCというところがアンケート調査でまとめたところでございます。これを見ますと、一番上の白塗りのところは安全対策、ここが約10%。維持・運用の真ん中の水色のところが約7割ぐらい。新規開発が一番下の赤いところで、2割を若干上回る程度という、そういう絵姿になっております。単純に比較が可能というものでもございませんが、アメリカの銀行が新しい変化に対する投資ということを積極的に行っているということが、このグラフからおわかりいただけるかと存じます。

また、先ほどの1枚紙のほうにお移りいただきたいと存じます。2つ目の○に、「足許」というところから書いております。足許、金融グループの多様化・国際化等が進展しているが、持株会社その他の金融グループを巡る現行の制度は、これらの実態に必ずしも十分に適合していないという指摘も存在しております。具体的な論点は、下に黒ポツを4つほど並べております。

まず最初の黒丸のところですが、主要行グループを中心に、金融グループの業務のうち、例えば国内銀行本体による業務からの収益の比重は低下の傾向にある。他方で、近時の国際的な議論では、持株会社を中心とした金融グループ全体の健全性等を母国当局が責任をもって監督していくべきとの流れにございます。

再び参考資料のほうに、もう1枚おめくりいただきます。またグラフを並べておりますが、金融グループの業務状況としまして、我が国のメガバンク3グループの、部門別の業務粗利益を並べたものでございます。例えば一番左側、三菱UFJフィナンシャルグループにおきましては、連結ベースの業務粗利益のうち、三菱東京UFJ銀行単体の利益が約半数程度。それ以外のところにつきましては、証券、信託、カード、あるいは外国の現地法人からのものとなっております。

三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループとも、それぞれ割合は違いますが、やはり銀行単体の利益以外の部分が相当程度あるという状況にございます。金融の国際化の流れ等も踏まえますと、やはりこういった海外から、あるいは銀行以外のところからの収益の比重が高まっていく可能性も想定されるところでございます。

一方で、我が国の銀行法は、銀行を中心とした規制体系となっております。銀行を中心とした規制がなされているわけですが、これと今の金融グループの業務の状況が適合しているかという観点があろうかと存じます。また、この参考資料の下のところに書いておりますが、近時の国際的な議論では、持株会社を中心とした金融グループ全体の健全性を母国当局が責任をもって監督していくべきとの流れがございます。

この参考資料をもう1枚おめくりいただきますと、国際的な破綻処理についての議論が紹介されております。金融グループの破綻処理アプローチということで、国際的な金融グループの破綻処理について、大きく分けてSPE(Single Point of Entry)と証左れるもの、またMPE(Multiple Point of Entry)と称されるものの2つのアプローチが存在します。国際的には、母国当局が持株会社に処理権限を行使し、グループを一体的に処理するというSPEが望ましい破綻処理アプローチとして主に検討されているところでございます。

この同じページの下のところに、SPE、MPEのそれぞれの紹介がなされております。SPEのほうは、母国当局が持株会社を中心に、国外の拠点も含めて破綻処理を全て行うというアプローチでございます。MPEのほうにつきましては、海外に存在する現地法人等につきましては、海外の当局が破綻処理を行う。したがって、破綻処理のあり方が、持株会社を中心としてシングルで行うか、それとも現地法人であれば、現地法人ごとに、マルチプルに行うか、この2つのアプローチがあり、SPEのほうが望ましい破綻処理アプローチとして主に検討されているという、国際的な状況がございます。

もう一つ、巨大銀行の破綻時の損失吸収力、TLAC(ティーラック)と称されておりますが、TLACの議論もございます。金融安定理事会(FSB)では、大き過ぎてつぶせない、いわゆるToo big to fail、リーマンショック後に主に議論されておりますが、この問題への対応として、グローバルにシステム上重要な銀行グループに対し、破綻時に損失吸収及び資本再構築に当てることができるよう、自己資本に加えて、長期社債等をあらかじめ発行・保有することを義務づける、TLAC規制を提案しております。SPEでの破綻処理が想定される金融グループについては、持株会社がTLACを発行・保有することになる予定でございます。このように、国際的な議論の中でも、持株会社の役割、持株会社を中心とした銀行グループの管理、破綻処理等が重要視されているという流れがございます。

すみません、行きつ戻りつしまして、もう一度先ほどの資料3-1にお戻りいただきたいと存じます。黒丸が4つ並んでいるところの、今は2つ目までご説明を申し上げました。3つ目、4つ目についてご説明を申し上げます。

