金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第2回) 議事録
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1.日時:
令和6年5月14日(火曜日)10時00分~12時00分
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2.場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
【神作座長】
おはようございます。定刻より少し早いのですけれども、当初から御参加予定の皆様、既に御参加くださっておりますので、ただいまより金融審議会サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ第2回会合を開催いたします。皆様、大変御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本日の会議におきましては、対面とオンライン会議を併用した開催とさせていただきます。また、議事録は通常どおり作成の上、金融庁ホームページにて後日公開させていただく予定でおりますので、よろしくお願いいたします。また本日、永沢委員と吉元委員は御欠席と承っております。
会議を始める前に、事務局から留意事項をお願いいたします。
【野崎企業開示課長】
事務局を務めさせていただいております野崎と申します。よろしくお願いします。
本日の会議におきましてはオンライン会議を併用した開催としておりますが、オンライン会議で御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システム上のチャットにて全員宛てにお名前を御入力いただければと思います。そちらを確認の上、座長から指名させていただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いできればと思います。なお、対面での御参加の委員におかれましては、挙手いただければ、座長から指名いただければと思います。
以上でございます。
【神作座長】
御説明どうもありがとうございました。それでは、早速議事に移らせていただきます。
本日は、事務局より資料の御説明をいただいた後、質疑応答、討議を行いたいと存じます。それでは、事務局の金融庁から資料についての御説明をお願いいたします。
【野崎企業開示課長】
では、事務局説明資料に沿って20分ほど御説明させていただければと思います。
まず、目次ですが、大きく3項目で構成しております。まず1つ目が、前回も重点的に御議論いただきましたサステナビリティ開示基準の在り方及び適用対象・適用時期です。2点目が、サステナビリティ開示導入におけるその他の論点です。最後に御議論いただきたい事項をまとめております。
次のページ、2ページ目です。これは前回からの再掲です。サステナビリティ開示基準の在り方というところで、2023年6月にISSB基準が設定されて、今後各国で、同基準の適用に向けた動きが進展していくことが見込まれるという資料です。
次のページ、3ページ目です。これはサステナビリティ開示基準と保証の導入のタイミングで、同時期に導入すべきか、保証を遅らせて導入すべきかというところのメリデメを記載した資料となっております。
次の4ページ目です。こちらがサステナビリティ開示基準の適用対象、適用時期のイメージとして、前回事務局から案1と案2という2つの案をお示しさせていただいたところです。
5ページ目からが、前回の御議論を踏まえて、今後どのような方向で考えていくべきなのかという資料です。
まず、開示基準の在り方です。前回、主な御意見としていただいておりましたのは、SSBJ基準がISSB基準と機能的に整合性が確保されている状況、同等であることが大前提という御意見、それから、欧州、米国をはじめとする諸外国との間で基準のインターオペラビリティを確保する必要があり、ISSBやEFRAG等と金融庁は協議すべきというような御意見をいただいたところです。
右側、「考えられる対応(案)」としまして、1つ目、国際的なベースラインとなるISSB基準と同等なサステナビリティ情報の開示基準を金商法令で取り込むということが考えられるんじゃないかというのが1つです。2つ目としましては、相互運用性(インターオペラビリティ)を確保できる金融庁が関係する国際機関や諸外国と緊密に連携していってはどうかというような方向性です。
次のページ、6ページ目です。こちら、「段階的な適用等」というところで、事務局としましては、当初、時価総額3兆以上のプライム上場企業から始めるという案を提示させていただいていたところですけれども、主な御意見としましては、一定の準備期間が必要というところと、投資家からのニーズが高く、対応可能な企業から段階的に導入していくのが現実的という御意見ですとか、あと時価総額によるカバレッジは、総資産、純利益等によるカバレッジとほぼ同一という一定の合理性があるというような御意見もいただいていたところです。
一番下ですけれども、欧州CSRDの域外適用を受ける日本企業については、臨報とか半報で、日本の投資家に対しても情報提供すべきというような御意見もいただいていたところです。
右側、「考えられる対応(案)」ですけれども、まずは時価総額を基準に時価総額3兆円以上のプライム上場企業から段階的に導入していく案を中心に据えてはどうか。他方で時価総額以外に、海外での開示状況なども基準に加えることも検討してはどうかというところを記載しております。
次のページです。任意適用の促進と適用企業の拡大という視点です。まず1つ目としまして、任意適用を積極的に進めるべきという、その際にはインセンティブづけも検討すべきというような御意見をいただいていたところです。「考えられる対応(案)」ですけれども、適用対象に含まれない企業に対しても、適切なサステナビリティ情報の開示を促進する施策を同時に進める必要があり、例えば任意適用の状況の見える化や好事例集の公表、開示のプリンシプルを通じた奨励等を行うことも検討しつつ、任意適用を積極的に進めてはどうかというところを記載しております。
適用企業の拡大です。こちらは、社会的インパクトや経済活動規模が大きい非上場企業についても留意すべき、時価総額1兆円以上の企業に占める割合が7割を占めるとしても、企業数では限定的なので対象を拡大すべき、投資ユニバースの観点からは不十分であり、プライム市場の代表的な企業が適用されたと言えるのか、諸外国との比較の観点からも懸念されるという声もいただいていたところです。最終的な適用対象は、プライム市場上場全企業を目指すべきというような御意見の一方で、現時点で203X年にプライム上場企業全てに強制適用の範囲を拡大することを示すことは時期尚早か、こういった御意見もいただいていたところです。
右側、「考えられる対応(案)」ですけれども、なるべく早いタイミングで適用対象を拡大できるよう、時価総額3兆円以上の企業に適用した後、1年後に1兆円以上の企業、さらに任意適用や実務の浸透を踏まえつつ、順次5,000億円以上の企業を適用するといったスケジュールを設定してはどうかということを書かせていただいております。
次のページ、8ページ目です。こちら、事務局提案、案1と案2に対して、それぞれ御意見をいただいていたところでございまして、それを踏まえまして考えられる対応(案)としては右側ですけれども、2027年3月期から強制適用を開始し、2030年代にプライム全上場企業を対象とすること基本線としつつ、国際動向、海外における実務の浸透等を注視しながら柔軟に対応していく必要があるのではないか、この場合において、有価証券報告書以外の書類、例えば半期報告書も用いた2段階の開示を認めることも検討してはどうかというようなことを記載させていただいております。
続きまして、その他の論点としまして、10ページ目に、前回もこういった論点が考えられるのではないかということをお示しさせていただきまして、11ページ目以降で、第1回でいただいた御意見を掲載させていただいております。11ページでは提出期限の話、総会前提出の話、Scope3、バリューチェーンの開示というところを記載しております。
特に真ん中の総会前開示におきましては、サステナビリティ情報を株主総会前に使える状況にする企業には、有報の提出期限を事業年度末日から、英独仏のように4か月に延ばす方法も検討してはよいのではないかというような御意見ですとか、あと、基準日をずらしている実例もあるとのご意見がありました。実際調べてみたところ、有報を1、2か月ずらして総会前開示を実現している企業さんも幾つか、数は少ないですが、おられるということで、企業が自主的に総会の開催時期を検討できる方向で議論を進めることで、企業にとっても、時間を十分に確保してデータ収集を行うことができるだけでなく、透明性を持った開示をした上で株主総会を迎えることができることから、プラスが多いのではないかというところです。
次のページ、12ページ目です。こちらは、セーフハーバー開示負担の軽減、環境整備について、記載のような視点で御意見をいただいていたところです。セーフハーバー・ルールについては、導入すべきという声を多数いただいていたところですけれども、現時点におきましても、開示ガイドラインでセーフハーバーの考え方を記載しておりまして、お手元の参考資料の7ページにも抜粋を載せておりますので、そういった現状も踏まえつつ、今後何が必要なのかという点についても改めて御議論いただければと考えております。
次の13ページ目が、開示と保証の導入のタイミング、それから保証に関する論点を掲載しております。こちらにつきましても、開示と保証は同時期に適用すべきという御意見と、あと3つ目のポツにございますように、制度導入の初期段階なので、利用者としては保証がないと受け入れられないということはないので、実務の状況を踏まえながら、できるだけ早期に導入していただきたいというような御意見もあったところです。こちら、保証についても、より踏み込んだ議論というのは、次回以降も含めて御議論いただければと考えております。
14ページ目以降からが、有報の提出時期の話です。15ページ目にありますけれども、こちらの絵では現状の具体的な日本の実務をイメージとして記載させていただいておりますけれども、一方で、ISSB基準では財務諸表と同じタイミングで財務諸表と同じ報告機関を対象としたサステナビリティ情報の開示を求めているというところがありますので、これに対してどう向き合っていくのかというところの議論が必要になってくるかと思います。
次のページ、16ページ目です。こちら、統合報告書の作成社数の分布。グローバルに見てみますと、IFRS財団の調査ですけれども、統合報告書の作成が最も多いのはアジア太平洋地域で、うち日本が最多というところで、日本はかなり統合報告書をたくさん作っている国というところで、そういった顕著な特徴があるところが1つ指摘されているところです。
次の17ページ目です。財務諸表監査とサステナビリティ情報に対する保証の報告日の違いというところで、IFACの調査です。こちら、非常に顕著な差が出ておりまして、財務報告の監査を出してからサステナビリティ保証を出すまでの間が約80日空いている、日本はそうだというところですが、欧州が5日でできている、他方で米国やカナダは95日というところで、保証の範囲とか具体的な内容によって単純に比較はできないという御指摘もあろうかと思うんですけれども、この顕著な差は何によっているのかというのも分析が必要なのかなと考えております。
次のページ、18ページ目です。こちら、諸外国における年次報告書の開示と株主総会の開催の状況というところで、諸外国では株主総会前に年次報告書が提出され、株主の議決権行使の判断に利用されているというところが通常でして、これは、ある意味、日本では特異な状況になっているというところです。日本では、総会前に有報が出されるケースのほうがまれというところです。
まず、年次報告書の提出期限です。制度上は、米国は期末後60日以内、2か月以内、英独仏は4か月というところで、こちらは差がついているところです。総会の開催日も、こちらにありますように、6か月、8か月、13か月というような、決算日をベースにするのか前回株主総会を基準するのかで違いはありますけれども、そのような規定の置き方になっているところです。
実例を見てみますと、米国のボーイング社、ボーイング社に限らずマイクロソフト、アマゾン、ウォルマート、ジョンソン・エンド・ジョンソンと、いろいろな企業を調べてみましたが、大体期末から2か月以内、これは法律で求められているので、2か月以内にForm 10-Kという年次報告書が出る。その後、2か月以上空けて株主総会が開かれている。サステナビリティレポートは株主総会の後に出ているというのが現行の実務になっております。アメリカでは新たな制度が導入されると、サステナレポートの出るタイミングが変わってくるところになろうかと思います。
イギリスです。こちら、ロールスロイスの事例を示してございますけれども、アストラゼネカとかシェルとか時価総額の大きなところを合わせてみると大体同じで、期末から2、3か月以内にアニュアルレポートが出てくる。サステナレポートもほぼ同時に出てくる。年次報告書に含まれている場合もあれば別の書類の場合もありますが、ほぼ同時期に出てくる。そういった状況の中で総会が2か月後に行われているというのがイギリスの状況でございまして、ドイツも似たような状況かなと考えております。
以上が海外の状況として御紹介させていただきました。
