金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」(第4回) 議事録

  • 1.日時:

    令和5年10月2日(月曜日)14時30分~17時00分

  • 2.場所:

    オンライン開催 ※一部、中央合同庁舎第7号館 9階 905B共用会議室

    【神田座長】
     それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。ただいまから金融審議会の公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループの第4回目の会合を開催いたします。大変お忙しいところ、本日も御参加いただきまして、誠にありがとうございます。

     本日でございますけれども、黒沼委員と藤田委員が御欠席と伺っております。また、飯田委員、神作委員、高山委員は遅れての御出席と伺っています。
     
     なお、議事録ですが、通常どおり作成の上、金融庁ホームページにて後日開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

     また、本日の会議の模様も、前回同様、ウェブ上でライブ中継をさせていただきます。

     それでは、議事に移ります。本日は、事務局から資料の説明をしていただきまして、その後、質疑応答、討議をしていただくということで進めさせていただきます。

     それでは、事務局から資料についての御説明をお願いいたします。

    【谷口企業統治改革推進管理官】
     金融庁企業統治改革推進管理官の谷口でございます。私のほうから、資料1の事務局説明資料に基づいて、本日の検討課題について御説明をさせていただきます。本日は、大量保有報告制度及び実質株主の透明性に関する各検討課題について御議論いただければと思っております。

     まず、事務局説明資料1ページ目から3ページ目に大量保有報告制度の概要を掲載しておりますが、こちらは第1回会合にて御説明させていただいておりますので、割愛させていただきます。

     まず、大量保有報告制度に関する検討課題でございます。1つ目は、重要提案行為の範囲が不明確であることが企業と投資家との実効的なエンゲージメントの支障になっているのではないかという検討課題でございます。こちらは、現行の大量保有報告制度上、金融商品取引業者等に対しては、特例報告制度という緩和措置が設けられておりますけれども、こちらの緩和措置の適用を受けるためには、投資先企業に対して重要提案行為を行わないことなどが必要とされております。この重要提案行為の範囲につきましては、2014年のスチュワードシップ・コード策定時に一定の解釈の明確化が図られたところでございますけれども、実効的なエンゲージメント促進のためにはさらなる明確化が必要ではないかというような御指摘をいただいているところでございます。

     続きまして6ページ目、重要提案行為の範囲に係る検討課題について、これまで当庁に寄せられた意見は以下のとおりでございます。まず積極意見としましては、パッシブ投資家をはじめとする大量の銘柄を保有する投資家にとっては、重要提案行為に該当しないようにエンゲージメントを行っている実態があり、また、そういったエンゲージメントによってはスチュワードシップ・コードで求められているような深度ある対話を実施することには限界があるといった御意見などをいただいております。また、消極意見としましては、重要提案行為の範囲を必要以上に狭めてしまって、市場の透明性を後退させるような事態にならないよう注意すべきであるといった御意見などもいただいているところでございます。

     こちらの検討課題につきましては、7ページ目に重要提案行為の範囲を明確化または限定する場合には3つのアプローチがあり得るということを掲載しております。1つ目が提案の内容に着目をして限定または明確化していくような考え方、2つ目が提案の目的に着目をして限定または明確化していく考え方、3つ目が提案の態様に着目をして限定または明確化を行っていくような考え方があり得るところでございます。今回はぜひ、どういったアプローチに基づいて明確化または限定を図っていくことが適切かという点についても皆様に御議論いただければと思っております。

     また、こちらのページには、現行制度において、これらの3つの要素についてどのようにルールメイクされているかを掲載しております。こちらは御覧のとおり、現行法は提案の内容のところに重きを置いているアプローチとなってございまして、提案の内容について、政令に列挙しているこの14項目に該当するものについては重要提案行為に該当するというような整理を基本的に置いているところでございます。これに対して提案の目的や提案の態様につきましては、法文上明確な限定はかけておりません。ただし、この点は金融庁において、例えば提案の目的については、事業活動に重大な変更を加え、または重大な影響及ぼすことを目的とすることが必要であるといった解釈であったり、提案の態様についても、個別事案ごとに提案に該当するか否かを判断する必要があり、一定の場合には提案に該当しない可能性が高いという旨を解釈指針で公表しているところでございます。

     また、こちらについては、御参考まででございますけれども、諸外国でどのようになっているかというところにつきましては、資料2の参考資料の2ページ目に掲載をしております。このページの3段目、機関投資家の特例というところが今回の重要提案行為の範囲に該当するところでございます。詳細は割愛させていただきますけれども、概して申し上げますと、諸外国においても同様の規定は存在しますけれども、この点については、ある程度抽象的に会社支配に変更・影響を及ぼす目的・効果がないことであったり、経営介入のために議決権の行使、利用をしないことなどが求められているというところでございます。以上が重要提案行為の範囲に関する検討課題でございました。

     続きまして、2つ目の検討課題でございます。2つ目の検討課題は、共同保有者の範囲が不明確であることが協働エンゲージメントの支障になっているのではないかという指摘でございます。こちらにつきましては、大量保有報告制度上、保有割合を算出するに際しては共同保有者の保有分を合算する必要がございますところ、この共同保有者の範囲につきまして、こちらについても2014年のスチュワードシップ・コード策定時にその範囲の解釈の明確化が図られておりますけれども、昨今の協働エンゲージメントの増加ということを踏まえると、さらなる明確化が必要ではないかといった御指摘をいただいているところでございます。

     共同保有者の範囲について、これまでいただいている意見が9ページ目にございます。まず主な御意見の①としましては、協働エンゲージメント促進は日本のガバナンスとサステナビリティ改善に資するので、ESMAのホワイトリストなどを参考に共同保有者に該当しない範囲を明確化するガイダンスを策定すべきといった御意見であったり、また、支配権の変動と関係ない株主権の行使に関する合意を除くべきといった御意見であったり、また、現行法は合意の有無で共同保有者に該当するか否かを判断するけれども、その合意の中には黙示の合意も含まれてしまうので、協働エンゲージメントに萎縮効果が生じるといった御意見などをいただいております。

     また、主な御意見の②として、そもそも現行法上は、共同保有者に該当するか否かは合意の有無で判断されていて、そのような合意をせずに協働エンゲージメントをすることは十分可能ではないかといった御意見であったり、そもそもそのアプローチ、つまり、共同保有者に該当するか否かを合意の有無で判断するというアプローチを修正すべきではないか。つまり、合意の有無で判断するということになってしまいますと、一部の投資家によっては、合意の立証の困難性を利用して偽装することが可能になってしまうので、共同保有者に該当するためには合意は必ずしも必要でないというふうな整理をしつつ、かつ協働エンゲージメントには明確な例外措置を設けるという方向で検討すべきではないかといった御意見などをいただいているところでございます。

     続きまして、10ページ目、デリバティブの取扱いという検討課題でございます。こちら、現行の大量保有報告制度上は、現物決済でない現金決済型のエクイティ・デリバティブにつきましては、基本的に大量保有報告規制の対象にならないというふうに整理をしているところでございます。一方で諸外国の事例などを見てまいりますと、例えば米国であれば、会社支配に変更・影響を及ぼす目的・効果を有する一定の現金決済型エクイティ・デリバティブについては大量保有報告規制の対象になるというような改正案が昨年2月に公表されているところでございますし、英国、その他の欧州においては、現金決済であっても基本的に大量保有報告規制の対象になるというような整理をされているというところでございます。

     こちらにつきましてこれまで当庁に寄せられた御意見としましては、11ページでございます。まず積極意見としましては、市場の需給に関する情報開示という点を重視するのであれば、基本的にはエクイティ・デリバティブ取引にはヘッジの取引が伴うので、現金決済の場合であっても広く適用対象とすべきといった御意見。また、経営に対する影響力に関する情報開示という点を重視するのであれば、SEC規則改正案、つまり、アメリカのように一定のエクイティ・デリバティブ取引に限定して適用対象とするということが適切ではないかというような御意見をいただいているところでございます。

     これに対する②の消極意見でございます。そもそもエクイティ・デリバティブは、議決権などを伴うものではなくて、会社支配に影響を与えるものではないので、これを適用対象に含めることはかえってミスリーディングであるといった御意見であったり、また、あらゆるエクイティ・デリバティブを大量保有報告制度の適用対象に含めると、健全なエクイティ・デリバティブの活用に支障をきたすおそれがあるということで、適用対象は例外的な場面に限定されるべきであるといった御意見などをいただいているところでございます。

     続きまして、12ページ目でございます。こちらは大量保有報告制度の実効性の確保という検討課題でございます。2008年金商法改正において、大量保有報告制度の違反抑止という観点から、大量保有報告制度などの不提出及び不実記載については課徴金制度の対象とされたところでございます。他方でその後も大量保有報告書などの提出遅延などは相次いでおり、大量保有報告制度の実効性が確保されていないのではないかというような指摘をいただいているところでございます。

     こちらにつきましては、13ページ目、当庁に寄せられた意見としまして、まず1つ目として議決権停止制度に関する御意見を様々なところからいただいているところでございます。これはすなわち、大量保有報告制度の実効性確保という観点からは、意図的な報告遅延をしているような場合にはその議決権を停止するというような方法が効果的ではないかというような御意見。また、実効性確保という観点からは、当局がそういった議決権を停止するといったエンフォースメントを行うだけではなくて、民間によるイニシアチブも認めるべきであって、私人による議決権の停止を可能とする制度が最も効果的であるといった御意見をいただいております。これに対しては、そういった議決権の停止に関する制度については、要件を厳格化しないと、要件と効果のバランスを欠くことになりかねないといった御意見であったり、また、対象会社の申立てにより議決権停止を認めるような制度は恣意的な利用が懸念されるといった御意見などもいただいております。

     もう一つのアプローチとして、制度の運用に関する御意見を②としていただいております。こちらは、遅延事例の数に比して課徴金納付命令の発出件数があまりにも少ないということで、当局による取締りが強化されるべきであるといった御意見であったり、当局による取締りを強化するためにも、特に立証に困難を伴う共同保有者の範囲を拡張して、合意の有無ではなくて、一定の外形的事実がある場合には共同保有者とみなすというようなアプローチを採用すべきではないかというような御意見をいただいているところでございます。以上が大量保有報告制度の実効性の確保という論点でございました。

     14ページ目に大量保有報告制度に関するその他の指摘ということで少し細かな指摘も取り上げております。まず1つ目として、取得請求権付株式等の取扱いという点について御指摘をいただいております。こちらは、取得請求権付株式や取得条項付株式については、現行法上その株式の数を分子として取り扱うこととされておりますけれども、こちらについては、転換後の株式数、これを分子として取り扱うべきではないかというような御指摘をいただいております。

     また、2つ目が、記載内容の明確化等という御指摘でございます。現行制度上、大量保有報告書の記載事項である保有目的や重要な契約などについては提出者によって記載ぶりがまちまちとなっているという現状になってございますので、その点を明確化すべきではないかというような御指摘でございます。また、現行の記載方法が複雑であることが提出遅延の一因となっているのではないかということで、記載内容についても簡素化ないしは見直しを検討すべきといった御指摘もいただいております。以上が大量保有報告制度に関する検討課題でございました。

     続いて、実質株主の透明性に関する検討課題について御説明をさせていただきます。こちらは、実質株主を把握できるようにする制度を設けるべきではないかという御指摘でございます。こちらは名義株主、いわゆる株主名簿上の株主につきましては、会社法上の株主名簿であったり、有価証券報告書などによる開示を通じて企業や他の株主がこれを把握する制度が整備されているところでございます。一方で、その株について議決権指図権限や投資権限を有する者、こちらを本ワーキング・グループでは実質株主と呼んでおりますけれども、そういった実質株主については、大量保有報告制度の適用対象となる場合、つまり、5%超の保有者となる場合を除いて、企業や他の株主がこれを把握する制度が存在しないというところでございます。

     企業と株主・投資家の対話や相互の信頼関係の醸成を促進するという観点からは、そういった実質株主とその持ち株数について企業や他の投資家が効率的に把握できるように諸外国の制度も参考に実務的な検討がされるべきというような御指摘をいただいております。

