第67回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

令和7年2月12日(水曜日)14時00分 ~ 16時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室 ※オンライン併用

【神作座長】

まだお見えでない委員の方もいらっしゃるようですけれども、定刻になりましたので、始めさせていただきます。

ただいまから、金融トラブル連絡調整協議会の第67回会合を開催いたします。

座長の学習院大学の神作でございます。よろしくお願いいたします。

皆様方におかれましては、御多用の中、御参加いただきまして誠にありがとうございます。

それでは、議事に入ります前に、まず、事務局より本協議会の新規委員の御紹介をいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

【高島室長】

事務局を務めます金融庁金融トラブル解決制度推進室の高島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、人事異動などに伴いまして、今回から委員に就任された皆様を御紹介させていただきます。名簿の記載順によって紹介させていただきます。

消費者庁の赤井様。

全国信用組合中央協会の阿部様。

日本暗号資産等取引業協会の小山様。

電子決済等代行事業者協会の正木様。

【正木委員】

正木です。

【高島室長】

ありがとうございます。

以上の4名でございます。

なお、赤井委員、小菅委員、深津委員、森下委員、細田委員は御都合により欠席されております。

本日の会合につきましては、対面出席とオンライン出席を併用しての開催とさせていただいております。オンラインにて御参加の皆様につきましては、会議中、ビデオの映像機能をオンにしたまま、マイクの機能は御自身が発言されるとき以外はミュートに設定した状態でお願いいたします。また、会場にて御出席の皆様におかれましては、常時会場全体の音声をマイクが拾っておりますので、御発言時にマイクの作業は不要です。

本会議は一般傍聴はなしとさせていただき、メディアの方々には金融庁内の別室にて傍聴いただいております。

議事録は通常どおり作成の上、後日、金融庁のウェブサイトに掲載させていただきます。

事務局より以上になります。

【神作座長】

御説明どうもありがとうございました。

それでは、議事を始めたいと思います。

本日は、まず、各指定紛争解決機関の業務実施状況及び「金融機関とのトラブルに関する相談・苦情窓口(金融ADR機関)一覧」の作成について、事務局から御説明をいただきます。続きまして、「指定紛争解決機関における苦情処理手続の対応について」に関しまして、指定機関より御説明をお願いしたいと思います。これらの説明が終わったところで一度、御意見、御質問をいただく予定でおります。その後、「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況、「金融ADR連絡協議会」の概要につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室及び事務局から御説明をいただき、御意見、御質問をお受けしたいと存じます。

それでは、事務局から、早速ですけれども、御説明をお願いいたします。

【高島室長】

それでは、指定紛争解決機関における令和6年度上半期の業務実施状況について説明させていただきます。

まず、資料1-1、苦情処理手続実施状況の表を御覧ください。

表の左手、(1)の苦情処理手続件数の左から2番目の項目に当期の受付件数及び前年同期比がございます。その一番下の青色の欄の8機関合計を御覧いただきますと、3,836件を受け付けており、前年同期と比べて4%の減少となっております。指定機関別で言いますと、全国銀行協会、生命保険協会、日本貸金業協会などで件数の増加が見られております。

続いて、資料1-2、紛争解決手続実施状況の表を御覧ください。

先ほどと同じく左手の(1)紛争解決手続件数の一番下、青色の欄の左から2番目のところを御覧いただきますと、8機関合計で675件を受け付けております。指定機関別で言いますと、日本損害保険協会、日本少額短期保険協会で件数が増加しております。

資料1-3に移っていただきますと、苦情処理手続、紛争解決手続、それぞれの棒グラフ及び円グラフがございます。棒グラフが示します受付件数につきましては、足元の状況を今、触れましたので、ここでは円グラフを御覧いただければと思います。

右下のページ数で言いますと、2ページ目、こちらは苦情処理手続における結果について、また、3ページ目については苦情処理手続の終結に要した期間について、それぞれグラフ右側に令和6年度上半期分をお示ししております。いずれもグラフ左側の前年同期と比べて構成比に大幅な変化は認められていないかと思います。

さらに、5ページ目は紛争解決手続における結果について、6ページ目は紛争解決終結に要した期間について示したものです。紛争解決期間につきましては、6か月以上が5%増加しており、若干の長期化の傾向は見られるかと思いますが、いずれも前年同期と比べて構成比について大きな変化は認められていないと考えております。

このほか、資料2-1につきましては、各業界団体における相談等の件数の推移、また、資料2-2につきましては、各指定機関における金融商品別での相談等件数の状況をそれぞれ各団体、各機関から御報告いただいたものをもとに取りまとめさせていただいております。こちらは具体的な説明は割愛させていただきますので、後ほど御参照いただければと思います。

業務実施状況について事務局からの説明は以上となります。

続きまして、「金融機関とのトラブルに関する相談・苦情窓口(金融ADR機関)一覧」の作成について説明させていただきます。

前回の会議において、金融ADR制度の認知度向上に資する取組について御議論いただきました。その際、神作座長から、金融ADR機関を一覧できるリストの作成を御提案いただいたところです。この提案を受けまして、第40回金融ADR連絡協議会において、指定紛争解決機関、業界団体、及び自主規制機関等との間で議論を行わせていただきまして、資料3のとおり一覧表を作成いたしました。

今後、この一覧表を金融庁ウェブサイトに掲載したいと考えております。

事務局からの説明は以上となります。

【神作座長】

御説明どうもありがとうございました。

特に最後に御説明いただきました「金融機関とのトラブルに関する相談・苦情窓口(金融ADR機関)一覧」につきましては、早速事務局に御尽力、御対応のうえ、取りまとめいただき、厚く御礼を申し上げます。また、このリストの作成に当たりましては、指定紛争解決機関、業界団体、及び自主規制機関等の皆様に多大なる御協力をいただき、重ねて御礼申し上げます。

この一覧が金融庁ウェブサイトに掲載されることによって、金融ADR制度や金融ADR機関等の認知度向上に少しでもつながり、トラブルを抱える利用者が少しでも利用しやすい、相談しやすいといった環境に資することを期待しております。どうもありがとうございました。

続きまして、「指定紛争解決機関における苦情処理手続の対応について」に関しまして、指定機関に御説明をお願いしたいと思います。先立ちまして、議題の趣旨等につきまして、改めて事務局から御説明をお願いいたします。

【高島室長】

それでは、「指定紛争解決機関における苦情処理手続の対応について」、その趣旨等を説明させていただきます。関連資料は資料4になります。

指定紛争解決機関においては、日々、金融機関とのトラブルを抱えた利用者の対応を行っているところ、金融機関への不満足の表明があり、ADR機関によりトラブル内容を金融機関へ伝達して解決することを求めた利用者につきましては、苦情処理手続もしくは紛争解決手続を通じてそのトラブルの解決を図っておられるところかと思います。

