金融審議会「サステナビリティ情報の保証に関する専門グループ」(第1回)議事録

  • 1.日時:

    令和7年2月12日(水曜日)9時15分~11時30分

 2.場所:

 中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

【堀江座長】
 おはようございます。予定された委員の先生方がおそろいでございますので、ただいまより金融審議会 サステナビリティ情報の保証に関する専門グループの第1回の会合を開催させていただきます。
 御多忙のところ、早朝からお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 申し遅れましたけれども、このたび、当専門グループの座長を務めることになりました堀江でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 本日の会議は、対面とオンライン会議を併用した開催という形で進めさせていただきたいと思います。
 なお議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
 それでは、会議を始める前に、事務局から留意事項と当委員の御紹介をお願いいたします。

【犬塚開示業務室長】
 事務局を務めさせていただきます犬塚でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際にはオンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。また、御発言される場合には、冒頭にお名前をお願いいたします。
 なお、対面での御参加の委員におきましては、挙手をいただければ座長から指名させていただきます。
 大変恐縮ではございますが、カメラはここまでということでお願いいたします。
 次に、サステナビリティ情報の保証に関する専門グループの委員の皆様を御紹介させていただきます。資料1のサステナビリティ情報の保証に関する専門グループメンバー名簿順に御紹介させていただきます。
 まず、浅川健一様です。井口譲二様です。植村一之様です。岡崎久喜様です。甲斐幸子様です。清原健様です。阪智香様です。関口智和様です。芹口尚子様です。高村ゆかり様です。失礼しました。本日は途中から御参加いただく予定となっております。田辺蘭子様です。筒井裕子様です。林隆敏様です。藤本貴子様です。町田祥弘様です。松本祥尚様です。森内譲様です。弥永真生様です。
 また、本日は御欠席でございますけれども、上田亮子様にもメンバーを引き受けていただいております。
 次に、オブザーバーといたしまして、サステナビリティ基準委員会、東京証券取引所、日本監査役協会、日本経済団体連合会、関西経済連合会、日本公認会計士協会、日本労働組合総連合会に御参加いただいております。
 また、官公庁からもオブザーバーといたしまして、日本銀行、法務省、財務省、経済産業省、環境省に御参加いただいております。
 また、事務局につきましては、時間の関係もございますので、お手元の配席図をもって紹介に代えさせていただければと存じます。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、まず、会議の公開についてお諮りいたします。
 金融審議会議事規則にのっとり、サステナビリティ情報の保証に関する専門グループの審議につきまして公開することとしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 どうもありがとうございました。御了解いただきましたので、本日の会議の模様はウェブ上でライブ中継させていただきます。
 それでは、議事に早速移らせていただきます。本日は、事務局、それから日本公認会計士協会の藤本様、日本適合性認定協会の森内様の順番で資料の御説明をさせていただきました後、先生方から質疑応答、討議をいただきたいと考えております。
 それでは、まず事務局の金融庁からお手元の資料に従って御説明をお願いいたします。

【犬塚開示業務室長】
 それでは、資料に基づきまして御説明をさせていただきます。事務局説明資料を御覧ください。
 まず1ページ目でございます。本日の目次でございますけれども、1点目がワーキング・グループで取り上げた内容、2点目が保証業務実施者に求められる規律の在り方、最後が本日御議論いただきたい事項と、この3部構成になっております。
 まず、ワーキング・グループで取り上げた事項について簡単に御説明をさせていただきます。2ページを御覧ください。有価証券報告書におけるサステナビリティ情報は、企業のサステナビリティ関連のリスクまたは収益機会に関するものということでございますので、投資の判断材料になります。
 こうしたことから第三者による保証を通じた信頼性確保、これが重要と考えられております。
 こうした中で、欧州ではCSRDが発行され、2024会計年度から段階的にサステナビリティ保証を要求しており、フランスでは2023年12月に法制化がされております。
 米国でも昨年3月に、SECによる気候関連開示の最終規則が公表されておりますけれども、訴訟が相次ぎ、執行が停止されているといった状況でございます。
 また、資料には記載がございませんけれども、今年に入ってから欧州委員会において、欧州の活力回復、経済成長促進の観点から、企業の競争力向上のために、CSRDなどを簡素化して企業の負担を25%削減すると、そういった目標を掲げ、今月末に具体的な提案を行う予定であるということを発表しております。
 また、欧州最大与党の欧州人民党、EPPでは、CSRDなどを少なくとも2年間停止することなどを求める動きも見せております。
 このため、海外の動向に関しましては先行きが見通せない状況となっており、こうした動きをよく注視していく必要があると考えております。
 次に4ページ目を御覧ください。サステナビリティ保証の具体的な論点を示したものになります。保証の政策に当たっては、保証の範囲・水準、保証の業務の担い手などをこちらに示された論点について検討していく必要があると考えております。
 少し飛びまして、7ページ目を御覧ください。昨年12月のワーキング・グループでお示しした中長期的なロードマップとなっております。もっとも先ほど御説明させていただきましたとおり、海外動向の先行きが見通せない状況となっている点を踏まえまして、日系企業の国際競争力の観点から、このロードマップを前提に議論を進めることについては、今一度考え直す必要もあるのではないかと、そういったような御意見も伺っているところではございます。
 事務局といたしましては、海外動向の先行きが見通せない状況を踏まえ、まずはロードマップで示しております当面の保証制度の適用を前提に制度設計の御議論をしていただいてはどうかと考えております。
 8ページ目を御覧ください。保証業務の担い手如何にかかわらず、質の高い保証業務が提供されるようにと、登録要件、業務制限・義務、保証基準、倫理・独立性、検査・監督、自主規制と、そういった点について本専門グループで御議論いただきたいと考えております。
 次に、サステナビリティ保証業務実施者に求められる規律の在り方について御説明をさせていただきます。10ページ目を御覧ください。規律の在り方を検討するに当たっての基本的な考え方を示したものになります。有価証券報告書に記載されるサステナビリティ情報につきましては、投資家の投資判断に必要とされる情報の提供を目的として、上場企業が財務諸表とのつながりを理解できるよう開示する必要がございます。
 そのため、サステナビリティ情報の信頼性を確保するということは、資本市場が適切に機能を発揮していく上で不可欠な要素と考えられます。保証業務実施者には高い規律を求めていく必要があるのではないかと考えております。
 そこで同様の考え方から、高い規律が求められている上場会社等監査人に関する制度、これを参考にしていくことが良いのではないかと考えております。
 少し飛びまして15ページ目を御覧ください。まず、登録要件についてでございます。上場会社等監査人登録制度におきましては、登録拒否要件の一つといたしまして、業務を公正かつ的確に遂行するに足りる体制の未整備と。逆に捉えますと、こうした体制の整備が求められているという状況でございます。
 この具体的な体制整備の内容につきましては次の16ページを御覧ください。こちらに示させていただいている通り、監査法人に求められる業務管理体制の整備に上乗せする形で、上場会社等監査人の場合には追加的な体制整備が求められているといったような状況になっております。その中でも業務を公正かつ的確に遂行するための品質管理体制と人的体制の整備が具体的に求められているというところでございます。
 こうした点を参考に、サステナビリティ保証につきましても、上場会社等監査人に求められるものと同等の業務管理体制、特に品質管理に係る専門部門、または、主たる従事者の設置といった品質管理体制の整備ですとか、十分な知識及び経験を有する者を確保するといった人的体制の整備、こうしたものを求めてはどうかと考えております。
 次に18ページを御覧ください。業務制限や義務・責任についてでございます。こちらにつきましては、上場会社等監査人に特有のものがあるというわけではなく、監査法人や公認会計士一般に適用されているものということになります。
 まず、義務・責任につきましては、こちらに記載させていただいているとおり、例えば守秘義務、こちらは罰則つきとなっておりますけれども、そうした守秘義務ですとか、研修の受講義務、あとは使用人に対する監督義務、こういったものがございます。
 また、次の19ページ目でございますけれども、業務制限といたしまして、被監査会社と利害関係がある場合の業務提供の禁止といったものですとか、例えばアドバイザリー業務と監査証明業務の同時提供の禁止、業務執行社員は監査を7年行った場合はその後2年間同じ会社への監査業務を行うことができないといったローテーション制度、そういったものが導入されてございます。
 20ページ目を御覧ください。財務諸表監査では、故意・過失で虚偽証明を行った場合ですとか、著しく不当な業務運営をしている場合には、監査法人に対して業務改善命令または業務停止命令、さらに業務執行社員個人に対しましても業務停止命令ですとか登録抹消といった行政処分の対象となってございます。
 こうした点を参考に、サステナビリティ保証につきましても、監査法人等と同様の業務制限、義務・責任を課してはどうかと考えております。
 次に22ページを御覧ください。保証基準や倫理・独立性基準につきましては、国際基準の開発が先行しております。国際監査・保証基準審議会(IAASB)と呼ばれておりますけれども、そちらで保証基準が、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)で倫理・独立性基準がそれぞれ最終化されている状況でございます。
 また、こうした点につきまして、証券監督当局の国際機関でありますIOSCOがこれらの基準について支持する旨のプレスリリースを公表しているところでございます。
 少し飛びまして、25ページを御覧ください。我が国における監査基準及び倫理・独立性基準の体系を示したものになっております。
 監査基準につきましては、企業会計審議会と日本公認会計士協会が国際基準等と整合的な基準を策定しているという状況です。
 他方で倫理・独立性基準につきましては、法令等で守秘義務などの一部規定はございますけれども、基本的には日本公認会計士協会がIESBAの倫理規程と整合的な倫理規則を策定しております。
 こうした点を参考に、いずれにつきましても国際基準との整合性を確保するということを大前提に、保証基準につきましては、企業会計審議会が策定する保証基準と自主規制機関が策定する実務指針、これを一体として我が国の基準にしてはどうか、倫理・独立性基準につきましては、自主規制機関が策定する倫理規則を我が国の基準としてはどうかと考えているところでございます。
 次の27ページ目でございますけれども、これまで御提示させていただいた議論の方向性についてまとめた資料となっております。
 そして最後、28ページ目、本日御議論いただきたい事項でございますけれども、保証業務実施者に求められる規律の在り方といたしまして、今申し上げた27ページ目でお示しした方向性をベースに御議論いただければと考えております。
 説明は以上でございます。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、日本公認会計士協会の藤本委員から御説明をお願いいたします。

【藤本委員】
 御説明の機会をいただきありがとうございます。現状のサステナビリティ保証業務の状況について、日本公認会計士協会として御説明をさせていただきます。
 現在行っている任意の保証業務につきましては、財務諸表監査と同様の品質管理体制の下、高い規律に基づいて実施している点を、全体として述べさせていただきます。その上で、こちらに記載をしております内容について御説明をさせていただきます。
 まず、業務管理体制の法人の体制でございますが、財務諸表監査と同様にIAASBが公表した品質マネジメント基準と整合した品質管理体制を構築しております。
 国際サステナビリティ保証基準ISSA5000においても、品質マネジメント基準、または同等の品質管理体制において業務を実施することが求められると理解しております。
 また、品質管理の主な内容でございますが、非常に多岐にわたります。主として業務のリスク管理、定期的検証や専門的見解の問合わせなどがあり、また、契約の受嘱更新時、業務に関して品質管理システムに基づく審査も実施をしております。
 このような品質管理体制を整備・運用することで、財務諸表監査の信頼性を確保するのと同様に保証品質を担保する体制が構築されております。
 また、人員体制でございますけれども、保証を行う部門全体の人数は法人によって異なりますが、おおむね100名を超える規模でございまして、平均的な保証チームの人数は、こちらも会社の規模や主題情報によりますけれども、おおむね10名前後が通常と考えております。
 また、保証業務の責任者及び保証チームの現場統括者は、保証業務に関わる高度かつ専門的な知見や経験のほか、財務報告とのコネクティビティを踏まえ、財務諸表監査との相互関係について理解を有する者や監査チームと同じ者が担当するような人員体制で実施をしております。
 続いて保証手続でございますが、IAASBから公表されておりますISAE3000や3410に基づいて業務を実施しております。
 具体的な手続の流れといたしましては、保証業務の計画の立案、リスク評価、リスク対応手続、それらの手続で入手した証拠を基に意見表明をするという流れとなっております。
 特に計画時においてサステナビリティ情報を含む企業環境の理解が重要で、取締役等との適時のコミュニケーションや内部統制の理解等によって適切なリスク評価とリスク対応手続を実施いたします。
 これらの手続は財務諸表監査の手続ともオーバーラップするものでございまして、実施するスケジュールも同時期に実施することで効率的・効果的に業務を行うことが可能と考えております。
 また、保証範囲につきましては、一般的なサステナビリティ情報として、GHG排出量、それ以外の環境情報や社会関連指標等、多岐にわたってございます。
 ガバナンス、リスク管理につきましては、財務諸表監査においても評価・検討するものでございますので、保証業務においても財務諸表監査で得た情報が利用できるものと考えております。
 それから、継続教育に関しましては、各法人の品質管理体制として、所属の公認会計士にサステナビリティに関する一定の研修を実施しております。
 研修制度の設計に当たっては日本公認会計士協会のサステナビリティ能力開発シラバスとの整合性を確保することにより、業界全体としてサステナビリティ保証に必要な能力を担保する取組を進めております。
 また、このシラバスは、サステナビリティ保証業務を実施するために、既に公認会計士にある会計・監査の知見に加え、何を学ぶ必要があるかを網羅的にまとめております。
 それから保証基準は、先ほど申し上げたとおりISAE3000や3410を利用しておりますが、今後ISSA5000が適用される場合に、いずれもIAASBが開発した保証基準でございますので、基準の構成や内容について近しい内容ということもあり、実務への適用も円滑に進むものと考えております。
 また、倫理・独立性に関しましては、IESBAの倫理規程や日本公認会計士協会の倫理規則に従って業務を実施しております。
 財務諸表監査でも、既に被監査会社の株式等の金融資産保有制限等も含め、一定の独立性を遵守するために各法人が多額のコストを投じて対応を図っております。
 今度、国際倫理基準がサステナビリティ保証についても策定されましたが、ISSA5000でも同等の倫理の適用が求められており、これまでの財務諸表監査で行っている独立性の基盤というものを基にこれから整備を進めていくことになろうと考えております。
 私からの報告は以上となります。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。それでは、引き続きまして、日本適合性認定協会の森内委員から御説明をお願いいたします。

