金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第5回) 議事録

  • 1.日時:

    令和6年12月2日(月曜日)16時00分~18時00分

2.場所:

 中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

【神作座長】
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより金融審議会サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ第5回会合を開催いたします。皆様、大変御多用のところ、御参加、御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 本日の会議におきましては、対面とオンライン会議を併用した開催とさせていただきます。また、本日の会議の模様も前回同様、ウェブ上でライブ中継をさせていただきます。なお、議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。
 会議を始めるにあたりまして、事務局から留意事項をお願いいたします。
 
【野崎企業開示課長】
 事務局を務めさせていただきます、野崎と申します。どうぞよろしくお願いします。
 本日の会議におきましてはオンライン会議を併用した開催としておりますが、オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際にはオンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いします。
 なお、対面で御参加の委員におかれましては、挙手をいただければ座長から指名いただきます。また、マイクを使用する際には配信の音割れ防止のため、こちらのマイクの角度は動かさず、オン、オフのボタンのみ押していただくようよろしくお願いします。
 私からは以上でございます。
 
【神作座長】
 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、早速議事に移らせていただきます。本日は、事務局より資料の御説明をいただいた後、質疑応答、討議を行いたいと存じます。
 それでは、事務局の金融庁から資料についての御説明をお願いいたします。
 
【野崎企業開示課長】
 では、まず資料の御説明に入る前に、前回ワーキング・グループにおきまして経団連の小畑様から、欧州のCSRDなどの海外のサステナビリティ基準に基づく開示を行った場合の日本における臨時報告書の提出について、御質問がございました。2025年12月期以降に始まる欧州のCSRDへの対応として、子会社が単体ベースで開示をした場合には臨時報告書の提出は不要でよいかという御質問でございます。
 前回のワーキング・グループでお示しした事務局案は、欧州のCSRD開示を念頭に、海外で連結グループベースでの開示を求めるサステナビリティ基準に基づく開示を行った場合に、臨時報告書の提出を求めるところでございました。そのため御質問の場合については現時点では臨時報告書の提出は不要と考えておりますが、最終的に欧州各国の国内法制化の動向も見つつ、求められる効果が適切に発揮されるような制度設計というものを引き続き検討していきたいと考えております。
 それでは、お手元の事務局説明資料に沿って御説明させていただければと思います。本日の論点は前回からの継続となりますが、開示、保証、それぞれについて、お示ししている論点について御議論いただければと考えております。
 まず、2ページのセーフハーバーについてでございますけれども、前回のワーキング・グループにおきましてガイドライン改正の方向については、おおむね賛同の御意見が得られたと思いますが、一方で、サステナビリティ情報の虚偽記載に対するセーフハーバーについては、責任の要件の見直しなど法律改正により対応をすべきという御意見も頂いているところです。
 こうした点も踏まえまして、次の3ページでございますけども、基本的には前回資料に沿った形でガイドラインによる対応を行うことを前提に適用対象や適用要件について検討を進めていくとともに、法律改正の要否も含め、引き続き検討を深めていければと考えております。
 続きまして確認書、5ページでございます。確認書につきましては前回のワーキング・グループにおきまして、経営者の有価証券報告書の作成責任の明確化という観点から、金融商品取引法上の確認書の記載事項を追加してはどうかといった事務局の提案に対しまして、5ページに記載のような様々の御意見を頂戴したところでございます。
 次の6ページには現行の確認書制度の概要を記載しておりますけれども、左下にございますように、確認書そのものの虚偽記載等については課徴金納付命令や罰則の対象外とされており、記載事項も右下のように2行程度のシンプルなものになっている状況です。
 7ページですけれども、確認書による確認の範囲自体は有価証券報告書の記載内容全体に及んでいるものの、記載事項が限定的になっておりますところ、前回のWGで御提案した8ページの青囲みにございますような将来情報の入手経路ですとか見積り等の適切性を検討し、評価するための社内手続というものを有報の記載事項としつつ、こうした社内手続について代表者等の役割と責任に関する事項を確認書の記載事項とすることで、責任の範囲の明確化を図ることも考えられるところです。
 7ページに戻っていただきまして、この点につきましては昨年の内部統制部会の意見書においても、一番下ですけれども、確認書において内部統制に関する記載の充実を図ることを検討すべきではないかという問題提起もいただいておりまして、こういったところともつながってくるのかなと考えております。
 続きまして、2つ目の大きな柱の保証について御説明させていただければと思います。まず、10ページです。保証の範囲につきましては、前回のワーキング・グループにおいても御議論いただきました。具体的に頂いた御意見としましては、左側にありますけれども、段階的な拡大はやむを得ないとしても諸外国の制度と見劣りしない制度にすべき、3つ目でございますが、一定期間といえ、Scope1、2のみは狭く、ガバナンスやリスク管理も保証の対象とすべき、あと、下から2つ目、Scope3こそ保証が必要ということで保証範囲を全てとすべき、そういった御意見を頂いたところです。
 こうした御意見ですとか現行の開示制度、次のページに載せておりますけれども、そういった状況も踏まえまして、今、考えてございますのが10ページの右側でございますけれども、それぞれの時価総額のレイヤーについて保証制度導入から2年間は保証範囲をScope1、2、ガバナンス及びリスク管理とし、3年目以降は国際動向等を踏まえ、本ワーキング・グループにおいて継続して検討することとしてはどうかという案をお示しさせていただいております。
 続きまして、保証の担い手については13ページです。こちらも前回頂いた御意見を踏まえまして、右側ですけれども、保証の担い手についてはサステナビリティ保証業務を公正かつ的確に遂行するに足りる体制が整備されていることを条件に、監査法人に限定されないprofession-agnostic制度としてはどうかという方向性をお示しさせていただいております。
 その際、次のページ、14ページですけれども、登録制度、それから義務・責任につきましては、保証業務実施者の保証の質を確保するための登録制度を制度の円滑な導入のための仕組みも含めて導入してはどうかということと、保証の質を確保するため、監査法人であるか、その他の保証業務提供者であるかにかかわらず、義務・責任、倫理、独立性など制度上、同等なものとすることが考えられるかどうかということで方向性をお示しさせていただいております。
 続きまして、15ページです。保証基準などにつきましても、右側ですけれども、質の高いサステナビリティ保証業務が提供されるための環境を整備するため、国際的な保証基準を参考としつつ、我が国において保証基準を作成することとしてはどうかとしております。また、監査法人であるか、その他の保証業務提供者であるかにかかわらず、検査、監督、自主規制は同じものとすることが考えられるかどうかという形で基本的な方向性をお示ししております。
 続きまして17ページは、以上のような基本的な方向性につきまして本日御議論いただきつつ、将来の法改正の検討に必要な事項などをお示ししており、具体的な詳細については一番下にございます、サステナビリティ情報の保証に関する専門グループというものを新たに設置して、さらに御議論していただくこととしてはどうかという形で御提案させていただいております。
 続きまして18ページは、欧州におけるサステナビリティ保証制度の概要でございます。左側が欧州指令で、これに基づき、各国において国内法制化が求められているところです。右側はフランスの制度、profession-agnosticの枠組みで国内法制化が完了している国の例として参考に記載させていただいております。
 最後の論点ですけれども、21ページにありますロードマップをお示ししております。前回からのアップデートとしまして、保証範囲につきましては先ほど申し上げたように保証適用義務化から2年間、最初の2年間をScope1、2とガバナンス及びリスク管理とし、3年目以降は国際動向などを踏まえて継続的に検討することとしてはどうかという形でロードマップをお示しさせていただいております。
 内容としては以上となりまして、22ページ、今後の進め方としまして、左側の保証の範囲、水準、担い手といった大きな方向性につきましては本ワーキング・グループで御議論いただきつつ、右側の主に将来の法改正の検討に必要な事項など、具体的な詳細につきましてはサステナビリティ情報の保証に関する専門グループを設置して、さらに御議論いただく方向としてはどうかという形で提案させていただいております。
 一番最後の24ページには、御説明させていただきました御議論いただきたい事項を再掲してございます。
 事務局の説明は以上となります。
 
【神作座長】
 御説明どうもありがとうございました。
 それでは、これより委員の皆様から御意見、御質問をお伺いする討議の時間とさせていただきます。限られた時間ではございますが、全ての委員の方から5分以内で御意見等を頂戴したいと存じます。なお、本日の会議では経過時間をお知らせするため、御発言から4分が経過したタイミングで事務局員よりベルを鳴らして合図をさせていただきます。加えて、御発言の順番につきましては若干前後する可能性があるかと思いますけれども、あらかじめ御了承、御容赦いただければと思います。
 それでは、どなたからでも結構でございますので、御意見、御質問をお出しいただければと存じます。いかがでしょうか。
 それでは井口委員、お願いいたします。
 
【井口委員】
 ありがとうございます。御説明ありがとうございました。最終ページにある御議論いただきたい事項に沿って意見を申し上げたいと思います。
 最初、開示における論点ですが、セーフハーバーにつきましては前回も申し上げましたが、方向性については賛同いたします。あと、確認書の記載充実に関してですが、虚偽記載等の関連において代表者の責任の明確化ということで、今回、充実が図られたと思いますが、これは利用者にとっても企業内の開示プロセスが整う意味では、より充実したサステナビリティ情報が開示される点で、望ましいと思いますので、これについても賛同したく思っております。
 もう一つのサステナビリティの保証制度についてです。以前も申し上げましたが開示とともに情報の信頼度を高めるという点で、保証の役割は非常に重要と思っております。また、グローバルの投資家も注目するところだと理解しております。資料21ページのサステナビリティの保証制度のロードマップですが、まずはISSB基準と同等の開示を根づかせることが重要と思っておりますので、保証を段階的に導入するというロードマップの方向性に賛同いたします。
 それで、今回、ガバナンスを保証対象に入れていただきありがとうございます。保証の難易度が高くない一方、取締役会などのガバナンス組織の関与が明確となりまして、現場から取締役会までの報告システムの構築がされることに期待しております。また、戦略の開示というのは利用者の最も注目の集まる開示項目である一方、企業あるいは保証人の方にとっては、保証の実務的なハードルは高いと認識しております。今回、ガバナンスを保証対象に入れていただいたことによって、戦略の開示にも一定程度、取締役会の監督は入ることになると期待しておりますので、戦略の保証そのものがなくてもガバナンスを通じ、一定程度の情報の妥当性というのは確保されるのではないかということを期待しております。
 続きまして3年目以降の取扱いとなりますが、以前も申し上げたように、全てのサステナビリティ開示情報の保証を目標としつつも、資料に御記載があるように国際動向等を踏まえて継続して検討する考え方に賛同いたします。国際的な保証基準もできたばかりではありますので、この2年の間に保証基準であるISSA5000の実効性やガイダンスの整備や、あと、企業の体制整備、保証人のクオリティを確保する仕組みづくりなどを確認し、適切な時期に3年目以降の保証の範囲を検討するのがよいのではないかと考えております。
 あと、17ページで示されました保証業務に必要な環境整備で示された方向性については全て賛同いたします。前回申し上げましたように、profession-agnosticを導入するとしても、サステナビリティ開示においてもこれまでの財務諸表監査と同様の課題が生じると考えますと、ISSBやIESBAで策定されております国際的な保証基準や、倫理、独立性基準のみを共通の尺度として保証の担い手に適用すべきということで考えております。
 以上でございます。ありがとうございました。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。ほかに御意見、御発言はございますでしょうか。
 それでは三瓶委員、御発言ください。
 
