金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第4回)議事録

1.日時:

平成24年4月27日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○横尾企画官

皆様、ご多忙のところ、まことにありがとうございます。会議の開催に先立ちまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。今回ご用意させていただきました資料は、まず「第一回及び第二回WG等における指摘事項(事務局提起事項を含む)」という3枚の資料がございます。そのほか、第2回でプレゼンをしていただいた資料を3部、金子様の資料、それから村木様の資料、竹川様の資料もご用意させていただいております。それから、そのあと参考資料といたしまして、投資信託委託会社の経常収益・経常費用の内訳、主要5社合計を用意させていただいております。これは第2回で委員の方からご質問のありました事項につきまして、事務局でご参考のために用意させていただいたものでございます。事務の都合上、全会社というわけにはいきませんでしたが、主要5社ということで作成させていただいております。それから、NRIの金子様よりも、第2回ワーキング・グループにおいて質問のあった事項、これにつきまして補足説明用の資料ということで資料をご用意いただいております。そのほかワーキング・グループの委員の名簿、そして信託協会様より、前回の議論に関してご意見をちょうだいしておりまして、その資料も書面もあわせて配付させていただいております。ご確認をお願いします。

○神田座長

資料のほう、よろしゅうございますでしょうか。ちょっと資料が大部にわたっているかと思いますけれども。

それでは、始めさせていただきたいと思います。本日は、投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループの第4回目の会合ということになります。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

本日でございますけれども、今も言及がありましたように、第2回目に金子様、村木様、竹川様からプレゼンテーションをいただきました。そして議論をいただきました。そのテーマといいますと、投資信託の位置づけや、我が国投資信託市場における運用会社及び販売会社のあるべき姿ということでございます。本日は、このテーマにつきまして引き続きのご議論をお願いしたいと思います。そういうこともございまして、金子さんと竹川さんにおかれましては、第2回目に続きまして、本日もお忙しい中をご出席いただいております。どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

それでは、まず前回の議論の整理ということで、事務局からの説明をお願いいたします。

○横尾企画官

金融庁市場課企画官の横尾でございます。よろしくお願いします。

お手元の第一回及び第二回WGにおける指摘事項、これを用いまして、事務局で試みに前回までの議論を、いただいたご意見、それから事務局から提起させていただいた論点、これをまとめてみました。ご説明させていただきます。

まず、現在の投資信託市場をめぐる環境として、以下6点が挙げられるかと思います。まず、投資信託の量的拡大は途上過程にあり、現在の規模では経費を残高ベースの手数料ではまかない切れない。したがって取引連動手数料を確保する必要があるという事情が供給サイドにはあるというご指摘がありました。

それから、運用会社が独自の販路を有しておらず、顧客との関係は販売会社が掌握しているという事実もあろうかと思います。

証券会社の株式売買手数料、それから銀行における資金利益といった従来の収益源が不振な中で、こういった金融機関においては投資信託販売手数料というのは重要な収益源になっているということかと思います。

また、株価低迷・低金利環境、こうしたことが長期化しておる中で、シンプルな伝統的な投資手法を用いて高いリターンを得るということはなかなか困難になってきておる中で、他方で投資家のほうも、従来の預金等による安定的な商品、こうしたものからは高い収益を得ることが困難になってきているという事情が観察されていようかと思います。

それから5点目、退職前後の世代に余裕資金が偏在している。他方で、そういった世代も含め、退職後への漠たる不安というものが我が国において広がっているのではないかというご指摘もございました。

それから6点目、確定拠出年金制度が導入されたものの、投資信託への拡大への寄与という観点では、米国に比べれば相対的に小さいと言えるということも議論にあったかと思います。

今、申し上げましたような環境の中での経済活動、経済合理的に供給サイドが活動を行った結果として、以下のような事象が観察されているのではないかと思います。1点目、取引連動手数料を確保せざるを得ず、次々と新しいテーマに基づく新商品が設定され、既存商品より新商品が積極的に販売されているというご指摘がございました。

また、低迷する市場環境を受け、海外資産中心の運用、あるいは複数の収益源を組み合わせたリターンを追求するための商品というものの開発が活発となってきているというご指摘もあったかと思います。

それから預金利息による定期的収入を代替させるものとして、高頻度・高分配金商品が開発されているという事象もあろうかと思います。

さらに、資金保有層である退職前後世代、これを中心としたマーケティングや営業といったことで、こうした世代が投資信託市場の主要顧客層を形成しているという事象もあろうかと思います。

こうした中で、その結果としてもたらされている影響でございますけれども、まず第1点目として、販売手数料重視の販売会社が主導する業界構造が形成されており、これら供給サイドの目的関数は投資家の資産運用ニーズを反映したものとは必ずしも言えないのではないかというご指摘もあったかと思います。

また、運用ファンド数の増加、あるいは小規模化というものが進み、多くのファンドでファンド運用コストが運用報酬を上回る状態に陥っているという事象が生じているかと思います。

さらに海外資産への投資割合が上昇する一方、商品の複雑化・リスクの複合化が進展し、その結果、同じ商品で時系列で見ると手数料の上昇ということは観察されていないようですが、こうした商品への残高が増えたということで、投資信託市場における手数料、これも上昇傾向にあるということがご議論されたかと思っております。

さらに特別分配金を含む多頻度の分配を行う商品の普及により、トータルリターンの把握が難しくなってきている、こうしたことも言えるかと思います。

さらに、退職世代は今後減少することが予想される中で、資産形成層への普及は出おくれているということも事実かと思います。

これらに対して、対応する方策として私どもが提示しましたもの、あるいはそれ以外に、これまでの議論で出てきたものを列記したものが、その下でございます。まず1点目、あえて言うならばsame boatによる信頼感を醸成するという方策が提示されたかと思います。具体的には運用担当者名あるいは報酬体系を提示する。あるいは役員・販売員の投資信託の保有状況を提示する、こういったことがご指摘いただいたかと思います。取引ベースから残高ベースへの報酬体系への移行ということもご指摘いただいたかと思います。

それから2点目、顧客に資する形でのコンサルテーション機能を強化すべきではないか。具体的には、運用目的や目標を顧客とともに考える姿勢。あるいは顧客にとっての最適なポートフォリオを提案するといった営業。それから運用会社サイドにおいては適切なリスク・リターンの目標、あるいは実績の提示というものが必要ではないかというご指摘もいただきました。

それから、投資信託運営の効率性の向上が必要でないかという論点。これはどちらかと言うと私どもから提示させていただいたものですが、運営が非効率・高コストになっている小規模投資信託の整理統合を進めるべきではないか。あるいは運用以外の業務のアウトソースを進めるべきではないかといったことを提示させていただきました。

さらに、合理的な投資判断ができる環境整備として、運用報告書の改善、トータルリターン通知制度の導入、代行手数料等手数料の使途説明、それからボラティリティの階級表示、こういったことを第1回で私どもは提案させていただきました。

複合化するリスクへの対応として、重なりますが、ボラティリティの階級表示を行うとか、商品のリスクに対する一定の制約といったことも論点としてご説明させていただきます。

それから、資産形成層への投資信託普及に向けた研究ということで、確定拠出年金制度の拡充、あるいは積み立て投資の拡大等々、こういったことを進めるべきではないかというご意見もあったかと思います。

それから最後に、対応策の具体的な実現手法としては、法令等のハードローだけに限定することなく、協会自主規制規則等のソフトロー、あるいは各社の自主的な取り組み、またはこれらを組み合わせた複合的な対応が必要ではないかというご意見があったかと思います。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それから、第2回目のワーキング・グループで委員の皆様からご質問をいただきました事項について、金子さんより信託報酬の変化に関する追加資料というのを、今日、参考資料としてご提出いただいております。もし、口頭で補足説明していただければ、そのほうがいいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○金子野村総合研究所上級研究員

野村総合研究所の金子でございます。手短にご説明させていただきたいと思います。

今ご案内のあった資料につきましては、何ページかに分かれて書いてございますが、まず1ページ目をごらんいただけますでしょうか。基本的には投資信託の個別の目論見書に記載されている信託報酬を積み上げて計算してつくった表が、1ページ目のような表でございます。永沢委員からご質問のあった信託報酬の内訳を見たものでございます。この表の見かけの変化といったところが、横を見ていただければ、その内訳がわかると思います。一番左側に実質の信託報酬、それの内訳として、実質の運用報酬というのは、これは運用会社とFoF’sの投資先の投資信託の信託報酬、それから代行報酬と書いてございますのは、いわゆる販社の取り分でございます。それから受託報酬と書いてございますのは、信託銀行の取り分。それの2003年から2011年までの8年間の変化を記載したものでございます。

ごらんいただきますように、見かけの変化、8年間で上昇しているものもございます。この上昇はいずれも残高の構成の変化に起因するものでございまして、分類別に見ればほとんど変化がないか、むしろ下がっているというのが全般的な傾向でございます。

個別に分けた実質の信託報酬ですとか、信託報酬その内訳等は2ページ目以下に記載してあるとおりでございます。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの事務局からのご説明と、金子さんからのご説明を踏まえまして、今日残りの時間は、皆様方から自由にご意見をお出しいただければと思います。もちろんご質問でも結構でございます。

それで、やり方なのですけれども、前回、まずはお一人ずつ簡潔にご意見を言っていただきましたので、本日もまずお一人ずつ順番に簡潔にご意見を出していただいて、その上で、さらに追加のご意見を承るということでやってみたいと思います。前回、たしかあいうえお順でいったと思いますので、気分を変えて、今日は反対からいってはどうかと。突然で大変申しわけありませんけれど、パスでももちろん結構でございますけれど、村木委員から、いかがでしょうか。

