金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第2回)議事録

1.日時:

平成24年4月6日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○横尾企画官

皆様、ご多忙のところ、ご出席いただきましてありがとうございます。第2回ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料を確認させていただければと思います。

まず、野村総研金子様からご提出の資料で、「金融自由化以降の投信マーケットの状況と今後の課題」、それから、メンバーでもいらっしゃいます、ドイツ証券村木様からの提出資料「ウェルスマネジメント事業の現状」、さらに、竹川様からの提出資料、「投資家目線で見た投資信託の現状と課題」、以上3分冊を用意させていただいております。そのほか、ご参考までに、お手元に委員等の名簿をご用意させていただいております。ご確認をお願いします。

○神田座長

資料のほうはよろしゅうございますでしょうか。

それでは、ただいまから、投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループの第2回目の会合を開催させていただきます。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

議事に入ります前に、前回ご欠席であられたメンバーの方々のご紹介を事務局からさせていただきます。お願いします。

○横尾企画官

前回ご欠席であられましたメンバーの方々、座席順にご紹介させていただきます。

まず、沖野眞己様でございます。

○沖野委員

よろしくお願いいたします。

○横尾企画官

川波委員、まだご到着になっていらっしゃらないようですので。河野栄子様でございます。

○河野委員

(一礼)

○横尾企画官

小沼泰之様でございます。

○小沼委員

小沼でございます。よろしくお願いいたします。

○神田座長

どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

また、本日でございますけれども、有識者の方からお話を伺うということで、このワーキング・グループのメンバー以外にお二方に特にご出席いただいておりますので、事務局からご紹介をお願いいたします。

○横尾企画官

座席順にご紹介させていただきます。株式会社野村総合研究所上級研究員でいらっしゃいます金子久様です。

○金子野村総合研究所上級研究員

金子でございます。よろしくお願いいたします。

○横尾企画官

それから、フィナンシャル・ジャーナリスト、LIFE MAP,LLC代表でいらっしゃいます竹川美奈子様です。

○竹川LIFE MAP,LLC代表

よろしくお願いいたします。

○神田座長

どうもありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。

それでは、議事に入らせていただきたいと思います。お手元の議事次第にございますように、本日は、投資信託の位置づけや我が国の投資信託市場における運用会社及び販売会社のあるべき姿について、お三人の方からプレゼンテーションをお願いしたいと思います。

今ご紹介いただきましたけれども、まずは金子さん、それから、当ワーキング・グループのメンバーでもいらっしゃる村木さん、そして、3番目に竹川さん、こういう順番でプレゼンテーションというか、お話をいただきたいと思います。その後でございますけれども、順番といたしましては、まず、オブザーバーの皆様方からご意見をいただく。その上で、メンバーの皆様方から自由討議をしていただくと、そういう流れで本日の議事を進めさせていただきたいと思います。

お三人の方には、大変恐縮ですが、時間の関係がございますので、プレゼンテーションにつきましては、お一人20分程度ということをめどにお願いできればと思います。

それでは、早速ですけれども、まず、金子様からプレゼンテーションをお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○金子野村総合研究所上級研究員

野村総合研究所の金子と申します。本日はよろしくお願いいたします。

私ども野村総合研究所では、日本の資産運用サービスについて、長年調査しているわけでございますけれども、本日は、その日ごろの調査の中で集めている情報をベースにお話しさせていただきたいと思っております。

やや長い目で見て、90年代後半以降の投信マーケットの状況の変化とその要因について、お話しさせていただきたいと思っております。その上で、投資信託の課題というところで、考えているところを述べたいということでございます。

早速なんですけれども、2ページ目のほうをごらんいただけますでしょうか。こちらには97年以降の公募投信の残高をグラフとして描いてございます。97年から2011年まで、公募投信の残高としては、1.4倍にしか拡大しなかったわけでございますけれども、内容がさま変わりしていると考えております。つまり、日本の公社債投信だけで運用する、いわゆる公社債投信の残高が減少して、価格変動リスクの大きい資産で運用し、いつでも購入可能な投信の中の投信と言えるような「追加型株式投信」の残高が拡大しております。この間、追加型株式投信の残高は、5倍に拡大したということでございますので、これは評価に値するんじゃないかと考えてございます。

その残高の拡大要因について、3ページ目のような図で整理してございます。もちろん外部環境の変化ということがあるほかに、投資家の需要の変化ですとか販路の拡大といったところ、これはよく指摘されているところだと思うんですが、それ以外に、製造側の供給能力の拡大といったこともつけ加えて、4点ぐらい、主な原因として挙げられるんじゃないかと考えております。以下では、順を追って振り返ってみたいと思います。

5ページ目をごらんいただけますでしょうか。こちらは金利の話でございますけれども、ご存じのとおり、90年代の中盤以降、預貯金金利が低下しておりますけれども、実際の受け取りベースで見ますと、その影響が個人の方に及び始めたのが2002年以降ではないかと考えております。5ページ目の右側のほう、これは個人から見ますと、受け取りベースの預貯金金利、預貯金利息ということになってくると思うんですけれども、2002年以降、急速に減少しているという様子が伺えると思います。

次に高齢化の問題でございますけれども、6ページ目でございますが、ご存じのとおり、現在の投信のメーンのお客様というのは60歳以上の方々と言われております。その60歳以上の方々の人口が、97年から2011年まで、5割も増加しております。これが投信マーケットの拡大に大きな影響を与えたことは間違いないと思います。

ただ、つけ加えますと、今後のことを話しますと、60歳以上の人口の増加というのは、今後は鈍化すると言われています。特に投信のメーン顧客の中でも中心と考えられます60歳から79歳ぐらいの層で区切って見ますと、2015年以降には減少すると言われております。投信マーケットの拡大というのは、今後、なかなか持続しにくい環境に置かれているのかなと考えられると思います。

さて、需要の変化ということで8ページ目でございます。低金利や高齢化のもとで、基準価額に対する分配金の割合、いわゆる分配金利回りが預貯金の金利などに比べて高いと言われてきた毎月分配型が注目を集め始めました。実際、8ページの右のグラフは残高の推移でございますけれども、2002年以降、毎月分配型の残高が急増している様子が伺えます。これは低金利ですとか、人口の高齢化という環境に見舞われると、毎月分配型のような投資信託の残高が増えるというのは、どうも日本だけではないようでございます。9ページ目と10ページ目をごらんいただけますでしょうか。お隣の韓国や台湾でも、やはり同じように、高齢化ですとか、金利が過去に比べて低くなってきているわけですけれども、それにしたがって、毎月分配型のようなファンドが増えてきまして、今現在、直近では、残高の2割以上を毎月分配型が占められているということが言われているようでございます。

11ページ目、日本の毎月分配型に戻りまして、毎月分配型の中で、各運用会社が多様なインカム源泉を提供する試みの中で、運用対象が多様化してまいりました。当初、毎月分配型としては、海外債券に投資するタイプが中心だったわけですけれども、2005年ごろから、海外の株式ですとか不動産投信、あるいは複数の資産に投資するタイプ等、さまざまに多様化していったわけでございます。毎月分配型の投資対象の多様化自体が、追加型全体に波及いたしまして、特に海外へ投資するファンドの残高が大きく拡大したということもございます。これによって、投信を経由して、個人の海外投資が一挙に進んだということが言えるんだと思います。

12ページ目には、そのインカム源泉の多様化の一つの例として、通貨選択型のようなファンドも増えたという話でございます。

13ペーシ目でございますけれども、毎月分配型の特徴ということで挙げております。毎月分配型を購入する人は、多少基準価格が変動しても保有し続けると言われておりました。実際、左のほうのグラフを見ていただきますと、2008年までは毎月分配型の解約率は、他の投資信託より低く、アメリカの投資信託とほぼ同等、もしくはそれより低いという状況でございました。ところが、2009年以降、毎月分配型の解約率は上昇しております。この理由は、ファンドの基準価額、価格変動が大きくなったこと、それから、既存ファンドの中で減配するファンドが大きくなったことが挙げられるんだと考えております。したがいまして、仮にそうだとすると、基準価額が以前のような水準に戻り、減配するファンドが少なくなるのであれば、毎月分配型の解約率は以前のように再び低下する可能性があるんじゃないかと考えております。

それから、14ページ目、いわゆる分配金利回りが年々上昇してきたという話でございます。左のグラフが、毎月分配型の平均的な分配金利回りでございます。毎月分配型投信の中には、毎月の投資収益を超える額を分配しているファンドも見られるわけでございます。このような状況が長く続きますと、ファンドの運用そのものは収益を上げたとしても、基準価額は下落していくということになってきます。実際、毎月分配型の平均的な価額ですとかトータルリターンを示す指数をとってみますと、毎月分配型のトータル収益を示す指数は2009年以降横ばいなんですけれども、基準価額の水準の推移を示すような基準価額指数自体は下がっていく様子が伺えるわけでございます。

続きまして、15ページ目でございますけれども、分配金利回りが売れ筋を決めるという現象が見られるようになってきております。カテゴリー単位で見ましても、15ページ目の左右のグラフを見比べていただきますと、その時々で分配金利回りが相対的に高いファンドへの資金流入が集中しているということが見てとれるわけでございます。

ところが、そんなに注目される分配金でございますけれども、分配金に関しては、正しく理解している投資家が少ないということが言われているようでございます。16ページ目でございますが、投資信託協会のアンケートによりますと、支払われた額だけ基準価額が下がると正確に理解している人は、わずか17%ということでございますので、これはよく問題視されているところでございます。

続いて、運用のアウトソースの解禁によって、商品製造側の供給能力が高まったというお話でございます。18ページ目でございますが、投信法の改正ですとか協会ルールの変更によりまして、2000年にかけて運用のアウトソースが可能になっております。具体的に運用のアウトソースというのは、図にございますように、2タイプございます。運用の外部委託ですとか一任と言われているようなタイプと、それから、ファンド・オブ・ファンズというようなタイプ、2つあわせて、ここでは運用のアウトソースと呼んでおります。運用のアウトソースをする側にとっては、外部の運用ノウハウを活用して、より柔軟に商品提供が可能になったというふうに考えられると思います。

19ページでございますけれども、運用のアウトソースを利用するファンドの場合でございますが、日本の運用会社の役割と海外の投資顧問の役割を図にしたものでございます。日本の運用会社、ここでは日系運用投信会社と書いてございますけれども、日系投信会社は有価証券の売買に関する判断を除く商品企画から開発、品質管理、それから、マーケティング、お客様のケアといったところまで、さまざまな役割を担っているわけでございます。

これに対して、運用のアウトソースを請け負う海外の運用会社の経営者の中には、日系投信会社による設計ですとか品質管理、マーケティング等に関する質の高いオペレーション、これを利用できるから、日本の運用ビジネスに安心して参入できているんだというように評価する意見は、よく聞いております。

20ページ目でございますけれども、そのアウトソースの状況でございます。日系投信会社の運用残高の中で、最大で見積もりますと約6割、金額にして25兆円が海外の運用会社に委託されているわけでございます。日系の運用会社からアウトソースを受ける海外の運用会社の数自体も、非常に多数に及んでいるということでございます。投資家は日系の運用会社のファンドを通じて、世界中のさまざまな運用会社のサービスを間接的に利用しているということが言えるんだと思います。

21ページ目でございますけれども、運用のアウトソースをしている投信の残高が拡大しているというお話でございます。左側のグラフでございますが、直近では、追加型株式投信の約7割に達しているということでございます。カテゴリー別に見たのが21ページ目の右側でございますけれども、海外株式型、海外債券型、あるいは海外のREIT型、あるいはバランス型など、海外の有価証券に投資するタイプで、運用のアウトソースが多く用いられております。日本の運用会社からしますと、運用のアウトソースを利用して、個人の海外投資ニーズに対応してきたと言えるんじゃないかと思います。

ちなみにでございますけれども、22ページ目には、日系の投信会社にしましても、戦略的な分野と位置づけているアジア株の運用に関しては、自前で内製化しようということで動いております。

