金融審議会「投資運用等に関するワーキング・グループ」(第5回) 議事録

  • 1.日時:

    平成26年12月16日(火曜日)9時30分~10時35分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 金融庁共用第一特別会議室

【神田座長】

おはようございます。定刻になりましたので、始めさせていただきます。「投資運用等に関するワーキング・グループ」、本日は第5回目の会合となります。皆様方には、いつも大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

それでは、早速ですけれども、本日の議事に移らせていただきます。本日でございますけれども、前回に引き続きましてプロ向けファンドをめぐる論点の整理をしていただくための議論をお願いしたいと思います。お手元には、前回のワーキング・グループでの議論を踏まえ、前回の資料に加筆、修正等を行ったものを配付しております。前回のご議論を踏まえますと、本日はお手元の討議資料のうちで、これから説明いたしますけれども、2.を中心に皆様方にご議論をしていただければ大変ありがたく思います。

それでは、まず事務局から資料の説明をお願いいたします。

【田原市場課長】

おはようございます。それでは、資料のご説明をさせていただきたいと思います。お手元「討議資料」と書いております資料に沿いまして、ご説明を差し上げます。先ほど、座長のほうからお話ありましたように、本日は2.を中心にご議論いただくということでございます。

1ページおめくりいただきまして目次がございますけれども、1.いわゆる「プロ向けファンド」を巡る状況につきましては、これまでの議論でおおよそ意見は一致していると考えますので、説明は省略させていただきます。前回のものより、語尾をやや変えているというところでございます。

2.適格機関投資家等特例業務制度のあり方について、4ページのほうにお移りいただきまして、まず(1)適格機関投資家等特例業務の届出者についてですけれども、届出者に対しましては以下のような措置を検討することが適当ではないかということで、拒否要件・欠格事由など一定の人的要件を設けること。届出書の記載事項及び添付書類につきまして拡充を図ること。また、米国の例も参考にしつつ、届出書等の内容の一部や、説明書類を公表することについて、ご議論いただければと考えております。

次のページ、(2)出資を行います適格機関投資家の位置付けでございますが、こちらにつきましては適格機関投資家等特例業務が基本的に適格機関投資家を対象とすることから、金融イノベーションを阻害しないよう簡素な規制とされた。ただし、金融商品取引法制定時に、基本的に適格機関投資家が出資者となるファンドでありましても、当該ファンドと関係の深い一般投資家、例えばファンド運営会社の役員等も出資している場合があるとの実態を踏まえて、そうした者が少人数に限られる場合においては、プロ向けファンドとして簡素な規制とされたものと考えられる、という経緯について記載させていただいております。

マル2のほうでございますけれども、直接関係の深い一般投資家、こういう投資家の方と、必ずしもそういう方でない方も投資していることにつきましては、適格機関投資家の出資を行いまして、自己のために当該ファンドに関与することで、ファンドの運用状況の適正性がある程度確保されることによって、一般投資家も反射的に保護されることが期待されたのではないか、ということが理由付けとして考えられたのではないかということですが、ここで「反射的に」というのは、適格機関投資家の方が一般投資家に対して責任を負うものではないという意味で反射的と書いているものでございます。

1ページおめくりいただきまして、6ページでございます。現在、適格機関投資家に問題が多いという被害の実態に鑑みますと、適格機関投資家の範囲や要件について、以下のような措置を検討することが適当ではないかということでございます。特に問題が認められるのは投資事業有限責任組合でございますので、出資者として実態を伴わない投資事業有限責任組合を排除するために、この適格機関投資家等特例業務制度におきまして適格機関投資家として認められる投資事業有限責任組合に対しましては、株式会社や法人に係る資産要件とのバランスも踏まえながら資産要件、例えば純資産5億円以上を設けることが有効ではないかということでございます。

また、適格機関投資家等特例業務を行います運用者が支配する適格機関投資家のみが適格機関投資家として投資を行う場合には、特例業務としては認めないということが適当ではないかということです。

このほか、適格機関投資家の方からの出資額又は出資割合が一定の水準以上であることを求めるべきというような議論もございましたけれども、この点につきましては、ベンチャー・ファンドの組成の仕方がさまざまであるということを考えますと、円滑な組成・運用に影響があるということにも留意していく必要があるのではないか、と書かせていただいております。

1ページ目おめくりいただきまして、届出者に対する行為規制についてでございます。ここにつきましても、これまでの議論で特に大きな違いはなく、ほぼ意見は一致しているのではないかということでございますので、簡潔にご説明させていただきます。マル1につきましては、一般の金融商品取引業者と同様の行為規制を適当性に応じて課していくことが必要ではないかということ。マル2につきましては、その中でも特定投資家につきましては、できるだけ自由な取引を阻害しないという観点から外していく。特定投資家から出資を受ける場合には、金商法の他の規定に倣いまして、義務を課さないこととするのが適当ではないかということ。

1ページおめくりいただきまして、適格機関投資家等特例業務に関し、業務の性質やリスクの高さなど、そういう説明を義務づけること。それから、事業報告書作成、当局への提出、帳簿作成・保存を届出者にも義務づけるということでございます。

9ページの(4)問題のある届出者への対応につきましても、ほぼ異論がないところかと思いますので、こちらにつきましては説明は省略をさせていただきたいと思います。

10ページでございます。これまで一番議論が多かった適格機関投資家等特例業務の出資者の方の範囲ということでございますが、これまで(1)から(5)までの措置と考え合わせましたときに、適格機関投資家等特例業務の出資者の範囲につきまして、どのように考えるかということでございます。本来、この制度自体はプロ向けの制度ということでございますが、一方でファンドと関係の深い一般投資家の方も出資されているというプロ向けファンドの実態等を踏まえますと、具体的には下に記載しておりますけれども、投資判断能力を有する一定の投資家の方、それから特例業者と密接に関連する方に投資対象の方を限定することが適当ではないかということでございます。参考資料のほうにございますけれども、5月のパブリック・コメント案をベースにしまして、以下のような修正を加えることについてどう考えるかということでございます。

