第46回金融審議会総会・第34回金融分科会合同会合議事録

  • 1.日時:

    令和3年6月25日(金)10時27分~11時49分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室(オンライン会議) 
     
     
    〇神田会長 
     おはようございます。予定の時間よりは少し早いのですけれども、皆様方おそろいですので、始めさせて頂きます。

     ただ今から、第46回金融審議会総会・第34回金融分科会合同会合を開催いたします。

     本日の総会におきましては、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンライン会議を併用した開催とさせて頂きます。一般傍聴はなしとさせて頂きます。メディア関係の方々には、金融庁内の別室にて傍聴して頂いております。議事録は、通常どおり作成の上、金融庁ホームページにて後日公開させて頂く予定ですので、よろしくお願い申し上げます。

     会議を始める前に、留意事項を1点申し上げさせて頂きます。御発言を希望される方におかれましては、オンライン会議のシステムのチャット上にて、全員宛てにお名前を御入力頂ければと存じます。それを私のほうで確認をさせて頂き、私のほうから御指名をさせて頂きますので、御自身のお名前を名乗って頂いた上で、御発言頂ければと思います。

     それでは、本日は赤澤内閣府副大臣に御出席頂いております。開会に当たりまして、副大臣から御挨拶を頂き、それに続いて、この審議会に対する新たな諮問を頂きたいと存じます。

     赤澤副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

    〇赤澤内閣府副大臣
     おはようございます。金融担当の内閣府副大臣の赤澤亮正です。

     本日は、神田会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、金融審議会総会に御出席頂き、誠にありがとうございます。冒頭、政府の新型コロナウイルス感染症対策につきまして、この場を借りて御協力を頂いている全ての国民の皆様に厚く御礼を申し上げたいと思います。

     私は、内閣府副大臣としての担務に、新型コロナウイルス感染症対策も含まれておりまして、飲食店の第三者認証制度など、様々な施策に取り組んできたところでございます。特に、感染を防止し、収束へ向かわせる切り札とされておりますワクチン接種については、自治体の負担を軽減しつつ、加速化を図るために、今週6月21日からは企業等での職域接種も可能としております。感染を封じ込めながらワクチン接種を加速するという、総理の御言葉でいう「二正面作戦」に挑んで、1日も早く安全・安心な日常を取り戻すために総力を挙げて取り組んでいこうと思っております。

     また、同じく私の担務である経済財政、それから経済再生でございますが、その関係では、先週6月18日に、骨太の方針と成長戦略実行計画を閣議決定をいたしました。私もその担務でございますので、これらの取りまとめに全力で当たってまいりましたが、総理がおっしゃっているとおり、まずは新型コロナ対策に最優先で取り組むと。そして、その後、特にグリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策、この4つの課題を重点として投資を行い、力強い成長を実現し、世界をリードしていくことを目指しております。

     金融に関して申し上げれば、ポストコロナの新しい経済に対応する企業の挑戦を強力に後押しをしていくために、成長資金の円滑な供給やサステナビリティに関する開示などについて適切な制度整備が必要となります。今、いわゆるゼロゼロ融資が積み上がっている中、例えば攻めようとしているホテル等が設備投資しようとしても、今の債務残高ではお貸しもできないみたいなことは実際にあるようで、私の地元でも声が上がってきているので、そういうところも含めて、しっかり対応をして、金融の目詰まりというか、それが理由で経済成長を妨げられることのないようにしていかなければいけないと思っています。

     本日の総会では、成長資金の供給のあり方などに関する「市場制度ワーキング・グループ」の報告書を御審議頂きますが、まさに時宜を得たものであると承知をしております。私ども金融庁といたしましては、本日御議論頂いた内容を踏まえて、ポストコロナの新たな経済社会を見据えた市場制度の実現に向けて、必要な見直しを行ってまいります。また、サステナビリティに関する開示につきましては、今月開催されましたG7財務大臣・中央銀行総裁会議においても、サステナビリティに関する開示の取組が議題とされ、国際的にも検討が進められているところでございます。

     こうした中で、我が国として国際社会の議論をリードするとともに、日本企業の優れた取組を投資家に伝え、その資金調達を後押しする観点から、我が国におけるサステナビリティに関する開示のあり方について検討を行う必要があります。併せてポストコロナの企業の変革に向けて、企業と投資家との間の建設的な対話に資する情報開示のあり方について、企業の負担にも十分配慮しながら検討することが求められています。こうした観点に立ち、委員の皆様におかれましては、企業情報の開示のあり方に関して、今後幅広い検討を進めて頂きますようお願い申し上げます。

     それでは、先ほど会長からもお話がありましたとおり、ここで麻生太郎金融担当大臣の諮問を読み上げさせて頂きます。
     

    2021年6月25日

    金融審議会
    会長 神田秀樹 殿

    金融担当大臣 麻生太郎

     
    金融庁設置法第7条第1項第1号により下記のとおり諮問する。
     

     
    ○ 企業情報の開示のあり方に関する検討
     
     企業を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、投資家の投資判断に必要な情報を適時に分かりやすく提供し、企業と投資家との間の建設的な対話に資する企業情報の開示のあり方について幅広く検討を行うこと。
     
     以上でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

    〇神田会長
     どうもありがとうございました。赤澤副大臣におかれましては、他の公務のため、ここで退席されます。ありがとうございました。

    (赤澤内閣府副大臣退室)

    〇神田会長
     それでは、本日の議事の流れについて簡単に御案内をいたします。まず、今頂きました諮問事項についての補足説明、続きまして、6月18日に公表いたしました「市場制度ワーキング・グループ」第二次報告書、そして6月2日に公表しております「市場制度ワーキング・グループ」の「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」報告書について御説明をして頂きます。その上で、全体について、委員の皆様方に討議をお願いしたいと思います。

     それでは、まず、今頂きました諮問事項の補足説明について、事務局から御説明をお願いいたします。島崎さん、よろしくお願いいたします。

    〇島崎企業開示課長
     企業開示課長の島崎でございます。それでは、御手元の資料1、事務局説明資料、「企業情報の開示のあり方に関する検討」と題します資料に従いまして御説明を差し上げます。

     まず、おめくり頂きまして、1ページ目のサステナビリティに関する開示を巡る国際的な動きでございます。昨今、国内外でサステナビリティ、これはESG要素を含む中長期的な持続可能性でございますが、これに関する開示の充実に向けた取組が進められております。

     先ほど副大臣からもございましたが、G7などの国際会議においても議論が行われているところです。ただ、日本につきましては、去る6月11日にコーポレートガバナンス・コードの改訂を行いまして、サステナビリティについての取組の開示、ひいてはプライム市場の上場企業に対して、TCFDまたはそれと同等の国際的枠組みに基づく開示の質と量の充実を求めることといたしました。

     次に、米国では、バイデン政権下、SECが本年3月に気候変動開示に関する意見募集を実施しております。結果の公表は、まだ行われていません。

     英国は、昨年11月、TCFD提言に沿った開示の義務化に向けた今後5年間のロードマップを公表しております。その一環といたしまして、本年1月より、プレミアム市場の上場企業に対し、TCFD提言に沿った開示をコンプライ・オア・エクスプレイン方式で要求するなどの取組を行っております。

     EUにつきましては、欧州委員会が本年4月、サステナビリティ情報の開示を要求する報告指令案を公表して、2023会計年度から適用開始予定というような取組を行っているところです。