【森内委員】
 日本適合性認定協会でございます。本協会は、民間の適合性評価制度に基づき、サステナビリティ保証(検証)業務を実施する法人を認定する公益法人です。
 サステナビリティ保証(検証)業務を実施する法人以外にもマネジメントシステムの認証を実施する法人なども認定をしております。
 認定におきましては、ISOの適合性評価規格と所属する国際団体が定めるルールに基づいて審査を行い、その結果を公表いたします。
 それでは、資料に従いまして本協会が認定しておりますサステナビリティ保証(検証)を行う法人の業務状況について御説明申し上げます。
 次のページをお願いいたします。まず、業務管理体制です。法人は、関連するISO規格の要求事項に適合した体制を構築・維持する必要があります。適合状況は、認定機関である本協会が毎年審査を行い、不適合があれば是正を求めます。適合すべき要件には全ての妥当性確認・検証活動に法的責任を負うことが可能であること、妥当性確認・検証の声明書に責任と権限を持つこと、公平性のマネジメント、活動から生じる債務を担保する適切な処置の実証、品質管理体制の構築、リソースの確保、審査体制、プログラム、依頼者との合意を契約締結及び更新前に確定すること、業務実施者、レビュー者、決定者の権限分離などが含まれます。
 次に、人的体制です。法人によりサステナビリティ保証(検証)業務を行う部門の規模はまちまちですが、50名以上の規模となっていると捉えていただければと思います。
 業務チームの構成は3名から5名、チームには外部専門家を起用する場合があります。
 法人は、ISO関連規格の要求事項に基づき、その要員が従事する業務の内容と範囲に応じた力量を構築し維持することが求められます。
 次に、保証手続です。法人に所属する業務実施者は、関連するISO規格に定める手続及び法人が定めた手続を実施いたします。手続の中には、計画、リスク評価、リスク対応などを経て意見表明を行うまでの詳細なプロセスに加えまして、その後の異議申立てや苦情の処理などが含まれます。
 トップマネジメントとのコミュニケーションは検証ごとに実施されております。
 次に、保証(検証)の範囲でございます。温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)が範囲に含まれます。
 ガバナンス及びマネジメントにつきましては、検証計画段階で行う戦略的分析における必須事項となっておりまして、分析結果はリスク評価に用います。
 次に、継続教育です。業務執行責任者やチーム内で保証に携わる者などに対する知識や力量の維持更新のため、法人は、法人が定めた年間計画に基づき、定期的評価と継続的評価を行います。また、認定機関による法人に対する審査では、認定機関の審査員が、法人の事務所において継続教育に関する文書記録を確認し、その有効性を評価するとともに、法人の業務チームが保証(検証)を実施している現場に立ち会い、継続教育の有効性を実証いたします。
 次に、保証(検証)基準です。法人が準拠する基準は、ISOの関連規格、認定機関が定めた基準及び法人が定めた基準です。
 なお、法人を審査し認定する認定機関自身もISOの関連規格、国際団体が定めたルール、認定機関独自の基準に基づきます。
 現在、本協会が所属する国際団体でありますInternational Accreditation Forum、IAFは、IESSA、ISSA5000を適用する意向を公式に表明しておりますし、IESSAあるいはISQM1の適用も検討しております。
 最後に、倫理・独立性です。法人に対するISOの関連規格の要求事項には、保守義務、同時提供の禁止、サイナーの就職制限、ローテーションルールの設定などが含まれます。
 また、方針が独立性の基準に違反した場合や不適切行為などを行った場合には、認定機関は法人に対する臨時の審査を行い、審査結果に基づいて法人に対する認定の縮小、一時停止または認定の取消しを行うことがあります。
 御説明は以上となります。ありがとうございました。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、これから委員の皆様から御質問、御意見等をお伺いする討議の時間とさせていただきたいと思います。まず、本日御欠席の上田委員から御意見をいただいておりますので、先に事務局から御紹介をさせていただければと思います。

【犬塚開示業務室長】
 上田委員から預かっております御意見でございます。
 27ページの方向性に賛成する。情報開示の信頼性を確保するため、サステナビリティ保証業務実施者は監査人と同水準の品質管理が求められる。
 以上が上田委員の御意見でございますが、1点、少し補足でございますけれども、以後の御意見の発言に関する補足ということではございますけれども、御発言を希望される際には、目の前にございますネームプレートを立てていただけると幸いでございます。
 以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、御出席の委員の先生方から御意見等をお伺いさせていただければと思います。限られた時間でございますけれども、本日御出席の全ての委員の先生方から4、5分以内で御意見等を頂戴したいと考えております。
 なお本日の会議では経過時間をお知らせするため、御発言から5分が経過したタイミングで事務局員よりメモを先生方のお手元に差し入れさせていただきます。
 加えまして、御発言の順番につきましては若干前後する可能性があるかと思いますけれども、あらかじめ御了解ください。
 それでは、どなたからでも結構でございます。御質問、御意見等いただければと思います。いかがでございましょうか。
 それでは、井口委員、お願いいたします。

【井口委員】
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。最初に、27ページに示されている方向性には賛同いたします。登録制度から業務制限等に関しましては、サステナビリティ情報の保証においても財務諸表監査と同様の課題が生じると考えておりますので、原則、現状の財務諸表監査と同様の仕組みやルールを入れるのが妥当ではないかと考えております。
 また、その下の保証基準と倫理基準に関しましても、日本で保証対象となるISSBあるいはSSBJ基準による開示情報では、財務情報とのつながりが重視されておりますので、そういうことを踏まえますと、こちらに記載にあるように、財務諸表監査の基準を策定しているIAASB、IESBAの策定する基準のみを保証の基準とすべきと考えております。
 個別の論点のところとなりますが、12ページから13ページに記載されております欧州での保証の考え方のところは、個人的に非常に勉強になりました。特に、12ページの上に記載されている、財務諸表とサステナビリティ情報のコネクティビティの観点から財務諸表監査の経験がある法定監査人のほうを優先すべきであること、また、監査人に保証業務が集中することによって保証の報酬の増加する懸念があるため、サポートの位置づけとして、その他の保証業務実施者を許可することを認めるというところは非常に示唆に富む考え方であると思います。また、こういったprofession-agnosticという大前提を掲げつつ、欧州の実情を踏まえ、具体的な適用方針を明確化しているという点は非常に重要で、日本でも参考になるのではないかと思いました。
 個人的には、欧州ではダブルマテリアリティの開示基準を導入しているので、このような財務情報とのつながりを重視した考え方を保証の方針に入れているということには、大変、驚きました。一方、日本ではシングルマテリアリティの開示基準が導入される予定であることを考えますと、より財務諸表監査の経験のある監査人の役割が重要になってくるのではないかと思います。また、グローバルとの比較での、日本の監査報酬の現状を考えますと、後段の報酬の高騰への懸念も不要ではないかと個人的には考えております。
 こういったことに加えまして、御存知のように、欧州では非上場の企業を含め膨大な数の企業に開示や保証を適用することに比べて、日本ではトップ300社程度に適用するということで、非常に対象となる企業の数は少ないということ、かつ、日本ではシングルマテリアリティに基づいた開示ですので、保証の負荷も欧州に比べて高くないということを考えますと、金商法の保証導入当初は、保証業務を監査人の方に絞り込んで、将来的にプライム市場全体に保証を拡大する時に、その他の保証業務者の方にも保証業務を拡大するか否かを検討するという、profession-agnosticの段階的な導入ということも検討する余地があるのではないかと考えます。
 また、この有報における保証以外にも、グリーンボンドとか任意の保証が、今後、さらに増えてくると考えますが、そこでは、その他の保証業務者の方と監査人の方が保証業務をやられるという、すみ分けという考え方も必要ではないかと考えます。
 次に、16ページの下のサステナビリティ保証業務に関する十分な知識、経験のところで2つ申し上げたいと思います。下のほうの括弧のところですが、1つ目は、私もSSBJの委員で基準策定に携わらせていただいておりますが、そこで感じますのは、日本で導入される予定のSSBJ基準は、比較情報あるいは後発事象の考え方など、様々なところに財務会計基準の考え方が相当程度入っていると考えております。
 したがって、この保証においては、先ほど申し上げましたように、財務諸表監査の基準を策定しているIAASBの保証基準の活用は必須と考えておりますが、保証人に必要とされる知識、経験においても、財務諸表監査の経験やあるいは基本的な知識は重要になってくるのではないかと想定をしております。したがって、資料の記載事項に加えて、財務諸表監査の基本的な知識というのも加えるべきではないかと考えております。これは先ほど申し上げた欧州の考えとも符号するのではないかと思っています。
 2つ目は育成のところとなりますが、12ページのCSRDの取組とか13ページのドイツ、フランスの取組を見ますと、保証の導入当初は法定の継続研修が行われる一方、将来的には、サステナ保証の試験の導入というのも検討されていると思います。即、試験を導入するというのは難しいかもしれませんが、どこかの段階で、例えば、難易度が高いと言われる戦略の保証を入れるとか、そういう段階で試験の導入というのも検討する必要があるのではないかと考えます。
 以上でございます。ありがとうございました。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは引き続きまして、町田委員、お願いいたします。

【町田委員】
 ありがとうございます。発言に当たって、最初にちょっと質問させていただきたいと思います。座長にお伺いすべきなのか、金融庁事務局なのか、分かりませんけれども、27ページの資料で5つ目のところが、ここだけ後日検討になっているんですが、時間の関係というのもあるんでしょうけれども、2つに区分するのであれば、3つ目までとか、あるいは、3回目もこれらについての議論が予定されているのであれば、3つに分けてもいいと思うのですが、5だけ別に分けるのは何か理由があるのでしょうか。なぜかというと、自主規制の話とその上の倫理の話というのは非常に関連性がある事項ですので、この点をお伺いしたいのです。
 もう一つは、専門グループの会議のアジェンダについてです。今、井口さんからprofession-agnosticの話がありましたけれども、一体誰が保証の担い手になるのかというのは、この専門グループで議論すべきアジェンダの範囲外なのかどうか。つまり、それはワーキング・グループのアジェンダであって、私たちは、保証の担い手をprofession-agnosticにするという方針を所与として、ここでは議論をせよということなのか。
 はじめにこの2点を確認させてください。そのご回答を受けて、発言をさせていただければと思います。