苦情処理手続における解決の件数、また、紛争解決手続における和解成立の件数及び和解の割合などは、先ほど説明させていただきました各指定紛争解決機関の業務実施状況におきまして、本会議でも毎回資料としてお示しさせていただいているところになります。

そういった中で、改めて指定紛争解決機関の利用者が両手続を通して解決している割合の見える化を図るという趣旨から、今回、令和3年度から5年度及び令和6年度上半期における苦情処理手続解決率、紛争解決手続和解率、利用者の総合解決率の各計数を各指定機関に算出いただきました。

もしよろしければ、資料4の表紙をめくっていただいた次のページを御覧いただければと思います。ページ数で言いますと1ページ目になります。

左下のほうに①②③と記載しておりますけれども、苦情処理手続解決率とは、当期に終了した苦情処理手続のうち解決が占める割合となっております。②の紛争解決手続和解率とは、当期に終了した紛争解決手続のうち和解、特別調停を含みますこの数字が占める割合となっております。③の総合解決率とは、当期の苦情処理手続受付件数及び苦情処理手続を経ないで申請された紛争解決手続の受付件数、こちらと同期内に処理された解決及び和解(特別調停を含む)件数、こちらの件数を対比させた割合となっております。詳細は資料4の最終ページに計算式等も載せておりますので、御覧いただければと思います。一番後ろのA3の横長の表が算出表となっております。

また資料の1ページ目、2ページ目のほうに戻っていただければと思いますが、算出いただいた各率を踏まえまして、苦情処理手続及び紛争解決手続、それぞれの手続の利用、解決等の傾向及びその背景について、各指定機関において分析していることがあれば記載いただくとともに、3年間の各率の増減理由についても記載いただいております。

以上が着眼点の1つ目となります。

2つ目の着眼点につきましては、紛争解決手続に至る前の各指定機関の相談・苦情処理の段階での様々な取組に着目するという観点から、利用者の不満足の表明を解消するための取組として、相談・苦情段階で工夫をしている取組、苦労された経験について、各指定機関に記載いただいております。

3つ目の着眼点につきましては、着眼点1つ目の分析や、着眼点2つ目の取組も踏まえまして、総合解決率を向上させていくための施策として、今後の課題、計画している取組について記載いただいております。

この後、各指定機関の皆様から資料4に基づき説明をいただきます。資料4では、表紙と目次に続きまして、8機関の資料を1つに編綴しております。

内容を御覧いただきますと、先ほど説明したとおり、左側には当室から示させていただいた着眼点を提示させていただいており、それに対応する回答が右側に記載されております。

各指定機関の皆様に作成いただいた御回答をもって、総合解決率等につきまして、継続的に今後も公表していくべきかといった点も含めた今後の活用ですとか、各指定機関の取組の状況について、皆様に御議論いただければと考えております。

事務局からは以上となります。

【神作座長】

本日の議題趣旨等、御説明いただきありがとうございました。

それでは、皆様より御説明をお願いしたいと思いますけれども、8機関合わせて40分程度、お一人当たり大体4、5分で御説明をお願いできればと存じます。

初めに、全国銀行協会の寺内委員、どうぞよろしくお願いいたします。

【寺内委員】

それでは、全国銀行協会から御説明させていただきます。

資料番号4の1ページ目、項番1の(1)苦情処理手続解決率等でございますけれども、計数は資料のとおりでございます。苦情処理手続解決率は大体7割前後、紛争解決手続和解率が5割前後、利用者の総合解決率が大体8割程度といったところでございます。

続きまして、(2)の分析でございます。

今回お示しいただきました総合解決率等でございますけれども、私ども特段分析ということはしておりません。全銀協相談室で受付けている苦情というのは、構造的に銀行の固有業務である預金業務、例えば口座開設とか口座解約・払戻しといったものとか、住宅ローンとか事業資金といった貸出業務の苦情が多い中で、いずれも銀行の経営方針や取引方針、あるいは銀行員の融資態度というところに関わるものでございますので、あくまでも全銀協相談室における苦情処理手続やその先のあっせん委員会における紛争解決手続の解決にはなかなかなじみにくいといったところがございます。

なお、今回、私どものディスクロージャーで、2024年第3四半期から業務分類別の苦情処理手続の件数の公表を予定しております。今回の公表は2月14日金曜日、朝の9時にウェブサイトでアップする予定でございますので、詳しくはそちらを御覧いただければと思っております。

一方、あっせん委員会の紛争解決手続和解率では、経済的損失が認められるもの、例えばリスク性商品の投資信託とか保険といったものであれば、これまで解決として表されておりましたけれども、これらの苦情が現状減っておりますので、紛争解決手続の受付件数も減少傾向にございます。

(3)直近3年分の増減理由でございます。

この点については、先ほど申し上げましたように、総合解決率が80%前後ということで、3年間を比べても安定しているところかと思います。金融ADRの趣旨からして、金融機関とのトラブルは簡易、迅速で解決することがベストと考えておりますので、苦情解決率が約75%ということは一定の評価をいただいていると考えております。

また、(2)に重複しますけれども、あっせん委員会への紛争解決手続の申立てを希望する顧客には門前払いといったことは一切ありません。申立て後に適格性の審査が行われ、一定の件数が不受理となることもあらかじめお知らせし、和解率が低下することはやむを得ないものと私どもは考えております。

続いて、3ページ、項番2(1)の不満足の表明を解消するため取り組みでございます。

利用者の不満足の表明を解消するためというところで、いろいろ私ども書かせていただいておりますけれども、2つ目のポツのところを着目していただければと思います。全銀協相談室では相談員の間でバックアップ、フォローを重視しております。要はお客様と相談員の間で1対1ということではなくて、常に第三者、SVとかその上席がモニタリングなどをして適切なアドバイスや、時には交代するというような形を取っております。それは、ひいてはカスハラ対策としても有効であると思っております。

あと、もう1つ、その下でございます。1つの相談・苦情案件はおおむね30分で対応を終了させていただきたいとお客様に申し上げております。多くの方からひとしく御相談等の電話を受けたいという思いもありまして、できれば30分以内でということをきちんとお伝えしながら、お客様対応をさせていただいているところでございます。

その下の(2)苦労した経験というところでございます。やはり対応困難者というのが最近は多くなっているように私どもは感じております。相談員も一生懸命お話をお伺いしながら、どういうことが実際起きているのかとお尋ねしても、消費者の方の思い込みが非常に強いというところもあり、相談員のほうからも確認したいことがございますがというふうにお伝えしても、ずっと一方的に話される状態のまま、会話という形にはなかなかなりにくいというところがございます。

