金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(第9回)議事録

  1. 日時:

    令和7年10月30日(木曜日)9時30分~12時00分
  2. 場所:

    中央合同庁舎第7号館 13階 共用第1特別会議室

【神作座長】

おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」第9回会合を開催いたします。皆様、大変御多忙のところ御参加いただき、誠にありがとうございます。

本日の会議におきましては、対面とオンライン会議を併用したハイブリッド開催とさせていただきます。また、本日の会議の模様も、前回同様、ウェブ上でライブ中継をさせていただきます。

なお、議事録は通常どおり作成の上、金融庁のホームページにて後日公開させていただく予定でおりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

会議を始める前に、事務局から留意事項をお願いいたします。

【小長谷企業開示課長】

事務局を務めさせていただきます小長谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

留意事項などを御案内させていただく前に、記者の皆様におかれましては、これ以降の撮影はお控えいただきますようお願いいたします。

本日の会議におきましては、オンライン会議を併用した開催としておりますが、オンラインで御参加の委員におかれましては、御発言を希望される際には、オンライン会議システムのチャット上にて全員宛てにお名前を御入力ください。そちらを確認の上、座長から指名いただきます。また、御発言される際には、冒頭にお名前をお願いいたします。なお、対面での御参加の委員におかれましては、お名前のプレートを立てていただければ、座長から指名いただきます。なお、御発言後はお名前のプレートを元にお戻しいただくようお願いいたします。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは早速、議事に移らせていただきます。

本日は、事務局より資料の御説明をいただいた後、質疑応答及び討議を行いたいと存じます。

それでは、事務局の金融庁から資料についての御説明をお願いいたします。

【小長谷企業開示課長】

それでは、資料に沿って事務局より御説明いたします。

資料の1ページの目次を御覧ください。本日は、中間論点整理では結論の出ていなかった開示・保証、それぞれのトピックについて御議論をいただきたいと考えております。

資料3ページを御覧ください。サステナビリティ情報の開示・保証に関する最近の国際動向についてです。前回会合以降、EU各国やオーストラリアなどにおきましては、制度実施に向けた動きに大きな変更は生じておりません。他方、イギリスでは本年6月にサステナビリティ開示・保証に関する公開草案が公表されております。

イギリスの状況につきまして、資料4ページを御覧ください。6月に公表された公開草案では、サステナビリティ保証について、保証業務提供者の登録や、登録された保証業務提供者を企業が利用することを当面は任意とし、長期的には保証の義務化の必要性を検討するとされております。また、保証業務提供者の範囲については、profession-agnosticとすること、保証基準については国際基準と同等の基準を導入することが示されております。

資料6ページを御覧ください。次に、中間論点整理において引き続き検討し、年内を目途に結論を出すとされた事項のうち、開示に関する論点について御説明いたします。

1点目ですが、ロードマップのうち、時価総額5,000億円以上1兆円未満のプライム上場企業につきましては、2029年3月期を基本としつつ、国内外の動向等を注視しつつ、引き続き検討していくことと中間論点整理においてされておりました。この点については、中間論点整理の公表以降、このスケジュールの見直しを要するような動きは見られないことから、2029年3月期からSSBJ基準の適用を開始することとしてはどうかと考えております。

2点目は、第三者保証が付されている場合における有報の提出期限の延長をどうするかという点ですが、こちらにつきましては、早期の情報開示を望む御意見があったこと、当初2年間の保証範囲を限定する方向で検討されていること、欧州において比較的早期にCSRDに基づく開示がされていることなどを踏まえて、引き続き検討するとされていたところでございます。この点については、今言及した3つの観点に加えまして、注記にございますとおり、当初2年間は二段階開示を可能とする方針であることを踏まえ、有報の提出期限の延長はしないこととしてはどうかと考えております。

このスライドにございます開示関連の論点に関連して1点、資料には記載していない点を補足させていただきますと、例えば、欧州では当初、非上場企業を含めた広範囲の企業に対してCSRDを導入することを予定しておりましたが、企業の競争力とレジリエンスを高めるべきとの議論の中で、企業、とりわけ中小企業の開示負担を軽減するため、オムニバス法案によって一定規模以下の企業に対する適用開始を遅らせたところと承知しております。この点、日本におきましては、これまで本ワーキング・グループで御議論いただいておりましたとおり、当初からプライム市場のうち一定規模以上の企業を適用対象としてスタートする計画となっておりますので、一定規模以下の企業に対する適用開始を遅らせる諸外国の動向は、必ずしも日本のロードマップに影響を与えるものではないと考えております。

次に、資料の7ページを御覧ください。中間論点整理で示されたロードマップにございますとおり、SSBJ基準に基づく開示は、時価総額3兆円以上のプライム上場企業については2027年3月期から適用とされております。企業の準備期間を十分に確保する観点から、当該事業年度が始まる前、すなわち、2026年4月1日より前に制度の枠組みをある程度整えておく必要があるかと考えております。

このため、内閣府令等を改正しまして、サステナビリティ開示の基準として、SSBJ基準を告示指定することとするとともに、中間論点整理との関係で適用開始時期が確定している時価総額1兆円以上のプライム上場企業を対象に、SSBJ基準に基づく開示を求めることとしたいと考えております。その際、時価総額に応じた段階的な適用ということも、ロードマップどおりに規定したいと考えております。

また、その他の改正事項という欄にございますとおり、SSBJ基準の適用開始年度及びその翌年度における二段階開示といった点につきましても、今回の内閣府令等の改正で手当てすることを予定しております。

次に、資料8ページを御覧ください。時価総額3兆円以上とか1兆円以上とかいう場合の時価総額について、具体的などのような基準を用いるのか、どのような数字を基準として考えるのかという点についてでございます。この点については、中間論点整理にございますとおり、5年平均の時価総額を基準としてはどうかと考えております。

資料9ページを御覧ください。5年平均の時価総額を基準としてはどうかと今申し上げましたが、他方で、直近の事業年度末を含めて平均を算出することとする場合、適用対象となるか否かがぎりぎりまで決まらないといった事例も発生し得るかと考えられます。このため、前期末及びそれ以前の4事業年度末における5年平均時価総額を基準として用いることとしてはどうかと考えております。

具体的にはこのスライドの下側にある「適用開始時期のイメージ」というところを御覧いただきたいのですが、2027年3月期での適用の有無を判断するに当たっては、2022年3月期から2026年3月期の5年分の時価総額の平均値を計算し、それが3兆円を超えていれば、2027年3月期から適用ということとしてはどうかと考えております。

また、2022年3月期から2026年3月期の5年分の時価総額の平均値が1兆円以上3兆円未満の場合、下のケースですけれども、この場合には2027年3月からの義務的適用はされないということになり、2028年3月期からの適用ということになります。ただ、この場合におきましても、仮に1年スライドさせて2023年3月期から2027年3月期までの平均が仮に1兆円を割り込むようなことになれば、2028年3月からの適用もなくなる、1年後ろに倒れるという整理になるかと思います。

次に、資料11ページを御覧ください。ここからはサステナビリティ保証制度についてでございます。このスライドでは保証制度に関する基本的な考え方をお示ししております。かいつまんで申し上げますと、下半分の青枠のところにございますとおり、本邦資本市場の国際的な信頼を確保し、併せてグローバルに活躍する本邦企業の活動を損なわないようにする観点から、サステナビリティ保証はISSA5000、ISQM1、IESSAといった国際基準と整合性が確保された基準に準拠して実施することとし、そうした保証を実施できる者を保証の担い手とすることを考え方の軸としてはどうかと考えております。

次に、資料12ページを御覧ください。このスライドではサステナビリティ保証業務に対する規制の全体像をお示ししております。サステナビリティ保証業務を金融商品取引法の下での登録制とし、前のスライドでお示しした基本的な考え方に沿って登録要件を満たし、国際基準と整合性が確保された基準に準拠した保証を提供できる者であれば、監査法人、監査法人以外のいずれの者でも登録可能とする制度としてはどうかと考えております。

次に、資料の14ページを御覧ください。保証業務実施者が遵守すべきサステナビリティ保証基準、品質管理基準、倫理・独立性基準を本邦においてどのように定めるかについてです。監査に関する各種の基準がどの主体によって定められているかも参考にしつつ、このスライドの下半分にあるとおり整理をしております。例えばサステナビリティ保証基準、品質管理基準やそれらに関する実務の指針につきましては、左下の枠にございますとおり、企業会計審議会等において策定することが考えられます。

なお、スライド末尾の注記にございますとおり、こうした基準や実務の指針の策定につきましては、3通りほどのやり方があるかと考えられます。1つ目として、企業会計の基準を指定する告示などを参考に、ISSA5000などの国際基準を本邦における保証に関する基準として告示で直接指定する方法。2つ目としまして、企業会計審議会において親基準のようなものを策定して、金融庁において関係機関と連携の上、基準に基づく細かな実務上の指針などを策定する方法。3つ目としまして、企業会計審議会において基準と実務の指針を一体として策定する方法です。いずれにしましても、これらの基準の策定方法や時期などにつきましては、事務局にてよく検討してまいりたいと考えております。

次に、資料の19ページを御覧ください。保証業務実施者の登録要件についてです。この登録要件にしても、この後のスライドで御説明する行為規制につきましても、関係する国際基準を満たすように設計することが基本かと考えております。

まず、人的体制についてですが、サステナビリティ開示・保証に必要な専門的知識・経験及び能力を有する業務執行責任者が十分確保されていることなど、保証を実施するに足る十分な業務従事者が配置されることなどを求めてはどうかと考えております。なお、この明朝体の括弧書のところにございますとおり、業務執行責任者については、財務情報とのつながり等の観点から、要件として公認会計士資格を求めるべきといった御意見があったものと承知しております。この点につきましては、研修などを通じて必要な会計知識を取得するといった方法とか、あるいは必要に応じて外部専門家の知見を活用するといった方法もあり得るかと考えられますため、業務執行責任者に公認会計士資格を求めることまでは不要ではないかと考えております。

次に、品質管理体制につきましては、ISQM1の規定を参考に、ここにございますとおり、品質管理部門または品質管理に主として従事する者が設置されていることなどを登録要件の一つとして定めることを想定しております。

最後のその他は、必ずしも国際基準の中で求められているものではございませんが、上で述べたような人的体制や品質管理体制を整備することは個人で行うことはなかなか難しいのではないかと考えられますため、保証業務実施者の要件として法人であることを設けてはどうかと考えております。また、投資者保護の観点から、一定の資本金や出資金などの財産的基礎を求めることを想定しております。

次に、資料の23ページを御覧ください。保証業務実施者の行為規制についてでございます。国際サステナビリティ倫理・独立性基準、通称IESSAにおいて保証業務実施者に求められている事項を参考にして、ここにございますとおり、ローテーションルール、非保証業務との同時提供の禁止、守秘義務、法令違反事実等を発見し企業において是正されない場合における当局への通知義務などを定めてはどうかと考えております。

次に、資料28ページを御覧ください。自主規制機関につきましては、これまでサステナビリティ情報の保証に関する専門グループにおきましても御議論いただいたとおり、法令による規制に上乗せする基準等を策定できること、また、そういった対応を機動的に行うことができることなどのメリットが指摘されております。他方で、サステナビリティ保証業務は、任意の取組は見られるものの、制度としての導入はこれからとなります。このため、制度導入当初における自主規制機関の設立は見合わせることとして、保証業務実施者の参入や実務の蓄積の状況などを踏まえつつ、引き続き、当局をはじめ関係者間で検討することとしてはどうかと考えております。制度導入当初、自主規制機関を設立しないということであれば、このスライドの最後の四角にございますとおり、当面の間は金融庁が保証業務実施者に対する検査・監督の主体になるということかと考えております。

資料30ページを御覧ください。専門グループで御議論いただいていた任意の保証に関する論点でございます。任意の保証とは、最初の四角にございますとおり、例えばScope3など義務的保証の対象ではない情報について保証を受けることや、義務化対象ではない企業が保証を受けることを指す言葉として使っております。この任意の保証につきましては、2つ目の四角にある3つの要件を満たす場合には、保証報告書を有価証券報告書に添付することができることとしてはどうかと考えております。