【堀江座長】  
 どうもありがとうございました。
 どういたしましょうか。事務局のほうからお答えいただけますか。

【犬塚開示業務室長】  
 事務局のほうからお答えさせていただきます。まず1点目、検査・監督、自主規制について今回取り上げていないという事情でございますけれども、これは特段何か特別な意図があるというわけではございませんでして、御指摘いただいたように単純に時間の関係から今回は検査・監督、自主規制については後日検討とさせていただいているという次第ではございます。
 ただ、今町田委員のほうから御指摘いただきました通り、倫理・独立性、検査・監督、自主規制というのは関連するものだというところもございますので、そうした点も踏まえて、次回、検査・監督、自主規制について御議論いただく際には、改めて倫理・独立性についても御議論いただくという、そういった流れを想定しているところではございます。
 それと2点目でございます。担い手の議論については所与のものとなっているのかという点でございますけれども、まずは一旦12月のワーキング・グループで大きな方向性につきましてはワーキング・グループの中で御議論いただいたと認識しておりますので、まずはそれを前提として御議論いただくことになるのかなとは思ってはおります。
 ただ当然それは方向性と示されただけでございますので、その後の事情の変化によって、担い手についても、例えば少し見直す必要があるのではないかと、そういった御意見がもしあるようでしたら、ぜひこの場でもいただければと考えております。

【堀江座長】
 よろしいでしょうか。

【町田委員】  
 ありがとうございます。そのご回答を踏まえて、お伺いした2点のそれぞれに関連する点について、私の意見を申し上げたいと思います。
 1つ目の点は、倫理・独立性というふうに金融庁はよく書くんですけれども、また、日本公認会計士協会が「倫理規則」といって規則という言い方をしているからいけないところもあるかなと思っているんですが、倫理は「規則」ではないですね。ルールではありません。独立性については法規がありますから、独立性規則といってもいい部分があると思いますが、倫理は何らかのルールを守ればそれでよいとかいう、そういう話ではないと思うんです。IESBAの倫理コードでは、そこでは原則主義アプローチが採用されているという点と、もう1つは、もしも会員に非違事例があった場合には、自主規制において、懲戒処分を伴うものという点です。非常に単純に言えば、職業倫理というのは、会計プロフェッションが自主規制において非違事例を起こした者を、「この人たちは我々の仲間ではありませんよ」と言って業務から外したり除名したりして、「ですから我々のことを信頼してください」と言って社会に表明するのが倫理コードの役割だと思うわけです。
 ですから、倫理・独立性、正しくは倫理コードの議論は、自主規制の根幹であって、5番目の項目に含まれている自主規制と一緒に議論しなければ、検討できないんじゃないかなというのが1点目です。
 そして2点目は、profession-agnosticの議論ですけれども、各国の制度の動向を見る限り、ドイツのように、会計プロフェッションに独占業務として委ねている国と、フランスのようにprofession-agnosticを徹底して、監査監督機関を衣替えして、H2Aを設立して、Non-PAの方々も登録させるという国を両極としているということを承知しています。
 じゃあ日本ではどうなのかというときに、考えられる施策としては3つあるんだろうと思います。
 1つは、新しい自主規制機関をつくって、そこで検討するというやり方。2つ目は、財務諸表監査のように、公認会計士法で法定して、日本公認会計士協会に運営を委ねている上場会社等監査人登録制度に載せていくというやり方。3つ目は、公認会計士・監査審査会に登録させるというやり方。この3つぐらいが考えられるのかなと思うんです。
 このうち、1つ目の自主規制機関を新たにつくるというのはなかなか遠大な話になりますし、現時点で何も準備されていない中でゼロベースで作るのは難しいのかなと正直思っていますし、IESBAの倫理コードを新しい自主規制機関が初めてで管轄できるのかどうかということが心配です。
 また、日本公認会計士協会の上場会社等監査人登録制度に載せるというのは、恐らくNon-PAの方が、「何で私たちが日本公認会計士協会に管理・監督されなきゃいけないんだ」「公認会計士に厳しく対応されるのはイヤだ」という話になってくるだろうと思います。
 じゃあ、少し変わっているけれども、公認会計士・監査審査会の権限を拡充して、このような案は以前の金融庁の資料にもあったかと思いますけれども、権限を変えて審査会に登録させるかというと、だったら、そもそも財務諸表監査の監査人、監査事務所を公認会計士協会の名簿登録に委ねないで、審査会に登録させるべきだという話になるでしょう。アメリカやイギリスやフランスでは、上場会社の監査人、監査事務所を監査監督機関に直接登録させています。中でも4大監査事務所については、毎年検査しています。それが日本では、審査会の人的リソース不足ということがあって、4大監査法人の検査を隔年の検査にして、かつ、上場会社の監査をやっている監査人を日本公認会計士協会の登録名簿という自主規制を活用して登録させるという異例のやり方を取っているわけです。そんな日本において、サステナビリティ情報の保証業務を制度化するからといって、Non-PAの方々を公認会計士・監査審査会に登録させるというのは、そもそも本末転倒で、なかなか難しい話なんじゃないかなと思います。
 そうなると、どういう解が考えられるのかということです。監査監督機関のリソースを踏まえて財務諸表監査の担い手さえ公認会計士協会の上場会社等監査人登録制度に管理・監督の役割をシェアしているという状況を前提にすると、グローバルにはprofession-agnosticが標榜されているということではあるけれども、それはあくまでも最終的には各国のjurisdiction(法的管轄権限)に任されているんだとすれば、会計プロフェッションの独占業務に委ねるというドイツのスタンスに倣って、日本においても監査法人に委ねる、監査法人を排他的独占業務に委ねるという方法が一番シンプルな解なんじゃないかと思います。
 しかも、今回の制度化は、有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の開示制度、法定開示の議論だけに限っての話ですから、それ以外のところを規制する話ではないとすれば、任意開示の部分はnon-PAの方々にもオープンにして、法定開示の部分だけをPAの独占業務にする、そういう解もあり得るんじゃないか、そういう解が最も現実的じゃないかと私は考えています。
 私は日頃から日本公認会計士協会に対していろいろ厳しいことを言っている方なんです。例えば、法定四半期報告の廃止の問題やKAMの実務対応について日本公認会計士協会の対応はどうなのかなどと言っているわけですが、そんな私がこういう意見を言うのは多少意外に思われるかもしれません。しかしながら、どんなに期待を裏切られることがあったとしても、日本の唯一のプロフェッション団体として絶えず期待をかけていきたい、そうせざるを得ないとさえ思っています。そういった意味で、私は、保証の担い手の問題はこの専門グループのアジェンダではないのかもしれませんけれども、これから先、この専門グループでの発言においては、ドイツ式に監査法人、もしくは会計プロフェッションの独占業務として担うべきだという立場で発言していきたいと考えていますし、また、日本唯一の会計プロフェッション団体である日本公認会計士協会には、仮に全ての上場企業のサステナビリティ情報の開示と保証が制度化されたとしても、我々の業界で全て担う準備はできていますよということを明言していただくことを期待したいと思っています。
 私からは以上です。

【堀江座長】  
 どうもありがとうございました。
 今御指摘ありましたように、自主規制の問題については、保証主体をどう考えるかということとも密接に関連してくる問題でもございますので、本日、先生方からの御意見をお聞きさせていただき、それを集約させていただいた上で、事務局のほうから具体的な提案を次回以降させていただくという形で進めさせていただければと思います。
 それでは、引き続きまして、阪委員、筒井委員の順番で行きますので、阪先生、先にどうぞお願いいたします。

【阪委員】
 発言の機会いただきありがとうございます。27ページで御提案いただきました規律の在り方の方向性に賛同しております。
 理由については、まず保証というのは、開示基準があった上での保証であり、日本のサステナビリティ開示基準の開発方針として国際的な整合性が重視されてきたことから、保証制度においても同様に、国際的な保証基準であるISSA5000と整合性ある国内のサステナビリティ保証基準を整備すること、またISSA5000を公認会計士以外の保証業務実施者が使用する場合には、IESBAの倫理規程や品質マネジメント基準と少なくとも同等以上の職業専門家としての要求事項、または法令等の要求事項の遵守が求められていることを踏まえて、それらと整合性のある倫理・独立性の仕組みを持つことに賛同いたします。
 サステナビリティ開示基準では、コアコンテンツの戦略においてバリューチェーンに与える影響の開示も求めています。また、指標と目標における例えば温室効果ガス排出に関しては、IFRS S基準や日本基準案の中でもサステナビリティ開示基準の根幹をなす要求事項の1つとされるScope3について、バリューチェーン上の企業から1次データが得られれば企業の取組の効果も見える化できるようになります。バリューチェーン上の企業の保証の観点から、他の業務実施者としてその作業結果が利用できると効率的でありますし、そのために独立性などの要件を満たしておくという観点からも御提案の仕組みは重要かと思っております。登録制度要件、業務制限・義務についても、既存の仕組みに基づき、混乱のない制度の設計をすることで、グローバルな視点から見て日本の動きが安定的にも見えるものと思います。
 関連して2つ申し上げさせていただきたいと思います。1つは、財務諸表とは異なる、サステナビリティ開示の保証であるという点です。SSBJのサステナビリティ開示基準はシングルマテリアリティに焦点を当て、サステナビリティ関連財務開示を対象としています。具体的には、「企業の見通しに影響を与えると合理的に見込み得るサステナビリティ関連のリスクと機会」を重要な要素と位置づけています。それは、短期・中期・長期にわたり企業のキャッシュフロー、その企業のファイナンスへのアクセスまたは資本コストに影響を与えると合理的に見込み得る、全てのサステナビリティ関連のリスクと機会を併せたものです。また、財務諸表とのつながりも求められています。既に御説明でもあったところです。
 監査法人等にはこれらについての専門家としての判断を特に期待しておりますとともに、サステナビリティ開示では重要性の判断がこれまで以上に求められてくると思います。重要性の判断は、投資家等の特性や企業自身の状況を考慮して評価する必要があり、この判断はサステナビリティ関連財務開示の文脈において行われます。財務諸表とサステナビリティ関連財務開示はともに財務報告の一部ではあるものの、それぞれ固有の目的を持っており、異なる情報を提供するものでありますので、重要性の判断は必然的に異なるものとなります。このことは基準案の文章にも書いてあります。
 これから実務が蓄積されてくるかと思いますが、重要性の判断を含め、保証の在り方が社会的制度として、利用者、作成者双方にとって望ましいものとなるように様々な導入支援も望まれるところです。
 2つ目は、将来的には、サステナビリティ開示基準が目指すところである、サステナビリティを会計言語に取り入れ、経営戦略やビジネスモデルを変革し、より強靱な経済を構築するという観点からしますと、サステナビリティ開示はもっと広く企業に利用されることが望ましく、バリューチェーン全体、ひいてはビジネス全体での取組と底上げがなされることも重要だと思っております。
 当面の間は、今回御提案の内容で進められたとして、プライム全上場企業やその先、また、任意適用の促進を見据えた場合に、必ずしもグローバルな資本市場の投資家向けの情報開示、保証だけではない制度への拡充可能性と、その場合には社会的制度としてのコストベネフィットも考慮することが望ましいと思っております。
 以上です。ありがとうございます。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、筒井委員、お願いいたします。

