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金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第8回) 議事録
日時:
令和7年6月27日(金曜日)10時00分~12時00分場所:
中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室
【神作座長】
おはようございます。それでは、予定した時刻になりましたので、ただいまより金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」第8回会合を開催いたします。皆様におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議におきましては、対面とオンライン会議を併用した開催とさせていただきます。また、本日の会議の模様も、前回同様、ウェブ上でライブ中継をさせていただきます。
なお、議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定でおりますので、よろしくお願いいたします。
会議を始める前に、事務局から留意事項をお願いいたします。
【野崎企業開示課長】
事務局を務めさせていただきます野崎と申します。どうぞよろしくお願いします。
留意事項などを御案内させていただく前に、恐縮ですけれども、カメラの方はこちらで御退室いただければと思います。
本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いいたします。対面での御参加の委員におかれましては、お名前のプレートを立てていただければ、座長から指名いただきます。なお、御発言後は、お名前のプレートを元にお戻しいただくようお願いいたします。
【神作座長】
どうもありがとうございます。
それでは、早速、議事に移らせていただきます。
本日は、事務局より資料の説明をいただいた後、質疑応答及び討議を行いたいと思います。
それでは、事務局の金融庁のほうから資料についての御説明をお願いいたします。
【野崎企業開示課長】
では、資料1に基づきまして御説明させていただければと思います。今回、中間論点整理の案というものをお示しさせていただいてございますので、ちょっと長くなるかもしれないですけれども、全体をざっと御紹介させていただければと思います。
まず、1ページ目をお開きください。「はじめに」というところでございます。当ワーキング・グループにおきましては、昨年3月以降、8回にわたり審議を重ねてきた。2段落目でございますけども、なお引き続き検討を続けるべき事項が残されているものの、開示基準の適用開始時期、第三者保証制度の導入時期や当初の保証範囲など、大きな方向性についてはメンバー間の賛同が得られたところ、本中間論点整理は、サステナビリティ開示基準の適用と第三者保証制度の導入に向けて、企業の予見可能性を高め、準備期間を確保する観点から、現時点における当ワーキング・グループの議論の状況を整理したもの。
2ページ目に行っていただきまして、まず「1.我が国におけるサステナビリティ情報開示の状況」、「2.サステナビリティ情報の開示・保証を巡る国際的な動向」というように記載してございます。
まず、2の「(1)サステナビリティ情報の開示」でございますけれども、2023年6月にISSB基準が最終化、欧州においてはCSRDが発効し、国内法制化を既に終えた国においては、2024会計年度からCSRDに基づく開示が広がっている。3ページ目に行っていただきまして、米国においては、連邦レベルではSEC規則が執行停止の状況にある。他方、州レベルでは気候関連情報の開示を義務づける法案が成立している州ですとか、審議されている州がある。
「(2)サステナビリティ情報の保証」につきまして、CSRDにおいては、開示と同一のタイミングで第三者保証を受けることも義務づけがなされている。2024年11月には国際サステナビリティ保証基準(ISSA5000)と、2025年1月には国際サステナビリティ倫理・独立性基準(IESSA)がそれぞれ公表されている。
「3.我が国におけるサステナビリティ開示基準」でございます。各国でサステナビリティ開示基準に基づく情報開示を制度化する動きが見られる中、我が国が開示するサステナビリティ情報について、国際的な比較可能性を確保することで国内外の投資家から評価を得られるものとし、かつ、企業と投資家との建設的な対話が促進され、中長期的な企業価値の向上につながるものとなるよう、金商法上の開示制度にサステナビリティ開示基準を導入し、同基準に基づく情報開示を求めることが適当である。グローバルに展開する企業にとっては、国際的に比較可能性が確保された基準に基づいて情報開示を行うことが、各国における開示に係る実務負担を軽減する観点から望ましい。こうした観点から、国際的なベースラインとなるISSB基準と機能的に同等な基準を有報におけるサステナビリティの開示基準とすることが適当である。
その下でございます。2025年3月にはSSBJ基準が公表されていまして、ISSBから、ISSB基準との機能的な整合性が確保されている旨の確認を受けている。このことから、SSBJ基準は、国際的な比較可能性を確保し、投資者に有用な情報を提供するための開示基準として妥当なものであり、SSBJ基準を金商法令に取り込み、有報においてSSBJ基準に準拠したサステナビリティ情報の開示を義務づけることが適当である。
次に、「4.我が国における SSBJ 基準の適用と保証制度の導入に向けたロードマップ」でございます。
「(1)適用対象企業」でございます。SSBJ基準の適用対象企業の範囲については、投資者側のニーズの観点に加えて、企業側の観点、すなわち企業の規模や事業展開の状況などを踏まえた、その企業にとってのSSBJ基準に基づく情報開示の有用性と、新たな制度に対応するためのリソースの有無の観点から検討することが適当である。プライム市場上場企業については、グローバルな競合先との開示情報の比較可能性を確保しながら、投資家に対して中長期的な企業価値の評価に必要な情報を提供することなどにより、投資家との建設的な対話を促進する観点から有用性がある。当該市場に上場する企業は、我が国を代表する大規模な企業が多く含まれ、企業によって差異はあるものの、一般的に、制度改正に伴い生じる負担にも耐え得るリソースを有しているものと考えられる。これらの観点を踏まえて、プライム市場に上場する企業の全部または一部をSSBJ基準の適用対象とすることについて議論が行われた。
次の5ページ目でございます。ISSBが2024年2月に公表した法域ガイドによれば、PAEの全てまたは大半(all or most)に対して、ISSB基準またはISSB基準と機能的に同等な基準を適用した状態をもってISSB基準が完全に導入された状態と捉えられています。
その数行下に行っていただきまして、プライム市場上場企業のうち時価総額1兆円以上の企業までをSSBJ基準の適用対象とすることで、我が国全体としてISSB基準と機能的に同等な開示基準が完全に導入された状態が達成されたと言い得ると想定される。法域ガイドによると、法域における導入プロセスは2029年末までに完了していることなどが求められている。
他方、時価総額1兆円以上の企業の数は限定的であり、投資ユニバースという観点からはやや不十分、時価総額5,000億円以上のプライム市場上場企業については、外国人株主保有比率が高いこと、海外でも事業を行っている可能性が高く、EUでの開示対応が必要な可能性も高いことなどから、早期にSSBJ基準の適用に向けた道筋をつけるべきであるとの意見があった。
「(2)適用開始時期」でございますけども、こちらについて、我が国企業が、その保有する先進技術を活用し、事業機会を獲得して成長することを後押しする意味でも、我が国として戦略的視点を持って取り組むべきとの意見があった。他方、プライム市場上場企業の中にも、現行制度に基づくサステナビリティ開示への対応状況に差があることや、企業によってリソースに相当なばらつきがあるとの意見もある。この点、諸外国においては、企業規模や上場の有無などに応じた段階的な開示基準の導入が行われている。我が国においても、段階的な導入を図ることが合理的と考えられる。
次の6ページでございます。適用開始時期の検討に当たっては、併せて第三者保証の導入時期との関係も考慮する必要。CSRDは、2028会計年度から、EU域外の一定規模以上の企業に対して、CSRDに基づく連結ベースでの第三者保証つきのサステナビリティ情報開示を義務づけているところ、我が国企業がEU域内において不利な取扱いを受けないようにするためには、我が国における保証提供者による保証がEU域内においても有効なものとされる必要がある。そのためには、2028会計年度よりも前に我が国において第三者保証制度を導入し、当該制度に基づく保証が実施されていることが望ましい。
したがって、まず、我が国における第三者保証制度の導入時期については、3月期決算の会社を例に取れば、2028年3月期からとすることが適当である。その上で、SSBJ基準の適用を保証制度の導入に先行させるべきという意見が多数だった。また、前記のとおり、EUに所在する上場大会社は、既に2024会計年度から開示を行っている中、それと競合関係のある我が国を代表する企業においてもSSBJ基準に基づく情報開示が速やかに行われるようにするべきとの意見があった。SSBJ基準の適用を可能な限り早期に開始することは、我が国におけるサステナビリティ開示の比較可能性の確保と質の向上につながるものと考えられることも踏まえると、SSBJ基準の適用を保証制度の導入の1年前である2027年3月から開始することが適当である。
「(3)具体的なロードマップ」でございますけども、我が国におけるSSBJ基準の適用・保証制度の導入に係るロードマップについては以下のとおりとすることが適当であるとしまして、ⅰの時価総額3兆円以上の企業については2027年3月期、ⅱの時価総額3兆円未満1兆円以上の企業については2028年3月期、ⅲの時価総額1兆円未満5,000億円以上の企業については2029年3月期とすることを基本とする。この点、ⅱの1兆円以上と、ⅲの5,000億円以上の企業の適用開始については、開示に必要なリソースを確保するため慎重な検討が必要との見方もあった一方で、ⅱの時価総額1兆円以上の企業の中には、既にSSBJ基準の導入を見越して準備を進めている企業もあり、企業の予見可能性を高める必要があるとの観点や、資本市場の大半(most)についてSSBJ基準が適用される時期を早期に示すべきとの観点から、ⅱの適用時期についても確定すべきとの意見が多数であったと。このことから、ⅰの3兆円以上、及びⅱの1兆円以上の適用開始時期については上記のとおりとし、ⅲの5,000億円以上の適用開始時期については、国内外の動向等を注視しつつ、引き続き柔軟に対応し、本年中を目途に当ワーキング・グループでの結論を出すことが適当。
保証制度の導入時期については、それぞれSSBJ基準の適用開始時期の翌期からとする。
そして、時価総額5,000億円未満については、数年後を目途に結論を出すことが適当としております。
その下でございますが、SSBJ基準の適用対象企業及び適用開始時期は、日々変動する時価総額を基準として判断することとなる。ISSBの「法域ガイド」では、流通市場における株式時価総額の過去5年間の平均によって判断するとされており、これを参考としつつ、一番下、時価総額の算定方法については金融庁において検討を進めていくべきである。
なお、EUにおいては、2025年2月に欧州委員会が「オムニバス法案」を提出しているところでございます。こちらに関連しましては、2つ目の「オムニバス法案」が、つい先日、従業員の閾値を1,000人とする法案がEUの理事会で可決されたとのリリースが出ておりますので、こちらで御報告させていただければと思います。今回新たに純売上高4億5,000万ユーロ超の閾値も追加されているということで、今後、欧州議会での審議が見込まれているというところでございます。
あと、欧州についてはもう一個、6月20日にプレスリリースが出ていまして、これは注の13に記載してございますけども、欧州各国監督当局及びESMAが出したリリースでございますけども、グリーンウォッシングリスクの対応も含め、透明性のあるサステナビリティ報告の促進に継続的に取り組む姿勢を示すとともに、発行体に対する措置が過度にならず、企業の実情に見合った形で適切に調整するというような方針が示されたところでございます。
次の8ページ目に行っていただきまして、こうした「オムニバス法案」による我が国のロードマップへの影響について、当ワーキング・グループでも御審議いただいたところでございますけれども、一番下でございますけど、最近のEUの動向は、我が国のロードマップに影響を与えるものではないと考えられる。