     こちら、諸外国の事例を見てまいりますと、主に2つに分けられるところでございます。1つ目が、米国において採用されているように、一任運用資産が一定額以上の機関投資家に対して、四半期ごとにその保有明細を公衆開示させるというようなアプローチでございます。もう一つの形が、英国ないし欧州において広く採用されている方法でございます。こちらは会社が実質株主ないしは名義株主に対して質問する権利を持ち、それに対して回答する義務を名義株主ないしは実質株主に負わせるというような制度でございます。

     こういった各制度が設けられているところでございますけれども、こちらについてこれまで当庁に寄せられた意見が17ページのとおりでございます。まず積極意見としましては、現状、多くの大手企業が実質株主判明調査を行って実質株主を把握しようとしておりますけども、コストと時間を要する上、全ての実質株主が明らかになるものではない。企業にとって実質株主の確認が容易になれば、中長期的な投資家との対応により時間を割くことができるので、企業と投資家双方にとって望ましいものであるといった御意見。また、企業側の情報開示については、ここ数年で大きく進展した一方で、投資家の情報開示については長らく改正がされておらず、国際比較という観点からもアンバランスな状況になっているので、実質株主把握のための制度導入は喫緊の課題であるといった御意見などをいただいているところでございます。

     これに対する消極意見としましては、米国の制度については投資家が自らのポートフォリオを公衆に開示するというような形になりますので、その他の投資家にトラックされてしまうリスクが生じるということであったり、かえって透明性が向上されることによって、企業が保有株式の多寡で機関投資家を選別するのではないかといった御懸念であったり、また、実質株主の権利を認めずに義務だけを課すのはアンバランスではないかというような御意見などをいただいているところでございます。

     最後に、御議論いただきたい事項というページを19ページ目以降に設けております。こちらにつきましては、基本的に御説明をさせていただいた検討課題について、それぞれどのように考えるかというところを記載させていただいているのみでございますので、詳細な御説明は割愛させていただきます。

     また、1点、申し訳ございません、事務局から訂正がございます。資料2の参考資料の8ページ目のところに誤記がございました。8ページ目の注記のところで、詳細は8ページということ左下に書かせていただいておりますけども、こちらは正しくは詳細は3ページ。8ページではなく3ページの誤記でございましたので、こちらはこの場を借りて訂正させていただきます。失礼いたしました。

     私の説明は以上でございます。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。それでは、残りの時間は、委員の皆様方から御質問、御意見をお伺いする討議の時間とさせていただきます。なお、いつものように、まず委員の皆様方から御質問、御意見をお伺いし、その後でオブザーバーの皆様方からも御発言の希望がある場合には御発言を承るということにさせていただきたいと思います。

     委員の皆様方、いかがでしょうか。

     それでは、堀井委員、どうぞお願いいたします。

    【堀井委員】
     まずは大量保有報告制度の重要提案行為の範囲でございますが、その前に、当社は日本版スチュワードシップ・コードに署名する責任ある機関投資家として、スチュワードシップ・コードで謳われているエンゲージメントをしっかりと実行したい。それを実行することが当社の責務だと考えているということを最初に申し上げたいと思います。

     また、そもそもとして、一般投資家から受託者責任を負った投資信託や企業年金の運用において、運用目的からして企業の経営権の取得を目的としていないことは明らかです。こうした中で、運用会社は受託者責任の観点から、一般的に配当性向や不採算事業の譲渡などについて発行体企業と対話する必要があります。制度趣旨からして、これを重要提案行為として扱う必要性は薄いのではないのか、すなわち、運用会社のエンゲージメントについては重要提案行為の範囲を絞ってはどうか、もしくは一定の条件をクリアした運用会社は重要提案行為の適用から除外するというようなことも検討していくべきではないかと思っております。

     ここで、当社が現場で行っている実際のエンゲージメントについて簡単に紹介します。例えば株主還元に関するエンゲージメントでは、財務諸表で外形的にキャッシュリッチに見える企業に対して、株主還元策の充実を求めていることはあります。一方で、株主還元を優先し、株価を上げることに熱心になり過ぎて、本来なすべき企業価値向上に資金が向かっていないように見受けられるケースもあるわけです。当社は全ての企業に対して、とにかく株主還元をしてくれ、と言っているのではなく、その企業の現在の立ち位置を前提に、中長期的な企業価値向上に結びつくように、設備、研究開発、DX、人材などに積極的に投資すること。次に、不測の事態に備えて、一定期間の事業活動に必要な資金を確保すること。その上で、余剰キャッシュが生じているのなら、株主還元を検討してもらうという段階を経た考え方を持っています。

     私もエンゲージメントに参加することが多く、ROE向上のために株主還元を重視する企業もいるのですが、投資家としては、稼ぐ力を高めることを期待しているのであって、過度な株主還元は、企業自身が投資すべき成長領域がないと言っているのと同じではないですか、と企業経営者に申し上げることもあります。

     こうしたエンゲージメントが中長期的な企業価値向上につながると確信してやっているわけですが、さらに価値向上に資するようなエンゲージメントを高度化したり深掘りしていくためには、複雑に絡む様々な要素に一定程度深く切り込んで議論していく必要があると思っております。

     先ほど御説明いただいた資料の中で、提案の内容、目的、態様のお話があったと思います。現場の人間としては、内容に着目して線引きされるのが本来的には望ましいのですが、これはこれで往々にしていろいろな要素が密接に絡み合うこともあるので、きれいな線引きはなかなか難しいのではないのかというのが正直な感想です。
     また、目的につきましても、主観的になりがちなので対応が難しいと思いつつ、例えば提案者が一定の条件をクリアして、経営権の取得を目的としていないのであれば、当該提案者を規制の対象外にすることも検討していいのではないかと思います。

     3つ目の態様については、事務局説明資料7ページの脚注3に外為法の記載がありますが、このような免除基準を設けることはすごく現実的だと思います。特にここに記載のような基準は、実務の者からすると大変分かりやすい行動基準だと感じます。

     次に、共同保有者の範囲ですが、範囲の限定とか明確化には賛成します。国内外で多くの協働エンゲージメントに参画している当社の立場から言えば、特定の企業や業界、テーマに対して共通の課題認識があるからこそ、協働エンゲージメントが成立すると考えています。一方、参加する投資家は、各々で一般公開している議決権行使ガイドラインを持っているので、実際には同じエンゲージメント結果を得たとしても、それぞれのガイドラインに則って、投資家ごとに議決権行使の判断をしているというのが実態です。このように協働エンゲージメントと議決権行使は独立して動いていると我々は考えているのですが、記載されているような課題については完全に払拭できていると思っていませんので、範囲の限定とか明確化には賛成するということです。

     一方、大量保有報告は、個別の運用会社ではなく、各金融グループがグループ全体を共同保有者とみなして実施していると思います。そのため、各金融グループで特例報告制度を利用するためのシステムが構築されており、当社グループも例外ではございません。ただ、上記のような共同保有者の範囲の限定や明確化が進むにつれ、例えば資本関係にある運用会社がそれぞれ独立した議決権行使などの意思決定を行っている場合は、共同保有に該当しないという選択が許される。一方で、現状のまま特例制度対応の形を維持したい金融グループもあるでしょうから、ここは投資家側に選択できる制度を考えていただくとありがたいと思っております。

     次に、デリバティブの取扱いです。これにつきましては、議決権を伴うかどうか、会社支配に影響を及ぼすかどうかを判断の基軸として一定の適用範囲を設けることに異論はありませんが、あまりに広範な設定は、記載の通り健全なエクイティ・デリバティブの活用に支障をきたすおそれがあると思っております。

     それから、実効性の確保につきましては、提出遅延発生件数と課徴金納付命令の発出件数に大きな差がある点は気になります。遅延の主な理由は納得できる部分も多いのですが、あまりに同じミスを繰り返すようなのであれば、それはそれで問題だと思いますので、課徴金納付命令の前段階として、より堅固な再発防止策を促すような、何らかの注意喚起があってもよいかもしれませんし、その後に潜脱的なもの、故意とおぼしきものについてを適切に対処する形でよいと思います。

     最後に、実質株主の透明性の部分です。ポイントは、企業側が実質株主は誰なのかを知りたいという点であって、誰のために開示するかと言えば、企業のために開示することだと思っております。実際に当社では、企業から問合せがあった場合はその場で回答するようにしているので、ここでいう英国式のほうが親和性はあります。一方の米国式は、やはり運用会社としては抵抗感があり、導入するとなると一足飛び過ぎて現場での副作用も大き過ぎると思います。

     とはいえ、実質株主の透明性を可及的速やかに実行すべきというような意見には賛成なので、私がこの会合で何度か申し上げている「まず動く」ためには、例えばスチュワードシップ・コードを改訂するのも一つの案だと思います。具体的には、コードの原則4の脚注15の部分にある「株式保有の多寡にかかわらず、投資家と企業の間で建設的な対話が行われるべきであるが、投資家と企業の対話に当たっては、株式の保有割合を企業に対して説明することが望ましい場合もある」という記載があると思いますが、これを原則として盛り込むことも案だと考えています。

     ハードローの対応は時間がかかると思います。日本の機関投資家の多くはスチュワードシップ・コードに賛同しておりますので、ソフトローであるスチュワードシップ・コードで対応するのが、まずは第一歩を踏み出すには適切な策だと思います。それを進めつつ、さらに効率的な実質株主の把握にはどうしたらいいか、現有プラットフォームの役割変更や別のプラットフォームの構築を含めて議論を進めていけばいいと考えております。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     続きまして、児玉委員、どうぞお願いいたします。

    【児玉委員】
     私は、今回のワーキング・グループ第1回の会合でも申し上げましたとおり、実質株主の調査権をぜひ日本に導入したい、それも今すぐにでも導入できるように尽力したいと思っております。したがいまして、まずは実質株主の透明性を高める制度について発言をさせていただきます。

     実質株主の透明性に対応する制度の導入が喫緊の課題であるということ、これは事務局説明資料の17ページの上段、上から2つ目にてコメントさせていただいているとおりでありまして、ここでは繰り返しません。この点につきましては、もうワーキング・グループの委員の間で既に御理解をいただいているものと信じております。

     では、具体的にどのような形で制度化していくかの点でありますけれども、事務局説明資料の16ページにもございますとおり、米国型か英国型かという議論がされますけれども、これはそもそも二者択一を所与の前提とする問題ではないということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。今すぐ対応できるところから始めて、ターゲットとなる到達点までどういう順番でどういう時間軸で実行していくかという問題であると考えております。

     私自身は、まずは実現可能性に配慮をいたしまして、比較的ハードルが低いと思われる米国型、すなわち、投資家の側がイニシアチブを持って開示をする制度を直ちに導入していただきたいと考えています。しかしながら、この制度は、一定の金額等の開示基準を設けることにならざるを得ませんので、日本の上場企業は、たとえプライムといえども大中小様々な規模があり、企業規模によっては、このような開示では情報として不十分な企業も出てきます。やはり英国型の調査権、すなわち、企業側がイニシアチブを持って実質株主を確認できる制度の導入は不可欠だと思います。具体的な制度設計に当たりましては、あくまでも企業側のイニシアチブを持って実施できるということが確保されていればよく、英国のような実質株主に直接通知をする方式でなくとも、例えば名義株主を経由して調査権を行使できる形であっても、調査権の制度として十分役割を果たすものと考えております。

     万が一ですけれども、どうしても制度の併存が許されない、難しいというのであれば、私自身は企業のイニシアチブによる制度が必要であると考えておりますので、英国型の制度をターゲットにすべきと考えております。その場合でも、まずは米国型でテンポラリーな対応をしていただいて、英国型の制度導入をもってその制度へと移行するというような形になるべきではないかと考えております。いずれにしましても、法務省の方々ともぜひ協調・協働していただいて一日も早い制度導入を実現していただくこと、これを切にお願いする次第です。