次の4ページの③に続くのですが、やはりお年を召した方には認知機能に少し問題があるかのような方もいらっしゃるように感じております。なかなかお話をお伺いしていてもつじつまが合わないということもありますので、その点で現場は非常に苦労しているというところでございます。

同じ4ページの上から2つ目のポツですが、銀行とどのようなトラブルが発生しているのか、詳しい事情をお聞かせいただけないまま、相談員に対して回答だけを求める、要はできるのかできないのかという言質を取るような質問というのも非常に多くなっているのが最近の状況でございます。

続いて、5ページ目。項番3、総合解決率を向上させていただくための施策ということですが、(1)今後の課題でございます。

(1)の1つ目のポツです。私どももできるだけ多くの方からの相談・苦情に対応していくために業務の効率化というものを少し考えたいと思っております。そのためにはシステムの安定的な稼働、構築ということも維持しながら対応していこうと思っております。

2つ目のポツでございます。やはり外国の方が非常に多くなってきているということもあります。今年は万博もございますので、より一層、外国語対応というところを重視しながら対応を続けていこうと考えております。

(2)の計画している取組みでございます。これも月並みでございますけれども、研修については引き続き重点を置いていこうと思っております。それと同時に、私ども全銀協として、消費生活センター様との連絡等を踏まえ、意見交換会などをして、できるだけ消費者がどういうことを今トラブルとして抱えているのかを認識しながら、会員金融機関に適時・適切な情報発信を全銀協としての研修会、会員向け研修会を実施していこうと思っております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、信託協会の西川委員、御説明をお願いいたします。

【西川委員】

御説明いたします。資料は6ページからでございます。

まず、(1)の苦情処理手続解決率等々でございますが、こちらについては表のとおりでございます。

次の7ページに参ります。

(2)の各手続の利用、解決等の傾向等でございます。右の回答欄に記載のとおり、当協会におきましては、苦情処理手続の段階で解決する事案が多く、苦情のほとんどは紛争解決手続に進まない傾向にございます。こちらは、当局に寄せられます苦情がそもそも金銭的な損害を伴わないという場合も多く、また、明らかに相手方金融機関のほうに落ち度があると見られるケースが比較的少ないということによるものではないかと考えてございます。例えば、他行ではやってくれたけれども、当行ではやってくれなかったとか、こういった銀行の経営判断に属するような苦情が例として挙げられるかと思います。

次に、(3)の各率の増減理由でございます。

こちらも右の回答欄のところに説明しておりますけれども、当協会におきましては、そもそも件数が少ないということから、ちょっとした件数の変動で大きな計数のぶれが極端に出てしまうという傾向がございます。このため、残念ながら、この率についてはなかなか当協会として有効な指標として使用しづらいという感じを受けております。

次の8ページでございます。No.2のところの工夫している取組とか苦労した経験でございます。

右の欄に回答がございますが、(1)相談員が利用者の不満の声に真摯に耳を傾けており、相談の受付記録においても苦情事案について、利用者から聞き取った情報をかなり細かいところまで記録として残しております。このように詳細な記録を相談員間で共有し、その後、別の相談員が申立人から連絡を受けたとしても、すぐに内容にキャッチアップできるような運営をしております。また、その内容を相談員間で共有したうえで、場合によっては、その内容について議論することもございます。そして、その議論が、例えば、利用者に追加的に情報提供をすることなどにより、利用者の不満の解消に役立つこともございます。

こういったところは当協会の特徴と言えるかどうか分かりませんが、そもそも苦情の事案などが少ない分、比較的一つ一つ丁寧に対応していけるということがあろうかと考えてございます。

(2)の「苦労した経験」のところでございます。

これは明らかに申出人の誤解に基づく苦情でしたが、相手方金融機関の説明に申出人がどうしても納得してくれず、長期にわたり平行線をたどっていた事案がございました。本件につきましては、申出人から詳細な資料を任意で提出いただいていたということから、当相談所において、その内容をよく確認し、また、資料を加工し、それを申出人のところにも送った上で、一つ一つ丁寧に解きほぐして御説明をしたところ、(申出人はいま一つ銀行に不信感があったということもあろうかと思いますが)中立的な立場である私どもからの説明によってようやく納得し、自分が誤っていたとご認識いただいたという事案もございました。

No.3の総合解決率向上のための課題・取組でございます。

右の欄に説明を記載しておりますが、先ほども申し上げましたとおり、私どもでは、総合解決率自体がなかなか有効な指標とならないということから、今後の課題や計画している取組は特に考えておりません。一つ一つ丁寧に苦情に耳を傾けていくことで、相談者の不満の解消を図っていくことが最善の対応であると考えております。

なお、委員の皆様からの事前質問に関する補足といたしまして、アンケートの実施について説明させていただきます。

私どもでは、申立人及び相手方金融機関に対するアンケートを実施しており、回答をいただいたものにつきましては、その集計結果につき、当協会ホームページにおいて公表しております。ちなみに、昨年3月末現在までの累計といたしまして、申立人からの回収率は60%程度、相手方金融機関からの回収率は100%となっております。

また、あっせん委員会の運営状況等につきましては、四半期及び年度ごとに当協会のホームページにおいて公表しております。現在のところ、その内容は直ちに経年変化が分かるような中身になってはございませんが、何年度分かのデータを載せておりますので、これを追っていただければ、経年の変化は見てとれるといった内容になっております。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、生命保険協会の小峰委員、よろしくお願いいたします。

【小峰委員】

生命保険協会の小峰でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

資料10ページから説明させていただきます。

まず、着眼点のナンバー1ですけれども、(1)の表の作成と(2)の傾向等を併せて説明させていただければと思います。表を御覧いただきまして、そのとおりですが、苦情処理手続の解決率は60%程度で推移しております。令和4年度に数字のぶれといいますか、上ぶれがありますけれども、これは(3)のほうで改めて説明させていただきます。

苦情処理手続で解決に至らなかったものが移行する紛争解決手続の和解率はおおむね30%程度で推移しております。苦情処理手続において解決に至らず、紛争解決手続に移行する割合は、苦情の種類を、新契約関係、保険料の収納関係、保全関係、それと保険・給付金の支払いの関係、あるいはそのほかで分類・比較したときに、新契約関係が多い傾向にございます。いわゆる言った、言わないとか、そういった話が多いということでございます。

それと、(3)の率の増減理由になりますけれども、苦情処理手続段階におきまして、先ほど申し上げました令和4年度のところで若干の上ぶれがありますけれども、こちらは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、各会員会社において支払業務が逼迫して支払い遅延に関する申出が増加してしまいましたが、支払い遅延の解消により、苦情が解決したため、苦情処理手続解決率が上がったといったところと分析をしております。