3つ目に書いております。グループ全体の競争力強化に向けて、持株会社には、グループ全体での戦略的な経営方針の策定、的確な経営・リスク管理及びそのために必要な資本・資金の調達など、より幅広い中核的な役割が求められる傾向にある。これに対して現行の法制度上、持株会社は金融機関の主要株主の一形態との位置づけである。さらにグループのシナジー、コスト削減効果を高めるため、グループ全体での柔軟な業務展開を可能とする枠組みを望む声もあると。

再度、参考資料のほうをご覧いただきたいと存じます。先ほどの金融グループを巡る国際的な議論についての紙をもう1枚おめくりいただきまして、金融グループにおける経営管理上の課題と記載した資料がございます。

私ども金融庁のほうで策定しております、平成26年度金融モニタリング基本方針の中で、規模・複雑性・国際性、システミックな相互関連性を踏まえた、より強固なグループ・ベースでの経営管理態勢、また、持株会社の役割の明確化を含めたグループ全体の経営管理の高度化ということを記載しております。

右のほうに概念図を書いておりますが、上に持株会社があり、その下に銀行、信託、証券、あるいは海外の現地法人があると。そうしたところ、グループ全体に対する経営管理をどこが行うのか。例えば、伝統的には持株会社の下にある銀行単体がグループの中で大きな地位を占めているとするならば、この銀行がいわゆる兄弟の関係にある証券会社や現地法人を経営管理するということが、適正かつ十全になされ得るのか。グループ全体を見据えて、持株会社のあり方というのをどう考えていくのか、こういう観点があろうかと存じます。

その下のほう、これは概念図といたしまして、持株会社のもとに幾つかの銀行を子会社として設置しているという形態を書いております。この銀行グループを考えた場合に、グループのシナジー、あるいはコスト削減効果を高めるために、グループ全体での柔軟な業務展開を可能とする枠組みを望む声がございます。例えば、持株会社の下にある銀行の共通部分を持株会社に切り出す、あるいは持株会社の下にある別な会社にまとめて共通部分を実施することによって、グループ全体のシナジー、あるいはコスト削減効果を考える、そうした視点もあろうかと存じます。

もう1枚、この参考資料をおめくりください。次に、銀行グループの義務範囲に関する要望・意見の例といたしまして、決済のスタディ・グループの議論の中で出てきた、要望・意見を幾つか記載しております。

左側、マル1と書いております。電子商取引ビジネスへの出資ということがございます。ここではアマゾン社の例を記載しておりますが、ご承知のとおりアマゾン社といいますのは、いわゆる電子的な商取引市場を開設し、そこにさまざまな会社、あるいは個人も含めて出店をして、サービスを提供しております。このアマゾン社の例としまして、出店企業に対して融資を行うというサービスを開始しております。アマゾン社としましては、出店企業の経営内容はある程度把握しており、そうしますと、比較的簡単に融資判断をしやすいということもあり、この出店企業に対する融資、さらにここに書いておりませんが、販売に伴う決済等もまとめて処理をすることが考えられます。こうしたことを考えたときに、銀行グループにおいても、銀行業務とのシナジーを追求すべく、電子商取引ビジネスへの出資等を可能としてほしいという意見がございます。

右の上のほうですが、マル2と書きまして、金融関連ITベンチャー企業への出資。欧米の金融機関は、これからの競争相手はグーグルやフェイスブックである。先ほどご紹介しましたが、こういう認識のもとに、金融関連のITベンチャー企業への出資・買収を活発化しているという指摘がございます。日本の銀行グループにおいても、金融関連のITベンチャー企業への出資等を可能とし、戦略的なIT投資の道を広げてほしいとの意見がございます。

またその下にマル3と書いておりますが、金融機関では、決済関連事務の合理化を通じたコスト構造の見直しを巡る動きが活発化する可能性があるという指摘がございます。これを踏まえて、銀行間での決済関連事務の受託等を容易化し、銀行間やグループ内での連携・協働を容易にしてほしいという声がございます。

