金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」(第13回)議事録

  • 1.日時:

    平成24年4月18日(水曜日)10時00分~12時00分

  • 2.場所:

    中央合同庁舎第7号館13階 共用第一特別会議室

○黒澤総務企画局企画課長

それでは、ワーキング・グループの開催に先立ちまして、お手元の資料の確認をお願いいたします。

本日は、ちょっと資料多うございます。1-1が報告書の構成(たたき台)でございます。資料1-2は、いただきました追加コメントをまとめさせていただいております。資料1-3は、犬飼委員が前回の議論を踏まえまして、追加の資料を提出していただいております。本日はお休みです。それから、資料1-4-1からですが、資料1-4-1は、第1章につきまして、訂正後のクリーンバージョンでございます。1-4-2はコメントつきのバージョンでございます。それから、1-5-1、これは第2章につきましてコメントを含めたバージョンでございます。1-5-2はコメントがわかるようにしてあるバージョンです。それから、1-6は、今回、素案として第3章を出させていただいております。同じく1-7は、素案として第4章でございます。それから、資料2がメンバー表でございまして、資料1-8として、座長メモを1枚つけさせていただいております。

以上でございます。

○吉野座長

それでは、ただいまから、第13回目の我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループを開催させていただきたいと思います。今日もお忙しい中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。このワーキング・グループは、第1回目の会合でもご了承いただいておりましたように、本日も議事を公開とさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、早速本日の議事に移らせていただきたいと思いますが、先ほど黒澤課長からご説明ありましたけども、今日は、報告書に関しまして、皆様からご議論いただきたいと思っております。報告書の第1章と第2章につきましては、前回の会合において、あるいはお手元にございます書面による追加コメントを踏まえて、今日は改訂版を作成しております。さらに、今日は新しく第3章と第4章というのをドラフトで作成いたしました。

まず最初に、事務局のほうから説明をしていただき、それから、1章、2章、それから、後半が3章、4章という形でまた皆さんにご議論いただきたいと思っております。それでは、黒澤課長、説明をお願いいたします。

○黒澤総務企画局企画課長

それでは、ご説明いたします。お手元の資料1-4-2に沿いまして、まず、第1章の修正箇所についてかいつまんでご説明いたします。

この資料、主な直しの部分を表示してあります。吹き出しのところに訂正した理由といいますか、コメントで直したのか、文章の整理で直したのかということを簡単に書かせていただいております。

まず1ページでございますが、最初のところの直し、文章の整理ということであります。繰り返しが多いので、若干文章を読みやすくしたということでございます。

それから、おめくりしまして、2ページのところでございますが、これはコメントございまして、現状各地域なり、企業、苦境に置かれているといったところ、これに企業再生、取り組んでいるという現状をもう少し書いたほうがよいのではないかというコメントから直してございます。

それから、次のページ、上のほうでございますが、ここは「供給者主導から需要者主導への転換」と書いてございましたが、これだと、これまで全く事業者主導でなかったかのようにも読めるということで、ニュアンスを変えてございます。

それから、続く2つのコメントは、これは川波委員からのコメントでございます。

それから、4ページ目、効率性を入れておりますが、これは河野委員のコメントを踏まえたものでございます。

それから、5ページ目の上のほう、これは顧客目線重視ということで、顧客目線でなかったかのようなニュアンスであったということで、これも直しております。

それから、5のところですが、これは各委員からコメントいただきました金融機関のビジネス・モデルの多様性ということをもうちょっとしっかり書いたほうがいいということで、ここに書かせていただいております。

それから、2章に移ります。資料では、1-5―2になります。第2章、冒頭のところは、これは文章の整理ということで、少し長かったので短くさせていただいております。

真ん中あたり、決済の関係の話、こういったものを入れたほうがいいというコメントを太田委員、犬飼委員からいただいておりますので、ここに入れております。

同じように、次の2ページですが、この決済サービス、ここも同じ趣旨の直しでございます。

その次は文章の整理ということで読みやすくしています。

それから、2ページ目の下のほうですが、これ、多様性ということで、ここでまた再び繰り返し強調いたしております。

3ページ目でございますが、これは主としてオブザーバーの方からのコメントですが、現状の取り組みをもう少ししっかり書いてほしいということで、銀行、保険それぞれについて書き加えてございます。

3ページ目、下から4ページ目の上にかけて、これは文章の整理でわかりやすくしたということです。

それから、真ん中あたりですが、これは人事ローテーションの話が議論があったんですが、抜けているというご指摘がありましたので、入れております。

4ページの下は、現状、業界においても努力しているという点をもうちょっと書いてほしいということで、書いております。

それから、5ページの真ん中あたり、これは秋池委員のコメントですが、日本の金融機関の組織のあり方の見直しというのはちょっと強過ぎるんじゃないかということで、少し和らげました。

5ページ目の下のところは、純粋な文章の整理でございます。

それから、6ページの上、金融ADRの導入、これも犬飼委員のご指摘でございます。

6ページのところ、地域金融機関の苦境のところ、ここももう少し現状を書くということです。それから、「従来の不動産担保に頼ることなく」というくだり、これは小野委員からのご指摘を踏まえた訂正でございます。

それから、6ページの下のほうも、先ほどと同じように現在の苦境を書くということです。

それから、7ページ、2つございますけど、これ、家森委員から、現状、商業銀行的な融資からもう少し踏み出してエクイティ的な資金供給、リスクマネーの供給を行っていくという方向性をもう少し書いたらどうかということで、こういう形でつけ加えさせていただきました。

それから、その次は、コンサルティング機能ということについて、もう少し丁寧に定義を書いたほうがいいというコメントいただきました。

それから、その次は、多数コメントいただいておりますが、産・学・金の連携といった点をもう少し強調したほうがいいいということですが、そういったコメントが2つ続いております。

それから、次のページでございますが、ここも先ほどと同じ現状を書き加えております。8ページの真ん中あたりでございますが、これは中小企業の事業継承ニーズについての記載が漏れているのではないかということで加えております。

それから、9ページ目、これは2、3と2つあったものを、量が少ないということで、新たな産業、新たな街づくりということで、合体させていると、そういう直しでございます。

9ページ目、下のほうは、これは文章の純粋な整理ということで、削除した部分が下に繰り出されているということで、読みやすくさせていただきました。

それから、10ページ目でございますが、ここは、先ほどと同様に産・学・金の取り組み、それから、人事ローテーションをつけ加えております。

10ページ、下のほうでございますが、統合再編についてのデメリットの記述がないというご指摘、小野委員からいただいております。そういったことを書き加えさせていただきました。

それから、11ページでございますが、これは秋池委員からのご指摘ですが、金融機関のリスクを恐れる体質というものを、書くのなら、その原因も書いたほうがいいんじゃないかということで、原因と思われるもの、2つほど書き加えさせていただきました。

それから、個人金融サービスに移ります。12ページ以下でございますが、ここは大崎委員からコメントございますが、第1種金融業に対する性悪説と第2種業に対する牧歌的なアプローチという、こういうご指摘いただきましたが、そこら辺の整理ということで、まず、金融仲介の現状の担い手の機能を強化して、かつその広げていくという基本スタンスを明確にいたしました。

それから、その次、「安心して」という言葉は何回か出てきますが、井潟委員のコメントですが、全部「信頼して」に置きかえております。

それから、12ページ、下のほうですが、これも大崎委員のコメントですが、性悪説と言われるであろうと思われる部分を削除いたしました。

それから、13ページのところですが、金融リテラシーの文脈で自己責任というのをしっかり書き込むべきだという、井潟委員のご指摘を踏まえて直しております。

その次、インターネットのところですが、これは永沢委員、大垣委員からの指摘を踏まえております。

それから、その次ですが、これは、個人のリスク・テイクはおのずから限界があるのではないかということもしっかり書くべきではないか。これは篠原委員と永沢委員からのご指摘でございます。同じく投資者保護というものをしっかりと書くということで、永沢委員のご指摘でございます。