これを受けての総合解決率の増減についても同様の理由と考えております。この辺は生保特有のものなのかと思っております。

それと、紛争解決手続の和解率ですが、微減傾向にありますが、こちらは、法令や約款にのみ重きを置くことなく、原則として申立人には全件事情聴取を行わせていただきまして、解決の糸口となる個別事情、例えば保険会社の不適切な対応ですとか、こういったことの把握に努めまして、それらを考慮した和解提案を行うという審理スタンスは変えてございません。微減の理由は事案固有の個別の性質等によるものと考えてございます。

12ページに進んでいただきまして、着眼点の2になります。

工夫している取組、苦労した経験ですけれども、まず、工夫している取組ですが、申出時に不満足の表明があるものを広く苦情として捉えまして、申出人が権利者である場合には苦情処理手続を案内してございます。また、申出人が権利者でない場合には、苦情処理手続のルールを御説明して、権利者からの申出を依頼しております。それと、苦情処理手続につきましては、権利者からの申出であることを原則としておりますが、権利者に意思能力がない場合などの理由によりまして申出が難しい場合には、一定の親族からの申出にて苦情処理手続を実施するなど、一定の柔軟性を持った対応をしているところでございます。

苦情処理手続を実施した案件につきましては、毎月、保険会社、生保会社から交渉状況の報告を受領して案件の管理を行っております。

苦情処理手続を実施していない案件についてですが、連絡先を取得しているなどの所定の要件を満たして、最終受付から一定の時間、期間が経過した案件につきましては、我々相談所から連絡を行い、権利者の意向があれば、改めて苦情処理手続を実施してございます。

当相談所を利用いただいた方の率直な声を今後の苦情処理手続の運営見直しなどに生かしまして、より中立性、満足度などの高い業務運営を図っていくことを目的に紛争解決手続が終了した申立人を対象に利用者アンケートも実施してございます。

(2)の苦労した経験ですけれども、苦情処理手続におきまして、日々の電話対応の中で、相談員に対し誹謗中傷・脅迫、当相談所の業務の範囲または社会通念から逸脱する主張・要求を強く行う申出人が、一部ではありますけれども、見受けられてございます。

13ページへ進んでいただきまして、着眼点のナンバー3になりますけれども、率向上に向けた今後の課題、計画している取組です。併せて説明させていただきます。

苦情処理手続におきましては、引き続き、申出時に不満足の表明があるものを広く苦情として捉えまして、申出人が権利者である場合には苦情処理手続を御案内して解決の見込みに関わらず、申出人の希望に応じて相談所の機能を利用いただけるように努めてまいります。

紛争解決の手続におきましては、こちらも引き続きになりますが、法令や約款にのみ重きを置くことなく、原則として、申立人には全件事情聴取を行いまして、解決の糸口となる個別事情の把握に努め、それらを考慮した和解提案を行うという審理スタンスを適切に継続していくこととしてございます。

御説明は以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本損害保険協会の森脇委員、御説明をお願いいたします。

【森脇委員】

損保協会の森脇でございます。御説明いたします。

資料14ページの1の(1)苦情処理手続の解決率は90%台前半、紛争解決手続の和解率は30%台、総合解決率は80%台で推移しています。

資料4の別添資料、こちらのE列の部分に関連するところでございますが、当協会では、苦情前置主義を採っていないため、苦情処理手続を経ずに紛争解決手続の申立てを行う事案が多数ございます。また、苦情処理手続を完了したものの、後日、紛争解決手続が行われた事案が存在するため、ダブルカウントしないように、本資料においては、苦情処理手続の記載件数、それから、解決件数それぞれから除いて計算をしております。

15ページの(2)手続の傾向ですが、苦情処理手続は、電話で相談員のアドバイスを受けつつ、解決に向けて必要な対応を行えるため、紛争解決手続に比べて利用のハードルは低いと考えております。不満足の表明に対しアドバイスを行うとともに、苦情処理手続について説明し、希望があれば、保険会社に苦情の内容を伝えて、当事者同士で再度交渉を行っていただきます。

苦情処理手続の解決率が高い水準を維持しているのは、相談員が申出内容を整理して、保険会社に確認・要求すべき内容をアドバイスするなど、専門的見地から解決に向けたサポートを行うことで、申出人、保険会社双方にとってトラブル解決の方策を見いだしやすい環境を整えることができているためと捉えております。

紛争解決手続につきましては、苦情処理手続を含め、当該当事者間での話し合いでは解決できず、第三者の関与を求める事案が多いと考えております。苦情処理手続と比較して解決率が低い水準となっておりますけれども、自然災害による損傷か経年劣化によるものかなど、保険事故発生事実の有無が争点となる事案では、裁判と違って証拠調べ機能がなく、提出された資料等から判断せざるを得ないADRにおいては事実認定が困難であり、結果として和解案の提示に至らず、和解の見込みなしとして途中終了せざるを得ないという事情がございます。

先ほど御説明しましたとおり、当協会では苦情前置主義を採っておりませんが、苦情の論点や解決すべきポイントを整理するためにも、まずは、苦情処理手続を御案内するケースが多い状況です。一方で、当事者間での交渉を続けても事態の改善が望めず、第三者が間に入ることを望むような場合には、紛争解決手続が利用されるケースが多い状況です。

16ページ、(3)増減理由ですけれども、米印の部分、令和4年度に紛争解決手続の和解率が低下した要因ですが、火災保険の保険金トラブルにつきまして、事実認定困難として紛争解決手続を途中終了したり、債権債務なしの和解案を提示したりした結果、和解に至らなかったケースが多かったことによるものです。

次に、2の(1)工夫している取組としては、申出内容を丁寧に傾聴し、専門的見地から解決に向けたサポートを行うよう努めているほか、積極的に苦情処理手続を御案内しております。

17ページ、(2)苦労した経験としましては、保険会社を指導してほしい、保険会社との間に入って交渉してほしいといった要望に対して、指定紛争解決機関の役割として対応できないことを説明しても御納得いただけないケースや、昨今の損保業界を取り巻く状況から、業界に対する厳しい見方が苦情に現れていると感じられることが挙げられます。

3の今後の課題等ですが、事実認定が争点となるような事案に加えて、自然災害によるものか、経年劣化によるものかが争点となる事案の増加により、和解率の向上は見込めない状況と考えており、また、総合解決率は、事案の件数あるいは内容などにより変動することから、コントロールすることは困難と考えておりますが、相談員からの的確なアドバイス、意見聴取において手続実施委員の見解を伝えるといったことを通じて、利用者の要望どおりの結果にならなかった場合であっても、納得感を持ってもらえるように努めることが重要と考えております。

私からの御説明は以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、保険オンブズマンの種村委員、御説明をお願いいたします。