マル1は、前回、株式会社につきまして、純資産5,000万円以上ということで議論をいただいたと思いますが、その際、株式会社のみならず法人も加えるべきではないかというご議論もあったことを踏まえて、このような記載とさせていただいております。

マル2は、適格機関投資家等特例業務の届出書者と密接に関連される方、実際にファンドを運営される方と密接に関連を有する方ということで、以下のような方を含めることについてどのように考えるかということでございます。

マル3は、以上に加えましてベンチャー・ファンドにつきましては、成長資金を供給するという役割があることに鑑みまして、また米国などにおいても別途の取り扱いがなされている例があるということを踏まえまして、これまでも議論がありましたように、ガバナンスの強化ですとか、ファンドの契約書類を提出する、それから総会開催や決算情報の投資家への開示を義務づける。特にプロ以外から出資を受けるファンドの財務諸表に関しましては、財務諸表の公認会計士・監査法人による会計監査の実施、それから公認会計士名等の公表などを義務付ける。こういった相応の体制が整備されることを前提といたしまして、以下のような者を追加的に出資者の範囲に加えることについて、どのように考えるかということでございます。

11ページのほうに移っていただきまして、まず上場会社等の役員・元役員、ファンドの業務執行組合員・元業務執行組合員等ということでございます。

2つ目は、有価証券報告書や有価証券届出書に大株主として記載されるような個人、法人ということでございます。

3つ目は、公認会計士、弁護士、いわゆる士業の方々ということでございます。こちらにつきましては、議論の中で一律はどうかというご意見もございましたので、こういった資格に加えまして、例えば税務、金融、企業財務に詳しい方を認定するという形になっております経済産業省の制度、経営革新等支援機関の認定を受けている方も含めるということも考えられると考えております。

4つ目は、会社の役員、従業員、コンサルタントなどとして新規事業、ベンチャー的な業務の立ち上げにかかわった方、それから経営戦略の作成、企業財務、投資業務などのプロとしてかかわった方、こういった方が投資できるようにすることが必要ではないか、ということも議論いただいたということでございます。

それから、これまで述べたような方、あるいは夏のパブリックコメントでお諮りをしたような方々が出資される方が支配する会社、そういう方と同じと認められる者も含めてよいのではないかということでございます。

こういう方々からの出資額又は割合を一定水準以下にすべき、あるいは逆の言い方をしますと、適格機関投資家と、夏にパブリックコメントをしたような、かなりプロに近い方の出資割を半分以上にするという議論もこれまで行われました。こちらについてどうしていくかということにつきましては、ベンチャー・ファンドの円滑な組成とか、運用に影響があるということに留意しながら考えていくことではないか、と付記させていただいているところでございます。

それから、この場合のベンチャー・ファンドの定義でございます。マル4のところでございますけれども、米国や欧州の例も参考にしながら、以下のようなものとすることが適当ではないかということで、議論いただければと思っております。非上場企業への株式投資等が8割以上であること。原則として、レバレッジがないこと。原則として、途中償還がないこと。ベンチャー・ファンドとしての投資戦略をとっていることを明確に説明していること等でございます。

最後、マル5でございます。これらの点との関係で、届出制より厳しい登録制となっておりますプロ向けの投資運用業の出資者の範囲等につきましても、必要な検討を行っていくことが必要ではないかということについて議論いただければと思います。

1ページおめくりいただきまして、3.ということになりますけれども、そのほかの論点でございます。前回、池田委員からご指摘をいただきましたが、エンジェル・ファンド、この場合は地域ファンド、いわゆる旦那ファンドというものでございました。こういったものは、地方におけるファンドによる成長資金の円滑な供給の観点からも重要なものと考えられるわけでございますけれども、実際に出資されている方のお話をお伺いしますと、これまでに述べてきたような案でございますれば、大体プロ向けファンド制度の中で対応することが可能と考えられるのではないかということでございます。

もう一つ、これも前回ご紹介いたしました、一般の個人投資家の方から広く出資を募りまして、太陽光発電等の事業を収益目的で行うファンドでございます。こちらにつきましては、やはり一般的な個人の方からお金を集めるということを考えますと、投資家の保護を適切に図っていくという観点からは、金融商品取引法における一般的な登録制、例えば第2種金融商品取引業や、先般、法制度が整備されました投資型のクラウドファンディングの制度等の下で事業を行うことが考えられるというのがこれまでの議論ではなかったかということで、こういう形で整理をさせていただいて、本日の議論の一助になればということで作成をさせていただいたものでございます。

このうち、本日は2.につきましてご議論を頂戴できればと考えております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、これから皆様方にご審議をお願いしたいと思いますけれども、今、田原課長からご指摘いただきましたように、お手元の資料の2.です。具体的に言いますと、4ページから11ページですね。この点を中心にご議論を願いたいと思います。

それで、この部分を2つのパートというか、2つの部分に分けてご意見をお出しいただきたいと思います。まず、2.の(1)から(4)、4ページから9ページまでについてご意見、ご審議をいただいた後、(5)、最後にご説明がありました出資者の範囲についてご意見を伺う。そして、一番最後に、全体というか、それ以外についてのご意見を伺うという順番にさせていただきたいと思います。

