第53回金融審議会総会・第41回金融分科会合同会合議事録

1.日時:

令和6年8月26日(月曜)13時30分~15時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第1特別会議室 及び オンライン形式


○神田会長
 それでは、定刻になりましたので始めさせていただきます。ただいまから第53回の金融審議会総会、第41回の金融分科会の合同会合を開催させていただきます。皆様方には、いつも大変お忙しいところを御参加いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の出席状況でございますが、北尾委員と河野委員が御欠席と承っております。また、本日の会議は一部の委員の方々はオンラインにて御出席いただいております。
 会議の模様はウェブ上でライブ中継をさせていただいております。
 議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定でございます。
 会議を始めます前に留意事項を簡単に申し上げさせていただきます。御発言を御希望される方は、対面、会議室に御出席の方々は挙手あるいはネームプレートを立てていただければありがたく存じます。オンラインで御参加の方々には、オンライン会議システムのチャット上で全員宛てにメッセージを入れていただき、お名前と発言希望の旨をお知らせいただければありがたく存じます。それらを確認して私のほうで御指名をさせていただきますので、御自身のお名前を名のっていただいた上で御発言をお願いいたします。
 さて、本日でございますが、神田政務官に御参加いただいております。開会に当たりまして、政務官より御挨拶を頂きます。よろしくお願いいたします。

○神田政務官
 金融担当の大臣政務官の神田潤一です。
 本日は神田会長をはじめまして、委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところを金融審議会に御参加いただきまして、ありがとうございます。開会に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 岸田政権では、新しい資本主義の下で、家計の資産が成長投資に向かい、企業価値向上の成果が家計に還元されることで、さらなる投資や消費につなげる成長と分配の好循環の実現を最重要政策の一つとして位置づけております。
 こうした中、昨年12月に策定された資産運用立国実現プランに掲げた取組みを着実に進めていくことが重要です。その一環として、資産運用会社等のプロダクトガバナンスを実効的に機能させ、製販全体として顧客の最善の利益にかなった商品提供等が確保されるよう、金融審議会の「市場制度ワーキング・グループ」において、顧客本位の業務運営に関する原則を改訂し、プロダクトガバナンスに関する補充原則を盛り込むこと等について御検討を進め、報告書を取りまとめていただきました。
 本日、総会で本報告書について委員の皆様に御審議いただきました上、諮問に対する金融審議会としての御報告を頂ければと思います。委員の皆様の御尽力に改めて感謝を申し上げるとともに、御報告の内容をしっかりと受け止め、必要な対応を行ってまいります。
 次に、新たな諮問について申し上げます。
 ブロックチェーン技術をはじめとした様々なデジタル技術を活用した資金決済や送金等における新しい金融サービスが登場しております。我が国が抱える社会課題を解決し、持続的な経済成長を実現するためには、こうした技術の活用が必要不可欠であり、そのための環境整備が重要な課題となっております。
 今後もさらなる発展が見込まれる分野であり、利用者保護等に配慮しつつ、ビジネスの健全な発展を図るため、送金や暗号資産に係る資金決済制度等のあり方の検討を進める必要性が高まっております。
 また、損害保険業界における一連の不適切事案を受け、保険市場の信頼の回復と健全な発展を図ることも重要な課題です。金融庁では、損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議を開催し、本年6月に議論の結果を公表しました。この内容も踏まえ、顧客本位の業務運営と健全な競争環境を実現する観点から、保険代理店や保険仲立人に関する規制のあり方等についてさらなる検討を行っていく必要があります。
 以上2点につき、鈴木俊一金融担当大臣より諮問いたします。委員の皆様には幅広い観点から御審議をお願いしたいと思います。
 それでは、諮問文を読み上げさせていただきます。
 

2024年8月26日

金融審議会
会長 神田秀樹 殿

金融担当大臣 鈴木 俊一

 
 金融庁設置法第7条第1項第1号により下記のとおり諮問する。
 

 
○ 資金決済制度等のあり方に関する検討
 
 送金・決済・与信サービスの利用者・利用形態の広がりや、新たな金融サービスの登場を踏まえ、利用者保護等に配慮しつつ、適切な規制のあり方について検討を行うこと。
 
○ 保険市場の信頼の確保と健全な発展に向けた方策に関する検討
 
 昨今の損害保険業界における保険金不正請求事案や保険料調整行為事案などを踏まえ、顧客本位の業務運営や健全な競争環境を実現することにより、保険市場に対する信頼の確保と健全な発展を図るために必要な方策について検討を行うこと。
 
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。


○神田会長
 政務官、どうもありがとうございました。それでは、恐縮ですが、カメラの皆様方にはここで御退室をお願いできればと存じます。

(報道関係者 退室)


○神田会長
 それでは、議事を進めさせていただきます。まず、本日の議事の流れについて簡単に御案内いたします。まず、最初に今大臣からいただきました諮問事項について、事務局からの補足説明がございます。その後、「市場制度ワーキング・グループ」から報告書について御説明をさせていただきます。その上で、全体について皆様方に討議をお願いしたいと思います。
 まず、大臣からの諮問事項の資金決済制度等のあり方に関する検討について、三浦信用制度参事官から御説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。

○三浦信用制度参事官
 信用制度参事官の三浦でございます。
 私のほうから、今スライドに映っている資料1を基に、諮問事項である資金決済制度等のあり方に関する検討について補足説明をさせていただきます。
 1ページ目を御覧ください。金融庁では、2020年以降、送金・決済サービスの分野において、デジタル化等の経済・社会の変化に応じ、資金移動業規制の柔構造化、暗号資産交換業の規制強化、電子決済手段等取引業の創設といった対応を行ってまいりました。一方、足下では、送金・決済・与信サービスにおける利用者・利用形態の広がりや、近年では立替サービスなどの新たな金融サービスも見られます。
 2ページ目を御覧ください。こうした送金・決済・与信サービスの利用者・利用形態の広がりや、新たな金融サービスの登場が見られる中、ビジネスの健全な発展に資する規制のあり方について、検討を行っていく必要があると考えており、以下、主な検討課題をお示ししております。
 まず、1段目の送金分野についてですが、左側を御覧ください。資金移動業の資産保全についてです。現行制度では、資金移動業者が破綻した場合、供託手続を通じ、国が各利用者に対して還付手続を実施するよう定めております。その結果、利用者への資金の還付に最低約170日を要します。
 このような現状を踏まえ、利用者資金の還付手続をより迅速に進めていく観点から、新たな制度整備としてどのようなものが考えられるか御議論いただければと考えております。
 続いて右側ですが、様々な目的で国境を越えた送金を行うクロスボーダー収納代行サービスが登場しており、こうしたサービスと、資金移動業者による送金サービスとの規制の衡平について、御議論いただければと考えております。
 次に、2段目の暗号資産等について、左側になりますが、2022年11月に暗号資産交換業者の国際的な破綻事例が発生しました。このようなグローバルに活動する暗号資産交換業者が破綻した場合等に、暗号資産が国外に流出しないよう、国内の利用者財産の返還を担保する仕組みについて御議論いただければと考えております。
 続いて右側を御覧ください。資金決済法における電子決済手段、いわゆるステーブルコインの一つとして位置づけられている特定信託受益権ですが、現行制度では、その発行見合い金は、全額を預貯金で管理するよう求められています。
 電子決済手段としての価格安定性、流動性、償還確実性を確保しつつ、管理・運用方法を柔軟化することについてどう考えるかについて御議論いただければと考えております。
 3段目は、その他の事項になります。左側についてですが、事業者が利用者の依頼に基づき資金を預かることなく送金し、後日利用者に対して立替金を請求するような取引を行う立替サービスが登場しております。
 このような新たなサービスについて、資金移動業者による送金や貸金業者による与信との関係をどのように考えるか、御議論いただければと考えております。
 最後に、右側ですが、国内に拠点を有しない外国銀行等が、日本国内の銀行が組成するシンジケートローンに参加し貸付けを行う場合、貸金業登録が必要となります。そのため、例えば国内事業所の設置など、貸金業登録に当たっての規制に係る負担もあり、こうした事業者の負担について御議論いただければと考えております。
 3ページ目には、御参考として、ただいま申し上げた検討事項と関連する閣議決定を載せております。
 以上を踏まえまして、資金決済制度等に関するワーキング・グループを新規に設置して、御議論をお願いできればと考えております。
 私からは以上でございます。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、諮問事項の2つ目になりますけれど、保険市場の信頼の確保と健全な発展に向けた方策に関する検討につきまして、赤井保険企画室長から御説明をしていただきます。よろしくお願いいたします。

