第64回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

令和5年6月23日(金曜日)13時00分~15時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室(オンライン会議)

  • 神作座長

それでは定刻になりましたので、ただいまから、金融トラブル連絡調整協議会第64回を開催させていただきます。座長を務めさせていただいております神作でございます。皆様方におかれましては、御多用のところ御参加いただき、誠にありがとうございます。

冒頭、事務局から、本会合に当たっての事務的な御連絡をしていただきます。よろしくお願いします。

  • 今西室長

事務局を務めます金融庁金融トラブル解決制度推進室の今西でございます。

本日の会合につきましては、オンラインによる開催とさせていただいております。会議中はビデオの映像機能をオンにしたまま、マイク機能は御自身が発言されるとき以外はミュートに設定した状態でお願いいたします。

オンラインでの開催のため、一般傍聴は無しとさせていただき、メディア等の方々には金融庁内部の別室にて傍聴いただいております。

なお、議事録は通常どおり作成の上、後日、金融庁のウェブサイトに掲載させていただきます。

事務局より以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは早速ですけれども、議事を始めたいと思います。本日は、まず各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。

また本日の議題であります「ここ3年の相談・苦情・紛争解決対応における工夫・取組と今後への継続・課題」に関しまして、指定機関より御説明をお願いしたいと存じます。これらの説明が終わったところで一度、御意見・御質問をいただきたいと考えております。

その後、「金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況」、「金融ADR連絡協議会の概要」につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室及び事務局から御説明をいただき、御意見・御質問を頂戴したいと存じます。

それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

  • 今西室長

それでは、指定機関におきます令和4年度の業務実施状況につきまして御説明をさせていただきます。

資料が複数ありまして恐縮でございますが、その中の資料1-1「苦情処理手続実施状況」、横判の表を御覧ください。

表の左手、(1)「苦情処理手続件数」がございます。その左から2番目の項目に「当期の受付件数」及び「前年同期比」がございます。一番下の青色の欄で8機関合計を御覧いただきますと、7,200件余りを受け付けてございます。前年と比べて2割増加しております。指定機関別に見ますと、全銀協、生保協、FINMACなどでの増加が見られております。

続きまして資料が変わりまして、資料1-2「紛争解決手続実施状況」の表を御覧ください。先ほどと同じく左手(1)「紛争解決手続件数」の一番下、青色の欄で左から2番目「当期の受付件数」を御覧いただきますと、8機関合計で1,100件余りを受け付けております。前年と比べて8機関合計で若干増加しており、指定機関別ではFINMACなどでの増加が見られております。

続いて資料が変わりまして、資料1-3、束になったものでございます。こちら表紙からめくっていただきますと、苦情処理手続・紛争解決手続、それぞれの棒グラフ及び円グラフがございます。棒グラフで示しております受付件数につきましては、足元の状況を先ほどの表で触れましたので、ここでは円グラフを御覧ください。3ページ以下になります。

右下のページ数の表示で3ページ目を御覧ください。苦情処理手続における結果について、グラフ右側に令和4年度分をお示ししております。グラフ左側の前年、令和3年度と比べて大きな変化は認められていないかと思われます。

4ページ目は苦情処理手続の終結までに要した期間、時間についてでございます。円グラフの上部、いわゆる12時の位置から時計回りで、期間の短いところの割合が、令和4年度、少しですが前年と比べると増えているかなと見受けられるところでございます。

さらに7ページ目は、紛争解決手続における結果につきまして、また8ページ目は、紛争解決終結に要した期間についてお示ししたものでございます。いずれも前年同期と比べて大きな変化は認められていないかと思われます。
 業務実施状況についての事務局からの概要説明は以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、「ここ3年の相談・苦情・紛争解決対応における工夫・取組と今後への継続・課題」につきまして、指定機関より御説明を頂戴したいと存じます。

御説明に先立ちまして、議題の趣旨等につきまして、改めて事務局から御説明をお願いいたします。

  • 今西室長

引き続きまして、今西より説明させていただきます。

「ここ3年の相談・苦情・紛争解決対応における工夫・取組と今後への継続・課題」に関しまして、その趣旨等でございます。口頭になります。

令和2年(2020年)の春以降、御承知のように、人と会う、出勤を含めてどこかに移動するといったことに気遣いを要する状況に日本全体が置かれてまいりました。そうした状況にございまして、金融ADRを担う指定機関は、相談・苦情・紛争解決の申出対応にできる限り支障が生じないように工夫し、取り組んでこられたところでございます。また指定機関は、その少し前の時期からも例えばオンラインやテキストベースによる対応への御認識を深められつつございました。

令和2年(2020年)1月に開催いたしました当協議会の58回、対面で開催させていただいた回でございますけれども、そこでは、お客様からのADR機関へのアクセス・利活用の向上をテーマに、例えば平日昼間は時間を取りにくい方、サラリーマン等の方、あるいは対面や電話よりも別の通信手段に慣れておられる方、最近の若い方々ですけれども、そういった方々も念頭に御議論をいただきまして、その際、ODR、すなわちオンラインなどを通じた相談・苦情・紛争への対応にも触れられたところでございます。

世の中の状況、医療面からの法的な位置づけが本年5月に御承知のように切り替えられました。切り替えられたこのタイミングで、ここ3年、あるいはそれ以前からの取りかかりを含め、指定機関による申出対応への工夫・取組について改めて共有いただき、皆様からも御議論いただくことは、今後に向けた参考になるものと考える次第でございます。

この後、各指定機関から御説明いただく資料でございますが、資料2になります。資料2を見ていただきますと、表紙と目次に続きまして、8機関を一つに編綴いたしております。めくっていただきまして内容を御覧いただきますと、それぞれ8機関、左側に着眼点として細かな区分を含めますと7つ設けまして、それに答える形で右側に記載をいただいております。

着眼点の概要、大きな流れを申し上げますと、大きな1で、取組の工夫の枠組みについて、従前から足元まで時間を追っての御説明、すなわち(1)が令和2年(2020年)春以前、(2)が本年5月までのここ3年の時期、(3)が本年5月以降でございます。(4)は、(1)から(3)を通じまして、オンライン等の利用について概観いただくことにいたしております。

また大きな2では、ここ3年でのお客様からの申出の内容や傾向に従前との変化・特徴があれば記載いただいております。

また大きな3の(1)及び(2)では、ここ3年の御経験も踏まえまして重要と思われる点、有用な仕組みなど、さらには今後に向けた対応や課題等について整理いただくといった構成といたしているところでございます。

事務局からは以上でございます。

  • 神作座長

ありがとうございました。

それでは、各指定機関より御説明をお願いすることといたします。8機関合わせて40分程度、各機関4分から5分ほどで御説明をお願いできれば幸いでございます。

初めに全国銀行協会の寺内委員に御報告・御説明いただきたいと思いますけれども、委員は今回より御参加でいらっしゃいます。本日は代理で大坂様に御参加いただいておりますけれども、お願いできますでしょうか。

  • 大坂委員(代理出席)

御紹介いただきました全国銀行協会相談室の大坂と申します。今日は委員である部長の寺内が所用がございまして、私が代理で出席させていただきます。

それでは資料に沿って御説明申し上げます。私ども全銀協のパートは1ページ目となりますけれども、主な点を中心に御説明いたします。

まず1の(1)でございます。コロナ禍前の状況でございまして、苦情につきましては、私ども全銀協相談室において、電話、来所、封書、それから障がい者の方向けに「相談・苦情受付フォーム」を当時設けておりまして、これは2016年4月に障害者差別解消法が施行されたことを契機に、当時から設けておったものでございます。一旦受け付けました相談・苦情につきましては、その後、電話または面談、一部については文書でお客様とやり取りをしておりました。

次に紛争でございます。2ページ目に行っていただきまして、コロナ禍前においては、全て文書でのやり取りでございまして、実際に申立があった案件につきましては、その次の「あっせん方法の種類」でございますが、まず、あっせん委員会として、全ての事案について文書で適格性の審査を行います。この適格性審査が通った後、あっせん委員会として事情聴取をするステージに進んだ案件については、対面での面談、あるいはテレビ会議、電話会議等を使っておりました。ただ、当時のテレビ会議は同時に接続できる先が2か所ということで、だんだん記憶の彼方に行ってしまった方もいらっしゃると思うのですけれども、当時のテレビ会議システムは2か所とか3か所でしか接続できない、ということでございました。

続いて(2)でございます。その後、コロナ禍後の状況でして、まず苦情でございますが、1点目のポツですが、第1回目の緊急事態宣言下、2020年4月ないし5月当時、ゴールデンウィーク期間中においても、私ども全銀協相談室においては相談業務を行いました。当時、電話が鳴りやまない状況でしたので、現状の新しい事務所、すなわち新しい銀行会館に2021年2月に移転したのですが、その際にコールセンターシステムを刷新いたしまして、話中ガイダンス等を中心にアナウンスを流すということで、コールの鳴りっ放しを防止するなどの対策を取っております。

一方で来所相談でございますが、感染拡大防止という観点で、私どもにおいては、5類になった後2週間ほど様子を見たのですが、5月19日までは来所相談を休止し、翌週明けから再開ということで始めております。

それから、業務継続の工夫という観点で4点目でございますけれども、それまでの間は先ほど申し上げました障がい者の方を対象に設けておりました「相談・苦情受付フォーム」、こちらを別途、健常者・障がい者を問わず書き込みいただけるように新たに全銀協のサイト内に作りまして、2020年10月から運用を開始しております。この利用件数等については対外的に公表している数字はないのですけれども、今回、この資料上で書かせていただきましたが、2021年度は1,001件、2022年度は812件ということで、これは件数ベースでございますので、実際の書込み数はもっと多いです。

資料には載せていないのですが、私どもの内部管理上、この苦情受付フォームについても分析等をしておりまして、簡単に御紹介いたしますと、足元1年強ということで、2022年5月から2023年5月の13か月、この13か月としているのは、1年前の前年同月比を見るために13か月にしているのですけれども、内部管理で状況を追っておりまして、この受付フォームについては月間平均して70件ほどの書込みがあります。同じ時期に、私どもの電話等も含めた相談・苦情の受付は月間で平均して1,470件となっておりますので、相談・苦情の受付チャネルという意味では、現状、5%弱をこのフォームが占めている状況になっています。