     基準設定主体の動きといたしましては、IFRS財団は、新たな基準設定主体の設置に向けた市中協議を実施しておりまして、本年11月のCOP26までに基準設定主体についての最終決定を行う予定ということを公表しております。

     さらに一番下になりますが、今月、G7、財務大臣ないし首脳のコミュニケが公表されておりまして、ここでは首脳コミュニケを抜粋しておりますが、一貫した市場参加者の意思決定に有用な情報を提供し、かつ、TCFDの枠組みに基づく義務的な気候関連財務開示へ、国内の規制枠組みに沿う形で向かうことを支持することが記載されております。

     続きまして、2ページ目でございます。こちらが先ほど御紹介差し上げました、6月11日に公表いたしました改訂版のコーポレートガバナンス・コードの概要でございます。

     1つ目が、取締役会の機能発揮につきまして、例えば、プライム市場における独立社外取締役の選任について規定しております。2つ目が、企業の中核人材の多様性の確保ということで、管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者について)。それから、3つ目が、サステナビリティに関する開示の充実として、先ほど御説明いたしましたTCFD等に基づく開示の質と量を充実すること等を記載しております。

     続きまして、3ページ目でございます。「ディスクロージャーワーキング・グループ」と題する資料でございます。これまで御説明させて頂きました、経営におけるサステナビリティの重視やガバナンスの議論の進展などを踏まえまして、投資家の投資判断に必要な情報というものを提供して、建設的な対話に資する開示のあり方について幅広く検討していくことが必要であろうということでございまして、御説明させて頂いております。

     主要な検討事項といたしましては、サステナビリティに関しましては、気候変動対応を申し上げてまいりましたが、ESGで言いますと、「S」と関連しえる人的資本への投資をここでは例示させて頂いております。

     ガバナンスに関する開示については、既に過去金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループなどでの御議論頂いているところですが、取締役会等の活動状況などについて、ここでは例示させて頂いております。

     それからその他、これもこれまでの金融審議会などで議論になり、一部府令改正なども行っておりますが、監査に対する信頼性の確保ということもあると思いますので、上記以外の事項として例示させて頂いております。

     私からの「企業情報の開示のあり方に関する検討」の御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

    〇神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして「市場制度ワーキング・グループ」が公表いたしました第二次報告書につきまして、座長を務めさせて頂きました私から概要を説明させて頂きます。

     御手元の資料番号ですと、資料の2-1というのが概要でして、資料の2-2というのが第二次報告の本体ということになります。

     昨年9月の金融審議会総会における大臣からの諮問を受けまして、「市場制度ワーキング・グループ」が設置されました。3つ検討を行いました。第1が成長資金の供給、第2が海外金融機関等の受入れに係る制度整備、そして第3が金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等のあり方、いわゆる銀証ファイアーウォール規制についてであります。

     これらについて検討を行い、昨年の12月に、「第一次報告」といたしまして、海外金融機関等の受入れに係る制度整備と外国法人顧客に関する銀証ファイアーウォール規制に関する内容を取りまとめまして、本年2月に、皆様方にこの場で御報告をさせて頂きました。

     その後ですけれども、成長資金の供給のあり方及び国内顧客に関する銀証ファイアーウォール規制について検討を重ねまして、今般、第二次報告として取りまとめを行いました。
    まず、成長資金の供給のあり方ですけれども、御手元の資料2-1で言いますと、1ページにありますように、一般投資家の保護を徹底しつつ、プロ投資家がリスクテイクを行いやすい環境を整備するという観点から、非上場企業に対する成長資金の円滑な供給に向けた制度整備を行うことを提言しております。

     具体的には、特定投資家による資金供給の促進として、個人の特定投資家の要件あるいは特定投資家への移行手続等を弾力化するとともに、特定投資家私募を拡充することを提言しております。
    また、非上場株式のセカンダリー取引の環境整備につきましては、証券会社による特定投資家向け勧誘規制を整備するとともに、株主コミュニティ制度において特定投資家を参加勧誘対象に追加するということを提言しております。

     このほかにも、第1に株式投資型クラウドファンディング制度の更なる機能発揮、第2に東証ベンチャーファンド市場の利用の活性化、第3に少人数私募の人数通算期間の見直し、これらについて提言をしております。

     次に、いわゆる銀証ファイアーウォール規制についてでございますけれども、資料2-1で申しますと、2ページ目にあります。今、画面共有して頂いていると思います。我が国資本市場の一層の機能発揮、国際金融センターとしての市場の魅力向上、顧客に対するより高度な金融サービスの提供の必要性、そして国内金融機関の国際競争力強化、このような観点から第1に情報授受等に関する規制の見直し、そして第2に弊害防止措置の実効性確保、この2つを行うことを提言しております。

     前のほうといいますか、情報授受等に関する規制の見直しにつきましては、第1に、上場企業等の顧客情報をグループ内の銀行・証券会社間で共有する場合に、事前の同意取得を不要とすること。ただし、企業からの「停止の求め」には応じる必要があることとすること。第2に、事前の同意取得時におけるデジタル化の促進に向けた制度整備。第3に、いわゆるホームベースルールの撤廃等を提言しております。

     それから弊害防止措置の実効性確保につきましては、第1に、顧客情報管理について、法人関係情報に係る行為規制に関し、銀行に対して証券会社と同様の規制を課すこと。第2に、利益相反管理について、グローバルスタンダードを踏まえた実務の高度化を促進すること。そして第3に、優越的地位の濫用防止について、当局によるモニタリングを強化すること等を提言しております。

     以上、簡単ですが、第二次報告の主な内容となります。中堅・中小企業や個人に関する銀証ファイアーウォール規制の残された課題等があるわけですけれども、これらの課題につきましては、当ワーキング・グループにおいて引き続き検討を進めていくこととしております。

     簡単でございますけれども、以上が「市場制度ワーキング・グループ」の第二次報告の主な内容とさせて頂きます。どうもありがとうございました。

     それでは、続きまして、「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」が公表いたしました報告書について、太田原市場課長から御説明をお願いします。太田原さん、よろしくお願いいたします。

    〇太田原市場課長
     市場課長の太田原でございます。

     ただいま御紹介がありました報告書本体は、資料3-2でございます。本日は、資料3-1で概要を説明させて頂きます。

     この「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」は、昨年12月に、「市場制度ワーキング・グループ」において、専門性・個別性が特に高いことから、別の会議体を設置することとしたものです。早稲田大学の黒沼悦郎先生を座長としまして、計4回議論を行い、本年6月2日に報告書が取りまとめられました。

     まず、最良執行方針等についての現状について紹介します。現行制度では、金融商品取引業者等が顧客の注文を最良の取引の条件で執行するための方針等を定め、公表し、これに従って執行しなければならないという義務が課されております。そして、「最良の取引の条件」は、価格のみならず、コスト、スピード、執行可能性など、様々な要素を総合的に勘案して定めることとされております。

     こちらの規制は、2005年に導入されたものですが、当時はPTSのシェアが低かったことや、価格で複数の取引施設を比較するためのシステム、Smart Order Routing――「SOR」と略します。これも普及していなかったことから、原則として、主たる取引場、すなわち東証であることが多いのですけれども、そこに注文を取り次ぐという最良執行方針等を定めている例が多いという実態がございます。

