金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第9回)議事録

1.日時:

平成24年9月26日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○横尾企画官

お忙しいところをご参集いただきまして、ありがとうございます。第9回ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料を確認させていただきます。資料といたしまして、まず事務局説明資料、それから参考資料といたしまして、参考資料1、1枚紙です。それから参考資料2、交付運用報告書のイメージでございます。それからメンバー名簿がございます。また、本日永沢委員からフォスター・フォーラムの提言ということで、ご意見の提出がありましたので、配付させていただいております。それから、本日はご欠席でございますけれども、村木委員からも意見の提出がありましたので、配付させていただいております。ご確認をお願いします。

○神田座長

資料のほう、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、始めさせていただきたいと思います。本日ですけれども、投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループでありまして、第9回目の会合ということになります。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

お手元の議事次第にありますように、本日は、まず事務局から資料について30分程度の説明をしていただきます。その後、それぞれの論点について、皆様方にご審議をいただくという流れで議事を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、早速ですけれども、事務局からの説明をお願いいたします。

○横尾企画官

市場課企画官の横尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元の事務局説明資料に沿ってご説明させていただきます。1枚おめくりいただきますと、本日説明させていただく3つの事項を掲げさせていただいております。中間論点整理においてワーキング・グループで検討するということで整理させていただきました、販売・勧誘時等におけるリスク等についての情報提供の充実、それから運用財産の内容についての制限、そして事務的にその後検討を進めるよう中間論点整理で整理されました、運用報告書記載事項等の見直しでございます。

その他、後半戦、今後トータル・リターンの通知制度、有価証券届出書や有価証券報告書の検討、それから前半戦でいろいろご議論いただきました、一連の規制緩和事項、こういった事項もございますけれども、それらの点については、後日回を改めてご検討いただくということを考えております。

もう1枚おめくりいただきまして、まずは販売・勧誘時等におけるリスク等についての情報提供の充実でございます。資料4ページ、中間論点整理の記述を抜き出しております。ちょっと復習的に申し上げますと、中間論点整理ではブレットの2つ目にありますように、商品のリスクを投資家によりわかりやすく情報提供する仕組みを検討する必要があるとなってございます。前半戦におきまして、事務局より欧州のリスク開示の取り組みをご紹介させていただきましたけれども、その点につきましては、例えば簡便であるがゆえに誤解を招きやすいですとか、リテラシーの向上を阻害するおそれといったこともご指摘いただきました。その結果、最後のところでございますが、当該取り組みの海外における動向、それから我が国の実務慣行も踏まえて引き続き検討ということになってございます。

資料5ページは、前半戦でご紹介させていただきました欧州での取り組みを改めて掲載させていただいております。内容については前半戦でご議論いただきましたので、ご承知かと思いますので、資料6ページに移らせていただきます。

先ほども申し上げましたように、現地での欧州の取り組みについて、どういう評価になっているのかということを前半戦でご指摘いただいておりました。事務局で何人かのワーキング・グループのメンバーの方々のご協力によりまして、現地金融機関等での評判を聞いてみました。そこに書いておりますように、本年7月から全面施行されて、時間がたっていないということで、まだ評価が定まっていないわけなのですけれども、その中でも以下のような指摘がございました。

4点掲げておりますけれども、まず1つには、ファンドが抱えるリスクを表現するには簡素過ぎる。また、ボラティリティによってリスクというものを捉えているため、テールリスクを表現できていないのではないかという指摘がございました。

これに対しては、別の意見としては、むしろそれは意図的に簡素にしているものであるということとか、あるいは定性的なリスク説明も併記することで、そういった弊害を補完しているのだという指摘もございました。

それから2点目は、リスク階級の設定が不適切であるため、実際にはファンドのほとんどが7段階中5以上に分類され、相対的なリスクを示すという目的を果たしていないという指摘もあったようでございます。これについては、別の意見としては、そうは言うものの、低位リスクな階級ではMMFが集中し、中位には株式ファンド、高位にはストラクチャード・ファンドというように、類型に応じたリスクが当てはまっているという指摘もあったようでございます。

さらに3点目といたしまして、一定期間にわたって標準偏差が変化しないとリスク階級が変更されないため、市場環境の変化をリスク指標が体現しないという指摘もあったようでございます。これに対しては、指標の安定性ということを重視したために、そういうことになっているという指摘もあったようでございます。

また、リスクばかりが強調されて、長期投資を阻害するという指摘もあったようでございます。

資料7ページに移らせていただきます。資料7ページと、その次のページで、仮に我が国の現在存在する公募投信に対して、欧州型のリスク開示の取り組みを適用した場合、どのような結果になるかというシミュレーション、こちらにつきまして民間のシンクタンクで研究されたものがございましたので、そこをご紹介させていただきます。

まず1つ目の問題として、ボラティリティ・標準偏差が一般的なリスク感覚を表現しているかという点があるようでございます。下にグラフを掲げておりますけれども、こちらは日本の現存する公募投信を類型ごとにまず区分し、その上で欧州型のリスク階級表示の取り組みを試験的に適用したものです。

その結果として、7段階表示でどれくらい区分されるかということを、構成グラフで示しております。例えば、一番上の国内株式/フリーとなっておりますところは、そういった類型のファンドに欧州型の開示規制を入れますと、薄い赤の部分SRRI6、つまりレベル6のものがおよそ90%近くになる。残りの赤の濃いところはレベル7と区分されるということでございます。

こういったことを全体の投信について適用いたしますと、上のブルーの括弧書きに書いておりますように、全ての日経225ファンドのリスク階級がレベル7であるのに対して、ほとんどの国内株式アクティブファンドのリスク階級はレベル6ということになるようでございます。また、新興国が属する地域の株式ファンド、こちらは一番高いレベル7ということになるようでございます。そうしますとリスク階級のみで考えますと、日経225ファンドは国内株式アクティブファンドよりもリスクが高く、また新興国株式並みのリスクがあるように見えてしまうということになるようでございます。

こういったことが、一般的な投信のリスクについての分析であるとか、捉え方に合致しているかという問題があるようでございます。

資料8ページでございます。これはまた別の課題ということで、先ほどの欧州の評判にも出てきておりました、頻繁なリスク階級の変化についてのものでございます。8ページの左側の棒グラフ、こちらは日本の公募投信全体に欧州型を当てはめてみまして、そのリスク階級が1年間でどの程度変化するかというものを試算したものでございます。グレーの部分は、全く変化しなかったもの、色がついている部分が1回あるいはそれ以上の変化があったものということになりまして、例えばリーマンショックが起きました2008年では、約1割のファンドについて1回以上のリスク階級の変化が生じるということになるようでございます。

実は欧州では、こうした問題に対しまして、リスク階級の安定性を重視して、ボラティリティが閾値を超えても、すぐリスク階級を変更するということではなくて、約4カ月間の観察期間を経て、初めてリスク階級を変更しているようでございます。これにつきましては、また別の問題があるようでございまして、右側のグラフでございますが、例えば、これはある投信のボラティリティを折れ線の黒グラフで示したものですけれども、リーマンショックが起きました9月15日以降、ボラティリティが高まり出しまして、10月の上旬には、横に点線が引いてありますリスク階級の閾値を一度超えております。ただし、この段階ではリスク階級がすぐに変化されませんで、4カ月たった後、ずっと時間軸上は後ろのほうになります1月の後半あたりで、リスク階級が1つ上がるということになるようでございます。

しかしながら、折れ線の黒で示しておりますように、そのとき実際のボラティリティというのは、もっと高いレベルを示しているという状況になってしまう、という問題があるという指摘がございます。

次に、資料9ページでございますけれども、こうした問題を踏まえて、我が国の実情に合わせてどういうリスクについての説明が考えられるかということのイメージでございます。これまでと同様、各投資信託に内包される主たる投資資産のリスクを、まず定性的に説明するということは必要だと思われます。その上でリスクの定量的把握・比較ができるように、例えば以下のマル1からマル3の複合グラフを掲載することが考えられるということでございまして、まず基準価額の過去データ、それから当該投資信託を1年間保有したと仮定した場合の想定リターン、そして、その想定リターンの振幅レンジをほかの代表的なアセットクラスと比較ということで、ちょっと文章で申し上げるとイメージしづらいと思いましたので、別途参考資料1ということで、イメージをご用意させていただいております。

まずリスクの定性的な説明ということで、上方にありますような内包する各リスクについての定性的な説明。それに加えまして、下のグラフにありますように、まず左側は当該投資信託の基準価額と、その時点までに1年間保有していた場合の想定リターンのグラフ。そして、これの最大と最小値が右側の棒グラフのところに転記されておりまして、その中の一番左側が当ファンドの最大上昇時、それから最大下落時の幅でございます。それと、ほかのアセットクラスの同様の統計を比較する、こういったことが考えられるのではないかという提案でございます。

ただし、9ページ注2に書いてありますように、運用期間が短い投資信託、こういったものについては過去データの制約がございます。それをどう対応するかというのも、1つの論点かと思います。ベンチマークによるデータで代替するということが考えられますが、その場合は、実際の値ではないとか、そのベンチマークを使用する根拠等々の説明が必要かと思われます。

また、こういったことを国内投信に導入するのであれば、我が国に持ち込まれる外国投信についても同じような措置が必要ではないかということも考えられます。

続きまして資料の11ページ、こちらは運用財産の内容についての制限、一定の類型のリスクに対する規制ということで、中間論点整理で整理した部分でございます。3つ目のブレットにありますように、突発的・不連続に発現する可能性があり、予想しにくいリスク、こういったものに対して信用リスクの集中回避のための投資制限、あるいはデリバティブ取引に起因するリスク量の規制といったものを考えなくていいのかということでございました。