○赤井保険企画室長
 保険企画室長の赤井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私から資料2に基づき、諮問に関する補足説明をさせていただきます。初めに、諮問の背景について御説明させていただきます。資料の1ページを御覧ください。
 金融庁では、昨今の損害保険業界における保険金不正請求事案と保険料調整行為事案等の発生を受けまして、主に制度・監督上における必要な対応を検討するため、本年3月から6月にかけて損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議を開催し、この会議での議論をまとめた報告書を本年6月25日に公表しました。
 本報告書では、両事案の再発を防止するための様々な施策が盛り込まれております。これらの中には業界における取組みや金融庁における監督上の取組みも含まれており、直ちに実現可能なものについては速やかに実施に向けた作業が進められております。
 一方、これらのうち法改正が必要と考えられる論点については、金融審議会の開催も視野に入れ、検討を継続することが求められております。
 本報告書の内容等も踏まえまして、金融庁が主な検討課題として認識しているものとして、まず1点目は、大規模乗合代理店に対する厳格な規制でございます。保険業法令においては、保険会社に対して保険募集の委託先である保険代理店を適切に管理・指導することを求めるとともに、保険代理店に対しても保険募集の業務に関する態勢整備を求めております。
 しかし、今般、一部の大規模乗合代理店においては、保険会社による管理・指導が適切に行われておらず、不適切な保険募集の事例が認められております。こうした問題への対応として、大規模乗合代理店に対する規制の厳格化等の制度整備の必要性について御議論いただきたいと考えております。
 2点目は、保険仲立人の活用促進でございます。保険仲立人は、1996年の保険業法改正による制度導入以降、登録業者数や取扱契約額は伸び悩んでおります。このため、企業向け保険市場の競争環境の改善を通じた活性化を図る観点から、保険仲立人の活用を促進するための方策について御議論いただきたいと考えております。
 また、今挙げました課題以外にも、損害保険会社における火災保険の赤字構造の改善、企業向け保険市場における保険契約者等への不適切な便宜供与の解消に向けた方策等についても、併せて御議論いただきたいと考えております。
 以上を踏まえまして、損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループを新規に設置し、顧客本位の業務運営や健全な競争環境を実現することにより、保険市場に対する信頼の確保と健全な発展を図るために必要な方策について御議論をお願いできればと考えております。
 私からは以上でございます。

○神田会長
 どうもありがとうございました。神田政務官はほかの公務のためここで御退席されると伺っております。政務官、どうもありがとうございました。

○神田政務官
 すみません、こちらこそありがとうございました。
 皆さん、よろしくお願いいたします。

(神田政務官 退室)


○神田会長
 それでは、続きまして、7月2日に公表されました「市場制度ワーキング・グループ」の報告書について、私がワーキング・グループの座長を務めさせていただきましたので、私から簡単に御説明をさせていただきます。
 お手元の資料で申しますと資料の3-1が報告書の概要になりまして、3-2が報告書の本体になります。今日は3-1の概要に基づいて簡単に御説明をさせていただきます。
 「市場制度ワーキング・グループ」におきましては、本年4月から3回にわたり、主としていわゆるプロダクトガバナンスについて議論し、7月に報告書を取りまとめました。
 報告書におきましては、第1にプロダクトガバナンスに関する原則の策定、そして第2に金融・資本市場をめぐるその他の論点についてまとめております。
 資料3-1の1ページ目を御覧ください。こちらがプロダクトガバナンスに関する原則の策定でございまして、これにつきましては、成長と分配の好循環を実現するため、製販全体として顧客の最善の利益にかなった商品提供等を確保すること。そして、その際、組成会社・販売会社の負担にも配慮し、プロダクトガバナンスの確保により得られる便益とそれに要するコスト等が釣合いの取れたものとなるよう、金融商品の特性に応じて対応すること、といった基本的な考え方が重要としております。
 こうした基本的な考え方の下で、次のような点を提言しております。
 まず第1に、経営者のリーダーシップの下、プロダクトガバナンスに関する理念を明確化すること。
 第2にプロダクトガバナンスの実効性を確保するための体制整備、金融商品の組成・提供・管理の各プロセスにおける品質管理体制の整備。
 そして3つ目として、金融商品の組成時における商品性の検証や想定顧客属性の特定、そして組成会社・販売会社間の情報連携の促進。
 そして4つ目として、金融商品の組成後における商品性の検証、組成会社・販売会社間の情報連携による運用・商品提供等の改善。
 そして5つ目になりますけれども、運用体制やガバナンス等に関する顧客への分かりやすい情報提供等。
以上を盛り込みましたプロダクトガバナンスに関する補充原則というものを顧客本位の業務運営に関する原則に追加するということを提言しております。
 3ページを御覧いただければと存じます。金融・資本市場をめぐるその他の論点ということになります。一つが株式決済期間の短縮、もう一つ、投資型クラウドファンディング等についてまとめております。
 株式決済期間の短縮ですけれども、決済リスク削減等のメリットがあるわけですが、その一方で、ポストトレード処理がタイト化すること、そして日本の東側に位置する国や地域の非居住者による日本株取引回避という懸念等の諸課題も想定されます。
 しかしながら、国際的に株式決済期間のT+1化の実施検討が進む中で、日本の証券決済制度が国際標準から取り残されないよう、市場関係者においてT+1化を進める方法や課題等の実務的な検討を始めることが必要としております。
 それから投資型クラウドファンディングですけれども、これにつきましては株主を一元化するスキームを活用した投資型クラウドファンディングについて、実施に係る体制整備の負担軽減等を図ることと、投資型クラウドファンディングにおける法人の特定投資家に対する勧誘方法について、電磁的方法以外の方法を可能にすることなどの取組みを進めることとしております。
 以上、甚だ簡単ですが、「市場制度ワーキング・グループ」の報告書の主な内容の御説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 今日あと残りの時間は討議の時間とさせていただきます。先ほど大臣から頂きました2つの諮問事項、そしてそれについての事務局からの補足説明、それから今私が簡単に御紹介いたしました「市場制度ワーキング・グループ」の報告書、これらにつきまして、あるいはこれらに関連する事項につきまして、御質問、御意見等を幅広くお出しいただければありがたく存じます。どなたからでも、どの点でも結構でございますので、御発言いただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、岩下委員、どうぞお願いいたします。

