金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第3回)議事録

1.日時:

平成24年4月13日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○神田座長

それでは始めさせていただきます。本日は投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループの第3回目の会合になります。毎週お集まりいただきまして恐縮でございます。皆様方には、いつも大変お忙しいところをありがとうございます。

お手元の議事次第にありますように、本日は、まず事務局から投資信託制度改革の方向性、その1として、「国際的な規制の動向や経済社会情勢の変化に応じた規制の柔軟化等」に関する論点について、30分程度となる予定ですが、ご説明をいただきます。その後、それぞれの論点について皆様方からご議論をしていただくという流れで議事を進めたいと思います。よろしくお願いいたします。

それでは早速、事務局からの説明をお願いいたします。

○横尾企画官

金融庁総務企画局市場課企画官の横尾でございます。

お手元の事務局説明資料に沿いまして、ご説明させていただければと思います。1ページおめくりいただきまして、「考えられる主な論点(投資信託マル1)」は、第1回の当ワーキング・グループに事務局より論点として提示させていただいた資料でございます。本日はこちらに掲載しております各論点の詳細について、ご説明させていただければと思います。一部検討が間に合わなかった論点もありまして、後日に回させていただく分もございますが、それでも多数の論点になってございますので、要領よく説明させていただきたいと思います。

もう1ページおめくりいただきますと、本日説明する事項でございます。大きく分けまして、書面決議制度、それから複数の報酬体系を同一投資信託内で運営することの容認、外部委託に関する事項、運用財産相互間取引の事項、それから混合出資・混合償還、その他について、ご説明させていただきます。

1ページおめくりいただきまして、3ページ、第1点目は、書面決議制度に係る事項でございます。投資信託の約款内容の重大な変更や投資信託間の併合を行う場合、投資信託の受益者の書面決議が必要ということですけれども、釈迦に説法でございますが、投資信託における約款は、委託者すなわち運用会社、それから受託者すなわち信託会社との間で締結される信託契約の基礎となるとなっております。しかし受益者は投資家であるため、この約款の変更は受益者にも影響を与えるということで、そこにありますように、重大な約款変更の場合には、受益者すなわち投資家による書面での決議を必要としているということでございます。

こうした書面決議が必要な局面はもう1つございまして、それが投資信託間での併合でございます。これらは中ほどの細字にあります投信法十六条、十七条に規定してあります。

こうした制度の中で課題は大きく2つあろうかと思います。まずは書面決議の必要なケースは何かという要否の問題、それからもう1つは手続の問題。前者の要否の問題に関していいますと、まず重大な約款変更の関係では、法律上は約款変更のうち変更の内容が重大なものが書面決議の対象となっておりまして、その重大な変更とは、そこにありますように商品としての同一性を失わせるものと規定されております。現行実務ではこれを保守的にとらえる傾向がございまして、形式的な変更以外については「重大な約款変更」に当たると解する傾向がございます。

ここで言います形式的な変更は、例えば会社の名前が変わるとか、あるいは法改正によって約款に引用していた条文の番号が変わるといったことは、書面決議を要しないことは実務でもそう解釈されているわけですが、それ以外についてどう取り扱うかが、ケースが分かれるところでございます。

次は併合でございます。併合につきましては、どのようなケースであれ、つまり実質的に受益者に影響がない場合でも、必ず併合する両方の投信で書面決議が必要となっております。委員の方から出された意見のペーパーにもありましたが、実質的に影響がないと考えるケースとしては、後ほど図解しますけれども、例えば業界再編によって運用会社がトピックスと同じ指数に連動する投信を複数抱えている場合、それを統合する場合や、あるいは2つの投信を統合する場合に、資産規模の格差によって、資産規模の大きい側は、ポートフォリオの変化は限定的であり、実質的には受益者に影響がないケースもあるのではないかと思います。課題の2つ目、グレーの部分の右側ですが、1つは「受益者人数要件」でございます。前提といたしまして、まず通常、投信は販売会社経由で販売されるわけですけれども、投資家がどこのだれで何口持っているという情報は、販売会社は把握していても、通常、運用会社にはその情報は行っていない状況にございます。よって書面決議の手続は、個人ベース、受益者ベースで行わなければいけませんので、販売者経由で行う必要がございます。ところが決議の結果については、個別の投資家の情報は顧客情報でもあるということで、なかなか運用会社に提供することは難しい現状がございまして、賛成・反対の口数のみが通知され、なかなか受益者ベースでの名寄せができないという現状がございます。

それから2つ目、「反対受益者買取請求制度」は、書面決議に反対した受益者には受益権の買取制度が存在しているわけですけれども、なかなか実務的には煩雑であったり時間もかかるということで、オープンエンド、追加設定可能な投資信託、解約がいつでも可能な投資信託という中では、なかなか活用されていない現状がございます。

こうしたことが相まって、一番下の箱にありますような問題が発生しているのではないかと考えております。投資信託の運営上必須でない限り、実務上、書面決議を要する約款変更を回避する傾向にあるのではないか。後の約款変更を避けるため、幅広な権限を認める形で約款の記載がなされる傾向にあるのではないか。あるいは書面決議制度の実務的な負担も、投資信託の併合が行われた実績がないことの一因ではないかということでございます。

ではどう対応するかということで、次の4ページ目でございます。一番上の箱を端的に言いますと、対応の方向性としては、現在の実務と乖離し、かえって制度が形骸化してしまっているということで、真に受益者の承諾が必要な局面、事項のみ、書面決議の対象としてはどうか。それで手続自体も見直してはどうかということでございます。

先ほど申し上げました4つの事項につきまして、対応の方向性、中ほどグレーの部分ですけれども、約款変更に対しては、まず商品の基本的性格という概念を導入して、この正確が変更のない場合、あるいは受益者の不利益にならない、利益になる場合は書面決議を不要としてはどうかと考えられます。それから併合手続の見直しに関しましては、それぞれの投資信託において、併合の前後で商品としての基本的性格に変更がないか判断する。変更がない場合は書面決議を不要としてはどうかと考えます。それから手続面のことですが、下の段、実質的に、先ほど申し上げたように、実務上名寄せがなかなかできないということで、決議に当たっては受益者ベースで半数以上の賛成が必要ということが課されておりますが、名寄せができない現状をかんがみますと、これを撤廃することも考えられるのではないか。また反対受益者買取請求制度も見直して、適用除外も考えられるのではないか。

さらに、こうしたことが投資運営の効率化に貢献したかどうかを、事後的にフォローアップしてはどうかとも考えます。具体的には、一番下の段にありますように、約款作成に当たって記載内容が実際の運用方針を反映した具体的な内容になったかどうか、あるいは投資信託間の併合が進んだかどうかを、いろいろ制度改正した後、何らかの形でフォローアップすることも考えられるかと思います。

5ページ目以降、今申し上げた事項をより詳細にご説明させていただきたいと思います。5ページ目は、まず「書面決議を要する約款変更範囲の見直し」でございます。現状と課題については、先ほど説明したところと重複するわけですけれども、受益者による書面決議を要する重大な約款変更は、商品としての同一性を失わせるものとなってございますので、たとえその約款変更に小さな相違があっても同一性が失われるともとらえることができます。したがって、そのように慎重に解釈すると、なかなかすべてのことを書面決議しなければいけないとなって、機動的な変更は困難になるという問題があろうかと思います。

これもどんなケースがあるかをご質問いただいておりますが、例えばそこに書いてありますように、信託報酬やその他の費用の低減、あるいは追加設定・一部解約の受付日の増加、それからオープンエンド投資信託の信託期間を延長する場合についても、重大な約款変更として書面決議が必要ととらえるケースもあるようでございます。

そこで検討の方向性でございますけれども、先ほど申し上げたことと重複しますが、投資信託の商品としての基本的性格を概念として導入し、それに変更が生じる場合は重大な約款変更であると明確化してはどうかと考えられます。それから今申し上げた商品としての基本的性格に変更が生じるとしても、その変更自体、受益者に資するもの、例えば信託報酬の引き下げといった場合には、書面決議を不要としてはどうかと考えられます。

留意点といたしましては、その商品の基本的性格にどういう判断要素を求めるかということかと思います。委託者、受託者の変更、あるいは投資方針の変更、分配方針や報酬体系、あるいはスキームそれ自体が、どの程度あれば商品の基本的性格に変更がないと考えるかというところは検討する際の留意点かと思います。それから、書面決議が不要となっても、売却機会の確保という観点からは、受益者に通知する必要があろうかと思います。それから、受益者に資するものは書面決議不要とした場合、それをだれが判断するか、受託者によるチェックも一案かと思いますけれども、そういったことも検討する必要があると思います。

次、6ページ目でございます。併合手続の見直しでございます。先ほど申し上げましたように、投資信託間の併合におきましては、併合前後で双方の投資信託について受益者による書面決議が常に必要でございます。したがいまして、商品の基本的性格が維持されていたとしても、書面決議が必要ということになります。

これに対しまして、検討の方向性として、そこに掲げていますように、それぞれの投資信託において併合前後で商品としての基本的性格に変更がないか判断する。その上で、それがない場合については書面決議を不要としてはどうかということでございます。

その際の留意点としては、基本的性格に変更がないかを約款上確認したとしても、それ以外で考慮すべきものがないかということでございます。例えば、その併合の前後で約款上の投資方針は変化していないとなっても、実際のポートフォリオは変化する場合がございます。このポートフォリオの変化の大きい場合は、基本的性格に変更があったと考えるべきかどうか。あるいはこの点のセーフハーバーとして、吸収合併のケースを想定すると、一定規模以上の資産規模の格差がある場合は、吸収する大きいほうの投資信託については、ポートフォリオの変化は限定的として、商品の基本的性格に影響を及ぼさないと考えることもできるかと思います。すなわち大きいほうでは書面決議が不要ということも考えられるかと思います。

そのほかの留意点としましては、信託報酬を下回るというか引き上げないことを要件とすべきかということもあろうかと思います。それからコストの負担、あるいは売却機会の確保のため事前通知を必要とするかどうかが、留意点としてあろうかと思います。