資料の12ページ、まずは信用リスクの集中回避のための投資制限についてでございます。黄色の囲みにありますように、我が国の投資信託法制におきましては、リスク量の規制ということではなくて、企業支配禁止という観点から議決権の50%超を取得してはならないという規制がございます。米国並びに欧州の規制を見てみますと、そこに書いてありますように、定量的に信用リスクの集中についての制限というものをかけているようでございます。

こういったことも踏まえまして、紫色の下の囲みにありますように、株式だけでなく、債券への投資、あるいはデリバティブ取引といったものに関しても、特定の発行体、あるいは取引相手への信用リスクの集中といった投資家から見えない「突発的・不連続に発現するリスク」が考えられる。そのために、こういった対象となる資産取引を広くカバーした形で信用リスクの集中を排除する必要があるのではないかということでございます。

ただし、その際には、もちろん規制の実効性は確保しつつということでございますが、商品組成の自由度を過度に制限することのないような配慮が求められるということかと思っております。

13ページは、もう一方のデリバティブについての規制でございます。法令上、現在合理的方法により算出した発生し得る危険、いわゆるリスクということでございますが、そのリスク量が運用財産の純資産を超えてはならないと法令上定まっております。ただし、このリスク量の計算の仕方ということが、今のところ自主規制によっても、例えばデリバティブ取引にかかる評価損であるとか、バリュー・アット・リスク、ストレス・テストを活用した算出量といったような抽象的基準にとどまっておりまして、具体的にどのような方法で行われるのかというのは、各社の裁量に任せられているところでございます。

諸外国の規制を見てみますと、そもそも米国ではデリバティブの取引を行う場合に、例えばそれを相殺する取引を行うとか、別途の流動性資産を確保するといったような措置が求められているようでございます。

他方、欧州におきましては、むしろそのエクスポージャーを管理していくということから、いろいろな方法で上限値を決めているというような状況でございます。こういったことも踏まえまして、我が国におきましてもデリバティブ取引のリスク量管理を精緻化すべく、各社が独自に定めているリスクの算出方法、こちらについて一定の枠組みを提示することが必要ではないかという問題提起でございます。

その際には各社のリスク管理の高度化の程度に応じた規制ということが必要かと思われますので、1つということではなくて、複数の算出方法を認めるなど、柔軟な枠組みが必要ではないかと思われます。

以上の一般的な考えのもとで、具体案のイメージとして考えられるものが14、15ページでございます。まず信用リスクの集中回避についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、対象資産を広げて信用リスクの集中を回避するという観点から、例えば真ん中の箱にございますように、株式、それから債券、その他有価証券、それ以外のデリバティブをはじめとした市場取引、こういったものにカテゴリー別に同一者に対するエクスポージャーともいうものを図り、それが総資産の一定比率、例えば10%といったような上限値を設けることについてどう考えるかということでございます。

これに加えまして、上記カテゴリーを通算して、同一者のエクスポージャーは、例えば20%というような純資産の一定比率という上限を設けてはどうかということでございます。こういった点をご議論いただければと思います。

続きまして15ページでございますけれども、先ほど申し上げましたように、こうした一律の規制を課すことによって商品組成の自由度が過度に制限されてはなりませんので、投資家が信用リスクの集中を当然容認しているといえるような類型のファンドでは、適用除外としてはどうかということでございます。

上の段の箱は、ETFも含めた指数連動型投信について、これは指数に連動するということが明確にうたわれている投信であれば、その指数の中の銘柄の構成比が、先ほどのような上限値を超えたとしても、それは適用除外にしてもいいのではないかということでございます。

また、運用にあたってベンチマークを使用している場合、そのベンチマークの構成比率に従ってその構成銘柄に対して投資するということであれば、その部分についてもエクスポージャーから除いてもいいのではないかということでございます。

2つ目につきましては、純資産に対して一定比率以上の集中投資となることが当然に想定される場合、その投資先発行体の名称を投信の名称において明記するということで、規制の対象外にしてはどうかということでございます。例えば、わりと最近特定の国あるいは特定の通貨ということのリスクを切り出して投信が組成されておりますけれども、例えば豪ドル国債オープンといったような、投資対象が明確であって、集中投資が行われるという認識が投資家にある場合、信用リスク規制から外してはどうかということでございます。

また、これ以外にも商品組成の自由度を過度に制限することがないように、規制の実効性にはもちろん配慮しつつも、実務的にどのような課題があるのかということをいろいろと検討する必要があるということは認識しております。

続きまして、16ページでございます。こちらはデリバティブ取引に起因するリスク量の説明でございます。上の箱に書いてありますように、リスク管理の体制に応じて柔軟に選択できる制度ということを考えると、マル1にありますように、簡便ではあるがリスク量を比較的高めに算出することで慎重に判定する計算方法、それからマル2高度であり適正なリスク量を算出することが期待できる計算方法といったようなことを念頭に、幾つかの手法を提示してはどうかと思っております。

真ん中に掲げておりますように、3つの矢羽根がございますけれども、こういった計算方法で一定のリスク量を算出し、それを純資産対比で一定の上限値を設けるという考えでございます。今ご説明申し上げましたような信用リスク、それからデリバティブリスクに対する一定の規制ということを、どこまで適用するかということが16ページの丸いグレーの囲みの中に書いております。

1つの考え方としては、マル1公募投資信託にのみ適用するということが考えられるかと思います。また、マル2外国投信信託を我が国で販売する場合、これは外国投信をそのまま販売する場合もございますし、我が国の投資信託の中に組み込んで販売するということも考えられると思いますけれども、内外のレベル・プレイング・フィールドをそろえるという観点では、外国投資信託についても適用するということが必要ではないかと思われます。

それから、既存ファンドをどうするかということも、考えなければならない点かと思います。例えば十分な経過期間を置いて既存ファンドにも適用するということも考えられるかと思います。

引き続きまして、運用報告書記載事項の見直しでございます。資料18ページをおめくりください。中間論点整理の記述におきましては、二段階化をするということが整理されておりました。その際、投資家や市場関係者の意見も聞きながら検討を行うべきというご意見をいただいておりました。そういったことを踏まえまして、いろいろ投資家サイドの意見、あるいは実務家の意見等もいろいろ聞きまして、見直しの方向性としては、こういうことが考えられるのではないかということが下の箱でございます。

運用報告書の全体版はインターネット掲載によって、受益者がいつでも見られる状態にするということが1つ考えられます。その上で、全ての投資家に読んでもらい、理解してもらうべき「運用状況に関する極めて重要な事項」、これについて原則書面での交付を求めるということかと思います。運用報告書全体は詳しく、交付運用報告書についてはわかりやすくというのが基本的な考え方ではないかと思います。

それから運用報告書全体については、いつでも見られるようにという点では運用会社のホームページに掲載するということが一番よろしいのではないかと考えられます。また、交付運用報告書をわかりやすく作成するという意味では、グラフや図を活用したり、あるいは平易かつ簡潔な日本語で解説する。あるいは比較可能なデータを掲載するといったことも必要かと思われます。

といったように、ちょっと抽象的に申し上げてもなかなかイメージが湧きにくいところでございますので、参考資料2、○○世界三資産ファンド、こちらで今申し上げたようなことを具体化していくと、例えばこういったイメージも考えられるということでお示しさせていただいております。全体的にはナレーティブな解説を中心として、図やグラフを織りまぜ、それから比較可能性という意味では、ほかのファンドとの比較も可能となるよう、例えば委員の一部からもご指摘のありましたトータル・エクスペンス・レシオを盛り込むといったようなことも考えてはどうかとご提案させていただいております。

事務局からの説明は以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、今の事務局からのご説明を踏まえて、皆様方にご審議をいただきたいと思います。

若干復習をさせていただきますと、夏前に皆様方に大変精力的にご審議いただきまして、中間論点整理をまとめていただきました。その中で、ご審議はいただいたのですけれども、さらに秋以降、引き続きご検討をお願いしたい、あるいはこのワーキング・グループで検討を続けるというジャンルというか、そういうことに属する事柄、それから方向性は皆様方でほぼお決めいただいたのですけれども、それを具体化するに当たって、事務局で事務的に検討してもらって、その結果をこのワーキング・グループにご報告をいただくという事柄とがあります。本日は大きく3つありますけれども、最初の2つが本日以降このワーキング・グループで引き続きのご検討をお願いする事項であります。

そして、3つ目の、今最後にご説明のありました運用報告書の記載、これは事務的に検討をしていただいた結果を、ご報告いただいたということになります。

それで、本日は3つテーマがありますので、テーマごとに皆様方からご意見をいただければと思います。それぞれのテーマについて、まずはメンバーの皆様方からご質問、ご意見等をいただきたいと思います。その後でオブザーバーの皆様方からご発言をいただく機会を設けたいと思います。

最初のテーマは、事務局説明資料でいいますと3ページから9ページ、それから2番目のテーマが10ページから16ページ、そして3番目の事務的に検討いただいた事項の報告は17ページから19ページということになります。

そこで、まず最初の3ページから9ページまで、販売・勧誘時等におけるリスク等についての情報提供の充実、このテーマについてご質問、ご意見をいただきたいと思います。なお、具体的な提言は、イメージとして事務局資料の9ページにあります。事務局で考えたところのたたき台というほうがいいのかもしれません。そして参考資料1であります。

どなたからでもご質問、ご意見をお願いします。

大崎委員、お願いします。

○大崎委員

ありがとうございます。1つちょっと確認をした上で、私の意見を申し上げたいと思うのですが、ここで示されている具体案のイメージというものは、現行の体系を前提にしたと申しますか、つまり法令上投資リスク等の記載が必要ですということを踏まえて、投資信託協会でこういうものをつくれというようなルールをつくるという前提でご提案になっているのかどうかということを、まずちょっと確認したいのですが。