それから、この受付フォームの利用者の分析も適宜やっているのですが、私どもで2022年5月から2023年5月の13か月間の状況を分析したところ、一番多いのは40歳代の方で47%となっています。電話等では40歳代の方は8%という統計になっておりますので、このフォームを使っている方の属性は随分違うのかなと分析していることが1点。それから、書込みについては、月曜日から金曜日までウィークデーがほぼ同じ状況で、どの曜日も15%から16%程度。土日は10%となっていることのほか、書込みの時間、これも書き込まれた時間のログが取れるので分析できるのですが、平日・土日という形で分けてはいないのですけれども、9時から17時が約39%、それから17時以降翌朝の9時まで、我々の業務時間外の時間帯が61%となっておりまして、やはり業務時間外に勤労者世代の方が書き込むケースが多いということになっておりまして、新しい一つのチャネルということで活用できているのではないかという調査結果をご報告させていただきます。

続いて3ページでございます。紛争でございますが、1点目のポツで、2021年1月に業務規程を改正し、御当局の認可を得て3月から施行した新しい業務規程において、押印不要、ペーパーレスという扱いにいたしました。その後、銀行については、昔は答弁書や回答書といった文書を紙でやり取りしておったのですが、現状は全て電子的なやり取りに移行しております。

それから3ポツ目ですが、新型コロナウイルス感染防止の観点から、可能な限り、お客様、それから銀行の希望に沿った会場選定を行うことのほかに、対面によらない形で事情聴取を行うことができるよう、ウェブ会議の端末を当事者双方に送って、ウェブ会議の画面越しに対応するような柔軟な方法も採用しております。

こちらのウェブ会議なのですけれども、資料の後ほどにも記載させていただいておりますが、今、社会的に使われているZoomや、今日の金トラなどでのWebex、それからTeamsのようなものではなくて、従前のテレビ会議を前提にしたアプリケーションを採用しているウェブ会議システムを、2020年10月に導入しております。

こちらの利用も、我々の内部管理上、定期的に分析しておるのですが、御参考ということで申し上げますと、今日の資料1-3で紛争解決手続の終結の件数がございます。例えば令和3年度、全銀協は115件終結していることになっておりますが、この115件の中で実際にあっせん委員会が当事者の方々と面談したのは89件ございまして、この89件のうち、完全オンラインのみで事情聴取を実施したのは15件、約17%となっております。さらに2022年度(令和4年度)でございますけれども、同じく資料1-3では、全銀協の紛争解決手続終結が81件となっておりまして、同様の計数を申し上げますと、この中で、あっせん委員会が面談を行ったのは59件となっており、その59件のうち、完全オンラインで行ったものが13件、22%ということで、利用率が足元で上がっており、完全オンラインの事情聴取も相当程度、我々は実施しております。

3ページの(3)に進みまして、変更した枠組みでございます。まず1ポツ目ですが、来所相談については5月22日から予約制という形で再開しております。それから、先ほど御紹介しました苦情受付のウェブフォームにつきましては、利用者に口頭で会話を行うことが困難な方もいらっしゃいますので、かつては、お手紙でやり取りしていたのですけれども、最近は電子メールを使う方法も採用して対応をさせていただいております。

続いて4ページでございまして、(4)ですけれども、今後検討していることを御説明いたしますと、現状、社会的にZoomやTeams、Webex等の汎用的と書きましたが、ウェブ会議システムの利活用が進んでいることがあります。加えて、裁判手続等においてもTeamsやWebexの利用開始等がされていることも踏まえまして、現状、我々は別のウェブ会議システムを使っておるのですが、こういった、より安価で利便性の高いウェブ会議システムの導入・利用も検討しておるところでございます。

4ページ目の2に移りまして、ここ3年間の特徴的な申出ですけれども、1点目は、2020年を中心に、やはり新型コロナ関係の相談が多かったことが挙げられます。

それから2点目でございますが、マネロン対策が足元ずっと続いておりまして、特に2020年以降は銀行が実施しております取引目的等に関する確認書面に関する苦情・相談等が、多く寄せられているということでございます。

その下、申出内容の変化の有無でございます。1点目として、やはり新型コロナ禍以降、特にということなのですけれども、カスハラ関係のお申出が増えている肌感覚でございます。

最後、5ページ目に移りまして、3でございます。通常とは異なる状況にあっても継続してADR業務を行うという点ですが、私ども全銀協においては、新型コロナ禍においても業務を止めることなく、苦情・紛争の対応業務を継続して行ってまいりました。しかし、私、このコロナのときから相談室室長をやらせていただいておりますけれども、当初は、やはり新型コロナの病状がよく分からない。感染したら危ないのではないかというようなこともあり、社会的に切迫した状況の中で、我々相談室の相談員がカスハラに該当するような言動を受けると。それから、私ども全銀協においては、出社して相談対応業務を行うということで、在宅やリモートはできないことになっております。そういう形で、当時は出社すると感染するのではないか、怖いなということで、相談員も相当プレッシャーがあったということでございます。我々ADR機関として、業務を継続するに当たっては、まずは職員の心身の安全等が必要であるということでございます。

最後に(2)でございます。今後の取組課題でございますが、1点目ですけれども、最近、認知症と思わしき方の相談・苦情が多く、何度も対応しても次の日になったら忘れてしまうような形で、度々電話をしてくる方とか、あるいは銀行の窓口でも同様の対応をして、もう銀行が相手にしてくれないという苦情であるとか。このあたりが相当数、今はあるということで、このあたりの繰り返される苦情・相談が課題というのが1点。

もう一つは、AI等も含めてなのですけれども、社会的にIT化や電子化がすごい勢いで進んでおりますので、このあたりをどういった形で取り入れていくかの検討。これが課題と考えております。

説明は以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、信託協会の西川委員、御報告、御説明をよろしくお願いいたします。

  • 西川委員

それでは御報告をいたします。

まず1の(1)でございます。コロナ前の対応でございますが、苦情・相談につきましては、電話、来所、書面で受け付けるということでございますが、多くは電話でございます。紛争につきましては、書面(郵送)による申出を受け付けまして、来所であっせん委員会を開催するということでございます。当時、オンライン化につきましては未検討という状況でございました。

次に(2)でございます。ここ3年でございますけれども、変更した枠組み等でございます。まず緊急事態宣言以降、相談・苦情に係る面談を中止いたしました。次にコロナ禍によって、協会全体におきましてウェブ会議システムを導入したことに伴いまして、あっせん委員会のオンライン開催につきましても検討を行いました。これは令和3年7月に論点整理まで行いましたが現在まで開催の実績はない状況でございます。

次に令和4年3月からでございますが、当協会のホームページにおきまして、相談・苦情受付フォームを設けまして、投稿フォーム、メールによる相談・苦情の受付を開始いたしております。また、年2回開催しております信託相談所運営懇談会、有識者を招く懇談会におきまして、委員の方から、相談・苦情の電話の内容を録音することを提案されたことから、これを踏まえまして事務局内で検討の上、令和4年7月から相談・苦情の内容の全件録音を開始したところでございます。

また、資料には記載しておりませんが、紛争解決手続に関する書面等、これを電磁的なもので行うことを可能とする業務規程の改正等を行っております。本年4月から施行されておりますが、今のところ、まだ実績はない状況でございます。

なお、投稿フォームによる効果の分析でございますが、私どもで言いますと、いたずらとか営業のものを除きますと、月に大体3~4件ほどでございまして、そんなに多くはございません。全般的に年代を調査いたしますと、ややフォームによる投稿のほうが一般の電話による相談よりも若干世代の若い方々が多い傾向があると見ておりますが、その一方で、80代以上の方の投稿も10%近くあるなど、やや裾野が広くなっているところでございます。

次のフォームの導入による影響でございますが、実感として、そんなに相談などが増えているといったことはありませんが、営業時間外や休日中の投稿もあるので、相談しやすい状況が作れているのではないかなと考えております。

カテゴリー分けでございますけれども、私どもの主な相談内容として幾つかの業務がございますので、こちらの業務につきまして一部、カテゴライズしてはいますが、相談の多くは「その他」ということであり、自由投稿による内容の記載が専らでございます。

あと、AIの利用などにつきましては、相談が年間1,200件程度でございますので、そういったことは現状考えておりませんが、主な相談ということでホームページに掲載している業務ごとの主なQ&Aについては徐々に充実させていきたいと考えているところでございます。

次に(3)にまいります。5月以降の変更予定・検討中のものでございますが、6ページの下でございますけれども、新型コロナウイルスが5類感染に変更されたことを踏まえまして、苦情・相談等の面談を予約制により再開をしたところでございます。

次の7ページに行っていただきますが、現状、変更予定のものにつきましては特にございません。

次の(4)のオンライン化でございますけれども、前述のとおり、令和3年7月に論点整理を行っておりますが、現在まで開催の実績はございません。そうした検討をしておりますが、あっせん委員会をオンラインで開催する必要のある具体的な事案が出てきた段階で、この論点整理を踏まえまして、また個別の御事情、例えば高齢で外出が困難であるとか、こういった事情を踏まえまして具体的な運営方法を詰めていくということを考えているところでございます。

次にナンバー2の、ここ3年の申出者を取り巻く状況と特徴でございますが、当協会におきましては、従前から、コロナ関連の相談・苦情はほとんど寄せられておらず、特に特徴的な申出はなかったと考えております。

なお、1つの事例ではございますけれども、あっせんを申し立てたものの、コロナ禍での感染リスクを考慮されまして、あっせん委員会の参加を躊躇した申立人が、あっせん委員会の日程を何度かセットしたにもかかわらず、その都度キャンセルされて、最終的には取下げとなった事案がございました。この当時、既にオンライン化に関する論点整理は終わった後でございましたので、私どもからもオンライン開催について打診しましたが、申立人がオンライン開催に消極的であったことから、オンライン開催は実現しなかったといったことがございました。

その下、「申出内容の変化の有無とその概要」でございます。先ほど申し上げましたとおり、コロナ関連の苦情・相談がほとんど寄せられなかったので、特に申出内容の変化を感じているところもございません。