3つの要件とは、ここにございますとおり、①として、SSBJ基準に基づいて策定されたサステナ情報に対する保証であること。②として、保証業務実施者が当局に登録した業者であること。③として、登録業者が遵守することを求められる保証基準に沿った保証となっていることを想定しております。今述べた3要件のいずれかを満たさない場合は、投資家の誤認を防ぐ観点から、保証報告書の添付は認めないこととするとともに、仮にそのような任意の保証を受けた旨を有報に記載する場合には、このスライドの末尾の注意書きにございますとおり、保証業務実施者の名称・登録の有無、準拠した基準や枠組み等を開示することを求めることとしてはどうかと考えております。

最後、資料33ページでございますが、本日御議論いただきたい事項はここにあるとおりでございます。

事務局からの説明は以上でございます。

【神作座長】

御説明どうもありがとうございました。

それでは、これより、委員の皆様から御意見、御質問等をお伺いする討議の時間とさせていただきます。限られた時間ではございますけれども、全ての委員の方々から御発言をいただきたいため、お一人当たり5分以内で御意見等を頂戴できればと存じます。なお、本日の会議では、経過時間をお知らせするため、御発言から5分が経過したタイミングで、事務局員よりメモを差し入れていただきます。加えまして、御発言の順番につきましては若干前後する可能性がございますけれども、あらかじめお許しをいただければと思います。

初めに、本日御欠席の永沢委員及び三瓶委員より御意見を頂戴しておりますので、事務局からお二人の御意見について御紹介をお願いいたします。

【小長谷企業開示課長】

それでは、まず、永沢委員の御意見を紹介させていただきます。

所用のため、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」を欠席いたしますので、以下のとおり、書面にて意見を提出させていただきます。

1. 総論。事務局案に賛成します。

2. サステナビリティ情報の開示について。8ページ下段に示された事務局案に賛成です。SSBJ基準の適用対象企業の判断基準を過去5年の時価総額の平均とすることにも賛成です。直前の株価の大幅な変動に気を揉むようなことが避けられますし、開示に向けての準備が始めやすくなると思います。

3. 第三者保証制度及び実施者について。サステナビリティ保証業務は新しい分野であり、海外の動向等も研究していただく必要もあることから、同業務の実施者を登録制とし、会計監査人以外の者の参入を可能として、事業者間で切磋琢磨し合っていただくことを期待します。

登録要件の審査が形式的なものにならないよう、しっかりと審査をしていただくことを金融庁にはお願いします。サステナビリティ情報は財務情報の開示と密接に関連しており、企業会計についての高い専門性と経験値が必要であると考えます。実施者となる者には、情報開示が投資者保護上いかに重要かという点の理解や、正しい情報開示を行うことへの責任感が強く要請されます。また、本事業に参入した後に、儲からないから撤退というようなことが安易に行われるようなことはあってはならないと思います。最初に参入する事業者はこの業務の魁として、社会的責任(期待)をしっかりと認識・理解できる事業者であってほしいと願っています。

検査・監督は当面は金融庁が行うという事務局案に賛成します。本制度スタート時に、実施者として登録する事業者の数はそれほど多いとは思えません。財政的にも人材的にも自主規制機関として自立・自律して運営できるのだろうかと素人目にも不安があります。何よりも、新しい分野でもありますので、金融庁が実際の業務を検査・監督することを通じて、必要と判断する場合は制度の見直しをしていただきたいと思います。

保証業務実施者に対して、人的体制や業務管理体制の整備、守秘義務やローテーションルールなどを求めることに賛成します。その他、この業務に携わろうとする方々には、(既にされているのかもしれませんが)専門職としての職業倫理を確立され、相互に規律し研鑽し合い、投資家から信頼される存在として認知されるようになっていただくことを期待します。

4. 任意の保証の取扱いについて。事務局提案に賛成します。

以上。

次に、三瓶委員からの御意見書を紹介させていただきます。

所用のため、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」を欠席いたしますので、以下のとおり、書面にて意見を提出させていただきます。

以下、事務局説明資料の「ご議論いただきたい事項」に沿って考えを述べます。

総論。これまで議論を重ね、開示実務を担う企業側の準備、予見可能性等を踏まえ、具体的な適用開始時期は一定のリードタイムを確保して決定するのがよいとの考え方に基づき「中間論点整理」においてロードマップを提示したと認識しております。状況に特段の変化はなく、「中間論点整理」におけるロードマップに基づいて進めていくことが妥当と考えます。

サステナビリティ情報の開示に関する論点。

上記の中間論点整理におけるロードマップに基づいて進めていくという考え方のとおり、時価総額1兆円未満5,000億円以上のプライム市場上場企業のSSBJ基準の適用開始時期を2029年3月期とすることについて賛同いたします。

第三者保証が付されている場合における有価証券報告書の提出期限の延長を行わないことに賛成です。主な理由は以下のとおりです。

新たな制度に対応するための経過措置として、適用開始から2年間二段階開示を可能とすること。

欧州企業のCSRDに基づく開示実施状況のエビデンス資料にあったように、適切なガバナンス及びリスク管理体制を整えることにより「見積り」を有効に活用し、決算期末後3か月以内での開示が可能であること。

虚偽記載等に係るセーフハーバーの整備を進めていること。

別途、有価証券報告書の株主総会前開示の要請など、現状より早期の開示が求められていること。

有価証券報告書の開示の在り方や事業報告との一体化など、そもそもの企業情報開示の在り方を総合的に再検討する必要があることなど。

適用対象企業の判断基準について、事務局案の適用開始前年度までの5年平均時価総額、つまり、基準となる時価総額段階ごとに適用開始期が1年ずれるのに合わせ平均値算定の期間が1年スライドする方式を採用することに賛同します。なお、順次時価総額基準ごとの適用開始が実施される中で、前回適用開始時に時価総額基準(例えば3兆円以上)に満たなかった企業が5年平均値算定期間が1年スライドすることで次の時価総額基準の上限(例えば、3兆円未満)を超える場合、当該企業も適用開始対象とする運用であると理解します。

サステナビリティ情報の保証に関する論点。

保証は国際基準(ISSA5000、ISQM1、IESSA)に準拠して実施するものとし、保証実施できる者を保証業務実施者とする第三者保証制度の創設に賛同します。

保証業務実施者と認められるために、国際基準に準拠し人的体制や業務管理体制の整備、守秘義務や非保証業務との同時提供禁止を求めることについては妥当と考えます。その上で、以下の点について特記しておきます。

参入要件。参入促進による健全な競争、既得権化の回避、人材確保などの観点から、業務執行責任者に公認会計士資格を求めないとする案に賛成です。

行為規制。業務執行責任者のローテーションは、当該業務が新しく、一定の実務経験蓄積の必要性、担い手の確保等の理由から、ローテーションの義務づけについては慎重な判断が求められると考えます。

検査・監督その他。登録業者への検査・監督は金融庁において実施することに賛同しますが、金融庁において当該実務に就く者の複数が監査法人からの出向者(公認会計士)とならないようにすべきと考えます。

保証基準。検査・監督を行うこととなる金融庁が国際基準を我が国における保証に関する基準として指定し、実務指針を策定すべきと考えます。

任意の保証を受ける場合の取扱いについては、事務局案を支持します。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。それでは、委員の皆様方から御意見、御質問をお出しいただければと存じます。どなたからでも結構でございます。御発言の御希望のある方は、ネームプレートを立てる等して意思を表示していただければと存じます。よろしくお願いいたします。

それでは、弥永委員、どうぞ。

【弥永委員】

ありがとうございます。私は基本的にこの事務局の御提案に賛成いたします。けれども、1点質問と幾つかのコメントをさせていただきたいと思います。

まず、スライドの9ページの5事業年度平均という御提案には賛成なのですけれども、私は東京証券取引所のプライム市場の上場基準を正確に理解していないのでやや的を射ていないかもしれませんけれども、プライム市場に新規上場したケースでは、5年経つまでは開示しなくてよいという御趣旨なのかを確認させていただければと思います。また、そのようなことがあるのかどうか分かりませんが、プロ向け市場に上場していらっしゃる会社さんがプライム市場に上場するということになったときに、そのときにも時価総額の算定ができるということで通算することになるのかという点を9ページとの関係で御質問させていただきたいと思いました。

次にコメントですけれども、基本的に賛成なので、あくまでも私の追加的なコメントでございます。スライドの19ページで、人的体制について、公認会計士資格を求める必要はないというこの御提案は、今回の全体の枠組みからはよく理解できるのですけれども、このような保証を実施できる十分な業務実施者が配置されていることを登録に当たって確認するというときにどのように確認していけるのか。登録要件の審査がどのように適切に実質的に行われるのかということが、人的体制との関係でいうと、形式的に公認会計士の資格を要求しない以上は、おそらく大切になるのではないかと思います。

さらに、19ページの最後のところで、投資者保護の観点から、一定の資本金や出資金など財産的基礎を求めてはどうかという提案に賛成なのですけれども、こちらについても、監査法人に要求されている様々な要求事項などとのバランスをやはり図っていくことが、監査法人以外の保証業務実施者等の関係ではとても重要だと思いますので、そこでレベルプレイングフィールドが確保できるように内容は決定していただければと思います。

それから、次にスライド28ページです。金融庁が検査・監督の主体となってくださるというのは、実際上、今回の制度を導入するに当たっては非常に大きな進歩と受け止めました。実現可能性を非常に高めていただく御提案だと思いますが、自主規制機関、これを今回要求しないと申しましても、その在り方は将来やはり検討していただくような道筋をつけつつ、進めていただければと思います。

最後に、任意の保証のところです。事務局提案に賛成なのですけれども、30ページの注のところで、保証業務実施者の名称とか登録の有無とか準拠した基準とか枠組みだけを開示するのでは誤解をやはり防ぐことはできない、誤認を防ぐことはできないのではないかと私は思っています。やはり、消費者保護法的な発想から、注の「例えば」の例示の中にはこの保証は、法定の保証で要求されている要件を満たしていないのだということを警告する文言を入れていただく、誤認を防ぐためには入れていただくということが必要だと思われますので、追加していただきたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

御質問がございました。5年平均時価総額の考え方の適用について御質問がございましたので、事務局からお答えいただけますでしょうか。

【小長谷企業開示課長】

弥永先生から御質問いただいた点ですが、企業の十分な準備期間を確保すべきという考え方に基づけば、新規上場の場合は5年データが蓄積されるまで待つべきという考え方もあろうかと思います。ただ他方で、新規上場時に例えば既に時価総額が1兆円を超えるようなことも理屈上はあり得るかと思っております。そうした規模の大きな企業に対しては、5年待たずに速やかに基準の適用を求めるべきという考え方もあろうかと思います。この点については、現時点で事務局として考え方を固め切っているわけではございませんので、御意見を頂戴できればと思っております。

あともう1点、プロ向け市場についてですけれども、こちらにつきましては、現状で取引があまり行われていない、活発でないという点も踏まえて検討したいと思っております。

【神作座長】

よろしいでしょうか。

【弥永委員】

ありがとうございました。

【神作座長】

ありがとうございました。本日オンラインで御参加の浅川委員が途中で御退席と伺っております。浅川委員、ここで御発言をお願いできますでしょうか。

【浅川委員】

ありがとうございます。JQAの浅川です。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。本日、すみません、所用で途中退席となりますので、先にコメントさせていただきたいと思います。事務局の皆様の資料、御説明いただきまして、ありがとうございました。

まず、総論といたしまして、事務局案にございます国際的な動向を踏まえつつ、中間論点整理のロードマップに基づいて進めていくという方向性につきまして、基本的に事務局案に賛同いたします。ここ1年の欧州の動向を見ますと、今回御紹介いただきましたイギリスをはじめとしてフランスなど、いろいろ実施動向、実際にCSRDが動いたということでいろいろな意見も出ていると承知しておりますので、引き続きそういった動向を踏まえて歩調を合わせて進捗させていくといいのかなと思っております。