もう1枚、参考資料をおめくりいただきたいと存じます。アメリカの金融持株会社制度の概要を、参考としてつけております。米国では、銀行法とは別途、銀行持株会社法が存在しております。この法律のもとで銀行持株会社は、銀行業務及び銀行業務に密接に関連する業務を営むことが可能となっております。さらに1999年にGramm-Leach-Bliley法が制定されまして、この法律により、銀行持株会社法が改正されました。改正後の銀行持株会社法の中で、特に自己資本が充実し、経営管理の状況が良好と認められる会社をFinancal Holding Companyとしまして、このFinancal Holding Companyグループについては、通常の銀行の持株会社グループに比して、より柔軟な業務展開が許容されているところでございます。

その下にイメージ図を書いております。赤いところでBank Holding Companyのグループ内での業務を書いております。銀行業務、それに密接する関係する業務ということで、貸付けですとか、あるいは信用供与に関連した不動産評価、信用照会、リース等ができると。一方でFHC(Financal Holding Company)のステータスを得ました場合には、それよりもさらに広い範囲の業務ができる。具体的には、非適格証券の引受けですとか、マーケットメイク・ディーリング等ができる。さらに金融業務を補完する業務ということで、右側に記載しておりますが、FRBへの申請に基づいて、当局が個別に認可することによって補完する業務を行うことができると、このような枠組みが米国では構築されているところでございます。

先ほどの資料3-1の1枚紙のほうに、またお戻りいただきたいと存じます。今ご紹介しましたようなさまざまなご意見、論点、問題意識を踏まえて、真ん中にピンクで色づけをしているところがございます。金融グループにおいて、持株会社が、より一層実体を持った中核的な存在としてその機能を発揮することを可能とし、これに加えて銀行本業とのシナジーが期待できる分野において柔軟な業務展開を可能とするため、金融グループを巡る制度のあり方について検討が必要ではないかという問題意識でございます。

これによりまして、その左下にございます、金融持株会社を通じた機能発揮、持株会社による戦略的な経営方針の策定、さらにはグループ全体を見渡しての経営・リスク管理の強化。右側のほうに転じまして、グループ全体での柔軟な業務展開ということで、金融持株会社等によるグループ共通業務の統合的な実施、また、持株会社傘下の子会社の業務範囲の柔軟化等、これらのことを通じて、金融事業を巡るシナジー、コスト削減効果の拡大等が期待できるのではないかということで、以上、諮問の背景につきましてご説明をさせていただきました。

○岩原会長

どうもありがとうございました。それでは、討議に入りたいと存じます。皆様方からのご質問、ご意見等をいただきたいと思います。

福田委員、お願いします。

○福田委員

非常に重要な論点を提示していただきまして、ぜひ議論を進めていただきたいと思います。日本の抱えている金融環境というのは、過去大きく変わっていますし、これは赤澤副大臣もおっしゃったことですけれども、大きく変わっていますので、これまでのビジネスモデルではなかなか日本の金融業というのは成り立たないと思いますので、そういう意味では新たな形でのビジネスチャンスというのをつくるというのは大事だと思いますし、そういう意味で持株会社中心に金融ビジネスを考えていくというビジネスモデルは正しい方向性だとは思います。

その際、やはり持株会社のコーポレートガバナンスというものの確保というのは、やはり重要な問題だというふうに考えていまして、やはり持株会社であっても、実質上そこの取締役が商業銀行中心であれば、これまでと基本的には変わらないということになりますので、持株会社自体のコーポレートガバナンスというのをどういうふうに強化していくのかということというのは、持株会社の仕組みを考える上では重要なんだろうとは思います。

それから、こういう問題を考える上では、グローバルなスタンダードでいろいろなことが起こっているという問題。これは諸外国の例を見ればいろいろと参考になる例もありますけれども、それプラスやはり日本が抱えている固有の問題というものを、どういうふうにバランスをとりながら考えていくのかということは常に大きな問題だと思いますので、そういう点も踏まえながら議論をぜひ深めていただきたいというふうに希望いたします。

○岩原会長

ありがとうございます。ただいまの福田委員のご意見に関連してでも結構でございますし、それ以外の点でもいかがでしょうか。

原田委員、どうぞ。

○原田委員

ご説明ありがとうございました。福田委員のご発言に関連しまして、少し意見を述べさせていただきたいと思います。今回のこの諮問事項について、少し目指すところが今までのワーキング・グループなどに比べますと、曖昧であるかのような印象を多少抱きました。リスクマネーですとかプロ向けファンドという形での明確さが多少欠けているように思います。

