金融審議会総会(第25回)・金融分科会(第13回)合同会合議事要旨

1.日時:

平成23年3月7日(月曜日)17時00分~18時55分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

3.議題:

  • 委員の紹介等

  • 金融審議会の進め方等について

  • 最近の金融行政について

  • 諮問

  • 自由討議

4.議事内容:

  • 開催にあたり、東副大臣、和田大臣政務官より挨拶。

  • 事務局から、委員等の紹介。

  • 委員の互選により、吉野 直行(よしの なおゆき)委員が金融審議会長及び金融分科会長に就任。また、吉野会長の指名により、神田 秀樹(かんだ ひでき)委員が会長代理及び分科会長代理に就任。

  • 金融審再開の経緯等について、事務局より説明。

  • 今後の金融審議会の運営について、金融分科会の下にある第一部会、第二部会、特別部会のほか、ワーキング・グループ等を廃止する一方、公認会計士制度部会、自動車損害賠償責任保険制度部会については引き続き設置することが決定され、吉野会長の指名により、自らが公認会計士制度部会長に、洲崎 博史(すざき ひろし)委員が自動車損害賠償責任保険制度部会長に、それぞれ就任。

  • 最近の金融・資本市場制度の整備、改善への取組み状況等について、事務局より説明。

  • (1)我が国金融業の中長期的な在り方についての検討、(2)保険会社グループ経営に関する規制の在り方等についての検討、(3)インサイダー取引規制における純粋持株会社の取扱い等についての検討、に関して、自見大臣より諮問(東副大臣が代読)。

