金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第9回)議事要旨

1.日時:

平成24年9月26日(水曜日)14時00分~16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3.議題:

  • 1.開会

  • 2.事務局説明

  • 3.自由討議

  • 4.閉会

4.議事内容:

  • 事務局からの説明の後、討議が行われた。

  • 討議における主な意見は以下のとおり。

(販売・勧誘時等におけるリスク等についての情報提供の充実)

  • 投資リスクの目論見書への記載に関して、法令で大枠を定め、投信協会規則、場合によってはガイドラインのようなもので具体化するという枠組みは維持すべき。あまり細かいところまで法令でつくり込んでしまうと、変えにくいものとなってしまう上、厳格な解釈が要求されてしまい、非常に杓子定規な運用になる。意味のあるものをつくる努力をかえって阻害してしまう。
  • 運用期間が短い投資信託につき、トラックレコードをベンチマークなどで代替することについて、賛成しかねる。データがないこともリスクを知るための重要な情報の1つであり、無理にベンチマークで代替するのはいかがなものか。また、ベンチマークがない場合にどうするのかも疑問。
  • 比較ができるはずの投資信託を、横並びで比較できるようにルールを決めることは非常に重要。
  • ボラティリティの段階表示やボラティリティの値自体の表示では、なかなか具体的なリスクの量がわかりにくい。この点、参考資料1のような形で騰落率のレンジを示すことにより、リスクが具体的な形でわかりやすく、望ましい。
  • 5年間まとめての騰落率のレンジを示すと、金融危機等の影響が5年間残ることになる。このため、例えば5年間を5本に分け、年毎の騰落率のレンジを示す形にすれば、そういった問題を多少は解決できるのではないか。また、リスク自体が変動し得るものであるということを投資家も認識できるようになるのではないか。
  • 欧州のリスク開示の取り組みについては、様々な問題があるようなので、欧州における適用の情勢を鑑みた上で、導入方法、時期等を考えるのがよい。
  • 投資リスクの記載方法につき、結論を1つに絞らないほうがいい。他の代表的なアセットクラスとの比較にしても、どういうものをベンチマークとして持ってくるかにより印象を大いに操作可能だが、明らかに誤った方向に誘導しようとする開示が行われた場合には、虚偽開示の問題になるので別途対処可能。あまり神経質に決める必要はないのではないか。
  • (他方、)自由度を高くした場合、都合のよい開示がなされるおそれがある。

(運用財産の内容についての制限)

  • 商品組成の自由度を過度に制限することのないよう、適用除外を規定する必要がないか、制度実施までに実務的に検討することは非常に大事。他方、適用除外が多くなり過ぎて複雑化すると、投資家にとって非常にわかりにくい。適用除外のあり方の検討については、実務的に容易ではない部分もあるのではないか。
  • 運用財産の内容についての制限に係る提案全体について違和感がある。ワーキング・グループ前半においては、運用財産の内容についての制限を積極的にしようという議論ではなかった。
  • 運用財産の内容についての制限が、日本国債に非常に偏重した公社債投信やMMF、MRFを規制するという趣旨だとすると、規制を入れることの必要性が理解できない。
  • 運用財産の内容についての制限を導入すべき。分散投資というのは、人間が歴史から学んだ知恵。また、欧米で導入されている規制であれば、基本的に日本でも導入すべき。むしろ、なぜ現在の日本は欧米よりも規制が緩いのか、その理由の方が必要。
  • 公社債投信やMMF、MRFにとどまらず、仕組み投信などは信用リスクが集中しており、運用財産の内容についての制限の対象とすべき。
  • 事務局案では、発行体の名称を投資信託の名称において明確に記載することにより規制対象から除外するとしているが、発行体が1つに限らない場合もあるので、除外の仕方は考えるべき。
  • 運用会社が異なるファンド・オブ・ファンズについても同様に規制するのが理想だが、実施する場合の実効性や実現可能性等を考慮する必要。
  • デリバティブ取引に起因するリスク量の計算に関して、証券会社における標準法を使った場合に、中長期の投資信託のポートフォリオの規制としてそのまま適用できるのかどうか、検討すべき。
  • 信用リスクの集中回避のための投資制限に関して、実務上、最終的に清算機関に対して全カウンターパーティーリスクを負うというケースもある。こういった例ははっきり区分けをして考えるべき。
  • カウンターパーティーが1社に限られていても、そこに担保などが適切に積まれていて、実際のエクスポージャーが基準以下となっているようなものは、UCITSにおいても認められていたのではないか。
  • デリバティブ取引に起因するリスク量の規制に関して、厳し過ぎると新たな商品を作りにくくなるケースも出てくるのではないか。そういった、商品作りの規制をしていく点については、専門的に十分検証して、厳し過ぎることにならないように進めるべき。
  • 事務局案には信用リスクの集中回避のための具体的な水準が提示してあるが、審議会として具体的な水準を提示するのであれば、合理的な根拠を議論しておく、あるいはそれを含めて提示することが必要。
  • ワーキング・グループ前半においては、資産内容の規制、あるいは商品組成の規制は、導入するとしても例外的に導入するのであって、過度の規制になってはいけないということだったはず。やはり、立法事実、必要性をはっきりとさせた上で、その必要性に応じた、過度でない規制は何なのかを議論するのが基本なのではないか。
  • 投資者保護や消費者保護の観点から言うと、適合性原則や説明責任という観点だけでは不十分。不測の損害を防ぐという観点から、事務局案とも別の議論が必要。
  • 投信協会だけではなく、専門の運用者の意見を知る機会を得たい。
  • 信用リスクの集中回避のための投資制限を法令で定める場合、よほど注意しないと思わぬ結果を招くのではないか。

(運用報告書記載事項等の見直し)

  • 縦覧運用報告書と交付運用報告書に分けることが前提とされているが、仮に、内容的に充実している縦覧運用報告書のアクセスビリティーが悪くなってしまうと、交付運用報告書が薄くなる分、情報開示の量なり質が落ちることになる。この点、縦覧運用報告書についても十分な議論が必要。

以上

お問い合わせ先

金融庁 Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課(内線3621)

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