19ページ目です。こちら、本日重点的に御議論いただきたいところですけれども、サステナビリティ開示基準の適用時期と開示書類の対応イメージとして1つの案を提示させていただいております。まず、2026年から任意適用を始めて、2027年3月期から3兆円以上の企業に対してSSBJ基準の義務化を開始する。その際には、基準に準拠した開示を行う場合には、半期報告書などによる開示を可能にする。有報のタイミングで間に合わないケースが想定されますので、その場合は半期に入れ込むというような形の2段階開示をしてはどうかというところを1つ提示させていただいてございます。
それから、次の2028年3月期からは、1兆円以上の企業に義務化をしていくというところでありますけれども、こちら、有報における同時開示としまして、基準に準拠した開示を保証つきで行う場合には提出期限を延長する。その際は、先ほど見ていただきました英独仏のように、事業年度を4か月とすることが1つ考えられるのではないかというところで、2029年以降はその組合せを使っていくところを1つ案としてお示しさせていただいております。
続きまして21ページ目以降で、経過措置を記載しています。22ページは、前回御紹介したISSB基準の経過措置です。23ページが米国の基準でありまして、先ほども少し申し上げましたが、例えば半期報告書、米国だと直後の半期報告書で出すか、それとも有報の訂正、Form 10-Kの訂正という形のいずれかを選んでいいですよという形になっていますので、そういったやり方が1つ参考になるのかなと考えております。
24ページ目、セーフハーバー・ルールです。これも、先ほどちょっと言及しましたけど、日本においては開示ガイドラインというものもありますので、それにプラスアルファとして、どういった対応が必要なのかというところを、諸外国の例も見ながら御議論いただければと考えております。
25ページは、Scope3の緩和というところで、Scope3を導入するに際しては、各国ともに、それぞれ企業の負担等々に配慮した経過措置なり免除基準を設けてございますので、こちらも参考に御議論いただくというのはあるかと思ってございます。
最後、御議論いただきたい事項、28ページ目から29ページ目に記載しております。こちら、内容としては再掲でございまして、項目としましては、まずサステナビリティ開示基準の在り方、2つ目が適用対象、適用時期、最後のページでありますけれども、サステナビリティ開示基準導入による開示のタイミングという、こういった点について本日御議論いただければと考えております。
私から以上です。
【神作座長】
御説明どうもありがとうございました。それでは、これから委員の皆様方から御意見、御質問をお伺いする討議の時間とさせていただきます。限られた時間内ではございますけれども、できれば全員の委員の方々から3から4分以内で御意見等を頂戴できればと考えております。どなたからでも結構でございますので、御発言いただければと存じますが、いかがでしょうか。
それでは、弥永先生、お願いします。
【弥永委員】
ありがとうございます。1つのテーマにしぼって発言させていただきたいと思いますが、実際、このようなサステナビリティ情報の開示を求めることになりますと、実務の負担といいますか、スケジュール的に非常に厳しいことは私も理解しておりまして、それは十分考えなきゃいけない要素の1つだと考えております。
ただ、実際に一体開示といいますか、同時開示を要求すべきなのかどうかという点について、仮に有価証券報告書の提出時期を延長するということですと、それは、やはり情報利用者の方々のニーズをお聞きしたほうがいいのではないか。すなわち同時開示ということで全体を4か月後に出してもらうほうがいいのか、それとも2段階開示で、有価証券報告書の提出時期は変更せずに、例えばアメリカのように、有価証券報告書の訂正報告書という形でサステナビリティ情報は追加的に出していただくという方法もあるのではないかと思われますので、それはやはり検討しなければいけないポイントかと存じます。
2つ目として、有価証券報告書の提出時期を延ばすときに、サステナビリティ情報の開示を強制される企業は非常に大きな企業というわけですけれども、それ以外の企業については、有価証券報告書は3か月以内に出さなければいけないという、これとのバランスが取れていると言えるのかどうかという点も少し気になるわけでして、その辺りも検討が必要と思います。
第3点として、これはここに参加されている委員の方々の中で、会計学に中心を置いていらっしゃる方は多くないと思いますので、ちょっと指摘させていただきたいと思うのです。実は日本の会計基準の下で、後発事象について、日本公認会計士協会の現在の実務指針では、会社法上の監査報告書と金融商品取引法上の監査報告書との時期の差を念頭に置いて、本来、修正後発事象としなければならない、財務諸表に反映させるべき後発事象を開示後発事象扱いとするという例外的な、世界には例のないような会計処理を認めていると申しますか、開示の方法を認めている状況にございます。
そして、比較的最近公表されているASBJにおける議論の中でも、意見募集手続の中ではそれを維持しようという発想を示していらっしゃったと思うのですけれども、そういたしますと、今でも問題があるのですけれども、これでさらに株主総会の開催時期を動かさないで4か月以内に有価証券報告書を出すことになりますと、1か月間、さらに本来修正後発事象にしなければならないものを開示後発事象と扱うリスクがございます。従いまして、有価証券報告書の提出時期を4か月に延ばすようなときには株主総会の開催時期、もっと正確に申せば、会社法上の開示の時期との差を縮めるような方策を同時に講じないと、今申した会計基準上の問題がさらに拡大するという問題がある点は検討しておかなければならないんじゃないかと感じました。いずれにいたしましても、情報の利用者、さらに作成者であられる企業の過度な負担は避けなければいけませんので、それについて併せて検討していただいて、この問題は考えていただくのがよいのではないかと存じます。
以上です。
【神作座長】
ありがとうございました。大変失礼いたしました。本日御欠席の吉元委員から書面で御意見を頂戴しておりますので、ここで事務局から御紹介をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
【野崎企業開示課長】
吉元委員から意見書という形で画面にも投影しておりますが、頂いております。
まず、サステナビリティ開示基準の在り方ですけれども、SSBJ基準が国際的な他のサステナビリティ開示基準と異なる特異な基準とならないことを前提に事務局案に賛成します。また、金商法令に取り込むのはISSB基準と同等の基準であるという前提である以上、発行体としてはSSBJ基準を満たしていることをもってISSB基準にも準拠しているとの立場を対外的に表明することも許容されることが望ましいと考えています。
また、複数の国・各地域で異なるサステナビリティ開示基準が策定されていることから、複数の基準適用を受ける発行体の負担を軽減するために、金融庁をはじめ関係機関が国際機関や諸外国と連携して、基準間の相互運用性の確保に努めていただくことを強く要望いたします。なお、かかる相互運用性が確保されない場合には、国際的な他のサステナビリティ開示基準についても金商法令に取り込むことを将来的に検討することが望ましいと考えます。
2つ目、適用対象です。事務局案では、任意適用を促進するための具体的な施策は複数提示されていますが、プリンシプルを通じた開示の奨励まで行うかどうかは慎重に検討していただく必要があるかと考えています。プリンシプルベースとは、一旦ルールやガイドラインが定められると、準拠しないといけない発行体としては、その理由や今後の方針を対外的に説明することが求められ、投資家等との対応において相応のプレッシャーがかかります。サステナビリティ開示のための社内体制・内部統制の整備には、発行体において相当な時間やコストを要することから、任意適用については発行体ごとの実情に応じて自由に判断することが認められるべきであり、任意適用を事実上強制するような施策については特に謙抑的に検討されるべきだと考えます。任意適用を促進する観点からは、むしろ任意適用を行った発行体が何らかの便益を認められるような仕組みや制度が整備されることが望ましいように思います。
適用時期ですけれども、事務局案の19ページ目にあるような形、最後に御紹介させていただいておりますけれども、SSBJ基準最終化から強制適用開始までの期間がきちんと確保されることを前提に事務局案に賛成します。ただし、最終基準の公表時期によっては、強制適用の時期を再検討できる余地を残しておくことが望ましいと考えます。なお、保証の義務化に当たっては、保証を行う側の体制整備も重要になりますので、金融庁として監査法人等に対して必要な働きかけを行っていただくことを御検討いただければと思います。
開示のタイミングです。事務局案では、義務化の初年度となる会社には2段階開示を認めるということですけれども、企業によっては初年度から原則形態である同時開示を可能とすべく、義務化初年度において同時開示を行うことを選択した場合には提出期限の延長を認めることが検討されるべきだと思います。また、事務局案のように、提出期限の延長の前提として保証つきであることを必須の条件とするのではなく、例えば、同時開示を選択した場合には4か月、同時開示かつ保証つきの場合には6か月の延長を認めるなど、同時開示と保証つきのそれぞれについて異なる期限延長を認めることも含めて検討すべきと考えますということです。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様方から御意見、御質問をお出しいただければありがたいと存じます。どなたからでも結構でございますけれども、いかがでしょうか。
それでは、三瓶委員、御発言ください。
【三瓶委員】
三瓶です。御指名いただき、ありがとうございます。
まず最初に、先ほど弥永委員がおっしゃった同時開示に関連して、そこのポイントを先に私の意見を申し上げたいと思います。まず、同時開示については、利用者、投資家からすると非常に重要なポイントであって、現在はサステナビリティの課題取組ということについては企業の将来を左右する非常に重要なものであって、投資判断に重要な影響を与えます。企業価値を算出するときによく言われている将来キャッシュフローというのがありますけれども、これ、財務的にですけれども、将来を見るときに、企業のサステナビリティ取組というかなり長期の先の考え方、前提、戦略がどうであるかというのはものすごく大事なことなんです。ですから、ISSBでもコネクティビティーを非常に重要視しています。ですから、同時開示はとても重要なポイントです。
それと、先ほどの有報の提出期限のことと絡めていくと、そもそもコーポレートガバナンス的な観点から言うと、従来から総会前開示が重要だと言われてきたわけです。また、最近ではサステナビリティに関連する株主提案等も増えています。そうなると、サステナビリティ関連の情報を株主総会前に出すことの重要性はより高まっています。ただ、その情報を準備するのに非常に時間がかかる、大変だというのがあるので、ここは非常に難しい、相反する状況が起こっているのは重々承知しています。
そうすると、一番大事なのは、先ほど御説明もありましたけれども、決算日と総会基準日、この間を今はほぼ一致しているわけですけれども、ここをできるだけリーズナブルな期間を取るということ、これがものすごく重要なのではないかなと思います。有報の提出期限を4か月に延長するというのも、諸外国の規制ではそうなっているので、それに合わせるのも一応理解できるんですけれども、ただ、実情としては海外企業はもっと早く開示しているんですね。ですから、諸外国のルールがこうだから日本も合わせましたと言って日本が4か月になってしまうと、これは実態としては海外よりはるかに遅れることになると思います。
例えばドイツのシーメンスという複数の事業を行っている製造業、日本の製造業とよく比較されますけれども、ここなんかは9月末の決算で、12月4日に財務の決算報告があって、12月7日にサステナビリティレポートが出ます。1週間以内であると、投資家はその両方を見て、企業価値の評価などに使えますけれども、あまりにも長くこの間が空いてしまうと、いわゆる同時開示というか、両方とのコネクティビティーは非常に難しくなります。なので、法令の改正がなくてもできる決算日と総会基準日というところはもっと柔軟に考える方向を企業側にはお願いしたいと思います。
その他の点について簡単に述べます。最初のサステナビリティ開示基準の在り方のところについては、国際基準との同等性、これは重要で、特にそれはインターオペラビリティということで、複数の開示基準に違う対応をするというよりは、同じ対応で済ませるという意味でとても重要だと思います。適用対象について、最終的にプライム市場上場企業全部、ただ段階的に適用というのは賛成です。ここで時価総額以外の基準ということなんですけれども、ここは私も米欧亜で国際比較をしてみて、5,000億円、1兆円、3兆円という区切りでどんな感じになるのかなと見ましたけれども、特に対名目GDP比で各バケットの対象企業の売上高合計なんかがどう見えるかを見たときに、日本の場合、欧州に比べて、3兆円の場合、ちょっと欧州のほうが多いんですけど、1兆から3兆、5,000億円から1兆円、ここでは日本のほうが対名目GDP比、大きくなるんです。ですから、そういう意味でも、そういうアピールもうまく使う必要があるかなと思います。