「(4)経過措置としての二段階開示」、下の「① 二段階開示の方法」で、9ページに行っていただきまして、上から4行目、SSBJ基準に基づく情報開示が有報の記載事項とされることを踏まえると、二段階目の開示の媒体は、その訂正報告書とするほうが、半期報告書とするよりも制度的な整合性が確保でき、適当である。一方で、長期間にわたり提出されないというデメリットも観念されると。その下でございますが、半期報告書の提出期限までに訂正報告書により二段階目の開示を行うこととすることが適当である。2023年3月期から既に有価証券報告書への記載が求められている事項は、一段階目の有報において引き続き開示されるべき。
「② 二段階開示の適用期間」でございますけども、10ページに行っていただきまして、SSBJ基準の適用開始年度及びその翌年の第三者保証の導入年度の2年間は、新たな制度に対応するための準備期間と捉え、二段階開示の適用期間を当該2年間とすることが適当。
「5.SSBJ基準の導入に伴う環境整備」でございます。
まず、「(1)有価証券報告書の提出期限の延長」、こちらについて引き続き検討としています。
「(2)海外でサステナビリティ情報の開示をした場合の我が国における情報開示」ということで、11ページに行っていただきまして、10行目ぐらいですけども、我が国の投資家が、我が国企業の海外におけるサステナビリティ開示について情報を得られるようにし、また、当該情報を入手できるタイミングが海外投資家に比して遅れないようにする観点からは、我が国において臨時報告書での情報開示を求めることは一定の有用性があるものの、企業負担とのバランスに鑑み、まず、臨報の提出義務者については、有報においてSSBJ基準に準拠した開示を行っていない者とすることが適当である。次に、提出事由については、連結ベースの開示を求める海外のサステナビリティ開示基準に基づく開示を行った場合とすることが適当である。下のほうでございますけども、CSRDでは、オーソリゼーションの観点から、12ページでございますけども、暫定的な制度対応について、一定の保証業務提供者を法令上指定する枠組を整備することについても議論をいただいたところでございますけども、こちらにつきましては、企業のニーズ等の観点から必要性を見極めた上で、金融庁において検討を進めていくべき。
「(3)SSBJ基準の適用状況等の開示」でございます。2段落目でございますが、第三者保証の有無も含め、企業によって有報におけるSSBJ基準の適用状況が異なるため、投資者に混乱が生じないようにすべきとの意見があった。有報において、SSBJ基準、経過措置及び第三者保証のそれぞれの適用状況といった各企業のステータスの開示を求めることが適当と。あと、「任意適用」「部分適用」「任意開示」といった用語の整理も行っていただいたところでございます。
13ページ目、「(4)見積り情報の訂正の要否の考え方」でございます。SSBJ基準において開示が求める数値は、直接測定のほか、合理的な方法による見積りを使用した測定も認められている。確定値が有報の提出後に判明したときに、当該有報の訂正報告書の提出を要するかどうかについてでございますけども、その提出の要否は、一般に、事業年度末または有報の提出日時点の状況について判断されるものであり、当該時点以降の事情の変更は訂正事由とはならないものと解されていることを踏まえると、訂正報告書の提出が必要となるわけではないという基本的な考え方が確認された。他方で、早期に確定値の更新を行いたいという企業側のニーズもあり得る。金融庁において、半期報告書等を利用した自主的な開示の枠組を検討すべき。14ページ目でございますけども、上記の整理は、見積り情報が正確である場合を前提としたものであって、正確でない見積り情報は誤謬に該当し、重要性に応じて有報の訂正報告書が必要となることも考えられる。
「(5)開示例の収集・公表」、それから「(6)EDINETタクソノミ開発の方向性」でございますけども、15ページに行っていただきまして、IFRSサステナビリティ開示タクソノミを取り込むことをベースに開発しつつ、我が国独自の開示事項については金融庁独自のタクソノミを開発するという方向性が確認された。
「6.有価証券報告書の虚偽記載等に対する責任のあり方」、セーフハーバーでございます。3段落目でございますけども、SSBJ基準により開示が求められるサステナビリティ情報は、財務情報と比較すると、相対的に不確実性が高いという特性がある。企業としては、結果的に虚偽記載等の責任を問われることを恐れるあまり、有報での積極的な情報開示を避けようとすることが懸念される。この場合、投資判断に有用な情報を提供すべき有報の開示内容が、横並びで定型的なものになってしまう可能性がある。こうした背景を踏まえ、虚偽記載等に対する責任の在り方、いわゆるセーフハーバーの導入について議論が行われた。
次の段落、現行の開示ガイドラインを参考としつつ、まずはScope3GHG排出量の虚偽記載等のセーフハーバーを整備する。一番下でございます。他方、セーフハーバーの対象をバリューチェーン情報の一般に拡大すべきではないかという御意見のほか、サステナビリティ情報の特性を踏まえた上で法的責任の在り方を議論すべき、金商法の損害賠償の要件を他国の例との整合性も踏まえて見直すべきといった意見もあったところであり、セーフハーバーの内容、適用要件、適用範囲、効果といった各論点について、法律改正も視野に入れて、引き続き検討していくことが望ましいとの方向性が示されたところでございます。
こちらについては、脚注48にございますように、一昨日に開催された金融審議会総会において、今年の夏以降にディスクロージャーワーキング・グループを新設し、こちらでセーフハーバーの議論を行うこととされたところでございます。
17ページ目に行っていただきまして、「(2)虚偽記載等に対する責任の範囲の明確化に関するその他の制度整備」としまして、2段落目、経営者等の有価証券報告書の作成責任の明確化の観点から、確認書の記載事項の追加について議論が行われたところでございます。本論点につきましては、先ほど申し上げたセーフハーバーの整備の論点と併せて、引き続き検討していくことが望ましい。また、有報にも以下のような記載を求めることについても御議論いただいたところでございますけども、こちらについても、18ページ目にございますけれども、責任の範囲の明確化とともに、投資家にとってもサステナビリティ情報の信頼性を判断する上で有用と考えられる情報であることから、改めて情報の有用性や機密性に留意しつつ、必要な制度整備を行うことが適当ということでございます。
19ページ目からは保証でございまして、「2.第三者保証の制度の導入に向けた検討」でございます。
まず、保証の範囲、水準、担い手など、大きな方向性に関わるものは当ワーキング・グループで御審議いただいて、その他の専門的な部分については専門グループを設置して、さらに議論することとされたところでございます。本中間論点整理は、主に当ワーキング・グループにおけるこれまでの議論を整理したものでございます。
まず「(1)保証の範囲」につきましては、20ページでございますけども、保証制度の適用開始時期から2年間は、SSBJ基準に基づくサステナビリティ関連財務情報開示のうち、Scope1及びScope2のGHG排出量に関する情報、ガバナンス並びにリスク管理に対する保証を義務づけることとし、3年目以降については国際動向などを踏まえ、今後検討することが適当である。
「(2)の保証の水準」、3段落目でございますけども、企業に過度な負担を課すことなく、第三者保証制度を円滑に導入するためには、保証の水準は限定的保証とし、合理的保証への移行の検討は行わないことが適当である。
「(3)保証の担い手」でございますけども、グローバル基準に当たるISSA5000とかIESSAは、監査法人だけでなくそれ以外の者も利用することを想定しているところでございまして、保証業務の担い手、担う主体は各国の判断に任されているが、特に欧州では、実務上、監査法人を中心にサステナビリティ情報に対する第三者保証が提供されている。
21ページに行っていただきまして、我が国においては、任意の保証を受けている企業のうち、半数以上が監査法人(そのグループを含む)以外の者から保証を受けている。今後、さらにサステナビリティ開示基準の開発が進むにつれて保証対象事項が広がることを考えると、必ずしも監査法人のみの知見で全て保証できるとは限らないとの意見があった。こうした観点も踏まえつつ、監査法人以外の者も保証を提供できるような制度を構築することが考えられる。
ただし、第三者保証に係る制度設計を行うに当たっては、その属性にかかわらず、同一の法規制上の責任等が求められるようにすべきであり、また、国際的に認められる水準の品質管理や職業倫理が確保されるべき。保証業務の担い手については、その属性にかかわらず、新たな登録制度の下で登録を受けた保証業務実施者とし、その者が必要に応じて外部専門家を活用するといった方向性の下で、専門グループに対し、保証業務実施者に関する規律につき詳細な議論を行うことを委ねたところである。もっとも、その後の専門グループの御議論におきまして、監査法人に限定するべきではないとの御意見ですとか、監査法人に限定すべきとの御意見ですとか、あと22ページにありますその他の御意見として、まずは監査法人からスタートし、適切なタイミングでそれ以外の者への拡大を図ることが効果的かつ現実的、こういった御意見があったというところでございます。
以上のように、保証の担い手は、登録要件や自主規制機関をはじめとする保証の規律の在り方全体に大きく関わるものであるため、専門グループで議論された内容を考慮の上、当ワーキング・グループにおいて、引き続き柔軟に対応し、本年中を目途に当ワーキング・グループで結論を出すことが適当である。
最後23ページ、「おわりに」でございますけども、金融庁においては、SSBJ基準を法令上の枠組の中で位置づけた上で、SSBJ基準に基づく開示を義務づけるなど、必要な制度的対応について検討を進めるべき。また、当ワーキング・グループにおいていまだ賛同が得られていない事項については、本年中をめどに取りまとめを行うべく、引き続き検討を行っていく。
以上でございます。
【神作座長】
御説明どうもありがとうございました。
それでは、これより、委員の皆様から御意見、御質問等をお伺いする討議の時間とさせていただきます。限られた時間ではございますが、全ての委員の方から御発言をいただきたいと思っておりまして、恐縮ですけれども、4分以内で御意見等を頂戴できればと存じます。
なお、本日の会議では、経過時間をお知らせするため、御発言から4分が経過したタイミングで、事務局員よりメモを差し入れさせていただきます。加えまして、御発言の順番につきましては若干前後する可能性があるかと思いますけれども、あらかじめ御了承いただければと存じます。
それでは、委員の皆様方から御意見、御質問をお出しいただければと存じます。どなたからでも結構でございます。いかがでしょうか。
では、オンラインで御参加の阪委員、本日途中退席と伺っております。阪委員、どうぞ御発言ください。
【阪委員】
阪でございます。発言の機会をいただきありがとうございます。途中で抜けなければなりませんので、先に失礼いたします。
これまでの議論を中間論点整理案として、論点に応じて整理してまとめていただき、感謝いたします。サステナビリティ開示基準の位置づけ、ロードマップ、SSBJ基準の適用状況等の開示、見積り情報の訂正、タクソノミ開発の方向性、保証の範囲と水準が明確にされたということは大変ありがたく思っております。13から14ページの好事例の収集・公表については、SSBJ基準に基づく開示事例は作成者の企業にとって基準の理解を高め、開示を促進する上でも大いに望まれていると期待をしております。
一方で、引き続き検討していく論点として、有価証券報告書の提出期限の延長、CSRDの免除を受けるための暫定的な制度対応、セーフハーバーの整備、虚偽記載等に関する責任の範囲の明確化に関するその他の制度整備、保証の担い手について引き続き検討されていくというふうに、これも論点が明確にされたことも評価できる点かと思っております。ただし、「はじめに」に書かれていますように、企業の予見可能性を高め、準備期間を確保するという観点から、残された課題についても速やかに対応していくことが望まれると思っております。
また、もう一つはロードマップについてです。12ページに任意適用についての記載があり、以前のロードマップでは一番下に、任意適用の促進により開示の底上げをするという矢印もありましたので、任意開示を促進する観点から、削除せずに、この部分は残してもよいのではないかというふうに思いました。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の弥永委員、どうぞ御発言ください。