○岩下委員
 ありがとうございます。
 本日の諮問事項及び御説明いただいた報告等を拝見して、ちょっと長期的な視点からお話しをさせていただきます。私は1990年代の初めぐらいから、本金融審議会の前身である金融制度調査会と証券取引審議会のバックベンチに座らせていただいて、審議を拝見させていただく仕事を担当しておりました。以降、議事録や各種の報告書を多数読ませていただいたので、当時の金融審及びそれの前身の組織が決めてきたこと、審議してきたことと、本日、議論する対象がちょっと質的に変わっているという話をさせていただきます。
 かつては銀、証、保という伝統的金融のコアの領域について、箸の上げ下ろしとよく言われましたけれども、非常に細かな規制にまで立ち入って活発な議論が行われて、例えば典型的には銀証の相互参入であるとか長短分離であるとか、そういう話についてのこうあるべきという議論があって、その結果として、それが法律や規制に盛り込まれたという経緯があったかと思います。
 それと比べると、最近の金融審議会、特に今日の審議会では周辺分野というか、フロンティアというか、従来の伝統的金融から離れた部分に議論が移ってきていると感じます。
 なぜかというと、一般の企業に対するガバナンスであるとか、あるいは競争法的なルールであるとか、様々な制度が充実した結果、かつては金融のことは金融の世界で全部決めるんだという感じであったのが、市場規律に任せてもそれで十分機能するようになり、中央の部分について箸の上げ下ろしに口を挟まなくてもよくなったということであろうと思うわけです。
 その結果として規制をすべき分野が、従来の伝統的な金融から新しい分野に移ってきました。本日、諮問を受けた資料1の資金決済制度の中の仕組みというのは、幾つか例示がありますけれども、どの一つを取っても、なかなか我々が日常的に目にするものではないし、伝統的金融の大企業が取り扱っているものでもありません。
 また、最初に神田政務官からもお話にあった、岸田内閣の最重要政策であるところの家計の資産が上手に成長投資に向かって資金が循環して、結果としてみんなが豊かになるという考え方を踏まえると、この資金決済制度の新しい動きとして書かれている様々な取組みが、それに資するものなのか、ちょっと微妙だと思います。
 こういった周辺分野についての新たな規制領域を広げていく必要が出てきたというのは、我々にとって必要なやむを得ないことだと思いますが、それの持っている意味を改めて考えていくべき必要があると思います。
 今回、諮問いただいた中で、やはり新しい領域について、従来の伝統的分野と同じ内容の業務に対しては同じ規制をかけ、同じ責務を持たせるというような議論があります。しかし、それがどこまでできるのかを考えていく必要があります。もちろん新しい領域ですから完全に従来の金融と同じ枠組みに入れることは難しいのですが、どうも話を聞いていると、この新しい領域、特にフィンテック領域では、従来の伝統的な規制を無視するような形での取組みが、特に海外において行われているようです。従来の規制が持っていた役割というのは、それは社会のため、国民国家のために必要なものであったと考えるならば、それを捨て去ってしまっていいということではないはずなので、いかに実質的な規制の目的というものを、この新しい領域に達成させるかというのは、これは例えば後半にある保険の外務員であるとか仲立人であるとかそういう分野についても同じだと思われますので、そういう部分についてしっかり適用させていくための議論というのが必要になったのではないかと考えますが、これらの議論について今後しっかり議論していくことが必要だということを申し上げて、私の発言とさせていただきます。どうもありがとうございました。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、札を立てていただいている順で、川口委員、佐々木委員、星委員の順でお願いします。

○繁本総務課長
 申し訳ございません。オンライン参加の委員の方々にちょっと音声が聞こえない状況になっておるようでして、今、機械の調整をしておりますので、少しお待ちいただければと思います。
 

(通信調整)


○繁本総務課長
 すみません、それでは、再開をさせていただきます。お待たせいたしました。

○神田会長
 それでは、すみません、再開をさせていただきます。
 では川口委員、どうぞお願いいたします。

○川口委員
 ありがとうございます。
 では、私のほうから保険に関する諮問と市場制度ワーキングの報告について、コメントがあります。
 まず、諮問についてです。今回の問題は、発端が特定の会社と特定の保険会社による不適切な経営・運営にあり、各会社におけるガバナンスの欠如などが判明したわけですが、さらにこれらの事件によって従来の損害保険業界の慣行にも様々な課題があったということが改めて明らかになりました。
 恐らく事件が起こらなければ、一般には触れられる可能性が少なかった問題ですとか、一部には認識されていたものの、そのまま放置されてきた問題もあったように見受けられます。
 有識者会議でこれらについての論点が浮き彫りにされ、金融審のワーキングで議論がなされることになるということですが、中には、業界の利益や長年の慣行などで抜本的な修正にはかなりの労力が必要になるものもあるかと思いますけれども、個別の保険会社の問題ではなく、まさしくこの諮問の文言にもありますように、保険業界の健全な発展という観点から積極的な議論、そして、その議論が無駄にならないような建設的な提言を期待しております。
 次に、市場制度ワーキングについてです。報告書の内容・方向性について特に異論はありません。若干気になる点は、細かい話で恐縮ですが、株式型クラウドファンディングの勧誘について、特定投資家を個人と法人に分けて、法人については規制緩和を行うという点であります。
 御存じのとおり、特定投資家というのは投資のプロという位置づけでありまして、金商法においては様々な規制緩和がなされております。そこでは、特定投資家とされる以上は、自然人と法人の区別がないわけです。個人投資家の場合、一般投資家に分類された上で一定の要件を満たした場合に、特定投資家に移行するというシステムになっています。強制的に特定投資家になるわけではありません。
 今回、電話等の勧誘について法人と個人を分けて規制するということが、これまでの特定投資家制度の趣旨・内容と整合的であるのか、気になるところです。
 また、規制の対象となる電話・訪問の勧誘はSNSなどによる勧誘を含まないものと整理されていると思いますが、近年SNSなどを利用した詐欺などが社会問題になる中、勧誘方法の基準が電話とか訪問などでよいのか。むしろ電磁的な方法の勧誘のほうが問題とも言えそうですが、今後、時代に合った規制を考える必要があるのではないかと思います。
 最後に、資産運用会社に顧客本位の業務運営に関する原則を適用するという点で、それを補充原則として定めるということです。
 この原則は、金融商品に対する資産運用で顧客を保護し、それによって間接金融から直接金融へ移行を促して、資産運用立国を目指すという観点から定められたものです。今回の資産運用会社についても間接的に顧客に影響があるということは、私も異論はございませんけれども、金融商品の販売業者とは違う側面もあり、補充原則という形で規定されることになったと考えております。
 ただ、補充原則という場合、コーポレートガバナンス・コードでもそうなのですけど、本則があって、それについて細かなことを定めていくというものが多いのではないかと思います。この点で、今回の提案は、特別の規則を追加するというようなものになっておりまして、補充原則といっても、性格が違うと感じたところです。
 実は、今回問題となった保険会社についても、有識者会議の報告では、顧客本位の業務運営という観点からも議論がなされているわけです。この原則が保険会社にも適用されることはもちろんです。ただ、保険商品と資産運用のための金融商品と、類似するものはもちろんあるわけですが、異なる面もあります。顧客本位の業務は重要であるということは当然として、この原則の適用については、プリンシパル・ベースを基本としながらも、業態ごとにそれぞれに適合した原則を定めていくというようなことも、今後、検討に値するのではないかと思います。
 長くなりましたけど、以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、佐々木委員、どうぞお願いいたします。