【種村委員】

保険オンブズマンの種村でございます。

18ページ、最初の率の過去3年間プラス半年の傾向がここに記してあります。この内容につきましては、2番の(2)(3)でも述べますように、苦情処理のほうを見ると、40%台から50%に上がってきた、増えてきたという状況が見えています。苦情処理の場合と紛争解決の場合を比べると、紛争解決のほうが少し高くなっており、ここを我々なりに分析しましたところ、まず、紛争解決のほうは、調停委員などが入りまして、いろいろきちんとあるものを相手に話したりしますので、解決の和解率が高くなっております。一方、苦情のほうは、お客様からの言い分を聞いて、いろいろ何をどういうふうに話したらいいかとか、そういうアドバイスも含めながら、保険会社と直接話していただくという方式を取っておりますので、そこではなかなか解決に至らなかったという事例が紛争のほうに回ってきているという形かと理解しております。

苦情のほうが少し高くなってきたというところが見えていますけれども、これは、令和4年度の中辺りから、お客様の言うことをできる限りじっくり聞こうと、時間を限ってとか、何回に限って、そのままこれはもう駄目だから紛争解決に渡そうというのではなくて、できる限りお客様の言っていることを聞こうということで丁寧な聞き方をしたところ、苦情処理のところの解決率が上がってきたというふうに中では分析しております。

もう少し細かいところを見ると、やはり損害保険ですので、保険金支払いというのがかなりの部分を占めていて、ここには大きな変化は見られていないということになります。

そういう意味で言いますと、これからもしっかりと話を聞いて、苦情処理のところでも解決に向けたサポートをしていきたいと考えています。

これが(2)と(3)と合わせての回答となります。

次の20ページに参りまして、不満足の表明を解消するための取組ということで、まず、1つは、お客様によっては、怒ってはいるのですけれども、何が言いたいかというのがごちゃごちゃになっているケースがあるので、それをやはりきちんと話を聞いて、保険会社に何を伝えるかという整理を一緒にしてあげるということに注力しております。それでもって何とか苦情の段階で解決に行きたいということになります。

一方で、苦労した経験というのは、やはりお客様によって、よく分からないのだけれども、腹が立って声を荒げるという方もいらっしゃいますし、なかなか意見を聞いていただけないというケースもありますけれども、そこは辛抱強く話を聞いております。カスハラというまでの現象は起こっておりません。こちら側のメンタルがやられてしまうというようなケースは起こっておりませんので、できる限り話を聞いて整理を一緒にしてあげようという形を取っております。

3番にもかかりますけれども、アンケートについては、紛争解決のほうは、やり取りをかなり密でやりますので、終わった後に事業者さん、お客様、それぞれ回答をいただいております。ただ、見てみますと、やはりお客様から見ると、例えば、自分の主張が通ったという方はとてもすばらしい評価をいただいて、本当に相談してよかった、ありがとうございますという評価がある一方で、やはりこれは難しいとか、結果、和解に至らなかったケースは、本当に保険会社はひどいみたいな、そこも含めて、かなりネガティブな意見が出てくるということで、これが大きな傾向というのはあまり変わらないというところはあります。

一方で、少数でしたけれども、我々機関に対するフィードバック、ここを直してほしいとか、これはおかしいとかいうコメントもありましたので、それは我々として改善すべきとして平成4年度に取り組んで改善してまいりました。

今後の課題として我々が今、考えていますのは、苦情は現在アンケートを取っていません。なぜかと申しますと、基本的には電話でかけてこられ、どちらかというと、やはり高齢者の方が多いので、必ずしもメールとか、ファクスとか、そこでいただけるものではなくて、保険会社とのやり取りの間でこういうことをしてはいかがですかというサポートしていることに限りますので、必ずしもうまく全員にアンケートをお願いするという状況ではないというのもあってやっておりませんけれども、これは何とか、全員とはいかなくても、何らかの形でお願いして、回答いただける方からはいただきたいということを今、考えておるところです。

私のほうからは、以上、報告になります。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本少額短期保険協会の大槻委員、御説明をお願いいたします。

【大槻委員】

少額短期保険協会、大槻でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料に基づきまして、御説明させていただきます。

まず、(1)でございますけれども、解決率等につきましては、表に記載させていただいたとおりでございます。全体の傾向としますと、令和3年度から令和5年度、直近のところを見ますと、解決率としては全体的にやや低下している傾向があると受け止めております。

それにつきましては、(2)で御説明させていただいておりますが、分析としては、まず、1つは、これは当業界の特徴でもありますけれども、近時、やはりネットでの加入が多くなっている、あるいはお客様がネットで加入したいということが多くなっていることがあろうかと思います。それから、少短協会におきましては、新たな商品が生まれていくという機会について非常に頻度が高く、例えば弁護士費用保険であったり、スマホの修理保険であったりとか、こういった商品が、比較的頻度高く生まれているというとこと。それから、3つ目として、契約者からの事故報告遅延、あるいは業者の初動の遅れ等があろうかと思います。

やや詳しく御説明させていただきますと、1つ目としては、ネット加入の増加とともに、契約者御自身が注意すべき事項などを十分確認しないまま申し込んでいて、そして、保険金請求の段階になって少短業者の支払いができないということに対して、今度はやや無理な理屈をつけて保険金請求をするというようなケースが増えているかと思います。

それから、2つ目でございますけれども、先ほども別のところでもお話あったとおり、契約者がなかなか少短業者の回答に納得せず、第三者の見解を求めるというようなケースが増えてきております。それから、3つ目としましては、先ほど御説明しましたとおり、契約者あるいは少短業者の動きがやや遅延しているということもあり、双方でのミスコミュニケーションが起こっている、こんな傾向が見てとれるかと考えております。

続きまして、2番でございます。

工夫している取組という意味では、私どもは、まずは相談として受け付けているものが非常に多く、年間300件ほどございまして、その中から実際に苦情として対応したのが1割程度、30件ぐらいという傾向がございますので、まず、相談いただいた段階で事情をよく確認して、お客様と一緒に問題点を整理して、そして、少短業者で再確認をお客様がされるときのポイントなどをアドバイスしていくということで、丁寧に相談の段階で対応させていただいているということでございます。そして、業者、それから、お客様双方が相互理解をした上で解決に向けて進んでいくというような後押しをさせていただいているというところでございます。

苦労した点でございますけれども、最近、やや傾向としてはあると思うのが、裁定不適格です。先ほど申し上げたとおり、ややお客様の申立てに根拠がないとか、無理筋であったりとか、なかなか御理解いただけないというケースがやや増えているところがございます。