また、段階的というところは、任意の適用の部分もあるでしょうし、または将来的には、有報提出の非上場企業ということもあると思うので、こういう統計資料というか、どういう企業が適用しているのかを見せていくときに、参考として、売上高とか総資産とか従業員の数を入れていくと、より広がりを持って、その次のアクションにつながりやすくなっていくと思います。
あとは、1つ確認しておきたいというか、お願いしたいところがあるんですが、19ページに段階的適用案があります。これはよく考えられているなと思います。ただ1つここで確認したいのは、ISSBが言っている報告初年度は経過措置を適用してもいいですと言っている報告初年度というのは、強制適用の報告初年度となるのか、任意適用してしまうと、そこの報告初年度がISSB的には報告初年度として捉えられちゃうのか、ここが強制適用から報告初年度カウントでいいですよねという確認をしておいていただかないと、日本は同等性がないとか言われちゃうと困るなというところをちょっと気にしています。
最後に、セーフハーバーですけれども、参考資料の7ページにもありますけれども、金融庁がまとめられた事業内容等開示ガイドラインの5-16-2には将来情報に関して、5-16-4には他の公表書類の参照に関してセーフハーバーの考え方が記されています。ですから、Scope3とバリューチェーンに関することも、こういった形でガイドラインにもう少し書き込むというような対応でいいのではないかと思っています。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加いただいている阪委員、それから会場で御参加いただいている小林委員、井口委員の順番で御発言をいただければ幸いです。
それでは、阪委員、御発言いただけますでしょうか。
【阪委員】
阪と申します。ありがとうございます。発言の機会をいただき、感謝いたします。私からは、議論いただきたい、今見せていただいている事項の1つ目と2つ目について発言をさせていただきます。
1つ目の事項のサステナビリティ開示基準の在り方の上の黒丸については、SSBJのサステナビリティ開示基準作成における開示内容等の決定に当たっても、ISSB基準と同等となる開示を念頭に置いて意思決定がなされてきたと理解しておりますので、賛同いたします。
下の黒丸について、インターオペラビリティ確保のために国際的に密接に連携していくことは非常に重要なことと考えています。これは終わりのないプロセスだと思いますけれども、資本市場の健全な発展と経済社会のサステナビリティを実現するためにも不可欠なプロセスだと思います。
次に、2つ目の事項の適用対象について、参考資料1、2ページにありますカバレッジの比較の分析については、区分となる時価総額の金額は時系列で変動しますので、このカバレッジの割合の数値そのものよりも、時価総額で見た場合のカバレッジの割合と他の変数で見た場合のカバレッジの割合の差が参考になると思っています。2ページの表にも続きますように、時系列で見ますと、年によって変数間のカバレッジに差がありますが、変数間でカバレッジの割合は大きくは異ならないことも見ていただけるかと思いますので、まずは時価総額を基準とすることについて一定の合理性があるものと思っています。
また今回、時価総額5,000億円以上というスケジュールが設定されたことについても妥当なものと思います。理由は、参考資料のカバレッジの比較の表の1枚目のほうを見ていただき、会社数と各変数のカバレッジの数値を見比べていただきますと、分布の形状を想像していただけるかと思うんですけれども、時価総額や財務データというのは、数値の大きいほうを横軸、右とすると、極端に右にひずんだ分布、裾が右に極端に長い分布をしています。大部分の企業が、つまり数値の低い側に集中しているということです。今のページで示しますように、2023年3月末の株式時価総額で5,000億円以上の企業の累計が79.3%、約8割を占めるにもかかわらず、ここには載せていませんが、平均値としては3,716億円になっています。中央値はもっと低いです。このときから株価が上がっていますので、5,000億円という数値で株式時価総額の平均に近いところで1つ区切りを置くという意味でも妥当なところかと思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、小林委員、お願いいたします。
【小林委員】
発言の機会をいただき、ありがとうございます。私からは、数点お話ししたいと思います。
まず、第1点目のサステナビリティの開示基準について、グローバルと整合性を取ることについては賛同いたします。
2点目の段階的に適用することについても、これも開示に対する負荷を考えますと妥当ではないかと思います。実際に幾つかの企業に対してヒアリングをしましたところ、3兆円以上の企業ですと、それなりに準備はできているという、「それなりの」のレベルはそれぞれではありますが、適用に対して準備は進めているという姿勢でと理解しており、企業によっては有価証券報告書と同時開示でもそこそこいけるという感触を得ていますので、3兆円という基準は妥当ではないかと思います。
一方で、3兆円以下の企業になりますと、相当ばらつきがあるのが実態だと思います。グローバル、特に欧州で事業を大きく展開している企業についてはかなり進んでいる企業もありますし、一方でまだまだデータを集めるのには1年かかるというようなところもありました。この状況から思うには段階適用を適用し、これくらいの時期までには準備をしてくださいという指針を早めに出して、準備をいただくのが適当ではないかと考えます。
3点目の時期について議論をするにあたり、忘れてはいけない重要なことは、何のためにこの開示を行うのかということです。先ほど三瓶委員からも御指摘がありましたけれども、この会議では制度の議論をしていますが、何のためにこの制度をつくる理由は、非財務に関する情報が財務と同じように投資家にとって重要な要素であるからです。その為財務と非財務の開示のタイミングが大きくずれるのは本来の目的から外れてしまうと思うので、現実的な範囲を考えながらも、開示時期が大きくずれてしまっては、何のための制度なのかが分からなくなってしまうのではないかと思います。その点を踏まえて慎重に判断するべきだと思います。
一方でヒアリングをしていく中で、では、有報を4か月に延ばすという提案に対しては結構反対の意見がありました。有報の目的は株主への情報提供であり、有報の開示時期だけをずらすのではなく、株主総会の時期との整合性をしっかりと考えて決めるべきではないかということの御意見を意外に多くの会社からいただきました。
タイミングに関して提案がありましたのでご紹介します。一番作業的に時間を取られるのはバリューチェーンのデータであると。情報を取るのにも時間がかかり、その信頼性についても担保し切れないという意見が非常に強くありました。バリューチェーンのデータの収集に関しては、セーフハーバーをつくることも一つですが、ヒアリングの中で出た案をご紹介すると、例えば、GHG排出データを各社が取りに行くのではなくて、共通のデータベースをつくって、そこで自動的にデータを取れるような仕組みをつくると、この作業における負荷をかなり軽減できる、という提案でした。
やはり一番の課題は人的パワーと対応コストです。特にバリューチェーンを今後どうしていくのかについて、これについては3兆円、あるいはプライム以下の企業にも関わる問題ですので、データ作成、開示の促進については、企業規模を超えて考えていく大きな課題であると考えています。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、井口委員、御発言をお願いいたします。
【井口委員】
ありがとうございます。井口です。28ページにあります御議論いただきたい事項に沿って、意見を申し上げさせていただければと思います。
最初の論点のサステナビリティ開示基準の在り方ですが、皆様もおっしゃっておりますが、私も同じ意見です。今一番重要なのは、国際的なサステナビリティ開示基準が活用される市場と、日本市場はそういう市場であることを認識されることが非常に重要と思っております。そのためには、金融庁さんが告示指定されるサステナビリティ開示基準は、ISSB基準と機能的に整合性が確保されていることが必須条件であると考えております。ですので、この御方針には賛同いたします。また、その上で、欧州をはじめとする各国とのインターオペラビリティ確保に向け積極的に働きかけを行われることも必要と考えております。
2つ目の論点の適用対象です。1つ目の黒丸のところですが、前回も申し上げましたように、日本の資本市場の評価向上のためには、IFRS財団の法域ガイドにあります、時価総額を基準として、一定程度のカバレッジを確保することが必須であると考えております。実質的な意味でも、機関投資家は時価総額が大きい、あるいは流動性のある銘柄を中心に売買を行うということをします。逆に言うと、流動性のない銘柄は売買できない状況になっておりますので、流動性と関係が深い時価総額は実質的な意味でも非常に意味があると思っております。
一方、欧州のCSRDとかESRS、これについては投資家への情報提供という目的だけではなくて、社会的な意味や目的も含んでいるので、売上高や従業員数とかの基準を含んでいるということで、日本とは状況が違うと思っています。また、日本の会計基準には、これからリースの会計基準とかいろいろ入ってくると思うんですけど、そういったことになってくると、会計情報である売上高とか総資産とか、売上高は、収益認識基準が入っていますので大丈夫かもしれませんが、いずれにせよ、会計基準が変わると一気に開示の対象企業が変わってしまうというリスクもあるので、こういった会計情報の使い方には非常に注意する必要があるのではないかと思っております。
2つ目の任意適用の拡大の方策についてです。前回発言しませんでしたが、非常に重要なポイントと思っております。TCFDが任意で日本で大きく広がった背景の一つ、先ほども御説明がありましたが、こういった背景の一つには、ガバナンスコードに定められたことが大きかったと思います。同様に、ガバナンスコードにプライム市場上場企業については、SSBJ基準に基づき任意開示をする旨を定めるという方策もあると思っております。こうすることによって、3つ目の論点にあります適用時期、ここにプライム市場全上場企業の適用については2030年代として柔軟に対応するとありますが、こういったことに向けた対応も着々とできてくることになるのではないかと思っております。
適用対象の3つ目の黒丸の5,000億円への適用対象拡大です。この水準は、時価総額上位で言うと300社ぐらいだと認識しております。この水準について、一つ一つ企業を見たんですが、グローバル投資家がベンチマークとします、MSCIジャパンのインデックス、220から230銘柄ぐらいあると思うんですが、これらの銘柄がほぼほぼ含まれる状況となっております。ですので、投資家への情報提供において、グローバルで見ても非常に意味のある水準と思いますし、望ましい水準と思いますので賛同いたします。
最後の論点の開示タイミングについてです。これ、皆様がおっしゃっていますように、同時開示が理想とは思っています。ただ、そうはいっても企業さんの負担や準備もあると思いますので、導入当初に限り、こういった2段階開示を認めることには賛同いたします。また、弥永先生からも御指摘いただいたポイントですが、株主総会との開示タイミング、これも重要だと思っておりますが、ここでは、もう一つのおっしゃったポイントの有報の提出期限を延ばすという点について意見を述べたいのですが、私は、4か月延長することに賛同いたします。これは、資料にもありますように、国際的な観点で見ても、3か月というのは短く、延長する余地はあると思います。また、投資家への情報提供の速報性という意味で言いますと、東証さんの通期決算短信があると思います。有報には、包括的で、充実した情報を投資家に提供するとともに、蓄積して、後で、年度単位で振り返り、時系列で確認できる、そういう役割もあると思いますので、1か月程度延長しても、サステナビリティ情報を充実させることのほうが投資家にとっても望ましいと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、会場で御参加の柿原委員、近江委員、上田委員、藤本委員、田代委員の順番で御発言いただければと存じます。
それでは、初めに柿原委員、お願いいたします。
【柿原委員】
川崎重工業の柿原でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。御議論いただきたい事項4点につきまして、それぞれで申し上げたいと思います。
1つ目の開示基準の在り方でございます。ISSB基準と同等なサステナビリティ情報の開示基準を金商法令に取り込む方針とございますけれども、こちらについては若干違和感がございます。我が国におきましては、SSBJ基準を金商法令に取り込む方針とすべきであり、その上でSSBJ基準をISSB基準と同等にしていくのが本筋ではないかと思っております。
2つ目、適用対象についてです。時価総額を基準にプライム上場企業の一部から段階的に導入することは適切と考えます。ただ、私、第1回ワーキング・グループでも指摘させていただきましたけれども、企業の準備期間を考慮いたしまして、期末より前のどの時点の時価総額をベースにするかを明確にする必要がございます。また、時価総額以外に、海外での開示状況等も基準に加えることにつきましては、有価証券報告書での開示では虚偽記載のエンフォースメントにより企業が萎縮する問題や、海外での英文開示を日本語にする業務負荷もございますので、有価証券報告書以外、例えば、企業のホームページでの任意開示も含めて検討するなど慎重な議論をお願いしたいと考えてございます。