○佐々木委員
 ありがとうございます。
 それでは私のほうから、一つは参加させていただいた市場制度ワーキングの報告について感想を申し上げたいと思います。
 まずプロダクトガバナンスに関する原則など非常にきれいな形でつくり上げることができたと思っているのですけれど、実施に当たっては例えば組成会社と販売会社の間でスムーズに情報共有がされるかとか改善がなされていくのかどうかといったところが心配なので、まだいろいろ注視するべきこともあるのかなと感じました。
 プリンシプル規制は、本来であれば顧客本位のということですから顧客の顔色を見ながらプリンシプルを基に自らを変えていくということだと思うのですけれど、実際にはもちろん苦情とかそういうのは考慮に入れているものの、金融庁にお伺いを立てるというか、どういうふうにしたらいいのかなというのを聞きながらやっていくようなことも結構多くなっていると感じます。
 それが悪いということではないのですけど、それだけに金融庁がどのような判断を示されていくのかということが非常に大きな影響を与えることと思いますので、引き続きモニタリングや、あるいは方向性をお示しになるということをお願いしたいと思いました。
 それから資金決済制度のところについて、小さいことなんですけど幾つかありまして、一つは、これすごく本当に小さなことですけど2ページ、資金決済制度のところの説明の2ページの真ん中の暗号資産のところに、右側に電子決済手段としての価格安定性、流動性、償還確実性を確保しつつ管理・運用方法を柔軟化することについて、どう考えるかと検討されるということですけど、なかなか暗号資産の価格安定性とかというのはどういうふうに考えておられるのかなというのは若干、どの程度のことなのか分からないのですけど、なかなか難しいのではないかなと感じました。
 それから2つ目ですが、下の段の左側の立替サービスのことなのですが、ここで定義されています事業者が利用者からの依頼に基づき資金を預かることなく送金した上で、後日利用者に対して立替金を請求するということではあるんですが、私はこれを見て、資金移動業者とか貸金業者が行っているような現在のこれに類似したサービス、たくさんあると思うんですけど、そういったものとこの新しい立替サービスというものの違いというのがよく分からなくて、もしよろしければ、ここでおっしゃっている立替サービスというものの定義を教えていただければと思いました。
 そういう立替サービスに関してはこれらの資金移動業者とか貸金業とかの免許とか必要なく行っているということだと事前説明を聞いて思ったんですけど、どういったことを指していらっしゃるのかというのと、そういったサービスに対して検討されるのがそういったサービスを推奨される方向の規制緩和の方向なのか、逆に規制したほうがいいという意味での検討ということなのか、どちらを指していらっしゃるのかが分からなかったので教えていただければと思いました。
 あと最後、一番下の右側です。この「外貨建てのファイナンスニーズなどに応えるため」というところで、貸金業登録に当たっての規制に係る事業者の負担をどのように考えるかを検討するということなんですが、既存の既に営業所を設置している外国銀行とかもあるわけですけど、そういった既存の銀行との平仄や、あるいは実際に外貨建てのファイナンスニーズに対して資金がどれくらい足りないかなど、例えばコロナのときとかはドルスワップの協定を結んだりとかいろいろな工夫によってファイナンスニーズに何とか応えられたのだと思っているんですけれど、そういった点も含めて検討していただければと感じました。
 以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 御質問の部分については、事務局から、もしお答えいただける御発言があればお願いいたします。三浦さん、よろしくお願いいたします。

○三浦信用制度参事官
 御質問ありがとうございます。
 まず、最初の暗号資産、2段目右側のところについてなのですが、こちら想定しているのはいわゆるステーブルコインの話でございますので、一定程度その価格の安定性や流動性が必要だと認識しております。ただ一方で、管理は全部預貯金でなければならないかというと、例えば諸外国の例を見ましても、もう少し柔軟なところもございますので、あくまでもそういったバランスをしっかりと見ながら今後検討していきたいと、御議論していただきたいと考えているところでございます。
 2つ目の御質問にありました立替サービスについてなのですが、こちら明確にこうだという定義があるものではないのですが、一般的には事業者がサービス利用者に代わって立替払いを行った後に立替金額を利用者から回収するといったようなサービスを指すと理解しております。なので、例えば利用企業の仕入代金を立替サービス事業者が代わりに取引先に最初に払って、後日その利用企業に請求するといったようなことだと考えております。
 もちろん立替サービスは、概念としてやや曖昧なところはあるのですが、これに含まれるないし隣接するもの、単語としては、それはBNPL、バイナウ・ペイレーターとか、あとBPSPとかファクタリング、いろいろあると思いますが、現行規制上においては、実態面において資金の貸付けと同等のものは貸金業登録が求められる一方で、例えば単なる企業間の信用取引とか、あと割賦販売法の規制領域と近接する形態も多くあり、貸金業登録等を受けずにサービス提供を行っているというところもあるところでございます。
 こうした中で、実態とその規制のバランス、例えば資金移動業者による送金や貸金業者による与信等の関係についてどのように考えるのかとか、あと利用者保護の観点についてどのように考えるのかというようなところを見ながら、規制の適用のあり方は、これはすべきかすべきでないかも含めて議論をしていただければと考えておりますので、今、我々として絶対こっちのほうに持っていくべきだという方向性が現時点で固まっているものではないと考えております。
 あと、最後に外貨建てのファイナンスニーズについて、こちらについてはデータで幾らというのは今、手元にないのですが、一定程度あるものと認識しております。おっしゃるとおり既に営業所を設置しているところもございますので、そういったところについては、当然、普通にできることになってはいますが、いわゆる自らがシンジケートローンの参加者として入ってくるということで、別に自らリスクの判断をするとかそういうものではないところに関してまで、貸金業登録に必要な例えば国内の拠点をつくるかどうかとか、そういったところまで必要なのかどうかというところも、実際求められるものと、あと実際取るリスクと、そのバランスを含めてどういった規制のあり方が適切かということについて御議論いただければと考えてございます。
 一旦、私からは以上です。

○神田会長
 よろしいでしょうか。

○佐々木委員
 ありがとうございます。

○神田会長
 あと細かいことですけど、恐らく今の中の例えばですけど、立替払いみたいなところは、機能は同じなのだけれどもルールが異なっているということがあるので、やはり機能が同じであれば整合的なルールにという、そういう流れの中で見ることができると思います。どうもありがとうございました。

○佐々木委員
 ありがとうございます。

○神田会長
 では、お隣の星委員、どうぞお願いいたします。

○星委員
 「市場制度ワーキング・グループ」の報告書について2点ほど。2つとも川口委員の指摘と関係しています。1つは細かいところですけども、報告書の中の11ページの注24というところに、「電話・訪問・オンラインという販売チャネルで形式的に規制の適用関係を分けるという考え方が合理性のあるものなのかという視点」もあったということで、これはすごく重要なところだと思います。これについて、これからきちんと考えるとかいう計画はあるんでしょうか、というのが質問です。
 投資家のタイプで分けるとかいうのはまだ分かりますけれども、販売チャネルで本当に分けるべきなのかというところは検討すべきだと思います。
 それから2番目の点は、プロダクトガバナンスに関する原則で、顧客の最善の利益を実現するための原則ということで、非常にいい方向だと思います。それで顧客本位の業務運営に関する原則に追加するということですが、顧客の立場から見ると、顧客本位の業務をやってないような会社というのは選びたくないわけで、そうすると顧客本位の業務が行われているかどうかについての情報が、顧客に公表されていて、会社間で競争があれば、ある程度問題は解決することになります。その意味で、補充原則の5にある、プロダクトやガバナンスに関する顧客への分かりやすい情報提供、というものがすごく重要になってくると思います。
 それに加えて、金融事業者がこういった原則に沿ってきちんと取り組んでいるかどうかということを金融庁がフォローアップして、好事例や課題などを把握・分析するというところがありますが、こういったフォローアップの状況とかも顧客一般に公表して、特に好事例を金融事業者の名前を入れて公表するということをやっていくと、非常に役に立つのではないかと思いました。
 
