金融審議会「サステナビリティ情報の保証に関する専門グループ」(第4回)議事録
日時:
令和7年5月27日(火曜日)14時15分~16時45分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
【堀江座長】
定刻となりましたので、ただいまより金融審議会サステナビリティ情報の保証に関する専門グループ第4回の会合を開催させていただきます。皆様、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございました。
本日の会議でございますけれども、一部の委員の方々がオンラインにて御出席いただいております。本日の会議の模様も、これまでどおりウェブ上でライブ中継をさせていただきます。
なお、議事録でございますけれども、通常どおり作成の上、金融庁ホームページにて後日公開させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
本日の出席状況でございますが、井口委員、高村委員が遅れての御出席と伺っております。また、筒井委員、日本労働組合総連合会様が御欠席と伺っております。
会議を始める前に、事務局から留意事項がございますので、お願いいたします。
【犬塚開示業務室長】
事務局を務めさせていただきます犬塚でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としております。オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御記入ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いいたします。
なお、対面での御参加の委員におかれましては、目の前にございますネームプレートを立てていただければ、座長から指名いただきます。その後、事務局が手持ちマイクをお持ちいたしますので、そちらのマイクを御使用いただけると幸いでございます。
【堀江座長】
それでは、早速、議事に移らせていただきます。本日は本専門グループにおけますこれまでの議論の状況につきまして、サステナビリティ情報の開示と保証に関するワーキング・グループへ報告するための資料を事務局にまとめていただきましたので、まず、事務局から資料の説明をしていただいた後、質疑応答、討議、こういう順番で進めさせていただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
【犬塚開示業務室長】
それでは、資料に基づいて御説明をさせていただきます。
1ページの目次を御覧ください。本日は、専門グループ第1回から3回目までに御議論いただいた論点、御議論の状況などについて整理をさせていただきました。これから御説明する資料を基に次回のワーキング・グループへ報告することを想定しておりますので、報告内容の過不足等について御議論いただければと思っております。
次の2ページを御覧ください。資料の構成といたしましては大きく3つに分けておりまして、1つ目にワーキング・グループで示された方向性、2つ目にサステナビリティ保証業務実施者に求められる規律のあり方、3つ目にワーキング・グループにおける議論に資するための専門グループの意見というふうになっております。
このうち専門グループとしての検討事項でございます2つ目につきましては、議論の途中経過を報告することとしております。また3つ目につきましては、専門グループにおける検討事項ではございませんけれども、ワーキング・グループにおける議論に資するよう、皆様から頂戴した御意見をワーキング・グループで共有したいというふうに考えております。
それでは、報告資料案の内容に移りたいと思います。最初は、ワーキング・グループで示された方向性についてでございます。
4ページを御覧ください。担い手の登録要件、義務・責任、保証基準及び倫理・独立性基準、検査・監督のあり方、自主規制機関の役割、任意保証の義務・責任、こういった事項について議論を行うため本専門グループが設置されたところでございます。したがいまして、この項目に沿ってワーキング・グループへの報告資料案も整理させていただいております。
5ページを御覧ください。質の高い保証業務が提供される環境を整備するために、登録要件などの各項目に関する大きな方針につきましてワーキング・グループから提示されたものになります。
6ページを御覧ください。保証の適用義務化の開始時期など、サステナビリティ保証制度のロードマップを示したものになります。
7ページを御覧ください。こちらの資料につきましては、先月のワーキング・グループで提示をさせていただいたものでございます。四角で囲っている箇所になりますけれども、欧州におけるサステナビリティ開示・保証の動向を踏まえまして、引き続き、時価総額3兆円以上のプライム市場上場企業へのサステナビリティ開示基準の適用開始時期を2027年3月期とすること等を基本線としつつ、国内外の動向、保証に関する検討状況等を注視しながら柔軟に対応していくということとされております。
次に、9ページを御覧ください。こちらから本専門グループで御議論いただいたサステナビリティ保証業務実施者に求められる規律のあり方になっております。規律のあり方を検討にするに当たっての基本的な考え方といたしまして、財務諸表監査の制度を参考にしつつ、財務情報とサステナビリティ情報の違いなどに留意すべきであるというふうに整理させていただいたものでございます。
10ページを御覧ください。今の基本的な考え方を基に、登録制度や義務・責任などを検討するに当たって考慮すべき事項を整理したものになっております。
11ページを御覧ください。こちらは今年3月に公表されたSSBJ基準のポイントとなっております。サステナビリティ関連財務開示の定義が示され、どのような情報を開示すべきかということが規定されております。
次の12ページを御覧ください。サステナビリティ関連財務開示の保証と現行実務である任意保証を比較し、保証の目的、その対象などが異なっているということを示したものになっております。
13ページを御覧ください。保証業務実施者が保証を行う際には、投資家が意思決定に影響を与える重要性のある情報に絞り込むプロセスについて確認する能力が重要であるということを示したものになります。
次の14ページを御覧ください。サステナビリティ関連財務開示の保証では、重要性のある情報に絞り込むプロセスを確認する能力が重要となっているのに対しまして、従来の任意保証では、GHG排出量等の定量情報に関する算定方法等が正しいか確認する能力が重要となっているということを示したものになります。
次の15ページを御覧ください。財務諸表監査では、財務情報以外の記載内容について通読・検討を行うこと、サステナビリティ関連財務開示の保証では、保証対象となるサステナビリティ情報以外の記載内容について通読・検討を行うことを示したものになります。
次に、17ページを御覧ください。登録制度・登録要件について事務局提案をまとめたものになってございます。おおむね御賛同いただいた部分につきましてはそのまま記載をさせていただき、異なる御意見を頂戴した部分につきましては、網かけをして別途御意見をまとめた資料をつけさせていただいております。
18ページを御覧ください。人的体制に関する御意見になります。人的体制については、組織、チーム、業務執行責任者それぞれに必要な要件があるとの御意見、構成員の資質も重要であり、研修の充実が必要との御意見、サステナビリティの専門家を活用することが重要との御意見、専門性に応じて専門家を活用すべきとの御意見などがございました。こうした御意見を踏まえまして業務管理体制の全体像を整理する必要があるということで、次のページで整理をさせていただいております。
19ページを御覧ください。サステナビリティ保証の業務管理体制について、これまでの事務局提案を整理し、全体像を示したものになります。特に人的体制に関しましては、保証業務実施者が企業の規模・特性などに応じてチームに必要とされる知識・能力を勘案し、外部専門家の活用を含めて適切な人材を確保した上でチームを組成すること、そうしたチームの構成員に対して必要な教育・研修を行うことなどを示しております。
次の20ページを御覧ください。業務執行責任者の能力要件に関する御意見になります。重要性のある情報に絞り込むプロセスを確認する能力が重要であることや、財務諸表の通読・検討を行う必要があり、財務諸表を監査する知識・能力が必要となること、監査法人が保証の担い手の中心となっている欧州の実態などを踏まえて公認会計士資格を求めるべきとの御意見。公認会計士資格を要件とすると監査法人以外の参入が困難となること、企業の選択肢を増やすという観点からは懸念があること、公認会計士資格はハイスペック過ぎること、業務執行責任者に求める能力・知識について整理すべきであること、そういった観点から公認会計士資格まで求める必要はないといった御意見。業務執行責任者が2名以上の場合には、組織として必要な能力を確保するという考えの下、1名に会計士資格を求めれば良いといった御意見。今後の海外の動向も踏まえて、将来見直すことを前提に事務局案に賛成するといった御意見などがございました。
次に、23ページを御覧ください。義務・責任、業務制限について事務局提案をまとめたものになっております。こちらにつきましてはおおむね御賛同いただいたと認識しておりますので、事務局提案をそのまま記載させていただいております。
次に、25ページを御覧ください。保証基準、倫理・独立性について事務局提案をまとめたものになっております。こちらにつきましても、おおむね御賛同いただいたと認識しておりますので、事務局提案をそのまま記載させていただいております。
次に、27ページを御覧ください。検査・監督、自主規制機関について事務局提案をまとめたものになっております。自主規制機関の運営主体や役割について様々な御意見を頂戴しておりますので、網かけの上で別途意見をまとめた資料をつけております。
28ページを御覧ください。行政機関の役割としてサステナビリティ保証業務を公正かつ的確に遂行する能力を持つ者を登録し、登録後、その能力が維持されているかモニタリング等を行うことを示したものになっております。
29ページを御覧ください。自主規制機関の運営主体に関する御意見となっております。効率性の観点や知識・経験などの観点、新しい自主規制機関の設立には時間を要するといった観点から、既存の財務諸表監査の枠組み、つまり日本公認会計士協会を活用すべきとの御意見。保証の対象会社数が増えてきた場合に自主規制機関は複数でも良いといった御意見。イコールフッティングを前提にすれば既存の枠組みとして日本公認会計士協会を利用することは難しく、新たに設立する方法しかないのではないかとの御意見。自主規制機関が複数あるとステークホルダーから見れば混乱するとの御意見。費用対効果の分析等が必要との御意見などがございました。
30ページを御覧ください。自主規制機関の役割に関する御意見になります。財務諸表監査における日本公認会計士協会と公認会計士・監査審査会のような相互協力・役割分担による監督が適切との御意見。自主規制業務をしっかりと履行できる体制・能力を持っていること、会員に対して監督・処分が適切にできること、監督官庁の監督が十分及ぶことが重要との御意見。リソースの問題で自主規制が行政を補完している監査制度を所与とすべきではないとの御意見。自主規制が登録やモニタリングまで担うべきか議論すべきとの御意見などがございました。
次に、32ページを御覧ください。任意の保証について事務局提案をまとめたものになっております。開示基準、保証基準、登録された保証業務実施者の3つの要件を満たす保証を制度上の保証と呼び、この制度上の保証の要件を満たす場合、満たさない場合で場合分けをさせていただきまして、有価証券報告書への保証報告書の添付の可否、追加情報の開示の要否、責任のあり方などについて整理をしております。
33ページを御覧ください。制度上の保証要件を満たす場合の保証対象外情報の記載に関する御意見になります。制度上の保証を任意に受けた場合は、サステナビリティ記載欄の冒頭に義務化対象外であることを明示すべきとの御意見。根拠条文を示すことで自然に任意保証と分かるといった御意見。利用者のミスリードにならないかといった観点から検討すべきとの御意見。義務か任意かに関わらず、どの範囲が制度の要件を満たす保証を受けたものか分かることが最も重要であるといった御意見などがございました。
次に、34ページを御覧ください。制度上の保証要件を満たさない場合の任意の保証に関する開示情報の責任に関する御意見になります。一義的には開示の責任は企業にあり、保証業務実施者の責任は企業との契約によるといった御意見。企業と保証人との間の責任関係は民法や会社法上の責任だけではなく、特別の金商法上の責任を規定しても問題ないとの御意見。保証業務実施者に対しても責任を負わせるのが妥当といった御意見。責任の話ばかりすると任意の保証が広がらないのではないかといった御意見。制度上の保証要件を満たしていない保証情報はミスリーディングをもたらすおそれがあるといった御意見がございました。
次の36ページにつきましては、ただいま御説明をさせていただきました事務局提案を整理させていただいた資料となっております。
次に、38ページを御覧ください。こちらからワーキング・グループにおける議論に資するための専門グループの御意見というふうになっております。
まず、保証の担い手に関する御意見になります。1つ目に、企業に担い手の選択肢を与えるべき。市場での競争を通じた質の高まりに期待したい。担い手がイコールフッティングで参入できることが重要。企業の多くがその他の保証業務提供者から保証を受けている現状に鑑み、その他の保証業務提供者も含めた制度の検討が必要。そういった観点から担い手を監査法人に限定すべきではないといった御意見。
2つ目に、財務情報とのコネクティビティや監査における通読の手続を踏まえて、財務諸表監査人を念頭に置くのが合理的。法定開示の保証であれば会計プロフェッショナルの独占業務とするのが現実的。そういった観点から担い手を監査法人に限定すべきといった御意見。
3つ目に、保証対象は当面約300社であり、時間の制約の下で新たな制度をつくるのであれば、当初は監査法人に限定し、段階的に拡大することが効果的・効率的。資格制度の導入やプライム上場企業全てに保証の義務化を拡大するタイミングで監査法人以外を参入させるべきといった御意見などがございました。