次、7ページ目でございます。書面決議制度の今度は手続の話でございます。まず左側、受益者人数要件についてでございます。これは現行の制度におきまして、書面決議においては、議決権すなわち口数ベースで3分の2以上の賛成が必要でございますが、それに加えて受益者ベースでも半数以上の賛成が必要となってございます。ところが、先ほど説明申し上げましたように、実際には運用会社が受益者ベースでの名寄せがなかなかできないということから、この条件を確認することが難しいという問題がございます。

そこで、検討の方向性としては、議決権ベースで3分の2以上の賛成を得ることとは別に、少数受益者保護という観点からですけれども、現行の制度を維持すべきか、あるいは3分の2以上の賛成を得るという条件をもって議決を勘定させることも考えていいのではないかということでございます。

留意点としては、既にみなし賛成制度、反対という趣旨表明をしない限り賛成とカウントされる制度が導入されているところでございます。

次に、資料の右側、「反対受益者買取請求制度の見直し」でございます。こちらもまず制度を説明させていただきますけれども、書面決議に反対した受益者は、受託者すなわち信託会社サイドに対して受益権の買取請求を行うことができます。これは矢印の1つ目に書いていますように、クローズエンドとか解約日の限定されている場合には有効な換価手段と考えられます。他方、基準価額が毎日設定されていて随時解約も可能というオープンエンド型の場合、むしろ今申し上げたような手続に乗るよりも、証券会社を通じて通常の解約・買取手続、運用会社に対しての解約・買取手続を行っていただくほうが、迅速な対応が可能という現状にございます。こうした場合に限って、あえて反対受益者買取請求制度を適用させることが必要かどうか、実務的には制度で規定されている以上、そこの事務ルートにも対応できるような体制を整えることが必要ですから、追加的な事務コストが発生しているわけですけれども、それが必要かどうかは改めて検討する事項かなと思っております。

留意点としましては、信託財産留保金をどう考えるかということがあろうかと思います。

以上が、書面決議制度に関するお話でございまして、資料8ページからはちょっと違う話になってございます。

資料8ページは、同一信託内における複数の報酬体系の容認でございます。制度といたしましては、現状、委託者指図型投資信託、通常の投資信託でございますけれども、これは受益権を均等に分割する必要がございます。均等という意味は、投資方針だけでなくて、信託報酬体系も全受益者にとって均等である必要ということになってございます。

したがいまして、実務的には、右の図のように、信託報酬のうち販売会社向けの手数料が違う、しかしながら投資方針は同一といった場合には、それぞれについて投資信託を組成して、そこから親ファンドに資金を投資して合同運用する形で実務は運営されております。この場合、それぞれのファンドについて監査報酬等の固定費がかかるということがございます。

改正の方向としては、例えば右図の下、1つのファンドでこれらをまとめて運用できるようにすることが考えられるかと思います。こうすることで、例えば信託報酬のうち販売会社分を差別化するということもございますし、保有期間、保有残高連動型の報酬と固定報酬を1つのファンドで運営する、あるいはリテール向け、機関投資家向けといった設定の異なる信託報酬を1つのファンドで運営することが可能になろうかと思います。

海外では、米国ではこのような販売手数料の相違に基づく複数の受益権を1つのファンドで運営することが可能でございます。ヨーロッパにおきましては、もう少し制約が緩いようでございまして、アンブレラファンドといって、投資方針が異なるものも1つのファンドで運営することもできるようでございます。ただし勘定は分けているようですけれども、そういった制度がございますが、今回認めるとすれば、信託報酬に代表されるような、認めても利益相反性がそれほど懸念されない、その可能性が低い事項、ほかにもあるかもしれませんが、そういったものについては複数の異なる受益権を1つのファンドで運営することも認めてはどうかということでございます。

資料の9ページでございます。次に、「外部委託に関する規制の明確化」でございます。現状と課題といたしましては、現行制度では委託会社の運用指図の権限は、すべてを委託することはできないことになってございます。右側に法律を書いておりますけれども、逆に言うならば、一部なら外部委託が可能となっておりまして、しかしながらその際の委託先を規制していたり、あるいは忠実義務、善管注意義務等の責任を規定しております。他方、運用以外の業務につきましては、外部委託に関する明文の規定はございません。この点につきましては、一部の実務サイドからは委託の可否について明確ではない、あるいは責任関係については明確でないといったご指摘をいただいております。

しかしながら、監督指針におきまして、左側の箱の上にありますように、金融商品取引業者は、顧客保護及び経営の健全性を確保する観点から、一定のリスク管理体制を構築するといった点に留意しつつ、事務の外部委託ができることが可能と規定されております。この場合も、委託事務に係る最終的な責任を免れるものではないことも書かれております。

したがいまして、当然でありますけれども、投資信託委託会社も金商業者でございますので、まず外部委託が可能ということで、その上で現行法令上も、当然、外部委託元である運用会社は外部委託先に対して監督責任がある。さらに外部委託先の過失によって生じた損害については、一義的には運用会社が賠償責任を負っていると解されるかと思います。投資信託の事務委託に限ってこうした解釈を法令の形で明らかにする必要があるかどうかということですが、一般的な委託について当然に帰結する解釈であるようにも思えますので、ここは今後検討ですが、法制化というよりも、ほかの手段を考えるべきかとも思っております。

留意点でございますが、冒頭申し上げましたように、運用指図についてはいろいろな規定がございますが、一般的な事務の外部委託についてまで特別な法的義務、例えば善管注意義務とか賠償責任を規定することは過剰ではないかとも考えられます。

次、10ページ目でございます。「運用財産相互間取引の容認範囲の明確化等」でございます。まず運用財産相互間取引をご説明申し上げますと、釈迦に説法でございますが、運用会社は複数の投資信託を運営している場合がございますので、ある投資信託の中にある財産、例えば有価証券等を自分が運営している別の投資信託に対して売り買いすること、ファンド間で売買を行うことでございます。こうしたことは金融商品取引法上、原則禁止となってございます。

ただし1つ目の人差し指矢印にありますように、例外がございまして、取引対象が公正な価額により取引されることが1つ目の条件として、例外的に以下の取引が容認されてございます。一方の運用財産の運用を終了させるといった、運営上やむを得ない取引の類型、それから双方の運用財産について、その取引を行うことが必要かつ合理的と認められる場合、またそれとは別途、投資家の同意をすべて得ている場合にも容認されるということでございます。

2つ目の、必要かつ合理的ということにつきましても、監督指針等でどういうケースがあるかを例示してございます。ただこの例示させていただいたケース以外であっても、例示である限りはほかのケースを考えられるわけですけれども、なかなか実務サイドにおいては例示以外のものは対応しにくい。例示に該当しない場合には、結果として運用財産相互間取引となるような取引までも回避しようとしてしまう。どういうことが行われているかというと、同一証券の売りと買いであっても、この規定に抵触しないためにわざわざ発注時期をずらすという、慎重な対応がとられている運用会社もある模様でございます。

こうした非効率は直していくべきかと思っておりまして、検討の方向性としては、いろいろ書かせていただいておりますけれども、要するに例外についての例示を増やしていく方向で考えてはどうかと思います。

留意点としましては、仮に幅広くいろいろ広げるという方向になると、投資家による事後チェックを可能にする必要があるかということがございます。

それから11、12ページは今申し上げた運用財産取引の規定でございまして、13ページは「ETFにおける金銭と現物の混合設定・償還」というテーマでございます。現行法令上、投資信託の設定においては償還も含めて現金により行う金銭設定・金銭償還が原則でございます。ただ例外的にETFにつきましては、機関投資家が設定する際に現物での設定あるいは現物での償還が容認されておりまして、ただしこの場合でも両者、現物と金銭を混合して設定・償還することは原則認められておりません。

こうしたことでどういう問題があるかというと、配当落ちの関係でETFができなくなる期間が存在することでございます。ちょっと細かい話になるんですけれども、13ページの右側の表を見ていただければと思います。まずX日に10円の配当が見込まれ、現在、X-4日に100円の時価がある株価を想定いたします。市場で株式を売買しますと、その決済は3営業日後となりますので、逆算しますと、配当まで含めた100円で売買されるのは、X-3日までとなります。それ以降は、配当が実際に支払われる日の当該株式の保有者、売った方になりますが、その部分は配当として入ってきますので、差し引いた90円ということで取引されます。

他方、ETFの現物設定の場合には、設定の申し込みをした翌日に当該ETFのファンドに対しまして、構成している株式銘柄を拠出する必要がございます。そうなりますとETFの取得のために機関投資家が保有していた現物の銘柄をファンドに拠出しようとして、思い立ったのがマル1もしくはマル2、そうするとファンドに渡すのがマル1´もしくはマル2´ということで、X-1かX日にファンドに株式を渡さなければいけませんが、そうすると時価は90円として扱われることになります。この価格は片方が後日配当を受け取ることを前提にしておりますので、その配当をもらうのはだれかと申しますと、拠出を受けたETF側のファンドになります。

もう1つのケースですけれども、ETFの拠出ではなくて当該株式の売却を考えますと、売却価格自体は時価の90円でございますが、先ほど申し上げましたように、3営業日後の決済でございますので、配当が落ちるその日自体は投資家に10円入ってくることになります。こうしたことで、この前後で投資家がETFを設定しようとすると、売却に比べて10円の損失が出ることになります。したがいまして、このような期間はETFの設定・償還が行われない。また約款上、停止期間を設けていることが多いようですけれども、実質的にETFが設定できないことになってございます。さらにETFとなりますと、銘柄、構成指数に連動する場合が多うございますので、指数の構成銘柄が非常に多数である場合、こうした期間が1年の過半を超えることになるようでございます。弾力的なETFの設定を認めるためには、こうした配当落ち銘柄について現物ではなくて金銭で代替することを認めてはどうかということでございます。

最後、14ページ目、その他の検討事項でございます。第1回で私どもよりご提示したもの以外を掲げております。第1回に実務家サイドからいろいろな要望を出していただいて、机上配付もしておりましたが、多くはこれまで説明した事務局提案と重なりますが、それ以外に制度的な対応を検討してはどうかと考える事項、特に主な事項を抽出させていただきまいた。

1つ目は、価格調査制度の見直しでございます。こちらも簡単に言いますと、現在投資信託が取得する資産については、価格調査、公認会計士等の第三者の価格チェックが必要となってございます。一部上場有価証券等については適用除外となっておりますけれども、そのほかの客観的に価格が決まるような取引についても、価格調査制度が適用されて、コスト増になっているという指摘もございます。そこで価格についての客観性があり、取引の公正性が担保できるような場合には、こうした調査対象から外してはどうかという論点でございます。

