金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第11回)議事録

1.日時:

平成24年10月26日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○横尾企画官

お忙しいところをご参集いただきまして、ありがとうございます。事務局の横尾でございます。

開催に先立ちまして、資料の確認をさせていただきます。お手元に事務局説明資料、参考資料の1、参考資料の2、及び委員等の名簿がございます。ご確認をお願いいたします。

○神田座長

よろしいでしょうか。

それでは、始めさせていただきたいと思います。本日は投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループの第11回目の会合ということになります。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

本日でございますけれども、お手元の議事次第にありますように、まずは事務局から資料について30分程度説明をしていただきます。その後、そこに示されたそれぞれの論点、今日は3つに分かれると思いますけれども、についてご討議をいただくという流れで議事を進めさせていただきたいと思います。

それでは、まず事務局からのご説明をお願いします。

○横尾企画官

総務企画局市場課企画官の横尾でございます。よろしくお願いいたします。

お手元の事務局説明資料に沿ってご説明申し上げます。1ページおめくりいただきまして、目次のところでございますけれども、本日は3つの事項をご説明させていただきます。1点目は、トータルリターン把握のための定期的通知制度の導入でございます。2点目は、有価証券届出書及び有価証券報告書の提出の見直しでございます。3点目は、複雑化・複合化するリスクへの対応でございますが、これは第9回ワーキング・グループにおいて、リスク量の制限であるとか、情報提供、これに関していろいろご議論がございましたので、事務局のほうで論点をまとめさせていただきまして、改めてご審議いただきたいと思っております。

それでは、1点目に参ります。資料3ページ、トータルリターン把握のための定期的通知制度の導入でございます。資料4ページには中間論点整理における同項目の記述を抜粋しております。1つ目のポツの中ほどにございますように、「一定期間の累積損益が受益者に通知される仕組みにつき、引き続き検討を行うべきである」と整理されたところでございます。

資料5ページ、それを踏まえまして、私どもで業界や投資家の方々と議論しながら考えた案でございます。まず基本的な考え方でございますけれども、そもそも現在の販売各社の状況でございますが、既にトータルリターンを計算している販売会社も多うございます。他方で、トータルリターンの計算システムを備えていない会社というものもございます。計算結果については、定期的に定型の様式で通知している販売会社も大変多うございました。一方で、問い合わせの都度、個別に回答を行っているという会社もあるようでございます。

こうした各社の状況を踏まえまして、以下の方向で制度の実施を図ることとしてはどうかと考えております。

マル1具体的な通知事項等、例えば計算方法、対象範囲、通知方法、こういったことは、これから再度実務者と協議をいたしまして、実務的な検討を通じて整理したいと思っております。

注1にありますように、先ほど申し上げたように、もう既にこうした取り組みを自助努力で始めていらっしゃる販売各社も多い中では、制度化されたレベルを超える事項の通知、これを各社が行うということを妨げないような仕組みづくりが必要かと思っております。

マル2販売会社のシステム対応等に必要となる準備期間も踏まえ、制度内容の公表後、実施までには一定の期間が必要かと考えております。

注2にありますように、販売会社としては証券会社や銀行、こういった業態のほかにも様々な形態があるため、それらの販売会社でも対応可能な制度とする必要がございます。具体的には、直販を行っていらっしゃる運用会社、あるいは協同組織金融機関といったような、規模の小さい金融機関というものもございますので、そういった面にも配慮する必要があると思っております。

マル3制度の実施後に販売された投資信託を対象としつつ、実施時点で既に販売済みの投資信託についても可能な範囲で実施するということが必要かと思っております。

資料6ページ、今申し上げたことをもう少し具体的に申し上げたいと思います。現段階ではあくまでもイメージということでございますが、例えば計算方法については、以下のようなことが考えられるかと思っております。

まず「計算時点の評価金額」、これにそれまで受け取った配当といった「累計受取分配金額」を足し、さらにそれまでに売却によって得たキャッシュ、これを「累計換金金額」として足し込みます。それから、投資した金額である「累計買付金額」を差し引くということで、配当・値上がり益も含めたトータルのリターンというものがわかるのではないかと思います。

ただしこの場合、注意する点が幾つかあろうかと思っておりまして、既にいろいろな方法でトータルリターンの通知を行っている販売会社が多い中で、どこまで弾力的な計算方法にしていくかということが1点あろうかと思います。

他方で、標準化する必要もございますので、個別の計算要素の取り扱い、例えば評価金額を基準価額とするか、解約価額とするか、こういったことについても検討が必要かと思っております。

それから対象とする投資信託の範囲でございますけれども、基本的には公募外国投資信託も含んだ全ての公募投資信託を対象としつつも、一定の商品については例外を認めることとしてはどうかと考えております。例外になると考えられるものとしては、例えばMRF、MMFといったような日々決算型の投資信託、それから上場投資信託、ETFについても、例外ということも考えられるかと思っております。

資料7ページでございます。対象範囲についてでございますけれども、基本的には個人投資家を対象とすることを念頭に置いております。それから計算期間については、過去どの時点までさかのぼるかということが、データの整備状況等を踏まえて実務的に検討するべき事項と考えております。

それから通知方法でございます。以下のいずれかの方法により行うことを選択するということにしてはどうかと思っております。マル1書面の交付。郵送による送付等でございます。それからマル2電子メールによる送信。またはマル3ホームページ上に顧客専用画面を設けてもらい、そこにパスワード等を打ち込んで、自分のトータルリターンがその都度わかるという仕組みも許容できるかと思っております。

ただし、そういったホームページ上の対応を行う場合には、注に書いておりますように、事前にそういう方法が確実に投資家に周知されているということが必要だと考えております。

さらに、注の2行目でございますけれども、販売量が少なく、システムの整備等が困難な販売会社の場合、事前に投資家に対して確実に周知するということを条件にした上で、投資家からの個別照会に対する回答ということも容認することがあり得るかと思います。いずれにいたしましても、投資家がみずからの投資の状態を明確に把握できるような仕組みをつくるということを目的といたしまして、一方では販売会社のさまざまな状況も踏まえつつ、制度の実施までに実務的に、今申し上げたような詳細を詰めていくことが必要かと思っております。

次は有価証券届出書及び有価証券報告書の提出の見直しに関してでございます。資料9ページには中間論点整理の記述を抜粋しております。現在、公募投資信託におきましては、金融商品取引法上、有価証券届出書の提出が義務づけられ、さらには有価証券報告書の提出も義務づけられております。これとは別に、投資信託法において、運用報告書の投資家への交付が必要になっております。

両報告書は、その目的及び性格の違いが存在しますので、単純に統合することは困難ではないかと中間論点整理で整理いたしました。ただし、投資信託の継続募集を行う場合に、1年ごとに提出することとされております有価証券届出書と有価証券報告書、これは基本的に重複となっている事態がございますので、これを現状のまま両方提出する必要があるかどうか、これを検討していくと整理しておりました。

対応といたしましては、届出書、報告書それぞれの役割に留意しつつも、近年の電子的技術の進展も踏まえて、法定開示のコストを適正化するとともに、一般投資家にも理解しやすい開示とする必要がないか、こういった問題意識のもとで、金商法上の有価証券届出書、それから有価証券報告書、双方の見直しが考えられるかと思っております。

具体的な検討の方向性は、資料10ページでございます。まず、有価証券届出書の見直しと、有価証券報告書の見直し、それぞれ論点があろうかと思います。検討の方向性として文字で書かせていただいておりますけれども、図で説明したほうがご理解いただきやすいかと思いますので、資料12ページをお開きください。上段は有価証券届出書、下段は有価証券報告書です。この2種類の開示書類の提出が義務づけられているわけでございます。発行段階において有価証券届出書、それを受けて継続開示ということで有価証券報告書を提出する必要がございます。

現状、有価証券届出書におきましては、証券情報、ファンド情報、委託会社の情報等を記載する必要がございます。他方、継続開示における有価証券報告書におきましては、ファンドの情報、委託会社の情報と有価証券届出書と重複する部分もございます。こういった重複を、どう効率化していくかということでございまして、資料12ページは、そのうちの1つの案、A案をご紹介いたします。A案は組込方式または参照方式というものを活用してはどうかということでございます。これは有価証券届出書の中で有価証券報告書と重なっている部分がございますので、そこは有価証券報告書から持ってくる。あるいは有価証券報告書にその記載があるという旨を、参照するようにということで記述するという方式が考えられます。

他方で、有価証券報告書におきましては、今度は複数のファンド間での重複というものを考えなければなりません。委託会社の情報は、ファンド1本1本についております。そこで、例えば、ある委託会社の情報というものは、その委託会社が管理している投資信託については同様のものであると考えて、その部分だけを報告書代替書面という1つの様式に基づいた情報として複数のファンドで共有する、そうした形で有価証券報告書を提出していただく。こういうことが考えられるかと思います。

この報告書代替書面の情報につきましては、横の吹き出しにありますように、例えば自主規制団体の規則で、その作成・公表を義務づけた上で、それをインターネット等で公表してもらい、それをもって代替書面として認めた上、有価証券報告書の一部として提出してもらうということが考えられるかと思います。

続いてもう1つの考え方、B案でございます。資料14ページをお開きください。今申し上げたように、有価証券届出書と有価証券報告書で重複している部分もございますが、基本的には両方提出していただく必要がございます。さらに効率化するということを考えた場合に、みなし有価証券届出書というものを考えてはどうかという案がございます。有価証券報告書、下段でございますけれども、ここにはファンド情報、それから委託会社の情報等がもう記載されているわけでございます。これに緑の箱の証券情報を加えたもの全体を有価証券届出書とみなすことによって、両書類が提出されたと考えられるのではないかということでございます。

資料10ページにお戻りいただきまして、今申し上げたようなことが検討の方向性というところに書いてあるところでございます。ただし、その場合の留意点といたしまして、例えば有価証券届出書の見直しに関しましては、A案のうち参照様式を導入する場合、周知性の要件といったような基準の設定、あるいは、基本的には目論見書は有価証券届出書に準拠いたしますので、非常に有価証券届出書が簡単になってしまうということから、目論見書も簡単になってしまうといった点に留意する必要があるかなと思います。

それからB案、後者のみなし有価証券届出書制度案ですけれども、その際の適用要件あるいは有価証券報告書は実態に応じてその都度訂正の書類を出すことになりますけれども、そういったものが必要かどうか、どういったものを出す必要があるかといった検討が必要になると考えられます。