14ページは、井潟委員の指摘で、信頼に直しております。確定拠出金のところ、これも井潟委員からのご指摘でございます。

15ページ、上でございますが、これは文章の整理でございますが、これは先般大臣から、保険商品・サービスの提供等に関する新しい諮問をいただきましたので、その文章と整合的に直したということでございます。

その次は、信託が持つ柔軟性についてもう少し具体的にということで、わかりやすくいたしました。

それから、15ページ、中ほどのところですが、消費者金融市場についてもう一言という永沢委員のコメント。それから、同じく金融弱者に対する保護、金融業の公共性という観点からのコメント、これ、家森委員、永沢委員からのコメントを踏まえております。

それから、15ページ下ですが、適合性の原則につきまして、適合性の原則の内容を立法的ないしは解釈的に変えるのではないかと読まれるかのような書き方でしたので、そういう趣旨ではないということを明確化いたしております。

それから、16ページでございますが、この手数料の開示の話がございましたが、この辺、投資信託と保障性の保険を一緒に書いているのは若干違和感がないかというコメントいただきましたので、直しております。

その次は、確定拠出年金、これ、井潟委員からのコメントです。

それから、投資者保護の要請の配意、これは永沢委員のコメントでございます。

16ページでございますが、ここにつきましても、保険についていろいろ書かせていただきましたが、少し整理いたしました。

それから、乗り合い保険代理店と保険仲立人を同列に論ずるのはおかしいというご指摘、ごもっともでございますので、これ、書き分けております。

それから、17ページでございますが、製販分離につきまして、それから、その次ずっと続きますけれども、販売チャネルの話、この辺はいろいろコメントを踏まえまして、全体的に書き加えてわかりやすくさせていただいたということでございます。

以上が第1章と第2章でございます。

それから、引き続きまして、第3章と第4章もかいつまんでご説明します。

第3章、初めて出させていただきますが、ごらんになってお分りのとおり、1ページ目は、官民「共働」型の金融行政ということで、ポイントは、第1行目にございますように、金融行政も転換していくということで、金融行政、複数の目的がありますので、目的が変われば、アプローチも変わっていくでしょうということでございます。今、求められているのは、中ほどにございますが、「金融機能の向上・活性化」ということでございます。そのために必要なのは、さらにその次の段落になりますが、民間金融機関との対話を通じて、ともに解決策を探って、いわゆる官民「共働」型の金融行政ということになろうかと思います。

こういったことから、1ページ下から4行目ですが、幅広い関係者との緊密な連携が必要であろうということです。

2ページ目へまいりますが、ここにおきましては、アクションプランについて言及いたして、アクションプランの施策推進におきましては、既に自主規制機関、関係者を通じた、一種の官民「共働」型の取り組みが行われているわけなのですが、これをさらに拡大発展させていくというスタンスでございます。

各論にまいりまして、外に向かってのグローバル化のところですが、ここにおきましては、基本的に外国、ないしは国内において行われている規制・制度が海外展開の妨げになっていれば、これについて見直しを行うと。さらに、国際的な金融規制についてはバランスのとれたものにするということです。

2ページ目、下からは政府系金融機関との戦略的な連携ということを書かせていただいております。

3ページ目、中ほどにつきましては、我が国の金融資本市場ということですが、ここにつきましては、アジアを中心としたグローバルな資金循環の中核、いわゆるゲートウェイとなるという観点からのアプローチが必要であろうという趣旨のことが書いてあります。

4でございますが、「成熟した債権国」ということから、為替レートの安定性、あるいは円建て金融取引の拡充といったようなことが必要ではないか。さらに、アジア債権市場にも言及させていただいています。

それから、ローカルな展開ということでございますが、4ページにまいりますが、1のところですが、リスクマネー供給の妨げとなるような制度上、運用上の要因、こういったものが必要があれば見直すということで、あくまでも例示でございますが、例えば株式保有の5%ルール、あるいは金融機関のリスク管理体制のあり方というものを例示させていただいております。

それから、4ページ目のその(ロ)の部分ですが、ここは医療・高齢者介護、環境と新たな、新しい分野について官民の連携を深めながら、必要に応じて規制の見直しを働きかけていくことが必要ということでございます。

2は、金融機関自身のリスク変換機能の発揮を促すための環境整備ですが、(イ)としては、まず、目利き力の強化、(ロ)として、リスク・テイク手法の増強ということです。

3は、さらに経営基盤の拡充・強化も必要であろうということで、(イ)として、統合・再編、広域連携について書かせていただいた。さらに、(ロ)になりますと、経営陣の規律づけということで、市場競争、ガバナンス、それから、金融規制そのもののあり方というものについての見直しの可能性を指摘しております。

4は、リスク・テイク能力のある担い手のすそ野を広げていくということで、(イ)として、ファンドの可能性を書いております。(ロ)は、主に経営人材の話で、(ハ)につきましては、新たな街づくりの視点からのすそ野の広がりということです。

2.でございますが、これは個人向けサービスということですが、ここでは主に顧客目線に立ったサービスの提供のあり方ということで、1、特に(イ)につきましては、自主ルールの制定、資格試験等々で、7ページ上にまいりますけれども、いわゆるプロフェッショナル・レスポンシビリティーをもう少し培ったほうがいいのではないかということです。(ロ)につきましては、販売手数料の透明化の話。(ハ)につきましては、投資信託ですが、投資運用会社にもうちょっと主導権のあるマーケットというのがあるのではないかという趣旨のことです。(ニ)は、生活者の話でございます。

2は、新たな担い手、中長期ということですが、中立的なアドバイザーの話を書かせていただきました。

それから、最後の8ページになりますが、(2)ですが、個人資金のリスクマネーへの転換ということで、機関投資家を通じたリスクマネーということでございます。既にある機関投資家に加えまして、真ん中あたり公的年金、特に確定拠出型年金についてのさらなる利用拡大の話。それから、市民ファンドについても、投資者保護に十分配意しつつ、健全な育成を図るということを書かせていただいております。

以上が第3章で、第4章は比較的短うございますが、今後の展望ということで、官民「共働」の具体的なあり方ということでございます。

まず、(1)としまして、金融機関サイドにおいて必要なのは、3つの要素、経営戦略、経営基盤、そして、金融人材と。金融当局がこのような者の育成をサポートするという基本構図でございます。そのために、一つとして、これまでアクションプランなどを行ってきました官民「共働」型のアプローチを拡充させる官民ラウンドテーブルのようなものもあり得るのではないか。その上で官民共働ということですので、いわゆるプリンシプルを、これをまた補強、拡充していってはどうかということを書かせていただいています。

それから、さらに、具体的なアクションプランのようなものを官民共働でつくってはどうかというアイデアを出させていただいております。(イ)、(ロ)、(ハ)はその内容としての具体的な例示ということでございます。

4として、「おわりに」というので、若干長目に書かせていただいておりますが、吉野座長の発案でございまして、最終的な、将来的なビジョンのようなものもあってよろしいのではないかということで、できのいい悪いはともかくとして、書かせていただいております。

以上でございます。

○吉野座長

黒澤課長、ありがとうございました。それでは、第1章と第2章から始めさせていただきたいと思いますが、どなたからでも結構です。第1章、第2章で足りない部分、あるいは修正したほうがいい部分がありましたら、ご意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。じゃあ、永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