     それから、大量保有報告制度についても1点発言をさせていただきます。重要提案行為の範囲あるいは共同保有者の範囲の明確化をそれぞれ図るということは全く異論ございません。企業の立場から申し上げますと、事務局説明資料の12ページにあるように、大量保有報告制度の実効性が十分に確保されていない、制度として十分機能していないのではないかという懸念があると、これは言わざるを得ないと思います。言葉を選ばずに申し上げますと、もしかすると、中には意図的といいますか、脱法的な不提出・不実記載もあるのではないかと疑わせるようなところもございます。ただし、もちろんこの点は実際に実務を見ておられる弁護士の委員の方々の肌感覚に委ねたいとは思いますけれども、脱法的行為や潜脱的行為を防止するという、そういう意味での実効性確保をぜひお願いしたいと思っております。

     この視点から、もう一つだけ類似の指摘をさせてください。事務局説明資料9ページです。共同保有者の範囲に関してですが、共同保有者の範囲を明確化すること自体、全くもって賛成であります。しかし、明確化の中で、限定することだけではなくて、今申し上げました脱法的・潜脱的行為を防止するという視点からの検討も忘れないで行っていただきたいと考えております。事務局説明資料9ページの一番下にあります意見にもかなり似てはいるのですけれども、共同保有者関係について合意の有無で判断をし、黙示の合意も捕捉することで脱法・潜脱を許さないという対応をしているのが現行法と理解していますけれども、これでは対応し切れないタイプも十分考えられるのが現状ではないかと思っております。具体的には、参考資料の9ページ、こちらにございます共同行為者というコンセプトでの対応などによって、これも一例ですが、ある意味巧妙な手法についても網をかぶせていくということ、これも検討の対象として忘れないでいただきたいなと考えております。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、三瓶さん、どうぞお願いいたします。

    【三瓶委員】
     私は、重要提案行為の議論について重点的に述べ、あとの点については簡潔に述べたいと思います。

     まず、重要提案行為の範囲に関してですが、この見直しの目的は、企業と投資家との実効的なエンゲージメントを促進することであると理解しています。そして、問題の焦点は、企業と投資家とのエンゲージメントの内容によっては特例報告を利用できなくなるのではないかという懸念がある。だから、エンゲージメントに身が入らないというか、遠慮するということですね。ここでは特例報告を対象にしているので、株券等の保有割合が5%超から10%の保有者を対象にしているということだと思います。こういったことがここでの前提になります。

     スチュワードシップ・コードの指針4-1に「建設的な『目的を持った対話』」について書いてあります。それを読むと、「機関投資家は、企業価値及び資本効率を高め、その持続的成長を促すことを目的とした対話を、投資先企業との間で建設的に行うこと」とあります。また、「機関投資家は、企業価値が毀損されるおそれがあると考えられる場合には、問題の改善に努めるべきである」というふうにあるわけです。

     ここで重要なのは、責任ある投資家の行動として、経営について重要な問題を議題にして見直しや再検討を依頼するということなので、重要提案行為として政令に列挙されている事項には、株主エンゲージメントの議題になり得るものが多く含まれています。したがって、明確化、限定をする際に、提案の内容に着目していくのは非常に難しい、またはそこで限定を図ると一般報告に影響するのではないかなと考えます。

     むしろ提案の態様について明確化をしたほうが現実的であると考えています。責任ある投資家としての見解を述べて、経営執行及び監督として取り組む事項を提案するということがあるわけですけども、そのときに、取締役、取締役会はそれを検討して、その結果どのように経営に生かすのかというのはあくまでも会社側にその裁量があって、同時に結果責任を負う。こういうことが責任ある投資家と企業との間の間合いであって、それぞれの責任ではないかと思います。こういう場合には重要提案行為に当たらないと明確化すべきだと思います。

     しかし、もし取締役、取締役会に何らかの形で提案内容を強制、強要すると、他の株主の知らないところで経営に影響力を発揮して、かつその結果責任の所在が不明になります。これは制度趣旨に反して、不透明かつ不公正という問題があると思うので、株券等保有割合が5%超10%までだとしても一般報告にするのが妥当だと思います。つまり、これは重要提案行為に当たると考える。こういうように、議題ではなくて行為によって区別できるのではないかと思うわけです。

     そういったことを踏まえて、事務局説明資料の3ページに特例報告制度の利用要件がありますけれども、ここをどう変えたらいいのかという案です。同ページには利用するための要件が3つ記載されていますが、そのうち②の「重要提案行為を行うことを保有の目的としないこと」という要件を削除して、代わりに、10%超保有する意図がないこと、また、単独または共同で当該株主の提案内容を対象会社の取締役、取締役会に強要しないこと、こういう条件が入ると、議題ではなくて行為によって区別することができるのではないかと思います。

     ここで、私は強要という言葉を使いましたけども、強要が意味しているのは、例えば議決権保有割合を理由に一定の事項に関する提案内容を実行するように圧力をかけるということ、または10%を超えて議決権を追加取得する可能性があるということを示唆すること、または他の株主が一定の事項に関する当該株主の提案内容に同意していることなどを示唆すること、このようなことで、まだまだこれから先、議決権を取っていきますよ、または議決権を合算すると圧力をかけられますよというようなことを言っていくのは強要に当たるのではないかと思うわけです。

     もしそういう修正をしていただけるとすると、提案の目的、提案の内容、提案の態様という整理がありますが、――これは2014年2月に出来た考え方の整理ですけれども――提案の目的はちょっと違うかなと思うので、削除、修正していただきたいなと思っています。というのは、提案するのはそもそも現状の経営判断に不満だから提案するのであって、株主エンゲージメントの議題・問題提起のリーダーシップは通常は株主側にあります。でも、事務局説明資料の7ページに現行制度として書いてある記載をみると、株主がこれに応えて受動的にとか、非常に消極的です。また、発行者が設定の対話の場面で意見陳述するならばなど、極めて株主・投資家側が消極的な場面だけを想定しているので、ここの目的はちょっと違うなという感じがします。

     また、同ページに提案の態様として①から④が記載されていますけれども、ここでは説明を求める、説明する、質問を行う行為ならば問題なしとしています。しかし、実効的な株主エンゲージメントというのはそうではないだろうと思います。やっぱり決断や取組が足りないところがあるからこそ、エンゲージメントによって指摘して、変化を起こす行動を求める。ただし、その行動は、取締役、取締役会の裁量によって彼らが判断するということであると思うので、この態様の説明書きもちょっと違うなということで見直していただきたいと思うところです。

     次に、共同保有者のところについては、私は、合意の有無というのがまず現在焦点になっているところ、それをそもそも合意の有無ではなくするというのは、そこまで行くとゼロスタートなので難しいかなと思っているのですが、ただ、合意の有無に関して今の文章を読むと、共同して権利行使することに焦点を当てていると思います。より正確には、共同して行動することで議決権割合を増加して効果的に影響力を行使することではないかと思います。そうすると、共同保有者として行動するには、互いに議決権割合を把握して、合計した議決権割合にこだわるはずです。なので、合意については、議決権保有割合の情報を共有することを合意しているというふうにすると、より明確になると思います。

     通常、機関投資家の議決権保有割合は社外秘情報です。ですから、競合する他の機関投資家と共有する場合はまずないと思いますけれども、もしそうするのであれば、社内の承認手続を要するはずです。ですから、合意の有無というのは明確に分かります。また、協働エンゲージメントの際には、通常、こうした議決権保有割合の情報を共有するということは合意していないと思います。私の経験からもそういうことはしていません。ですから、それぞれの議決権保有割合を見せ合う、共有する、そういうことの合意ができているのかということに焦点を当てると、割とここははっきりすると思います。

     デリバティブの取扱いについては、デリバティブ取引の相手方の現物株式取得など需給への影響があるものは、透明性、投資者保護の観点から対象とする合理性があるため、現金決済型であってもエクイティ・デリバティブも対象とするというのが妥当ではないかと思います。

     大量保有報告制度の実効性の確保については、義務違反の罰則についてもう少し踏み込んだほうがいいのかなと思います。一つは、特例報告の遅延の場合には、例えば遅延期間の3倍の期間はペナルティーとして一般報告を義務づけるとか、また、一般報告の遅延については、違反して取得した分を売却するまでは議決権停止とか、そういった形が非常に分かりやすいのではないかと思います。

     最後に、実質株主の透明性について、そもそもの金商法の趣旨からすると、米国のForm13Fのほうが透明性が高くて、投資者保護につながると思います。投資者保護が焦点になっているのではないかと私は思っているのですが、英国型の場合には発行者にしかその情報が伝わらないということで、投資者保護にはつながらないと思います。ですので、金商法の趣旨からすると、米国型がリーズナブル。また、実際にブルームバーグ等投資情報サービスで、株主名とか保有状況の情報は既に流通しています。しかしながら、日本の場合はデータの正確性が非常に疑わしいです。ですから、米国のForm13Fのようなものが基本データベースとしてあれば、投資者は正確な情報を利用できるということにつながります。ですから、これは誰にとっての情報提供なのかということを最初に明確化しないと、議論は2つの方向にまたがるか、または行ったり来たりしてしまうのではないかなと思います。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは次に、角田委員、どうぞお願いします。

    【角田委員】
     制度の適用範囲の見直し、実質株主の透明性、実効性の確保という順でお話ししたいと思います。

     最初に、重要提案行為の範囲の見直しに関してですが、大量保有報告書の目的欄の記載についていつの間にか業界慣行になってしまった純投資と提案行為目的という二分論ではなくて、本質的な記載に変えるほうがいいと思っています。アメリカのスケジュール13Dを見ていると、取引の目的(パーパス・オブ・トランザクション)との記載欄に、大株主側の意図や、どういう合意をしたかということが記載されており、これらについて大量保有報告書、変更報告書を通じて投資家が正確かつ容易に把握可能です。そのため、アクティビティストのキャンペーンサイトや、向こうに上場親会社はあまりないですけれども、上場親会社のCEO、CFOのコメントを検索して回るようなことをしないでも済んでいるように感じます。

     例えば、発行会社と株主との間の重要な合意、株主権の行使に関する提案、対外的にも正式提案するようなもの、もしくはそういうような提案を第三者やウェブサイトでパブリックに伝達する場合は、変更報告書の提出を必要としてその内容も開示するとして、それ以外の場合は特例報告を認めるといった形で概念をリンクさせるのがいいのではないかなと考えました。

     また、主要株主との間では機密保持やデューデリジェンスに関するテクニカルな合意があると思いますので、そういうようなものは、例えばQ&Aで対象外とする旨示すような形でいいのではないかと思います。別途、上場会社側でも株主等との合意や金融機関とのコベナンツについて開示する方向になっていると聞いておりますので、株主側でも同様な開示を行うというのは、双方で検証、けん制が効き、タイミング的にも合っているのではないかなと思いました。

     次に、共同保有者の範囲についてですが、明確な記載ぶりにすると潜脱のおそれがあるので、あえて大元のルールは明確に書かずに、ホワイトリストだけを明確に例示する。そして、潜脱事例をきっちり摘発していくのがいいのではないかと思いました。

     デリバティブに関して、やはりSECの改正案にあるように、会社支配に変更・影響を及ぼす目的を有している者の保有部分について開示が必要な部分はする方向。具体的には、何らかの保有割合の閾値と目的の双方の基準に該当するものだけが開示されるような考えがいいのではないかなと思います。これはやはり、借入れなどと同様にレバレッジをかけるためだけにデリバティブを使っている投資家もたくさんいらっしゃいますし、レバレッジをかけるだけの目的であれば、ほかにもいろいろな、株を担保に借りるなどの取引もありますので、それとの公平でなくなるという観点もございます。

     次は、実質株主の透明性についてです。何らかの方法で実質株主を把握することを認めることが必要だと思います。一方で、実質株主の透明化を図る目的としては株主エンゲージメントに資することや投資家にとって有益な情報の開示以外に、外為法のような安全保障上の要請等から最終親会社、UBO開示や、最終的な意思権限を持っている方の属性の把握、マネロンの防止など、いろいろなものが今同時に議論されているという論文を読みました。金融庁だけで検討するのではなくて、特にマネロンのほうは日本は後れていて情けない状況でもありますので、そちらの検討とうまく組むような形で進めることもできる。金商法に米国型を導入する考えもありますけれども、そういう観点から物事を進めれば英国型もそんな遠い道ではないのかなと思いました。