【弥永委員】
ありがとうございます。よろしくお願いします。
今回のこの案については、基本的には非常によくおまとめいただいて、私としては申し分のないところと思っているのです。けれども、1か所やはり、以前からもちょっと発言させていただいているのですけれども、気になる点がございます。
それは11ページのところです。すなわち海外で、そちらの法制に従って開示を行った場合についてですが、もちろん全く日本で開示しないというわけではなく、日本基準で開示していればよいという、そういう御提案であるのは承ったところです。けれども、しかしながら、2つの点で気になる点がございます。それは、情報を入手できるタイミングが、本当に日本における有価証券報告書の提出時期と、海外における開示の時期が一致しているかどうかという点について疑念がございます。すなわち、日本の有価証券報告書で開示すれば、その後に、海外で開示した新しい情報を日本の投資家が知らなくてもよいというのでよろしいのか、次の有価証券報告書の提出時期まで待たせるというのでよいのか、これは気になります。また、日本における開示の水準が本当に海外投資家と同等の情報になるということがやはり必ずしも担保されていないわけなので、その点について放置していいのかなというのが気になります。海外の投資者の方が日本の会社について日本の投資者より多くの情報を与えられる、入手の機会が与えられるということが生ずるような制度設計でよいのかということでございます。
第2点は、これは既に過去に発言させていただいたところですけども、臨時報告書での開示を求める企業の範囲を狭める理由として、「企業負担とのバランスに鑑み」と述べられているのですけども、臨時報告書で現在想定しているような開示を要求すると、それほどまでに企業の負担が生じるのだろうかという疑問をいだいております。この点が実は実務に携わっていない私などにはなかなか得心がいかないところなものですから。もちろん今回のこの報告書案のようにまとめていただいて、最低限の開示を、つまり日本基準では開示していない有価証券報告書の提出者の方々に開示していただけるということは非常にいいことだと思います。けれども、ただ、中期的か、あるいは短期的か分かりませんけれども、やはり海外投資家と日本の投資家とを比較した場合に、海外投資家に比べて日本の投資家が得られる情報が少ないという状況は生じないように配慮していただいたほうがよいのではないかなと思います。
以上です。発言の機会、どうもありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、会場に戻りまして、堀江委員、それから井口委員の順番で御発言をお願いいたします。
初めに堀江委員から、どうかよろしくお願いいたします。
【堀江委員】
どうもありがとうございます。いつも会場は井口委員から御発言いただいておりますが、今日はちょっと流れを変えて、私のほうから発言させていただきたいと思います。
中間論点整理6から7ページ目辺りでロードマップが出ておりますけれども、これについて、5,000億以上1兆円未満の適用時期については、引き続き柔軟に対応して、本年中をめどに当ワーキング・グループで結論を出すと、こういうふうに書かれているわけです。これまで3兆円以上、1兆円以上、5,000億円以上と、言ってみれば3段階ロケット方式がもう頭にしみついていましたが、その中で1兆円以上と5,000億円以上の間には大きな差があって、なだらかな導入がちょっと難しいのではないかということから、恐らくこういうふうな落とし方になるのではないかというふうに考えています。
あわせて、二段階開示の伸長につきまして、SSBJ基準の完全導入が1年遅れてしまうということです。そこで、私は、対応を焦らせて、何か義務感しか残らないような形式的な運用とか、形だけの対応に陥らないように配慮するという意味で理解できますし、賛同いたします。ただ、その背景に、やはり企業側の準備にどうしても余裕を与える必要があると、こういう配慮もやっぱりあるのではないかと思うんです。たとえ話になりますが、私も原稿の締切りが7月末だというと、この会議が終わったらすぐに帰ってやらないといけないんですけども、来年の4月か5月と言われると、まあ秋風が吹いてから何か考えようかと、このようなことにもなる可能性があるわけでございまして、やはり具体的に何がネックになっているのか。例えば、担当できる専門人員が不足しているだとか、あるいは体制がまだ未整備だとか、さらにもっと前向きに考えれば、データの精度をもっと高めたい、だから遅らせてもらいたいと、こういったことをクリアにしていただけると、とてもいいのではないかというふうに思います。
次に、制度を後退させないためと、本来の目的に照らして地に足の着いた制度とするためには、5,000億円以上については、やっぱり開示も保証も早期適用のための仕組みが必要だと思います。ちょっと言葉を慎重に使わないといけないんですが、他のプライムとか、ほかの上場会社については、できれば開示も保証もSSBJ基準に準拠した任意適用か、少なくとも任意開示あるいは任意保証、こういったようなこと。これまでこれを後押しするために、好事例集での対応という案が出てまいりましたが、私はもう一歩踏み込んで、何かインセンティブが働くような案が考えられないかどうか、ちょっと検討してみる必要があるのかなというふうに思います。
最後に保証に関してでございますけれども、やはり企業サイドから見ると、できれば少しでも遅らせてもらいたい、できれば免除してもらいたい、企業にとっては余計な負担でしかないと。こういう考え方とかイメージというのはとても残念なことでありまして、私は、そのためには、このサステナ情報の特性というのは、非常に柔らかい情報ということもあるし、それから限定的保証という非常に幅のある、緩い関与の仕方から入ると、こういうこともありますので、私は、開示の価値を高めるための指導性の発揮というんですか、こういうふうなものがもう少し前面に出て、そこにスポットを当てて、やはり最終的には保証を受けてよかったと言われるような、そういう仕組みづくりというか、こういう流れをつくっていかないといけないのではないかというふうに考えております。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、井口委員、御発言ください。
【井口委員】
まず、御説明ありがとうございました。中間論点の整理及びその方向性について賛同いたします。その上で、主に開示について3点だけコメントさせていただければと思います。
1点目は、3ページにあるサステナビリティ開示基準についてです。資料に御記載のあるとおり、6月12日にアップデートされましたISSBのジュリスディクショナル・プロファイルでも、SSBJ基準はISSB基準と機能的に同等と位置づけられております。当ワーキング・グループで示されました、金商法への取り込みの要件である、ISSB基準と機能的に同等という要件を満たしておりますので、ここに御記載あるとおり、SSBJ基準を金商法に取り込むということについて賛同いたします。
2点目は、6ページの適用時期のロードマップです。資料に御記載ありますように、時価総額1兆円以上の企業を同様の扱いとし、適用時期を確定するロードマップにつきましては同様の扱いとして適用時期を確定するという方向性には賛同いたします。その賛同について、4つの理由があると思っています。
1つは、1兆円以上の企業の多くというのは、グローバル投資家がベンチマークとするMSCIジャパンの構成銘柄になっておりまして、グローバル投資から特に情報ニーズの高い企業群であるということ。2つ目は、現状の任意開示などから、1兆円以上の企業には対応可能な資源があると想定されること。3つ目は、これは事務局の資料にも詳細に書かれておりますが、ISSBのジュリスディクショナル・ガイダンスに基づき、日本の資本市場がISSB基準を完全に導入した市場と認知されるためには1兆円以上の企業を対象にする必要があること。そして、4つ目には、企業さんの準備を促進するために、早期に周知徹底したほうがいいという、この4つの理由から、このロードマップ、1兆円以上を同様の扱いとして適用時期を明確にするという方向性には賛同いたしたく思います。
3点目は、8、9ページの二段階開示についてです。前回申し上げましたように、利用者といたしましては、SSBJ基準にも定めがありますように、サステナビリティ開示と財務諸表との同時開示が重要とは思っておりますが、SSBJ基準の円滑な導入という中での特別措置ということで、2年間にするということに賛同いたします。
あと、19ページ以降の保証についてはこれからの議論だとは思っておりますが、この最後、21ページにまとめていただいている担い手の議論のところで、前回、堀江先生が、どういう属性のある人がこういうことを言っているかとか、そういうことをおっしゃっておりまして、御説明されたと思うんですが、そういうふうな説明も加えられると、わかりやすくなるのではないか、と思いました。御検討願えればと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加の柿原委員、御発言ください。
【柿原委員】
ありがとうございます。川崎重工の柿原でございます。本日はオンラインにて失礼いたします。
過去7回にわたる議論を中間論点として整理し、取りまとめていただいた事務局の皆様には厚く感謝申し上げます。私からも3点、コメントさせていただきます。
1点目は、ロードマップ案についてです。基本的には、6ページから7ページ記載の内容に賛同いたします。念のためだけなんですけれども、過去のワーキング・グループでも他の委員の方からコメントがありましたとおり、ⅲの時価総額5,000億円以上の企業は、各社の対応リソースにばらつきがあることですとか、ⅱまでと比べて一気に社数が増加し、保証側の負担も増加するということを踏まえますと、今記載されております、引き続き柔軟に対応すべきとの文言はしっかり残しておくのがよいと考えております。
2点目は二段階開示についてです。まず、二段階開示の方法についてですが、9ページに訂正報告書が適当であると記載されている点につきましては、これまでの議論では明確な方向性は出ていなかったのではないかと思います。訂正報告書につきましては、いかに理由を記載したとしても、消極的に捉えられる可能性は十分にあると考えております。海外市場での日本企業の開示書類にも訂正が及ぶとなれば、なおさら慎重になる必要がございます。したがいまして、ISSB基準と同様、期中報告、我が国でいえば半期報告書での開示が適当であると考えております。これは利用者にとっても、半期報告書の提出期限までと定められたところで、いつ出てくるか分からない訂正報告書より、定期報告である半期報告書で開示されたほうが予見可能性があってよいのではないでしょうか。このように、二段階開示の方法につきまして議論は尽くされていないという現状で、訂正報告書が適当であると断定的に記述することは避けていただければなというふうに思います。
また、経過措置の適用期間につきましては2年間が適当であると記載いただいている点は、習熟期間を確保する意味で大変ありがたいのですけれども、有報の提出期限の延長についての議論が継続されていることを踏まえて、できれば、2年間を基本線としつつ、有報の提出期限の延長に関する議論の結論に応じて判断するといった形で、議論の余地を残していただけるとありがたいです。
開示を行う企業にとっては、有報の提出期限が事業年度終了後3か月なのか、4か月なのかによって大きく状況が異なるためです。本論点に関しまして、見積り情報を利用した乖離につきましても触れていただいておりますけれども、見積りの考え方を整理するにも一定の準備作業が必要ですし、各社が見積りの考え方を整理し、実際に取り組んでみて出てきた課題に対応できるようにしておくことも重要と考えます。
なお、有報の提出期限延長につきましては、10ページの第2パラグラフに情報開示の遅れを懸念する意見のみが紹介されておりますけれども、作成者からは開示作業の増加を理由に、1、2か月延長すべきという意見が出ていることも、この資料では紹介しておいていただきたいと考えます。
3点目は、虚偽記載に対する責任の記載についてです。18ページに記載されているデータ・プロバイダーに対する情報についてですが、これは機密情報であり、開示には慎重にならざるを得ません。情報の入手経路の適切性は、作成者と監査者が分かっていれば十分なのではないでしょうか。したがって、このデータ・プロバイダーに関する情報を詳細に記述させることについては、有報に記載を求める事項に含めるというような記述は避けていただきたいと思います。もしこちらの記載を残すのであれば、開示の必要性や、開示によって得られるベネフィットについての詳細な検証が必要と考えます。