それから、開示に関する論点といたしまして、時価総額1兆円未満の企業への適用開始時期、あるいは有価証券報告書の提出期限の延長、あるいは適用対象企業の判断基準の考え方等、基本的に事務局案に賛同いたします。特に有価証券報告書の提出期限の延長のところは、先ほどもお話がありましたが、実際に見込み数値を使うということに多分なるのかと思いますが、事業者さんの目線から見たときにやはり保証との関係で例えば正しい数字との修正をどうしたらいいのかとか、いろいろ気になるようなところもあるのかと思いますので、そういう視点での関連するガイダンス等も早めに整備・充実していただいて、事業者さんの開示の準備に資するとよいのかなと思います。また、併せて時価総額の判断基準の考え方についても、これは過去に遡ってどういうふうに出すのかという話だと思いますので、事務局案に基本的に賛成いたしますが、早めに周知して、時価総額が決定されるというふうになるといいのかなと思っております。

それから、3つ目の論点としての保証のところですけれども、国際基準(ISSA5000、ISQM1、IESSA)に準拠して実施するという事務局案につきまして、制度の国際整合性を担保する観点から基本的に賛同いたします。また、人的体制、業務管理体制、品質管理体制の整備や、同時提供の禁止、守秘義務、ローテーション法等、それから当面金融庁さんが検査・監督されるというところも基本的に事務局案に賛同いたします。

先ほど総論でもコメントしましたが、欧州もまだ1回目のCSRDが出た後いろいろな議論があるということもお聞きしておりますし、ISOのほうでも12月には新しくサステナビリティ保証に関するISO規格が発効されるということになりますので、いろいろな動向がこれからもまた出てくるのかなと思います。そういったこの先の動向に対してのフレキシブルな対応というところも引き続き注視していかれるといいかなと思います。

併せて、これらの先ほどの3つの基準は、やはり抽象的な部分も多数あるのかなと思っておりますので、実際の運用に当たりましては、それに先立つ各基準・項目の具体的な運用を定めたような指針類の策定が非常に大事かなと思います。そういった指針類についてもより現実的実務的な策定を進めていただけるといいかなと思います。

併せて、任意の保証に関しましても、基本的に事務局案に賛同いたします。その上で、以前にもコメントしたかもしれませんが、この法定開示、今回考えられているScope1・2とリスクとガバナンスということ以外の開示も促進されるような、任意保証するとインセンティブになるよというような目線での取扱いの検討もなされるとよりいいのかなと思いました。

私からのコメントは以上でございます。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。ほかに御発言はございますでしょうか。それでは、近江委員、お願いいたします。

【近江委員】

近江です。33ページの議論事項につきまして、意見を申し述べさせていただきます。

本ワーキング・グループによる中間論点整理に示されたロードマップに基づき、サステナビリティ基準開示適用を進めていくことについて賛同いたします。昨今の国内外の動向を踏まえましても、企業価値において重要なサステナビリティ情報の開示への投資家の要望に大きな変化はないと認識しております。

時価総額5,000億円以上の企業の開示開始を2029年3月として明示することは、開示に向けた企業側の準備期間確保に資すると考えます。また、時価総額3兆円超、1兆円超企業の運用開始時期と連続した開始時期が時価総額5,000億円以上の企業について設定されることは、時価総額1兆円のボーダーラインにある企業群が継続した開示を行うことにもつながり、利用者にとっては望ましいと考えます。

9ページに示されている適用対象企業の具体的な判断基準として、適用開始時期の1年前時点での過去5年平均時価総額を用い、その後も移動平均を用いることは、予見可能性を高め、短期的な株価のぶれの影響を抑制し、継続的な開示に資すると考えます。利用者の立場からすると、サステナビリティ情報が継続して開示されるという点は大変重要です。一旦開示を行った企業が、その後時価総額平均が基準値を下回った場合でも任意で開示を継続するということは、経営陣の中長期的な企業価値創出へのコミットメントを示すことにもつながり、また、利用者の立場からは、情報把握の連続性の観点から支持されることについて、何かしらの形で言及されるのは望ましく思います。

第三者保証を付与する際の提出期限の延長については、要求されている第三者保証の内容が限定的でもあり、経過的措置が講じられていることも考慮すると、実施しないことで問題はないと考えます。

サステナビリティ保証の枠組みですが、海外の状況や保証業務提供者の確保の必要性に照らして、国際基準に準拠し、監査法人以外による保証業務の提供も登録制により可能とすること、また、検査・監督は当面の間金融庁に一元化することで規律を確保するとの事務局案を支持します。

基準については、14ページの注に示されていますが、金融庁が国際的な基準を日本における基準として指定する案は、グローバルの投資家の立場からは透明性が高く、望ましいと考えますが、実務上の観点から、日本基準の策定が必要であるとの意見が多いのであれば、当ワーキング・グループで検討をする余地はあろうかと思います。

保証業務実施者の参入規制により、十分な人的体制、品質管理体制を求めることに賛同します。行動規制において利益相反管理措置が設けられるべきであって、非保証業務との同時提供禁止は、これは課されるべきであると考えます。ローテーションルールも適切な期間を設けることで信頼性を高めることは妥当だと考えます。

最後に、任意保証に関する措置ですが、情報の信頼性を高める効果があると、そのように認識いたしますので、これは支持いたします。

私からは以上になります。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、柿原委員、どうぞ御発言ください。

【柿原委員】

川崎重工の柿原でございます。御指名ありがとうございます。私からも「ご議論いただきたい事項」に沿って幾つかコメントさせていただきます。

まず、総論についてです。ロードマップに基づいて進めることには基本的には賛同いたします。ただし、今後、保証の範囲を拡大するという際には、企業の対応状況を把握した上で慎重に検討し、必要に応じて二段階開示の延長や恒久化などを併せて検討できるようにしておくことが望ましいと考えております。

次に、開示に関する論点について幾つか申し上げます。資料6ページ、有価証券報告書の提出期限の延長を行わないとの方向性についてですが、中間論点整理から国内外の動向に特段変化がないということを理由としてこのように結論づけることには慎重であるべきと考えています。中間論点整理では、諸外国の年次報告書の提出期限を参考にしつつ、6ページに記載されている3点を踏まえて引き続き検討するという整理だったと理解しております。

この3点に触れますと、1点目に記載のとおり、財務情報の開示が遅れることへの懸念の御意見はございましたが、同様に有報の提出期限の延長を肯定する意見もありましたので、双方の意見を踏まえた検討を進めていただきたいと考えます。

また、2点目に、当初2年間は保証の範囲が限定されることが記載されていますが、開示自体はScope3を含む広範な情報が対象となること、また、2ページ目のロードマップに記載されているとおり、今後保証の範囲が広がる可能性があることも視野に入れた上での検討が必要かと思います。

そして3点目に、欧州では早期の開示が行われている実態がある旨が触れられています。確かにイギリス、ドイツ、フランスにおける時価総額3兆円以上の企業の多くが3か月以内に年次報告書の提出ができているということですけれども、欧州企業にとってもこれらの対応は相当の負担になっているという意見も聞きますし、金商法、会社法、取引所規則など多くの点で開示制度が異なる我が国で本当に同様の対応ができるのか、もう少し丁寧な検証も必要と思われます。企業にとりましても、有報の提出を遅らせることは後発事象の発生などの点で好ましくないため、早期に提出したい思いがございます。しかし、今後、適用対象企業や保証範囲の拡大、人的資本開示などの新たな開示項目が加わることで、いずれ対応できない企業が出てきたり、正確性が失われたりすることも懸念されます。

したがいまして、制度上は、SSBJ基準が適用されており、第三者保証つきで有価証券報告書を開示する場合には提出期限を1か月延長することを認めるとし、第8回でも意見が出ておりましたが、対応できる企業は3か月以内で開示するというのが妥当ではないかと考えます。有報の総会前開示の議論と逆行するのではないかとの意見もございますが、総会開催時期の後ろ倒しを検討する企業もおられますので、バランス的に問題はないものと思われます。

また、何度も申し上げますけれども、これらの論点と併せて、有報、事業報告書等の開示書類の一本化や、取引所規則に基づく開示などを含む開示制度を横断的にレビューすることが、今後の企業情報開示を効率的でよりよいものとする上で必要と考えております。

それ以外の、時価総額1兆円未満5,000億円以上のプライム市場上場企業の適用開始時期や判断基準を過去5事業年度末の時価総額の平均値とすることについては、賛同いたします。

最後に、保証に関する論点について1点だけ申し上げます。第三者保証制度の在り方について、監査法人か否かにかかわらず保証業務実施者となることができるといった事務局案には賛同いたします。ただし、14ページのように、財務監査との比較が意識されていると思いますけれども、いまだ制度が確立されていないこと等も考慮し、例えばローテーションルールの年数などは財務監査よりも長く取ることなどが考えられると思います。

以上となります。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、堀江先生、お願いいたします。

【堀江委員】

御指名いただきありがとうございます。3点、意見として述べさせていただきたいと思います。

まず、1点目でございますが、御説明いただきました資料の2ページ目のロードマップです。時価総額5,000億以上の会社の扱いでありますが、2029年3月期からと明示することが望ましいと考えます。言うまでもないことですけれども、会社の規模が小さくなれば、それだけ十分な準備期間も必要ですし、また、保証主体側につきましても、品質管理体制等厳しい規制がかかることが予想されますので、保証の担い手の十分な確保と体制準備の期間、これを十分に取っておく必要があるということであります。ですから、ここは点線にしないで、実線でお示しをされたほうがいいのではないかと思います。

ただ、そうは申しましても、時価総額5,000億以上の会社につきましては、例えば開示が実際に間に合わなかったとかこういった場合の有報の提出の延期とか、あるいは保証が間に合わなかった場合の保証報告書の事後開示とか、こういった救済措置を想定しておく必要があるかどうか。このようなことが想定されるのかどうかといった実務的な感覚が私にはちょっと分かりませんので、実務にうまく適用できるようにお考えいただければ幸いです。なお、この場合の会社側の理由開示として、以前、本ワーキング・グループにおいて議論となりました確認書の記載事項の拡充としての対応も1案として考えられるのではないかと思います。

2点目、保証基準でございますが、金融庁にてサステナの保証基準を策定するとともに、それ以外にサステナ保証の品質管理基準、これも必要ではないかと考えております。その理由は、保証業務実施者に対する検査・監督を金融庁が行う予定であるということと、それと何よりも保証業務実施者によって保証業務の品質にばらつきが生じないようにする必要があります。そういう意味でやはり一般に公正妥当と認められる保証業務の基準と品質管理の基準、これらが不可欠ではないかと思います。

日本公認会計士協会では既にISSA5000に基づきます実務指針の公開草案を出しており、監査事務所としての品質管理につきましてもISQM1に基づきます品質管理に関する報告書が既に適用されています。ただ、これを協会会員以外の保証業務の担い手に対して適用するということはできないと思いますので、ここはきちっと手当てする必要があるのではないかと思います。

3点目でございますけれども、自主規制機関の在り方です。これは資料の28ページ目になりますが、ちょうど真ん中の段落の2行目以後であります。途中をちょっと飛ばして読みますと、「当局及び関係者間で議論を進め、自主規制機関のあり方を検討することが望ましい」と非常に慎重な表現で書かれておりますけれども、この自主規制というのは、保証業務提供の枠組みを構想する際の肝になるところではないかとも考えます。そういう意味で、当面、自主規制機関の設置、これは難しいかもしれないけれども、将来的に当該機関を設けるということを想定したときに、法制度面での対応をあらかじめ検討しておく必要があるのではないかと考えます。

いずれにしましても、この保証の問題につきましては、現在行われている財務諸表監査の対象となっています財務諸表と一体となってサステナ情報が提供され、利用されることが想定されますので、お互いに密接な連携が必要ですけれども、私は、財務諸表監査とサステナ保証業務については一定のファイアウォールを制度上は設けておくことが必要ではないかと考えております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、井口委員、どうぞ御発言ください。

【井口委員】

御指名いただきありがとうございます。また、御説明ありがとうございました。私も最終ページの「ご議論いただきたい事項」に沿って意見を申し上げます。

総論のところでは、皆様おっしゃったように、私も中間論点整理でのロードマップに賛同いたします。

その下の開示に対する論点のところですが、5,000億円以上の企業についても2029年3月から開示を始めるということに賛同いたします。3つ理由があります。一つ目は、1兆円以上の企業に比べますと、確かに任意の開示状況とかを見ますと多少差があると思っております。ただ、5,000億円以上の企業も、クオリティーの高い統合報告書等を出しておる企業が多いということ、また、金融庁さんのディスクロージャーワーキング・グループで議論されておりますセーフハーバールール、これが大幅に入るということになると、こういった統合報告書の開示内容も大幅に活用できるようになるということです。