それでは、最初に、2.のうちの(1)から(4)、4ページから9ページまでにつきまして、ご質問、ご意見、どなたからでも、よろしくお願いいたします。

大崎委員、お願いします。

【大崎委員】

すみません、どなたも手を挙げられないので、ちょっとまたずうずうしく発言させていただきます。

これまでのいろいろな議論を踏まえて、かつ、いろいろな方の意見を聞かれて、こういうように整理をしていただいたというのは、よく理解できるところであります。おそらくベンチャーキャピタルビジネスを現実にやっておられる方々が、引き続き、従来とそれほど変わらない形でビジネスを続けていくということについて、こういった内容であれば非常に助けになると申しますか、今までのビジネスを大幅に変えないといけないとか、やめなければいけないということが起きずに進んでいくような内容なのかなと思っております。

ちょっと1点、お願いでございますが、6ページのところに、「適格機関投資家からの出資額又は出資割合が一定水準以上であることを求めるべきとの指摘があることについては、ベンチャー・ファンドの円滑な組成・運用に影響があることも留意していく必要がある」という文章がございまして、要はそういった一律の規制はすべきではないというニュアンスで書いていただいております。

私は、この書き方に異を唱えるものでは全くないのですけれども、他方で5ページにございますように、もともと適格機関投資家が出資をするということの趣旨については、ファンドに関与する、あるいはファンドに関与することでファンドの運用の適正性が確保されるという、言ってみればリーディングインベスターとして責任を果たすという趣旨が本来あったはずであります。また、この審議の過程でも、参考人の方から、投資事業有限責任組合の形をとるベンチャー・ファンドというのはまさに共同事業だ、単なる投資ではないんだという力強いご発言もあったことですので、仮に投資事業有限責任組合の形をとっているこういう特例業務ファンドが、将来、問題を何か起こした場合は、そこに出資をしていた適格機関投資家が仮に小さな額であり、小さな割合であったとしても、リーディングインベスターとしての責任、しかるべき責任を果たしていないということで、その人たちに対して業務改善を命ずる等々、当局として厳しく対処していただくことが必要ではないかと思う次第です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。上柳委員、どうぞ。

【上柳委員】

前にも発言させていただいた点と重複するかとは思うんですけれども、9ページの(4)問題のある届出者への対応についてのところは、ぜひ整備をお願いしたいと思います。もともとこの特例業務が届出制ということになっていること自体、全体から言えば例外だと私は思っておりまして、その中でもさらに、5ページに書いてあるような考慮に基づいて特例ということになっていったわけですので、届出制といっても、本来は登録制になるべきもの、あるいは届出制といっても登録制に近い運用がなされるべきものだと私は思っております。多分、被害の実態、あるいは、そのほかのコンプライアンスの必要性から見ても、そうではないかと思います。

行政法の議論の中では、届出制と登録制について、かなり概念的に分けるような考え方もあるのかもしれませんけれども、だんだんそうでもなくなってきていると思います。特に、ここは消費者保護だけではなくて、やはり市場の適正という点からも必要な部分ですので、ぜひエンフォースメントについてきちんとなるということがこの制度を残す条件といいますか、被害の実態を見て、今回、時間をとって議論をした意味でもあると思いますので、ぜひ整備のほどをお願いします。

そういうところが整備されるということで、先ほど大崎委員からご指摘があった6ページの一定の水準以上であることを求めるべき云々というところについては、見送り的なニュアンスになっているわけですけれども、総合的にきちんとやっていくということを条件にといいますか、そういう前提で全体としては考えられる方向だと、私自身は思っております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。永沢委員、どうぞ。

【永沢委員】

ありがとうございます。前回、欠席いたしまして失礼いたしました。

私は2点ございます。1つは、大崎委員がご指摘になりました点でございまして、適格機関投資家がリーディングインベスターとしての役割を果たしていただくためには、やはり長く、そのファンドが存続している間、いていただくということが大事と思いますので、それがチェックできるような体制、おそらく定期的に検査が入った段階でされると思いますけれども、それがきちんとなされるように担保していただきたいと思います。それから、適格機関投資家がその役割を果たしていなかったときには、それなりのペナルティーがあるような仕組みがあると望ましいということが第1点でございます。

それから、7ページ目の届出者に対する行為規制については、このように充実することが望ましいと思っておりますが、加えて、前回も意見書のほうを出させていただきましたけれども、私はやはり実質、不招請勧誘的なものが販売時の行為規制としてあったほうが望ましいのではないかというように、実際のトラブル事例を拝見して感じております。もちろん、すぐにそのような規制を入れるということは、今、法改正に向けて準備をしている段階で、そのようなことを強く申し上げるとなかなか難しいことが生じるのかもしれませんが、やはり今後、今、用意しているもので被害がおさまらないような状況があるのであるならば、今、申し上げた不招請勧誘的なものを将来的には導入ということも検討いただきたいということを、意見として申し添えさせていただきたいと思います。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

坂委員、どうぞ。

【坂委員】

まず、届出業者のところについて、申し上げさせていただきたいと思います。今回のご提案の中では、拒否要件・欠格事由を挙げられています。この要件を定めるときに、現状、問題業者、詐欺グループが、ここ数年間、あるいは10年ぐらいの間に育ってしまっている、既に存在するということを前提に、こうした人たちが適切に排除されるような要件設定をぜひお願いしたいと考えます。もう一つ、こうした人たちを排除するだけではなくて、ファンドの事業を行う方々というのは、資金供給という点では非常に大事な役割を果たしていると思いますので、そうした適切な方々が業務を担うという観点からも、要件設定の検討をお願いしたいと考えております。

それから、4ページの中では、マル2のところで届出書等の内容の一部や、説明書類を公表することという指摘がされております。この公表の内容についても、できるだけ広く公表することを検討いただきたい。こういうことが公表されますと、例えば問題が起こったときに、相談現場や弁護士などにおいてチェックをすることも可能になるでしょうし、一般の方々に情報を提供するという観点からも意義があることだと思いますので、ぜひここはしっかりしたものをお願いしたいと考えております。