さらに、開示基準の任意適用の促進につきまして、有価証券報告書で任意で開示した場合、虚偽記載のエンフォースメントの対象になることを周知する必要がございますけれども、企業といたしましては、積極的な開示は、統合報告書等も含めるなど柔軟性を持たせた対応が必要になると考えております。
3つ目、適用時期でございます。19ページのロードマップ案では2027年3月期からとなってございますが、4ページの案2の2028年3月期からを支持いたします。8ページにも関係するんですけれども、第1回のワーキング・グループにおきまして指摘申し上げましたとおり、EUのCSRDに基づく開示が日本企業にて連結ベースで求められるのは2028年となりますが、日本では3月決算企業が多いので、実質的には2029年3月期からが開示対象になるものと認識しており、この点をきちんと明示するべきと考えております。また、19ページのロードマップ案の2028年及び2029年3月期の保証につきましては、限定的保証ときちんと明記する必要があると考えます。
一方、米国SECのサステナビリティ開示基準は2024年3月に公表されましたが、Scope3の開示適用免除、保証の範囲がScope1、2に限定されたこと、適用時期の後ろ倒し等、かなり現実路線に変更されてございます。この基準につきましては国際的な影響力が大きいため、米国SECの動向や経緯について資料に明示し、検討に当たって御考慮いただきたいと考えます。
また、17ページの財務諸表、監査報告日とサステナビリティ情報の保証報告日との違いにつきまして、御説明いただきましたとおり、欧州と米国では大きな差がございますけれども、これが保証の内容ですとか質に影響するのか、また、本来的にはどれぐらいの期間を求めるのかをお示しいただきたいと思います。
最後に4点目、サステナビリティ開示基準の導入による開示タイミングにつきまして、実務が定着するまでの間の経過措置として、有価証券報告書等の2段階開示を支持いたします。ただし、サステナビリティ情報の期限につきましては、例えば3月決算企業は9月までにするなど、第1四半期決算に伴う業務負荷等を御考慮いただきますようお願いいたします。また、第1段階と第2段階におきまして、サステナビリティ情報をどのように区分けすべきかにつきましては、米国SECの事例等も踏まえながら、企業の実務面にも配慮いただきながら慎重に議論いただきますようお願い申し上げます。
保証を義務づける際に有価証券報告書の提出期限を延長するかどうかにつきましては、有価証券報告書の全部の提出期限を延長するのではなく、サステナビリティ情報の一部の提出期限を延長するのが現実的だと考えます。なお、有価証券報告書の提出期限の延長の議論に関連いたしまして、有価証券報告書の株主総会前に提出するかどうかの議論は、サステナビリティ情報開示以外にも様々な課題があり、本ワーキング・グループで取り扱うべきテーマかどうかも含めて慎重に検討いただきたいと存じます。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、近江委員、お願いいたします。
【近江委員】
御指名ありがとうございます。サステナビリティ開示基準につきまして議論いただきたい議論事項について、順を追って意見を述べさせていただきます。
まず、開示基準の在り方ですけれども、国際的なベースラインとなるISSB基準と同等なサステナビリティ開示が義務化されることは、日本企業がグローバルな投資家を含む幅広い投資家から投資対象として検討されることを促し、適切な企業価値形成に資すると考えます。その際に、基準がグローバルな基準と同等であることが国際的に認知されることが前提でありまして、インターオペラビリティ確保に向けた関係省庁各課の連携と協働に大変期待しております。
適用対象ですが、プライム企業について、時価総額を考慮した段階的な導入を図る措置は現実的であって、また、時価総額について前回案から一歩踏み込んで5,000億以上までのスケジュールを示していただいたことを大変評価いたします。全体に対するカバレッジも重要な観点ではあるものの、投資家は投資ユニバースに含まれる個社、各企業についてサステナビリティを含めた観点から、長期的な企業価値や成長力について比較検討した上で投資先企業を選別しておりますので、ユニバースに含まれる多くの企業がサステナビリティ開示基準に沿った開示を行うことに期待しております。
時価総額5,000億から1兆円の企業の間にも投資対象として魅力的な企業が大変多いと、そのように認識しております。この観点からも、タイムラインを明確にしないとしても、最終的にはプライム上場全企業を対象とする方向性を示すことは、開示に向けた取組を全体として促し、任意適用の拡大にもつながると期待しております。なお、海外での国際的な基準にのっとり、サステナビリティ情報を開示している企業は、情報の公平性の観点からも開示の適用対象とするのが望ましいと考えます。
適用時期に関する事務局案に賛成いたしますが、さきに述べたとおり、2030年代の早期にプライム市場の全上場企業を対象とすることに期待しております。
最後に開示タイミングですが、当初の2段階開示は実務上現実的な対応と考えられます。事務局案に賛成いたします。同時開示は大事ですけれども、2段階開示を柔軟に適用していくことで、任意適用を含めた開示適用企業の範囲を広げていく、そのような措置があるとよいと考えます。保証を義務づける際に、有価証券報告書の提出期限延長を可能とする場合には、総会前開示を前提とすれば、適切な情報に基づいた議決権行使を促し、企業、投資家双方に利すると考えます。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、上田委員、御発言ください。
【上田委員】
ありがとうございます。御説明もありがとうございました。では、私も御議論いただきたい事項というところに沿ってコメントさせていただきたいと存じます。
まず第1点、サステナビリティ開示基準の在り方についてです。ほかの委員からもコメントがございましたように、企業の作成負担を考えますと、SSBJの基準に沿って開示することでISSB基準と同等のグローバルな評価を受けることができる設計は必ず必要だと存じます。したがって、この内容で金商法に取り込んでいくという方向でお進めいただくところに賛同いたします。もちろんその場合には、企業サイドからも御心配があるところを軽減するという観点からも、日本の制度がインターオペラビリティを確保できることを確実にするために、金融庁様と、ほか関係機関においては、海外機関との間で密な連携を取っていただきたいと存じます。そうすることで企業の開示実務が円滑に進むとして、情報共有も含めてお取組いただきたいと思います。
第2点の適用対象についてです。前回の議論からの継続の部分でもございますけれども、時価総額の割合だけではなくて、投資先対象のカバレッジあるいはユニバースの確保という観点からすると、3兆円、1兆円に加えて、今回5,000億円というような御提示があったかと思います。今、たまたま両隣に投資家さんがおられますけれども、私もMSCIとほぼ重なるのではないかと思っていたところでございます。グローバルに見た日本市場の主要な部分をカバーしておくことは必要なのかと思いました。
それ以外の会社、当初の適用対象には含まれない会社においても、海外規制あるいはサプライチェーン上の要求というものは今、大変高くなっています。したがって、任意で早期の開示を行うことを希望される会社も多いと思います。また、プライム市場ということでやらなければいけないという意欲をもって準備をしている会社も少なくないと存じます。したがって、こういった会社の取組をサポートする。どうしても時価総額が大きい会社であれば、リソースとか経験値があられるかと思いますが、そうではない会社においてはサポートの必要性も検討すべきと思っております。したがって、資料にあるように、任意適用の状況に関する見える化や情報提供、あるいは好事例の紹介、場合によってはガイダンスのようなものも用意して、こういった内容を開示してほしいというところを共有していくことで市場全体の底上げにつながるのかなと思いました。
続いて第3点目、適用時期についてです。2030年代にプライム企業上場全社に広げるといったところの時間軸については賛同いたします。現時点で時期を明記しないということも、やはりScope3をどうするのかであるとか、御懸念が多い中で理解できるのですが、いつまでも延長するということになると、企業も取組のスピードを測れませんので、ここは「2030年代のできるだけ早い時期に」のような言葉をぜひどこかに入れていただくとよろしいのかと思いました。
次の開示タイミングになりますが、ISSBでは統合的な報告がベースになっているということですので、資料の21ページにあるように、財務報告とサステナビリティ報告の同時開示が基本的な路線になっています。ただし、経過措置として初年度のみ半期報告書での2段階開示が認められているということかと思います。これを見ると、企業価値評価において、投資家においても、統合的に、インテグレートされた情報で判断するということですので、この方向でよろしいかと思います。となると、開示タイミングをどうするかについて、米国の参考として紹介されているかと思いますが、米国はそもそも今回の御議論で言うと、少々ISSBとは違う路線で行かれているようです。ここの理解はしっかり共有しておかないと、企業側が混乱すると思うのです。日本の制度づくりはISSB、これに比較的従っている欧州、この路線で行くといったところはしっかりと共有をしていく必要があります。SECのルールが説明のあちこちに出てくるので、どうなんだといったところの混乱も生じているのかと思います。
ということを踏まえると、4か月という数字が出ていますが、これは妥当かと思います。ただ御紹介があったように、英国も欧州も、4か月と言いながら2、3か月での開示が一般的なようです。けれども、日本企業は4か月という期限ぎりぎりに開示する会社が多くなる可能性もあるのかなという懸念も持っております。また、その場合、ほかの委員の方からもありましたが、株主総会のスケジュールをどうするのか、基準日をどうするのかというところについては、全体の中で検討していかないといけない。金商法だけで議論をして、株主総会を無視していくわけにはいかないのかと思います。ここは全体観で御議論いただきたいと思っています。
最後に1点だけ。ここには出てこない議論でございますが、今後、保証をどうするかといったところも、企業の開示のスケジュール、実際に開示するものを作成する中で重要な要素になってくると思います。できるだけ早期に、この会議の中とは思いますが、保証についても急ぎ御対応いただきたいと思います。ゼロからの対応だと思うので、ここのほうがむしろしっかりと御議論いただく必要があるのかと思いました。
以上でございます。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、藤本委員、御発言ください。
【藤本委員】
御指名いただきまして、ありがとうございます。私も、御議論いただきたい事項に沿ってコメントしたいと思います。既に多くの皆様からも御意見を頂戴しているところかと思いますけれども、少し重なるところもあるかと思いますが御了承いただければと思います。
まず、開示基準の在り方でございます。こちらは我々の、我が国の資本市場がグローバルの投資家にとって魅力ある市場であれば、当然グローバルな開示基準に基づくSSBJ基準、これを採用することが必要になってくると思います。現在、ISSBと同等なSSBJ基準を開発していると認識してございますので、金融商品取引法令に取り込む方針に関しては賛同いたします。
それから、インターオペラビリティ、非常に重要だと思っております。グローバルに活動されている企業さんにとりましては、ISSB基準と同等性を確保する、あるいは欧州のCSRD対応という観点から、ESRSと同等性を確保することも必要になってくると思います。この点は国際機関との連携になりますので、ぜひ金融庁さんにもリーダーシップを発揮していただいて、インターオペラビリティの確保に尽力していただければ大変ありがたいと思っております。
続いて、適用対象でございます。こちらは3兆円から段階的に5,000億という数字も出していただいて、より一層プライム全上場企業に適用するという方向づけを示していただいた点は大変賛同しているところです。また、海外の開示状況も基準に加えることも考えられるかということがコメントされてございますけれども、欧州のCSRD対応されている企業さんも相当数いらっしゃることから、基準に加えるかどうかは別として、少なくとも任意適用を促していく対象にはなってくると考えております。
それから、適用時期については、2027年3月期から強制適用を開始することに関しては賛同いたします。ここで今の表の中でも示されている203X年という具体的な年次が示されていないことに関しては、ほかの委員からもコメントがございましたように、具体的な年次を示していかないと、そこに向けた開示のための内部統制、ガバナンスも含めた体制整備をしっかり考えていくことがどうしてもしにくくなってしまうのではないかと思います。できる限り具体的な年次を示していただいたほうが、開示に向けたコスト負担、リソース確保に向けた準備が十分にできるのではないかと考えております。