2つ目は、利益相反のおそれがある場合の取り扱いでございます。現行制度では、利益相反のおそれがある行為につきましては、運用会社がすべての受益者に対して遅滞なく書面を交付する必要がございます。ただ公募信託の場合、投資家の数も非常に多いということで、なかなか逐次で通知を行うことは実務上困難という指摘もございます。そこで逐次ではなくて、一定期間ごとにまとめて報告することも認めてはどうかということでございます。

3点目は、金銭信託規定の例外でございます。先ほどご説明しましたように、投資信託はETFを除いて金銭設定が原則となってございます。ただし一部機関投資家の中には、保有する有価証券等を現物のまま投資信託として追加設定したいというニーズもあるようでございます。こうした場合は、価格の評価が非常に重要になってくるわけですけれども、有価証券など容易に時価評価ができるものであれば、現物拠出による信託設定を可能にしてはどうかということでございます。

最後にMRF、MMFについての措置でございます。MRF、MMFは日々決算を行い、上がった収益を当日中に分配または再投資に回すことによって、毎日基準価額が維持、1口1円として固定されております。こうしたことに対応して、システムも基準価額は1口1円を前提に構築されております。この場合、債券が何らかの理由で突発的に価値が毀損するような事態がありますと、今申し上げたような1口1円というものが割り込む可能性があります。そうなりますとシステム上なかなか対応できないということで、追加設定や一部解約等を手作業で対応せざるを得ないことが想定されます。このような特殊な場合に限って、受益者の円滑な解約手続等を目的とした運用会社等による既存運用財産の買い取りを認めてはどうかと考えます。これは損失補てんの規定がございますので、その適用除外と考えてはどうかと思っております。

多くの論点を駆け足でご説明させていただきましたけれども、私からは以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

若干技術的というか細かい論点も含めてたくさんご説明をいただきまして、ありがとうございました。本日はあと残りの時間は、皆様方からご質問、ご意見をいただきたいと思います。今日はちょっとやり方を変えて、せっかくワーキング・グループにおいでいただいておりますので、まずメンバーの皆様方からお一人ずつ順番に、簡単にご意見、気がつく点だけでももちろん結構でございますので、ご意見をお述べいただいてはどうか。それで一巡をした後で、さらに追加でいろいろご意見をいただける方には存分にお出しいただくということで、やってみようかと思います。

どちら側からかということがございますけれども、お差し支えなければ、あいうえお順で、井潟委員からまず行ってみてはいかがかと思います。いかがでございますか。

○井潟委員

承知いたしました。

大変わかりやすいご説明をありがとうございました。いずれの論点も、投資家保護から逸脱することなく投資信託運営の効率性の向上を図るものと、考えられるのではないかという点で、望ましいという意見を持っております。投資信託運営の効率性向上は、最終的には投資家にメリットとして還元されるはずだという点と、国際競争力上の向上の観点という方向からも望ましいのではないかなと思っています。

特に注目しているのは、1つはファンドの併合です。少し前のデータになりますが、2005年くらいだったと思いますが、アメリカでは年間でたしか200本以上の併合が行われていました。ごく普通の実務として進められています。日本の投資信託実務が最も遅れている分野の1つだと言われているのが、ここの部分だと認識しておりますので、この点が改善されることは非常に大幅な前進になっていくのではないかと思います。

またもう1つあるのは、運用会社の機能分化や各種業務への新規参入を促進するための、管理業務を含めた外部委託に関する規制の明確化についてでございますが、これも各プレーヤーがミドルやバックの業務も含めて自分の得意とする機能を他者にも開放することで、規模の経済の追求などが非常にしやすくなること、引いては自分の得意とする専門機能をより向上につなげていくことができる点で、個社というより業界全体の業務効率の向上、コストの削減につながってくるのではないかなという点では、非常に期待したいと思ってございます。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは石黒委員、どうぞ。

○石黒委員

ありがとうございます。

全体感につきましては、私も井潟委員がおっしゃったのと基本的に同じ方向でございまして、不必要な制約があるものについては、そこを合理化、柔軟化することによって、制度全体のコストやフレキシビリティーを向上させるということで、投資者を含めた関係者全体の利益に資するような方向で考えていくことは結構なことだと思っております。

個別のことについて簡単にコメントさせていただきますと、1つは受益者、書面決議制度について、「商品としての同一性」という概念に変えて「商品として基本的性格に変更がない」という新しい概念を想定されているんですが、素朴に考えて、どっちが広くてどっちが狭いのかよくわからないなということがございまして、例えば人の同一性が変わらないという表現を考えると、よほど変わっても同一性は変わらないのではないかという意味で、「同一性」というのは相当広い概念に使われる場合もありますので、これは言葉の問題というよりは、結局は解釈上、疑義が生じない手当てがどのように確保されるかが重要であろうと思っております。

その場合に、やはり一般的な傾向としては、ハードローでそれを提示しようとすると、どちらかというと手堅い方向に行く、狭くなっていく方向になっていくのかなと思われます。もちろん適切な狭さであればいいんですけれども、そこが少し必要よりも多目に手堅く狭くなっていくことがあるとすると、せっかくの制度改革にとってどうなのかということで、これはソフトロー対応も含めて、規制の合理化・柔軟化という大きな改正の方向性の中で考えていってはどうなのかと思います。

それから、書面決議を不要とする場合における事前通知の必要性につきましては、どの程度、「同一性」の範囲を広くとるのか、狭くとるのかということとの相関関係だと思うんですが、比較的広い形で「同一性」を提示していく場合には、多少「不利である」と受け取る方が出てきそうな場合でも「同一性」は失われないということになりますから、事前に通知を要求する必要性が出てくると思いますが、そこも兼ね合いの問題になってくるのかなと思います。なお有利変更の場合は事前の通知は程度の大小にかかわらず一切不要ではないかと思います。

それから、併合手続の見直しでございますが、併合手続のニーズの根源のところで、生理的な要因、病理的な要因という言い方をしますと、今ざっくり言って日本の投信の状況は数が多過ぎるという印象がございまして、新しいファンドがしょっちゅう設立されて、しょっちゅう新規の販売が行われて、それで現存のものが小型化し、中長期的には投資のビークルとしてなかなかうまくワークしていないという病理的状況が見られるのだとすると、そういうバックグラウンドの中で小型になってしまったファンドがたくさんあって、それを統合していく手だてを導入するといっても、原因が直らないとすればあまりどうなのかなという見方もあり得る。ただそういった病理的なものは別として、生理的にもこういった併合という形で合理化を図っていく必要がございますので、それについては全く異論はないということでございます。

6ページに例示として約款上は相違がないとしてもポートフォリオの変化が大きい場合は、基本的性格に変更があったと考えるかという質問が挙げられていますが、私はよくこれがわからなくて、約款に相違がないとすれば、もともとそういったポートフォリオであったとしてもおかしくなかったわけですし、これからそういうポートフォリオになることも元々許容されていたわけでありますので、いわば併合という組織的な行為によって、元々の許容範囲内で新たなポートフォリオを取得しただけと見ることができるような気がいたしまして、そうだとすると特にこれはそのように考える必要はないのではないかと思いました。

書面決議制度の受益者人数要件の撤廃については、異存はございません。

買取請求制度につきましても、解約、買い取りが随時可能な場合を前提としますと、特に投資者保護の観点から大きな問題はないと思いますので、ここも合理化する、柔軟化するということで、結構だと思っております。

それから報酬体系につきましては、例示されているようなケースについて、複数種類受益権を容認していく方向に賛成でございます。8ページの例示のところで、リテール向けと機関投資家向けで報酬体系が異なる場合という書き方をされていたかと思うんですが、これはちょっと意味がわからなくて、大口と小口で報酬体系が異なる場合ということではないかと思うんです。投資家の属性によって報酬を変えていくのはおかしいのではないかと思いました。

それから投資方針の異なる種類受益権については、海外でも見られるというご紹介ではございましたが、やはり分離管理とか、投資家が誤解しないような情報開示とかいう点でむずかしい面がある一方、どの程度のニーズがあって、どのようにきちんとできるのかなと、ちょっと実感がわかないという感想でございます。

それから外部委託が可能であることを、明らかにすることが望ましいということはそのとおりだと存じますけれども、9ページの検討の方向性にも法制化になじまないかという括弧書きがございますが、明確になりさえすればいいという性質のことであると思いますので、必ずしも法律、ハードローでやる必要はないのではないかという感想を持っております。

運用財産相互間取引ですけれども、運用の実態において不都合があるということでございますので、取引内容と理由の開示をきっちりと義務づけて、事後チェックが可能になることが重要だと思いますが、その前提であれば大きな問題はないと思いますので、これについても賛同いたします。もともと現行法でそうなっているんですけれども、投資信託運営上やむを得ない取引類型と、「必要かつ合理的と認められる場合」を分けて書いてございますが、これの区別もちょっとよくわからない面もあって、「必要かつ合理的であれば」で統一できるような話かもしれないという気がいたしております。

混合出資・償還につきましても、この方向で結構だと思っておりますが、配当権利落ちの場合を特に分け出してご説明いただきましたけれども、価格の公正性と透明性があればこの場合に限定する必要はないということで、一番後ろの14ページの「6その他の検討事項」の(3)で書いていただいておりますように、外国投信などは、必ずしも金銭設定・金銭償還が要求されていないけれど、特に問題なく回っていると思いますので、そちらの方向で考えてよろしいのではないかと思っております。

大体以上でございます。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは上柳委員、いかがでしょうか。

○上柳委員

恐れ入ります。多々意見を言わなければいけないところなんですが、今日永沢さんがペーパーを配付されておりまして、基本的に私も賛成ですので、2点だけつけ加えといいますか、指摘させていただければと思います。

いわゆる約款の変更とか併合について、事前告知とか、あるいは買取請求権であるとか、現在もあるわけですけれども、この制度は基本的に残すべきだろうと思っています。石黒委員のお話にもありましたけれども、約款変更の重大性にしても、あるいは商品の同一性にしても、それから今回提案されている基本的性格についても、いずれも解釈あるいは運用に幅があり得る概念ですので、最終的には市場がといいますか、あるいは受益者が納得するかどうか、選択することになるわけで、最後の手段として、売却するだけではなくて、買取請求権の行使も権利としては残されるべきだろうと思うところです。