後のほうで読み合わせしたほうに入っておりましたが、資料1-5-2の16ページのところで、加筆していただいたほうがいいんではないかなと思ったところがあります。加えていただいた、あるいは修正していただいたところの間のあたりなんですけども、費用構造が明確にされるべき目的というのは、後半のほうに入っておりましたけれども、投資者や利用者が合理的な商品選択ができるような環境を整備するということが目的だと思いますので、ここにもその一言を入れておいたほうが、金融機関に費用構造の明確化を求める目的というのが明確になってよいのではないかなと思いました。投資家のほうも合理的な商品選択をするということが必要ですので、その点をもしできるならば加えていただければと思っております。

以上でございます。

○吉野座長

ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。大崎委員、何かございますか、追加は。

○大崎委員

第3章について申し上げたい。

○吉野座長

あっ、そうですか。じゃあ、それはまた待っていただきたいと思います。

第1章、第2章は、前回ご議論いただきましたので、よろしいでしょうか。

第3章、第4章は、多分今日たくさん皆様からご意見が出ると思いますので、そちらのほうに時間をとりたいと思います。後で、もしあれば、1章、2章に戻っていただいても結構でございます。それでは、第3章と第4章に関して、じゃあ、大崎委員のほうから第3章に関して、はい、どうぞ。

○大崎委員

第4章についてもよろしいですか。

○吉野座長

はい、どうぞ。

○大崎委員

じゃあ、すいません。ちょっと何点か申し上げたいと思うんですが、まず、第3章、冒頭なんでございますけれども、「金融業が顧客目線重視へと展開するに伴い、金融行政にも転換が求められていく」って、この一文なんですが、第1章、第2章の議論でもありましたように、もちろん顧客目線を最も重視すべきというのはそのとおりですし、大変重要なことであるんですが、これまで別に無視していたということではないので、そっちへいくから、行政が変わらにゃいかんというのは、ちょっとこれは、特に冒頭の一文なんで、非常にミスリーディングだと思いますので、全部削除していただくか、あるいは何らかの、何か修飾をつけた上で金融行政にも方向の転換が求められているみたいなことだけにしていただくか、が適切ではないかなと思いました。

それから、もう一つ、後ろのほうへいきまして、6ページですが、1のところで、6ページの下から10行目ぐらいのところですね。「個人向け金融サービスにおいては、顧客自身が金融リテラシーを十分に持ち合わせていないこともあり、自己のニーズを十分に認識できていない場合も多い。」という表現なんですが、これはニーズは認識できているんだけれども、そのニーズに合った商品が何であるかが認識できない、あるいはサービスが何であるかが認識できないということなんじゃないかなと私は思いまして、正直言って、ご自身のニーズは、お金を増やしたいとか、維持したいということなんであって、それがわからないで金融サービスを受ける人もおよそいらっしゃらないんじゃないかと思うんですね。例えば消費者金融でいろいろ問題になったようなことにしても、生活に必要なお金が欲しいというニーズはあるわけですよね。ただ、あまりにもその金利が高いから、それで借りたら生活が破綻しちゃうよというところが十分わかってなくて、そういうサービスを使っちゃったっていう、そこに問題があったという話ですから、ここはちょっと区別していただかないと、後の話とも整合性がやや欠けてきちゃうのかなと思いました。

それから、7ページの(ハ)でございますが、投資信託に関する記述のところで、前段は非常にもっともだなと思ったんですが、「例えば」以下のところで「独立系の中小の投資信託会社について、その商品が経営戦略や企業努力に照らして正当な販路を得ているか」とかいう表現があるんですが、これはあれでしょうか。例えば大手と言われる販売会社が一種独禁法に触れるような、いわば不当な圧力をかけて取り扱わないというようなことがあるというような認識に基づくのかなとちょっと思ってしまったんですが、私なんかが少なくとも業界の人たちにヒアリングしたり、ふだん接してて感じるのは、むしろちょっと逆で、つまり、独立系で新しいおもしろい商品が出てきても、なかなか大手の販売体制を前提としたような手数料体系、報酬体系みたいなものを交渉すると、運用会社側のその方針と合わないので、扱わせてもらえないというのが、まあ、もちろんそれは中小の方からすると、逆にその方針を変えてくれて扱ってくれれば、それがベストだという、そういうことなんだろうと思うんですけど、そういう何かちゃんとした交渉のもとに、結果的に扱われてないケースがあるというだけなのかなと思いまして。で、実際、どこをもって大手と言うかとかいうのもあるんですけれども、中小、外資系も含めて、それほど大きくない、あるいは新規に参入してきた投資運用会社の商品をいわゆる大手の金融機関が販売しているケースというのは多々あると思いますので、何かちょっとそういう締め出しが行われているみたいな前提で書かれると、やや違和感があるかなと思いました。

それから、すいません。長くなって申しわけないんですが、7ページの下のほうなんですが、「フィナンシャル・プランナー資格者等でも」というところの文章ですね。「特定の金融機関に所属していることは太宗である。」と、これは事実であるので、それはいいんですが、「この場合、所属する金融機関の親密先や販売代理契約先の金融商品・サービスに偏りがちなメニューを提示せざるを得ない傾向がある」というんですが、所属している場合は、そこの商品・サービスでメニューを構成するのは当たり前の話です。変な話ですけど、例えばおすし屋さんにお客が来たのに、何かあなた、顔色が悪いから隣の焼き肉屋に行ったほうがいいよっていうようなことを言う必要があるのか。それは中立的と言っても、ちょっと行き過ぎじゃないかと思うんですね。やっぱり特定の金融機関に所属している場合は、自分の所属先が提供できる範囲の中で極力その顧客に合ったものを提供するというのが当たり前だと思うので、ちょっとここは認識として問題があるのかなと思った次第でございます。

中立的なアドバイザーを増やしていくべきだという問題意識については全く同意見でございます。

それから、すいません。あと、第4章なんですが、何か文句ばっかり言っているように聞こえると大変心外なんで、一つ大変いいということを申し上げたいんですけど、1ページの下のほうの1で、平成20年に出ましたプリンシプルに触れていただいて、このプリンシプルの共有、あるいは発展ということが重要だということを書いていただいている。これは私は大変いいことではないかと思っております。

ただ、もう一つ、「おわりに」のところについてなんですが、資料1-2で配付されております追加コメントも読みつつ、私もそうだなと思ったのですが、例えばこの追加コメントの7ページの三菱東京UFJ銀行さんから提出された資料の「全体感について」というところを読みますと、金融機関経営の多様性が非常に重要だということが指摘されており、そのとおりだと私、思うんですね。また、9ページで全国信用金庫協会さんから提出されたものを拝見しますと、これはあくまでも経営上の参考資料であり、政府や金融当局が個別金融機関の経営に干渉するものではない旨を明記していただきたいというふうに書いてあるんですが、私、この辺のご懸念は共感するところがございます。もともとこういう審議会での議論というのは、いわゆる法令上何か変えていくという話を本来から言うと議論すべきもので、あまり、何というんですか、別に法令に抵触もしてないし、その制度を変えるわけでもないのに、こうしてほしいみたいなことを一方的に言うのは、ちょっとどうかなという気がします。もちろん全体の現状を研究するというのは非常に重要なんで、こういう報告書そのものがけしからんとか言っているわけじゃないんですが、やはりそこは、この「おわりに」のどこかにはっきりと書いていただくべきじゃないかなと。つまり、これは、金融機関に特定の経営戦略の採用を強制するというと、もちろんまずいでしょうし、特に押しつけているものではないんであるという、あくまでも個々の判断による多様な戦略の展開が大前提だということを「おわりに」のどこかにうまく書いていただけないかなと思った次第です。長くなりまして、失礼いたしました。