【三瓶委員】
 三瓶です。御指名いただきありがとうございます。私も最終ページにある論点に沿ってお話しさせていただきます。
 まず、開示について、開示ガイドラインにおける解釈の明確化、また、8ページにある青囲みの1、2のような記載を有報に充実することについて賛同いたします。ただし、法改正によってセーフハーバーについて、より明確にすることは望ましいと思います。
 次に、保証について4点。1つ目は論点2から5のところの保証制度の方向性の案ですが、17ページの環境整備イメージについても賛同いたします。
 2つ目ですが、10ページの論点1及び21ページのロードマップは、利用者視点からは複雑で問題があるのではないかと思っています。それは開示適用義務化開始からプライム全企業の義務化まで、開示と保証の組合せが多過ぎて、法定の制度開示に期待される一律性というのが損なわれるのではないかということです。例えば、義務的開示が適用される69社で同時開示と2段階開示が、まずありますね。それで、そこの中でScope2、また、ガバナンス、リスク管理というところまでと、またはScope3まで開示すると、また2つあります。2掛ける2。そしてさらに初年度は保証ありと保証なしというのがあるので、結局8通りあります。これに時価総額3兆円未満の企業の、今度は任意の開示適用というのと非適用というのがあります。任意の適用は今の8通り、それと非適用で9通りになりますね。そうすると合計すると17通りになっちゃうんですね。
 これは、義務的開示の2年目以降は保証制度が入ってくるので組合せは少し減って15種類になるんですけど、でも、これがしばらく続きます。ですから、様々な時価総額の10社の有報を例えば開いたときに、ステータスが一社一社全部違うということはあり得ます。これは分かりにくい。利用者からすると各企業のステータスが何なのかと非常に混乱するので、せっかく開示の充実、保証を制度化してもらっても、ありがたみが少し薄れるかなという懸念があります。
 百歩譲って、この案でいくとしたときに、有報の最初の方のページに開示と保証のステータスを一覧して分かるような記載を追加していただくと、もう少し利用価値が上がるかなと思います。そこに書くべきことは義務的開示の適用年度、2段階開示なのか、同時開示かの別、また、選択した開示の範囲、保証の有無・範囲、こんなことが最初に表みたいな形で書いてあると、どういうステータスの会社かというのは分かってから読める感じになると思います。
 3点目ですが、論点1の3年目以降は国際動向を踏まえてということについてですが、国際動向が今後、一つの方向に収斂するかどうかは分からないと思います。これを最大公約数的な基準ではなくて、日本として戦略の軸を固めるべきではないかと思います。それはサステナビリティに関しては、特に欧州発でリスクの観点が先行して、グローバルで公的年金やパッシブ運用の観点からは標準目標設定とか、ダイベストメントとか、こういうのが先行したわけですけれども、アクティブ運用の観点からはソリューションとしての事業機会に視点が移っています。日本企業が国際動向を見定めようとして停滞していると、こういったソリューションによる事業機会、成長機会を逃す危険があります。日本はエネルギーを持たない代わりに技術立国としてやってきたわけですから、日本企業が先進技術によるソリューションで事業機会を獲得して成長することを後押しする意味でも、日本としての戦略的視点というものを考えていくべきだと思います。
 4つ目、17ページの専門グループに、ぜひ第三者の認証機関、有報上の機関じゃないですけど、第三者の認証機関をメンバーとして迎えて議論のバランスを取るようにしていただきたいと思います。
 以上です。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして堀江委員、御発言ください。お願いします。
 
【堀江委員】
 発言の機会をいただきありがとうございます。まず、開示に係る論点について、セーフハーバーとの関連で、今回、確認書の記載内容が取り上げられましたが、これにつきましては、単に確認書の体裁を整えるだけにならないようにすることが重要だと思います。確認書の基本的な目的というのは、経営トップの誠実な開示姿勢を示していただくことだと思うんですね。サステナ情報というのは記述情報であったり、予測情報を含んだり、あるいは第三者提供情報を含むという意味で、やわらかい情報です。ですから、事務局提案のように一歩踏み込んで適切な開示手続を整備、運用している旨の追加記載というのがあったほうがいいのではないかと考えます。
 次に、開示と保証にまたがる論点としまして、1つ目は開示情報の品質確保にとって、あるいは保証の前提としても、サステナ情報の開示体制が適切に整備、運用されていることがとても大事だということを、これまでも繰り返し述べさせていただいたところであります。このサステナ情報の開示体制というのは、コアコンテンツでいうガバナンス、リスク管理と非常に密接に関連していると思います。そういう意味で、事務局提案にありますように、制度導入に際しては、当面、そこから開示、保証を求めることに私は合理性があると考えています。
 また、個人的な考えですので御検討いただく必要はないと思うんですけれども、これからサステナ情報の開示と保証、それから、その前提としてのサステナ経営とかの対応を考えたとき、コーポレートガバナンスとか全社的なリスク管理、これらの中に組み込んで行われることがとても大事だと思いますので、そういう面で例えば3線モデルの構築運用とか、こういったようなものも重要ではないかと思います。
 それからもう1点、サステナ情報は収益機会に関する情報も含みますので、情報の信頼性だけではなくて意思決定有用性というんですかね、そういったところにもう少しフォーカスしてもいいのかなと個人的には思っております。
 なお、気になる点として、セーフハーバーとの関連もありますが、これから保証を考えるときに、限定的保証はいいんですけれども、合理的保証を行うとなったときに問題が生じないよう、サステナ情報の虚偽記載に関するセーフハーバーのあり方について、引き続き慎重にご検討いただきたいと思っております。
 あと、保証につきましては、これまで複数の委員から御指摘のありましたPA、Non-PAの保証品質の統一性につきましては、保証基準、倫理基準で対応することが基本になると思いますが、保証制度の導入に際して、これから恐らく難しいのは統一的な検査体制とか、自主規制をどうするかということだと思いますので、この辺り、もう少し実現可能性を見据えたご提案をいただくと議論がしやすいかなと思っています。
 それともう1点、保証の担い手としてこれから中小の監査法人のことを考えていかないといけないし、また事務局資料で気になりましたのが監査法人という言葉しか使われていないので、個人の公認会計士、あるいはその共同でのサステナ情報の保証というのは認められないのか、どうなのか。資料では煩雑さを避けて表現されただけにしかすぎないと思いますが、やや気になりましたので、中小の監査法人のことも含めまして、単に監査事務所のリソースとか専門的知見といった一般的な課題以外に何か検討すべきことがあるのかどうなのか、御検討いただけると幸いです。
 以上です。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして阪委員、御発言ください。
 
【阪委員】
 発言の機会をいただき、どうもありがとうございます。まず、開示の1点目のセーフハーバーについて、3ページの考え方におおむね賛同いたします。バリューチェーン上の企業に責任追及が及ぶなら、積極的な開示を促す上でマイナス要素にもなりかねませんし、見積値も用いられますのでセーフハーバーは必要だと考えています。
 その上でScope3排出量のみを対象とすることについて、SSBJから最近公表されました「指標の報告のための算定期間に関する再提案」では、財務諸表と同じ報告期間とし、その期間に差異が生じる場合には、財務諸表の報告期間に合わせるために、合理的な方法により期間調整を行うことが提案されています。また、SSBJの適用基準案では「比較情報」の定めにおいて、前報告期間に見積りの数値を開示し、当報告期間に新規の情報を入手したなら、比較情報を更新するとあります。同時報告を重視すると、このように見積数値も増えますが、基準では比較情報の更新で足りるとしています。これはScope3のみに関連するものではなく、Scope1、2や他の情報にも関連しますので、セーフハーバーをScope3に限定する場合には、他の見積値の扱いについても明確にされるとよいのではと思っています。
 また、3ページの上から3つ目の白四角の項目の1つ目にある、「企業内部で適切な検討が行われたことの説明」については、具体例を好事例集などで示されると対応もしやすいと思いますし、全体として積極的な開示を促進できると思います。
 開示の2点目の確認書については、8ページの四角囲みのような開示を行うことに賛同いたします。確認ですが、8ページの四角囲みの上では、将来情報とScope3に限定されているような書き方になっていますけれども、四角内を読むと将来情報だけでなく、また、Scope3以外の情報も範囲に入っているようにも読めますので、その辺りを明確にしていただけるとありがたいと思います。
 さらに情報の入手先は多岐にわたると思われますので、四角囲みの②のiからivについて全てを開示するとなると大変な負担にもなりかねませんので、どの程度、詳細な開示が求められるのか、これも好事例集などで示されると分かりやすいと思います。
 次に、保証についてです。環境整備については、サステナビリティ情報開示が社会的制度として広く利用され、サステナビリティ課題にレジリエントな経済社会を構築するに当たり貢献できるよう、ある程度、長期的な視点で、また、任意開示も促進されるような仕組みが望ましいと思っています。
 一方で、国際的に日本企業の開示の信頼性が確保されることと、当初の混乱を招かないような仕組みであることが大事かと思っています。17ページの環境整備の考え方は、その辺りのバランスを考慮された御提案と思いますので、この内容に賛同しております。
 21ページのロードマップについても、おおむね賛同しております。保証の範囲については、特にリスク管理などは企業が独自に戦略を立てて実行していく取組でもありますので、この辺り、保証基準との兼ね合いともなってくると思いますので、基準の明確化も早いうちに進められることが望ましいと思います。
 あと、開示のときにも申し上げましたように、財務諸表などと期間を合わせるために合理的な方法での期間調整が生じますので、その場合の保証の扱いも明確にされることが望ましいのではと思っています。
 こちらのロードマップに関して、時価総額は変動しますし、途中からその区分に参入した場合、また、上の区分に上がる場合や下の区分に下がる場合もあり得ると思いますので、その辺りの扱いもお示しいただけるとよいのではと思っております。
 以上です。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
 それでは柿原委員、御発言ください。
 