次、8ページでございますけれども、今後のところで、重要なこと、有用な取組につきまして、特に現状考えているところはございません。

簡単でございますが、以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、生命保険協会の紅松委員、よろしくお願いいたします。

  • 紅松委員

よろしくお願いいたします。9ページを御覧ください。

まず1の(1)コロナ以前の体制でございます。苦情につきましては、本部のほか地方50か所で受け付けてございました。また受付方法につきましては、記載のとおりですけれども、電話、来訪、文書、ウェブフォーム。ウェブフォームについて当時は障がいをお持ちの方向けということで運営してございました。紛争に行きまして、紛争は本部で受け付けておりまして、受付それからやり取り、こちらにつきましては文書でのやり取りで対応してございました。

10ページに移らさせていただきます。コロナ禍での対応でございます。まず苦情・紛争につきましては、利用者への情報提供の充実を行うことを目的としまして、ホームページに相談・苦情、紛争手続に関するQ&Aを載せていますが、これの拡充を図ってございます。また②に記載のとおり、新型コロナウイルス感染防止策を講じてございます。

苦情に移らさせていただきます。従来、対象者を障がいをお持ちの方に限定しておりましたウェブフォームにつきまして一般の方にも受付を拡充してございます。この結果につきましては一部分析を行っておりまして、全銀協さん等々とかなり近いのですけれども、20代、30代といったやはり若い世代の利用率が高く出ている傾向がございます。また当相談所の営業時間外からの送信が全体のうちの5割強、56%を占めている状況も出ているところでございます。

資料に戻りまして、苦情の②でございますけれども、2020年4月から、新型コロナ感染防止対策ということで外来相談の受付を休止という対応を行ってございます。

紛争に移らさせていただきます。1番目としまして、業務規程を改正しまして、裁定手続に関する書面等を電磁的方法により提出することを可能としてございます。またホームページに裁定の申立書様式及び記入例を掲載しまして、そこからダウンロードして作成することができるような利便性の向上も図ってございます。また裁定申立を希望した方にお送りしている「利用の手引」というようなものをより分かりやすくという観点から改訂してございます。

(3)に移らさせていただきます。この5月以降変更した点です。1点目、5月8日、5類移行に伴いまして、マスクの着用、事前予約、時間制限、こういった一定の条件の下で外来相談を再開させてございます。またODRの更なる推進については、他機関等との意見交換を行いながら、必要に応じて引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。

11ページに移らさせていただきます。(4)のオンライン化について特に取り組んできたこと、今後に向けて検討していることにつきましては再掲でございますので、説明は省略させていただきます。

2番に移りまして、ここ3年の特徴的な申出等です。まず特徴的な申出につきましては、御存知のとおり、生命保険各社におかれましては、新型コロナウイルス感染症に罹患された方のうち、宿泊施設、それから自宅等で療養されている方については、みなし入院としまして、入院給付金等をお支払いするなどの対応を行ってまいりました。こういったこともありまして、当相談所で受け付けている苦情でも新型コロナウイルスを原因とする相談・苦情、紛争案件がかなりの件数をいただいているところでございます。件数につきましては記載のとおりでございます。

主な内容を幾つか読ませていただきたいと思います。まず1ポツ目、コロナウイルスに感染した場合、入院給付金は支払われるのかといったような相談がございました。一番下、コールセンターに電話がつながらない、コールセンターの人員を増やすべきだというお申出も受けてございます。次の12ページの2つ目のポツ、新型ウイルスに罹患し、自宅療養したが、発症日ではなく陽性判定日からの支払いとなったというような苦情もいただいているところでございます。また入院給付金を請求しても、なかなか支払われない、支払いが遅いというような苦情もかなりの件数をいただいているところでございます。

申出内容の変化の有無と概要ということで、相談員や事務局職員の精神的な疲弊につながりかねない電話が増えております。このため、業務規程の一部を改正しているところでございます。

3番に移らさせていただきます。重要と考えていること、有用な点で、苦情につきましては、外来相談の休止、緊急事態宣言地域での地方連絡所の休止という対応も行ってまいりました。地方連絡所は一部地域で休止した場合は自動的に電話が本部に転送されるような形で、業務に支障がない形での運営を行ってございます。申出人・相談員双方の感染リスクを抑えるために一部機能を制限しつつ、可能な限り利便性の低下につながらない取組を行って業務継続を図ったところでございます。

また紛争につきましては、職員のシフト制であったり、感染防止策の対策を講じながら、通常どおりの業務運営を継続することができております。また紛争における事情聴取、これは当審査会におきましては原則、全件行う運営でやっているのですけれども、こちらにつきましても、感染防止策を講じながら、コロナ前と変わらない実施率を確保している状況でございます。

13ページに移らさせていただきます。苦情・紛争共通事項でございますけれども、情報提供資料等につきましても、在宅勤務などを活用してスケジュールを遅延させることなく、公表しているところでございます。

最後に、今後のさらなる取組でございますが、やはりODR化の推進につきましては非常に注目しておりまして、各金融機関等との情報交換を行いながら、必要に応じて引き続き検討を進めたいと思ってございます。

御説明は以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、日本損害保険協会の森脇委員にお願いいたします。委員は今回より御参加でいらっしゃいます。御説明、よろしくお願いいたします。

  • 森脇委員

損保協会の森脇でございます。御説明させていただきます。

まず14ページ、1の(1)、新型コロナ以前における苦情・紛争受付の枠組みでございます。苦情の受付ですけれども、全国10か所でございまして、受付方法は電話が98%、書面が1%、対面が1%でありました。紛争の受付は東京、近畿の2か所でございまして、あっせん方法は書面となっております。従来から、紛争解決手続を実施している東京または近畿と、出席者の最寄りの拠点をオンライン会議システムで接続して意見聴取を行っておりました。

ページをおめくりいただきまして、15ページでございます。(2)ここ3年で変更した枠組みですが、まず苦情につきましては、2023年4月以降、新型コロナへの対応ということではないものの、安定的な相談員の確保、BCP機能の強化等に伴い組織体制の見直しを行ったため、東京、近畿の2か所としております。受付方法は電話が99%、書面が1%でございまして、新型コロナ前の対面の1%が電話に移行したような形となっています。リモート化の流れも踏まえつつ、組織体制の見直しにより相談員の集中化が図られたので、東京、それから近畿におきまして、ウェブフォームによる受付を近々に開始する予定としております。紛争につきましては、受付場所やあっせん方法などに変更はございません。

次に16ページを御覧ください。保険会社につきましては、押印の一部廃止に合わせて、紛争解決手続の書類の一部を電子メールに変更しています。また申立人への対応としては、最寄りのセンターへの来訪が困難な場合に電話会議システムを使用した意見聴取も導入しています。保険会社や手続実施委員がオンラインで意見聴取あるいは審査会に参加できる仕組みを導入しています。

業務継続への取組・工夫、狙いと効果の部分でございますが、センター業務の継続性を確保するためにローテーションによる勤務を実施しています。また感染者が発生して執務室が一時的に使用できなくなってしまったような場合でも、隣接する会議室などにおいて業務を継続可能とするべく、システムインフラの整備も行っています。

次に(3)本年5月以降に変更した枠組み、取組・工夫でございますが、まず変更した枠組み等につきましては、新型コロナにより中止をしておりました面談による相談を再開しています。また変更予定・検討中の枠組み等でございますが、先ほど申し上げましたウェブフォームによる相談の受付のほか、今後、保険会社等との電子データによる書類の授受システムを近々に開始予定としています。

(4)オンライン化の取組と予定ということで、オンライン化について取り組んできたことでございますが、新型コロナ対策を契機としまして、手続実施委員、保険会社、申立人それぞれの審査会あるいは意見聴取へのリモート参加が可能になっています。

続きまして17ページを御覧ください。オンライン化について検討していることにつきましては、ODRの進捗、あるいは他機関の状況も参考にさせていただきながら、活用範囲の拡大などのオンライン化の推進を検討してまいりたいと考えております。

続きまして2ポツ、特徴的な申出と変化でございます。ここ3年の特徴的な申出内容といたしましては、新型コロナに罹患したことによる休業補償に関する支払額、あるいは支払対象に含まれるか否か、それから通院補償の対象期間などに関するものがございました。

次に3の(1)通常と異なる状況においての業務継続での重要な点、あるいは有益な仕組みでは、指定機関として業務を継続することがまず第一であると考えておりまして、そのため、感染リスク軽減の勤務体制ということで工夫をしてきたところです。また大規模なシステム開発ですとか、あるいは運用変更が困難な場合においても、可能な部分から柔軟に対応していくことが有用であったのではと考えています。

最後、18ページ、(2)を御覧いただきたいのですが、今後の課題等で、利便性の向上、あるいはセキュリティのバランス、こういったものを十分に考慮しまして、周辺環境の変化に応じた対応の検討を行っていくことが必要と考えています。

私からの御説明は以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、保険オンブズマンの種村委員。種村委員も今回より、委員に新しく御就任でいらっしゃいますけれども、本日は山田様が代理出席されており、御説明くださいます。よろしくお願いいたします。

  • 山田(雅)委員(代理出席)

本日は私どもの専務理事が欠席をしてしまいまして、申し訳ございませんでした。最初にお詫び申し上げます。

私どもは19ページからになりますが、基本的にはコロナはあまり関係がなくて、以前も以降も、同様の受付等を行っているのが現状でございます。当法人では大分前から受付もウェブフォームでも受付を行っておりますし、聴覚障がい者等に対しては電話リレーサービス等も御案内しております。そういったことで申立人に対するいろいろな施策は適時実施していると考えております。

あと紛争解決手続も、これも従前と同様でございまして、これもコロナはあまり関係なくて、ODRという言い方ですれば、コロナ時点においては、調停委員と各事業者(保険会社)との間ではWebexを使って実施しておりました。ただし、申立人は、こちらはちょっと特殊で、高齢者が多いものですから、なかなかオンラインに入ることができなくて、Webexが使用できないという特殊事情があります。それから、当法人は代理人を立てることを認めておりませんので、申立人ご本人に申立当事者となっていただく状態になっておりますので、これもなかなか難しいということで、申立人を含んだオンライン化は、以前、それから今後も難しいと考えています。