23ページ目でございますけれども、運用のアウトソースの進展とともに、運用のアウトソース先への報酬を含む実質的な信託報酬が上昇してきたというお話でございます。23ページ目の左側のグラフが、実質信託報酬の残高加重平均をとったものでございます。確かに上昇しております。ただ、よくよく見てみますと、信託報酬がもともと高いタイプの残高が拡大したために、平均値が上がっているように見えるということでございます。23ページ目の右側のほうには、カテゴリー別に信託報酬の変化を示したものでございますけれども、上昇しているカテゴリーもあれば、下落しているカテゴリーもございます。おおむね、ざっくり言って横ばいじゃないかと考えております。実際、正確に、実質信託報酬の上昇を要因分解したのが24ページ目でございますけれども、こうやって分析いたしましても、同じ分類で信託報酬が上がったということはとても言えない。むしろ残高の変化によって変わったんだということが言えるということでございます。

25ページ目は、実質信託報酬が上昇しているのにもかかわらず、投信会社にとっては公募投信の本数ベースで言って8割が赤字だというお話でございます。私どもが投信会社にアンケートをとって分析したところによりますと、投信1ファンドを1年間運営するに必要なコストの大雑把というのは4,200万ちょっとということでございます。この4,200万ちょっとの金額を上回る運用報酬を上げているファンドは、25ページ目の右側でございますけれども、2割に満たないということで、残りの本数ベースで言って8割が赤字だということが指摘できるということでございます。

それから、27ページ目以降が販路の拡大の話でございます。言うまでもなく、投信窓販というのを上げざるを得ないわけでございますけれども、その投信窓販の残高の拡大の様子は、27ページ目に示したようなことでございます。非常な勢いで拡大していったということがわかるとともに、直近のシェアは、ほぼ5割ということでございます。

それから、銀行窓販における特徴を上げたのが28ページ目でございまして、銀行窓販における投信の解約率は低いという話でございます。ところが、足元を見てみますと、2010年ぐらいから、銀行においても、投信の解約率というのは徐々に上昇している傾向がございます。

それから、28ページ目の右側のほうには、商品構成が追加型株式投信全体とは異なっているという様子を書いてございます。窓販開始当初から2004年ごろまでにかけて言いますと、海外債券型ですとかバランス型の割合が多かったということが言われております。それから、現在でも、例えば通貨選択型の割合が少ないというふうに言われております。当社の推計では、通貨選択型というのは、追加型株式投信全体では17%の残高を占めているわけでございますけれども、こと銀行窓販に関して言いますと、残高ベースで、わずか7%を占めるに過ぎません。

それから、銀行窓販とは別に、29ページ目、DC、確定拠出年金というチャネルも新しく誕生したということも、チャネルの拡大の一つということが言えると思います。ただ、確定拠出年金向けの投信残高ということを取り上げてみますと、実は残高はわずか2兆円に過ぎません。株式投信全体からすると、約3%ということでございまして、ポテンシャルはあるんだと思いますけれども、実績としては、今のところ2兆円に過ぎないということでございます。

確定拠出年金向けの投信の特徴でございますけれども、30ページ目でございます。DC向けの商品構成は一般の商品とはちょっと違うようだということで、左側のほうに書いてございます。具体的には、毎月分配型がないですとか、残高が特定のカテゴリーに集中していない、あるいはパッシブファンドが多いということが挙げられます。

それから、右側のほうは、DC向けに専用に設定されたファンドが大半を占めているということでございます。DC専用ファンドの手数料が安いですとか、あるいは、DC専用ファンドの解約率が、昨年のケースで言うと、0.6%と非常に低くなっているというのも特徴として挙げられると思います。

31ページ目のほうには、解約率が低いこともあってということではございますが、DC向けの専用ファンドにおける残高上位の顔ぶれを見ますと、年を経過してもあまり変わらないということでございます。したがいまして、DCの残高が、今後一層増えていきますと、日本の投信マーケット全体としても、解約率が低くなるですとか、ロングセラーファンドも生まれやすくなるということが言えるんじゃないかと思っております。

それから、他のチャネルということでは、インターネットで投信を販売するインターネットチャネルですとか、直販専用の投資信託というのも、徐々にではございますけれども、残高が拡大しております。販売業者のことを触れましたので、33ページ目には、販売手数料についても一言つけ加えさせていただいております。販売手数料も、ここ数年、上昇してきております。販売額加重平均をとってみますと、33ページ目の左側のように上昇しております。しかし、これも信託報酬の場合と同じように、詳しく見ますと、どうも同一タイプのファンドで販売手数料が上昇しているということは必ずしも言えないようだということでございます。

34ページ目以降にお話を移らせていただきますけれども、このように投資信託というのは、追加型株式投信にしますと、97年から5倍に拡大したわけでございますけれども、その投資信託が個人の資産運用に役立ったのかというお話でございます。

まず、35ページ目のほうには、その投資信託をどれぐらいの方が持っていらっしゃるのかということを、投信を持ってらっしゃる方の割合、100人いて何人いるかという比率で見たものでございます。足元を見てみますと、2009年の少し古い統計になってきますけれども、10人に1人に過ぎません。非常に少ないということでございます。ただ、その割合の変化を見てみますと、97年から2009年までの12年間で、8%から10%に拡大しているということ。それから、地域別に見ても、さまざまな地域で増加しているということが言えると思います。

36ページ目には、年齢階層別に投信の保有者の割合を見たものでございます。2009年までの10年間の間に、60歳代、あるいは50歳代、あるいは40歳代の男性では、投信を保有する人の割合というのは増えております。ところが、残念なことに、20代の男女、30代の男女、それから、40代の女性、現役世代の中でも比較的若い層と言えるんでしょうか、若年層の保有があまり伸びていない、ないし低下しているということが言えるんだと思います。

それから、ファンド自身の運用がどうかということでございますけれども、37ページ目でございます。市場指数に負けるアクティブ・ファンドも結構多いというお話でございます。37ページ目のほうには、TOPIXをベンチマークとする国内株式ファンドの収益率の分布を示してございます。TOPIXとファンドの収益率の分布の散らばりを示したものでございますけれども、ごらんいただきますように、TOPIXに勝っているファンドも、負けているファンドもあるわけでございますけれども、時期によって、その出方も随分異なっているようでございます。時期によっては、極端に負けているファンドが多いということでございます。

例えば、2009年から2011年、この3年間に関して言いますと、TOPIXに勝っているファンドは88本中77本と多いわけでございますけれども、その3年前、2006年から2009年を見ますと、82本中20本しか勝っていないということが言えます。さらに、38ページ目のほうには、投資家が市場のトレンドに左右されやすいがために、投資家リターンが低くなっているというお話でございます。投信の場合、相場の上昇とともに購入額が増えて、結果として、相場のピークに購入が集中するということがございます。そのために、投資家リターンがファンドのリターンを下回る傾向がございます。投信の運用力を十分享受できていない人が多いということだと思います。

38ページ目の右側には、少し古い分析なんですけれども、2003年の9月までに私どもがまとめたものでございますが、国内株一般型の分析でございまして、一般型のファンドの平均リターンに対して、そのファンドをご購入いただいた投資家の投資家リターンは、年率で8.5%も低かったということでございます。ちなみに、これは日本に限った話ではございませんで、アメリカでも、ほぼ同じ時期に、同じような結果がまとめられております。

以上、投信マーケットを振り返ったわけでございますけれども、さらに投信マーケットが拡大していくための課題について、最後に述べさせていただきたいと思います。

まず、1点目の課題は、やはりより多くの方々に投信を保有しやすい環境を整えていくということを挙げております。現状では、先ほどお話ししましたように、投信を保有している人の割合が低いですとか、特に現役世代や若年層は資産形成のために利用していない、あるいは、伸びも少ない、全然増えていないということが言えます。そのための対応として、政策的な支援ですとか販売業者の対応、資産運用会社の対応等に分けて考えてみたものです。

まず、政策的な支援に関して言いますと、退職後の生活のための資産形成を支援するという意味で、確定拠出年金の拡充ということが挙げられると思います。それから、退職後の生活に備えるという意識がまだそれほど明確でない若い層、あるいは既に退職された方々も含めて、幅広い方々への資産運用へのインセンティブを感じていただくという意味合いも込めまして、やはり、そういう方々向けの政策的な支援というのも必要ではないかと考えております。

具体的には、人生の大きな出費でございます住宅取得費等のための資産形成が必要であろうと考えています。今でしたら、日本版ISAというのが2014年から考えられていますので、そういう意味合いも込めて、少し拡充するということも考えられるんじゃないかと考えております。これは必ずしも税制優遇のような財政負担を伴うものだけではなくて、資産形成の重要性を訴えかけるような活動を支援するという、あまりお金のかからない手段もあるんじゃないかと考えております。

それから、販売業者の対応でございますけれども、運用サービスへのアクセスを容易にするということで、利用可能なチャネルを多様化するという意味合いでございます。金融機関を利用する際の時間的な制約の多い現役世代向けのサービスを考えた場合には、基本的に必要なことだと考えております。

それから、将来に対する漠然とした不安を持つ方々自体は多いと思うんですけれども、その方々に訴求力を高めるということも、販社の対応として必要かと思っております。これは単に商品説明をしっかりと行うということだけではなくて、運用の目的ですとか目標をお客様とともに考えるコンサルテーションの重視ということが大事だと思っております。

それから、運用会社の対応ということでは、販売チャネルの多様化とともに、チャネル特性を考慮した商品の開発、チャネルによってはコスト構造ですとか、お客様の層、お客様のニーズがかなり違っているということがございます。そのチャネルにあわせて商品を提供していくということが必要かと思います。

それから、商品の説明として、投信の基本的な性質ですとか価格変動をわかりやすく説明するということも、改めて指摘させていただきたいと思います。元本割れですとか、分配金と利息の違い、あるいは特定の相場時の価格変動の下落等、わかりやすいだけでなく、正確かつ具体的に示していくことも重要ではないかと考えております。

41ページ目でございますけれども、2つ目の課題としまして、ファンドの運用成績ばかりでなく、投資家リターンにも配慮すべきと考えております。現状では、先ほどお見せしましたように、運用成績が市場平均を下回る投信も少なくございません。市場のトレンドに左右されやすいがために、投資家の投資家リターンというのは低くなってございます。これに対しては、政策的な支援という意味では、金融経済教育の実施と支援ということで、国民の金融商品に関する知識ベースの向上を目指すような活動を支援していくということが考えられるんじゃないかと思います。

それから、国民に対する幅広く適切な投資機会を提供することも大切と考えております。多様なリスク特性を持つ金融商品の提供を可能にする環境を整備していくということは大事だろうと思っております。

投資家に直接接する販売業者の対応でございますけれども、販売業者としましても、投資家の金融リテラシーの向上というのは、言うまでもございません。

それから、市場のトレンドに左右されない資産運用の考え方も広めるということも大事だと思っています。要は、積立投資ですとか、複数の金融商品を、あるいは複数の投資信託を合わせて運用するということの考え方を普及するということが大事だということでございます。

それから、運用会社への対応ということでございますけれども、運用力自体を高めるということ以外に、さらに運用以外の業務アウトソースですとか、小規模ファンドの整理統合によって、コスト低減に努めるということも考えるべきだと思います。コスト低減を図った上で、投資家に還元するということが大事だと考えております。

それから、3番目の課題でございますけれども、特に退職世代の投資家のことでございますけれども、お客様のキャッシュフローニーズにしっかりとこたえていくということも大事だと思っています。運用しながら、安定的なキャッシュフローを得たいというニーズは確実に存在しております。ただ、一方で、分配金の性格に関して、正確に理解していない投資家が多いということも事実でございます。したがいまして、政策的な支援という意味合いでは、国民が自分の状況に合わせて、金融商品を適切に使う能力、リスクのとり方ですとか、キャッシュフローとしてどれくらい必要なのかということを考える力を持っていただくようなことを支援していくということが必要だと思っております。