【筒井委員】
 日本郵船の筒井です。このような機会をいただき、感謝申し上げます。
 サステナビリティ情報開示に積極的な多くの日本企業の一例といたしまして、企業側の実態について一端をシェア申し上げることで、このグループの議論に少しでも貢献したいと考えているところです。
 当社は外航海運業を中心とする国際物流グループで、成長戦略として脱炭素に積極的にチャレンジしています。したがいまして、サステナ情報の中でもGHG排出量を特に重要なデータと位置づけて、その効果的な開示によって、CDPなどのESG評価機関、それから投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様からの御評価、すなわち当社の企業価値を向上させたいと努力しているところです。
 また、欧州域で既に外航海運に対しては、EU-ETSやFuelEU Maritimeなど、GHGへの課金制度が開始されています。リアルなコスト要因として正確なGHG排出量を把握し申告する必要に直面しているところです。
 したがいまして、日本におけるサステナ情報開示について、金融庁主導でこのような議論が積極的に行われ、今は各社独自の判断で行っている開示と任意の保証が国際的なガイドラインと整合し、同じレベルで保証される状況に進化するということは大筋として大変好ましいこと、望ましいことだと考えております。
 ただ一方で、積極的にサステナビリティ情報開示を進めたい私たち企業といたしましても、現状はまだまだ色々な課題があると申し上げざるを得ません。
 まず大前提として、サステナビリティ情報、データの質そのものがまだ不確実なものであります。いわゆる監査業務とサステナビリティ情報の保証業務の違いにまだ十分な留意が必要ではないかと感じているところです。
 御理解のとおり、財務、会計情報は確実なキャッシュの情報に裏づけられているわけですけれども、非財務情報であるサステナの情報は、定量情報であるGHG排出量ですら実際に計測されたデータの裏づけがあるわけではありません。燃料消費量や電力消費量からの換算であり、その換算式も一部は各社独自のものであるとか、規制対応としては、IMOなどの機関や業界団体が作成した排出量計算式を使っておりますけれども、それらも随時見直される。データの裏づけ自体が多種多様で、かつ変更があり得るという前提のものです。
 また、皆様御承知のようにGHGプロトコルも見直しがされる見込みでございます。
 そして、企業としては、連結ベースでデータを収集するわけですけれども、当社グループの中でも、子会社である中小企業においては、GHGプロトコルをはじめとする排出量の算定、報告基準を完全に理解するのは大変難しい。したがいまして、一旦報告した通知を遡って訂正するケースは実態としてございます。また、その状況が継続する可能性もございます。
 企業としては、虚偽記載とされることは本当に避けたいので、それを恐れて開示が後退しないよう、限定的な保証であっても、段階的な運用、例えば、当初は監査の対象を排出手段、手順や統制状況にするなどを考えていただけたらありがたいです。
 また、保証実務のスケジュールもやや気になるところでございます。当社のGHG排出量についての保証は作業のみでも4か月ほどかけております。それも排出の大部分は船舶からということで、他社様と比較しても若干少なめな現地監査の拠点数に基づくものと認識しておりますので、また委託先が昨今の需要拡大により非常に多忙となっており保証業務期間が長引く可能性も示唆されている現状がございます。開示のタイミングが現状よりも早まることで保証の質が低下しないような工夫が必要ではないか。
 さらに、少し観点が異なるんですけれども、保証に関しては、別の制度として、例えばGXリーグによる保証もございますので、担当省庁間で保証の在り方が違うということは避けていただきたい。
 まとめますと、限定的保証であるという前提から、上場企業監査と同等の水準を全面的に求めるのではなくて、サステナビリティ情報の特性、業界の成熟度に応じた段階的な強化、分野ごとに異なるリスク、重要性を踏まえた柔軟な設計が望ましいのではないかと考えております。
 財務監査におきましては、監査の失敗が起きた場合、損害賠償責任があると理解しているんですけれども、今申し上げたようなサステナビリティの不確実なデータに基づく保証においても同様の制度となり得るのかと、現状ではそこまで成熟していないのではないかと感じております。信頼を損ねてしまうフェイクやウォッシュなどの問題はもちろん排除したいという思いは共通してございますけれども、リスクを回避することが主眼となって、細かいチェックや過度な内部統制の構築を要請されるなどで企業側の負担が大きく増すようなことがないようにぜひ御配慮いただきたいと考えているところです。
 以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、松本委員、お願いいたします。

【松本委員】
 堀江先生、ありがとうございます。関西大学の松本です。犬塚さん、大部の資料をおまとめいただきましてありがとうございました。
 27ページの内容に関して私も賛成しております。ただ、町田委員からもお話があったんですが、倫理は自主規制ですが、独立性は他律規制の対象です。実際、独立性に関しては、監査証明府令で財務諸表監査においても経済的・身分的独立性に関する外的規制を導入していますが、倫理に関しては監査証明府令では触れていませんので、IESBAのコードはあくまでも日本公認会計士協会がIFACの加盟団体としてMOUを結んでいる結果、自主規制で行っているものであって、監査証明府令で倫理規則云々の議論をする必要はないと考えています。ですので、独立性のみの議論でいいと思います。
 その上でなんですが、監査の我々研究者からすると、保証の質というのは、保証主体の適格性と保証主体の独立性の積で考えます。
 独立性に関しては、今申し上げましたように、他律規制で監査証明府令あるいは保証証明府令にされるのかどうか分かりませんが、内閣府令でこういう身分的・経済的関係があれば、監査契約を結んではいけない、保証業務契約を結んではいけないとか、保証業務を提供した場合、法規違反としてサンクションの対象にできるので、独立性に関する議論は外的に規制が可能だと思います。
 もう一方の適格性のほうは、サステナビリティ情報に虚偽表示が含まれている場合に、それを発見できる能力と我々は定義します。となると、もちろん専門的能力や資格要件も必要なんですが、サステナビリティ情報の保証を担っている団体あるいは機関、事務所がそれらの能力を発揮するための品質管理は絶対必要条件になります。
 従いまして、品質管理が適切に確保できているかどうかを定期的に審査あるいは検査するためにはどこかに登録をしないといけないという形になろうかと思いますが、現状、財務諸表監査では日本公認会計士協会さんのほうに上場会社等監査人名簿に登録する形で、品質管理レビューを日本公認会計士協会さんが行い、必要に応じて公認会計士・監査審査会が検査を行って品質管理の在り方を担保するという仕組みを財務諸表監査では取っておろうかと思います。
 このため、もし十分なサステナビリティ情報の保証のマーケットが存在するのであれば、町田委員が先ほどおっしゃったように別立ての自主規制機関をつくって、そこに登録させて、それを公認会計士・監査審査会が監督するという方法もあり得るんですけど、今日お示しの資料で見ると、当面69社しかないんですよね。69社のマーケットにprofession-agnosticだからといってさまざまな専門家を一斉に参入させて、品質管理レビューのための自主規制機関をわざわざ日本公認会計士協会とは別につくった場合、そこの運営資金はどこがどうやって確保するのかという話が必ず出てくると思います。日本公認会計士協会さんの品質管理レビューでも予算が厳しいというお話を伺ったことがありますので。となると、別立ての自主規制機関を69社のマーケットのためにつくるというのは極めて非合理的だと思います。
 ですので、案としては、登録団体として、町田委員がおっしゃるように、日本公認会計士協会が非会計士も含めて登録団体として監督することを認めるみたいな形で、品質管理レビューの体制に組み込む必要があろうかと思います。
 でも、そうなると、恐らく会計士でない保証業務提供者の人たちはこの市場に参入しないだろうな、つまり日本公認会計士協会の品質管理レビューを受けるようなことは考えないだろうなあと思いますので、結局、会計士さん、財務諸表監査を担当している監査人がサステナビリティ情報の部分に関する保証業務を担うことになり、かつ、日本公認会計士協会さんが自主規制の一環として保証業務を含んだ品質管理レビューを実施し、必要に応じて公認会計士・監査審査会が検査を行うという体制が結局最も合理的な方法なのかなと思いました。
 もう1点、この資料の中で触れられていないんですが、2020年の監査基準改訂で、財務諸表以外、経理の状況以外の有価証券報告書の情報に対しては、財務諸表監査の監査人が通読と検討を行うという手続を導入しています。かつ、その結果は必ず監査報告書に虚偽表示があったかなかったかという結果として書くことになっています。このような虚偽表示がなくても書く、あっても書くというのは日本独自の規制になっています。
 ということは、サステナビリティ情報を含む経理の状況以外の有価証券報告書の他の情報部分に対して既に財務諸表監査の監査人は関与しているんです。一定程度。通読と検討だけであったとしても関与しているんです。
 ですから、通読と検討をした情報の中からサステナビリティ情報の部分だけを取り出して特別にプロフェッショナル・ジャッジメントを用いて一定の保証業務手続を追加的に実施するというふうなことを求めたとしても、つまり、ベースのところは通読と検討で財務諸表監査の監査人が既に検討していて、そこの中に含まれているサステナビリティ情報の部分のみに特別の監査手続あるいは保証手続を追加するというような考え方からすると、やはり当初は69社しかないわけですから、当面、財務諸表監査の監査人に既に(監査基準委員会報告書)720、あるいはISAの720対応という形でやっている手続に加えて、サステナビリティ情報は特別なので、特別の保証業務手続を追加して実施してくださいという、ISA5000に基づく手続を強制するのが最も合理的な方法かなと考えました。
 以上です。ありがとうございました。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 引き続きいかがでございましょうか。どなたからでも結構ございます。御意見いただければと思いますが。林委員、お願いいたします。

【林委員】
 ありがとうございます。関西学院大学の林です。既にほとんどの論点は出ておりますけど、せっかくの機会ですので、私の意見を申し述べたいと思います。
 結論から申し上げますと、27ページで御提示いただいております在り方の方向性に賛成をいたします。
 その理由は幾つかございますけれども、まず1つ目は、保証の提供というものに人的要件というのは非常に重要です。これは松本委員もおっしゃられましたけれども、監査論の世界ではそういうふうに整理をしております。
 保証業務の結論の基礎、証拠の収集・評価はもちろん重要でして、その辺り、保証基準に関係するところですけれども、やはり誰が保証をするか、どういう方が保証するかということも含めての保証の提供と理解をしております。
 そういう観点から言いますと、現時点で金商法監査の担い手である監査法人、この資料でいうと上場会社等監査人かと思いますが、これを念頭に置くというのは合理的な考え方だろうと理解します。
 それから、今のところにも関係するんですが、2つ目としまして、今ここで議論しているサステナビリティ情報の保証というのは、金商法の枠内での議論です。資料にも、投資判断や資本市場という表現が用いられていますし、そもそもサステナ情報は有報記載情報ですので、そういうことから言っても現時点での金商法上の監査人である上場会社等監査人を念頭に置くということは適切だろうと、こういうことです。
 それから3点目ですけれども、これも何度も出てきていますが、財務諸表とのコネクティビティの問題もあります。それから、その他記載内容への監査人の関与も既に導入されていますので、そういう観点からも、制度の問題として考える場合にはこの方向が適切だろうということです。
 それから4点目です。いわゆるNon-PAと呼ばれる方々のこれまでの実務とかあるいは依拠されている基準を否定するという意図は全くありませんが、やっぱり情報の保証ということについては、公認会計士監査、あるいはそれが発展した保証業務の世界でかなり蓄積があります。それから国際的な観点からも、倫理規則も監査基準、保証業務基準も随分国際的な枠組みが出来上がっておりますので、それに準拠した形がいいのではないかと理解をしているところです。
 ただ、海外のprofession-agnosticの議論とも関係するんですけれども、政策の問題としては、競争をどう考えるか、集中というのをどう考えるかということで、この場は政策を考えるという側面を持っているかと思いますので、競争政策という観点で、公認会計士に実質的にか制度的にかは別として限定することがよいかは、ちょっとまた別の観点から議論が必要かなと考えているところです。
 それからもう一つ、人的要件のところに関係しますけれども、専門能力をどう担保するかというのは非常に重要でして、私の理解では公認会計士の皆さんは財務諸表の監査業務という意味では非常に蓄積がありますし、試験制度も含めて強みを持っておられますけれども、ではサステナ情報についてはどうかという問題があります。これは逆に言いますと、Non-PAのその他の保証業務実施者と表現されている方々は、例えばサステナビリティ情報には強いかもしれませんが、じゃあ会計情報とのコネクティビティの点はどうか、制度を考えるときにはその辺りの専門的な能力についての担保というのも考える必要があるかなあと理解をしております。
 今日は意見を問われているのは規律の在り方ですので、ちょっとはみ出すかなとは思うんですけれども、社会全体のコスト、あるいはNon-PAと呼ばれている方々のコストとかを考えますと、今日、この席上でも何度か出ていますように、公認会計士が主体となって実務を行って、Non-PAの方々が専門家として関与するという道も残しながら選択肢を設けて制度設計するというのが現時点では合理的な発想ではないかと考えております。
 私からは以上です。ありがとうございました。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に、関口委員、お願いいたします。なお、時間が若干予定より超過しておりますので、御意見をまとめていただけますと大変助かります。よろしくお願いいたします。