     最後に、実効性の確保ですが、やはりエンフォースメントの強化は絶対必要で、違反者にはきちんと課徴金を課すということが必要なのではないかなと思います。大量保有報告書の目的欄の記載の変更について、目的二分論自体が機能しないというのが私の意見ですけども、かかる目的変更ですら過去遅れていた例もありますので、そういうものは事後的に見つけたらしっかり摘発していくというようなことも必要だと思います。

     一方で、エンフォースメントのやり方として、公開買付けに関しては、株式を取得する手法を規制する制度の違反でもあるので、株式を売却させ、原状回復するのがいいのではないかという議論がありました。逆に大量保有報告制度に関しては、実質株主の開示の遅れを理由に売却命令まで認めることは行き過ぎかもしれませんので、諸外国で認められているような議決権の停止・制限、財産権を1回奪って、修正されたら返すみたいな制度をしっかりと導入する。そのことによって、先ほどの共同保有者の範囲の潜脱に対するエンフォースメントも期待できるのではないかと考えています。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは次に、高山委員、どうぞお願いいたします。

    【高山委員】
     私からは、実質株主の透明性について、実務家の観点から意見を述べさせていただきます。

     まず、実質株主を把握することの重要性についてお話ししたいと思います。実質株主が誰であるかということを企業が把握するのは、企業と投資家が対話する上での非常に重要で基本的な事項だと考えます。

     例えば平時のIRにおいて、企業はどのように投資家との対話を進めるかというと、まずどのような投資家に株主になってほしいか、そういう投資家のリストを作成する。そのリストと、それから、自社の株主構成を比較して、例えば既に株主になっている投資家であれば、そのまま継続して対話を行う。それから、重要な投資家であるけれどもまだ株を保有してない投資家であれば、さらに対話の質を高めて自分たちを理解してもらうというような行動をいたします。株主でないということが分かった場合、対話がおろそかになるのではないかという御懸念もあったように思いますけれども、むしろ株主でない投資家に対してより対話に注力するというケースもしばしばあります。

     それから、有事の場合、例えば株主提案であったり、公開買付けのようなケースですけれども、この場合は株主に注力して対話を行うということになりますので、ここでも誰が自社の株主であるかということを理解することが非常に重要になります。現実に今の日本ではそれがかなわないため、企業は外部に委託するなどして株主判明調査などを行っており、そのための時間であったりコストであったりがかかり、かなりのリソースを割いている状況です。この部分が容易になれば、企業としてはより対話の質の向上に注力することができますので、これは企業だけではなくて投資家にとっても非常にメリットがあることだと思います。

     次に、今後の進め方ですけれども、ハードロー、法制度の改正は必須だと思います。そのときに重要なのが、スピード感であると思います。今、米国型と英国型の2つの方向性が挙げられていますけれども、どちらかのより早く進められるほうから開始して、最終的には両方ということでも構わないと思います。

     ただ、そうはいっても法制度の改訂にはかなり時間がかかるので、まずはソフトロー、例えば、スチュワードシップ・コードなどでの対応で進めるということは考えられると思います。ただし、その場合の問題点ですけれども、スチュワードシップ・コードについては、国内の主要な投資家は全てサインしておりますけれども、海外の投資家については必ずしもそうではありません。現在、日本企業の海外投資家の保有分は30%以上になっていて、国内投資家の純投資の保有分と比較すると、海外の投資家の保有分のほうが多いという状況になっております。ですので、海外の投資家に関してはスチュワードシップ・コードだけでは十分カバーし切れないというところがありますので、ハードローでの対応は必須だと考えます。

     最後に、ソフトローであれ、ハードローであれ、対応を進める上での留意点についてお話しいたします。ソフトローの場合、スチュワードシップ・コードで対応するということになると、実際にそのような対応が進んでいるかどうかというのは外から見て分からないので、フォローアップが必要だと思います。投資家、企業双方にヒアリングして、コードが遵守されているかどうかという確認が必要になると思います。

     それから、先ほど企業は投資家のリストを作成するというようなお話をしましたけれども、例えば中長期運用で一定以上の運用資産残高を有している国内外の投資家のリストを作成すると、150社から200社ぐらいになります。実際に企業がそれら全ての投資家に確認するというのはなかなか難しいので、例えば第三者に依頼して確認するということも十分ありますし、実際に行われています。そのときに企業から正式な依頼書を受けているにもかかわらず、それを提示しても、投資家側が株の保有分を開示しないという事例が過去ありました。そういったことがないように、ソフトロー、スチュワードシップ・コードのフォローアップの必要性はあると思います。

     それから、ハードローの対応ということについては、これは実際策定するときには、実務がやりやすいような仕組みが重要だと思います。米国型であっても英国型であっても、それを使う企業にとって使いづらい仕組みが一部あって、課題があるという話も聞いております。どちらの方法を取るにしても、ハードローで対応する上では、法制度を定めるだけではなくて、それをユーザーフレンドリーにする、企業にとって使いやすい形にするという仕組みづくりが同時に重要になると思います。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     次に、田中委員、どうぞお願いします。

    【田中委員】
     私からは、ぜひ制度改正に向けた検討を進めていただきたい案件に絞ってお話ししたいと思います。具体的には、重要提案行為の範囲と、実質株主の透明性確保について主として意見を述べたいと思います。

     重要提案行為に関しては、私はやはり現行のルールを明確化するだけでは十分でなくて、何らかの法令の改正が必要であると思います。と申しますのは、今日のスチュワードシップ・コードの下での機関投資家に求められているエンゲージメントは、やはり、言葉の通常の意味での「提案」も含むものであると思います。単に企業に説明を求めたり、「これについてはどうですか」というような質問をするとか、あるいは企業のほうから聞かれたら答えるとか、それにとどまるものではないのではないかと思います。配当政策であれ、資本政策であれ、こうしたらいかがかというような、言葉の普通の意味での提案もやはり行われているのではないかと考えております。

     ですので、ここでは、重要提案行為に該当しない場合に特例報告制度が使えるというコンセプトの趣旨に遡った検討が必要であると思います。という意味は、今日多くの機関投資家はスチュワードシップ・コードを受け入れてエンゲージメント活動を行っているわけであって、そのことを前提にしますと、機関投資家が一般的なエンゲージメント活動を行っている、しかも、その機関投資家は対象会社の議決権を5%超取得していても10%を超えて取得してはいないという状況では、一般的なエンゲージメント活動をする分には、一般株主にとって必ずしも即時に情報の開示を求めるほど真新しい情報ではないのではないかと思います。

     つまり、即時に開示する必要性が必ずしも大きくな一方で、機関投資家は、即時の(本則による5営業日内の)開示を求められるとその対応コストからエンゲージメント活動自体が萎縮する結果になるということで、メリットとコストの比較という観点からすると、機関投資家にとって通常のエンゲージメント活動をしている分には、特例報告制度の適用を認めたほうがいいだろうと、こういうコンセプトで規制設定をすべきではないかと思います。

     そのような考え方でいうと、事務局説明資料6頁に書かれているものでいうと、特に「提案の態様」に関する部分が重要であり、ここが、現行法令の解釈として認められているような、単に質問するとか、企業から聞かれたことに答えるというだけではなくて、やはり一定の範囲では提案をすることも、本則による即時の開示が求められるという意味での「重要提案行為等」には当たらないという形で、重要提案行為の態様を狭めるのがいいのではないかと思います。

     具体的に言えば、例えば株主提案権を行使する、そこまでに至れば、それは単なるエンゲージメント活動を超えた、言ってみればアクティビズム活動というか、自分自身の目的を実現するために積極的に企業経営に対して一定のプレッシャーをかける行為になりますので、それについては重要提案行為に該当するとして、本則の大量保有報告制度の下で速やかに開示を求めるということになると思います。

     ただし、法律上の株主提案権を行使しなければ重要提案行為に当たらないとすると、やはりこれは狭過ぎると思います。その点からはと、参考資料の6ページに記載のある外為法の制度が参考になるのではないかと思います。この中でも特に、役員に就任するとかそういったことがあれば、それはもう一般的なエンゲージメント活動ではないということは言えると思います。それ以外にも、取締役会等に期限を付して回答行動を求めるような書面での提案をするということは、実際のアクティビティズム活動でもこういうことをするのではないかと思います。また、回答の期限を切って、その間に回答が得られない場合には、株主提案をするか、あるいは公開買付けないし市場による株式買増しをするというような形で、対象会社にプレッシャーをかけていくということになると思いますので、このような行為が行われた場合は重要提案行為に該当するということにすれば、通常、機関投資家が行うエンゲージメント活動は重要提案行為の範囲から外れる一方で、アクティビスト活動については重要提案行為に含めることができて、おおむね納得のいく規制になるのではないかと思っております。

     もう一つは、実質株主の透明性を図る制度についてですが、これもぜひ実現してほしいと思います。やはり、事務局資料17頁にも書かれていますように、名義株主と実質株主が一般的に異なっている制度下では、企業は、まず実質株主の判明にコストをかけなければならないわけで、それが社会全体で余計なコストになっているように思います。これは、投資家の自主的な対応によりかなりの部分解決できる部分があると思います。それはつまり、実質株主が名義株主に対して、自分たちの素性を明かしていいよということを名義株主に伝える。つまり、名義株主の守秘義務を解除すればいいわけです。実質株主が同意すれば、現行法制の下でも会社は実質株主を知ることができるわけです。ただ、それは守秘義務の解除を伴うので、法制度がないとなかなか進まないか、あるいは進めようとしてもそれに必ずしも協力的でない投資家がいるために、投資家間で差が生じてしまって、企業の側でも投資家の側でも不満が残ることになると思います。したがって、投資家レベルでの自主的な対応も進めるべきですが、法制度による対処も要るのではないかと思います。

     そのためにどういう法制度改正が考えられるかについては、米国と英国の制度が紹介されていますが、米国の制度は、これは一定の実質株主に対し、言わば世の中一般に対する開示を求めるということになるわけで、事務局説明資料の17ページにも消極論が出ていますが、やはり、自分のポートフォリオについてほかの投資家にトラックされてしまうというリスク、コストが無視できないのではないかと思います。しかも、この制度は、一定額以上の資産を持った機関投資家にしか適用されないので、主に中小規模の上場企業が、素性があまりよく分からない投資家による買い集めに遭うというようなケースに必ずしも対応できていないようにも思います。そういう意味では、イギリス型の、企業が実質株主を知る権利を持つ、そういう制度を中心に制度改正を考えるべきです。これは、会社法の改正を伴うと思いますが、このワーキング・グループでこういった制度を設けるべきであるということを提言して、会社法の改正につなげることができればいいのではないかと思います。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは次に、神作委員、どうぞお願いします。

    【神作委員】
     私からは5点申し上げたいと思います。

     第1点は、重要提案行為の明確化についてでございます。この点については、ただいま田中委員から大変詳細な意見の表明がございましたが、私も基本的に賛成です。一般的に行われている適正なスチュワードシップ活動を抑制することがないような観点から重要提案行為を明確化する。その際、実務がやはりどうなっているか、適正で一般的に行われているスチュワードシップ活動とはどのようなものかということは実務に依存することになりますので、実務を踏まえるとともに、外為法の基準等も参考にしながら検討をさらに深めていくのが良いと思います。

     2番目は、共同保有者の範囲についてでございます。共同保有者につきましては、継続的に会社の支配や事業の在り方、経営方針等に影響を与えることになる合意、その合意には紳士協定のようなものも含める必要があると思いますが、そういった広い意味での合意を捕捉するとともに、一種の継続性といった要件を設けてはいかがかと考えております。