そういう意味で、参考資料の3-2のほうでご説明いただきました資料のちょうど4枚目になるかと思うんですが、2つ絵がありまして、多分目指すところは2つに分けられるのかなと思いますけれども、1つはメガバンクなどを対象にした上の図になるかと思います。下のほうが、地銀銀行などを対象にしたグループになるのかなと思います。皆様ご存じのように、地方銀行は合併を重ねていますが、持株会社をつくってその下にぶら下がるという形であって、数は64のままずっと変化なしという状況が続いておりますので、持株会社をよりどう有効に活用するかという点での議論などは、地方銀行向けに必要ではないかと思います。

上の図にあります複雑な構造を持っているメガバンクのような持株会社ですと、これも皆様ご存じのことだと思うんですけれども、収益性などを見ますと、例えば預貸金利ざやなどを見ますと、メガバンクでは国内ではマイナスであると。国際業務も入れたらプラスになっているというようなことを開示していらっしゃるところもあるぐらいですので、いかに利益を出すかと。その1つとして、金融グループとしてのIT戦略というものがかかわってくるかと思いますので、より目的を明確にして運営をしていっていただければと思います。以上になります。

○岩原会長

ありがとうございます。ただいまのご指摘を踏まえてのご意見なり、あるいはそれ以外でも。いかがでしょうか。

家森委員、どうぞ。

○家森委員

ご説明ありがとうございます。1つ具体的なことでお聞きしたいんですけれども、今回の金融グループというのは、銀行を中核とする金融グループに関して議論をするのか、例えば保険会社を中核にするところでも持株会社という可能性もあるし、証券会社を中心とするのでもありますし、それから、協同組織金融機関についても特殊な形で、持株ではないにしても、何らかの方法をというのは以前から議論があるところでして、どのあたりまでをカバーする議論にされるのでしょうか。原田先生のご意見というのとも関連しますけれども、今、事務局で何らかイメージをお持ちでしたら、教えていただけたらと思います。

○岩原会長

事務局からいかがでしょう。佐藤さん。

○佐藤信用制度参事官

ありがとうございます。今私ども、主として思い描いていましたのは、決済を出発点の一つとして出てきた問題でもあり、やはり銀行グループのあり方をどう考えるのかというところがメーンテーマだろうと思っております。ただ、関連するいろいろな論点は当然あり得るとは思っておりまして、そうしたものは今後のご審議の動向も踏まえて考えていくということかと。ただ、やはり主とした問題意識は、銀行を中心とした金融グループ全体のあり方というところであろうかと考えております。

○岩原会長

よろしいですか。ほかにいかがでしょう。

秋池委員、どうぞ。

○秋池委員

1つ意見で1つ質問なんですが、金融機関も国内においては成長の余地を新たに探していきたいということをお考えになるのは当然なんだと思いますので、今回の議論は非常に重要なことだと思っております。ただ一方で、先ほど来もご指摘ありましたようなガバナンスでありますとか、金融機関としてやるべきこと、やるべきでないことというのはあろうかと思いますので、そういったところで議論していきたいと思います。

それに関連しまして、やや小さな点ではあるんですが、参考資料の5ページに、これ、欧米への金融機関の例ということで、マル2のところでITベンチャー企業への出資というのが例として挙げられておりますけれども、こちらは純粋にエクイティ、投資のリターンをとるためのベンチャーキャピタル的な出資ではなくて、事業の幅を広げるための投資なんだというふうに理解はしておるんですけれども、このあたりがうまくルールづけをしないと曖昧になる可能性もあろうかと思うんですが、そのあたり、どのように規律づけをしているのか、もしご存じでしたらお教えいただけたらと思います。

○岩原会長

佐藤さん。

○佐藤信用制度参事官

まずアメリカの制度、海外の制度につきましては、今海外の調査を行っているところで、制度面及び実態面も含めて幅広く調査をして勉強したいと考えております。なお、決済のスタディ・グループの中で出てきた話としましては、主として、銀行グループとして、IT投資を進め、それで金融グループのサービスの高度化につなげていくといった文脈でご紹介されていることが多かったと思います。ただ、具体的に何がしか考えるとしたときに、範囲なり規律づけというところは、検討していく必要があろうかと思っております。