それから有価証券報告書の見直しにつきまして、先ほどの報告書代替書面制度の応用に関しての留意点でございますけれども、報告書代替書面は、法令または金融商品取引所の規則、またはこれに類するものとして内閣府令で定めるものに基づき作成されたものに限り認められております。したがいまして、先ほど申し上げたような自主規制団体の規則に基づき作成された書面ということまで、この要件を拡張する必要があるかと思います。

資料11ページ、もう少し詳しく有価証券届出書の見直しについて、ご説明申し上げます。検討の方向性は、今ご説明したこととかぶっておりますけれども、先ほど申し上げた参照方式案を使う場合の周知性の要件、これにつきましては現状J-REIT等の投資証券については、既にこういう制度が導入されておりますので、基本的にはそれを参考にしてはどうかと考えられます。

それから留意点といたしましては、周知性要件の金額基準に関しまして、1つのファンドに着目してその金額基準を捉えるのか、あるいはアンブレラ・ファンド、マザー・ベビーファンドや、同じ投資信託なのだけれども、選択している通貨が違うことによって別々の投資信託として区別されているもの、こういったものは通算して金額基準の適用をするのかどうか、こういった留意点があろうかと思います。

それから留意点の2点目としては、先ほど申し上げましたように、目論見書というものは基本的に有価証券届出書を取り出したものになりますので、請求目論見書の内容が極めて簡潔になるという点を考慮しなければいけないかと存じ上げます。

資料13ページ、後者のみなし有価証券届出書制度案についての、検討の方向性、もしくは留意点でございます。検討の方向性の枠内、中ほどの矢羽根1つ目にありますように、適用要件としては追加型の投資信託証券にまず対象を絞るということと、それから継続募集が行われているということが1つ重要かと思います。その際の要件として、そこに「特定有価証券の内容等の開示に関する留意事項8-1」、資料15ページに書いておりますけれども、要約して申し上げますと、有価証券届出書が提出されて1年間きちんと継続開示書類が提出されているといった状況にあるときには、先ほど申し上げたようなみなしの有価証券届出書ということも認められるのではないかということでございます。

検討の方向性の枠内、矢羽根の2つ目としては、基本的にはみなすものの有価証券届出書そのものの提出というものはないわけでございますので、現行の目論見書制度とは整合的と言えるかどうか、こういう論点もあるかと思います。

それから留意点といたしましては、先ほど申し上げたような訂正届出書、そこに矢羽根4つ書いておりますけれども、このような訂正届出書をどのように扱うべきかという論点があろうかと思います。

また、そもそもこうしたみなし方式が法制的に許容できるものかどうか、こういったことも検討していく必要があろうかと思っております。

続きまして、3点目、資料の16ページ以降でございます。ここからは、第9回ワーキング・グループでご説明申し上げたリスクについての規制、これをもう一度ご議論いただく必要があるかと思っております。資料17ページ、運用財産の内容についての制限(一定の類型のリスクに対する規制)ということで、前々回にご議論いただきました内容、いただいた意見をまとめてみました。

まず総論といたしましては、そうした運用財産の内容についての制限は、現時点で導入する必要性が乏しいのではないか、あるいは、導入するとしても、過度の規制とならないよう実態に即して例外的に導入すべきではないかというご議論があった一方で、欧米で必要とされている規制を、我が国では導入しない特段の理由があるのかどうか。あるいは、投資家保護や消費者保護の観点から、適合性の原則や説明責任のみで対応するのは不十分ではないか、こういったふうにご議論が分かれたかと認識しております。

これに関しまして、特に実態に即して検討すべきであるというご議論をいただきましたので、参考資料1及び2、こちらに実態をまとめております。参考資料2のほうからごらんいただければと思うのですけれども、こちらは販売実績の多い主要な投資信託として、今どういうものが市場に流通しているかということをまとめてみました。それを販売チャンネルごとに整理したものでございます。1ページは大手銀行窓販、2ページは地方銀行窓販、3ページは大手証券、4ページはネット証券、それから5ページはETFといった形になっております。

まず1ページの大手銀行窓販の特徴を見ますと、先生方ご承知のとおり、昨今の投資信託におきましては、新興国あるいはオセアニア地域といったところで発行される外債への投資というものが主流になってございます。そして中ほどに丸、三角をつけておりますけれども、例えば毎月分配型がほとんどでございますし、ファンド・オブ・ファンズ形式、二層立てで運営されている投資信託というものが大変多うございます。いわゆる通貨選択型に関しましては、大手銀行ではそれほど取り扱いがないようでございます。

そして信用リスクという観点からは、そういった投資信託にどのような発行体の債券が多く組み込まれているかというところが実態を検証する上で必要かと思います。表の右端に、組込率最大銘柄とその組込率がございまして、多くは特定の国、あるいは特定の国の地方公共団体、こういったところの債券というものが中心かと思います。エクスポージャーが多いところで、例えば全ファンドの4分の1が特定の国の国債に投資されているという状況かと思います。

それから、こういった投資に当たって、信用リスクに関する何かしらの制限が設けられているかどうかというところでございます。表の中ほど、1発行体当たりへの投資制限、これは二層式になっているファンドが多うございますので、まず投資家が直接お金を振り込む当該ファンドについてどういう規定があるか。主に株式または転換社債、そういった、実際には投資しないのだけれども、定義上は投資を予定しているものへの制限というものが書いてあるようでございます。これは株式投資の投信が主流だった時代の流れというものを引きずっているようでございます。

それから実態的に運用を行っているファンド、こちらの投資制限の規定はどうなっているかと見ますと、書いてあるファンドもあるし、そういったものが投資家に提示される書類上は見えないというファンドも幾つか散見されるところでございます。

参考資料2の2ページの、地方銀行で販売されているファンドにおきましても、基本的に傾向は同様でございますけれども、一番右端の欄をごらんいただきますと、わりと特定の銘柄への集中の度合いというものは多いようでございます。ただし、多いと言っても、もともとそういったことを予定されている投資信託、ブラジル・ボンド・オープンであるとか、豪ドルオープンといったような、そういった周知を前提としている投信というものが多いようでございます。それから投資先ファンドでの投資制限というものについては、比較的制限がないものが多いようでございます。

他方、3ページ、大手証券で販売されている投信につきましては、信用リスクの集中度合いという意味では、今申し上げた銀行系に比べると分散がきいているようでございます。組込率最大銘柄にいたしましても、1桁%台というものが多いようでございますし、特徴的なのは、必ずしもソブリンものではなく、事業会社への投資というものも多いようでございます。

それから、投資先ファンドでの運用制限につきましては、多くのものが整備されているようでございます。ほかの形態と変わって特徴的なのは、右から3列目の投資不適格銘柄への投資の割合、これが非常に高いようでございます。7割、8割、あるいは9割を超したエクスポージャーが、いわゆるBB格以下の証券に対して投資されているという状況かと思います。

4ページのネット証券につきましては、インデックスものの投信が多いようでございます。例えば、上から4段目の投資信託につきましては、アメリカの不動産市況のリターンに変動するような仕組み債に対して投資を行っているというものでございます。いわゆるリンク債型の投信ということでございます。

5ページはETFでございますけれども、今申し上げたリンク債型、特定の指標に連動する仕組み債への投資ということでは、9位、10位、こういった新興国、なかなか直接現物への投資がしにくい新興国に投資するETFを組成する場合は、現地銀行の発行する社債、仕組み債を利用している場合が多いようでございまして、6割あるいは過半というものが、そういった発行体への投資ということになっているようでございます。

こういった実情を踏まえまして、参考資料1は、今、流通している投資信託に内包されるリスクをどう考えるかということをまとめてみたものでございます。先ほど申し上げましたように、新興国での債券投資というものが主体であり、また一部には通貨選択型ということでデリバティブが組み込まれている投資信託もあるということでございます。その多くは、中ほどの図にございますように2段階化、ファンド・オブ・ファンズ形式で運営されているものが多く、投資者はまず日本側の投資信託に投資する。そこではハイイールド、ハイインカム、エマージング、ニューワールド、高金利といったような、どちらかと言うとリターンに着目したマーケティングが行われているということかと思います。

それで、実際の運用を行うのは外国の運用者でございまして、そこでの投資制限の開示というものは、その有無または内容についてもさまざまな状況かと思います。そこから先は低格付の債券に国際分散投資しているものもありますし、先ほど申し上げたように、グローバルに国債中心での運用を行っているというものも多いという現状でございます。

リスクといたしましては、まずそもそも有価証券投資においては、発行体がデフォルトするリスクというもので信用リスクがあると考えられます。参考資料1の1ページ、左側の黄色い箱の1つ目でございますけれども、通常1発行体当たり1銘柄である株式と異なり、債券は複数銘柄発行されるわけでございます。しかしながら、現状株式投信の流れを慣行的に引きずっておりますので、組込銘柄といった場合には、1債券銘柄ごとの情報が開示されていて、必ずしも発行体ごとに通算された情報開示とはなっておりません。ただし、それが通算されたとしても、個別発行体ごとのリスクというものを投資家が理解できるかという問題はあろうかと思います。

さらに信用リスクという観点では、左下側の黄色い箱のところでございますけれども、通貨選択型におきましては、海外金融機関と一種デリバティブ取引、といっても非常に単純な派生商品でございますけれども、為替のフォワード取引の一種であるNDF取引を行っていることがございます。ここにおきましても、そもそもデリバティブ取引自体のマーケットリスクというものはあるものの、他方、海外金融機関との間での信用リスクというものもあろうかと思います。こういった海外金融機関の開示は、行っている場合もあるし、なかなか行われていない場合もあるようでございました。

それから、デリバティブ取引自体のマーケットリスクにつきましては、これは前々回ご説明申し上げましたように、金商業等府令の第130条第1項第8号において、デリバティブリスクは純資産以内という規制がございますけれども、それを踏まえた協会の自主規制が内国籍投信のみに適用されるという扱いになっているようでございまして、海外投資信託でのデリバティブリスクというものを、うまく規制できていないのではないかという懸念があります。

それから、右下側、為替リスクのところでございます。外国債投信は外国債に投資するわけですから、外貨リスク、外貨の変動というリスクは投資家が引き受けているわけでございます。けれども、例えば通貨選択型になりますと、その外貨建て投資資産の為替変動、例えばドルを第三国の通貨、例えばレアルに対して固定するということでございますので、レアルと円との相場次第で損益が発生するという為替リスクを負っております。