【関口委員】
 ありがとうございます。10ページからお願いいたします。10ページのところで、基本的な検討の考え方を書いていただいていまして、恐らくここをまず押さえるのが非常に重要かなと思っています。要は、上場企業等の情報について、投資判断に必要とされる情報を提供するとことが目的で、そのための信頼性を確保するというのが、今回求められている保証業務のあり方を検討するうえで出発点にするのが一番重要かなと思っています。
 その前提でいきますと、16ページに行きまして、そこでまず1個目のところで、サステナビリティ保証業務提供者に対して上場会社等監査人に求められるものと同等の業務管理体制を求めると。これは、先ほどの検討の考え方からしますとこういうふうにならざるを得ないのかなと思っていまして、そういう観点からこちらに賛成です。
 ここは一点、細かいところなんですけれども、サステナビリティ保証に関する十分な知識・経験という記載があります。この知識・経験って事務所レベル、チームレベル、それから、業務執行社員にレベルと3つあると思うんですけれども、恐らくここで言っているのは事務所レベルのことかなと思っていまして、そこはいずれか明確化いただくといいのかなというふうには思いました。
 次に、20ページに行きまして、サステナビリティ保証業務実施者にも監査法人等と同等の業務制限、義務・責任を課すことが考えられるとされています。これも先ほど申し上げたとおり、上場企業が投資家に対して提供する投資判断に必要となる情報を提供する、そのための信頼性を確保するという趣旨に鑑みますと、監査法人ですとかその他の保証業務の提供者が同じ業務を実施する前提で業務制限、義務・責任で違いが出るのはおかしいというふうに単純に思いますので、そういう意味ではこちらにも賛成をいたします。
 25ページにいきまして、今度は基準の作成のところなんですけれども、これは多分一言で申し上げると、企業会計審議会での基準と自主規制機関の実務指針を組み合わせたアプローチが提案されているんだろうと思います。このアプローチは、監査基準等でうまくいっているモデルなのではないかなと思います。保証業務の基準においても、監査基準と同様に、まず関係者の幅広い合意を得ることが非常に重要で、かつ細かいレベルで詰めていくことも重要だということを考えます。そうすると、恐らく日本の状況では、少なくともこのアプローチが一番適切なのではないかなと思いまして、これにこちらの提案にも賛成いたします。
 なお、先ほど来profession-agnosticの話等々が出ているんですけれども、先ほど犬塚様からも国際的な動向についてお話があったと思います。今回の制度動向はかなり急ピッチで進めていることもありまして、国際的な動向も踏まえつつ、時間の制約の下で、プラグマティックに進めていく必要があるんだろうというふうに思っています。そういう意味で、どういうふうにやったらプラグマティックに進められるのか、もしかしたら初めのところは井口様からもお話ありましたように、段階的に絞ってやるアプローチというのが最も効果的、効率的かもしれないと考えられます。このように、理念の話とプラグマティックの話を分けたうえで、とりわけ多分制度をつくっていく上ではプラグマティックなアプローチを考えていくのが重要なんじゃないかなと思っています。
 以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。先生の御発言からちょっと急かすようなことになって大変失礼いたしました。申し訳ございません。
 それでは、次、藤本委員、よろしくお願いいたします。

【藤本委員】
 発言の機会をいただきありがとうございます。私も一通りコメントをさせていただきたいと思います。
 まず、登録制度、登録要件につきましては、10ページ目の考え方にもあるように、金商法に基づく有価証券報告書に記載されるサステナビリティ情報の信頼性の確保という観点では、やはり高い規律が必要と思いますので、上場会社と監査人と同等の要件や、業務管理体制を求めるという方針に賛同しております。
 なお、現行法では財務諸表監査が前提とされていますので、先ほどもお話がございましたように、サステナビリティ保証業務実施者に求める要件が同じでいいのか、具体的にどういう設計をしていくのかということに関しては十分に検討する必要があると考えております。
 それから、業務制限、義務・責任におきましても同様でございまして、現在、御提案いただいている方向性に賛同しております。こちらも、どのように法律等で規定しているのか、サステナビリティ保証業務の実施者に何を求めるかということを、改めて個々に検討が必要ではないかと考えております。
 それから、保証基準でございますが、ISSA5000がグローバルの基準としてIOSCOからの支持を受けております。現在想定されている時価総額5,000億円以上のプライム上場企業ということを考えますと、グローバルに活躍する企業を対象としているということであれば、我が国の基準との整合性を図る基準としては、ISSA5000が最も適切であると考えております。また、複数の基準を認めることは市場の混乱を招くおそれがあるため、ISSA5000のみを参考にするのがよいのではないかと考えております。
 また、品質管理基準につきましても、ISQM1、それ以上の品質マネジメント体制が求められていると理解していますので、そのような運用がよいと思います。
 それから、サステナビリティ保証基準を開発するかどうかでございますが、監査基準と監査の実務指針との立てつけとの整合性、それから制度の安定性や、多様な関係者による基準開発というデュープロセスという観点から、保証基準の策定は有効ではないかと考えております。なお、ISSA5000というそのものが包括基準ということでございまして、それと整合した実務の指針のみでも実務上の運用は可能であること、それから、保証基準作成のコストや時間的なスケジュール、それからISSA5000が改正された場合への機動的な対応を含めて御検討いただくのがよいかと考えております。
 あわせて企業会計審議会では、財務情報等に関わる保証業務の概念的枠組みに関する意見書も公表されており、こちらも整理の必要性がないかどうか改めてご検討いただければと考えております。
 それから、倫理・独立性に関しましても、IESBAから出ているIESSAについてはIOSCOの支持もあるので、それと整合した基準を日本でも取り入れる必要があると考えております。
 それから、最後に先ほど町田先生からもコメントいただいた点ということで、改めてprofession-agnosticな制度にするのかどうか、改めてコメントさせていただければと思います。これまでのワーキング・グループの中でも、公認会計士・監査法人のみが保証を担うべきであるということはお話をしてきたと思います。あわせて、当然我々がメインの保証業務の提供者になり得るということは十分理解の上、日本公認会計士協会の中でも、例えば、倫理や独立性の基準、専門的な能力開発、それから保証基準等もうまくスケジュールどおりいくように、検討を既に進めている状況でございます。
 また、林先生からも先ほどコメントをいただきました能力の担保ということに関しましても、現在シラバスを作成して、会計監査を担っている会計士にさらに上乗せして、こういう内容を学べばサステナビリティの保証ができるということを検討しておりますので、準備は既に進めていると御理解をいただければ大変ありがたいと思っております。
 私からの説明は以上となります。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、浅川委員、御発言をお願いいたします。

【浅川委員】
 JQAの浅川でございます。御指名いただきありがとうございました。また、資料を御説明いただきありがとうございます。私からも、御議論いただきたい事項でサステナビリティ保証業務実施者に求める規律についてコメントさせていただければと思います。
 基本的に、27ページに示された内容について賛同いたします。その上で、それぞれの内容について少しずつコメントさせていただければと思います。まず、登録制度、登録要件というところですが基本的な考えはそのとおりかなと思います。その上で、非財務監査において具体的要件として、財務監査とどのような条件が同等となるのかというところについては、非財務監査の特徴も踏まえて海外事例、フランス等の事例も参考にしながら、具体的に検討を進めるというのがよいのではないかと思います。
 実際に16ページの下のほうでは、例えばサステナビリティ保証業務に関する十分な知識・経験を有する者を複数確保するとか、品質管理体制をきちっと置くとかということが挙げられておりますが、実際に非財務監査の先行事例ということでいいますと、例えば排出量取引のクレジット関係というところでは、既に法令に基づくものとして、GX法ですとか東京都環境確保条例とかというところで、実際にそういう組織を束ねるような事例というのも実績が出ているかと思います。例えば、東京都確保条例では、検証機関登録申請ガイドラインの中で、東京都が認定した検証主任者を2名以上設置して、検証業務と制度管理確保部門を分離してしなさいということが要求されているという事例等もございますので、そういった先行事例なども検討対象に挙げながら、同等性を議論するといいのかなと思います。
 また、同等性の確保として、先ほど日本適合性協会さんからもお話ありましたが、私どももISOの機関として、認定ということで毎年1回の検査を受けておりますので、そういった制度をうまく活用するというのも社会的コスト低減につながるのではないかと思います。
 続きまして、業務制限、義務ですが、こちらも先行事例としていろいろな事例がありますので、そういったものも参考にしながら建付けを考えていくということが参考になるのではないかと思います。先ほど御紹介した東京都さんの事例やGX法では、やはり検証主任者や研修機関に対する罰則規定というのも定められておりますので、そういった建付けなども比較しながら、財務監査と非財務情報の審査・検証の特徴というところを組み合わせていくと良いのではないかと思います。
 それから、3点目の保証基準、倫理・独立性ですが、こちらにつきましても、先ほどもお話がありましたとおり非財務情報の中核、現状はやはりGHG排出量ということになるかと思いますが、それに対する保証の実績を踏まえて、その中で出てきた実例ですとか、逆にどういうところで問題が起きたのかというようなこともきちんと確認をするというところは大事かなと思います。ISOのほうでも日本適合性認定協会さんのほうの資料にも最後にありますとおり、現在GHGだけではなくてサステナ情報全体としての保証認定基準であるISO14019という規格がもうすぐ発行されると聞いておりますので、そういった動向も参考にされるといいのかなと思います。
 最後、品質管理基準ということについて、こちらもISQM1ということで、基本的な考え方は賛同したいと思います。一方で、先ほど御紹介した認定制度については、同様な認定基準ということで公平性確保、品質確保の要件等もございますので、それらの内容なども参照いただいて、サステナ情報の独自性といったところも考慮されるとよろしいかと思います。
 最後にお伝えしておきたいというところといたしまして、やはりサステナ情報というのは分野が多岐にわたっているという特性がございますので、そういった特性も十分勘案した中で、どのような制度体制がいいのかというところを検討するというところ、それから、情報の対象、主題が年々日々どんどん変わってきているという実態もありますので、この先そういった変化にも対応できるような柔軟な、あるいは幅広い保証業務での知見を統合していけるような制度づくりというのが必要ではないかなと思っております。
 私からは以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 オンラインで御参加の植村委員から発言希望が出ておりますので、1回オンライン参加の先生の御発言を挟ませていただきたいと思います。植村委員、どうぞ御発言ください。

【植村委員】
 御指名ありがとうございます。パナソニックホールディングスの植村です。よろしくお願いいたします。
 まず、最初に27ページ、サステナビリティ保証業務実施者に求められる規律の在り方については、方向性は分かるのですけれども、27ページ以前のページの記載ぶりから考えて、賛同はできないという立場です。27ページ、それまでのページにおいても記載内容は明らかに監査法人に焦点を当てて偏り過ぎていまして、Non-PAの方々についての選択肢、採用の考え方については何も読み取れない、検討の余地がない一方的な内容としか私には思えませんでした。今回は第1回ですので、論点出し、あるいはサステナビリティ保証業務実施者に求められる規律の在り方の頭出しについては、抜本的な見直しが必要ではないかと考えております。
 27ページの記載内容についてもう少しコメントいたしますと、一番上のボックス、登録制度、登録要件につき、専門グループにおける議論のたたき台として、上場会社等監査人と同等の要件、同等の業務管理体制と記載があり、2つ目のボックス、業務制限・義務についても同様ですが、これでは保証人の選択肢として、上場会社等の監査人と決めつけというように思えます。Non-PAはそれに合わせるようにしか読めず、不条理なことではないかと考えています。
 サステナビリティ保証業務実施者の選定は、作成者であり、公平な立場で、その在り方などを確認、検討することで、保証業務業界で自由競争を生み、無駄のない効率的、合理的な質・量とも優れた業務を提供する保証人を選定できるはずです。財務諸表の監査やレビューについては、公認会計士法により監査人のみが実施、提供できるわけですが、サステナビリティ保証においてはPA、Non-PAは同列にあることをしっかりと整理、記載していく必要があり、そこから議論を始めるべきだと考えています。
 ここで、明確に問題点を指摘しておきたいと思います。私には我が国だけではなく、グローバルでの議論を避けるとしか思えないのですが、財務諸表に対する監査、レビューと、非財務情報、すなわちサステナビリティ情報に対する保証とではそもそも要求内容は異なるものであると、この専門グループの場で議論、整理していただきたいと考えています。ここのところは日本郵船の方からコメントいただいた内容でございます。
 財務諸表に対する監査、オーディットは何十年も続く歴史があって、金額、そして定性的な表現を含む注記、フットノートは基準そのものが複雑で難解であり、監査業務は財務諸表及び注記に対して非常に専門的でかつ精緻、綿密に計画、実施される必要があると理解しています。一方、保証、アシュアランスについては、公認会計士法で規定されていないものを幅広く多数含む、いわゆる認証業務等であります。したがいまして、限定的保証(リミテッドアシュアランス)であろうが、合理的保証(リーズナブルアシュアランス)であろうが、監査、オーディットレビューとは異なる立場にあるはずで、名称も監査と保証、英語でもオーディットとアシュアランスと使い分けをしているというのが、私はその証左であると理解しています。多くのステークホルダーも、違和感を覚えていると聞こえてきます。これは保証に対するコストを負担する作成者にとって、一定程度の開示情報の精緻度合いの相違、既に通読手続を含んでいる監査、オーディットよりも、保証報酬の単価などが高くなるはずがない、下回るのは当然と考えている根本的な理由です。
 いずれにしましても、この専門グループの機会に、監査と保証のそもそもの相違点について、また、監査と保証の立ち位置、向き合い方などにつき、正確な共通理解を得るために議論することが重要であると考えています。
 ここからは詳細な点につき、コメントいたします。2ページにまいります。金融庁様が管掌する金融商品取引法の有価証券報告書、半期報告書がサステナビリティ情報の保証のスコープになるということ、規定演技に対する保証についての検討とも言えます。一方、その他の媒体、例えばサステナビリティデータブックや統合報告書などは、自由演技の範疇の媒体でありまして、今回の専門グループのスコープ外であるはずです。なお、これについては、事前御説明の際に、事務局の方にその旨を確認させていただいております。
 2ページの下段では、欧州のフランス、ドイツ及び米国について記載がありますが、既に事務局の御説明でも少しは触れられましたが、この記載は若干前の状況のものであり、欧州ではESRSを各国法域に落とし込むのに苦労しているのが実態で、ドイツやオランダなどでは非常に難航しています。また、フランスは法制化したはずですが、オムニバス規定などで揺れており、サステナビリティ情報開示の延期や、DD(デューデリジェンス)に至っては、無期限延期とも聞こえている状況です。これらの根幹にあるのが、企業の競争力を低下させる、すなわち本来の目的である企業価値向上の弊害になりかねないと、こういう慎重論が台頭しているということです。米国の最終基準公表時には、Scope3については保証不要であることが明記されており、さらにトランプ政権になって、パリ協定からも離脱する状況であり、グローバルでも動向が不透明になっていることを念頭に置いて議論をしたいと思います。
 7ページ、ロードマップ案についてですが、時価総額3兆円企業の2027年3月期からのサステナビリティ情報開示は、かなりの部分は半期報告書等での2段階開示で対応がなされるとしても、問題なのは2年目、すなわち2028年3月期には同時開示に加え、保証適用義務化となっているところです。そもそもサステナビリティ情報開示は財務諸表開示に比べ歴史的にも浅く、作成者でも実務がいっぱいいっぱいのところに、さらに保証業務を同時にというのは実務的な対応、これは保証者及び被保証者両方ですけれども、非常に難航するであろうと容易に想定できます。ここは当面の間、少なくとも3年以上、場合によっては5年以上の猶予期間は必要と思います。
 同じくScope3は範囲が広く、対象のバリューチェーンが格段に広いため、限定的保証は非常に難しいと言わざるを得ません。保証義務化のタイミングなどについては、欧州ですら域外適用、NESRS、いわゆるNon-ESRSの議論が何かしているので、グローバルの動向を見極めながら慎重に議論していただきたいと思います。