○岩原会長

よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょう。

田邊委員、どうぞ。

○田邊委員

この問題意識でぜひ議論していただきたいと思いましたけれども、2つあって、持株会社の機能の問題と業務の展開のほうで、業務の展開で、今おっしゃったようなベンチャーへの投資とか、業務展開を柔軟にするというのは大変競争力を上げるという意味で期待されるというふうに思っているんですが、そもそもそういった業務をさらに広げる、あるいは柔軟化する母体としてのグループ経営というんですか、持株会社をヘッドとしたグループ経営がしっかりしていないと、業務の展開もできないだろうなというふうに思います。

それでしっかりしていないという意味じゃないんですが、今回こうやって調べていただくと、通常の民間の持株会社があって、いろいろな会社が下にあるという、連結的に経営しているのに比較して、ヘッドクォーターである持株会社が、民間に比べると相当機能が制限されていると。それはやっていないという意味じゃなくて、そもそも仕組みとして限界があるようなお話が書いてあったと思うんですね。だからそこら辺、私も勉強不足であれですけれども、そこら辺が何をもってそういう持株会社の業務が制限されていたかというのは、多分いろいろな健全性のほうから出てくると思うんですが、そこら辺、全体のヘッドクォーターがある持株会社であるグループ経営というものが、民間でも大変苦労するところなんですが、ここら辺の全体の関係性をうまく整理しないと、グループがうまく機能していかないというところに関して、より深く入っておかないと、業務を広げるという話以前の問題で、こっちのほうをしっかり議論していく必要があるのかなと感じております。

○岩原会長

ありがとうございます。今の点について、何か佐藤さんからありますか。

○佐藤信用制度参事官

今のご意見、貴重なご意見として、今後検討の視座に入れていく必要があろうかと思います。おそらく事業会社の中でも、持株会社のあり方というのはさまざまであって、金融グループの中でもまたさまざまな形態があるんだろうと思っております。一方で金融グループについては、やはりグループの中にある銀行の健全性をいかにして確保していくかという、そういう観点も重要でありまして、そういうさまざまな観点から、今後、具体的な検討を進めていく必要があろうかと考えております。

○岩原会長

ただいま田邊委員からご指摘のありました問題は、正確に理解できているか分かりませんが、持株会社の子会社の業務範囲の問題、持株会社のガバナンスの問題、持株会社自体の業務範囲が制限されているという問題等ではないかと思います。最初に福田委員がご指摘になった問題とも関連していると思いますけれども。現在の銀行法上は、銀行法52条の23・52条の23の2によりまして、銀行持株会社が子会社として持てるものは、主として金融に関連するものに限定されていて、かつ銀行持株会社の業務自体、銀行法52条の21第1項により、そういう子会社の経営管理に限定されています。ということは、銀行持株会社グループ全体として、原則として金融関連業務以外を営むことはできないということになっています。

このような制限の1つの理由は、いわゆるバンキングとコマースの分離にあると思われます。銀行持株会社グループとして、金融関連以外の一般的な産業に進出するということは、銀行の財務の健全性や金融の安定性その他の観点から妥当かという、非常に根本的な問題がある。そのような問題を避ける目的から、持株会社自体やその子会社の業務範囲は限定されているわけです。

もう一つのガバナンスの問題というのは非常に大きい問題で、仮に銀行の子会社よりも広い業務範囲を、持株会社の子会社なら営むことができるというようにするとすれば、最初に福田委員がご指摘されたように、持株会社のほうのガバナンスは銀行単体のガバナンスよりしっかりしているから、銀行の直接の子会社よりも持株会社の子会社の業務範囲を広くしていいと言えるのかという問題を考えなければいけなくて、銀行持株会社のガバナンスはいかにあるべきかというのは、非常に大きい問題として検討する必要があるのだろうと思います。

決済業務の高度化に関するスタディ・グループにおける検討の中で出てきた問題ではありますけれども、決済関連の新しい業務を、銀行持株会社グループがより広くやれるようにするという問題からさらに進んで、そもそも銀行グループが、銀行持株会社グループであればどこまでのことをやることが可能なのか。それを認めるためには、銀行持株会社のガバナンス体制がいかにあるべきか、今後検討していく必要があると思われます。本日いただきました諮問が、金融グループを巡る制度のあり方に関する検討を求めているというのは、そこまで深く検討してほしいということを諮問されたのではないかと理解しております。