それから、分配金に関しましては、柔軟な商品の設計を可能にするようなルールの維持ということも必要だということでございます。よくタコハイということで批判されることが多いわけでございますけれども、私はむしろ元本を含めて分配するような商品の提供も可能とすべきだと考えています。要は、販売業者にしても、運用会社にしても、分配の源泉をきちんとお客様に説明するということが大事だと。それを徹底するということが大事ですし、特に運用会社におきましては、より積極的に元本を払い出すタイプの投資信託については、例えば特別な区分を設けて、そのほかの一般のタイプとは区別しやすいようにするということも、検討いただけたらと考えております。

あるいは、販売業者のほうに戻りますと、分配金だけに頼らない、より多様なキャッシュフロー提供サービスの実施ということも考えていくべきだと考えております。これは事前の契約に基づいて定期的に投信を解約していく、いわば積立型の逆のサービスでございます。そういったサービスを行うべきだと思っております。

確かに、一部の販売会社では行っているようでございますけれども、積立型サービスのように、多くの金融機関では行っていないというのが現状でございます。より多くの金融機関で取り扱われるべきだと考えております。

駆け足になりましたけれども、私の報告はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。

○神田座長

どうも大変ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、村木さんからプレゼンテーションをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○村木委員

改めまして、村木です。普段と逆の側に座っておりますので、少し緊張いたしますが、よろしくお願いいたします。

私は、13年間、日本とアメリカで金融機関と資本市場の調査を行ってきました。本日は、投資信託の運用から販売に至る経路、これをウェルスマネジメント事業などと呼んだりしておりますが、この現状について、お話をさせていただきたいと思います。

資料のページをめくっていただきまして、1ページと振ってあるページをごらんいただけますでしょうか。まず、投信関連ビジネスにかかわるプレーヤーを、改めてですが、整理してみたいと思います。商品製造を行うアセットマネジメント会社や信託銀行、そして、商品の販売を行う証券会社や銀行などというように分けております。海外では、この商品の販売部分を指して、あるいは、場合によって、商品の製造部分までを一体にとらえてウェルスマネジメントなどと呼んでおります。前半で証券会社、後半に銀行などの金融グループにおけるウェルスマネジメント事業の実態をご説明させていただきたいと思います。

2ページをごらんください。まず、日本の状況ですが、日本の大手証券会社のリテール証券部門、つまりは個人投資家や未上場の法人に対して、商品を販売する部門の純営業収益をこちらにはとっております。これを棒グラフでとっております。純営業収益というのは、売上に相当するものだと考えております。利益を折れ線で示しました。ここでは、系列のアセットマネジメント会社の業績は含んでおりません。2005年から2006年には、株式の売買が非常に活発でした。また、外国債券や仕組み債といったものの販売も高水準でしたので、リテール部門では、大きな利益が出ておりました。

ただ、その後、内外の株式市場の低迷、あるいは円高によって、リテール証券部門の業績は低迷しております。ここで、投信に関連する収益として、2点挙げさせていただきたいと思います。

1点目がこちらで、投信販売コミッションというふうに、下から3段目にお示ししている箇所ですが、まず、投信を購入した際の購入額に対する、現在ですと、1%から4%程度のコミッションになります。

2点目が、残高に応じて、年率1%前後徴収されている信託報酬から、販売会社に対してキックバックをされているもので、これを我々は投信残高フィーと、残高に連動して発生するフィーというふうに呼んでおります。

3ページは、今ご説明したグラフをつくり変えたものでして、売上の構成比をとっております。昔、証券会社と言えば、個別株の売買が中心でしたが、現在では、個人投資家の株式売買の約9割が、インターネットを中心とするオンラインの取引に移行してしまっています。大手証券のリテール部門に占める株式売買に伴うコミッションは、現在は10%程度に低下しております。このコミッションには、外国株の売買も含んでいますので、日本株の売買に伴う手数料というのは、現在は一けた%まで落ち込んでいます。株式の売買にかわる収益の柱として上昇しているのが、投信の販売コミッションでありまして、現在、構成比率は40%程度に上昇しております。

投信の残高フィーは、2001年ごろは20%を超える寄与をしておりましたが、今は15%前後です。各社、投信残高の積み増しを経営目標に掲げながらも、時価が下落をしたり、あるいは解約等もあり、なかなか残高が増えていないということが、この比率が低迷している理由です。

4ページでは、日本と米国のリテール証券部門の収益、そして、費用構造を比較してみたいと思います。左は、米国の最大手のリテール証券会社ですが、収益、売上の過半は、残高から連動して発生するフィーとなっております。あるいは、銀行業務での金利収入というのも含まれております。右が、日本の大手証券ですが、残高連動で発生するフィーが少なく、大部分が取引ごとにチャージをされる取引連動コミッションとなっております。残高に連動して発生する安定的な収益は、米国ではコストの7割ですが、日本では、コストの2割しかカバーできていないという状況になっています。

両者の格差の背景を次のページ以降で探っていきたいと思います。5ページ、こちらはおなじみのチャートですが、家計の金融資産の構成比を比較したものです。まず、日本の投信の残高は、米国の1割にも満たない水準ですので、当然、残高が少なければ、金融機関の残高連動フィーというのも小さくなります。この当然の関係が1つ目の背景です。

2点目が6ページですが、米国においても、株式、投信というのは、徐々に時間をかけて残高が変化してきております。過去においては、長期間にわたって家計が個別株式を売り越して、投信を買い越しているということがわかります。特に90年代は空前の株価上昇による基準価額の上昇も伴いまして、ニューマネーが流入するという好循環の中で、残高が積み上がっています。

7ページをごらんいただけますでしょうか。こちらでは対面、店舗での取引から、インターネットでの取引まで、幅広いチャネルを活用しているアメリカの証券会社の収益を時系列に比較をしたものです。投信ブーム前夜の1991年ごろの状況を見てみますと、残高連動フィーというのは非常に小さく、収益の大部分は、今の日本のように取引連動のコミッションとなっております。90年代の投信ブームによる資金流入によりまして、2000年ごろ、中段をごらんいただきますと、残高連動のフィーが収益の柱として育ってきました。

ただ、この時期は、ITバブル当時でして、デイトレーダーと呼ばれる個人投資家が、ネットで個別株式の売買に熱中していた状況で、取引連動のコミッションも高水準でありました。その後、米国ではITバブルの崩壊、あるいは、金融危機といった厳しい相場環境の中で、個人投資家は、個別株の売買から、投信を通じた長期の資産運用スタイルに変化していきまして、この結果、2010年の状況をごらんいただきますと、収益の過半は残高フィーとなっております。

以上から、日米の証券会社の収益構成の格差というのは、投信マーケットのステージや、あるいは成熟度の差に起因する部分もあると考えております。8ページには、今ご説明しました米国の証券会社の顧客預かり資産の構成比を示しております。以前は株式が中心でしたが、今は投信の残高が株式の残高を超えています。この会社は、1984年に、投信スーパーマーケットという構想を、Marketplaceというサービスで実現し、他の運用会社が扱う多数の投信を一堂にそろえたプラットフォームを展開しています。また、1992年から、「ワンソース」というプログラム、こちらではMarketplaceの中に含まれて、現状、3分の1程度がワンソースですが、販売時の手数料を無料にしたノーロードの投信に、特に注力をしております。

また、米国の金融機関につきましては、個別株を保有する場合であっても、手数料体系を売買ごとにチャージをする形態から、残高に連動して、年間2%程度のコンサルティングフィーをチャージするような形にシフトしてきております。当然、この2%の対価が合理的なのかどうかというのは、投資家は毎年検証することができますので、こういったラップやSMAと言われているような商品や手数料体系の普及が、証券会社や銀行のウェルスマネジメントビジネスの洗練化であったり、高度化を押し進めたとも考えられます。

次に、9ページと10ページですが、米国では、よく指摘されますように、投信残高の成長とともに、投信に係る手数料率が低下してきております。日本の投信の手数料率、特に販売手数料も含めてですが、割高だと指摘をされますけれども、投信マーケットの規模が小さいということが一因であると考えております。

一方、日本では、系列販売会社のニーズが非常に強く、次々と新規の商品を設定してきた、乱立してきたという歴史があり、小規模な既存ファンドの統廃合が進んでいないということも、全体としての高コスト構造の一因だというふうに考えられます。

ここまでは、証券会社に注目をしてきましたが、後半は、主に銀行を含む金融グループにおけるウェルスマネジメント事業、アセットマネジメント事業について、お話をいたします。

11ページが銀行窓販の日本での状況です。ご承知のとおり、銀行での投信窓販は、残高が2000年前半に急増し、2005年には、証券会社と拮抗するチャネルとなっております。

12ページをごらんいただけますでしょうか。リーマン・ショックで一たん落ち込みました銀行内での投信関連手数料ですが、再び回復基調です。左には、銀行本体の決算に占める投信関連手数料の構成比を示しておりまして、全体の売上の2%、顧客取引手数料の中の14%を占めるまで拡大しております。右側は、系列の証券子会社や信託銀行までを含むメガバンクグループ全体の収益に占める構成比ですが、連結収益に対しても、4%程度の投信関連の収益寄与に拡大しております。

15ページをごらんいただけますでしょうか。こちらでは、商品の販売と製造機能の関係について、米国のこれまでの事例をまとめてみました。米国では、過去、利益相反の解消、あるいは資本効率、ROEの向上や、部門の売却益を獲得するなどのねらいによって、系列のアセットマネジメント部門を独立系の運用会社に売却するという事例が、数件、観測されております。運用業界におきましても、寡占化の動きが一部で見られます。

米国におきましては、系列商品の販売において、不適切なインセンティブ設定であったり、情報開示があったということで、過去、証券会社がSECからペナルティーを受けたという状況もありまして、こういった動きも、一時期の系列運用会社を外部に売却するというような背景にあったと考えられます。

一方で、グループ内に商品の製造機能と販売機能の双方を抱えている金融グループも多く残っておりまして、すべての金融機関が、製販の分離を進めているというわけではありません。米国においては、投信の販売チャネルは、主に証券会社や銀行のフィナンシャルアドバイザー、そして、独立のアドバイザー、運用会社の直販、ダイレクト販売、あるいは、先ほどお話をしました投信のスーパーマーケットなど、多様なチャネルが活用されております。

証券会社や銀行のフィナンシャルアドバイザーについては、金融機関に雇われている社員ではありますが、基本的には、地域の異動はなく、地域に密着して、長期の顧客リレーションシップを構築します。日本においては、異動を伴う社員が商品を販売するケースも多く、こういったところが顧客とのリレーションシップの厚みの差につながっている可能性があります。日本でも、一部の金融機関が、FAチャネルに力を入れて、一定の販売力として育ってきているところであります。

最後に、15ページをごらんいただけますでしょうか。これまでお話しをいたしましたように、投信関連収入は、リテール証券会社にとって、部門収益の過半を占める極めて重要な収益源になっております。また、赤字基調の法人取引部門をカバーして、グループ全体の信用格付けを維持するための、いわば生命線ともなっております。大手金融グループにおいても、貸し出しが伸び悩む中で、投信販売のコミッションというのが重要な役割を担ってきております。

安定的なフィーが海外の金融機関と比べて低い最大の理由としましては、投信、ラップ、SMAなどの残高が小さいことに起因しますが、この投信関連収益の重要性が極めて高いということが、安定的なフィービジネスへの移行をおくらせている可能性もあると考えております。現状、販社の体制自体が、長期にわたる残高の積み上げに向けて、必ずしも最適化できているかどうかというのは、検証の余地があると考えております。

米国におきましても、証券会社がコンサルティング営業を徹底するまで、残高を積み上げるまでに長期の時間を要しておりまして、日本においても、おそらく、収益構造や販売スタイルが変わるまでには、相当な時間が必要ではないかと考えています。

ここで、成長のためには、顧客との長期のリレーションシップを持つ販売チャネルの構築、ラップやSMAなど、顧客との利益相反の少ない手数料体系の導入、投資家のリテラシーの向上や、あるいは、販売時のインセンティブの設計を変えるということに取り組みながら、時間をかけて最終的な理想像にマーケットが向かうような視点が必要だと考えます。