○村木委員

ありがとうございます。

3点申し上げたいことがございます。まず、前回ワーキング・グループを欠席させていただいていたのですが、3週間ほどかけて米州と欧州とアジアの機関投資家さんを訪問してまいりました。本ワーキング・グループでの検討課題についても、投資家さんからいろいろなご意見をいただいております。

昨日も、アメリカのある大手の機関投資家さんからご連絡をいただいて、投信マーケットの普及に関しては、やはり税制面のサポートが日本は弱いのではないかというご意見をいただいております。アメリカにおいては、短期と長期のキャピタルゲインについては、税率を変える形で長期の投資を促しているということや、あるいはキャピタルロスについては、一定の範囲ではありますけれども、課税所得から控除を認めるというようなやり方があるので、日本においても、若干投信の範疇を超えてしまいますが、税制あるいは401kの税制見直しというのが必要ではないかという、こういったご意見は多くの海外の機関投資家さんからいただいている点です。

2点目は、ややミクロのところになりますけれども、ワーキング・グループの中で何度か指摘が出ている手数料率の高さ、商品の複雑性、あるいはリスク全体の大きさといった、販売面や商品面での問題につきまして。まず日本はデフレ環境下であり、仮に利回りがゼロであっても、実質的にはリターンはプラスになっているということがある一方で、仕組み債や、あるいは高分配の投信では表面利回りが10%を超えると売れ行きがよくなるというような話もありまして、投資家さん側の利率に関するリターンに関する感覚が若干麻痺をしてきているのではないかということを感じています。

こういったことは、投資家さんのリテラシーが向上してリスクを調整して、さらに手数料も控除したリターンで判断をするようになれば、相当部分が解決する問題ではありますけれども、過渡的には先ほどのお話の中でご指摘がありましたようなリスク総量であったり、あるいはトータル手数料の開示をわかりやすくする、共通化をしていくという必要性があるのではないかと考えています。

また、これは販売会社側で自主的に対応するほうが好ましいのかもしれないですが、保有期間累計での分配金と累計手数料、そしてそれ以外の元本変動、さらにそれを年率換算をしたような報告を投資家さんに対してすることはできないか。一定期間で、あるいは解約時にも、どれぐらいの手数料が年率でチャージがされているのかといったことを報告するというのは、投資家さんのリテラシーを向上するために検討できるのではないかと考えています。

最後に3点目ですが、第2回のワーキング・グループで、吉野会長から成功報酬型の体系がなぜ導入できていないのかというご指摘がありましたので、簡単に現状についてご説明をいたしますと、企業に長期間投資をして、最終的には売却をするようなプライベートエクイティファンドや、あるいは市場環境に関係なく、絶対リターンを追求するようなヘッジファンドにおいては、成功報酬は極めて一般的に既に導入されています。

ただ、通常のオープン型の投資信託については、一部そういった商品もございますが、残高で見た場合には、現状金額としては非常に小さい状況になっております。ここには幾つか問題があるかと考えられますが、例えば株式全体が上昇するときというのは、運用が下手であっても運用益が出てしまう。そこに対して成功報酬を一たんとっておいて、今度はマーケットが全体に暴落をしたときに、成功報酬というのは下がってもマイナス側の運用報酬というのを徴収ができないので、返金をできないということになる。運用の腕とあまり関係なく、マーケット要因によって環境がいいときだけ手数料がチャージをされやすいという、そういった構造的な問題があるのではないかと考えています。

個人的には、1年契約の投資一任契約であったり、あるいはヘッジファンドのような、絶対リターンを追求するような商品、またはターゲットに達したときに自動的に償還をするというような、こういった商品については成功報酬型の体系をもっと積極的に導入をする余地があるのではないかと考えております。

以上3点が私からです。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、田島委員いかがでしょうか。

○田島委員

前々回、前回と欠席しまして、大変失礼をいたしました。

現時点で、まだそもそも論のところで少々引っかかっておりまして、なかなか個別の問題に答えを出すところには至っておりませんが、その辺のところについて、ちょっと意見を述べたいと思います。投資信託の将来的なあるべき像として、投資家と資金をより多く集めて市場の拡大をねらうというときに、想定する投資家がだれなのかによって、あり方が変わると思います。現状を見ますと、投資信託を保有しているのは50代以上の中高年者で、原資は定期性預貯金、退職金、相続財産であり、投信購入のきっかけは証券会社や銀行の人から勧められたこと。それから購入の際重視した点は安全性の高さと値上がり期待。また、今後購入の際重視したい点として、より一層の安全性の高さが挙げられている実態がありまして、このことからは、現在の投信保有者の多くは本来ハイリスク・ハイリターンである投信を、ローリスク・ハイリターンな商品として購入していることがうかがえ、そもそも対象とされるべき層ではないのではないかと思われます。

50代以上の人々は高度経済成長社会の中で、元本割れすることのない安全な預貯金が、金融機関に預けておけば10年後に元本と同額の利息がついて2倍になって戻ってくるという運用の経験を持っているために、ノーリスク・ハイリターンな運用方法があって当たり前という意識が身についてしまっています。その後、経済や社会のありようが変わって、今ではノーリスク・ハイリターンはもちろん、ローリスク・ハイリターンな運用方法もなくなっているわけですけれども、それがなかなか受け入れられず、投信についても、リスクのほうは説明されても無視して、リターンだけに目を奪われて購入することになり、結果的に元本割れして半額以下になった時点でショックを受けて、二度と投信は買わないと固く決意をしてしまうというのが実態ではないかと思います。

元本割れしないことが投資の条件であれば、投信は向きません。また高齢者については、長期的視点での運用は考えられませんから、やはり低利でも元本の守られる定期性預貯金で運用すべきだと思います。

他方、超富裕層については、今でもプライベートバンキング等を通じて受益者と運用者が場合によっては損失補てんも受けるような形で、ウイン・ウインの関係で利益を上げているように見られます。

これらの層が抜けてしまうと、残るのは20代から40代の層ですけれども、仕事があってもワーキングプアが多かったり、そもそも仕事をせず生活保護で暮らしている者も増えている実態からしますと、なかなか投信で資産を運用する余裕はなさそうで、確定拠出年金制度や積み立て投資の拡大という方向で検討するにしても、これで市場が広がっていくのかどうか心もとない状況だと思っております。対象者がなかなか見当たらない中で、どのようにして投信市場を数倍の規模に育てていくのかというイメージが現時点ではつかめないでおります。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、清水委員いかがでしょうか。

○清水委員

本日は2つの項目について発言します。1つは、自分の投資経験で、働き始めた、1989年ごろ日経平均が3万9,000円ぐらいのときに、勉強も兼ねて投資信託を購入し、その後どうなったかはご想像のとおりなのですが、その後しばらく購入を控えており、2000年ごろ日経平均が2万円ぐらいに戻ったときに、当時はIT関連の投信が数多く出ていまして、また、まとめ買いをいたしました。その後またしばらく購入を控えていて、我が家ではしばらく投信禁止令が出ていたわけなのですが、ちょうどリーマンが破綻する前に、日経平均が18000円ぐらいのときにまた、今度は分散して日経平均連動型に加え外債ファンド等に分散して購入したのですが、同方向に動いて、その後また大変な状況になっていまいました。

私が典型的な投資家かどうかわからないのですが、こういった投資の経験をされている方も多くいるのではないかなと思っています。

やはり、かなり多くの方が確定拠出年金制度の話をしていますが、もう少し積み立て型といいますか、毎月こつこつためていくような投資商品、それから財形的な積み立て型の投資商品というものを、もう少し幅広く導入していただければと考えております。

そのときに確定拠出年金につきましては、やはり税制といいますか、税金のインセンティブがまだまだ小さいので枠が大きくなればよいと考えます。

また、財形のようなその他の貯蓄タイプ、積み立てタイプのものについて、やはり海外を参考にして税務上のインセンティブをつけて広く20代、30代の方が投資を始められるような制度を拡充していただければと思います。

こうして積み立て型投資商品を購入して投資の経験も積んでいれば、退職したときに退職金をすべて1つの商品につぎ込むというようなことも減ってくるのではないかと思っております。

もう1つは、やはり分配金の金額が実際に投資信託が計上している収益を超えておりことが心配です。もう少し海外の事例等を参考にして、投資信託が実際に計上している金額を中心として、分配金の額を決定するルールが必要であると考えます。

ただ、その場合、現実的に今、毎月分配型というのがかなり幅広く販売されていて、おそらくそれは投資家の実際のニーズもあると理解しておりますので、直ちに現存するファンドにもルールを適用したり禁止するわけではなく、今後は、毎月一定額ずつ分配をしていくファンド、そういった分類をつくって、そちらは定期的にお金が必要な方に、元本の部分も含めて分配しているということをにわかりやすくしていただいて、販売していくのはがよいと思います。

以上です。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは、島田委員いかがでしょうか。

○島田委員

1つは、今日いただいた資料を拝見して、ほんとうは、あまり私はコストが高い安いという話はしたくないのですけれども、信託報酬について、実質信託報酬の高いタイプの投信の残高が拡大したのであって、カテゴリー別に見ると信託報酬の水準がすごく高くなっているということではない、また、最近でいうと通貨選択型等の原資産になっているものなど報酬率が高いものが増加しているので高くなっているように見えるのでははないか、あるいは運用報酬については、実質的にはほぼ変化しておらず、むしろ、一時期に比べるとかなり低くなっているようにも見えるというような資料をいただきました。