【堀江座長】
 植村委員、すみません。発言途中で申し訳ございませんが、大分時間が経過しておりますので、ポイントをまとめて御発言いただきますと助かります。よろしくお願いします。

【植村委員】
 あと4点だけです。簡単に申し上げます。
 次に10ページですけれども、考え方の1行目中央に任意の保証とありますけれども、先ほど申し上げたとおり、この任意の保証という考え方が、自由演技の媒体における開示に影響しないという制度設計が必要だと考えています。
 16ページにおきましては、上場会社等監査人に求められるものと同等の業務管理体制を求められるかどうかとありますけれども、そもそも有価証券報告書のサステナビリティ開示が対象でありますので、大半の非上場会社は、将来の話ですけれども、今回の対象にはならないので、大半の上場会社は含めない旨を明記することが必要と考えています。
 あとIESSAのところは非常に分かりにくい表現になっております。バリューチェーン情報提供企業はサステナビリティ情報開示者と無縁とは言えない可能性がある、また倫理・独立性との関係もあるので、ここは具体的な説明を事務局に求めたいと思います。
 最後に25ページのところですけれども、ここについて自主責任機関が策定する実務の指針を一体としてというのが下段ボックスの1つ目にあって、3つ目に自主規制機関が策定する倫理規則を一体としてというのがありますけれども、Non-PAを含む自主規制機関の設立が見通せない中で、将来的にこういう指針を倫理規制まで含めた記載にするのは大丈夫なのか、果たして妥当なのかと思いますので、慎重な議論が必要だと考えています。
 以上、私からの質問とコメントとなります。長くなり申し訳ございません。ありがとうございます。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。事務局に対してもうちょっと詳しく御説明いただきたいということがありましたけれども、ほかの委員からも大分手が挙がっておりますので先に進めさせていただき、後ほど時間調整の段階で事務局から可能な範囲でお答えさせていただくということでお許しいただければと思います。

【植村委員】
 承知しました。

【堀江座長】
 それでは、芹口委員、よろしくお願いいたします。

【芹口委員】
 御指名いただきましてありがとうございます。
 28ページの議題、詳細は27ページについて、まず、保証基準、倫理・独立性からコメントをさせていただきます。保証基準、倫理・独立性につきましては、国際的な基準との整合性を確保した上で、我が国の基準を策定、適用するということを御提案いただいておりまして、こちらに賛同いたします。国内、海外の投資家が情報を活用していく上で、海外の情報の質と比較して見劣りしないことが必要だと思っておりまして、国際的な基準を最低限満たすことが必要だと考えております。
 また、登録制度、登録要件、業務制限・義務につきましては、10ページの基本的な考え方の下、監査人などと同等の要件を設定することを御提案いただいておりまして、投資判断に利用するための法定開示としての情報の信頼性、また、資本市場の健全性を確保する観点から、利用者として賛同いたします。欧州CSRDでは監査人以外が保証業務提供者となる場合、監査と整合性ある要件に従うことが必要だと理解しておりますが、こういった海外の動向と比較しても見劣りしないものだと考えております。
 一方で、登録の要件の詳細につきまして、3点コメントをさせていただきます。
第1に、profession-agnosticの基準とするためには、財務情報とのつながりの担保が条件になると考えております。既に御認識されていると思いますが、ISSA5000の最終基準では、このつながりの担保のため、保証業務提供者が財務諸表とサステナビリティ情報の間に重要な相違や、財務諸表に重要な誤りがあることに気づいた場合、法令などで禁止されていない限り、監査人とコミュニケーションを行うことが規定されました。私ども日本証券アナリスト協会では、公開草案に対して追加いただくようにコメントを行っておりまして、この最終基準の対応を支持するとともに、今後我が国の基準におきましても、当然取り込まれることを想定しております。
 一方で、基準ができましても、保証業務提供者に財務会計に関する専門性がなければ、監査人とのコミュニケーションや、それに至る前段階で適切な判断がなされないおそれがあると考えております。したがいまして、監査人以外の方が保証を提供する場合には、登録要件におきまして、例えば公認会計士の資格を有する方や、財務諸表監査の経験がある方を関与させる人的体制や、品質管理におきましても、これらの専門性のある方を配置した上で体制整備を行う必要があると考えております。このように、財務会計の専門性を登録要件に追加することで、保証基準の実効性を高めていただきたいと考えております。
 第2に、得意ではない分野について外部専門家を活用していくことが想定されますが、外部専門家を上手くマネージする体制を整備する必要があると考えております。これは登録の要件とする必要はないかもしれませんが、業務管理体制に関連する論点と思われますので、制度上の手当てを御検討いただきたいと思っております。
 第3に、16ページの登録制度の下の枠内の注に、サステナビリティ保証業務に関する十分な知識及び経験として研修が挙げられておりますが、得意ではない分野について外部専門家を活用していく上でも、例えば環境・社会、あるいは財務につきましても、そういった知識を最低限研修で補っていく必要があると思っておりまして、重要な点だと思っております。また、研修だけではなく、資格試験についても検討する必要があると考えております。
 私のコメントは以上でございます。ありがとうございます。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、清原委員、お待たせいたしました。

【清原委員】
 ありがとうございます。少し時間押しているところがあるかと思うので、総論的なところだけにとどまりますが意見を述べさせていただきます。
今回の議論、議論の設定のところで、やはり監査に偏り過ぎているのではないかというのを一番懸念しております。profession-agnosticというのは、今後の競争市場のところにもつながるものだと思いますけれども、企業の側からして、やはり選択肢があるということ、そういったことを含めて考えたときに、監査人だけに限定した選択肢なのか、それともNon-PAの方々からも選択できるか、というところがまず非常に重要なところだと思っております。次に負担の観点でいうと、監査というのは今までほかの委員から御発言もありましたように、長い年月をかけて積み上げてきた精緻な基準、実務慣行などいろいろあるわけですが、それと同じものを最初から求めるということは、新しいサステナ保証に関しては、私はやはりやり過ぎ、行き過ぎになるだろうと思っております。
 財務情報の性質、それから非財務情報の性質、それらの監査、保証、それぞれの違いがどこにあるかということをある程度踏まえて考えると、コアとなるのはやはり財務情報であり、監査であり、これは全く揺るがないと思います。それを補完する、それを補充するという意味で重要性が高まってきている新しいサステナ情報について、今まで築きあげてきた一番重要な監査と同じような基準や手続を求めるのかというと、それはおそらくやり過ぎになるのではないかという懸念です。
 グローバルに認められるような制度を日本としても構築していかなければならないということは確かであり、その意味で海外の動向はもちろん重要だと思うのですが、海外の動向についてよく見ると、彼らは急ぎ過ぎて急ピッチにやり過ぎたゆえに、今までのものを持ってきてこれを積み上げてしまって、それが出来上がっていている面があり、それを前提にして、検討、研究しているため、多くの委員の方々の発言でも、監査基準のほうに引き寄せた発想から、ある意味でバイアスがかかった状況で議論が組み立てられているのではないかと思われるのです。新たな制度としてprofession-agnostic、すなわち監査人に限定しない、中立的なものとしての保証を考えていくのであれば、監査法人、それからNon-PAの方々、それぞれがイコールフッティングで参入できるということがまず1つあるのだろうと思っています。そのときにコネクティビティ、財務情報とのつながりということを理由に、監査人がやるべきだという御意見もあるのですが、むしろそれは720のところで、その他の記載内容のところに関して、監査人は通読している。財務情報とのつながりについては、一定程度の制度が既にあるということも踏まえた上で考えていくと、ではサステナ情報の保証についてどうすべき、どれほど精緻なものとして信頼性を担保すべきか、ということを考える、これはやり過ぎると企業側が萎縮したり、リスク・アバースになったりすることが非常に懸念されるので、そこは厳格さを求め過ぎない、だけれども重要ですので、どの程度求めるべきかという意味で、少し一歩さがって考えるべきではないか。今後重要性が高まってきて、より精緻にする必要もあるだろうと思うのですが、最初から精緻なものとして考え過ぎることになってしまうと、制度を生かすより殺す方向に行きかねないということを懸念しております。その観点で、一度頭を冷やして精緻に議論をきちんと整理することが大切ではないかということを考えております。今まで、企業側からのご意見もありました。
ISOの基準は、公開されていないものもあるので私も理解できていないところはあるのですけれども、ISOの基準や認定ですとか検証というのも、かなりしっかりとしたものが一定程度あるわけで、もし仮にそれで回ってないという実例があれば別ですけれども、ちゃんと回っているという現状がありますので、そのことを踏まえ、新しいサステナの保証、法定の制度の中でどう組み込んでいくかということも考えていくとよいだろうと思っております。
 したがって、監査人を中心とした制度として構築されているもの、それを参照したとしても、それだけに引きずられるのではなくて、やはり取捨選択をする、コアになる部分は何かということを本当によく考えた上で、ISOとの整合性ということ、ISOも生かすべきところはあるかと思っています。
監査人の方は財務情報、それから手続、こういったことについては非常に専門性高いわけですが、対象となるGHGその他、これから増えていくテーマに関して特別な知見があるわけではない、他方、ISOの方で実際されていた方々の知見というのは非常にあると。ISSA5000のところでも、外部専門家の業務の利用ということが入っていますけれども、それは必要なことだろうと思います。他方、今度はISOなどのNon-PAの方々が、会計士を自分たちの中に取り込みながら、また従業員として入っていただいて、そういった人と一緒にチームを組んでやるということも、これも当然あっていいはずです。そういった意味でバランスを取る、イコールフッティングということをもう少し考えた上で、制度を考えていくことがよいのではないかというのが、総論的ではありますけれども、申し上げたい意見であります。ありがとうございました。

【堀江座長】
 時間管理に御協力いただきありがとうございました。各論でもっとたくさん御発言されたいことがあるんでしょうけれども、またの機会でお願いいたします。
 それでは、引き続きまして、高村委員、お願いいたします。どうぞ御発言ください。