その関係で、永沢さんのペーパーにもありますが、会社の簡易合併は参考になる手段だろうかと思います。ただ注意しなければいけないと私が思いますのは、会社法には、例えば差しとめ請求権はほとんど使われないわけですが、最後の安全弁としてのそういうものが制度としてあります。

それから大きな違いとして、取締役を選任する権利が株主には会社のほうにあると。投資信託契約型の受益者には、ファンドマネジャーを選ぶ権利は、変更したり、選解任したり、解任したりする権利はないわけです。最初に選ぶというのはあるかもわかりませんが、そういう意味で相当違うわけで、今日の事務局の説明資料の6ページでしたか、アメリカのミューチュアルファンドの例が挙がっていますけれども、その中のマル2で、アメリカのミューチュアルファンドの場合、独立取締役がいらっしゃるところはやはり大きな違いではないかと思っています。

そういう意味では、私個人的に理論的な整理としては、いわゆる会社型に日本でも法制的にも誘導していく。契約型はあくまでもシンプルで、報酬の複線化とかもありましたけれども、そういうわかりにくいことをやめて、なるべく販売時の説明義務に負担がかからないようなシンプルなものにしたほうがいいのではないか。難しいものというか、いろいろ高度なことをしなければいけないのは会社型にしたほうがいいのではないか。場合によって、今たくさんのファンドが残っていまして、これをある意味では救済的に合併しなければいけないとしたら、それを時限的に許容していくというのはあるかもわかりませんが、そのように思っています。

以上が投資者保護からの観点で、そういう意味で言うと、永沢さんも受益者に利益となる変更についてはいいのではないかとおっしゃっていて、私もそのようになるわけですが、ただ一歩進んで全体のシステムから考えると、そうでいいのかと。確かに例えば合併をする場合に、大きなほうのファンドは変化がないからいいということになるわけですけれども、小さなほうのファンドにしたら救済されるわけです。投資者保護の点から言えばあまり問題がないようですけれども、全体のシステムから言えば、何かすごく後発のオプションといいますか、恣意的なイベントによって、極端を言うとモラルハザードになるという面も含めて、あるいは事前に予測がしにくいという面があります。合併とか併合、あるいは約款変更をしやすくすると、ますます当初の購入のときの計算可能性が低くなると、これは経済合理性からいうとどうなのかなという気がしています。

もっと言えば、前回ご示唆がありましたけれども、いわゆる出来高報酬制のようなことを促進することで法制的な整備が必要であれば、それをするとか、あるいは出来高報酬制にも弊害があると私は思いますので、弊害防止措置を講じて、市場が、あるいは受益者と運用会社との、あるいは委託会社との利益が一致するような商品設計をするほうに頭を使うべきではないかと思いました。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、大崎委員、いかがでしょうか。

○大崎委員

まず今日の検討課題に上がっているものを考える上で、全体を通じて申し上げたいことが2点ございます。

どうしてもこういう書面決議とか、あるいは種類受益権という、一種の組織法制的なものを考えるというと、会社法とのアナロジーが気になってしまう方が多いのではないかと思うんですが、私は投資信託と株式会社を同列に考えるのは、非常にミスリーディングなのではないかと思っております。まず株式会社の場合は、株式会社の事業を支配したいという目的で、その株式を取得する人もいるという、支配証券性のある株券を発行しているという点がありますが、投資信託の場合は、基本的に投資のため以外の目的で取得する人はないことが大前提になるはずであります。その辺、注意しないと、ご説明の中でも例えば少数受益者保護とかいう言葉もあったんですが、私は正直、多数受益者と少数受益者の利害が対立する場面というのが、どっちももうけたいと思っているのに、何が違うのかという印象を正直持っていまして、ですからあまり会社とのアナロジーにこだわり過ぎると重装備になり過ぎる危険性があると思っております。

もう1つ、これも結論は同じことになるんですけれども、現状販売されている投資信託の中にオープンエンド型が非常に多いことも忘れてはいけないと思っていまして、実は私は個人的にも持っていた投信が償還になるという事態に直面しまして、買取請求権等もあることを知ったのでございますが、何をしたかというと、早速解約してそれで終わりということでございまして、やはり随時解約ができるものと、そうでない、組織の変更等があると大きな損害をこうむりかねないものとの区別が必要で、私は法令が複雑になるのは好きではないので、法令上オープンエンドに固有の法制をというのは、言いたくないんですが、しかしオープンエンドにだけ適用されるような例外も十分検討の余地があるのかなと思います。

各論についても何点か申し上げたいのですが、第1は、書面決議の要件についてですが、先ほど申し上げたとおりで、少数受益者保護というのは私はどうもぴんとこないので、受益者数ベースの要件はそもそも不要なのではないかと、まず思います。

2番目に、併合についてですが、私は提案されていることに基本的に全部賛成でございますが、ただ1つ注意が必要かなと思っていますのは、おそらくこれらの手続が整備されただけでは、なかなか実際の併合は進まないのではないか。とりわけ私が気にしていますのは、投資信託経理における個別元本の算定をどうするかという問題。これは課税との絡みで実務上は大きな障害になるのではないかなと憶測しております。例えば、自分の頭の中で考えて、みなし売却みたいな制度をつけて、併合日をもってなくなるほうの投資信託、どちらかの投資信託はすべて売却したものとみなして、そこで個別元本を算出し直してということも考えたのですが、これをやりますと、キャッシュフローがない中で課税が発生するおそれがありますので、この辺、十分ご検討いただかないと、いろいろ手続を整備したのに、結局、全然併合が進んでいないではないかということが起きる可能性は重々あると思います。

3つ目でございますが、種類受益権について。これも趣旨としては、私はそんなに問題はないと思っています。さっき上柳先生がおっしゃったのとはちょっと逆の印象を持っていまして、実はファミリーファンド方式が、マザーファンド方式は結構複雑で誤解を生んでいるのではないかと私は個人的に思っていまして、自分自身が投信を買うときに、これを買おうかなと思うのを見て、純資産額が3億円しかないとかいって、ぎょっとして、よく見ると別のところに大きな固まりがあって、全部同じマザーファンドを買っているなんていうのがあるわけです。また運用報告書を見ても、何を持っているんだと。マザーファンド受益権100%と書いてあり、何だこれとびっくりすることもあったりして、私は、これはむしろ種類受益権にしたほうがすっきり整理がつくのではないかと思っております。ただし、種類受益権の法律的な中身について、あるいは構成について、多々説明をしたり、開示をしたりすると、かえって投資家は混乱して、何かよくわからないけれどもそんな複雑なものは買いたくないとなるおそれが多いので、開示の方法等は重々気をつけないといかんなと思っております。

それから運用財産相互間取引についてですが、私はそんなに大きな問題ではないと思うんです。それでちょっと気になったのは、先ほどの会社法とのアナロジーとも関係するんですけれども、私は投資信託の場合の受益者保護の1つの拠点は、受託者ではないかなと思っております。例えばそういう著しく問題がありそうな取引を委託者が指図したような場合には、受託者に何らかの判断をさせるほうが、事後的にその受益者に開示するよりも実践的なのではないかなと率直に感じます。ついでに言えば、先ほど上柳先生から会社法のほうがファンドマネジャーではないですけれども、取締役を選べるなどの意味で守られているのではないかとご指摘があったのですが、だからこそ受託者が置かれているのが投資信託制度だと私は思うので、別に受託者にものすごく重い負担をさせるわけではないのですが、明らかに問題がありそうなものについては、何らかのことをしていただくことにしておけば、事後的な開示に頼らなくてもいいのではないかなと思いました。

最後に、先ほど石黒先生がおっしゃったことと、やや重複するのですが、13ページで提示されているETFにおける金銭と現物の混合性云々ですが、これは14ページの(3)番に出ている「金銭信託規定の例外事例の拡大」の一部で本来はあるべきだなと思っています。私は正直、なぜ投資信託は金銭信託でなければならないかというのは、考えれば考えるほどわからないなと思っております。ここでは、機関投資家向けであれば、当該機関投資家が保有している有価証券の現物拠出を認めていいとなっているのですが、なぜ機関投資家であればなのか、正直よくわかりません。容易に時価評価できる資産であれば、それらの現物を用いて投資信託受益権を取得することが一般的に認められて、なぜいけないのだろうか。もちろんそれは実際に販売会社がそういう取引を喜んでやるかどうかは別問題ですが、法的にそういう取引はけしからんと言う意味はあまりないのではないかなと、せっかくこういう問題提起があったことですから、金銭信託性についての見直しまで、思い切ってやってもいいのではないかと思った次第でございます。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、沖本委員、いかがでしょうか。

○沖本委員

私は経済を専門にしておりますので、法令の細かなところに関しまして大きな意見はございません。ですから、いずれの論点に関しましても、おそらく細かに詰めるところ、詰めなければならないところはあるとは思うのですが、大筋異存はございません。

ただ1つだけ意見を言わせていただきますと、小規模ファンドの併合を推進する箇所でございますが、小規模ファンドの併合を容易にすることによって、より効率的な運営が行われる環境を整えることは、非常に重要なことだとは思っております。しかしながら、前回のワーキング・グループですとか、先ほどの石黒委員の意見にもございましたが、小規模ファンドの乱立という問題の根本は、新商品が開発、販売されては、その多くが小規模化していくということにあると思います。ですからその流れをとめていくことが重要ではないかと思います。併合を容易にする規制緩和を行うことによって、そのような問題が軽視されることのないように注意する必要があると感じております。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは、川波委員、いかがでしょうか。

○川波委員

審議会の大きなテーマとして、国民に対して有利な資産形成のための商品設計、そのための制度改革等、非常に重要な課題があって、その中において今回提起されているさまざまな論点は、極めて重要でかつ網羅的であるという感想を持ちました。

1点、私自身がどういうふうにイメージしたらよいかわからない点がございますので、それをご指摘して私の感想にかえさせていただきたいと思います。同一の投資信託における複数の異なる報酬体系ということなのですけれども、信託報酬がある種の階層化と申しますか、あるいは体系化されるというときに、それをどのような基準で分け、それぞれ報酬の根拠とするかということが、ペーパーを読んだだけで私のイメージがわかないものですから。