40ページを御覧ください。ロードマップに関する御意見になります。対象企業、スケジュール、担い手についてどういう前提を置いて議論するのかということを改めて確認する必要があるといった御意見。制度が整わないからスケジュールを遅らせるというのは得策ではなく、プラグマティックに考える必要があるとの御意見。オムニバス法案などの動向も注視して制度設計を検討すべき。実務が未成熟な保証に関しては、3年から5年程度の猶予が必要との御意見。ロードマップにおいて、大半の上場企業、非上場企業が議論の対象になっていないことを明示すべきとの御意見などがございました。
また、保証の担い手につきまして、監査法人が入る場合には公認会計士制度との関係を整理する必要があるのではないかといった御意見もございました。
最後、42ページを御覧ください。本日御議論いただきたい事項でございますけれども、保証の担い手、範囲・水準等についてワーキング・グループでより具体的な議論に資するよう、御説明した資料を基にワーキング・グループへ報告することとして良いか、また、報告資料について追加・修正等すべき点はないかといった点につきまして本日は御議論いただければと考えております。
説明は以上になります。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
それでは、これから委員の先生方から御意見、御質問をお伺いする討議の時間とさせていただきたいと思います。
今、事務局から御説明がありましたとおり、お手元の資料は、これまでの議論を整理していただいたものですので、極めて膨大なものになっております。犬塚室長からもお話がありましたとおり、委員の先生方が御発言された中で特にここは漏らしてもらいたくないといったような重要な論点等に漏れがないかどうか、過不足等を含めましてもしコメントがあれば頂戴したいと思います。あわせて、ワーキング・グループへの報告の仕方につきましても、アドバイスとか、あるいは、こういうところにポイントを置くべきだといったようなアドバイスをいただけますと幸いでございます。
もちろん、両論併記になっているようなところもありまして、意見の違い、これは当然起こり得ることでありますので、それを踏まえてワーキング・グループに御報告をさせていただかざるを得ないと思います。したがいまして、対立する意見等についてコメントがあれば、今の段階で頂戴できれば幸いです。
なお、幾らでも厳しい御意見、御批判等はお受けいたしますけれども、これまでの議論が全部ひっくり返るようなことになるといけませんので、できるだけまとまるような方向でお力添えをいただければ幸いでございます。
それでは、まず初めに、本日御欠席の筒井委員から御意見を頂戴しておりますので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【犬塚開示業務室長】
それでは、筒井委員からの御意見につきまして御紹介をさせていただきます。
まず、1つ目、専門グループにおけるこれまでの議論の状況をワーキング・グループに報告することについて。
事務局御作成の資料にて、ワーキング・グループに報告することについて賛同いたします。改めて、このようなサステナビリティ情報の開示を進めることは日本企業の競争力を高めるものと理解しており、海外と同水準に進化することは大筋として望ましいものと考えております。一方で、発行体企業側に過度に負担がかかる制度設計では開示実務の発展を阻害しかねないと憂慮しており、企業側の開示実務に課題がある現状を斟酌した議論がワーキング・グループにてなされることを希望いたします。
2つ目、以下の「専門グループにおけるこれまでの議論の状況」事務局案の追加・修正について。①「サステナビリティ保証業務実施者に求められる規律のあり方」に関する専門グループにおける議論。②ワーキング・グループにおける議論に資するための専門グループの意見。
これまでの本専門グループでの議論を体系的にまとめていただきありがとうございます。資料への追加・修正について、本専門グループ第2回において田辺委員が意見書に挙げられた「内部専門家及び内部監査部門の実施手続・結果の活用について」を反映するのが望ましいと思慮いたします。
具体的には、例えば、19ページの全体像のスライドに、保証業務実施者の外に企業内部の「内部専門及び内部監査部門」を追加し、その活用を保証制度の枠組みとして明示するのが良いと思慮いたします。
筒井委員の御意見は以上でございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
それでは、本日御出席の委員の皆様の御意見をお伺いさせていただきます。限られた時間ではございますけれども、先ほどから話に出ていますとおり、ワーキング・グループへ報告するひとまず最後の会合となりますので、全ての委員の先生方から5分程度で御意見等を頂戴できればというふうに思います。
なお、本日の会議では、経過時間をお知らせするため、御発言から5分が経過したタイミングで事務局員からメモを差し入れさせていただきます。また、オンラインで御出席の委員の方におかれましては、チャット機能を使って時間の経過等をお知らせいたします。
御発言を希望される際は、目の前にありますネームプレートを立ててください。御発言の順番につきましては、オンラインで御出席の委員の方々も多くいらっしゃいますので、若干前後する可能性があるかと思いますので、あらかじめ御了解ください。
まず、途中退席と伺っております委員の先生がお二方いらっしゃいますので、弥永委員、関口委員の順番で御発言をお願いできればと思いますけれども、いかがでございましょうか。弥永先生、いかがでございましょうか。よろしくお願いいたします。
【弥永委員】
発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。簡単に発言させていただきたいと思います。事務局提案の方向性で基本的にはワーキング・グループに報告していただくということで良いのではないかと思います。ただ、3点ほどちょっと気になっている点がございます。
1つ目は、自主規制機関にどの程度のことをやってもらうのかということの関係で、この事務局提案では、金融庁あるいは公認会計士・監査審査会なのでしょうか、こちらで仕事を引き受けていただけるという仕分けになっているように思いました。これで自主規制機関を非常につくりやすくはなると思うのです。ただ老婆心ながら、金融庁や公認会計士・監査審査会のリソースも限られているので、それがどうなるかなということがちょっと気になりました。
2つ目としては、保証業務実施者の責任が過度になり過ぎないようにすべきだという点です。たしかに、過度にならないようにするのは非常に重要だと思うのですけれども、私が知識が足りないせいなのかもしれませんが、ヨーロッパの国々などの議論を聞いていて、財務諸表監査とサステナビリティ情報の保証とでサステナビリティ情報の保証業務実施者にとって過度な責任が及ぶんじゃないかという懸念というのはあまり表明されていないように思うのです。保証業務実施者の責任は、どのような保証基準をつくるか、何を保証業務実施者に要求するかにかかっているのではないかと考えておりますに。
最後に、第3点としては、これは他の先生方とは御意見が違うかもしれませんけれども、要件を満たしていない、任意の保証と言われるものに有価証券報告書で言及する時には、根拠条項を書くというぐらいでは、誤解を防げないのではないか、それほど読者が十分な時間をかけてよく調べて読むかと言われると、ぱっと見て判断するんじゃないかと思うのです。それはどういう投資家を念頭に置くかにもよるとは思いますけれども、要件を満たしているものとは違うということははっきりと書かせる、こういうことを言うと怒られるかもしれませんが、太字で書かせるとか下線を引くとか、とにかく目に入る形にしないと、ちょっと制度として不安だなという印象があります。
非常に雑駁ですが、以上です。ありがとうございました。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。貴重なコメントいただき、ありがとうございました。
引き続きまして、関口先生、御発言いただけますでしょうか。
【関口委員】
ありがとうございます。
では、14ページからお願いできればと思います。ありがとうございます。まず、これは書いていない話なんですけれども、以前私のほうから、Scope1・2の排出量情報とリスク管理・ガバナンスに関する情報だけを保証の対象とすることにテクニカルフィージビリティーがあるかどうかというのを確認する必要があるというのを何度か申し上げたと思います。
背景としては、保証報告書の記載に当たって、準拠する枠組み、作成基準というのを記載する必要がある中でSSBJ基準のうちでScope1・2の排出量情報とガバナンス・リスク管理の方法だけを記載するというと、もしかしたら、SSBJ基準のパラグラフナンバーまで記載した上で作成基準というのを保証報告書にも書かなきゃいけなくなる。この場合、結果として、保証報告書が非常に長くなってしまったり、あるいは、本当にそういうものが明確に識別できるのかというのでテクニカルフィージビリティーがあるのかというのを申し上げていました。
この点、今回のワーキング・グループではまだ議論がされていないので、これについてはしっかりと議論いただく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。また、この点は報告書にも書いていただいたほうが良いのかなというふうに思っています。
2点目は、同じくこのスライドなんですけれども、ここでは企業が、財務に影響を与えるサステナビリティ関連のリスク・機会に関する情報のうち重要性のある情報に絞り込む能力が必要だというように書かれています。この能力は、サステナビリティ情報全体を保証する場合には非常に重要なんじゃないかなというふうに思っているんですが、当初の段階ではScope1・2とガバナンス・リスク管理に関する情報だけを保証の対象とするとなっています。自分は、議論の前提として考えられているところは、中長期的にはサステナビリティ情報全体に対して保証をすることになるだろうという考えなんだろうと理解しているのですけれども、その点を書かないとちょっとミスリーディングなんじゃないかなというふうに思っています。どんな形か分からないんですが、その点は書いていただく必要があるのかなと思っています。それが2点目です。
20ページに行きまして、登録のところです。ここでも登録についていろいろ書いていただいており、主に登録事務に関する負担というのは書かれていると思うんですけれども、登録する側の負担、登録する側のコストというのも検討が必要なんじゃないかなというふうに考えています。この辺り、20ページ、あと30ページも関係すると思うんですが、どちらかのところで書いていただくと良いのかなというふうに考えています。それが3点目です。
4点目が、34ページなんですけれども、任意の保証のところで、これもフローチャートみたいなところを使って整理いただいており、制度保証、制度上の保証要件を満たす場合と満たさない場合とで場合分けして整理いただいています。ただ、2025年12月期とかあるいは2026年3月期にSSBJ基準を早期適用するということを前提とした場合には、恐らく法制化というのは、そこまでに施行されているということは少なくともないだろうなというふうに思っています。その点、どういうメッセージを与えていくのかというのも検討が必要なのかなと考えています。それが4点目です。
最後、5点目として、38ページをお願いしたいのですが。これは担い手の話なんですけれども、担い手の議論については、保証業務を受ける企業の範囲、および保証対象の情報、この辺りを踏まえた上で担い手というのは決まってくるという議論もいろいろあったと思うので、そこはしっかり書いていただいたほうが良いんじゃないかなというふうに考えています。
私のほうからは以上です。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
ただいま関口委員から、これまでこの専門グループで十分に議論してこなかった新たな論点も出てまいりました。その中で、ちょっと気になったのが、保証報告書におけるクライテリアの書き方、扱いなんですけれども、SSBJ基準のポイントとしては整理させていただいているんですが、保証の枠組みと確かにリンクしておりませんので、一部預からせていただくことはあるかと思いますけれども、確かに非常に重要な論点ですので、漏れのないように本日の議論を踏まえて検討させていただきたいというふうに考えております。どうもありがとうございました。
それでは、ひとまず会場のほうに戻して、御意見をお伺いできればと思います。どなたからでも結構でございます。いかがでございましょうか。もしなければ、オンラインでご出席の植村委員から手が挙がっておりますので、引き続き、オンラインで御出席の委員の方から進めさせていただきます。植村委員、どうぞ御発言ください。
【植村委員】
植村です。御指名ありがとうございます。
42ページの本日御議論いただきたい事項についてコメントを申し上げる前に、事務局に数点確認させていただきたいと思います。
まず、1点目ですけれども、20ページをお願いします。20ページに保証業務実施者に求められる規律のあり方、登録制度・登録要件についてのまとめがありますが、ここで上段ボックス、第3回専門グループ事務局提案として、業務執行責任者、いわゆるサイナーの知識・能力を確認するための能力要件の1つ目の矢羽根に、「公認会計士となる資格を有すること」というふうに記載されていますが、第3回の資料とは異なっています。第3回の資料は「(又はこれに準ずること)」と明記されているのですけれども、これがそもそも今回の資料から削除されているという点が理由が分からず、ここについて質問をしたいと思います。
ここでまとめて質問をあと2点追加させていただきます。同じく20ページ、下から3つ目のポイント、これは私がコメントしたものですけれども、「例えば業務執行責任者(サイナー)が2名の場合、1名は公認会計士資格を求めるが」、これはブルーでハイライトされていますが、「他の者には求めないこと」とあります。
しかしながら、私の発言は、昨日掲載された議事録を読み上げますけれども、第3回資料14ページ、「特に右側、青背景の登録要件案ですが、これでは『その他の保証業務提供者・法人』の関与が難しく、あまりに日本の公認会計士資格に寄せ過ぎた例示であり、違和感があります。」、これに続けまして、「本来ここでは、組織体制の在り方をしっかりと議論すべきであり、先ほど御意見がありましたが、例えば、限定的保証報告書にサインする人数が2名の場合は、サイナーの1名は『日本の公認会計士または準ずる者』などを含めることで、相互補完できるのではないかと考えます。」というふうに申し上げております。