     第3は、デリバティブ取引の取扱いでございます。私は、満期に議決権付の株式を制約なく取得する権利が付与されているような金融商品であれば、現物決済か現金決済・差金決済かということを問わずに、そういった機能を含んでいるものは規制の対象にすべきであると思います。デリバティブ取引によってループホールが簡単に出来てしまうということでは困りますので、ループホールをふさぐという観点から、デリバティブ取引も一定の条件、先ほど申し上げたような基本的な考え方によって、要は、EUの考え方にのっとって基準をさらに明確化していただけれけばと思います。

     第4は、大量保有報告制度の実効性の確保についてです。まず問題の認識として、大量保有報告制度はエンフォースメントが非常に難しく、かつ違反も相当ある。そのような認識から出発する必要があると思います。現に、違反の件数については、御紹介がございましたけれども、実際にかなりの違反があってエンフォースメントが非常に難しい。そして、それに対応するためには、適切なサンクションを課すことによって、エンフォースメントを図るべきだと思います。できれば、事前にそういった違反を起こさないという行動を仕向けるようなそういった適切なエンフォースメントを考える必要があると思います。

     そのときに何が一番効くかというと、株主権を制限することだと思います。もちろん、繰り返し申しますように、エンフォースメントの必要性と制約される株主権の観点からのバランスがございますので、株主権を制限する場合には、一体どの株式について株主権を制約するか、そして、株主権の中でどのような権利を制約するのか――議決権を制約するというのが一番有力な考え方になるかと思いますけれども諸外国では配当請求権について制限する場合もあります――、それから、権利行使が妨げられる期間はどうなるか。こういった点について、いろいろな問題はありますけれども、できれば私としてはさらに議論を進めていただければと思います。

     結局、株主権を制約するということになると、どうしても株主権を制約されては困るという人が表に出てくることになるのが通常ではないかと思いますので、私は株主権の制約というサンクションは、実効性の確保が非常に難しい大量保有報告制度においてエンフォースメントを確保する最良の工夫の1つなのではないかと考えております。

     最後に、実質株主の透明性確保でございますけれども、私も何らかの形で透明性を図ることが良いのではないかと思います。そのとき、趣旨によって確保の仕方が違ってくるかと思いますけれども、スチュワードシップ活動の相手方をはっきりさせるということが主目的だとすると、英国型を採用するとともに、会社にとっては誰に株主権を行使させるかということは非常に重要ですので、会社に対し調査権を付与することが適切であると思います。

     さらに、その場合に、法的安定性を確保するために様々な仕組みが考え得ると思いますけれども、これまでの議論を参考にし、さらにそれを一歩進めていく、改善していくというようなアプローチが考えられると思います。

     また、米国型も、機関投資家ファンドが一定の影響力を持つということになると、米国型の開示の在り方もやはり有用で必要だということになると思います。そういう意味では、米国型と英国型は両立し得るものではないかと考えておりますけれども、差し当たっては、私は英国型のルールの採用から本格的に検討してみてはいかがかと考えております。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、次に、萬澤委員、どうぞお願いいたします。

    【萬澤委員】
     私は大量保有報告制度の実効性の確保と、実質株主の透明性について少し申し上げたいと思います。

     大量保有報告制度の実効性の確保について、事務局説明資料12ページでお示しくださったとおり、2019年から2022年までの間に、年間約1500件の提出遅延が発生しているにもかかわらず、大量保有報告制度違反に対する課徴金納付命令が2008年から2022年までの間で8件しかないというのは、やはり少な過ぎて――しかも、それらの発令事例は、私が金融庁のホームページを拝見したところによると、平成22年や23年に集中しているようでしたので――もっと執行が強化されるべきと思います。

     では、どのように執行を強化するかというのは、やはり難しく、株主権を制約するというのは、より直接的で効果があると思うのですが、もし現在の枠組みの中で当局による取締りを強化するということですと、事務局説明資料の13ページの主な御意見の下のほうの2つ目の記載には、共同保有者に該当するか否かが合意の有無で判断されていることが立証の困難性を生じさせているということが示されていて、実際に平成22年、23年の執行事例を見てみたところ、共同保有者に関わる事案が相当数ありました。すなわち、共同保有者が処分あるいは取得したことによって株券等の合計数が変わって、大量保有報告者になって報告義務が生じたとか、1%の保有割合の増減があって報告事由が生じたといった事案で、それにもかかわらず法定の提出期限までに提出していないとか、誤った保有情報を記載しているといった事案でしたので、もし現在においても、執行のハードルになっている要因の1つに、こうした事案のような共同保有者が関わっていてその立証が困難であるということがあるならば、共同保有者の要件をより明確化する方向で考えてもよいように思います。また、報告義務者自身の提出遅延や誤記載も、共同保有者の範囲が不明確であることに要因があるのならば、この点においても共同保有者の要件を明確化することが望ましいのではないかと思いました。

     そして、もう一つの実質株主の透明性ですけれども、誰のためにこれが実現されるべきかによって制度も変わってくると思うのですが、もしも会社にとって必要だから明らかにするということであるのならば、これまでのご議論のとおり、英国の制度のような形になると思います。ただし、その場合も、事務局説明資料17ページの主な御意見の最後に示されているとおり、実質株主には義務を課すだけでなく、株主総会への出席等、株主としての権利が認められる上でハードルがあるならば、当然それらはクリアされるべきだと思います。

     他方、会社にとって必要であるからではなくて、投資家にとって必要であるという理由で実質株主の開示を求めているのが米国であると思うのですけれども、そういった場合には、米国のForm13Fのような形で開示をするというのはあり得ると思います。

     このForm13Fは、米国の連邦の証券取引所法の13条f項に基づいて報告が求められるもので、この証券取引所法13条というのは、継続開示書類を要求する規定で、具体的には、日本の有価証券報告書に相当する年次報告書の提出が13条a項で求められたり、先ほど出てきました大量保有報告書も13条d項で求められるといった形で、継続開示の一環として、投資家にとって重要な書類として、有価証券報告書も大量保有報告書もForm13Fも提出が求められているということだと思います。

     では、米国でForm13Fによる開示をさせることよって、どのような利益が投資家にとってあると考えられているのかというと、例えば、エンゲージメント、株主提案権の行使、投資家によるクラスアクションの提起といったことが挙げられているようです。すなわち、この13Fの情報を使うことで、これまでの議論でも出てきましたけれども、エンゲージメントを通じて会社と株主との間の直接的な協力関係を構築しやすくなり、また、株主同士の間でも、株主提案権や議決権行使の際に協力しやすくなり、具体的には、株主提案を行う株主が自分の望む結果を出すために闘いやすくなり、また、投資家が会社の出した開示書類に虚偽があったと言って会社やその役員を訴える、民事責任を追及するといったクラスアクションを提起する際にも有用であると考えられているようです。

     米国で考えられているこれらの利点は、我が国においても全く妥当しない話というわけではないのではないか。もっともクラスアクションはありませんけれども、金融商品取引法上、会社役員、発行会社に対して損害賠償請求を起こすというときに、原告をつなぐために13Fのような情報が有益であるというのは、米国同様にも考えられるのではないかとも思います。このように投資家のための開示と捉えるならば、米国のようなアプローチもあり得るのではないかというふうに思った次第です。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、石綿委員、どうぞお願いいたします。

    【石綿委員】
     まず、重要提案行為の範囲でございますけれども、企業と投資家の実効的な対話を促進するという観点で、重要提案行為の範囲を見直すこと自体は結構かと考えております。特に、重要提案行為の列挙事由の中には、支配人その他の重要な使用人の選解任、支店その他重要な組織の設置など、必ずしも会社支配権に影響を与えないものも含まれておりますので、一定の見直しの必要性は認められると思います。

     そもそも、この大量保有報告制度の趣旨は、大量の株式の運用に関する事実が会社支配権や株式の需給関係に影響を及ぼすことを踏まえて、これを開示することにより市場の透明性・公正性を高め、投資者保護を図るというところにあると理解しております。

     私はこのうち特に会社支配権に影響を及ぼすという点が重要であると考えておりまして、今回、特例報告制度を見直すことにより、会社支配権に影響を及ぼし得る株式の大量保有に関する事実が開示されないというようなことにはならないように、バランス感のあるご対応をしていただく必要があるかと思っています。

     先ほど、欧米の特例報告制度の要件というものについてのご説明をいただきましたけれども、米国では、会社支配に変更・影響を与える目的・効果が、英国では、経営介入のためか否かが、ドイツでは経営に影響力を与えるために議決権行使等をしないことを保証するか否かなどといった基準が用いられております。つまり、そもそもどういう趣旨で特例制度があるのかという、その趣旨から基準を設定しているわけでして、日本においても、グローバルスタンダードの要件と同様に要件を定めていかれたほうがよいと思っています。少なくとも、これらのグローバルスタンダードの例と比較して情報開示の量が劣後することがないようにして頂きたいと思います。

     実務的には、個別列挙方式で具体的に規定してしまいますと、いろいろな読み方をして潜脱することができてしまうことになります。期限を設定してというふうに言えば、期限を設定しないで、事実上期限が生じるような形で話をしていけばいい話でございまして、そのような要件は簡単に潜脱できてしまいます。支配権に影響がある場合を全部カバーしようとして多くの個別列挙を行うと、過剰規制になってしまうというようなところもありますし、逆に過剰規制にならないように個別列挙を控えめにしますと、容易に潜脱がなされて支配権に影響がある場合の情報開示の量が劣後することになります。そのため、私は、多少抽象的であっても、この制度の趣旨に基づく要件を設定していくのがよいと思っております。具体的には、会社支配権という基準を使っていくことで合理的な予測可能性を確保しつつ、潜脱を許さないような基準としていくのがよいと考えております。

     続いて、共同保有者の範囲ということですけれども、協働エンゲージメントを行う際に、共同保有者の解釈の不明確さが支障になっているという指摘がなされておりますが、私は、そもそもその前提自体が正しいのかということについて疑問を持っております。現在の共同保有概念は合意を基軸に組立てられておりますので、その合意があるかどうかというところを見ていけばいいわけですから、特に不明確な概念ではないように思います。

     加えて、共同保有者概念というのは、公開買付規制における特別関係者概念と同様の概念を用いているわけでして、共同保有者概念を変更するということは、公開買付規制の特別関係者の概念にも影響を与えてくる可能性もありますので、その点も踏まえつつ要件を考えていく必要があると思っています。

     なお、私自身は、会社支配権に影響を与えるにもかかわらず、合意が存しないということを理由に共同保有者としての開示を避ける動きがあることから、共同保有者に該当するために合意は必ずしも必要でないとしつつ、協働エンゲージメントについての例外措置を設けるという方向にすることもあり得る対応ではないかと思っております。

     続いて、デリバティブの取扱いということになりますけれども、先ほど申し上げたような大量保有報告制度の趣旨を考えますと、会社支配権に対する影響力に関する情報開示という観点から、SEC規則改正案のように、一定のエクイティ・デリバティブ取引のみ適用対象とするのでよろしいのではないかと考えております。

     続きまして、大量保有報告制度の実効性の確保の論点に移りたいと思います。私も法制度がある以上遵守させることは必要であると考えております。この問題については、一定の合理的な要件を設定した上で、その要件を満たす場合には議決権行使を差し止めることを可能とするという制度設計が本来的には望ましいと考えております。

     それ以外の方策としては、大量保有報告制度違反を行った者による公開買付けを差し止めるという制度がよろしいのではないかと考えております。大量保有報告書の提出遅延の中にも、うっかりミスのケースと確信犯的なケースがあるわけでして、特に確信犯的なケースについてしっかりと捕捉し、規制ができると望ましいと考えております。一番問題となるのは、大量保有報告書を提出しないでおいて、その後、突然、公開買付けにより会社支配権を取得する具体的な行為に移るようなケースだと思います。そのような行為を防止していくために、公開買付けの差止制度を新たに設けまして、その差止事由の中で、買付者が買付けに先立って大量保有報告制度の違反をしている場合には、一定の要件の下に差止めを認めるといったような対応が望ましいのではないかと考えております。