以上、ありがとうございました。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、最後になりまして恐縮でございますけれども、竹川さんから、プレゼンテーションをお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○竹川LIFE MAP,LLC代表

改めまして、竹川と申します。よろしくお願いいたします。

私のほうからは、「投資家目線で見た投資信託の現状と課題」ということで、お話をさせていただきたいと思います。私は、日ごろから、個人投資家の方の取材を行ったり、交流会なども主催している関係上、個人投資家の方の声を聞く機会も多いですので、そういった視点を取り入れながら、現状と今後について、お話をしていきたいと思っています。

本日の内容なんですが、1ページ目にありますように、投資信託の現状と課題について、まず前半でお話をしていき、後半、中長期的なあり方について、お話をしていきたいと思っています。

3ページ目をごらんいただけますでしょうか。投資信託というのは、本来、資産形成、それから、活用のツールとして、使い勝手が非常によい金融商品であるはずなんですけれども、現状としては、そういうふうにはなっていないということがあります。

理由としましては、特に投信の売り手、そして、つくり手と受益者の利害がどうしても不一致になってしまうということが1つ目です。2つ目としては、個人が投信を選ぶのに、比較・検討しやすい環境になかなかなっていないということが挙げられると思います。

次のページにいきまして、まず、投信の売り手とつくり手と受益者の利害関係が、なかなか一致しないという点なんですけれども、投資家としては、当然、自分の資産を増やしたいという目的で投信を購入するわけです。ところが、金融機関サイドから見ますと、顧客の資産の増減にかかわらず、やはり手数料を稼ぎたいという部分が主目的として挙げられると思いますので、そうなってきたときに、まだたくさん金融資産を持っていない若手層ですね、特に資産形成層があまり重視されていないというふうな現状があります。そこで、市場を通じて、なかなか資産形成が進んでいかないということがあります。

一方で、やはり高齢者を中心に、投信を販売しているという現状がありますので、毎月分配型、特に通貨選択型などを中心に販売が行われているということ。それに伴って、高齢者のポートフォリオがハイリスク化しているというのが非常に問題だと思っています。特にリタイア層に対しては、それほど積極的にリスクをとった運用をしなくてもいいという方も、非常に多いと思うんですけれども、結果的に、同じような商品を重ねて持ってしまう、要するに、ポートフォリオがかなり偏っていたり、あるいは、想定以上に、金融資産を投資に回してしまったりということで、想定以上のリスクをとってしまっているというケースが多いように見受けられます。

商品については、先ほど金子さんと村木さんからのご指摘もありましたように、コストが年々上昇しているということ、それから、複雑な仕組みの商品がかなり増えてきているということ、この2点が挙げられると思います。

5ページ目と6ページ目を見ていただきますと、現在の投信の保有者、50代以上が約7割を占めているということと、6ページ目をごらんいただきますと、投信の購入のきっかけとして、投資信託協会のアンケート結果を拝見しますと、やはり株と違って、投信の場合には自主的に購入するという割合が低くて、結果的には、「証券会社や銀行等の人から勧められて」というのが65%程度、「家族や友人から聞いて」という方が、20%ぐらいありますので、ニーズがあるから投信を買ったというよりは、勧められてという傾向が強いと思います。

ただし、これは30代の方を見てみますと、変化してきている部分もありまして、「新聞記事や雑誌記事でよさそうだと思った」、あるいは、「インターネットでよさそうだと思った」「投資信託を解説した本を読んだ」といったような、自分で調べて投資信託を選んで買うという層も、徐々にではありますけれども、若手の中には増えてはきていると考えています。

7ページ目、まず、利害の不一致による問題点のマル1ということなんですけれども、5つ挙げました。特に上の2つ、販売会社と運用会社の系列構造、これはよく言われることなんですけれども、それ以外でも、外資なども含めて、販売会社の営業力に頼らざるを得ないという現状がございますので、どうしても販売会社の望む商品設計をせざるを得ないという部分も大きいと思います。

先日、運用会社の方にもお話を伺いましたけれども、手数料の取り分を高くしないと販売会社が売ってくれないとか、運用内容のいかんというよりも、手数料をどれぐらい稼げる商品なのかが採用基準として採用されているケースもあるという話もお聞きしました。それ以外に、多くの運用会社は、投信保有者の販売チャネルとして、銀行や証券会社経由で売っているという投信の特徴もありますので、なかなか、実際に投信を保有している方の顔が見えていないというような背景もあるかと思います。

それから、4番、5番については、書いてあるとおりです。

実際に、長期投資の視点がお題目だけで根づかないというふうに書いてあるんですけれども、8ページ目をごらんいただきますと、投資信託の場合、新規に設定されて、そのときに頑張って売って、あとはなかなかアフターフォローがされないという現状もございます。これは月次資金が純流入しているか、純流出しているかというのを示したグラフです。ゼロよりも上にあった場合には、資金が流入から解約された分を引いて、純流入しているケース。ゼロより下は純流出しているケースという形になります。この投信のケースですと、最初の設定された2カ月間は資金が流入している、要するに、購入している方のほうが多いんですけれども、3カ月目からは解約に転じて、資金が純流出してしまっているということが見てとれます。

評価会社さんのサイトなどを見ますと、こういった形になっている投信が多いということです。ちなみに、2012年の2月末現在で、1年間継続して資金が純流入している、資金が純増しているファンドの割合なんですけれども、実際、3,778本、追加型株式投信がある中で、52本しかないというのが見てとれますが、非常に少ない本数になっているということです。

さらに、この3,778本中、30億円以上の純資産を持っている投信自体が、そもそも1,357本しかないということなので、2,421本については、30億未満のかなり規模の小さい投資信託が大多数であるということが言えるかと思います。

次のページにいきまして、問題点のマル2、次々と新投信を販売し手数料を稼ぐスタイルになっているということです。これはよく言われていることなんですけれども、高い分配金、分配金利回りによる営業ですとか、はやりのテーマですね、IT、中小型株、外債、新興国株、環境などなど、旬のテーマが設定されては消えていってしまっている。あるいは、既存の投信があっても、類似商品を新たに設定するということがありまして、結果的に、資産残高の少ない投信が量産されてしまっているという現状があります。

その結果、本数と種類は多いんですけれども、残高が少なくて、運用効率もあまりよろしくない。個人にとっても、なかなか資産形成の中核になる商品ではなくて、はやりのものばかり保有しているというケースがあります。特に、退職をなさった方に話を聞きますと、保有している商品を見ると、大体何年に退職したのか年代がわかるぐらい、ああ、この方は外債ファンドばかり9割持っているとか、数年前に退職された方であれば、通貨選択型で、ブラジル・レアルヘッジ型のものが資産の9割を占めてしまうとか、あるいはREITが9割を占めているとか、かなりポートフォリオに偏りがあるケースが多い。それは退職時に、ある程度、買っている商品が、同じようなものを重ねて持ってしまっているということがあるのだと思います。

次に、10ページ目をごらんいただきますと、よくあるケースといたしましては、2000年に設定されました大手運用会社のIT投信のケースが載せてあります。これも旬のときに設定していますので、設定直後にピークになって、その後は基準価額も低下し、純資産総額も400億を超える資金が集まったけれども、2009年時点では、10億円程度まで下がってきているという形になっています。

次に、11ページをごらんください。こちらは、今回の投信法の改正とは直接は関係ないんですけれども、最近特に多いのが、銀行の顧客の預金口座を通じて、かなり投信の勧誘が来るという声が非常に高いので、問題提起としてこちらのページも入れてあります。

次に、12ページ、2つ目の論点としまして、個人が投信を比較・検討しやすい環境になっていないということを挙げたんですが、なかなかわかりやすい物差しがないというのが、1つ挙げられると思います。コスト比較が困難。例えば現在の運用報告書を見ますと、期中の1万口当たりの費用明細の表示はされているんですけれども、これですと、なかなかファンド間の比較が難しいという現状があります。

次の13ページに、運用報告書の1万口当たりの費用明細の例を載せているんですけれども、こちらは、同じ新興国のインデックスファンドの例を載せてあるんですけれども、実際には、これだけ見ても、個人投資家が、これは一体何の費用まで含まれているのか、例えば監査費用ですとか、その他の諸費用、印刷費用ですとか、そういった費用まで含まれているのかどうかという詳しい内容がまずわからない。

2つ目としては、1万口当たりの費用明細になっていますので、実際には基準価額も動きますし、純資産総額も動きますので、ほかのファンドと比較して、どっちがトータルコストが安いのかという比較がなかなか困難だと思われます。

時系列での比較も、なかなかできませんので、こういった部分も含めて、自分で計算をすればできなくはないですけれども、投信で、人に、プロにお任せをして運用してもらう商品であるのに、そこまで頑張って計算をしないとトータルコストが出せないというのは、やはり問題ではないかと思われます。

アメリカのモーニングスターの投信保有者の立場から、22カ国の投信を調査した2010年度のグローバルサーベイという調査があるんですが、これは、すいません、ちょっと載せていないんですけれども、そこで、日本の投信の情報開示について、マイナスポイントになっているのは、こうした点も挙げられると思います。

もう一つ、問題点としてご指摘したいのが、こういった1万口当たりの費用明細について、例えばファンド・オブ・ファンズなどに関しては、ファンドと投資先のファンドの、こういった明細が別々に出てくるので、投資先のファンドを含めたトータルのコストを把握するのが、やはり困難な状況になっています。ですので、そういった部分も含めて改善が必要なのではないかと考えています。

いろいろ悪い点を挙げてきたんですけれども、いい点も少しずつ出てきているということで、14ページに挙げました。例えば2008年の1月ぐらいから、徐々に低コストのインデックスファンドのシリーズが出てきているということが挙げられます。手数料が高くて複雑化している商品が増えている一方で、一部ではありますけれども、こうした低コストのインデックスファンドが登場してきているというのは、ある意味、二極化しているのかなと考えられます。

具体的には、2008年の1月に、次のページに挙げました、合併して名前が変わりました三井住友トラスト・アセットマネジメントさんのSMTインデックスシリーズですとか、その翌年、2009年に立ち上がりました三菱UFJ投信さんのeMAXISのシリーズ、中央三井アセットさんも合併して三井住友トラスト・アセットマネジメントになりましたけれども、インデックスファンドeシリーズ、野村アセットマネジメントさんのFunds-iシリーズといったような低コストのインデックスファンドが登場してきているということです。

さらに、2つ目に挙げました運用管理費用の引き下げで、主に純資産総額が増えてきた場合に、どちらかというと、販売会社の取り分を増やして、なかなか投資家には還元されないということが続いてきましたし、現在もそういったものが多いんですけれども、一部、運用管理フィーを引き下げるというようなケースも出てきています。ほんとうに一部ではありますが、それが15ページに挙げました、このSMTインデックスシリーズです。これは2008年の1月9日に設定されて、順次、商品を増やしてきている商品ですが、こちらに関しては、過去2回にわたって、信託報酬の引き下げを行っています。2回目は4月19日からですので、これからです。

次のページに挙げましたセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドに関しても、こちらは正確に申しますと、セゾン投信の信託報酬を引き下げたということではなくて、投資先のバンガードのファンドの運用管理費が低減されたため、実質的な負担が下がったということにはなりますけれども、そういった形で運用管理費用を引き下げて、投資家に還元しようというような動きも、一部には出てきているということです。

あとは、独立系投信が増加はしてきている。ただ、経営的には難しい部分もありますが、増えてはきているということです。それ以外にも、運用会社サイドで、個人投資家の意見交換を行う運用会社さんも出てきているということがあります。

直接、個人投資家との交流会を行ったり、ブロガーミーティングを行ったり、あとはETFプロバイダーの方が、そういったミーティングを行う。ネット証券の方が、そういった個人投資家を集めて意見交換を行うというような形も、できてきています。

また、先ほど村木さんのほうからもありましたけれども、投資信託の積立ですね、そういったサービスを開始する会社が増えてきていますし、最低積立金額が、2009年ぐらいから引き下げられまして、現状では、最低積立金額が1,000円、あるいは500円というようなネット証券も出てきています。そういった意味では、若年層が投信を始めやすくはなってきているとは考えています。