○横尾企画官

いろいろなやり方があると思われますけれども、1つは、目論見書の中でリスクを説明すると府令で定まっているところがございます。そのところを具体化したものが、こういうことであるということで、投信協会規則で定めるといったようなやり方が考えられると思います。

○大崎委員

私の意見は、まさにどういう表示をするにせよ、その枠組みはやはり維持するべきではないかというのが、1つ具体的な意見です。つまり、あまり細かいところまで法令レベルで全部つくり込んでしまいますと、多分変えられなくなってしまうという問題が出ますし、またその解釈において、もちろん投信協会のルールであれば、いい加減に解釈していいという意味ではないのですが、法令ということになると、さらに厳格な解釈が要求されてしまって、非常に杓子定規な運用になって、意味のあるものをつくるという努力をかえって阻害してしまうのではないかという気がしておりまして、ぜひとも目論見書の記載事項で、それをわかりやすく具体化するために投信協会でルール、それも場合によってはガイドラインのようなものをつくるという形がいいのではないかと思います。

私は、参考資料1に示していただいた具体案のイメージというのは、1つの考え方としては非常におもしろいと思います。ただ、これのみにとらわれないで、こういうものもあるよというのをここで出したことは非常に有意義だと思うのですが、投信協会の実務者の集まったところで、こういう意見があるよというのを前提に、じゃあ、こんなのでどうだというのを練ってもらったらどうかなという気がいたしました。

それから、もう1つ申しますと、前半の議論の中では、例えばリスクの段階で分けた場合には、後でフォローしなければいけないのではないかという議論が出ておりましたが、こういうことであれば、投資家の側も最新のデータが欲しければ、新しい目論見書を見ればいいわけですから、大変有意義なやり方なのかなと思いました。

○神田座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、沖本委員、お願いします。それから永沢委員、後ほど。

○沖本委員

主に参考資料1に関してコメントさせていただきます。個人的な意見ですけれども、ボラティリティを段階表示や、ボラティリティの値自体を表示するというのは、なかなか具体的なリスクの量というのがわかりにくいと感じております。ですから、参考資料のような形で騰落率のレンジを示すことによって、よりリスクというのが具体的な形でわかりやすくなっており、望ましいのではないかと思います。

私が懸念していることとしましては、村木委員の意見にもありますように、例えば金融危機等が起こったときに、騰落率の下限が一時的にかなり落ち込んでしまうことです。そのような事態が一度、発生してしまいますと、その影響が5年間ずっと残ってしまいまして、その期間がなくなった途端に、騰落率の下限が上昇してしまうという問題があります。

ですから、参考資料のように、5年間をまとめて騰落率のレンジを示すよりは、例えばそれを5本に細かく分けまして、2012年の騰落率のレンジ、2011年の騰落率のレンジ、2010年の騰落率のレンジのような形にすれば、そのような問題が多少は解決できるのではないかなと思います。

それと同時に、1年ずつに分割することによって騰落率のレンジ自体が変動する、もう少し言いかえますと、リスク自体も変動し得るものなのだということを投資家の方に少しでも認識していただけることができるのではないかと思います。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

永沢委員、お願いします。

○永沢委員

ありがとうございます。私からは3点ございます。2点は意見で、1つは質問でございます。

まず、先ほど大崎委員が一番初めに指摘されました点は、私も基本的に賛成でございまして、リスクの定量的なデータについて目論見書に記載するということについて、大枠については法令で定めて、目論見書に記載を義務づけていただきたいのですが、やはり、まだ試行錯誤の段階でもありますので、具体化するためのガイドラインについては、協会ルールで定めるという形にして、これからも柔軟に議論をしていく必要があるのではないかとも思いますし、専門家に練っていただくという必要があるように感じております。

それから2番目の意見といたしましては、今日配付されました、村木委員からのご指摘には、基本的には賛成ですが、9ページの注2のところで、運用期間が短い投資信託について、ベンチマークなどのデータで代替することが考えられるという点については、賛成いたしかねます。個人投資家からいたしますと、データがないことも1つの重要なリスクを知るための情報でございます。無理にベンチマークで代替することはいかがなものかなというのが基本的な意見でございます。

3番目に、質問でございますが、外国投信についても適用されることについては、大変ありがたいことと思っておるのですけれども、だれが責任をもって作成するのかというところについて、事務局のほうでどのようにお考えか、ご意見を聞かせていただけたらと思っております。

以上でございます。

○横尾企画官

ありがとうございます。外国投資信託に適用する場合の作成の義務というものをどうかけるかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、もし目論見書の中で掲載するということであれば、それは外国所在の発行者にかけるということになろうかと思います。

次の質問として、それに対して規制をどのように執行するかということもご質問としてあろうかと思いますけれども、そこは1つは持ち込みの基準というものも、詳細は日証協さんの規則で定めてございますけれども、その持ち込みの基準というものもございますので、そこで、そういったことが記載されている場合に持ち込みが可能と整理するということも、1つ考えられるのではないかと思われます。

○神田座長

よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、お隣の清水委員。

○清水委員

1つ目の論点につきましては、当初ヨーロッパで行われている方法についてNRI様から資料が届きまして、当該資料を見ますと様々な問題があるということですので、前半でも発言しましたが、ヨーロッパの適用の情勢を鑑みた上で、この方法についての導入方法、時期等を考えるのがいいと思います。

それから2つ目なのですが、今回、事務局様から提案されている年間騰落率のレンジにつきましては、見やすいといいますか、わかりやすいので、いいのではないかと思います。ただ、皆様がおっしゃっているように、この方法1つだけでというと、どの方法を使ってもいろいろな問題があるようでございます。例えば、既に開示されていますように、10年分のNAVの動き等につきましても、一目で見てどれだけそのファンドの価額が過去に動いているかというようなことがわかりますので、いろいろな情報を2つ、3つ合わせてリスクの情報とするというのも1つの考え方だと思います。

それから、今提案されている方法でトラックレコードがないものについてはベンチマークを使ってということでございますが、ベンチマークがないファンドについては、どうやってリスクを出すのか、また、トラックレコードがないファンドについてリスク値を算出する場合、完全に資産運用会社に依存してよいのか、といった問題が残ると考えます。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。井潟委員、どうぞ。

○井潟委員

非常にわかりやすい説明ありがとうございました。リスク表示管理について1つだけ、9ページ、先ほど永沢委員のご質問というか、ご意見と絡むのですが、ここに注2で運用期間が短い投資信託とありますが、いわゆる新発物については、どういうお考えでアプローチされるのかということについて、この注2で書かれていることと同じようなアプローチなのかということについてご質問したいと思います。

以上です。

○横尾企画官

ありがとうございます。新発物、あるいは運用期間が短くてトラックレコードがないもの、新発物についてはもちろんトラックレコードがないわけですけれども、それについてどのように扱うというのは非常に悩ましいところだと思っております。

9ページの中ほどにグラフがございますように、トラックレコードの長さとファンドの数の割合ということで書いておりますけれども、例えば5年というようなトラックレコードを持とうとすると、日本の投信の5割しかございません。逆に言うと、そこで実際のトラックレコード以外は記載を認めないということになりますと、新発物を含めた残りの5割については、こういったリスクの定量的な表示ができない、しないということになろうかと思います。

永沢委員がご指摘のとおり、過去のレコードがないということは1つの情報だという考え方もあろうかと思います。他方で、ファンド間のリスクの大きさをもう少し実体的に理解してもらうという観点からすると、何らかのベンチマークなりでの代替による表示ということのメリットも考えられるかと思います。

1つには、新発物につきましてもベンチマーク対比で運用されるようなものについては、ベンチマークでデータを代替するということが考えられるのではないかと思っておりまして、ただし、それは実際のトラックレコードではないということを明確に示すために、例えば参考1で示しましたグラフの中では、ここからが実際のデータである、ここからがベンチマークであると網掛けをして区別するということを工夫しております。新発物になりますと、全部に網掛けがかかるというような形になりますけれども、そういった場合に実際の値ではないこと、それから代替的に使用するベンチマークの内容、あるいはそれにより過去データを代替する根拠、それから実際に運用していた場合に考えられるベンチマーク等の乖離要因、また運用開始した後、運用結果とベンチマークの乖離の度合いといったものを説明してもらうということで、新発物あるいはデータがそろっていないものについて対応するということが考えらます。

ただ、ここはいろいろな考え方があると思いますので、まさに委員の皆様のご意見を賜ればと思います。

○神田座長

大崎さん、どうぞ。

○大崎委員

そこは私も大事なポイントだと思うのですけれど、だからこそ、あまりここで1個に結論を絞らないほうがいいのかなと思っていまして、例えば、この5年ということについても、なぜ5年なのだというのは当然あるわけですし、あるいは他の代表的なアセットクラスとの比較というのも、これはそれぞれ何となく載っていますけれど、これはどういうものをベンチマークとして持ってくるかで、例えば新興国とは一体何だとか、先進国とは一体何だとかいうことで、大いに操作可能であり、変動可能なわけです。

ですから、あまりそこは画一的にしないで、むしろ、例えば先ほど永沢さんがおっしゃったように、データがないというのも情報だというのは確かにそのとおりですから、そういうふうにして、いわば勝負しようという運用業者は、ありませんというふうに書けばいいし、そうではなくて、自分たちがやるのはごく普通の日本株の代表的なベンチマークに準拠した運用をしようとしているのだから、過去のベンチマークの実績を載せたほうが宣伝になると思う業者は、それを書けばいい、そういうことなのではないかと思うのです。