それから、保証制度に関しても一言コメントさせていただくと、今回、案1ということで、2027年3月期に開示で2028年の3月期に保証ということで、1年遅れを想定して検討を進めていくことになっていると思います。一方で、第1回目でもコメントしたように、開示情報の信頼性確保の観点からは、開示と保証は同時期が望ましいと考えております。少なくとも保証の対象範囲とか保証水準、保証の在り方については、できるだけ早いタイミングで、開示と並行して議論を進めていく必要があるのではないかと考えております。
それから、御議論いただきたい事項の2ページ目になりますけれども、こちらは同時開示にするかどうかという点で、多くの皆さんから御意見ありましたように、財務情報とサステナビリティ情報の同時開示は原則そうあるべきだと思います。一方で、初年度において、あるいは任意開示を促すという観点からは、2段階開示を認めることは現実的な対応策かと思っております。一方で、これを長く続けることは望ましくなく、ISSBでも初年度については認めていることから、次の年度からは有報の期限を延長して対応していくことも現実的な対応であると思っております。
あと、書面で吉元委員からもコメントがありましたように、初年度から同時開示を目指される会社さんもあると思いますので、初年度から期限の延長が選択できるような枠組みは早期に設定していく必要があるのではないかと思っております。
それから、最後に言いそびれてしまったので、もう1点補足をさせていただきますと、バリューチェーン情報を前提とした開示をしていくという観点で、現在、SSBJ基準はISSBと同等の基準としていますけれども、スタンダード、グロース市場に対して開示をどこまで求めていくべきかということ、また、バリューチェーン情報をしっかり収集していく必要性もあることから、こうした企業向けのサステナビリティ開示基準を考えることも一案ではないかと考えております。
長くなりましたが、私からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、田代委員、御発言をお願いいたします。
【田代委員】
ありがとうございます。私からも、御議論いただきたい事項についてお話しさせていただきたいと思うんですが、順番を前後してお話しさせていただきたいと思います。
そもそも、サステナビリティ開示をする理由が背景にあると思いますが、一義的には、投資家が企業の価値を判断するのに財務情報が必要であるのと同等に、サステナビリティ情報も企業価値を判断するのに必要だという背景があると思います。その観点から、開示の時期につきましては、可能な限り財務情報と同時に開示するのが趣旨ではないかと思います。ただ、初年度においては、準備も含めて時間がかかることを考えて、でも一方では早く導入したいということからすると、時期が若干今年1年間はずれてもしようがないと考えております。
投資家が価値を計算するのに必要な情報という観点からは、まず国内外の投資家を意味して反映していることが必要だと思うんですけれども、特に海外の投資家につきましては、国同士の比較という観点からもあると思いますので、そういった意味では、1番目にありますISSBに沿った、に同等と判断されるような開示基準であることが必要かと思います。それから離れてしまいますと、企業は国内基準、さらにはISSBに沿った基準というダブルで負担が増えていくこととなってしまいますので、非常に重要なポイントではないかと思います。
適用対象につきましては、前回も申し上げたんですけど、3兆円で69社、1兆円で179社、5,000億円で294社となります。グローバルな投資家の見る日本の企業というのは、日本国民としてはできるだけ多くあってほしいというのは思っているところでございますし、294社が妥当かどうかは分かりませんが、プライム市場をベースに考えますと、294社についてはぜひ開示を進めたいという、ある程度、国の思いがこの数字には入っているのかなと思いますので、そういった観点から、今回5,000億まで広げていただいたのは非常に意味のあることではないかと思います。
さらに、この294社については海外でもオペレーションをしている可能性も高いですし、さらにヨーロッパでの開示もこれから考えていなければいけなくなる可能性も高い企業だと思いますので、そういった観点からも、5,000億円までのタイムフレームを現段階で決めていくのは非常に意味のあることではないかと思います。
また現在、東証ではプライム市場にはTCFD同等の開示というものを求めております。こちらとの整合性という観点からは、例えば、やはり任意開示については何らかのメリットがあるような形の仕組みをつくって、将来的には全プライムに広がるような仕組みづくりを早い段階からつくっていくことによって、準備も早くから進めるようになるのではないかと思います。企業はもちろんのこと、会計士とか保証団体についてもこれから非常に負担の多い、ただまた機会の多い作業になると思いますので、それをどうやってマイナスをプラスに持っていくかという仕組みづくりが非常に重要かと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、関口委員、芹口委員、浅川委員、堀江委員、清原委員、オンラインで御参加の高村委員の順番で御発言をいただければと存じます。
初めに、関口委員から御発言お願いできますでしょうか。
【関口委員】
ありがとうございます。それでは、私も御議論いただきたい事項に沿ってお話をさせていただきます。
まず、サステナビリティ開示基準の在り方、SSBJ基準案の公開草案の状況を注視して、SSBJ基準を金商法に取り込む方針とすることについて、賛同いたします。資料に書いていないんですけれども、言い換えると、ISSBの基準の任意適用は認めないということも言っているのかなとも理解しています。このため、そういった観点に立って、SSBJ基準がどのようにあるべきかを考える必要もあるんじゃないかと思います。
冒頭のところでソニーの方からお話がありましたように、グローバル企業ではSSBJ基準を適用しつつ、ISSB基準とのデュアルコンプライアンスをしたいというニーズは明確ではないかと思います。他方で今後、SSBJ基準の適用をプライム市場の全上場企業に広げていくことを踏まえますと、SSBJ基準にある程度の柔軟性は認めていくべきだという点も明確なのではないかと思います。そうした観点から、SSBJ基準に準拠した情報を今後開示するに当たっては、SSBJ基準とISSB基準にも準拠できるようにしていくのは極めて重要ではないかと思っています。このため、基準設定主体としては、その際にどういうところが違いなのか、少なくともどういうところが違いと意図した上で基準開発をしているのか、開発したかをクリアにコミュニケーションしていくことが極めて重要じゃないかと思っています。もちろん出来上がりの基準がどのように解釈されるかはまた別の話なので、実務でいろんな議論があると思うんですけれども、基準設定主体としては、どこが違いだということを意識してつくったか、したがって、基準設定主体の認識としては、こういうところが違いで、基本的にこれ以外のところは違いと考えていません、そこまで言うかどうか分からないんですけれども、そういったメッセージを伝えていくのが、今の2種類の企業、すなわちSSBJ基準とISSB基準のデュアルコンプライアンスをしたいという企業、それから柔軟な適用したいという企業の方を両方踏まえると非常に重要なんじゃないかなと思っています。この辺のところを、SSBJなのか、あるいは金融庁と一緒なのか、どちらかの形でクリアなコミュニケーションをしていただくことを期待しています。
2点目の適用対象のところですが、まず3兆円以上のプライム市場、上場企業から段階的に上場して導入していく案について賛同いたします。他方で、時価総額以外に海外での開示状況等も基準に加えること、もう少し検討したほうがいいんじゃないかと思っています。恐らくはEUにおける2028年度の開示を念頭に置いているように思いますが、そうすると、EU域内市場において1億5,000万ユーロ以上の売上げがあるかどうか、それをベースにして開示してくださいとなる。それをベースにして金商法の有価証券報告書での開示の対象にするのはやっぱり若干違和感がありまして、臨時報告書とかいうことでしたら非常に納得感があるんですけれども、ここのところはもう少し考えていただいてもいいのかなと思います。
2点目のプリンシプルを通じた開示の奨励等なんですけれども、個人的に思っていますのが、これまでにもサステナビリティ情報の中にそれなりにやってこられた一方、今課題になっているのが、比較可能で整合的で信頼性のある情報を出していくことにあると思っています。そうすると、基準に従った開示が極めて重要じゃないかと思っていまして、それであるとすれば、プリンシプルを通じた開示の奨励よりも、むしろSSBJの基準の任意適用の奨励に重きを置いていったほうがいいんじゃないかと思っています。
それから、適用対象を時価総額5,000億以上に広げていく点、これは、企業様の負担次第だと思いますので、企業様が特に問題なければこういった形でいいんじゃないかと思っています。他方で、我々監査なり、あるいは保証業務なりで企業の方とお話をしていますと、先ほどもありましたけれども、時価総額3兆円以下の会社はリソースの面でばらつきがあるんじゃないかと感じています。その意味で、今回、段階的に適用がされていく意図としては、できるだけ実務の経験を生かしていこうということだと思いますので、ここのメカニズムをうまくつくっていくのも非常に重要なんじゃないかと思っています。
それから、適用時期のところ、2027年3月期から強制適用を開始して、あとは柔軟に対応していく、これは納得感があるところなんだろうと思います。他方で、先ほどもお話がありましたけれども、明確なマイルストーンが置かれないと、どうしても準備自体も進まないこともありますので、できるだけ早い時期に振り返りを行って、目標時期、ターゲットの時期を明確にしていく作業は非常に重要なんじゃないかと思っています。
次のサステナビリティ開示基準の導入による開示タイミング、2段階開示というものが掲げられていまして、これも納得感があるんですけれども、議論をお伺いしていましても、これをまず例外的な位置づけなんだと明確化するのが重要なんじゃないかと思っています。やっぱり同時開示があるべきで、2段階開示もできますよというのを、これもコミュニケーションの問題だと思うんですけれども、うまくやっていく。それから、保証を義務づける際に有価証券報告書の提出時期を延長する、これは、必ずしもサステナビリティ情報との関係だけでは語れないのかと思っていまして、それ以外の英文開示ですとか株主総会前の情報提供、こうした観点も踏まえた上で、ここでなのか、ほかの場所でなのか分からないんですけれども、議論いただくといいなと感じています。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、芹口委員、お願いいたします。
【芹口委員】
ありがとうございます。それでは、ご議論いただきたい事項に沿いましてコメントさせていただきます。
まず、開示基準の在り方につきましては、ISSB基準と同等であることを前提に、SSBJ基準を法定開示に取り込む方針に賛同いたします。ISSB基準への上乗せが認められるとしても、本来グローバル・ベースラインとして揃うべき部分で同等性が損なわれますと、企業の開示対応が非効率になりますし、利用者が情報を活用していく上でも、海外企業などとの比較可能性が損なわれることになります。したがいまして、ISSB基準との同等性の確保が大前提と考えております。
また、インターオペラビリティにつきましては、今月初めにIFRS財団とEFRAGからガイダンスが公表されましたけれども、利用者として関心の高い財務マテリアリティに関する開示が確りなされる観点からも、企業の効率的な開示対応が可能となるよう、諸外国との連携や調整が必要だと考えております。
資本市場の国際的なプレゼンスを高め、また海外の関係者と調整を行っていく上でも、日本がISSB基準と同等の基準を採用していることを海外の法域や基準設定主体、投資家に対して発信し、理解いただくことが不可欠と考えております。
2点目の適用対象につきましては、前回のコメントのとおり、基準は時価総額を基本とすることが望ましいと考えております。時価総額3兆円、1兆円の水準は、SECやCSRD基準と比べて見劣りする印象がございましたので、5,000億以上に拡大し、300社程度を対象とすることに利用者として賛同いたします。ただし、ISSB基準との同等性を確保した上での拡大が大前提と考えておりまして、対象企業に配慮するあまり、SSBJ基準がISSB基準と乖離し、同等性が緩まないことが不可欠と考えております。
拡大のペースは1年ずつ広げていくことが理想的だと思いますが、実務の対応状況にも十分留意する必要があり、SSBJ基準の導入支援を確り行うことも必要だと考えております。また、一定の時価総額に満たない場合でも、CSRDの域外適用の対象になる企業が出てくると見られますので、これらを対象として想定していくことは現実的ではないかと考えております。
また、任意適用の促進策につきましては、開示の好事例の作成は有用だと思います。TCFDの開示率の低い項目やISSB基準に関して定義が曖昧だと議論のある項目など、開示のハードルが高い事項を優先して検討いただくことが望ましいと思います。
また、資料10ページ以降のその他の論点は、任意適用の促進策としても重要だと思っております。特にセーフハーバーの設定は、Scope3のGHG排出量をはじめとする見積り情報や将来情報など、利用者にとって有用な情報の開示を萎縮させない観点で重要ですが、任意適用を促進する上でも、虚偽記載の免責があるかどうかで、企業にとってのハードルが異なってくると見られます。