それから、届出者、あるいは適格機関投資家について、今回、ある程度の要件設定をするということが検討されておりますが、ぜひこれはしっかりしたものをつくるとともに、届出段階でのチェック・確認をしっかりしていただきたいと考えます。それから、問題が起こったときの後の対処について、ここの制度づくりが非常に重要と思います。

今の点に関係しますけれども、エンフォースメントが非常に重要だと考えております。今回のご提案の中で、業務の改善や停止・廃止の制度はぜひ入れていただきたいと考えています。やや細かいことですが、1点ちょっと確認しておきたいのは、特例業務の届出者の中には、実質的に届出業務の届出者の要件を満たす業者もいると思うんですが、形式的には届け出をしていても、実質的には要件を満たさない、こういう業者も出てこようかと思います。こういった業者に対しても、きちんとこうした停止・廃止がとれるような制度設計をぜひお願いしたいと考えます。

最後に、長くなって申しわけないですが、もう一点。9ページの一番下にあるエンフォースメントの体制も非常に大事だと思うんですが、監督機関のエンフォースメントの体制とともに、他の機関との連携というものが非常に大事だと考えております。例えば、警察等による刑事責任の追及、あるいは弁護士等による民事責任の追及が実効的に行われるということが体制として確保されて、整備されて、また動き出して初めて、こういった問題行動というものが抑止されることになると思いますので、ぜひそういった点からの配慮もお願いしたいと考えます。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。(1)から(4)、4ページから9ページまでの範囲について、ご意見ございませんでしょうか。家森先生、お願いします。

【家森委員】

2点あります。1つは、適格機関投資家について、今まで実態がない投資家がたくさんいたということで、今回、資産要件をつけるということです。前にいただいた資料の中で、投資事業有限責任組合が適格機関投資家になっている事例で問題がたくさん起こっているということですけれども、この純資産が5億円というのは、どういうレベルでしょうか。問題のないビジネスをされている方々への影響です。今、目的としている成長資金が入ってくる道筋を作られている方々には十分超えられるハードルだけれども、問題が起こっている業者について十分防げるという感じなんでしょうか。この点について、教えていただきたいというのが1点目です。

2つ目は、適格機関投資家が5ページのマル2のような、リーディングインベスターといったような役割を果たす以上は、最低限、幾らかの投資をしていることが必要であるというのは、普通の考えだと思います。今まで全く自由だったことに、今回、規制を入れられるということからいうと、例えば一遍に比率を50%というのは、可能ならそこぐらいまで引き上げてもいいような気もしますけれども、とりあえず今回はそうはしないで、例えば先ほど説明資料を公表というような提案がありました。ここで名前が出てくれば、きちんとした投資家ですと、レピュテーショナルな評判リスクというものがあります。あるいは、銀行でしたら、銀行監督のほうからも規制があると思いますので、チェックがかかると思いますので、とりあえずは一定水準以上であることは求めないにしても、レピュテーショナルコストがかかるような形で監督をやっていただいて、いいかげんな、名前貸しというようなことが絶対起こらないようにしていただきたいと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

1点目の質問について、お願いします。

【田原市場課長】

この5億円につきましては、現行の金融商品取引法上、適格機関投資家として認められる水準ということで5億円としております。今までの被害事例ですと、ほとんど実態がないものが多いですので、そういったものに対処する上では5億円というのは一つの考え方であろうかと思っているところでございます。

【神田座長】

ありがとうございます。

どうぞ。

【家森委員】

すみません、ベンチャー・ファンドが入ってこられたりするときに、このスキームが使われると5億円が大きく阻害することはないのかという面もお願いします。

【田原市場課長】

そもそもこの水準については、郷治説明員の説明資料にもありましたように、一般的に経営が軌道に乗っているようなベンチャー・ファンドでありましたら、資産規模としては5億円ぐらいあるだろうと聞いているところでございます。

【神田座長】

ありがとうございます。よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、黒沼委員。

【黒沼委員】

今のご質問、ご意見との関係で、ちょっと内容を明らかにしていただきたいんですけれども、出資をする適格機関投資家の名称などは届出書や説明書類の中に記載されることになるんですか。それとも、それは考えていないんでしょうか。

【田原市場課長】

ベンチャーキャピタルにつきましては、そもそも契約書は連名で、今回、ガバナンスが強化されたものについては書かれるということです。当初の説明書類に書くかどうかというのは、まさにご議論いただく話の一つであろうと思うんですけれども、いずれかの段階で誰が投資しているかということは、出資者の方には明らかになると思います。

【神田座長】

ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

【黒沼委員】

はい。

【神田座長】

ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

そうしましたら、戻っていただいても結構ですので、もう一つの大きな論点と言っていいかと思います。(5)出資者の範囲、10ページと11ページについてご議論をお願いしたいと思います。どなたからでも、どの点についてでも、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。上柳委員、お願いします。

【上柳委員】

今日の資料でいいますと10ページ、11ページのところで、11ページの前半といいましょうか、これまでのまとめから見ると、何か少し範囲が広がっているような、あまり指摘しないほうがいいのかもわかりませんけれども、11ページの4つ目のところでいいますと、経営戦略の作成、企業財務、投資業務あたりは、これまではあまり指摘されていなかったのではないかと思います。とはいっても、事業の立ち上げといいますか、ファンドに仕事を通じて精通されていて、個人の資産を提供、あるいは出資するとしても、そのリスク、あるいは仕組みについてよく理解されているという趣旨で入っているんだと思いますし、そういうことに限定されるということであろうとは思いますけれども、やや気になるところです。