【柿原委員】
 御指名ありがとうございます。川崎重工業の柿原と申します。私からは大きく3点申し上げたいと思います。
 1点目は、2ページのセーフハーバーについてでございます。事務局案では作成者に対して、第三者から取得した情報を利用することの適切性と見積りの合理性の検討、及び開示内容の合理性を求めており、説明責任の観点からはSECの規則案よりもかなりハードルが高く、作成者にとっては重い負担となることが懸念されます。つきましては合理的根拠がなく、または誠実に開示しなかったことが証明されない限り、不正な記載とみなされないといったSEC規則案の水準まで緩和するべきかと考えます。もし、SEC規則案と同一水準にできない場合は、その理由を明らかにして、どこまでSEC規則案に近づけるかを検討するのが妥当かと考えております。
 また、SEC規則案は、今後の議論を進める上で有用な参考情報となります。第3回と第4回のワーキング・グループで参考として掲載されていた米国のSEC規則案や英国の会社法の取組事例が今回の資料には掲載されておりませんけれども、今後は継続的に掲載するようにしていただければと思います。
 さらにセーフハーバーにつきまして、海外では米国や英国など法制化して対応している事例もございますので、我が国もガイドラインの改正だけではなく今後は法制化も視野に入れて議論することが重要かと思います。その際にはサステナビリティ情報だけでなく、財務情報を含めたセーフハーバー全体に関する海外の状況について参考情報として御提示いただきたいと思います。
 2点目は、5ページの確認書についてでございます。前提といたしまして、前回のワーキング・グループでも申し上げましたが、確認書については現状、有価証券報告書全体について記載内容の適切性を表明することになっております。これにはサステナビリティ情報も含まれますので、確認書に記載事項を追加することは重複となるため、必要がないものと考えます。
 7ページにつきまして、事務局案では開示手続の整備、及びその実行性の確認を追加記載するとありますが、宣誓者に追加の負担をかける可能性があるものと懸念しております。米国の宣誓書のような詳細な記載事項になれば、さらに負担が増えるのではないかと思います。一方で、今回の確認書に追加記載される事項の事務局案には、サステナビリティ情報の開示に関する場合の署名者の免責について記載がありません。そのために追加記載を検討するという議論だったのではないのでしょうか。
 8ページにつきまして、開示ガイドライン改正以外に考えられる対応としまして、確認書の記載内容を追加するのではなく、例えば業績見通しを開示している決算短信や米国の年次報告書を参考にするならば、将来情報の開示への対応として有価証券報告書に将来情報に関するリスクの注意喚起を項目追加して記載するのが適当ではないかと考えております。
 7ページに参考として示されています企業会計審議会内部統制部会の議論の中に、確認書において内部統制に関する記載の充実を図ることを検討すべきという記載がございますけれども、2023年4月の内部統制の意見書では、これを中長期的な課題として扱うことになったと認識しております。その後、同部会において、この議論が進んでいるか明確ではない中で、本ワーキング・グループにおきまして、セーフハーバーに関連して確認書を見直す必要性というものには疑問がございます。
 最後に、3点目は保証制度についてです。保証適用の義務化につきまして、前回のワーキング・グループでは一定期間はScope1、2のみとなっておりましたけれども、今回の資料21ページのロードマップでは、2年間はScope1、2、ガバナンス、リスク管理と保証範囲が拡大しています。米国ではScope1、2のみの保証で、ガバナンスとリスク管理の保証を求めてはいない状況を鑑みますと、我が国でも保証適用の義務化は当面はScope1、2のみにするのが妥当と考えるところです。
 また、この21ページのロードマップについてですが、文章の2つ目に保証水準は限定的保証からスタートすると記載されておりますので、図の中にも限定的保証から始まることが分かるよう明記いただくのが望ましいと考えます。
 以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして森内委員、御発言をお願いいたします。
 
【森内委員】
 ありがとうございます。私からは保証に関して意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、21ページに示されております保証制度のロードマップの全体像につきましては賛同いたします。その上で、13ページから方向性の案について幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、13ページの方向性の案の中で、監査法人に限定されないprofession-agnostic制度とする案に賛同いたします。また、サステナビリティ保証業務を公正かつ的確に遂行するに足りる体制の整備は重要であると考えます。
 14ページ、保証の質を確保することを目的とした保証業務実施者の登録制度導入は重要であると考えます。また、かかる目的のために監査法人であるか、その他の保証提供者であるかにかかわらず、義務・責任、倫理、独立性など、同等なものとすることが重要と考えます。
 なお、同等性の判断については、サステナビリティ保証に関連する国際基準に沿って客観的に判断をする仕組みが必要と思われます。さらに、これらに加えまして保証実施者の登録要件、履修すべき研修のプログラム、継続教育と評価の仕組みなどを制度上、同等にするということが重要であると考えます。こうした検討においては、先行しているフランスにおける保証実施者の登録要件、履修すべき研修プログラム、継続教育と評価の仕組みなどを参考に進めてはどうかと考えます。
 また、profession-agnostic制度においては、保証業務提供者が監査法人と監査法人以外の法人となるため、監査法人以外の法人の適格性の要件や検査、監督の仕組みの検討が必要であると思われます。この仕組みの検討についてもフランスの事例、すなわち、その他の保証提供者を認定しているCOFRAC(フランス認定委員会)という認定機関、及び認定という仕組みが制度上、どのような役割と責任を果たしているのかのほか、認定申請の要件、適用する認定基準、審査プログラムなどの詳細について情報収集し、参考とすることが有効ではないかと考えます。
 15ページ、保証制度の方向性の案の中で国際的な保証基準を参考にしつつ、我が国において保証基準を作成する方向性の案に賛同いたします。その際、参考にする国際基準にはISOが作成する適合性評価規格の中で、サステナビリティ保証に関連する国際規格も参考とするべきかと考えます。特に、JIS規格にもなっておりますISO17029、妥当性確認・検証機関に対する要求事項や、現在、策定が進んでおりますISO14019、サステナビリティ情報の妥当性確認・検証機関に対する要求事項などは参考にすべきISO規格と考えます。
 監査法人であるか、その他の保証業務提供者であるかにかかわらず、検査機関と自主規制は同じものにするという記載については、同じものにする手続や範囲のイメージが少し分かりにくかったと思います。品質の確保や義務・責任、倫理、独立性などを同等とする案は別途16ページで示されている中で、同じものとするものと同等とするものについて十分に議論していくことが重要と考えます。
 18ページで紹介されておりますフランスの検査監督制度では、規制当局であるH2Aが会計監査人とその他の保証業務提供者の両方を監督することとなっております。また、その他の保証業務提供者はH2Aによる監督に加えて、認定機関であるCOFRACに定期的に評価されるとなっております。このようなフランスの事例も参考に検討していくのがよろしいのではないかと考えます。
 最後に情報共有といたしまして、11月26日付で認定機関の国際組織でありますIAF(国際認定フォーラム)から、IAASBとIAFがLOIを締結したということが公表されております。このLoI(Letter of Intent)の中では、IAFに所属する認定機関がその認定活動において、ISSA5000及びその他のIAASB基準を適用することに向けた協力がうたわれております。こうした国際機関同士のコラボレーションの動きも適宜、今後の保証制度の方向性の検討に参考にしていくのがよろしいかと思います。
 以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。ほかに御発言はございますか。
 近江委員、どうぞ。
 
【近江委員】
 御指名ありがとうございます。24ページの議論いただきたい事項について意見を申し述べさせていただきます。
 情報利用者の立場からは、企業のサステナビリティ情報開示の取組が前進することが重要であって、セーフハーバーの導入がこれは後押しすることに期待します。一方で、開示情報の質に対する信頼性を保つために、虚偽記載の責任を負わない場合を明確化する必要があるということに同意します。セーフハーバーの対象としましては、まずはScope3排出量など気候変動関連が想定されますけれども、将来的には開示トピックが広がる方向にあることを考慮すると、これを見据えてのバリューチェーン情報を一般の対象とするということが望ましいと考えます。
 免責に関しましては、前回申し上げました誠実性というところが大事であると、また、合理的な根拠に基づく適切な検討がなされることを条件として、加えて確認書において開示プロセスの実効性の説明や内部統制への評価を求めることで、開示情報の信頼性を担保することは望ましい措置と、そのように考えます。
 保証の担い手につきましては、profession-agnostic制度により担い手の拡大を図りつつ、質の確保についての環境整備をサステナビリティ情報の保証に関する専門グループを設置して丁寧に議論する事務局案に賛成します。保証基準につきましては国際基準と同等以上となることに加えまして、あくまで原則として財務情報とのつながりの中でサステナビリティ情報を保証できることを念頭に議論を進めていただきたいと思います。この点において、例えば監査法人が専門性に応じてNon-PAを活用する案などを検討されることに期待します。
 保証範囲につきましては21ページのロードマップにおきまして、保証対象をScope1、2のみとする前回案から一歩踏み込まれて、ガバナンスとリスク管理に広げるとされていまして、ここの部分を評価いたします。また、3年目以降に保証範囲の拡大についても検討を継続する方針を明記されることで、国際水準に照らした日本企業の開示の信頼性を担保しつつ、企業の段階的な取組を可能とした事務局案を支持させていただきます。
 私からは以上になります。ありがとうございました。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして関口委員、御発言ください。
 
【関口委員】
 ありがとうございます。まず、全体として非常に前回と比べてリーズナブルな感じになったなと思いまして、本当に深くお礼申し上げます。
 6ページから申し上げまして、確認書の御提案もすごくいいんじゃないかなと思うんですけれども、現行の確認書を見てみますと代表者がいて、あと、最高財務責任者というのがあると。今は多分、サステナビリティ開示、CFO(最高財務責任者)が所管している場合もあればCSO(最高サステナビリティ責任者)が所管している場合もあると。ここで、もしCSOのような方が所管している場合には、その方の役職名とか、お名前とかを確認書に、書いていただくのがいいのかなと思いまして、その辺のところ、細かいんですけれども御検討いただければと思います。
 次に、セーフハーバーとかは御提案のとおりでいいんじゃないかなと思いまして、17ページに行きまして、今度は保証業務をやっていくに当たって、こういうことを同等なものにしていきましょうというので、これも非常にいい提案になっているなと思います。ただし、議論をお伺いしていて、割と言葉が少し違うんだなというのを改めて感じて、例えば登録要件のところでサステナビリティ保証業務を公正かつ的確に遂行するに足りる体制整備と、ここは同等という言葉が使われていなくて、これは意図が十分に分からないところがあります。例えば監査事務所等が遵守しているISQM1(国際品質マネジメント基準第1号)の規定ではアズ・ディマンディングという表現、日本語では同等と訳する言葉が使われていまして、そういう意味では、これも同じように同等ってしてもいいんじゃないかなと思いました。ただ、細かいところです。
 あと、保証業務の基準というのも、私なんかから見ると、ISSA5000を想定しているのかなと思ったんですけど、必ずしもそうではないというのも議論の中で受け止めました。この点、恐らく今後詰めていくんだと思うんですけれども、国際標準としては、これからISSA5000が中心になっていくんじゃないかなと思っていまして、そういったことも見据えながら今後議論を進めていくといいんじゃないかなと思っています。
 次に21ページに行きまして、こちらで今後のロードマップのようなことが示されています。これも前回の議論を反映いただいていまして改めて感謝申し上げます。その中で、保証の範囲をScope1、2に加えてガバナンス、リスク管理にされていると、これも前回の議論を踏まえたものだと思うんですけれども、この保証の範囲、今回、ガバナンスとかリスク管理まで広げているところで保証報告書にどうやって書いていくんだろうとかというのを内部でも議論しています。もし提案のようになるとすればですけれども、まだ必ずしも明確でない点もありまして、この辺はしっかりとテクニカルフィージビリティーというのを見極める必要もあるんじゃないかなと思います。
 例えば、ある人の考えでは、これは一つの基準でまとまってないといけない、もしかしたらJMIS(修正国際基準)みたいなガバナンス、リスク管理とScope1、2だけをセットにするような基準が必要なんじゃないかという人もいたりします。そうすると、かなり想定しているイメージとも違うんじゃないかなとも思っていまして、このテクニカルフィージビリティーをしっかり検証していって、それで決めていくというのが今後重要なんじゃないかなと思います。
 あともう一つ、国際的な情勢も、本日の会議でもいろいろお話ありましたけれども、かなり動いてきているというのがあります。このため、取りあえず、本日の議論を踏まえてテクニカルフィージビリティーも含めて検討していくとしても、国際的な動向等も踏まえて、もしかしたら改めて再整理する可能性もあるという点は意識しながらやっていくといいんじゃないかなと思っています。
 私から以上です。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして藤本委員、御発言をお願いいたします。
 