最後になりますけれども、SSBJ基準の適用開始期が差し迫っている中、ある程度決めていかなければいけないという点は十分理解しておりますが、決め打ちで進めて、後になって問題にならないように、資料の表現ぶりについても丁寧に吟味して、中間論点整理を取りまとめていただくようお願い申し上げたいと思います。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、三瓶委員、御発言ください。
【三瓶委員】
三瓶です。まず最初に、全体として、これまで検討してきた議論について丁寧に論点整理していただき、ありがとうございます。
その上で、1ページ目の「はじめに」のところですが、当ワーキング・グループ設置の際に示された諮問事項というのを明記しておくべきではないかなというふうに思います。そこに書いてあったのは、「サステナビリティ情報に係る昨今の国際的な動向や要請を踏まえ、我が国資本市場の一層の機能発揮に向け、投資家が中長期的な企業価値を評価し、建設的な対話を行うに当たって必要となる情報を、信頼性を確保しながら提供できるよう、同情報の開示やこれに対する保証のあり方について検討を行うこと」ということです。
私なりに何がポイントかというと、3つあると思うんですけれども、国際的な動向や要請を踏まえることというのが1つ。2つ目が、我が国の資本市場の一層の機能発揮に資すること。これはどういうことかというと、要するに価格発見機能、または、言い換えると企業価値の評価というものをちゃんと正当に受けることということだと思います。3点目が情報の信頼性を確保すること。これが大事な諮問事項なので、これに沿って検討してきたと思います。なので、それを明確にしておく必要があるのかと。
その上で、4ページ目の適用対象企業の点ですが、4ページのところで2つの段落がありますけれども、ちょっとこの2つの段落が、そういった点からすると、ずれているというか、または、これまで議論してきた検討のロジックと違うなというふうに思うので、確認したいと思います。
第1パラグラフには、3つの観点から検討することが適当というふうに示されています。その3つの観点というのは、投資家ニーズ、2つ目が企業側の観点として情報開示の有用性、3点目の観点が、企業側の観点ですけど、対応リソース有無の観点ということで、いきなりこれが出てくるんですね。第2パラグラフでは、これについてそれぞれどういうふうに検討しているのかと、投資家ニーズについては、グローバルな競合先との開示情報の比較可能性。ただ、ここに書いてくるときに、いきなりプライム市場上場企業ありきということになっているんです。そのプライム市場の上場企業であれば、この3つの観点を満たすというような書き方なんです。ちょっとそれは検討の状況とは違うなということです。
ワーキング・グループで第1回、第2回に議論して、第3回に大体方向性についてまとまったわけですけれども、そのときのロジックというのは、まさに諮問事項に沿って、国際的な要請及びその対応状況について多くの情報をいただきました。その中で1つ目としては、企業規模や市場規模に応じた段階的導入、2つ目としては、その規模については、売上高とか総資産、従業員数などいろいろあるんだけれども、日本としては、同じシングルマテリアリティを採用する米国の例や、IFRS財団の法域ガイドを踏まえて、時価総額基準でその段階的ということを適用しましょうというふうになりました。
だとすると、日本の場合には東証の市場区分のコンセプトというものが参考になるねということで、多くの機関投資家の投資対象になり得る規模の時価総額を持つ、そういう大きな規模、これがプライム市場であるという、ここからプライム市場というふうになってくるわけです。
同等性による国際比較可能性の確保をすることが企業価値の正当な評価に資するということになっていたと思います。
情報の信頼性という3つ目の点は、諮問事項では主に保証を指して書いてあると思いますけれども、同時に、国際的な基準との同等性ということ、これが信頼性の一つになりますし、また国際的に比較可能性が確保された基準に基づいて情報開示を行うことが、企業側の実務負担の観点から望ましいという意見も出ています。これは現実的に実効性が高まるということだと思うので、これも信頼性には関係すると。そういうロジックというか考え方でまとまってきたので、中間論点整理としてどういう議論がされてこういうふうに結論に持っていかれたのかということは、それに沿って書いていただいたほうがよろしいかと思います。
そしてもう一点ですが、これは相対的には小さな話なんですけど、7ページ目の2つ目の矢尻で、最後の結論のところが「数年後を目途に結論を出すことが適当である。」というのは、適当であるというには曖昧過ぎるかなという感じがします。もう少し具体的に、例えば、適用と導入については2027年3月期の適用開始から3年間の開示・保証の状況を踏まえてとか、そういった、これも目途ですから1年ぐらいずれることがあり得るのかもしれません。だけど、そういうふうにしておいたほうが予見可能性も高まりますし、その頃には必ずレビューしなければいけないんだということになるので、数年後というのは、もうちょっと明確にしていただいたほうがいいと思います。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、関口委員、御発言をお願いいたします。
【関口委員】
ありがとうございます。
まず、こういった形でおまとめいただいて、大変ありがとうございます。本当に網羅的にまとめられていて、感謝申し上げます。全体として、開示に関する点は非常に網羅的に書かれているんですが、保証に関することが3ページ半しかないということで、私から少しコメントさせていただければと思います。
まず21ページ、ちょっとこれは細かいことで、文言の話なんですけども、初めのところで「また、任意の保証を受けている」、「任意の保証を受けている。また、任意の保証を受けている企業のうち」とあるんですが、これは正確に言うと、これは保証または保証に類似する業務だと思います。なので、これは、例えば「または、保証または保証に類似する業務の提供を受けている」とか、そういうふうにしていただいたほうがいいかと思います。具体的には検証業務とか、多分そういうのも入っていると思うので、そんなふうにしたほうがいいかなと思います。
次の行で、「また、当ワーキング・グループでは、今後、更に・・・」とあるんですけど、ちょっとここは私の理解と違っていまして、自分の理解では、今後保証業務の対象とする企業の範囲が広がっていくことを想定すると、監査法人以外の保証業務提供者を含め、広く担い手を確保すべきとの意見があったということじゃないかなと思います。例えばGHG排出量からほかの指標に広がった場合に監査法人ができないかというと、多分そんなことはないと思うので、企業の数の範囲の話なのかなと思います。このため、ここはそんなふうにしていただいたほうがいいかなと思います。
3点目が次のところで、「また、国際的にも認められる水準の品質管理や職業倫理が確保されるべきである。」というところです。ここもせっかくこれまでISSA5000、それからIESSAというのをこの場で議論してきたので、ここに続けて、「このため、ISSA5000及びIESSA、IESBAにより開発された倫理規則を踏まえ、我が国における保証業務基準や倫理・独立性規則の開発を進めていくことが適当と考えられる」とか、そんなふうなことを入れていただくといいのかなと思いました。
最後に22ページのところですけども、ここも、宿題になっていることもう少し明確にしていただいたほうがいいのかなと思います。専門グループでは、かなり時間をかけていろんな論点を議論してきました。例えば、保証の担い手は、登録要件を含め多くの論点に関わるものであるため、議論することが必要であるとされました。このため、当ワーキング・グループにおいて、専門グループで今後検討すべきとされた論点、すなわち自主規制機関の在り方、検査監督の在り方、保証報告書の記載の在り方、また、監査法人(グループ会社を除く)が監査、保証業務を提供できることを明確化するための措置について検討することが必要であるとか、そういうのは書いていただいたほうがベターかなとは思いました。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、オンラインで御参加の近江委員、御発言ください。
【近江委員】
近江です。御指名ありがとうございます。
では、まず私から、ワーキング・グループでの様々なステークホルダーの意見を最大限に取り入れられて、実効的なサステナビリティ開示と保証のロードマップをまとめていただきました事務局に感謝を申し上げます。国際的に見ても遜色のない開示のタイムラインが示されると同時に、二段階開示や保証対象、保証機関において猶予期間を設けており、実効性の高い開示の在り方が丁寧に示されたと考えております。全体としての内容に賛同いたします。
私からここでちょっと申し上げたいのは、改めてではありますが、開示の意義についてです。現在、海外投資家による日本市場への注目は、これまでになく高まっておりまして、日本企業のサステナビリティへの取組はグローバルに関心を持たれて見られているということです。国際的な要求水準を満たすサステナビリティ情報が日本を代表する企業において早期に入手可能になることで、国内外の投資家は投資先企業の価値を統合的に捉えることが可能になります。また、多くの運用機関では、現在、AIの急速な活用によって、企業評価においてテキスト情報を含む企業の様々なデータをタイムリーかつ統合的に把握するということが進んでおります。このようなタイミングで財務情報とサステナビリティ情報がコネクティビティを持って開示される意義は非常に大きいと感じております。企業側においても、開示義務化を消極的に捉えるのではなく、サステナビリティを自社の戦略に統合することを促進し、長期的な企業価値の向上に結びつける機運が高まることを願っております。開示により、情報利用者側において、財務にとどまらない企業の全体的な価値についての理解促進につながり、好循環が生まれることに期待しております。
残された検討事項のうち、開示対象とする企業の範囲を、将来的にいずれかの時期にプライム全上場企業に広げるかどうかについてや、保証業務の担い手、セーフハーバーの対象範囲の拡大適用条件については、今後の議論でぜひ具体化していくことを期待しております。
私からは以上になります。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、また会場に戻りまして、田代委員、御発言をお願いいたします。
【田代委員】
ありがとうございます。非常に、8回目ということだったと思うんですけども、今までの議論をまとめていただきまして、すごく丁寧にレポートをつくっていただいて感謝申し上げます。
私からは1つだけなんですけども、これはもしかして意図していなく、そういうふうに私が読んでいるだけかもしれないですけども、5ページとか6ページにあります開示の時期の議論の中で、例えば、5ページ目の適用開始時期の2パラグラフ目に「現行制度に基づくサステナビリティ開示への対応状況に差があることや、企業によってリソースに相当ばらつきがある」とか、6ページ目の一番最後のパラグラフで、「開示に必要なリソースを確保するために慎重な検討が必要」という表現になっているんですけども、こちらの書きぶりですと、何か企業の意思によって決まっているというふうに読み取れるんですが、実際は監査法人とか、これからアシュアランスを提供してくださる組織にもよって、開示がやりたくてもやれないという実態もあると思いますので、単体、企業によってこれが決まるという表現ではなくて、やはり海外から見ますと、企業だけではなくて、監査のクオリティーもアシュアランスのクオリティーも非常に問われるところとなると思いますので、書きぶりにはもう少し、「総合的な理由により」というような表現にしていただいたほうがいいのかなと思って発言させていただきました。
以上です。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは続きまして、藤本委員、お願いいたします。
【藤本委員】
御指名ありがとうございます。藤本です。私からも何点かコメントさせていただきたいと思います。
まず、本論点整理ですけれども、事務局のこれまでの御提案ですとか、ワーキングにおける意見も本当に多くあったと思いますけれども、それを適切な形で取りまとめいただき、本当に感謝申し上げます。また今日もいろいろ御意見があるのかと思いますので、ぜひせっかくのいろんな御意見を反映いただきたいと思っております。