○神田会長
 どうもありがとうございました。
 私、ワーキング・グループにも参加させていただきましたので、星委員と川口委員から御指摘もいただいたので感想です。
 今の星委員御指摘の報告書の11ページの注の24というのは、これ川口委員からも御指摘があった、電話・訪問・オンラインというのは確かにその分類は古い時代の分類だという面はおっしゃるとおりかと思いますので、この点、今後の課題だと思いました。
 それから、似たような点かもしれませんけど、これも川口委員がおっしゃったことですけど、投資家の分類というのもちょっと古いというと言い過ぎかもしれないですけど、法人・個人というのもそうですし、それから法人の中でもいろいろあるわけですが、あまり簡単な問題ではないなと感じます。今までの分類をどういうふうに今後、見直していくかは、それぞれのルールとの関係で整理し直していく必要があるかなと感じました。
 それから、これ星委員もほかの方もおっしゃったことで、顧客本位というのは川口委員はもうちょっと、何というんですか、業務に応じてというお話だったと思うのですが、今のルールとしては金融サービス提供法の昨年の改正によれば、誠実公正義務は業者を広げて今まで金商法の中にあったものを金融サービス提供事業者に、年金関係者を含めて広げたので、顧客本位の業務運営というのもそのレベルで言えば非常に広い形で横断的にまずあることになりました。
 その次に、恐らく御指摘のようなそれぞれの、例えば保険業なら保険業、何とか業なら何とか業というものにもう少しふさわしいこの原則をブレークダウンするものがあるでしょうという、多分そういうことになっていくと思うのですね。
 今回は、2017年に顧客本位原則をつくったときは、その時点における金融事業者に横断的につくったんですけれども、その重点はおっしゃったとおりだったので、今回はプロダクトガバナンスの観点から補充原則をつくろうということなのですけども、そういう意味で原則の重層化というんでしょうか、というのが、今後、場合によって必要になってくるかなと私も思いました。
 ちょっと私がしゃべり過ぎましたけれども、事務局から何かございますか。

○八幡参事官
 市場担当参事官の八幡でございます。
 今、神田座長からおっしゃっていただいたことに尽きるとは思いますので、私も担当の参事官の立場から感想を申し上げても仕方がないのですけれども、川口委員、星委員からありました、手段について電話訪問等というのが現在のあり方に鑑みて正しいのかというのは、実は私も5年ぶりに市場課の担当に戻ってきて、この分野を改めて勉強する中で、同じく、そうか、電話・訪問で分けるんだなというような感想は思っております。
 他方で、ではどうするかという議論については、なかなか正しい解がすぐに出てくるわけではないと思いますので、頂いた観点について、我々、今後さらに制度に落としていくときに改めてよく頭に置いて議論を進めていきたいと考えております。

○神田会長
 では、よろしゅうございましょうか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、河村委員、加藤委員の順で、河村委員、どうぞお願いします。

○河村委員
 保険のことで簡単に申し上げます。
 私は民間企業の現場のほうでこの保険のオペレーションを見ておりまして、どういう意味かというと、民間企業にとってこのリスクマネジメントというのは生命線になっておりまして、その上でこの保険というのは非常に大事な役割を果たしております。
 具体的にどういうところが重要かというと、一つはカバレッジの問題です。商品設計でどこまでリスクを取れるかというカバレッジの問題と、もう一つはそのカバレッジに応じてコストが決まってきますので、コストベネフィットの問題、そういう観点から最も最適なスキームを事業に照らし合わせ取りに行っているんですけれども、これが担保されるには2つ重要なことがあって、一つは情報の非対称性が保険の供給側と需要側に対して、ほとんど解消、全部解消はできませんけど、極力最小化できるということと、それから競争条件が担保される、この2つが大事なんですが、これが前提で、ややもするとそういう条件が、ゆがんでいるんじゃないかということが散見されます。
 1つは、この今日の資料の1ページのところで、大規模乗合代理店云々というところがありますけれども、これは代理店だけの問題ではなくて保険会社とこの代理店と、それから顧客の3つのところで共通の問題があるんですけれども、一つはこの株の持ち合いという現象が、この保険の正常な取引を歪めている可能性があります。
 それからもう一つは、この保険業界で色濃く歴史的に残っている営業協力です。車を買えとかマンションを買えとか、こういうこともいろいろな制度設計をニュートラルにやっていく上で非常に障害になっている感じがいたします。この持ち合いの問題と営業協力の問題にどういうふうにメスを入れるかということが、1個大きなテーマであろうと思います。
 それからもう一つ、これ最後になりますけど、2ページのほうでこの代理店のポイント制ということがあります。これも代理店からいろいろ困るんだよって話を聞きますと、何を困るかというと、一つは保険会社が毎年ポイントを変えてくるらしいんです。私はちらっと見ましたけれども、そのポイントの説明がもう膨大な書類になっていまして、これを毎年代理店のほうは読み込んで営業マン・ウーマンに話を落とし込んでいるんですが、まずこれが非常に大変だということがあって、もうちょっとこのポイントを大きな原則でやると。毎年細かいところを変えてくるということをやめたほうがいいんじゃないかということが出ております。
 それからもう一つは、今度ユーザー側から申し上げると、ここに今日書いていただいたポイント制で、顧客にとっていいポイントという観点が非常に薄いと思うんですね。例えば何かというと、どういうポイントがあるかというと、代理店がお客にスマホで申請をさせればポイントが上にのっかるとか、あるいは例の自動車保険で有名な例がありますけど、28日で更新すればポイントをのっけるとか、あるいは紙は環境非フレンドリーなので紙じゃなくてやれとか、そういうことを保険会社が代理店にいって、代理店がそれをお客におっつけるとポイントがのっかるという仕組みになっていますので、ちょっとそういう供給者側のロジックを超えて、本当にユーザー側に立ったこのポイント制をどうするかというのは、やっぱり大きなテーマで一度議論したほうがいいと思います。
 以上2点です。ありがとうございました。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、加藤委員、翁委員の順で、加藤委員、どうぞお願いします。

○加藤委員
 私からは、資料3-1の1ページ、プロダクトガバナンスに関する原則の策定についてコメントいたします。
 ここでは組成会社に求められる対応としてプロダクトガバナンスに関する補充原則と、販売会社に求められる対応として原則6に注を追記するということが説明されております。この紙面を見ますと組成会社に求められる対応のほうが数は多いのですが、実際にはこの原則6の注が非常に重要であると思います。
 そのように考える理由としては、プロダクトガバナンスに関する原則を策定せざるを得なくなった背景には販売会社と組成会社の関係において販売会社が優位な状況にあったことがあり、そのような中で顧客本位の観点から金融商品の組成が行われなかったという実態があったことが挙げられます。
 そのような観点からしますと、プロダクトガバナンスに関する補充原則を策定するということは、組成会社にとっては、販売会社に対して顧客本位の観点から金融商品の組成を行う必要性を主張する際の根拠になるという点で、重要な意味を持ちます。
 その一方で、プロダクトガバナンスが機能するためには金融商品のライフサイクル全体で対応する必要があるとされており、そのために組成会社は販売会社から様々な情報を提供してもらう必要があります。
 そのため、組成会社がプロダクトガバナンスに関する体制を整備するためには、販売会社に依存しなければいけない部分もあると思います。そうしますと、これまでの組成会社と販売会社の関係を変えていこうという方針との整合性が問われる事態が生じる可能性があるかもしれません。このような点も考慮しながらプロダクトガバナンスに関する基本的な考え方の定着のために金融庁が行動し、取組状況のフォローアップを通して好事例や課題などの把握や分析などを進めていくことが望ましいと思いました。
 私からは以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それではお隣の翁委員、どうぞお願いいたします。