やはり一定の競争力がある健全な保証業務の市場が必要で、そこまではこの専門グループで検討しておくことが必要である、こういうふうにコメントして、議事録にも載っているのですけれども、切り取り方がかなり違うトーンになっているのはなぜなのでしょうかという点が2つ目。
3点目ですけれども、今回の20ページには記載がないのですが、第3回資料13ページ下段に、「合理的保証を視野に入れているISSA5000、その抜粋での話ですけれども、サステナビリティ保証業務執行責任者、いわゆるサイナーというものは、財務諸表のレビューを統括する直接的な能力・スキルは、ここでは要求されていないことは重要なポイント」と申し上げております。すなわち、「財務諸表・注記、及びサステナ開示の性質の違いもあるので、公認会計士資格を求めないことは当然のことである」と、こういうふうに改めてコメントをさせていただいているのですけれども、今回の事務局資料では、そのコメントも記載されていないということもありますので、以上3点について事務局の御説明を改めてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
それでは、ご質問につき、犬塚室長のほうからよろしいですか。
【犬塚開示業務室長】
植村委員、御質問ありがとうございます。1つずつお答えをさせていただきます。
まず、1点目でございます。大変申し訳ございません。こちらは完全なる誤植でございます。他のページではしっかりと「(又はこれに準ずること)」ということを記載させていただいておりますけれども、こちらのページから落ちてしまっていたということで、大変失礼いたしました。
2点目でございます。植村委員から頂戴した御意見が正確ではないのではないかという御指摘でございます。こちらでございますけれども、我々として恣意的にこういう形にさせていただいたというものではなくて、長い文章を短くしたという形でこういう記載をさせていただいたというところでございます。
ただ、御指摘いただいたとおり、御発言者の意図と違うように受け取られるというふうに御指摘いただきましたので、この部分の書き方につきましては、しっかりと議事録をもう一回見直した上で修正をさせていただきたいと思います。
また、最後、3点目の御質問でございます。コメントを頂戴した点でございますけれども、もちろん全てのコメントについて、今回、資料の分量の問題から記載することができていないという点もございます。本日の会議では、まさにこういった御意見についても入れるべきだといったような、そういった御意見を頂戴できればというふうに考えておりましたので、今回植村委員からいただきました今の御意見につきましては、載せるかどうか内部で検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
【堀江座長】
植村委員、よろしゅうございましょうか。
【植村委員】
ありがとうございます。
それでは、今の質問に対する回答も含めて私の結論を申し上げますと、42ページで1つ目のブレッドポイントで、今回議事で検討したい事項、議論していただきたい事項ということでありますけれども、ここをワーキング・グループに報告するというのは、今のような、ポカミスなのかもしれませんが、正直致命的な内容で、看過できるようなものではないと思いますので、反対ということも含めて、賛同はとてもできかねるという状況です。ですから、今回の資料につきましては、もう一遍洗い直す必要があるなというように強く印象として受けております。これは1つ目、2つ目のポイント。これは私が大きく関わったポイントでもあります。
3つ目のポイントは、これは他の重要性との関係で取捨選択されたということにはなろうかと思うのですけれども、そこについても改めて、6月の初旬のワーキング・グループでの報告をもし意図されているのであれば、保証専門グループをその前に開催していただきたいと強く要望します。
さらに重要なのは、以前にも増して今回の資料というものが公認会計士資格に寄せ過ぎたものでバランスを欠いて、これではISO系などのNon-PAの保証人の方が入れない。入れないということは、結果として寡占保証市場になって、本来求めるべき自由な保証業務市場の設計が制度上できないという形になりますので、これはそもそも初期段階での設計がおかしいという形になりますので、見直していただきたいということ。
またさらに、一部の監査法人系の委員の方々からは、監査法人の一択ではないのか、あるいは、プラグマティックに初期段階から監査法人だけで進めて云々ということもありましたし、ここにも記載もあったかと思いますけれども、関連当事者の方がそのような発言をすることは適切ではないかなというふうに考えます。
堀江座長、すみません。時間も来ていると思いますので、一旦私の発言はここで中断させていただいて、また第2巡のほうでお時間があれば再度発言させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【堀江座長】
植村先生、どうもありがとうございました。
確かに、パワーポイントですと箇条書きになってしまいますので、十分意図が伝わっていないところとか、あるいは、客観的に文章を読んだ時に誤解を招いたりというようなこともあったりすることにつきましては、私からもお詫びさせていただきます。
また、ワーキング・グループとの関係につきましても、事務局と十分相談させていただき、植村先生の意もできるだけ汲み取るような形で進めさせていただければというふうに考えております。どうもありがとうございました。
それでは、対面でどなたかいらっしゃいませんでしょうか。保証主体の問題も出てまいりましたけれども、御意見を頂戴できればと思います。いかがでございましょうか。
大変失礼いたしました。阪先生。プレート立てておいてと言っておきながら周りをよく見ていなくて、すいません。
【阪委員】
発言の機会をいただき、ありがとうございます。阪と申します。42ページのスライドに基づき発言申し上げます。
まず、専門グループにおけるこれまでの議論の状況をワーキング・グループに報告することについて、今回まとめていただきました内容でワーキング・グループに報告することについては基本的に賛同いたします。
次に、追加・修正等すべき点についてです。この資料にこれまでの議論を分かりやすくまとめていただき、どうもありがとうございました。改めて私自身もこれまでの議論を振り返り感じたことを2点申し上げます。
1点目は、20ページの太字の括弧について、4つありますが、この4つは排他的選択肢ではなくて、3つ目の全員か一部かということや4つ目の時間軸の視点は、他の選択肢との組み合わせになると思います。また、もう少し視点を広く、全体を見てみるとすると、32ページの任意の保証の要件を満たす場合、満たさない場合との組み合わせもあります。
箇条書きではなく、先ほどもお話いただきましたが、これらの選択肢の組み合わせをマッピングして整理すると、大きく意見が対立しているというより、どの場合のどの部分が詰めるべき内容として残っているかがクリアになるのではないかと思いました。38ページの内容についても同様かと思います。
次、2点目についてです。当面はガバナンス、リスク管理、指標及び目標のScope1・2が対象で、まずは限定的保証ということですので、関口委員からも意見がございましたように、重要性について言われたことは同じように感じております。
一方で、11ページでSSBJの基準がまとめられている真ん中辺りに「つながりのある情報」というのがありますけれども、ここで3つのつながり、青で書かれているところの一番最後の部分については、「財務諸表を含む財務報告書の情報」になると思います。すごく細かい点で恐縮ですが。
なぜこんな細かいことを申し上げたのかといいますと、ガバナンス、リスク管理については、全社的なガバナンスやリスク管理のプロセスに統合されている場合は、その旨を開示して不必要な繰り返しを回避するということになっており、金融庁の好事例におきましても、サステナビリティのリスク管理の開示が有価証券報告書の事業等のリスクで開示されているケースもあります。
そうすると、例えば15ページの図について、この図はとても分かりやすいのでこのままで良いと思うんですけれども、限定的保証の対象が真ん中の太い四角以外の箇所で開示されることもあるということです。19ページの真ん中辺りの「知識・能力」の箇所で「財務とのコネクティビティを含めて」と書いてありますので、これに含まれているとは思うのですけれども、念のために、サステナビリティ開示全体のみならず、統合されて財務報告の他の箇所で開示されている箇所についても確認することが求められるのかなと思いました。
以上です。ありがとうございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
冒頭、先生から御指摘いただきました業務実施者の整理の仕方につきまして、大変貴重なコメントをいただき、ありがとうございます。これから、この点について他の先生方からも御意見がいろいろと出てくると思いますので、それを踏まえて検討させていただければと考えております。
それでは、他いかがでございましょうか。藤本先生、よろしくお願いいたします。
【藤本委員】
藤本でございます。御指名いただきありがとうございます。私も御議論いただきたい事項に沿ってコメントをさせていただきます。
まず、1点目の今回の専門グループにおけるこれまでの議論の状況をワーキング・グループに報告することについて賛同いたします。今回御提案の資料の中でこの専門グループで議論すべきとされた論点について、スライドの9ページ目辺りでも考え方と考慮すべき事項についてまとめていただき、それに従って多くの意見が寄せられましたけれども、適切に集約をいただいていると思います。
ただ、今回の資料は途中経過となっておりますので、さらなる御議論をこの専門グループあるいはワーキング・グループのほうでさせていただくものと考えておりますので、引き続き、その点はぜひよろしくお願いしたいと思います。
それから、この専門グループで議論すべき論点とはされていなかった今回出していただいている保証の担い手、それからその他の論点についても、ワーキング・グループに報告することが適切であると考えております。結構両者が密接に関係するところがございますので、例えば、自主規制機関の運営主体の話ですとか、29ページ目辺りでまとめていただいておりますけれども、この内容は保証の担い手を議論する際にも重要な検討要素になるのではないかと考えております。こういった内容もぜひ併せてワーキング・グループのほうでも御議論いただきたいと考えております。
それでは、個別論点を幾つか発言させていただきたいと思います。まず、登録制度・登録要件のところでございます。17ページ目からまとめていただいておりますが、この登録に関しては法人に対して行うものなのか、それとも業務執行責任者、いわゆるサイナーに対して求めるものなのかというのが少し混同しやすいのではないかなと思っております。
資料の中では工夫いただいていると思いますが、例えば、スライドの17ページ目とか19ページ目の辺りでも、登録の対象が何なのかということについて、考え方としては法人のほうを意図されていると思うんですが、その点について明記をいただけると分かりやすくなるのではないかなと考えております。
それから、20ページ目のところ、こちらはサイナーについてまとめていただいております。サイナーについて能力要件を2つ設けていただいて、特に2点目のサステナビリティの開示・保証に関する研修の履修ということに関してサイナー全員に求めるのかどうか、この中にも記載がありますけれども、この点について検討するとともに、この後に義務・責任についてもまとめていただいていると思いますが、例えば、23ページ目の辺りですかね。ここのところに直接関係するかどうかというのはあるんですが、サイナーの義務と責任というものをどう考えるのかという点も併せて整理が必要ではないかと考えております。
それから、その他の論点の前に保証の担い手ですね。38ページ目の内容になります。こちらのまとめ方については、この点だけではないですけれども、ここの中では意見が並列に書かれていると認識しております。この専門グループの中では監査法人に限定すべきとか、あるいは、当面監査法人に限定して、プラグマティックに段階的に拡大をしていくといった御意見も結構あったように思いますが、意見が並列に並ぶとどの意見が多かったのかということが少しわかりづらいかなと思っておりまして、どの意見が多かったかということも併せて御報告をされると状況がわかりやすいのではないかなと思っております。
それから、その他の論点としまして、40ページ目のところにロードマップに関する意見というのがございます。こちらの中で保証範囲についてこれまでも幾つか御意見が出ているところでございますけれども、ロードマップ上では3年目以降というのが改めて保証範囲を検討するということになっておりますが、先ほど来話が出ているように、本来は開示情報全てに対する保証が望ましいという中で、経過的に1年目、2年目は保証範囲を限定していると考えております。
また、ワーキング・グループのほうでも御提示がありましたように、欧州のほうでは全ての開示情報を対象に限定的保証が実施されているといった実務もございますので、改めて保証範囲の検討をワーキング・グループのほうで御検討いただくのがよろしいのではないかなと思っております。
それから、最後の点ですけれども、ここに載っているものではないですが、保証業務実施者を選任するプロセスについて議論をする必要がないかどうかという点でございます。会社の機関のどこで行うべきかとか、意思決定方法など、まだ論点として具体的に検討はされていないということを認識してございます。もし何か具体的に決めるとしたならば、事前の準備が必要になってくるかと思いまして、そういった規定をするのかどうかも含めて、早めに検討をいただくことが必要だと考えております。
私からは以上でございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
ワーキング・グループへの報告の仕方につきましても幾つかアドバイスいただきましたので、少し検討させてください。例えば、保証業務の担い手について、専門グループではどちらが主流だったとかということもありますが、それぞれの御意見にはそれなりの論拠があるわけです。監査法人に限定すべき、あるいは、そうすべきではないといった担い手につきましては、それぞれ課題も当然にあるかと思いますので、こういうことについても事務局で整理していただいておりますので、その辺りはハイライトして報告すべきかと思ってはいますが、その点を含めまして一旦預からせていただき、再度検討させていただければと思います。