それから、先ほど保証の話が出ていましたけれども、今回、専門グループでの議論について、前回報告があった内容等があまり反映されていないと思っております。やはり保証の担い手の議論などは、制度全体を見た上で判断すべき要素も含まれていると思いますし、保証の専門グループでコンセンサスを得られた内容も結構あるのではないかと思っていまして、そういったものも取り込んでいただけると、さらによくなるのではないかと思っております。
それから、幾つか個別の点についてもコメントさせていただきたいと思いますが、まずロードマップの案についてです。こちら1兆円以上の企業も適用時期を明確にしていただいたという観点で、この辺は非常によかったと思っておりますけれども、5,000億円以上の企業についてもやはり早期に御検討いただきたいということが、まず1点目でございます。
それから、海外で、CSRDで開示した場合ということで、11ページ目のところに臨時報告書で開示をするという案があったかと思いますが、この部分、私がまだ十分理解できていないと思っているのですが、臨時報告書の本来の開示する趣旨、そういったものにフィットするものなのかというのがあまり十分理解ができていないので、その点改めて確認をさせていただきたいと思っております。
それから、保証についてでございます。まず保証の範囲について、19ページ目のところに、3年目以降、国際動向を踏まえて検討することが適当との記載がございます。この点、以前にも発言させていただいておりますけれども、やはり保証の範囲は開示の基準全体に対して適用すべきというのが大原則と思っておりまして、この点、論点整理に明記しなくてよいのかと思っております。
理由としましては、開示基準となりますSSBJ基準というのは、セット・オブ・スタンダードなどとも呼ばれます一つの基準になっていて、それ全体が保証対象のクライテリアになり得るということからしますと、SSBJ基準で要求される開示情報全てを保証対象にしませんと、SSBJ基準に準拠しているという保証の結論の表明は困難になるのではないかと考えております。また、専門グループでも御意見あったように、制度設計上、保証範囲が限定される場合に、重要性の観点から実施すべき手続を検討するということも難しいというところもございまして、制度として最終的に全ての開示情報を保証するという前提を何らか示していただくということが極めて重要なのではないかと考えております。
それから、保証の担い手について、2点コメントさせていただきます。
まず1点目でございますけれども、21ページ目のところで、先ほどもコメントありましたけれども、「保証対象事項が広がることを考えると、必ずしも監査法人のみの知見で全て保証できるとは限らない」というところでございます。この対象の広がりという趣旨が、現行のSSBJ基準で求められている開示の中での保証範囲の広がりということを意図しているとしますと、現在でも多様な専門家を活用している監査法人のほうが、むしろ保証は可能であると考えております。また、SSBJ基準自体がさらに広がっていくということを考えても、開示基準の検討期間を含めても、相当期間の準備期間がございますので、その点も十分対応可能なのではないかと思っておりますので、この点、誤解が生じないように表現を修正いただくか、記載を追加いただくことを、ぜひお願いしたいと思っております。
それからもう一点、冒頭申し上げたように、保証の全体像を明確にしながら、ここの担い手の検討をすべきであると思っておりまして、市場ですとか投資家の方々が保証に何を期待しているのか、また、国際的に見て遜色のない品質を求めるということであれば、専門グループでお示しいただいた登録やエンフォースメントを含む品質管理、指導・監督とか、そういった論点も全体として議論していく必要があるのではないかと思っております。そういう趣旨も踏まえて、冒頭、専門グループの御議論をもう少し反映いただけるとよいということでございます。
それから最後に、こちらも先ほど出ていましたけれども、少なくとも保証基準や倫理・独立性の基準は、グローバルな観点からいっても国際基準のISSA5000やIESSAと整合する基準とすべきということは、おおむね異論がなかったと認識しておりますので、この論点整理の中でもお示しいただけるとよろしいのではないかと考えております。
私からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。ほかに御意見はございますでしょうか。
それでは、森内委員、お願いいたします。
【森内委員】
御指名ありがとうございます。事務局よりご説明いただいた資料は中間整理ということで、ワーキング・グループにおける様々な対立意見を客観的にかつバランスよく取り上げていただいて、かつ方向性についても示されていると思っております。
次に、保証の担い手に関して、20ページ、21ページ中心に記載がございます。その中で21ページ目の最初のパラグラフの中で、我が国における状況、任意の保証を受けている企業のうち半数以上は監査法人以外から保証を受けているといった記載はIFACのレポートにもある記載を反映していただいており、客観的と思っております。
一方で、ちょっと細かくて恐縮ですけども、同じページの脚注の57番のところを見ますと、「ただし」以下のところで、保証報告書のタイトルが「『保証報告書』、『検証報告書』など各社により異なるとともに、利用する保証の基準についても、ISAE3410、ISO14064-3など様々であり、統一されていない模様である。」と記載がございます。これに関しては、あたかも半数以上を占める監査法人以外の保証の担い手の品質やガバナンスや統制環境に懸念があるのではと読まれてしまうのではないかと危惧いたします。保証報告書のタイトルは、保証報告書あるいは検証報告書のどちらかであって、保証基準はISAE3410とISO14064-3、もしくは両方が適用されているというのが実態であって、一本化はされていないものの、限定はされており、決して様々な保証基準が乱立しているわけでも混乱が生じているわけでもないと承知しております。実態を反映するように御修正の検討をお願いしたいというところでございます。
御参考までに、保証と検証の用語と概念については、ISOにおいて現在開発中の新たな規格の中で、整合させる国際標準規格をこの12月には発効していく方向で動いていると聞いております。
最後、3点目ですが、改正GX推進法が成立し、来年からGX-ETS制度が開始すると承知をしております。この中で、GHGの排出量に関しては登録確認機関の制度ができると承知しております。サステナビリティ保証制度とGX-ETS制度の中で、保証の担い手であったり、保証の対象あるいは保証の範囲、保証水準、あるいは義務化の適用を受ける企業、こういったところで重複が予想されるわけで、制度間のインターオペラビリティに関しても配慮をしていく必要があるのではないかと感じております。
私からは以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、芹口委員、御発言ください。
【芹口委員】
ありがとうございます。
分かりやすくまとめていただきましてありがとうございます。開示につきましては全般的に賛同するところでございまして、ロードマップでは、時価総額1兆円未満5,000億円以上の企業につきましても本年中に結論を出すということで明確化いただいていると思っております。その他残っている論点につきましても引き続き検討して、明確化をお願いしたいというところでございます。
1点、気になったところといたしましては、保証の範囲のところでございまして、19ページからのページに記載されております。全体の書きぶりといたしましては、Scope1と2のGHG排出量とガバナンスとリスク管理に当面とどめる印象を受けました。利用者といたしましては、以前からも申し上げているところで、保証の範囲は将来的な拡大を期待しております。ガバナンスとリスク管理についてもここで記載をいただいておりますけれども、保証の範囲の将来的な拡大を見据えた上で、まずは開示の体制整備を進めていただく趣旨で追加のコメントをさせていただいておりますので、この点、念のため改めてお伝えさせていただきます。
保証の範囲につきましては、3年目以降は国際動向等を踏まえて今後検討ということでございまして、以前も今後議論が確実に行われるか気になることはお伝えしておりますが、特に今後ワーキング・グループで保証の担い手を改めて議論する上でも、前提が異なることにならないか気になっております。少なくとも保証の範囲の方向性につきましては早い段階で明確化をして、認識を合わせておく必要があるのではないかと思いましたので、今後の議論を進める上での内容も含んでおりますけれども、コメントさせていただきます。
コメントは以上でございます。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、吉元委員、御発言ください。
【吉元委員】
御指名ありがとうございます。吉元です。
まず最初に私からも、これまでの多岐にわたる論点についての様々な複雑な議論、意見を集約していただいて、中間取りまとめを作成いただいた座長と事務局の皆様に感謝申し上げます。SSBJ基準の適用と保証制度の導入に向けたロードマップをはじめ、中間論点整理全体といたしましては、概して投資家の要請のみならず、グローバルの規制動向、発行会社の多様なニーズ等々、実務にも配慮したバランスの取れた、よい現実的なものになってきていると感じているところでございます。その上で、個別論点に関して大きく3点ほど、少し意見させていただければと思います。
まず、経過措置としての二段階開示についてです。資料9ページに二段階目の開示媒体として訂正報告書が適当という記載がありますが、過去のWGにおいても意見させていただきましたが、例えば訂正の性質ですとか、訂正に伴う法的責任など、訂正報告書を用いる上での論点が整理し切れたとまでは、私としてはまだ思えていないと。これらの論点に触れることなく、否定的意見の根拠として心理的抵抗ですとか、社内的に重いということだけが紹介されているというのは、少し違和感があるところでございます。
また、媒体として訂正報告書を使うこととしつつ、なぜ提出期限についてだけは半期報告書の提出期限を援用するのかと、その理論的根拠は不明という印象がありまして、ちょっと結論先取りという印象もまだ拭えないところでございます。そのため、中間取りまとめの段階では、訂正報告書だけを二段階目の開示媒体と決めるのは、少しまだ時期尚早なのではないかというふうに感じているところでございます。媒体として半期報告書や臨時報告書を用いる選択肢も含め、中間論点整理においては、例えばですが、両論併記として継続議論すべきではないかと考えているところでございます。
次にセーフハーバーについてですが、制度整備の方向性については異論ございません。資料16ページのScope3に関する具体的なセーフハーバーの要件、2つのブレットで書いてあるところですけども、ここについては当WGにおいてもいろいろと議論があったところと承知しております。米国SEC規則案と同程度に要件の緩和ですとか挙証責任の転換を求める意見も複数あったと認識しております。そのため、この中間論点整理においても両論併記とするか、せめてそのような意見があったことも注記等で触れる形での取りまとめを御検討いただければと思っております。
それから最後ですが、細かい表現に関してなんですけれども、22ページの最後の文章で「当ワーキング・グループにおいて、引き続き柔軟に対応し」という表現が用いられていて、他の箇所では「引き続き検討し」とされていることに対して、何か特別な意図があるのかというところが少し気になりまして、そういう趣旨、何かあるのであれば異存ございませんが、もしないのであれば、ほかと同様に「引き続き検討し」と普通に書いていただくのが、読み手からすると何か邪推されずにいいのかなというふうに思った次第です。
以上です。ありがとうございました。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは続きまして、浅川委員、御発言をお願いいたします。
【浅川委員】
御指名いただきましてありがとうございます。一般財団法人日本品質保証機構(JQA)の浅川でございます。
中間論点整理案の御説明いただきまして、ありがとうございました。基本的に、この論点整理案に賛同いたします。その上で、私も、内容を拝見して気がついたところをコメントさせていただければと思います。
最初、開示のところで、6ページのロードマップのところでございます。ロードマップの議論では、準備等の関係から、早めにスケジュールを確定したほうがいいというような意見もあったかと思いますが、最終的に、現状では、ⅰとⅱについては具体的な年次が記載されて、ⅲについても今年中を目途に結論を出すという目標が記載されているところです。一方、時価総額5,000億円未満のプライム上場企業については数年後をめどに結論を出すということで書かれておりますが、既にほかの委員の方からも御意見ありましたが、こちらについても、例えばこの後の本ワーキングでの引き続きの議論になるのかどうかというようなレベル感ですとか、もう少し具体的な方向性みたいなものを付け足してもいいのかなというふうに思ったところです。