     それから、今の日本の大量保有報告制度は、保有目的や重要な契約の記載内容や記載の水準にかなりばらつきがございます。今回の改正を機に、その記載内容を一定の方向に誘導していくことが望ましいと思います。また、今の我が国の大量保有報告書に含まれる情報は、必ずしも十分ではなく、米国などと比較しても非常に情報が限定されているという印象を持っております。記載上の注意事項なども改めて見直しまして、より情報開示が充実化するような形にすることができたらよいのではないかと思います。

     最後に、実質株主の透明性の話ということになります。私はこれに関しては、英国型を基本として、最終的には法改正をしていくのが望ましいと考えております。米国型の場合、機関投資家に過度な負担を課さないようにするために、一定の金額基準を設けることになると思いますが、日本では小規模な上場会社が多いですので、一定の金額基準を設けてしまいますと、小規模の上場会社の実質株主が結局判明しないことになると思います。

     したがいまして、英国型をベースに法改正を経ていくのが望ましいと思います。法改正に先立って、スチュワードシップ・コードによる対応を行うということも賛成です。米国型を併せて入れるという考えがあることも承知はしておりますが、その場合、投資家が、日本株に投資をすることに伴うコストを負担に感じることはないのか、慎重に検討する必要があると思っています。

     以上でございます。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、桑原委員、どうぞお願いいたします。

    【桑原委員】
     まず、重要提案行為の範囲でございます。既にいろいろな方がご指摘されたように、スチュワードシップ・コードで求められるような対話や実効的なエンゲージメントを行いやすくするという観点は重要だと思いますので、それを視野に入れた見直しというのはぜひ進めていただきたいと思います。

     一方で、投資者に対して必要で正確な情報が迅速に開示されることで市場の透明性を確保する、高めるという制度趣旨もございますので、そのバランスをどう取っていくのかをよく考えなくてはいけないと思います。

     幾つか例にあげられていた、スチュワードシップ・コードの受入れを既に表明し、また公表を行っている機関投資家が、公表している方針に基づいてエンゲージメントを行っていくというものについては、マーケットに対して必要で正確な情報が迅速に開示されるかどうかという観点でみると、既に公表されている方針に基づいてのエンゲージメント活動なので、これが特例報告の対象になるということは確保してもよいのではないかと思います。

     一方で、どういう場合に重要提案行為として特例報告の対象にしないかというと、なかなか線引きが難しいなと思いますが、もともと平成18年の改正で、事業支配目的の認定が難しい、特に主観的な目的が入ってくるとその認定が難しいということで制度改正が行われたということも勘案すると、提案の目的というところから規律するのではなく、態様、あるいは態様と内容の組合せで規律をしていくのがいいだろうと思います。

     また、取締役会に対して書面で提案を行わないといった案については、簡単に潜脱されないように、もう一工夫必要なのではないか、単なるディスカッションや説明を求めるということでなく、応じなければ株主提案をする、キャンペーンをする、買い増しをするといったものとセットで強要をしていくようなもの、そういう形態をうまく定義していければいいのではないかと思っております。

     続いて、共同保有者の範囲でございます。共同保有者の範囲は、合意の有無で判断するという枠組みは維持しないとなかなか難しいのではないかと思っております。共同保有者の範囲が変更になると、公開買付規制との関係でも影響が出ますし、また、大量保有の報告をする義務、開示の義務と責任を負うということになりますので、そういう責任を負わせるという意味でも、やはり合意というものをベースにするという枠組みは維持したほうがいいのではないかと思います。

     ただ、一方で、黙示の合意がどこまで入ってくるのかが分かりにくいところもありますので、この点はガイドライン等を含めてもう少し明確化していくような工夫はできないかと思っております。

     それから、主な御意見の3つ目に、継続的でない個別の事項に関する合意を除外すべきという御意見がございますが、個別の合意だと言って逃れられるということになると、潜脱的なことがおこるのではないかが懸念されますので、潜脱を許さないように慎重に規律を考えていく必要があるのではないかと思います。

     続いて、デリバティブの取扱いでございます。確かに会社支配に変更・影響を及ぼす効果・目的を有するようなものがあるのであれば、そういうものを大量保有の適用対象とするということは市場の透明性を高めるのではないかと思いますが、一方で、デリバティブ取引は、高度化、複雑化が進んでいて実態をつかみにくいという面もあるように思います。

     例えば、複雑な仕組みの中で、一定の場合には現物引渡しが入っているかもしれないなど、本当に画一的に決められるのかというところもございますので、もう少し実態を調査して、実態に応じたガイドラインやQ&Aを整備していくことも御検討いただければと思います。

     続いて、実効性の確保でございますが、議決権の停止を求めるというよりは、まずは、当局による課徴金納付命令の強化を図るということが重要ではないかと思っております。現状、課徴金納付命令がほとんど出ていないという実態があるということですが、課徴金納付命令があまり課されていない実態にあるというのはどうしてなのか。大量保有報告の提出遅延も、その理由はかなりばらつきがあって、本当に形式的なミス、エラーから、意図的なものまでありそうですが、例えば、形式的なミスに対しての課徴金の重さとのバランスが悪いという状況にあるのであれば、課徴金を課す要件をもう少し整備をするなりして、一定のカテゴリーのものはしっかり取り締まるというように制度の立てつけを含めて検討していくことが必要ではないかと思います。

     それから、次の大量保有報告に関するその他の指摘は異論ないところでございまして、ぜひ事務局説明資料14ページに記載されているような方向で進めていただきたいと思っております。

     特に大量保有報告書の記載内容については、事務局説明資料14ページに書いてあるところも含めて、かなり技術的なところもあったり、あるいは、財務局の対応も分かりにくいといった話も聞きますので、記載上の注意やQ&Aの中で明確化を図っていく、実務の指針をしっかり出していくということで明確化を図っていただくように対応をお願いしたいと思います。

     それから、最後に、実質株主の透明性についてでございます。こちらは、私も基本的には発行体にとって実質株主を把握することは非常に重要だと思いますので、方向性としては、英国型のように大株主の状況を把握できるような制度を取り入れていっていただきたい、そして、そのための会社法の改正も含めて、検討を進めていただきたいと思っております。

     一方、そんなに簡単に会社法改正が行われないという間、スチュワードシップ・コードを含めたソフトローで対応していくということについては賛成でございます。引き続き検討が進むといいなと思っております。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     1点御質問というか、課徴金の件数が少ないのはなぜでしょうかという御意見があったと思うのですけれども、事務局からもしコメントがあれば、お願いできませんでしょうか。

    【谷口企業統治改革推進管理官】
     今御質問のありました、大量保有報告書の提出遅延の発生件数が多いことに対して課徴金納付命令の発出件数が少ない理由はどのように考えられるかというところでございます。こちらにつきましては、その時々の各事例における判断にもよるところでございまして、一義的に明確な理由が掲げられてはいないところと思ってはおります。その上で、私が推察しますには、事務局説明資料12ページにも掲載させていただいています「提出遅延の主な理由」から鑑みますと、大量保有報告書の提出遅延者には個人投資家の方々等も多く含まれている中で、法令の不知であったり、EDINETの操作不慣れを理由とした遅延等はある程度やむを得ないというところも1つ要因になっているのではないかというふうには推察はしております。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     続きまして、齊藤委員、どうぞお願いいたします。

    【齊藤委員】
     本日の議論は、会社の支配や経営に直接影響を与えないような証券取引やエンゲージメントを萎縮させないようにしつつ、会社経営の介入を目的とした隠れた大量取得について、大量保有報告制度等で適切に捕捉するにはどうしたらよいかという、難しい課題を扱っているものと拝察いたします。

     まず、特例報告の適用範囲を画する重要提案行為につきましては、特例報告制度の制度趣旨に照らして線引きをすることになろうかと思います。欧米の制度を見ますと、支配権や経営介入を目的としているかどうかで線引きされているように思われまして、我が国も同じような考え方によるのであれば、そこに焦点を絞った制度の立てつけにしていくのが望ましいと思います。

     現在の重要提案行為が設けられた法改正時に、やや広く重要提案行為が列挙される形となったわけですけれども、例えば、会社法362条4項の取締役会の決議事項に当たるようなものも挙げられておりますところ、このような事項というのは、会社法上のガバナンスの観点から、代表取締役に決めさせるのではなく取締役会に決めさせるべきであるという観点から規定されているものなので、会社の経営への介入に該当しうるかどうか、という大量保有報告書の制度趣旨に照らして、必要かつ十分な範囲を捕捉しているとは必ずしも言えず、どちらかというと広過ぎるようも思われます。

     他方で、既に御議論のあったとおり、提案の内容で範囲を画するのは難しくて、提案の内容次第では会社の経営方針に大きく影響を与えるようなものもございますので、行使の仕方、態様も組み合わせ、態様だけで重要提案行為となるものもあれば、内容と態様を組み合わせて重要提案等になるようなものもあると思いますけれども、基本的には態様も考慮していくべきではないかと思います。

     提案の目的につきましては、実際には目的が大事であるとは思われますが、これまでの規律の運用に照らしても、目的を外部から客観的に特定していくことは非常に難しいように思われますので、目的による適用対象の確定には多くを期待しないことが望ましいのではないかと思います。

     共同保有者の概念については、一般報告の制度趣旨を何と考えるかについてと関わっていると思います。一般報告の制度趣旨につきましては、証券の需給に係る情報の充実という側面と、会社支配に関わる情報の充実とどちらを重要視していくのかということで、共同保有者の概念の画し方というのも変わってくるのではないかと思われますが、基本的には支配のほうを重視することになるのではないかと思われました。

     デリバティブの取扱につきましては、同じ効果をもつが法形態がことなれば適用対象外となるという結果をもたらすべきではないところ、デリバティブの仕組みはどんどん発展しているところでございますので、今回の改正で完成されたものを用意するというより、実務の発展に合わせて、その都度、潜脱になるようなものを適時に捕捉していく仕組みを設けるのが望ましいように思われます。実際、デリバティブを通じて大量保有を意図的に隠し、突然株主として現れるというような支配権の取得の在り方は、欧米でも問題になっているというように聞いておりますし、我が国においても共通の課題であると思われまして、一定の潜脱防止は必要なのではないか。
     最後に、実質株主の探知の方法でございますが、私も、この点は、株主と会社との間のエンゲージメントの充実のため、特に会社のほうから実質株主にアプローチしていくためのものということを前提とした議論であると捉えておりましたので、そのような制度であれば、基本的には会社と株主、あるいは、場合によっては会社と仲介業者との間に関する規律として、会社法の改正等によっていくものではないかと理解をしております。

     それに対して、投資家一般にこのような実質株主情報を広く知らせる必要があるという話につきましては、投資家としては、他の投資家の行動について情報があればあるだけ望ましいと思われますが、投資をする当事者の側としては、自分の投資戦略を必要以上に知られてしまいますと、行動の制約にもなってきますので、情報のニーズがあるから出さなければいけないというものではなく、実際の投資行動への影響も含めて、誰にどこまでの情報開示を求めることに正当な根拠があるのか、慎重に検討する必要があるのではないかと思われます。

     実質株主の探索は、マネーロンダリング対策との関係でも問題となりますが、マネーロンダリング対策として必要な背後の実質的な所有者の情報と株主とのエンゲージメントの確保のために必要な情報というのは一致するわけではないので、例えば、実質株主として把握されるべきものが法人でもよいのか、自然人まで探知できる必要があるかなども含め、会社法上、実質株主を探知する制度を設けるとしても、結果として、たまたまその両方に役に立つ形で設計できた、ということはあり得るとしても、まずは、それぞれの趣旨に従って制度設計を検討していくのが望ましいのではないかと思っております。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、飯田委員、どうぞお願いいたします。

    【飯田委員】
    重要提案行為の範囲についてですけれども、これも明確化ないし限定するべきなのではないかと考えています。本日のテーマのキーワードは透明性だと思いますけれども、透明性の理念だけで情報開示制度を設計できるわけではなくて、対立する要素、コストの面にも注意を払って適切なバランスを取って、市場の機能が最大限発揮できるようにすることを目指すべきだと思います。