また、経験・技能など保証基準等で書けるものもあれば、具体的な研修内容など自主規制機関等で担っていただかなければならないこともあるかと思いますので、その辺りの論点は、大枠が煮詰まった段階で議論させていただくべき個別的な論点なのかなというふうにお伺いしておりました。どうもありがとうございました。
それでは、他にいかがでございましょうか。オンラインで御出席いただいております上田委員、いかがでございましょうか。御発言いただけますでしょうか。
【上田委員】
上田でございます。ありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。
【堀江座長】
はい、大丈夫です。
【上田委員】
御指名ありがとうございます。また、事務局におかれましては、これまでの議論は相当幅広い議論だったと思いますが、それを網羅的におまとめいただきましたこと、重ねて御礼申し上げます。
まず、私も御議論いただきたい事項のところに沿ってお答えいたしますと、専門グループにおけるこれまでの議論の状況をワーキング・グループに報告するということについては、事務局にて作成いただいたこちらの資料の内容で報告されることに賛同いたします。
また、第2点のところですけれども、今少し議論になったところにもなりますが、私は本日の各委員の皆様のお話を聞いていて、それぞれのお立場、企業であるとか担い手側であるとか、あるいは投資家ということで少しもし立場の違いとか期待とかが違いがあるとすれば、ワーキング・グループにおいて報告される際に、例えば、投資家サイドはこうであるとか企業サイドであるとかそういうものがあると、ワーキング・グループにおいてどこを重視するかということを検討するうえで参考にもなるかなと思いました。御無理は申しませんが、口頭でも良いのでご検討をいただけるとよろしいのかなと思いました。
いずれにしても、各論点について、とりわけ専門性・信頼性の確保、社会的なコスト、サステナビリティ保証という業務をどう位置づけるかという点について、それぞれ一長一短あるなと思っておるんですが、現時点の制度から想定できる枠組みの中で御議論をされたんだと、それがまとめられているなと、集約されておられるなと考えます。
ただ、これを1点にまとめるとすれば、サステナビリティ保証という業務を従来の監査あるいは保証の一環として組み込んでいくのか、新しくサステナビリティ保証という業務とか、業のようなものを考えるのかといったところになろうかと思います。したがって、具体的な論点として、担い手を監査人に限定するのか、あるいはNon-PAにも拡大するのかというところに帰着、帰結するのかなと思います。他方で、制度的な設計の時間的なゴールも定められていますので、段階的な措置というような時間軸も踏まえた措置も検討するべきなのかなというふうに拝見しております。
いずれにしましても、その辺りの議論を含めて当専門グループにおいてしっかり議論されていますので、その意見をもって、今後は上位のワーキング・グループにおいての方向性の決定、さらなる議論といったところに期待したいと思っております。
最後になりますが、座長、そして事務局、委員の皆様方、真摯な議論に参加させていただきましたこと感謝申し上げます。ありがとうございました。
【堀江座長】
上田先生、どうもありがとうございました。
冒頭アドバイスいただきました、企業サイドから見た時、投資家サイドから見た時とか、いろいろな切り口が確かにありますので、とても良いアイデアだと思いますので、検討させてください。ただ、既にワーキングへの報告の仕方につきましても幾つか御意見をいただいておりまして、全て盛り込みますと時間が幾らあっても足りませんので、事務局と相談させていただき、取り入れるべきところはできるだけ取り入れる形で進めさせていただければと考えております。
それでは、森内委員、どうぞ御発言ください。
【森内委員】
ありがとうございます。
御議論いただきたい事項(42ページ)のまず1ポツ目に関しまして、「専門グループにおけるこれまでの議論の状況」ということで、議論が平行線になっている部分とか収束していない範囲も多い中で、状況ということで御報告されることについて賛同申し上げます。
それから、2ポツ目の追加・修正等すべき点はないかということに関しましては、時間も限られておりますので、①に関して意見を述べさせていただきます。3点ございます。1つ目がサステナビリティ保証業務実施者に求められる規律のあり方の②の登録制度と登録要件、それから④の保証基準、倫理・独立性、そして3点目が⑤検査・監督、自主規制機関でございます。
まず、②につきましてですが、17ページ、18ページ、19ページとまとめていただいております中で18ページの人的体制についてのご意見の上の囲みの中の2ポツ目です。研修の充実が必要ということに関しては、私も意見を述べさせていただいたかと思うんですけれども、サステナビリティ領域とかサステナビリティ課題は、現状のGHG排出量に加えてさらに増えていくということが予見されております。したがって、研修の体系をしっかりつくっていかない、領域や課題が出てきたから都度研修ということではなくて、あらかじめ予期されているわけですから、先取りして研修をつくっていくこと。
それから、単に研修といってもいろいろなグリップ手段があると思いますけれども、CPEの制度をしっかりと導入し、継続的な評価も組み込んでいくということが必要ではないかと思います。
それから、下の網かけ部分ですけれども、1ポツ目で「全体として」というところに下線を引いていただいていますが、全体も重要なんですけれども、個々のメンバーの役割と責任を足したものが全体としてということになるわけですから、そういう意味では、個々のメンバーの役割と責任に応じた能力の特定、水準の設定が必要になると思います。
ちなみに、ISO適合性評価活動においては、チーム、メンバーのスキルマトリックス、これらは指針として整備され運用されておりますので、そういったものも参考になるのではないかということでございます。
それから、チームの中で、必ずしもメンバーに公認会計士資格を持っている方ではなくても、金融とか財務の関連資格をお持ちの方、他にも関連する資格があると思いますので、こういった方々の資格の保有者も含めてはどうかと考えます。
それから、保証業務実施者に求められる規律のあり方の④の保証基準、倫理・独立性です。25ページの保証基準の2つ目の矢羽根のところです。国際的な品質管理基準であるISQM1と整合した監査に関する品質管理基準、それから日本公認会計士協会の実務の指針と特定されておりますが、その他の保証業務提供者の場合は、例えば、ISQM1と同等のISO 9001を使う場合もあるかもしれませんし、実務指針も日本公認会計士協会さんの実務指針と同等のものを使うことも想定されますので、括弧して同等のものというような記載が望ましいのではないかと考えます。
それから、最後、保証業務実施者に求められる規律の在り方⑤検査・監督、自主規制機関。27ページですが、これはWGの方向性として、一番上にお示しいただいていますとおり、監査法人であるかその他の保証業務提供者であるかに関わらず同じものということで、検査・監督に関しては同じものというところだと思いますが、自主規制機関に関しては、29ページに様々な御意見がございましたが、一番下に記載しておられる、日本公認会計士協会が自主規制機関を担う場合は、公認会計士と監査法人に限定されるのではないかということですので、確かにそれはそうだろうなというふうに考えますと、もともと自主規制機関は1つということで議論が進んでいましたが、新しい自主規制機関を1つつくる、もしくは、日本公認会計士協会と別の自主規制機関をつくるということも検討の視野に入れないと、保証業務提供者が限定されてしまうということにつながりかねないというふうに思います。
私からの意見は以上です。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。これまで議論してきたもの以外について、また細かな論点等についても様々御意見をいただきましたので、預からせていただければと思います。
例えば、資格要件につきまして、公認会計士に限定しなくても、他の財務の専門資格等があれば、そういったものも認めて良いのではないかとか、これまであまり検討してこなかった論点も御指摘いただきましたので、その辺りの整理の仕方については事務局とも相談させていただければと思います。「公認会計士等」と書いてしまいますと、その「等」というのは監査法人を意味することがありますので、誤解を招くような表現になってもいけませんので。
ただいまの御意見は議事録ではきちっと残っておりますので、表現を含めました取り扱いにつきまして、とりあえず御一任いただければ幸いです。また、自主規制につきましても、非常に難しい問題でございますが、これにつきましても、再度より深い議論をしていかないといけないと思います。保証主体がある程度決まってくるとこの問題も相当議論が進んでくると思います。
それでは、他に御意見いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ御遠慮なく御発言いただければと思いますが。井口委員、どうぞ。御発言ください。
【井口委員】
遅れて来まして申し訳ありません。ありがとうございます。では、皆さん同様、御議論いただきたい事項について意見を申し上げます。
最初、ワーキング・グループにこの資料を提出して議論に資するということについては賛同いたします。多くの議論が適切にまとめられていると思いますので、これを提出するというのは正しい方向だと思います。
ただ一方、藤本委員や上田委員がおっしゃったように、やや意見が割れているところについては、よくIASBの資料とかでも、どれくらいの人が賛同したか、どのような属性の方が賛同したかなど、マジョリティーとかモーストリーとかでありますが、特に、一部で、今回は意見が割れていたりいたしますので、議事録を見れば分かるといえば分かると思うんですけれども、そういうふうにするのも1つの工夫と思いました。
あと、筒井委員の意見書にありました内部監査部門の活用についてというのは、重要なポイントになると思いますので、入れたほうが良いのではないかというふうに思いました。
それで、今までずっと発言していることではあるんですが、この事務局の案の中にもかなり入れていただいておるんですが、再度繰り返したく思いますのは、「サステナビリティ情報」自体はすごく広く、財務情報に非ざる情報、よく昔「非財務情報」とも言われますが、そういうのも含むものになると思います。そして、制度の状況によっては、例えば、GXリーグのようにこういった非財務情報を保証するというようなことを求められることも出てくると思っております。
ただ、このワーキング・グループで議論しているサステナビリティ情報というのは、その中でも狭い情報で、ISSB基準あるいはSSBJ基準が対象とするもので、「サステナビリティ財務関連情報」と言われますが、財務情報の一部であるということです。そこはもう一度確認させていただければと思います。
そうすると、こういったことの情報の保証を行うのに一番適した形は何かというと、私は、あるいは、利用者からすると、既存の財務諸表監査との整合性のある体制を可能な限り引き継ぐ形でやっていく、保証の担い手についても同様にやっていくということがいいのではないか、と思っています。
それで、委員の中から、保証基準で、ISOかISSA5000かという話もありましたが、私は開示基準はグローバルなのに、保証基準がグローバルでないというのは非常に深刻な問題になってくると思いますので、保証基準もグローバルに合わせて、かつ、財務諸表監査と整合性のあるISSA5000、IESBAの倫理基準で整合性を取っていくというのが利用者から見ると一番適切な形かなとは思っております。
もちろん、この中で、外部専門家などで、Non-PAの方の御活躍というのもあると思っています。まずは、保証を定着させて、その中で将来的にprofession-agnosticを前提としてもっと担い手を広げていくという方法もあると思います。よく段階的なアプローチということを申し上げましたが、サステナビリティの世界では、こういう段階的なアプローチというのはどの分野でも必要になってくるのではないかと思っています。
以上でございます。ありがとうございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
確かに先生のおっしゃるとおり、サステナビリティ関連財務情報という方が厳密ではありますけれども、これに関連して、監査法人に限定すべき、限定すべきではないというところ、事務局はものすごく神経を使われて、いずれかの担い手に極端に片寄らないようにということで、非常に細かく1個1個のワードまでチェックしております。
どこまで反映できるか分かりませんが、財務情報とのコネクティビティという点については強調されていますので、この辺りを含めてちょっと検討させていただければと思います。どうもありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の林委員、御発言ください。
【林委員】
ありがとうございます。関西学院大学の林です。御発言の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
私もこの今映っている42スライドに基づいて意見を申し上げますが、まずは、1つ目のワーキング・グループに報告をするということについては賛成いたします。膨大な資料をまとめていただいて、ありがとうございました。
それから、2つ目の事務局案への追加・修正点については、2つのうちの②、ワーキング・グループでの議論に向けた専門グループの意見として、1点意見を申し上げたいと思います。特段新しい事柄ではないんですけれども。
最初に、スライド5のところで、「監査法人であるか、その他の保証業務提供者であるかにかかわらず制度上同等なもの」、あるいは「同じもの」という表現が使われておりまして、その後も、特定のスライドではないのですが、様々な議論のところでISA5000あるいはISQM1、あるいはIESBAの倫理規則ですかね、倫理規定を参考にということが述べられています。
ただ、「同等なもの」、「同じもの」なんですけれども、その同じという水準がどこか、どこに揃えるかというのははっきりしないままここまで来ているわけです。そもそもそれを決めるのはワーキング・グループということですので、この専門グループでの議論が迷走する理由もそこにあるかなと思うんですけれども、今後この報告書が上に上がって、ワーキング・グループでその辺りが議論されるかと思いますので、やっぱりどの水準にするかということをまずきちんと議論していただいて、その水準で担当できるのは誰かということを慎重に議論していただければなと思っております。