     その後、PTSのシェアの増加やSORの普及により、価格重視の注文執行をするための環境が整いつつあります。

     他方、SORの普及等に伴い、新たな課題も生じております。

     1点目は、様々なタイプのSORがあり、一部に利益相反構造があるという点です。例えば、自社のダークプールや系列のPTSに優先して注文を回送するというものです。

     2点目は、一部の高速取引行為者が、レイテンシー・アービトラージという、時間差から生じる複数の取引施設間の価格差を利用した投資戦略を採用していると見られる点でございます。

     一般の投資家の注文が複数の取引施設に順次回送されるような場合に、高速取引行為者が、いわば先回りして、有利な気配を対当し、後から来た一般の投資家の注文がそれよりも不利な価格で約定せざるを得なくなる、といった事象が指摘されております。

     このような点を踏まえて、新たな規制のあり方等について提言しております。機関投資家については、自ら執行方法に関する指示を行うことが通例であること等から、見直しの必要性は必ずしも高くない一方で、個人投資家については、基本的には価格が最も重要な要素であると考えられること等から、個人投資家に係る最良執行方針等については、より価格を重視する方向に見直すこととしております。

     また、「投資家保護上の課題への対応」に関して、利益相反構造に対する懸念等については、SORを使用する金融商品取引業者等に対して、SORによる注文執行ルール等の事前開示や、価格改善状況の事後開示を義務付けることとしております。

     また、レイテンシー・アービトラージへの対応については、その対応方針・対応策の概要の開示を義務付けることとしております。

     なお、Payment for Order Flow、いわゆるPFOFについても議論いたしました。PFOFとは、ブローカーがマーケットメーカーに顧客の注文を回送する対価として、マーケットメーカーから受領するリベートを指します。PFOFについては、例えばこれを原資として、投資家の支払う手数料の値下げまたは無料化につながるとの投資家の利益になる場合があり得るという指摘があります。他方で、利益相反や市場における価格発見機能の点で懸念する指摘もあります。PFOFについては、日本では実例が確認されていないこと、現在、アメリカでも規制の見直しが行われている途上にあること等を踏まえて、今後の状況等の変化に応じ、適切かつ機動的に対応することとしております。

     私からは以上でございます。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、討議に入らせて頂きます。

     今御説明頂きました、本日大臣から頂きました諮問事項についての補足説明、「市場制度ワーキング・グループ」の第二次報告、そして「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」の報告、これらにつきまして、委員の皆様方から御質問や御意見等を御出し頂ければありがたく存じます。どなたからでも、どの点でも結構でございますので、冒頭申し上げましたように、御発言頂ける方はチャットにて全員宛てに一行、お知らせ頂ければありがたく存じます。いかがでしょうか。

     ありがとうございます。松井委員、川口委員、佐々木委員の順にチャットを頂いていると思います。それでは、松井委員、どうぞお願いいたします。 

    ○松井委員
     ありがとうございました。3つ御報告頂いたかと思いますが、私は、「ディスクロージャーワーキング・グループ」について1つお伺いをした上で、1つ考えていることを申し述べさせて頂きたいと思いますが、「ディスクロージャーワーキング・グループ」の開示に関しての検討事項の中で、サステナビリティ開示の中の、先ほどESGの「S」の部分について、人的資本への投資ということでしたけれども、具体的にどのような事柄が含まれているのかということについて教えて頂ければと思います。

    ○神田会長
     ありがとうございます。これは、島崎さん。

    ○島崎企業開示課長
     こちらのほうは、かなり広い概念でございまして、どのような職場環境であるとか、あるいは人の育成についてであるとか、いろいろなことを、こちらはコーポレートガバナンスの文脈でも議論されてきていますし、例えば、米国SECの規制でも人的資本への投資の開示に関する内容が入っておりますが、こちらはプリンシプルベースで、事業を理解する上で重要な範囲で、人的資本そのものの説明や取組や目標を書くような形になっております。そういうことも含めながら少し幅広いものとしての、例えば職場環境ですとか育成などの点も含めてどうした開示というのが市場にとって重要かということを考えていくということだと思っております。

     以上でございます。

    ○松井委員
     ありがとうございます。

    ○神田会長
     よろしいでしょうか。

    ○松井委員
     この点につきまして、1つ私の考えですけれども、サステナビリティ開示で人権といいますと、恐らくイギリスとか、ヨーロッパ系の国々では人権デューデリジェンス(due diligence)と言いまして、サプライチェーンにかかる不当な労働等があったかどうかということを、リスク管理の一環といたしまして、このようなことがありますと、例えば輸入の差止めでありますとか不買運動でありますとか、様々なリスクにつながりますので、これを開示するようにというような開示が進んでいるかというふうに思います。

     ヨーロッパは、恐らくその開示の義務づけだけではなく、実施の義務づけのほうにも進もうかというふうになりつつあるのではないかと思いまして、サステナビリティ開示で、「S」関係といいますと、恐らくこのようなことを考えるのがヨーロッパなどでは一般的ではないかと思いますので、こういったことも含めてお考え頂けるとありがたいなというふうに思いました。

     以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。今御指摘頂いた点も念頭に置いて御検討をして頂ければと思います。ありがとうございました。

    ○松井委員
      ありがとうございました。

    ○神田会長
     それでは、続きまして川口委員、どうぞお願いいたします。

    ○川口委員
     ありがとうございます。私も、今後ワーキング・グループで審議されることになるであろう、「企業情報の開示のあり方に関する検討」についてコメントがあります。

     まず、サステナビリティに関する情報開示は世界の潮流でして、海外企業との比較で日本企業が正当に評価されるように、その開示制度を充実させるという方向性は妥当かと思います。

     実は、松井委員のコメントと重複してしまうのですけれども、せっかくの機会ですので、開示対象について、もう少し広く検討してはどうかと考えます。近年、人権問題として、サプライチェーンに関する開示を求める立法が海外で進んでいます。日本は、この点、相当に遅れていると言われています。日本では、現代奴隷というものが問題になるということが少ないのが理由と思いますけれども、企業の取引がグローバル化する中、世界水準を見据えた対応が求められています。政府としても、この問題は十分認識されていることだとは思いますけれども、企業情報の開示項目としても、この点は重要な課題ではないかと思います。

     また、諮問と少し離れるかもしれないのですが、幅広くということで、開示制度の枠組みについてコメントがあります。日本の会社が求められる情報開示というのは、金商法のみならず会社法などにも 規定されており、さらにその重複が課題となっています。サステナビリティに関しましても、会社法の事業報告で対処すべき課題として、その推進について言及する会社も少なくありません。金融庁の管轄にとどまらない問題であることは十分承知してはおりますけれども、これに限らず、開示しなければならないものがたくさんありまして、開示制度の統合や開示内容の整理についてもさらに検討を進めて頂ければと思います。

     以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして佐々木委員、どうぞお願いいたします。

    ○佐々木委員
     ありがとうございます。私のほうからは、今回、私が参加させて頂きました「市場制度ワーキング・グループ」の報告書に関連したことに、少し感想と意見を申し上げたいと思います。

     今回、ホームベースルールの撤廃をはじめとして、方向性を示すことができたと思っております。今後の課題として重要なことを幾つか申し上げたいと思うのですが、そもそも規制緩和ということですので、今回のこの緩和というのは、通常は経済学的に見て市場原理を働かせるために重要なものであると思うのですが、ただ、今回は銀行と証券の情報共有などがやりやすくなる方向での緩和ですので、やはり銀行と証券のグループ内での関係というのは、今後これによって強化される方向に進むと考えられます。