あまりにもおかしな、明らかに変なふうに誘導しようとしているような開示が行われた場合は、これはやはり、虚偽または誤解を生じせしめるような記載を目論見書に行ったという、虚偽開示の問題になるのではないかと思うので、私は、そこはあまり神経質に決め打ちしなくてもいいのではないかと思います。

○神田座長

どうもありがとうございます。

石黒委員、お願いします。

○石黒委員

ありがとうございます。前半戦、夏までの議論でも、こういった場合に「投資家にどういう情報を提供してよりよく理解してもらうか」という目的に、いわば反してというか、副作用的に誤解を与えてしまう結果となることについての懸念が出ていました。

今回お集めいただいたいろいろな情報の中でも、やはりその点については、むしろ慎重な説明をつけないといけないのではないかというようなご指摘もあったかと思うのですけれども、それは慎重な説明をつければいいということなのか?本来こういった工夫というのは、リスク階級の表示などをすることによって、あまり細かいものを読まなくても一定の理解、合理的な範囲内での理解を比較的容易に得られる助けとして提供するという話だったと思いますので、そういう表示がされると誤解を呼びそうである、誤解を呼びそうだから細かい説明をつけなければいけないということになると、やっぱり本来の目的を達していないことになってしまうのではないかという気がします。

むしろ場合によっては、ほんとうにより悪くなりかねない。どこかの資料にそのような説明の文言のことをヘッジ文言と書いてあったと思うのですが、これは非常に率直な、つまり責任を問われないためにちゃんとそこをヘッジしておくみたいなニュアンスがあるのですが、投資家に対してどういうふうに分かりやすい情報を、よい形で提供するかという議論のときには、それは別な話になってきます。ただ、業者が過度な責任を問われるようなことは、やはりあってはいけないので、そこは別の工夫でヘッジしなければいけないのですが、ここで議論している説明のことをヘッジ文言と言ってしまうこと自体、間違いだと思うのです。むしろそういう説明が必要ではないような形で、工夫をしていくというのが本来的なことで、今日お示しいただいた参考資料というのは、そういったものの1つの工夫なのかなと思いますが、先ほど来、出ておりますように、やはり新しい工夫ということもいくらでもこれからあるわけですので、大きな枠をつくっておいて、あとは協会なり何なり、あるいはそれぞれの業者の皆さんの工夫の中でやっていくということが、やはり重要であるし、そういう枠組みであるべきだろうと私も考えます。

○神田座長

どうもありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、島田委員。

○島田委員

各業者さんの工夫に任せる部分があってもいいのではないかというのは、そのとおりだと思うのですけれども、比較ができるはずのファンドを横比較できるようにルールを決めていただくということは、非常に重要だと思っております。ルールといいますか、ガイドラインでも結構なのですけれども。

その枠の中に入らないようなもの、あるいは、トラックレコードが非常に短い新しいものなどで、情報が出せないようなものは、出せないものですということは、永沢委員がおっしゃっているように、1つの重要な情報になってくると思います。

ですから、工夫は工夫で、皆さんで業界でお話をしていただいて、データなど数字での表現については1つの基準になるような形にしていただければと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。大体ご意見をいただいたということですか。

大崎委員が繰り返しおっしゃっているように、一律というのをあまりすると硬直的になってしまうというのは一面である。しかし他面で、それぞれでどうぞというと、都合のいい情報だけでつくるということになりますので、それがおっしゃるように虚偽だとか、誤解を生じさせるというレベルになれば、それは違法なのですけれど、そこまでいかなくても、やはり都合のいい情報だけでつくるということになるといけないので、島田委員が最後におっしゃったことでもあるのですけれど、やはり押さえておくべきところは押さえてもらわないと困るというあたりは、どのレベルでルールをつくるかということはありますけれども、重要な点だというあたりではないかと思います。皆様方のご意見は。

そして、参考資料1のようなのも、非常にいいアイデアではないかということだったかと思います。ただ、さらにこれに、本日たくさんご指摘いただきましたので、改善を重ね、そしてまた、それ以外のバラエティー等も含めて、さらに検討を進めるということではないかと思います。

オブザーバーの皆様方、この論点について、もしご意見があれば承りたいと思いますけれど、いかがでしょうか。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

投信協会です。ありがとうございます。

今回、事務局案をつくるに当たって、業界の意見をいろいろ聞きながら、今回提示させてもらいまして、いろいろな委員の方からご意見がございましたけれども、我々もこの案がベストだとは当然思っておりません。

それで、やっぱり投資家の皆様にきちっと商品のリスクを開示する必要がございますので、何人かの委員の方からご意見がございましたけれども、大きな枠組みをつくってもらって、その後は自主規制機関である投信協会のガイドライン等でやらせてもらうと、よりよい方向に改善ができるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○神田座長

ありがとうございました。

ほかにオブザーバーの方々、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

委員の皆様方、いかがでしょうか。河野委員、お願いします。

○河野委員

すみません、さっき大きな枠組みはつくったほうがいいというお話やら、虚偽開示になるからというお話も出ましたけれども、要するに、なるべく自由度を高くしたときに、虚偽開示とか都合のいい開示になった場合は、それはだれが後でそれをチェックしたり、これは都合のよい開示であったということを言うことになるのでしょうか。

結局、結果の責任は問われない、ほんとうは自由で、結果責任を問うというのがあったほうがいいと思うのですけれども、そこら辺はどうなる見込みなのでしょうか。都合のよい開示なり、虚偽開示ということになりますと。

○横尾企画官

ケースによるかと思いますけれども、ほんとうに虚偽開示というように断定できるようなものであれば、金商法上の監督ということで当局が責任を追及するというか、処分するということになります。

○池田審議官

大崎委員からあったように、今の法令の枠組みを前提に、細目は投信協会でということになりますと、金商法の制度で目論見書という書類に書かれることになると思いますので、その中で重要な事項に欠落があるとか、重要な事項に虚偽があるという場合には、虚偽記載ということになりまして、行政的には今説明がありましたように、訂正を当局として求める、あるいはケースによっては刑事責任、あるいは課徴金の対象になり、それから虚偽の目論見書を使用しているという場合ですと、これはそれを使った証券会社や有価証券の発行者に対して、民事上の責任もかかってくる。今の目論見書の枠組みは、当然こうした書類にもかかってくるという前提で、結論的には当局における対応と、場合によっては民事の責任追及ということになると思います。

○河野委員

すみません。今のお話というのは、今までと何かが違うということでもないですよね。今までと同じだと、何のためにこれだけ時間をかけて議論をしているのかなという意味でいうと、何かちょっと、そこら辺のものが今までと違うのを、協会のほうで枠組みなりきちっと出していただくのか。

例えば、都合のよい開示というのはしょっちゅう見せていただいているというか、それはそれで、わりにごく当たり前にされていることだと思うのですけれども、そこら辺で今までとどこか少し違って、よりオネストに近くなったということなのか、(そしてそれが)、どこで今後担保されるのかということだと、さっきの協会さんの枠組みということになるのでしょうか。そこら辺がちょっと知りたいのですけれど。

○神田座長

私から、ちょっと感想ですけれども、やはり非常に重要なご指摘なのですけれども、一般に、一定の情報を投資家に提供をするというのが、投資家の投資判断に役立てるために必要であるということだと思うのですけれども、制度のつくり方はあまり簡単ではないということだと思うのです。

ポイントは1つは、今ご指摘ありましたように、提供される情報に虚偽があったとか、もうちょっと広い意味で、今お話もありました、重要な事項について欠落していたとか、誤解を生ぜしめるとかを全部含めて、そうした場合にはこれはもう違法ですので論外というか、制度はちゃんとあるのです。問題は、虚偽とは言えないような場合にどうかなのですけれども、私は2つ問題を分ける必要があると思うのです。それは、どういう事項について情報を提供しなさいと要請するのかということと、それから、そこまで要請したとして、それを具体的にどういう形で情報提供をすべきかと。

本日は主として2点目に重点があり、先ほどからご議論があったと思うのですけれど、1点目を要請するかどうかというのは、例えば法なりルールなりで要請するのか、それともそれは当事者が、市場参加者が市場の中で必要だと思う項目について、必要だと思う情報がなされるであろうから、いわば市場に任せる、そのほうがいいのだという2つの考え方が一般的にはあり得ると思うのです。

私の理解は、中間論点整理では、UCITSもそうだと思うのですけれども、結局のところ商品のリスクを投資家によりわかりやすく情報提供する取り組みを検討する必要がある、これは中間論点整理の文章なのですけれども、それはどういう項目について情報提供するかどうかについて、いわば市場参加者に任せておいたほうがいいというよりは、一定の項目について情報提供をするように、現在の実務を変えていく。そういう意味では、そういうルールと呼んでおきますけれども、ルールを示すほうがいいのではないかというスタンスだったと私は理解するわけです。

そこで、本日の話ともうちょっと具体的につなげて言いますと、どちらがいいですか、9ページでもいいですし、参考資料1でもいいのですけれども、例えば9ページでいえば、マル1マル2マル3というのが項目であって、マル1ならマル1、基準価額の過去データ何年間分ですけれども、そういう項目は示してくださいと、いわば法令で求める、そういうことをしてはどうかというのが提言で、ただ、具体的にどういうふうに示すのですかというのは、もう1つあると思うのです。それは大崎委員の言葉で言えば、どこまで法令で定め、どこまで自主ルールに委ねるのかということが問題になると思います。

ただ、最初のこれと、これと、これといったような項目を、それも全部細かいところまで具体的にリストアップするかどうかは別ですけれども、情報を投資家に提供するようにしてはどうですかということが、まさにここで皆様にご審議いただいていることではないかと思います。