それから、3番目、総合解決率向上に向けてということで、総合解決率自体が当協会におきましてはもともとの苦情件数も非常に少ないということもあり、これが高いから無条件にいいということではないと捉えておりますし、逆に、指標の高さだけを求めるということが誤った方向に行かないかという課題感を持ちながら、今後も丁寧に取り組んでいこうとは考えておりますけれども、まずは、今後も丁寧にお客様に相談から対応させていただくというのが1つ、それから、近時増えております、お客様の理屈のない要求に対して、時間とコストをかけずに対応する方法を考えていく必要があろうかと。言い換えれば、やや無理筋の申立てに対して合理的に説明して御理解をいただくということの工夫も必要かと思っております。

それから、一方で、少短業者につきましては、相談・苦情を持ち込まれた場合の対応スキルを向上させるという必要があろうかと思いますし、そもそもですけれども、互譲の精神の考え方を理解いただく、金融ADRの狙いをしっかり理解いただいて対応いただくということが必要かと考えております。

計画している取組といたしましては、これは既に今もやっておりますけれども、新たに少額短期保険の業界に参入してくる業者、異業種が非常に多いということもありまして、入会時にかなり時間をかけて金融ADR制度の理解を求める。金融ADRの創設の背景とか、当時のやり取りとか、あるいは参考文献なんかも示して御理解をいただくということをやっておりますし、今後もこういった活動を続けていこうと思っています。

また、当協会で行われております各種委員会においては、具体的な事例を使って金融ADRの理解を図るようなことをやっているということ。

それから、一方で、やや増えておりますお客様の無理筋の要求に対して、これは少額短期の業者自体もそうなのですけれども、対応するべきスキルを身につけるというようなことをやっていく必要があろうかと思っておりまして、昨年の暮れにはカスタマーハラスメントの対応研修を専門の弁護士の先生に講師を務めていただいて、具体的な対応のやり方、説明の仕方を含めて、こういったことを勉強する機会を作ったりしているという状況ではございます。

あとは、事前に御質問いただいているアンケートにつきましては、裁定委員会で和解に至ったようなものについては、おおむねアンケートを取りますけれども、満足という御回答いただいているということです。

それから、もう1つ、ADR機関で受け付けているものが特定の業者に偏る傾向があるかという意味では、先ほど申し上げましたとおり、新しい商品がどんどん生まれるという傾向もございますので、そのときそのときで苦情が偏るという傾向はありますけれども、その場合には、そういった業者に対して、我々のほうからアドバイスをしたり、あるいは対応スキル、場合によっては、その商品の中身についてもいろいろ議論をさせていただいて解決してきているという状況ではございます。

私のほうから以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)の丸野委員、どうぞよろしくお願いします。

【丸野委員】

FINMACの丸野と申します。資料に基づきまして、御説明させていただきます。

24ページになります。まず、項番1の(1)でございますが、こちらは表に書いてあるとおりでございます。参考として、③の部分だけ抜き出しさせていただきましたけれども、ここは新規の受け付けに過年度で解決しない分、それと、今期終わってない部分、これを加減したものを分母として計算させていただいた数字を出させていただきました。おおむね高水準で推移していると思っております。

特に紛争解決手続におきましては、ここで出させていただいた数値と計算式が完全に一致するわけではないのですけれども、私どもFINMACが業務開始してから昨年度終了時点までの紛争解決案件の7割が和解できているということがございますので、それに比べると、5年度の数字というのは非常に高い数字になっているということは言えるかと思います。

続きまして、25ページでございます。(2)でございます。

ここの部分でございますが、当センターの把握している範囲内ですけれども、総合解決率は少し高いだろうと思っております。また、ここ数年の状況を見ると、特定の商品、いわゆる仕組債に対する紛争解決の事案が非常に増えていたということが言えます。加えて、仕組債の和解率が非常に高かったということもあって、全体としての紛争解決の和解率が上昇していると考えております。直接的な因果関係というのは不明ではありますけれども、ここに書かせていただいたとおり、行政処分を受けた事業者がございましたので、その事業者が真摯に対応しているということも1つの要因かと思いますし、数が多いということで、紛争解決委員の仕組債に対するスキル自体が上がったということも言えるのではないかと思っております。

(3)でございます。ここは(2)と同様、仕組債の案件が上昇したこと、また、その和解率が他の事案に比べると相対的に高いということなどから増加していると考えております。

項番の2でございます。こちらは、まず、工夫している点ですが、利用者からの申出に対しては懇切丁寧な態度で接して、申出内容が要領を得ない場合、こういうことは結構あるのですけれども、話を遮ることなく傾聴する。法律とか規則、あるいは取引の仕組みに照らしながら、こちらから質問するなどで申出内容を整理した上で、申出者の真意を正確に汲み取るように努めているということでございます。

苦情の対応においては、分かりやすい説明を心がけるということに尽きると思うのですけれども、それ以外に、1つ目としましては、苦情の取次ぎに当たっては、事業者との交渉能力の差、ここに留意した上で、投資家からの苦情の内容から事業者の問題点を引き出し、整理した上で事業者に取り次いで解決に向けた誠実かつ迅速な対応、これを促すというようなこと。2つ目としましては、両者間の話合いを促す場合には、あらかじめ投資家に対して事業者に確認すべきポイントなどを助言するなどをしております。

また、事業者の回答に納得できないという方に対してはあっせん制度の説明をし、投資家の意向を確認しながら対応しているというものでございます。

また、口座名義人以外の御親族からの申出であっても、不正の可能性や口座名義人の認知能力の低下などにより、口座名義人の保護が必要と判断した場合には相手事業者への申出内容を伝えるなどを行っております。

苦労した点としましては、特になしと書かせていただきましたが、先ほども申し上げましたように、なかなか要領を得ない申出というのは実際ございますし、また、この会議体で以前、カスハラについて議論したと記憶しておりますけれども、そこで見た限りは、我々のところはカスハラの比率というか、件数があまり多くなかったと記憶しています。そういった意味では、全く苦労しないわけではないのですけれども、もしかしたら相談員の耐性が高いのかもしれないと思っているところでございます。

項番の3の総合解決率向上という部分ですが、ここではこのとおり書かせていただきました。理由としましては、総合解決率という、ここでの算式とまるっきり同じものを我々としては使ったことがないので、こういうふうに書かせていただいたわけなのですけれども、引き続き、個々の苦情あるいは紛争解決事案について丁寧に対応し、解決を1件でも多くしていきたいと思っているところでございます。

最後にアンケートについて触れさせていただきます。私どもも紛争解決を利用された投資家と事業者の双方を対象に全件アンケートを行っております。回収率という点で申し上げると、紛争解決が終わってから1年以上たってからアンケートが回収できるような事例もございまして、回収率を測るのが非常に難しい状況になっていますが、和解できた事案で大体8割、和解できない事案で6割ぐらいの回収率です。