いかがでしょうか。洲崎委員、どうぞ。

○洲崎委員

ただいま岩原会長からご説明ございましたけれども、我が国の場合は、銀行持株会社の場合には、グループでできる事業というのは非常に限られてしまって、まさに金融管理業務しかできなくなるわけですけれども。一方で、一般の事業会社のグループの中に銀行が入ってきた場合は、主要株主規制はかかってくるとは思いますけれども、しかし、金融管理業務しかできなくなるというようなことはなくて、銀行の兄弟会社は普通に事業を行うことができるという形になっていると思います。

ちなみに保険持株会社についてはその中間のような形になっていて、内閣総理大臣の承認があれば、金融管理業務以外の、例えば製造業とか一般小売業、それから保険会社の兄弟会社になることができる、そういう扱いであったと思います。金融持株会社規制と主要株主規制って、我が国に導入された時期も違いますし、また当時の立法動機というのも同じじゃないと思うんです。我が国の銀行を含むグループが、グループとして何をすることができるかという規制というのが、果たしてよく練られた上でつくられたものなのかどうなのか。特に銀行持株会社に対する規制が非常に厳しくなっているという点が、他の規制とほんとうに整合的なのかどうかというのは、これまで本格的には検討されたことがなかったのかなと思われるところでございます。

特に金融持株会社規制が導入されてから、もう15年以上ぐらいたちますし、先ほど佐藤参事官からご説明あったと思いますけれども、その間にも銀行業務の位置づけ、銀行に期待される役割というのは随分変わっておりますので、その意味で今回、ワーキング・グループを設置して、この問題を本格的に検討していただくのは大変結構なことであると思います。以上でございます。

○岩原会長

ありがとうございます。ただいま洲崎委員ご指摘のとおり、現在の銀行持株会社の業務範囲規制は、事業会社が銀行の主要株主になるときの主要株主規制とアンバランスになっています。金融関連業務以外の業務を営む事業会社が銀行の主要株主になることはでき、現にそういう例がいろいろあるわけでありますが、銀行持株会社自体やその子会社が、そういう金融関連以外の一般の事業を行うことは原則としてできないということになっているわけです。一方的なアンバランスなバンキングとコマースの分離規制になっているわけであります。

これは平成10年の銀行法改正で、現在の銀行主要株主規制や銀行持株会社規制を導入したときの立法時の事情でこのような規制になっているわけでありまして、今日の時点でそれが果たして合理的なのか、これからの日本の金融をよくする上で、現在のような規制を見直す必要はないかということは、まさに今回の諮問を受けて、本審議会で検討していただきたいことだと理解しております。

いかがでしょうか。翁委員、どうぞ。

○翁臨時委員

私は決済のスタディ・グループにも参加させていただいて、いろいろ欧米の金融機関の事例などを勉強させていただいたんですが、リーマンショック後、規制が強化されている中で、決済関連のビジネスについては、かなり積極的な動きが欧米の金融機関ではあるということを勉強させていただきました。やはり決済の高度化というのは、私たち個人の利便性の向上だけでなく、企業の決済についても効率化が進むことによって、経済全体にとってもメリットのある話ではないかというように思っております。

先ほどご紹介がありましたけれども、やはり日本の企業全体が、オープンイノベーションに関して、欧米と比べますと、どちらかというと変化への投資よりも、維持への投資の比率が高くて、それは日本の金融機関も同じようなことなのではないかと思います。そういう意味で、私もオープンイノベーションを通じて、金融機関がサービスの高度化とか、またIT企業とともに開発を進めていく方向で、より競争力を高め、利便性を向上させ、決済の安定性を確保できるように議論ができればと思います。

先ほど資料の3-2の6ページのところでアメリカの例がございまして、Financial Holding Companyのところでご紹介がありましたが、いわゆる限定列挙の部分でそれを広げていくという考え方もございますし、一方で、この右側の下のほうに、金融補完業務のように、申請に基づいて当局が個別に認可をしていくというやり方もあるというように思います。やはり特に技術革新の動きというのは非常にスピードが速いので、こういったいろいろな手法についても、限定列挙のものを広げていくということだけでなく、健全性の高い金融機関について、またはガバナンスがきちんとできている金融機関について個別に認可をしていくというようなやり方も含めて、幅広く検討していくことができればというように思います。以上でございます。

○岩原会長

ありがとうございます。いかがでしょうか。ただいまのご指摘等踏まえて、ほかにご意見、ご質問ございませんでしょうか。まだまだ十分時間がございますので、この際、今日出た問題以外も含めてでも結構でございますので、ご意見等賜れればと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員