発言が長くなって、大変恐縮でした。

ほかにいかがでしょうか。次に移らせていただいてもよろしいでしょうか。また関連すれば、戻っていただいても結構ですので、2番目に皆様方に今日ご検討いただきたい事項は、運用財産の内容についての制限(一定の類型のリスクに対する規制)であります。事務局資料の10ページから16ページです。具体的な方向性の提案というか、たたき台は12、13ページあたりの下のほう、紫色のところです。具体案のイメージというのが14、15、16ページということになります。

このテーマについて、委員の皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければありがたいのですけれども、いかがでしょうか。

井潟委員、お願いします。

○井潟委員

1点だけでございます。15ページのところ、これは既に既存の商品などについてのご配慮もいただいているようで、一番最後の丸で囲んだパラグラフ「商品組成の自由度を過度に制限することのないように・・・上記のほかにも適用除外を規定する必要がないか、制度実施までに実務的に更に検討する必要」という点が、これは非常に大事ではないのかなと感じています。

特に日本人が今後拡大せざるを得ないといわれているエマージング投資、あるいは我が国で開発されたイノベーティブな商品の海外への輸出拡大などに鑑みた場合、運用方法の柔軟性や多様性の確保が、例えば、今想定されていないようなものも出てき得るという点においても不可欠であり、そのためにも適用除外が非常に重要になってくるのではないかと思っている次第です。

ただ一方で、非常に悩ましいのは、適用除外があまり多くなり過ぎて、複雑化し過ぎると、これはこれで非常にわかりにくい。特に投資家にとってわかりにくくなるという懸念が高まるという点では、適用除外のあり方の検討については、実務的にはなかなか容易ではない部分もあるのかなという印象を受けています。

以上です。

○神田座長

ありがとうございます。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

私はちょっとこの提案については、正直、やや違和感を抱いておりまして、まず、そもそも信用リスクの集中回避という話は出ているのですが、もちろん中間論点整理において、アメリカ、欧州でも規制が導入されている事例も研究しとは書いてあるわけですけれども、そんなに積極的にこういうことをしなければいけないという議論が、そもそも前半あったのだっけというのが、やや疑問であるということと、もう1つ、投資法人の議論では、逆にSPCを通じた投資などについて非常に大きな障害になっているから、株式の50%超という話についても、撤廃するべきではないかという話があったかと思うのですが、投資法人と投資信託で全く正反対の方向に規制が進むというのは、そもそもどういうことなのかなと、正直理解できないという感じがいたします。

もう1つは、こういう規制を今入れることの必要性です。例えば、今現在公募で販売されている投資信託の中に、どのくらいこういうものに該当してしまいそうなものがあるのだろうかと考えたときに、私が一番先に思いつくのは、一番普通の公社債投信とかMMFとかMRFなどだと思うんです。日本国債に非常に偏重した投信になっているのではないかと思いますので。そういうのはけしからんという趣旨だとすると、何かよく理解できませんし、例えばそれが名称に書いてあればいいんだという話があるんですけれども、そうすると、豪ドル国債オープンという名前でオーストラリア国債に10%以上投資するのはいいんだけれども、豪ドル債券オープンはだめだということになるんですかね。債券という中では、銘柄ごとに10%以内におさめなければいけないという話になるんだと思うんです。でも、どっちが一体より安全性の高い投資信託といえるのだろうか。もちろんオーストラリア政府よりもオーストラリアの会社の社債のほうが安全であるという観点に立つのであれば別なんですけれども、規制の対象になっているもののほうがリスクが高くなるというのも、何か妙な話ですよね。

ですから、私はちょっとこのご提案全体について、甚だ大きな疑問を感じるんですが、ほかの委員の方からは、ほかの意見があるかもしれません。すみません。

○神田座長

どうもありがとうございました。

永沢委員、お願いします。

○永沢委員

ありがとうございます。

今、大崎委員がおっしゃったことに反対するわけではないんですが、でも反対ですね。(笑)素朴な発想からなんですけれども、まず、信用リスクの集中回避のための投資制限という、12ページのところについて、そもそも分散投資というのは、人間が歴史から学んだ知恵だと一般には言われておりますし、欧米に学ばない方法はないのではないかと思います。逆に言えば、なぜ日本は欧米とは違って、この規制を緩和をしているのか、私はその理由のほうが欲しいと思っております。(分散投資制限を緩和することによって)新しい商品の開発とか、運用コストを削減するとか、そういう利益もあると思いますが、一方で、投資信託は一般には不特定多数の人に販売されますし、市場の弱者といいますか、情報力だとか判断力、分析力において機関投資家等と比べると劣位に立つ投資家が集団で参加している商品です。万が一が起きたときに、そういう人たちに及ぼすかもしれないダメージを想定したときに、そこで失われる不利益と比較したときにどうなんだという問題があるのではないかと思っております。基本的に欧米に入れられているのなら日本でも入れたほうがいいのではないでしょうか。

それから、先ほど大崎委員が、このようなものに該当するものは公社債投信とかとおっしゃいましたけれども、私どもは、デリバティブなど、基本的に債券を一、二本入れた上でデリバティブを使っているような仕組み投信が、こういうものに該当するのではないかと思っております。そういうものについては、いろいろとトラブルも起きておりますので、(分散投資規制を導入することは)直接的な規制ではなくて間接的な規制になってよいのではないかと思っております。話が横にそれましたが、仕組み投信などは信用リスクが集中しているタイプのものであると理解しておりまして、MMFとかMRFとか公社債投信だけではないと申し上げたいと思います。

あとは、デリバティブ取引のリスクに対する規制のところに関しても、あわせてなんですが、8月に事務局から大変たくさんの資料を集めていただいて、お送りいただいて、私どもなりに辞書を開いて勉強しましたが、正直言ってよくわかりませんでした。(笑)結局、欧米でこれほどの議論が起きている背景には何かがあるんだろうと思っておりますので、何が議論になっているのか、なぜそこまで欧米では必死に議論しているのか、何か問題があるに違いないので、何が問題として起こり得るのかということのほうを、まず教えていただきたいと思います。これは事務局よりも、投信協会とか機関投資家の皆様のほうがむしろ情報をお持ちなんだと思いますので、そういうところから何が議論になっているのかを教えていただきたいと思います。また、欧州の規制と米国の規制と両方出ておりますけれども、それぞれ違いがあるということは、一長一短があるんだと思いますので、それぞれの長と短を教えていただけたら、日本にはどちらがよいのか、いや、全く必要ないのか、判断がより適切にできるのではないかと思いますので、この点についても、やはり機関投資家等の専門家の意見をお聞きしたいと思っております。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございます。2つほど、今の永沢委員の関係で質問があると思うのですけれども、1つは、仕組み型とおっしゃいましたが、そういうのは本日の事務局資料との関係では含まれていないのか、含まれているのかというのが1つですね。それからもう1点は、欧米でなぜこんなに議論されているのかという点、もしおわかりでしたら。

○横尾企画官

はい、ありがとうございます。

永沢委員のご指摘と、先ほど大崎委員からご指摘がございました、MMFとかそういうものだけに該当する話かということも絡んでくると思いますけれども、永沢委員のご指摘なさったのは、いわゆるリンク債型というような、1つの、例えば欧米の銀行が発行する社債であって、リターンが別の指標に連動しているもの、あるいは別の指標を前提としたデリバティブを活用してリターンを連動させているものをおっしゃっているのかと思います。

○永沢委員

そのような債券を、投信に入れているものがありますね。

○横尾企画官

そういうものを投信の投資対象として組み込んでいるものということだと思いますが、1つ、この信用リスク集中規制を純粋に適用いたしますと、例えば債券のエクスポージャーを最大10%で分散することになれば、そういったリンク債の発行体を分散する必要が出てくるかと思います。

それから、欧米での議論の背景ということかと思いますが、私どもが勉強している限りでは、信用リスクについては、何か問題があったから規制を入れるというよりも、従来からそういうことで組成されていたものを、UCITSなりで統一化する際に当然に入ってきたものではないかと思っています。それは多分、欧州や米国のファンドの実体が、日本のように特殊な1つのリスクだけ切り出した投信というよりも、日本でいえばバランス型のような投信が、もともと主流を占めていたことも背景にあるのではないかと思います。デリバティブにつきましては、どちらかというと米国のほうが厳しくて、欧州のほうがやるにしてもきちんと管理をしていこうということだと思いますけれども、それも、もともと株式投資を法人型でバランス的にやっていく米国型と、国ごとにいろいろな規制の中でいろいろな手法がでてきたUCITS、ヨーロッパのそれまでの投信組成の背景の違いかと思います。

あと、大崎委員からご指摘のありました、国債で運用するファンドのほうがかえって信用リスクが高くなってしまうのではないかというご意見ですけれども、そこは他方、集中する資産のリスクをどう考えるかということかとも思います。後のデリバティブのところにも絡んでくると思いますけれども、国債のリスクを字義どおり額面で評価するのか、あるいはウェイトづけして考えるのかということがあろうかと思います。例えば日本国債のリスクはカウントしないけれども、外国国債のリスクは場合によっては国ごとにリスクウェイトをかけることも、ほかの分野のリスク規制の中では当然に行われていることでございます。ですから、信用リスクを如何に計上するかという点と信用リスクに枠をかけるかどうかという問題とはまた別のポイントかと思います。

以上です。

○神田座長

ありがとうございました。

欧米で盛んに議論されている1つの背景は、世界的な金融危機の後の、いわゆるシャドーバンクなどと言っていますけれども、銀行と同じような、お金の出し手、借り手になっていて、それが市場の流動性に非常に大きな影響を与えるという、投資信託はそういうことがあるように私は理解しますが。