それから、私どももその他保証業務提供者ですので、保証のところということですが、まず21ページでございます。21ページの専門グループの意見のところで、監査法人に限定すべきか否か、あるいはその他の意見ということで、3つ書いていただいているかと思います。このうちの監査法人に限定すべきでないという意見というところでは、一応内容を拝見すると、市場の独占につながるとか、競争の場をとか選択の余地をとか、あるいは実際に既に行われている任意の保証の実績、状況を勘案してというような視点で記載されているのかなと思うのですが、一方で、専門グループの資料を拝見いたしますと、例えば審査体制の品質管理への期待ですとか、通読・検討のプロセスを実施しているというようなキーワードもあるようですし、また、これまでのワーキングの中でも、私どもの所属するISOという仕組みの認証認定の制度、あるいはIESBAさんとのパートナーシップの御説明等も行われておりますので、そういった品質に関わるキーワードについても言及していただくといいのかなというふうに思ったところです。
あわせて、こういう細かい議論もいろいろあったかと思いますので、先ほどほかの委員の方からもお話あったかと思いますが、毎回のワーキングにおいて、どんなテーマがあったのかというようなところを少し整理して、このタイミングでこんな議論をしましたよということが時系列で分かるような形の情報を入れられると分かりやすいのかなというふうに思いました。
あと、20ページの最後のところで欧州の状況が書かれているかと思います。特に欧州では、実務上、監査法人を中心にサステナビリティ情報に対する第三者保証が提供されていますということでコメントされておりますが、こちら、ワーキングの資料を拝見すると、Wave1のことなのかなと思いますが、一応10ページの注釈23の中ではその内容が一部出ておりますけれど、保証の細かい説明、何割ぐらいをどうやっているとか、ワーキングの資料のほうには書かれていたと思うので、そういったところも一緒に実情を書かれているとよりよいのかなというふうに思いました。
またあわせて、21ページ、先ほどもちょっとお話があった任意の保証の現状というところも、実際どんな形の保証がどのぐらいできているのかというのは注釈の57ということになると思いますが、同じように詳細を示すと分かりやすいのかなというふうに思いました。
私からのコメントは以上となります。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、高村委員、お願いいたします。
【高村委員】
ありがとうございます。皆様おっしゃっていましたけれども、極めて様々な意見がある中で、これまでの議論を丁寧にまとめていただいた取りまとめだというふうに思っております。こうした新しい制度、特に事業者に対して義務づけを行うという意味でいきますと、予見可能性というのは非常に重要だと思っていまして、1ページにもありますように、この段階で取りまとめをしていただくこと自身も予見可能性を高める一つだというふうに思っております。
恐らくこの1ページ目のところに、先ほど三瓶委員がおっしゃった諮問事項について記載いただくというのは、私も賛成であります。といいますのは、もちろん、多分事務局が大変苦労されているのは、とりわけ2025年に入ってからの主要法域での政策のいろんな動向というのが不確実な要素を与えているというふうにも思っておりますし、それから作成者あるいは保証を与える者の準備状況といったこともあるわけですけれども、やはりそもそものこのワーキングの諮問事項というのが、これも三瓶委員が既におっしゃいましたけど、やはり日本の資本市場の一層の機能発揮に向けて、そして企業価値の評価、建設的な対話で信頼性を確保する、その情報がしっかり信頼性を確保して提供されるということのための制度であるということを、この検討の前提としてやはり書いていただくというのは非常に重要かというふうに思っております。
次、2点目がロードマップについてですけれども、これは前回の議論、私、欠席いたしましたけれども、スケジュールの基本線を明確にしていただいたということは大変ありがたいと思っております。多くの委員が支持をされていると思いますが、私もそれに同意いたします。こちら特に時価総額1兆円以上についてしっかり確定をしていただき、かつ時価総額5,000億円以上についても、引き続き柔軟に対応するけれども本年中をめどにという、こうしたスケジュール感を明確にしていただいたのは大変よいと思います。
3点目は、相対的には小さな問題ですが、二段階開示についてです。基本的には賛成、2年というのは賛成なんですけれども、他方で、やはりよい事例ですとか、逆に課題を明確にする、もちろん原則として同時開示、同時報告であるということはもちろんあるわけですが、それに向けて近づいていく上でも、当然これは二段階開示、2年というのはできるということであって、推奨していくということもまた、つまり早期に同時開示、同時報告に向けた取組を推奨していくということは重要な点ではないかというふうに思っております。
大きな意味で3点目ですか、保証についてであります。19ページ目のところにございますけれども、保証範囲をScope1、2、そしてガバナンス、リスク評価から始めるというところは賛同しているところですが、やはり3年目以降どうするかということについて、これは直接的に保証業務にも当然、開示作成者あるいは発行体にとっても非常に重要な点だと思いまして、そういう意味では準備の期間なども考えますと、あらかじめ十分な検討の時間を確保して、十分な時間を持って検討を始めるということは付記していただいたほうがよいのではないかというふうに思っております。
保証の担い手についてですけれども、これは本当に堀江先生の下で、グループのところでいろんな議論があるわけですけれども、先ほどのもともとの諮問事項の観点からいくと、担い手がPAなのかNon-PAなのかというだけでなく、多分恐らくそのためにどういう能力が必要で、どのような規律統制の下で行うことが必要なのかということを、それは品質管理上もそこから議論するということが必要なように思っております。グループの中でもそういう御意見があったようにも思いますけれども、今は保証の担い手がどっちかという議論だけ御紹介されているように思っていまして、むしろやはり先ほど申し上げた資本市場に提供される情報の信頼性確保のために、どういう規律、どういう体制、制度が必要なのかということ、それと保証の担い手がどういう能力が必要で、規律の下で業務を行うのかという議論から改めて議論するということ、議論を整理するということが必要ではないかというふうに思っております。
これは質問にも近いんですけれども、保証基準の検討というのは非常に重要だと思っております。これは作成される側も、開示の実務の準備を進めるに当たって、果たして保証基準というのが一体どういうものになっていくのかということを問われることがございます。そういう意味で半分意見であり、半分質問なんですけれども、この保証基準の検討とスケジュールの状況がどうなっているのかというのは、開示を準備される、そして当然保証の担い手の議論にもかかってくると思いますけれども、非常に重要だと思っていまして、こちらについてはできれば付記をしていただいたほうがよいのではないかというふうに思います。ここのワーキングでの議論ではないのかもしれませんけれども、現状の確認と、必要であればこれについては情報として付記をしたほうがよいのではないかということです。
最後は、森内委員がおっしゃったGX-ETSの排出量の確認と、こちらで言っている、ここで議論している保証の関係であります。業務としてはひょっとしたら重なる部分があるかと思いますが、ただ制度としての目的は必ずしも同じではない可能性があるということですので、やはりここは制度の整合性をつけていくというのが、これは開示、あるいはとりわけ排出量取引制度の対象になっている事業者の負担を減らしていくという点でも非常に重要だと思っていまして、森内委員の御指摘にあったような制度間の調整について必要だというふうに思って、これは報告書というよりは、どちらかというと今後の検討課題として事務局にお願いしたいと思います。
以上です。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、清原委員、御発言をお願いいたします。
【清原委員】
発言の機会をいただきましてありがとうございます。清原でございます。
冒頭、表紙のところで「中間論点整理(案)」というふうになっているところについて、私、当初は「中間報告」的なもので、論点という言葉がない中間整理のようなものを想定していたんですね。その頭でこの案を読んでいたときに、いい意味で、若干決め打ちもありますけれども、まとまってきたなという意識を持っていました。ところが今日、皆さんの御意見をお伺いしていると、現状どこまで議論が出来ていて、まだ詰め切れていないところはどこか、そこを明確にしていただきたいという御意見が非常に強いのかなというふうに伺ったと思っております。
よって、もともとあったこの「中間論点整理(案)」という、「論点整理」という言葉がむしろよかったかなと、思っています。逆に言うと、論点整理であるのであれば、論点がどこで、あとこの次、このワーキングで継続して議論するところはここだ、それからこれまでの議論の主なところはこの資料を見ればいいという形で、いい意味で、到達点で、残っているところは残っているところで、もう正面から認めて、それについて、後で詳細詰める。やはり皆さん、もう少し時間がたって、また情報が集まってくると、意見が一致しやすいところも、賛同しやすいところも多くなってくるだろうと思うので、その意味でいうと、プログレスがやっぱり明確になる。こういった形でいうと、「中間整理」という言葉にどうも引きずられて私も読み過ぎていたので、かなりうまくまとまってきたなというふうに思っていたんですが、皆様の御意見をお伺いすると、やはり論点整理という性質をより意識した形で、今後の検討課題だ、もしくは今後継続するという、その一文を加えるだけでも大分違うのと、それから、今までワーキング第1から7までどういう議論があって、どういう資料があったかということをやっぱり少し見直す必要があるかと思うので、レファレンスとして、参考になる資料はやはり脚注などで入れていくと、よりいいのかなというふうに思っております。
一番大きなところとして、二段階開示、それから保証の範囲、そういったこととともに保証の担い手というところがあったかと思うのですが、堀江座長が御説明されていたように、専門グループのほうでどういう議論があったか、その取りまとめが前回の第7回のワーキングで資料として出ているので、個別のところを全部、21、22ページに書かないにしても、その議論の状況という資料へのレファレンスが脚注にあるだけでも相当有用で意味があるので、できれば、そのうちどういうところを中心としてワーキング・グループでは議論していただきたいか、その視点が堀江先生のお話のところから拾われた文言があると、より分かりやすいかなというふうに思っております。
これだけ新しくて、かつ保証も、またサステナビリティもイメージしにくい部分もやっぱりかなりあるものなので、意見も分かれるし、具体性を持った議論になるにはやはり時間がかかるのは事実で、今回ここまでまとめられたのは非常に皆様努力されたんだと思います。改めて感謝申し上げたいと思います。やはりまだここで決まりでなくて、明確性はもちろん必要であり、予測可能性必要だといっても、詰めるべき論点を把握、はっきり示した上で、そこを考えておけば少なくとも企業の方も準備ができるとか、監査法人の方も、それ以外の方も、Non-PAの方も、どこの部分をより積極的にこれからお話していけば、制度設計の最終的な合意もしくは在り方についての結論に有用な情報を、こういった会議、ワーキング・グループとかで提供できるか。
正直申し上げると、実はNon-PAの方のやっておられる業務というのは、実は外部からはイメージしにくいのは事実です。監査法人がやられていることは非常によく分かる、だけどNon-PAがやられていることはちょっとよく分かりにくい。そこは、実はIOSCOの2023年の3月のレポートを見ると、Non-PAの方がやっているのはトランスパレンシー(transparency)のところでやっぱりちょっと劣るねという記述があったりします。