ただ、代行報酬の部分については、もともと報酬率が高いタイプの投信の残高が拡大した影響で高くなっているというご説明なのですけれども、もともと報酬率が高いタイプの投信というのは、パラレルに販売手数料も高いものである可能性が非常に高いという傾向があります。ということは、総合的に見ると販売手数料の高い投信が増えているから、信託報酬も高くなっているという解釈も実はできるのではないかと思います。

一方で、このおまとめのほうで拝見しますと、投信のニーズがどこにあるか言えば、預貯金等では安定的に高い収益を得ることが困難なので、投信に流れるお金がある。あるいは現在預金金利、預金利息等による定期的収入を代替できるものとして分配型の商品が出てきているというところが、高齢者のニーズではないでしょうか。ここと兼ね合わせて考えてみると、必ずしも運用が難しく、仕組みが複雑でたくさんの分配金が出るものが、常に投資家のニーズとはなっていないという状況があると思います。これが多分上記の結果もたらされた影響のAというところに端的にあらわされているのではないでしょうか。ただ、ここでその後の議論として、だから難しい仕組みのものはよしたほうがいいのではないかとか、こういうデリバティブはやめたほうがいいのではないかという議論は、私どもとしては投資信託の自由度を阻害するものとして反対です。一方で、投資家が自分のニーズに合っているかどうかを判断できる目安がほとんど出ていないというところが、非常に問題になってくるかと思います。

もう1つの問題は、商品が複雑化することによって保有しているものについても、どういった中身になって、どういう結果が出ているかということが非常にわかりにくくなっている。現在までのご議論を伺っていますと、やはりファンド・オブ・ファンズについてはなかなか細かい開示は難しいというご説明もいただいているところでありまして、そうであるならば、細かい話で恐縮なのですけれども、せめて複雑な商品に関しては、その組み入れたものが全体に対してどれだけトータルリターンに寄与しているか、あるいは分配金に寄与しているかといった寄与率でも構いませんので、ご開示いただけないかと考えております。

それから、運用資産から差し引かれる信託報酬などのコストについては、組み入れファンドのトータルリターンで見せていただければ、それでいいのかなという気もしておりますが、組み入れファンドのトータルリターンも開示がないというのは不十分ではないでしょうか。また、少なくとも分配金とトータルリターンについての寄与率というのを拝見できれば、例えば、実際に組み入れた外国籍の投資信託のわかりにくさ、あるいは分配についても不明瞭な部分があるのではないかといった批判に対しては、答えが出るのかなと愚考する次第でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、小沼委員いかがでしょうか。

○小沼委員

先ほど事務局様からご説明をいただきました資料につきまして、最初の1ページ目の「現在の投資信託市場を巡る環境」、あるいは「上記環境下での経済活動等」の分析、観察につきまして、ご指摘のとおりだなと思います。全く賛同だと感じております。

それで、その次の「もたらされた影響」以下の中で、特にこれまでの議論で提起された対応策の後半のほうで、枠で囲って幾つかの観点のご指摘をいただいておりますが、みんな納得いくところであると思いますが、私は下から3つ目、真ん中ぐらいの合理的な投資判断ができる環境整備というのが非常に重要だと思いますし、また、それに関連するのだと思いますが、2番目の顧客に資する形でのコンサルテーション機能の強化というところも、また重要なところだと思っております。

先ほど委員の方から、どういったお客様、どういった年代の、どういったお客様にご利用いただく投資信託なのかをよく見極めながらということのお話もあったと思いますが、まさにこういう情報が提供され、かつ日本で多分まだ不十分なのは、ある程度専門家の方がお客様にいろいろアドバイスをして、それが結果として残高ベースでのビジネスにつながっていくというサイクルが、まだできていないのかなと。とりわけ年代が高い、60代とか、これから退職期を迎える方は、これまであまり投資のことをお考えになっていなかった中で、慣れないということもあるので、十分ご自分で分析できていないというところがあるのではなかろうかと思います。

ただ、まさに30代、40代で、これから真剣に資産形成をされようと勉強し出すお客様もいらっしゃいまして、例えば取引所で上場するETFなどは、もともと信託報酬等も含めて安く設定し、販売手数料も抑えられているということに自分から関心をお持ちになられまして、自ら相当積極的に商品の概要を勉強されて、非常に自主的に入ってこられる。ETFの売買の個人の中で若い層が占める割合は非常に高いと思いますし、ほとんどの投資家、多くの投資家が証券会社様から勧められるというよりは、ネットで自分で判断をして注文を入れてくるというお客様が大分増えてきていると思っておりますので、いろいろな意味で環境の整備がされて、比較できる情報が提供されるということが重要かなと思っております。

それから、下から2番目の「複合化するリスクへの対応」のリスクという言葉につきまして一言と思いまして、リスクという概念の中の一部にはボラティリティというものがあると思いますし、それから、それ以外のリスクということが、きっとあるのだと思いますが、お客様は投資家層によっては、むしろある程度ボラティリティがある商品をお望みのお客様もいらっしゃいます。ですので、ボラティリティだけで何か制約をしていくということは、自由度が下がるというところがあるのかなと思います。

別の観点で商品の概要だとか、その商品の中に含まれるいろいろな商品組成におけるリスクというものが十分情報として出ていないのではないかというご批判も出てくることだと思います。これの認知を高めるという面で、ボラティリティという観点と、商品の中身といいますか、作り方というのですか、そういう商品の中に内在するリスクというものを合わせて総合的にリスクというものを見ていくということが重要ではないかと思います。

それから、その後の確定拠出年金制度あるいは積み立て投資の拡大につきましては、方法論として今後最も注目されるべきところでありまして、業界全体でこういったものをより活用できるように、関係者ができるだけ努力をしていくというのが重要かなと思っております。

簡単でございますが、以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

河野委員、いかがでしょうか。

○河野委員

皆さん大変専門的なご意見を述べられているのですけれども、私も前回竹川さんのご提案というか、課題ということに対して、どうすればいいか、なぜそうならないのかということを質問させていただいたわけなのですけれども、今回事務の方から、対応策の具体的実現手法というのが配られた資料にございまして、1ページ、2ページというか、上記2ページについては非常にこれはそのとおりだと思って受けとめておるのですけれども、ほんとうにこれは具体的実現手法になりますと、ここに皆さんのご意見をお聞きしている中でも、今で、それはそれでやれることはやっているという感じのご趣旨のご発言もある中で、ほんとうに具体的実現手法というのを組み合わせていかないと、なかなか具体的にならないという感想を持っておりますのと、これは業界を私は批判するつもりではないのですけれども、前回からも出ております、例えば通貨選択型のということで言いますと、私も実は銀行に無利子の預金というのがそれなりにほうってあるのがありまして、無利息です。決済型何とかというのでしょうね。そうすると、やはり銀行さんからお勧めいただいて、投資信託かどうかも自分ではわからないのですけれども、でも結局それは、例えば豪ドルを選択しますと、実際にあちらで何かを買ったり、土地でも購入しない限り、日本でしか生活をしていない高齢者、一応私も高齢者ということにして、高齢者にしますと、もう一度日本円に直さなければいけないというところで非常に……、どう言えばいいのですかね。米ドルならまだ差がわずかなのですけれども、豪ドルとなりますと、何か10%ぐらいに近い手数料が取られる。その説明は、実はそれを売り込まれた方は証券会社の方なのです。証券会社の方が商品を説明されて、銀行の方も同席していらっしゃったのだけれども、別に為替手数料のことは一言も触れられなかった。だからこの際豪州で使ってしまおうと思っておりますけれども。ですから日本で戻すと、とてもばかばかしいことになってしまうという事実に、この数カ月のうちに初めて気がつきまして、こちらへ来たおかげかもしれませんけれども。

それなりに判断していて、無借金の国がいいかとか、人口が増えている国がいいとか、資源があるからいいかと思って勝手に豪ドルとシンプルに言ったまではよかったのですけれども、日本の商取引というのは、どうもそういうところはあまり考えておられないのか、それがビジネスチャンスだったのかもしれないのですけれども、そこら辺でやはりウイン・ウインの関係で行こうねというのと、必ずしも投資には限りませんけれども、世界の売り手と買い手のウイン・ウインの関係というのが、株式取引もそうですけれども、要するに商売をしている側と、されている側というのは、どちらもがウイン・ウインだということがわかるようなデータについて、もしも現実に投資会社なり販売会社の方が、これはトップの方だろうと思うのですが、ご同意いただけるとすれば、この具体的な手法というか、方策にやはり入っていただくというか、そこに歩を進めていただかないと、なかなか一つずつの非常に専門的なお話しだけをやっていても、どこかでこぼれ落ちてしまうものがあって、本質としてウイン・ウインの関係であって、私は最初これを海外でも売れるというお話をされた方もいらっしゃいましたが、日本の投信なら投信が、まさに日本の高齢者とか若者ということでもなくて、世界でグローバルに通用する投信にしてほしいというか、であるべきだと思っているので、そちらに向けた、そこから見た手法というところで、海外よりもよりすぐれたものを目指すべきだと思っていることと、さっきコストの話で、私はコストというのについては、ほんとうに日本では規制のせいなのか何かわかりませんが、大変時間というコストもかかるのです。時間がかかるということは、ある意味ではコストがかかることなのです。