それでは、17ページ以降の中期的なあり方について、ご説明をしたいと思います。

ここまで、現状について申し上げてきたんですけれども、では、どうすればいいかとことについて、お話をしていきたいと思います。

どうすればいいかというと、やはり投資家と金融機関の利害関係を一致させることですね。あとは、受託者責任の強化というものが必要だと考えていますが、ただ、仕組みとして、金融機関も当然のことながら利益を上げなくてはいけないですし、利害一致がすぐに成り立つというのは、なかなか難しいというのがあるかと思います。

そこで、やはり情報開示の徹底をする、それから、インセンティブを変える、それから、個人投資家に投信選びの物差しをきちんと示すという、この3つをきちんとやることで、徐々に変えていけないだろうかということを考えています。

19ページ、まず、運用会社の情報開示の徹底についてということで、幾つか挙げました。1つ目は、運用会社の経歴、経験の開示です。20ページに例を挙げましたけれども、これはアメリカのキャピタルという運用会社さんの要約目論見書の中からとっていますが、実際、ポートフォリオカウンセラーの経験年数、役割などが、きちんと記載されています。

もとに戻りまして、19ページ、2番目、運用担当者の報酬体系を開示する、インセンティブの開示。例えば報酬体系が、こちらも、アメリカなどは開示されているかと思いますけれども、実際に報酬体系が、成績とは関係なく一定の報酬をもらっているのか、あるいは、短期的な成績に左右されるものなのか、それとも、4年、5年といった長期的な成績を勘案して決められるものなのかといったようなことも含めて、その姿勢がきちんとわかるということだと思います。

3つ目、投信の保有状況の開示の義務化。これは21ページをごらんいただきたいんですけれども、こちらも、アメリカのキャピタルという運用会社さんの情報開示のページからとってあります。こちらを見ますと、運用会社の経営者、運用担当者が運用している投信に、自己資金をどの程度、投じているかということも見るとわかるような形になっています。これは、ホームページ上で、どなたでも見られるようになっていますし、先ほどのポートフォリオマネジャーの経歴が開示されている目論見書等も、ホームページからダウンロードできて、だれでも見れるような形になっています。ですので、できれば、経営陣、運用担当者の投信の保有状況、保有金額、比率などを開示していただけると、実際に、投資家と同じボートに乗っているのかどうなのかということも含めて、チェックがしやすくなるのではないかなと思っています。

ちょっと飛びまして、22ページ、運用会社さんの情報開示の徹底ということで、まず、運用報告書の充実をということで挙げました。先日のワーキング・グループの1回目の会合の論点としても挙がっていたんですけれども、運用報告書に関しては、わかりにくくて長いから、簡素化して短くするということではなくて、わかりやすく適切な開示を行うというのが、私はあるべき姿だというふうに思っています。

ですので、先ほども申し上げましたけれども、例えばコストに関しては、実質的な手数料をきちんと経費率で表示する。投資家が比較しやすい統一形式で、手数料を開示するというのが、パーセント形式で開示するというのが一番いいと思っています。アメリカはエクスペンスレシオ方式で何%という形で開示されていますので、それと同じ方式はとれるはずだというふうに考えています。事後の総コストも含めて開示をする、ちょっと書き忘れたんですけれども、単年度、単期ではなくて過去分も含めて、例えば5年分とか、時系列できちんと比較ができるような形にするといいのではないかというふうに思っています。

あとは、実績リスク、リターンなども含めてわかりやすく表示をする。最大下落、上昇率などを、数値を使ってグラフ化するなど、わかりやすく明示をする。デリバティブを実質的に使っているのかどうなのかということなども含めて表示をするといったことも考えられると思います。

運用報告書に関しては、個人投資家の方に見ると、わかりにくいという意見は確かに多いです。読んでもおもしろくないということもよく言われます。ですので、法定資料ではありますので記載する事項はきちんと決めた上で、それ以外のことに関しては自由裁量をある程度認めるということも考えていただけると、運用会社ごとの特徴も見られるのではないかというふうに思っています。

次のページに行きまして、最後、運用会社の3つ目、情報開示の徹底ということで幾つか挙げました。

これは、運用報告書というよりは目論見書上でということなんですが、例えば、目標とするリスクとリターンを開示してほしいという意見がありました。そもそも、個人にとって投資の有効性はどこにあるのかというふうに考えたときに、リスクコントロールを代替する機能ではないかと思うところがあります。そう考えたときに、ファンドを買うことで得られるものと失うもの、要するに、具体的には目標リターンであるとか、それに伴うことになるリスクを目に見える形、数値化して開示することが非常に大切なのではないかというふうに思っています。そして、同時に月次レポートや運用報告書などで継続的に実績のリターン・リスクを開示することによって、目標を実行しているかどうかということが判断できますので、そういった試みも必要なのではないかと思いますし、そういった試みを行っている商品なども、一部ではありますが、あります。特にリスクに関しては、自分の負っているリスクの度合いを知らずに購入するということがそもそもトラブルの原因になるわけで、少なくとも通貨選択型などで、新興国株のインデックスファンドよりも高いリスクを持っている商品であるという認識を持っていたら、そもそも分配金が高くても買ったのかどうなのかということはあると思うんですね。ですので、そういう意味を含めまして、きちんとリスクを数値化する、もしくはランク分けでもいいんですけれども、もっとわかりやすく表示をするような仕方を考えたほうがいいと考えています。

もう1つは、今、アクティブファンドで主流となっているベンチマークの相対評価、相対目標でほんとうにいいのかどうなのかということも、もう1つ考えるべきところだと思います。本来、顧客は自分の資産を増やしてほしいわけで、ほんとうにベンチマークに勝ちました、負けましたという、それでいいのかどうなのか。リスクの範囲でどの程度のリターンを得ようとしているファンドなのかということは、記載の方法も含めて議論の余地があるのではないかというふうに思っています。

最後に分配金の表示ということを挙げたんですけれども、やはり分配を行う場合、インカム、キャピタル、為替、準備金の区別をきちんと明確にする。インカムとキャピタルの範囲内に限るといったことも含めて、ご検討いただければと思います。また、最近は投信の販売会社さんで定期解約サービスなども実施するところも徐々に増えてはきていますので、分配金をもらわなくてもキャッシュフローを改善するような方法はあるわけで、そういったものも含めた提案が今後は必要になってくるかと思います。

24ページに行きたいと思います。販売会社さんに対してのあり方ということなんですが、1つ目は評価制度の見直し。購入時手数料ではなくて、顧客の残高ベースに応じた報酬体系に、徐々に移行していくということが必要だと思います。

2つ目としては、やはり開示の徹底ということで、販売会社ごとに、例えば一定期間ごとにファンドごとの残高を開示していただけると、回転売買はしないことにはなっていますが、特定のファンドだけが非常に売れていたり、特定のファンドだけが一気に解約されていたりという現状はどうしてもありますので、そういった部分を透明化するという意味では有効かなというふうに思っています。

もう1つはなかなか難しいかもしれませんが、経営陣、販売員の投信保有状況の開示も含めて、ご検討いただければと思います。

あとはベストプロダクトの提供ということで、類似商品がある場合に新規投信だけを紹介するのではなくて、やはり類似商品もあわせて提示するということも必要だと思います。

25ページに行きたいと思います。お二方も挙げていらっしゃいましたけれども、やはりコンサルティング機能の強化、特にファンド自体のリスクがどれぐらいなのかというのを明確にするということが1つだと思うんですけれども、実際には投信を1本だけ保有するということはなかなかないと思いますので、組み合わせてリスクを抑えるにはどうすればいいか。例えば、私はこの投信を保有しているんだけれども、どの投信を組み合わせたらリスクが抑えられるのかというようなことも含めて、データなどをもとにした本来のコンサル機能を生かすような方法を考えられないだろうかというふうに思います。そうしたソフトもありますし、運用会社さんからデータも受け取っているはずですので、そういったことも可能ではないかというふうに思っています。

ただし、なかなか販売会社がコンサルティング機能を強化したとしても、利益相反とはいいませんが、なかなか利害が一致しない部分もありますので、やはり販売チャネルの多様化、独立系のアドバイザーなどの育成というのが急務だというふうに考えています。

最後に、27ページいきまして、その他ということでファンドの併合について挙げました。現状、やはり資産規模の非常に少ない投信がかなり乱立しておりますので、規模の小さい投信を併合することについては賛成です。ただし、併合した場合に信託報酬を低い商品に合わせるなど、ルール化が必要だと思われますし、また、これは一番言いたいところなんですけれども、ファンドの併合を促進しても、根本的な構造が変わらなければ、要するに、今のように新規設定のファンドをどんどん出して、その後はどんどん規模が小さくなっていくという商品が増えている現状が変わらなければ何の問題の解決にもなりませんので、ファンドの併合は進めていただきたいのですが、そのための緩和を進めるというのは賛成なんですけれども、構造的な、そこの部分を変えるようなことは進めていただきたいなというふうに思っています。

最後に28ページに、同じ運用会社で同タイプの投信がたくさん出ていますよということで、例を挙げています。

最後に、投資家も、運用会社サイドも、販売会社も、最終的にはウィンウィンの関係を築けるように、運用会社の方には、それぞれの投資哲学と運用方針を持って運用を行って、顧客の財産を増やしていただきたいなと思いますし、販売会社の方には、コンサルティング機能の強化とベストプロダクトを提供するということ、個人投資家も、資産形成、活用のツールとしてちゃんと投信を使いこなせるようにしていかなくてはいけないと思っていますので、そうしたウィンウィンの関係になるように今回の法改正が進むべく、委員の方やオブザーバーの方には、ぜひ有益な意見を言って議論していただければと思います。私も受益者の1人ですので、ぜひお願いしたいと思います。

ありがとうございました。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、3人からのプレゼンテーションを踏まえまして、皆様方からご質問、ご意見をいただきたいと思います。冒頭申し上げましたように、順番としまして、まずオブザーバーの皆様からご質問、ご意見があればいただくということにさせていただき、その後、メンバーの皆様方からのご発言をいただくという順番にさせていただきたいと思います。

それでは、銀行協会、お願いします。

○全国銀行協会(松田オブザーバー)

みずほ銀行の松田でございます。全銀協のということで、オブザーバーとして参加させていただいております。

たった今、3人の先生方からの非常に示唆に富んだお話をいただきました。我々、販売会社としても、これからの業務運営に非常に参考にさせていただけるということで、まずは感謝を申し上げたいと思います。

我々、販売会社につきましては、お客様保護といったところを念頭に置きまして、これまでの投資信託の販売体制については、しっかり築き上げてくるということを行ってきたわけでありますが、特に昨年の夏に日証協さんからの通知をいただき、この2月には金融庁の監督指針改正ということもあって、現在そういった対応を進めているというところでございます。そういった中にありまして、本日は、我々販売会社の投信の販売に対する基本的な考え方、こういったあたりを、何点かまずはお話をしたいと思います。

まず、投信の販売体制、この基本的な考え方ですけれども、これにつきましては、我々、販売会社としてはお客様の運用ニーズの的確な把握と、お客様の属性、適合性に応じた販売勧誘、これが基本的な考えであるということによっております。言いかえますれば、コンサルティング営業、こういったものを通じまして、お客様の運用ニーズを顕在化させて、年齢、投資経験、保有金融資産、資金の性格、取引の目的などなど、こういったものを確認した上で、さらにお客様の知識の水準であるとか、商品の理解力とかリスクの許容度、こういったものを、実態を十分に把握することが何よりも大事であるという考え方をとってございます。そういったもののチェックのために、これはいろんな販売会社さん、工夫されておられると思いますけれども、チェックシートを活用したり、あるいは証跡として面談記録などを使っているということだろうかと思います。