     つまり、銀行と証券のグループ化を、ある意味促進するものであると、そういうふうに考えますと、必ずしも個々の企業の競争を活性化するとは限らないという側面も持っております。これは、銀行・証券の分離というのは、もともとアメリカが原則として行っていたものなのですが、この分離を1999年に、アメリカがグラム・リーチ・ブライリー法によってほぼ完全に緩和したときに、やはりアメリカでもグループ化というものが進んだという実績がありまして、その弊害が問題になったこともありますので、そういったことからも明らかであると思います。

     したがって、この緩和は非常に慎重になるべきで、今回、今後弊害防止対策をとっていくということを掲げているのですが、その点で3つほどポイントとして私の意見を申し上げます。

     1点目は、行為規制の整備ということを記載されているのですが、実際に、これは少々ファイアーウォール規制だけの議論ではないのですが、金融機関で何か違反などが発生したときの罰則についても検討するということが重要なのではないかと思っております。例えば、日本では、こうした規制に対する罰則としては、何か違反が発生した場合に、欧米のように罰金を取るということではなく、行政指導を行うという形での対応がされてきていると思います。

     例えば利益相反の問題が生じたとか、何かトラブルがあったとかいうときに、欧米では巨額の罰金が科されるわけですけれども、日本では行政指導のみということになっており、特に最近では、欧米での金融機関への罰金の巨額化が問題になっていますが、そのような中で、日本国内では、また異なる形で対応がなされているということになっております。

     これは、どちらが優れているか、例えば罰金が優れているから罰金を入れたほうがいいというふうに私も単純に思っているわけではありません。ただ、グローバル化という点から、競争相手と罰則のあり方が異なってもいいのかという問題があると思いますので、やはり今後、検討が必要だと思います。もちろんこの点は、これまでも何度も恐らく議論されてきていて、その中で、やはり日本では莫大な罰金を取るということが法的にできないといったことなど、そういったことがあり議論が進んでこなかったところもあるのかと思います。

     しかし、規制緩和という形で、今回のようにグローバル化も見据えた上での対応をしていくのであれば、やはり罰則側についても、現状のままでいいのかということを改めて検討することが重要ではないかと思います。

     また2点目として、銀行・証券の規制を同等化するということが書いてありますが、証券には日本証券業協会が正式な自主規制機関となっておりまして、外務員資格の剥奪とか罰金徴収というのを行っているのですが、銀行側では、全銀協は特に正式な自主規制機関という形にはなっておりません。そういった相違も含めて考えていく必要があるのかと思います。

     また、3点目としまして、金融機関からの視点が中心になりますが、やはり事業会社の立場からの観点というのも非常に重要だと思います。ですので、そういった意味で、この緩和がどのような影響を与えているかをモニタリングし、事業会社の意見を吸い上げる仕組みを積極的に設けていくことが重要だと思っております。

     以上です。ありがとうございます。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして、井村委員、どうぞお願いいたします。

    ○井村委員
     井村です。「企業情報の開示のあり方に関する検討」についてコメントさせて頂きます。

     スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議には、連合からも参加をさせて頂いており、その際にも申し上げておりますが、サステナビリティに関する企業情報開示の中で、特に重要なのがESGの「S」、労働・人権の指標であります。

     労働については、労働環境やダイバーシティ、そしてコロナ禍で顕在化した雇用形態による格差など、また、人権については、サプライチェーン全体での人権や、公正で適正な取引をめぐる問題などの観点を踏まえて、企業の「S」に関する多方面にわたる情報開示を積極的に進めていく必要があると考えております。

     「S」の指標に関連する情報開示を促進し、その評価への社会の関心を集め、機関投資家が実際に投資判断やエンゲージメントで使うようになれば、結果として、格差問題の縮小、労働環境の改善、人権問題の是正につながり、それによって誰もが気持ちよく働き、安心して暮らせる社会をもたらすものと考えております。

     また、脱炭素社会の実現は、持続可能で包摂的な社会を構築していく上で重要な取組であり、「E」に関係する指標の積極的な開示も当然重要となります。その際には、産業構造の転換に伴う雇用や社会経済への負の影響を最小限にとどめる公正な移行を確保していく必要があり、労働組合を含む関係当事者との積極的な社会対話の実施を促す視点も、情報開示の検討に当たっては重要と考えております。「ディスクロージャーワーキング・グループ」においては、以上の観点を踏まえて、今後具体的な開示項目についての議論がなされることを期待しております。

     以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして岩下委員、どうぞお願いいたします。

    ○岩下委員
     どうもありがとうございます。私からは、資料2-1、「市場制度ワーキング・グループ」の、とりわけ最後のところにあります銀証ファイアーウォール規制の見直しに関連するコメントが1点と、もう少し広い立場からのコメントを1点申し上げたいと思います。

     こちらの、今映して頂いております銀証ファイアーウォール規制をそもそも導入したのは、1993年4月施行の金融制度改革関連法によるものだったと記憶しております。そのための議論を1990年前後、1991年ぐらいにやりました際に、私はたまたま金融制度調査会や、当時、証券取引審議会といった金融審議会の前身の審議会があり、そちらの審議の陪席者として会議室の裏でメモ取りをさせて頂いておりました。

     今から約30年前ですが、当時の感覚として、銀行と証券との間の相互参入をどう認めるかというふうな議論の中でのこの議論が進んでいたわけですが、その当時思われていた銀行や証券がそれぞれ持っている情報といったようなものの性格と、それから最近の情報といったようなものの性格というのが、かなり変化してきているような感じがいたします。当時は恐らく、顧客情報といえば顧客のリストで営業をかけるかどうかという話だったでしょうし、企業の情報というと、何となく半分インサイダー的な議論がもう当たり前に行われていた記憶がございます。

     それに比べると、最近の金融商品取引法であるとか、あるいは様々な金融商品取引法制の変化、あるいは金融慣行の変化に伴って、このファイアーウォール規制の位置づけというものは、私にはかなり変化しているような感じがいたしますし、今回このような形で、この金融ファイアーウォール規制が、上場企業に関して、ある意味で大きく撤廃されることになったということ自体は、競争を促進するという観点からも大変望ましいことだと思います。ただ、従来とは違った意味で情報を活用するという新しい時代の要請に応えるものとして、それは決して銀行や証券が自らの商売をやりやすくするために情報を活用するというよりは、利用者のために、ステークホルダーであるところの発行体企業であるとか、あるいは様々な投資家、そして一般の預金者に至るまで、全ての人々にとって利益をもたらすような形で情報を上手に活用していくということが大事だと思います。

     この点、この資料の左下であまり議論になっていませんが、同意取得の場合にデジタル化が可能であるということが明記されたということも非常に大きなポイントだと思います。昔からこの種の議論というのは、やたらと、こういう規制をつくるたびに山のような紙が増えて、山のようにハンコを押さなければいけないという、今の時代とは明らかに逆行する方向に議論が進んできてしまったような気がします。結果として、銀行の取引というのは、やたらと紙とハンコにあふれたものになってきてしまっているわけですが、これを徐々に世の中の求めている方向に変えていく必要があると思います。