○翁委員
 私もプロダクトガバナンスの項目について少しコメントをしたいと思うのですけれども、今回はやはり、加藤委員もおっしゃいましたけれども、製販全体として顧客の最善の利益の実現に向けて取り組んで家計の資産形成を図るという点が、非常に重要な点だと思っております。
 単に顧客に適合的な金融商品を組成するだけでなく、販売時、販売後もしっかりとこれをフォローして建設的に連携していくよう期待したいと思っておりますし、これによって成長と分配の好循環が実現していくことを期待しております。
 報告書にも書いてありますとおり、やはり様々なビジネスモデル、様々なチャネルございますので、各金融業者が創意工夫ある取組みをしてプロダクトガバナンスが実現することが望まれるわけですけれども、やはり好事例を出していくというようなことで、より開示がされることによって業者間の適切な競争が促進されるようにぜひ配意していただきたいと思っております。
 それからもう1点は、この点に関連しますけれども、やはり資産運用立国に向けてはインベストメントチェーン全体の動きに取り組んでいただくことが大事だと思っております。やはり家計側というか、特に最近20代、30代の若年層で本当に株式や投信といったリスク性資産の保有経験者が非常に増加しています。NISAの普及もありますし、アンケート調査を見てもやはり将来不安に備えたいというような動機もございます。
 また、スマホ一つでどんどん投資ができる、投資が完結するようになっている点も大きいと思っております。この点で、新しく金融経済教育推進機構もできましたけれども、こういったすごく増えております若年層に対して、ファイナンシャルウェルビーイングに向けた金融教育の提供機会の拡充は非常に重要だと思います。先ほどから出ておりますように、SNSなどを介した投資トラブルなどもかなり起こってきております。金融庁としてもしっかりと実効的に対応し、これがよい方向に改善するように、インベストメントチェーン全体をフォローしていっていただきたいと思っております。
 以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは皆さん方から左のほうへ、もしよろしければ山本和彦さん、どうぞ、お願いします。

○山本(和)委員
 まず、資料1の資金決済制度のあり方についての資料の2ページの上の段の左側のところで、資金移動業者の破綻時の資金の還付の手続のところで、できるだけ迅速に進めるということを検討されるということは結構なことかなと思います。私が調べた限りでは、この最低170日というのは債権者の債権の届出に60日、それから配当表の公示から実際の配当まで110日という定めが規則にあるということかと思います。特にこの110日というのはどういう根拠なのかということは何かきっと根拠があるんだろうと思うんですけれども、ちょっと調べてほかの制度を調べてみたら、旅行業者の同じような供託金の還付手続はここが80日になっていたりして、多分何か由来がいろいろあると思うんですけれども、そこの合理性、これはやはり破綻時のことなので一種のミニ倒産手続という側面も持っていますから、一定程度やはり慎重な手続は必要だろうとは思いますが、破産法のほうでも期間をそういう一定の期間にするのではなくて、何日以上何日以下みたいな比較的柔軟な定め方、これも資金移動業者といっても多分いろいろなものがあると思いますので、そういう柔軟な定め方という可能性もあろうかと思いますので、ぜひいろいろな可能性を検討していただければなと思います。
 それから市場制度ワーキングの報告書で、皆さんから御指摘があったように、このプロダクトガバナンスの補充原則というのは私も非常に重要なものであると思います。とりわけ私の観点からいえば、この7ページの補充原則の4で組成後の対応として何か問題が起こった場合に、製販全体として顧客の最善の利益を実現するために対応を改善していくということが重要であって、注2のところで情報連携、金融事業者と販売事業者とそれから製造業者の情報連携の対象として顧客からの苦情というものが上がっていて、これはやはり非常に重要かなと。何か顧客の側からのアプローチがあった場合に、それを製販両事業者で共有して改善をしていくということが非常に重要なところかなと思っております。
 直接事業者に対して来る苦情というのもあると思いますし、金融ADRのようなところ、あるいは消費生活センターのようなところの苦情もかなりの件数あると伺っておりますので、そういったものに真摯に対応していって情報を共有していって、少しでもいい商品に改善していただくということが重要かなと思います。
 最後に、先ほど川口委員、星委員などからの議論があったこの11ページの注24のところの電話・訪問・オンラインというところですけれども、恐らく、これは従来の消費者法制の勧誘に対する規律の訪問販売法以来の伝統といいますか、まず訪問があって、そのあと電話勧誘が出てきて電話についても規制し、さらにオンラインについても規制していくという形で、少しその消費者法制のほうでもそういう、何というんですか、少しずつ拡大していったところの名残があるのかなと思います。
 消費者法のほうも私が承知している限り、現在消費者庁とか消費者委員会では新たな消費者基本計画を策定するとか、あるいは消費者法制のパラダイムシフトというようなことで議論がスタートしているところで、特にその中ではオンライン下の問題というので新たなパラダイムができてくるのではないかというような議論がされておりますので、そういうような議論と歩調を合わせていただいて、少し古いというのは私もそういう感じはしますので、新たなパラダイムを目指していただければと思います。
 私からは以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、お隣の山本委員、どうぞお願いいたします。

○山本(眞)委員
 2点コメントさせてください。
 一つは、すごく小さなことかもしれないんですが、資料2の1ページの主な検討課題として挙げていただいたところの、その他の最初のとこの丸ポツの表現についてなんですけれども。恐らくここの保険市場における火災保険に何らかのその構造の問題点があって検討が必要だということを指していらっしゃるんだろうと思うんですけども、ここで「赤字構造の改善」と書いてあって、私これをぱっと読んだときに、何で国が業界のために赤字について考えてあげるんだろうというのはちょっと引っかかって、多分どこかに問題が、構造上の問題があるから書かれているんだと思うけど、何かこの赤字構造の改善とストレートに書いていいのだろうかというのは気になったので、別にこだわるつもりはないのですが御検討いただければなと思います。ちょっと引っかかりました。
 それから、「市場制度ワーキング・グループ」の報告書については、本当によくまとめていただいてありがたいなと思って、一番私が注目したかったのは5ページの実効性の確保というところなんです。それで、本当にここに示していただいている実効性をどう確保するかというのが大切で、ともすれば何というのか、現場としてはチェックリストをつくって、こういうことをチェックしたから大丈夫みたいに形を整えるようなことになりがちのように思うんです。
 だけど、目指すところは、まさしくこの8ページの原則6の注3のほうに下線で直していただいたところなのかな。「自らの責任の下、顧客の適合性を判断し」って、この自らの責任の下にやっていただくというところが、私は一番大事なんだろうと思っていて、それは個々の金融事業者が自分で考えて、やっぱり現実に担当する人たちをきちっと人材を確保して教育をきちっとして、これを目指して活動をするということが絶対に実効性の確保には必要だと思うので、そこら辺をこれからさらに深めていっていただけたらなと思っております。
 以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 1点目の保険について何か事務局からございますか。

○若原参事官
 担当参事官の若原でございます。
 もちろん企業の黒字赤字というのは、そもそも利潤追求のプライベートカンパニーが経営の判断によってその結果を引き受けるべきものであって、当局がどうこうというものではないというのはおっしゃるとおりでございます。
 本件につきましては、この有識者会議の御議論の中でいわゆるカルテルが起きてしまったその背景といいますか、前提として企業向けの火災保険市場が近年もずっと赤字が続いている中で、そういうことを前提にカルテルを締結することでやってしまったと。そういうような背景事情があるのではないかということで、そもそもそういった赤字状態が今後も続くのであれば、様々対策を講じたとしても、どうしても何かこうその裏をかいてといいますか、さらに今回とは違ったような形のカルテル等が起きてしまうようなことも懸念されるんじゃないかと。そういったような御指摘があって、ただ、有識者会議の場ではそういったような問題といいますか、課題があり得るのではないかという御指摘にとどまっていたところでございますので、今回審議会のほうではそういった有識者会議の問題提起といいますか、可能性の指摘を受けて、ちょっとそのあたりを深堀ってみまして、もちろん委員がおっしゃるとおりあくまでもそれは各企業のプライシングの話であって、全然制度的な問題ですとか、そういったことではなかったねということであるならば、それはそれでいいんですけれども、もし仮にそこに何がしかこういった個々の企業の経営を超えたといいますか、離れたといいますか、そういったような何がしかの環境要因があるのであれば、そこの環境要因について何がしか手を打つことで今回のカルテルのような事案の再発防止に資することができるのかなと、そういったような観点からさらに深掘った御議論をお願いしたいと、そういう趣旨で書かせていただいてございます。ちょっと表現等々につきましては、今後御指摘を踏まえまして注意してといいますか、誤解を招かないような形できちんと記載してまいりたいと思います。