なので、その意味でいうと、今回IOSCOのレポートのところはあまり議論に上がってきていないんですが、ファクトファインディングを結構IOSCOではやっていて、それがベースになっていたはずなんですね。それは欧州中心だと思いますけども、そういったことも出した上で、やっぱりNon-PAの方々がこうやっている、こういう基準があるということの情報も最後にあった上で、最終的に担い手についてはどちらかに限定しないのがいいのか、もしくは最初数年間はこれがいい、もしくはもう最初からこうやるという結論に至るのがよいかなと思うので、その意味でいうと、あと一段やはり情報があること、時間をかけて検討すべきこと、ここがクリアになるような形で中間論点整理という形が取りまとまるとよいかなというふうに考えました。ちょっと大きなところをお話しさせていただいたんですが、そういった意見でございます。
細かなところでいうと、私、ちょっと分からない点があり、SSBJについて同等性ということでなく、この報告の中で整合性という用語が使われていて、それは同等性とどう違うのかということがちょっと気になっているところです。
それからあと、ほかの御意見があったところでいう保証についての基準、恐らく想定でいうと、ISSA5000、あとIESBAで出した倫理基準、そういったものを、ほぼ同等のものを日本でも想定するということをやはり明記していただければ、これから基準どうなるんだという議論も減ってくるし、そういう意味で想定されているものは、結論的に、断定的じゃないにしても、言及していったほうがよいだろうというふうに思っております。
中身のところで2点ほど気になっているところは、1つ目は見積りの情報の訂正の要否の考え方、13ページ、14ページのところです。ワーキングの議論のときには資料もあったので分かりやすかったんですが、報告、これを取りまとめたときの13ページの記述だとすると、14ページの冒頭にある「なお、上記の整理は、見積り情報が正確である場合を前提としたもの」ですと、この前提が本文中に明記されていないので、何が前提になっているか分からないまま読んでいく。そうすると、ここだけを読むと、実はちょっとあれっと思ってしまうところがあります。なので、そこの書きぶりについては拡充をちょっとしていただくとよいかなというふうに思うところがございます。かつ、この見積りの情報の正確性のところでSSBJの基準、これを脚注でリファーしていただくと、そうすると、何をもって見積りの正確性というのを考えられるのか、ほかの箇所でもあったんですけど、それを入れていただくのが適切かなというふうに考えるところがございます。
もう一つは、9ページになります。注の20のところなんですけれども、本文との関係でいうと、二段開示になるまでは準拠していると言えないというふうに断定的に書かれてしまっているところがあって、これはちょっとよく分からないところがあるので、そこまで言い切ってしまうと、むしろ保証報告書を二段開示のところまで、二段階目まで出せないというふうにここからすぐ読めてしまうので、本当にそうなのかどうか。質問とともに、ここは記述の仕方を少し考えたほうがいいのかどうか、そこは質問と、それからコメントというところを申し上げたいと思います。
具体的には、一段階目で、今までの開示府令などの基準でなく、既にSSBJの基準に基づいてほとんどの情報を入れて、あとはScope3だけ二段階目に出すような形、そういうようなときに、一段階目で保証の対象になる情報まではしっかり書かれている、少なくとも保証開始初年度としては。だけれども保証報告書はそのとき出せない、すなわち準拠していると言えないのであれば出せないはずなので、二段階目になるまで保証報告書を出せないのかどうか、ちょっとそこの扱いが細かいところでは気になるところでありますので、最初の段階でできるだけ、情報が整ったのは、早期に出せる会社は出していただきたいし、それに保証がつけられるのであれば、保証があったほうがいいと思うんですが、だけれども、このScope3の情報だけが残っているがゆえに、保証報告書がないまま、宙ぶらりんで何か月かたつということになりかねないので、この運用どうなるのかというところを明確にしていただければありがたいと思っています。
以上になります。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
本日御参加の委員の方全員から御発言をいただきました。大変ありがとうございました。何点か御質問があったかと思いますので、事務局のほうからお答えいただければと思います。よろしいでしょうか。
【野崎企業開示課長】
事務局でございます。何点か御質問いただいてございます。
まず藤本委員から11ページの臨報について、本来の趣旨に沿ったものなのでしょうかという御発言があったかと思いますけども、臨時報告書、例えば企業の重要な組織再編ですとか、あと監査人の異動とか、そういった投資家にとってタイムリーに知らせるべき重要な情報につきまして、内閣府令で限定列挙して、そちらについて情報開示を求めているというものでございますので、まさに投資家にとっての情報の有用性というところを基準に、今回こちらについては、諸外国でサステナビリティ関連情報を出している場合に、どのような範囲で、どのような情報を投資家にタイムリーに届けることが必要なのかという観点で御議論いただいて、今こういった中間論点整理になっているというふうに考えてございます。
2点目、高村先生から、保証基準の検討はどうなっているのかという御質問でございまして、国際基準、ISSA5000というものがもうリリースされて確定されてございますけども、先ほど事務局の説明からも御紹介しましたESMAの6月20日のリリースなどでも、まだやはりファーストイヤーのアプリケーションで、彼らの表現を使わせていただくと「will imply a learning curve for all parties」ということで、みんな学習曲線をまだ上っているところであると表現されております。つまり、多分現時点でこういった形で決め打ちで、こういうスケジュールでやりますというよりは、実務的な状況も見ながら、全世界で今学習している状況なので、そこで国際基準を国内でどのように入れていくのかというのは、まさにこれから皆様と引き続き検討して決めていければと考えてございます。
最後の清原先生から御指摘いただいた御質問は、非常に重要な点でございまして、二段階開示のところの保証の取扱いについても、有価証券報告書において範囲を絞って保証して、二段階目の訂正報告書についての取扱いについてどうするのかというところも、まさにより詳細なプラクティカルな議論を詰めた上でないと、この場でこうしますということは今申し上げられないということを御理解いただければと存じます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
【倉持国際会計調整室長】
もう一点、清原先生からいただきました、なぜ同等性ではなくて整合性という言葉が使われているのかです。ISSBの評価はEquivalencyではなく、Functionally alignedかという評価がされています。この背景ですけれども、もともとISSBの基準はグローバルベースラインという、それがそのまま各国で適用されるというよりも、それに従った基準が各国で適用されるというようなところを想定されているため、ISSB基準とfunctionally aligned、機能的に整合しているかどうかという観点からISSBが評価をしています。これに従って、この文言を用いさせていただいております。
【神作座長】
よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
全体の書きぶりについて、何点か大きな御指摘をいただいたと思います。三瓶委員と高村委員から御指摘がありましたように、諮問事項に沿った形で書いていくべきであるという点は、まさに本ワーキング・グループの検討はそのような観点からなされてきたと思いますので、そのような修正もあり得るかと思います。また、堀江委員からいただきました保証に関する御指摘についても、開示の、これは諮問事項とも関係あると思いますけれども、資本市場及び企業評価にとって有益な情報の開示、質の高い情報を開示し、開示の価値を高めるための仕組みという観点から、これもまさにそのような観点から本ワーキングおよび専門グループで議論してきたと思いますので、そのことがよう明確になるような表現ぶり、あるいは書き方というのは十分検討に値すると思いました。
また、清原委員から最後にまとめてお話がありましたし、その他の委員の方からも随所に御指摘あったと思いますけども、レファレンスですとか、これまでの議論の経緯などを詳細に書いたほうがいいのではないかということでございますが、他方で、報告書があまり長くなると、今度はだんだん読んでくれる人が少なくなるという問題がありますので、ここはちょっと全体のバランスの問題がございますので、少し検討させていただければと思っております。
議論につきましては、本日非常に重要な御指摘、個別の論点につきましても多数の重要な御指摘をいただいておりますので、その辺り、レファレンスとか、これまでの議論の経緯、アジェンダ等も含めて、また事務局のほうで見直していただいて、委員の皆様には改めて修正案をお送りしたいと考えております。そのような進め方でよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
【神作座長】
どうもありがとうございます。
それでは、オブザーバーの方にも、本ワーキング・グループに参加していただいております。これまでも御発言いただいており、大変ありがとうございます。ここでもし御意見がございましたら、オブザーバーの皆様から、まだ少々時間がございますので、どうか御遠慮なく御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
それでは、日本公認会計士協会の太田理事、お願いいたします。
【日本公認会計士協会】
発言の機会をいただきましてありがとうございます。日本公認会計士協会の太田でございます。
まず、今回レポート、お取りまとめいただきまして大変ありがとうございました。保証について幾つかコメントさせていただければと思います。
まず、保証の水準でございます。20ページ目に、合理的保証への移行の検討は行わないことが適当というように記載していただいています。制度導入しばらくは限定的保証を提供するということが適切というふうに考えられますけれども、将来的には国際動向が変化したり、市場ニーズ、そういったことを考えて、合理的保証を検討するということも考えられますので、後々の検討の足かせにならないように、この記載をあえてしないということも考えられるのかなと思っております。
あと保証の担い手に関しまして、21ページ目、ほかの委員の方も御指摘されていました、保証対象事項が広がることを考えると、必ずしも監査法人のみの知見で全て保証できるとは限らないというような記載でございますけれども、やはりここは誤解を招く表現なのかなと考えてございます。御承知のとおり、ヨーロッパでは既に幅広い情報を監査法人が保証しているということもございますので、記載を検討いただけますとありがたいと思ってございます。
保証の担い手について、これまでも発言させていただいてきた事項でございますけれども、やはりサステナビリティ保証制度の基本の設計が明確になっていない中でprofession-agnosticな制度とするということは、やはり懸念があると考えております。保証業務実施者を議論する上では、やはり市場の期待というものが重要でございまして、市場が国際的に見ても遜色ない、質の高い保証というものを求めているのであれば、適切な保証基準、能力開発、倫理・独立性、自主規制、検査監督、こういったものを含めて検討するということが必要で、これらを実現する法的枠組というものも全ての保証業務実施者に同様に担保されるということが必要になってまいります。これに関しては財務諸表監査における枠組も参考になるというふうに考えてございます。
今後も我々業界としては、監査についても当然ながら、サステナビリティ情報についても高品質な保証業務を提供するべく、しっかりと役割を担っていきたいと考えてございます。
以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、経産省の坂本さん、よろしくお願いします。
【経済産業省】
発言の機会をいただきましてありがとうございます。経産省のほうでは最近、サステナビリティ開示に関して企業様との意見交換をさせていただいていましたので、そこでいただいた意見を基に発言させていただきます。
まずはロードマップについてです。1兆円のところまでお示しいただきまして、ありがとうございます。5,000億円規模の会社様に伺うと、皆様準備はされているということで、あとは時期を早めにお示しいただきたいという声だけいただいているというところだけお伝えさせていただきます。