     現在、菅義偉政権が重要な政策として掲げているデジタル化の推進というものに、銀行・証券も立たなければいけないという観点からすると、これは恐らく、比較的証券については、いわゆるネット証券、あるいは従来のトラディショナルな証券会社も、コロナ禍においてネット取引というものが圧倒的にシェアが高くなったと記憶しておりますので、その意味では、エンドユーザーまで巻き込んだ形でのデジタル化が進んでいるということは喜ばしいことだと思うのですが、翻って銀行はどうかと考えると、今回あまり銀行についての諮問はないわけですが、銀行とエンドユーザー、例えば企業・個人との間の取引のデジタル化というのは、残念ながら非常にゆっくりとしか進んでいません。

     例えば、いわゆるフィンテック行政であるとか、あるいは基幹系システムの見直しのようなことについては、銀証は最近、様々な取組を進めておられますけれども、しかし、例えば一般の中小企業の方々がインターネットバンキングを使っていますかというと、そこのところで、「イエス」の人の比率が非常に少ないので、結果としてデジタル化も進まない。2023年のインボイスへの対応のEDI的な取引をしようと思ってもできないということになってしまいがちで、これは実は、国の中で非常に深刻な問題を招来していると思います。いわゆるデジタル・デバイド問題です。デジタル・デバイドで、先進的な個人や企業というものは十分に銀行や証券会社のサービスを活用できているのに対して、そうでない人たちは非常に取り残されてしまう。これからは、まさにその情報を活用していこうという時代であるがゆえに、その傾向は一層強まるように思います。

     こう考えると、例えば、総務省さんが携帯会社さんのオフィスを使って、デジタル化の支援要員として様々なエンドユーザーへのサポートを行うということを進められているようですけれども、たしか今年度で1,700拠点で40万人に対して認証を行うという話がありました。同じようなことを銀行もやっていく必要があるかなというふうに考えている次第です。

     それと関連してということで、これからのこの議論、この場で申しますことが適当かどうか分かりませんが、私は立場上、銀行業界、あるいは各個別の金融機関、さらには金融庁さんから様々なメールを頂きます。そのメールのほとんどに添付ファイルがついている場合は、いわゆるPPAPと言われるパスワードを別途送り、それを開封するという方式ですが、委員の皆さんもそれをお使いだと思いますが、煩わしいと考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。特にスマホで対応できないというのは致命的です。

     この問題については、デジタル庁を所管することになる平井大臣も、政府でのPPAPの廃止についての発言をされておりますし、どうも金融庁さんが使っているということが、非常に金融機関がそういうことを使い続ける1つのメルクマールになっているような気がしますので、ここはぜひ「隗より始めよ」で、そうしたデジタル化を明らかに阻害していると思われるような無意味な慣行については、金融庁さんが率先して是正していくことに取り組んで頂くことが必要ではないかと思います。

     私からは以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして小林委員、どうぞお願いいたします。

    ○小林委員
     小林です。私からは、企業情報の開示のあり方に関してと、それから、「市場ワーキング・グループ」第二次報告書の取りまとめの今後の対応に関して意見を申し上げたいと思います。

     まず、企業情報の開示のあり方に関するこれからの取組ですけれども、おっしゃられたように、今、世界で統一基準制定が非常に加速しているわけですけれども、明らかに欧米が今中心になっております。

     そもそもの開示制度の土壌がそれぞれ違います。これは、必ずしも今回のサステナビリティに関する開示だけではなくて、総合的に開示のあり方を見直さないと、日本においては、単純にまた開示のタスクが増えるというような結果になってしまいます。先ほど川口委員がおっしゃられましたけれども、これにつきましては、全体の開示のあり方ということも含めて、重複の排除、あるいはそれぞれの開示の情報が全体の中でどういう位置づけになっているのかということを、しっかりフレームワーク全体を検討しながら、世界統一基準の設定を取り込んでいく必要があるのではないかというふうに思います。これが1点目です。

     2点目は、「市場制度ワーキング・グループ」の成長資金供給についてですけれども、今回、第二次報告の取りまとめで、大きな進展があったと思い感謝いたします。今後の制度整備についての細かい議論でぜひ考えて頂きたいのは、もちろん弊害防止措置というのは非常に重要ですけれども、併せて中小企業、あるいは個人の調達あるいは投資が上場企業に比べて不利にならないという視点でも考えて頂きたいということと、本来この議論を始めた趣旨というのを忘れずに、実効性のあるものになるよう、細かいところに集中するのではなくて、常に全体像を見ながら議論を進めて頂きたいという2点をお願いいたします。

    以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、チャットを頂いております順番ですと、河野委員、翁委員、原田委員の順になると思います。河野委員、どうぞお願いいたします。

    ○河野委員
     日本消費者協会の河野でございます。御説明ありがとうございました。一般国民の立場から発言いたします。

     1点目は、サステナビリティに関する開示の取組に関してです。SDGs推進と併せて、ESG投資に関する社会的な認知度というのは大変上がってきておりますので、世界標準の視点から、今回の諮問に速やかに対応してほしいと思っております。

     その上で、昨年公表されました、我が国における「ビジネスと人権」に関する国別行動計画や、つい先般取りまとめられて、7月に国連のハイレベル政治フォーラムに提出されるSDGsに関する自発的国家レビューにおいても、評価手法が不透明だという議論がございました。ですので、サステナビリティやガバナンスの判断に資するための開示項目の設定やデータの信頼性など、先ほど小林委員の御発言にもありましたとおり、その評価基準をしっかりと統一して、企業ごとのばらつきがないよう、質の担保が重要だというふうに思っております。

     2点目は、成長資金供給の円滑化で、ここで示されている方向性は、私のような立場から反対するものでは全くございません。ただ、杞憂であってほしいと思っておりますが、例えば一定の要件を満たした個人投資家の条件に関して、念には念を入れた要件設定だとは思うものの、このカテゴリーに当てはまるであろう一部御高齢の投資家においては、認知症等、判断能力の低下が心配される場合も今後出てくるのではないかと思いますので、条件に合致していたとしても、トラブルが起きないように留意をして頂ければと思っております。

     同様に、銀証ファイアーウォール規制見直しに関しましても、弊害防止措置として当局が監視を強めるということでございますけれども、こういったことが行われると、特に中小の企業において負の影響が出ないように、この施策の本来目指すところを、銀行・証券双方がしっかり理解して、想定されている効果を上げるために注力して頂きたいと思います。

     最後に、本題から少し外れると思いますけれども、コロナ禍において経済活動の低迷が一般市民の暮らしにも大きな影響を及ぼしております。日弁連が行っている市民・事業者向けの法律相談では、借入金問題や公的支援制度に関する相談が大幅に増えているという報告が公表されています。金融審議会の議題は、グローバルかつマクロの視点での政策提案が主となっておりまして、今回の施策も、大きな金融・経済の流れを淀みなく進めるための施策だとは理解しておりますし、そういうふうに受け取っておりますけれども、こうした施策は、回り回って、私たち、国民一人一人の暮らしに少なからぬ影響を及ぼすのではないかとも思います。今後も我が国は少子化と生産年齢人口の減少が続いていくと思いますので、金融施策の実施に当たっては、最終的には一人一人の国民にも影響があるという視点をぜひ忘れずに進めて頂きたいと思っております。

     私からは以上でございます。ありがとうございました。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして翁委員、どうぞお願いいたします。

    ○翁委員
     ありがとうございます。2点、申し上げたいと思います。

     まずディスクロージャーにつきましては、やはり、国際的にも、このサステナビリティに関する情報開示というのは非常に重要な課題になってきておりまして、今回、コーポレートガバナンス・コードでも書き込まれておりますので、検討することは大事だと思っておりますが、特に今まで御指摘のあった比較可能性を確保していくということの重要性と同時に、自主的に情報開示をいろいろ工夫していくという、そういう両方どちらも非常に重要だというふうに思っております。