トータルとして、全然個人を排除することにならなかったことは残念とは言いつつも、先ほど申し上げましたエンフォースメントが強化されることと、今日のペーパーでいうと10ページの下のほう、マル3のところに書かれていますような、先ほど来、若干議論になっておりますけれども、ファンド契約書類の提出であるとか、ガバナンスの強化であるとか、そのほかの開示であるとか、そういうものと相まって、しばらく運用を見るということであれば、あり得る解決かなと思っているところです。

いずれにしても、くどいですけれども、全体としてはプロ、マアをきちんと分けて、プロだけでは高速道路のようにといいますか、自由にやろうというところが基本だったもので、その例外ということですので、そこの設計については慎重であるべきだと思います。

もう一点だけ、違う論点になりますけれども、12ページのその他の論点の2つ目、いわゆる市民ファンドといいますか、太陽光発電の事業等が例に挙がっています。私自身は大変悩むところで、適格機関投資家等特例業務制度、ごめんなさい、特例業務を使っての被害実態に鑑みますと、やはりやむを得ない、その方々の志を閉ざすことになるということは仕方がないと一方で思っております。ただ、いわゆるエコファンド、市民ファンドのようなものを国として育成していくということはあり得るかなと思っております。そういう意味では、これから登録制の部分がさらに整備されるということだろうと思いますので、そのときに、一人一人の方の出資額は少ないとか、収益目的とはいうものの、基本的には公益達成に近いものについては、市民ファンドということで別類型をつくる。制度があまり複雑になり過ぎるのも問題はありますけれども、いわゆるビジネス的なものでなくて、市民ファンドを育成する形というのは十分検討されるべきだと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

【磯崎委員】

よろしいですか。

【神田座長】

どうぞ、磯崎委員。

【磯崎委員】

ベンチャー・ファンドに多大なご配慮をいただいて、いろいろ要件を盛り込んでいただいて、ありがとうございます。

まだ広げるのかというお話で、若干コメントさせていただきますと、ここで議論していただいたのは小さ目の第1号ファンドを立ち上げるときに、どう円滑に立ち上げられるかというお話が中心だったんですが、今まで議論があまりされていなかったことで、海外からの出資者の要件があります。例えばハーバード大学とか、セコイアとか、そういう大きなファンドから出資を受けて、ケイマン等でファンドを組成しているベンチャーキャピタル業者もあります。集めるのはケイマン等の海外でも、実際に投資をするのは国内ということになるとすると、国内の適格機関投資家等特例業務に該当する必要があるのかなと思います。そうした出資者の要件は、皆さん、おそらく全く異議のないところではないかと思います。そういうある一定以上の純資産要件を満たしたような、例えば海外で信託とか年金、または海外のリミテッドパートナーシップというようなファンド、5月のパブコメの案では必ずしも網羅されていないもの、信託ということが書いていなかったり限定列挙ですので、ふたをあけて見ると実際動かなかったというのは怖いので、その辺を網羅的にカバーする配慮をいただければと考えております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

これは純粋に質問なんですけれども、今のご指摘の点なんですが、少なくとも金融庁としてはパブリックコメントに付した案の段階では、そういうものはカバーされていないとお考えなのかどうか、ちょっとご認識を教えていただけますか。参考資料の3ページを拝見すると、外国の組合型ファンド等とかいうのも入っているように見えるので。

【田原市場課長】

その点につきましては、読めるものが多いのではないかと思いますけれども、個別事例でどうしても読めないようなものがあって、それがこれと同じような、これは個人というよりはもう機関投資家の話ですので、読んでいく中でどうしても読めないようなものがあれば、その点については1月までの間に整理をさせていただきまして、最終的にどうするかということについて検討していく話になろうかと考えております。

【磯崎委員】

よろしいですか。

【神田座長】

はい、どうぞ。

【磯崎委員】

補足させていただきますと、外国型ファンドと言っていると外国のファンド全部入るのかなという感じなんですけれども、例えば5月のパブコメの要件の書き方ですと、LP、出資者が全員、今回の日本の規制を満たしていることというような要件が入っています。とすると、セコイアとか海外の大きいファンドに全部、おたくの投資家は誰ですかという話を聞かないと、そこから投資を受けることはできないというと、実務が回らないというようなこともあります。これは金商法の2条2項5号ではなくて、外国ファンドである6号という書き方をされているので、信託というのはたしか1号とか2号の話だったので、そこはカバーされていないのではないか。また多分、外国の国家が直接出資をする場合。国の運営する株式会社やファンドから出資をされることが多いと思うんですけれども、また、国は法人かどうかという議論もあるかと思うんですが、限定列挙で、バッファーを持たせた書き方になっていないので、ふたをあけてみると実際はできなかったということになると非常に恐ろしいということです。

今回、大崎委員からも非常に複雑な制度になっているのではないかというお話もあったんですけれども、実際、5月にパブコメにかけた改正案についてを非常に金商法に詳しい、しかもベンチャーにも明るい大手弁護士事務所の方と議論しますと、非常に勘違いされている例が多くて、皆さん、まだ十分に理解されていないのではないか。実際に次のファンドをつくろうとしたときに、投資してもらえないと。1個でも抜けると、登録業者でないとできないということになってしまうたてつけですので、その辺の網羅性をカバーしていただけるとありがたいと思います。

以上です。

【神田座長】

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、大崎委員。

【大崎委員】

これはまた質問なんですが、この出資者の範囲について、何ていうんですか、かなり細かい要件がたくさんできてくるということになりますと、これはどうなるのかということを教えていただきたいんです。例えば、出資当初は要件に該当していたんだけれども、何年かファンドが継続しているうちに、その要件を満たさなくなった方についてはどう考えればいいのか、そこを一つ教えていただきたい。例えば、これも細かい話ですけれども、元役員というのは退職後5年間ということにして、最初のファンドに退職してから4年だったので投資をしたんだけれども、それが満期になったときは11年とかたっているわけであります。そうすると、次、同じようなファンドをもう一回やるんですがというときは、さすがに適格機関投資家等特例業務のままでは出資できないという理解でいいのかどうか。その辺、ちょっと教えていただければと思います。