ただ、これは通貨選択型投信であり、投資家がどの為替リスクを負うか判断するものでございますし、為替相場の情報というものはほかの個別の信用リスクに関する情報に比べれば、世上豊富にあるものかなとも思われます。また大幅な変動はあり得るものの、突発的不連続とまでは言えないのかなと考えられます。

ただ、為替リスクを投資家が評価できるような情報提供が販売の現場で行われたかと言うと、そこはまだ改善の余地があるのではないかと思われます。

以上が、新興国債券投資・通貨選択型の投資信託に内包されるリスクでございます。

参考資料1の2ページには、仕組債型、リンク債型の投資信託に内包されるリスクを整理いたしました。基本的には投資信託から特定の金融機関が発行した仕組債に対して投資が行われるものでございます。ただし、その仕組債の利払いのキャッシュフローが何らかの指数に連動したものであり、また、第三国通貨との収益率も加味されることで、通貨選択と同様の効果を持っていたり、さらにデリバティブ取引を行った場合と同様の効果も付加したキャッシュフローというものを復元したりといったような、そういう仕組債に投資するということでございます。

投資家は○○指数連動型ということで買っているつもりかもしれませんけれども、実は海外金融機関の信用リスクというものを、こういった投信は抱えているということでございます。

こういったものが、今の市場に流通している投資信託の実情かと思います。

資料17ページにお戻りいただきまして、こういった実情のもとで、先ほど総論でご指摘いただいているような事項をどう考えるかというものをご審議いただければと思っております。

個別の論点に移りますと、信用リスク分散のための投資制限、これに関しまして前回いろいろなご意見をいただきました。例えば、画一的な規制ではイノベーションを阻害する、かといって除外要件を詳細に定めると複雑になるし、抽象的な除外要件では規制の実効性を阻害する。こういうご指摘があったわけでございます。一律のルールで対応するとなると、こういった問題はどういった局面でも出てこようかと思います。必ずしもこういうことに戻ることがいいことだとは思っておりませんけれども、例えば平成10年の改正で届出に移行するまでは、個別約款承認制度ということで1つ1つのファンドが承認制度のもとにあったということでございます。

それから信用リスクのうちに、リターンの源泉として投資者が進んで受けるものと、リターンに貢献しないものを分けるべきだというご意見もあったかと思います。これに対して、ご参考でございますけれども、例えばリターンの源泉である信用リスクに対して、投資者が十分認識できるような情報提供が行われているかということも論点だと思います。また、情報提供が行われたからといって、それが果たして理解可能なものかどうか、個別の会社のリスクというものを投資家が認識できるかという問題もあろうかと思います。

また、ファンド・オブ・ファンズ形式が主流でございますので、実質的な運用者は海外業者を含め、多様化しております。その上で、信用リスクの定量的な管理レベルというものは、少なくとも約款とか目論見書を見る限りにおいては、さまざまな状況かなと思われます。

また、証券会社をはじめとした金融機関の自己勘定取引でも、個別の信用リスクに対してはアッパーを設けて管理しているといった状況でもあるかと思います。

それから、いただいた意見の中では、信用リスクの集中度を規制してしまうと、例えば日本国債を中心にしているMMFといったような安全な投資信託自体が規制に該当してしまうというご指摘もいただきました。ご参考でございますけれど、UCITSでは、こうした国債や政府機関債については例外の規定もございますし、あるいはバーゼル規制といったような銀行のリスク規制では、ソブリンリスクは国ごとに掛け目をかけて管理しているという状況でございます。

それからデリバティブにつきましては、店頭デリバティブ、業者間同士でやりとりし合うデリバティブと、市場で集中して取引するデリバティブ、これを分けるべきだというご意見がございました。UCITSではそのような取り扱いになっているようでございます。

資料18ページは、デリバティブ取引に起因するリスク量の規制に関して、いただいたご意見でございます。投資信託においてはヘッジ目的以外のデリバティブ取引を禁止すべきであるというご意見もいただきました。

一方で、海外に目を転じますと、ヘッジ目的以外のデリバティブの使用、これも必ずしも禁止されているわけではございませんで、一定の要件下で容認されている状況かと思います。

それから、投資信託において、デリバティブ取引についての使用目的を明確に開示すべきではないかというご意見をいただきました。これも調べてみますと、自主規制においてヘッジ目的以外でデリバティブを利用する場合、これは約款に投資態度を明確に記載するものと規定されているようでございます。

それから下段にありますその他のご意見でございますけれども、リスクの分野については、さらに専門家による検証・議論を経るべきではないかというご意見をいただいたかと記憶しております。

それから、金融システムの安定に主眼が置かれた規制手法と見受けられ、不測の損害を防ぐという投資者保護の観点が不足しているのではないかというご指摘もあったかと思います。

私どもとしては、不測の損害を防ぐという投資者保護の観点から、こういった規制を考えるべきではないかと提案しているつもりでございまして、ただ、その際のリスク量の捕捉のための手法として、銀行等が不測の損害を防ぐための自己資本比率規制、こういったもののリスクの捉え方というものを応用できるのではないかと考えているわけでございます。

資料19ページには、以上の議論、実態等を踏まえてご議論いただければと思っております、1つの考え方をまとめさせていただきました。金融のイノベーション、あるいは商品組成の自由度を尊重して、市場による競争を通じた適切な選択が行われることを期待すべきであって、直接的な規制を課すことは慎重であるべき、むしろ説明・開示の充実を進めるべきという考え方があるかと思います。基本的には、こういうことが考えられるべきだということだと思います。

例えばこの方向で考えるならば、先ほど申し上げた、リスクよりリターンを強調したような名称の見直しとか、発行体ごとの投資残高の開示、あるいはデリバティブの使用目的について、内国籍信託だけではなくて、外国籍信託にも求めるとか、それから為替リスクの説明を充実する、こういったことで説明・開示を充実していくという方向性が1つあろうかと思います。

ところで、投資信託は運用者に具体的な運用を託すという構造になっております。その場合、投資家は単にリターンをあげてもらうというだけではなくて、適切にリスクをコントロールしながら、それを実現してもらうことを期待しているというふうにも考えられます。そうした中でファンド・オブ・ファンズ形式の普及等によって実質的な運用者が非常に多様化してきておって、そのリスク管理の程度もさまざまとなっている、こういったことをどう考えるのか。

さらに言うと、1つの運用会社でも、非常に多数のファンドを抱えているということをどう考えるかという論点があろうかと思います。1つの考え方としては、突発的・不連続に発現する可能性があり予測しにくいリスク、信用リスクやデリバティブリスク、これについては説明・開示を充実させ、そのリスクの発現可能性を投資者に認識させるということが考えられますけれども、それで十分なのかということが検討課題かと思います。

例えば分散型、非分散型という形で類型化して、非分散型と銘打ったものについては信用リスクの集中を容認するということも考えられますけれども、そういった考え方をどのように受けとめるかということかと思います。むしろ発現し得るリスク量をあらかじめ軽減するような一定の枠組みの中で運用を託す仕組みを考えるというのも、1つの方向性かと思います。デリバティブ取引に関しましては、既にそういった観点からリスク量を純資産総額の範囲内とする規制を導入しているところでございます。

ただし、その算出方法が業者の裁量ということになっておりますので、これをある程度規格化するということが必要ではないかと考えておる次第でございます。

といたしまして、リスクについての説明・開示を強化しつつも、あわせて商品組成の自由度にも配慮して、下記を検討すべきかどうか、例えば信用リスクの分散、デリバティブリスク量の計算方法の一定程度の規格化、こうした規制を外国籍投資信託についても求めるということ、こういった大きな考え方について、そもそも進めるべきであるのか、ないのか、こういったことをご議論いただければと思います。

こういった方針をご議論いただいた上で、仮に商品内容に直接規制を掛けるべきだということになった場合でも、詳細については専門家、実務家による議論を経た上で制度化する必要があると考えております。

最後の項目、販売・勧誘時のリスクについての情報提供、これは資料21ページにまとめておりますけれども、上の段にありますように、基準価額の過去データをもとにして、1年保有時のリターンをいろいろなアセットクラスと比較するという情報提供をしてはどうかということをご議論いただきました。基本的には、総論のところに書いておりますように、法令レベルで規定するのではなくて、弾力性のあるソフトロー等の対応も念頭に置きつつ、過度に画一的とはせずに、各社の工夫の余地を残しながらも、他方でファンド間の相互比較が可能となるように、ある程度統一しておくべきということで、やり方はいろいろ今後検討すべき点はございますけれども、基本的にはご賛同いただいているものと考えております。

課題としましては、ご指摘いただいた意見のところに書いておりますようなテールリスクをどうするのか、あるいは運用期間が短いもの、運用がまだ開始されていないもの、そういったものについてどういうふうに見せていくのか、ほかのアセットクラスということで、そこをあまり操作可能な形にすると、かえって情報が混乱してしまうのではないか。また外国投資信託について、どのように義務づけを行うのか。こういった論点をご提示いただいたものと思っております。

まだそこについては詳細検討できておりませんけれども、右側には、例えばこういうことも考えられるかということで、論点を掲げさせていただいております。こういったことにつきましても、大きな方向性としてはご賛同いただいていると思いますので、今後実務的に提供する業界側、あるいはそれを受け取る側の投資者サイド、こういった方々と意見交換しながら、制度改正までに詳細を詰めていきたいと思っております。

事務局からの説明は以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、今の事務局からの説明を踏まえまして、皆様方にご審議をお願いしたいと思います。本日も大きく言うと3つの部分というか、パートに分かれていると言えると思いますので、それぞれパートごとでいきたいと思います。いずれも中間論点整理で、このワーキング・グループで引き続き秋以降検討事項とされているものでありますけれども、3つ目のテーマは前々回もご議論いただいた、その続きということになります。

1つ目のテーマが、トータルリターン把握のための定期的通知制度の導入、資料でいいますと3ページから7ページです。2つ目が、有価証券届出書及び有価証券報告書の提出、資料でいいますと8ページから15ページまで。そして3つ目が、前々回の続きということですけれど、複雑化・複合化するリスクへの対応ということで、資料でいいますと16ページから21ページまでと、参考資料の1と2、こういうことになります。

そこで、審議もこの3つそれぞれについて区切って行わせていただきたいと思います。そして、まずは委員の皆様方からご質問、ご意見等をいただきたいと思います。その後で、オブザーバーの皆様方にご発言の機会を設けさせていただきたいと思います。