    各論的には、提案内容について言えば、現行法では会社法の取締役会決議事項を参考にしたような事項が含まれていますけれども、例えば、事務局説明資料7ページの⑤や⑥というのは削除してもいいのではないかと思っております。つまり、重要提案行為等の重要性の概念と取締役会決議事項たる重要な業務執行とをそろえる必然性はないのではないかということです。また、提案の目的や態様による限定がかかるということを法令上も明確化したり、一定の態様は重要提案行為に当たらないということを明確化することも有意義だと思います。
    次に、共同保有者の範囲ですけれども、これは共同保有者の概念が脱法行為を防止して透明性を高めるという規制の趣旨を実効的なものにするという要請と、逆に、共同保有者概念が広過ぎることで協働エンゲージメントを含む株主間の協調行為に対する萎縮効果とのバランスを考慮しながら、この範囲を検討するべきだと思います。
    この観点から、私見では、現在の共同保有者概念、特に共同の株主権行使の範囲については限定するべきなのではないかと考えています。もちろん、支配権を獲得するための議決権行使その他については共同保有の対象にすべきですけれども、支配権に直接関係しない議題についての議決権行使等については対象外にしてもいいのではないかと思っております。

     それから、合意の概念を狭く理解して、この概念で線を引くことを重視するというアプローチもあると思いますけれども、それについては、一方では曖昧さが残ると思いますし、他方では、確信犯的に立証の困難さを突いて規制逃れをする行為を捉え切れないという点で限界もあるように思っています。合意の概念で限定すると、共同取得の行為の類型の脱法をもしかしたらやりやすくしてしまうというおそれすらあるようにも思うところであります。

     協働エンゲージメントの関係では、株主としての議決権その他の権利を行使することの概念を限定したり明確化したりすることで足りるわけでありますから、そうすれば共同取得行為等の類型を捕捉しにくくするというようなおそれもないと思います。

     デリバティブについてですけれども、国際的な市場として発展していくというために必要な市場の透明性を確保するという意味で、欧米の動向と足並みをそろえていくということも重要な考慮要素だと思います。エクイティ・デリバティブ取引にはヘッジの取引が伴うことが多いという発想自体は、欧州や米国の経験に基づくものでありますし、仮に現状で日本でそのような実情が十分ないとしても、海外で起きた現象が日本で今後も起きないと考える理由はないように思っています。

     アメリカのSEC規則改正案がどうなるか分かりませんけれども、少なくとも欧州では投資者にとって必要な情報とされているということは、日本市場でも投資者にとって必要な情報と言える可能性があるように思います。大量保有報告制度については、支配に関する情報と需給関係の情報の両面に配慮した制度でありまして、デリバティブ取引の情報開示についてどの範囲で開示を求めるのかは、このいずれを重視するかで基本方針を決めることになるのではないかと思っておりまして、私見では、支配に関する情報のほうに寄せて設計すべきではないかと思っています。

     実効性の確保については、議決権停止については、過去に論文で書いたこともあるのですが、民事的な救済手段として損害賠償などと並ぶものとして差止めを理解するとしますと、大量保有報告違反という情報開示規制違反状態を回復するということに議決権停止は直結しないので、難しい面があるように思います。

     他方で、サンクションとして刑事罰とか行政罰として議決権停止という制度をつくることは論理的にはもちろんあり得ますし、実効性も期待できると思いますので、日本の制裁法の体系に新しいものをつくるという決断をすればできることで、また、するべきものなのではないかなというふうにも思えるところではあります。

     また、法改正の検討と同時に、まずは課徴金制度を適切に、積極的に運用していくということから始める。例えば、最初に5%を超えて大量保有報告書を出すべきなのに出していない、遅延しているという類型は、そもそも大株主がいるという情報すら開示されていないわけですから悪質であるということで、そういった類型について重点的に処分していくとか、そういったことから検討してはどうかと思います。

     最後に、実質株主の透明性についてですけれども、これについても何らかの制度をつくることには賛成で、この論点も一方では透明性を高め、コーポレートガバナンスの機能をより発揮しやすくするという要請と、他方では、機関投資家を中心にした実質株主にとってのコストのどこでバランスを取るかの問題だと思います。

     会社と実質株主の対話を促進するということに主眼を置くということから出発するとすれば、会社が問い合わせたら名義株主が実質株主の情報を伝達しなければならないといった方向で制度を設計すればよいように思いますので、まずはスチュワードシップ・コードなどのソフトローで働きかけをするということも選択肢になると思いますし、あるいは、業規制で名義株主になる業者にこの点に関する合理的な努力をする義務を課すとか、実質株主の問合せがあれば応じることの合意を得た上でカストディー業務を受託するということを求めるとかもあり得るように思います。

     さらに、会社が把握した実質株主リストは、株主名簿閲覧請求などと同じように閲覧の対象とすることで、投資家間の横のつながりのためにも活用できるようになると思われます。それ以上に投資家間の横のつながりをより低コストで実現するべきだというふうに考えるのであれば、一定以上の規模の機関投資家に情報開示義務を課す米国の制度が有益であるように思います。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、玉井委員、どうぞお願いいたします。

    【玉井委員】
     まず、重要提案行為の範囲についてですけれども、こちらの限定・明確化を図るということについては、賛成です。実際に条文のどこの部分を修正して限定・明確化を図っていくかというところですけれども、内容と目的と態様のうち、やはり態様のところでうまく書き下していくことができたらいいのかなと思いました。特に協働エンゲージメントなど通常のエンゲージメントの実態に即して、そういうものが特例報告から一般報告にシフトするようなことにならないような書きぶりが重要なのかなと考えます。

     規制の対象となる態様としては、これまでの議論を聞いていて、例えば圧力をかける、強要する、あるいは株券等の追加取得を示唆するなど、そういったものと結びつくような行為というのが考えられるのかなと思いました。

     それから、共同保有者の範囲についてですけれども、もともと現行の法制では合意が要件なので、協働エンゲージメントの妨げになっている、あるいは、なるという懸念、それが本当に妥当な懸念であるかというところは少々疑問もなくはないのですけれども、さはさりながら、そこがエンゲージメントの支障になるということであれば、エグゼンプションを明記したらいいのではないかと考えます。

     他方で、これも何人かの委員の方がおっしゃっていましたけれども、明確化をするということに加えて、それとは違った方向の話になりますが、昨今、いわゆるウルフパックのような買い集めに関する問題が生じている。こういうものについて共同保有者を合意ベースで捕捉するということとすると、なかなかその実態を把握しにくかったり証拠をつかみにくかったりというようなことがあるので、そこがすり抜けてしまうことがないような実効性のある、あるいはこれを強化するような改正というのも併せて考えなくてはいけないのかなと思っております。

     ではどうするのかということについては、なかなか難しいのですけれども、基本的には、今のこの合意ベースの規律を前提としながらも、一定の外形的な事実があるものについてはみなし規定や推定規定によって共同保有者とするなど、一定の規定を足し込むというようなことも考えられるのではないかと思いました。

     それから、デリバティブの取扱いについて、改正の方向性としては、海外の制度で米国型と英国型があり、英国あるいは欧州のほうがデリバティブ取引についてより広く大量保有報告の範囲に含むという考え方だと思うのですが、こちらを採用するとなると考えなければいけないと思いますのは、報告書の提出が必要になる範囲が拡大することで、提出する側の投資家にとって過度な負担にならないかという点、それと健全なエクイティ・デリバティブの活用に支障を来すというようなことがないのかという点だと思います。

     そういう意味でいいますと、日本の報告書の内容あるいは記載すべき事項というのは、欧州型よりは米国型に類していて、割と記載事項も多いので、そこのバランスを考えると、本当に必要な、例えば潜脱的、脱法的なものは捕捉しようという考えの点では、SECの改正案の考え方などが参考になるのでないかと思うのですけれども、そういう潜脱的なものは塞ぐといった考え方でデリバティブの取扱いを変えていくというのが1つ考えられるのではないかと思います。

     それから、次に、大量保有報告制度の実効性の確保に関してですけれども、遅延件数に比して課徴金納付命令の発令件数が少ないというお話が先ほどありましたが、証券取引等監視委員会のウェブ上の開示資料によれば、平成18年以降で納付命令の勧告がされたものは平成26年の1件のみと記載されていました。

     基本的には証券取引等監視委員会のほうの調査がなされて、それを踏まえた勧告がされて、その後、課徴金が課される、というように手続は進むと思うのですけれども、勧告が1件であるというところが、調査はなされたけれども勧告に至る事実が確認されなかったのか、それとも、そもそも調査自体がされていないのか、情報がなくて私自身は分からないのですが、昨今の問題事例、割と重大な事例が確認されている中、実効的な手当てができないとすると問題であるということだと思います。

     ただ、参考資料18ページに証券取引等監視委員会も、今期の中期活動報告で、こういう潜在的な大量保有、買付けといった類型のものの事案にも積極的に対応する方針だということを明らかにされているので、この重大事案あるいは悪質事案への権限行使といいますか、厳正な対応といったところに期待をしたいと思っています。

     この大量保有報告制度の実効性確保という観点は、今言ったようなエンフォースメントに関することに加えて、提出遅延のようなものを少なくして適時に報告書を提出しやすくしていくことを含め、制度全体のバランスをよいものにするということも考えられると思います。その観点から、提出するフォームも分かりやすくするなど、義務履行をしやすいものにしていく工夫というのも必要かなと考えています。

     それと、事務局説明資料13ページに記載されていましたけれども、大量保有報告の提出実務に関与する証券会社やアドバイザーといった事業者、いわゆるゲートキーパー的な立場にある方々を通じての制度の周知徹底といったようなことも1つの工夫としてよいのではないかと思っています。

     最後に、実質株主の透明性ですけれども、基本的にこの問題については、発行会社側にとって実質株主の情報が必要であるというところからすると、米国型というよりは英国型のほうが素直なのかなと思っております。

     ただし、これについては、ハードローで入れるということになるとそれなりに時間がかかるであろうということもあるので、その間も対応できることがあればしていくべきというのはおっしゃるとおりかと思っていまして、その意味ではスチュワードシップ・コードに入れるということも1つあると思います。

     あと、直接この問題の解決に資するかどうか分からないのですけれども、大量保有報告書の提出者と株主名簿上の株主というのが必ずしもリンクしていないために、例えば、現在の有価証券報告書の上位株主に関する記載部分では、名義株主についての記載がなされた後に大量保有報告書の提出株主に関する記載が文章で説明されていますけれども、読み手にはとても分かりにくい開示内容になってしまっていると思います。

     例えば、ここのリンケージが得られるだけでも幾分対象会社にとってもベターではないかなと思うので、大量保有報告書の記載事項として、株主名簿上は誰の名義で持っているかといったようなことを記載させるというのも1つ考えられるのではないかなと思いました。もちろん複数の名義で持っているという場合もあると思いますので、そういう場合には複数記載させればいいのではないかなと考えます。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、次に、武井委員、どうぞお願いいたします。

    【武井委員】
     まず、重要提案行為について、「明確化」という言葉と「限定」という言葉と2つ出ていますが、エンゲージメントの重要性は分かるのですけれども、明確化まではいいと思うのですが、明確化を超えて限定まですることは、今の規律を緩めて、資本市場の透明性を後退させることとなるため、私は反対です。

     特例報告制度は既に5%から9.9%もの株を持っている方の話であって、全体のエンゲージメントの数の中でそんなに比率が大きい話ではないだろうと思います。また、例えば9.9%も持っている方がいろいろな提案とか要求をしているというのは、需給情報としてであれ、一般投資家の方にも重要な情報であると思います。

     特に最近は、米国を含めた海外などでも、9.9%を保有している者が提案や要求をしている中で、それが法的にインサイダー情報になるのかどうかはさておき、そういう提案をした者は、個人株主や一般投資家が通常入手できない情報が得られているのではないか、そういう観点で個人株主や一般投資家との関係で不当性があるのでないかという懸念も示されているわけです。