【田原市場課長】

これは、どちらかというとご議論いただくべき事項ではないかと思っております。今までの議論、あるいはベンチャー・ファンドの方々とのお話をいろいろ踏まえますと、基本的にはやはり当初で判断するということが一つの考え方ではないか。それから、役員を辞められた方につきましては、辞めて、4年内に1回投資をして、10年でそのベンチャー・ファンドが終わりましたというときに、リテラシーとして投資ができないのかといえば、できるのではないかと考えております。そこは、今までの議論を踏まえてそうかと思うということでございますので、むしろご議論いただくべき事項かと思っているところでございます。

【神田座長】

ありがとうございました。

今の点につきまして、ご意見があればぜひお願いしたいと思います。どうぞ、坂委員。

【坂委員】

今の点については、少しこういうことも考える必要があるのではないかということなんですが、特に最近、高齢者の方で、比較的複雑な金融商品を買ってトラブルになるというケースが増えています。その背景には、加齢とともに認識能力、判断能力が落ちていくという問題があります。もちろん個人差はあると思いますが、高齢者の方々の中で、昔は判断できたものが、5年、10年たつとなかなか判断しにくくなってくるという問題があります。したがいまして、先ほどの考え方は一つの考え方かとは思うんですが、もう一つ、こういった実情もある、こうした実情が社会問題になりつつあるということも十分配慮の上で検討いただければと思います。

【神田座長】

どうぞ、大崎委員。

【大崎委員】

その点について、先ほどは質問ということで自分の意見は言わなかったんですが、私の意見は、前回もちょっと申し上げた気がするんですけれども、例えば証券業協会の高齢者勧誘ガイドラインなどにも、それから金融庁の監督指針にも、要は判断能力は徐々に変わるものだということも明記されておりますし、1回投資をした人は、もう未来永劫、投資を繰り返して大丈夫という仕組みにするのは、問題が大きいのではないかと思います。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

太田委員、どうぞ。

【太田委員】

ありがとうございます。私、全体的に(5)の、今、議論の対象となっております投資判断能力を有する者としてという、ここに書かれている内容、被害者救済の観点でございますとか、ベンチャー育成の観点でございますとか、いろいろなものを総合的に考慮して、この形にまとまっているんだろうと思いますので、この内容でいたし方ないのかなと思ってございます。今回、整理をした中身というのは、やはりリテラシーを持っていることを前提に、この内容で整理をされているということだと思っております。そういう意味では、特に士業の下のところに書いてある「会社の役員・従業員・コンサルタント等として」でございますけれども、ここに書いてある業務に実質的にきちんと直接携わっている人であればリテラシーがあるということになろうかと思います。これがある種、拡大解釈されるようなことがないように十分、そこは運用の面できちんとやっていっていただきたいというのが1点。

それから、退職後5年程度という元役員のところに関しては、私はある意味で、加齢による判断能力の低下等を個々に判断するのはやはり極めて難しいと思いますので、そういう意味では一律に線を引くことでやむを得ないのかなと。判断時点に関しては、先ほど市場課長のほうからご指摘ございましたとおり、当初、ファンド組成時点において退職後5年以内であるという場合に当該ファンドに投資をしていたということであると、そこから何年かたつと、役員を辞めてから7年とか、それくらい経過することになるわけです。その場合、投資を実際に行っているわけですので、当初時点で5年以内ということであれば、リテラシーという意味では要件を満たしていると考えるのも十分合理的であろうと思います。そちらのほうはそれでもよろしいかなと、私は思っております。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】

ただいまの太田委員のご意見と関連するのですけれども、10ページから11ページのマル3につきましては、やはりさまざまな目的を同時に達成するためには必要な措置なのだろうと、私は理解しております。ただ、ここで提案されているのは、適格機関投資家等特例業務を利用するベンチャー・ファンドについて、それに投資できる新しい投資家の類型をつくるということだと思うのですけれども、報告書では、この投資家の類型と適合性の問題は全く別の話だということを明示したほうがよいと思います。つまり、この類型の投資家であればベンチャー・ファンドへの投資を勧誘してもいいけれども、その話と適合性の話は全く別であるということを、行為規制として適合性の原則を導入することが予定されておりますので、当たり前と思われるかもしれないですけれども、報告書において明示しておいた方が良いと感じました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

どうぞ、磯崎委員。

【磯崎委員】

私も、まさにそこをお伺いしたかったんですが、適合性原則が行為規制に盛り込まれるということは、イメージ的には非常にいいことではないかと思うんですけれども、実際に行為規制として適合性原則を盛り込んだときに、もうちょっとイメージを語っていただくと、どういったことを実際に業者側として行わなければいけないのか。やはりこの人はこういう理由から、このファンドについて投資能力があると判断しましたというようなことを業者側としてきっちり認識しておけばいいのか、ほかにも何かプラスアルファでやることが出てくるようなイメージなのか。その辺をちょっとお聞かせいただけるとありがたいと思います。

【田原市場課長】

法律上は、もうご存じだと思うんですけれども、顧客の知識、経験、財産及び投資目的を勘案しまして、保護に欠けることがないようにするということに尽きるわけでございます。実際、監督実務上どういう形になっているかは、証券課長のほうにお願いしてもよろしいですか。

【井上証券課長】

どういう投資家、型にはまってというわけではなくて、投資される方の知識、経験等をしっかり勘案し、しっかり話した上で相手に理解する能力があるか等を確認していただく。実務的には、それを記録し、モニタリングしていただくということが必要ではないかと思います。