ここに3つほど例がございまして、リテールか、機関投資家向きかという分け方があり、また先ほど大口と小口のほうが分け方として適切ではないかというご意見がございました。あるいは固定割合と期間に応じて提言をしていくという考え方、それからチャネルに応じて異なっていくという考え方があると思います。そういう事例が挙げてあります。もう少し細かく、例えばコストに応じて見るのか、あるいは規模に応じて見るのか、あるいはリスクとの関係をどう見るのかという、体系化するときの1つの根拠づけと申しますか、どうしてそういう体系になるのかという、そこのところのイメージがよくわからなかったということでございます。

もしかすると、先ほどご説明があったのかもしれませんけれども、この辺のことについて今後、残りのこのワーキングで私自身も明らかにしていければありがたいかなと思っております。

以上、1点だけ述べさせていただきます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、神作委員いかがでしょうか。

○神作委員

ありがとうございます。

第1に、業務への効率化・柔軟化を図るためのファンド間の併合について申し上げます。基本的には投資信託のように長期的な仕組みにおいては、環境の変化ですとか、事情の変更に柔軟に対応することができることが、必要性も高く非常に重要ですから、そのような観点から、ファンド間の併合を促進する制度に改めていくことには、基本的に賛成でございます。

ただ、その際に、現在でも法制上は投資信託の併合が可能となっているかと思いますけれども、それにもかかわらずファンドの併合が進まない理由について、さらに分析をしていく必要があるのではないかと感じています。とりわけ、例えば反対受益者買取請求権というのは、ほんとうにそれが障害でファンド間の併合が進まないのか、私は、若干の疑問をもっております。実務でファンドの併合が進まない理由が別のところにあるとしたら、反対受益者の買取請求権まで見直すというのは、ちょっと行き過ぎているところがあるのではないかと思いますので、なぜファンドの併合が進まないか、本当の理由を分析することが重要であると感じております。

いずれにしましても、ファンド間の併合については、投資家保護の観点から、現行法も可能となっているのになぜそれが進まないのかという分析を踏まえて、柔軟化の方向で見直しを行っていく必要があると思われます。

第2点でございますけれども、今の点にも少し関連あるのですけれども、今回の議論の仕方としては、第1の論点として国際的な規制の動向や、経済社会情勢の変化に応じた規制の柔軟化等について議論をし、その後で投資家保護のあり方について論ずる予定であると理解しています。しかし、この2つは密接不可分であって、容易に切り離して議論できないところがあるのではないかと思います。例えば、ファンドの受益権についての複層化・クラス化を認めるという論点においては、利益相反の観点を無視できません。現に、本日の資料にも、ページで申しますと8ページでございますけれども、8ページの検討の方向性という箇所に「投資家保護、利益相反の観点から問題が少ない場合に限り」ということがうたってありまして、このような投資家保護、利益相反の観点から問題が少ない場合が具体的にどのような場合であるのかということこそ、論ずる必要があると思います。

また、最初に申し上げたファンド間の併合についても、これも既に多くの委員の先生方がご指摘されていますけれども、商品としての基本的性格に変更が生ずるというのはどういう場合か。投資家保護のあり方と絡めながら、議論していく必要があると思います。

投資家保護との観点でもう少し具体的に申し上げますと、特に気になりますのが、先ほどの受益権を種類化するという場合ですとか、あるいは運用財産相互間の取引についての規制の柔軟化です。これらは、受益者間における利益相反ですとか、ファンド間の利益相反の問題を惹起するところ、投資信託においては一般の投資家にとっては利益相反の問題がきちんと規律されていてはじめて信頼を与えることができると思われます。したがって、ファンド間の取引を容認する場合であっても、利益相反の規律のあり方については、事後チェックだけではなくて事前にも、このような方針で取引するということがわかっていれば、その方針について開示するなど、利益相反についての対処の仕方には様々なものがあるかと思いますので、その適切な組み合わせについて検討する必要があると思います。

最後に、アウトソースする場合の規制の明確化という点でございますけれども、このような議論は、ぜひやっていく必要があるし、ルールが不明確で実務等に何らかの支障があるというところは明確化していくことが重要であると思います。その際に、投資信託全体のガバナンスについての議論を常に視野に入れて、外部委託等に関する規制の明確化について、投信のガバナンスの全体像の中できちんと位置づけていくということが大切だと感じております。

長くなりましたが、以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、草野委員いかがでしょうか。

○草野委員

私は専門が民事訴訟法で、投資信託の専門家ではなく、また投資信託を実際にやったこともないので、いろいろ説明を受けていることについて勉強しているところです。

私は、大学に来る前に35年ほど裁判官をしていた経験がありまして、原告と被告の言い分の、どちらを取るかという仕事をしていました。原告と被告の言い分が一致した場合には、そのとおり採用するのですけれど、違った場合にはどちらを取るのかをやってきました。だから一番興味があるのは、この作業部会の中で意見が一致するのか、しなかった場合に、どうなるのか。そのときにどういうふうに自分が意見を言うのかというのが、一番の興味があるところであります。私は中立な立場で、皆様の意見を聞いて勉強させていただきたいと思っております。

ただ、私がちょっとこだわるところを1点だけ申し上げますと、私は裁判では、似たような事件で被害を受けたという人の言い分を聞くことがよくありました。契約時にちゃんと説明したか、どうかということが争点になります。法律や規則は合理的な思考でできているのですが、実際にやっている人、売り込んでいる人は、合理的に売り込んでいるわけではありません。会社の方針というのか、何とかお客を取っていこうとしていますし、客のほうも、確かにリスクとか説明を受けても、利益のことだけに頭が飛んでいって、現実に起きていないリスクはないものと考えて契約してしまうのです。ところが、実際に損害が起きてリスクを負担した後は、最初から全部がだまされたと受け取るのです。

だから、契約段階での抽象的なリスクの説明では、ほとんど理解されないのです。客の意向を共有するとか、管理職の承認を必要とするとか、いろいろリスクを分かってもらう努力が検討されていますけれども、それが自分は努力したけれども相手がわかってくれなかったとか、やることはやったというアリバイづくりで終わってはよくないと思うのです。

いろいろな規制というのは、形式的に守られているだけではだめで、ほんとうに実質的に行われたのかという顧客を保護するというものでなければだめだと私は思います。

また、いろいろ規制しても、何度も何度もトラブルが起きるのだったら、そのような商品は間違っているのではないでしょうか。そういう商品を売らなければ、被害は起きないわけですから。私は、説明を丁寧にしたからうまくいくのだとかいうのは間違いで、人間には欲というものがあって、どう説明してもだめなところがありますので、運用してもほとんどが利益を出していないのだったら、そういうものはやめたらどうかと思っているのです。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは、お隣の黒沼委員いかがでしょうか。

○黒沼委員

順次質問を交えながら意見を申し上げたいと思いますが、まず書面決議を要する約款変更範囲の見直しですけれども、これを見直す前提として、なぜ書面決議ができないのかという点が少し私には理解が難しかったのです。投資法人では書面決議をしているはずです。それがなぜできないのか。お話では販売会社がその情報を持っていて、それが運用会社に来ないからということのようですけれども、現在の投資信託の受益権は全部無券面化されていて、振替制度に乗っていると思うのです。総株主通知のように、振替機関から運用会社に一斉に情報提供させるという仕組みをとれば、名寄せも可能であろうと思います。そういう仕組みの改革のほうが合理的なのではないかと思いました。

現行の制度でも、知れている受益者については反対の議決権を行使しないときは賛成するとみなすという、みなし賛成の規定があるのですけれども、これも解釈の問題ですが、口座を開いて、そこに振替受益権を入れている人は知れている受益者であると考えれば、その人たちから返事がなければ全部賛成ということですよね。それだったら書面決議もできるのではないかと思います。

しかし書面決議は難しい。そのために約款の変更も行われない。変更を避けるために幅広な権限を認める形で約款の記載がなされているというのは、好ましい状態ではありませんので、それを前提に考えますと、商品の同一性を失わせる場合から、商品としての基本的性格に変更を生じる場合に、書面決議を要する場合を変更するという案には賛成です。

留意点として、事前の通知は必要ではないかと書いてあるのですが、事前の通知はあったほうがいいわけですけれども、先ほどから書面決議ができないということから考えて、連絡もできないのであれば、事前の通知にも大きなコストがかかることになると思います。

また、買取請求権のこととも関係がありますけれども、書面決議が不要な場合とは投資信託の受益権の価値に大きな変動が生じない場合であることを考えれば、そのような約款の変更によって受益者に不利益が及ぶわけではありませんし、また変更すると決定したからといって、投資信託の基準価額が直ちに変動するとも思いませんので、それらの点を考慮していいのではないかと思います。

投資信託の併合手続の見直しですが、これについても書面決議が難しいということを前提にして、一定の場合に書面決議を不要とする案に賛成します。ポートフォリオに大きな変化がない場合は、商品としての基本的な性格に変化はないとする考え方も是認できると思います。

ただし、右側の図にあるように、大型株アクティブと低位株アクティブを併合するような場合に、一方が大きければ大型株アクティブの側では書面決議は要らないということになるのですが、これは約款中の投資方針の変更にあたらないのか。あたるのであれば約款の変更が必要になって、それは商品の基本的性格が変わるということになりかねないので、そのあたりをどう整理すべきかなと思いました。

信託報酬は併合後に下がることを要件とすべきかということなのですが、これも少し意味がわからなかったのですけれども、信託報酬が下がる場合には書面決議は要らない。併合する2つの投資信託のうち、片方で上がるという場合には、上がる側での書面決議を要するというのであれば、それに賛成です。

事前通知の必要性については、先ほどと同じです。

書面決議の制度の見直しのうち、受益者人数要件の撤廃については、私は受益者数ベースでの要件を残しておくことに、あまり合理性があると思いませんので、これを撤廃することに賛成です。