     ですので、恐らくそれは分野によって、比較可能性をできるだけ確保していくということが非常に重要な分野、また、それによって投資家が比較をできて、結果的に企業にとっても、その開示を進めることによって、より取組が進む分野と、一層その開示を工夫をすることによって、より高みを目指せる分野など、いろいろあると思います。それは有価証券報告書にするのか、統合レポートにするのか、いろいろあると思うのですが、こういった比較可能性と、それから情報開示によるインセンティブ・コンパティブルというような方向と、どういうふうにしていくのがいいのかというような点もぜひ検討して頂くといいのかなというふうに思っております。

     2点目は、ファイアーウォール規制と成長資金の供給のところについてのコメントと質問ですが、両方とも非常に大事な規制改革で、今後のポストコロナの日本経済を活性化していくために非常に重要な取組だと思っております。

     私が少しお伺いしたいと思っているのは、非上場株式につきましては、今までは売買の媒介とか私募の取扱いというのが、日本証券業協会の自主規制のルールで禁止されていましたが、今後は、特定投資家向けに少人数私募の勧誘なども可能になってきていると思うのですが、「銀行制度等ワーキング・グループ」のほうで、地方銀行などが非上場の企業の事業再生を図る場合に、銀行が持っている投資会社などが、最終的にその非上場株式をどこかの企業にスポンサーになってもらうように斡旋するというようなことは、これによって、ある程度できるようになるのでしょうか。それとも、中小企業については、先ほどいろいろな課題があるので今後の課題になっていますというお話もありましたが、まさに非上場の企業というのが全国にたくさんありまして、そこが様々なビジネスモデルの改革を求められていると思いますが、そこで、今、地銀などが中心になっていろいろな事業再生をやっていこうというところで、こういったことも登録金融機関などで一定程度できるようになるということを意味しているのでしょうか。それともそれは今後の課題なのですかということをお伺いしたいと思います。

     ビジネスモデル改革のためには、本当にどういうところがスポンサーになっていくかということが非常に重要になっていくと思っておりまして、その点、少しお伺いしたいということでございます。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。御質問がありましたけれども、太田原さん、お願いいたします。

    ○太田原市場課長
     翁委員、御質問ありがとうございます。市場課長の太田原でございます。

     報告書の最後の方に「残された課題等」の箇所で中小企業等が位置づけられておりますのは、これは、一応報告書の位置づけとしては、情報授受規制の位置づけでありまして、同一金融グループで、中小企業あるいは非上場企業、個人の情報を共有する際のあり方についてが今後の課題ということです。非上場株式の扱いというのは、前半の「成長資金の供給のあり方」で触れており、その非上場株式の取扱いとは一応別物というような頭の整理をしております。

     ただ、実際には根っこは繋がっているという部分はあると思っておりまして、報告書にも記載しておりますように、今後のファイアーウォールの課題を検討するに当たっては、事業承継の問題などでも必要性が高まっている場面があるというようなお話は伺っております。したがって、どれほど規制緩和が役に立つのか。一方で、中小企業、個人に対しては、銀行の優越的地位の濫用の懸念というのも引き続き残るというようなお話もございますので、事業承継あるいはM&Aといったような場面とファイアーウォール規制がどういうふうに組み合わされて議論されていくのかというのは、まさに今後の課題であろうとは考えております。

     前段の成長資金のところで言えば、地銀は登録金融機関になっているところが多いというふうに認識しておりますので、やれることは増えるのかなとは思いますが、一方で、どれだけのノウハウがあって、どれだけ活用できるかどうかというのは、今後よく見ていかなければいけないというふうに考えております。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。前半の成長資金との関係では、おっしゃるように中小企業の非上場株式という意味では同じですので、特に非上場株式というのは、非上場企業の中の大企業に限定しているわけではないので、そういうことになり、現在の制度を前提にすれば、登録金融機関は登録金融機関としてのことはできますし、また、銀行グループに証券会社があれば、今ファイアーウォールとの関係があるというお話がありましたけれども、その証券会社は、今回の新しい制度での非上場株式について仕事ができるということですので、その意味では、御指摘のほうに向かっているというふうに思ってよろしいかとは思います。そんなところでよろしゅうございますでしょうか。

    ○翁委員
     ありがとうございます。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして原田委員、どうぞお願いいたします。

    ○原田委員
     ありがとうございます。まず、2つの報告者取りまとめに関わってくださった方々には御礼申し上げます。ありがとうございます。

     2点ありまして、1つは、「市場制度ワーキング・グループ」で議論されたことに関してです。この報告書を出して頂きまして、この報告書の趣旨に沿った形で、今後、制度変更をして頂くことになるかと思います。制度変更に当たっては、この報告書の趣旨に沿った形でということをお願いいたします。

     具体的には、市場寄りの原則といいますか、市場寄りの考え方が銀行サイドにも適用されるような形で、銀証間の規制差がなくなる、両者の違いがなくなる形でお願いしたいということを改めて申し上げます。ワーキング・グループでの議論では、銀行と証券で目線が違うとか、同じ土俵に立っていないといったような意見がありましたので、温度差がないように制度の設計をお願いいたします。
    今回、この見直しがあると、例えばですけれども、海外勤務経験のある金融機関勤務の人たちにとっても今後は仕事がしやすくなるといったような間接的なメリットもあるのではないかと考えました。これが1点目になります。

     もう1点は、資料1に関係するところで、ESGの内容になります。今出して頂いているページが1ページ目になりますが、このページの2ページ後、3ページ目のところに、「ディスクロージャーワーキング・グループ」立上げといいますか、再度再開という形になるのかもしれませんけれども、主な検討事項を上げて頂いております。先ほどからESGの「S」が大事で、労働、人材、日本はこの面で遅れているといったような議論をして頂いていますけれども、ESGの「G」も大事なのではないかということを申し上げます。

     このページの3番目ですが、ここでもガバナンスに関する開示とありますけれども、日本では、ガバナンスの面で最近事件もありました。制度はしっかりとできてきています。市場再編も予定されており、来年度からプライム市場もできます。「G」の改革は着実に進んできているのですけれども、日本企業のガバナンスという観点で見ると、今は残念ながら大きな懸念があるのではないかというふうに感じております。うちの企業の問題ではないとか、うちの省庁は関わっていないとかではなくて、外から見ると、日本全体の問題として、ガバナンス体制を横断的に議論してもいいのではないかと思っています。

     具体的にということで申し上げますと、外為法の改正に関してというところになります。ガバナンスに大きく関係するところで、外為法改正案に関する麻生大臣の発言というのが、令和元年11月21日の参議院の財政金融委員会であったのですけれども(関税・外国為替等審議会 第44回外国為替等分科会 資料4の12ページ)、コーポレートガバナンス改革路線というものの転換では全くないのだと、アクティビストの排除でもないということを改めて強調するというふうにおっしゃっています。

     ですが、昨今ニュースになっている事例では、その外為法の改正というのは、不適切に使われたという面はやはりあるのではないか今感じているところです。この「ディスクロージャーワーキング・グループ」でできるのであれば、ここでは監査に対する信頼性の確保などでも議論も頂くようですけれども、日本のガバナンスに対するグローバルな懸念について、考えて頂ければというお願いをいたします。今後日本のコーポレートガバナンスのよりよいあり方というのを考える際に、制度面の手当は十分整ったかと思いますが、もう少しソフト面でも、人の考え方の部分なども議論頂ければと思います。