【大崎委員】

その点でよろしいですか。

【神田座長】

それでは、まず大崎委員、どうぞ。

【大崎委員】

私、その点で、とりわけベンチャー・ファンドというものに限って言えば、一番気になるのは、今度、ベンチャー・ファンドの定義に、原則として途中償還がないことというものを盛り込むという前提で言いますと、換金が非常に難しいということを踏まえた投資の目的というものがないと、要するに知識、経験等々はこちらの属性で大体カバーできるだろうと思うんです。財産の状況は、ある程度のお金があれば、余裕資金であればいいという話になるんでしょうけれども、途中償還がないというのと、投資の目的が合致してないようなケースが出てくるのではないかというのは、若干懸念するところです。

【神田座長】

加藤委員、どうぞ。

【加藤委員】

日本のことはわからないけれども、アメリカのFINRAのことならちょっと説明ができるという変な感じなんですけれども、私が記憶している限りでは、FINRAの適合性原則は2段階で、1段目はそもそも商品としての適合性ということであります。つまり、詐欺的な商品ではだめであって、要は投資商品としてちゃんとバランスがとれているような仕組みであるというのがまず一つ。

もう一つは、個々の投資家との適合性であって、その際には、やはり既にご議論があったとおり、投資目的とか、知識、財産といったことを踏まえて、投資を勧誘してよいかどうかということなんですけれども、適合性原則では、磯崎委員がおっしゃるとおり、やはりゼロかイチかで決まる話ではなくて、FINRAのルールの詳細を見ると、要は勧誘する側が内部で顧客の適合性をちゃんと判断できるような基準を設けて、それに従って勧誘しているか否かということに重点が置かれているのではないかというのが私の印象であります。

さらに、FINRAの適合性原則で私が一番興味深かったのは、日本法の適格機関投資家に相当する者に対しても適合性原則が適用されるのです。適合性原則を排除するためには、適格機関投資家側からかなり積極的に、私は保護は要りませんとか、そういったことを言わなければならない仕組みになっているということだったと思います。間違っているかもしれませんけれども、制度のご紹介ということだけ意見を述べました。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

坂委員、どうぞ。

【坂委員】

今の点について、実質的にはこういうことになるのではないかというイメージなんですが、11ページのところに書かれている要件というのは、形式的な要件ということになるのではないかと思います。したがって、形式的な要件を満たす場合に、一応、出資者の範囲に形式的には含まれるけれども、実質的には勧誘が適正でないという場合もあり得るだろうと思われます。例えば、上場会社の元役員の方であっても、認知症にかかっていて判断能力が落ちている方などの場合には、形式的には販売可能な出資者に当たるけれども、適合性の原則のところでは知識、経験、財産状況等々に鑑みて適合しないので、勧誘してはいけないということになるんだろうと思います。したがって、そういう実質的なチェックは必要になってくるだろうと思います。

もう一点、ベンチャー・ファンドの適合性については、先ほど途中償還がないという点についてご指摘ありましたが、もう一点、おそらくベンチャー・ファンドは、ファンドを立ち上げて初めのころの段階ではあまりリターンがなくて、リターンはかなり後になって返ってくるという性格のもので、投資商品の中身においても非常に特殊性のある商品であると思います。そういった商品の特殊性にも鑑みて、適合するかどうかということをきちんとご検討いただくことになるのではないかと思います。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

【磯崎委員】

よろしいですか。

【神田座長】

どうぞ、磯崎委員。

【磯崎委員】

範囲を広げる話を今まで主にしてきたわけですけれども、すっきりさせるほうも考えていただければということで、5月にパブコメに付した改正案ですと、やはりいろいろ細かい、何に使うんだろうという、例えば資産管理会社とか、そういった要件が課せられていて、外国法人にも純資産要件が課せられないと。今回は、マル1で法人について純資産基準を設けるということなので、そこでくくられるのかもしれませんが、特例で、上場企業であれば債務超過であっても出資できるようにすべきなのか。それとも、金融商品取引業者で債務超過でも出資できるようにするとか、資産が10万円しかないような資産管理会社を認めるのかとか、そういうことを考えていくと、それが潜脱に使われる可能性があるのではないか。我々、ベンチャーキャピタル業者としても、この制度を使って悪い業者が潜脱をして何か悪いことをしたという話になると、また規制強化ということにもなりかねないので、わりとシンプルな基準にして、潜脱ができないようにすっきりした要件でまとめていただいたほうがいいのではないかと考えております。

以上です。

【神田座長】

どうもありがとうございました。具体的には、どうやるとシンプルになりますでしょうか。

【磯崎委員】

例えば、資産でゴルフ会員権とかを足して、それが全体の何分の1である業者についてはオーケーという基準とか、配当とかを足すとというような要件が5月のパブコメ案には出ていたんですが、例えば法人について原則純資産5,000万円以上という条件一本でもいいのではないかと、ベンチャーキャピタル的な観点からは思います。ほかの業種でそういうものがどうしても必要な特例業務があるんだというお話であれば、それは考慮していただければと思います。アメリカなどですと、ご案内のとおり法人は純資産幾らというような純資産要件ですっきり切られておりますので、そういったことのほうが機能するのではないかと考えております。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

【坂委員】

よろしいでしょうか。

【神田座長】

どうぞ、坂委員。

【坂委員】

先ほどの発言とも少し関連するんですが、出資者の範囲を考えるときには、範囲の適切性と規制の実効性ということが非常に大事なのではないかと考えております。出資者の範囲を超えた販売が行われたときには、現行の制度の中でも無登録営業となって、無登録業者に対する対応に準じた対応をとることになっていると思います。具体的には、警告書の発出と捜査当局への連絡ということが行われています。新しく制度が改められた場合でも、基本的にその枠組みは変わらないと思いますが、ぜひ捜査当局への連絡後の後追いなど、アフターフォローについてはしっかりやっていただきたいと考えます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。どうぞ、家森委員。