そういう意味では、全体の中で、やはり日本のコストというのをどう見直すか。これは企業にとっても個人にとっても両方に資する、プラスになるものだと思いますので、コストの高さ、時間のかかり過ぎが何によるものかというのも、ぜひ勉強していけたらというか、解明してクリアにできればと思います。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、黒沼委員いかがでしょうか。

○黒沼委員

第2回のワーキング・グループにおけるご報告について、意見を2点だけ述べたいと思います。

第1は、毎月分配型の投資信託が増えているが、その商品内容については理解が十分に進んでいるとは言えないというお話でした。理解が十分でないのに売れているというのは、ミスセーリングではないかと永沢委員から指摘のあったところですが、私もそういう側面があるのではないかと思います。販売時に、毎月分配型の商品内容が十分に説明されているか、運用時にその時々の分配としてなぜその金額を分配するのかということについて説明等がなされているのかをチェックする必要があります。ここで提案されているトータルリターン通知制度、その内容の具体的なところは、まだ議論されていないと思いますけども、こういう制度を導入することには賛成です。

それから第2回のときに、実質信託報酬について少し議論がありました。実質信託報酬の上昇は、残高構成の変化が原因ではないかというのが今日のご説明であります。確かにそういう面があると思いますが、他方で、投資者は売っている投資信託しか買えないわけですから、現在入手できる投資信託については、実質信託報酬が以前のものに比べて高いということになると、これはやはり問題です。投資信託が売れなくなるという意味で問題なのか、それとも販売会社や委託会社が投資者から利益を移転しているのではないかという点で問題なのかということは議論の余地があると思いますけれども、これに対する1つの方策は、実質信託報酬のきちんとした開示をして、それを投資者が判断できるようにするということだろうと思います。

繰り返しになりますけれども、実際には商品設計は業者が行っているのであり、投資者は買えるものしか買えないわけでありますから、現在の投資者層を考えると、もう少しパターナリスティックな規制、商品内容についての規制を入れるということについても議論していく必要が出てくるように感じました。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、神作委員いかがでしょうか。

○神作委員

3点申し上げさせていただきます。

始めに、商品規制に関してでございますけれども、自由化、規制緩和が進み、さまざまな投資信託の商品が出てきたということ自体は、むしろこれまでの規制改革、制度改革のプラス面として、積極的に評価することができると思います。そのような観点からは、商品規制というのは、これまでの規制改革のプラス面を減殺しないように慎重に考えていく必要があると思います。この点に関連して、さらに2点コメントさせていただきます。第1は、そうは言っても、投資信託という商品性からして、明らかにふさわしくないというようなものがあるとすれば、例外的に商品規制を導入することを頭から排除すべきではないと思われます。なお、具体的な問題になりますけれども、毎月分配型のようなものは、これは商品設計として頭から不適切だというわけではないと思います。これまでにもご指摘がございましたように、ネーミングと実態とが合っていない部分があるとしたら、例えば元本払い戻し型等々、よりふさわしい表示と説明をしていくという問題であり、商品性の問題でないように思います。

商品規制に関連して第2に、非常に複雑で多様な商品ができたということでありますけれども、他方で、基本的な商品として考えられる投資信託の中で、まだ日本で十分に開発されていないようなものもあるのではないかと思います。例えば、国内の社債、特に低格付の社債などを組み込んだ投資信託商品というのは、基本的な商品としてもっとあっても良いように思うのですけれども、そういったものが逆に日本では不足していいるのではないかという感想を持っております。この問題は、投資信託に関する規制だけの問題ではなく、社債に関連するさまざまな問題と関係しており本ワーキング・グループの論点から逸脱する部分があるとは思いますけれども、より基本的な商品について、日本に不十分な部分がないかどうかということをチェックしていく必要があるように思われます。

それから第2点でございますけれども、本日、事務局でご用意いただいたペーパーで、合理的な投資判断ができる環境整備を進めていくと記載されている点に全面的に賛成いたします。もっとも、一般の投資家にとって逆に開示が不適切な行動を生み出すおそれがあるということは、これは諸外国でも指摘されているところかと思います。例えば、リターンについての公表をすると、将来の成績と過去の成績というのは必ずしも関係しない場合があるのにもかかわらず、投資家は過去の成績に大きく引きずられた投資判断を行う傾向があることですとか、売却の際には購入の場合に比べてさらに情報の収集とか判断が甘くなるといった一般の投資家の行動が観察されるといわれています。このように、実際にある開示規制の導入が一般の投資家の行動に対してどのような影響力や意味を持つのかということをきちんと検討した上で、合理的な投資判断ができる環境整備を進めていく必要があると思います。

開示につきましては、投資信託の投資の方針、リスク、リターンおよび手数料の4つが基本的要素になると思いますけれども、この4つについて、まさに投資家が実際に合理的な行動がとれるような情報提供を行うという観点から、投資家の実際の行動に対する影響力を考慮しつつ、合理的な投資判断ができる環境整備について、さらに議論を進めていくことが重要であると思われます。

最後に、これまでのご議論の中で、残高ベースの報酬体系へ移行してはどうかというご意見もございました。しかし、これもまた利益相反の原因になり得るわけで、そのような報酬体系ですと、どうしても残高を高くするようなインセンティブ等が生まれてくる可能性があります。報酬体系一つをとってみても、どのような報酬体系等をとれば万全かというのは、なかなか一律に言えることではないと思います。どのような状況の下で、どのような利益相反、インセンティブのゆがみが生ずるのかということをきめ細かく考えていき、もし何らかの規律等が必要であれば、それについてもさらに見直しを行っていくことが必要ではないかと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、川波委員いかがでしょうか。

○川波委員

私は初回と第2回を欠席いたしましたので、もう既にご議論のあったことかもしれませんけれども、1点感想と、それから、幸い今日金子さんがお見えですので、質問を2点ほどさせていただければありがたいと思います。

先ほど横尾企画官のおまとめにもありましたけれども、海外との関係、あるいは国際性ということについて関心がございます。海外の資産への投資割合が高くなっている、したがって商品が非常に複雑化して、リスクも多様化して複合化している、手数料も上がってきているというご説明であったかと思います。

たまたま金子さんがご用意くださった資料、私もほかの委員の方のものも含めて、この数日間読ませていただきましたけれども、運用のアウトソースということで、海外への投資が出てきているというお話がございまして、世界のさまざまな運用会社にアウトソースされています。そしてそれが伸びているということは、大変示唆的なことではないかと思っております。アウトソースの分の伸びが投信残高の伸びを左右するような、ウエートになってきているという感じを持っておりますので、そういう面から見て、投信の制度をどういうふうに考えていくかが大変重要ではないかと考えます。具体的な踏み込んだ提言というところまでいきませんけれど、そういう一般的な感想を持っているということでございます。

それから、併せて2点、後ほどで構いませんし、後日文書で教えていただいても構わないのですが、このアウトソースする分と、アウトソースしていないものの双方を見て、海外のアウトソースが多く用いられ、そして伸びてきている要因をどう考えたらいいかということ、言いかえればアウトソースする場合と、そうしない場合のパフォーマンスの違いが何に起因するのか、その辺について何かお考えがあれば教えていただきたいということでございます。

投資信託の基本というのは、専門家管理と分散投資というところだと思うのですが、専門家管理のところで違うのか、あるいは分散投資のところで何かパフォーマンスの違いが出てきているのか、あるいは経済成長とか、あるいは金利のところで違いが出てきているのか、その辺のところで何かお考えがあれば、教えていただきたいということでございます。

それからもう1つは、こういう個人の海外投資ニーズに対応していくときに、今なお残る制度上の問題等があるのかどうかです。98年、2000年前後に解禁されたということが資料の中にあったわけですけれども、今なお克服すべき課題があるのかどうか、その辺のことについてお考えがあれば教えていただきたいという、以上2点でございます。後ほどで構いませんので。

○神田座長

金子さん、もし、今お答えいただけることがあれば、今伺ってとは思いますが、いかがでしょうか。

○金子野村総合研究所上級研究員

川波先生の今の質問なんですけども、まず1つ目の質問は、アウトソースする場合と、アウトソースしない場合、パフォーマンスに違いが出てくるのかということなのですけれども、そもそも、なかなか計測の仕様がない、はかりようのないことなのですけれども、一般論としましては、ファンドを組成する運用会社からしますと、みずからの組織の中で運用できると判断できるような内容のものであれば、あえてアウトソースする会社は、おそらくないのではないかと思います。それは、みすみす自分のもうけを少なくするような行動をあえてするところはないのではないかと理解しております。

したがいまして、アウトソースしている部分というのは、基本的には自分の組織の中では運用維持ができないものに限定されるのではないかと私は理解しています。したがって、その違いは、それがするかしないかによってパフォーマンスが違いがあるかということよりも、もしアウトソースしなければ、そもそもファンドとして設立できないということなのではないかと理解しております。

それから2つ目のご質問ですけれども、海外、特に投資する場合なのでしょうか、まだ改善すべき点についてということなのですけれども、ちょっとすみません、考えがまとまらなくて、今のところ、ここでは。後日あればということで、させていただきたいと思います。

○川波委員

よろしくお願いします。ありがとうございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、沖本委員いかがでしょうか。

○沖本委員

ボラティリティの階級表示ということに関しまして、3点ほど意見を述べさせていただきます。

まず1点目ですが、長期のボラティリティと短期のボラティリティの区別を、投資家にどのようにつけていただくかということがあります。おそらくボラティリティを分析している人の大筋の見方は、ボラティリティには長期的に一定の平均的な水準というものがある一方で、短期的には、ボラティリティはその長期的な平均の周りを比較的激しく変動しているというものではないかと思います。