【高村委員】
 ありがとうございます。サステナビリティ保証業務実施者、あるいは規律をどうしていくかというのは、サステナビリティ情報の信頼性をどう担保していくかという意味で、日本の資本市場にとっても非常に重要な課題だというふうに思っております。
 本日のスライド27にあります、私自身は基本的な規律の在り方の方向性については賛成をいたします。開示保証のワーキング・グループのところでも議論された内容を反映されて出されている提案というふうに理解しております。
 幾つか時間の関係もあるのでポイントだけに絞りたいと思いますけれども、公認会計士以外を含む制度、profession-agnosticにするかどうかという点については、これはワーキング・グループにおいても、保証の担い手を拡大するというコンセプトであると思います。これはどなたか委員おっしゃいましたけれども、保証に関する市場の競争性の確保という観点からも重要だと思います。
 他方で、これも私自身も言い方は違っていますけど、委員の皆さんに共通していると思うんですけれども、しかしながら、対等なそこに関わる保証業務者については、やはり同等な資格でそこに参入がされるべきであるということは非常に重要な共通した指摘だと思って拝見をしておりました。今、公認会計士監査法人に先駆けた財務諸表に関して実態があるので、資格、法令上の義務、責任、法令違反の場合の処分、あるいは中立性、独立性の担保、利害相反の回避などの法的規律を見ながら、サステナビリティ情報について、それが十分なのか、あるいは変更するところがあるのか、それをしっかり考える必要があるというふうに思っております。そんな意味で今回、現在の法制度、財務情報についての保証業務に携わっていらっしゃる方々についての規律をベースに議論をしていくということについて賛成をする理由です。
 サステナビリティ情報というのは、今、開示の策定に関わらせていただいておりますけれども、やはりシングルマテリアリティの考え方に立って、先ほど井口委員や、あるいは芹口委員がおっしゃいましたけれども、財務情報とどのように連関させて、それをしっかり評価をしていくかということが非常に重要な課題、仕事だというふうに思っております。サステナビリティ情報の中でも、温室効果ガスの排出量など、もちろんそれらは重要な情報の1つではありますけれども、それだけではないというところは非常に重要だというふうに思っております。その意味で、先ほど言いましたNon-PAも含めて同等な資格制度、それによって保証する能力がしっかり担保される制度が必要だというふうに思います。
 その上で、制度をつくっていく上でやはりお願いをしたいのは、国際的な動向というのはもちろんあるんですけれども、それをしっかり見ながらではありますけれども、制度が整わないから、今予定をしている開示のスケジュールを遅らせるとか、こうしたことは日本の開示、資本市場にとって得策ではないというふうに思っております。したがって、新しい参入を拡大していくとすると、今日の議論でもありますように、やはり一定の法制度の整備を含めた作業が必要だというふうに思っていまして、その上で、具体的にどのような時間軸で対応するか、段階的な対応という御発言もありましたけど、関口委員のお言葉からいうとプラグマティックな対応ということも、想定している開示のスケジュールを踏まえて考えていく必要があるというふうに思います。
 保証に関して、先ほども何人かの委員からありましたように、専門家として公認会計士監査法人と、それ以外の専門家が協力、連携するということは十分あり得るというふうに思います。やはり保証の業務、最終的に保証者としてサインをするだけでない関わり方も含めて、先ほど関口委員が先におっしゃったんですが、制度的対応も1つの考える論点ではないというふうに思います。
 あと1点ですけれども、能力の担保、品質管理の点で、特に作成者の側から企業の委員ですとか植村委員からありましたように、確かに財務情報とサステナビリティ情報というのは相当に性格が違うというのは、実際そうだというふうに思います。これは恐らく保証業務者の問題、その規律だけの問題では当然なく、開示の規律、基準の在り方であり、監査、保証の範囲、水準等の問題でもあるというふうに思っていまして、これは藤本委員がおっしゃったように、能力の担保、あるいは品質管理の観点から、今の財務情報に関して求めているものと同じでよいのか、どのような追加、あるいは修正が必要なのかということを、諸外国の動向も踏まえて検討する必要があるのではないふうに思っております。
 以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、甲斐委員、どうぞ御発言ください。

【甲斐委員】
 発言の機会をいただきありがとうございます。公認会計士の甲斐でございます。
 まず、最初に、全体として財務諸表監査と同等の制度設計を行うという提案と理解しており、その方向性に賛成いたします。その上で、私からは25ページの保証基準と倫理・独立性に関する提案についてコメントさせていただきます。
 まず、最初の下の箇条書の1点目の矢尻ですけれども、我が国の一般に公正妥当と認められるサステナビリティ保証の基準をISSA5000と整合性を確保する形で策定するという提案に同意いたします。私は昨年までIAASBのボードメンバーを務めさせていただいていまして、御参考までにグローバルでの状況を御紹介します。
 例えば、オーストラリアとカナダではISSA5000の採用を既に決定しておりまして、オーストラリアは既に保証基準を最終化し、カナダは公開素案を公表して検討を続けている段階と聞いています。それから、欧州に関しましては、CSRDの規定上、欧州委員会は2026年の10月までに、欧州における限定的保証基準を採択することが求められております。そのため、欧州委員会は欧州加盟国の監査監督機関の集まりであるCEAOBに対して、欧州における限定的保証基準の策定を検討するように求めています。この検討のベースとして、ISSA5000が活用されていると聞いております。現在、CEAOBで作業が進められており、ISSA5000から除外される部分は、主に欧州で当面は適用とならない合理的保証に関する部分であり、それ以外はCSRDに合わせるための規定を少し加えるような形で、欧州における限定的保証基準が策定される方向である、つまり、最終的にISSA5000と整合した基準になる可能性が高いのではないかと認識しております。
 ですので、我が国におきましても、ISSA5000に整合した保証の基準とすることで、グローバルにおける情報の信頼性が確保されて、日本企業の国際競争力の維持にもつながるのではないかと思っております。
 それから、先ほど植村委員等から、財務諸表監査とサステナビリティ保証はそもそも異なるというような御意見があったと思います。私の私見ですけれども、違う側面はある一方で、両者は第三者が行う保証という意味では同じ概念だと思います。それから、先ほど芹口委員もおっしゃったとおり、情報のコネクティビティは非常に重要だと思います。IAASBも、同じ保証という概念の中で、情報の質の違いを意識した形で基準策定を行っております。従いまして、例えば、保証基準であれば、グローバル基準であるISSA5000と整合する形にしていただくというのがいいのではないかと思っています。
 それから、何人かの委員の方から負担の考慮が必要というような御意見がありましたが、それについては、私はどちらかというと、ワーキング・グループでの御議論もそうだったと思いますが、例えば保証範囲を最初から欧州のように全部にはしない、適用対象企業を段階的にする、また、時期をどうするかといった、もしかすると関口さんもおっしゃったプラグマティックということに通じるかもしれませんが、そういった観点で検討していくのが、長期的で考えた時によいのではないかと思いました。
 それから、ISQM1につきましても、整合性を考慮するということに賛成します。また、倫理基準に関しましても、IESBAから公表されましたサステナビリティに関する倫理・独立性基準と相互性を確保することに賛成いたします。IESBAの基準にはサステナビリティ保証業務の実施に当たって、外部の専門家を利用する際の規定も含まれていると理解しており、これらを含めて我が国の基準に取り入れられると理解しております。
 私からは以上になります。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続き、森内委員、よろしくお願いいたします。

【森内委員】
 私からは27ページに関連して、手短に3点お話をさせていただきます。
 まず、1点目、登録制度、登録要件と業務制限・義務というところですが、ここは上場会社等監査人と同等の要件ということで、同等というふうになっておりますが、これはあくまでも保証業務の範囲に応じて、それから、業務の責任の範囲に応じて同等であるということを示しているというふうに認識をしております。したがって、今後議論の中で同等であるべき要件や範囲、これを識別して議論を進めるということが重要ではないかというふうに考えます。
 2点目です。保証基準の中で、国際的な品質管理基準であるISQM1と整合というところに関して異論はございませんが、一方で、国際的な品質管理基準ではISOの9001、これが世界的に広く普及をしております。そうしますとISO9001の範囲、要求事項、それからISQM1の範囲、要求事項、これについてはしっかりと比較をし、理解をしていく必要があると考えます。したがいまして、ここではISQM1と整合となっておりますが、ISQM1とISO9001の比較、それから整合についても議論に含めるべきではないかというふうに考えます。
 それから、最後3点目です。同じく保証基準のところで、自主規制機関が策定する実務の指針というところがありますが、この実務の指針というのは、当然サステナビリティ保証業務の実務の指針ということになるわけですけれども、企業が開示するサステナビリティの情報というのは、セクターによっても産業によってもまちまちであって、同じサステナビリティ課題が同じ重要性を持つとも限らないということも踏まえまして、しっかりと、例えば、環境だけとっても、GHGの問題であるとか、LCAの問題ですとか、カーボンフットプリントの問題ですとか、こういったことに対する知識、あるいはそういった情報に対する指針が求められるのではないかと思っております。そうした中でISOでも、こういったGHG、LCA、カーボンフットプリントに関する要求事項、あるいは指針、これはたくさん出てきておりまして、こういったISO基準も実務の指針として、あるいは参考文書として適用するということも検討が必要ではないかというふうに考えます。
 以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、次に田辺委員、御発言ください。

【田辺委員】
 ソニーグループの田辺です。
 基本的には上場会社監査人の実施に求められる規律の在り方を参考として、検討を進める方向性には賛同するところでございます。しかしながら、保証基準や保証業務提供者の義務等に関する検討を進めるに当たり、保証業務提供者及び発行会社に過度な負担を課すことのないよう、慎重な配慮をお願い申し上げます。
 また、現時点においては、上場会社の監査を行っている監査法人レベルの体制の構築、品質管理を全てのサステナビリティ保証業務提供者に一律に求める必要はないのではないかと考えております。皆様御存じのように、現状、米国証券取引委員会(SEC)がサステナビリティ開示義務の執行を一時停止している状況で、また欧州においては、サステナビリティ報告指令(CSRD)の規制緩和の動きが見られます。こうした状況下において、日本が早期に保証業務実施者に対する要求水準を仮に過度に上げてしまった場合は、国際的な整合性を欠くおそれがあるのではないかと懸念しております。諸外国における保証基準及び保証業務実施者に対する要件が出そろった段階で、それらを十分に参考にしつつ、慎重に時間をかけた検討をお願いしたいと考えております。
 加えて、過度な保証業務実施者への要求は、結果として、作成会社に対する保証報酬の負担につながる可能性がございます。現時点において、連結ベースのグループ会社におけるサステナビリティ情報開示義務化が、米国や欧州に先駆けて日本が実施される予定となっております。作成会社の負担は今、極めて大きくなっているのが現状でございます。具体的なところは植村委員ですとか筒井委員からもお話があったところであるかと思います。したがいまして、日本の企業の競争力が損なわれることのないよう、国際的な動向を踏まえつつ、慎重な検討と適切な配慮を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 オンラインで御出席の弥永委員、聞こえていますでしょうか。御発言をお願いいたします。

【弥永委員】
 よろしくお願いします。御指名ありがとうございます。3点ほど申し上げたいと思います。
 まず、第1点としては、私、事務局の提案に基本的に賛成いたしております。確かにアメリカ合衆国においても一定の動きがあることは確かでございますけれども、欧州におけるCSRDとの関連で申しますと、規制緩和が求められているのはサステナビリティ情報の開示という部分についてでありまして、保証のところの見直しというのが、日本の現在、私どもが検討しているものに比べて範囲が狭まるとか、そういうような状況ではないのではないかと認識しておりますので、現段階で全体的に検討を進めていることは決して悪くはないのではないかと考えております。
 第2点としては、先ほど藤本委員がおっしゃっていましたように、サステナビリティ保証の基準について、企業会計審議会で基準をつくっておくという、これは非常に財務諸表監査との関係ではバランスが取れていると思うんですけれども、こちらもそれを作成するのにあまりに手間がかかるとか、時間がかかるとかということでしたら、必ずしも絶対視しなくていいのではないか、そのように感じたところでございます。
 第3点、これがちょっとセンシティブなのですけれども、今、やはり想定されている会社さん、金融商品取引法上、サステナビリティ情報の開示について、かつそれについて保証を要求される対象として当面考えられておりますのは300社程度ということでございますので、この300社程度というものを前提としたときに、どのような規制というか、どのような仕組みを取っていけばいいのかということを考える、もっとちょっと露骨に申すと、さらに今後、将来、プライム市場全体に対して要求していこうとかということを、現時点ではひょっとすると少し延期してでも、とにかくこの300社というのを前提にして議論したほうがいいのではないか。そういう意味においては、やはりこの300社を前提とする以上は、サステナビリティ保証基準が保証業務実施者によって異なるというのは、ちょっと問題なのではないか。もちろん拡大した場合にも問題ですけれども、少なくとも300社を前提として考えたときには、やはり1つのサステナビリティ保証基準というものに基づいて、保証業務実施者は保証業務を実施すべきなのではないか。そうでないと、情報利用者にとって非常に困ったことになるのではないか。
 さらにヨーロッパにおけるCSRDとの関係で、いわゆる適用除外を受けるためには、日本の保証業務実施者に係る規律が、やはり連結ベースでヨーロッパの規律と、いわば首尾一貫したような同等性が認められるようなものであることが要求されると思われますので、その意味において、企業の負担を軽くする、ヨーロッパにおいてCSRDの適用を受けられる企業の負担を軽くするという点でも、欧州における保証業務実施基準との整合性、品質管理、そして倫理規定、独立性、これはやはり基本的に同じレベルでないとちょっとまずいのではないかと思っております。いずれにしても、ちょっと申し上げたいと思ったのは、300社を一応前提に、現段階で議論していいんじゃないかということでございます。
 以上です。ありがとうございました。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりましたが、本日御出席の岡崎委員、御発言なされますか。よろしくお願いします。