【藤本委員】
 御説明ありがとうございます。また、発言の機会をいただきありがとうございます。私も一通りコメントさせていただきたいと思います。
 まず、開示についてですけれどもセーフハーバー、それから確認書について、いずれも事務局の御提案に賛同しております。特に確認書においては、経営者が情報開示に対する責任というのを明確化する観点でも非常に重要ではないかと考えているところです。
 それから、保証についてもいくつかコメントをさせていただきます。まず、保証の範囲ですけれども、先ほど来、21ページ目のスライドでコメントが皆さんからあったところであります。前回のワーキング・グループの御議論も踏まえて、一定期間を2年、それからScope1、2からガバナンス、リスク管理に広げた点については賛同いたします。
 あと、3年目以降をどう考えるかということでございますけれども、前回も申し上げたように開示基準、SSBJ基準全体に対して保証を適用するということが、まず大原則と考えておりますので、保証範囲を限定すること自体、経過的な例外的措置になるのではないかと考えております。そういう観点からすると3年目以降、原則、開示情報全体の保証範囲を広げるような努力をしていく必要もあるでしょうし、一旦全体にするにしても実務的にはここが難しいということがございましたら、その部分は除外を検討するなどと、もう少し検討を進めてもよろしいのではないかと考えております。
 それから継続して検討となりますと、一体いつ、それを決めるのだろうかという話になってくると思います。作成者である企業様、それから保証業務提供者が将来、どういう業務を提供していくのかという予見可能性を高めていく上では、早期に検討を進めていく必要があるのではないかと考えます。
 それから保証の担い手についてです。前回のコメントを踏まえて適切におまとめをいただいていると考えております。その中で気になるところを少し申し上げさせていただきたいと思います。まず、13ページ目、保証制度の方向性ということで、保証の担い手が、一定の条件があれば監査法人に限定されないprofession-agnostic制度としてはどうかと書かれております。ここは保証の担い手についてということですので、特定の保証業務提供者を意図されているのかと読めましたが、そうではなくて、17ページ目のところで最後おまとめをいただいている、質の高い保証業務が提供されるために必要な環境整備、これが整って初めて条件が整ったと理解をしておりますので、その点はしっかり専門グループで御議論いただくのがよろしいと思っております。
 前回、私もコメントさせていただきましたけれども、このprofession-agnosticな制度にするのか、それは当然この環境整備が整った上でということが条件ですので、そういう観点でいうと今の段階でprofession-agnosticな制度とすることについては、前回反対と申し上げましたが、今のところ、まだ賛同しかねるところでございます。金商法下の有価証券報告書の開示制度ということで、財務諸表とのコネクティビティを踏まえたときにサステナビリティ情報の信頼性をどう考えるべきなのか、どのように担保すべきかということは考えていく必要があるだろうと考えております。
 それからいくつか項目がある、登録制度とか義務・責任、検査、監督、自主規制、この辺りは、もうそのとおりかなと思います。
 それからあと、保証基準、私もこの点を気になっておりまして、先日ISSBからもISSA5000が公表されておりまして、グローバルから見たときの理解のしやすさの観点からはISSA5000を適用すべきであると考えています。また、我が国で保証基準を開発する場合においては国際的な保証基準を「参考にする」と書かれていますが、ここは「整合的な」保証基準をつくるべきではないかと考えております。
 それから最後、今後の検討の進め方ということで、22ページ目のところに示していただいているのはそのとおりかと思いますが、専門グループの位置づけでございますね。こちらはワーキング・グループからの委託という形なのか、それとも専門グループに決定権があるのかどうかとか、この辺りを確認できたらと思っております。先ほども申し上げたように、profession-agnosticな制度を前提とする場合に社会的なコストとか、コストの負担等も検討をそこでしていくと思いますが、そこで、なかなか現実的にこれ、難しいですねというような結論が仮になんですけれども出てきたときに、また、このワーキング・グループに戻って、本当にprofession-agnostic制度として大丈夫なのかという方向の議論もあると思っています。この辺り、専門グループの結論をどのように取り扱うのかということについては改めて確認させていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございます。専門グループについては、今ではなく改めてということでよろしいですか。
 
【藤本委員】
 もしよろしければ、お答えをいただければと思います。
 
【神作座長】 
 事務局からお願いします。
 
【野崎企業開示課長】
 本日の御提案自体が、この専門的なグループを設置して御議論していただくこと自体を御提案させていただいているところでございまして、我々事務局の想定としましては、専門的な御議論いただいた後にもう一度、こちらのワーキング・グループで、それを踏まえて確認いただくということを想定してございます。
 
【神作座長】
 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、浅川委員、御発言ください。
 
【浅川委員】
 御指名いただきましてありがとうございます。私からも御議論いただきたい事項の3点に従ってコメントさせていただければと思います。
 初めにセーフハーバーに関する論点ですが、基本的には御説明いただいた将来情報やScope3等にセーフハーバーを設定する案に賛同いたします。また、具体的な案として、開示ガイドライン等を改正して明確化するというところについても賛成いたします。明確化に当たって、例えば将来情報、ISOでは温室効果ガスの削減計画の具体性、実効性などを妥当性確認ということで実際に確認しているようなケースもございますので、そういった枠組みなども参考にして、ガイドラインをつくられるといいのかなと思っております。いずれにしましても将来情報やScope3のサプライチェーンデータは実施された場合と当初の想定との間で当初想定され得なかった差異というのが発生しやすいと思いますので、それに対するセーフハーバーというのは必要なのかなと思っております。
 また一方で開示ガイドラインを見直して明確化するというときには、その内容については、またいろいろ各方面の御意見等も踏まえて決定していくことが大事かなと思います。
 次に確認書に関する件、方向性ですが、こちらについても基本的に御説明いただいた内容に賛同いたします。非財務情報は、これまでの財務情報とは異なって様々なデータソースや出自がありますので、それらに関わる事項についても一定程度、範囲、責任を明確化しておくのは保証制度上、重要な点ではないかと思います。ただ、実際にどこまでどう書くかというのは今日もいろいろなご意見があったかと思いますので、また意見をいろいろ踏まえて決定されるとよろしいかと思います。
 3点目の質の高い保証業務が提供されるために必要な環境整備を前提にサステナ保証制度のロードマップに沿った制度としていくところにつきましても、基本的に賛同いたします。実際、ロードマップ、ほかの委員の方からもお話ありましたが、3年目以降については海外の動向ですとか実際のニーズも踏まえて、どのようにしていくのかというところは検討されるとよろしいかと思います。
 また、そのロードマップを実現するための必要な環境整備ということで、各要素を御提示いただきましたが、こちらについても賛成いたします。また、それを専門グループということで議論を深めるところについても賛同いたします。大切な点は、保証の担い手の議論によって監査法人系か、その他の保証業務提供者かということだけではなくて、サステナビリティ情報に係る審査の質や倫理、独立性、あるいは登録要件、監督の在り方、必要な力量等というのはどんなものなのかというところで、この専門グループでの議論が深められるといいのではないかなと思います。
 私からは以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして、オンラインで御参加の小林委員、御発言ください。
 
【小林委員】
 小林です。本日はオンラインで失礼いたします。私からは3点。
 まず、1点目の情報の開示におけるセーフハーバー、確認書ともに、事務局の提案はセーフハーバーと確認書両方のバランスがとれていてよいと思いますので、これについては賛同いたします。
 それから2点目、保証範囲について、ここも情報開示における確認書、セーフハーバーのところとのバランスでガバナンス、リスク管理を入れていただきまして、これで私も全体のバランスがよくなってきていると思いますので、これも賛同いたします。
 3点目ですが、17ページの、最終的には専門グループで議論することについては、この方向でお願いしたいと思いますが、一点、18ページに書かれている部分が自然人としての個人の責任なのか、法人の責任なのかが不明瞭ですので、この点を明確にしていくことと、先ほどのprofession-agnostic制度と関連しますが、フランス、ヨーロッパと比べて、そもそも日本はこうした専門家の層がまだまだ薄いと考えます。そのような状況で単純にフランスですとか欧州の制度をベースにしてつくるのでは、恐らく日本での質の担保はなかなか難しいと思いますし、あるいは十分な人の確保も難しいと思います。専門グループでの議論に際しては日本の現在の実態を十分に認識した上で、どういった制度にするのがより保証の品質を高めるのかを考えて、制度設計をしていただきたいと思います。
 以上3点です。簡単ですが、よろしくお願いいたします。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして、会場に戻りまして芹口委員、御発言ください。
 