  • 閉会にあたり、自見大臣より挨拶。

  • 自由討議における主な意見は以下の通り。

    • 金融業は産業としても重要であるが、実体経済を支え、国民の資産形成に貢献できてこその話であり、家計部門の金融資産への適切な投資機会の提供という点について問題意識をより強く持つ必要があるのではないか。全国で複雑な金融商品を巡る紛争が多発しているが、「我が国金融業の中期的な在り方」についての諮問に係るワーキング・グループにおいては、金融トラブル連絡調整協議会、金融ADR、弁護士会等からの協力も得ながら国民と金融機関の間に何が起きているのか正しく認識した上で、議論をして頂きたい。
    • 保険に関する諮問事項に関し、保険会社の国際的な競争力強化のための規制緩和の必要性は理解できるが、保険会社がビジネスリスクをとることで、国民に提供される保険商品の安全性に影響が出るのではという不安を生まないように、留意して議論を行うべきである。
    • 個人を含む投資家の保護を図る上で情報開示は重要であるが、企業にとって過度に負担となると優良企業が市場から退出し、投資家がアクセスできる良質な投資機会の減少に繋がる可能性がある。ワーキング・グループにおいては、情報開示の要請と国民が良質な投資機会を得られることのバランスについても議論する必要がある。
    • バーゼル規制などの自己資本規制への対応に係る論点や、中小企業の海外進出や、中小企業金融円滑化法の延長等の地域金融に関する論点といった現下の課題も議論すべきではないか。なお、昨年末以降の北アフリカや中東の政治・経済情勢を考慮すると、アジアを主軸とした金融展開というメッセージを今までの延長線上で出してよいのかといった疑問もある。
    • 「我が国金融業の中長期的な在り方についての検討」については、改正金融機能強化法や中小企業金融円滑化法の効果について、データの分析を行った上で議論を進める必要がある。例えば、減少している銀行の貸出残高についても、データをもとにその要因を分析する必要がある。
    • 世界に勝てる金融業になるためには、海外の実態を把握するとともに、自己責任に関する金融経済教育も変える等の必要な対応をとっていくことが重要。
    • 第一の諮問に関して、世界的な金融センター間の競争は、その国の国籍の金融機関がどれだけ強いかではなく、その国で活動している金融機関がどれだけ強いかで決まっている。国際的な競争力を考える上では、外資内資を問わず日本に拠点を置いて活動する金融機関の競争力の強化を重視する観点を強く持つべき。
    • インサイダー取引規制に関する諮問は、テクニカルではあるが実務上大きな影響があり、投資家保護の観点からも検討を行うことは重要である。このように短期的に解決しないといけない課題がある一方で、インサイダー取引規制や株式公開買付規制、大量保有報告規制について、例えば2、3年の時間をかけて制度のあり方を検討することも考えてはどうか。
    • 金融が国境を越え、欧米やアジアなどが世界の金融センターとして競争力強化に動いている時に、日本の金融が、実体経済を支えるのみならず、一つの産業として育成していくにはどうしたらいいのかという点も検討するべきである。その際、日本の金融機関は、欧米金融機関の模倣だけではなく、自らの強みや特徴を打ち出しながら、アジアの経済成長を取り込み、海外に対抗していくことが重要ではないか。
    • 国際的に通用する金融機関だけでなく、国内における地域金融機関についても、アジアの経済成長をいかに取り込む中でどのように関わっていけるのかという点等について考えていく必要があり、ワーキング・グループにおいて議論していくべきものと考えている。これらの課題は難しいテーマであるが、現状、日本の金融状況が遅れている中では、1年程度を目途に議論を纏めないと海外の動きに更に置いていかれかねない。
    • 日本の金融業の強み、弱みを分析した上で、欧米に負けない金融機関を実現するための改善点について中長期的に議論していきたい。
    • アジアとの関わり方については、金融機関や企業が日本から進出する場合と、アジアの企業や人が日本に来る場合と、双方向で考える必要がある。前者については、経済面だけでなく、ビジネス環境や政治面等の様々なリスクを含めて戦略的に研究していくことが、後者については、日本が市場として競争力を向上していくことが重要になるといえる。
    • 金融機関とアジアとの関わり方を考える際には、海外に進出する中堅・中小企業側が、何をやりたいのか、何をリスクと見ているのか等のニーズを把握することが重要。
    • 我が国金融機関の国際競争力の強化については、これまで議論はしてきたが、十分に実現出来ていないポイント。従来、実体経済を支える金融業の主な役割は、企業への円滑で安定的な資金供給だったが、国内の成長が安定的に望めず、日本経済が海外の成長を取り込むことが必要とされる中では、海外進出する企業の支援という役割が大きく浮上してきており、重要なテーマといえる。
    • 海外企業の買収や海外に立地等を行おうとする企業は、金融業に対して、(1)従来にない規模の資金の円滑な調達を図るとともに、(2)企業を熟知している国内の金融機関として、企業と一体化したサポートを期待している。しかし、現状では、日本の金融機関は(2)の役割は十分に果たしているとは言えず、買収等の分野では専門性のある海外の金融機関に競争で負けてしまっているのではないか。こうした実情を把握し、改善に向けた議論を行うためにも企業や金融機関関係者をワーキング・グループにも呼んでもらいたい。
    • 地域金融機関の最大の問題点は、顧客である中小企業が儲かっていないことに起因する収益性の低さである。優良企業が減少している中では、金融機関は、従来の商業銀行業務よりも踏み込んだ業務を行うことによって、優良企業を育成していく必要が出てきており、こうした点まで考えて議論をしていきたい。こうした地域金融の問題を議論する上では、データにより分析を行うことが必要である。
    • 第一の諮問事項について、海外に既に進出している企業は、新興市場を控え成長の画を描けているが、一方で、海外に進出する芽がないような地方の産業の場合、他の企業からシェアを奪うか、縮小均衡の画を描いて収益性を向上させるしかない。地域金融を議論する際には、このような産業構造についての視点も重要である。
    • 金融機関は、新たに海外進出する企業に対する投融資事例を重ねることで、ノウハウを蓄積し、企業の円滑な資金調達をサポートしていくことが重要。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3645)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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