2つ目は、5000億円以上にすると300企業程度が対象となりますが、この300企業は、大体、大手機関投資家あるいは証券会社のアナリストさんも300企業程度を調査対象銘柄にしていることが多いということからしますとかなり重要な企業さんになると思っています。従って、こういった企業さんに対してサステナビリティ開示を求めるということは妥当であると考えます。3つ目は、2029年3月からの開始ということで、かなりの準備期間があるということです。

提出期限の延長につきましては、資料の御記載にありますように、欧州の開示ペースを前提とする必要がありますし、あと、これも御説明がありました時限的に二段階開示を導入し、猶予措置を設けているということもあり、賛同したく思います。保証につきましても、現状、保証範囲が、もう既に実施されているScope1・2、それと保証が極めて容易と私は思っているんですが、ガバナンスに限定されているということで、こういった点でも延長の必要はないと思います。

ただ、先行して開示を実施している欧州との差というところでは、年次報告書の株主総会前開示ということがあると思いますので、ガバナンスコード等で早期に、有報の株主総会前開示を定め、事業報告と有報の一体開示を進める政策的な努力も必要ではないかと思っております。

あと、弥永先生からご指摘がありました5年の計測のところでは、近年、MBOとか、あるいはプライベートエクイティファンドで非上場化された企業が、いきなり1兆円、2兆円という規模で再上場するということもありますので、私も同様に思っております。

ただし、今回の5年間をそのまま当てはめて、では、上場後5年間、1兆円の企業は何も開示しなくていいのかというと、これは今までの考え方から、大きく外れてくると思っております。考えてみますと、いきなり企業が上場しようと思って上場するのではなくて、再上場のときも一定の準備期間があると思います。また、再上場時の時価総額はだいたい分かっているはずですので、上場準備の一環として、サステナビリティ開示についても、再上場の企業は、準備と検討をすべきだと思います。ですので、私の感覚では、5年間待つんじゃなくて、大幅に短縮するか、あるいは、上場後5年間の猶予期間をなくすということが望ましいのではないかと思っております。

あと、保証の論点に関しましては、11ページに御記載がありますように、財務諸表と監査との関連性とか、あるいは複数の保証基準の採用による投資家の混乱のリスクを考えますと、ISSBあるいはIESBAが策定した国際保証基準のみを、御記載があるように採用するということが妥当と考えます。

また、担い手につきましては、これに対応できる方のみを保証業務実施者とすることにも賛同いたします。この点、財務知識がどの程度必要なのかということで私も意見させていただきましたし、この委員会でも、あるいはその下のワーキングでもかなり議論になってきたと思います。この点は、後段に記載がありますように、ちょうど資料の28ページ辺りにありますように、金融庁さんが検査・監督の主体となるということによって、保証の実務を踏まえつつ、保証の品質管理の観点で監督していただければと思っております。この意味で、今、堀江先生がおっしゃったように、品質管理基準というのは非常に重要になってくると私も思っております。

資料11ページの最後に記載の保証の今後のところなんですけれども、私はサステナビリティ開示において保証は、非常に重要だと思っております。一方、今後のガバナンス・リスク管理から戦略などへの保証範囲の拡大につきましては、企業さんからの有用な開示と保証が両立できるような実務の積み重ね、こういうものも必要ではないかと考えております。こういった実務の積み重ねを踏まえた上で、さらなる保証範囲の拡大について検討するということが望ましいのではないかと思っております。

資料14ページの保証基準の定め方につきましては、ちょうど今、課長からも御説明ありました下のほうの注でいいますと、真ん中に御記載のある大枠を金融庁さんの企業会計審議会で決めまして、あと、実務指針の部分を関係諸機関と協議し、策定するという方法が、プロセスの透明性、あるいは、今後予想される実務の進化の中で、実務指針も変わってくる部分もあろうかと思いますので、また、現在の財務諸表の監査基準の定め方に近いということでもあると思いますので、よいのではないかと思っています。

あと、資料23ページ以降の規律の在り方につきましては、これも各委員の方からも御意見がありましたが、利益相反管理など、保証においても財務諸表監査と全く同じ課題を抱えていると思っておりますので、ローテーションや同時提供禁止など、財務諸表監査と同様の規律を入れるということに賛同いたしたく思います。

最後となりますが、任意の保証につきましても、利用者に誤解を招かないという意味で、御提案の取扱いに賛同いたしたく思います。

以上でございます。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。それでは、オンラインで御参加の阪委員、どうぞ御発言ください。

【阪委員】

阪と申します。発言の機会をいただき、ありがとうございます。オンラインから失礼いたします。

まず、総論についてです。中間論点整理は、これまでの多様な意見をバランスよく整理・集約してくださっており、そのロードマップに沿って議論を進めていく方向に賛同しております。

次に、真ん中の開示に関する論点です。該当企業の適用開始時期、提出期限、時価総額の5年平均値に関する御説明の内容に賛同しております。最後の5年平均の点に関しましては、時価総額は変動するものでありますので、一旦適用された企業については継続的に適用することが望ましいと考えております。また、7ページに記載のとおり、企業の準備期間を十分に確保するという方針は、実務上のニーズに即した適切な対応であると考えております。さらに、SSBJ基準がサステナビリティ課題にレジリエントな経済社会への移行を目指すものであることを踏まえますと、本来はより幅広い企業に適用されることが望ましいと考えておりますので、御提案の適用対象企業に加え、時価総額に応じた段階的適用が明記される点を歓迎いたします。

最後に、保証に関する論点についてです。14ページ下の注記については、既に御意見もございましたように、私も2番目の案が本来は望ましいと考えております。その上で保証に関する基準は、開示基準と同様に、国際基準と整合性あるものであることが必要であると考えております。また、開示の場合と同様に、保証についても、企業に十分な準備期間を確保するという観点から、スケジュール的に実現可能な方法で進めていただけることを期待しております。

19ページの人的体制に関する明朝体で書かれている部分につきまして、有国家資格者の社会的な資源配分の適正化という観点からも、公認会計士資格を求めないという御提案内容に賛同しております。一方で、SSBJ基準によるサステナビリティ関連財務開示は、財務報告の一部であることから、業務執行責任者については必要な会計知識の習得は不可欠であると考えます。さらに、23ページ、28ページ、30ページに記載されておる御提案につきましても、円滑で混乱のない制度運用の開始という観点から賛同しております。

私からは以上です。どうもありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。森内委員、御発言ください。

【森内委員】

ありがとうございます。私からは、「ご議論いただきたい事項」3項目の中の一番下のサステナビリティ情報の保証に関する論点の中の1ポツ目と2ポツ目に関連して、3点コメントをさせていただきたいと思います。

まず、1点目です。11ページ、サステナビリティ保証に関する基本的な考え方について、賛同いたします。その上で、採用する保証基準については、十分な検討が必要かと考えます。今回の御説明においては、準拠する保証基準としてISSA5000が明示されておりますが、3ページの注記の5にも記載、説明がありますとおり、EU及びフランスにおいても、ISSA5000を保証基準とするということはまだ決定されていないと承知しております。制度導入検討が進むイギリスにおいても、保証基準はISSA5000と同等の基準を検討とされております。さらにISOでは、サステナビリティ情報の妥当性確認・検証に特化したISO14019シリーズの最終化が進んでおります。こうした状況を踏まえながら、制度が準拠する保証基準は、ISSA5000に加えて、ISSA5000と同等と認められる国際基準についても比較検討を考慮することが適切ではないかと考えます。

なお、3ページ目の表の中のイギリスとフランスの保証の担い手として両方に「その他の保証業務提供者」と同一の記載がありますが、フランスにおけるその他の保証業務提供者は、注記4に説明を追加いただきましたとおり、新設をされた検査・監督当局であるH2Aが定めた登録リストにおいて、リストの5に登録された法人であるOTI、英語でいうとorganization tier independentを指していることに留意をする必要があると思います。ちなみに、OTIとしてリスト5に登録されるには、フランスの認定機関であるCOFRACに認定を受ける必要があります。また、保証業務実施者はリストの6として登録をされ、かつOTIに所属していることが求められていると承知をしております。

2点目です。12ページに示されているサステナビリティ保証業務実施者の全体像です。大変分かりやすく、すっきり整理いただいているかと思います。登録業者の規制についての検討は今後急ピッチで進められていくと思いますが、検討においては、GX推進法における登録確認機関に対する要件を一つの参考にしてはいかがかと考えます。ちなみに、GX-ETS制度において、登録確認機関はISO14065の認定取得を参入の要件とする方向で議論がなされていると承知をしております。なお、ISO適合性評価制度におきましては、認定機関が対象機関に対して毎年の文書審査、事務所審査を実施しております。

最後、3点目でございます。19ページの登録要件と、それから28ページの検査・監督についてです。人的体制、品質管理体制について賛同いたします。さらに、その他事項として、法人であることを求めてはどうかという点についても賛同いたします。対象となる法人のガバナンス、マネジメントシステム、財務基盤も含めて、法人としての適格性を要件とすることは妥当だと考えます。

検査・監督についてですが、当面の間は金融庁が検査・監督の主体となることは適当であると考えます。一方で、検査・監督の業務の実施につきましては、例えばフランスにおいてOTIに対する検査・監督の一部を認定機関が担っているということも、検討における考慮事項としていただければと存じます。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。続きまして、関口委員、御発言ください。

【関口委員】

ありがとうございます。それでは、私も33ページの「ご議論いただきたい事項」に沿って発言させていただきます。

まず、総論のところなんですけれども、これは賛成しています。これまでいろいろ議論があった中でおまとめいただいて、本当にありがとうございます。すっきりとまとめていただいて、非常によいのではないかと思っています。

次に、サステナビリティ情報の開示に関する論点、これは3点あるんですけれども、1点目は、特に異論はございません。2029年3月期からとすることについて異論なく、2点目のところ、提出期限の延長を行わないとする方向、これも現時点では特に異論はございません。ただ、ここは実務的な話もあるのかなと思っていまして、もしかしたら実務の様子も踏まえてもう1回確認をするというのはいいんじゃないかなと思っています。

3点目の、過去5事業年度の末日における時価総額の平均値、これも考え方としては賛成なんですけれども、先ほど来あります新規上場企業のところは恐らく、先ほど井口委員がおっしゃったような、ゼロか5年かというんじゃなくて、何かグラデーションがあってもいいんじゃないかなと思っています。この点、グラデーションが2年なのか3年なのか、あるいはちょっと踏み込んで1年なのかということ、その辺はちょっと細かいところなので、また検討いただければいいんじゃないかなと思っています。

それから、サステナビリティ情報の保証に関する論点なんですけれども、これは12ページのところで図があると思います。こちらも全体としては賛成なんですけれども、今回考え方として国際基準と整合性が確保された基準に準拠して実施できる人を実施者とするというアプローチになっています。そうすると、その人が本当にできるかどうかというのを見極めるのが非常に重要なんじゃないかなと思います。その意味で、登録に当たって、金融庁さんでいろいろ登録の審査の方法はあると思うんですけれども、ここはしっかりと確認して、恐らくオンサイトで確認いただいて、ちゃんと国際基準に従った業務ができるかどうかというのを見極めていただくのは非常に重要なんじゃないかなと思っています。あとは、今後の検査・監督の在り方というのもそういう中で恐らく見えてくる部分もあると思うので、ここでご検討いただければよいのではないかなと思っています。

2点目のところ、業務執行責任者が今度あるんですけれども、法人としてまず認めたという前提にたつ場合、次に、業務執行責任者をどういう方が担っていくのかというのが重要になるのかなと思っています。ここで公認会計士資格を特に要しないという点、これには賛成なんですけれども、一方で事務所ごとには少なくともアクレディテーションの要件は必要なんじゃないかなと思います。これは品質管理体制の方針の一環として、どういう方が業務執行責任者に法人としてなるべきなのかというのを定めていくということです。また、そのときに、当局としても恐らくどういう方針が望まれるかについて、ガイドラインなのか、ガイダンスなのか、そんなものを出していただきながら収れんを図っていくというのがいいんじゃないかなと思っています。