それでは、まずトータルリターン把握のための定期的通知制度の導入、資料の3ページから7ページまで。この方向性については5、6、7になろうかと思いますけれども、委員の皆様方からご質問、ご意見をいただければと思います。どなたからでもお願いいたします。

永沢委員、お願いします。

○永沢委員

時間も限られていますので、簡単に質問させていただきたいと思います。意見と、それから1つ質問です。

まず、このトータルリターン通知制度といいますのは、もともとは一般の投資家にトータルリターンでリターンをはかるということの重要性を認識・理解してもらうことが出発点だったと思います。したがって、全体に全国一律に何か足並みをそろえてというようなことで、実施がおくれるよりも、できることからまずやっていっていただく必要があると思います。

また、特に私が個人投資家として心配しておりますのは、直販という部隊が、これに対応できるのだろうかという点です。(直販を行っている独立系の投信会社は)まだあまり財政基盤ができておらず、そういうところに、このような義務を課してしまうと、逆に育つものが育たなくなってしまうようなこともないかということが一番懸念されるところでございます。

ですので、投資家といたしましては、計算方法だけは統一していただかなくてはいけないと思っております。比較できないと困りますので。その点以外は、できるところから、なるべく早くにお願いしたいと思います。業界、関係者で協力していただいて、できることからやり、また自主的な取り組みはどんどん積極的にお願いするということでよろしいのではないかと考えます。

それから、1つ質問なのですけれども、実はある方から次のような質問を受けました。あるファンドを持っている。A販売会社で買ったのだけれど、B販売会社に移した。このときにトータルリターン通知制度は対応できますかという質問です。こういう実務的な質問には、今お返事いただかなくて結構ですが、どうも対応できていないみたいだよという指摘をその方からいただいたものですから、実際に制度として導入するには、いろいろな事態を想定して考えなくてはいけないことがまだまだ多いようだという印象を持ちました。以上でございます。

○神田座長

ありがとうございました。

○横尾企画官

私どもも、そういったご意見を業界のほうから伺わせていただいております。投資信託を、その管理を、例えば1つの販売会社に集中するといったようなこと、これは手続上できるわけなのですけれども、そういったときにトータルリターンのデータまで引き継ぐということは、なかなか難しいのではないかというご意見をいただいております。

他方、投資家の方がご判断されて移すということであるならば、一旦そこで自分のトータルリターンを区切って、A販売会社でのトータルリターンはこういう成績であった、それでB販売会社に移した後どうなるというふうに、主体的に移管するというご判断をされるわけですから、そこは投資家サイドとしても、何でも金融機関任せということではなくて、自分での対応というものも必要かと思います。

○神田座長

ありがとうございました。

よろしゅうございますでしょうか。ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、石黒委員、上柳委員で、石黒委員から。

○石黒委員

ありがとうございます。

5ページのマル1マル2マル3とか、あるいは6ページの注記のところ、こういったご配慮を含めた上で、ユーザーが求めるユーザーフレンドリーな情報を提供しようということでございますので、総論、基本的な方針について賛成でございますし、また具体化に関しては、7ページの末尾のような形でやっていくという結論部分についても賛成でございます。

簡単ですけれども、そのように思っています。

○神田座長

ありがとうございました。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

基本的な方向性として、穏当なところではないかと思います。スピード感であるとか、あるいは具体的な中身については、充実を図っていただきたいと思います。質問というか確認というか、6ページの上の計算方法のところですけれども、基本的な計算式はこのとおりと思いますけれども、いわゆる実現益の部分と、評価益の部分とは、少なくとも知りたいと思えばわかるような形になるのでしょうね。

もちろん、合計額を示していただくことはありがたいですけれども、その内訳の開示は必須ではないかと思いました。

それから、注の2つ目のポツの括弧の中に書いてあるところ、評価金額とは基準価額なのか解約価額なのか。この2つに乖離があるのではないかと思います。私も今裁判で和解交渉中なのですけれども、ずっと基準価額で話をしておって、いざ実行しようということで解約やりますと、1割までいきませんけれど、相当差があって、また話をし直しているようなこともあったりするので明示する必要があると思います。

○神田座長

ありがとうございました。

それでは河野委員、それから清水委員。

○河野委員

中間論点整理の中身については賛成なのですが、今もお話が出ましたが、できるところからやろうというお話と、じっくり整理が必要というのとで、では、要はどれぐらいの期間(に)どれぐらい進むのでしょうかという時間軸のイメージが(、)1年なのですか、もう少しなのですかというのが、どうしてもちょっと聞きたくなりました。すみません、教えてください。

○横尾企画官

そこは今から業者の方々と意見交換を進めるところでございますけれども、基本的に私どもが抱いています印象は、販売会社の中でも、銀行系の販売会社におかれては、充実度合いはいろいろあるかと思いますけれども、こういった取り組みを始められているところが多いように感じております。そうした取り組みは一層ソフィスティケーテッドしながら進めていただければと思います。そうでない金融機関におかれましても、対応するとなりますと、システムの整備でございますとか、またその規模、タイミング等によってさまざまであると思いますけれども、先ほど永沢委員からもご指摘いただきましたように、統一ルールの完全な整備を待つことなく、できるところはやっていただくということが必要かなと思っています。

具体的に1年なり2年のタームでどこまでいけるというのは、今つまびらかに申し上げられませんけれども、銀行系の販売会社をはじめ、やっているところは結構やっているので、その取り組みを一層ほかにも広めていきたいと思っております。

○神田座長

ありがとうございます。

それでは、清水委員、それから島田委員の順で。清水委員。

○清水委員

私も前半で述べた意見と同じなのですが、トータルリターンのコンセプトについては賛成で、投資家の立場からすると、毎月分配されているファンドが多い中で、投資家が通期で利益を上げているのか否かが、今非常にわかりにくいからです。

実際、本日配られた参考資料の2の1ページ、2ページ、3ページを見ても、売れ筋のものはほぼ全て毎月分配になっているという現実もありますので、やはり投資家の方がほんとうにもうかっているかどうか理解するためには、こちらの開示が必要なのだなと思っております。

ただ、金融機関等の販売会社の方の事情を聞いてみると、現実的には顧客レポートを根本的に変更したり、データをそろえるのには時間がかかるというお話ですので、具体的、実務的な検討は自主機関に任せるのがいいと考えています。

それから、基本的なこと以外の追加の情報については、投資家にどこまでわかりやすい情報を出すかということについては、顧客サービスの各機関の競争になるのではないかと思っていますので、必ずしも法令等で規制する内容ではないのではないかと考えています。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、島田委員どうぞ。

○島田委員

私もトータルリターンの開示については非常に賛成で、特に公募の外国投資信託も含むとしていただいたところでは、大変いいことだと思っております。

質問なのですけれども、7ページに、過去のどの時点までさかのぼってという記載があると思うのですけれども、トータルリターンは、やはり自分が今までやってきたことの集大成でございますので、例えば3年やればいいとか、5年やればいいというふうに決めてしまうのではなくて、できない場合には、それでも最低これだけしましょうというような形で、できる限り同じ金融機関で取引しているものについては、さかのぼれるだけさかのぼることを原則にしていただけたらいいと思います。

それからもう1つ、通知方法でホームページの顧客専用画面での表示というのが3番目にございますけれども、これにつきましては、ネット証券などの頻繁にこうした取引をしていらっしゃるお客様の場合には、これで構わないと思いますが、そうではなくて、店頭などでお取引をしている方たちに対しても、これ援用しますと、おそらくほとんどの方がパスワードを忘れてしまうとか、見るのが面倒くさいということで、一番見なければいけない方たちが見ないという状況が起きることが危惧されますので、この辺は慎重にご議論いただけたらと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。

どうぞ、村木委員。

○村木委員

具体的な通知事項等を実務的に検討するというようにありますが、その際に留意をしていただければという点で、2点申し上げたいと思います。

4ページに中間論点整理についてまとめてありますが、この中で、適切な投資判断のための環境を整える観点から、この制度を導入すると書かれていますので、そういう点では単純な結果としてのトータルリターンだけではなく、トータルリターンに影響を及ぼした要素についても、投資家が適切な投資判断を今後していくための重要情報として開示をすることができないかということです。

2点目は、4ページの中段以下のところですが、負担額についても受益者が把握できるような取り組みが重要であるというように中間論点整理では書かれておりますので、このリターンに影響を及ぼす要素の1つとして、手数料についても投資家が判断をできるような情報開示ができればいいのではないかと思っております。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。大体よろしいでしょうか。

非常に貴重なご指摘いただきまして、資料に書いてある線を、本日いただいたご指摘を加える形で先へ進めそうな感じがしているのですけれども。ほかに、この1つ目のテーマについて、よろしゅうございますでしょうか。

それでは、まだあと2つテーマがあるので、先へ進ませていただきます。また、もし後でお気づきの点があれば、また後で出していただいてもと思います。

2番目のテーマは、有価証券届出書及び有価証券報告書の提出ということでありまして、資料は8ページから15ページです。今後ということで、ご意見をいただきたいのは10ページ以降になりますけれども、先ほどご説明がありましたように、図で言えば12ページA案です。それか、あるいは14ページB案。どちらのほうがよろしいでしょうかというのが1つあります。

さらに、関連する具体的な留意点等含めての検討の方向性は、A案につきましては11ページに、B案につきましては13ページにあるということであります。方向性、留意点自体は10ページ以降にということになります。

すみません、私、オブザーバーの皆様方に意見の機会を設けるのを忘れてしまいまして、大変申しわけありません。トータルリターン把握という第1の柱について、もしオブザーバーの方々からご意見があれば出していただきます。

証券業協会、どうぞ。

○日本証券業協会(相澤オブザーバー)

これまで日証協においては、ワーキング・グループを設置してトータルリターンの問題について議論してまいりました。本日、事務局説明資料で示された内容につきましては、このワーキング・グループで議論してきた内容におおむね沿うものであると理解しております。ありがとうございました。

トータルリターンの通知の実施に当たりまして、最も留意しなければいけない点といいますのは、資料の5ページにありましたように、やはり全ての販売会社が対応可能な設計にならなければいけないと考えております。実際には、これは先ほどもご説明にもありましたけれども、販売会社は規模の違いとか、投資信託だけを扱っている会社だとか、あとはインターネットだけの会社とか、いろいろと多岐にわたっています。