そういう中で1の(1)(2)(3)で、このような現状がありまして、1(3)ですが、申立人に対するどのような施策かよりも、再発防止策、つまり事業者の再発防止策についてどのような改善提案ができるかどうか。今まで私どもは各個別の連絡表を用いて提案をしていたのですけれども、今後は各社の設定しているPDCAのシステムがありますので、それとリンクさせて再発防止策に努めて協力をしていただきたいと考えております。

1(4)でございますけれども、これも同様で、申立人によるオンラインの参加は難しいのですが、調停委員会、それから事業者、これについては、そのまま、コロナで実施したWebexを使用して参加していただくことも可能かなと考えております。

それからちょっと飛びまして、3(1)ですが、申立人は事業者との間に情報の質及び量並びに交渉能力に格差があることが多いものですから、客観的にどのようなものが重要なのかという点を中心に御説明をしていくことを今後も続けていきたいと考えております。

私どもは以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、日本少額短期保険協会の大槻委員、よろしくお願いいたします。

  • 大槻委員

少短協会の大槻でございます。それでは御説明させていただきます。

まず1番目、コロナ前でございますが、記載のとおり、苦情につきましては電話を使って行っておりました。また紙ベースの資料を所有している申出人の方がいらっしゃれば、郵送またはファックスで取得をしていたということでございます。紛争解決手続につきましては、裁定案は全て紙で郵送することで対応しておりました。

それからコロナ後、ここ3年ということでございますけれども、当協会のホームページ上にお申出フォームというサイトを設けまして、ここで相談受付を開始いたしました。休日あるいは電話対応が不可能な御契約者の皆様の声を拾うということで、こういった対応をさせていただきました。この申出フォームによる受付が、2020年度、開始した当初は3件でございましたけれども、2021年度は54件、2022年度が59件でございます。本年度におきましては第1クォーターのまだ途中でございますけれども、既に19件ということですので、このまま年度に引き延ばすと80件強になる可能性がありますので、そういう意味では徐々に増えてきている状況でございます。

例えば2021年度を年代別で分析をいたしますと、全体54件ございますけれども、この中で最もウエートが高いのが50代の31%、続きまして40代の24%、次に30代の20%というところでございます。60代が13%、70代は2%でございまして、20代が4%で60代よりも低いことはございますけれども、これは少短業界の商品特性もあろうかと思いますので、簡単には判断できないかなと考えておりますけれども、受付自体は徐々に増えてきている状況かと思います。今年度で見て、この申出フォームサイトからの申出が全体の約2割位という状況でございます。

それから、2023年度5月よりの変更は特にございません。

そして特に取り組んできたことにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、これまで電話・ファックスでの対応がメールをツールとして情報を取得するような形に変わってきてございます。ただ、少短業界の中では例えば生命保険でいきますと葬儀保険と言いまして、比較的高齢の方の御契約者が多いようなこともございますので、なかなかやはり、こういった電子媒体の対応が十分でない方もいらっしゃるのも事実でございます。

全体的な取組としますとオンライン化の傾向がございますし、それから裁定委員会もウェブ化して進めているところでございます。

それから申出人を取り巻く状況を踏まえた特徴的な申出の受付という意味では、生保協会さんでもございましたけれども、やはり生命保険、医療保険がございますので、当時はコロナ保険に対する問合せが非常に多くあったところが一つ特徴かと思っています。

それからADR機関の役割で通常時期とは異なる状況にあっての継続・発揮ということですけれども、やはりこういった形で進めてきたということで、ADRの業務継続という意味では、こういった申出フォームとか、裁定委員会をウェブ化するとか、こういったことは非常に有用であるとは判断はしております。ただ一方、セキュリティ面においても配慮していくことが課題かとは考えます。

それから課題認識ですけれども、メールでのやり取りを見ますと、なかなかお互いの真意が伝わらないといいますか、相手の言っていることが分かりながらも、こちらの主張がやや芯を外した回答になっていくとか、こういった傾向があろうかと思いますので、なかなかジャストフィットする議論につなげていくのに課題があるかなということがございますので、こういったところについて課題感を持って今後対応していく必要があると考えています。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、証券金融商品あっせん相談センター(FINMAC)の丸野委員、御説明をよろしくお願いいたします。

  • 丸野委員

FINMACの丸野と申します。本日はよろしくお願いいたします。

資料の24ページから御説明させていただきます。

まず着眼点1の(1)でございます。苦情についてですが、受付場所あるいは受付方法は、特段限定していません。業務規程上も電話、来訪、封書等となっています。昨年度の苦情と相談を合わせた件数を多い順に申し上げますと、電話が94%程度、メールが5%強。当方のウェブサイト上の問合せフォームからのものをメールと言わせていただいております。その他、書面、来訪、ファクシミリ、これらを合わせて1%程度という状況でございます。電話は資料記載のとおりフリーダイヤルで受け付けています。来訪の受付場所等も電話と同様に、東京と大阪の2拠点で受付けています。なお、ウェブサイト上の問合せフォームからの受付状況ですが、全体としては5%程度とお伝えしておりますけれども、私どもで利用者の年齢を把握できている率は8割弱なのです。逆に言うと2割強の方には年齢をお聞きできていない状況です。ウェブサイト上の問合せフォームからの受付状況では、30代、40代の方は比較的多くの割合が、ウェブ上の問合せフォームを利用されている状況でございます。

受付後の対応方法でございます。原則として電話で行っており、当センターから文書を発出することはごくまれです。ごくまれな対応を執るのは、電話でコミュニケーションを取ることが困難な方に対応するもの、あるいは海外に居住されている方からも稀に御連絡いただきますので、そのような場合にメール等で対応することもあるということでございます。

紛争についてです。紛争の受付場所も東京と大阪の2拠点でやっています。法令に基づき、説明が求められている文書は郵送または手交によって交付し、電話を含む口頭で説明している状況でございます。

また、私どものあっせん申立書は、私どものウェブサイトにワード文書を貼りつけていまして、それをダウンロードしていただける形になっています。

あっせんの方法ですけれども、紛争解決委員と両当事者、この3名が同一日・同一会場に集合するものの、原則として別席調停により実施する場合が多いです。同席調停を排除する規程はございませんので、具体的な開催方法は紛争解決委員が決定している状況でございます。

文書のやり取りでございます。25ページになります。こちらは申立書とか証拠書類、これらは被申立人に提供し、被申立人から出てくる答弁書、証拠書類なども申立人に提供することとなっています。また紛争解決委員が必要と認めた場合には追加で資料提出を求めることがございます。そのほか、当事者が任意で資料を追加的に提出することも認めております。これらは原則として相手方にも渡すこととしていますけれども、紛争解決委員限りにしてくださいといったような提出方法も認めているところでございます。

続きまして(2)でございます。コロナ禍で何か変わったことがあるかです。私どもは来訪で相談とか苦情を受け付けることを、コロナ禍の間も一切閉じていませんでしたので、この部分では特段変わったことはございません。唯一変わった部分としましては、ウェブ会議ツールなどを導入したことで、これによって業務が円滑に進んでいるといった部分もあると理解してございます。出勤者の制限もコロナ禍下では行っておりました。

また今年の5月以降の工夫ということ、(3)でございます。特段これを受けて大きく変更したものはございません。従来どおり、来訪による受付も、コロナ禍下であろうがなかろうが、受け付けていました。

今後の変更予定などについてでございます。苦情受付その他の対応を電磁的方法により行うことが可能であることを明確化するために業務規程を改正予定でございます。こちらは先日開催しました理事会で改正が決議されまして、金融庁さんに認可をいただく段階に入っている状況でございます。併せてカスハラ対応ということで、一定の場合には苦情対応を終了することを明確化する改訂も行ってございます。当方では、電磁的対応についての明確化と言っております。我々では、特段、電磁的対応を制限するような業務規程があるとは理解していませんでしたので、利用者の方から御希望があれば電磁的対応も可能であると考えていたのですが、私どもは金融庁さんから指定を受けている以外に法務省からも認証を受けておりまして、法務省の方とお話をしているときに、どうせやるのであれば、しっかりと書いたほうが良いのではないですか、といったアドバイスをいただいたこともあって、今回、明確化という形での規程の改正を行った次第でございます。

(4)でございます。こちらのほうは今まで書いたものと同じものの繰り返しでございます。唯一挙げるとすると、各種会議等の録音はしていましたが、録音等を文字起こしできるツールを最近導入しました。

続きまして項番の2番でございます。最近の特徴的な申出がどういったようなものかという部分でございますが、基本的には大きく変わってはいないのですけれども、最近は、いわゆる仕組債に関する報道が非常に多かったということもございまして、仕組債に関する申出が増加している状況でございます。ただ、仕組債自体は10年以上前から存在する商品で、それに対する苦情あるいは紛争解決も10年以上前からあったものでございます。

その内容については特段大きな変更は見受けられません。他機関の方もおっしゃってましたが、カスハラ的な部分につきましては、これも古くからあるといえばあったのですけれども、最近は、多くの方からいろいろというよりも、同一の方が1日に何回も電話をかけてきたりとか、あるいは数日間にわたって電話がかかってくるといったようなケースが若干増えているという印象です。

続きまして項番3の(1)でございます。今後の状況でございますけれども、相談や苦情を受け付けられない事態を回避して事業を継続することが大事だと思っていますので、出勤者数の制限などを行ってきましたが、そういった中ではウェブ会議ツールの導入は非常に有効であったと考えています。

27ページの(2)でございます。今後の部分でございます。更に感染力の強い感染症が流行した場合とか、大規模災害が発生した場合などにおいて、職員の安全に配慮しつつ業務を継続する方法といたしまして、今は電話の受付は基本的に出社しないとできないわけですけれども、リモートで電話の受付などもできるような方法についても、情報漏えい防止の観点なども踏まえて情報収集をしていきたいと考えています。ウェブ会議あるいはウェブでのあっせん実施におけるセキュリティについてでございますけれども、こちらは現状、法務省さんからガイドラインが出ておりまして、例えばZoomなどを使う場合は、最新のOSで最新のバージョンをインストールしていれば取りあえず大丈夫ですよというふうな形で法務省さんからお示しいただいておりますので、そういった対応を行っていきたいと考えています。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、日本貸金業協会の菅原委員。菅原委員も今回より御参加でいらっしゃいます。菅原委員、御説明をどうぞよろしくお願いいたします。