アンケートの中で、満足したか、満足してないかといったような聞き方はしてないのですけれども、自由記載欄がございまして、不調に終わった、和解できずに終わった事案でも、あっせん手続をやってよかったといったような好意的な御意見も頂戴しております。一方で、和解できた事案であっても、あのときはあれでいいと思って和解したけれども、ちょっと不満が残っているといったような御意見をいただいたりする場合もありますので、和解できた投資家が全て満足しているかというと、必ずしもそういうことはないと考えています。

以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

続きまして、日本貸金業協会の菅原委員、御説明よろしくお願いいたします。

【菅原委員】

貸金業協会の菅原でございます。

ページは27ページです。

解決率ですけれども、御覧のとおりでございます。ここは多少ばらつきありますけれども、おおむね解決ができているのかと思います。数字が低いところは、年度内に解決しなかったもの等でございますので、おおむねこの辺りは特段問題がなくいっているのかと思っております。

28ページをめくっていただいて、当協会では、苦情の前に一旦相談という形で受け付けをするのですが、最近増えているのが、ここに記載のとおり、副業詐欺等でだまされて貸金業者からお金を借りてしまったのだけれども、どうしたらいいでしょうというような相談が非常に増えております。

これに対しては、適切なアドバイスを行ったりとか、協会員に対して水際対策をしていただく、あるいは協会、それから、協会員で注意喚起の動画をつくったりとか、ポスターをつくったりとか、こういったいろいろな方法で対応しているところでございます。

2.のところで、これはちょっと似てはいるのですけれども、やはり詐欺関連、不正利用をされてしまったということで、これがADRになったという事案がございました。なりすましですとか、外国でそのカードで不正にキャッシングをされてしまったというものでございます。これは和解が進んでおります。

次、(3)のところの総合解決率、苦情処理手続の解決率、ADR和解率の分析ですけれども、件数がそれほど多いわけではございませんので、特段の増減理由、その辺りまでは分析等はしておりませんが、昨年度から苦情処理手続については少し幅広に取って、不満足のあった方に対しては今まで以上にきちんと内容をお聞きして、苦情処理手続をするというような運用にしておりますので、若干件数は増えているかと思っております。

続きまして、29ページの項番2のところで工夫している取組ですけれども、先ほどほかの機関からもありましたけれども、やはり申立てをされている方がなかなか、一体何に不満なのか要領を得ないとか、そういう方が非常に多くございますので、こちらに書いてありますとおり、相談員がカウンセリング技法を使った聴き取りですとか、そういったもののスキルアップの勉強会をするとか、こういった工夫をしながら、より正確に聴き取りをするというような取組をしております。

苦労した経験につきましては、これも先ほど、ほかの機関でもありましたけれども、やはり貸金業者への怒りを我々の相談員に向けて来るとか、メンタル不調の方ですとか、クレーマー的な方への対応、こういったところに非常に苦労しております。研修をしたり、いろいろな情報交換をしながら、こういった方への対応というものを、日々、勉強しているところでございます。

30ページのナンバー3ですけれども、今後の課題につきましては、相談員のさらなるスキルアップ、計画している取組につきましては、③のところで他機関、行政、消費者関連団体との連携と書いていますけれども、我々のところで、財務局の相談員の方ですとか、消費生活センターの相談員の方々とも定期的に意見交換などをしまして、情報収集をしたり、事例の研究をしたり、このようなこともしております。こういったことを継続しながら、相談者のために、よりよい助言や、苦情になった場合についても対応が適切にできるようにやっていくことを今後も計画をしているということでございます。

御報告は以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

8機関から御説明をいただき、大変ありがとうございます。

それでは、ここまでの説明につきまして、皆様から御意見、御質問等をお伺いしたいと思います。

御発言に当たりまして、事務局より事務的なお願いがございますので、よろしくお願いいたします。

【髙島室長】

御発言を希望される際には、会場にいらっしゃる委員の皆様におかれましては、挙手もしくはネームプレートを立てていただき、また、オンラインで御参加の委員におかれましては、会議システムのチャット機能により、お名前と所属を入力いただいた上で御発言希望の旨、お知らせいただければと思います。座長が指名されますので、御指名のあった委員は御発言をお願いいたします。オンライン参加の場合、マイクのミュートを解除し、御自身のお名前をおっしゃっていただいた後、御発言いただければと存じます。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、御発言を希望の方、先ほど事務局から御説明がありました方法で発言の意思をお知らせいただければと思います。いかがでしょうか。

坂委員、お願いいたします。

【坂委員】

各機関の皆様におかれましては、日頃の御尽力、誠にありがとうございます。

金融サービスは、その特性から、金融事業者と顧客の間である程度必然的に苦情・紛争が生じ得ると考えられますけれども、今日では苦情・紛争に適切に対応することも金融サービスの重要な要素であると考えられます。個別の事案解決を通じて顧客の金融サービスへの信頼を確保すること、広く金融サービスの改善の糸口を見いだすこと等も金融ADRの重要な機能と考えます。

係る観点から、苦情・紛争解決の取組に関して3点、回答から浮かび上がってきております金融サービスの課題について2点、それから、今後の取組について2点簡潔に述べたいと思います。

まず、苦情・紛争解決の取組についてですけれども、第1に、高齢顧客ですとか、あるいは対応困難な顧客からの苦情が課題として見られております。この点につきましては、我々も経験するところではありますし、また、過去にこの場でも議論されたところですけれども、特に対応困難顧客の在り方を学び、対応のスキルを上げていくということが必要と考えられます。

第2に、苦情処理、紛争解決手続において、適切な解決を導くべく工夫が試みられておりますが、参考となると考える点を幾つか挙げてみたいと思います。まず、多くの機関が挙げられていたお話としては、じっくりと話を聞くという点があります。次に、これも複数の機関、例えば損保協会の資料15ページですとか、少短協会の23ページ、FINMACの25ページなどに示されておりますけれども、顧客と一緒に問題点を整理して、事業者への再確認のポイント等をアドバイスする活動が取り組まれているようです。これに関しまして、保険オンブズマンの19ページでは、当事者のじっくりとした交渉を促す過程が申立人自身の冷静な振り返りの機会となるとともに、保険事業者による顧客不満足の根本原因の掘り下げにもつながる。お互いの立場を尊重しながら接点を見いだす認識を高めているという報告もございます。こういった観点も重要と思います。

それから、紛争解決等におきましては、生保協会の11ページ、13ページでは、法令や約款のみに重きを置くことなく、申立人からの事情聴取等を通じて解決の糸口となる個別事情の把握に努めるという回答がございます。