さらに、トータルリターンに近いものを既に通知している会社と、全くやられていない会社とございますので、やはり準備期間や費用が異なってまいりますので、そのような観点から2点ほど要望させていただきます。1つは、対象の商品、対象範囲です。こちらにつきましては、今回のトータルリターンの論議というのは、やはり毎月分配型投信の累積損益が把握しにくいという問題意識からスタートしていると思いますので、制度の開始段階では、とりあえず毎月分配型投信を対象とした通知をする、ということも検討していただければと思います。

2点目は通知方法なのですが、やはりこれも全ての販売会社が対応可能という観点でいきますと、こちらも資料の中の注意書きに記載されております、投資家からの個別照会に対する回答による対応、こういった形も制度開始の段階では認めていただきたい。もちろんこのような対応ができるということは、お客様には周知徹底していきたいと思っております。

以上でございます。

○神田座長

ありがとうございました。

投信協会、どうぞ。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

ありがとうございます。投信協会です。トータルリターン通知制度は、投資家にとって大変意義がある制度だと考えております。運用会社が直接販売する場合についても、当然この制度の対象となると認識しております。

先ほど永沢委員からお話がありましたけれども、直接販売を行う、いわゆる独立系の運用会社の経営資源の状況や、また今後運用会社を立ち上げて直接販売を行うという社が出てくることを考えますと、投資家からの個別照会に対する回答による対応、注書きにありますけれども、これも含めて、過度の負担とならないような対応を認めていただくようお願いしたいと考えております。

以上です。ありがとうございました。

○神田座長

ありがとうございました。

銀行協会、どうぞ。

○全国銀行協会(松田オブザーバー)

全国銀行協会です。販売会社の立場から一言申し上げます。

販売会社の、先ほど事情をご考慮いただいた検討ということで、ありがとうございます。その中で一、二点、繰り返しになりますけれども、追加でお願いと申しますか、各販売会社、金融機関はそれぞれデータの持ち方が非常にばらばらです。永沢先生からも、例えば計算方法だけでも統一してほしいというお話もありましたけれども、実はデータの持ち方によっては計算方法を統一することで、またかなり負担がかかるというケースも出てくることも考えられますので、そういった実務のところも、ぜひ打ち合わせをさせていただいて、実現可能性のあるような形で進めていただければと。

また、対象の商品につきましても、いろいろな形で縛り過ぎると、またそれを縛るためのシステム開発であるとか、データ方針、こういったものの、やらなくてはいけないことも出てくるかと思いますので、そういったところにつきましても、現状をよく私どものほうでも相談させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにオブザーバーの方々、よろしゅうございますでしょうか。

司会の不手際をおわびいたします。

以上で第1の柱を一応終わりまして、先ほどポイントをお話ししてしまいましたが、第2の項目であります有価証券届出書と有価証券報告書の提出について、委員の皆様方から、まずご質問、ご意見をいただきたいと思います。どなたからでも、どの点でも結構でございます。いかがでしょうか。

それでは、井潟委員、上柳委員の順で、井潟委員どうぞ。

○井潟委員

ありがとうございます。12ページと14ページを比較しますと、どうしてもやはり14ページの、有価証券報告書に証券情報を記載して、事実上1本化して「みなし有価証券届出書」とするB案のほうが、非常にわかりやすいというか、実務的にも非常に受け入れやすいのではないのか、という印象を受けました。13ページに、留意点あるいは課題が記載されていますが、是非、この方向性で検討できる余地を見出していただければと考えております。

○神田座長

どうもありがとうございました。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

A案とB案が出ておりまして、いずれにしても実質が変わらないのであれば、よろしいのではないかと言うと、せっかく検討されたというか、ご苦労がわかっていないということかもわかりません。みなし有価証券届出書という概念が法制的になじむのかどうかというのが、多分大論点なのだろうと思うんですけれども、実質的に発行される方、あるいは開示される方々の手間がどう違うのか、もし違いがあるのであれば教えていただきたい。というのと、それから私の今の話とちょっと矛盾しているようですが、実質が同じであれば、あまり従来の体系を変えないA案でよいのではないかと保守的に考えたりもするんですが、それは感想です。

それからもう1つは、投資者の側からの実質が変化するのか、しないのかという観点で、11ページのA案でいえば最後の留意点の部分、請求目論見書の内容が簡素になることで、当事者にトータルで伝わる情報の量が変わるのか、変わらないのか。変わらないという確認がいただければ、もちろんいいんですけれども。それから、目論見書の記載であるとか、そのほかの開示書類の記載にそれぞれ民事責任がついておりまして、それの実質も何か影響があることになるのでしょうか。これはご質問です。よろしくお願いします。

○栗田企業開示課長

企業開示課長の栗田でございます。

今、幾つかご質問をいただきましたけれども、まずA案とB案で手間はどうなるのかということで、これはおそらく、手間という観点から言えば、B案のほうが手間はかからないだろうと思います。A案であると、やはり届出書は毎年出していただく必要があるということになりますので、その分手間はかかるだろうなということでございます。

それから、A案の場合に請求目論見書の内容がどうなるのかということで、ご承知のように参照方式にしてしまいますと、ここを参照せよと書いてあるだけなので、請求目論見書をもらっても中身が書いていないということになって、ここはちょっとA案を採用する場合に1つ考えないといけないと考えております。今までは有価証券届出書の記載事項と目論見書の記載事項を法律でリンクさせてしまっているので、こういうことになるんですが、法律で一旦そこを切って、請求目論見書で渡す段階になれば、ちゃんと、もとのように記載して出してくださいということにするかどうかという論点は、出てくるかと思います。もしそれをしない場合であれば、請求目論見書は今までと変わったものになると思います。

それから民事責任に関する影響ですけれども、基本的にどのような方法をとるにしても、我々の今の発想は、民事責任には影響を与えないように工夫するという前提で考えています。

○神田座長

よろしいでしょうか。

それでは、石黒委員、どうぞ。

○石黒委員

まず届出書のA、Bですけれども、A案については特に異論はございません。供給側とユーザー側ということで、多分つくるほうの供給側のコストとか手間の削減には、そんなに寄与しないような気がいたしますけれども、むしろユーザーである投資家がごらんになるときに、現在すごく重複があって、どこを読めばいいのかという点について、理解が少ししやすくなるのかなという感じがしております。そういう意味で、この周知性要件を適切に設けた上で行うA案であれば、異論がないと思っております。

そして請求目論見書のところも、もちろん今、栗田さんからお話があったように、企業内容等開示のガイドラインの5-32とか、ああいう形の手当てで請求目論見書には詳しく書かせる、書けるようにする、というやり方もあるのかもしれませんけれども、ただ周知性があることを前提として、参照方式を認めるということから言うと、理屈から言うと別に目論見書が簡素でもいいのではないかという感じもしますが、それはいずれでもいいのかなという感じがしております。

それから13ページの留意点のところで、B案に関して訂正の場合にどう取り扱うべきかという論点が出てございますけれども、A案についてもそれに似たような論点は検討しておかなくていいのかなと、ちょっと思っております。A案の場合は参照して取り込むので、半期報告書、臨時報告書等の継続開示書類に訂正が出た場合には、取り込まれていくということで問題ないのかと思うのですが、有価証券報告書について対象期間に関する開示をした後で、後発的に発生した事象については、有価証券報告書の訂正報告書は出しませんので、その部分、例えば海外投信の場合に、海外の目論見書でリスク要因が追加されたとか、手数料等が変わったとかいう場合において、訂正報告書が出ません。したがって参照によって取り込まれません。臨時報告書の提出事由になっていれば、参照の対象に入ってくるんですけれども、そうではない部分・場合をどう考えるか、ちょっと検討したほうがよくはなかろうかという感じがいたしました。

B案につきましては、法制上の問題は多分あるんだろうと思うんですけれども、特に問題は見当たらないと思います。他方、実務的にどのぐらいニーズがあるのか私は感覚がよくわからなくて、あとは多分、届出書ではないものが新たに出現することになるのだと思いますので、EDINETのシステム変更などのあたりの、コストに見合うだけのメリットがあるのか。特にA案というものがほぼ等価値であるとすれば、等価値の代替案があるときにB案をあえて採用する必要があるのか、ちょっとよくわからないところがあります。

それから有価証券報告書の代替書面ですけれども、これもせっかくお考えいただいたところで申しわけないんですが、どのくらい負担の軽減につながるのかが、実感としてよくわからないなと感じております。例えば複数ファンドをやっている場合で、複数ファンドについて代替書面を使えることのメリットはあるのかなとは思いますけれども、ほかにいろいろと活用できる場面は、どうもそんなになさそうな気がいたしまして、そうするとそれほど負担軽減とかにはならない。むしろ新たな書類を作成して公表しなければいけないという義務が生じるという意味で、軽減と増加のバランスがどうなのかというあたりは、ちょっとよくわからないところでございます。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、小沼委員、それから清水委員、そして永沢委員の順で、お願いいたします。小沼委員。

○小沼委員

ありがとうございます。

A案、B案の件は、いずれにしてもこういう方向で検討していくのはいいことだと思いますし、法制度上の許容が留意点であるということですが、B案のみなしというところまで行けるのであれば、その方向をさらに考えていくのはいいのではないかと思います。

今、石黒委員からお話がありました、有価証券報告書の報告書代替書面の点でございますけれども、10ページにも利用例が乏しいという表現がございますが、多分何か理由があるのだろうと思います。この辺はよく理解していないのですが、制度的にはここの適用をするためには、個別事象を1件1件、行政当局の承認をいただいて、それで適用していくという仕組みになっていて、その作業とか手間を考えると、どうせあるものなので、つけてしまえばそういうことを考えなくて済むので、使われていないとも考えられるかもしれません。

そういうことも踏まえて、今回例えばこちらをある程度、協会の規則まで広げて適用していくときに、枠組みがそこでご提供されていれば個々の承認作業は不要とすることにされるのか、それとも一応、枠組みは枠組みだけれども、やはり1件1件そういう作業が残っていくのかとか、そういった運用の実効性、実際の運用の局面での作業なども踏まえて、利用されるように検討していくという考え方もあるのかと思います。

また委託会社の財務状況などは、その書面の範囲になっていると思うのですが、ファンドと委託会社という関係で、ファンド自身は基本的には信託財産が法的に分別管理されている中で、どこまで委託会社の情報を、どの範囲に限って、詳細度合いも含めて限定していくのかどうか、場合によっては内容面での見直しの機会にもなるのかもしれないと思いまして、その点、コメントをさせていただきます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