  • 菅原委員

では28ページ、日本貸金業協会の取組ですけれども、コロナ前ですけれども、苦情について受付場所は東京の本部と、それから各都道府県の支部でも受け付けております。受付方法とその後の相談については、こちらに記載のとおり、電話、文書、来協、直接来ていただくと。あるいはファックス、メールというような形でやっております。

紛争については、受付は東京の本部だけとなりますけれども、こちらは文書で受け付けているということです。あっせんの方法の種類につきましては、聴聞については、直接来ていただく、あるいは電話会議。それから聴聞に伴う資料、陳述書等の協会への提出、当事者への配付については郵便、メール。当事者との連絡方法についても電話、郵便、メールでございます。文書のやり取りはあるということでございます。

次ですけれども、(2)で、コロナの間は直接来ていただくことは中止をしておりました。それ以外の対応については、その前とは特に変わらずやっていたということでございます。

今年の5月からにつきましては、ここは特に変更なしとなっていますけれども、これから直接来られる方があれば、これは受け付けていこうとは考えております。

その次の(4)ですけれども、オンライン化について取り組んできたことということで、当協会では多重債務者の返済に困っていらっしゃる方の家計管理ですとか、それから多重債務の原因となる問題行動について、それを変えていこうというような支援、カウンセリングを行っているのですけれども、コロナがあって以降、直接面談を行っておらず、全て電話で行っていましたけれども、やはり表情が見えないとか、いろいろなことで、やはり直接、顔を見て解決したほうが良いだろうというようなことから、一部、端末を使ってオンラインでのカウンセリングを検討して試験的に行っております。ただ、数は少なくて、やはり操作がいろいろありますので、相手の相談者についてはやはり電話でいいという方も多いかなというところです。引き続きここは検討していきたいなと感じております。

その次の30ページですけれども、ここ3年の取り巻く状況を踏まえた特徴的な申出ということですと、昨年4月、成年年齢の引下げがございましたので、特に24歳までの相談者を若年層と定義して、より親身になって、この若年層の相談を受けるような対応してまいりました。若年層の相談の半分ぐらいが、貸付自粛制度というのを当協会でやっていますけれども、親族の方、特に親御さんからの、自分の息子・娘にお金を貸さないような手続をしてもらいたいという類の相談が多かったということでございます。あとは、ここには記載していませんけれども、特に18歳、19歳、新しく成年となった若年の方に対するホットラインを設けまして、相談に当たるような取組もしてまいりました。

それからその下の申立内容の変化の有無とその概要ですけれども、減少だった相談が、このところ、微増ですけれども、少し増えてきたということです。やはりコロナですとか、いろいろなことで返済が困難になったとか、多重債務関連での貸付自粛制度、この貸付自粛制度は当協会で周知活動についてかなり力を入れてやっていますので、こういったような相談が増えたということでございます。

それから、ナンバー3の(1)ですけれども、ここは相談の段階で貸金業に関連する新たな事案ですね。ここには給与ファクタリングと書いてございますけれども、これ以外にも今ですと、若者に対しての投資詐欺とか、いろいろ新たな事案が出てきていますので、こういったところに対してしっかりと相談を取り組んでいくようなことをやっていっております。

その下、最後ですけれども、取組課題については、先ほどのオンライン等、こういったところを引き続き検討していきたいと思っています。

以上です。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、ここまでの説明について御意見・御質問をお願いしたいと思います。また消費者機関・団体、あるいは自主規制機関、業界団体の皆様を含め、御参考となる事柄などを言及いただけるとありがたいと存じます。

御発言に当たりまして、事務局より事務的なお願いがございます。

  • 今西室長

御発言を希望される際には、会議システムのチャット機能により、お名前と所属組織を入力の上、全員に宛ててお送りください。チャットの初期設定が全員宛てになっていると思いますので、事務局宛てではなく、そのまま全員宛てでお願いいたします。座長がチャットを確認し、指名されますので、御指名のあった委員はマイクのミュートを解除し、御自身のお名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただければと存じます。御発言が終わられましたらミュートにお戻しください。よろしくお願いいたします。

  • 神作座長

ありがとうございます。

それでは、皆様からの御発言に先立ちまして、先ほど指定機関から御説明いただいた取組に関しまして、指定機関以外で利用者の声に向き合っておられるところでも、ここ3年の前後でいろいろな考え、工夫をして対応されてきておられるのではないかと拝察しております。例えばお名前を挙げさせていただいて恐縮ですけれども、国民生活センター様、東京都消費生活総合センター様、日本司法支援生活センター(法テラス)様、もしよろしければ恐縮でございますけれども、取組・工夫の内容やその効果、課題など、差し支えないところを御紹介いただきますと誠に幸いでございます。また金融庁の金融サービス利用者相談室におかれましても、このところの取組等がございましたら、御紹介・御案内いただけると幸いでございます。

御指名させていただいてよろしいでしょうか。国民生活センターの猪又委員、お願いできますでしょうか。

  • 猪又委員

国民生活センターの猪又と申します。

私どもでADRという形になりますと、いわゆる紛争当事者から仲介委員の先生方が、いわゆる対面でお話を聞いて、いろいろ御判断をいただくと。和解案を提示していただくようなことをコロナ前はしてきたのですけれども、やはりコロナが活発というか、なってきたときに、当初は会議室や何かにアクリル板を設置するとか、そういったこともしていたのですけれども、国民生活センターの中でウェブ会議システム、Webexですけれども、これについて使えるようになった状態になった段階で、2020年(令和2年)5月から試行的にという位置づけでしたけれども、そういった仲介委員の方が紛争当事者から事情を直接聞かせていただく形をウェブ会議、もしくはネットや何かが不得手の方は電話会議システム、これを併用して行っております。こういったことによって、現在は、最近でいうと、ほとんどがウェブ会議、電話会議との併用で事情を聴くような形になっております。

試行的に始めた形ですけれども、やっている中で一番のメリットが日程調整。仲介委員の先生だけではなくて紛争当事者間に、前でしたら直接対面でお話を聞くというと、多くの場合、こちらの品川の国民生活センターの事務所に、それぞれが来てもらうような形になっていましたので、日程調整に非常に苦労していたわけなのですけれども、その中でウェブ会議になったことによって、これでも日程調整は必要なのですが、非常に日程調整や何かが格段にしやすくなったメリットが生じております。こういったこともあって、ウェブ会議のシステムなんかも継続的に使わせていただくことができましたので、現在は、今後もウェブ会議システムによって紛争当事者からお話を聞かせていただくような取組を継続することの方針が決まっております。こういった日程調整が割と早くいくと、やはり紛争の申請から手続終了までの期間が非常に短くなってくるような、こういったメリットも非常に出ております。

また付け加えると、以前の申請書は書面限定で、しかも押印をしなければいけないことになっていましたが、ちょうど時期が同じく2020年頃、霞が関全体でも押印廃止という方針が示されて、それに従って、申請書への押印廃止もこちらのほうで業務規程を改正してやっておりますし、メールに添付して提出する方法も認めるような形になっております。

私どもからは以上です。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、東京都消費生活総合センターの小菅委員。小菅委員も今回から御参加くださいます。小菅委員、どうかよろしくお願いいたします。

  • 小菅委員

よろしくお願いいたします。東京都消費生活総合センター、小菅でございます。

初めに東京都内における消費生活相談の傾向でございますが、令和3年度に都内の消費生活センターに寄せられました相談件数は約12万4,000件となっております。うち高齢者(60歳以上)の方の相談件数は約3万9,000件となっておりまして、全相談の約32%を占めておりまして、29歳以下の若者の方の相談件数が約1万5,000件ということで、全相談の12.9%を占めるような状況でございます。

また預貯金や証券・投資などの金融や保険サービスに分類される相談は約6,800件となっておりまして、相談全体の約5.5%でございまして、前年度から7%程度増加しております。また金融や保険サービスに関する相談約6,800件のうち、契約や解約に関する相談が最も多く、5,800件となっておりまして、次いで販売方法に問題があるとした相談が約2,700件、接客対応に関する相談が約900件となっております。

続いて当センターの状況でございますが、当センターにおきましては、都内の相談の約2割を受け付けております。複雑で多様化する相談に対応するため、10の専門グループを設けまして、それぞれの専門分野で相談を受け付けております。この中には金融専門のグループもございます。また成年年齢が引き下げられた若者や相談が多い高齢者に向けまして、通常の相談に加え、特別相談を実施する等の取組を行っております。さらに消費者被害の未然・拡大防止等の観点から、消費者のライフステージに応じまして様々な普及啓発活動を行っているところでございます。

 相談方法につきましては電話と来所での相談を基本としておりまして、聴覚に障がいをお持ちの方に対しましてはメール相談を実施しているところでございます。

コロナ禍におきましては、来所による相談を中止しておりましたが、現在は来所も受け付けております。相談体制といたしましてはコロナ禍以前と変わったところはございません。

コロナ禍でありました令和3年度におきましては、約99%が電話相談で、来所相談は約1%、メール相談が約0.2%でございました。

簡単でございますが、以上、報告とさせていただきます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、日本司法支援センター(法テラス)の千葉委員、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 千葉委員

法テラスの千葉でございます。よろしくお願いいたします。

私どもでは、まず苦情はコロナ禍前、全国の地方事務所及び本部、それからコールセンターがございまして、それぞれの拠点で受け付けをしておりました。最終的には各事務所から本部で報告を受け付けまして集約することとなっております。

受付方法といたしましては、来訪、電話、書面、ウェブフォームからのメールによる申出、こういったことも可能となっております。

そのほか、私どもの情報提供業務がございますけれども、法的トラブルに関する法制度情報の提供、それから相談窓口の案内、これにつきましては電話、面談、ウェブフォームからのメールなどで対応をしていたところでございます。

コロナ禍にございましては、この状況は少し変わりますけれども、緊急事態宣言以降、苦情の申出や相談につきましては面談による対応は中止をいたしまして、電話、メールによる対応等は継続をしておりました。宣言解除後は、各地域によりまして感染状況が違ったこともございますので、感染防止対策を十分に講じた上で、地方事務所ごとの判断によりまして面談を再開するなどの対応をいたしたところでございます。