     ですので、こういう形で透明性を後退させることには反対です。また、先ほど、今の規律のままではエンゲージメントがあたかもできないかのような話が多かったのですけれども、私はそうではないと思っており、エンゲージメントができないという問いの立て方にも違和感があります。そもそも、パッシブ運用を行う投資家のかたは大量の銘柄を保有しているわけですけれども、決して全ての保有銘柄の企業と対話するわけでもありませんし、今でも現に、一般報告と特例報告とを混在させた報告体制にされているわけであって、およそ特例報告でないとエンゲージメントができないという問いの立て方に私は違和感があります。

     そういう意味で、一般報告にしたくないから個人株主や一般投資家との関係で資本市場の透明性を後退させてほしいというのは、私はおかしいと思っていますので、明確化まではいいのですけれども、限定はやるべきではないと思います。

     外為法の話も出ていますけれども、外為法の規律は趣旨も全然違いますし、期限を定めて提案をしなければ重要提案行為に当たらないであるとか書面によらなければ重要提案行為に当たらないというのでは本当に潜脱が容易ですので、外為法の記述を参照することには私は慎重であるべきだと思います。

     その意味で、内容、目的、態様と3つの切り分け方が出ていますけれども、今でもこの規律は十分機能していると思っています。しかも、別に欧米でも経営介入などの抽象的な概念によって規制している世界なので、これを明確化する中で限定するというのは私はやるべきではないと思います。海外でも抽象的な概念で規制しているわけですので、現状ではエンゲージメントがあたかもできないというのには私は違和感があります。

     内容に関しましては、⑤の支配人その他の重要な使用人の選解任や⑥の支店その他重要な組織の設置、変更又は廃止といったものを除くことはいいと思うのですけれども、現状、既に日本の資本市場が透明性に関して課題があるのに、明確化を超えて限定するということは、私はこれを行うべきではないと思っています。
     続きまして、共同保有者ですけれども、ここも現状、合意という狭い概念で切り分けされていて、それでも不十分だという議論がある中で、現行法制では協働エンゲージメントが行いにくいということについては、私は根本的に理解ができません。この点もいろいろな前提が誤っている気がしており、現行の合意を要するという基準についてそれをさらに狭めるような、そういう方向での共同保有者概念の限定は私はやるべきではないと思います。

     他方で、事務局説明資料の13ページの下から2つ目の意見にも書かれています、共同保有者の概念に関する合意の推定とか外形的事実によって共同保有者の該当性を判断するという話は私も賛成です。これをもし行う場合には、合意概念の見直しをする過程で出てくる対案がどういうものかを踏まえて、その案が場合によっては協働エンゲージメントに対して何らかの支障を及ぼすのであれば、そこを見直すという形での見直しはあると思います。けれども、合意の概念だけでは狭いという議論もグローバル的にある中で、協働エンゲージメントを理由にさらに共同保有者の概念を狭めるということは、私はすべきではないと思います。

     第三に、デリバティブの取扱いですけれども、いろいろなバランスをみる必要があるかとは思いますが、少なくともエクイティ・デリバティブについても、いろいろな懸念が指摘されていますが、グローバルに欧州や米国でも規制が議論されていて、エクイティ・デリバティブのいろいろな活用の方法があるとはいえ、欧州や米国などの海外で普通に義務付けられている開示について日本だけ後退させることはやるべきではないので、日本だけエクイティ・デリバティブに関して開示が緩いという事態にならないように制度設計すべきだと思います。

     第四に、大量保有報告制度の実効性の確保でございますけれども、事務局説明資料13ページに記載されているような外形的事実に着目して「共同保有者」の該当性を判断することは賛成です。もっとも、議決権停止制度が一番エンフォースメントとしては効果が高いのだと思っています。これは海外で導入されていない国は少なくて、なぜ日本では導入しないのか、私は本当に理解ができません。日本の株式会社の議決権だけ海外に比べて特殊だという事情は何もないわけですので、こういうグローバルな世界である資本市場法制の議論をするときに、日本だけ議決権停止ができないというのは、やっぱりおかしいと思います。

     特に、こういう株式の取得の基本や資本市場の基本のルールに違反して、10%や20%の株式を取得し企業を支配するようなことを放置することのほうが極めて特異であって、欧米ではそういうことを認めてないわけです。

     あと、こういう私的な制裁、議決権停止とか株主権停止のほうが実際の現場でのエンフォースメントとしては一番効くのだと思います。現に日本より後に大量保有報告制度を入れた国では、ちゃんと議決権停止の制度が入っていて、その国ではほとんど大量保有報告違反はほとんど起きてないわけです。ですので、議決権停止を入れるのが一番実効的であって、先ほど申し上げたように、外形的事実に着目して「共同保有者」の該当性を判断して公権力を行使し課徴金を課すことも、もちろん賛成ですが、課徴金という公的権力の行使は、どうしても国境をまたぐ域外適用の観点では限界もあるので、私法的な形でエンフォースメントをしないとやっぱりうまく回らないと思います。

     株主権の停止に関するサンクションがないと大量保有報告違反というのはそんなに簡単に減らないのでないかなという気がしています。

     最後、実質株主の把握のところですが、これは確かに本当に重要な点でして、これも日本だけ入ってない。英国に限らず、欧州は全般的に導入されているわけですけれども、これはまさに日本の資本市場の不透明性の1つの重要なファクターですので、実質株主の透明性を確保する制度はぜひ入れていただきたいと思っています。

     その中で、まさに、いろいろな方もおっしゃっていますけれども、横断的にといいましょうか、いろいろなテーマが入ってくるかと思うので、金融庁さん以外とも連携して横断的に取り組んでいただきたいと思います。あと、この点も大量保有報告制度の実効性確保と同じで、議決権停止を含めた株主権停止までないと実効性がないと思います。

     ですので、スチュワードシップ・コードでやることには賛成ですが、ハードローを含めた議論を同時並行できちんとやっていただかないと実効性が上がらないと思いますので、この点は早急に、いろいろ論点もあるけれども、進めていただければと思います。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、次に、太田委員、どうぞお願いいたします。

    【太田委員】
     我々事業会社側としましても、エンゲージメントの重要性、有用性という部分に関しては、十分認識をしており、経営に関して貴重な意見をいただける機会、かつマネジメントに直接それが響く機会という意味で、エンゲージメントは重要な機会と考えております。特に昨今、SDGsの件などについて、投資家の皆様から客観的な意見をいただいた上で経営に反映していくということの重要性というのは日々認識をしているところでございます。

     その上で、もし仮にそれを萎縮させるような制度があるということであれば、そういった重要な機会を失わせるということにつながりますので、それはぜひ避けるべきと考えております。したがいまして、今日、皆様が御議論なさっていたとおり、透明性の確保であるとか潜脱的行為の防止というものはもちろん大前提ということにはなりますけれども、実質株主の透明性を確保してよりエンゲージメントをしやすくするであるとか、その他本日の議論の対象事項に関しては、より積極的な提言というところがいただけるような制度設計につながっていくということが望ましいと考えております。

     共同保有者の範囲につきましては、我々、公開買付けを実施する際には、特別関係者の範囲は慎重に考えながら進めていくというところがございますけれども、共同保有者の範囲と公開買付規制上の特別関係者の範囲というところには一定のリンケージがあるという御議論が先ほどもございましたが、本ワーキングでのこれまでの議論の結果において、公開買付規制の対象というものが拡大するようなことがあるのであれば、より一層、特別関係者の範囲というところの理解、我々が間違えずにしっかり理解をするということは重要性を増していくものと考えております。

     したがいまして、様々な考慮要素があるとは思いますけれども、いろいろなバランスが取れ、かつ現場でも活用しやすいような分かりやすい内容となることを希望しております。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     これで本日御出席の委員の皆様方、全員の方から御発言をいただくことができました。どうも、貴重な御指摘をたくさんいただきまして、ありがとうございました。

     それでは、オブザーバーの皆様方でもし御発言があれば、ここで承りたいと思います。それでは、日本証券業協会からどうぞお願いいたします。

    【日本証券業協会】
     まず、本日御議論いただいた論点の中には、私ども証券会社からの意見を取り上げていただいたものもございまして、その点、お礼申し上げます。

     事務局説明資料の13ページでは、大量保有報告制度の実効性を確保するために、仲介業者やアドバイザー等に働きかけていくことも考えられると御意見を御記載いただいておりますが、注文を取り次ぐ証券会社としましては、お客様の保有株式数、共同保有者、みなし共同保有者について正確に把握する方法がございません。大量保有報告書の提出の要否は、提出義務が課せられている投資家御自身が確認するしかないというのが実情でございます。

     申し上げるまでもなく、大量保有報告制度の実効性確保というのは市場の透明性・公正性確保のために重要なことでございまして、証券会社としても制度の認知度向上に努めたいと考えております。一方で、個々の投資家による提出義務の履行を担保するといった役割を証券会社に求められましても、それは実務上困難であるという点も御理解いただきたく、念のために申し添えさせていただきたいと存じます。

     最後に、これまでも申し上げておりますが、本日御議論いただいた論点について、具体的な内容を定める際には、実務面におけるフィージビリティも含め、市場参加者や仲介業者とのコミュニケーションを通じて、より実務的に負担が小さい制度となるよう御配慮いただきたく、お願い申し上げます。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、国際銀行協会から、お願いいたします。

    【国際銀行協会】
     国際銀行協会の平山と申します。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。事務局説明資料の10ページについて3点、14ページについて1点コメントさせていただきます。

     まず、現金決済型のエクイティ・デリバティブ取引が大量保有報告制度の対象となる場合、適用対象となる商品及び株券等保有割合の計算方法、すなわち現物株式数への換算方法や分母の取扱い方法など、具体的に、かつ個社でも判断できるように明確な規制案を御検討いただきたいと思います。

     なお、この点については別途事務局とも相談させていただきたいと思っておりますので、その際はどうぞよろしくお願いいたします。

     2点目ですが、誤解を生まない報告体制が構築されることを希望いたします。具体的には、エクイティ・デリバティブ取引のロングポジション及びそのヘッジ取引に関わる国内株式の保有者自体が報告義務者となること、また、エクイティ・デリバティブ取引のショートポジションの取引相手となるロングポジションの保有者が報告義務者となることから、投資家に対して誤解を与えることがないよう、報告内容や方法について明確化を図る必要があると考えております。

     また、このような明確化の詳細につきましては、関係者の意見を反映して、実務上対応可能なものになることを希望いたします。

     3点目です。準備期間への御配慮があると大変助かります。適用対象が拡大された場合、変更の内容によってはシステム改修が必要になる場合があるため、公布から施行まで少なくとも半年程度はいただければと思っております。

     そして、最後に、事務局説明資料14ページですけれども、②の記載内容等の明確化については賛成です。報告書を提出しやすくなる環境はとても重要だと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。ほかにオブザーバーの皆様方で御発言はございますでしょうか。特によろしいでしょうか。

     それでは、そろそろお時間にもなっているかと思いますので、この辺りとさせていただければと思います。本日も貴重な御意見を多数いただきまして、本当にありがとうございました。本日の議論を踏まえ、さらなる検討を進めたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

     なお、いつも申し上げていることで恐縮ですけれども、会議の時間というのはおのずから限られておりますので、追加でお気づきの点あるいは追加で御意見などございましたら、ぜひ事務局までメール、電話、その他適宜の方法でお知らせいただけますと大変助かります。よろしくお願いいたします。

     それでは、最後に、事務局から御連絡等がございましたらお願いいたします。

    【谷口企業統治改革推進管理官】
     次回ワーキング・グループの日程でございますが、11月1日の16時から18時半を予定しております。詳細はまた御連絡をさせていただきたいと思いますので、御案内をお待ちいただければと思います。

     事務局からは以上でございます。

    【神田座長】
     どうもありがとうございました。

     それでは、以上をもちまして、本日の会議を終了とさせていただきます。皆様、どうもありがとうございました。
     

    ―― 了 ――

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企画市場局企業開示課(内線:3659、3849)

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