その辺は引き続き勉強することにして、それではほかの委員の方で、清水委員、小沼委員の順で、それから川波委員、お願いいたします。

○清水委員

1つ、大崎委員が先ほどSPCの50%超ルールと比較されていましたが、今回の信用リスクの分散の話とSPCの話は論点が異なると思います。SPCについての話は、不動産ファンドにおいて海外に投資するときにスキームとして使っているということで、信用リスクの集中等と話は別だと私は考えております。

それから、ファンドに対するリスクの規制についてですが、基本的には、当該規制はあったほうがいいのではないかと考えております。それから永沢さんへのコメントといいますか、私の理解は、リーマン等があったときに、このデリバティブ等は通常、金融機関がカウンターパーティーになるので、今まで大手金融機関が潰れないという理解であれば規制は必要なかったと思いますが、リーマンショック等生じて、相手方が金融機関でも信用リスクの管理は必要だということで、規制が始まったと私は理解しています。

1つ、コメントですが、15ページに適用除外の記載がありますが、15ページの中の箱の中に、発行体の名称等を記載することによって除外と書いてありますが、発行体が1つだけでない場合もあると思いますので、除外の方法等については、考慮する必要があると思います。

それから、今般、ファンド・オブ・ファンズによる運用が増えていて、特に運用会社が異なるファンド・オブ・ファンズも増えていると理解していますが、そういった場合、当然同じように規制するのが理想だと思いますが、実際に実施する場合における実効性、実現可能性等については、考慮する必要があると思います。

もう1点、マーケットリスクについてですが、16ページですが、ヨーロッパでもファンドの性質に分けて幾つかの方法、コミットメントアプローチですとか、VaRによる管理ですとか、方法を分けていますが、日本で実施するときに、標準方法として証券会社における方法が挙げられていますが、証券会社は基本的に有価証券を、ディーリング目的で保有していることを前提にして、規制が行われているので、この証券会社における標準法を使った場合に、中長期の投資信託のポートフォリオの規制としてそのまま適用できるのかどうかを、検討すべきと思いました。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、小沼委員、どうぞ。

○小沼委員

ありがとうございます。

まず、信用リスクの分野でございますけれども、この問題、資料の12、あるいは10、15に書かれておりますが、デリバティブ取引についての確認というか、中身でございますが、多分、OTCのスワップ等の相手先が1社の民間企業になっている場合もあれば、デリバティブ取引というと、ある意味、取引所、上場デリバティブ市場のコントラクトを利用する。そういう面で最終的に負うカウンターパーティーリスクは、インフラである清算機関の、セントラルカウンターパーティーの清算機関に対してのリスクを負うというケースもあると思いますので、多分ここの文脈は信用リスクということですので、取引所上場デリバティブ市場ははっきり区分けをして考えていったほうがいいのではないかと思いました。

それから、例えば12ページのUCITSの規制の上から3つ目ぐらいの表現では、デリバティブ取引のファンドの資産の5%と以下という記述になっておりますけれども、これも当たり前の確認なのかもしれませんが、多分、相手方が1社、100%相手方が限られておっても、そこに例えば担保などがきちんとした形で積まれていて、実際のエクスポージャーが5%以下とか10%以下となっているようなものは、UCITSの中でも認められていたのではないかと理解しておりますので、エクスポージャーベースのお話ですよねという確認も、あわせてコメントできればなと思っております。

それから、15ページのような例外規定みたいなものを工夫していくことは重要だと思いますし、また名称のところでございますけれども、多分ここの問題意識は、投資家の皆様にとって、投信法という枠組みを使った商品であるからこそ、発行体や発行体の信用リスクについて見逃しがちになるようなことがあってはいけないなということで、はっきりさせたほうがいいという趣旨だと思いますので、国債の場合や社債の場合、いろいろなケースもあると思いますので、この辺の名称の仕方も工夫のしどころだなと思っております。

以上が、信用リスクの論点でございます。

それから、2点目のデリバティブ取引に起因するリスク量の規制でございますが、この原案自身は、デリバティブ取引と書いてあるのは、もしかしたらOTCのものと取引所のものとを合わせて同一の視点で考えている可能性もあるのだと理解しておりますけれども、実際の商品でデリバティブを必要に応じて使っているものはあると思いますし、それから欧米で一般的な、しかもかつ問題が起きていないような商品も、ここの規制の部分が現実的に厳しくなり過ぎると新たな商品を作りにくくなるケースも出てくるのではないか。そういう意味で、一定の方法を示して、計量して、その内容を開示していく方向については、十分そういうことは重要かなと思いますが、一定のバーを引いて規制をしていく、商品作りの規制をしていくという点については、少し専門的に十分検証して、厳し過ぎることにならないように進めていくべきではなかろうかと思います。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

川波委員、どうぞ。それから大崎委員、お願いいたします。

○川波委員

資料の14ページ、あるいは16ページの議論にかかわると思うのですが、ここに幾つか信用リスクの集中回避のための制限、株式、債券とかデリバティブについてでございますけれども、数字が幾つか提示してあるんですが、これは単なる議論の素材なのか、あるいは何か合理的な根拠があって提示なさっているのか、その辺のことを、もし追加のご説明があればお願いしたいと思います。こういうものは、できればシンプルでわかりやすいことが求められると思いますが、もう一方でやはり枠組みとして効果的であることが必要だと思うんです。我々審議会としては、どういう根拠で、ある数字を、具体的な水準を提示するのかについては、やはりある合理的な根拠を議論しておくと申しますか、あるいはそれを含めて提示することが必要ではないかと思いますので、その辺のところについて何かありましたら、お願いしたいと思います。

○神田座長

いかがですか。

○横尾企画官

1つは、UCITSを参考にしております。そもそも、前半戦の議論におきまして、参考資料としてこの数字も含め、UCITSでの規制の概要をご紹介させていただいたんですけれども、もちろん先ほど大崎先生からございましたように、こういうものは商品組成の阻害になるからというご意見もありましたし、具体の規制のイメージを示してもらわないと議論にならないというご意見も、前半戦であったかと思っております。そういうことで、今回、例えば具体のイメージとしてこういうことが考えられるということで、14、15、16ページを提示させていただいて、さらにその数量につきましても1つのイメージとして提示させていただております。

UCITSの中には、実は12ページに書いてある数字以外に、いろいろ国の裁量によって引き上げられるという状況もございまして、資料に記載した10%というのは、参加国の裁量によって引き上げられる水準でございます。そういった諸外国の制度を1つの参考にしてイメージとして提示しております。もちろん正式に、ほんとうに規制化することに当たっては、数量的な定めの決定根拠は非常に重要になってくることはご指摘のとおりだと思っております。

○川波委員

ありがとうございます。ただ今、シンプルでわかりやすい、あまり複雑にならないことと、それから効果的であるということを申しましたが、もう1点、やはり金融機関のイノベーションと申しますか、イノベーティブな行動をあまり過度に阻害しないというか、そういう視点も大事だなということを、1点、つけ加えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○神田座長

どうもありがとうございます。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

さっきの小沼さんのご発言でちょっと気になったんですけれども、14ページの「信用リスク集中回避のための投資制限」というご提案の中に、デリバティブが書いてあって、同一者へのエクスポージャー云々と書いてあるんですが、そうするとこれは市場デリバティブは除いているという前提なんですか。

○横尾企画官

我々どもから今回提示させていただいたのは規制の全体的なイメージに過ぎず、全ての具体的な詳細について検討済みというわけではございません。また、先ほど小沼委員からは、デリバティブ一般には規制がかかるのだろうけれども、そこのカウンターパーティーに着目したときに、普通の銀行や市場参加者と相対で契約締結している場合のカウンターパーティーと、それから清算集中しているような場合のカウンターパーティーを区別すべきかどうかというご指摘があったと理解しております。

○大崎委員

ただそうだとすると、清算機関は1清算機関に対してエクスポージャーが別に100%でも構わない、けれども、例えば直接いわゆる店頭デリバティブで清算機関を通すことを義務づけられていないもので、直接どこかの銀行や生命保険会社と清算するものについては、それを10%以内におさめるという趣旨なんですか。

○横尾企画官

そこまで具体にまだ検討しておりませんけれども、そういった考えもあるというご指摘を、今委員からいただいたと理解しております。

○大崎委員

そういうことだとすると、さっき永沢さんがおっしゃっていたような、デリバティブを使ったいわゆる仕組み投信といわれるものの規制にはならないのではないかという気がするんですが、そこはちょっと、はい。

○神田座長

石黒委員、どうぞ。

○石黒委員

私は半分理解できていないのではないかと心配しつつ、申し上げるんですけれども、今年の前半戦の議論で、資産の内容の規制、あるいは商品組成の規制ということについては、基本的に、ここは確かに各委員のご意見でも結構ニュアンスの幅があったかなという中で、中間取りまとめのあの文言に落ちついたわけではございますが、やはり全面的にやりましょうという話ではなくて、やるとしても例外的にやる、過度の規制になってはいけないということはあったのかなと思います。その過度ということについて、どのぐらいが過度なのかとかいうあたり、例外とはどのぐらいが例外かというところにニュアンスの差の大きさがあったのかなという感じがしているんですが、やはり立法事実といいますか、どういう必要性があって規制するということが、はっきりとした上で考える、その必要性に応じた過度でない規制は何なのかということが、やはり議論の基本なのではないかと考えます。もともとの事務局案の話も、「適合性原則や説明責任では捉え切れないところがあるおそれを、何とかそれに対応するために内容の規制も考えることを検討したらどうか」というお話の流れだったかと思うんですが、私は少なくとも原則は、そのロジックにあらわれていると思うんですが、適合性と説明責任ないし開示の問題であって、わからないようなデリバティブを、わからないような人に売らないというところが出発点だろうと思います。そうだとすると、この内容の規制は例外的でなければいけない。繰り返しになりますけれども、どの程度例外が許されるかというと、その規制を導入する必要性、立法事実的なものがちゃんと裏づけがないと、そこは決められないのではないか。今ほどの、事務局のご説明では、やるとすればこういう形でなるということで、何か提示しないと議論が進まないので、あまり具体的詳細までは決めていないけれども、お示しいただいたということでしたので、先ずそのあたりの議論をもう少し深めたほうがよろしいのではないかというのが、私の感想でございます。

