金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」(第12回)議事要旨
1.日時:
平成24年11月9日(金曜日)13時30分~15時30分
2.場所:
中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室
3.議題:
1.開会
2.事務局説明
3.自由討議
4.閉会
4.議事内容:
○事務局からの説明の後、討議が行われた。
○討議における主な意見は以下のとおり。
【投資信託制度】
(書面決議を要する約款変更範囲の見直し)
- 事務局説明資料4ページ、書面決議を要しない実質的な約款変更に係る列挙(~)は、あくまでも「例示」であるべき。実務的見地から検討し、これら以外にもあれば、適宜追加すべき。
(書面決議を要する併合手続の見直し)
- 併合の前後で「商品としての基本的な性格」に変更がないという判断の妥当性につき、受益者以外の誰かがチェックをする仕組みが必要。投資家としては監視の目が欲しい。
- 書面決議を要する併合手続の見直しの目的は、現在非常に本数が多い投資信託の併合を促がすことだったはず。要件をあまり厳しくすると、現実には併合が行われないのではないかと危惧。
- 書面決議を要する併合手続の見直し後も投資信託の本数が減らないようであれば、次のステップとして、小規模ファンドの償還に向けた方策を考えていく必要があるのではないか。
(受益者数要件の撤廃)
- 受益者数要件の撤廃を行った結果、例えば、あるファンドをどうしても繰上償還させたい販売会社が、当該ファンドの買占めを行って一時的に大口受益者となり、強制的に繰上償還を行うということがないようにして欲しい。
(その他の施策)
- 最近は投資信託の繰上償還の事例が多く、信託期間を見越して手数料を支払った受益者の利益を損ねているのではないか。また、ファンドの併合や移管がいろいろ行われているが、その理由に合理性を見出せないという投資家の不満が聞かれる。
- 現状受益者の請求権は限られている。一定人数の受益者が集まった場合には、受益者集会を開くことができるようにするといった手当てが必要ではないか。
- 信託型の仕組みにおいて、受益者自らが全てのモニタリングを行うのは本来の趣旨に反する上、実質的にも不可能。他方で、モニタリング機能を受益者以外のどこに持たせるかは、いずれにしてもコストがかかる話だが、充実させなければならない。
- 信託型に重い仕組みをつけていくべきではない。信託型、会社型という区別ではなく、オープンエンド型なのかクローズドエンド型なのかというところで区別すべき。オープンエンド型は、基本的にいつでも純資産価値で解約、償還が受けられるので、投資家が不測の損害をこうむることは極めて考えにくい。
【投資法人制度】
(海外不動産取得促進のための過半議決権保有制限の見直し)
- J-REITが海外不動産を取得する場合に限定しなくてもよいのではないか。色々な場合に使えるような制度にしておくことが非常に大事。
- 海外の実例を見ると、複層化にも正当なニーズがある。形式的な複層化自体を否定せず、フレキシビリティーを残しておく必要がある。
- 海外SPCが投資法人への配当を留保することを禁止しているが、機械的に配当を行うことが、必ずしも投資家の利益にならないケースもあるのではないか。
- 過半議決権保有制限の対象外とする「実質的に投資法人が海外不動産を取得するのと同視できるような場合」の具体的要件については、柔軟性を持たせるよう、ソフトローで対応しても良いのではないか。
- 投信法の過半議決権保有制限の趣旨は、事業支配を制限すること。投信法上の要件を、税法を考慮しながら定めるのには違和感がある。
- 基本的に、投資信託における複層化、多層化は避けるべき。海外不動産取得促進のための過半議決権保有制限の見直しは、業界からの強い要望、必要性があり、例外的に認めるという認識。業界からの要望がない規制緩和をする必要はない。
- J-REITの構造は単純なほうが明快。確実に運用資産を管理、コントロールできる仕組みが担保されていることが、商品の安全性という面で重要。
(投資主総会開催日の2か月前公告規制)
- 会社法上、株式会社においても特に公告規制のようなものはなく、基準日公告で足りるとされている。定期投資主総会に限らず、2か月前公告規制は一切廃止したほうがよい。
- 臨時投資主総会も念頭に入れた対応を進めるべき。
以上
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