また、ロードマップに関連して保証範囲、あと時期というところ、今何も明確になっていないので、ここを皆様不安に思われているということで、我々も正直、具体的なイメージがついていないところがありますので、そこをお示しいただく必要性というのは今後出てくるのかなというふうに思っております。
続いて10ページ目、提出期限の延長に関してでございます。4か月というところをお示しいただきながらも、文中で時価総額3兆円というところを目安にコメントされているように見受けられます。特に1兆円規模、5,000億円規模という会社さんを見たときに、人的リソースもかなり限られている中で、3か月は非常に厳しいというお声をいただいております。4か月というところを設けながらも、できる会社さんは3か月で提出をお願いするということでいいのかなというふうに思いますし、海外でもイギリス、ドイツ、フランスといったところで、4か月にしながら、2か月、3か月で出しているという実務になっているのかなと思いますので、その辺幅広にお示しいただいたほうがいいのかなというふうに思っております。
最後、14ページ目に記載いただいています見積りの部分です。事例についてお示しいただけるということで、これは皆様非常にありがたいだろうなというふうに受け止めております。一方で、3兆円、1兆円というところで、もう既に準備を始められている会社様で、やはりこの3兆円、1兆円の会社様でいくと、3か月で出したいと、有報を出したいという会社さんになってくるんだと思っています。その中で、例えばScope3のところで見積り、どこまでSSBJ基準だと許容されるんだろうという不安の声というのも非常に多いと思います。これは金融庁さんにお願いというより、もしかすると専門家団体さんへのお願いになるかもしれないですけども、ガイダンスなり、そういったものがあると非常にありがたいという声をいただいているというところだけお伝えさせていただきます。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加いただいております連合の片山さん、お願いいたします。
【日本労働組合総連合会】
連合の片山です。発言の機会をいただきましてありがとうございます。
私からは2点、意見を申し上げたいと思います。
1点目は、サステナビリティ開示基準及び保証制度に関するロードマップについてです。この間、国際的に若干逆行する動きも見られましたが、本日ロードマップをお示しいただいたことで企業の予見可能性も高まると思いますので、今後着実にサステナビリティ情報の開示を進めていただくことが重要だと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
2点目につきましては、保証の担い手についてです。将来的には、開示すべき情報が増えれば保証範囲も広がることが予想されますので、労働分野も含めて専門的知見を有する人材が必要になると思います。その点今後の検討の中で御配慮いただければと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
私からは以上です。ありがとうございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
続きまして、オンラインで御参加の関経連の中島さん、お願いいたします。
【関西経済連合会】
関西経済連合会の中島です。発言の機会をいただきまして感謝いたします。また、事務局の皆様におかれましては、これまでの議論をまとめていただきましたことに厚く感謝申し上げたいと思います。その上で、私からは4点コメントさせていただきます。
1点目は、有報の提出期限の延長についてです。資料10ページに「本年中を目途に当ワーキング・グループで結論を出すことが適当である。」との記載がありますが、この点につきましては懸念があるところでございます。有報の総会前開示の環境整備や、それに関する開示書類の効率化や一本化などの議論が本年末までに決着する見通しが明確でないということからです。こうした状況の中で、有報の開示期限を検討すべき会議体が当ワーキング・グループが適切かどうかも含めた検討が必要であるというふうに考えます。
6月25日に実施されました金融審議会総会において、セーフハーバールールや有報の記載内容の見直しの議論に対して、会社法などの他の制度も含めた全体を見渡しての議論が必要であるとの意見も複数出ていたかと思います。こうした点を踏まえますと、10ページの記載は「引き続き検討していく」程度の記載がよいと考え、その検討のためには、他の制度も含めた全体を見渡しての議論の場の設定が必要であるというふうに考えます。
2点目は、10ページから11ページの、海外でサステナビリティ情報を開示した場合の我が国における情報開示についてです。臨時報告書の提出に該当した場合に、海外のサステナビリティ開示基準に基づき開示を行った旨やリンク先等を簡潔に開示するという点は同意いたしますが、これらはリンク先の情報の照会であり、海外で開示されたサステナビリティ情報は金商法上のエンフォースメントの対象ではないと考えており、この点も明確にしていただければと思います。
3点目は、13ページの見積り情報の訂正の要否の考え方についてです。第7回で方向づけられた前年度の有報提出後の確定値は翌年度の有報の比較情報で更新を行うといった点は重要ですので、ここは明確に記述いただきたいと考えております。
最後に、セーフハーバーの整備についてでございます。16ページにセーフハーバーの対象範囲や責任の在り方が記載されていますが、当ワーキング・グループのこれまでの議論では特段明確な方向性は示されていないものと認識しております。同じページの前半と後半で両論併記のようになっておりますけども、前半部分が「賛同が得られた」や「適当である」といった強い表現となっていることが気がかりな点でございます。開示ガイドラインの改正に取り組むのが適当であると記述されている部分の2つのブレットの記載は、第4回ワーキング・グループで提示された事務局案と同じでございますが、この適用要件は厳しいことから、私どもといたしましてはSEC規則案のレベルまで緩和してほしい旨をコメントしてきました。セーフハーバーの在り方につきましては合意が取れていない状態で、開示ガイドラインだけを拙速に改正するという方向性を記述することには賛同いたしかねるというところでございます。したがいまして、16ページの第2パラグラフの「具体的には」以下の記述の見直しをぜひともお願いしたいというふうに考えております。
なお、セーフハーバーにつきましては、「法律改正も視野に入れて、引き続き検討していくことが望ましいとの方向性が確認された」と後半に記述されていますので、この議論と整合性を図りつつ、開示ガイドラインの改正にも取り組むのが適当だと考えます。具体的な議論はディスクロージャーワーキング・グループに引き継がれますが、偏った発射台から議論がスタートしないよう十分御留意いただきたいと思っています。
私からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
ほかにオブザーバーの方で御発言を希望される方はいらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
様々な御意見をいただき、大変ありがとうございます。個別の論点について、具体的な修正案も含め様々な御意見をいただきましたけれども、本日いただいた御意見をどこまで入れることができるかという問題はありますけれども、他方で、できるだけ早く、現在コンセンサスが得られている部分はどこでその内容は何か、他方、残された問題が何かということを世の中に示す必要があるということについては、皆様の御理解をいただいているのではないかと思います。そのような観点から、できるだけ早期にまとめて中間論点整理を公表することが必要だと思います。
本日、御議論を承って、本日提示された中間論点整理案については、全体としての方向性については賛同いただいたと思っております。そこで、基本線は本日御提案のあったものを軸としながら、表現ぶりを含め修正をしていただき、事務局において、本日の議論を反映して案文を各委員に改めてメールにてお送りして、それを御覧いただき、もしそこで特段の御意見がないということで御了解をいただけましたら、正式な取りまとめとして公表していきたいと考えております。
意見がまだ分かれているところではございますけれども、先ほど申しましたような状況でございますので、まず現在の到達点を取りまとめて公表するということで、先ほど申し上げたような進め方で私に御一任をいただけますと大変ありがたいと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【神作座長】
どうもありがとうございます。
また、本ワーキング・グループにおける取りまとめの結果につきましては、今後、金融審議会の総会におきまして御報告をさせていただきたいと存じます。
本ワーキング・グループにつきましては、昨年3月以降、8回にわたって皆様方に御議論いただいてまいりました。また、一部の方々につきましては保証専門グループのメンバーとしても御議論に加わっていただきました。委員の皆様方には、大変御多忙のところ、毎回精力的かつ建設的な御議論を賜りまして、厚く御礼申し上げます。今回の取りまとめも中間論点整理案としておりますとおり、皆様方には継続して、引き続き御議論をいただくこととなります。今後、中間論点整理の内容を踏まえ、引き続き、本ワーキング・グループにおいて検討を行ってまいりますので、何とぞ御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
ここで局長から、一言ございましたらお願いしてよろしいでしょうか。
【油布企画市場局長】
では、一言だけ申し上げさせていただきます。
7月に入りますと、霞が関の官庁は大体、定期の人事異動がございまして、審議会に何度かお出になられた方は御経験されていると思うのですけども、なぜか7月、8月に審議会を開くと、こちら事務局のメンバーが大きく替わり、新しい人はそこで御挨拶をするというのが通例になっております。これは内示があっても基本的には公言してはいけないというルールがあり、替わる者は事前に審議会のような場で御挨拶ができません。ただ、局長級だけは今週の火曜日に公表されておりまして、この中で申し上げると私ですけれども、来週の火曜日に退任いたします。この審議会も含めて、企画市場局長は1年務めさせていただきましたけども、本当にありがとうございます。
審議会、私もたくさん出ましたけど、大体大きく2つ種類ありまして、大体秋口ぐらいから始まって、通常国会の法案提出に向けて数か月で議論するタイプのもの、こちらのほうが圧倒的に数は多いと思います。このワーキング・グループは例外のほうで、振り返ってみますと、最初に諮問をして第1回目の会議をお願いしたのは、私の前任の井藤英樹局長のときで、私が2代目の局長でございます。私の後任の3代目は、今、証券取引等監視委員会の井上事務局長が参りますけれども、3代にわたる局長で、皆様にしっかり議論をしていただいているわけでございます。やっぱりそれだけ幅の広い問題でありますし、前例のない問題でもありますし、国際情勢のほうもかなり変わってきてまいりますので、こういうふうにじっくり時間をかけて議論できているというのは大変素晴らしいことだと思っております。4代目の局長になる前に恐らくまとまると思いますけれども、今日も本当に質の高い御意見、それから私ども本来事務方が気づいていても良かったような御意見も含めて、本当に付加価値の高い御意見をいただきまして誠にありがとうございます。
私、営業日でいうと、あと2日で局長も終わりですけれども、来事務年度、素晴らしい取りまとめができるであろうというふうに信じて疑っておりません。引き続き、皆様方にはよろしくお願いいたします。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは最後に、事務局のほうから何か御連絡等がございましたらお願いいたします。
【野崎企業開示課長】
次回のワーキング・グループの日程でございますけども、また皆様の御都合を踏まえた上で決定させていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと思います。
事務局からは以上でございます。
【神作座長】
どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして、本日の会議は終了とさせていただきます。大変お忙しいところ、建設的かつ活発な御議論をいただき、誠にありがとうございました。
―― 了 ――
- (参考)
- 開催実績
- お問い合わせ先
-
金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
企画市場局企業開示課(内線:3688、3846)