     以上2点になります。ありがとうございます。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、次にチャットの順番で、福田委員、山本委員、河村委員の順になると思います。福田委員、どうぞお願いいたします。

    ○福田委員
     ありがとうございます。福田でございます。私からは、「企業情報の開示のあり方に関する検討」ということの問題に関して、1点コメントさせて頂きたいと思います。

     サステナビリティに関する議論は、コロナの経験も踏まえながらも、ものすごく世界的にも加速していて、ものすごいスピードで議論がこれから進んでいくのではないかと思います。多くの人は、総論ではもちろんこの流れというのは誰も反対しなくて、そういう流れは非常に歓迎すべきものだという話になっていくのだと思います。けれども、各論になると、またいろいろな議論というのはこれから出ていくということになるのだろうと思います。

     現状は、総論には皆賛成していて、各論はまだこれから作らなければいけないという段階にあると思います。そうした中で、これから少しずつグローバルスタンダード、国際標準というものがつくられていくのだとは思います。けれども、グローバルスタンダードというと聞こえはいいですけれども、これまでのサステナビリティの議論というのは、基本的には欧州主導でなされていて、必ずしも日本の実情が十分に反映されてこなかった面はないわけではないと思います。

     むしろ金融庁がこういう問題を積極的に取り扱って、G7など国際会議において、日本の実情に合うような形でのグローバルなスタンダードの構築ということに非常に積極的に関わるような機会を持つことが重要です。そのためのきっかけになるような議論というものをこれからぜひ進めていって頂きたいと思います。

     私からは以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして、山本眞弓委員、どうぞお願いいたします。

    ○山本(眞)委員
     山本です。よろしくお願いいたします。

     私からは、1つは今の企業情報の開示の点ですが、先ほど小林委員もおっしゃっていたことと同じ意見になってしまうのですが、やはり比較可能性で定型化をするとか、いろいろなことがあるかもしれないですけれども、まずその前に、全体の開示のあり方を整理して、金商法と会社法での開示事項とか、そういうもののダブりとか、枠組みをもう1回広く検討して頂ければありがたいなと思っております。

     国際的な比較のためとか、もちろん各企業の比較のためにも定型化も必要かもしれないですけれども、それと同時に、先ほど翁委員がおっしゃっていた各企業が独自性を出せるような、そういうような工夫についても検討して頂ければと思っております。

     ただ、そういうことをいろいろ考えると、どんどん企業側の負担といいますか、タスクが増え、負担が増えるという部分もあるので、トータルにここは「幅広く検討」と書いて頂いておりますので、負担軽減というか簡素化というかそのような面も含め、とにかく本当に幅広く検討をして頂ければいいなというふうに感想を申し上げます。

     それから、もう1点は、成長資金供給の円滑化の点、ワーキング・グループの報告書のところですが、このペーパーでいくと、「一般投資家の保護を徹底しつつ」というふうに冒頭に書いて頂いております。もちろんここを考えて頂いているとは思いますが、ともすると、やはり緩和というか、ある程度、制度を緩和していこうという方向に頭が行くと、やはり、一般投資家のことが置き去りにされてしまっては大変というところを懸念しております。

     個人の要件をある程度ここで、特定投資家の要件を緩和すると言っても、必ず限界的な部分の方もいらっしゃるわけですし、あと、例えばその後の最良執行の件の報告書などでも、最良執行方針を示すときに、どれだけ分かりやすく説明して頂くかとか、そこら辺の点も、もちろん報告書を読ませて頂くと、いろいろ配慮されていることは十分承知しておりますけれども、「一般投資家の保護」の視点を常に意識して頂けたらありがたいなというふうに思っている次第です。

     感想みたいなことで申し訳ありませんが、以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして河村委員、どうぞお願いします。

    ○河村委員
     河村です。お願いします。私は、日立、事業会社の立場で、この会社問題は今どういうことに直面しているかということを簡単に御報告申し上げます。

     2つの問題があります。このサステナビリティの開示について、1つ目の問題は、今はもうほとんどが気候変動問題になっています。気候変動というのは、具体的には炭酸ガスの削減の問題につながってきております。これはどうなるかというと、例えばメーカー、製造業の立場で言うと、工場とかデータセンターの電力供給をどういうふうにしていくかという問題にずっと演繹されるわけです。

     それで、今の日本の工場は、私どもの工場は、もうほとんど昔のイメージではありませんでして、コンピューターで回していて、ロボットが動いていて、裏側に大きなデータセンターを置いて、全部ITでコントロールしながら作っているんですけれども、そうなったときに、今、私どもの会社では、10年後の2030年に我が社が回している工場の炭酸ガスの排出をゼロにするということで膨大な投資を行っておりますが、これは、実は一つの企業の努力ではどうにもできない状況になっております。これが第1の問題点で、これは何かと言いますと、日本の電力料金の構造上の問題があって、原発が今止まっているので、日本の電力料金というのは計算の仕方がいろいろありますけど、ピーク時の料金を国際比較すると、3倍から5倍になっているんですね。ということは、もう先ほど申し上げた意味の工場がほとんど動かせない状況になっております。どうしてかというと、リニューアブル、グリーンの電力に変えるときには膨大な投資が要るわけですけど、日本はまだ、世界でやめなければいけないと言われている石炭火力を回して安い電力を作っても世界平均で3倍から5倍なので、これを完全にグリーンに変えると、もう何倍になるか分からないような話になっているので、非常に難しい環境の中で、今この開示というか、炭酸ガスの削減、電力をグリーン化するということをやっていますので、そういうマクロの議論と、この個別の企業の開示の問題というのは、もう少しリンクしないと、私どもは頑張ろうとしますけど、そういうことに資金的に対応できない企業が過半ですので、これはどうしていくのかということが1個あります。それが1つです。

     それから2つ目は、フィデューシャリー・デューティーの問題にやはり直面しておりまして、金融機関ではありませんけど、我が社も株主からたくさんのお金を預かって、それを投資して、最大化して、リターンで戻していくというフィデューシャリー・デューティーを追いながら会社の経営をやっているのですが、ここでこの環境投資、具体的には例えば二酸化炭素の固定化問題だとか、水素の製造とかということになってくると、これまた膨大な先行投資が要るわけです。フィデューシャリー・デューティーは、比較的短期できちんと利益を最大化してリターンを出していくということが前提になっていますので、このフィデューシャリー・デューティーのマネジメントと、それからサステナビリティの問題、気候変動、炭酸ガスの問題とどういうふうに連立方程式を解くかという大きな問題に直面しておりまして、ここのところを開示しないと、ただ「やります」と言っても、世の中、意味はないわけですね。

     したがって、ここのところは非常に難しい問題で、先ほどの電力と一緒で、1つの会社ではできないものですから、全日本でどう取り組むのか、あるいは公的な資金を入れて、このフィデューシャリー・デューティーで任せると投資が回らないところにどうやって資金を出していくかということも全日本の問題になってきますので、この開示について、今2つの問題を現場で非常に議論しながら対応を検討しているという状況を御報告申し上げます。

     以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、あと吉戒委員、佐古委員の順で、吉戒委員、どうぞお願いいたします。