反対受益者買取請求制度の見直しについてですけれども、この制度は、一方的に不利な約款変更がなされるとか、あるいは併合の場合に、一方に有利で他方に不利な条件で併合がなされるような場合に、投資信託の受益権のあるべき価値、公正な価額と実際の価値との差額を保障するために買取請求権制度が設けられているのだろうと思います。そうだとすると、オープンエンドの場合は随時解約が可能だから買取請求制度が要らないということではなくて、オープンエンド型では解約が可能で、基準価額が定まっている。条件が悪い併合が公表されても、基準価額というのは将来の収益を基礎に計算されるわけではなくて、現在の資産の時価を基準に計算されるので、基準価額に変更がないと従前の価値で解約ができるということが、買取請求制度が要らない理由になるのではないかと思います。

同一投資信託における複数の報酬体系の容認ですけれども、必要性は理解しました。ただ、これは技術的に可能なのか、ちょっとよくわからないのですけれども、現在の投資信託は、1本の信託契約に基づいて、その受益権を均等に分割している。確かにお金の面では受益権の内容を不均等に分割するということになるのですが、信託報酬のように、受益者の義務にあたる部分、費用にあたる部分の相違を個別に分けて決めていいのかという問題が、受益権の不均等分割という技術だけでクリアできるのかどうか、わからない感じがいたしました。

外部委託については、これは解釈上外部委託はできて、外部委託先は履行補助者になる。履行補助者の過失については債務者が責任を負うということなのだろうと思います。そうであるとすれば、特に法律に規定はなくてもできる。しかし、例えば現行の投信法の12条は全部の委託を禁止するから必要な規定なのですけれども、12条がなくても21条の責任規定を入れることは、法制上は可能ではないかと思いますので、この場合も法律上当たり前のことを規定することになるのでしょう。ただし特則として入れるとすれば連帯責任とか、直接的な善管注意義務を書き込むことになるのでしょうけれども、それを入れることが、法律上過剰になるとは、私は必ずしも思わないです。

運用財産相互間取引の容認範囲ですが、これも必要性は理解しましたけれども、検討の方向性のマル2に書いてあるところは、このような一般条項だと、必要かつ合理的であればやっていいよということになってしまいます。これが監督指針だったら、こういう例示でもいいのかも知れませんが、私は、これは本来監督指針に規定すべきことではなくて、適用除外規定ですから、施行規則にきちんと規定すべきだと思うのですけれども、適用除外としてこういった一般条項を置いて大丈夫なのかという心配を抱いています。もう少し具体的に書くべきではないかと思いました。

ETFにおける金銭と現物の混合設定・償還は、これは技術的な問題でして、混合設定・償還を可能にするということに賛成します。

その他の検討事項についてもおおむね賛成なのですが、(2)の利益相反のおそれのある行為を行うたびに書面を交付するという制度になっているのですけれども、これは現在実務では実践されているのでしょうか。実践されているのであれば、すべての受益者にそのたびに通知を行っているということになるのですが、確かに、それを行っているのであれば実務上それが非常に難しいというのは理解できます。しかし、実務上難しいから、実際には利益相反行為に該当するのに、書面の交付をしていないというのであれば、そのこと自体が問題ですから、まずきちんとそれをさせるのが先決問題だろうという感じがいたしました。

長くなりましたけれども、以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。ちょっと幾つかご質問があったようですけれど、後でよろしゅうございますか。

それでは、続きまして、お隣の河野委員いかがでしょうか。

○河野委員

今までの中で、非常に専門的なお話もたくさん出ました。一般的な目から見ますと、やはり商品の同一性とは何かというのがなかなかイメージができづらいです。そういう意味で、一番最初に書いてあります、考えられる主な論点のところで、投資信託マル1というのはどういう意味なのかというのがちょっとあるのですけれども、それはまた別にしまして、マル1のところに書いてあります、効率化・柔軟化を図って乱立する小規模ファンド間の併合を容易にするためということであれば、どうも先ほど上柳さんがおっしゃったことも含めて、小規模ファンドなら効率が悪くて、その商品の業績が上がっていないということになるのかどうかということと、別に同じような商品が繰り返し出されるような大規模ファンドでも、日本の場合はどうなのだろうかということと、前回ご説明いただいた中で、要するに受益者、ファンドを購入する側と売る側のウイン・ウインが成り立っていないのは、日本が際立った事例になっていると思うのです。

だから私はこのことを多産多死と今まで言っていましたけれど、多死のところは何とかしますけど、多産は多産のままですよと言われているのか、そこがちょっとよくわからなくて、マル1だから、どこかの順番でそういうのがマル2になって出てくるのか、ちょっと最初にこれを議論するとすると、難しいなという気がします。多産の中、なにかある種のウイン・ウインの関係を成立させるルールが発効したときに、これも一緒に発効するみたいなことでないと、よくわからないという所があります。

それで、いろいろな事例のところで、例えば運用会社の外部委託というのも賛成なんですけども、そういう意味では海外のもろもろの事例を参考にして、私は外部委託は効率が上がると思うのですが、例えばファンドの乱立をどうにかすれば効率化するかどうかというのは、日本の場合、疑問符がついて、一体効率性を何ではかるのか、どれぐらいのものをどれぐらいでできるのだと、それは信託報酬の話なのか、会社の業務コストの話なのかというようなことも含めて、よくわからないけれど、2番のほうはわかります。わかりますということと、この1ページのマル1マル2マル3と書いてある中で、共通して諸外国の規制を参考に、みんな規制なんですけれども、もう少しいい表現がないでしょうか。あまり規制というと発想の拡がりが制限されるような表現になっていて、まさに効率を上げてウイン・ウインの関係をつくるためのプラクティスというものをもっと取り入れたり、我々もそこら辺を超えていこうとか、グローバルに通用するには、それが必要だという感じでやっていただけたらありがたいなと思います。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、お隣の小沼委員いかがでしょうか。

○小沼委員

私からは13ページのETFに関するところを中心にコメントをさせていただければと思います。上場投資信託ETFは、多分、投資信託の世界の中ではここ10年ぐらいで出てきた比較的新しい分野のカテゴリーだと思います。その中で、ETFというのがある程度位置づけられて、諸外国でも大きくなってきている。とりわけ日本でいうとTOPIXだとかといった指標性が高い商品につきまして、できるだけマーケット、取引所市場の売買取引といった機能も利用しながら、全体商品としての信託報酬等を含めた費用を抑えていくというような趣旨で出てきているのかなと理解をしておりまして、実際にそういったオーソドックスな指標の信託報酬も、ETFに関しては徐々に下がってきているというところだと思います。

こういった意味合いも含めて、ETF市場が機能して、投資信託全体のビジネスに寄与するためにも、流動性がきちんと保たれて、できるだけその時々の純資産額にあわせた市場価格が形成されるようなことに、私ども市場開設者も努めていきたいと思っておりまして、そういった中で、こういった現物拠出型の部分の設定、交換の、より柔軟性というか、逆に言うと、こういった理由で1年のかなりの大きな日数が設定、交換ができないような状態になっておりますので、ここについて機関投資家の皆様からも大分要望をいただいているところもございまして、ぜひここのところが、よりやりやすくなるといいなと思っておりまして、この部分について素材に挙げていただいていることに対し、ぜひやっていきたいと思っております。

それから、それに加えまして、ETFの流動性向上という観点では、我々も商品のPRだとか、ディストリビューションチャネルの拡大といったような努力だとか、あるいは市場周りの慣行だとか、ルールだとか、そういうことも含めまして、きちんとした流動性が維持できるように努めていきたいと思っております。

それから、加えまして14ページの(1)の点について、一言申し上げたいと思いますけれども、これは一定範囲の特定資産の取得・譲渡に対してと、価格調査という点でございますが、例えば海外に関するものだとか、比較的運用が難しいものについて、必ずしも公設のマーケットでの価格がないようなものを、財産として商品開発をされるというケースがあると思いますので、こういうときに、こういった価格調査の実務が負担になって商品ができないということがあると私ども聞いておりますので、この部分については、もちろん賛成でございますし、解決されるということを期待しておりますが、「定型的に取引価格が確定し」という、その言葉につきまして、例えば先ほどの指標性があるようなものについては、ある程度理論価格などが存在して、容易に算出できるというのですか、理屈的にこれらが出てくるような場合も、「定型的に取引価格が確定し」というような意味合いの中に含まれるといいのではなかろうかと思っております。

以上2点申し上げたいと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、島田委員いかがでしょうか。

○島田委員

私どもから申し上げたいのは、繰り返しになりますけれども、小規模ファンドの整理や併合というのは、投資家にとっても大変いいことだと思いますし、多分現存ファンドの8割以上のファンドが、ファンド単体では収益が上がっていないという、運用者にとっても収益が上がっていないという状況を考えると、コスト構造を変えることも非常にいいことだと思います。

ただ、ファンドが乱立、小規模化する構造的な業界の体質を根本的に見直さない限りにおいては、これは対症療法でしかないのではないかという非常に悲しい疑惑が心の中にむくむくとわいておりまして、ここの部分に対して、きちんと手当てをしなければ投資家や運用会社の負担の軽減というのは永久になくならないのではないか。むしろ、ファンドの乱立に対してのモラルハザードが起こる危険性もあるのではないかということを懸念しております。

もう1つは、併合に対して投資家の名簿を販売会社が所有している段階で、事後的な報告であっても何であっても、運用会社に情報がないことが、やはり大きな問題、つまり障害になって、実際に併合が進むのかどうかということを懸念しております。

また、事後的な検証が必要かどうかということが書いてあったと思ういますが、この場合に、実際に、では、どのくらいその新しい制度が使われたかとか、適当な併合であったのかどうかといったことを検証する立場に立つのが一体だれであるのかということについて、想定してらっしゃるのかを伺いたいなと思いました。

それから、マザーファンドとシェアクラスベースのファンドの設定についてですが、ここでちょっと、私の理解が至らない点なんですが、シェアクラスベースのものが一般的になったときに、マザーファンド運用は移行していくのか、あるいは併存していくのかといったところを、教えていただければと思います。

というのも、シェアクラスについては、信託報酬の相違ということが中心に報告されていますけれども、実際にマザーファンドでの運用の場合には、例えば同じアセットのものでも、円に対する為替ヘッジのありなし、あるいは現在で言いますと、ほかの為替での為替ヘッジ、通貨運用で使われていたり、あるいは分配回数が違うといったことでマザーファンドが共通であるといったものがあると思いますが、もしも1本のファンドでシェアクラスを別にすることによって投資家にもコストダウンというメリットがあるのであれば、今後はそういったものにも使えるのかどうかの想定を伺えればと思います。