それでは、清水委員、永沢委員の順で、清水委員、どうぞ。

○清水委員

現在、投信法上の運用報告書に加えて、金商法上の目論見書・届出書、有価証券報告書を半年に一度、あるいは1年に一度作成していまして、有価証券報告書についてはあまり利用されていないのではないかと思っているのですが、利用者の便益に比べて作成者の負担が大きいと考えています。したがって、届出書と有価証券報告書の効率化を図るということで、組み込み方式または参照方式、あるいは「みなし」方式について、導入することについては賛成です。

それからピンクで示されている委託会社の状況等についてですが、委託会社について会計監査はやったほうがいいと思っていますが、こちらについて、別建てにしても、これは運用会社の情報ですので、毎回ファンドの状況を入れている、ファンドの有価証券報告書と別建てにして一括して開示するという、今回の事務局の提案には、私は賛成です。

最後に、前回の議論では却下されていますが、運用報告書と有価証券報告書について、有価証券報告書の利用されている状況も鑑みまして、ファンドの財務情報等についてなるべく統一したフォーム、情報で開示されることが望ましいのではないかと考えています。

以上です。

○神田座長

ありがとうございました。

永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

ありがとうございます。

2点ほどございます。1つ目は質問でございますけれども、9ページの下の対応のところの最後から2段目に、一般投資家にも理解しやすい開示とする必要がないかという記述に関して、いろいろとご説明いただいたのですが、どういう点が理解しやすくなるのかを端的に教えていただきたい。おそらく重複がなくなるとかそういうことだとは思いますが、ほかにあるのかどうか。この点が1点目でございます。

それから、代替書面について、私は法制度のことはよくわかりませんが、これによって、委託会社の情報を、一般投資家が利用しやすいような環境が整備されるというふうに、私は理解いたしましたので、これはとても評価できると考えます。

先ほど、ほかの委員から委託会社情報が必要なのかというお話がありましたけれども、委託会社情報は投資判断に必要不可欠です。委託会社の状況は時間とともに変わっており、最近では、経営上の理由からファンドの移管や委託会社の合併等いろいろなことが起きているわけです。受益者はそういうことを突然知らされることも多いのです。気づいたらそうなっていて驚いたという報告が、私の耳にも何件か入ってきておりまして、一般の投資家の間で問題になっています。一般の投資家が、日ごろ接することができる媒体を通じて委託会社に関する情報を知る機会を保証されることが必要だと思っておりました。代替書面制度の導入によって委託会社のホームページ上で委託会社に財務状況等の基本情報の開示が義務づけられるならば、一般の投資家はこうした情報にアクセスしやすくなるわけで、この代替書面制度を私は高く評価したいと思っております。12ページの点線の赤括弧のところは大変いいことだと思いますので、是非実現していただきたいと思います。

以上でございます。

○神田座長

ありがとうございます。質問があったと思います。

○栗田企業開示課長

どこが投資家にとって理解しやすくなるのかという点でございますけれども、まさに今ご指摘がありましたように、こういう投資になれている方はよくわかっておられると思いますが、いろいろな資料が来て、一体どれとどれが同じで、どれが違って、どれを見ればいいのかということが、少しでも簡素化すればわかりやすくなるのではないかと考えております。

○永沢委員

ありがとうございました。

○神田座長

それから後のほうでおっしゃった、委託会社の情報ですけれども、言うまでもなく、委託会社の情報の提供をやめようという話ではなくて、情報の重複をなくそうということですね。

○永沢委員

委託会社にホームページ上で財務状況等の公表を義務づけるということは、一般の投資家がこれらの情報にアクセスしやすくなるということを意味しているわけですよね。

○神田座長

そういうことでいいのではないかと思います。

○永沢委員

この制度の目的ではないにしても、一般の投資家が委託会社情報を得やすくなるという効果は期待できると考えてよろしいですね。

○神田座長

そう考えていただいてよろしいと思います。

○永沢委員

ぜひお願いしたいと思います。

○神田座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。委員の皆様方、このテーマについて。

それでは、オブザーバーの皆様方、もしご意見等があれば。投信協会、どうぞ。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

ありがとうございます。投資信託協会です。

いろいろとご検討いただきまして、ありがとうございます。有価証券届出書の見直しについては、お示しいただいたA案、B案のうち、B案のみなし有価証券届出書制度案が我々業界としては妥当であると考えております。これはA案と比較して、開示書類における情報の重複をなくして、投資家から見てわかりやすいという点からすぐれていると考えておりまして、この案を推進していただきたいと考えております。

あと有価証券報告書の見直しについては、先ほどから議論がありますけれども、報告書代替書面制度の利用が挙げられていますが、これについては、今回は委託会社情報に限定しておりますが、今後、委託会社情報に限定せず、今後広くその他の事項についても活用できる枠組みが望ましいと考えております。

また将来的な課題になるかと思いますけれども、委託会社情報については、全てのファンドの有価証券報告書、有価証券届出書に現状、記載しているんですけれども、全てに記載するのではなく、例えば委託会社のホームページで、監査証明付きの財務情報を含めて必要な情報を開示するということで足りるといった方式についても、検討していただければどうかと考えております。

なお今回のワーキングでの検討とちょっと離れてしまいますけれども、今後、投信法上の開示、すなわち運用報告書、それと金商法上の開示、今議論になっております有価証券報告書の関係の整理を含めて、投資信託に即した発行開示、継続開示とするための取り組みが必要ではないかという認識を、共有させていただければ幸いと考えております。

ありがとうございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにオブザーバーの方々、ご意見はございますか。特によろしいでしょうか。

そうしますと、これはもうちょっと方向をいただかないと。そろそろ年末も近づいているものですから。おそらく報告書にありました代替書面という考え方は、大体資料の線に沿って進めて、永沢委員をはじめ、幾つかご注意いただきましたが、そういうことかなと。それから、おっしゃるように制度論としては運用報告書との調整という話はあるわけですけれども、それは本日のテーマではございませんので、本日のテーマとしては、報告書の代替書面はそういう方向で進めていただくかなと。

問題は届出書のA案、B案ですけれども、これはどうでしょうか。私が事務局の資料を拝見した感じでは、中間論点整理の趣旨から言うと、A案はとにかく試してみて、行ければB案まで行ければという、小沼委員がおっしゃったことが考え方の趣旨かなとは思ったのですが、そういうことでよろしいのか。あるいは行けたらB案というところについては、ちょっと抵抗があるというご意見の委員の方々がいらっしゃるのか。あまり実質の問題というか中身の情報の問題ではないとは思うのですけれどもね。

もし委員の皆様方から強いご意見がさらにないようであれば、行ければB案という、資料もそういう感じだと思いますけれども、そういう方向で本日種々ご指摘いただいた点に注意しながら先に進ませていただくことにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

ありがとうございます。もしさらにお気づきの点があれば、もちろんお出しいただければと思います。

もう1つ、本日の3番目、前々回の続きというのでしょうか、いわゆるリスクへの対応というのがありまして、資料でいいますと、16ページから21ページと参考資料1、参考資料2であります。これまでのご意見等も含めて17ページ、18ページ、そして19ページに基本的な考え方があります。それから、もう1つは若干違う販売勧誘時のリスク等について、21ページですが、この部分につきまして、前々回はご意見が分かれたというか、多様なご指摘をいただいたので、もう少し本日は集約させていただければ、いずれ年末に向けて取りまとめをお願いしなければいけませんので、ご意見をさらにいただければ、大変ありがたいということでございます。

まず委員の皆様方からご質問、ご意見をお出しいただければと思います。どなたからでもお願いいたします。いかがでしょうか。

どうぞ、村木委員。

○村木委員

ありがとうございます。

まず信用リスクの規制に関しましてですが、これも幾つか細分化できるのかと思うのですが、まず単一の発行体への集中に関しては、基本的にはリターンを上げるために絶対必要なものではないのだろうと思っています。魅力的な銘柄が1銘柄しか存在しないという場合にはそうなのかもしれないですが、そういう認識をしております。

2点目に、デリバティブのカウンターパーティーに対する集中リスクは、現状、1社に集中しているケースが多いとすれば、おそらく事務的なコスト等のメリットが一定は存在するからではないかと思っています。ただカウンターパーティーの名称であったり、格付などが十分開示をされていないということであれば、それは改善の可能性があるのではないかと思います。

この1点目と2点目に共通して、金融機関のリスク管理上は、例えば単一銘柄への投資上限を設定したり、カウンターパーティーに対する集中を抑制するための社内での規制は、通常持っております。リターンに大きく影響するものでないのであれば、1つの考え方としては、海外であるような一定のリミット制限は選択肢になり得るのかなと考えています。

基本的にはあまり商品そのものに対する規制は抵抗あるのですけれども、商品性が大きく損なわれず、リスクをある程度、必要のないリスクを抑制できるのであれば検討することは可能なのかと思います。実際には、金融危機で明らかになったように、分散を効かせてもあまりリスクの削減効果が得られないという状況もあります。あるいはこれを実務的に検討していく中で、単一のソブリンですとか、ソブリンに準じるような、従来リスクがないので集中リスクをとっても問題ないと考えられていた主体を、どのように位置づけるかということを考えていくと、非常に難しい、細部にわたって難しい問題がでてくるのではないかという感想を持ちました。

あと3つ目は、少し性格は異なると思うのですが、具体的な投信の商品性をご紹介いただいた中で、投資不適格債の比率が非常に高い商品という具体例がありましたが、これは商品性そのものなので、開示で対応すべき問題ではないかと思っています。その点では、ハイイールドという、リターン側を強調したような名称がどうなのかという問題もあるかと思いますが、投資不適格の債券の比率を一定にとどめるという規制自体は、必要ないのではないかと思っております。

○神田座長

どうもありがとうございました。

どうぞ、お隣の永沢委員。

○永沢委員

はい。19ページと参考資料の1に関して、意見を述べさせていただきたいと思います。

まず情報開示、説明の充実で対応すべきというところは異論はございません。今回、リスクよりリターンを強調したような名称がたくさん見られることについて、当局からもご問題意識をお示しいただいたことは、大変意味のあることではないかと思いますし、この点については、業界を挙げて検討をいただく必要があると思っております。

しかし、私は、情報開示や説明の充実だけでは問題解決は難しいとも思っております。投資家は当然にリスクを適切にコントロールしながら目指すリターンを実現していただくことを委託会社に期待しているのでありまして、この文章の文尾の「か」は不要でございます。ここで言及されているインデックスファンドにおいても、連動しないリスクの管理をされていると思いますので、あらゆるファンドにおいてリスク管理は行われているし、行うことが当然に投資家から期待されていると私は考えております。