もし、そのような見解が正しいのであれば、ボラティリティの階級表示に使われるべきものは、長期の平均的なボラティリティになると思います。

しかしながら、長期的なボラティリティを階級表示した場合、当然ですけれども、短期的にはボラティリティがその水準から大きく乖離してしまう可能性が出てまいります。ですから、投資家の方にその可能性をきちんと理解していただくことが必要になってくるのではないかと思います。

その点に関連して、もう1点なのですけれども、長期的なボラティリティを計算するためには、やはり長期的なデータが必要になります。欧州のほうでは、実際にボラティリティの階級表示が行われているということを伺いましたので、その資料を拝見しましたところ、欧州では過去5年間のデータが使われているようです。日本において、同様の基準を適用しようとすると、過去5年間のデータを利用できる投資信託自体が少ないのではないかという懸念があります。

最後に、もう1点なのですけれども、1つの投資信託に投資する場合には、ボラティリティというのは非常に重要なリスクの指標になると思います。しかしながら、例えば2つの投資信託に投資をすることを考えますと、個々のボラティリティは確かに重要な情報ですけれども、もう1つ重要になる情報がありまして、それはその2つの投資信託の間の関係といいますか、統計学的な用語でいいますと、相関といわれるものになります。例えばですけれども、個々の商品のボラティリティが大きかったとしても、相関が負の2つの投資信託に投資することができれば、結果としてポートフォリオのボラティリティは非常に小さくなる可能性があります。ですから、ボラティリティを階級表示するのは、わかりやすい指標として重要なことであるとは思うのですが、各商品間の相関というようなほかにも重要な指標があるということを、投資家の方に理解していただく努力をすることも重要なのではないかと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。

では大崎委員、いかがでしょうか。

○大崎委員

ありがとうございます。私は第2回の審議を欠席してしまいましたので、もしかすると、もう既に議論されたことに対しての理解の不十分な点があるかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。

第1に、私が気になっておりますのは、販売手数料とか、あるいは信託報酬とかいったコストの高さが大分議論されておるようですけれども、大前提として、この信託報酬でありますとか販売手数料といったものが、現在、固定的に定められているものではないのだという認識は、こういうことを議論する上で改めて確認しておく必要があるのかなと思うわけです。まさに自由競争のもとで結果的に形成されているレートなわけでありまして、率直に申し上げれば、それが不当に高いと思う方はそういったものは購入しないという選択肢が準備されているわけです。実際に販売手数料や信託報酬は商品によってさまざまなわけです。

また手数料等の使途の開示という議論もあったように思うんですけれども、何となくここで前提になっているのは、報酬とか手数料が業者側のコストの積み上げに利潤を上乗せして決定されているかのような誤解なのではないかと思いまして、これはむしろ入り口の、幾らだったら顧客は払ってくれそうかというのが自由競争によって決まって、それに合わせてむしろ会社側はコストの削減に努力をするのが、普通の資本主義の社会なのではないかと思います。そこを何か電気料金などの公共料金の決め方のように誤解してしまうと、ものすごくミスリーディングな結果につながるのではないかと懸念するわけでございます。

先ほど、黒沼先生が、そうは言っても投資家は買えるものしか買えないんだとおっしゃったのも、それもそうだなと思う反面、例えば信託報酬率がものすごく気になるという方は、さっき小沼さんからもお勧めのあった、ETFを買っていただければいいということもあるわけです。

ついでに私は、実は小沼さんに要望したい点があるのですが、なぜETFが、本数は増えて100本を超えているけれども、もう1つ一般投資家の間で広がらないのかというと、私は流動性の問題と価格の形成の問題が、ものすごく深刻なものとしてあると思っております。ここにいらっしゃる方で、100万円以上のETFを買おうとされた方が実際におられるかどうかわかりませんが、ほとんど無理です。ごく特定の銘柄を除けば、数万円単位の投資でしたらできますけれども、100万円以上のETFを真っ当な価格で短時間のうちに売買することは、事実上、現在の市場では難しいんです。これは結局、純資産価額を適切に反映した水準の板の注文が非常に薄いことであるとか、それをきちっとマーケットしてくれるマーケットメーカーが欠如しているという問題があって、私は別に東証を批判しているわけではないのですが、ぜひこのあたり、ETFの市場を改善していくことも、競争によって投信市場全体のコストを下げていく1つの道ではないかと思う次第でございます。

それから2番目に、吉野先生から再三ご指摘のあった、インセンティブがずれているのは、まずいのではないかという点についてです。私はある意味ほんとうにそのとおりだなと思うんです。つまり一方に資産を増やしたいという人がいて、他方に資産が増えても増えなくても手数料収入が増える人がいるのは、あまりよくない。一般論としてそういうことが言えると思うんです。

しかし、単純に販売手数料をゼロにしてしまうと、いいインセンティブがきちっと生み出させるのかというと、やや疑問なところもございまして、実際にノーロードのファンドを積極的に販売された運用会社なんかも過去には結構あったのですが、昨今あまり見かけないんです。1つには、やはりノーロードのファンドは安易にというと言い過ぎかもしれませんが、非常に短期間で乗りかえされる傾向がかえって強く出てきて、運用が不安定化するといった、今度は運用会社サイドでロードをとったほうが、ある意味そういう行動を抑制できるのではないかという部分もあることと、ノーロードといっても本当に収入ゼロで運用させていただくわけにはいかないので、当然後ろで信託報酬をある程度高めにいただかないといけない。そうすると、これはパフォーマンスに悪影響を与えるという問題もあるわけです。これも私は、解決の1つは競争だと思っていまして、販売手数料は高いけれどもパフォーマンスはいいというものと、ノーロードだけれども事後的なパフォーマンスはどうかというものが、競争していくのがいいのではないかと思うわけでございます。

3つ目に、確定拠出年金の議論が出てまいりまして、先ほど村木さんからもお話がございましたし、清水さんからは積み立て型をもっと増やすべしというお話がございました。私は、これらに全く賛成でございますが、ただ確定拠出年金制度という制度の枠だけで議論をしますと、どうしてもこれは年金制度なものですから、どこまでも拡充というと、財政当局等からいろいろと、そこまでできるのかというお話も出てくるだろうと勝手に推測するんです。

そういう意味では、確定拠出年金制度の枠内での拡大はもちろん推し進めていくべきだと思うんですが、同時に課税後所得の中から拠出して、何らかの非課税運用なりを長期的な観点で促進していくような制度、具体的には既に今後導入されることが決まっております日本版ISAがあるわけですけれども、残念ながらというと金融庁には失礼ですが、一種暫定的なというか、しばらくするとなくなってしまう制度だという想定に現状なっておりまして、そうすると業者サイドでは、それに対応した商品を新たにつくるとかいう議論になったり、そのためのシステム投資は採算が合うのかという議論になってしまって、せっかくの制度がうまく働かない可能性があるような気がしております。そこで、ぜひ恒久的にそういった措置を講じることを、これは投信制度とは全く関係ないんですが、側面支援という意味で検討すべきではないかと思います。

長くなって恐縮ですが、最後にもう1点だけ、今日の議題とは関係ないのですが、前回言い忘れたことで、いわゆる規制緩和的な議論の中で、例えば投資信託のファンド間の取引についての規制を緩めるというご指摘がありました。そのとき申し上げるのを忘れていたのですが、大事なポイントとして、これは私自身も精査はしていないのですけれども、投資信託の運用規制と例えば年金資金の運用規制で違った点がありますと、運用会社の多くは、投資信託と投資一任業務を兼業しているので、例えば売買の発注についてはそれが同じ場所で、つまり同じトレーディング部門で担当されていたりしますので、規制緩和をしたつもりが、余計実務的に煩雑になってしまう可能性もあるのではないかと、ちょっと心配していまして、一任契約の運用規制との整合性にぜひご配慮いただきたいということです。

ちょっと長くなって失礼いたしました。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは石黒委員、いかがでしょうか。

○石黒委員

ありがとうございます。

今日の事務局資料を拝見いたしまして、せっかくおまとめいただいたので、ちょっとこれを見ながら気がついたことをコメントさせていただきたいと思います。上の2つの部分は、今までの議論をおまとめいただいた部分でございまして、「上記の結果もたらされた影響」というのも、Dはちょっと技術的な側面ないし部分的なものかもしれませんが、いずれも非常に残念な状況がここで改めて明らかにされているなと思います。

最後の対応策のところでございますけれども、1つは「“same boat”による信頼感醸成」というところで、細かいことでございますが、「運用担当者名」とありますが、スターファンドマネジャーみたいな方で、誰でも名前を聞けばわかるという状況ではございませんので、これは名前だけでなく過去の運用成績といった、もう少し中身にわたるようなことをおっしゃっているのだろうなと解釈いたしました。

それから次の「顧客に資する形でのコンサルテーション機能強化」という部分ですが、これは主体がだれなのかという問題がございまして、例えば「運用目的や目標を顧客と共に考える姿勢」があることは非常に大切なわけですけれども、販売会社にのみこれを求めるとすると、やはり一定限度の無理があるというか、ある意味で「もたらされた影響」のAで書かれているように、供給サイドで新規のファンドがどんどん売出されているという状況があって、構造的なコンフリクトがあるのではないかとも思われます。それから「顧客にとっての最適ポートフォリオの提案」も、一部のウエルスマネジメントみたいなものを除くと、顧客がまとめて自分の資産全部について、全体的なポートフォリオをどうするかと相談するという関係は、現状ではあまり存在しないのかなという気がします。これらがよくないとか、意味がないという意味ではないのですが、当面の施策としてこういうことを言っても現実的にどうなのかなという気がいたしまして、やはり中長期的には独立のアドバイザー、フィナンシャルプランナーなりアドバイス専門会社なり、販売と離れたところでアドバイスをするようなサービスが、合理的なコストで提供できるような状況ができていかないと、なかなかここは難しいのかなという感想を持ちました。