あるいは、現在まで高コスト体質になってしまった、マザーファンドが同じで個別のファンドについても、例えば先に議論されている併合の手段と、ほかに何か技術的な問題でクリアしてコストダウンができるのであれば、そちらについても手当てをしていただければと考えております。

既存のファンドに対しての手当てが非常に薄くなってしまうのが、投信の今までのカルチャーにございまして、どちらかというと、つくってしまった後は消えていくのを待っていくといった形で小規模ファンドが乱立している状況が現在もございますので、移行に際してそういったところで何か救済措置なり、あるいはさらにコストダウンをして、それが投資家にも還元できるメリットがあるならば、ぜひ活用していただければと思います。

それから、もう1つは全体的なことですが、各種の約款変更、あるいは既存の投資信託についての変更を行った場合には、現在、EDINETで閲覧できることにはなっておりまして、評価会社などはそこから情報をとっているところでございますけれども、個人投資家にとってはちょっと、EDINETでそれぞれのファンドを検索しながら、変わったものがあるかどうかをチェックするのは難しいところもございます。保有者だけではなく、これから購入を考えている方たちにとって、比較、あるいは変更についても迅速に把握できると、より利便性が向上するのではないかと思いますので、こうした変更があった場合に、横断的に、もう少しわかりやすい場所で、変更についての情報提供を考えていただけないかということを、あわせてご検討いただければなと思っております。

例えば、投資信託協会のサイト内で、変更事項についての一覧が出るなど、そうしたご対応があればいいなと思います。といいますのは、現状でもせっかく信託報酬が低減されていた場合などでも、実際にはなかなか把握し切れていない状況がございます。それから、約款変更とはまたちょっと違った、この場でついでに言うのが妥当かは存じませんが、販売会社が増えたなどといったことについても、なかなか一括で把握できないところがございますので、その辺りについての投信の情報提供もあわせてご検討いただければと思います。

ありがとうございます。

○神田座長

ありがとうございました。ご質問ございましたが、これは後でまとめて、答えられるものは今日お答えいただければとは思いますけれども。それでは次に、清水委員、いかがでしょうか。

○清水委員

会計士の清水です。よろしくお願いします。

総論で若干2つと、各論で3つほどコメントさせていただきたいと思います。

1つ目は、先ほどファンドが乱立して、海外のようにウイン・ウインの関係になるといいですねという発言ありましたが、私自身は25年前に就職して、投資信託の投資で、なかなか過去20年間の株価ですとか、ゼロ金利状況ですとか、中期的な円高が続く中で、ウイン・ウインの関係になってきた投資家様というのは、それほど多くはないのではないかと思います。その中で一応、皆様工夫をしながら、この投資信託という制度を発展させてきたのではないかなと考えております。

もう1つは、日本の投資信託は、いろいろなほかのファンドのスキームと比べまして、非常に安定している制度だと考えております。それは、委託者と受託者がいて、例えば双方で照合しておりますとか、大きな破綻もなく、海外のヘッジファンド等に比べても、大きな事故は今まではなかったのではないかと理解しております。そういった中で、今までは、関係者が何とかこの状況の中で工夫をして、この投信の制度を育ててきたのではないかと理解しております。

各論につきましては、まず投信の合併につきましては、投資家の立場からしても賛成です。やはり、残高が小さくなってきたファンドにつきましては、コスト高になっているのではないかと思いますし、それが強制償還とかされてしまいますと、大体、含み損がある小さなファンドでございますので、投資家としては中期的に投資しようと思って買ったのに、そこで換金無理償還されてしまうのは、やはり気持ちいいものではございません。可能であれば何とか類似のファンドでつないでいってもらったほうが、投資家の立場からしてもありがたいことではないかと思っております。ヨーロッパとアメリカ等において広く利用されているという理解ですので、ぜひ制度を変更していただければと思います。

個別元本制度とか、販売会社様のシステム変更等、実務的な障害はあると理解しておりますが、まず、制度を変更していただくことがよろしいかと思います。さらに、合併のガイドライン、どういうファンドとファンドが合併できるかということにつきましても、海外等の事例をもとに実務的なところでガイドラインを設定されるのがいいのではないかと思います。実際に合併が進んでいくような形で設定されるといいと思います。

もう1つ、受託銀行、これは中期的な課題だと思いますが、ファンドは併合しようとしますと、受託銀行が違っている場合には、さらにもう1段階、まず受託銀行をそろえるという手続が必要になると考えてますので、これは日本の投資信託が安定している裏返しにはなると思いますが、今現在、委託者と受託者がいるという関係から、中期的には海外のように、運用会社と保管機関、それから帳簿や基準価額の計算を行う事務の機関ということで、ファンドの器を中心にして機能を分けた形にした投資信託の制度も考えていく必要があるかなと思っております。

それから、2つ目でございますが、外部委託についての整理でございますが、事務等の外部委託につきましては、実務上既に進んできております。したがって、規制につきましては、明確化されることは制度のためには好ましいと考えております。

2つ目の論点として、このペーパーには書いてないんですが、事務の外部委託をするときに障害になりうる2つの点でございます。1つ目は、こちらは日本の投資信託の長所でもありますが、今現在、日本の投資信託というのは、毎日1円単位まで、基準価額を計算しているんですが、それは買い手と売り手が売買する価額ですので、非常に重要な価額です。それを毎日計算しているんですが、日本は、これは海外に比べて独自だと思いますが、運用会社である委託会社が計算して、受託銀行も同様に別途計算し、毎日1円まで照合をしています。

1つはそのように二重計算をする必要がほんとうにあるのか一度検討する余地はあると思います。今現在、海外の株式等については、運用会社が受託銀行に株価を提出していますので、照合の意義を一度考える必要もあると思います。

それから、もう1つが、海外では基準価額に誤差が若干あった場合に、どのくらいまでだったら許容されるかというルールがあって(重要性の基準)、そうしますと、そういったルールがあると、事務の効率化といいますか、これは日本の文化のいいところだと思うんですけれども、1円まであわせなければいけないという文化もありますが、全体の投信にかかるコストを考えて、こういった制度を整備していくことも重要ではないかと思っています。

最後にファンド間取引でございますが、これは昔、ファンド間でつけかえ等があって、それを阻止するための制度と考えておりますが、こちらについてはフェアバリューで取引することが最重要なことと考えていますので、ご提案のとおりの改正がされるといいのではないかと考えております。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。それでは永沢委員、お願いいたします。

○永沢委員

私は、今日は発言を控えようと思っておりました。実はおととい、事務局から資料をいただきましたときに、そのつもりで、かなり多くの論点というか、方向性ということで論点の提示がされておりましたので、私のようなレベルでございますが、一応、1つ1つ、ここはどうかなということを、おとといの時点で意見として書かせていただきました。見方としては、1ページずつ、沿って書いておりますので、後ほどお読みいただけたらと思っております。

また、今日、事務局からご説明いただきましたり、それから、既に先生方からいろいろご説明いただいたり、ご意見いただく中で、「あ、ここの部分は自分としては考え直さなくてはいけないな」と思う部分も多々ありましたので、後で読んでいただけたらと思っておりますが、これに固執するというわけではございませんので、ご参考までに、お手元の資料としていただけたらと思っております。

自分としては、この中で書かせていただきましたこととか、今、先生方がおっしゃったことで、4点ぐらいお話しさせていただきたいと思っております。

まず1つは、受益者書面決議制度に関するところなんですが、全体として私も現状を何とかしなくてはいけないということについては、ほんとうにその点については、全く同意見でございまして、制度の見直しをしていかなくてはいけないということに異論はないんですけれども、ただ、やはり、この書面決議の制度が導入されたのはそう昔ではなく、かつ、投資家の関与の機会を、自己責任の原則を支える制度として導入されたような認識でおりましたので、やはりこの制度というのは大事にしながら、そしてこれがワークするような形に持っていくことが必要であって、安易な手続の平易化、簡素化ではいけないというところを、念を押してお願いしたいと思っております。

それから第2点目といたしましては、こちらの資料にも書かせていただきましたし、先ほど黒沼先生からもご指摘があったように思いますし、ほかの委員の方からもあったと思ったんですが、運用会社が個別情報を提供されないことが、今回の議論の出発点にどうもなっているように読めてしまうところが引っかかりがありまして、本来ならば運用会社が顧客の情報を保有できるような制度にしていくことが大事なのではないかなと思っております。運用会社、委託会社が投資家に対して受託者責任を負っているというときに、その受益者がわからない・・・、一般的なぼんやりした「受益者に対する責任」を負うのかなと思いながら、あとは閲覧権なんかを行使しようとして運用会社に行ったときに、どうやって確認しているのかなとか、ちょっと疑問に思ったりもいたしました。そういったこととの関連も考えますと、また、販売会社が運用会社を支配していると言ってはちょっと過言かもしれませんけれども、現状の構造の1つの原因として、顧客情報を持てないところも原因としてあると思っております。もちろん、運用会社にそのようなことは、負担が出るとか、コストがかかるとかいろいろな問題があるかもしれませんけれども、そのコストを超えても、やはりこれは委託会社がお持ちになるべきではないかなと、個人的には素朴に疑問として思っております。

それから3点目といたしましては、これは大崎先生がご指摘されたり、ほかの方もあったと思いますが、受託会社の役割というものについて、やはりもう一度、ここでも議論をすべきではないかなと思っております。

ただ、一方で、安いフィーといっては大変語弊があるかもしれませんが、受託会社のフィーというのは安いようにも思っておりまして、実現可能性があるのかなと思ってもおります。全体として、これが結果として値上がり(要因)になっては困るので、ほかに何らかのいいウイン・ウイン(のための)方法を考えながら、ファンド全体のガバナンスというものを論点として、やはり今回の審議会の中では入れていただきたいと思っております。

それから最後に、重大な変更とか、基本的なとか、表現につきまして抽象的でございますので、やはりその点は別途議論をしていく必要があると思っております。

それからもう1つ、海外で認められている、シェアクラスの日本での投資信託の応用に関しても、私もそれは望ましいことだと思っておるんですけれども、90年代から議論されてきながら実現に至ってないことを考えますと、やはり何らかの支障があるのかなとも思っておりまして、やはり実務家の方にも入っていただいて、ほんとうにワークするのかどうかということを慎重に検討して、結論としては実現できたらいいと思っております。ボトムからきちっとチェックをしていかないと・・・。できるのかできないのかというところについては、もう少し慎重な議論が必要なのではないかなと感じた次第です。