コロナ禍における業務継続の取組を当然検討したわけですけれども、私どもでは、それぞれ都道府県に事務所がございますので、ある地方事務所において多くの職員が新型コロナに感染して、事務所が機能しなくなったと。完全閉鎖となったような場合に備えまして、近隣の地方事務所が業務の代替を行えるよう各種のルールを定めたところでございます。

また、この間、やはりウェブ会議システムを導入いたしまして、全国的に同システムの利用が安定したタイミングで全職員に割り当てられましたモバイル端末によって会議を推進しておりまして、資料のペーパーレス化を進めているところでございます。

それから法テラスが実施している法律相談もやっているわけですけれども、従前は対面のみでございましたけれども、当センターの業務方法書の改正によりまして、現在では電話やオンラインによっても実施できるようになっております。

これらがコロナ禍において変更があった取組等となっております。

今年度5月以降に変更した枠組みは特にございません。

最後になりますけれども、コロナ禍の経験を踏まえまして、今後更なる取組といたしましてはオンライン化の推進が挙げられますけれども、先ほどから幾つかの機関からお話がございましたけれども、法テラス側としては全国的にオンラインの受入体制も既に整っておりますけれども、やはり国民の方、一般の利用者側の、通信料などを含めたシステムの環境をどのように確保していくのかが課題であると考えております。

私からは以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

続きまして、金融庁金融サービス利用者相談室の青木委員、よろしくお願いいたします。

  • 青木委員

金融サービス利用者相談室の青木でございます。よろしくお願いいたします。

それでは私から、ここ3年間での相談対応における工夫・取組といたしまして、昨年9月から運用開始させていただきましたAIチャットボットにおける相談受付につきまして御説明させていただきたいと思います。

当室では金融庁への相談を一元的に受け付けておりますが、基本的には電話による相談対応でございまして、平日の10時から17時までの受付となっております。その点、利用時間の拡大を図ることによる相談者の利便性の向上や、一般的・定性的な質問への対応に係る相談員の負担軽減等を図る観点から、AIを活用した自動応答サービスの利用を検討いたしまして、令和3年3月、一昨年3月でございますが、実証実験を行った上で一定のニーズが確認できましたことから、予算措置やサービスの調達を行いまして、昨年9月から当該サービスの運用を開始したところでございます。

当該サービスは業者開発のアプリケーションを利用しているものでございますが、24時間対応させていただいているところでございます。今までに相談室に寄せられた相談内容を基に一般的・定性的な質問、例えば金融機関等、個社の登録の有無を確認したいとか、また金融庁の特定の公表資料を確認したい。あるいは業者ごとの相談窓口を確認したいといった一般的・定性的な質問につきまして回答を事前に作成・登録させていただきまして、利用者が項目選択や自由検索により、記載したワードによってAIが自動的に解答箇所まで導いていくものでございます。当該AIチャットボットにつきましては、金融庁のホームページのトップ画面にアイコンで表示させていただいているところでございます。

運用を開始して半年余りが経過しておりますので、今までにあったアクセスの内容を精査させていただきまして、質問項目や回答内容について、更に充実させていくことを今現在、検討しているところでございます。

簡単ではございますが、以上、説明させていただきました。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

3機関の皆様、また金融庁金融サービス利用者相談室からの御説明、誠にありがとうございました。御対応いただき、感謝申し上げます。

では、これまでの御説明を踏まえて皆様からの御発言をお願いしたいと存じます。いかがでしょうか。チャットでご希望をお寄せいただきますと幸いです。

坂委員、どうぞ御発言ください。

  • 坂委員

どうもありがとうございました。非常に様々な観点からの取組が行われているとお伺いいたしました。

私からは意見といいますか、要望も含めて3点と、それから質問を3点させていただければと思います。

まず意見ですけれども、第1点は、コロナ前後の、この間の変化についてですが、3年数か月のコロナ禍の期間を経て、相談対応ですとか紛争解決の手続については、いろいろありますけれども、総体としてはIT化、デジタル化が確実に進んだということかと思います。この流れは定着してきていると考えられますけれども、積極面は確認しつつ、課題に対応し、よりよい制度運用を目指していくことが必要と考えます。私自身は国民生活センターのADRと弁護士会ADRの委員を担当させていただいていますけれども、これらの機関でも、この間、ウェブ会議システムによる期日開催が主流となってきております。

御報告があったところでもありますけれども、例えばウェブ会議システムによって、海外からの申立ですとか、期日の開催をすることが可能になってきているなど、アクセスが向上したところは重要な進歩と思います。他方で、以前も少し触れさせていただいたところでありますけれども、対面によるやり取りとウェブ会議システム等のやり取りでは大分受け答えが違ってくるようなところもあります。微妙な点についての聞き取りですとか、当事者の説得という点では、ウェブ会議システムでは限界を感じるようなところもございます。たまたま今週、面談での金融ADRの期日と、それから裁判所の手続でありますけれども、証拠調べの期日を持ちましたが、やはり対面による手続の有効性は実感するところであります。デジタル機器の進展や関連機器の性能向上によって、更に進歩していくことが期待されますけれども、現状は、ウェブ会議システムと対面手続きの特性をある程度念頭に置いた上で手続を進める必要があろうかと思います。新型コロナの5類移行を受けて対面の機会も増えていますけれども、ウェブシステムと対面による手続の特性について再度確認の上で、当事者の条件や事案の内容ごとに適切な実施方法を検討いただければと思います。

2点目ですけれども、カスタマーハラスメントについての御指摘が複数の機関からございました。この点について対応が難しい相談者が増えてきていることは我々も実感するところでありますけれども、相談案件の中には相談者が無理な主張を攻撃的にするものもあれば、相談者の主張は理由がありながらも口調が攻撃的になっているような案件もあろうかと思います。前者については、対応打切りのノウハウが必要と思われますけれども、他方、後者については、相談者等に冷静な申出や説明を促すという高度な対応が求められるところだと思います。そのいずれに該当するのかの見極めは難しいと思いますけれども、相談者の口調や態度ではなく、客観的事実に着目して見ていくことが重要と考えられます。例えば取引内容などから客観的に合理的な取引なのか、適合性にかなった取引が行われたのか等の視点を持って事実を聞き取っていくこと、あるいは必要な照会等をしていくことが重要かと思います。口調の強さ等に惑わされることなく、対応を検討すべき事案については見逃さないようにぜひお願いしたいと考えます。

それから3点目ですけれども、先ほど金融庁等での取組のご紹介もありましたが、いろいろな手続きで事実把握等も含めて、あるいは回答の在り方も含めて、デジタル技術の利用が進んでいるところと思います。こうした技術については、かなり利便性の向上に資するところもありますので積極的な活用が望まれるところと思いますけれども、留意すべき点もあろうかと思います。特に効率化に資する一方で、ともしますと相談において、事案の個別性が見落とされたりとか、あるいはAIの利用の場合には、新たな問題に対する対応がきちんとできるのかどうなのかについても十分な検討が必要だと思います。こういった点については、ぜひお願いしたいと思います。

それであと質問ですけれども、手短に3点ほどお願いできればと思います。

1点目ですが、御報告の中で認知症高齢者への対応を課題として挙げた機関がございました。認知症の高齢者の御対応は現場の御苦労もあるところかと思いますけれども、事案によっては、御家族や、あるいは福祉部門へつなぐことも必要になる場合があろうかと思います。こういった点について何らか実践等がございましたら教えていただければと思います。

2点目ですけれども、これは全銀協さんの御報告だったかと思いますが、マネロン対策に関して相談・苦情が多数寄せられているとのお話があったかと思います。マネロン対策の理解については、これを広げていくことが重要かと思いますけれども、こういった苦情・相談に対しての工夫や、対応、あるいは、もし検討しているところがございましたら、別の機会でも結構ですので、教えていただければと思います。

それから3点目ですが、書面提出に関してデジタル化がかなりの機関で進んでいるとお伺いしましたが、特に証拠書類の提出方法について、どのような提出のされ方がされているのか。メール等もありましょうし、また特別なシステムを組んで、そこへのアップロードを図るやり方もなくはないかと思うのですけれども、このあたりについて可能な範囲で教えていただけるとありがたいと思います。

すみません、長くなって。よろしくお願いします。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

質問を3ついただいたと思います。1番目は認知症高齢者への対応でございますけれども、全銀協の大坂様に御回答いただいてよろしいでしょうか。また併せて、2番目のマネロン対策関係についてもお答えいただきますと幸いでございます。

  • 大坂委員(代理出席)

御回答申し上げます。

坂先生から御質問いただきました認知症高齢者関係でございますが、いろいろなパターンの方々がいらっしゃいまして、御本人は認知症で、御家族と同居されている場合については、御家族の方にも例えば電話越しに一緒に出ていただいて話を聞いていただくこともありますし、独居の方については、お住まいをお伺いして地元の社会福祉協議会の電話番号等を我々相談員が検索して、そちらに御相談いただいたらどうでしょうかと誘導するようなケース。あるいは地元近隣に社会福祉協議会がない場合には役所等の相談場所もありますよということで、専ら銀行取引ではない一般的な相談も相談員との会話の中に入ってきてしまいますので、そういった部分については、そういう対応をさせていただいております。

2点目のマネロン対策でございますけれども、我々、業界団体型のADRという特性に照らしまして、こういった銀行が対応している内容については、適宜、当該銀行と連絡を取り合って、例えば、いつ頃から、どのあたりの方々に取引時確認の書面を送ったというような情報を収集すると。あるいは、お客様によっては、書面が送られてきたのだけれども、これは詐欺ではないのですかというようなお問合せも全国的にあります。そういった場合には、実際に送った書面のサンプルを当該銀行から取り寄せて、その内容等について事前に相談員として知っておくようなケース。それから、我々全銀協相談室ないし金融庁様の利用者相談室との連名のチラシが、そういった書面の中に入っている、同封されているといったケースについては、マネロン制度の概要等をあらかじめ我々相談員が説明した上で、個別具体的な質問内容については当該銀行にお問い合わせくださいということで、事前に当該銀行の専門的な回答をいただける部署門・部署の電話番号を我々は控えておりますので、そちらをお客様に御案内すると。こういった対応をさせていただいております。