○吉野座長

どうもありがとうございました。先ほどのフィナンシャル・プランナーのところは、やっぱり独立のフィナンシャル・プランナーの方が日本、少ないということを言いたかったものですが。

一番最初のところは、金融行政もやっぱり転換を求められているわけで、おそらく世界的なさまざまな金融規制の変化とか、そういう少しほかのことも全部つけながら、その中に顧客目線の重視というのも一つ入っているというような形にさせていただきたいと思います。

あと、幾つかの点は文章を直させていただけると思います。ありがとうございました。

そのほかございますでしょうか。はい、じゃあ、川島委員、どうぞ。

○川島委員

3章、4章それぞれ1点ずつ意見を申し上げます。

まず、3章、6ページ目の2番目の(1)のところになります。2番目全体にかかわる話なんですが、個人向け金融サービス発展のために求められる政府の役割という文脈で、もともと骨子段階では、ここでの意味合いというのは、一つには、この個人投資家の金融リテラシーが底上げされていく環境の整備であるというような記述もございまして、結論を申し上げますと、個人に対する金融商品に係る仕組みですとか、あるいは情報の提供ですとか、あるいは年齢層に応じた金融にかかわる、ある意味、消費者教育的なものを行っていくということも国の役割として重要ではないかというように考えております。

そうした部分、官と民の役割分担というのがどの辺で線引きするのかという議論もあるのかもしれませんが、ともすれば、業界任せということになるのではなく、国としてもこうした金融リテラシーの底上げといった点からの取り組みが必要ではないかと考えております。

最近知ったんですけども、金融広報中央委員会というような、さまざまな金融関係、あるいは役所も、官庁もそうですし、業界、経済団体ですとか、あるいは消費者団体の一つの取り組む場があるというようなこともありますので、そうしたものも生かしながら、官民が連携して、そうした底上げ、金融リテラシーの底上げの取り組み、その中での政府の役割というのを記述していただけたらと思います。

もう1点、第4章でありますが、1ページ目の(2)の官民ラウンドテーブルについてです。官民ラウンドテーブルというものが一体どういうような構成で、どういうような議論を行っていくのかということをもう少し具体的に記述できないかということであります。

その下の1の行動規範の1行目で、官と民に顧客も加えた三者で共有できる行動規範を探求するということが記述してあります。このラウンドテーブルの意味合いというのは、私なりには、1つは、丸テーブルを囲んで、それぞれが対等な立場で議論をし合って一つの目的に向けて結果を出していくということだと思っております。そうしたものと、もう一つは、そこ、テーブルを囲むメンバーは、単に官と、あるいは金融業者、金融業界だけでなくて、個人であれば消費者団体であり、あるいは企業であれば経営者団体というものも想定されるんではないかと思っております。また、その官のほうも、金融庁だけでなくて、仮に先ほどのような教育という点からいくと、文科省ですとか、あるいは消費者という立場からは消費者庁だとか、そんなこともかなり考え方としてはとらえることができるんではないかと思っています。今回この官民ラウンドテーブルといったものがどのようなものであるのかということをもう少し具体的に書き加えることができればと思っております。

以上2点です。

○吉野座長

どうもありがとうございました。官民ラウンドテーブルというのは、一時、金融庁は、ただ監督と規制だけしていて、金融業界や消費者の声を聞いてないというような批判もありましたものですから、こういう意見を聞きながら対話をして、日本全体の金融業が強くなるようにということを思っておりますので、また具体的にこういう、今のいただいたような案、そのほかにありましたら、また教えていただければと思います。ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。じゃあ、永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

すみません。よろしいでしょうか。

先ほどの大崎委員がおっしゃった点と重なるんですけれども、大崎委員のおっしゃることももっともかなと思いまして、私が読む限りにおいては、この書きぶりでよいのかなと思いつつ、しかし、やはり中立性が求められることを思いますと、少し修正すべきではあるかなというふうには感じております。

まず、6ページの2.の(1)の1のところですけれども、自分のニーズが認識できているのかいないのかということよりも、むしろ、最適化する能力について、日本人の中には十分ではない方が多いのかもかしれないという部分はあるのかもしれないというふうに感じております。

それから、まず、先ほどの大崎委員がおっしゃったところに対してお話しして、その後で、ほかのことについてお話しさせていただきたいと思いますが、7ページの(ハ)から以下のところなんですけれども、確かに大手販売会社が市場を支配しているとまでは言い切れないんですけれども、しかし、10年以上前に投資信託について改革を議論したときには、もっと直販というような形で投信会社が育つことも想定されていたのに、それが実現していない。日本の金融というものを新たな成長力のある産業として育てていくためには、従来の金融機関だけではなくて、新たな金融を担う事業者というものがつくられ、創造され、育成されていくことも必要なんではないかなと思っておりまして、その中の1つといいますか、2つというのが、1つは、独立系の運用会社による直販におそらくなる。直販とは限らないとは思いますけれども、独立系の新しい運用会社が投資家とつながることであり、もう一つが、独立系のフィナンシャル・プランナーという言葉は、資格の言葉ですので、適切かどうかわかりませんが、投資家が相談できるような独立した仲介人のような方が必要なのではないかなと思っております。

そのように思いますのは、国民が投資に対して不信を抱いている原因というものが、従来の金融機関に対して、ちょっと言い過ぎかもしれませんけども、必ずしも信頼を抱いてないということにありまして、中立性が確認できれば、不信を持たず、新しい動きをする人も出てくるのではないかと思いますので、やはり国の経済全体にとっても、そういった部分が必要なのではないかなと思いました。

それから、全体としては、私は、踏み込んで書いていただいていてよいと思っておりまして、特に、6ページの最後の(イ)のところ、自主規制機関と連携して、もっと自主規制ルールの制定や資格試験の内容拡充などの支援のあり方について、やはりもう一度見直すということがあってよいと思っております。

また、資料1-7の第4章のほうに関して、プリンシプルの形成のところなんですけれども、これについても、受託者責任という言葉が90年代の後半からいろいろ言われてきましたけれども、言葉だけが抽象的に歩いているだけで、具体化してきていないように思います。投資家から信頼される金融機関としてどうあるべきかということについて具体的な議論をしていただいて、それが国民、利用者に対して見えるような形にしていただきたいなと思っております。

以上でございます。

○吉野座長

ありがとうございました。大崎委員、どうぞ。

○大崎委員

すいません。ちょっと私が申し上げたことが永沢委員に誤解されちゃったら、ちょっとあまりうれしくないんで、一言弁明させていただきます。先ほどご指摘あった7ページのその中小投資信託のところですけど、私も、独立系信託会社が育っていくことが重要だというのは全く同意見です。ただ、この文章ですと、「経営戦略や企業努力に照らして正当な販路を得ているかなどに着目した」となっているんで、正当なものを得ていないという、その事実認識が出てしまっているんですね。だから、例えば私、直販でやっていただいたら大いにいいし、どんどん売ったらいいと思うんですけど、それが何か規制によって直販がやりにくいとか、そういうことなんであれば、こういう表現でいいと思うんですが、そうではないと思うので、ちょっとここの表現は変えたほうがいいと、そういう趣旨で申し上げただけでございます。

○永沢委員

すいません。よろしいですか。

○吉野座長

どうぞ。

○永沢委員

大崎委員のおっしゃるとおりで、私も、この点はちょっと書き過ぎかなとは思っております。ただ、やはりなぜ直販が育たなかったのかということについての反省はすべきではないかなと思っているということを述べさせていただきたいと思います。