それから1つ飛びまして、合理的な投資判断ができる環境整備でございますけれども、トータルリターン通知制度は結構だと思いますし、村木委員のご指摘がありましたように、いろいろ実質的にどのようにするかについては工夫をすべき問題だと思います。

それとは直接関係ないのですけれども、あるいはこれは販売時の問題でもあるのですが、最初に購入するときの費用についてどこまできちんと投資家に伝わっているのかが、やや心配でありまして、100の投資をしたときに、100投資をしたが一度も100を上回らないと思っているような方も結構いらっしゃるのではないかと思うのです。いや、そうではないのですよ、投資といっても、出費という意味では100出しているけれども、最初の段階で運用、投資に回っているのは100ではなく、九十幾つなんですよというところがよくわかっていないと、リターンがどうなのかという正確な把握もできませんし、自分が負担しているコストが何なのかもよく把握できないのではないかと思います。そこは一番出だしのところですけれども、大事なところかなと感じております。

それから「複合化するリスクへの対応」でございますが、特に商品のリスクに対する一定の制約ということで、非常に限界事例にとどめるべき問題であろうと思っております。基本は、何といっても適合性と十分な情報開示と、自己責任による投資判断かと思っております。

あと全般につきまして、やはり2つの局面から税制上の手当てという問題が、各委員からもご発言がございましたけれども、非常に重要なのだろうと思っておりまして、上の影響の分析のところでも出ておりますが、やはり海外資産への投資のアクセスが容易になることも非常に重要なんですが、しかし国内にも資金が回って、それが運用リターンの向上にも資して、更に投資資金を呼び込む、そうやって日本経済が回っていくということを、この場のテーマから大きく外れてしまいますが、国家戦略的に、特に若手あるいは中年層の長期の投資を促していくことを、制度的に長期的にやってインセンティブを与えていかないと、そういう積極的な施策で投資を呼び込んでいかないといけないのだろうと思います。

もう1つ、税制面で別の局面からは、今回この議論を通じて今年中に具体的な改正案が出てくると理解しておりますけれども、その改正の具体的なものに伴って、それが税制にどういう影響があるのか。思わぬマイナスの影響があるようなケースはもちろん最悪なわけですが、それは別として、税制上の手当てが伴うことによって、初めてその改正の意味が出るケースで、税制上の手当てがないと、せっかく改正をしても結局はあまりそれが利用されないという、残念な結果にならないようにと切に願うところであります。特に今日の取りまとめでは出ておりませんけれども、リートなどは税制との関係が商品性そのものの重要な一部になっておりますので、そこの辺の目配せが非常に重要で、税務当局とうまく二人三脚、連携できればいいなと期待いたします。

あと、今日の資料は、あくまでも概要をおまとめいただいたと理解しておりまして、第1回の会合で私もリートとか外国投信についても発言をさせていただいておりますが、それはここでは大きなテーマのところだけをピックアップされたと理解させていただいております。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは井潟委員、お願いします。

○井潟委員

私も初回、それから第2回、いずれもいろいろ発言させてもらっていますので、その補足という形になるかと思いますけれども、幾つかお話しさせていただきます。

事務局で簡潔に整理していただいたということで、この資料に基づきながら。最初は一般論としてはやはりなるほどと思いがちな表現になっているのですが、よく読んでみると、ちょっとぴんとこない部分があるのではないかという点が、最初のところでございます。1つ目が、1枚目の「上記環境下での経済活動等」で、「i.取引連動手数料を確保せざるを得ず、次々と新しいテーマに基づく新商品が設定され、既存商品より新商品が積極的に販売されている」という表現ですが、既存商品を売っても手数料は実は手に入るわけで、新商品を売っても手数料が手に入る。そういう点では実はこれは同じなわけです。したがって、手数料を確保せざるを得ないということが、新商品が積極的に設定され販売されることに直結するような表現は、よく読んでみるとなかなかぴんとこない。

それから同じ1枚目の末尾にありますが、「販売手数料重視の販売会社が主導する業界構造が形成され、これら供給サイドの『目的関数』は投資家の資産運用ニーズを反映したものとなっていないのではないか」という文がありますが、これも他の世界といいますか、他の業界や商品も含めてだと思いますが、取引が成立するには供給と需要、すなわちニーズがマッチしないと取引は成立しないはずだという点で、こういった認識については、やはりもっと精緻な分析、調査が必要ではないかなと感じた次第です。

あとはこれまで前回や前々回などでもお話ししたものの補足という形になりますが、対応策のところでございます。何度か他の委員の方々からもご指摘がありましたが、「顧客に資する形でのコンサルテーション機能強化」については、石黒委員からは、これがまだまだ時間がかかるのではないか、あるいはサードパーティー、第三者の方々からという話がありましたが、やはりこれは施策というより業者の努力という点では不断の注力が必要とされるもので、日本の金融サービス産業全体が積極的に取り組むものとして非常に重要ではないかと認識しております。先ほどあった、投資家の資産運用ニーズを、投資家と販売会社がお互いに適切に正確に把握していく点でも、こういうコンサルテーション機能の強化は不可欠だと考えています。

「運用目的や目標を顧客と共に考える姿勢」や「顧客にとっての最適ポートフォリオの提案」については非常に難しいことではないかという印象がありますけれども、実は米国などでは、顧客のライフプランを非常に精緻なデータに基づいて、定量的に非常に高度なシミュレーションをするという充実したファイナンシャルプランニングツールが、現実に販売会社及び運用会社、そしてサードパーティーの立場で関わるファイナンシャルプランナーの方々もほんとうに取り入れて使っているわけで、この点においては日本の金融サービス産業は、まだ平均的に少し遅れ気味だという点では、注力すべき余地が残っているのではないかと考えた次第です。

そういう点からも、2枚目の末尾の「資産形成層への投資信託普及に向けた研究」に記載がある確定拠出年金制度の拡大の重要性は、非常に重要だと思っております。大崎委員からは財政の問題ということが指摘され、本当におっしゃる通りで、こういう財政状態が厳しい中で、税制優遇などを何につけていくのかについては真剣な議論が必要なものですから、この確定拠出年金の普及がどれだけ重要なものかを、どういう形で全体として世論形成していくのかということもあるかと思います。一方で、公的年金、ひいては社会保障費などの改革を進めていくことで財政をより改善させていく点でも、私的年金の拡充は必要であり、この確定拠出年金の役割の重要性は財政の点からも実は言えるのではないかと日ごろから考えております。

そもそもファイナンシャルプランニングツールの活用と普及の必要性を申し上げましたが、それ以上に、日本の広く国民全般において、投資リテラシーの向上を一層図っていく必要があることについては、異論の余地はないと考えています。その点で、確定拠出年金は制度として投資教育の提供が義務づけられている制度なわけで、これが拡大していくことについての意義は非常に大きいのではないでしょうか。3枚目の冒頭に「積み立て投資の拡大」とございますが、確定拠出年金制度そのものが、積み立て投資そのものになっています。普及に向けた研究とありますが、ちょっと時間をかけていくと言うよりは、できればやはり具体的な拡大策として拠出限度額の引き上げとか、ある年度の限度額の使い残しの他の年度での活用、あるいは中途引き出しの要件の緩和や、公務員や主婦への対象拡大などが必要なのではないかと、他の研究会では日ごろ提言させていただいている次第です。

最後になりますが、「合理的な投資判断ができる環境整備」も非常に重要なのですが、これは初回ですか、お話しさせていただいた点についての補足でございます。先ほど沖本先生からも非常に重要な論点が幾つか提示されたと思っておりますが、やはりボラティリティのみをシンプルな表示にしてしまうことで、運用対象、運用方法などがお互いに異なっているようなもの、本来は単純には比較しにくい商品についても、比較できてしまったと投資家が考えてしまうような安易な理解や誤解を生じかねないのではないかという点を、こういう制度をもし導入する場合、どのように払拭していくのか、が大事だと思います。自己責任原則にのっとって詳しく商品の中身を知る姿勢が、こういう制度で逆に弱まりはしないかという懸念は、初回にも申した次第です。

しかもやはり目論見書に記載された階級の表記となりますと、実質的には他の商品、他の産業でもありますが、説明書などにそういう数字がついていくとなりますと、この商品はこの階級だという品質保証につながりかねない。市場環境や前提が変化するのに伴い、先ほど沖本先生からも短期・長期ということもありましたが、階級が変わり得ることにかんがみると、この階級の意味についての正しい理解の徹底とか、階級が変化した場合の既存の投資家への周知徹底、あるいは階級をアップデートさせていくタイミングについても、こういった制度を検討する場合は十分な配慮が要するのではないのかと考えた次第です。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

吉野先生、お願いします。

○吉野金融審議会会長

皆様のご意見、ありがとうございました。

3点ぐらいコメントさせていただきたいと思いますけれども、1つは、私が30年ぐらい前にアメリカにいましたときに、初めてMMFが銀行で売られ始めまして、そのとき初めて買ったんですが、パフォーマンスがいいわけです。そうするとやはりアメリカ人もずっと増えていくわけですから、日本の投信が伸びないのはそのパフォーマンスがあまりよくないからではないかなというのが、まず1番の印象であります。