【岡崎委員】
 ビューローベリタス、岡崎でございます。本日は発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 27ページの考え方、非財務情報が重要になってきて、それをどのように投資家に大丈夫だよということを伝えるのかということで、ここに記載された内容、原則1つのルールに基づいて対応するには基本賛同します。私どものような会社が運用しているルールとは少し違うところがあるので、その違いはどういうことなのか、大きな体制、品質体制であったり、どのように対応するのかということは問題がないような形になっていると思いますので、比較して、そこの確認が必要だろうというふうに思います。
 それから、GHGに限定した形であれば、まだScope1、2、3とだけ、あるいはガバナンスだとか特定のところですので難しくはないのかもしれませんけれども、非財務のそれ以外のテーマになったときには非常に多岐にわたり、私どもグローバルでいうと8万人ぐらいの従業員で、50%以上がサステナブルの活動に対応していますので、マネジメントシステムであったり様々な知見、そういうようなものが生きるので、こういう制度を設計されるときに、役に立てるところがあるのではないかと考えているということと、その項目について、例えば、グリーンボンドであったりサステナビリティリンクボンド、経産省さんのトランジションファイナンスとか、こういうようなところの重要性だとか、そういうような専門性等もとても重要だし、必要になってくると思いますので、そのようなことも考えて、同時に実際の会社を経営されている方にとって、4か月とか5か月の短い間に今の検証を実施しなければいけない。今の検証と違うルールが適用になったときにどういう負担があるのか。できれば既存の運用をしながら、それをこの枠組みの中で使えないかとか、そのような少し対応だとかということも検討するといいのかなというふうに思います。
 総論になりましたけど、私からは以上です。ありがとうございました。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 先ほどオンラインで御参加の植村委員から、事務局に対してもうちょっと詳細な御説明をという御要望がございましたが、事務局、いかがでございましょうか。

【犬塚開示業務室長】
 植村委員、御質問、御意見いただきまして誠にありがとうございます。
 いただきました御質問、御意見多岐にわたりますので、お時間の関係もございます。こちらのほうで整理した上で、後日御説明をさせていただければと思いますので、その点御容赦いただければと思います。

【堀江座長】
 どうもありがとうございます。
 植村委員、そのような形で御了解いただければと思います。

【植村委員】
 承知いたしました。

【堀江座長】
 はい。あと時間が5分ほどしかないんですけれども、委員の皆様方から、ぜひ2回目の発言をという御希望があればお受けいたしますが、いかがでございましょうか。挙手いただければ指名させていただきます。
 それでは、本日御参加のオブザーバーの方で、もし御発言の希望があればお伺いいたしますが。それでは、日本公認会計士協会、太田様、よろしくお願いいたします。

【日本公認会計士協会】
 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。日本公認会計士協会の太田でございます。何点かコメントさせていただきます。
 まず、有価証券報告書に記載されるサステナビリティ情報の信頼性の確保については、やはり高い規律、こちらが必要になると考えておりますので、登録制度、登録要件、業務制限・義務等についても、上場会社等監査人、監査法人等と同等とする考え方に賛同いたします。
 保証基準、倫理・独立性に関しまして、公共の利益に資する質の高いサステナビリティ保証業務の実施を支えるということで、IAASB、またIESBAから公表されたISSA5000、IESSAと整合した基準、実務の指針を我が国においても作成するということに賛同いたします。両基準の作成に当たりましては、日本からも公開草案へのコメントレターが複数提出されておりますし、IAASBやIESBAの関係者が来日されてラウンドテーブルを開催するなど、日本からの意見も一定程度取り入れられた基準になっていると理解をしております。なお弊会においては、職業規範の整備、専門的能力開発、各事務所の品質管理の水準の状況の確認等を通じて、公認会計士の業務の向上を図っているところでございます。
 前回のワーキング・グループでも申し上げたところですけれども、有価証券報告書におけるサステナビリティ保証の分野においても、高い品質確保のために担い手は監査法人であるべきと考えておりまして、重要な役割を担うべく、しっかり準備をしているところでございます。
 以上でございます。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 ほかにオブザーバーの方から御意見等ございますでしょうか。日本経団連さんですね。どうぞ御発言ください。

【日本経済団体連合会】
 ありがとうございます。経団連の魚住と申します。時間も限られておりますので、簡潔にコメントとお願いをさせていただきます。
 まず、総論といたしまして、既に多くの方々の御指摘もありましたけれども、サステナビリティ情報というものが定性情報を多く含む見積りの要素が非常に多いという特性がございます。そのため財務諸表の開示や監査と比べまして、やはりサステナ情報の開示、保証につきましては一定水準の割り切りが必要ではないかというふうに考えてございます。
 また、欧州や米国の動向につきまして、取組や温度感というものが大きく変化しているという状況でございますので、規制当局間のつながりも太いかと思っておりますので、ぜひ金融庁の皆様には最新の情報収集、動向あるいは方針といったところの共有もお願いをできればというふうに考えてございます。
 その上で、保証業務を提供される方の品質の公平性、均一性、そういったものを確保するということが大前提として必要であろうというふうに考えてございます。27ページのそれぞれの項目につきまして、まず、上の2つの登録制度、登録要件、業務制限・義務等々に関しまして、こういったものが必要であるというところはもちろん賛同するところではあるんですけれども、そのレベル感につきましては、やはり実務において実践可能性が確保できる範囲内でお願いをしたいということで、慎重な御検討をお願いしたいというふうに考えてございます。財務諸表情報等のコネクティビティ、この重要性というところはやはり重要ではあり、保証業務の提供者と監査の提供者が一体で同じというところの、その辺のコストというメリットは感じるところではあるんですけれども、体制のところですとか要件のところ、ここについては大手監査法人等に限定されてしまわないように、ぜひお願いをしたいというふうに思ってございます。ある程度の幅広い業種や専門家の方が参入できるようなそういった仕組みとすることで、選択の自由を確保するということと、市場での競争を通じた質の高まり、そういったところにも期待をしたいというふうに考えてございます。
 その下の保証基準や倫理・独立性等々に関するところでございますけれども、企業の率直な声といたしまして、やはり実務負荷の増大というところの懸念が強く出てございます。作成者側へのセーフハーバールールというところが必要であるとは思っておりますけれども、一方で保証業務の提供者に関してもセーフハーバールールというものを整備いただくというのも一案ではないかというふうに考えてございます。欧州の議論を拝見いたしましても、保証業務の提供者の観点からは、やはり企業に対して多くの精緻な情報ですとか詳細な情報を求めていくという実務があるのではないかという傾向を聞いておりまして、そういったところをやはり実践可能性を備えるという観点から、保証業務提供者に対してもセーフハーバールールを備えていただくというのも有効な手段ではないかというふうに考えてございます。
 最後に、金融庁の所管する制度ではないんですけれども、GXリーグにおける保証業務が非常に詳細過ぎて、実務上の負担が高いということもございますので、そういったところの整合性ですとか、当局間での御調整といったところも期待をしたいところでございます。
 以上でございます。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。
 実は本日御欠席のオブザーバーの関経連から御意見をいただいておりますので、これにつきましては、委員の先生方のお手元に紙で配付させていただいておりますので、お手元の資料を御高覧いただくことで代えさせていただきたいと思います※。
 それでは、ここで一応本日の討議は終了させていただきたいと思います。途中から時間管理の関係で、委員の皆様方にはコンパクトに御発言をおまとめいただくようなことになってしまいました。本当はもう少したくさんいろんな御意見を詳しくお聞きしたかったんですけれども、時間の関係がございましたので、本日このような形で終わりますことをお許しいただければと思います。本日はこれで終了させていただきますけれども、追加の御意見、御質問等があれば、遠慮なく事務局のほうまでお伝えいただければ幸いでございます。

【犬塚開示業務室長】
 次回の専門グループの日程でございますけれども、皆様の御都合を踏まえた上で決定させていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと思います。
 事務局からは以上です。

【堀江座長】
 どうもありがとうございました。ちょうど終了予定の11時半でございますので、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。本日は早朝からお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。引き続き、何とぞよろしくお願い申し上げます。

                                          ―― 了 ――


         ※第1回サステナビリティ情報の保証に関する専門グループへの意見
                                         令和7年2月12日
                                     関西経済連合会 中島 宏

 第1回の重要なタイミングでの会合への欠席となりましたこと、深くお詫び申し上げます。意見書の提出について、下記のとおり報告いたします。

 資料28ページの「ご議論いただきたい事項」につきまして、「サステナビリティ保証業務実施者に求められる規律の在り方」に関して、6点申し上げます。
 1点目は、資料10ページについて、「考え方」の1つ目に「現在、サステナビリティ情報に対して任意の保証が行われている」と記載されていますが、今回検討しているサステナビリティ保証制度が整備された場合、統合報告書等の一部(例えば、Scope1~3)について任意保証を受けるときに影響が及ばないようにしていただきたいと考えております。
 2点目は、資料16ページについて、「サステナビリティ保証業務実施者に対して、上場会社等監査人に求められるものと同等の業務管理体制を求めることが考えられるがどうか」と記載されていますが、これはあくまで上場会社等の有価証券報告書のサステナビリティ開示が対象であり、有価証券報告書の報告義務対象ではない会社(大半の非上場会社)は対象外であることを明示すべきだと考えます。
また、資料18~20ページの「業務制限、義務・責任」については、監査法人を前提とした業務制限や義務・責任が多く含まれており、監査法人でないと準拠できない内容があるのは問題です。これら要件について、監査法人以外の保証業務実施者が対応できるかどうかを検証してから議論すべきです。
 3点目は、資料24ページについて、「バリューチェーン情報提供企業に係る独立性確認等のサステナビリティ特有の事項に関する規定を追加」と記載されていますが、バリューチェーン情報提供企業はサステナビリティ情報を開示する会社に対して必ずしも独立性があるとは限らないなかで、どのように独立性確認を実施するのか、具体的に記載する必要があります。
 4点目は、資料25ページについて、「国際的な品質管理基準であるISQM1と整合した監査に関する品質管理基準と日本公認会計士協会の実務の指針を一体として、サステナビリティ保証にも適用することが考えられる」と記載されていますが、品質管理基準については、ISSA5000に準拠せず、ISQM1と整合した監査に関する品質管理基準と日本公認会計士協会の実務の指針を一体としてサステナビリティ保証に適用することを示しているのは理解しづらいです。今回の方針が、ISSA5000には品質管理基準が含まれていないためなのかなど、趣旨や経緯を記載すべきです。
 5点目は、同ページの「自主規制機関が策定する実務の指針」および「自主規制機関が作
成する倫理規則」と記載されているが、監査法人以外も参加する自主規制機関の設立に目途が立っていない現状で、将来的に設立される自主規制機関が「実務の指針」や「倫理規則」を策定することができるのか疑問があります。今後の検査・監督・自主規制について検討されますが、この点について配慮いただきながらの議論をお願います。
 最後に、根本的な話であり、サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するWGでも指摘しておりますが、資料7ページの「サステナビリティ保証制度のロードマップ」について、開示適用義務化の初年度のみ二段階開示可とし、2年目からは同時開示を求める案については慎重な議論が必要です。近年、欧州や米国ではサステナビリティ情報の開示と保証に関して、開示負担軽減の観点から、見直しの動きが出てきておりますので、これらの海外の動向を踏まえながら、作成者のコストや実務対応にも考慮したバランスの取れた議論をお願いいたします。
 各論点に置かれましては、今後の会合にて他の委員の皆様と討議していくことができればと考えております。

以上

(参考)開催実績

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)

企画市場局企業開示課(内線:3811、5443、3672)

サイトマップ

ページの先頭に戻る