【芹口委員】
 御指名いただきましてありがとうございます。そうしましたら、24ページの御議論いただきたい事項につきまして順番に、特にコメントがある部分について申し上げます。
 まず第一に、開示における論点の2点目の確認書についてでございますけれども、御提案の方向性に賛同いたします。サステナビリティ情報は法的開示の導入段階にあり、また、財務情報と異なる性質の情報を多く含むため、情報開示を行うための体制が整備されることが必要だと考えております。今回は7ページの3点目に記載されておりますとおり、確認書の記載内容の拡充を御提案いただいておりますが、このように開示について一定の社内手続が整備されていることを企業の代表者等に言及いただくことで、信頼ある情報開示を行うための体制構築が進むことが期待されます。
 確認書の記載の見直しにつきましては、7ページの参考に記載されておりますとおり、以前から財務報告の質を高める観点で提言が行われてきたと理解しております。米国の経営者による宣誓は虚偽記載がないこと、財務諸表の適正表示など広範囲にわたっていると認識しております。こうした米国の制度などを参考にして確認書の記載を充実していただくことは、財務情報とサステナビリティ情報の質を高める観点で利用者にとって望ましいと考えております。
 また第二に、保証制度につきまして、まず、保証の範囲についてでございますけれども、制度の導入時点でガバナンスとリスク管理を対象に追加をして、また、一定期間を2年間と明確化していただいております。前回コメントさせていただいた件でございまして、ありがとうございます。この点は賛同いたします。
 今回の御提案では3年目以降の保証の範囲について継続して検討とされておりますが、前回お伝えしましたとおり、利用者といたしましては基本的には全ての情報を保証の対象にしていただきたいと考えております。一方で、監査制度において参考にしてきた米国、英国などの見通しが現時点では固まっておらず、もうしばらく様子を見るということも理解できます。このワーキング・グループで引き続き議論を行って最終報告書に検討の結果がきちんと明記されるということであれば、現時点では継続検討として保留にすることでよいと考えております。したがいまして、もし、このワーキング・グループで中間報告書などを御作成されるのであれば、今後考慮すべきポイントなどを明確化しておくことで議論が確実に行われるようにお願いしたいと考えております。
 続きまして、担い手につきましては前回、職業にとらわれない基準というコンセプトに賛同いたしますが、その大前提として同等かつ高い品質を確保するための体制が必要であるということをコメントさせていただきました。今回は17ページの必要な環境整備の中で、義務・責任、倫理・独立性、検査・監督・自主規制について、監査法人かどうかにかかわらず同等にするということを示していただいておりまして、御提案に賛同いたします。
 一方で、財務情報とのつながりを保証できる体制が必要であることも前回お伝えいたしました。今回の御提案では17ページの登録要件に、「保証業務を公正かつ的確に遂行するに足りる体制整備」が示されております。詳細につきましては今後専門グループでの議論になると思っておりますが、財務情報とのつながりについて保証がなされるように制度として明確化をお願いしたいと考えております。
 私のコメントは以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして吉元委員、御発言ください。
 
【吉元委員】
 御指名いただきありがとうございます。私からも御議論いただきたい事項に沿って3点申し上げたいと思います。
 まず、セーフハーバーについてですが、法律改正の要否も含め適用対象や要件について引き続き検討していく事務局案に賛成いたします。ただ、3ページの方向性については前回も少しコメントさせていただきましたとおり、Scope3の性質に照らすと要件が少しまだ厳格に過ぎるのではないかと考えています。特に開示内容が一般的に合理的と考えられる範囲であるという要件については、開示検討プロセスの合理性だけではなく開示の内容ですとか、結果についての合理性までを要求している点で懸念がございます。発行会社に萎縮効果が生じないようSEC規則案も参考にしつつ、開示検討プロセスの合理性のみをセーフハーバーの要件とするとか、挙証責任の転換というようなことも御検討いただければと思っております。
 次に、確認書についてです。現状で既に有報の記載内容全体につき適正に記載されていることを確認する制度となっているので、記載事項の追加は不要ではないかと思っております。確認書につきましては財務情報開示にも関わる論点であるため、検討は慎重に行っていただくのがいいのではないかと思っております。
 なお、仮に記載事項を追加すると想定した場合でも、7ページの事務局案のうち、開示手続の整備と開示手続の実効性の確認という要件については、少し実務の観点から懸念があるところでございます。恐らく、これらはSOX法第302条のサーティフィケーションにおける記載を参考にされたものなんだろうと理解していますが、SOX法第302条で宣誓が言及されているディスクロージャー・コントローラー・アンド・プロシージャーはSECルールでその要件が定まっています。
 当社含めて米国上場企業はDCPというものはきちんと整備済みなわけですが、他方で日本においては開示統制の仕組みについての法令上の明確な要件化がされておらず、実務でのコンセンサスもまだ確立しているとは言い難い状況ではないかと思っています。そのような状況下で、それぞれの会社がある意味、自由に開示手続を整備しているんだと、実効性があるんだということを宣誓することが投資家にとって本当に有用なのか、疑問もありますし、その反面、発行会社の代表者に過度な責任を課すことにもなりかねないのではないかと思っています。確認書での宣誓の議論をするのであれば、その前にあるべき開示手続について検討がされるのが流れなのではないかと思っております。
 最後に、保証制度の方向性についてです。21ページのロードマップ案、及び22ページの専門グループで議論を深める方向性については基本的に賛成いたします。ただ、保証範囲にガバナンスとリスク管理を含めるという上では、サステナビリティの概念の外縁が不明確であること、また、会社によってもサステナビリティというものに何を含めるかが様々であることを考えますと、その辺の不確実性みたいなところを考慮して議論していく必要があるのではないかと思っております。今後、専門グループ含めて保証基準や保証業務提供者の義務等に関する検討を進めていただく上で、保証業務提供者や発行者に過度な負担を強いるような、そういう制度設計にならないよう十分な配慮をお願いしたいと思っております。
 以上です。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして清原委員、御発言をお願いいたします。
 
【清原委員】
 ありがとうございます。今回は前回からの続きであるセーフハーバーのところについては、引き続き法律改正を含む検討していくことの必要性、検討すべき論点についてどう考えるか、というように少し広めの問題の設定をされているので、考え方の整理のようなところを含めて法律家として少しコメントさせていただければと思っております。
 そもそもセーフハーバー、をなぜ議論しているかということ、この点を含めて少し立ち返って考える、結論に先に飛びつくというより、そこも含めて考えたほうがいいかなと思っておりますので、僭越ながら、私なりの整理もコメントとして述べさせていただきます。
 開示の充実を考える上で不確実性がある将来情報だとか、統制が及ばない第三者の情報、これに対して企業側が負うべき責任というのはどういうものかということ、そういう意味での企業にとっての懸念、これをしっかりと考える。それで今まであった記述情報よりも、このサステナビリティ情報というのは性質がかなり大きく違っている。この中で本当に法的責任というのはどのようなものであるといいのかということは1度議論をしなければいけないだろうと思われます。それが今回なのか、今後なのかというところはまた別途考慮だと思うのですけれども、そういうところをまず踏まえる必要があるのではないかと思っております。
 その際、端的に申しますと、今までの財務情報の開示ですと、短期か、そうじゃないかというのでいうと1年以内かどうかぐらいのイメージだろうかと思います。それがサステナビリティですと長期になるし、目標とかを設定した上で進めていくにしても今までなかったものをやっていくものもある、それから財務的影響のところに関しては私が気になっている点として財務的影響について会計基準のような特に基準があるではないですし、どういうふうにその数字というのはそもそも算定して、それをどういうふうに保証するのかというところは、正面からあまり議論してきていないのではないかと思われます。そのような中で、保証の対象として全部入れたほうがいいという議論、もちろん、あればいい、望ましいというのはそうなんですけれども、具体的に本当にどうするかというと結構大変な問題もたくさんあるように思われ、そんなに今すぐに結論が出せないのではないでしょうか。
 失礼があるといけないのですけれども、ヨーロッパもかなり進んでいるとは言っても、かなり急ぎ足であり、行き過ぎているかもしれないので、日本が全く同じでいく必要があるのかどうか。もし仮に揺れ戻しがあったときに、同じところで引きずられてまた戻るということがあると、それはおかしな話ではないか。日本が遅れているかどうかということよりも、中身をしっかりするだとか、この議論もしっかりしなければいけなくて、国際的な競争というときに、日本のよさというものは何かということをも踏まえて、慎重に我々はどうするのかをしっかりと考えておかなければいけないのではないかと考えるところでございます。
 法的責任のところ、セーフハーバーのところで、なぜそのような責任の規定があるかといえば信頼性の確保であるので、信頼性を確保する上で、企業の責任はどうあるべきかという、そういう議論の設定から考えるべきだろうと思われ、企業サイドで開示情報の信頼性を確保できるような体制をどのように整備しているか、これを透明性を高めた形で開示していくこと。それは今回のワーキング・グループでの議論の資料の中にもまとめてありますけれども、ここは重要なところだと思います。
 その点について、有価証券報告書において、開示に至るプロセスの記載というもの、これをしっかりやることは重要で、それは内部統制の一部という面でもありますけれども、特にサステナビリティ情報に関しては不確実な情報をどのように開示しているか、今あるサステナビリティ開示のところで求められているガバナンスというのは、開示におけるガバナンスだとか統制の話じゃなくて、リスク管理もガバナンスもサステナビリティに関するものですので、開示プロセスに至るところについても、似ているけれども違いを踏まえて分けて考えた上で、そこの部分についてしっかりと整備されていることが分かるような、そういった開示制度を、また開示の項目というものを議論していく必要があるではないかと考えています。
 戻りますけれども、法的責任のところでいうと、ここは踏み込み過ぎかもしれないのですが、セーフハーバー・ルールという言葉の使い方について、法的責任を開示ガイドラインなどでいじれるのかというか、そういうことを考えると実は開示ガイドラインだけでは足りていないということは明らかで、刑事裁判だとか民事裁判が起きたときに開示ガイドラインにこう書いてあるからといっても、裁判所の判断を拘束するわけでないのは、これは皆さん、御案内のとおりだと思います。
 法律でも府令でもないし、その意味でいうと、ある意味で指針にとどまることからすると、本当に法的責任の範囲を画するという議論をするのであれば、そこは正面から取り組むことが適切だといえます。そのこともあって第3回のワーキング・グループのペーパーでは、いわゆるセーフハーバー・ルールと、「いわゆる」をわざとつけて記載しておられたものと理解しており、そういうことが背景にあると思っています。
 そういったことを諸々考えていったときには、法的責任の在り方は、法律上のところでの規定として、どこまで何を規定しておいて、その後、ガイドラインでどういうことを規定したら企業にとっても不安感が払拭され、企業としても予測可能性、明確性というのが確保されるか、それに基づいて行為規範、どういうふうに企業としても行動していくべきかが分かると、こういう流れになってくると思われますので、ここは丁寧な議論をすることが必要で、その機会をどこかで設けていただければと考えているところでございます。
 次に確認書のところですが、確認書は、現状、どれぐらい投資家を含めて有用だと思われているのか、ここの問題意識というのは、委員の皆さんはお行儀が良い方が多いのでおっしゃらないのですが、今のままではあまり意味がないのではないかという議論は弁護士会での研究会などで出たりするところです。これを有意義なものとするためにどうするのか、もしくは確認書ではなくて、ほかの制度がいいのか、そういった観点も含めて検討していくのがよいのではないかと考えます。
 事務局の御議論いただきたい事項のところにあるような、代表者等の役割と責任、これを明確化することは、これは重要なことですが、ただ、それを確認書に書くのか、それとも有価証券報告書の中でそこのところがはっきりするような記述の在り方を考えるのがよいか、これは両方あるのだろうと思っています。
 次に、現在より重要な点は、確認書制度が導入された頃よりも日本企業のガバナンスが進んでいる、特にガバナンスとして取締役会の監督機能というのが重視されている中で、この確認書だけですと取締役会の監督機能のところが出てこないことにもなってしまいます。そのことを考えると、サステナビリティ情報の開示の記載欄のところに、例えばですけれども、そこの記載内容、開示内容に関する取締役会の関与の在り方、監督の仕方というところまで踏み込んで書かれるようなことになるのであれば、それは投資家としても安心感が高まると思います。
 取締役会としても、経営上、重要な情報であるサステナビリティ情報、かつ投資家にとっても重要な情報だということを意識した上で取締役会の活動、審議ということが行われる、そういったほうに実務が進んでいくことにつながれば、それはプラスになるんではないかと考えるところです。長くなりましたが意見を述べさせていただきました。ありがとうございました。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして弥永委員、御発言ください。
 