それとの関連で行きますと、前に申し上げましたけれども、OECDの中で日本の利子配当収入が非常に低いわけでありまして、1,450兆円の資産が3%で回れば、前回申し上げました45兆円ぐらいで財政赤字が全部吹き飛ぶわけですから、もしここの中に運用の関係の方がおられたら、ぜひ3%で回していただきたいと思っているぐらいです。

それから手数料とか費用の関係ですけれども、日本の投信がもっと海外で売れれば、同じ経費率で海外からの収益が得られるはずなので、これは業界の方にぜひお聞きしたいのですが、日本発の投信がどれくらい海外で売れているか。例えばアジアでも同じような商品のニーズがあるのであれば、日本の投信の3割ぐらいは海外で売れていて、7割が日本なのか。それとももっと低いのか。やはりもっと海外に発信していただいて、いい商品を日本で売れているのかどうかが、1つあります。

2番目は、大崎委員とか村木委員からご指摘、フォローアップしていただきましたけれども、日本人は目標をちゃんと設定すれば、それに向かっていける国民だと思いますので、運用会社と販売会社と投資家がみんな同じ方向を向いて、それでみんなが、全部が高い利益を得られるという方向にすれば、必ず日本はいい投信が売れますし、投信が増えていくと思います。

先ほど手数料のところで成功報酬型がございましたけれども、私は、手数料は成功報酬型プラス経費分、人件費とか物件費の部分の固定費はそれぞれ変わっていいと思いますが、それ以上の部分は成功報酬型で両方考えるべきではないかと。いろいろいい面、悪い面があると思うんですけれども、ヘッジファンドが失敗したのは、上向きのときには必ず成功報酬が得られて、失敗したときにはゼロ以下は損失がないという、プットオプションでしたから、やはりうまくいかなかったわけですから、そうすると、あるいはヘッジファンドの成功報酬型の欠点も直して、それで日本でよりよい成功報酬型をつくればいいのではないかと思いました。

その関連で行きますと、ではどういう指標を示せば一番ほんとうの投信のリターンを示しているのか。これは多分業界の方が一番よくご存じではないかと思うんですけれども、そういう指標で各会社に競争していただいて、それも1つではないと思いますから、5つぐらいの指標を示していただいて、各運用機関なり販売会社がそれを競っていただければ、最終的には個人にとってもいい収益になるような気がいたします。

最後は、その見える、見えないというところで、先ほどから毎月分配型という話がございましたけれども、例えば銀行が毎月分配型預金を発売したとします。どういうことになっているかというと、実際の運用収益はほぼゼロですから、そこから毎年5%の利益が得られているということは、自分の100万円の元本が毎年減っていることが、すぐ預金者にわかるわけです。そうしたら預金で毎月分配型の預金を買う人はいないはずです。それはやはりトランスペアレントで透明だからです。そうではなくて、毎月分配型を買って、それがわからないために、あたかも自分の元本がいいようになっていると見えるのではないかと思います。そういう意味で、やはり透明性があって、それぞれの運用の方々が今どのようになっているかがわかる指標をしっかりつくっていただければ、投信の販売も増えるでしょうし、日本の投信が海外で売れるようになりますから、経費率も下がるような気がいたします。

以上がコメントです。

○神田座長

どうもありがとうございました。

委員の先生に幾つかご指摘いただいた中で、日本の投信が海外でどのぐらい売れているかというのは、ご存じの方はいらっしゃいますでしょうか。宿題ということでよろしゅうございますか。証券会社の方がいらっしゃれば、ある程度、お答えいただけるかもしれません。投信協会、わかりますでしょうか。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

日本の投信がとおっしゃる場合に、日本籍の投信をそのまま海外に売るのは、日本の場合に海外の外国籍投信を持ち込む場合と違いまして、海外の場合、例えばアメリカにおいて、アメリカ以外の国の投資信託を持ち込むことは実質できないので、ヨーロッパとかアメリカにおいて日本の商品をそのまままずは持っていかれないので、それぞれの国の籍のファンドをつくって、その中に自分たちの運用エンジンを入れる。ヨーロッパであればUCITを籍にするとか、アメリカであればアメリカの会社型投信をつくって、その中に自分たちの日本で売れていると同じようなエンジンを入れるスタイルで売っているのが現状でありますので、そのまま日本と全く同じものを海外に持っていって売るということは、現実では難しいです。

先ほど話が出ましたアジアについてですけれども、アジアなどの場合も、例えばUCIT型のファンドなどであれば、台湾とかいろいろなところに登録すれば売れるという形態になっています。だから例えば日本のファンドがそういう形で海外において登録できるのであれば、売れる可能性はあるかもしれませんので、やはり言葉の壁とか開示の話とか、いろいろクリアすべき点があるのではないかと考えております。

どれぐらいの額かというのは、全く同じ商品という意味では、多分僕はゼロに等しいかと思いますけれども、ただ形態を変えてUCITとかアメリカ籍のファンド等、いろいろな形であれば、海外で売る、我々もそうですが、いろいろな形態で運用のエンジンという形では輸出しているという事実はございます。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

どうぞ、清水委員。

○清水委員

今の日本の投信の輸出の件ですが、オーストラリアの金融当局が何度か、今現在、ヨーロッパで売られているファンドにつきましては、日本ですとか台湾ですとか韓国で幅広く売られていまして、なぜアジアの中でアジアのファンドが他国に売れていないのかと、オーストラリアの政府ですとかシンガポールとか香港、ファンドに積極的な国々が言っていまして、アジアの中でそれぞれの投信のファンドをUCITのように相互売却できるようにしないかという話は、金融庁にも来ているかと思いますが、そういう話は出ていることは出ています。ただその場合には、その器の自由競争みたいなことが起きるので、仮に韓国のファンドが日本で売れるようになると、もしかするとそちらの使い勝手がいいと、自動車や車のように自由競争が起きることはあると思います。そういう構想をしないかと持ちかけているところはあるみたいです。

○神田座長

ありがとうございます。海外のファンドは日本で売られていますよね。ですから逆に日本のものが全く売れていないのはなぜかという、一方通行が問題だということではないかと思うのですけれども、いずれにしても今後の課題の1つではないかと思います。

それでは、一通りご意見をいただきましたので、まず残りのお時間、メンバーの方々から追加でご発言があればお出しいただき、その後でオブザーバーの方にもしご発言があればいただくという順序でさせていただきたいと思います。メンバーの皆様方から、今までのご議論をお聞きになって、追加でのご発言がございましたらお願いしたいと思います。

いかがでしょうか。どうぞ、大崎さん。

○大崎委員

1点だけよろしいですか。確認ですけれども、先ほど来、毎月分配型に関する話がいろいろ出ていて、誤解を招く等の議論もあったのですが、たしか投信協会のルールを変えて、特別分配金についてよりわかりやすい表示を、もう既にやっておられるのではなかったかと思うのですが、これを確認させていただけますか。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

今ご指摘いただいた件についてですが、昨年来、その問題について業界として取り組みまして、分配金の誤解を生まないようにということで、特別分配金というところを元本払戻金などの表現にしております。それと運用報告書において分配金の構成が、当期の収益と当期の収益以外とに分けて、きちっとわかるような工夫を始めさせていただいております。

○神田座長

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。金子さんと竹川さんにわざわざ今日おいでいただきましたので、今までのご議論をお聞きになって、感想とかございましたら、ここでお出しいただければと思います。金子さん、いかがでしょうか。

○金子野村総合研究所上級研究員

大崎委員から、今、分配金の話がございまして、重なっているようでございますけれども、私の資料のせいでというか、ちょっと要らぬ誤解を与えてしまったかという点で、多少補足させていただきます。

個人のお客様がいわゆる分配金利回りの高いファンドを好むというか、そういうものが売れ行きがいいということと、その一方で、支払われた分だけ基準価格が下がるという、比較的基本的な事項もご理解いただけていない方も結構多いという資料を、私は確かにつくって、それがミスセーリングに当たるのではないかと、黒沼先生も、それから先般、永沢先生もおっしゃったわけでございます。

私は必ずしもそういう意図でつくったわけではございませんで、分配金に関しましては、もっと基本的な運用成績によって変動するところはかなり正解の率というか、よく理解いただいているということがございます。幾つかの分配金の特徴というか性質の中には、ご理解いただけていないものもあるということです。もし売った瞬間に、売った時点でこれが理解できていないことになると、場合によってはミスセーリングだという話になってくるかもしれませんが、ここはあくまでも以前買って保有されている間に、何か一部わからなくなってきてしまったということでございます。

私自身もこういう仕事をやっていますから、金融機関自身には勤めていませんけれども、金融のある意味プロに属するほうだと思っていますが、例えば自分の保険についてもどんな特約がついたかわからなくなるときがあります。定期的に呼んでしつこく聞いていますけれども、その時点では、買った時点ではちゃんと理解しているはずなので、営業の方に、変なものを売ったと毛頭申し上げるつもりはなくて、時々忘れてしまうことがあるのだと思います。

したがいまして、私が資料をつくったのは、むしろフォローの大切さをご指摘させていただきたいためつくったわけでございまして、必ずしもミスセーリングということを意図してつくったわけではございません。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

竹川さん、いかがでしょうか。

○竹川LIFE MAP,LLC代表

2回目で個人投資家目線でということでプレゼンをさせていただいたんですけれども、改めまして私からは個人投資家が投資信託を買うときに、運用会社サイドそれから販売会社サイドの方にこういう視点で考えて、こういう視点で改善していただけるといいのではないかということを、幾つか補足で申し上げたいと思います。