3点目の適用時期につきましては、前回のコメントのとおり賛同いたします。
最後に、4点目の開示のタイミングについてですけれども、企業の開示を拝見しますと、時間をかけて良く練られた開示が有用な場合も多く、同時開示によって開示の質が後退することは好ましくありませんので、2段階開示の経過措置は必要だと思っております。ですが、サステナビリティ情報は財務情報を補完し、両者のつながりが重要ですので、利用者といたしましては、原則として同時開示が望ましいと考えております。したがいまして、経過措置は原則通り初年度に限定し、有報の提出期限の延長によって同時開示を早期に進めていただきたいと考えております。
有報の提出期限は期末から4か月を御提案いただいておりますが、海外の制度と事例を踏まえたもので、開示の充実のために、現在の提出期限から1か月の遅れは許容できる水準と考えております。また本日の御意見と重複いたしますけれども、任意適用の段階から経過措置を利用することなく、早期に同時開示にチャレンジする企業を後押しするためにも、有報の提出期限の延長を早い段階で手当てをし、早期適用を可能にすることも必要だと考えております。
私のコメントは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、浅川委員、お願いいたします。
【浅川委員】
御指名いただき、ありがとうございます。私からも、それぞれの論点につきましてコメントさせていただければと思います。
まず初めに、サステナビリティ開示基準の在り方につきましてですが、事務局様のお話のとおり、ISSB基準と同等な基準とすること、あるいは事業者様の負担が増えないことを鑑みて海外と連携することに賛成いたします。相互運用性が確保されることは、事業者様の開示努力が反映されて、企業のサステナビリティ情報開示のための取組が有用に活用されるために重要なことではないかと思います。その際、ISSB基準では幾つかの経過措置が定められておりますので、こういったところも取り込んでいただいた形で仕組みをつくっていただけるといいのかなと思います。
また、例えばGHGの排出量の算定で言いますと、GHGプロトコルによる算定のほか、実際にISO等に基づく算定も既に行われているところですので、実務的にも相互運用性を確保していただくのは大変大事なところかと思っております。
続きまして2点目、適用対象でございますが、プライム上場企業の時価総額に応じた段階的に導入して拡大していくところにつきまして、賛成いたします。また、御説明いただきました欧州の状況等も踏まえ、海外における開示状況等も考慮した導入にするところも賛成いたします。一方で、任意適用を進めるということで、好事例の提供等を行うというところですが、先ほどもお話がありました5,000億円というロットも入ってくるとなりますと、こういったツールやインフラの整備が実際に大事になってくるのではないかなということで、このスケジュールを確実に実行に移すためにも、こういったものの整備を早めに取り組まれるとよろしいかなと思います。
併せて適用の時期ですが、2027年3月期からの強制適用開始というところに賛成いたします。その準備を確実に行うためにも、先ほどコメントさせていただきましたツール、インフラ等の整備、あるいはこういったアナウンス、これにつきましても確実に早めに行うことで、その先の2030年代のスケジュールの実施にも実効性が増すのではないかと思います。
最後に開示のタイミングですが、導入当初に、有価証券報告書とサステナビリティ報告の2段階開示をする案に賛成いたします。その後、同時開示を目指すというところですが、実際にまた保証業務が導入されることも既に想定されているようでございますので、その場合には、例えば保証業務提供者間のコミュニケーション、あるいは保証業務を実施するための対応の期間等も考慮していただいた上で期間設定を検討いただけるとありがたいと思います。また、本格運用がどんどん始まってきたら、お話にもありましたが、いろいろな情報の利用者さんや関係者様の声を反映した運用を行われるとよろしいのかと思いました。
私からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、堀江委員、御発言お願いいたします。
【堀江委員】
発言の機会をいただきありがとうございます。私からは、資料の19ページ目に従って2点、適用対象企業と適用時期、そして保証の問題について意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、適用対象企業と時期ですけれども、3兆円以上の企業から段階的に導入するとのご提案です。極めて客観的な数字を細かく分析、検討されていて、客観的なエビデンスに基づいて政策を立てていくという意味では、専門家の間では合理性を持つと思うんです。確かに海外の投資家の目線も大事ですが、これまで投資に縁のなかった人達も株式への投資を行う時代になってきています。一般投資家の目線から見たとき、これだけ世の中、サステナ、サステナと言われていて、69社しか法定による情報開示がないのかと、この辺りの感覚、いわゆる世間一般の感覚として見たときに果たしてどうかというのが実はちょっと気になっています。
ただ、一気に全てのプライムというわけにもいきませんので、非現実的な発言をするつもりはございませんけれども、時価総額で見たとき、法定開示はプライム企業数の10%に近くなる会社数、数の問題もあると思うので、1兆円超の企業から2028年3月期からスタートするのも一つの考え方かなと。この場合には、開示と保証がセットという考え方でどうかと思います。ただ、時価総額3兆円を超える企業につきましては、ある程度対応も進んでいると思いますので、こういう企業については、例えばScope3の開示免除を含む早期適用を促して、早期適用に対しては保証を免除するという考え方もあり得るのかなと思っています。
今回のご提案ですが、最終の着地点がプライム上場企業となっているんですけれども、開示で縛るというのは手段だと思うんです。もちろん投資情報としての視点は重要なんですけれども、気候変動対応は待ったなしのところまで来ている。そういう観点から見たとき、本当にプライムだけでいいのかというのは気になります。金融商品取引法の制度として縛るという観点から見たときも、なぜプライムだけに限定するんですかというところも、実はちょっと気になっているところです。
あと、開示の様式について、有価証券報告書での開示等を含めて、例えば添付書類のようなものを認めるかどうかといったところも含めて、具体的な開示様式についてもそろそろ御議論いただかないと、保証の問題が出てきたときに、さて、これ、どういうふうに対応するのかということが問題となってくるように思います。
2点目、保証でございますけれども、保証の在り方は、その切り口として、法定でいくのか任意でいくのか、免除あるいは猶予をつけるか、あるいはつけないか、主体を職業会計士に限定するのかしないのか、それから、海外の動向を踏まえて限定的保証から合理的保証という議論がありますが、これは保証水準なんです。ここに重点が置かれて議論されていますけれども、実は保証の対象ですよね。保証の対象、部分保証とするのか全体保証とするのか、この点も法定とするかどうかという組合せで保証の問題を考えるときにとても重要なポイントになってくるように思います。ですから、切り口の組合せを含めた全体像についてお示しいただけると、保証の議論がしやすくなるんだろうと思います。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、清原先生、御発言お願いいたします。
【清原委員】
御指名ありがとうございます。清原です。御議論いただきたい事項に沿ってコメントさせていただければと思います。
まず最初に、ISSB基準と同等なサステナビリティ基準を金融商品取引法令に取り組む方針に関してはもちろん賛同ですが、同等性の確保をベースにしているものと理解しております。そして開示とともに、併せて保証に関しても金融商品取引法令の中で規定をしてくることになると思っており、確認的ですけれども、いずれも賛同でございます。
インターオペラビリティに関しては、経過措置、免除その他について、他国の基準との関係でどの程度まで進めていくかという話があるかと思いますので、連携を十分図っていただくこと、これを期待しているところでございます。
適用対象に関してですが、時価総額3兆円から1兆円、5,000億円と徐々に進めていくという考え方、段階的に進めることに関しては賛同ですが、少し区分が細かいのかなというところに関して、若干疑念といいますか、懸念と言ったら正確でしょうか、少しシンプルにやることも検討してもいいのではないかと考えています。毎年少しずつ広がっていくという点、徐々に広げていくという意味ではいいのかもしれないんですが、先行する開示の経験を生かして、少し検討した上で次に進むということで言うと、もしかしたら2段階ぐらいでもいいのかもしれないです。また、これに任意適用などが加わると、適用拡大の進み方が複雑といいますか、実務の混乱その他につながらなければいいなと、ちょっと懸念するところがございます。反対ではないですが、そのあたりを慎重に検討してもよいのではないかと考えております。
海外の開示状況を基準として国内でも開示させることを検討するかについては、開示情報が市場ごとに区々にならないようにという趣旨、日本でも同様の情報が開示されることを確保しようという考え方そのものはいいとも考えられますが、ここでの議論は、SSBJの基準の適用対象とするか、基準を一括して適用するかというレベルでの話だとすると、ちょっとこれは違う話ではないかと。そういう話ではなくて、海外で開示された情報を日本語訳した形のものが臨時報告書その他の形で出されることが望ましいという考え方はいいんですが、SSBJ基準の義務化という形にするとまでいくとすると、そこのところは少しどうなのかなと。
ちょっと話が前後しますが、SSBJ基準でないものであったとしても開示が望ましいということを考えると、今回、任意適用の議論のときに、一括でのSSBJの基準の適用を前提とした形で議論されているように思うんですけれども、強制適用以外の会社がどのように開示することが適切かということの議論は、SSBJ基準の全部を適用、それ以外は駄目という話ではないはずで、やはりそこではSSBJ基準の中のここの部分は当社は合わないからこうだということがあっても本来しかるべきなので、その意味でいうと、柔軟性がある形でサステナビリティ開示を任意にどんどん促進していくという観点を入れた上で、「任意適用」という議論をしたほうがよいのかなと考えます。すなわち、強制適用する、任意適用も一括で適用するという2つだけでなくて、それ以外のものがあると考えてもいいのではないか。同じように、保証までつけるのは大変だけれども、開示のレベルでは、比較可能性その他を考えると、ほぼほぼSSBJと同様に持っていくけれども、保証まではつけないという形での開示というものが進むことも望ましいともいえるので、その意味で、全て一括に、ということではないような、画一的でないあり方、進め方も非常に重要ではないかと考えるところです。
少し飛んでしまいますが、プライム市場全体に広めるという考え方、コンセプトそのものは、考え方としては適切かもしれないのですが、前回もコメントさせていただいたとおり、規模がかなり大きく違う中で、果たしてプライム市場全部にSSBJ基準を強制適用という形で一括して適用して行くことが果たして適切かというと、そこはちょっと疑問が残ると考えています。もしそのような話をするならば、スタンダード市場、グロース市場においても、そこそこ時価総額が大きな企業は当然あるわけで、市場区分の性質上、プライムというものはそういうものだという言い方ができなくはないのでしょうが、果たしてそんなにきれいに市場区分だけで画一的にやる合理性があるのか、必要性が高いのかどうかというところは、検討の余地があるのではないか。むしろプライム市場全部に広げることに関しては、コアとなる時価総額5,000億円以上の企業以外に関しては、コーポレートガバナンスコードの原則として規定し、コンプライ・オア・エクスプレインの対象とし、コンプライするんでもいいんですけれども、エクスプレインのときに、全部SSBJ基準を適用していきますという会社以外の、こういうプリンシプル、例えばですけれども、今後、財規のような形で金融庁のほうでプリンシプルのコアになるものというものをサステナビリティ開示に関しても定めることが恐らく望ましいんじゃないかと考えているところが前提なんですが、そういったものに従った開示であるという形でもいいというような形で、グラデーションというものを少し考えていかないと、オール・オア・ナッシングでいくとかなり難しいところがあるのではないか、ちょっと気になるところでございます。