○山本(眞)委員
 別に中身に異論があるわけではなくて、ちょっと表現を検討していただいたほうがいいかなと思っただけですので、よろしくお願いいたします。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、お隣の吉戒委員、どうぞ。

○吉戒委員
 私からは「市場制度ワーキング・グループ」の報告について私自身が事業承継、事業再生を目的とするPEファンドのパートナーという立場ではありますが、少し意見を述べさせていただきます。
 運用会社が顧客を向かずに販売会社を向くというのは、これは当然よくないわけで、そこで業務運営の原則で足りないのであれば、補充原則もつくってあるべき姿に向かわせるというのは当然やるべきだと思います。確かに怪しげな運用商品とか運用会社もあるようなので、これをある意味牽制し、取り締まるというのは必要なことだと思っています。
 一方で、資産運用立国ということで資産運用会社をもっと増やして、さらにまた競争をさせて強くしようといっている中で、いたずらに資産運用業のエントリーのハードルを上げてしまうというのは、これはいかがなものかと思います。
 資産運用業には入りやすいけれども、投資家に対する高い責任・モラルが求められるという、難しいんですけれども、そういう立ち位置であるべきかと。つまりまずは販売会社任せにしないということだと思います。
 もとはといえば、報告の中身から多少ずれるかもしれませんが日本には資産運用業務のプロが少ないという指摘、これはこの業界の人からよく聞きますが、運用のパフォーマンスとか戦略で勝負すると本当の資産運用のプロがやはり少ないのではないかという指摘です。顧客を向かずに販売会社のほうを向いてしまうというのは、結局、こういうところから来ていて、売りやすい投信をつくってしまうというようなことに表れ、悪循環になっていないかと思うわけです。
 短期的には補充原則とか原則ルールというのは重要だと思いますし、インフラとして整備は必要だと思いますが、長期的にはやはり運用のプロを大量に育成するというようなことを、次の段階では考えていくべきではないかと思います。運用の成績とかパフォーマンス、それから運用哲学とか、こういうことで勝負するのがプロだと思いますが、そういう人たちを育てていくことがプロダクトガバナンスの不全を根本的に解消する方法ではないのかなと思います。
 資産運用業のエントリーのハードルを下げて特徴ある運用会社を増やすというのは非常に大事だと思いますし、一方で業界全体の底上げにはやはり運用のプロ人材を育てることが重要ではないかと思います。
例えば新卒の学生は資産運用の業界に入りたいとあまり思ってないのではないでしょうか。
授業、カリキュラムを増やして充実させるとか、いかに意義のある仕事かということを教育の中で示すことも必要ではないかと。
 今後の資産運用の大きな流れの中でプロを育てていくということを一つのテーマとして捉えていくべきではないかと思います。今回の報告とは若干ずれますけども、そういう印象を強く持っています。
 以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 これで会議室で御参加の皆様方からは全員の方から御発言いただくことができました。
 今、オンラインで御参加の委員の皆様方には本日ちょっと不具合があって御迷惑をおかけしておりますけども、小林委員と松井委員から御発言希望があると承っておりますので、まず、小林委員、どうぞお願いいたします。

○小林委員
 小林です。本日はウェブで失礼いたします。
 聞こえますでしょうか。

○神田会長
 はい、聞こえております。

○小林委員
 すみません、ちょっと最初のほうの説明の部分がよく聞こえなかったものですから、もしかしたらそこに既に説明されていることかもしれませんが、私からは資金決済制度と損害保険業に関わるワーキング等に関してのオーバーオールなコメントと、資金決済に関して2点質問がございます。
 まず、資金決済制度、特に送金分野についてです。これについては顧客の利便性と、一方で、どんどん厳しくなってくるマネロンの規制という両方の観点を考えますと、Web3.0が果たす役割というのは非常に大きいと思います。こうした最新の技術をどのように活用すればマネロンの規制と顧客の利便性の両方のバランスが取れた制度を実現できるのかということを十分に議論していただきたいです。
 その上で、資金決済に関して2点質問です。頂いた資料1、2ページの資金決済制度関係の暗号資産分野の左側、「国際的な破綻事例」についてです。グローバルに活動する暗号資産交換業者が破綻した場合に国内の利用者財産の返還を担保する仕組み、ということですが、この議論の前提に国外の業者も入っているとすると、日本だけで対応できることなのか。この点どういうお考えで、あえてこの議論をしようとしているのかという点が1点目。
 2点目は、その下その他の右側の、外貨建てのファイナンスニーズに応えるために国内に拠点を有しない外国銀行等が国内銀行が組成するシンジケートローンに参加をして貸付けをする場合についてです。貸金業登録に当たっての規制をどのように考えるかということなんですが、貸金業登録が必要とする限り、貸金業登録に関わる様々な要件で国内の営業所が必要ということです。そもそも貸金業登録、こういったケースに貸金業登録が必要か否かの議論ではなく、あえて貸金業登録を前提として議論をする理由が分からないです。この2点を教えていただきたいと思います。
 それから、損害保険業に関する規制についてのコメントですが、これまでは大規模乗合代理店に対しては、保険代理店への管理指導は基本的に保険会社が行うことということが前提として運営されていたということですが、様々なことが起こった中で、むしろそれぞれの代理店の自立的なガバナンスの構築に置き換え、その管理ができているかどうかを保険会社がチェックしていくという、根本的なあり方自体を保険会社ありきではなくて、代理店の理実的なガバナンスの実現の方向で議論を進めるとよいのではないかと思いました。
 以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、御質問がございましたので事務局から、三浦さんになりますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○三浦信用制度参事官
 それでは、資金決済法関係につきまして、2点御質問がございましたので、お答えさせていただきます。
 まず、暗号資産業者の国際的な破綻事例につきましてですけれども、こちらについてはちょうど2022年11月にFTX社が破綻し、国内にあるFTXジャパンに対して金融商品取引法に基づいて行政処分及び国内の資産保全を命じたところでございます。
 ただ一方、こちらは暗号資産デリバティブ取引をたまたまやっており金融商品取引法で登録していたということで、同法に基づきしっかりとした国内保有命令を措置できたのですが、仮に現物取引だけしかやっておらず資金決済法だけの登録であると、そこまでの措置、つまり国内の資産保全までできたかどうかと考えると心もとないところがございますので、そういったところを含めて国内の利用者財産の返還を担保する仕組みというのを考えたほうがよいのではないかというような問題意識を我々は持っております。したがって、このような形で議題、論点として提示させていただいたというようなところでございます。
 次に、外貨建てのファイナンスニーズ等々についてなのですが、こちらについてはあくまでも外国銀行等が国内銀行の組成するシンジケートローンに参加して貸付けを行う場合に、貸金業登録が必要となるという話になっております。ただ一方、シンジケートローンに参入すると、しかも国内銀行が組成するシンジケートローンに参入するというだけで、直接その外国銀行が何かローンそのものを査定するなり審査するなりというようなところをやるというよりかは、あくまでもシローンの参加者としてどうかというような点で見たときに、貸金業登録及びそれに付随する国内拠点等々について、どこまで必要なのかというところについて、規制とやることのバランスとしてどう考えるかというようなところについて考えるということでどうかと考えております。
 そう考えると、御指摘のとおり、そもそも貸金業登録が必要なのかどうかというような話もあるかもしれませんし、登録はするのだけれども、そこまでの規制は要らないよねという話、両方あっていいのかなと思いますので、そういったことについても幅広くワーキング・グループの場で議論できればなと考えております。
 資金決済法については、以上です。

○小林委員
 ありがとうございました。

○神田会長
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、オンラインで御参加の皆様方からチャットを入れていただいておりますので、松井委員、どうぞお願いいたします。