私はこれまで何回か、現行制度等様々なこと考えると、監査法人を担い手とするのが合理的だとは考えるけれども、新しい制度を立ち上げますので、競争政策という観点も当然考慮すべきだろうとこういうことを申し上げてまいりました。監査法人の水準に揃えると決めるのであれば、その水準にその他の保証業務提供者・実施者が対応できるかどうかということを検討していく。対応できるのであれば問題ないでしょうけれども、そうでないとなった場合に、それでも競争政策上、その他の保証業務提供者・実施者にも門戸を開放するということであれば、保証基準とか倫理基準とか品質管理とかの水準を下げる必要が出てきますので、そのことの影響がどれぐらいあるか。恐らくそういうことを考えていただかないといけません。それが決まれば、もう1回この専門グループに戻ってきて、今まで議論してきたような具体的な論点を詰めることができるんじゃないかと思いますので、ぜひ慎重に御検討いただければと思います。
それからもう1点、これはこの意見とは関係ないのですけれども、先ほど委員の発言の中で、文言は正確にはつかめていませんけれども、監査の研究者は関連当事者か何かで、とにかく意見が偏っているんじゃないかと、そういう趣旨の御発言がありましたけれども、そこに私が含まれるかどうか分かりませんが、それは委員としての独立性を疑われているようなものでして、その御発言は不適切だと感じています。もし私が含まれているならば、厳重に抗議をしたいと思います。
私からは以上です。ありがとうございました。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。
先生方から御意見をいただいた後に私がコメントを返してしまったりしたので、時間を使ってしまっているようです。少しスピードアップして進めさせていただきたいと思いますが、まず、会場からどなたか御発言希望がございますでしょうか。
では、甲斐先生、どうぞお願いいたします。
【甲斐委員】
発言の機会をくださり、ありがとうございます。公認会計士の甲斐です。私は、専門グループにおけるこれまでの議論の状況をワーキング・グループに報告することには賛成いたします。様々な意見が並列して記載されている件につきましては、例えば、利用者の方は主にどういう意見だったのか、学者の方はどういう意見だったのかという形で、意見をされた方の属性を分析しますと、ワーキング・グループでの御議論にも役に立つと思いました。この点、先ほどの他の委員の御発言とも少し似ているかと思います。実はIAASBでもコメントレター等の分析を行う時にそういう手法を取っていまして、御参考までに発言させていただきます。
それ以外、個別論点として2つコメントいたします。
1点目が保証範囲の限定です。論点としては、「ワーキング・グループにおける議論に資するための専門グループの意見」に該当するのかもしれませんが、スライド14の記載に関連づけてコメントいたします。左側の欄で、保証においては「重要性のある情報に絞り込むプロセスを確認する能力が重要」とあって、この記載は正しいと思います。一方で、我が国では当面は保証範囲を限定することが検討されているので、関連した整理が必要だと思いました。
保証範囲が限定されている期間においては、あらゆるサステナビリティリスク・機会のうち、どれが重要なのかという絞り込みよりは、保証範囲であるScope1・2、ガバナンス・リスク管理情報の中でどのような情報が開示されるべきかという検討が、保証業務実施者にとって基本的には重要になるのかもしれないと思います。
一方で、保証範囲が限定されている期間において、サステナビリティ全体の観点からの絞り込みの確認を保証業務実施者が行う必要が全くないかというと、そうでもないと思います。例えば企業が、当該企業の状況に照らしますと、Scope1・2はサステナビリティ全体の観点からは重要ではないと判断して、SSBJ基準に従って開示不要だと判断する場合もあると思います。こういう場合の保証業務実施者の重要な作業は、当該企業の状況に照らして、本当にScope1・2は重要性がないのかという全体的な絞り込みを確認して、開示不要との作成者の判断が正しいかどうか検討することかもしれません。こういう点を含めまして、我が国においては、当面は保証範囲を限定することに関連した論点が生じる可能性があって、今後、考え方の整理を示す必要があると思いました。
こういう形で、保証範囲の限定というのは特有の論点が生じますので、いつの段階で本来あるべき姿である全体保証に移行するのか明確に方向づけがあったほうが、やはり考え方が整理しやすく、また、実務上も混乱が生じないように思います。この点、やはりワーキング・グループで改めて御議論いただいたほうが良いように思いました。こちらも先ほどの他の委員の御意見とも少し類似する部分があるかと思いました。
2点目としまして、スライド20についてコメントします。公認会計士資格まで求める必要はないとの御意見の3つ目の箇条書きの「ISSA5000では」と記載している文章の部分が、私の理解不足かもしれませんが、少々分かりづらいように思いました。ISSA5000では、業務執行責任者に対して、保証業務の技能・技法については、様々な研修と実務を通じて培われた適性と能力、それから、保証対象であるサステナビリティについては、業務に関して到達した結論に関する責任を受け入れるために十分な適性を有することが求められています。
これはサイナーとして保証業務を行う以上、保証に関する技能・技法と保証対象である情報に関する適性の双方が当然に必要だと思います。その両方を兼ね備えた者として、日本が考えているサステナビリティ保証制度に照らすと公認会計資格を求めることが適切かどうかという議論であって、公認会計士資格を求めることが、ISSA5000に言う保証業務の技能・技法についてのみ資格要件を絞るということには結びつかないように思いました。この点、日本が考えているのが大規模な上場企業のサステナビリティ保証であり、また、長期的にはサステナビリティ情報の全体の保証に移行すべきだということを考えますと、公認会計士資格を求めた上で、サイナーが複数いる場合についての考え方について検討するというのが私は良いように思いました。
私からの意見は以上です。ありがとうございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。また新たにこれまで十分議論してこなかった論点についても追加的にいただきました。例えば、いわゆる部分保証の問題、これを理論的にどういうふうに考えるべきかという点につきまして、いろいろな問題がたくさんあるかと思いますので、これから慎重に検討を進めていく必要があると思います。ありがとうございました。
他、御意見等があればいただきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ御遠慮なく。
町田先生、どうぞお願いいたします。
【町田委員】
ありがとうございます。今の甲斐先生の御発言を受けて、研究者カテゴリーとして発言させていただこうと思います。先ほど林先生のご発言で、多分ちょっと誤解されていたところがあると思うんですけれども、植村さんが御発言になったのは、監査法人の方が、あるいは会計士業界の方が発言されるのは関連当事者だということを言われたんだと思うんです。監査研究者には触れられていなかったと思います。ただ、監査法人一択だということを第1回目の時に発言したのは私ですので、そういう意味では研究者の立場でそのように発言したということを申し添えたいと思います。
なぜ監査法人一択かという話に関して言えば、例えば今日の資料の中の先ほども触れられましたけれども、ISQM1とか、ISQM1が求めるような品質管理の部分が大きいと思うんです。恐らく独立性に関する部分については、Non-PAの方も十分に対応できると思うんですが、ISQM1ベースと言われてしまうと、そこで求められているような品質管理のレベルには簡単に応じられない、品質管理部門等の組織構造は持てないというところもあると思います。また、手続についても、例えば今日の資料でいうと、15枚目の「その他の記載内容」の通読・検討のところが問題になります。通読というとは読めば良いんだと見えるかもしれませんけれども、実際に、「その他の記載内容」の手続では、3つの事項が求められていてその中の1つとしては、「その他の記載内容」に関しても虚偽表示がないかどうかについて常に注意を払わなければいけないとされています。つまり、サステナビリティ情報だけではなく、財務情報やそれ以外の有価証券報告書に記載されている多様な情報の虚偽記載に目を配ることが求められているわけで、かなり大変な手続だと思うんです。Non-PAの方に対しても、経理の状況も含む「その他の記載内容」に対して要求されるということはなかなか厳しいんじゃないかと考えています。あるいは、19枚目のスライドにあるように、チームを組むことについても課題があります。これについては、以前から私は、この専門グループの会議の場で、Non-PAの方がどのようなチーム構成をされているのかということを議論の俎上にのせる、またはNon-PAの方にプレゼンしていただいたほうが良いんじゃないかということを申し上げてきたと思うんですが、今のところ、取り上げていただいてはいません。実際にこのようなチーム構成が可能なのか、あるいは実際に今行っているのかといったら、そんなことはないんじゃないかというのが、研究者として私が調査した範囲での認識です。
あとは、第一回の会議で申し上げたように、わが国の自主規制と公的規制の関係性からして、必然的に人的リソース、先ほど弥永先生も触れられましたけれども、日本の人的リソースを考えた時に、新たに自主規制機関を作ることも現実的ではないし、公認会計士・監査審査会で監査法人の登録さえしていないのにサステナビリティのNon-PAの登録だけをするというのは本末転倒なのではないか、ということで、なかなか難しいんじゃないかということ。つまり、わが国の公的規制と自主規制のハイブリッド型の現状と公的機関のリソースを考えた時には、監査法人一択になってしまうんじゃないかということを申し上げた次第です。
以上のことを前提として、本日、発言を求められている点について申し上げると、座長の堀江先生にワーキング・グループで報告していただく時に当たって述べていただきたいことというか、そのことを触れていただきたいのは、これまでもワーキングで3回にわたって何度か申し上げてきたと思うんですけれども、保証の担い手が決まらないと、もう枝分かれ枝分かれで議論が収束しないという点です。PAとNon-PAの両方に保証業務を認めるんだったらこうだし、あるいは自主規制についても両方認めるんだったらこうだし、あるいはISOとISSA5000と両方認めるんだったらこうだしというような話が延々と続いていると思うんです。そうした枝分れ、樹形図のような議論の展開をそのままにしておいては、私たちはAIじゃないので全てを同時に把握して最適解を検討することはできないわけです。つまり、ここでの議論も時間が限られているということなので、非常に消極的なコメントとしてワーキング・グループに伝えていただきたい、取りまとめで報告していただきたいのは、専門グループで議論を始めたけれども、この担い手のところが決まらないと、専門グループの細かい点、あるいは専門グループとしての専門的な点に話が進まない。だから、この点をいい加減決着してくれ、というようなコメントをしていただけないかなと思っております。
事前説明の時に、堀江座長がどういうふうに説明するのかとお尋ねしたところ、この資料の全体をかいつまんで話すというようなことでしたので、それでは、話されるトーンによって報告の意味が違ってきてしまうかもしれませんので、どのように報告されるのか、その報告骨子をパワーポイント1枚ぐらいにまとめていただけないだろうかと申し上げたのですが、本日の資料を見るとそれは無理だったようです。
パワーポイントは非常に便利で、使い回せるから便利だと思うんですけれども、これは取りまとめの資料というものではないんじゃないかなと思いますので、ぜひ取りまとめの資料は文章化して、文章として報告されたほうが良いんじゃないかなと思っております。
そういうものを作成してこの会議で見せていただけないのであれば、せめてワーキングで保証業務実施者のことなど、決めていただくべきことを決めてほしいということをしっかり伝えていただいて、もしもこの先、専門グループの議論をまだ続けようというのであれば、ワーキング・グループで決着をつけて、その上で、専門的な内容を話す場として、この専門グループの会議に落としていただかないと、これまで4回の議論のように堂々巡りの放談が続くだけだと思います。
実際、専門グループとして議論すべき事項は、そこから先にまだ幾つも論点は残っていると思います。まだ取り上げられていない点で専門グループで議論すべき点としては、例えば、専門家の利用の点、Group Auditの問題をどうするのかとか、あるいは先ほど倫理の話が出てきましたけれども、倫理に関して懲戒処分にどう結びつけていくのかという話も自主規制機関のところで止まっていたように思います。そういった点などを議論するのが専門グループの会議なのではないかと思うんです。もしグループ監査の問題は企業会計審議会で保証基準を検討する、自主規制の問題は今後、審査会なのか公認会計士協会なのかその場で検討するというのであれば、ワーキングから直接企業会計審議会やその他の会議体に行けば良いのであって、専門グループは要らないんじゃないでしょうか。この専門グループ会議の親会議がワーキングなのだとすれば、そこでこの専門グループ会議で検討すべき内容が明らかにされて、この場で検討して決着をつけられるような形で、専門グループに下ろしてきてもらえるように、ぜひ堀江座長にはワーキング・グループで御発言いただけないかなと思っています。
以上です。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。確かに本日御用意いただいた資料は、本専門グループでの3回分の議論を整理してまとめたものになっていますので、この辺りについては、今、町田先生からいただきました御意見、アドバイスを参考にして、どの程度うまくやれるかどうか分かりませんけれども、確かに先生のおっしゃったとおり、そこを決めないといろいろなところに跳ね返ってきて、行ったり来たり行ったりの議論になっているということは十分認識しておりますので、ワーキング・グループへはその辺りうまく伝えるようにできるだけ頑張ります。うまくいくかどうか分からないけれども、頑張ります。
それでは、オンラインで御参加の高村先生、お願いいたします。
【高村委員】