次の適用対象の中のところで言うと、スケジュールの設定のところでいきますと、19ページのところで、今、2027年、2028年、2029年と進んでいく中で、2段階開示という考え方として、有報と半期報告書での開示が提案されているのですが、半期報告書にしなければならないような、準備に時間がかかるものは実際にどこなのかというところについて、私は、実務の詳細を存じ上げてないところがあるのですけれども、Scope3はもちろん大変だと思いますが、Scope 1、2に関しては、準備を進めていけば、3兆円以上の企業のところについてはそこまで困難ではないのではないか。その意味でいうと、有報でできる開示をして、例えばScope3についても、前年度の既にある情報自体を一旦出した上で、その後訂正を入れて更新するということも含めた意味での情報のアップデート、こういうルートも一つ考えられるし、また、もう一つ考えられるのは、Scope 3に関して、有報ではなくて、その後の臨時報告書、または半期報告書その他に分けて開示することができる、その代わり有報には前年度分を載せるというようなこと、こういったことも含めて、現実的な対応についても検討していく余地があるのではないかと考えるところです。
なぜそんな話をするかというと、その次の20ページのところにある、総理の発言において示されているところですが、有報を株主総会前に開示する点がありますので、準備に時間がかかる、全部を整えるには時間がかかる、だから、提出期限を延長する必要があるかもしれない、という点は、一括であればというではないかと思われることなので、一括でなくても、財務情報と主要な非財務情報、経営方針その他、それが株主総会の前に出ることを進めていけるような方策、Scope3のように時間がかかるもの、一括だとそれが必要であるゆえに全部を引っ張って提出を延期しなければならないのだとすると、有報の総会前開示が実現困難となるので、そうだとすれば、ここはもう少しきめの細かな検討が必要になるのではないかと。
併せて、第1回のところで御発言もありましたけれども、事業報告と有報の一体開示、そして株主総会での説明、質問に対する回答、そういったものをもろもろ含めて考えていくと、できるものは株主総会の前にきちっと出されるような方法を一つコアとして考えていただければいいのではないか、というところでございます。その意味で、Scope1、2、3と3つが一体になっていますけど、3についての取扱いは本当にISSBの基準と全く同じような形でいいのか、アメリカがScope1、2としているということもあって、そこについて、どういう方法が我が国の在り方としていいのかというのは一番重要なところになってくるのではないかと。これが外れることによって、全体の議論にも影響するところが出るかもしれないのですけれども、そこはやはり慎重に検討していかなければいけないのではないかと考えるところであります。
以上になります。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加いただいております高村先生、御発言ください。その後、同じくオンラインで御参加いただいている松井先生、それから会場で御参加いただいている森内委員に御発言をいただければと思います。
それでは、高村先生から御発言をお願いいたします。
【高村委員】
神作先生、ありがとうございます。事務局からスライド29に、議論をする論点として掲げていただいている論点に基本的に沿って発言をさせていただこうと思います。
1点目、サステナビリティ開示基準の在り方については、既に多くの委員が御発言されていると思いますけれども、事務局から御提示をいただいている国際的なベースライン、国際的な基準との同等性を想定したサステナビリティ情報の開示基準を金商法等に取り込むという方針について賛同いたします。このことは、もう既に多くの委員からご発言がありましたように、グローバル投資家との建設的な対話を可能にする情報開示ということ、さらに開示をする企業にとっての効率的な開示、この点は吉元委員の書面のコメントにもございましたけれども、それらの観点から非常に重要だと思っております。言い方を変えますと、国際的な同等性を持った開示基準は、SSBJが作成する基準の在り方への期待でもあり、この会合からの要請でもあると理解をいたしました。
2点目でありますけれども、適用対象、適用時期、スケジュールについてです。こちらについて今回、事務局が、前回の議論を踏まえて御提案を改めて示していただいていると思います。今後検討を進めていく上で中心的に考える、ある意味では最低限盛りこむべきミニマムな内容を包摂した検討オプションを出していただいていると思っております。さらなる検討の上で、場合によっては、対象の拡大なり前倒しも検討の可能性があるかと思いますが、ご提示の案を中心に検討していく方向性については異論がございません。
1点、近江委員や上田委員からも御指摘があった点ですけれども、基本的な方向性について賛同いたしますが、スケジュールの明確化が、任意開示を含めた開示の底上げにとって非常に重要だと思っております。プライム市場がグローバルな投資家と建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場として設計されていることを考えますと、基本的にはプライム市場全上場企業を対象に、これは近江委員、上田委員のニュアンスと大変近いと思いますけれども、2030年代のできるだけ早期にそれを実現する大きな方向性は明確にしたほうがよいのではないかと思っております。
次に、サステナビリティ開示基準の導入による開示のタイミングについてであります。三瓶委員をはじめ、同時開示の重要性については、とりわけ情報を利用される投資家の委員の皆様をはじめ御指摘があった点かと思います。その意味で、同時開示という原則を明確にしながら、今回、事務局から義務的開示の対象になる初年度については2段階開示の選択ができるような緩和措置を導入してはどうかという御提案をいただいているかと思います。
この2段階開示の方向性、緩和措置の方向性については賛成いたします。ただ同時に、これもほかの委員からも御指摘ありましたが、初年度からも同時開示を促していくこと、そしてそうした同時開示を全体として可能にし、促していく環境整備がどうしても必要だと思っておりまして、有報の提出期限について、今回4か月といった案も示していただいていますが、有報の提出期限の見直しについては、ぜひ検討いただきたいと思っております。これは、サステナビリティ情報を開示する側の企業の負担という観点もさることながら、本日事務局の資料にも、委員からも御指摘がありましたけれども、本来、有報の開示が株主総会前のタイミング、総会前開示となるような制度整備をしっかり行っていくことが、サステナビリティ開示の観点もさることながら重要な点だと思っております。
もちろん御指摘があった総会の開催日ですとか基準日等々の諸点、検討すべき事項はあると思いますし、サステナビリティ開示を義務的に行うこととなっている企業に限定するのか、あるいはそれが妥当かという点も含めて、広い観点からの検討が必要だと思っております。ただ、恐らくサステナビリティ開示に際して同時開示の強い要請の中で、制度の在り方が問われているこの機会に、この議論、検討をしっかりしていくことが必要だと思っておりまして、有報の提出期限の後ろ倒しの点については、ぜひ今後の検討課題としていただきたいと思っております。
最後に、次回以降の検討ということで事務局から御説明がありましたけれども、保証の在り方についてであります。といいますのは、本日議論をしている内容につきまして、例えば開示のスケジュール、いつ始め、初年度の保証の在り方をどうするか、またScope3の開示の在り方につきましても、その要求の範囲、水準は求められる保証の在り方と密接不可分であります。サステナビリティ情報の信頼性をどう担保していくか、そのためにどういう保証の在り方が必要かという点については、全体の制度を検討する前提となり得る検討事項となっていると思いますので、できるだけ早い検討をお願いしたいと思います。
特に保証の担い手の拡大の可能性も1つの論点かと思いますけれども、保証の担い手として公認会計士、監査法人が想定をされるわけですけれども、公認会計士、監査法人については、業務に携わる者の資格、法令上の義務、責任、法令違反の場合の処分についても、公認会計士法等でしっかりと法によって定めが置かれていると思います。そういう意味で、保証の担い手の拡大の議論をしていく場合に、こうした同等の法制度が必要かどうかといった点についても検討が必要になってこようかと思います。財務情報とサステナビリティ情報のコネクティビティーの問題を考えたときに、保証の担い手の資格や法令上の義務、責任等々をどのように制度上担保するのかという点に関わってまいりますし、保証を行い得る範囲といった点についても論点になり得るかと思っております。その意味で開示のスケジュール、開示の項目についてどのような形で要求事項としていくかなどが保証の問題と密接に関わってくると考えるものですから、ぜひこの点についてできるだけ早い検討をお願いしたいと思っております。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加の松井先生、御発言ください。
【松井委員】
ありがとうございます。本日、途中参加となりまして申し訳ありません。ほかの委員の方々からもう既に様々な発言があったかと存じますので、大きな観点から意見を申し述べたいと存じます。
開示と保証の制度をつくっていく上では、まず法令をどう改正するかということについては法の趣旨に沿って制度をつくることを考えつつ、他方、導入される実際の制度についてはこれをいろいろな場面に活用することで企業にメリットがあるようにつくっていくというふうに、別々に考えることがよいのではないかと思っております。前者、法の趣旨との関係では、金商法開示という法の改正が問題となり、法が考慮している関係者である投資家にどのような開示を行うことが資本市場の適正な運営に資するかということから制度を考えていくことでよいと思います。
プライム上場というのは、もともとサステナビリティに敏感な投資家、国際的にも規模の大きな投資家をターゲットとした会社が上場していることから、そのような場にふさわしい投資家の求める開示について規定し、負担を求めることに合理性があると思います。そこで、同時開示を投資家が求めることに応えるのが望ましいのが基本線だとすれば、これを維持するための課題に、小手先対応でなく応える必要があります。開示書類の作成に恒常的に時間がかかるようになる状況については、初年度について緩和措置を取ったとしても、有報の提出スケジュールの変更をやるとか、必要があれば株主総会スケジュールについても見直しを検討するといったことも視野に入ってくると思いますし、また、これについての保証対応が難しいという問題についても、これまた、初年度導入を遅らせるとしても、その後は期中から様々なチェックを受けるような形に業務を整えるといった負担を引き受ける必要があると思います。
こうした実務的にかなり大きな負担を含め、プライム上場企業である以上長期的に対応していくことが必要だとなると、そうした情報を求める投資家さんたちとお付き合いをするつもりで準備ができるかどうかということを企業の側で諮っていただくことになると個人的には考えております。もっとも、現状ではプライムの中ですら、適用対象を拡充していくことに対して難しさがあることは事実でございまして、原則を機関投資家のプレゼンスが大きな会社というところに置きつつ、最初は保有率に連動するような時価総額という基準をベースに導入を検討するという方針が合理的だと思っております。
他方で、導入する開示の効果については、現状の制度が持っている負担を前提とする必要があるのかを別途考える必要があると思います。現在の制度というのは、ステークホルダーごとに監督官庁や報告の規制が異なっております。再エネ法とか男女共同参画といった視点ごとに、異なる省庁に対して異なるフォーマットでの開示や報告、届出という制度があるわけで、そんな中で報告書開示を独立の制度として位置づけますと、その情報を求める投資家さんに対する提供のみであるという形で非常に限定的に導入したとしても、純粋にただの上乗せコストとなってしまいますので、格段にハードルが高いということになりがちではないかと思います。
しかし、近年ではステークホルダーと会社の間も、いろいろなコミュニケーションプラットフォームを使うようになってきていることを考えれば、投資家以外のステークホルダーであっても報告書開示を利用することはできそうだと考えております。先ほど来言及のあるインターオペラビリティや任意開示とも関係するかと思いますけれども、インターオペラビリティを考える上では、ISSBとの同一性の枠内で、そして金商法の規制の趣旨を維持した上で、開示を合理化することができる場所がないかを考えてはどうかと思います。あるいは、さらにはほかの法域における開示の制度と融通が利くような形で制度をつくっていけないかといったことも考えることができます。最終的に、工夫次第では全体として、現在想定されている負担よりも軽い制度ができるのではないか。そうすると、金商法開示に対応しようと考え、プライムでの準備に積極的な企業も増えていくのではないかと考えられます。
そうすると、副次的に従業員が多い企業や売上高が多い企業といったようなところにおいてもこういった効果が広がることによって、プライム以外の会社の任意適用に対する姿勢も好意的になるのではないかと考えております。法律の外側で実際に実務でどう動かすかについての工夫が大きな効果を持つと考えておりますので、こういった点についても、実施に際して御留意をいただけるとよいのではないかと考えております。
私からの意見は以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは最後に、森内委員、御発言ください。
【森内委員】
ありがとうございます。森内でございます。私も、事務局資料の28ページ、29ページ、御議論いただきたい事項に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、サステナビリティ開示基準の在り方につきましては、事務局案に賛同いたします。