あと3点目ですが、申立書類の電子的なやり取りということで、私ども、全銀協におきましては、現状、銀行は全て電子的にやっているのですけれども、メールベースでやり取りを行っております。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。3点目の書面の提出方法についても言及いただきまして、大変ありがとうございます。

ほかの機関様からも、書面提出のデジタル化、特にアップロードの方式等、何か特段の工夫を凝らしているようなところがございましたら、ぜひ御案内いただければと思いますが、いかがでしょうか。

もしよろしければ、生命保険協会様から御案内・御紹介いただけますか。

  • 紅松委員

ありがとうございます。

全銀協さんと同じでございまして、紛争におきましては、申立人からは原則、今も書面でいただいて紙でのやり取りがベースになってございます。一方で、保険会社とのやり取りは電子的なやり取りも認めておりまして、こちらは今は電子メールを使ったやり取りとなってございます。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

ほかに今の点について御発言いただける方はいらっしゃいますでしょうか。

もしよろしければ日本損害保険協会様、御発言いただけますか。

  • 森脇委員

損保協会でございます。

今現在は電子メールを使用して事業者から書類提出をいただいているところですが、先ほど御報告をさせていただきましたとおり、近々に大量のファイルが授受できるセキュアなシステムを入れることを予定しています。

私からは以上です。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは、次に進んでよろしいでしょうか。

森下委員、御発言いただけますでしょうか。

  • 森下委員

1点だけ、坂先生が既におっしゃられたことではありますけれども、オンラインを使うことで便利な点もあるかと思いますけれども、何と言うのでしょうか、、感情が伝わりにくいですとか、共感を得にくいですとか、そういったようなことも指摘されているようですので、これは、そうやって諦めるのではなく、今後、私たちも含めて関係者がみんな、そういう関係でありながら、共感あるいは感情というようなところについてもしっかりと聞き取るというのでしょうか、コミュニケーションする力をどんどん高めていくことが重要かなと思いまして、その点だけ発言させていただければと思いました。

以上でございます。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

それでは続きまして、全国消団連の大出委員、御発言をお願いいたします。

  • 大出委員

全国消団連の大出です。私からは2つ、意見というか感想がございます。

1つは、カスタマーハラスメントという言葉が幾つかの協会様から出ていたことに関してです。消費者がやはりコロナの中でストレスも感じて、カスタマーハラスメントが増えている状況が感じられるのかなと思いますけれども、苦情の終了にするなど、業務規程の改正など、柔軟に対応していただいていることが分かりました。対処が難しい状況もあったかと思いますが、申出から苦情になり、エスカレートしてカスタマーハラスメントになってしまうのは判別が難しいのかなと思います。カスタマーハラスメントにならないために消費者教育が大事だとは分かるのですけれども、単純なそういうことだけでもないのだろうなと思いながら、事業者さんと協力しながらというか、何かできることがあればと思いながらちょっと悶々としておりました。本当に感想です。

もう1つは、コロナ対応として想定外の様々な対応を余儀なくされたことかと思うのですけれども、オンラインの活用を迅速に対応しなければいけなかったり、それによってセキュリティの対策が必要になったりということがあります。FINMACさんが今後のところで記載していたのですけれども、大きな感染症や大災害になったりすることが想定される場合に危機管理がとても大事なことになるかと思うので、企業にとっては危機管理が求められることになると思います。コロナを機に皆さんも考えていただけたらなと思って御意見として申し上げます。

以上です。

  • 神作座長

大変ありがとうございました。

続きまして、メディエーターズの田中委員、御発言をお願いいたします。

  • 田中委員

ありがとうございます。

コロナ禍、皆様がとても御尽力いただいていることに心から感謝申し上げます。どうもありがとうございました。

まず1点目、座長と森下先生の御発言にも関連することで、わたくしもコロナ以降、いろいろ経験をさせていただきましたが、余儀なくオンライン化に流れてしまうところで、画面越しに話すのが、今まで直接話しにくかった方にとっては一つハードルが下がるというか、画面越しだからこそ話せるという相談者の中にも出てきていることは間違いないのかなと思っています。一方で画面越しだからこそ、感情が逆立ってしまって、よりエスカレートして、先ほどからお話が出ているカスハラにつながりやすいところなのかなというところも間違いないのかなと思っています。オンラインのコミュニケーションはその両面が、現れることが特徴であることは間違いないかなと思います。

海外でオンラインの調停が始まったときに、日本がまだ裁判所も含めウェブで調停をやるかやらないかの頃にも、アメリカではすでにウェブ調停の調停員トレーニングが始まっていました。私どもの団体で1回行いましたが、日本ではいまだにウェブ調停の調停員トレーニングはあまり聞いたことがありません。海外の状況や、今の現状を鑑みると、従来の対面や電話の対応をそのままウェブでやればいいわけでないという事は、改めて考えていく必要があります。先ほどの森下先生のお話のように、そこはスキルとして別のものとして必要なものとして、しっかり調停員あるいは相談員の方が、今後、社内育成の中でしていく必要があるのではないでしょうか。

2点目、メールのやり取りが増えてきていると思うのですけれども、それも同様で、ビジネス文書的に文書を送ればいいというものではなく、オンラインカウンセリングにはとても厳しいトレーニングがあるように、メールで相談を受け、やり取りをするのは、やはりそれなりの独特のスキルや能力が必要になってきます。そこはやはり人材育成にしっかりつなげていくのが今回、こういった会議をやっていただいた機会から見えてくる一つの大きなきっかけと思っています。

最後の1点なのですが、先ほど、坂先生から、どういうところに御紹介していくのですかという御質問、そこで御回答もありましたが、思い出しましたのは、「紹介疲労」を起こしてはいけないという議論が司法制度改革や法テラスができたときに議論されたことでした。紹介疲労とは、当事者相談者が最初の相談所に行き、次を紹介されて、そこから次を紹介されていくというと、紹介段階が増えるにつけ、相談者がその紹介先に行かなくなっていくという事です。まさしく最初の相談先で、その方にマッチする相談機関に適合しないと、いくら紹介先の電話番号で紹介されたとしても、そこに行く可能性はどんどん下がっていってしまうというのが、英語ですと、リファラル・ファティーグ(referral fatigue)と言います。今回お集まりの機関の方がどういったところを御紹介されているにかは、どこかで一括でリスト化して見られるようにできるようなシステム、それこそITシステムを活用してできるようになれば一番効果的なのかと思いますし、例えば法テラスさんに御紹介いただいて、法テラスさんから直接、そこに適合されるようなところにつながっていくのがよいのか、あるいはもっと緊急の場合には直接どういうところにつなげていけばいいのか等、今一度、別の機会にでも議論する必要は出てくるのかなというのが感想でした。

以上、感想と今後への何かポイントになれば幸いです。ありがとうございます。

  • 神作座長

貴重な御指摘、どうもありがとうございました。

続きまして、斎藤先生、御発言ください。

  • 斎藤委員

斎藤です。ありがとうございます。

今回、コロナの総括ということで、コロナが完全に終わったわけではないかもしれませんけれども、良いタイミングで総括のお話を聞かせていただいて非常に参考になったし、各ADR機関の創意工夫がよく分かりました。ありがとうございました。

それで今後のお話についてコメントしたいのですけれども、どの機関もオンラインを特にコロナ前に戻すのではなくて、今後ともコロナが終わっても積極的に使っていきたいというのが多くの機関の姿勢と理解しましたので、とてもよかったと思います。全銀協さんのようにシステムをこれから独自のものを作っていくというお話もあり、オンラインの波は止まらないだろうなというところだと思います。

その中でシステム構築が非常に大事だし、セキュリティが非常に大事だというお話がありました。それについて、これからの話ではあるのですけれども、2つの視点も大事かなと思います。いずれもほかの委員からのお話にも出たので繰り返しになってしまうので簡単にコメントさせていただきます。

ユーザー側の視点と、実施責任者側の視点を考慮することによって、よりよいシステムができるのかなと。1つ目の視点ですが、ユーザー側でオンラインを希望する人、希望しない人がいると思います。この点、高齢者だったらITリテラシーが低いからオンラインは避けたがる、若者はITリテラシーが高いからオンラインになじむ、という単純な発想がありますけれども、やはり人それぞれオンラインを望む望まないの理由が違うのだろうなと思います。高齢者の方でオンライン会議を十分使えるのだけれども、やはり自分の主張は直接、あっせん委員の人に聞いてほしいんだと言ってオンラインを断っていた方も私の担当したADRでもありましたし、あるいはIT、オンライン会議は使えるけれども、やはり高齢で生の声だったら聞こえるのだけれども、電気機器を通した声ではどうしても聞き取りにくくなるのだというような理由で断った方もいらっしゃいましたし、それぞれいろいろな理由があると思うので、ユーザー側がオンラインを求めている理由あるいは回避したい理由は、ある程度、アンケートなり何らかの調査で情報収集することが今後、よりよいオンラインシステムを作る上で参考になるのかなと思います。

それからもう1つは実施責任者の視点ですけれども、これも先ほど田中委員からお話がありましたが、やはりあっせん委員、紛争解決委員のあっせん技法をちゃんとオンラインに沿ったものにすることが大事だと思います。こういった研修といいますか、学習の機会がやはり必要だろうなと思います。弁護士会でも今後、その辺を課題として考えています。もちろん本人確認をどうするかとか、同席者の有無のチェックをどうするかとか、そういう手続上の論点はすでに議論されていると思うのですけれども、それ以上に、例えば先ほどの例のように、電気機器を通すので、よりゆっくり大きな声で発言するとか、そういったユーザーに配慮したあっせん技法、そういったものをあっせん人が習得するのが必要です。あるいは例えばブレークルームで別席ヒアリングするような場合でも、どうしても弁護士だと、両方同じぐらいの時間をかけてフェアにやりたいという話も聞くのですけれども、金融ADRの趣旨からすると、顧客のほうにある程度、より多く時間をかける場合も必要だと思います。例えば保険オンブズマンさんの資料に交渉能力に差がある契約関係者なので、保険の仕組みを特に丁寧に説明してきたという記載もありましたけれども、当然のことながら、顧客のほうにある程度時間をかけてヒアリングすることも大事だと思いますし、そういったオンライン、特に金融ADRのオンラインに適したあっせん技法、これを単に1人で勉強するのではなくて、ベスト・プラクティスを、あっせん委員同士で議論したりですとか、ぜひADR機関がリードして、そういう機会を作っていただけると良いと思います。