次に、先ほど何人かの先生からもお話がありましたけれども、その中で、やっぱり高齢者の方への販売というところも大きなポイントかと思っておりまして、我々も高齢者のお客様については、若年層のお客様に対して、より一層留意する点があるというふうに考えております。一般的に高齢のお客様については、歳をとるにしたがって、理解力であるとか判断力、こういったものが少し衰えられる方がいらっしゃるのも事実かと思っております。したがいまして、それまでの投資経験であるとか保有の金融資産、あるいは投資の目的、こういったものを形式的に把握できたとしても、それでは非常に不十分だろうと。したがいまして、実態的にほんとうにご理解をいただくというところを、販売会社としたら確認していく必要があるというふうに考えています。これも各販売会社によっていろいろ工夫をしておりますけれども、具体的には、例えば十分に理解をいただいたり、あるいは冷静にご判断いただくために、商品をご説明してから実際の申し込みをいだたくまで日にちを置く。つまり、複数回の面談をするであるとか、ケースによってはご家族との同席をお願いするといった対応を行っております。また、お客様のご理解の状況に応じては、販売の担当者だけではなくてその上席、第三者、こういった者が面談を行って、お客様の理解状況を確認するということも実施しているところでございます。

次に、これも話題によく出ます、通貨選択型などの複雑な投信、これについての販売体制でございますけれども、通貨選択等の投信の販売については、こちらも通常の投信の販売型に、基本的には変わっていることはなくて、お客様のニーズや適合性にのっとった販売・勧誘を行っているというところでございますが、ご指摘のとおり、商品性が非常に複雑なところもありますので、より配慮した体制をとっていく必要があると思っております。これにつきましても、昨年7月の日証協さんの通知で、わかりやすいチラシを用いて説明をするようにということがありますので、こちらについてはもう既に販売会社のほうでは工夫をしたチラシをつくっておりますし、2月の監督指針の改正によっても、例えば通選を初めて購入されるお客様からは、今度から理解状況にかかわる確認書を徴求するということになりますので、こういった対応をとっているところでございます。さらに、手前ども、当行では、それとあわせまして、例えば通貨選択型等の投信については、原則としまして、例えば一定の投資経験がある方でないと販売しないという制限をかけているといった販売会社もございます。

最後にもう1点、これも資産形成層、年配の方に非常に偏っていて、資産形成層への販売が非常に弱い、あるいは、表現の中では無視をされているというようなこともありまして、これは販売会社である我々にとっても非常に耳の痛いところでございます。我々も、実はこの資産形成層、いわゆる一般の給与所得者の方への投信のすそ野の拡大というのは、最重要な課題だと思っております。各販売会社とも、こちらの年代については非常にネットリテラシーが高いということもあり、ネット投信の充実であるとか、あるいはネット専用投信、こういったものの導入、あるいはネット投信キャンペーン、こういったものをやって工夫をしているところもございます。また、ネットということだけではなくて、コールセンターといったようなリモートチャネルを使って、何とか資産形成層のときから投信に入っていただきたいなと考えているところでございます。

ただ、ご指摘がありますとおり、当行でも、ここの層で爆発的に投信が売れているかというと、そういうことではありませんので、引き続き丁寧にここのすそ野の開拓を行いまして、将来、この方々が退職をされて資産運用期になったときに、我々としてしっかりとコンサルティング営業ができるということを目指していきたいと考えてございます。非常に雑駁な話ですけれども、基本的な考え方みたいなところを少しご説明させていただきました。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

投信協会、お願いします。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

野村アセットマネジメントの城川でございます。

投資信託や投信ビジネスの現状と今後の課題について、いろいろな角度からご指摘をいただきありがとうございます。投資信託協会を代表しまして、幾つかの点について発言させていただきたいと思います。

まず1つ目でございますけれども、投資信託の保有者の割合を見ますと、ご指摘がありましたようにご高齢の方ほど高く、若い世代の方ほど低いというご指摘があったと思います。私どもも、若い方からご高齢の方まで、多くの方に投資信託を活用し、資産形成に役立てていただきたいというふうに考えております。

各年代層のニーズにこたえるために、各社いろいろ努力をいたしまして、インデックスファンドやETFといった商品から、高齢者のキャッシュフローニーズにこたえる商品まで、多様な商品の提供を行っております。また、話題になっております毎月分配型投信につきましても、毎月分配型投信と同じシリーズに、例えば年2回分配コースも合わせて併設するようなことを行うことによって、多様なニーズにこたえようとしているのが実情でございます。ただ、全体的に見まして投資信託の保有率は低く、中でも資産形成層の方々による保有が極めて低い現状については、私どもも大変危惧しております。

一方で、少子高齢化が進む中で、老後の生活のために自助努力による資産形成が必要であることを、多くの国民の方々が感じておられます。こういった状況から、資産形成層の方々を含む多くの方々が利用できるものとして、ご指摘のあった確定拠出年金制度の拡充について、私どもも制度面、政策面からのご支援をお願いしたいと考えております。投資信託と年金のパイプを太くすることは、投資信託の拡大のみならず、今日ご指摘のあった事項も含め、販売・勧誘をはじめとする日本の投資信託のありようを大きく変えることにつながるものと考えております。

2つ目ですけれども、運用会社が対応すべき課題として、情報開示に関する意見をいただいております。まず、分配原資の開示についてであります。この点につきましては、本会としましては、先月、運用報告書において分配原資の内訳を、例えば当期の収益、当期の収益以外、翌期繰越分配対象額を記載することや、特別分配金という表記を、その意味が一層明確になるように、元本払戻金とするといったことや、関連して、分配金決定に関する社内体制の整備を行う旨等の規則改正を行ったところであります。

また、従前から、目論見書において分配金は純資産から支払われる旨とか、収益を超えて支払われる場合がある旨、一部、または全部が元本の一部払い戻しに相当する場合がある旨を、文章だけではなくイメージ図を用いて記載する等の対応というのを行ってまいりました。今後も投資家の方に分配金等について正しい理解を深めていただくよう、一層の努力を行ってまいりたいと考えております。

次に、ご指摘のありました運用担当者の経歴や報酬体系等の開示についてでありますが、投資にかかる意思決定は、投資運用委員会等で行われていることも運用会社によっては多くあります。したがいまして、1人のファンドマネジャーに依存するものではないこともありますので、こうした開示を行うことの効果について考えていく必要があると考えております。

一方、運用報告書などの充実について、わかりやすく適切な開示を行うのがあるべき姿というご指摘がありました。この点につきましては、私どもも同じ問題意識を共有しております。前回のワーキングでも述べましたとおり、運用報告書につきましては、重要情報をわかりやすく簡潔に示したものと詳細なものとに分けて、前者については受益者に必ず交付する用途とし、後者については、利用者の方が必要に応じてごらんいただけるように対応してはどうかと考えております。

次に、目標とするリスク水準やリターンの開示についてですが、これらの表示は、あたかもそうした利益が得られるという誤解を招きかねないということもございますので、慎重に考える必要があるというふうに思っております。特に目標リターンにつきましては、絶対的な水準を示したり、絶対的な水準を基準に運用成績を評価したりすることは、一部のヘッジファンド的な特殊なファンドを除いて合理的ではなく、通常の追加型投信におきましては、市場指数をベンチマークとして評価するのが妥当であり、このような考え方が一層浸透するような努力をやるべきだというふうに考えております。

次に、個人に投信選びの物差しを示すということに関連しますけれども、現在、本会では、すべての追加型株式投信の目論見書と、当該ファンドの基準価額等を総合的に検索、比較を可能にする投信総合検索ライブラリーの開発を進めておりまして、5月下旬にはリリースする予定でございます。投資家の方に、投資目的に沿った商品を選択するために大いに活用していただきたいというふうに考えております。

最後に、運用会社の商品組成方針や運用管理態勢について、金商法や投信協会ルールに忠実義務や善管注意義務に関する規定がありますが、受託者責任を果たすことを念頭に、販売会社から独立して、運用に限らず、商品組成を含む業務全般を遂行していることを念のために申し添えます。

私からの発言は以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

お隣の証券業協会、何かございますか。

○日本証券業協会(川根オブザーバー)

それでは私のほうから、幾つかコメントを差し上げたいと思います。

まず最初に、低金利、低成長の継続、あるいは高齢化の進展といった外部環境の変化の中で、投資家の資金運用ニーズに沿った商品提供を続けてきたと、そういった結果が、現在の投資信託の残高構成につながっていて、毎月分配型ファンドの残高が年々増加していっているというところも投資家のニーズという裏付けがあったからだといった説明があったかと思いますが、こういった部分は我々の認識とも一致しているところかなと考えております。

一方で、やはり分配金の仕組みについての理解が低いであるとか、商品の説明がなかなか理解していただけないということも指摘されておりますけれども、こういった投資家に説明、商品内容、あるいは分配金の仕組みを理解していただくという点については、先ほど銀行協会様からの説明ありましたけれども、昨年来、いろいろな通知なども出しまして、説明体制の充実に努めてきたところですけれども、今後も引き続き努力していく必要があるというふうに考えております。

また、先ほどご説明の中で、毎月分配型ファンド、海外における韓国、台湾における毎月分配型ファンドの動向ということについて説明がありましたけれども、世界で残高が非常に多いアメリカでも、ミーチュアルファンドの純資産の約28%を占めているというような調査結果もあるようでございます。また、我々が外資系の運用会社様といろいろな情報交換をしているところで聞いたところによりますと、欧州や米国の運用会社では、今まさに低金利に突入していく中で、そういった低金利時代の中での商品開発というのを日本に学ぼうという動きがあるとも聞いております。

また、前回、あるいは今回も、外国投資信託についてのご指摘がございましたけれども、外国投信だから実現できる投資対象であるとか商品性というものもあるかと思いますので、そういった投資対象の多様化、あるいは商品の特性といったことも検討、議論の際には配慮していただければというふうに考えております。

最後になりますけれども、確定拠出年金の拡充という点についてご指摘がございましたけれども、業界としても毎年税制改正として要望をしているところでありますので、ぜひ実現できればというふうに考えております。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、ワーキング・グループのメンバーの皆様方からご質問、ご意見をいただきたいと思います。どなたからでも、どの点についてでも結構でございますので、よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。永沢委員、お願いします。

○永沢委員

残り時間が短くなってきたので簡単にお話しさせていただきたいと思いますが、その前に、お三方、丁寧にご説明いただいてありがとうございました。

野村総研の金子様のお話について、必ずしも投信法の改正に関係することではないんですけれども、質問や意見を、4点ほど申し述べたいと思っております。

まず、お示しいただきました資料から、毎月分配型という形態の商品を通じて、主に退職後の高齢者が、結果としてリスクをとって海外投資をするようになっているということと、それから、その投資家の多くは分配金という言葉の意味を正しく理解していないということの2つが、私は示されたと思ったんですが、これは結論としてミスセーリング、不適切な商品供給が行われたということなんだと思いました。要するに、理解しないで買っているということが示されたなのではないかと思った次第です。

この点については、議論があるところではありますが、お話を伺いながら素朴に疑問に思ったことといたしまして、70代を過ぎた高齢者が海外投資をするということについては合理的なのかどうか。仮に、それが合理的なものとしても海外投資に振り向けるべき資産の割合というのはどの程度のものなのか、70歳代の平均的な退職者の最適アセットミックスというのはどういうものなのか。ミクロとマクロを混同してはいけないと思いますが、現状の投信の販売状況と、それから最適なアセットミックスというものを比較したときに、この投信の販売状況から見える日本人の投資行動というものは合理的なものなのかどうなのでしょうか、後日で結構ですので、専門的な見地からどう評価されるか、ご説明いただけたら幸いです。

それから、2点目といたしましては、資料の23ページ目に、実質信託報酬率について書いてありました。そうなのかなとも思いましが、一方で、投資家としては、期待収益率というのでしょうか、リスクで修正したリターンが結果として高ければ、高いものを払ってもいいと思うのですが、こういった関係の分析というのはなされていないものなんでしょうか。要は、高いコストに見合う高いリスク修正後のリターンが期待できる、そういう検証結果というものはないのでしょうか。