昨今、大変複雑なファンドが増えておりますが、リーマンショックをはじめいろいろなことが急に起きたりしたときに、「不測の事態でした」と言われることが多かった。私たちには、委託会社にそれを言われてしまっては困るという思いがあります。一般の投資家は委託会社にリスク管理をお願いしているのではないでしょうか。しかし、非常に複雑なファンドの場合には、「うまくやります」と目論見書に曖昧に書いてあり、運用報告書でも、それがファンド・オブ・ファンズであったりすると、何がどうなったのか分かりやすく説明されていないのです。サブファンドに関しては細かく何をどうしたと書いてあるものもあるのですが、全体としてどのようにリスクを管理しているか、リスクをどう把握しているかということは説明されてはおらず、数字(リスク管理に関する定量的なデータ)も示されていないものが多いように思います。しかし実際に何か起きたときには「不測の事態が起きてしまいました」という展開になるわけで、やはり複雑なファンドに関しては一定の規制の枠組みを設ける必要があると思います。

本日配布されました資料の中の参考資料2で、ファンド・オブ・ファンズについて言及をいただいておりますが、ファンド・オブ・ファンズが非常に多いことについても、いかがなものか。今後議論していく必要があるのではないかと思います。必要性があって、こんなにファンド・オブ・ファンズにしているのでしょうか。参考資料1の最後の課題のところに、ファンド・オブ・ファンズに関する問題の指摘をしていただいておりますが、適切かつ妥当な指摘だと思います。運用報告書の見直しも俎上にのぼっておりますが、運用報告書での開示が十分にできないのであれば、ファンド・オブ・ファンズの利用は制限すべきと思いますし、ファンド・オブ・ファンズという形態を採用した以上は全体として今どうなっているんだという数字を委託会社は当然把握しているべきではないかと思います。「決算期が違うから全体でどうなっているということはかけません」というのはおかしな話して、○○サブファンドに何%、××サブファンドに何%、△△サブファンドに何%というような開示では、全体としてリスクがどうなっているのかを投資家は全く知ることができません。そういう開示では不十分だということでして、運用報告書でそれができないなら、やはりファンド・オブ・ファンズの利用について規制ということもあっていいのではないかと思っています。

それから、下から2つ目の一定の枠組みの仕組みに関しては、なかなか難しいところではありますけれども、購入できる人を経験や知識等によって分けることも必要だと思います。また下から3つ目、ちょっと飛んでしまいましたが、突発的・不連続に発現する可能性があるというところで、分散型、非分散型と類型化することには賛成です。この分類を目論見書の表紙で明示し、投資家が選択するときに、きちんと認識できるよう周知徹底できるようにする必要があると思います。

それから最後のデリバティブ取引に起因するリスク量について、一定程度規格化とするという点には賛成ですが、加えて、これは公表されなければ全く意味がないので、規格化した上で、運用報告書等で公表されて、投資家に知らされるような仕組みが作られなければ、マーケットによる監視やコントロールは期待できないのではないかとも感じております。

以上でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

清水委員、どうぞ。

○清水委員

有価証券の信用リスクに対する分散、及びデリバティブの信用リスク、カウンターパーティーリスクの分散については、一定の規制を導入することについては賛成です。ただ事務局案に書いてありますように、17ページ、18ページに挙げられているような諸問題を考慮に入れつつ、実務上の細則等については自主規制の枠組みの中で規定していくべきと思っております。

もう1つ、デリバティブのリスク量は、主としてマーケットリスクの制限になると思いますが、こちらは現在のところ協会のルールで規定されているということでございますが、18ページの下に、「デリバティブの評価損が純資産価額を超えることのないように」というのが現在の規定で、こちらは「100億円のファンドで100億円損が出るまで」という非常に大きな規定ですので、こちらにつきましては、商品性を損なわないような規定にしてほしいという意見も多いと思いますが、一般的な投資家に販売するファンドについては事務局から提案があった方法等を検討したほうがいいと思います。デリバティブでリスクをとっていくようなファンドもあると思いますが、(2.5倍とか3倍になっているようなものもあると思いますが)、そちらについては、そういったデリバティブでリスクをとっているファンドである旨の開示等を分けてしていく方法も、考えられるのではないかと思っております。

それから、外国投信及びファンド・オブ・ファンズの問題ですが、今日配付された参考資料2のページ1、2、3を見ますと、1つ私は誤解があるのではないかと思うんですが、ファミリーファンドもファンド・オブ・ファンズに入れていますが、日本の投信のマザー、ベビーでやっているものにつきましては、国内の投信の規制で対応できますので、海外のファンド・オブ・ファンズ等とは種類は違うと思いますので、この三角を除いて見たほうがいいと思います。証券会社は種類が多くて、銀行が次に多くて、地方銀行は比較的少ないと資料から読み取れると思いますが、数多くの商品が出ているのも事実だと思っています。

19ページにご提案として、日本と同等の規制を適用していくべきではないかということがあるんですが、私的な意見としては、日本と同等あるいはより厳しい規制があるUCITS等の商品につきましては、そこに日本の規制をさらに追加で適用させるのは実務的ではないと考えます。十分な規制が実施されている国につきましては比較検討した上でそれを認めるという方法をとり、あまりルールがないような国でつくられた場合については、日本の規制を適用するような考え方もあるのではないかと思っています。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

お隣の島田委員、それから小沼委員の順番で、島田委員からお願いします。

○島田委員

1つ目は、18ページにあります、デリバティブの使用目的は投信協会の規則できちんと明確に記載しているというお話ですけれども、清水委員がおっしゃったのと全く同様の意見でございまして、非常に大ざっぱに明確に書いてあるだけなので、投資家が知りたいのはそういうことではなくて、実際に損失が出るとしたら最大どの程度か、異常事態が起きたときにどんなことが起きるのかということなので、この辺、この場所ではなくても結構ですが、リスク開示の部分でしっかり、こんなことが起きそうですよ、起きることもありますよということがわかるように開示をしていただきたい。もう1つは、金商法の適合性の原則をもう少し厳格に運用していただくことも、商品の売れ筋を見ていますと、高齢者が非常に多いはずの投信保有の中で、比較的リスクの高いものも売れ筋商品として上位にかなり並んでいるようにも拝見しますので、その辺も含めて考えていただければと思います。

それから、この議論の中では、国内の投資信託に組み込む場合を含めて外国籍投資信託にということなので、直接販売される外国籍投信についてはどうなのかということを、そもそも除外している議論のようにも拝見いたします。それは外国籍投信を国内に持ち込んで販売をする場合には、国内にはない新しいサービスを提供できるといった有利さもあるかとは思いますが、近年の傾向を見ていますと、外国で非常に成績を上げているおもしろい投資信託を持ち込んでいるというよりは、むしろ日本で販売するために改めて外国でつくられ組成されている投資信託を、日本で外国籍投信として売っていたり、あるいは国内投資信託に組み込まれているといったケースが非常に多くなっているように感じます。そうした場合であるとすれば、あえて国内籍の投資信託と分けてルールを考えることの合理性があまりないのではないかとも思いますので、もう少し外国籍の投資信託についても、基本は一緒というところからお話をいただいたほうが、投資家としては全然区別をされずに売られるわけですので、もともとの考え方を少し広げていただけたら、ありがたいなと思います。

○神田座長

どうもありがとうございました。

最後の点は基本は一緒と書いてあるように、私も思ったのですけれども。19ページの5つ目のポツの一番下の資料ですね。

○横尾企画官

島田委員からご指摘がありましたように、外国籍投資信託については、それがダイレクトに持ち込まれる場合と、それから日本の投資信託に一回組み込まれて国内で販売される場合とを区別することなく、日本の投資信託と同様の規制を課すべきであろう、レベル・プレイング・フィールドをそろえるべきであろうと思っております。

○神田座長

よろしゅうございますか。

それでは小沼委員、それから石黒委員の順で、小沼委員、どうぞ。

○小沼委員

ありがとうございます。

2点ございまして、まず1点目は19ページの前半でございます。後半の記述にありますとおり、リスク量の規制の導入に関しては、なかなか複雑な問題もあると思いますので、詳細に少し区分をして議論して制度化ということなのだろうと感じております。その上のほうで、ご指摘があるとおり、指標連動の商品などで運用の裁量のないような商品もあるということでございますが、きっとこういった整理をしていく中では、運用会社の裁量がほとんどないのであれば、ただそれをきちんとやられているかモニタリングするだけでいいのではないかというような商品群もあるでしょうし、運用の裁量がある程度ある部分について、最終的に具体的なリスクのコントロールの方法なども制限していくようなものも出てきてしまうのかもしれません。その辺の軽重みたいなものを見ていくということかと思いました。

2点目は、幾つかの箇所に出て、今、島田委員からもご指摘のあった外国籍の投資信託でございますが、外国籍の投資信託を日本で公募する場合は、基本的には先ほどの前のパートの開示のところ、有価証券報告書のところも含めて、できるだけイコールフッティング、レベル感を合わせてという趣旨かと思いますので、このリスクのところもその前提で議論をしていただいていると思いまして、それが重要なことだと思っておりますが、実際には、海外の上場投資信託について、相当規模、数の日本の投資家が、海外マーケットで実際に証券業者の組織的なオーダールートで購入していることもございまして、これが公募にある程度匹敵するような存在感のある保有分布になるような場合も、趣旨としては公募と似たような形、レベルに合わせていくということを考えていく必要もあるのではないかと考えている次第でございます。

以上、2点でございます。

○神田座長

ありがとうございました。

では石黒委員、どうぞ。

○石黒委員

運用財産の内容に関する規制につきましては、おまとめいただいていますように、開示の充実とセットで考えるというアプローチをしていただいておりまして、基本は開示でカバーできるところについては開示の充実をやる。それでもなおというところについて一定の規制を入れるということで、方向性として今までさまざまな論点が出ましたので、そういった論点をすべて留意していただいた上で、19ページの一番下に書いてあるような形でお進めいただくということについて、私も賛成いたします。

ただ、今、外国投信の話がいろいろと出ているんですけれども、現在こういった運用規制を入れようという議論をここでしているわけですが、既に運用規制を入れている外国の国、法域がございまして、それが今現在では日本よりある意味で進んでいるわけですが、そういった一定の合理的な規制の枠組みに服してやっている外国の既存のものについて、今度新たに日本で導入する規制を機械的、硬直的にダブルでかけることについて、どれだけ合理性があるのかということについて、私は大きな疑問を持っております。