【家森委員】

法律のことはよくわからないので教えていただきたいんですが、現在は一応、誰でも、どういう資格の人でも投資できるのが、今回からこういう規制を課せられることになります。後からそのような適格な人ではなかったということがわかったときには、例えばその契約はなくなって出資者はお金を返してもらえるのか。後から見たら、有資格でない人を誤って勧誘して、出資をして、資金を受け入れたときにはどのようになるものなのか、一般的なことを一つ教えていただきたいと思います。

【田原市場課長】

それは、登録制とか届出制において、実際、そういう要件を満たしていない人が業を始めてということですか。

【家森委員】

すみません。例えば、ここで出資者としての資格として、役員であったという事項があるんですが、実は役員ではなかったのに元役員だと本人が名乗っていたが、元役員ではなかったことが後からわかったというときには、一体どのように対応されるのかということです。

【田原市場課長】

一般的には民事契約で、こちらは行政法規でございますので、それのみをもって直ちに、契約がもともとなかったということにはならないのではないかと思います。その辺は、坂委員のほうがお詳しいのではないかと思います。

【坂委員】

ご指摘のとおりで、不法行為に基づく損害賠償請求を行うことになると思いますが、不法行為の成立との関係で、違法性の判断をするときに、販売ができる出資者の範囲に含まれない人を勧誘したということは、違法性の重要な要素になると思います。

【家森委員】

業者が間違えてというよりも、僕は役員でないのに役員になっていたと思いましたということで、丸をつけて申し込んでいるという事例も十分あり得ると思うんですけれども、そういう場合、どういうように扱われていくのかということなんです。

【坂委員】

不法行為については、勧誘が全体として適切であったのかどうかを見るということになって、その中で、販売ができる出資者の範囲に含まれない人に売ったというのは、業者の故意または過失、場合によっては過失になる事例もあるかもしれませんけれども、違法性の根拠となる基礎事実になると思います。

【神田座長】

ありがとうございました。

あと、金商法上は、客観的に見ると実は要件を満たしていなかったということもあります。だとすると、適格機関投資家等特例業務として届出でやれることではないということになりますので、登録を受けないとできない、無登録営業と、そういうことになるのが一般的だと思います。

【家森委員】

そうしたときに、業者の立場で言うと、私が役員か、役員でなかったかをどのように調べるのか。役員経歴はわりとわかるかもしれませんが、投資性金融資産が1億円あるかどうかというのは、ありますと言われて勧誘していった、ところがそうではなかったと後でわかった場合も、ついでに教えていただけたら。

【田原市場課長】

一般的な金商法上のたてつけとしては、合理的に判断できるかということですので、今、委員からご指摘あったように、明らかにわかっているような、お金持ちだとみんなが認識されたり、そのとき有価証券報告書に名前が書いてある方は、おそらくそういうチェックは軽減されるんですが、怪しいなという方については、ほんとうに怪しいと思った場合には残高証明書を提出いただいて、確認するということでないと、合理的とみなされないこともあるのではないかと思います。

【大崎委員】

ちょっとよろしいですか。

【神田座長】

どうぞ。

【大崎委員】

今の議論に絡んで思ったんですけれども、まさに、だからこそこういうものは非常に例外的な制度であって、そういうことが心配だと、業務のコンプライアンスリスク上、非常に心配だという方は投資運用業の登録を受けられるというのが正当な道だと、私は思います。

【神田座長】

ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。そうしますと、いろいろご指摘はいただきましたけれども、ちょっと複雑かもしれませんけれども、理由があって複雑になっているようですので、10ページ、11ページに書かれたようなことで、先ほどご指摘いただいた点はさらに検討させていただくべき点があると思いますけれども、基本的にはよろしゅうございますでしょうか。それで、判断時点という問題がありましたけれども、これも実際のことを考えてみると、おそらく市場課長がおっしゃったように考えないと動かないのではないかと思いますが、その点についてご議論ありましたら。どうぞ、黒田委員。

【黒田委員】

先ほどの話で思い出したんですけれども、やはり時点のところは当初判断でないと難しいと思うのは、1億円以上の投資性資産の判断のときに、MRFが1億円あって、たまたま満期が来ましたとか、そういうことは頻繁に起こり得るので、そういう意味でもやはり当初段階の判断が現実的なのではないかという印象を持ちました。

【神田座長】

ありがとうございます。基本的にはそうでしょうね。だから、わざと当初だけ満たすということが出てくるようだと対応しないといけないので、これは常にある問題だと思いますので、そのあたりは事務局においてさらに検討いただくということでいかがかと思います。

そうしますと、2.以外も含めて、結局、この資料のうちのどの点でもということになりますけれども、お気づきの点、その他ございませんでしょうか。特によろしゅうございますでしょうか。

そうしましたら、また時間は大分あるのですけれども、年末のお忙しい時期を迎えつつあるとも思いますので、そしてまた、皆様方から今日も多数の貴重なご指摘もいただきましたので、本日はこのあたりにさせていただければと思います。

本日いただきましたご指摘、それからご議論を踏まえまして、次回は、できましたら事務局において報告書の案を作成していただいて、皆様方にご議論をいただきたいと思います。

それでは、事務局からご連絡等ありましたら、お願いいたします。

【田原市場課長】

そうしましたら、次回までに報告書案を作成しまして、またご議論いただければと考えております。次回のワーキング・グループでございますけれども、やはりこの共用第1特別会議室で開催させていただきたいと考えておりますが、日程は後日、事務局からご案内をさせていただきます。

以上でございます。

【神田座長】

どうもありがとうございました。

それでは、本日は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。皆様、よいお年をお迎えください。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局市場課
(内線2644、2639)

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