第3番の点は、毎月分配型に限ったことではないと思いますが、金融商品を説明する文言が適切なのか、公正なのかという点をもっと問題にしなくてはいけないのではないか、資料を拝見しながら思いました。毎月分配型ファンドに関して、分配金という概念が正しく理解されていないという事実についてお二方から指摘がありましたが、それは教育の問題というよりも、むしろ、毎月分配型という表現が適切なのかどうかを問題にしなくてはならないのではないでしょうか。分配金利回りという表現についてもそうだと思います。個人的な意見かもしれませんが、この点に関する教育は相当なされていると思います。それなのに、こんなにわかっていない人が多いということは、教育以外のところに原因があると考えることも必要なのではないかなと思った次第です。

おそらく、この問題は、投信会社や販売金融機関だけの問題ではなく、分配金利回りランキングというのを雑誌等のマスメディアでよく拝見しますので、世の中全体として、金融商品に使われている表現が適切なものなのかどうかというチェック――チェックと表現が適切かどうかは別として、もっと見直していく必要があるのではないかなというふうに感じております。

それから、野村総研の金子様の資料に関して4番目の点として、公募投信の8割が赤字というデータが示されていますが、これは投資家にとっては大変重要な問題でございます。運用の質の低下につながるおそれがあるということですので、大変関心を持たなくてはいけない問題だと思いました。

この点に関して質問なんですが、なぜ投信会社は、このような赤字経営を継続するということに甘んじていらっしゃるんでしょうか。どうしてファンド経営が赤字になってしまうのかを考えてみると、幾つかの要因があると思いますが、1つはアセットマネジメントというのは装置型産業でありながら多くのファンドが短命で、残高の大きい期間が短くて、あっという間に残高が減るということに関係していると思われます。次から次へとファンドを新設して、自分で自分の首を絞めているように見えますけれども、どうしてこのようなことが継続されているのでしょうか。

運用の外部委託についてご指摘があり、そのメリットも理解できますが、最近のファンドはファンド・オブ・ファンズのような箱貸しのものが増えていて、既にお持ちになっている運用部隊の能力を活用しないで、箱に甘んじる経営をされるというのはどうなのかなと素朴に思った次第です。資産運用というのは、日本の金融業の中でも今後最も力を入れて育成していかなくてはいけない分野だと思われますが、箱になることに甘んじていいのか。アジアに力を入れているというご指摘はありましたけれども、どうなのかなと思いながらお聞きしておりました。

この点については投信会社の経営者の方々への質問となりますので、次回以降にご見解をお示しいただければと思いますが、その際に、投信会社の費用構造というものもお示しいただければ、投信会社の経営環境について世の中の理解が深まると思いますので、より一層充実した議論ができて、投信会社が育つ環境整備という方向に話も発展できるのではないかと思っております。

それから、もう1つこの点に関連して、運用会社の受け取る報酬率が適正なものかどうかという問題も出てくると思っております。投資家の支払っている報酬率は値上がりしているのに、大半のファンドが赤字というのはどういうことなのかと思いながら資料を拝見しておりました。この点について、販売会社の取り分が増えているというお話もありますが、この指摘が正しいのかどうかということも、出てきているデータから私にはわかりません。信託報酬率の時系列推移のデータがここには出されていますが、この信託報酬率をブレークダウンしたもの、つまり、投信会社分、販売会社分、信託銀行分の時系列推移というものも出していただければ、もっと切り込んで議論ができていくのではないかなと思っております。

もしかしましたら、販売会社の取り分が増加している理由も、毎月分配型とかファンド・オブ・ファンズとか、ある意味手がかかるファンドが増えているということにも関係しているのかもしれません。一層の情報開示をいただけると、投資家としては、投資信託という商品に求めている本質的部分とは違うところにコストがかけられているならば、そういうコストが、自分にとって必要なものかどうかという判断もできると思いますし、また、だれにとってもあまり意味のないものにかかっている費用であるならば見直しをして、全員にとってウィンウィンになるような見直しもできると思います。運用報告書の見直しはそれに該当すると思います。そういったデータの提供があると、そのような生産的な議論に発展させることができ、もっと議論か深まるのではないかと思いました。

大変長くなりまして恐縮なんですが、村木委員の資料に関連して、村木委員にお答えいただかなくても結構なんですが、エクスペンスレシオについて、アメリカでは、この数字が開示されるのに、日本では開示できない技術的な理由がどこのあたりにあるのか、これは専門的なお話になると思いますので、ぜひ信託協会、投信協会のほうから、次回でも結構ですので、ご説明いただけたらなと思いました。

最後に、前回の議事録がもう既にアップされておりまして、ご覧になった方からぜひ投資信託協会に質問してほしいと言われたことです。前回、投信会社の役割はさまざまなリスクプロファイルの商品をそろえて投資家のニーズに対応することだとお話をされましたが、そもそも投信会社というのは、商品を設計するときにどういう投資家に売られるだろうかとか、どういう販売がされるだろうかということを想定してから商品設計をされているのでしょうか、それから、投信会社と販売会社の間の関係について、投信会社というのは部品の供給会社で販売会社が組み立て会社という関係なのか、いや、販売会社が代理に当たる関係なのか、どっちなんでしょうか、という質問でございます。ご回答は次回以降でも構いません。

大変長くなりました。以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

いろいろご指摘いただきましたけれども、ご要望のありましたデータ等につきましては、事務局を中心に関係の方々とご相談いただいて、対応していただくということにしたいと思います。

それで、いだたきました質問のうち、もしこの場で今お答えいただける点があれば、まず、お3人から、その後、投信協会からご発言いただければと思います。

金子さんからいかがでしょうか。

○金子野村総合研究所上級研究員

お答えさせていただきますというより、その場でなかなか、データ提供みたいなご要望もございましたので、なかなか答えにくいんですけれども、ただ1点だけ、この場をかりて申し上げたいことがあったのは、ファンド・オブ・ファンズで、実質的に箱貸しということで、内部に運用組織を持っているのに外部のリソースを使っているということなんですけれども、私は全くその認識を持っておりません。確かに、例えば債券チームを持っていても、特殊な債券の運用ができないので、それをファンド・オブ・ファンズにすると。一見、債券チームがあるのに、債券のファンドを、外のファンドを使ってつくるということはあるかもしれませんけれども、ちゃんと見てみると、それはやっぱりその運用会社ではできないと判断してのことだというふうに私は理解しています。

ですから、それは運用会社としてもみすみす自分たちのリソースが使えるのに外のリソースを使うということは、ほとんどないんじゃないかというふうに私は理解しております。

すみません、その場でお答えできる点、あと、いろいろな点、ご質問いただきました。例えば信託報酬が高いファンドというのは期待リターンが高いのかということなんですけれども、ざっくり言うと、そんな傾向はあるとは見ておりますけれども、詳しく分析したことがございませんので、おおむねそうなのかなというぐらいな感覚をもっているだけでございます。その場でお答えできるところとしてはこんなところでございます。

○神田座長

どうもありがとうございます。

お隣の村木さん、いかがでしょうか。特によろしゅうございますか。

竹川さんはいかがですか。よろしゅうございますか。

投信協会、いかがでしょうか。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

すべてお答えはできないんですけれども、要するに、運用会社として箱貸しファンドが増えていて、運用会社というのは自前のエンジンを使用していないのではないかというご指摘に関しては、例えば通貨選択型のファンドなんかというのを出している中におきましても、当然、自前の日本株のエンジンなんかを使用したファンドもつくっておりますので、すべてがすべて、今出ているファンドというのは外部委託のファンドじゃなくて、それで、その運用会社の特徴を生かしたファンドを出しておりますというのは申し添えておきたいと思っております。

それから、ファンドを組成するときにどういう投資家に売るかということに関しては、当然ながら、そこは想定した上で、ファンドというものの、当然ながらリスク・リターンプロファイルを考えた上で、この商品をどこ向けにというのは当然考えてやっているというのが実情でございます。特に、通貨選択型については、商品のリスク・リターン特性というもの、これ、きちんと販売会社に提示しまして、こういう商品ですよというのを提示するように、今回ルール改正を行いまして、やるようにしているということです。

具体的に、それがどのチャンネルのどこまでということに関して、直販をやっているものはわかるんでしょうけど、直販でないものはわかりませんけれども、その辺は、販社と相談して、販社が富裕層に売るのか一般のリテールの方に売るのか、それか機関投資家向けに売るのか等々はご相談の上に、商品というのは適宜供給させてもらっているというのが実情でございます。

ほかのことに関しましては、データの関係がございますので次回以降ということでよろしくお願いいたします。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは、ほかのメンバーの方。井潟委員、どうぞ。

○井潟委員

いずれの発表者の方々につきましても、大変わかりやすいご説明、ありがとうございました。

竹川先生に、幾つかの質問というか確認で、金子先生のデータと多少かみ合わない部分かあるのかなと感じたものですから、ご質問させていただきます。

先生の資料の7ページですね、販売主導による投資家視点の欠如というタイトルのページで、販売会社と運用会社の系列構造をご指摘されている点ですが、このあたりが現実とかみ合っているのかどうかという点について、やや違和感を覚えるということです。というのも、今申し上げたように、本日の金子先生の資料、20ページから21ページに、先ほども少し話題に出ましたが、日系の投信会社は、近年、運用のアウトソースを拡充している点と、そのアウトソースを通じて、個人投資家は世界のさまざまな運用会社へアクセスが可能になっているという点とを金子先生はご指摘されていました。

実際、私の所属する研究所の研究員も調べたんですが、この運用のアウトソースも考慮に入れると、日本の販売会社の上位10社が実質的に、純粋に系列のファンドを取り扱っている割合というのは、今や平均で26%でしかなくて、実質的に系列外のファンドを採用している割合というのは、この上位10社に関しての平均では74%にも及んでいるという、そういうデータになっています。すなわち、10本中7本以上が、実質的に系列外のファンドを取り扱っているという現実のデータのもとで、系列構造という資本の関係が投資家視点の欠如につながるというご指摘がなかなか飲み込みにくいんですけれども、その点について、金子先生のデータとあわせていかがでしょうかということです。また、何か実証的な分析を既に把握されているということであれば、ぜひご紹介いただければと思っております。

2つ目は、同じく先生の資料で、これは4ページになります。投信の売り手・作り手と受益者の利害の不一致というタイトルのページでございます。一番下の行に、コスト(購入時手数料、信託報酬)は年々上昇とあり、これを前提にきょうも議論されているわけなんですが、このご指摘されている点についてもやはり、先ほどの金子先生のデータとは少しかみ合わないという点で違和感を覚えたということです。

例えば、金子先生の資料の23ページ、24ページ、右側のほうですか、これは信託報酬率についていえば一見上昇しているように見えるが、それは残高全体で平均をとってしまうことから生じるいたずらのようなものだというふうにご指摘されているわけで、商品のタイプ別で正確に見ると、これは横ばいというふうに金子先生はご指摘しています。要は、車で言えば、多くの人が軽四輪を買って乗っていた状況から、一部排気量の多いファミリーカーとかセダンとかスポーツカーを買って乗り始める人が出始めたとしても、だれも車そのものが一般論として値段が上がってきたというふうには、普通は言わないということだと思います。車自体の機能の違いを無視して、その値段を全部混ぜて単純平均してしまうということで車の値段を語るということはなく、軽四輪は軽四輪としての値段、セダンだったらセダンの値段、スポーツカーだったらスポーツカーの値段と、それぞれ観察して、それが上昇しているか下降しているか、こういう見方をすべきということで、これを全部混ぜ合わせてしまい、単純平均をとってしまうという、こういう考え方はどうなんだろうかというふうに、日ごろから感じているところでございます。これは金子先生の33ページ、販売手数料、購入時手数料についても同じような議論が当てはまるんじゃないのかなというふうに感じております。