【弥永委員】
 ありがとうございます。私も清原委員と共通した問題意識を持っておりまして少し述べさせていただきたいと思います。基本的には事務局の提案に私は賛成なのですけれども、特に確認書に虚偽記載をしたときのサンクションといったものを考えると、このようなことを書かせることにどれぐらい実効性があるのかというのは非常に気になっているところです。清原委員がおっしゃっていたように、どのように開示手続を整備しているのかということを有価証券報告書などで記載していただくほうが、むしろ直截なのではないかという印象を受けたところでございます。
 すなわち今回も御提案いただいている、とりわけサステナビリティ情報との関係で申しますと、いわゆるセーフハーバーが問題になるわけですけれども、セーフハーバーを認めるにあたっては恐らくその中核をなすのは適切な開示の手続が整備されていて、それが有効に運用されていることが前提になっていると思います。したがって、それはセーフハーバーの前提として、それは当然、企業として整備しなければいけない、その運用を有効なものにしなきゃいけないものなので、有価証券報告書自体などで記載することが必要なのではないか思います。これまでの内部統制報告書とパラレルな面も持っているのではないかと考えました。
 2点目は、後半の保証制度との関係でも、事務局の提案に基本的に私は賛成です。けれども、ただ、少し気になっているのはヨーロッパのCSRDとの関係での免除などとの関係で、日本の保証基準あるいは保証についての様々な体制が見劣りすると見られるのは、それは避けなければいけないのではないかと考えておりまして。
 その意味で既に他の委員の先生の皆さまも御指摘のように、ヨーロッパにおいて、とりわけフランスにおいては、私が知っている限りでは、財務諸表の監査とサステナビリティ情報の保証とで、その実施について共通のルールが適用されているので、我が国においていろいろな課題はあるとは思いますけれども、ぜひ保証業務の実施能力、そして独立性、倫理、こういったものについて同等のルールを設け、かつ、それが適切にエンフォースされるような体制を早いうちに整備していくことを進めていただければと思った次第です。
 以上です。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 以上で対面の参加者全員の方から御発言をいただいたと思います。ありがとうございます。オンラインで高村先生と永沢先生が御参加くださっています。御発言がございましたら、おっしゃっていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 
【高村委員】
 それでは高村、発言させていただいてもよろしゅうございますか。
 
【神作座長】
 高村先生、お願いします。
 
【高村委員】
 ありがとうございます。前回のワーキング・グループの議論を踏まえて、今回事務局、御提示いただいた案というのは、前回のワーキング・グループの議論を踏まえた御提案にしていただいていると思っております。それに基本的な方向性について異論はございません。
 私から大きくは1点、発言をさせていただこうと思いますけれども、これは芹口委員が先ほど御発言された趣旨と近いのではないかと思いますが、今回、保証の範囲についてScope1、2だけでなくガバナンス、リスク管理まで広げていただいております。その後の範囲の拡大については3年目以降、国際動向等を踏まえて本ワーキング・グループにおいて継続して検討としていただいております。これ、実際に開示される企業の側からも利用される側にとっても、あるいは保証される側にとっても、この3年目以降、これがどうなっていくかという見通しがある程度、示されることは必要だと思っております。
 基本的にSSBJでつくっている開示の基準というのは企業、投資家にとって有用な情報であると思いますけれども、本日、その意味では開示された情報についてはできるだけ広範に保証の対象としていくという、そうした基本的な考え方を明確にしつつ、先ほど清原委員ほかからもありましたように、実際に情報の信頼性を確保する上で保証がどのような形で可能か、あるいはフィージブルなのかということを確認しつつ、具体的な範囲を拡大していく、あるいは、どう対象にしていくかということを検討していくこのワーキング・グループ自身の検討課題のロードマップが必要ではないかなと思っております。その意味で、この1点について御発言をさせていただければと思います。
 以上です。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 永沢委員はいかがでしょうか。
 
【永沢委員】
 遅くなりまして申し訳ありません。個人投資家という立場から、一言、発言させていただきます。
 まず事務局から御議論いただきたい事項の1つ目に関しましては、そうですね、サステナビリティ情報は投資判断にとって大切ではありますし、こうした情報について正確な情報が提供される体制が保証されることは大変重要なこととは思いますけれども、すでに他の委員の先生方がおっしゃっていたようでしたが、サステナビリティに何を含めるのかというところが、現状、企業によってばらつきがあるように感じております。この部分についての議論が十分になされないまま先に進んでいって大丈夫なのか、その点は私も同感です。
 また、開示いただく企業の側の懸念が強く、躊躇されるような状況が生じることは最も困るわけです。その観点から、ガイドラインという中途半端なもので大丈夫なのかというご意見が出ておりましたが、私も同感です。
 最後の保証制度のスケジュールのところでございますが、ロードマップを示していただきましたことで、多くの企業が、何をすべきなのか、どの程度まですべきなのかを、おおよそ見通すことができたのではないか、その点は前進であろうとは思っております。その一方で、最終の目標として2030年代にプライム全企業に適用義務化と書かれておりますが、一般に、時価総額の大きい企業は売上や利益の大きい企業であり、非財務情報の開示にかかるコストが追加的に増えても十分に吸収できると思いますが、プライムの企業の中には規模の違いが相当あります。2030年代に入るまでに、非財務情報の開示にかかるコストというものがどれぐらいかかるのかという具体的な数字を公表していただくとともに、こうした開示に関して追加的に発生するコストをどのように下げていくことができるのか、そのための取組も積極的に進めていっていただく必要があるのではないかと、株主の立場からは思います。正確な開示が必要なことは言うまでもありませんが、だからと言ってコストがどんどん膨らんでいってしまうようなことがあると、サステナビリティ開示を支持する動きがプライム市場の全企業のところにまで下りていかない、中には、上場をやめておこうかということになってしまう企業も出てくるのではないかと、その点が懸念されるところです。どの程度の開示費用が追加的にかかるのか、こうしたコストをどうやって引き下げていくのかということも、ロードマップの中に取り組み目標として入れていただくことを期待したいところです。
 私からは以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。本日御参加の委員の皆様から御発言いただきました。どうもありがとうございました。
 ここでオブザーバーの方々で、もし何か御意見や御発言の希望がございましたらお受けしたいと思います。
 それでは、経団連の魚住さん、お願いいたします。
 
【日本経済団体連合会】
 ありがとうございます。このような貴重な機会をいただきまして大変恐縮でございます。
 このサステナの情報に関しましては企業の御関心が非常に高く、また同時に懸念も非常に大きいところでございまして、多くの企業の皆様から意見を頂いているところでございます。それを踏まえまして、多少重複ございますけれども何点かコメントをさせていただきます。
 まず、セーフハーバー・ルールにつきまして、こちらの開示された情報につきましては投資家がどのような形で御利用になっているのか、まだその辺りが不透明なところでもあるかと思います。実務の定着がまだ見られていないところかと思いますので、企業にとってはコストをかけながら開示していくという模索をしているところでございますので、見積りとか不確実な要素を多く含んでいるサステナビリティ情報、こちらの性格を鑑みますと、厳格なエンフォースメントにはなじまないであろうと考えてございます。投資家が積極的に安心して開示ができるようなセーフハーバー・ルールの充実、これが必要不可欠であると考えてございます。その意味ではSEC規則案にあるような、より具体的な文言で明記をしていただきたいと考えてございます。
 また、確認書につきましては、現行の記載で基本的には十分ではないかと作成者側としては考えてございます。仮にこれを何らか見直すということになりました場合には、そもそも、どういう背景でこの確認書の制度が導入されているのか、そのときの背景並びに、現在までの状況の変化、そういったものを踏まえつつ、では、内部統制とサステナビリティ、それぞれの位置づけについてどのように考えるか、こういったものを再整理していただく必要があるのではないかと考えてございます。
 続きまして、保証制度に関しましてでございます。ある程度、Scopeを絞っていただくことの考え方自体には方向性として賛同させていただきますし、また、専門グループを設置することも賛同させていただきます。その際、当然、諸外国の動向というものを制度だけでなく実務がどのようにワークしているのか、そういったところもぜひ踏まえていただきたいと考えてございます。国際的な整合性の確保というところが重要であろうと思います。
 また、2段階開示、現行のロードマップのところでもお示しをいただいておりますけれども、ここで2段階開示を容認する項目が何であるかという、そういった具体的なところを企業側としては非常に気にしているところでございますので、情報の差別化という、同時に開示すべき項目と後から開示してもよい項目、そういったところの線引きをしていただけると大変助かるなと思っております。
 また、適用初年度のみならず、実務慣行が落ち着くまでに、これは単年度だけで終わらないのではないかという懸念もございますので、そこは多少、落ち着くまでの間の猶予期間というところで複数年というところを選択肢として残していただけると助かるところでございます。
 あと、保証の担い手につきましては、現在も専門家の利用という監査の実務がございますので、そういったところを踏まえていただいて範囲の拡大というところで、制度設計上は考えていただくことがよいのではないかとは考えてございますけれども、基本的には財務諸表監査と同一の担い手の方にやっていただくのがコスト的には非常に効率性が高いと考えてございます。
 また、保証の範囲のところでございますけれども、これは開示側も保証する側も双方にとって過度な実務負担が生じないような形で、より具体的に手続を定めていただいてワーカブルなものとしていただくことが重要ではないかと考えてございます。
 このロードマップ上では開示と保証のタイミングが1年ずれる形でお示しをいただいておりますけれども、そうなりますと実務にとって、どういう違いが出てくるかなというところはあるかと思いまして、できることならばセットで義務づけをしていただいたほうがよいのではないかと考えてございます。また、実務上で先ほど委員の御指摘の中でもいろいろな選択肢というか、どういう開示になっているか、ステータスが分かれてしまうという御指摘があったかと思いますので、そういった混乱をなくす意味でもセットにするのは一つのアイデアではないかと考えてございます。
 簡単ではございますけれども、私から以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本公認会計士協会の太田さん、御発言ください。
 