○神田座長

どうもありがとうございます。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

今の石黒委員が先に発言されたのですが、適合性原則や説明責任という観点だけでは、私はいわゆる投資者保護とか消費者保護の観点から、不十分だと思っています。さらに、例えば日弁連は、そもそもヘッジ目的以外はデリバティブを組み込んだ投資信託を禁止せよということまで言っているわけで、不測の損害を防ぐという観点から、事務局案とも別の議論が必要なのではないかと思います。今日、事務局からご提案いただいたのは、そういう意味では国際協調というか、消費者保護もあるんでしょうけれども、やはり1つのものへの過度の投資を、あるいはデリバティブも含めてですが、防ぐというか、金融システム上の要請の感じかなと思いす。欧米がある程度やっていることについては、前半の信用リスクの集中回避のための投資制限は必要だろうと。そのときに、何%が基本かわかりにくいところがありますけれども、例えば5%が出されているわけで、欧州でも国によっては10%まで広げられるとしても、もし我々が10%という提案をするのであれば、それなりの説明が必要なのではないかと思います。つけ加えて言えば、例外といいますか、例えば国債であるとかETFであるとか、ひょっとしたら大崎委員が指摘されました不動産の流動化のようなものについては、何か除外というか違うカテゴリーになるわけでしょう。そこをどこまで広げるのかは、また技術的には結構難しそうです。ファンド・オブ・ファンズについても指摘がなされていますが。

後半のデリバティブのほうでいいますと、ヨーロッパでどうなっているのか、あるいは今、事務局でどう想定されているのかが、もしわかればお答えいただきたいんですけれども、例えば内部管理モデルで、VaRと読むんですか、この想定最大損失額を算出するような場合に、その算出過程や採用された数字などをどこまで開示せよというのか、個々の投資者にまで開示なのか、あるいは全体的ないわゆる開示なのか、そのあたりヨーロッパはどのようにやっていられるのか、もし情報がありましたら教えていただければと思います。

○神田座長

ありがとうございます。

石黒委員、どうぞ。

○石黒委員

すみません、ちょっと補足で。私、まとめて先ほど申し上げてしまったんですけれども、集中回避とデリバティブではやはりちょっと違うのかなという感じがしておりまして、集中回避についてはUCITSの制度がヨーロッパでできる前から、特にOECDか何かのモデルだったと思うんですが、やはりずっとこういう形で10%とか5%というのがあったと思いまして、それと投信というと一般的に分散投資という前提というかイメージがあって、それとの関連でそういった集中ということをどう考えるかということで、デリバティブと集中回避は大分違うのかなという感じがしております。ただ、あえてそれもまとめて言ってしまえば、先ほど申し上げた、必要性がどこまであるのかという、立法事実的なところとの関連で決まってくるという意味では、同じことなのかもしれないと思っております。

○神田座長

ありがとうございます。

上柳委員からのご質問について、事務局から。

○横尾企画官

上柳委員からの、内部モデルで算定した算定の具体的な仕方、それから値をどのように開示しているかでございますけれども、私も今勉強している限りでございますが、内部モデル自体がどういうモデルかということを事細かには開示していないのだと思います。むしろそこは概要と申しますか、その程度の開示だったと記憶しております。

それからもう1点、今、石黒先生からございましたように、2つ、デリバティブ規制と信用リスクの集中回避のところの違いでございますけれども、もう1回繰り返させていただきますと、デリバティブのほうは、こちらはもう府令レベルではございますが、合理的な方法により算出したリスクは運用財産の純資産を超えてはならないというのは決まっておりまして、今回の議論はどうリスクを算出するかということでございます。そういった意味では、デリバティブ規制という既にでき上がっている枠組みの中の話と、信用リスク規制という別途新設の枠組みということも違いとしてはあろうかと思います。

○神田座長

ありがとうございました。よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、島田委員。

○島田委員

信用リスクの部分については、投資家はほとんどコントロールできないと思いますので、これはやはりある程度の規制が必要かなと思います。ただ、次に、適用除外の問題については、現状でほんとうに、例えば仕組み債などをかませて運用するしかないとか、することに合理的な意味があるものと、どうも横から見ていると、そうではなくて、グループ会社の中で債券を発行することによって、発行体ないしは流通の部分の中で、業者側にメリットがあるからやっているように見えるものもありますので、あまり適用除外を優先していただかないで、むしろ真っ当なリスクの部分からの議論をしていただきたいと思います。

一方で、デリバティブのリスクについては、私もあまり商品の組成に関して阻害してしまうことは非常にもったいないという部分もあると思うので、むしろ情報開示、あるいは例えばエクスポージャーの度合いを、ある程度段階化して表示をするといったようなことでもしていただければなと思います。最初の、リスク開示の議論とダブってくるというか、戻ってしまうかとは思いますが、逆に言えば、今回このような議論が非常に必要だということは、こういう商品がたくさんあるということでしょう。そういう、最初の前段でのリスク開示のところでこぼれやすいものと、議論の対象が非常にダブっているのではないかという気持ちがあります。ですからデリバティブのリスクに関しては、もう少し前段の議論のほうでも考えていただきたいというのが希望でございます。

例えば、どういう目的でこのデリバティブを使っているかということ。非常にリスクを小さくするために使っているものもたくさんあると思いますので、何のためにこのデリバティブを使っているのかというようなことを、きちんと開示をしていただければいいのではないかと思っております。

○神田座長

ありがとうございます。

永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

本日始まった後半のワーキング・グループは、今後何回かにわたって開催されることが予定されていると思いますが、先ほどリスク等についての情報提供の充実については、意見が1つの方向にまとまった感じがいたしましたけれども、運用財産の内容についての制限については、今後まだ相当な議論が行われる必要があるように思いますが、この後、何回ぐらいこの点の議論に費やされるのでしょうか。それから、ここの場で(委員間で)議論していても(意見が対立するだけで結論は)出てこないことも多くあるように思います。できましたら、投信協会だけでなく、専門の運用者の方々からもご意見をいただいて、せっかく金融審のワーキング・グループという公開された場でいろいろな情報が出てきておりますので、関心を持っていただいている(国民の)方々にここでの議論や専門家の方の意見を知る機会を得ていただいて、将来的にはパブコメの募集もあると思いますが、(多くの国民の方々から)ご意見をいただけるようにつなげていただけるようにできたらいいと思っておりまして、(今後の回のどこかで)そういう(=運用の専門家の意見を聞く)回を持っていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○神田座長

どうもありがとうございました。おっしゃるように、どうもこの論点は、前途多難というか、委員の皆様方の意見が分かれていて、原則と例外をどのように考えるかですよね。今後、投信市場は一層伸びてもらわないといけないと思うのですけれども、日本での典型的なリテールの投信、公募の投信について、原則その商品内容は自由であって、例外的な場合のみ何らかの、規制という言葉を使わせていただきますが、そうするのか、それとも原則、投信は分散であって、先ほどの言葉で言えば、デリバティブの利用はヘッジ目的に限ることを原則として、例外をつくっていくというふうにいくのか。これについて、皆様方の感触はどうも分かれていると言わざるを得ないものですから、なかなかイメージがつくりにくいとは思います。

確かに、数字を例として挙げると、どうしても硬直的に見えるのですけれども、機関投資家も伝統的に「5・3・3・2規制」というのもありましたし、なぜそういう数字だと言われても、半分ぐらいは説明がつくんでしょうが、その数字でなければいけないというところまでは説明がつかないと思いますし、商品の内容の規制の例は幾らでもありますよね。外為証拠金取引の倍率規制、レバレッジの倍率規制、25って、なぜ25なのかとか、あるいは証券CFD取引は個別株で5倍でしたか、いずれにしてもそういう商品の内容の規制は必要に応じて設けられているので、やはり大事なことは、委員の皆様方が今後を展望して、投資信託はどういうものを中心に考えるかということだと思います。例外はいろいろあっていいと思いますけれども、そういうところではないかと思いますので、本日はもちろん意見をいろいろお出しいただきまして、またご議論いただく機会を設けるということかとは思います。

オブザーバーの皆様方から、もしご意見があれば、承りたいと思います。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

投信協会です。

皆さん、意見をありがとうございます。業界としましては、今回の信用リスクの集中排除のための規制の導入については、やはり自由な商品設計を妨げるし、先ほど委員の方からも話がありましたけれども、金融技術の進歩、この辺におくれをとる可能性もございますので、立場としては、原則反対ですという立場です。

ただし、皆さんの議論の中で、信用リスクという場合に、我々はリスクには2つあると考えています。信用リスクの1つは、リターンの源泉となる発行体リスクです。これと、リターンの源泉とならないカウンターパーティーリスクの2つがあるので、この2つは分けて考えて議論すべきではないかと考えています。

まず発行体リスクですけれども、これはリターンの源泉となるリスクで、当然、ファンドの商品性として意図して取に行くリスクです。例えばこの株に、10ではなくて15%集中投資するとか、そういうリスクで、これをどの程度リスク分散させるかというのは、この各商品の商品性に依存するので、一律の規制はなじまないと考えております。したがって発行体リスクについては、分散の度合いの方針をきちっと明確にして、投資家に商品ごとに明確化してご理解していただくことが、やはり適合性も含めて説明責任でやるということが肝要であると考えております。したがって商品を横断する一律の規制は、投資者の多様な投資機会を確保するという観点から、適切ではないのではないかと考えております。