どうもありがとうございます。まず、この専門グループにおけるこれまでの議論の状況について開示・保証のワーキング・グループに報告をするということについては、もちろん異論がありません。これまで実に多くの議論、意見があったものをできるだけ分かりやすく整理をしていただいていると思っております。
事務局案について、そういう意味ではこれまでも発言をしてきたことでもあるかと思いますけれども、2点ほど発言をさせていただこうと思います。
一つは、スライド10のところで書かれている点であります。冒頭に、開示される情報の信頼性の確保、それから日本の資本市場が適切に機能を発揮するために不可欠な要素として、財務諸表監査と共通するものとして記載をいただいているかと思います。この部分はやはり共通して重要なところで、情報の信頼性を確保する上で、これはサステナビリティ情報においても共通してやはりこれが実現されるものでないといけない、そういう保証でないといけないということだと思います。
そのために、様々な登録制度、それから義務・責任、業務制限、これはスライド18から23のところにかけて書かれていると思いますけれども、1点若干気になっていますのは、多分議論の中でもひょっとしたら不明確なところがあったのかもしれませんけれども、これは藤本委員が御指摘になった点かと思いますが、誰がその義務・責任を負うのか、あるいはその義務・責任の範囲がどこまでなのかというところが、読む人にとっては若干不明確な印象を与えるかもしれないと思っております。これは改めて、現行の財務情報との関連でパラレルで考えていらっしゃるところがあって、自明として書かれているところかもしれませんけれども、ひょっとしたら実際に何が求められるかという先ほど担い手のところにも関わって、できるだけ明確に伝わるようにしておいたほうが良いのではないかと思った次第です。これは御検討いただければと思います。
それから2点目は、資料の修正をお願いする趣旨ではありません。これまでの議論にもございましたけれども、保証の水準について、やはり国際的な保証基準、ISSA5000をはじめとした国際的な基準の整合性について、やはり専門グループでも、基本的にそれを参照して、それと整合的なものにするということは異論がなかったと理解をしています。これは事務局の報告のところにもそのように整理をしていただいていると思っております。
それに関わってやはり気になっていますのが、やはり保証の範囲の問題です。こちら、今の段階では、限定的保証という水準を前提としながら限られた保証の範囲として示して、その後国際動向も踏まえて検討となっているかと思います。先ほど申し上げた非常に重要なサステナビリティ情報の信頼性、それから資本市場の機能を適切に発揮するためにどういう水準の保証が必要なのかという点でいきますと、やはり保証の範囲の拡大をしっかりしていく道筋というものは、これは企業の側にも、誰が担い手であっても、保証の側にも必要だと思っています。ここの国際的動向は十分検討するのですけれども、とりわけ法定開示の想定されている時価総額5,000億円以上の企業さんにとっては、できるだけ早い保証範囲の拡大ということを考える必要があるのではないかと思います。負担の問題は重々理解をしておりますけれども、これはやはりセーフ・ハーバー・ルールのあり方とも相関するところだと思いますので、むしろこれはこちらの保証の専門グループでの今後の課題ということかと思います。
最後に、すみません、先ほど町田先生ですかね、御提起いただいた点は重要だと思っています。恐らく金融庁さんの今までの資料の作り方ですとそういうふうにされるかなと思うんですが、今回の開示・保証のワーキング・グループに、ぜひやはりここは開示・保証ワーキング・グループで重点的に議論をしてほしいという論点として専門のグループから上げるべき点というものがあるということの御指摘なんだと思います。先ほど堀江先生からも工夫をされるということでしたけれども、恐らくこの保証の専門グループの今後の議論を進めるために何の意見を聞かなければいけないのかというのをぜひ整理をして、ワーキング・グループのほうに上げていただきたいと思っております。
以上です。
【堀江座長】
高村先生、どうもありがとうございました。最後に先生からアドバイスをいただいたとおり、確かにワーキング・グループのほうでどこを重点的に議論すべきなのかということがクリアになるようにお伝えさせていただくよう工夫させていただきたいと思います。
それでは、会場で御出席の委員の先生方で御発言希望があればお伺いいたします。
松本先生、よろしくお願いいたします。
【松本委員】
堀江先生、ありがとうございます。関西大学の松本です。
最後のスライドに御提示の、今回の専門グループに関する議論をワーキング・グループに報告するという状況の報告に関しては賛成いたします。また、もう既に高村先生、町田先生からのコメントにもありましたとおり、そこでの報告における最大の役割は堀江先生の双肩にかかっているということに関しましても、賛成致します。よろしくお願い致します。
個別論点のところに入らせていただきます。スライドの10ページ目とスライドの23ページ目で、弥永先生も若干指摘されたかなと思うんですが、担い手に過度な責任を負わせないようにするということが何箇所か出てくるんですね。もちろん経営者に関しても過度な責任を負わせないようにするという表現が出てくるんですけれども、政策的にその文言を使われるのは非常に良いのですけれども、規制当局側あるいは政策設計側は、そういう過度な責任を負わせないようにするというふうに要求事項をつくる以前の問題として、セーフ・ハーバーを認めた上で金商法に基づき合理的な責任を負ってもらうということを規定すべきであって、最初から、あなたには過度な責任を負わせることは考えておりませんので、どうぞこの業務を引き受けてくださいというふうな持っていき方をするのはちょっと筋が違うような気がします。これは、多分に強い力をお持ちの団体がおられますので、過度な責任を負わせてほしくないという表現が常に出てくるのは分かるんですが、政策当局、政策立案当局としてこういう表現を何箇所も使われるのはどうかなというふうな気がします。
あと2点なんですが、資格要件にしても登録要件にしても、全ては品質管理をどのように重層的に確保するかに全ては集約されると思います。品質管理だから、自主規制のところですね。私はどの担い手に保証業務をお願いをするかに関しては無差別の段階ですけれども、少なくとも、スライド15に非常に分かりやすくおまとめいただいておりますが、サステナビリティ情報と財務情報とのコネクティビティが現時点では、監査制度においてはその他情報、その他の記載内容に関する部分で非常に効果的にコネクティビティが確保できるような仕組みが整っています。ですので、このコネクティビティが達成できるのであれば、公認会計士であろうが公認会計士でなかろうが、私は業務の担い手に値すると思っています。その前提が自主規制だと思いますし、品質管理だと思います。
各事務所あるいは各担い手の品質管理は、ISQM1を適用しようがISO9001を適用しようが、そこには一定のスケーラビリティーが認められていますので、その一定のスケーラビリティーの枠内で品質管理が合理的に確保できているということを担保できるのは自主規制団体です。その上に規制団体もいますけれども、やはり品質管理の要件、ISO9001あるいはISQM1、ISQM2の要件を満たせるだけのシステムが事務所内に確保できていることを担保できるような自主規制団体があるのであれば、登録を認めても良いのかなと思っています。
最後です。私個人としては、情報が特に法定開示で開示される場合は、その開示される情報には信頼性を保証する仕組みは絶対に必須だと思っています。ですので、現時点で経理の状況に関わる部分にだけ監査人による合理的保証が提供されていて、その他の部分に関しては、監査基準と監基報720に基づいたその他の記載内容に関する手続実施の結果の表明のみが行われて如何なる保証もない状況というのは不十分と思っています。甲斐先生からありましたけれども、スタートが部分保証であったとしても、その部分に関して、任意であろうが法定であろうが保証はあったほうが良いという意見を持っています。
ただ、現時点で現在行われている任意の開示情報に対する任意の保証に関して、非常にばらつきが大きいにもかかわらず、任意の保証が現在行われているので、その任意の保証に関して有価証券報告書で言及しても良いということを今の時点で議論して良いのかなという気がしています。要するに、例えば「私はこの統合報告書は正しく記載されていると思います」みたいな結論が書かれている統合報告書の保証に関する実例もありますし、ISOに則って保証手続を実施した結果この内容は適切に表示されていますというふうに厳密に結論が書かれている実例もあります。それらは何れも任意の保証なんですね。なので、その任意の保証を十把一絡げで有価証券報告書に制度上の要件を満たしている、満たしていないだけをチェックして有報で言及して良いのかなというのは、ご提案当初からずっと頭に引っかかっているので、この点に関してはあまり先走った議論をしてほしくないなというのが感想になります。
以上です。ありがとうございました。
【堀江座長】
専門的なお立場から貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。
また、できるだけ頑張りますので。そうは言うものの、最初は頑張ろうと思っていましたが、いろいろとご注文をいただき、大変プレッシャーを感じています。ワーキングへのご説明当日、何か理由をつけて休まないといけないかなと思い始めてきました。
失礼しました。では、芹口先生、どうぞ。
【芹口委員】
御指名いただきまして、ありがとうございます。では、御議論いただきたい事項につきまして、まとめてコメントさせていただきます。
専門グループでの議論の状況をワーキング・グループで報告することにつきましては、賛同いたします。
保証制度の検討におきまして、利用者として最も重要なのは保証の品質の確保だと考えております。法定開示であるサステナビリティ関連財務開示の保証を行う上で、従来の任意保証と比較して保証業務提供者に求められる能力につきましては、14ページにまとめていただいておりますが、これらを制度としてしっかり担保することが必要だと考えております。
登録におけるサイナーの要件につきましては、20ページに記載のとおり意見が分かれているところでございますが、追加で申し上げますと、第1に、法定開示の保証として、高い品質を確保した上で競争が図られるべきではないかと考えているということが1点目でございます。これは利用者としての立場でございますので、本日複数の御意見をいただきましたとおりで、立場によっては考え方が異なるということで、その点は明記いただくとより良いのではないかと思っております。
また、第2に、現時点の制度の下で保証業務提供者に必要な能力を客観的に示すものとして、公認会計士の資格を持つ方あるいは準ずる方を考えているということ、この2点を改めて申し上げたいと思います。
また、本日少し御意見をいただいたところで、当初、保証の範囲が限定をされ、全体の絞り込みではない、広い範囲ではないということにつきましては、御意見をいただきましたとおり、方向性を明確化いただくというのは有用だと思っております。利用者としましては、ワーキング・グループでも申し上げておりましたとおり、広い範囲での保証、最終的には全部の範囲での保証を期待するということでございます。32ページに、任意の保証を前倒しで4つの項目以外に保証を受けた旨の記載例の案もありますとおりで、これまで議論しておった内容を任意で拡大をしていただけるものではないかと期待しておったところでございます。
ワーキング・グループで保証の担い手などを明確化した上で、専門グループで改めて詳細の議論が進められるものだと理解しておりますが、開示と保証のロードマップの時間軸の中で検討を進めることが必要ではないかと考えております。
以上でございます。
【堀江座長】
貴重な御意見ありがとうございました。先ほど上田先生からも御指摘がありましたとおり、企業サイド、投資家サイド、先生のような情報利用者サイドからとか、この辺りを本当はうまく整理できるととても良いと思って今お話を聞いておりました。
それでは、浅川委員、どうぞ御発言ください。
【浅川委員】
御指名いただきまして、ありがとうございます。JQAの浅川でございます。資料を御説明いただきまして、ありがとうございました。私からも、御議論いただきたい事項2点につきまして、まとめてコメントさせていただければと思います。
まず、ワーキング・グループで報告する専門グループにおけるこれまでの議論の状況についての追加修正についてです。こちら①の部分についてですが、事務局案でおおむね了承されている部分と、事務局案で多様な意見が出されている部分とあるのかなと理解しております。事務局案でおおむね了承された部分については、よろしいのかなと思います。一方で多様な意見が出た部分、例えば今までもいろいろお話がありましたけれども、②の登録制度、登録要件、18ページや20ページ、あるいは⑤の検査・監督、自主規制機関、29、30ページ等については、主な御意見としてまとめておりますけれども、まさにこの専門グループでのいろいろな議論の知見の集積かなと思います。先ほど委員の方から属性での整理ということで分かりやすくしたら良いんじゃないかという御意見もありましたが、そういったところも考慮しながらそれぞれの意見を付して御報告されるのが良いのかなと思います。
それから、2番目のワーキング・グループにおける議論に資するための専門グループの意見ということで、保証業務の担い手とその他、ロードマップや公認会計士制度との関係というところが挙げられているかと思います。それ以外にもその他として、これまで公開されている議事録を拝見していますと、いろいろな有益と思われるようなコメントもあったかなと思います。例えばこれは主に取りまとめられる事業者さんからの意見だったと思いますが、GXリーグ等他の制度との整合性の確保とか、他の制度との関連に関するコメントなども挙げられるかなと思います。このようなコメントもできるだけ細かく拾って、こんな意見があったよというところを御報告されると、制度全体のところを考える上でも役に立つんじゃないかなと思います。
その上で、ワーキング・グループに報告するというところで、今お話しさせていただいたようないろいろなコメントを丁寧に取りまとめていくというところが大事かなと思います。例えば今まで皆様からもいろいろな御提案がありましたが、⑦のまとめの36ページ、専門グループでの事務局案の取りまとめということで一覧表になっておりますが、私からは、ここを、例えば議論があったところと、おおむね了解されているところを何か色分けをするとかそういった形の中で、専門グループで実際にどんな議論があったかという事実に基づいて、ミスリードにならないような報告がされるとよろしいかなと思っております。