これはこれからの課題で、弁護士会でも非常にこれからやらなきゃいけないなというところなので、システムを作ったその先の話ではあるかもしれませんけれども、そういったことも念頭に置いていただけると良いのかなと思います。

以上です。

  • 神作座長

大変ありがとうございました。

続きまして、山田委員、御発言をお願いいたします。

  • 山田(文)委員

ありがとうございます。

私もこの時期に金融ADR機関の方々が未曽有の事態に非常に迅速かつ丁寧に御対応いただいていることが分かりまして、それも大変ありがたいですし、この時期にこの話題をつくってくださったことにも感謝を申し上げたいと思います。

その上で簡単に4点、コメントを申し上げたいと思います。

まず1つは、オンライン化で様々なメリットがあるということでしたけれども、ケースマネジメントといいましょうか、ADR機関側も効率化を図り得るのではないかと思われます。相談フォームをウェブで作られているところが増えてまいりましたけれども、基本的には自由記載になっていらっしゃるようです。それはそれで1つの合理性なのですが、もう1つ、定型的な相談について、チェックボックスを設けて、チェックすればよいとしていただけますと利用者も便利ですし、機関側としても整理をするのに大変省力化が図れるのではないかと。それによって貴重な人的リソースを、できるだけ対面での対応等に回していただければと思ったことが1点目です。

それから第2点ですけれども、今、先生方がおっしゃったように対面でのほうが望ましい場合が多々あるのはおっしゃるとおりなのですが、他方で、非常にドライにテキストだけで解決をしていくほうが簡単だし、割り切れるというような方もおられるだろうと思います。そういっためり張りをつけて、テキストだけで簡単に解決をしていくもの、それから、じっくり人的なリソースで対応していくものを分けていっていただく工夫もあってよいかなと思います。

それから第3点ですけれども、今回、ウェブフォームでの利用者の裾野の広がりですとか、紛争解決制度全体の効率化については、金融機関以外のADR機関からも御紹介があり、大変うまく進んでいるのかなという感じがいたしました。他方で幾つかの機関においては、なおODRについては検討中というところがおありで、やはりセキュリティの問題を気にしておられるのかなという印象がございます。こちらは確かにおっしゃることはよく分かるところでして、やはり金融ADR全体でレベル感を共通化して進めていくのが機関としても安心ですし、金融ADRは全体としてこれぐらいのレベルでやってくれるのだという社会全体に対する安心感もあるのかなと思います。そのレベル感をどうするのか、どうやって統一化していくのかとなると、本会のような場ですとか、あるいは場合によっては行政庁のほうで少し音頭を取っていただいて、目先を合わせていっていただくような工夫があると参入していきやすいのかなと思うところでございます。

第4点は、これは完全にコメントだけなのですけれども、先ほど坂先生からも御紹介がありましたが、電子ファイルで証拠書類を送る場合に、非常に巧妙なやり方をされますと、ちょっと改ざんが見破れない場合があるやに聞いております。金融ADRではなくて、裁判所のほうで聞いたことがございますので、難しいですけれども、少し御留意をいただいて、郵送での現物を見ることにも御留意いただければと思ったということでございます。

以上でございます。長くなりました。

  • 神作座長

大変ありがとうございました。

それでは、沖野委員、御発言ください。

  • 沖野委員

ありがとうございます。

私もデジタル技術の積極的な活用というか、それにさらに経験を踏まえて今後も生かしていかれる、その工夫を様々されているということがわかり、大変意義深いことと考えております。

既に御指摘のあった点と重なる点なのですけれども、2点を申し上げたいと思います。

1点目は、こうしまして手法そのものがかなり多様化してくる、あるいは複線化してくることになりますと、どうしてもその間の仕分けをどうするかという問題が出てまいります。

具体的には、1つは対面でやるのか、オンラインを使うのか、またオンラインの中にも電話ですとか、あるいはウェブですとか、いろいろなやり方があるということで、それらをどう使い分けていくのかについて一定のマニュアル的なというか、指針というか、そういうものが必要になってくるのではないかと考えるところです。

もう1つは書類等あるいは証拠のやり取りというときに、メール添付のやり方と先ほどセキュリティの高いファイルのドロップというやり方、それから伝統的な書面の送付というやり方がある中で、これらをどう組み合わせていくのかという問題もあろうかと思います。と申しますのも、メールでの添付はかなりセキュリティが低いということで危ないとも言われているのですけれども、ただ、簡便であるし、ユーザーにとっては、ある意味、分かりやすいというか、ファイルドロップと言われると、どこをどうやっていいのかというような利用者にとってのハードルといったこともありますので、そういう兼ね合いの中で、どれを使うかを考えていく必要も出てくるのだろうと思いますので、そういった各種の手法をどういう場合に何を使うということ、そこにさらにユーザーの状況ですとか、意向ですとか、そういうものをどう組み合わせていくのかという一種の基準づくり。それ自体は一般的な汎用性のある場合もありましょうし、抽象的には汎用性のある観点が出せると思いますけれども、個々の機関によって特有の問題もあるかと思いますので、それらの姿勢というか、その策定というか、そういうことについても今後必要が出てくるのではないかと考えているところでございます。

2点目は、これは田中委員がおっしゃったことの繰り返しなのですけれども、カスタマーハラスメントのところで問題になりました点です。何かオンラインになりますと、通常とは違う応接が出ることは経験としてもありまして、特にメールのやり取りですと、かなり先鋭化する。しかも、ちょっとした誤解が非常に大きな対立を生むようなことも経験的に知っておりますので、やり取りをするときの留意点ですとか、それからそれを今度は受け止める相談員の方にとっての精神的なバックアップとかというときにも、メールの特性ですとか、そういうことも十分考えていく必要があるのではないかと思います。田中委員の御指摘から、既に一定の蓄積がある部分もあるとのことですので、それを共有したり、あるいは研修などで実施していくことも大事になってくるのではないかと思っております。

以上です。

  • 神作座長

大変ありがとうございました。

それでは続きまして、全国消費生活相談員協会の渡邊委員、御発言をお願いいたします。

  • 渡邊委員

渡邊でございます。皆様、各窓口からの取組の御報告、ありがとうございます。

もう既に先生方がいろいろ御発言いただいておりますので、同じことの繰り返しになるのですが、私どももやはりADRの手段の多様化、特に電子化につきまして、とても効率的であり、合理的なところも多く、賛成なのですが、それになじめない方、あるいは直接の申出をしたいという方の意見はやはり根強くて、今後も、多様な方法での対応をお願いできればと改めて思いました。

それからカスタマーハラスメントのことについてですけれども、これは大変でして、私どもも日々相談を受けていて実感するところではあるのですが、やはり本当に悪意を持って何らかのトラブルを起こしたい方は本当に限られていると思うのです。やはりどこかで私どもの対応の方法に不十分なところがあったりとか、真意を酌み上げられないとか、私どもで、窓口はクレーマーと言ってしまうことがあるのですけれども、そのクレーマーを作ってしまっているのではないか、そういうことを日々思いながら対応をしている次第です。入り口のところで対応を間違えないようにとも思っていますので、そこのところを、どう対応するかということと同時に、どこかでくい違ってしまったのではないかという思いも常に持ちながら相談を受けていきたいと思っております。各機関でも御配慮いただければと思っております。

以上です。

  • 神作座長

どうもありがとうございました。

予定された時刻が過ぎてしまっておりますけれども、若干延長をお認めいただければと存じます。

これまでの議論を受けて特に発言したい方がいらっしゃいましたら、特に消費者機関や団体、自主規制機関、業界団体の方も含めて、ご発言のご希望はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは時間の都合上、議事次第の第4及び第5、すなわち金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等及び金融ADR連絡協議会第34回及び第35回の概要の説明は省略させていただきたいと存じます。議事次第の4につきましての資料3-1と3-2を、また第5につきましては資料4をそれぞれ御参照いただければ幸いに存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

時間を超過していて恐縮ですけれども、最後に、本日の御議論にも関連して私から簡単なコメントを申し上げさせていただければと思います。

新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が深刻化して、最近、やや落ち着いてまいりましたが、ここ3年間を総括していただき、非常に意義の深い協議会だったと思います。

デジタル化とかリモート化については、新型コロナウイルス感染症拡大の前から本連絡協議会では取り上げてきたテーマでございましたけれども、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が、それを更に後押しすることとなって、この方向は、ある意味で決定的になったと思います。他方でセキュリティの問題ですとか、あるいはコミュニケーションの質の確保等の問題で、まだまだ課題等はございますけれども、更にこちらは実務上の工夫を進めていっていただきたいと思います。

それからもう1点は、今日は特に言及はなかったと思うのですけれども、いわゆるビジネス・コンティニュイティー・プランと申しますか、特にADR関係の部署は必ずしも組織が大きくないというか、少人数でやっておられて、それこそ1人あるいは全員が感染するといった事態も考えられるところだったと思います。そのような場合に、どのようにしてADR関連業務を継続的・安定的に続けていくかということも大きな課題だったと思います。本日は主として前者のデジタル化・リモート化を中心に扱ったわけでございますけれども、新型コロナウイルス感染症拡大で特に日本で深刻化したのは、これまで地震とか天災によって事業がストップする恐れについては、日本はかなり綿密な対応をしてきたと思うのですけれども、今回のような感染症の拡大の影響は今までやや盲点になっていたところがあるのではないかと思っております。パンデミック・リスクによる事業の停止・停滞の危険についても、この機会に併せて検討を進めていただければ幸いに存じます。

それでは、本日の協議会は、このあたりで終了したいと思います。

なお、次回、第65回の協議会につきましては、追って事務局から御連絡をしていただきたいと存じます。

皆様、大変お忙しい中、本日も時間を延長して恐縮でしたけれども、どうもありがとうございました。これにて終了いたします。

どうもありがとうございました。お疲れさまでした。

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