以上でございます。

○吉野座長

ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。小幡委員、ありますか。じゃあ、河野委員、どうぞ。

○河野委員

すいません。第1次の案でもう既に皆さんのご意見も入っているところと、今日もやはりお話の中で何度か出てきているところで、どう言うんですかね、一般的な、一般個人投資家というか、一般の人から見ると、消費者から見ると、この表現がわかるかなというのが、このリスクマネーという……。

○吉野座長

どこの何ページってちょっと言っていただけるといいんですけど。

○河野委員

第二次、修正案つきの、例えば資料1-5-2でいいますと、そのときに指摘を申し上げなかったんですけれども、その中の一番下の2のところに、例えば……。

○吉野座長

1ページ目でしょうか、1ページ目の……。

○河野委員

資料1-5-2の1ページの2の上から3行目のところで、「リスクを見きわめ、効果的にリスク・テイクしていくリスク転換機能と顧客にとって」というふうな表現と、それから、例えば、今日の素案の第3章、資料1-6の8ページ、一番最後のページで、個人資金のリスクマネーへの転換という表現になっているんですけれども、リスクマネーという表現が一般的に言うと、何というんですかね。みんな日経平均なりが変動するときに、一緒に損をとりましょうというふうなことに受け取られてしまわないかとか、普通、リスクをとるということは、かわりにハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンというふうなものと絡み合って一般の消費者に受け取られているのではないか。常にここのリスクマネーへの転換、リスクマネーへの何とかというと、一般素人からすると、本来日本国内だけではなく海外の商品も含めた新しい商品の組み合わせで、ある意味ではリスクをコントロールしてうまく、ハイリスクもあるけども、ハイリターンもあるよというふうなことがうまく組み合っていくというイメージよりは、何というかな、株価が下がったらみんな損するのよとか、世界の相場が下がったら損するのを全部受け入れてねって。貯金の金利のように0.0幾つも困るんだけど、それをとにかく相対的に損するところにいって、まあ、こうやってよねというふうな感じに素人としては受け取りやすいのではないかという気がします。リスクマネーということだと、何かちょっとね、やむを得ないことなのかもしれないけれども、みんな一緒に時価に直してねって言われているような気分になってしまうということを、一言申し上げたかったんです。

○吉野座長

ありがとうございます。アメリカの人たちはよくハイイールド債って言うんですね。高い収益が期待される債権って。それはハイリスクなんですけど、それよりむしろハイイールド債というふうにして売ってまして、リスクという表現は使ってないことが多いんですよね。ですから、河野委員のおっしゃるように、日本人はすぐそう言うと、リスクのことばっかりもってきますから、期待される収益は高いけども、リスクはあるという、そういう意味だと思うんですけど、ありがとうございます。何とか表現を考えたいと思います。大崎委員、何かいい表現ありますか、ここに関して。

○大崎委員

いや、今、リスクマネーって日本語か英語かという話をちょっとしていたんですけど。どうなんでしょう。

○吉野座長

リスクマネーは多分日本語じゃないかと思いますよね。リスクという言葉は英語ですけども。

○大崎委員

何か和製英語っぽいですよね。でも、どうなんでしょうか。今の河野委員のご心配は、これ、全財産をそうしろっていうふうに読まれちゃうと確かにもっともなご指摘のような気がするんですけど、そのリスクマネーというのを仮に損をすることもあるものだというふうに、読む人が理解したとしても、部分的にはそういうことなんだというのはおかしいですかね。私は、別にリスクマネーが供給されなきゃいかんという主張自体が非常に問題だとはあんまり思わないんですが、どうですかね。

○河野委員

いや、私は、それが三等分制とか、よく説明を聞くとそういう話もありますよね。ですけれども、たまたま過去のご説明いただいた事例で高齢者が結構な額を、要するに、大半を勧められるままに投信とか、そういう意味では、ちょっと高齢者に勧めるにはハイリスク・ハイリターンであるかもしれない、外貨建てのとかいうふうなことを聞いていると、これはきっと、さっき私が触発されたのは、私も大崎委員のお話を誤解して、ここは法律を決めるところと、法律に明文化するものでないところは、それぞれのところが頑張ればいいというふうに言われてしまうと、何かちょっとリスクマネーという言葉も、ハイリスク・ハイリターンという言葉も、ちょっとそういうことがうまく説明されているとは思えないし、やはりそこでプリンシプルというか、必要なものというのが、志とか、心構えの中にまずあるよねって。それがルール化されてなきゃいいというものじゃないよねということは、やっぱりベースとしては必要なんじゃないかなというふうに思います。ルールを、法律を論じるところで法律に書かれてないものはって言われてしまうと、このリスクマネーという表現にも少しひっかかってしまうということでも申し上げた次第です。

○吉野座長

小幡委員、どうぞ。

○小幡委員

ちょっと時間がありそうなので、じゃあ、リスクマネーについてちょっと感想を述べたいと思うんですけども、振り込め詐欺に遭うのもリスクというか、それは最大のリスクのような気がするんですけれども、多分リスクマネーって不思議な言葉で、確かに一般的に使われているのは、いわゆるリスク資産と呼ばれているものに投資されるお金という意味がまず一つあって、リスク資産というと、国債以外というか、国債といっても日本国債って、格付の高い国債以外ということだと思うんですけれども、もともとの趣旨はすごい前向きに、河野委員おっしゃられたようなことで考えると、シンクマネーというか、あるいはウイルマネーというか、自分の意志を持って運用して、よく考えて増やそうとする意思を持ってお金を運用するというか。銀行預金もある種の投資ですし、運用ですから、現金で寝かしておくのもある種の守りの投資、あるいは運用ですから。そういうふうに考えると、例えば銀行に行って勧められるままに日経225のETFを買うというのも、実はリスクマネーじゃなくて、何か今までと同じで、単に勧められる相手が銀行の窓口へ行ったときに定期預金だったのが、郵貯でもいいんですけども、それが今、一般的に皆さん投資信託を買いますよって言われて投資信託を買うんだと、それはほんとうの意味でのリスクマネーじゃなくて、個々人の資金を持っている方、個人であれ、かなりの富裕層であれ、普通の人であれ、やっぱり運用というか、自分の資産だから何かしないといけないなと。やっぱり自分の責任だから自分で考えなきゃいけないなと。そうやって自分の意思を持って考えて投資するお金というのが、よくとらえればリスクマネーのほんとうの前向きな意味だと思うんですね。だから、そういう表現があれば、もちろんすごくいいんですけれども、一般的にはそうじゃなくて、漠然とリスクマネーって使っていて、それは、ただ黙って現金にしたり、国債買……、銀行預金しているんじゃないよっていう意味なんで、今言ったような意味も含まれると思うんですけども、確かにいい表現があれば、この金融審で打ち出して世の中を変えるということがあっても、確かにすばらしいとは思うんですけども、一般的にはその懸念されたような部分もあれば、前向きの部分もあって、受け手によってはいろんな印象を受けるだろうなという気は確かにします。はい。感想ですみません。

○吉野座長

リスクというのは、普通の金融でいけば、まさに元本の価値が変動する資産ですよね。横軸がシグマなり、リスクであって、で、小幡先生、おっしゃったように、国債、あるいは元本1,000万円が保証されている預金はゼロリスクって、そういう形だと思うんですけど、篠原委員、いかがでしょうか。

○篠原委員

ちょっと遅参いたしまして、すいませんでした。

今の預金の話なんですけれども、リスクをとるかどうかと。私は、リスクをとるとらないの以前の問題として、たんす預金なんていうのは何十兆円なんですかね、ものすごい額がまだ眠っているわけですね。しかも、ちょっと聞いた話なんですけども、まだ聖徳太子で持っている方が相当数いらっしゃると。その人たちが新札に変えようとするとすごい手数料を取られるということで、そのまままだ持っているという方も結構いらっしゃると聞いているんですね。お年寄りの人だったら、リスクリスクと言ったって、なかなか慎重で乗ってこない。