    ○吉戒委員
     吉戒です。今、九州の福岡銀行本店の部屋からですけど、銀証のファイアーウォールの件です。

     現在、地方銀行というのは、実態としては、ほとんど投資銀行みたいな仕事には進出できていないというふうに思っています。ですから、今回の緩和というのがどれほど意味があるかというと、多分影響は軽微だと、軽いというふうにほとんどの地銀がそう思っていると思うんですけども、むしろそのこと自体が問題でして、これは今日のファイアーウォールの議論からちょっとずれていくんですけども、そもそも地方のこれからということを考えますと、やはり地方に中核的な企業、あるいは中堅企業といいますか、必ずしも上場していないことが多いと思うんですけれども、そういった企業、これから成長・育成していくといいますか、そういう機能をこれは一体誰か負っていくかというと、地方銀行の役割として、極めてここはミッションとして大きいんだろうと思うんです。

     こういった企業、イメージ的にはよく言うんですけど、年商で50億とか100億とか、これは地方では立派な大きな企業なんですけれども、こういった企業に対する投資銀行サービスといいますか、エクイティーを使ったビジネスですね。そういったものを提供していくのは一体誰なんだということになると、今回の銀証のファイアーウォールの話では、恐らくはほとんどの人がイメージしているのは、メガバンクと、そのグループの証券の話だと思うんですけれども、地方のこういった企業に対するエクイティーもののサービスですよね。こういった金融サービスというのを一体誰がやるかということになると、やはり地方銀行がやらなければいけないんだけど、残念ながら、今はとてもそんな能力があるとは、申し訳ないのですが思えないということです。

     そのこと自体がむしろ問題でありまして、情報のファイアーウォールの話というよりはちょっとピントがずれるんですけども、この能力がないままでいいのかということなんだろうと思います。むしろ、今回、この規制緩和といいますか、これを活用できるレベルに早く力をつけるといいますか、そういうことが必要ではないかと思うんです。

     地方で上場会社というのはそもそも少ないということはあるのですけれども、今後、東証の市場改革の中で、非上場化とかというような話が、実は話としては私の耳にも入ってきているものもあるのですけれども、そういった非上場化の話だとかになってくるというと、これはまさに今回緩和されるこのファイアーウォールと、こういったものが非常にやはり意味があるんですけれども、残念ながら、まだまだこれを活用するに至らない、至ってないというところが問題かというふうに思ってます。

     以上です。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。それでは、続きまして佐古委員、どうぞお願いいたします。

    ○佐古委員
     IT社会のセキュリティ、プライバシー、公平性保証技術を研究しております佐古と申します。門外漢なので、私なんかが発言してもと思い、前回は躊躇していたんですけれども、前回の最後に氷見野長官がおっしゃられたことにすごく感銘を受けまして、私みたいな、あまり経済について詳しくない者であっても、私自身の観点から発言することが重要かと思って、今日はお時間を頂きます。

     先ほどIT社会のセキュリティを研究していると申しましたけれども、セキュリティ被害の背景には、様々な社会のセーフティーネットから落ちこぼれてしまったり、あるいはその資本主義の競争に負けてしまって、経済的な窮地に立っている人が、簡単に明日のパンを買うお金を得るためにサイバー犯罪に手を染めているという事項が散見されています。なので、健全な社会の秩序を守るために、富が一部の人に偏らない施策というのをここで検討して頂ければというふうに思っています。

     特に、私の個人の疑問として、どうしてコロナ禍で苦しんでいる人がたくさんいるのに、こんなに株価が高いんだろうかというのがありますので、日本の経済成長の恩恵が国民全体に波及する、させられるようにという観点で、私自身は勉強していきたいと思っております。

     今日の話題に関して2点お話し申し上げたいと思います。経済格差をなくすべきということと同じように、情報格差というのもあると思っています。今回テーマになったディスクロージャーで、情報公開はすごく重要だと思っておりますが、一方で、公開された内容が適切な内容であるのか、シュガーコーティングして本質を隠すような言葉ではない、適切な公開であることの監視というものも重要だと思っています。

     2点目ですけれども、情報共有というのも、一部の人に情報が集まるというのと同時に、その集まった情報を、どうその組織が使うかというのが重要なのではないかと思っています。その情報の力というのは、それを他の企業や国民のためにも使えるし、一方で集めた企業が自組織のためだけに使うという、そういう使い方もできると思います。
    なので、情報共有をむやみに制限するのではなくて、その集めた情報をどういうふうに使っているのか。その組織をどう信頼できるのかというのが重要なのではないかと思っております。適切な情報共有、並びにその情報の使い方がされているということの監視が重要ではないかと思っております。

     以上です。ありがとうございました。

    ○神田会長
     どうもありがとうございました。以上でチャットに御発言御希望頂いた方々には御発言頂いたことになりますけれども、ほかにいかがでしょうか。それから、さらにもちろん2度目の御発言でも結構ですけれども、いかがでしょうか。特によろしゅうございますでしょうか。

     それでは、本日も大変多くの貴重な御意見を多面的な角度から頂きまして、一般的またマクロ的な御指摘から具体的な御指摘まで多数の御指摘を頂きまして、どうもありがとうございました。また、オンラインという状況でお疲れのことかと思いますけれども、長時間にわたり積極的にたくさんの御意見を頂きました。ありがとうございました。

     それでは、先ほどの話ですけれども、本日大臣から頂戴いたしました諮問につきましては、具体的な検討を進めていくため、ワーキング・グループを設置したいと思います。ディスクロージャーに関する検討を行うワーキング・グループでございますけれども、その座長につきましては、大変僣越でございますが、私が務めさせて頂ければと存じます。このワーキング・グループの名称とかメンバーの決定につきましては、大変恐縮ですけれども、これまでの慣例もあるかと存じますが、私に御一任を頂ければ大変ありがたいと存じます。以上のようなことで進めさせて頂いてもよろしゅうございますでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)

    ○神田会長
     どうもありがとうございます。それでは、そのように進めさせて頂きます。

     もう1点、先ほど御説明頂き、御意見を頂きました「市場制度ワーキング・グループ」の第二次報告、そして「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」による報告、この2つにつきましては、いずれもこれを金融審議会として御了承を頂きたいと存じますけれども、御了承頂けますでしょうか。

    (「異議なし」の声あり)

    ○神田会長
     どうもありがとうございます。オンラインでやりにくい中をありがとうございます。それでは、そのようにさせて頂きます。

     本日予定いたしました議事は、以上で全て終了となります。本日は少し早めに始めさせて頂きましたので、少し予定の時間よりは早いかもしれませんが、以上をもちまして、本日の金融審議会総会・金融分科会合同会合を終了とさせて頂きます。

     なお本日の議事の模様につきましては、事務局から後ほど記者レクを行いますので、御承知おき頂ければと存じます。

     また、今後の日程などについては、事務局から後日、御連絡をさせて頂きますので、よろしくお願いいたします。金融審議会で御議論、御審議頂くことも非常に増えていて、次々と課題がすごいスピードで出てきているように思いますけれども、委員の皆様方には、引き続きいろいろと御審議を頂ければと存じます。

     それでは、皆様方におかれましては、本日は大変お忙しい中を、オンラインという不自由な形での御出席を頂き、また大変貴重な御意見を多数頂きまして、ありがとうございました。以上で終了とさせて頂きます。どうもありがとうございました。
     

     

    以上

     

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