先ほどのように日本向けに日本主導でつくったファンドも多数ございますけれども、既に海外で設定されて売られているものを持ってくるケースももちろんあるわけでございまして、それはもう全て持ち込んではいけないのかという話になりかねず、そういった効果を及ぼすようなところまでの規制をすることは、私は合理的だとは思いませんので、そういったケースについては柔軟な対応が可能となるように、合理的な一定程度の余地を残していただきたいと、要望いたします。もちろんその場合には、規制の内容が違いますという開示をきっちりとする、投資家が間違えないようにするということが、セットになってくるのは当然だと思いますけれども、そのように考えます。

外国投信については、この部分だけではなくいろいろなところで、どこまで日本の規制を完全に適用するか、実態においてきちんとしなければいけない、実質的なイコールフッティングということは多分異論がないだろうと思いますが、機械的、硬直的な適用について、場面場面では、そこにある程度柔軟な余地を残すことも配慮したほうが適切な場合があるのではないかということも、全般的に思っております。

それから開示の後半の(2)でございますけれども、こういった開示の充実とか方法の変更については、基本的に投資家にとって有意義なことだと思いますので、その際に実務的な対応の可能性とか、コストにも当然留意が必要なわけでありますが、特にコストは投資家に結局はね返ってまいりますので、そういう留意をした上でこういった開示の充実、それから方法の変更をやっていくことについては、賛成でございます。プラス、その具体的なところについては、実務者における詳細検討でソフトロー対応するというご提案と理解いたしましたが、それも適切であろうと思います。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

上柳委員、どうぞ。

○上柳委員

信用リスクの分散については、基本5%を原則に定量的な枠組みを整備すべきだと思います。もちろんこれは例外の部分があって、それをどのようにするのか、投資信託の名前から明らかなものであればよいのか、あるいは説明資料に提案されていますように、非分散型という表示をすればよいのかというあたりは悩むところですけれども、いずれにしても投資信託は、基本は分散投資を零細な投資者も含めてできるようにというためのツールであるという基本線を明確にすべきだと思います。

デリバティブの問題については、ヘッジ目的以外のデリバティブ取引を禁止すべきだという理屈はなかなか通らないと、説明資料では書かれているんですけれども、やはりその問題意識はぜひ生かしていただきたいと思います。少なくとも各運用者がデリバティブについてのリスクを適正に評価して、かつそれを投資者にわかりやすいように示すことは、外国籍投資信託も含めて必要なことだと思います。そういう意味で19ページの、結論としては、最後の中抜きの四角に書いてある3つは大事なポイントだろうと思います。

さらにつけ加えて言えば、その実施方法ですが、詳細あるいは具体的なところは、各社あるいは業界にお任せしないとなかなか難しいというのはわかるんですが、ただ、やはりこの精神をきちんと示すためには、投資信託法にということになるんだと思いますが、善管注意義務なり受託者責任の、もちろん今でも現行法でも決まっているわけですが、それの一定の具体化ということで、信用リスクについて十分な配慮をするとか、あるいは特にデリバティブの使用については適正なものとするということでは、ちょっと抽象的条項過ぎるかもしれませんが、基本の姿勢を示して、それによって自主規制の機関がきちんと活動されるような基盤を与えること、あるいは当局の監督指針なり検査の基準にも根拠を与えるようなものを、きちんと明記すべきなのではないかと思います。

以上です。

○神田座長

どうもありがとうございました。

井潟委員、どうぞ。

○井潟委員

ありがとうございます。

19ページにつきましては、基本的な考え方、論点が非常にわかりやすくきちんと整理されている意味で重要だと認識しております。したがって一番下にございますが、専門家・実務家による議論には大きく期待したいと思います。特に、今、永沢委員や上柳委員からもございました、分散型と非分散型を類型化するという、非分散型のカテゴリーを設けたりする考え方、アプローチというのですか、これも商品開発の柔軟性を維持しつつ、投資家にとっても販売会社にとっても営業担当者にとってもわかりやすいアプローチという点では、非常に有意義なもの、興味深いものだと思っております。そういう意味では、専門家・実務家の方々に、ぜひ非分散型のようなカテゴリーを設けるアプローチと、細かく除外あるいは例外規定といったものを列挙していくアプローチとの、比較検討、デメリット、メリットの具体的な比較検討なども提示していただくと、ありがたいと思った次第でございます。

○神田座長

どうもありがとうございました。

どうぞ、永沢委員。

○永沢委員

私、大事な点を申し上げ忘れておりました。

先ほど、上柳先生がお話しされたので思い出しましたが、神田先生が最初に何を原則、例外とするかというところが重要だというお話をおっしゃったと記憶しております。

最近、これから投資を始めようとする方に配られているガイドブックや、投信協会が作成されて冊子等を調べてみたところ、そこには分散投資という言葉があちらこちらに書いてあるんです。一般の国民に対して投資信託というものは分散投資をするための器であるということを、長い時間をかけて浸透させてきているわけでして、その事実を考えますと、原則はやはり分散型であると思います。先ほど分散型と非分散型を類型化すれば非分散型も容認していいというような意見を申し上げましたが、目論見書に表示が必要ということを申しましたが、まずその大前提として、分散型のほうが原則であって、例外として非分散型も認める、ただしやはりこれはきちっと開示してほしいという趣旨で申し上げたのだということをつけ加えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかの委員の皆様方からのご意見はいかがでしょうか。どうぞ、田島委員、お願いします。

○田島委員

多くの皆様方がご発言くださいましたので、私は重複することは申し上げませんけれども、19ページにおまとめいただきました内容に賛成いたします。最後の3点についての規制、必要最小限という条件つきではございますが、このような規制を検討していただくことに賛成いたします。

○神田座長

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それではオブザーバーの皆様、いかがでしょうか。投信協会、どうぞ。

○投資信託協会(城川オブザーバー)

ありがとうございます。投資信託協会です。

運用財産の内容についての制限の問題を考えるに当たっては、1つは投資家保護、もう1つは商品組成の自由度の確保による投資家への多様な投資機会の提供、この2つの要素を両立させる枠組みが必要ではないかと考えています。その解決の枠組みとして、先ほどから何人かの委員の先生方からお話がありましたけれども、米国で導入されているような分散型と非分散型の2つのカテゴリーを認める考え方も、解決策としてあるのではないかと考えております。

ただ、非分散型はむやみに何でもできるということではなくて、事務局よりご提示がありました、例えばデリバティブのリスク量に係る計算法の規格化とか、信用リスクのうちリターンの源泉とならないカウンターパーティーリスクにかかわる分散規制については、リスク管理の面から、当然ながら分散型、非分散型によらず適用されるというのが妥当と考えております。

これに対してリターンの源泉となる発行体リスクについては、一律の分散規制が適用される分散型と、一律の分散規制を設けずに、商品性格に応じてファンドごとに定めることができる非分散型を認めることがあると考えております。この場合、非分散型において商品の目論見書などにその商品分類を書くだけではなくて、当然ながら目論見書の中に特段のリスクの開示等を行うということは、必要であると考えております。

あと非分散型のカテゴリーを設けるほうが、前々回のワーキングのときに事務局から紹介がありました、規制を一律設けて、その適用除外をいろいろ設けていくという案に比べ、投資家の視点から見た場合、わかりやすさというメリットもあると考えております。また、金融イノベーションを阻害することもなく、諸外国と比べた日本の投資信託市場の競争力を確保することにも、非分散型を認めておくことは必要ではないかと考えております。したがいまして、ぜひこのような枠組みの検討をお願いしたいと考えております。

ありがとうございます。

○神田座長

ありがとうございました。

ほかにオブザーバーの方々、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

そうしますと、この3つ目の論点について、本日の議論をある程度集約できるかということですけれども、基本的には事務局の資料の19ページに書かれている考え方で、専門、技術的なご議論はなかなかこのワーキングではやりにくいものですから、ここに書いてあるとおり、今後さらにしかるべき場でご議論をいただく必要があるとは思いますが、おそらく基本の考え方は、何人かの委員の方から、そして最後に田島委員からもいただきましたが、説明と開示を充実することは当然求められることですが、それで十分とはやはり言えない場合があり得るということで、そうなるとリスクの直接規制という言葉がいいかどうかわかりませんが、そういうことが現在、制度上ありませんので、昔の約款が個別承認制であり運用会社が免許制であった時代から180度方針を転換して以降は、ありません。それで、その後、デリバティブとかイノベーションとかが出てきて、今日があるわけですから、おそらく制度上、そういうリスクの規制が可能な制度にするということではないかと思います。

その具体的な内容は、おっしゃるように分散型、非分散型という類型をする、そのほか、19ページでいえば一番下の3つの白抜きがありますが、さらにそれを具体化するためには、このワーキングでは、これならいいけれどもこれは過剰規制だとか、これは商品性を阻害するとかいう、そうした各論まで議論を詰めるのはなかなか難しいと思いますので、基本的なフィロソフィーのところで、19ページに書いてあるような線でいいのではないかなという印象を、私は受けまして、ちょっとほっとしたりしているのですが、いかがでしょうか。もちろん、本日ご指摘いただいたご意見はそれに加えさせていただくということでありますけれども。よろしゅうございますか。

大体うなずいていただいているように、こちら側から見えましたので、それではさらに本日いただきましたご指摘を事務局でよく整理していただいて、19ページの線に従って進めさせていただきます。

なお、販売勧誘時についての話が21ページにあるのですけれども、本来は話全体から見れば非常に重要な話ですけれども、今回のワーキングのトピックから言えば、こちらの話のほうが若干ウエートが落ちる話だと思いますので、本来から言えば重要な話だと思いますが、特段ご指摘がなければ、21ページにまとめていただいているようなことを今後の検討事項として、先へ進ませていただきたいと思います。

私の司会の不手際もありまして、大変申しわけありませんが、予定の時間を超過しておりますので、そろそろ本日はこのあたりとさせていただきたいと思います。

なお、本日のテーマはいずれも今後の投資信託にとって大変重要な点でございますので、本日のご発言のほかにも、皆様方、さらにご意見等お気づきになりましたら、恐縮ですけれども事務局までお寄せいただきますようお願いいたします。

それでは、最後に事務局から次回の日程の連絡等をお願いいたします。

○横尾企画官

次回は11月9日、午後1時半からの開催を予定しております。次回は、投資信託及び投資法人全般に関しまして、中間論点整理で事務局検討事項とされた論点をテーマとして、ご報告させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○神田座長

それでは、以上で散会いたします。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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