だから、つまり、ここにもちょっと書いているんですけど、そういうためにどういう動機づけをその人たちにしてあげられるかと。例えば自分の持っているお金が、社会や公のためにつながるような、市民ファンドの話も大事だと思うんですけども、そういう流れをよく説明し、流れをつくって引き出していくことが肝要かと。ただ、自分のもうけのためにリスクをとるかとらないかという概念でお年寄りのそういう人たちを見ていくと、私はちょっとずれていくんではないかなと思います。だから、そういうような公ということを常にかぶせていくようなあり方がちょっと必要ではないかなと思います。

それから、もう一つは、先ほど川島委員がちょっとおっしゃっていましたけど、金融教育の話ですね。これ、僕、すごく重要だと思うんです。それで、前にもこの会で申し上げたことがありますけれども、単に金融というものだけから入るんじゃなくて、金融というもののリテラシーを身につけることは、主権者意識を子供たちが小さいころからはぐくんでいくんだと。主権者意識の一つなんだというような大きな構え方の中で、この金融リテラシーを考えていくということが僕は大事だと思うんです。そうしないと、どうしても金融から入っていくと、お金の問題ですから、何となしにお金お金お金ということになりかねない危惧をちょっと私、持ちますので、これも先ほどと同じなんですけど、公、パブリックというものに子供たちのころからどうかかわっていくか。その中でいろんな産業やビジネスやいろんなマーケットやいろんなものがあって、その中に金融というものがあって、それが皆さん方がこれから成長していく過程でいかに、これ、大事なことなのかということを位置づけてきっちり教え込んでいく必要がある。先ほど文科省あたりとも、川島さん、連携する必要があるとおっしゃってました。私も全くそう思うんですね。だから、その辺は金融業界や、あるいは日銀もいろいろやっていますね、リテラシーのを。だけど、その辺はもう少し教育を大きく構えて、主権者教育というものの中の位置づけで考えていく必要があると思います。

以上です。

○吉野座長

特に官民連携というのが多分出てくると思いますので、少しこの金融リテラシーのところも少し膨らませられれば考えたいと思います。

では、藤原委員、どうぞ。

○藤原委員

河野委員の発言を聞いていて、リスクというのは、1つじゃなくて、10種類ぐらいあり、それらが、どういうリスクであるかをだれかが、個人投資家を保護するために説明することが大事であることと、基礎的なリスクを説明する教育も必要であると思いました。

私は、この第3章の政府の役割の部分、非常によく書けていると思います。ごめんなさいね。ちょっと上から目線で、書けていると思いますという表現はよくないですね。

大和証券の大谷オブザーバーがいらっしゃっているので、この個人向け金融サービスの発展のために求められる政府の役割、ここの部分をどういうふうに思われているのか、ご意見ご感想をお聞きしたいと思います。私は、例えば7ページの下の、「しかし、ファイナンシャル・プランナーの資格者等でも」という箇所は、要らないのではないかと思います。理由は、ごく当たり前のことなんじゃないかなと。とても親切に書いていらっしゃるっていうそのお気持ちはわかるのですが、こういうことは、当たり前のことなのであえて書かなくともいいと思いました。ここの2.の個人向け金融サービスの発展の政府の役割についてのご意見を教えてもらえますでしょうか。

○吉野座長

大谷オブザーバー、いかがですか。

○大谷経営企画部担当部長

大和証券の大谷でございます。

先ほど大崎委員のほうからのご指摘のとおりだなというふうに、私、聞いておりましたので、日本全体のことを考えれば、当然こういった独立系の方が増えていくということについては、それは非常に望ましいことだは思いますし、今、藤原委員のほうからご指摘がありました。弊社に限らず、証券業界におきましては、資格としては、一応社内の資格制度の一環としてそのファイナンシャル・プランナーというのを取得はしておりますけれども、これ、ごく当たり前のことというご指摘も、そのとおりでございまして、改めてここに書く必要があるかどうかということは、ちょっと委員の方にご議論いただきたいとは思うんですけれども、1つ言えることは、なかなかこれまでの議論でもちょっとお話が出ておりましたが、独立のファイナンシャル・プランナーの方がなかなか育ってこないというのは、やはりお客様のほうがなかなかこういった金融サービスに関する対価というものについて、日本の場合はなかなか意識というか、適正なフィーを払って投資なり、金融商品のサービス、アドバイスを受けるということになれていらっしゃらないということがありますので、これ、ちょっと政府の役割としてどういうことができるのかというのは非常に難しいことだとは思いますけれども、ここに記述をしていただくこと自体については、証券業界としても、特に違和感はないという認識でおるところでございます。

以上です。

○吉野座長

ありがとうございました。お話のように、日本人って、サービスというとただだと思うんですね。言い方として、「じゃあ、これ、サービスしときます」と言うと、ただでおまけしますという意識ですから、ですから、お話しのように、金融に関してもいろいろ情報を提供されるんですけど、それを日本人はみんなただでもらうものだという意識ですから、なかなか独立系のフィナンシャル・プランナーとか、フィナンシャル・アドバイザーが育ってこないというのはあるような気がいたします。

ほかに、じゃあ、後藤委員、どうぞ。

○後藤委員

大きく申し上げると、私、立場的にマクロ的、あるいは総論的な観点から4点ほどご指摘させていただきたいと思いますけれども、まず1つは、第3章の政府の役割のところの出だしといいましょうか、そもそも政府の位置づけというか、役割の大きなとらえ方みたいなところを少し明確に書いてもいいのかなと思いました。と申しますのが、規制監督のあり方みたいな、その政府の位置づけというのは非常に大きな論点だと思いますし、実際長期的にいろいろな変遷を経てきたわけであると思います。

で、これ、第3章全体読むと、官民一定の距離感を持ちつつ、ディシプリンをきかしてという感じはにじみ出てはいるんですけれども、例えば最初のところに政府の位置づけみたいなのを少し明確に書いてもいいような気がいたしました。これは、例えば1つの案ですけども、「金融行政の第一義的な目的であることは論をまたない」というところの後ぐらいに、例えば「論をまたず、今後も政府ならではの役割が存在する」みたい、やっぱり政府として一定の関与が必要なんだということを明確にしておいたほうが第3章を読むに当たってすっと入りやすいのかなという気がいたしました。

それから、同じような視点になるんですけども、私個人としては、2ページ目の外に向けてのグローバル化において、特に海外の規制監督当局にどう働きかけていくかというのは大変大事な役割だと感じてはいるんですけども、ただ、ご案内のとおり、現在、国際的な金融規制が、その現地の規制も含めて、海外の規制というのは非常に状況の把握自体が難しいように思っております。

例えばここに書いてあるEPAとか、FTAとか、下手をするとTPPあたりも多少は関与するのかもしれませんけども、さらに、現地それぞれの規制監督状況などになると、やはり一金融プレーヤーでは十分に把握し切れない、あるいは働きかけ切れないような非常に幅広い難しい問題を含んでいると思います。そういう状況をフォローして、そこに関与していくということ自体が1つの大きな役割だと思っていますので、これも、例えば1つの案ですけども、1のところの5行目ぐらい、「我が国の金融当局は、我が国金融機関と連携しながら」の後ぐらいに、「国際的な状況を幅広く把握しつつ」みたいな一文を入れると、そういう情報収集コストみたいなのを政府が一括して負いますというようなニュアンスが出るのかなという気がいたします。