まず運用会社サイドに対してですけれども、購入前と購入後についてどういう視点があるといいかということですが、まず購入前に関しては、要するに個人がいい商品をどうしたら選べるのかという視点で物差しを提示していただきたいと思っています。購入後については、今保有している商品について、この商品と長期的につき合っていて大丈夫なのか、がわかる物差しを提示していただきたいということです。

まず1つ目の購入前に関しての物差し、どうしたらいい商品を選べるのかという視点で考えたときに、前回のプレゼンでも申し上げたんですけれども、運用担当者の経歴、要するにお金を自分たちが預けるのに対して、どういう人たちが、どういう経歴、経験を持った人たちが運用しているのかは、非常に興味があるところですし、実際アメリカのファンドなどでは開示をしているということです。また運用担当者とセームボートに乗っているかどうかを考えたときに、運用担当者であるとか経営者の方も含めまして、その投信の保有状況、金額や比率、会社全体としての保有状況がわかると、よりいいと思います。また実際に既存のファンドに関しては、リスクやリターンの実績、経費率、実際にかかった分を含めましたトータルコストの開示も含めてお願いしたいです。

これは誤解されると困るんですけれども、別にコストが安ければ安いほどいいと言っているわけではなくて、それだけのコストがかかったのであれば、コストに見合った運用がちゃんとできているのか、運用実績を上げられているのかどうかを、あわせて見ていく必要があると思いますので、そういう観点では、少なくとも運用担当者の経歴、運用担当者、経営者の投信の保有状況、リスク、リターンの実績、それから経費率の開示も含めてご検討いただきたいです。

購入後に関しては、この商品と長くつき合っていけるのかどうかということで、運用担当者等の変更があった場合にはやはり記載が必要だと思いますし、リスク、リターンの実績の表示、コストの表示、経費率の表示も含めて開示をお願いしたいです。あくまでも個人投資家がどういう商品を選んだらいいのか、長期的につき合っていけるのかを考えたときに、その判断材料となるような物差しを提示していただきたいです。

一方で、販売会社に関しては、逆に個人がどうしたらいいアドバイザーを選べるのかという視点で考えていく必要があると思っています。井潟委員から先日お話がありましたように、地元密着型の独立中立のアドバイスができるようなエドワード・ジョーンズのような例であるとか、個人投資家向けの独立系のRIAのようなものが、最終的には望ましいと思います。ただ、現状(日本)では銀行とか証券会社の販売が多いですので、例えば購入前に販売員の方が受け取る手数料を、この商品を販売することで私は幾ら販売手数料をいただきますよとか、報酬のインセンティブを開示するとか、例えば手数料率掛ける残高にもなっていることを提示することで、信頼できるのか、同じ方向を向いているのかもわかると思います。また、できればご自身が保有している投信の開示も含めますと、実際に自分が投信を持つことで、運用成績が悪いものをあまり顧客に勧めたらまずいなということにも思い至ると思いますし、粗悪品の抑制効果にもなるかと思います。何のためにこれをするのか、その結果としてどういう成果が上がるのかをよく考えた上で、具体的な施策を、現状として何ができるのかを、個人投資家のために考えていただけると非常にありがたいと思います。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

オブザーバーの方々で、今までのご議論についてご意見がございましたらお願いいたします。

証券業協会、お願いします。

○日本証券業協会(相澤オブザーバー)

大和証券の相澤です。

これまで出たご意見に対する実際の現状について、簡単にお話しさせていただきます。まず1点目は、次々と新しいテーマに基づく新商品が設定されて、既存商品よりも新商品が積極的に販売されているというご意見に対してです。皆さんご存じのように、現在、各マーケットが目まぐるしく変化しておりますので、そういった相場環境の中では、そのときどきで最も魅力のあるテーマや市場が変化しております。「このようなテーマに投資したい。」というお客様のニーズは多いと考えております。販売会社はそのような顧客ニーズに基づいて新ファンドを販売しておりますので、顧客ニーズがないものを販売会社の営業努力だけで販売しているとは考えておりません。

また、既存商品よりも新商品が積極的に販売されているというご指摘がありましたが、各販売会社の販売額に対する新ファンドの割合は決して高くないのではないかと思っております。実際に当社の販売額に占める新ファンドの割合は、昨年度は約17%ですので、新ファンドが2割以下です。当社では、ある程度、品ぞろえはできておりますので、その中からお客様ごとのニーズに合った商品を勧めているのが現状です。

2点目は、取引ベースから残高ベースの報酬体系への移行というご意見についてです。販売手数料を低減させまして、信託報酬のような残高ベースの報酬を増加させますと、お客様が長期保有した場合は、逆にフロント手数料よりもお客様のコストが高くなってしまいますので、実際に残高ベースの報酬を望まない投資家も多いのではないかと思っています。実際に、他の要因もあるのかもしれませんが、残高ベースの報酬のみのファンドラップとか、SMAも、当社では力を入れているのですが、なかなか増えていないのが現状でございます。

3点目ですけれども、先ほど委員の方から分配金余力の実際の計算、仕組みの議論もお話がありましたが、実際に元本を含めた払い出しのニーズもかなりありまして、最近は、分配金だけではなく元本も含めた定期引き出しといった機能を提供する販売会社も増えております。

最後に、日本の運用会社が海外でなかなか採用されないのかというお話がありましたけれども、日本株とか日本の債券のマーケットが今まで上昇していれば、当然、日本株運用の得意な日本の運用会社に海外からたくさん声はかかっていたのではないかと思います。例えば、当社で韓国ファンドを販売していますが、運用会社は韓国の会社です。通常、運用の委託は、一番得意だと思われる会社へ行いますので、個人的な意見ですけれども、日本のマーケットに起因するところが大きいのではないかと思っています。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。投信協会、お願いします。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

野村アセットマネジメントの城川です。投信協会より少し関連事項を述べさせていただきたいと思っております。

本日は委員の皆様から貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。第2回のワーキングでもお話しさせていただいたのですが、金融業の中で資産運用業は受託者責任を伴う仕事の代表的なものであります。我々は受益者の信任を得て業務を行っていることを自覚しまして、運用に限らず業務全般の遂行にあたり、常に受益者の利益を最優先に考えております。

このことは商品組成についても言えます。例えば国内において株価低迷、低金利が長期化する中で、収益性やキャッシュフローに対する投資家ニーズがどんどん高まってきています。我々はこうした投資家ニーズに真摯にこたえて、近年、高収益の期待できる海外資産に投資するファンド、またキャッシュフローニーズにこたえるために毎月分配型ファンド等を組成してきたものであります。ただしその結果として、これらファンドを中心に、ファンド数が増加したのも事実でありますし、少額のファンドが増えているのも事実です。したがいまして、こうした小規模化したファンドを受託者責任を全うしつつ、運営、運用の効率化を図るべく、小規模ファンドの整理統合を推進する施策をぜひ要望したいと考えております。

また今日、事務局が用意されました資料にあるセームボートについて、少し述べさせていただきます。ご存じのように運用会社の報酬、信託報酬しかないんですけれども、これは基準価額が上昇し、運用資産額が増加することによって増えます。基準価額が下落し、運用資産額が減少することによって、受け取る信託報酬は減る構造になっております。この点において、受益者との利害の方向は全く一致していると考えております。我々は受託者の立場にあり、受益者と同じ船に乗っていることはもとより明らかであると考えております。

次に、販売会社との関係について、若干コメントさせていただきます。ご存じのように、日本では90年代後半から、販売会社においては系列以外の運用会社の商品も積極的に取り扱う、いわゆるオープンアーキテクチャが進んでおります。98年からは、銀行による投資信託の販売が開始されて、運用会社から見た販売チャネルの面での逆の意味でのオープンアーキテクチャも進展してきます。その結果、販売会社、運用会社双方が、商品あるいは販売先を選び選ばれる対等の関係になっています。我々は運用会社として忠実義務や善管注意義務をもって受益者より負託された資産の運用を行う一方で、いろいろご指摘をいただいておりますけれども、ファンドの商品性格やリスクあるいは分配金について、よりわかりやすく説明、開示し、正しく理解していただくことが、投資信託の普及、発展のために最も大切なことと考えておりまして、今後取り組んでいきたいと考えております。

私からの発言は以上です。ありがとうございました。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかによろしゅうございますか。それでは今までのご意見等を踏まえて、さらに委員の皆様方、それからほかの方々でももちろん結構でございますけれども、ご発言はございませんでしょうか。

もしないようでございましたら、前に延長した分の時間を本日お返しして、相殺させていただきたいと思いますので、本日はちょっと予定の時間よりも早いかと思いますけれども、このあたりとさせていただきます。また連休明けから頻繁に会合を開催させていただくことになると思いますので、大変恐縮ではございます。皆様方には本日も大変活発なご議論をいただきまして、大変ありがとうございました。さらにお気づきの点、ご意見等ございましたら、今までどおり随時事務局までお寄せいただきますよう、お願いいたします。

最後に事務局からのご連絡等をお願いします。

○横尾企画官

次回会合でございますけれども、連休明けの次の金曜日、5月11日16時からとさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。また実は5月以降、夏季の軽装、いわゆるクールビズの期間となっておりまして、当局サイドは軽装にて参加させていただくことになると思いますが、ご容赦いただければと思います。同時に皆様におかれても、軽装にてご参加いただければと思います。

以上でございます。

○神田座長

それでは以上で本日の会合を終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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