最後なんですが、これは先生の資料でいくと6ページになりますが、投信購入のきっかけ・・・勧められてが圧倒的、というタイトルのページについてです。投資信託を中核に、今、投資が広く一般国民に普及している米国の経緯を見ると、90年代の一時期、今でいうネットですね、非対面の販売チャネルというものが非常に拡大した時期がございますが、その後、きょう村木先生からもご指摘ありましたが、ITバブルの崩壊、それから金融危機などを通じて、最終的には、やはりまた米国の個人投資家の多くが対面に戻ってきている、対面が主流である、という点については、既に確認されて現在に至っています。投資大国とまで言われる米国でさえ、やはり対面によるコンサルティングや、アドバイスを通じた投信購入というのが当たり前という、そういう状況下で、ましてや日本において、証券会社や銀行等の人から勧められてという、こういう結果がアンケートのトップに出てくることについては、さほど大きな課題があるというふうには思わないんですが、この点について、先生はどういうふうに思っているのかなということです。

特に、先生もご指摘されましたが、アメリカの3大運用会社の一角であるキャピタルなどは対面一辺倒、非対面は絶対やらないということで、これは村木先生の資料にありましたが、EDジョーンズという、全米津々浦々に1,000店舗以上展開している証券会社が、キャピタルと資本関係はありませんが、相当強力な協力関係で積極的にキャピタルのファンドを売ってきたのは有名なんですが、その際、このEDジョーンズのアドバイス、コンサルティングといったものをベースにして、キャピタルのファンド、株式系のファンドで5.75%の販売時手数料、債券系のファンドで購入時販売手数料が大体3.5%から3.75%という、そういう数字になっているわけですが、これをもって、EDジョーンズ、あるいはキャピタルの活動がおかしいとか、けしからんという人がいないということも、認識しております。こういうことを踏まえまして、竹川先生から改めてご意見をお聞きしたいということでございます。

○神田座長

ありがとうございました。

それではどうしましょうか。竹川さん、もしお答えいただけることがあれば、お願いします。

○竹川LIFE MAP,LLC代表

どうもご指摘ありがとうございます。

まず1点目なんですけれども、系列の問題ですね。その後、言葉でも補足はしたかと思うんですけれども、系列の構造というのは問題の1つであって、外資なども含めて、販売会社の営業力に頼らざるを得ない。要するに、販社が投資家のインターフェースを一手に握っているので、販社が望む商品設計をせざるを得ない状況になっている、なりがちであるということが問題であって、その一環の1つとして、系列構造ということを挙げたつもりです。ですので、100%系列構造に依存していて、それが問題であるとイコールで言ったつもりではありませんので、まずそれが1つ目です。

2つ目につきましては、購入時手数料と信託報酬の上昇についてということですね。こちらについては、確かに金子さんからもご指摘があったように、タイプ別に見ていったら、そういう現状があるというのは理解しております。ただし、そういった、例えば複雑な商品であるとか、リスクの高い商品が増えてきていて、それに伴って、確かに手数料が上がってきているのであれば、先ほど永沢委員からご指摘がありましたように、ほんとうに手数料が上がって高いリターンを得られているのかどうなのかというのは必ずしもイコールではないと思っておりますので、そこはよく、検証していく必要があると思っております。

単純平均をしたというか、先日の12月16日の金融審議会の資料で、モーニングスターの代表取締役の朝倉社長なども挙げているように、確かに全体として手数料が上がっている現状については、個人的には問題だと思っています。それについては、タイプ別に見ていく部分も必要だとは思うんですけれども、個人投資家が資産形成、資産活用をしていく上で、コストというのは、実質的なリターンを考える上では、非常に重要な部分だと思いますので、ほんとうに高い手数料を払ってリターンが個人として向上しているのかどうなのかということもタイプ別に見ていく必要があるのではないかというふうに考えています。

それから3点目、投信購入のきっかけで、勧められてということで挙げているんですけれども、アメリカのエドワーズジョーンズの取り組みについては私も評価しております。基本的に私が言っているのは投信購入のきっかけで、店頭で勧められて買っている、要するに、株式と違って、投信の場合は自発的に買っている人ではなくて、勧められて買っている人が多いのは非常に問題だとは思っていますけれども、そことアメリカの現状で、エドワーズジョーンズなどがやっているようなコンサルティング営業を否定するものでは全くありませんので、そこの議論とは全く話が、今回については筋が違うものだというふうに考えています。

特に、独立系のアドバイザーであったり、エドワーズジョーンズがやっているようなきちんとした顧客目線でアドバイスをするということに対して対価を払うということについては、特に私は問題だとは思っていません。むしろ、日本の場合には、圧倒的に社員の営業マン、もしくは営業ウーマンが窓口、基本的に銀行、証券会社の店頭でセールスをしているという現状でして、アメリカのように、先ほど村木さんからもご指摘もありましたけれども、直販であるとか、独立系のアドバイザーであるとか、地域に密着してきちんと長期的にコンサルティングをやっているという現状とは、違う気がいたします。ですので、そこは切り離して、現状では社員の営業マンが勧めて買っているけれども、日本の場合にも、販売チャネルをきちんと多様化した上で対応していくことが必要なのではないかというふうに考えています。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

先ほど、井潟委員のご質問ですけれども、同じ組織に属されているということではないと思いますけれども、私、ほとんど反対の感想を持ちましたので、一言申し上げておきます。

金子さんに1つ確認ですけど、33ページ、タイプ別の販売手数料の平均値がありますけれども、そのご説明として、販売時の商品説明の手間がかかるがゆえにというふうに書かれているんですけれども、これは要するに、説明義務を果たすためにこの1%がかかっているというふうに分析されているということなんでしょうか。例えば、基準価格のうちの1%が説明義務履行のための費用だと、そういうご趣旨ですか。

○金子野村総合研究所上席研究員

お答えします。具体的な数字というのは、それがどれくらいの率に相当するかという感じのことは、分析は行っておりません。ただ、全般的に挙がっている原因を細かく、例えばより細かく、ファンド分類というのは、ある種、私ども、大ざっぱにつくった分類ですし、さらにそれを細かく見ていきますと、例えば通貨選択型なんていうのは、多分、1つの典型例だと思うんですけれども、いかにも販売時の説明が、手間がかかるなというファンドについては、手数料、今現在、断面で見てみますと、手数料が高い傾向があるのは事実でございます。ここで申し上げたのは、もともと高いようなタイプの投資信託ばかり売れる――ばかりというか、その販売額が増えたがために、加重平均をとると上がっているように見えるというようなことを分析しただけでございまして、それが、販売の説明の難しさが基準価格の何%に当たれば適切かということを分析したものではございません。

○神田座長

上柳委員、よろしいですか。

○上柳委員

はい。

○神田座長

ありがとうございます。

それでは、ほかにいかがでしょうか。

○沖本委員

時間がなくなってきたところで恐縮ですけれども、1点だけ意見を言わせていただきます。報告者の方からも似たような問題意識がございましたけれども、今後、投信市場が発達・成長していく上で、若年層、資産形成層の取り込みというのが不可欠なのではないかと改めて感じました。

その理由としましては3点あるんですけれども、まず1点目としましては、若年層の強みとして、積み立てていけるということがあると思います。村木委員の資料の4ページにありましたように、日本の投信の収益体系というのが販売フィーに大きく依存しているがために、流行に流される商品が多くなってきてしまっているのではないかなと思います。ですから、残高を増やしていける若年層を取り込めば、その結果、残高フィー重視の経営に移行でき、より安定的な市場が形成していけるのではないかと考えております。

2点目としましては、若年層は長期保有ができるという利点もあると思います。投資信託のひとつのメリットとして、分散投資効果があります。投信を利用して様々な資産に投資をするということで分散投資の効果が得られるというのは確かだと思いますが、その分散投資の効果は、単年だけで見てしまうとそんなに大きなものにならず、例えば10年、20年のスパンで長期投資をすることによって初めて大きな効果を持つと思います。そういった意味でも、やはり若年層を取り込むというのは重要だと思います。

最後の点としては、若年層を取り込むことによって適正な競争の促進といいますか、合理的な市場の形成にも役立つということがあると思います。経済学の原理によりますと市場は合理的ですので、基本的には市場に任せておけばうまくいくものが多いはずです。それにも関わらず、現在の投信市場が何らかの問題を抱えている理由としましては、参加者が合理的であるという条件が多少欠けているところがあるのではないかなと思います。投信市場の参加者が合理的で、例えば、複雑な商品やコスト構造をきちんと理解したうえで、多くの投信の中から最適な商品を選択できるということができれば、おそらく、あまり問題というのは生じないのではないかなと思います。そのような能力というのは、高齢層よりも若年層のほうがたけているのではないかなと思いますので、合理的な市場の形成という観点からも、若年層の取り込みというのが重要なのではないかなと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。吉野先生、お願いします。

○吉野金融審議会会長

時間オーバーしてすみません。一言なんですけど、前回申し上げましたように、やはり販売会社と運用会社と投資家が同じ目的に向かっていけるような制度でないと、やはりいろんなことをやってもうまくいかないんじゃないかと思いまして、次回で結構なんですけれども、先ほどの残高連動型のフィーではなくて、成功報酬型にして、それから、それぞれの商品を組成したときの、例えば説明コストとかコンピューターコスト、アナリストのコスト、これで固定費用は変わるわけですけれども、それ以外のところは成功報酬型にするという体系というのはできないのかどうか、ぜひ業界の方々、あるいは委員の先生方で教えていただければ。そうしますと、販売会社も、それから運用会社も、みんな同じ目的関数になりますから、そちらに向かっていくと。それがまさに合理的な市場を形成するような気がするんですが、よろしくお願いします。

○神田座長

どうもありがとうございました。

すみません、私の不手際で予定の時間を過ぎておりますので、そろそろと思いますけれども、もしどうしてもという方がいらっしゃったら、手短にとは思いますが、いかがでございましょうか。

河野委員、お願いします。

○河野委員

すみません。竹川さんがお話しになった、ではどうすればいいかというところで、運用会社と販売会社についての、まさにフィーの話であるとか、開示の義務の話であるということが書いてありますけれども、これができない理由を、ぜひ集約していただければと思うんです。あるいは時間がどれぐらいかかればできるのか、あるいはそうではないのかということも含めて、お願いしたいというふうに思っております。

○神田座長

ありがとうございます。

本日は幾つかご要望もいただきましたので、いただきましたご要望につきましては、事務局のほうでできるだけの対応をさせていただき、そのプロセスにおきましては、委員の皆様方、それからオブザーバーの皆様方にもお願いをさせていただくかと思いますけれども、何とぞ、日本の投信市場をよりよくするためということでございますので、ご協力をいただけましたらありがたく存じます。

また、時間の関係でご質問、ご意見、ご要望等を遠慮して言えなかったという方々もいらっしゃると思いますので、事務局のほうに後でお出しいただければと思います。また、この場でほかの方にも伝わるようにというご趣旨であれば、その旨言っていただければ、次回配付するなり、発言の機会を設けさせていただきます。できるだけ多くの皆様方からご意見をぜひいただきたいと思いますので、事務局までお寄せいただければありがたく存じます。

本日は、皆様方から大変活発なご議論をいただきましてありがとうございました。また、金子さん、村木さん、竹川さんにはお忙しい中大変貴重なプレゼンテーションをいただきましてどうもありがとうございました。金子さんと竹川さんには、今後も引き続き、またいろいろと教えていただく機会があろうかと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

次回でございますけれども、前回配付しました資料にもありましたが、投資信託制度改革の方向性の第1弾というか、第1回目として、国際的な規制の動向や経済社会情勢の変化に応じた規制の柔軟化等についてのご議論をお願いしたいと、現時点では考えております。

最後になりましたが、事務局からご連絡がありましたらお願いいたします。

○横尾企画官

ありがとうございます。次回ワーキング・グループの日程でございますけれども、早速でございますが、来週の金曜日、4月13日、14時からとさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

事務局より、以上でございます。

○神田座長

今後ちょっと開催の頻度が高まりますけれども、よろしくお願い申し上げます。本日時間延長した分はどこかでお返ししたいと思っておりますが、本日は時間を六、七分超過しまして申しわけございませんでした。

以上をもちまして、本日の会議を終了させていただきます。

どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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