それから、3点目ですけども、これは非常に細かいところではあるんですけれども、3ページ目の下のほうの4ですけども、「成熟した債権国」として投資収益を享受していくために、為替レートの安定化が望まれるというその論理展開なんですけども、ここはちょっと私自身、どういう趣旨なのかというのを、最初読んだときによく理解できずに、確かに長期的にはそういうこともあるのかもしれませんけども、為替レートの安定が投資収益の享受にどう役に立つのかというのの、そのメカニズムというのが必ずしも明らかじゃないような気がいたしましたので、例えばですけども、「成熟した債権国として長期的により大きな投資収益ぐらい」であれば、比較的理解が得やすいのかなという気がいたしました。

それで、最後、4点目ですけれども、第4章、今後の展望の一番最後のセクション、「おわりに」というところですけれども、「おわりに」-我が国金融業の将来像というところですけども、「以上のように、我が国金融業の前途には数多くの課題が横たわっている」と。これについては全く異論はないんですけれども、現状において課題が各論としてあるだけじゃなくて、私として非常に個人的に危惧を抱いているのは、今は確かに個人資産、金融資産1,400兆円あるし、金融システムも国際的に見れば安定していると思いますけども、これは長期的にも約束されているものではなくて、おそらく、例えば端的なところで言えば、ISバランスなんかが、今後、長期的には少子・高齢化を反映して変わっていく可能性がありますし、そんなに我が国の金融業の発展にとって使えるリソースが残されている期間というのは猶予がないのではないかという危機感を持っています。それをつらつら書くと切りがありませんので、例えば「数多くの課題が横たわっている。」の後に、「長期的なマクロ経済環境にも不透明要素が多い」ぐらいを入れておくと、少なくとも私なんかが持っている危機感を反映し、あと、こちらの場でもほかの委員からもそれに近いようなご発言はあったような記憶がありますので、そういった一文を入れていただいてもいいのかなという気がいたしました。

以上です。

○吉野座長

どうもありがとうございました。先ほどの第3章の為替のところで、3ページの下から6行目、7行目ぐらいの「成熟した債権国」、ここでの私の考えとしては、成熟した債権国ということは、それだけ海外で運用して、そこの収益を得たりしてくると。そのためには大きな為替変動によって為替リスクをこうむるということがやっぱり打撃になるということで、為替の安定が望まれるというふうに書かせていただいたので、先ほどのような文も少し入れればと思いますので、ありがとうございました。

それから、そのほかの点につきましても、修正できるところを考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。じゃあ、永沢委員、どうぞ。

○永沢委員

追加意見で恐縮です。河野委員が先ほどおっしゃった懸念というのは、実は私も初めて読みましたときに思いました。リスクマネーという言葉は、よく読むと、例えば資料1-6の8ページの(2)のところに、「個人が直接的にリスクマネーを供給することにはおのずと限界がある」などと触れてあって、リスクマネーが出てくるところというのは、日本の国民全部のお金がリスクマネーに向かうというようなことを考えているわけではないということは十分にわかるんですが、初めて読んで、リスクマネーという言葉だけを見たときに、リスクマネーという言葉についての知識がない者が読んだときには、政府は対応を変えたのだろうかと誤解しないとも限らないとも思います。リスクマネーという言葉が出てくるときに、少し丁寧に形容詞をつけていただくといいのではないかなと思いました。

私としては、読みながら、初め、ちょっと違和感があったときには、リスクをとることを覚悟しているお金、リスクを認識して覚悟しているお金というふうに読み直して読むようにはしておりました。リスクマネーという言葉が出てくる初めのところで説明を入れていただければ、適切に、読んでいただく方に伝わるのではないかなと思います。河野委員のご懸念は、私はもっともかなと思いましたので、意見を追加させていただきたいと思います。

以上でございます。

○吉野座長

ありがとうございます。やっぱりこのリスクマネーという言葉を聞かれたときに、一般の方々が何だと思われないように、少し説明なり、修文を考えたいと思いますので、次回に、また、たたいていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

じゃあ、井潟委員、どうぞ。

○井潟委員

私からは、今日はあんまりないんですけども、先ほどの大崎委員のご意見には非常に賛成する部分があります。

それから、あと、こちらの第3章の2ページ目のところ、先ほども触れられた委員の方がいらっしゃいましたが、政府が海外の規制に対して民間と一緒になって緩和を訴えていくとおっしゃっていただいているこのパラグラフというのは、非常に評価できるんじゃないのかなと思っております。日本の事業法人が海外で展開していく上で、我が国の金融業がそれを支えていくという役割は非常に大きく、そして現地で一緒に支えていくという役割を遂行していく点でも、それから、金融業自体の今後の収益の拡大という点でも、さらに、我が国が国際的な責任を果たしていくという点においても、それらの実現に向かってのグローバル化に関する1のパラグラフ、特に前半部分と真ん中あたりまでの部分というのは非常に重要なことじゃないのかな、これがこういう形で記述されているということについては大変ありがたいことだと思いました。

それから、あと、最後のところ、毎回しつこく確定拠出のことをお話しさせていただいて、ほんとうに恐縮と思うんですが、資産運用、とりわけこの確定拠出の前のところの、「年金については」という文章も評価したい。このWGで何回か皆さんが触れられる資産運用ニーズという言葉がありますが、資産運用ニーズの究極的な源泉というのがおそらくこの年金、あるいは退職後の生活に向けての準備であることは間違いない。これについて、こういうパラグラフが一つきちんと明確に書かれたという点は非常に評価できる、これはみんなが読むべき文章じゃないのかなと思っています。

とりわけ確定拠出につきましては、ほんとうに厳しい現実の中で、これまでの伝統的な企業年金であった確定給付型に、非常に大きな制度変更リスクというものが発生しており、注目せざるを得ない。確定給付型を守っていくということ自体が、金科玉条のごとく確定拠出型を守っていくということ自体が、そういう制度変更リスクという点においては、もしかしたら、従業員の中長期的な受給権というものを必ずしも実は守ってないことにもつながりかねないような非常に厳しい現実の中で、各従業員ごとに個人口座が明確に分別されて、その個人口座に入ったお金はその後の制度変更リスクには一切さらされないという、こういった本質的な制度である確定拠出年金制度についても、利用拡大といったことがうたわれているという点については、非常に評価できる文章じゃないのかなと感じた次第でございます。

以上です。

○吉野座長

どうもありがとうございます。先ほど3章の2ページの真ん中ぐらいの海外の規制とか、国際的なルールのところは、製造業も含めて日本のビジネスがやりやすいような規制、そういうものを守っていっていただくということも必要だと思いますので、そういう意味では、この国際的なルールに関しての官民の協調、あるいはそういう情報を与えていくということは必要だと思いますので、皆様ご意見の一部を含めて、少し修文させていただきたいと思います。

ほかにございますでしょうか。河野委員、どうぞ。

○河野委員

すいません。全体を通じてというか、どこをどういうふうに表現すれば、それが入れ込めるかというのは、ちょっと私が指摘できないんですけれども、要するに、個人資金のリスクマネーへの転換であったり、あるいは機関投資家における運用というふうなところで、大変失礼なんですけども、日本以外のある種の先進国で、要するに、自己責任はもちろん負っているとして、海外にいる金融機関であればできるある種のリスクを回避したり、よりよいのに転換したりする運用のやり易さのレベルが、日本の今の金融機関なり、金融商品のレベルと違うということはないんでしょうか。