いろいろとこちらのペーパーに書かせていただいておりますけれども、やはり投資家と運用会社との間の、運用会社が育つような、運用会社が育って、また投資家も利益を得られるような、そういう改革であってほしいと思いますし、ウイン・ウインの関係が築かれるような改革であることを期待してやみません。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。吉野先生。

○吉野金融審議会会長

一言コメントさせていただきたいと思います。

マクロで考えますと、日本の利子配当収入というのはOECDの中で一番低いですね。それから、世界の中で一番稼げてないのが日本だと思います。

それで、1,400兆とか1,500兆ありますから難しいかもしれない。3%アップしますと、財政赤字は1年間でなくなります。45兆円稼げますから。そういう意味では、やはり投資信託も含めて、運用会社の方々、販売会社の方々に、特にいい商品を売っていただいて、稼いでほしいというのが、まず1つあります。

では、その中からどうやったら投資信託を通じて、運用会社と販売会社と受益者、みんながウイン・ウインになるか。まさに草野先生や河野委員がおっしゃったように、それは3つのそれぞれやっているところの目的が同じ数にならなければ、いくらいい法律をつくったって、先ほどおっしゃっていたように、必ず最後に不満が残るわけですから、そうすると成功報酬型とか、どういう形にしたら3つの主体が同じ方向を向けるかということを考えない限り、やはりいくら法律をつくっても問題は起こってしまう気がいたします。おそらくそれが小規模の投信が残ったりする理由かもしれません。

それから、これは法律の先生にまことに失礼に当たるかもしれないのですが、この法律を読ませていただくと非常に難しい。解釈ばかりが必要だと。例えば商品としての同一性は、経済でいくと非常に難しい解釈でして、もう少し何か、その法律を読んで、1つでわかるという、あるいはもしそこがわからなければ、疑問に答えられる体制がないと、投信をやっている方々にとって、これはどうなのだろうか。そこばかりに時間コストがかかりますと、手数料収入に入ってくるような気がいたします。

わかりやすい法律にしていただいて、だれもが解釈なしに1つでわかる。もし、そこで疑問が残れば、だれに聞けばいいかがわかれば、やはり投信の高コスト体制というか、手数料体制も低くなるような気がいたしました。まことに申しわけないのですが、経済からのコメントをさせていただきました。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、今までいただいたうちにご質問がありましたので、もしまず事務局からお答えいただける点があれば、お願いいたします。今日でなければいけないということはございませんけれども。

○横尾企画官

いろいろご意見ありがとうございました。いただいたご質問のうちで、とりあえず今の時点でお答えできるようなことがあればと思います。

まず、川波先生から複数の報酬体系を導入する際に、どのような基準とか、あるいは根拠で価格づけするのかがイメージできないというお話がございました。水準とかそういうこと自体は、これはビジネスモデルとか運用会社のコスト構造とか、いろいろあるのだと思います。概念的に一般論で申し上げれば、先ほどの小口、大口で言えば、大口のほうがまとめて管理できるということから、安いコストということもあるでしょうし、あるいは営業戦略上、長く持ってほしいというニーズがあれば、運用会社サイドにあるでしょうから、こういう期間に応じて設定する場合には、長いものは安くとか。あるいはインターネット等、対面といった場合、販売の局面でかかるコストが違うということがあれば、信託報酬のうちの代行手数料分が差別化できるとか、その水準自体は、ビジネスモデルによっていろいろ変わってくるかなと思います。

黒沼先生から、書面決議はなぜできないのか。REITではできているのではないかというご質問もございました。確かに先生のご指摘もありましたように、総株主通知制度を保振の制度の中で利用して、REITではそういう手続を踏んでおるんですけれども、現在、保振のシステム上、総株主通知制度が投資信託の受益権には適用されておりません。それは投資信託の信託受益権はREITとか株のように転々流通することが前提になっていない。投資家に買っていただいて、証券会社を通じて運用会社が買い取るということで、償還なり、買い取りが行われるということで、不特定多数に転々流通することが前提になっていないということで、総株主通知制度のような形での管理ができていない状況でございます。

約款の併合のところで、対症療法的ではないか、根本論の多産というところはどうするのかというご指摘もいただきました。今回、個別の論点をさせていただいたわけですけれども、技術的な論点のほうが多いかなという気もして、あるべき論の後に、すぐやらせていただいたわけなのですが、今日、示唆に富むご指摘をいろいろいただきましたので、次回、もう一つ個別の商品内容についての具体的な規制の議論をしようかと思っておりましたのですが、そこをあるべき論の第2回にあてさせていただいて、もう一度、投資信託のあるべき論、販売会社や運用会社、あるいはその他関係者のあるべき論といったものを議論させていただいてはどうかと思いました。

フォローアップについて書いているところがございましたが、それの主体はどういうイメージをしているかというご質問もありましたけれども、今のところ、特段の方向性はございません。監督というか、当庁という場合もあるでしょうし、場合によっては金融審議会でフォローアップしていただくこともあろうかと思います。

為替ヘッジありなし、あるいは分配回数の相違ということで、マザー、ベビーを使っているところをどのように扱うかということでございますけれども、報酬体系というのは利益相反が少ないという観点からわかりやすい例かと思って取り上げさせていただいた面もございます。ほかにマザー、ベビーで分けて、運営しなくてはいけない局面があって、それが受益者保護の観点から問題がないということを検討して、認める範囲が広がるということはあろうかと思います。

私からは以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。非常に多様なご意見をいただきまして、ありがとうございました。

まだ若千時間がございますので、オブザーバーの方々も含めまして、委員の皆様方からさらに追加でのご発言があれば、ご自由にお出しいただきたいと思います。

投信協会、どうぞ。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

野村アセットマネジメントの城川でございます。投資信託協会として、発言させていただきます。

規制の柔軟化に係るいろいろな論点を取り上げていただきまして、ありがとうございます。まず受益者書面決議制度についてなのですけれども、商品の基本的性格に変更がない場合について、書面決議を不要とするというのが検討の方向性です。これについては、当協会の要望内容を十分に酌み取っていただいたものであり、投資家保護の確保と投資信託運営の効率性の観点からぜひお願いしたいと考えております。

また、この制度の実効性を高めるためには、例えば併合に係る信託財産の受託銀行が異なる場合には併合のために受託銀行を揃える必要があり、まず受託銀行の変更を重大な約款変更で行う必要がある点や、また平成19年に信託法が改正されておりまして、19年以前の信託法改正前に設定された投資信託については、その根拠となる法律を現行の信託法とする変更、これはまた重大な約款変更として行う必要がある点等もございますので、実際、併合等を進めるにおいては、適切な措置をあわせてお願いできればと考えております。

併合に係る留意点において、信託報酬について触れられておりますけれども、信託報酬について併合したことをもって一律に低いほうに合わせる、引き下げるということにつきましては、併合の実施を抑止することにもなりかねず、具体的な事案に即した柔軟な対応ができるようにすることが必要と考えております。また投資信託の併合については、私ども投信委託会社だけでなく、顧客の口座を管理していただいている販売会社にもご協力をいただくことが必要となることから、販売会社にも趣旨をご理解いただき、ご協力をいただけるよう努力したいと考えております。

次に、種類受益権の容認についてでございますけれども、事務局からの説明で、信託報酬の異なる受益証券という説明がございましたけれども、信託報酬の異なる種類受益権のみならず、為替ヘッジの方針とか分配方針等の異なる種類受益権も認めていただけると、投資家ニーズに合った多種多様な商品を効率的に提供することができると考えております。

次に、運用財産相互間取引の容認範囲の明確化等についてでございますけれども、先ほど説明がありましたように、金商法で原則禁止され、内閣府令等で例外的に認められるケースについて示されているのが現状でございます。ただし、当該取引について容認されているものと、そうでないものについての線引きが大変難しいことから、運用会社としては、当該取引を避けざるを得ない傾向にあるのが実情でございます。

そこで運用財産相互間取引については、原則として認めていただいて、問題となるケースについて、法令なり監督指針等で禁止する旨を明記する形とすることで、弊害のある行為を防止するとともに、受益者が信託財産から負担する取引コストの低減を図ることができるのではないかと考えております。

最後に、その他の検討事項についての中にございます、利益相反のおそれがある場合の受益者等への書面交付の時期・手法の見直しについてでございますけれども、運用財産相互間取引に限らず、その他の取引についても書面交付にかわって、運用報告書に記載、または公告により開示すれば、足りるようにすることもあわせてお願いしたいと考えております。

私からは以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。それでは、信託協会、どうぞ。

○信託協会(笠原オブザーバー)

三井住友信託銀行の笠原でございます。今日はお時間がないので、コメントだけさせていただきますが、委員の皆様から、受託者のあり方や、基準価額の照合について、ご意見をいただきましたが、事務局様あてに書面にてご送付させていただくか、もしくはこの場で、ご意見させていただければと思います。

私からは以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。委員の皆様方から、さらに追加のご発言があれば、いただきたいと思いますけれども。特によろしゅうございますでしょうか。皆様方、時間に配慮いただき、ありがとうございます。

なかなかいろいろ一般的な重要な問題提起から細かい点に至るまで、また多様なご意見をいただきまして、大変ありがとうございました。今後、皆様方からいただきました議論を事務局で整理していただいて、さらに先のご議論をお願いしたいと思います。なお、さらにご意見がございましたら、今までどおりですけれども、随時事務局までお寄せいただきますようお願いいたします。

最後に事務局からご連絡がありましたら、お願いします。

○横尾企画官

次回のワーキング・グループの日程でございますけれども、1週間あけまして、27日13時からとさせていただきたいと思います。その際には、先ほど申し上げましたけれども、前回、あるべき論についての議論で、私がいろいろ議題を詰め込み過ぎたということもあって、委員の皆様の討議の時間が十分とれませんでしたので、次回は改めて、その続きを行わせていただければと存じます。当初お示ししたスケジュールとは若千異なりますけれども、今後については改めてご相談させていただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いします。

○神田座長

今月は3回お願いすることになり、大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

本日は以上で散会いたします。ありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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