3点目で、14ページなんですけれども、この14ページで基準の定め方が書かれています。3点ですね。このうちで、恐らく2ポツ目、企業会計審議会において基準を策定して、金融庁において関係機関と連携の上、基準に基づく実務の指針を策定するというのが一番現実的で合理的なんじゃないかなと思っています。これは多分藤本委員からも御説明があるかもしれないんですけれども、日本公認会計士協会でも、ISSA5000を踏まえた実務指針の開発をされていまして、こういうものをうまく利用いただきながらというか、どういう形になるのか、監督上の指針のような形なのか、あるいはもうちょっと違う形なのか分からないんですけれども、ぜひ効率的にやっていただきたいなと思っていまして、この2番目の方法を踏まえつつやっていくのが一番現実的かなと思っています。

次に、23ページに行きまして、23ページで、法定する、金商法で定めるということを書かれていただいています。これも全体としては賛成なんですが、特にその他のところで、法令事実等を発見し、企業において是正されない場合の対応が記載されています。これは監査の枠組みですと、監査役とまずは議論をした上で、それでも是正されない場合というある意味スクリーニングをすることがなっていると思います。これは多分、恐らく金融庁さんのほうで考えられるんだと思うんですけれども、どういう形でのスクリーニングが必要なのかというのはしっかりと明示いただく必要があるかなというふうに思っていまして、ここはぜひ検討をお願いできればなと思っています。

最後に、30ページなんですけれども、任意の保証の報告書、これも建付けとしては賛成なんですが、保証報告書を入れない場合の対応として、例えばという記載のところで、少なくとも結論というのはぜひ書いていただきたい、書くようにしていただきたいなと思っています。保証業務においては、無限定の意見、結論なのかどうか、非常に重要なところなので、結論の表明というのは必ず書くようにいただきたいなというふうに思っています。

私のほうからは以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、田代委員、どうぞ御発言ください。

【田代委員】

ありがとうございます。

全般的に賛成ですが、私からは33ページの中の2つの項目だけについてです。

サステナビリティ情報の開示に関する論点の過去5年事業年度というのは、ふさわしいと思うんですけれども、先ほど皆様のほうから、プライムへ上場した場合はどうかという御質問があったと思うんですけれども、今後、M&Aによって突然大きな会社になるという可能性も十分あると思います。その場合、先ほどのルールも含めて、これから詳細を詰めていくと思うんですけれども、大前提として、こういうルールが新しくできるのだということの周知徹底が必要だと思います。

それと同時に、今回、ISSB独自の理由によって拡充されたセーフハーバーのルールなどについても、突然ではなくて、事前にどうやって周知徹底していくか、というのが企業にとってスムーズに適用する条件だと思いますし、理解を深めるきっかけになると思いますので、こちらはぜひやっていただければと思いますし、私どももできることがあるのかなと思います。

もう一つは、サステナビリティ情報の保証に関する論点の最後のところで、任意の保証の条件や、投資家の誤認を招かないようにするということが挙げられており、これについてではないんですけれども、SSBJ基準を任意に適用する場合や、早期に適用するといった場合に、どういうルールに基づいて適用できるかといったものが、もう少し議論されてもいいのかなと思いますので、御検討いただければと思います。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、藤本委員、どうぞ御発言ください。

【藤本委員】

ありがとうございます。藤本です。私からも全体的に、御議論いただきたい事項に沿ってコメントをさせていただきます。

まず、今回の総論ですけれども、中間論点整理に従ってロードマップを進めることには賛同いたします。クリアに今回おまとめいただきまして、本当にありがとうございます。

このロードマップのところで1点だけコメントをしておきたいのは、保証の範囲についてです。これも以前申し上げたことがありますけれども、基本的には、開示基準全体に対して保証していくということが望ましいと思っている中で、この2年間は限定された保証範囲になっており、その後、国際動向を踏まえて検討ということになっておりますが、やはり保証範囲はあくまで全体が所与でありまして、現時点においては、経過措置として保証範囲を限定しているという見方がいいのではないかなと思っております。

また、今回、2029年3月期に5,000億以上を明確にしていただいたのと同時に、時期を明確にしていただかないと、企業さんもそれから保証業務実施者もなかなか準備がスタートできないということもございますので、できるだけ早期にこの保証範囲の拡大については御検討いただきたいと考えております。

続きまして、開示に関する論点でございます。まず、時価総額5,000億以上、1兆円未満のプライム上場企業の適用時期、これを明確に2029年3月期からとすることには賛同いたします。もともとプライム市場の企業というものがグローバルな投資家と建設的な対話を実施する企業であるというコンセプトからしますと、一定規模の企業さんには早期に始めていただくというのがよろしいと思います。

それから、有価証券報告書の提出期限の延長を行わないという点でございます。この点は、3か月というのは適切とは思いますが、企業の負担、それから保証業務実施者において十分な時間や期間の確保が必要だと考えております。この点、3か月でいいのかどうかということに関しては、企業さんですとかあるいは保証業務実施者にも直接お話をお伺いいただいて、それを根拠とする形でぜひ進めていただきたいなと思っております。

あわせて、先ほどもお話がございましたけれども、開示制度全般に関しては、ディスクロージャーワーキング・グループやコーポレートガバナンス・コードの有識者会議、法務省さんでは法制審議会でも、様々な議論が行われております。サステナビリティ情報の開示による情報開示の負担増加であるとか、総会前開示の論点ですとか、開示書類一本化や総会の後ろ倒し等、様々な御検討を行っていかなければいけないと思います。その辺りの所要の手当てもぜひお願いしたいと考えております。

それから、保証についてです。この点については、保証の品質を担保するために、国際基準に従って実施をする、それを実施できる者が保証業務実施者とする、この考え方には賛同いたします。その上で、先ほども出ておりました保証基準、倫理規則をどのように策定していくかということで、(注)のところにも3点ほどありまして、2番目のところがおおむねよいのではないかという御意見だったかと思います。

これはいろいろなやり方がありますので、プロコンを少し示した上で、どういう方法がよいのかというのは御議論いただく必要があると思いますけれども、やはり適用時期が迫ってきているということもございますので、先ほども少しお話がありましたが、会計士協会のほうでも、今、保証基準それから倫理規則の公開草案が出されたところでございますので、有効に御利用いただくというのも考えられると思っております。

それから、倫理規則に関してですけれども、少し保証基準とはつくり方が異なってくるかなと思っております。「整合性」を確保というよりは、SSBJのときにもありましたように、ある程度「同等性」を確保していく必要があると思っております。法令それから監督指針の中で、どこまでIESBAの規則に沿った内容を書き込めるのか。ある程度、条文ベースで見たときにその同等性を確保できるような対応が恐らく必要になってくるのではないかなと思いますので、この辺り、これから御検討をぜひいただきたいと思っております。

それから、保証業務実施者の要件についても賛同いたしておりますけれども、先ほどもありました19ページ目の人的体制のところで、公認会計士資格については求めないということはそうかなと思いますが、保証を実施していく上では、財務や会計の知識だけではなくて、経営やガバナンス、内部統制など、そういった知見も必要になってくるのかなと考えております。そういったことも踏まえて、登録要件のところは、ぜひ品質を担保する形で御検討いただきたいと思います。

それから、先ほど法令遵守に関して、法令違反事実について当局への通知ということがございまして、これは非常に会計監査においても重たい内容になっております。監査法人以外の方々もこの対応をしていくということになりますと、その対応にばらつきが出ないように、どういうことをしなければならないのかは、しっかり目線合わせというか、ばらつきが出ないようにしていただく必要があるでしょうし、例えば、会計監査でそのようなことが起きた場合、サステナビリティ保証業務実施者に通知するのか、あるいは逆のパターンで、サステナビリティ業務実施者がこのような通知を行ったときに会計監査人に通知するのかなど、複数の者が対応することになった場合に、そこの情報連携も含めて、法令や基準での環境整備が必要になってくるかなと考えております。

それから、任意の保証でございますけれども、こちらは基本的には賛同しております。ただ、いろいろなパターンが出てきそうだなというところが気になっておりまして、制度の要件を満たした場合であっても、保証が、部分保証や全部保証したパターンですとか、あるいは早期に開示、保証するパターンなどいろいろありますし、様々なパターンが混在していきますので、どのような状況なのかということが明確に分かるようにしていただきたいと思っています。

そういう意味で、全てを「任意」という言い方がふさわしいのか、あるいは、早期適用という言い方をされるケースもありますけれども、少し言い方を変えるということも考えられるかなと考えております。

私からは以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、吉元委員、御発言ください。

【吉元委員】

御指名ありがとうございます。では、私も御議論いただきたい事項に沿って意見申し上げます。

総論のロードマップに基づき進めるということについては、賛同いたします。

1点、保証の範囲の3年目以降の拡大についてですけれども、こちらについては、国際動向ですとか保証提供者の対応状況等も踏まえつつ、慎重に検討することが必要じゃないかと思っております。

保証の範囲が拡大された場合、発行会社と保証提供者の両方ともさらなる負担増は避けられませんので、その拡大の必要性の検証はもちろんのこと、もし拡大する場合は、ある程度の時間的余裕を持って、保証範囲拡大の方針、考え方、ロードマップ等があらかじめ時間的猶予を持って示される、公表されるということが重要でないかと思っております。

続きまして、開示の論点についてですが、1点目については賛同いたします。2点目の有価証券報告書の提出期限の延長については、認められるべきではないかと考えております。6ページに挙げられている観点の中には、開示主体である発行会社の視点が少し欠けているんじゃないかなと思っております。

保証の範囲が限定されているということを、提出期限延長を認めない論拠、根拠の一つに考えておられるようですが、実務の観点から申し上げると、実際に3か月で保証報告書が本当に出るのかというところについては、実際にやってみないと分からないというふうに懸念は持っております。

一例を申し上げますと、財務報告の世界だと、未修正事項という処理があります。これは会計監査の過程で判明した数値の誤り、誤謬のうち、重要性の観点から当期での修正を行わないということを、監査人と会社が合意して未修正で放置するということを認めるプロセスです。この重要性の基準というのは、会社ごとに毎期、監査人側で設定されるものです。

サステナ保証の世界でも、この同様の処理、未修正事項といったような処理は認められると想定していますが、例えば、GHG排出量ですとか業績影響の定量開示に関する重要性基準を保証人側がどのように設定するかということ次第では、一旦、会社側で取りまとめた数値の精査ですとか再集計が発生するということになりますと、保証報告書が3か月で出ないという事態も考えられるんじゃないかなと思っております。

また、適用開始3年目以降にもし保証範囲が拡大されるということになりますと、なおさら3か月で保証報告が出るのかという懸念は拡大すると思っています。

それから、提出期限延長を認めないでよいとする論拠として、二段階開示が認められるという点も考慮されているようですが、中間論点整理に至る本WGの議論でも申し上げたとおり、二段階目の開示を半報ではなく、訂正報告で行うべきという制度設計については、発行会社からするとやはり採用が難しいんじゃないかなという面があると引き続き思っています。そのため、経過措置としてであってでも、二段階開示に加えて有報の提出期限も認めることが、新しい開示制度導入初期の制度設計の在り方としては適切なんじゃないかと考えております。

加えて、二段階開示は当初2年間限定の経過措置とするのであれば、3年目以降も、制度上のバックストップとしては有報の提出期限延長を残すということを検討していただいてもよいのではないかと思っております。

開示の論点のうち時価総額基準の考え方については、5年平均とする事務局案に賛同いたします。弥永先生との質疑であった、上場して5年未満の会社についてどう考えるかということについてなんですけれども、上場時の時価総額がどうなるかは、多くのケースではある程度分かっていることが多いとは思うんですが、不明なケースもあると思っていまして。