これに対して、もう1つのカウンターパーティーリスクは、リターンの源泉とならないリスクで、いわば投資家にとってみれば、意図せざるリスクでありますので、仮に規制を入れるのであれば、商品によらず一律の基準でコントロールするのが適切であるのではないかとも考えております。

私からは以上です。

○神田座長

ありがとうございました。

大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

今のお話は、非常にある意味論理的なんですけれども、ほんとうにカウンターパーティーリスクに着眼した規制を入れるのだったら、例えば日本の取引所では、10%までしか取引してはいかんということになるわけですよね、論理的に。JSCCはカウンターパーティーなんですから。単一の。やはり何かおかしいという気がするんですけれども、どうですか。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

そこの観点が、我々がカウンターパーティーリスクと言っている場合には、エクスポージャーなので、例えば1社の為替のヘッジを行う場合に、1社に対して100%為替ヘッジを行ったとすると、それに対してエクスポージャーが、要するに勝ち負けがありますから、それが仮に10%で110になった時点で、一たんアンワインドすれば、そういう意識でおりますので、実際に分散しようということで、もし仮に皆さんがそうお考えであれば、これは現実的に無理です。おっしゃるように。それはもう非現実的な話なので、我々は仮に10%のカウンターパーティーリスクという場合には、今言いましたように、仮に言えば1社で100%でやっても、それが10%損益が出た場合に、アンワインドするという考え方ではないと、実際機能しません。そういう観点から申しております。

○神田座長

ありがとうございます。JSCCはいい例ではないと思いますが。(笑)清算集中するための仕組みですから。

○横尾企画官

今のところ、ちょっと補足してよろしいですか。

今、協会からもご指摘がございましたように、カウンターパーティーリスクで本当に損失が起きるのは何かというところに着目しますと、単に資産の中で10等分するとかではなくて、取引相手との間の勝ち負けでどれぐらい自分が評価損を持っているか、評価益を持っているかというところにという、いわゆるカレント・エクスポージャー・ベースの話だと、我々も認識して議論しているところでございます。

○神田座長

ほかにオブザーバーの方々、もしご意見がございましたら伺いたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。委員の皆様方、ちょっと今のあたりのご議論も含めて、もし追加で、このテーマについてご発言があれば。

よろしいでしょうか。

それでは、3つ目のテーマです。中間論点整理以降、事務局においてご検討いただいた「運用報告書記載事項等の見直し」でありまして、資料ですと17ページから19ページ、そして18、19ページあたりが方向性と具体的な記載事項のイメージであり、参考資料の2も大変わかりやすいと思いますけれども、こういう感じのものでどうでしょうかということですが、ご質問、ご意見がありましたら、お願いいたします。

永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

最初に、お手元に本日配付いただきました資料についてですが、フォスター・フォーラムで作成とご紹介がありましたが、私どもと、こちらにお座りの島田委員、それから前半のときのワーキング・グループでゲストスピーカーとしてご提言をいただきました竹川美奈子さんにご協力をいただきまして、投資家の方々や評価機関の方等、いろいろな方に集まっていただきまして、意見交換会を開催し、そこで出てきた意見や提案をベースにしてこの資料は作成しております。そのことは配付させていただきました資料の2ページに書いてございますので、そのような位置づけであることをご理解いただきたいと思います。多くの皆さんからいただいた意見に基づいて、運用報告書の利用価値を高めたいという目的のためにこのような提言をさせていただいておりますので、お時間のあるときにお読みいただきたいと思います。

また、今回のワーキング・グループの前に、事務局が中心となっていただきまして、事業者団体と私ども投資家、それから情報を投資家と運用会社との間に入って伝えられるような方々、フィナンシャルプラナーや評価機関の方々が集まって、意見交換会を開催させていただきました。そこでの議論をベースにして、事務局で今回の参考資料の2のようなものをおつくりいただいたんだと理解しております。そのお骨折りといいますか、大変なエネルギーをこれ(交付運用報告書案)に費やしていただいたと感謝しております。

(現行の運用報告書と比べて)かなりよくなっていると思っておるんですが、1つ、2つ、お伝えしておきたいことがございます。配付させていただきました資料の最後に書かせていただきましたけれども、本日、配付されておりますのは、交付運用報告書のイメージでございますが、私どもが一番気にしておりますのは、(縦覧運用報告書がどうなるかという点です。)今回、縦覧と交付とに分けることが前提になっております。先ほど運用会社のホームページに掲載されるという説明がありましたので、おそらくアクセスビリティーはよくなるに違いないと思っておりますが、縦覧のほうのアクセスビリティーが悪くなってしまいますと、交付される運用報告書が薄くなる分、情報開示の量なり質が落ちていくことになってしまうかもしれませんので、やはり縦覧運用報告書のほうも十分に議論をしていただく必要があるのではないかと思っております。この場ではなくても結構ですが、やはり別途この点については十分に(検討の機会を与えていただきますよう)お願いしたいと思っております。

もう1点ですけれども、(本日配布された交付運用報告書案は)たたき台で、これで最後になるわけではないという理解でよろしいですね。この点を確認させていただいて、また議論をさせていただく機会があると理解して、今日は一応終わりにしたいと思います。

以上でございます。

○神田座長

ありがとうございました。細かい点等を含め、さらにご指摘があれば、この会合は時間も限られていますので、会合の外で事務局にご意見等をお寄せいただきしたら、またこの会でご披露するなり、必要に応じてご審議をお願いしたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、島田委員。

○島田委員

前提の話ですけれども、交付運用報告書の議論をするときに、縦覧のほうでどのようなデータが開示されるかが非常に重要になってくるかと思います。そちらを充実させることによって、投資家に配るものはわかりやすく簡単にしようという議論だと思いますので、その辺の相互の位置づけについて、少し伺えればと思うんですけれども。

○横尾企画官

前半戦で一部、縦覧という言葉を使っておりましたけれども、必ずしも縦覧といいますとEDINETによる公衆縦覧を想起するため適切ではないということから、今、運用報告書全体ということにしております。今委員からご指摘がございましたのは、縦覧のほうにどのような情報を載せるのかということでございますが、いろいろ追加的な修正等はあるべきだとは考えておりますけれども、基本的には今ある運用報告書への記載事項がベースになると考えておりまして、それは受益者がいつでも見られるような状況で、インターネットに掲載する。その中から特に運用状況に関して最低限投資家に理解してもらうべきものを抽出しまして、交付運用報告書という形で交付するという関係を考えております。

○神田座長

よろしいでしょうか。

○島田委員

はい、ありがとうございます。

○神田座長

ほかにいかがでしょうか。

オブザーバーの皆様方でご意見はございますか。よろしゅうございますか。

そうしましたら、全般にわたって、本日の前のほうでご議論いただいたことも含めまして、若干、予定した時間に余裕があるようですので、ご発言いただけることがあれば、どんな点でもお出しいただきたいと思いますけれども。どうぞ、大崎委員。

○大崎委員

質問というか確認ですけれども、信用リスク規制、デリバティブ取引規制の話ですが、規制のやり方としては法令でということをお考えなんですか。

○横尾企画官

まず、デリバティブ規制につきましては、法令レベルでは現在のところ合理的に計算したリスクが運用財産の純資産を超えない限りという枠が定まっており、それを自主規制において各社の裁量に任せた形で定めておる。この自主規制において各社の裁量に任せているところを、もう少し統一的に自主的に決めていくべきではないかと思っているというのが、1点でございます。

それから信用リスクにつきましては、例えばデリバティブ規制とパラレルに考えるのであれば、原則を法令レベルで、詳細を自主規制というやり方も、1つの考え方としてはあろうかと思います。

○大崎委員

例えば、信用リスクが過度に集中しないようにとかいうようなことを、法令で定めるということですか。この辺は、先ほどオブザーバーの方からそもそもやるべきではないという意見があって、私は実はそっちに何となく賛成なんですが、やるとなったときのやり方も、よほど注意しないと思わぬ結果になるのではないかなと、私は強く思っておりまして、結果的に変な商品は引き続き売ることができて、まともな商品はつくれなくなったというのを非常に恐れます。

○神田座長

どうぞ、神作委員。

○神作委員

大崎委員のただ今のご発言に関連してお尋ねしたいのですけれども、規制をお考えのときに、投資運用業者に対する一般的な禁止規制として考えられるのか、それとも投資信託という特定の場面にのみ適用されるルールとして考えられるのか、この方向感はございますか。

○横尾企画官

デリバティブのところも、確かに投資運用業者の禁止行為の1つとなっておりますけれども、この部分は投資信託の運用業務に限りとなってございます。当然それとパラレルに考えますと、信用リスクについても投資信託の運用業務の中でということになろうかと思います。現状ご議論いただいているのも、そういうベースでご議論いただいているかと思います。

○神田座長

よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

もしないようでしたら、若干、予定した時間よりも早いのでありますけれども、このあたりにさせていただきたいと思います。なお、いつもお願いしておることで恐縮ですけれども、お帰りになってさらにお気づきの点がありましたら、あるいはご意見でも結構ですが、ぜひ事務局までお寄せいただければと思います。

本日も、大変多様な論点について、多様な角度から活発なご意見とご議論をいただきまして、ありがとうございました。最後に、事務局から次回の連絡等をお願いします。

○横尾企画官

次回第10回のワーキング・グループでございますけれども、10月12日1時半からの開催を予定しております。テーマは、今度、投資法人に関しまして、中間論点整理でワーキング・グループにおいて検討または事務的に検討すべきと整理されていた事項を扱う予定でございます。

事務局からは、以上でございます。

○神田座長

それでは、以上で本日のワーキング・グループを終了させていただきます。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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