次に、適用対象についても賛同いたしますが、特にこの2ポツ目に関して、適用対象企業に含まれない企業に対しても開示の促進を図っていくことは非常に重要だと考えます。これが、例えば、いきなりプリンシプルを通じてというようなプレッシャーになるような形ではなくインセンティブで、普及を図っていくことが重要だと思います。例えば、なぜ開示が義務化されるのか、なぜ保証が必要なのか、開示のプロセスですとか、こういったことも含めて、多少基本的なところから理解を促進するような具体策が必要、重要ではないかと考えます。
3点目の適用時期でございます。これは、2027年の3月期から強制適用開始ということを基本線とすることに関しては賛同いたしますが、要は、後半で記載いただいています「国際動向、国内外における実務の浸透を注視しながら・・・」、というところが非常に重要だと思います。ここは、適用時期というか、適用要件をどうするかというところが非常に重要じゃないかと思います。そのときの我が国の現状に即して、どのような適用要件がいいのかということに関しては、今日の参考資料にも一部記載がございましたけれども、例えば、我が国では統合報告書にサステナビリティ情報を開示している企業の割合が諸外国に比べて非常に高いといったこと、そういった開示をする企業ではその方針に沿った実施体制やガバナンス構造になっていると思います。そうすると、そのガバナンス構造を変えていく、あるいはプロセスを変えていくことの実務面での負担をしっかりと考慮する必要があるだろうと思います。
一方で、IFACの調査によれば、我が国では何らかの保証を受け入れている企業の割合が82%という非常に高いパーセンテージになっていて、これが4年前に比べるとほぼ倍になっていることから考えますと、保証に対する取組の成熟度あるいはニーズは非常に高いだろうと思います。一方で、保証を受け入れている企業がScope1とScope2については100%カバーしているけれども、Scope3については60%という数字になっていて、この60%という数字と100%のギャップをどう考えるのか、どのくらいのスピードでこれが埋まっていくのか。それらに応じて緩和措置要件を決めていくべきではないかと考えます。
最後に、サステナビリティ開示情報の開示タイミングでございますが、これも2段階開示についてはやはり認められるべきだろうとは思いますが、資料では、「その後保証を義務づける際に・・・」となっておりますので、あたかも保証は同時ではないというようにも読み取れました。あくまでも開示と保証は一体であるべきで、今回の事務局資料の3ページにもございましたけれども、まずは同時の導入を目指して、そのときのメリット、デメリットをどう考えるのか、そしてデメリットをいかに潰していけるのかといった議論を次回以降の論点に加えていただければありがたいと思います。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。本日御参加いただいた委員全員から御発言いただいたものと存じます。
ここで、オブサーバーの方々の中で、もし御意見、御発言がございましたら、時間の許す範囲内でお願いしたいと存じます。オブザーバーとして御参加の方々で、御発言を希望される方いらっしゃいますでしょうか。
それでは、経団連の小畑さんから御発言をお願いいたします。
【日本経済団体連合会】
ありがとうございます。今日の御議論いただきたい事項に沿って簡単に申し上げたいと思います。
開示基準でございますけれども、こちらに書かれておりますように、インターオペラビリティの確保、極めて重要だと思っております。国際的にはもちろんでございまして、SSBJの基準のみならず、移行措置としての2段階適用とか、あるいはScope3の取扱いとか、こういったところについての取扱いも含めて、国際的に同等だと認められるように、ぜひとも当局の皆様には御尽力いただきたいと思っておりますが、それとともに国内の諸制度、例えば温対法に基づく開示でございますとか、あるいはGXリーグにおける排出量取引とか、こういった諸制度との整合性の確保、こちらも国内の各省庁との御調整もぜひお願いしたいというところが1点でございます。
その次に適用時期でございますけれども、まず、3兆円の企業の開始時期でございますが、企業へいろいろヒアリングしますと、もう大丈夫だというところとともに、やはり2028年まで待っていただきたいというような、準備の観点からはそれが万全であるところもあるということで、よく実情を踏まえて対応いただきたいというところ。それから、今回初めて出てきました5,000億円のくくりでございますけれども、これについては、対象となる企業が一気に100社ぐらい増えることもありますので、この辺も5,000億以上の企業については、大丈夫なのかというところはよく実情を把握していただく必要があるのかなと思っております。
また、全プライム企業、これについては、今回の整理では基本線とはしつつも、諸般の状況を注視しながら柔軟に対応していくということで、今回ばちっと決めることはないと理解をしておりまして、これが混乱を避けるいい方法なのかなと感じております。
最後に、開示のタイミングでございますけれども、こちらは実務的には今のスケジュールで、例えば6月末に全部出せと言われると、企業としては無理というのが実情でありまして、その観点から2段階開示は現実的な方法ではないかということであります。こちらも、初年度のみでいいのかどうかも含めて御検討いただければと思っております。また、将来的には同時開示を達成するためには、有報提出期限自体の延期も十分考えられると思っておりますし、また、保証の対象が全サステナビリティ情報なのか、それとも、例えばGHGのScope1、2のみなのかによっても全然スケジュール観が変わってくると思いますので、そういったことも両面合わせながら御検討いただければと思っております。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、日本公認会計士協会の太田理事、また関経連及び連合からも御発言の御希望をいただいておりますので、順番に御発言をいただければと存じます。
まずは、日本会計士協会の太田さん、御発言ください。
【日本公認会計士協会】
ありがとうございます。日本会計士協会、太田でございます。
まず、開示基準の在り方については、皆さんおっしゃられていますとおり、インターオペラビリティの重要性が非常に高まっていると思います。できればISSB基準ですとかESRS基準との具体的な差異がどこにあって、どのような追加開示をすればそういった基準にも対応できると言えるのかについて、ISSBやEFRAG等と共同で、関係機関においては検討いただきたいと考えております。
適用対象でございますけれども、時価総額に基づいて決定するといった場合に、新規に基準に該当する企業等への準備期間、これも非常に大事だと思いますので、基準日を明確にして、該当することになったときから十分な準備期間を取れるような制度の運用にしていただくのが望まれると考えております。
適用の時期ですけれども、19ページの27年3月期からスタートし、2030年代にプライム全体というスケジュールについて、基本的には賛同してございます。一方で、前回申し上げたことでもありますけれども、開示の信頼性の確保という観点からは、やはり開示と保証は同時にスタートするのが望ましいとは考えてございます。
今回、29年以降の時価総額5,000億円以上というラインも示していただきましたけれども、これについて業界としては、このラインについても、リソースの面では十分確保できていると考えてございます。一方で、プライム全体を考えた場合には、開示の作成者、保証の提供者含めて、今後どういった形で人材を育成、拡充していくかという観点も重要になってくると思いますので、具体的なタイミングは早期に明確化いただくことが非常にありがたいと思っております。
最後、開示のタイミングですけれども、こちらもコネクティビティーという観点からは、開示と保証の同時提供ということを基本線として検討いただくことが重要だと考えてございますけれども、適用初年度の実務を考えた場合には、経過措置として2段階開示も実務的には現実的だと考えてございます。
以上でございます。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、関経連の方、御発言をお願いいたします。
【関西経済連合会】
発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。関西経済連合会でございます。よろしくお願いいたします。私からは、資料28ページ、御議論いただきたい事項について3点申し上げたいと思います。
1つ目のサステナビリティ開示基準の在り方について、国際的なベースラインとなるISSB基準と同等なサステナビリティ情報の開示基準を金融商品取引法令に取り込む方針とあります。まずは、SSBJ基準とISSB基準がどの程度乖離しているかを確認する必要がありますが、SSBJの開示水準がISSB基準と同程度になるように検討が進められていますので、金商法令に取り込む観点から言えば、SSBJ基準をベースに議論すべきであると考えております。
また、当該内容に関しまして、資料5ページに第1回ワーキングで事務局案が提示されたかのように表現されておりますけれども、第1回ワーキングの御議論いただきたい事項にはなかった内容でございますので、今回新たに議論すべき論点となっておりますので、丁寧に議事概要に反映いただきますようによろしくお願いいたします。
さらに、「インターオペラビリティを確保できるよう、金融庁をはじめとする関係機関が国際機関や諸外国と緊密に連携」とありますけれども、気候変動についてはISSB基準等が既に出来上がっている状況におきまして、具体的にどのような働きかけができるのかお示しいただきたいと思います。
2つ目は適用時期について、2030年代にプライム市場全上場企業を対象とすることを基本線とありますが、第1回ワーキングでも意見が出されておりましたが、現時点ではこれは時期尚早だと考えております。それぞれの企業の業種や規模により対応内容や業務負担はまちまちでありますので、現時点で一律に期限を決めるのではなく、状況を見ながら時期を設定するなどの検討をお願いいたします。
3つ目、最後ですけれども、サステナビリティ開示基準の導入による開示タイミングについて、「保証を義務付ける際に有価証券報告書の提出期限を延長することが考えられる」とありますが、慎重な議論が必要と考えます。有価証券報告書の提出期限を延ばすことは、第1四半期決算の実務のピークと重なる懸念がありますので、例えば欧州の事例を参考にするならば、上場会社の第1、第3四半期の開示を任意にするなどの検討も必要と考えます。また、サステナビリティ開示の議論と有価証券報告書の株主総会前の開示の議論は、関連制度や実務に関する様々な課題などを整理する必要があることから、本ワーキングでテーマとして取り扱うべきかどうかも含め慎重に検討すべきと認識しております。
例えば株主総会を後ろ倒しで開催した場合、会社法の事業報告等と金商法の有価証券報告書の重複開示の問題が解決されていないことに加えて、第1四半期決算作業と重複する問題、役員人事や配当のタイミングが遅れる可能性、そして株主総会の準備の負担増など企業の負担を増加させるものであると憂慮しており、実務的な課題に十分に配慮して慎重な対応を検討いただきたいと考えております。
私からのコメントは以上でございます。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、最後に連合の方、御発言をお願いいたします。
【日本労働組合総連合会】
連合の片山と申します。御発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。私のほうから、本日事務局から御説明いただいたサステナビリティ開示基準の在り方ですとか適用対象などについては、方向性に異論はありません。1点、情報開示に伴う企業の負担増加については配慮が必要だと思いますが、プライム市場の上場企業は名実ともに日本を代表する企業という位置づけであり、さらには欧米で事業を展開する企業も多いことから、情報開示の適用時期は安易に先送りせず、持続的な成長を重視した対応が重要だと考えます。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。それでは、オブザーバーの方、追加の御発言はございませんでしょうか。
それでは、意見も尽きないようではございますけれども、定刻を少し過ぎてしまっておりますので、本日の御議論はここで終わらせていただきたいと存じます。本日の御議論を踏まえ、次回以降、さらに御議論を進めていきたいと考えております。
最後に事務局から、もし御連絡等がございましたらよろしくお願いいたします。
【野崎企業開示課長】
ありがとうございます。次回のワーキング・グループの日程でございますけれども、また、皆様の御都合を踏まえた上で最終的に決定の上、御連絡させていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと思います。
私からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
―― 了 ――
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企画市場局企業開示課(内線:3688、3846)