最近、当社は、金融事業、ソニーフィナンシャルグループをパーシャルスピンオフしました。そのときにダイレクトリスティングという方法を使って上場したんですけれども、その場合、時価総額がどうなるか本当に分からないという事情がありまして、上場した結果、今、ちょうど1兆円前後をうろうろしている。こういうときに、結果的に上場後閾値を超えたらすぐに義務適用だということになると、上場へのハードルが会社によっては上がってしまうということもあるんじゃないかと思っておりまして。

ほかの委員からもありましたとおり、ゼロか5年かというふうに決める必要はないと思いますけれども、グラデーションといいますか、2、3年ですとか、予見可能性を高めるような制度設計にしていただくのが望ましいのではないかと考えました。

それから、保証の論点についてですけれども、こちらについてはいずれも事務局案に賛同いたします。その前提で、賛同するという前提で2点コメントさせてください。

23ページの行為規制についてですが、非保証業務との同時提供の禁止に関しては、監査業務ですね、監査業務はここで言う非保証業務には該当しない。すなわち、監査は保証業務の一種と整理されるというふうに理解しております。

それから、もう一点、任意の保証に関連してというか、派生してなんですけれども、将来、IFRSのS3号以降が公表されて、仮にですが、SSBJ基準との基準差が大きく乖離するということも理屈上はあり得るかなと思っておりまして、そのような場合には、SSBJ基準に加えて、ISSB基準への準拠表明を任意で行うというようなことを認められてもいいんじゃないかなと思っております。

現状の事務局提案も、SSBJ基準以外の基準での任意の保証を受けたり、任意の準拠表明を禁止する趣旨ではないと理解していますが、この点を念のため申し添えます。

以上です。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、オンラインで御参加の上田委員、どうぞ御発言ください。

【上田委員】

オンラインから失礼いたします。御指名ありがとうございました。

また、事務局におかれましては、中間論点整理以降、関係者間の取りまとめも多くあったのではと、資料を拝見して拝察したところです。この取りまとめを踏まえた今後の方向性の御説明も誠にありがとうございました。

全般的に、御提案いただいた内容には賛同できる部分がほとんどでございます。個別の論点については、こちらの33ページの御議論いただきたい事項に沿って幾つかコメントさせてください。

まず、1番目の総論でございますが、中間論点整理におけるロードマップ、こちらに私も賛同いたします。

その上で、真ん中の論点の1番目、時価総額1兆円未満5,000億円の適用開始時期のところでございますが、私もこれについては賛同いたします。

先ほど別の先生からも御指摘がありましたけれども、表の中で点線になっていたところを私も実線にするべきだと思います。とりわけこの、日本市場の大部分をカバレッジできているという観点については、先ほど投資家のお立場から300社程度を見ているという御意見がありましたけれども、例えば、日経225とかMSCI等の投資家が活用するインデックスの対象銘柄はカバレッジの中に入っていることが望ましい水準だと思います。時価総額の比率面でも同じように考えます。

また、今回は対象となっていない5,000憶円未満の会社についてはペンディングになっていますけれども、今後、実務が定着したり、あるいは、保証業務実施者の裾野の拡大等を踏まえて、どうするかというところについては継続的に議論をしていただければと存じます。

次の論点、有価証券報告書の提出期限でございます。これも3か月のままというところについて賛同いたします。最も大事なことは何かといいますと、サステナビリティを含めた日本企業の開示を通じて、企業価値の向上、そして日本市場の活性化につながることです。その点で有価証券報告書の提出が遅れるということは望ましくありません。

幸い参考となるのが欧州企業におけるスケジュールですけれども、遅滞なく、問題なく開示が開始されているということでございますし、対象企業も、事務局から御説明があったように、同等程度の企業規模の日本の会社を対象としているということでもありますので、こういう先行事例も参考になるのではないかと思いました。

他方、企業において負担が多くなるとの問題は実際にあると思います。この点を踏まえて、会社法開示との重複の解消でありますとか、そのほか有価証券報告書における開示の見直しができるところがないかとか、そういったものは検討して、できるところは簡素化あるいは負担を軽くするというところをセットで検討していくことが望ましいかと思います。

また、対象企業をどこにするかという算定のところで、過去5事業年の末日における時価総額の平均値、こちらについて私は事務局に賛同いたすところでございます。

保証に関して。まず、保証業務実施者についてでございます。今後、サステナビリティ保証の義務づけ対象企業が拡大していき、裾野が5,000億ということで考えますと、保証業務実施者の裾野を拡大することの合理性はあると理解いたしますので、事務局の御提案に賛同いたします。

ただし、そこにおいて最も重要なことは、1つ目としては保証業務実施者の品質の確保、2つ目は同じく専門性の確保、3つ目は保証開始のタイミングまでに制度が整備されているということかと思います。

とりわけ保証の品質確保というのは、ひいては、日本市場の信頼性あるいは企業価値評価の信頼性ということからも何より重要な点ですので、この点について当面金融庁がモニタリングされるということにも賛同するところでございます。

さらに、品質管理体制に加えて専門性の確保も重要ですので、とりわけサステナ情報というのは財務情報との連関が大変密接で重要でございますので、有価証券報告書全体を見渡した知識であるとかスキルも必要であろうかと思います。そういう意味で、例えば、知識のアップデートとか研修というのは、公認会計士については日本公認会計士協会主導でしっかり進められているところですので、そこの辺りも含めた制度の在り方というのが必要になると思います。

この点、金融庁におかれましては、登録段階においては、形式的要件を満たすだけではなく、品質管理体制の確保等においても審査いただいて、さらには、これを継続的な検査・監督を通じて保証品質の確保に努めていただきたいと思います。

保証が開始されるまでの時間が限られておりますので、保証基準あるいは保証業務実施者の制度づくりについては、早期に、そしてフォワード・ルッキングな対応が求められます。その点から、まず保証基準については14ページで幾つかの方法を御提示されましたけれども、私もこれは2つ目がよろしいのかと思いました。

保証業務実施者の自主規制機関の設置については、今後の予定ということだと思います。ただ、将来の適切な時期に必要に応じて機動的そして柔軟な対応が可能となることが必要でございますので、もし制度上の整備が必要ということであれば、必要な法制面での手当てについても至急進められることを希望するところです。

最後の任意の保証についてです。金融庁の今回の資料で定義されているかぎ括弧付きの任意の保証というところでございますけれども、これは正直分かりにくくてですね。恐らく、それ以外の企業が自主的に実施する、表現は悪いですが、勝手保証みたいなものとの区別というのは、恐らく有価証券報告書の一般の読み手にとってはきちんと整理するというのは大変難しいのではないかと思います。

個人的には、このような投資者あるいは情報利用者の誤認を避けるという観点からは、資料で説明されているかぎ括弧の任意の保証以外の、完全に自主的な保証のようなものは、有価証券報告書には記載するべきではない、禁止するべきであろうと考えます。

できれば、企業さんが自主的に開示されておられる統合報告書等の任意保証に記載する場合であっても、これが任意の保証ではないということを明示されて、誤認を避けていただきたいと思うところでございます。この点は投資家側、情報受領者側の信頼性のベースになるところですので、そのように厳しく感じたところでございます。

以上でございます。オンラインから失礼いたしました。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、会場で御参加の芹口委員、御発言お願いいたします。

【芹口委員】

御指名いただきましてありがとうございます。それでは、33ページの御議論いただきたい事項につきまして、順にコメントさせていただきます。

まず、中間論点整理におけるロードマップに基づいて進めていくことにつきまして、異論はございません。

開示に関する論点のところで3点ございますが、まず、1点目の1兆円未満5,000億円以上の企業への適用開始時期というところで、当初、カバレッジの議論もありつつ、1兆円以上への適用の明確化につきましては、ISSB基準の完全な導入も意識しての明確化ということでコメントさせていただいておりますけれども、企業、作成者の方の準備状況が整うのであれば、早期に開示いただくことを期待するところでございます。

また、2点目の第三者保証が付されている場合の有報の提出期限の延長につきましては、基本的に賛同するところでございますが、企業側のご意見を本日幾つかいただいていると思いますので、対応状況を見つつ検討いただければと思っております。

3点目の時価総額の過去5事業年度の平均につきましては、IFRS財団の法域ガイドの具体的な案をお示しいただいておりまして、基本的に賛同いたします。

2点コメントがございまして、1つは、8ページに組織再編の対応が検討事項として示されておりますが、合併のように存続会社がある場合と株式移転のように新設会社となる場合も考慮をいただきまして、算定方法を明確化しておく必要があると思っております。

また、新規上場につきましても、本日幾つかコメントいただいているところでございます。上場時に時価総額が5,000億円、あるいは1兆円などを超えるような大規模な企業もございますし、上場後に時価総額がさらに上昇する企業の事例も実際存在すると認識しております。

上場前ですと、上場までの準備が非常に大変であるというのは認識しておりまして、一方で上場後ですと、規模の大きい企業につきましては、インデックスに早い段階でカバーされたり、あるいはエクイティ・アナリストのカバレッジにも含まれたりということで、それなりの注目度も高いと認識しております。

そういったことを考えますと、やはり5年というのは少し長い印象がございまして、1年もなかなか厳しいところも実務上あるのかなと思うところがございますので、企業の準備状況にも配慮しつつ、数年なのか、その辺りを検討いただければと思っております。

また、保証に関する論点のところで3点ございますが、1点目の国際基準として具体的にISSA5000の保証基準、ISQM1の品質管理基準、IESBAの倫理・独立性基準と整合あるいは同等の基準の下で、我が国の保証制度を構築することに賛同いたします。IOSCOがこれらの基準の最終化を支持しておられますし、グローバルでもこれらと同等の保証基準が開発されていく方向にあるのではないかと認識しておりますので、日本の保証制度もグローバルの水準と整合する形で高い品質を確保することが必要だと考えております。

2点目の人的体制につきまして、19ページにおきまして、業務執行責任者に公認会計士資格を求めないということで、保証専門グループの議論とは異なる内容が示されております。この背景としましては、国際基準を満たす保証とすることで、財務の専門性も含めて高い品質が担保されると考えておられるためと理解いたしました。登録時に体制をしっかり確認されると思いますし、その後の検査・監督でも、当面は金融庁のほうで確認いただくと思いますので、お考えに賛同いたします。

品質管理体制や行為規制につきましても、御提案いただいた内容に異論はございません。

最後に1点コメントさせていただきますと、保証業務を行う構成員の資質、個人の資質についても検討事項ではないかと思っております。19ページでは、財務の専門性に関して「研修等」と示されておりますが、将来的には保証の範囲を拡げ、海外のように全ての情報に拡大していくことも考えられますので、移行していく段階では、財務またサステナビリティの専門性をカバーする資格試験の導入を検討する余地があるのではないかと考えております。

3点目の任意の保証につきましては、これまでの議論を反映いただいていると思いますので、御提案に賛同いたします。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、清原委員、御発言をお願いいたします。

【清原委員】

発言の機会をいただきありがとうございます。御議論いただきたい事項に沿ってコメントしたいと思います。

今日は議論のポイントがかなり絞られてきたと思います。ここまで取りまとめを進めていただいた事務局の方々の努力には敬意を表したいと思います。ありがとうございました。大きなところでは異論はないですけれども、細かなところについて、確認的にコメントさせていただければと思います。

まず、国際的な動向を踏まえたロードマップ、これについては賛同いたします。

次のところで5,000億円以上のプライム上場企業のところですけれども、過去5事業年度の平均ということに異論はないのですが、今まで我々が情報をいただいていたのは、直近の時価総額をベースにして何社かというところだったので、5年の平均値とするときにこれが大きく変わらないかどうか、そこは少し気になりました。

今後、適用時期が近づいてくるときに、当初想定していたカバレッジ率になるかどうか、それがちょっとまだ読めないところがあるので、どの程度これが確からしいものなのか、我が国において完全実施されているといったところまでISSBのほうから認められるようなカバー率になるためには、もしかしたら5,000億円よりも少し下げないといけないというような状況が起こるのかどうか、ちょっと気になるところです。一言コメントさせていただきました。

それから、今回は、スタート、適用開始時期についての議論なのですけれども、一度適用対象になった会社が時価総額が下回ったからやめてしまうという話では本来ないのだと思う一方で、そうはいっても、これをすごく大きく下回って、時間が長く経過したというような場合になったとき、SSBJ基準の適用について免除するような制度を、もしかするとですが、将来的に考えておく必要があるのかもしれない。他の企業の時価総額や類似の状況の企業とのバランスということを考えたときに、すぐにではないでしょうけれども、そういったことも今後の見直しの可能性のある場面があるのではないかとも思われます。