私からは以上です。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。ワーキング・グループへの報告に際しましては、ご忠告いただきましたように、ミスリードしないように気をつけます。
岡崎委員、どうぞお願いいたします。その後、清原先生、お願いいたします。
【岡崎委員】
発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。私のほうからは、20ページの能力・要件に関するところで、公認会計士資格を求めるべき御意見として、重要性のある情報を絞り込むプロセス、この能力ということが記載されています。もちろん公認会計士の方が専門性があって、このような仕事にも携わられているということを十分理解しているんですが、一方、TICインダストリーと呼ばれるものも、今回の気候変動だとかそういうことだけではなくて、人権の監査であったり、それから環境の広いデューデリ等について様々なプロセスを確認するということはやっておりますし、一時の短期的なことだけではなくて、1年間にわたってその会社がどのような活動をされているのかということを監査を通じて見させていただくようなこともあります。ですので、会社がどのような対応をされていて、どのように真面目に取り組まれているのかということを確認するプロセスというのは、TICインダストリーも持っている会社もあるのではないかと思うということです。
それと、財務諸表を通読・検討するというのは当然重要ですし、ここについても、我々もTICインダストリーとしてこういうようなこと、町田委員のほうから、虚偽の表示だとかそういうところについてどういうふうな正しく理解をするとかというようなコメントもありましたけれども、これも先ほど申し上げたような、1年間、長い間を通じた監査やデューデリを実施することで、そういうようなことも分かることもありますので、必ずしもTICインダストリーがこういうことを持っていない、あるいはここについては同等のレベルでの確認をすることができる。
ただ、監査をする能力というのは、私どものTICインダストリーというのは業務の対象外なので、全く持っていない。こういう監査をする知識・能力が求められるのかどうなのか。通読したり、理解をするということは重要だと思うんですけれども、こういうところが必要なのかというようなこと。
それから、そういうプロセスの中で、財務とのコネクティビティとの関連性はとても重要だと思います。そこについて、コネクティビティの、先ほどの公認会計士の資格が必要なのかどうなのかということを甲斐委員からもコメントがあったと思うんですけれども、なぜ会計監査法人さんに限定をしたほうがメリットがあるのかというようなところは、ここに記載されていることというより、もっと違うところであるのかもしれないと考えております。もしそうだとしたら、そういうところを明確にしていただいて、なぜまずは公認会計士、監査法人なのかというようなことを書かれるのが良いかと思います。今記載されている内容だとすると、TICインダストリーで劣っているという気はしないので。
それから同時に、今現状、メインプレーヤーがサステナビリティ保証として会計監査法人がという、現状そういうような形で進んでいるということも理解はしているんですけれども、選択肢がある中でそういうふうに選ばれているのと、選択肢がなくてというふうなものとは全然違いがありますので、使われる企業側がどのように考えて、どういう選択でどうなのかというような、さらに深いヒアリングだとか情報収集だとかということも必要なのではないかと思います。
職業倫理の点であったり、品質管理について、TICインダストリーも、様々な会社がありますので全てがそういうことが言えるかどうかということは分かりませんが、品質マネジメントシステムや、そういう体制は持っておりますし、実際に監査をしていただいても、何ら問題がない形ということが証明できると思いますので、そこについて不足していることがないと考えるということ。
それから、倫理についても、ここについては非常に譲れないところで、重要な点でございます。同時に、TICインダストリーが財務監査をしていないメリットとして、毅然として、人権だろうが他のデューデリだろうが問題があるところについては、財務の関係で全く関係がないので、利害の対立がないので、きちんとしたことを言うことができるというのもメリットの一つかなと思います。財務とサステナビリティの関連性で確認をすることとして書かれておりますけれども、そういうようなものの中でもそういう面を見ていただければと思います。
以上です。どうもありがとうございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。Non-PAのお立場からの実態を詳しく御説明いただいた上でのコメントをいただき、ありがとうございました。
それでは、清原先生、どうぞお願いいたします。
【清原委員】
発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今回専門グループでの議論の中でやはり担い手のところが一番これだけ議論が分かれているところですけれども、やっぱり出発点を少し考えてみた時に、サステナビリティの保証というのが新しい分野だと。今任意で行われている、制度がないからという意味で任意と申し上げたのですけれども、それは実際には監査法人でなくて監査法人の関連する企業として設立した株式会社でやっており、またはISO系の方々がやられている。今回制度が新たに導入されると、そこのところの業務を監査法人が当然にできるということばかりを前提にするのではなくて、監査法人ですらやっぱり参入する業者の一つとしての選択肢Aであり、それ以外の方々、それはBである、というところからまず議論を考えなければいけないんだろうということを考えております。
それから次に、監査法人がやはり信頼に足るということが前提になっているというふうにお話を伺って思うのですけれども、監査法人ですらやはり皆さんがこれまで努力して、不断の努力の上で今、信頼に足りるところまで来ている。逆に言うと、今までやはり不祥事も含めていろいろ起きてきたのは事実であり、アプリオリに監査法人であるから品質が守られる、それ以外だと違うと決めるのはどうかなということと、それから時間的な軸で考えていった時に、当初は大企業からですから、大手4監査法人系のところが参入するのが多いであろうと思われますけれども、その先を考えていった時に、恐らく中堅の監査法人系のところも入ってくる。それから、中堅でないところ、もう少し小さいところも入ってくる。そういった時に、クオリティというのはやっぱりすごくばらばらなんですね。
今度は逆にISO系の方々を見た時には、大きなところでISOの保証を行っている、検証を行っている機関というのは、やはりその陣容、それから今までやってきたものの積み上げも含めてレピュテーションがあり、そこはしっかりするという推定・推認や品質管理に対する体制というのも期待できるものがあるだろうと考えられます。そう考えると、はじめから監査法人は体制がしっかりできていて、それ以外はそうでない、ということを、もし先入観といいますか、そういう予断というものがもしあるのだとしたら、そこはちょっとよく考えておかなければいけないではないかと。
それから、現状問題として予見できるのは、監査法人も大手ですと4つしかない中で、選択肢が非常に少ない。このことも、企業も、規制当局も、そこは問題点として意識しておられるのは、これは監査業務について皆さん御案内のとおりだと思います。その4監査法人、大法人と比肩できるぐらいのものを提供できるものとしてISOの検証機関、Non-PAの方々がおられるという時に、制度の最初から狭めて始める必要が本当にあるのかと。これから出来上がっていくサステナ保証という新しい業態のものに対する制度において、育成するとか促進するということを含めて考えていった時に、限定したところから始めて、何年か経ったらNon-PAの方が入っていいですよという、この発想というのが私は正直理解できないのです。やはり最初の段階であるところが入っていて、他のところが入ってないということになると、当然差がつく。そうすると、競争上、どうしてもディスアドバンテージになる。どうして独占を監査法人に認めようとするのか、その発想が私にはどうしても理解できないのです。
やはりそこは政策的な面においても、選択肢を認め、競争を認め、品質管理がやっぱり重要な要素になるということを前提に、それでNon-PAの方でやったとした時に、会計・財務のところについて彼らだったらどう補ってやっていけるか。言い換えると、監査法人が持っている専門性というのはサステナの部分じゃないはずなんです、もともとは会計・監査ですから。それ以外のところは研修をやったからこれができるようになりますという話では本来ない。やはり両方揃ってできるはずなのに、どうして片方ばっかりに重点を置くのかというところを含めて言うと、どうして、せっかく最初、profession-agnosticというスタートラインでいながら、監査法人限定だという意見一択だ、というところが初回から出てくるのか。私はどうしても理解できない。やっぱりそこは独占ということの、その弊害をもしっかりと皆さんには考えいただきたいというのが、一般論になりますけれども、弁護士としてここで述べておきたいところです。
また、独占の話をするのであれば、競争政策、それからあとは、最後、憲法上の問題、営業の自由の制約としての合理性があるのかどうかということを含めて考えたときに、短期的にまず最初に、段階的に入れるから最初はこれで良いんだという、そういう発想で良いのかどうかというところも、根本に立ち返って考えてみると、ちょっとそれは乱暴で、よくない議論ではないかなというふうに、個人の意見でありますけれども考えています。
その中で、Non-PAの方々ができないと思う根源は何なのかということ、それからNon-PAの方々がやろうとした時にどれを満たしたら期待できるものになるのか、そういったことも含めて考えていかないと本来はよくないはずです。ですから、意見を並列して出して、それで報告する、それで良いのかもしれないですけれども、根本的なところの議論がやっぱりまだ欠けているなというのが正直私が感じているところです。
そういったところが恐らく、ワーキング・グループのところでどちらにするかという決定を、もしくは政策的に考えていくのだとすると、やっぱり考えていただきたいところであり、そこをやはり伝えた上で、その上で、もう本当にここは監査法人でいくというのが日本の制度として重要なのか、それともNon-PAが入るのが我が国の制度として適切なのか。何年か経ってあの時の議論足りなかったねというのは、これは許される話じゃなくて、やはりそこは最初から絞ってしまうということのデメリット、そこはやっぱり大きなミスかもしれないと考えなければならない。
そういう謙虚さも含めた上で、選択として企業もしくは投資家の方々が、監査法人系が良いんだという選択、それがあったら、その結果なら良いと思うんですけれども、最初から入れないというところの議論にばかり今流れているのは、どうしても私はこの専門グループに参加させていただいている中で違和感がすごく強くあって、すごく残念なところです。どうしてそこに対して疑問を感じないのか、そこについてやはりちょっと皆さんに自問いただきたいなと、失礼があるといけないのですけれども、感じているところです。
以上になります。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。ワーキング・グループに上げる時も、今、清原先生からアドバイスいただきましたように、監査法人をもって、ア・プリオリに信頼が置けるとかという、こういう全体的なニュアンスが出ないように注意いたします。ただ、これにつきましては、いろいろな考え方があるところでもございますので、個別的なご意見として資料に記載させていただくことはあろうかと思いますので御了承ください。
清原先生、今回のこの資料の中で、特にここをこういうふうに、先生のお考えの中で直さなければいけないというようなところがあれば、今の段階でお伺いいたしますけれども。
【清原委員】
その点で申し上げると、「独占」という言葉が使われている箇所が、39ページですか、「独占業務とするのが最も現実的」という言葉、「独占」という言葉が使われている箇所がございますけれども、ここに対しては異論があるということです。やっぱり特定の業種に独占業務を認めるのが妥当でない、競争政策上適切でないという意見があったというところは付け加えていただきたいと思います。
【堀江座長】
この資料が、メインになるのか参考資料になるのか分かりませんけれども、一応これまでの議論のまとめとしてワーキング・グループには提出されるものですので、御指摘の箇所を含めまして事務局とチェックさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、最後になりましたが、田辺委員、どうぞ御発言ください。
【田辺委員】
最初の点の、専門グループにおけるこれまでの議論の状況をワーキング・グループに報告することについては、賛同いたします。ただ、現在まだこれは専門グループにおける議論の途中経過をワーキング・グループに報告されるということで、今日の皆さんの議論を伺っても、まだあと一、二回は議論が必要かなと感じております。なので、途中経過ということで本体のワーキング・グループに報告していただいて、やはり保証もまだまだ議論が必要だと。ですので、それを受けて、セーフ・ハーバーとか、保証の範囲とか、保証を受ける対象の企業をどのようにスケジュールしていくか、そういったところを保証の制度も時間がかかっていく中でどのように検討していくかというのを本体のワーキング・グループの皆様に御理解いただくという点で、今の段階で共有していただくのは良いのではないかと思っております。
他の事務局案についての加筆修正点については、もう皆様方からいろいろな議論が出ていますので、私からは特に申し上げることはなくて、皆様方の内容を事務局の皆様で丁寧に確認していただけたらと思っております。特に作成者側から出ている意見については、ぜひ盛り込んでいただけたらと思っております。
以上です。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。御意見賜りました。
それでは、一通り本日御出席の委員の先生方から御意見等頂戴いたしましたので、後ほどオブザーバーの方のご発言時間も取れると思いますけれども、まずは委員の先生方の中で2回目の御発言希望がございましたら、挙手いただければと思います。