例えばこの間、新聞で海外の金融機関で日本支店、あるいは日本の法人にも、貯金なら貯金の1,000万円の保障を実行させるなどというふうなことがあって、別にそれはどちらでもいいんですけども、基本的には我々が海外の金融機関の海外支店を利用して、そこに、例えばオーストラリアだと、金利が高い。もちろん為替の変動リスクも高い。でも、個人としては、例えば日本の銀行さんが海外に出られて、世界の銀行さんがおやりになっているように、そこの金融機関、要するにシンガポールであったり、香港であったり、であるところに預金をするというふうなことの自由度というんでしょうかね。そういったものは、日本では今、できないというか、できると言えばできるんでしょうけど、日本の金融機関さん、日本の銀行さんはそういうことはおやりになってないと思うんですけれども、世界とイコールな金融環境があって、競争ができるということが一応ベースにはなっているんじゃないかとは思っているんですけども、それはそういうふうに考えててよろしいんでしょうか。

私が出した例は具体的だったんですけど、適切な事例かどうかはちょっとよくわからないんですけど、その気になれば、ほんとうに個人は、リテラシーは少ないながらも理解して、いや、もう少し、0.01%はないでしょうと。2%、3%だったらどうでしょうみたいな形で物を考えていくと、日本ではちょっと難しいケースのほうが多いかもしれないんですよね、今の条件の中ではですね。それはもう銀行金利なりがもうあの状態で、国債の金利も今のようであれば、もともとそこでやるのは難しい。で、海外で機関投資家がおやりいただくとしたら、実は、ちょっと海外の何とか支店の方とほんとうにやりとりすると、そっちのほうが高い。だけど、為替の変換リスクとか、ずっと持ち続けるか、あるいはそっちへ住んじゃうかみたいなところまでとらないとなかなかそれが手に入らないということも現実にはあるんですけども、そのことにおいて、先進諸国と比べて日本の今のルールというのか、規則というのは不自由な面があるのではないでしょうかというところと、もしもあるとすれば、それはイコールになっていく方向に向かっているのでしょうかというのをちょっと知りたいというか、教えていただきたいことなんですけれども。

○吉野座長

グローバルの運用は、日本は別にそんなにほかの国と比べて規制があるということはないと思います。ですから、河野委員がぜひ海外へ行って預金したければ、あるいはそちらが運用したければ幾らでもできると。それでよろしいんですよね。

○河野委員

ただ、それ、日本の金融機関さんを通してはちょっと難しいです。日本の金融機関さんは多分そういうことはあまりおやりになってない。

○吉野座長

ただ、外貨預金というのも、日本の金融機関さん、お持ちだと思うんですけど。じゃあ、大崎委員。

○大崎委員

そこは、若干混ぜっ返すようですけど、むしろ、外貨資産への投資するような商品を証券会社とか、銀行がお勧めし過ぎたんじゃないかというご批判をむしろ直近の円高局面で受けているというのが、むしろ現場の実感じゃないですかね。今、よく言われるのは、例えば国内の株式なんかに向かうお金のほうが少なくなっているという話があるんで、非常に日本人の資産運用はグローバル化しているんじゃないかと思いますけど。

○河野委員

わかりました。要は、そうですね。外債とかということにおいては、それは常にできる状態だと思いますけれども、ある種の安定性と、要するに、ローリスク・ローリターンでそれを0.01%じゃなくて、2%、3%という台に戻しているときにいうと、それは……。

○大崎委員

ですから、現状の経済状況だと、2%というのは相当ハイリターンなんですよね。それは昔は低かったかもしれませんけど、ですから、ハイリスクになってしまうということだと思います。

○吉野座長

河野委員のご質問のこと、少し経済のほうからいいますと、例えば海外が3%、4%で回ってます。で、国内が0.01%で、例えば預金してますと。そうしますと、為替が全然変動しなければもちろん海外で運用すればいいんですけども、金利平価説というのがありまして、資金が動きますと、そこで為替が変動して、最終的には完全な資本移動であれば、国内の金利と為替まで考えた海外の金利は最終的には一致しちゃうんですね。そうしますと、せっかく2%、3%と思って運用しても、1年間の間に資金がちゃんと合理的に動いたとすると、最終的には0.01%にしかならないという、それが完全な資本移動の場合の金利平価説なんです。

そうしますと、河野委員がおっしゃっている日本が0.01%で、どこかが名目高いからといっても、そういうふうに最終的には、戻ってきたときには0.01%になってしまうのが金利のインタレストレートパリティの場合なんですね。だから、そうしますと、じゃあ、どういうところでもう少し見なくちゃいけないかというと、もうちょっと情報を見て、それぞれの国で普通の人がやっているんじゃなくて、もう少し情報をたくさん持って、こういう企業に行けば、その2%、3%よりもっと稼げると、そういう情報がないと、私はなかなかうまくいかないんじゃないかと思います。

ですから、そういう意味では、日本の金融業の方々が、諸外国の金融業と比べてどこまでそれぞれの国なり、地域での情報をより多く持っているかということが最終的な勝負になるような気がするんですけど。

○河野委員

それはおっしゃるとおりだと思います。はい。

○吉野座長

ほかにございますでしょうか。じゃあ、藤原委員、どうそ。

○藤原委員

河野委員の海外と日本の違いで1つだけ言えることは、日本で外貨預金口座を開設するときは、時間が非常に長くかかり、30分から1時間ぐらいかかります。その際、個人資産が幾らあるのかといったアンケートに答えなければ、そういう口座を開くことができません。これが政府の指導のもとなのかどうかわかりませんが、海外で外貨預金の口座を開設するときは、質問状に答えるとかはなく、ほんとうにすぐ口座をつくることができます。だから、こういった事務的な違いというのはあると思います。これは、ほんの一例ですけどね。一方で、私が、国際金融の仕事をしていたときに、海外のメディアに日本にはこういう規制がある、ああいう規制があるとかっていう感じで結構書かれていましたが、ほかの国が書かれないだけで、日本が規制が特に強いとは思いませんでした。

以上です。

○吉野座長

やっぱりあまりいろいろな変な規制があることによって、日本の取引企業、トランズアクションコストといいますが、こういうものが多いのはやっぱり直していくことは必要だと思いますけども、ただ、いろいろなときに金融機関がどういうリスクがありますかということを利用者の方に説明するというのはやっぱり最低限必要だとは思いますので、両方のバランスだとは思いますけれど、ありがとうございます。

ほかにございますでしょうか。よろしいですかね。じゃあ、篠原委員、どうぞ。

○篠原委員

意見というより質問なんですけど、TPP、今、事前協議の段階ですけども、アメリカから、この金融についての要求というのは何か出ているんでしょうか。出ているとすれば、どんな要求が出ているんですか。

○吉野座長

どなたか、金融庁の方で。

○篠原委員

あまり出てないですか。

○黒澤総務企画局企画課長

申しわけございません。今現在、情報は私どもも持っておりません。

○吉野座長

多分アメリカにしてみれば、ほとんど日本の市場はオープンさせたという感じがあるんじゃないですかね。そうでもないんでしょうか。

○篠原委員

そうなんですかね。

○吉野座長

ええ。よろしいでしょうか。ほかになければ、よろしいですか。

今日は、いろいろ貴重な意見、ちょっと早目でございますけれども、ありがとうございました。

また、前回と同様に、追加コメントがございましたら、1週間以内にまた事務局のほうにお送りいただければと思っております。

それから、次回の日程に関しまして、黒澤企画課長のほうからちょっと説明していただけますでしょうか。

○黒澤総務企画局企画課長

本日はご熱心なご審議ありがとうございました。次回につきましては、また座長とご相談の上、5月の中旬あたりを考えておりますので、またよろしくお願いいたします。

○吉野座長

今日のご意見も踏まえまして、修文させていただきまして、またご議論いただければと思います。今日は少し早目ですけれども、これで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

お問い合わせ先

金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課(内線3645、3520)
本議事録は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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