それから、現在のロードマップのところで言うと、以前記載のあったプライム上場企業全部に拡大するということについて、今は言及がないですけれども、この先どうするかに関して、5,000億円以上が適用開始になった後、見直しという話がおそらく出てくると思うのですが、そこについてどういう考えなのかということは、ある程度見通しが立つといいますか、示されているとよいかなと思いました。

また、今後のことでいうと、現在、保証の範囲は限定されているのですけれども、その限定している保証の範囲を見直すのは、いつなのかかということを、今後についての、将来のロードマップというものについても、一度どこかでお考えを伺うことができれば、それは非常によいのではないかなと考えるところであります。提案に賛同ではあるのですが、そういったところも明確になるとよいと考えているところです。

大きなところとして、次の保証のところが一つあり、保証の担い手について取りまとめていただき、ありがとうございました。今日は非常に有益な意見を他の委員の方々からいただいたなと思っていますが、中でも保証が専門職というご意見がありましたし、また、倫理規程ということ、専門職には当然ですけれども、その意味でいうと、このワーキングの報告書やまた今後ルールをつくっていく上でも、「業者さん」ということではなく、信頼性を支えることができるような「専門職の人たち」についてのことだということが分かるようなルール・メーキングの方をぜひお願いしたいと思っています。

保証の基準については、第三者保証制度について、企業会計審議会などで大枠などを議論した上で、実務指針については関係者と協議の上で決めていくという案、第2案でしたでしょうか、注の真ん中にあるところが合理的なものと考えられますので、そちらを支持したいなと考えています。

次に、行為規制に関して、先ほど委員の方から御発言があったファイアウォール、これについても、やはり考えていただければと思います。

最後の任意の保証のところですが、ここを考えていくと、誤認を防止するということとともに、任意の保証であっても、第三者によるチェックを促進していくという面もあり、両方あること、透明性を確保しつつ誤認を防止すると。そうすると、今ここに挙げていただいたような記載事項を追加した形で、警告的な文言、どういったところが違いになるかということはしっかりと入れていくことが適切ではないかと考えているところです。

そのときに、あとは、これまで日本で問題となった事案を考えると、意外に、資格は持っているけれどもそれが悪用されてしまうといいますか、企業サイドから利用されてしまったような事例というのもあり、また、実態がよく分からないけれども、報告書を取ったり意見書を取ったりしたという外形を示すことをもって正当化するというような形で使われることもあったりしました。そういった使われ方をすることがないように、どうすべきか、ということも含めて考えていかなければいけないのではないか。次回以降、おそらく法的責任の議論も出てくると思うので、仮にですが、任意保証として、すなわち、法定でないけれども有報で言及されるような保証を提供した者があったときに、その者も法的責任を負い得るとすることはどうか。責任を問われない形で保証をするということでいいのか、認めるべきではないのではないか、ということも含め、法的責任の議論を考えていく上では、そういったところまで考えていいのではないか。アメリカの法制では、エクスパートの責任といったところもあるため、届出書に名前が出るときには、コンセントレターをとるという実務もあり、今まであったわが国の法制度に少し足すだけでいいのかということも、ちょうど法的責任に関して議論してもよい点もありますので、今回すぐに結論が出なかったとしても、そういったところも視野に入れた上で、悪質な問題が生じにくいようにするためにも強力な制度というものも、我が国の法制の中で考えていく必要はあるのではないか、と考えるところもあります。

基準の関連で、ここまでは、開示や監査の技術的なところがメインになっていたかと思うのですけれども、今後保証制度を正式に導入していくということを企業側から考えていくと、どの保証業務実施者にするか、といった具体的な話になるので、開示とガバナンスのことを考えてみると、1つ、ガバナンスのところについて、以前、第4回のワーキングだったと思うのですが、私から発言させていただきましたが、保証業務実施者というものをどのように選定して、その報酬がどう決まるかに関して、監査とパラレルに考えると、監査に関しては、会社法の規定があるのに対して、保証についてはそういった規定が今はない。ではこれを経営者だけでその選任を決めて、報酬も決めて、それで保証の独立性があるかと言われると、それはちょっと実は問題が残るのではないか。だけれども、今、会社法の規定はない。ではその点をどのように埋めていくのがいいのか、このところも考えていかなければいけないと思います。

この点を考えると、企業としても自主的に、しっかりと独立性を確保した形で、当社は保証業務実施者というのを選定していて、報酬についてもこのように決めていますということを対外的に説明できるようにしていくこと、企業としての責任ある態度として当然期待されるところですが、どのような方法があるかということも示していくことができれば有用かと考えています。

定款自治で、というやり方もありますし、また、少なくとも、買収防衛策その他を考えたときに、取締役会が独立委員会をつくっていく実務もあるところです。会社法改正によって、個別に社外取締役らに権限を与えて独立性をもった形で決めていくことができるということを含めて、独立性を確保するうえで使える会社法上の手当てなども踏まえ、やり方についても少し議論があってもいいかなと考えているところもありますので、弁護士としてコメントさせていただきました。

開示について、有価証券報告書において、監査に関しては監査の状況のところで記載されているわけですので、今後、保証が入ってくると、保証業務実施者についても、どういう開示事項が必要になるかも検討していくことが必要になると思います。その中で、任意の保証の場合には、法定の保証と違う記載の仕方になるだろうし、また、監査の状況では、会計監査人に関する事項の開示のみならず、監査役等との連携等も開示されることになっている。そういうところについて、記載上の注意やガイダンスを通じて、保証についても、監査役等とも当然連携する可能性があるわけだし、そういったところが今後、開示府令その他の改正の中で明確になってくることが望ましいというところも含めて、今後の流れまで考えた上で、実務的な面をもう少し議論しておくほうがいいのではないかというところがあります。

少し長くなりましたがコメントさせていただきました。ありがとうございました。

【神作座長】

御指摘どうもありがとうございました。

それでは、髙村委員、どうぞ御発言ください。

【髙村委員】

ありがとうございます。基本的に、事務局の本日の御提案の基本的な方向性については、異論がございません。既に多くの委員が御発言をされているので、4点の発言をさせていただこうと思います。

今回御提示いただいているロードマップについて、かつ、時価総額5,000億円以上1年未満のプライム市場上場企業のSSBJ基準を適用した法的開示の開始時期を2029年3月期とするということについて、賛成をいたします。

スケジュールの基本線をこの段階で明確にしていただくということは、ほかの委員もおっしゃいましたけれども、開示を行う企業にとっても、保証を提供する者にとっても、予見性を与え、準備を促していくために必要だというふうに思っています。その意味で賛成であります。

ロードマップに書き込む話ではないのかもしれないですが、1点確認でありますけれども、SSBJ基準に準拠した開示ということでありますが、SSBJ基準の中には、例えば、気候基準の中で経過措置も含めております。法定開示の場合にですね。そのときに、例えば、1年目の法的開示においてScope3の開示あるいは比較情報の開示については任意ということになっている、選択ができる、開示しない裁量があるということであるかと思います。

確認は、こうしたSSBJ基準の経過措置も含めて、SSBJ基準に基づく開示ということでよいでしょうかということであります。これは企業の皆さんが法定開示の準備をされるときに1つ確認をしておいたほうがいい点かと思いまして、質問といいましょうか、確認をさせていただきます。

2点目ですけれども、時価総額の算定方法については、5事業年度末の平均値ということを基本線とすることについて、これについても異論はございません。ただ、本日御指摘がありましたように、再上場のケース等を含めて時価総額が変動するというようなケース、本来であれば開示が必要とされる、求められるべき企業がこの開示の制度、法定開示の対象から抜けてしまわないような一定の細かなルールの検討はお願いをしたいと思います。

3点目、保証についてですけれども、保証の重要性というのは、ここで議論をしている開示されるサステナビリティ情報の信頼性を担保するという意味で、非常に重要だというふうに思います。本日、スライドの11で保証の担い手について、公認会計士、監査法人以外も含む形の制度とするという方向でありますけれども、いわゆるカテゴリカルに決めるのではなく、国際基準と整合性が担保された基準に照らして、その基準を満たす保証業務を実施ができる者を担い手とするという御提案だと思います。

私も発言をさせていただいたと思いますが、これは情報の信頼性を確保する保証制度を確保する上でも非常に重要だというふうに思っていまして、これも事務局の御提案に賛成をいたします。

その上で、関口委員等々から御指摘があった、保証を実施できる者が誰かという点のこの登録の要件については、ぜひより詳細な検討をお願いしたいと思います。その中でも、これも御指摘がありましたけれども、特に財務あるいは企業の経営に関する知識という点はやはり重要な点だというふうに思っております。

もともとサステナビリティ情報の開示において開示すべき重要性がある情報というのが、企業のキャッシュフローあるいはファイナンスへのアクイジションコストに影響があるかどうかという、そもそも開示情報、何が開示すべき重要性がある情報かを判断する上でも、それから、財務情報とのコネクティビティと以前から言われていますけれども、考える上でも、こうした点をしっかり含めて、その能力が担保されるような登録の要件であるということが必要かと思います。

行為規制についても適切な御提案だと思っていまして、信頼性の確保の観点から、中立性・独立性の確保、利害相反の回避をしっかり法律上担保するそうした制度、そして、法令上の義務の違反の場合の処分・責任といった点の明確化ということもお願いしたい点であります。

これらは、言うまでもありませんけれども、こうしたサステナビリティ情報の信頼性、そして、その保証の質が担保される制度があるということが、むしろ保証の担い手を広げる、これまで監査法人あるいは公認会計士以外の主体も参入をできる条件になろうというふうに思います。そうでないと企業が安心して保証業務の担い手を選択できないということになろうかと思います。

最後ですけれども、保証に係る基準、したがいまして、非常に重要だというふうに思っております。これが実際に保証の質、品質もさることながら、保証従事者の範囲といいましょうか、対象も決めて、要件を決めていくということかと思います。

その意味で、スライドの14に保証基準の策定の今後の作りつけといいましょうか、策定の場、進め方について御提示いただいておりますが、企業会計審議会等で検討される場合に、財務情報開示、財務等の情報の違いも踏まえて、それに応じた保証の対応、保証に求められる能力やルールといいましょうか、基準の違いも踏まえた検討ができるような策定の作りつけを検討いただきたいというふうに思っております。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

1点確認事項がございました。SSBJ基準に準拠した場合についての確認事項がございました。事務局から御回答をお願いいたします。

【小長谷企業開示課長】

今、髙村先生から御指摘、御質問をいただいた点についてですが、SSBJ基準の中でScope3の開示などについては1年目任意とする経過措置があると認識しております。この点につきましては、経過措置も含めてSSBJ基準を告示指定することを想定しておりますので、その点についても適用があるというふうに認識しております。

ただ、仮にSSBJ基準上の経過措置を適用してScope3を1年目開示しないという場合には、投資家にとっての分かりやすさの観点から、その点を有報に開示していただくことを今予定しております。

【神作座長】

よろしいでしょうか。

本日御参加のすべての委員の皆様から御意見を頂戴いたしました。大変ありがとうございました。

委員の1人として、私からも一言御意見を申し上げさせていただければと思います。本日、御意見が分かれたと伺っておりました、第三者保証が付された場合の有価証券報告書の提出期間の延長を認めるかどうかという点について、私の意見を申し上げさせてください。

年度末から3か月で有価証券報告書が開示されるというのは、私は日本の企業開示の非常に優れた点だと感じております。サステナビリティ情報の開示及び保証が導入されても、日本の企業開示のよいところはできる限り維持していただけると非常にありがたいと思います。このワーキング・グループでも、例えば二段階開示など、企業側にも一定の配慮をした議論がなされてきたと思います。