○松井委員
 よろしくお願いいたします。
 資料の3について、先ほど立替払いについて事業者向け与信や割賦販売といった業態とどう区別するのかというお話がありましたけれども、従来こういったモノ取引に先に与信する業態を金融業にするという整理はしていなかったわけですけれども、その裏には個々の与信についてひもづいている取引の性質や収益源は何かで、そうした取引を支える事業を金融業として規制するべきかといった考慮があったのではないかと思います。しかし最近では、例えばアマゾンのようなEC事業者による与信も登場しており、紐づくモノ取引というより与信が本業に占める割合がマクロで見て事業者の行動を支配する規模に達しているかとか、あるいは貸している先の事業者や消費者のお金が決済性資金として、あるいは融資による事業性資金として、どのように流れているかといったことを見ながら監督をする必要がある場面も増えてきているかと思います。
 そういう意味では、非常に大きな問題になってしまいますけれども、金融業とは何なのかという根本的な問題を整理し直す必要があるのかもしれないと思っております。難しい問題かもしれませんけれども、御検討をよろしくお願いいたします。
 4番目の損害保険につきましては、バリューチェーンのガバナンスや監督に関する問題が議題に上がっておりました。この点、私は「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」にも委員として入っておりますが、非財務情報に関して開示というのは必ずしも財務諸表の連結と完全に同じベースでなくて影響ベースで開示する可能性もあり、しかもその場合にガバナンス不全であったということを適時に開示をしないと、近年イベントドリブン訴訟と呼ばれる訴訟が世界で増えておりますが、そうした従来と全く違ったリスクというのが今後発生する可能性というのがあります。
 そういう意味でこの検討の中でも、通常の監督、保険行政における代理店の監督という視点にプラスして、損害保険会社自身のリスクマネジメントが大丈夫なのかという観点からもこういった規制に関する議論というのは迅速・適切に進めるべきだと考えました。
 それから資料5に関しては、先ほどほかの委員からも御指摘のとおり、勧誘方法等について考える余地というのは十分にあるかと思います。インフルエンサーや投資ブログなどを使った投資の間接的な勧誘については、諸外国、オーストラリアであるとかインドであるとか、様々な国でも規制が入り始めていると伺っておりまして、日本であれば景表法とか不競法とか業者向けの法律が対応してきた状況かとは思いますけれども、こういった点についても考え直す必要があると感じました。
 以上です。よろしくお願いいたします。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、渡辺委員、どうぞお願いいたします。

○渡辺委員
 よろしくお願いいたします。
 私からは1点だけになります。損害保険会社による保険代理店に対する指導という話のところについてですけれど、報告書を見ると損害保険会社や保険代理店の立入検査を通じて検証するなど、金融庁及び財務局によるモニタリングを強化すべきと書いてあって、対応としては人員の増強、態勢整備の厳格化、自主規制機関についての検討ということが書かれています。別の業界ですけれども、例えば電力ですと、自主規制機関どころか電力・ガス取引監視等委員会があってもカルテルがあったと報道されており、自主規制機関が有効なのかはよく分からないと思います。
 むしろ、カルテルの摘発といったことが今後起きにくくし、顧客本位の業務運営を徹底するという意味では、一番有効なものの一つとしては、一つ一つの販売についての取引データを金融庁が、個々の保険会社、または保険代理店、保険会社を通じた保険代理店なのかと思いますけれども、それらから徴求するようにするのがよいと思います。そういったデータを常に徴求するようにして、データを通じて常時モニタリングを進めていくということが必要だと思います。すぐにできるかというと、その仕組みをつくっていく必要というのがあると思います。競争当局はカルテルの監視のために価格をつぶさに見ていたりしますけれども、価格に加えて、代理店、保険会社はどんな条件の商品をどういう価格で、どういうふうに売っているのか。それを取引レベルのデータ、集計したものではなくて個々の取引レベルのデータとして、徴求する仕組みをつくって常時モニタリングしていくという体制をつくるというほうがより効果的なのではないかと思いました。
 私からは以上です。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に佐古委員、どうぞお願いいたします。

○佐古委員
 ありがとうございます。私からも1点だけ手短に。
 先ほど皆さんの発言でもありましたように、SNS上の詐欺が増えているということはとても憂うことだと思っております。やはり対面とは違いデジタルだと同時にたくさんの人をだませてしまうという、詐欺者にとってスケーラビリティーが上がってしまうということが問題を大きくしているかと思いますが、一方で、技術を用いれば、たくさんの詐欺者を一律に抑止したり、先ほど実効性の話がありましたけれども、ちゃんとルールに従って実行しているということを確認する手段が提供できたりする可能性があります。
 小林委員からもWeb3.0に言及していただきましたけれども、そこまで最先端の技術でなくても、例えばオリジネーター・プロファイルといって、ちゃんと本人が言っている、有名人が成り済まして言っているのではない。この人はちゃんと資格を持っている人だというようなことを証明できる技術も制定が進んでおりますので、そういうようなものも視野に入れつつ、ルールを整備していただければと思っております。
 以上、コメントのみでした。ありがとうございます。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、冨田委員、どうぞお願いいたします。

○冨田委員
 ありがとうございます。私からも今ほどありました市場制度ワーキングの報告の11ページの注の24、SNSの関係について一言だけ申し上げたいと思います。
 先ほど山本和彦委員が消費者対策との連携の必要について述べておられましたが、私も全く同感でございます。昨年、連合で行いました、消費者シンポジウムの中で悪質商法について取り上げましたが、報告の中ではSNSの特定商法の被害の報告が多数なされており、昨今、通信や翻訳ソフトの発展によってこうした悪質商法は世界規模に広がっていて、一度送金されると回復するのはほぼ不可能だという御報告もいいただいています。
 今後SNSの対応を検討する際には、被害防止の策を強化するという観点も視野に入れて御検討いただけると幸いです。
 以上でございます。

○神田会長
 どうもありがとうございました。
 オンラインで御参加の委員の皆様方からも全員の方から御発言いただくことができ、ありがとうございました。
 皆様方にはいつも大変多くの貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。本当はもっとそれを受けて議論をしなければいけないのでしょうけれども、ちょっと時間の関係もございますので、最後になりますけれども、本日、大臣から頂きました諮問につきまして、それぞれワーキング・グループを設置し、具体的な検討を進めていきたいと思います。
 そういうことなのですが、資金決済制度等に関するワーキング・グループでございますけれども、その座長は、専門委員の森下教授にお願いしたいと考えております。本日、森下専門委員はこの場にはいらっしゃいませんけれども、本件につきまして御本人から事前の御了解を頂いております。
 保険に関するワーキング・グループの座長、それからこの2つのワーキング・グループのその他のメンバーですとか名称とかにつきましては、大変恐縮でございますけれども慣例といいますかに従いまして、私に御一任を頂ければ大変ありがたく存じます。
 そのような形で進めさせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。
 

(「異議なし」の声あり)
 

○神田会長
 どうもありがとうございます。御承認いただきました。ありがとうございました。
 それからもう1点、先ほど御報告させていただきました「市場制度ワーキング・グループ」の報告書につきましては、これを金融審議会として御了承いただくということにさせていただきたいと思いますけれども、御了承いただけますでしょうか。
 

(「異議なし」の声あり)



○神田会長
 どうもありがとうございます。
 以上で、予定の議事は全て終了ということになります。
 本日はオンラインシステムについて不具合がございまして、御迷惑をおかけしまして大変申し訳ありませんでした。また、その分、若干延長とさせていただくことになり申し訳ありませんでした。
 あと何かございますか、よろしゅうございますか。
 それでは、以上をもちまして、金融審議会総会、金融分科会の合同会合を終了とさせていただきます。
 本日の議事の模様につきましては、事務局から後ほど記者レクをしていただきます。今後の日程などにつきましては、事務局からまた後日御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 皆様方には、繰り返しになりますが、本日も大変お忙しい中を熱心に御参加いただき、貴重な御意見をたくさん頂きまして、誠にありがとうございました。
 以上をもちまして、終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 

―― 了 ――


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