当初、植村委員がオンラインでたしか2度目のご発言を希望されているようなことをおっしゃられていたかと思うんですけれども、植村先生、いかがでございますか。2度目ですので、手短にお願いできればと思います。
【植村委員】
分かりました。植村でございます。2回目ということですので、ちょっと順不同になりますけれども、重要なものから確認させてください。
40ページですけれども、下段の箱に公認会計士制度との関係ということで、ここは一丁目一番地の議論だと思うのですけれども、今のところ何も手をつけていない状況になっています。何を申し上げているかというと、ここで公認会計士、監査法人は、いやいや、実はサステナ保証に関わってはいけないというふうに整理されると今までの議論は全く覆るので、ここをどのように進めようと事務局は考えているのか、あるいは我々として何をすべきかということをまず確認したいと思います。事務局の方にコメントいただければと思います。あと幾つかございますけれども、ここが一番大きなポイントだと思います。
【堀江座長】
では、公認会計士法第2条2項業務の件について、事務局から御回答お願いいたします。
【犬塚開示業務室長】
植村委員、御質問ありがとうございました。こちら、公認会計士制度との関係性というところでございますけれども、こちらの点についても今後、別の会議体になるかもしれませんけれども、改めてこうした会議体の場でしっかりと議論をさせていただきたいと考えているところでございます。
【植村委員】
とにかく一丁目一番地ですので、ここでひっくり返ると、今、監査法人に寄ってきている立てつけになっているところが全部崩れますので、だから、私はこの状況でワーキング・グループへ途中報告することには賛同できないと申し上げていたのはそういうことでございます。こういう点も十分議論が尽くされていないということがあるということです。
あと、38ページに行っていただけますでしょうか。38ページのほうで、途中で保証対象は当面約300社という仮説があるかと思います。そういう記載があったかと思いますけれども、この300社というのは、金融庁事務局が決めたということではなくて、そもそも、なぜかという表現が適切じゃないのかも分かりませんけれども、東証プライム市場の時価総額3兆円、1兆円、5,000億円の会社総数のことを多分言っているのだと思うのですけれども、実際は、戦略的な会社は、プライム市場であっても5,000億円でなくても、あるいはスタンダード・グロース上場会社であっても、任意で開示し保証を受けようとする会社はあり得るんですね。母数が不明なわけで、そういうところに前提を置いたとするならばプラグマティックに会社数が増えていくと考えるのは、先ほど清原先生も近しいことをおっしゃっておられましたけれども、最初からカバレッジを監査法人にのみ網をかけるというふうな意図的なところは全く無理がある。想定というのはもっと母数を広げて、極端に言えば、任意なので、3,800社の上場会社全部かもしれませんので、そう考えると、母数、母集団というのは大きく構えておかなければいけないのではないかと理解しており、絞り込みは危険過ぎる、そういうふうに思います。
あと、有価証券報告書、ロードマップのところへ行っていただけますでしょうか。6ページでございます。6ページですけれども、ロードマップ、これはワーキング・グループの管掌範囲なのでということなのかもしれませんけれども、ロードマップについて触れられるのはここしかありませんので、あえてここを使わせていただきます。何となくワーキング・グループのほうでは2027年3月期に3兆円企業は義務開示開始に落ち着かせようとしているように感じますけれども、本当に2段階開示に2027年3月期で開示したとしても、28年3月期に、これは義務化ですけれども、財務諸表との同時の開示、かつ免除措置もなく、かつ同時の限定的保証を進めるというのは、これは今の日本の現状からいくと、できるとは到底思えない、そういう絵は見えていないという状況です。
一方、日本ではできなくて、なぜヨーロッパではできるのかという議論もされている方もいらっしゃると理解していますが、そこについては、そもそも日本は米国に近しいルール主義の国だと私は理解しておりまして、そういう比較的厳しめの保守的な対応をするところであり、そういう実務が定着している。一方、ヨーロッパのほうは原則主義の国、あるいはアジアでも同じような取扱いになっているので、ややアダルト・大人の対応をする傾向があるため、少し思い切って戦略的にでも踏み出してみようということで、今回でも1か月あるいは2か月程度で開示しているんだろうなというふうに私自身は分析しています。
その欧州開示がなぜ出来ているかの分析がなされていないので、こういうふうに軽々に第2段階のところを経過措置がなく、これは別のページで、経過措置は5年から10年というのは私のコメントも記載いただいているので、そこはそれで良いのですけれども、実態として、開示側、すなわち作成者側も、保証側もめちゃくちゃ大変になって、対応に苦慮するということがありますので、本当に2段階開示をやめて良いのか、あるいは義務開示のスタートをそんな1年のものだけで良いのかということはよくよく考えなければいけないと思います。
あともう1点だけ申し上げますと、7ページに告示指定の話が出ています。これはもう全然文脈が違う告示指定だと思いますが、オーソリゼーションの話で告示指定が出てきております。私はこの保証業務実施者の告示指定、そのワーディングに反応したのですけれども、告示指定ということであるならば、そもそもSSBJという組織を告示指定してあげる、あるいはSSBJ基準が日本のサステナビリティ基準で唯一のものであるという告示指定をするというのがまず、これも一丁目一番地、一丁目二番地かも分かりませんけれども、これをしないと議論が進まない。要は、SSBJ基準を大事にしてやっていきましょうと言いながら、それは実は告示指定されていないという私は理解をしていますので、そこら辺りをしっかりと対応していくということが必要だと思います。
あと、本当の細かい点だけ1点だけ。12ページに、ISAE3410、下から2つ目のボックス右側ですけれども、この記載が入っております。これはISSA5000が適用されると、このISAE3410は廃止予定になると思っておりますので、その旨、リーダーに分かるように注釈を振っておくのが適切だろうなと思います。
私からは以上でございます。よろしくお願いします。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。それでは、他に委員の先生方から2度目の御発言希望があれば賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。では、井口先生、どうぞ。
【井口委員】
ありがとうございます。今、植村委員からもコメントがあったんですけれども、例えば38ページにコメントされていましたけれども、これは委員の方の御意見で、この専門グループの意見じゃないので、こういった意見に対する修正はしなくて良いと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
【堀江座長】
そこはこちらで対応させていただきます。どうもありがとうございました。
他にございますでしょうか。2度目の御発言希望があれば賜りますが、よろしいでしょうか。
それでは、オブザーバーの方で御発言希望があればお願いいたします。
では、日本公認会計士協会からお願いいたします。次に、経団連、お願いいたします。
【日本公認会計士協会】
発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。日本公認会計士協会の太田でございます。私からは1点だけコメントをさせていただきます。
今後はワーキング・グループでの議論になってくると理解しておりますけれども、やはり現時点で想定されているロードマップ、このスケジュールに沿って進めることが重要だと思っております。新しい取組になりますので、準備期間等の確保も考慮して、法改正を含めた諸手当も必要になってくると存じますので、早急に制度の方向性を固める必要があると理解をしております。我々の業界としても、グローバルに信頼される市場の確立に向けて尽力をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。それでは、経団連、御発言お願いいたします。
【日本経済団体連合会】
ありがとうございます。経団連の魚住です。今日オンラインで失礼いたします。既に皆様から出た御意見については、適切に反映されて、資料の中で盛り込まれると理解しております。
その上で、やはりサステナビリティ情報開示・保証の制度設計においては、コストベネフィットと実践可能性をしっかりと見ていく必要があると考えます。繰り返しの意見になって恐縮ですけれども、そういった意味からは、先行している欧州での取組についての効果検証・分析をしっかりしていただきたいと考えます。本日の資料には該当する記述がないと認識しており、追記いただければ幸いです。
また、ヨーロッパの動きが先行しているという時に、EUのCSRDの動きだけでなく、ロンドンの取引所もございますので、イギリスの動きも含めて分析いただければと考えております。今後のワーキング・グループにおけるロードマップ等の議論にも影響を与えると思っており、引き続き議論を継続していくものであると理解をしております。
サステナビリティ情報開示の国内制度化を進める際は、より良い制度設計を行い日本の競争力や日本市場の質の向上につなげる必要がありますので、逆に日本の国際競争力を削ぐ制度設計にならないように気をつけていただきたいと考えております。
以上です。
【堀江座長】
貴重なアドバイス、どうもありがとうございました。
それでは、最後になりますが、関西経済連合会、御発言お願いいたします。
【関西経済連合会】
関西経済連合会の中島でございます。ありがとうございます。手短に2点申し上げます。
1点目は、事務局作成資料について申し上げます。議論が高度化してきた中で、例えば14ページの求められる能力の違いや、15ページの財務諸表監査とサステナビリティ開示保証の関係など視覚的にまとめていただいている点は、本専門グループを傍聴する方の理解の促進に有効なものと考えます。引き続き、議論の状況を含め、読み手に理解しやすい資料作成に期待しております。
最後に、2点目でございます。本体ワーキング・グループで議論される保証業務の担い手については、保証業務の担い手が監査法人に限定され、体制整備や外部専門家との連携にリソースが割かれることで、結果として他の開示書類の監査やレビューの対応に影響することのないように御留意いただくようお願いいたします。場合によっては、他の開示制度の見直し等も含めた議論をしていただくことも必要と考えております。
本日の議論を踏まえつつ、本体ワーキング・グループに報告いただいた上で、企業側の負担に考慮しつつ議論を深めていただくことに期待しております。
私からは以上でございます。
【堀江座長】
どうもありがとうございました。それでは、他にオブザーバーの方からの御発言はよろしゅうございましょうか。
それでは、本日事務局からお示しさせていただきましたこの専門グループにおけますこれまでの議論の状況をワーキング・グループへ報告することにつきまして、実はいろいろと、こういうふうに報告すべきということについて貴重なアドバイスを頂戴いたしましたので、それを踏まえて報告させていただくということで御賛同が得られたということで進めさせていただきたいと思います。
その上で、ちょっと大事な点でございますが、本日いただきました先生方からの御意見、コメント、アドバイス等、これを踏まえた最終的な修正、それから報告の進め方につきましては私に御一任いただき、次回のサステナビリティ情報の開示と保証に関するワーキング・グループにおきまして私から御報告させていただきたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。私が報告しますという方いらっしゃればぜひお願いしたいのですが。清原先生、手を挙げられて……、よろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【堀江座長】
では、僭越ながら私のほうから御報告をさせていただきます。どうもありがとうございました。
本日、先生方からさまざまコメントをいただきましたとおり、この専門グループの進め方につきましては、初回で本専門グループが目指すべきアウトプットとかその役割をもう少し明確にした上で御議論いただけましたならば、もうちょっと踏み込んだ議論ができたのではないかと大変反省いたしております。
これまでの専門グループでの議論の内容をワーキング・グループに報告し、そこで御議論いただきますと、保証の担い手等の核心部分についての方向性が見えてくると思います。それを踏まえまして、こちらの専門グループにおきまして、より細かな論点、また本日も追加的に御指示いただきましたが、まだまだ詰めなければいけない論点が少なくありません。
したがいまして、これらにつきまして、本専門グループにおいて、改めまして、検討させていただかざるを得ないと考えております。当初、本専門グループは3回で終わる予定でしたが、今回で4回目となってしまいました。今後、5回、6回、7回目と、どこまで続くか分かりませんが、ぜひ先生方からお力添えをいただきたくお願い申し上げます。
4回にわたって、差し当たってワーキング・グループに上げるまでの議論を重ねてまいりました。メンバーの先生方におかれましては、大変お忙しい中、積極的に御参加いただき、また、精力的に御議論いただきましたこと厚く御礼申し上げます。また、私の不手際とか不十分な対応でうまく議論が進められなかったことがあったことにつきましては、深くお詫び申し上げます。
それでは最後に、事務局のほうから、連絡等ございましたらお願いいたします。
【犬塚開示業務室長】
委員の皆様におかれましては、これまで精力的に御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
次回の専門グループの日程でございますが、皆様の御都合を踏まえた上で決定させていただきたいと考えておりますので、御案内をお待ちいただければと思います。
事務局からは以上です。
【堀江座長】
それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。誠にありがとうございました。
―― 了 ――
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