恐らく、サステナビリティ情報開示が進んで保証が付されるということになると、有価証券報告書がますます大事になるということだと思います。そうすると、本日の御発言の中にもありましたけれども、有価証券報告書が株主総会の前に、しかも、ある程度検討したり議決権行使等の準備をしたりするための期間を確保して開示されるという点は、むしろ日本企業の開示がやや諸外国、グローバルな基準に比べると劣っている点ではないかと思います。この点については柿原委員からも御発言がありましたように、むしろ基準日を変更して総会を後ろ倒しにする等々、既にいろいろな検討がなされておりますので、そのような工夫をしてグローバルな動向にそろえていただければと考えております。

また、開示制度全体についての合理化も必要だというのは御指摘のとおりで、現にディスクロージャーワーキング・グループですとか、法務省の法制審議会会社法制部会におきましても、有価証券報告書の開示事項の整理ですとか事業報告と有報の一本化の議論がされています。有報と事業報告の一本化については法制審議会会社法制部会の第一読会では大きな異論がなかったと私は感じております。現在、第二読会が始まっておりますけれども、そちらでさらに議論が進むことを願っております。

他方で、法令で不可能を強いるということは、あってはならないことですので、サステナビリティ情報の開示と保証を導入して、延長しなかったときに無理を強いていないかどうかという点は、実態をきちんと調査していただきながら判断すべきだと思いますけれども、しかし、私としては、日本の企業開示の優れた点はできるだけ維持していただき延長はできるかぎり回避する方向で御議論を進めていただければと思います。

それでは、オブザーバーの方に御発言の機会を設けさせていただきたいと思います。オブザーバーの方々でもし御意見がございましたら、ぜひ御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。それでは、日本公認会計士協会の太田さん、お願いいたします。

【日本公認会計士協会】

発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、今回、各種取りまとめいただきまして、大変ありがとうございました。3点ほど私からコメントをさせていただきます。

まず、中間論点整理におけるロードマップに基づいて進めるということについて、賛同いたします。グローバルな比較可能性を確保しながら、中長期的な企業価値評価に資する情報を提供するという今回の目的に沿ったものであると考えております。

第三者保証につきましてですけれども、今回の御提案の保証、品質マネジメント、また倫理について、国際基準と整合した、また同等の基準に準拠して実施をすること、また、こういった保証ができるというものを保証業務提供者とするということに賛同いたします。

なお、弊会といたしましては、こうした保証を実施できる者は監査法人と考えておりまして、少なくとも時価総額5,000億以上のプライム上場企業の保証については、十分な担い手が確保できるように準備を進めているところでございます。

保証基準・倫理規則につきまして、委員の皆様からもコメントがございましたけれども、弊会でISSA5000とIESBA倫理規程に整合する会員向けの実務指針と規則の公開草案を現在公表しているところでございます。ぜひ御参考にしていただければと思いますのと、もしお気づきの点があればコメントをお寄せいただけますと非常にありがたいと思っております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、オンラインで御参加くださっております経団連の魚住さん、どうぞ御発言ください。

【日本経済団体連合会】

ありがとうございます。本日はオンラインで失礼をいたします。

ロードマップに基づいて進めるという基本的な方向性については賛同いたします。ただ、本日も議論がございましたように、実務のスケジュールに関連する二段階開示、あるいは有価証券報告書の提出時期について、開示や保証の実務が定着していない段階にある中であらかじめ決め打ちをすることに対しては、強く懸念しております。

どの程度の実務量が求められるのかについてもしっかりデータの裏づけを取った上で御判断をいただく必要があると考えています。働き方改革と逆行する流れにしてはいけませんし、今の実務の中でも、決算スケジュールにつきましては、かなりぎりぎりの状況で各企業の皆様が対応しているのが実態かと思います。

そういったところをよくよく御検討いただいた上で御判断いただきたく、今の時点で結論づけることは時期尚早と考えています。

また、資料7ページ目の注の3のところです。これまでもワーキングで議論がございましたが、CSRD開示を行った場合の臨時報告書での開示につきまして、諸外国での規程を国の法定開示の枠組みの中に取り込み対応していくことに対して、違和感が拭えないところで、やはり懸念がございます。改めて御検討いただければと思っています。

さらに、スケジュールにつきまして、同じページに、金融庁で内閣府令の改正のパブリック・コメントを来月中にも開始する提案がございますが、かなりスケジュールが短い中での対応ということで、実務が追いついていけるのか懸念がございます。準備期間のところも十分に御配慮いただきたくお願い申し上げます。

簡単ですが、以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、オンライン御参加の関経連の中島さん、御発言をお願いいたします。

【関西経済連合会】

御指名いただきまして、ありがとうございます。関西経済連合会の中島です。私からも幾つかコメントさせていただきます。

まず、ロードマップについて申し上げます。基本的には事務局案どおりに進めることでよろしいのではないかと考えます。ただし、他のプライム企業への適用義務化については、プライム市場上場企業の中にも企業によって社内リソースに大きな差があることを御認識いただいた上で、相当に慎重な検討が必要であるというふうに考えます。少なくとも、本ワーキングでプライム市場に上場する全企業への適用義務化が前提であるとの取りまとめとならないよう御留意いただければ幸いでございます。これは念のため申し上げます。

次に、有価証券報告書の提出期限に関する論点について申し上げます。有報の提出期限につきましては、制度上は4か月に延長した上で、実際にどのように対応するかは、総会の開催時期も含めて、基本的には企業のオプションであることが重要なのではないかというふうに考えております。

確かに、第三者保証の範囲や二段階開示などにおいて、当初2年間は経過措置が設けられますが、Scope3の集計実務などが定着していない日本において、この開示負担は大きなものであると考えます。これに金商法、会社法との重複的な開示や、有報の総会前開示の推進、四半期決算の開示義務など、他国と比べて多くの開示対応を行っている現状が続けば、サステナ開示も含めて、開示のための開示となってしまい、本来あるべき投資家との対話の障害要因となることを懸念いたします。そうならないためにも、制度上ゆとりを設けておくことが望ましいものと考えております。

その他、保証の論点について2点ほど申し上げます。

1点目でございますが、19ページの登録要件についてですが、保証業務実施者に対して国際基準を参照しつつ、人的体制や業務管理体制の整備、守秘義務やローテーションのルールを求めることについては賛同いたします。ただし、サステナビリティ情報開示は財務開示と比べ柔らかな情報を扱うことや、様々な関係者との密な連携が必要となるなどを考慮し、例えば、ローテーションルールの継続監査期間及びクーリングオフ期間の年数は財務監査よりも緩和するなど、監査の基準よりも柔軟な制度設計としていただくのがよろしいのではないかと考えております。

2点目でございますが、28ページでございます。28ページの検査・監督等についてですが、記載のとおり、自主規制機関によるモニタリングや能力開発が重要であり、将来的に新たな自主規制機関を立ち上げることが必要であると考えます。そのため、金融庁に担っていただく当面の期間は、なるべく短期間であることが望ましいものと考えております。

私からは以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ほかにオブザーバーの方で御発言の御希望はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

まだの時間予定した時刻を少し余しておりますので、もし2回目の御発言、委員の方で2回目の御発言がございましたら、ぜひお願いいたします。堀江委員、どうぞお願いいたします。

【堀江委員】

再度の発言、申し訳ございません。保証基準と実務指針のつくり方について、一見すると細かな論点に見えるんですけれども、私は結構本質的な問題を抱えていると思いまして発言させていただきます。

14ページ目に3つの案が示されています。一番手間暇がかからないのが国際基準、ISSA5000ですけれども、これを告示指定してしまう。ただ、ISSA5000の中身というのは、要するに手続論なんですね。非常に荒っぽい言い方をすれば、どうやって保証するかということだけであります。しかし、我が国の場合は、サステナ情報に対する保証がなぜ必要なのかとか、保証にはどういうメリットがあるのかということを、きちっと基準で明示すべきと思います。

そういう意味で、第2案か第3案ということになると思うんですけれども、第2案について賛同される御意見がありましたので、議論を集約させるのと逆の方向へ行くんですが、私は第3案がいいのではないかと思っています。

というのは、第3案は、要するに基準規定の粒度の問題だと思うんです。第2案では、「関係機関と連携の上」と書かれており、恐らく金融庁ではうまく調整なされると思うんですけれども、日本公認会計士協会が公開草案として公表されている実務指針はISSA5000とほぼ同じ内容です。

その一方で、既に森内先生からはISOの内容も盛り込んでもらいたいといった御意見も出ていたりしています。最悪、複数の実務指針ができるなんていうようなことが起こってしまわないように進めていただく必要があるのかなと。

実務指針の一本化となりますと、公認会計士協会サイドからすれば、ただ乗りを認めるようなことになりますよ。すごく苦労してつくったのをどうぞ御自由にお使いくださいでよろしいんですか。恐らくきちっと金融庁のほうで調整なされると思うんで、余計な心配かもしれませんが。

要は、我が国の場合、なぜサステナ情報に対する保証が必要なのか、どのようなメリットがあるのか、そこをきちっと伝えられるような基準であって欲しいというふうな思いを持っております。

以上でございます。

【神作座長】

貴重な御意見、どうもありがとうございました。

ほかに委員の皆様、2回目の発言も歓迎いたします。ぜひ御遠慮なく御発言ください。オンラインで御参加の委員の皆様も、御発言の希望ございませんでしょうか。よろしゅうございますか。清原委員、どうぞ御発言ください。

【清原委員】

2回目の発言、失礼いたします。

先ほどちょっとコメントし損なったところがあるのですが、有価証券報告書の提出期限の延長のところについて、現時点では延長は決めないというところはいいのですけれども、延長しないというふうに言い切ってしまうがよいかどうか、というところは、ちょっと気になるところです。数年後、この点について改めて検討する余地は残しておく形がよいかなということです。

ただし、期限の延長をするというよりは、むしろ期限が区切られていて、その中で準備をやる、すなわち、重要な情報に絞った形で開示する、というのはサステナビリティの情報が広がる、広がる、それから保証が厳しい、厳しいというように、手続を重くする方向ばかりに行きすぎてしまうことがあったとすれば、それは本意ではないはずで、投資家にとって一番重要なところは何かという原点に立ち返って、早期に充実した情報ができるようにする、ということをまず第一に置く。その上で、その上で本当に延期が必要だったら延ばす、そういうふうにしていくべきではないか。そうでないと、大変になるんだから延ばすんだ、というところだけを前提に議論を始めてしまうと、やはり効率化を図る方に進みにくいことになってしまうだろうと。

それから、お話があった会社法上の事業報告と有価証券報告書との一体化ということを考えるときに、有価証券報告書が重要だといっても、そこでも広がり過ぎる、重くなり過ぎるということにならないよう、本当に必要なものをきちっと開示していくということを基本に据えたことがよいのではないか。投資家の方としても、もちろんそれを期待されていると思います。

有価証券報告書に関していろいろなご意見があるところですが、IT、AIが進んでいるという文脈で申し上げると、データとして使える有価証券報告書は機械処理ができるということ、会社法の事業報告のほうではそれができないけれども、それができるのは有報という点で、やはり有価証券報告書に移行、一本化することを全面的に進めていくのが合理性が高いといえるのではないか。投資家としても機械を使った形で分析等をしっかりと、しかも効率よく早期にやっていただくことにもつながる。監査法人のほうもAIを使った形での効率化を図っておられるところでもあるわけです。

そういった時代の流れや要請も含めて考えた上で、企業の側の準備も、それに向けた形での内部統制体制、それからまたITの監査ということも含めた形でしっかりと考えていただくのが、やはり今の時流に合う。日本がそういったところでも海外に遅れた国ということにならないように工夫する。業者さんもいろいろサポートを進めておられると思いますし、各企業のところでもしっかり考えていかれることが本当に重要ではないかと思われます。

法律論から外れるところはありますが、制度論を考えるときは、そういったところを見据えた上で議論が進むとよいのではないか、実務的に考えていくといいのではないかと思いますので、コメントさせていただきました。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

ほかに御発言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、本日の議論を踏まえ、次回以降、さらに御議論を進めてまいりたいと存じます。大変活発な御議論いただき、誠にありがとうございました。

最後に、事務局のほうから何か御連絡事項等がございましたら、お願いいたします。

【小長谷企業開示課長】

次回第10回会合の日程でございますが、皆様の御都合を踏まえた上で決定し、御案内させていただきます。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。ありがとうございました。

 ―― 了 ――

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