それでは、ちょっと関連したことで。今までのお話の中でもありましたが、今回は特に焦点にはなっていないのですが、アメリカでは銀行と証券の垣根を、持株会社の子会社という形でずっと規制を緩和してきたわけですね。Gramm-Leach-Bliley法のあたりで、ほぼ実質的にあまり垣根がなくなるような、子会社を通してなら証券業務ができるというような形になりました。ですけど、その後リーマンショックが起こってから、逆にまたそれに対する反省などもあったと聞いておりますので、やはりそういった面から、海外の例を参考にすることもできると思いますし、ガバナンスを維持するというのがすごく大事だと思います。あと今回は、特に銀証の関係とかいうことがメインではないのですけれども、グループ全体として考えていく上では、また銀証の垣根の問題も関連してくるのかなという感想を持ちました。以上です。

○岩原会長

ありがとうございます。業務範囲の問題等を検討していきますと、どうしてもそういう問題も出てくるわけでありまして、現在でも兼任の問題ですとか、情報の遮断の問題ですとか、ファイアウォールの問題ですとか、いろいろな関係で、なお銀証の問題は残っております。また、先ほどのバンキングとコマースの分離という問題から、現在は例えば、銀行持株会社の子証券会社は証券専門会社でなくてはならなくて、証券関連業務以外の事業を営むことはできないとなっています。これに対して一般の金融商品取引業者の場合については、証券関連業務以外の他業を兼業することができるということになっているわけで、銀行グループ、銀行持株会社傘下の証券会社と、そうでない証券会社で、業務範囲規制の違いがあるというような問題もあり得るわけで、いろいろな形での問題が残っているというふうに考えております。そういう平成10年銀行法ででき上がった現在の体制をもう一度考えてみるという意味は、十分あり得るかと思われます。

ほかにいかがでございましょうか。平成10年銀行法の立法のとき、私は、法制懇談会の座長として立案に参加したのですけれども、当時の状況のもとで、当時立法できる範囲で立法したというのが平成10年銀行法であります。そのため、先ほどの主要株主規制と銀行持株会社規制のアンバランスの問題の他にも、持株会社の定義に、独占禁止法上の持株会社の定義を持ってきて立法したこと等、その当時の金融危機等の事情を踏まえたいろいろな問題が残されたわけであります。それから15年たって、これからの日本の金融をよくしていく上で、どのようにしたらいいのか。日本の金融業が、より高度のサービスを提供し、より競争力を強めるようにするにはどうしたらいいか、本審議会で検討すべき課題かと思います。

そしてまた、先ほどもう一つご指摘ございましたけれども、地方金融機関等が持株会社形態で業務を革新しようとされている。地方金融機関の問題というのも非常に大きい問題でありますので、そういうこともおそらく考える必要が出てくるのかと思います。

いかがでしょうか。よろしいですか。ほかにほんとうに特にございませんか。

特にないようでございましたら、本日の議事は以上にさせていただきたいと思います。多くの貴重なご意見をいただき、まことにありがとうございました。決済業務等の高度化に関する検討につきましては、スタディ・グループにおいて4月を目途に中間取りまとめを行った上で、さらに議論を深めていくため、スタディ・グループをワーキング・グループに改組していくことにしたいと存じます。また、本日諮問されました金融グループを巡る制度のあり方に関する検討につきましては、今後の具体的な検討を進めていくため、ワーキング・グループを設置したいと存じます。

なお、投資運用等に関するワーキング・グループにつきましては、本日の報告をもって基本的に一段落としつつ、金融庁において、本日の報告を踏まえた法案作業等に取り組んでいく中で、必要があれば開催することもあり得るということとさせていただきたいと存じます。恐縮ですが、よろしくお願いします。

新しく設置する2つのワーキング・グループの座長やメンバー等につきましては、私にご一任いただきたいと思いますが、皆様、よろしゅうございましょうか。

(「異議なし」の声あり)

○岩原会長

どうもありがとうございます。

それでは、予定の議事を全て終了いたしましたので、以上をもちまして、本日の金融審議会総会・金融分科会合同会合を終了したいと思います。

なお、本日の議事の模様につきましては、事務局のほうから後ほど記者レクを行わせていただきますので、ご承知おきいただきたいと思います。

また、今後の日程などに関しましては、事務局よりご連絡をさせていただきますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

皆様、本日はお忙しい中ご出席いただきましてありがとうございました。長時間ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課
(内線3645、3520)

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