【日本公認会計士協会】
 発言の機会をいただきありがとうございます。日本公認会計士協会の太田でございます。私から、サステナビリティ保証についてコメントさせていただきます。
 日本公認会計士協会といたしましては保証品質の確保、これを達成するためには保証の提供者は監査法人であるべきで、また、監査法人はサステナビリティ保証を実施する能力、意思、これがあると考えております。当協会では職業規範の整備、専門的な能力の開発、監査事務所に対する品質管理の状況の確認などを通じて公認会計士業務の質的水準の維持向上を図っておりますので、今後も高品質な保証業務を提供するプロフェッショナルといたしまして重要な役割を担ってまいりたいと思っております。
 保証基準についてでございますけれども、先日、IAASBより公表されましたISSA5000、これが国際的な保証基準として適当であると考えております。このISSA5000は透明性があるデュープロセスの下で作成されているなど、信頼性のある保証基準だと考えております。
 今後の専門グループでの検討ということについて異論はございませんけれども、具体的な論点を検討していくことに当たりまして関連する業界団体等にヒアリングを行うといった対応も御検討いただきたいと考えております。
 私から以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 続きまして、オンラインで御参加くださっております関西経済連合会の方、どうぞ御発言ください。
 
【関西経済連合会】
 ありがとうございます。御議論いただきたい事項に基づきまして3点申し上げます。
 1点目は、資料2ページのセーフハーバーについてです。今回示されました開示ガイドラインの改正案は前回ワーキング・グループと同じ内容で修正はない認識でおりますが、SECの改正案に比べ、具体性という点でScope3についての十分なセーフハーバーになっていないという懸念があります。例えば2022年3月のSEC規則案は、当該開示が合理的な根拠なく行われ、または誠実に開示しなかったことが証明されない限り、不正な記載ではないとみなされるという内容となっています。今回の案はScope3の開示に問題がないと説明する責任が作成者側にありますが、セーフハーバーを十分に機能させるためにはSEC規則案と同水準にするべきではないかと考えます。
 SEC規則案は今後この議論を進める上で有用な参考情報となりますので、第3と第4回ワーキング・グループで参考として記載されていましたアメリカのSEC規則案や、英国の会社法の取組事例が今回の資料には掲載されておりませんが、今後は掲載するべきだろうと考えております。
 また、セーフハーバーにつきましては欧米の事例を参考に客観的な分析が必要でありますが、我が国においてもガイドラインの改正だけではなく、今後は法制化も視野に入れて議論することが重要であると考えます。
 次に、2点目は確認書についてです。前回、今回と委員の方々からも確認書の記載事項を追加する必要性について疑問の意見がございましたが、確認書については、現行は有価証券報告書全体について記載内容の適切性を表明することになっております。こちらにはサステナビリティ情報も含まれますので、確認書には記載事項の追加は不要と考えております。
 3点目は、サステナビリティ保証制度についてです。保証業務の担い手の登録要件や自主規制機関の役割については専門グループにて議論すると伺っておりますので、保証の範囲や水準等、概観的な視点から申し上げます。
 保証適用の義務化について、前回ワーキング・グループの「一定期間はScope1、2のみ」から、今回の資料21ページのロードマップでは「2年間でScope1、2、ガバナンス、リスク管理」と保証範囲が拡大されております。アメリカはScope1、2のみの保証を求めており、ガバナンスとリスク管理については保証を求めていない状況を考慮しますと、我が国も当面はアメリカの保証を上回る保証を求めるのは適当ではないと考えております。Scope1、2のみの保証であれば、監査法人だけではなく、その他の保証業務提供者でも対応できる可能性が高いと想定されます。その観点から言えば、保証適用の義務化については「当面はScope1、2のみ」とするのが適当であると考えます。
 この資料21ページのサステナビリティ保証制度のロードマップについて、開示適用義務化の初年度だけ2段階開示可で、2年目から同時開示を求めておりますが、実務対応が困難になる企業が発生する可能性が高いと想定されます。実務的な準備期間を考慮すると、同時開示は2段階開示可の年度から少なくとも2、3年後にするのが妥当であり、可能であればアメリカのように期限なしとするべきと考えます。アメリカのScope1、2の開示について年次報告書の提出後、一定期間経過後の報告が認められています。このようなアメリカの事例を参考に、もし将来的にScope3開示が求められるようになった場合には、我が国においてもアメリカのような取組が適切な対応になると想定しております。
 同じページの2つ目の四角で、保証水準は限定的保証とし、今後、合理的保証への移行の可否について検討と記載いただいた点は感謝申し上げます。この点から申し上げますと、その下のロードマップの図においても限定的保証からスタートすると明記する必要があると考えます。
 最後に全体を通じて申し上げますと、様々な課題性は十分に理解しておりますが、サステナビリティ情報の開示と保証についてはコストベネフィットの観点からきちんと分析し、検討することで実効性を伴った議論ができるものと思っております。
 私からは以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 いつも時間が押してしまいますけれども本日はまだ少し時間が残っておりますので、これまでの委員の方々の御発言、あるいはオブザーバーの方の御発言等を踏まえて、追加の御発言がございましたら2回目のご発言をお願いします。いかがでしょうか。
 清原委員、お願いいたします。
 
【清原委員】
 ありがとうございます。保証に関して、先ほどコメントをしなかったところもありますのでお時間いただければと思います。
 保証制度のところについて、21ページのロードマップについてはよいと思っているのですけれども、少し確認をしたいと思っていますのが保証範囲に関してです。ガバナンスやリスク管理の保証というと定量情報じゃなく、定性情報ですので、どういう保証になるかということをイメージがしづらいというのがございます。
 これは、内部統制の監査のようなものでは恐らくないんだろうとは思うのですけれども、どういったものが具体的に保証として想定されるのでしょうか。例えばですけれども開示基準に準拠した記載がなされていのかどうかですとか、適正性の保証なのかどうかとか、そういったところも含めて範囲について明確にしていく上で、ここも考えておくことが必要ではないかと思います。1点、まず質問をさせていただければと思います。
 次に、結構、保証に関して重要かなと思う点について、参考資料の23ページですけれども、IOSCOの「サステナビリティ報告の保証に関する報告書」というものが要約的に載っていて、ここで現状の実務だとか課題というものの記載があったりするので、これは非常に参考になるもので、議論をする上でもこういった点の手当てが必要ということを認識する上でも確認しておきたいと思っております。
 その中で2番目、3番目のところが重要なのではないかと思います。まず、データの品質、将来予測情報の信頼性、財務諸表等のコネクティビティ等の利用における改善が必要とあり、これがどういった形でこれから進められていくのかということも、ワーキング・グループの中で、もしかすると今後議論が必要かなというところありますので、期待ということを込めて言及させていただければと思いました。
 次に、一番下のところは保証に関する情報の透明性確保ということがあって、これは保証が法定保証ならいいんですけど任意の場合、どういう保証なのかということ、これも透明性を確保すること、前回もコメントはしているんですけれども、任意で保証を取っているというような言及だけをされてしまうと、あたかもその情報について信頼性があるんだということだけを具体性なく記載することになるので、そこは投資家をミスリードしないような注記のようなものをしっかりと求めるルールを開示制度の中で入れていっていただければと考えているところがございます。
 それから前回、私から独立性のところをコメントさせていただいたんですが、保証業務の実施者もしくは提供者、その独立性をガバナンス上、どう確保するか。これは法改正をしないと制度面ではなかなか難しいところがあるかと思われるので、できれば将来的にコーポレートガバナンス・コードなどでの手当の場合も含めて、ほかの場所になるところですが、そういったところの必要性というものも御認識いただいて御検討いただければと考えているところであります。私からは、以上です。
 
【神作座長】
 ありがとうございました。保証の範囲とガバナンスについて御質問があったかと思いますが、まずは事務局にお答えいただき、その後、もし委員の方にも御意見があるかもしれませんので、御発言がございましたら、ぜひおっしゃっていただければと思います。
 それでは野崎さん、お願いいたします。
 
【野崎企業開示課長】
 保証の範囲につきましては例えばガバナンスとリスク管理ということにつきまして、今、資料の11ページで現行の規定ではございますけれども、ガバナンスというのはサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続と、リスク管理につきましてはサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、管理するための過程をいうとございます。
 これについてSSBJ基準において、どういったものの開示が求められるのかというところの基準案が公表されてございますので、開示しなければならない事項に沿って適切に開示がなされているかというところをまずは御確認をいただくことを想定してございます。
 
【神作座長】
 清原委員、よろしゅうございますか。
 
【清原委員】
 準拠性だという趣旨でおっしゃったという理解でよろしいでしょうか。
 
【神作座長】
 あるいは今の点につきまして、ほかの委員の方からももし御発言がございましたら。それでは関口委員、お願いいたします。
 
【関口委員】
 ありがとうございます。ガバナンスの点、今、野崎課長からおっしゃっていただいたとおりなんですけれども、実はこの会議の前に限られた方と議論している中で、保証報告書を発行することによって「ガバナンスが適切」という結論というふうに誤解されるおそれがあるんじゃないかというのはコメントがありました。
 なので、恐らくこのガバナンスとかリスク管理、保証対象にしていくに当たっては、少なくとも、どういう保証の結論なんだというのは、きちんとコミュニケーションをとっていく必要あるだろうなと思っています。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。ほかに御発言はございますでしょうか、今の点に関連して。
 藤本委員、お願いします。
 
【藤本委員】
 ありがとうございます。今、お話いただいているとおりと思いますけれども、当然開示されている情報が正しいのかどうか、実際に例えばプロセスですとか、ガバナンスとして書かれている内容が本当にそのとおり行われているのかということも含めての確認が必要であると考えていますので、この辺り、実際のところは開示情報が実態として行われていることを、企業のプロセス、ガバナンスの体制を確認しつつ、保証の手続を実施すると認識をしております。
 以上でございます。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。ほかによろしゅうございますか。
 それでは2回目の発言、どうか御遠慮なく。弥永委員、お願いします。
 
【弥永委員】
 せっかくなので発言させていただきます。2点追加的に申させていただきますと、第1点は先ほど出てきたセーフハーバーのところで、法律で定めるかどうかということですけれども、確かに安定性は確保できると思うのですけれども、しかし事柄の内容というものに鑑みると、なかなか法律で細かく定めるというのは難しいのではないのかなと直観的には思いました。
 そこで、もし法的安定性を確保したければ、ガイドラインより格上げするのであれば内閣府令などで定めていただくのがいいのかなとは思ったのですけれども。
 ただ、いろんな見方があると思いますけれども、金融庁がこのようにガイドラインでお示しになられているということは非常に有力な解釈であると思いますので、裁判所がそれを全く無視することはあまり考えられないような気もいたします。もちろん発行者の方々、有価証券報告書をつくってくださっている方々、あるいは経営者の方々の安心感を高める意味、安心して積極的に開示をしていただくためには法令で定めるのも一つの方向であるとは思いますけれども、私はガイドラインで定めていても、かなり現実には問題は起きないのかなってという印象でございます。ただ、そこはもう本当に感覚の問題なので、私は財務諸表を作成している側ではないので申し上げることができるような立場にはないと思いますものの、外部から見るとそのように思ったところでした。
 2つ目は保証についてです。前回も発言させていただいたのですけれども、保証業務提供者による保証業務の質を確保するためには単に基準をつくるだけでは不十分なわけで、それをどうやってエンフォースメントしていくかということが非常に問題なわけです。けれども、保証の質を確保していくエンフォースメントに当たって様々なもの、リソースとか、そのリソースを支える資金とかといったものがどうしても欠かせないところがございます。
 その意味において、現在の事務局提案のような形で保証を要求していくことになると、一方では、当初は、対象会社の数が少ないので、まだ対応できる可能性がありそうだと思われると同時に、外部者から申し上げるととても気になるのは、数少ない保証業務を行っている実施者、これを監督し、または自主規制によってそれをコントロールしてくださるところの財源をどうやって確保するかという問題がありそうだということです。
 つまり、もし実際に業務を行っている方々からだけ、お金を、お金って言っちゃいけないのですけれども、エンフォースメントに要する費用を出してもらうということになりますと、規模の経済性みたいなものがあって、逆に実は割に合った形でエンフォースできないということが起きかねないのではないかという点も、きわめて細かい点ですけど気になったところです。
 この点については、これから設置されるサステナビリティ情報の保証に関する専門グループで検討していただく、あるいは、そこで詳細に様々な利害関係者の方の御意見を伺うことになると思いますけれども、事務局がご提案くださり、このワーキング・グループで賛同が得られていることは理念としてはと申しますか、方向性としてはまったく正しいと思うのですけれども、現実に落としていくに当たっては、必要なリソースをどのように確保するかとか、資金を負担していくのかということが大切になるのではないかと思います。
 場合によって、例えば公認会計士・監査審査会とかが監督を直接行うようなことになると、これまでの財務書類の監査との関係では、かなり日本公認会計士協会による品質管理レビューなどを前提として制度が設計されているので、その辺りも恐らくサステナビリティ情報の保証との関係では問題になるのかなという感想を持った次第です。
 いずれにいたしましても先ほど申し上げたように、ヨーロッパ諸国でどのように動いているかということを、特に保証業務との関係でいうと無視はできないという印象を受けておりまして、それは、かつて国際会計基準等の関係で日本基準は同等性評価にさらされたことやレジェンド問題が注目されたことがあるわけですけれども、それらと同じように、とても表現が悪いのですけれども、日本の基準が十分ではないというだけではなく、エンフォースメントが十分でないと言われることがないように制度は設計していかなければならないのではないかと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 上田先生、いらしたばかりで大変恐縮ですけれども、一通り本日参加いただいている方の御発言は終わって、2度目の御発言に入っておりますけれども、もしよろしければ上田先生、特にスライドの24ページ、御議論いただきたい事項を中心に何かコメントや御発言がございましたらよろしくお願いいたします。
 
【上田委員】
 ありがとうございます。本当に申し訳ございません。では今、神作先生から御指摘いただきましたように御議論いただきたい事項に沿ってコメントさせていただきます。
 私からは、保証制度についてコメントさせてください。今後、別途会議体を設置して議論されるとのことでございますけれども、大きな枠組みとか、方向性については本会議の現時点で、ぜひコメントさせていただければと思います。
 まず、制度全体のスケジュールについてです。既に前回まで議論が出されていたところを若干蒸し返すところで申し訳ございませんが、前提となる原則的な考え方の確認です。まず、サステナビリティに関する情報開示と保証というのは、信頼性の確保という観点からは、原則としては同時にセットで行われることが望ましいと考えます。
 ただ現状、国際情勢とか我が国の競争力維持という、この会議の設置目的から考えますと、まずは、情報開示の義務化とかルール整備を急ぐ必要があります。そして、保証制度についてはゼロから、仕組みをつくっていく必要があります。これには時間がかかるということで、21ページにあるような形で、開示義務化を先行させて保証義務化は1年遅れというような制度となっているかと思います。この点については、初制度策定に伴うもので、理解することができます。
 ただ、この資料をもう一度しっかりと読み直してみますと、次のように思いました。個人的な意見ですが、情報の信頼性を確保する観点からは、28年3月期に保証制度が確立しているのであれば、同じく28年3月期から開示が義務化される時価総額1兆円以上の対象企業について、保証開始を1年待つ意味はあるのかなと思ったわけです。初年度から保証義務化させないことの積極的な理由は何だろうかなと思ったわけです。
 特に、開示時点ですでに保証制度が確立している前提であるとすると、企業サイドは保証基準に基づいた制度の中で開示実務を行うと考えられますので、初年度だからといって保証を行わない積極的な理由というのが理解できないのです。そのため、保証開始時期についてスケジュールをいま一度、考えてもいいのではないかと思った次第です。
 次に、保証の範囲についてです。資料10ページに書かれているかと思いますが、導入から2年間はScope1、2に加えて、今回あらたにガバナンスとリスク管理も含めるということですが、この内容には賛同いたします。ただし、資料には導入って書いてあるんですが、ここでいう導入というのは保証制度の導入なのか、21ページに書いてある義務化の翌年を起点とするものなのか、どちらなのかなと思いました。この点についても、いま一度、保証制度ができれば直ちに適用開始なのか、保証制度ができていても何かスタッガードで時差をつけていくわけですが、それを1年遅れなのかといったところについて、しっかりとした理由が欲しいなと思ったわけです。
 併せて、10ページに3年目以降は国際動向等を踏まえて本会で継続して検討とありますが、たしか前回の資料に欧州では全ての開示情報が保証対象となっていて、アジア、オセアニアでも先行するオーストラリアにおいては、一定年度を置いて将来的には全ての開示情報に保証対象を拡大予定であるとのことでした。
 保証対象となるかどうかによって、企業としても保証提供者としても、体制整備などの準備、また情報の信頼性の程度といったところが違ってくるのかと思います。資料には3年目以降については継続して検討すると曖昧に書いてありますけれども、制度の予測可能性というのは大変重要かと思いますので、早い段階でのスケジュールの明確化が必要と思います。この会議の報告書をまとめるまでもう少し時間もあると思いますので、そういったイメージが湧いてくるといいなと思った次第です。
 事務局には重ねて御議論をお願いするような点もコメントさせていただいて、御負担をおかけしますけれども、今ならまだ間に合うかなというところでコメントさせていただきました。申し訳ありませんが、どうぞ御検討ください。ありがとうございました。遅れまして本当に皆さん、申し訳ありませんでした。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは関口委員は、御発言をお願いします。
 
【関口委員】
 非常に本当に細かい話なんですけれども、前回の会議で訂正報告書による2段階目の開示が半期報告書の提出期限までとされていました。これ、ISSBの基準等ですと、この2段階目の開示というのは半期報告書と同時にするようになっていますので、この辺、意図的かどうかというのが分からなかったんですけども、御確認していただければと思っています。
 以上です。
 
【神作座長】
 堀江委員、どうぞよろしくお願いします。
 
【堀江委員】
 せっかくの機会でございますので、また余計なことを言うかもしれませんがお許しください。今回のご提案でガバナンスとリスク管理の開示と保証を求めるわけですが、先ほど発言させていただいた趣旨は、現行の開示府令でも、この2つが先行して開示されているので今回もこの2つを先行させるというようなものではなく、なぜこの2つを先行させるのかということの合理的な説明があった方がよいと思い発言をさせていただきました。
 また、先ほど清原先生からご発言がありました準拠性かどうかということですが、これは企業会計審議会監査部会で四半期レビュー基準の改訂を議論したときに、準拠性と適正性の区別が何度聞いても分からないと言われてとても困りました。
 限定的保証でいくか、合理的保証でいくかということとも密接に関連する非常にデリケートな問題ですが、私の個人的な意見として申し上げますと、基本的に考えなければいけないのは、なぜサステナ情報の開示が求められるかという原点に立ち返って考えてみることだと思うんです。企業にサステナの経営をしっかりとしてもらう。そして、サステナ経営をきちっとやっていることを、戦略的に開示してもらう。保証を考えるときも、そこにポイントを置いて考える必要があると思います。開示自体が目的ではないということです。
 言葉として荒っぽいのですが、開示地獄と受け取られないようにすることが大切で、開示や保証が単なる負担に過ぎないと取られないようにすることが重要ではないでしょうか。
 確認書につきましても、そもそも、この目的って一体何かということです。導入された経緯はたしか内部統制報告制度の導入との関連だったと思うんですけれども、この目的をどのように規定するかによって記載すべき内容というのが決まってくるだろうと思うんですね。そこを検討しないと、あれを書くべき、いや、これは書くべきでないといった議論になってしまう可能性があると思います。先に、委員の先生も御指摘されていましたけれども、何か形だけ体裁を整える、要するに書式をきれいにするためだけのものでは全く意味がありません。
 もちろん書いてしまうと当然、法的な責任という、重い問題が出てきますので、そういうことは十分考えないといけないとは思うんですけれども、この辺り、一体何のためのものなのかということを明確にしていただけると、確認書の記載事項についてもう少し整理ができるのかなとかという感想を持ちました。
 神作先生、余計な感想ばかりで失礼いたしました。
 以上でございます。
 
【神作座長】
 大変ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。2回目の御発言も歓迎いたします。オンラインで御参加の方も含めてよろしゅうございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、もしよろしければ本日の議論を踏まえて次回以降、さらに御議論を進めてまいりたいと存じます。また、今後の本ワーキング・グループの運営についてでございますけれども、冒頭事務局から御説明がございましたように、このワーキング・グループの下に専門グループを設置し、サステナビリティ情報の保証について、さらに検討していただいてはどうかと思います。御意見の中でも大方の御賛同をいただいていたかと思います。さらにいろいろ御注文もいただいていたと思いますので、ぜひ、そのようなご意見も参考にして、サステナビリティ情報の保証については別途、専門グループを設置して、そこで御検討いただきたいと存じます。よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

 ありがとうございます。
 専門グループのメンバーの選定についてでございますけども、大変恐縮ではございますけれども、私に御一任をいただければ大変ありがたく存じますが、そのような形で進めさせていただいてよろしゅうございますか。

(「異議なし」の声あり)

 どうもありがとうございます。それでは、その方向で進めさせていただきます。
 最後に、事務局から御連絡等がございましたらお願いいたします。
 
【野崎企業開示課長】
 次回のワーキング・グループの日程でございますけれども、また、皆様の御都合を踏まえた上で決定させていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと思います。
 事務局からは以上でございます。どうもありがとうございました。
 
【神作座長】
 どうもありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。御多用のところ、建設的な御意見をたくさん賜り、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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