また、損保協会の17ページ等では、紛争解決委員の見解を伝えるということが重要であるという指摘もありました。

こうした様々な工夫をぜひ諸機関の皆さんのほうでも共有しつつ、取組をしていただければと考えております。

第3に、FINMACの25ページ、仕組債につきましては、金融事業者が行政庁の業務改善命令等に真摯に対応していることが和解率の上昇の一因との指摘がございます。仕組債については、行政処分とともに、金融庁のレポートによる実態把握、あるいは問題提起も繰り返し行われてきたところであり、こうした行政対応と相まっての適切な対応ということも今後、ますます重要となっていくと考えられます。

次に、回答からは金融サービスの課題もうかがわれます。こうした課題解決には、他のセクターや関係機関との連携強化が必要と考えられますが、金融ならではの情報や問題提起があり得ると考えられます。ぜひそのような観点からの取組も御検討願いたいと思います。2点申し上げます。

第1に、資料4ページ、全国銀行協会からの御報告ですけれども、金融犯罪の被害者からの補償請求に苦慮しているという御指摘があります。これは被害の深刻さと現状の解決の困難の現れでもあると思われますけれども、金融犯罪への対応は、国家的課題あるいは国際的な課題ともなっております。警察庁等でも対応の努力が重ねられており、関係機関の連携強化とともに、全体の問題状況と全体の対応の中における紛争解決者の位置、及び適切な他機関との連携強化とその情報提供や誘導などによって、少しでも事態の改善を図ることができないかと考えるところです。

第2に少短協会の22ページでは、ネット加入と新しい商品の増加を背景に、顧客がシステム上の情報を確認しないままで契約を進めてしまう問題ですとか、重要事項について事実に基づく契約者への説明が十分なされていない例が指摘されています。この点につきましては、技術的な対応を含めて、事業者あるいは事業者団体等においてもイノベーティブな対応を促すことを期待したいところです。

それから、その他、今後の取組に関して2点ですけれども、特に投資性商品の勧誘事案においては、和解成立の件数の率とともに、和解内容の水準についても、今後、検討してはどうかと考えております。和解内容の水準については様々な観点からの慎重な検討が必要でありますけれども、紛争解決も含めた金融サービスへの信頼確保という観点、及び金融事業者における業務改善を促し得るか否か等の観点からも、その水準の在り方を検討してはと考えます。

それから、もう1点、最後に、窓口一覧表について一言ですが、顧客が窓口にたどり着けるとともに、インターネット上で手続や解決事例等、必要な情報に容易にアクセスできることが必要です。窓口のウェブサイトに移遷した後は各機関のページ構成となりますけれども、各ページ構成において、利用者が容易に手続ですとか、あるいは解決事例等の情報にアクセスできるかについて、これを機会にいま一度、点検をお願いしたいと思います。

以上です。

【神作座長】

大変詳細なコメントありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

大出委員、お願いいたします。

【大出委員】

全国消団連の大出です。質問と意見を述べさせていただきたいと思います。

16ページの日本損保協会のところにあります、自然災害のときに保険金で住宅修理ができると勧誘しているという、若干悪質なのか、間違っての勧誘なのか分からないのですが、そのようなものに関して、協会の会員の事業者なのかどうか分からないですが、どのように注意や指導を行っているのかということをお伺いしたいと思います。

もう1点は、29ページの貸金業協会のところで、オリジナルの相談対応聞き取りの手引というのを作成していると記載があります。その特徴、トークスクリプト例が特徴なのかと思うのですが、具体的に何かほかの手引とは違う特徴があったら教えていただきたいと思いました。

それから、意見ですが、損保協会のところに、要望どおりにならなくても納得感を持ってもらえるようにというような対応をしているということがありましたが、大変大切なことだと思っております。先ほどアンケートを実施しているというお話を幾つか伺いましたが、苦情の解決やADRの和解をしたから納得しているかというと、そうでもなかったりするので、理解をしてもらう、納得してもらうためには、やはり終わってからのアンケートというのはとても重要かと思っています。

先ほど、解決していればよかったとなるし、難しいと何かひどいというふうになるという話もありましたが、先ほどオンブズマンのアンケートで改善すべき点が入っていたというところで、アンケートはやはり率直に申立ての方の意見というものが入っているので、やはりそこは実施していただきたいと思いました。

それから、もう1つの視点で、5ページの全銀協の計画の取組のところですが、トラブルの未然防止のために会員へ情報発信やトラブルの共有をしているということ、それから、28ページの貸金業協会のところでは、副業詐欺に対して会員に水際対策を強化しているということ。まずトラブルになる前に未然に防ぐということの取組をしているというところがすばらしいと思いました。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

日本損害保険協会と、それから、貸金業協会に対して御質問があったかと思います。

まず、日本損害保険協会から御回答いただけますでしょうか。

【森脇委員】

自然災害に関連する保険金請求のトラブルについての注意喚起ということでよろしかったでしょうか。

こちらにつきましては、損保協会といたしましても、ホームページあるいはチラシや動画を使いまして直接的に注意喚起をしているほか、チラシあるいは動画については会員会社を通じて、例えば契約時あるいは保険金請求時にこういった注意喚起をしていただくように要請をしている、お願いをしているというところが1つございます。

もう1つ、損保協会といたしましては、実際にこういう業者がいるということの通報窓口というのを設けていまして、そちらでお受けして確認等を行うというような取組も併せて実施しております。

【神作座長】

よろしいでしょうか。

【大出委員】

ありがとうございます。

【神作座長】

ありがとうございます。

それでは、貸金業協会に対して、手引についての御質問があったかと思いますが、御回答お願いできますでしょうか。

【菅原委員】

オリジナルの「相談対応聴き取りの手引」の件ということなのですけれども、単なるアドバイスですとか解決方法を提示するということではなくて、まずは相談されてきた方の心情にスポットを当てるような内容になっています。一方的にこちらからアドバイスするだけではなかなか御自身が受け入れられないということもありますので、まずは相談者が言っていることを素直にこちらで受け止めて、その上で一緒になってどういうふうに解決していくかということを支援するというような内容になっています。こちらからこうしなさい、ああしなさいと言ってもなかなか受け入れてもらえない場合、一体自分としてはどうしたいのだと、自分としてはこう決めてこういうふうに動きたいというような方向に導けるような話し方、聴き方、こういったものが全体としては盛り込まれている。そのようなものでございます。

【大出委員】

ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

では、ほかに御意見、御質問ございますか。

それでは、斎藤委員から先に御発言ください。次に、寺内委員、お願いいたします。

【斎藤委員】

苦情処理手続の対応というテーマは久しぶりだと思うので、アップデートいただき、大変参考になりました。ありがとうございました。

私からは、全体への質問というか、コメントと、あと、個別の疑問を3つほどお話ししたいと思います。

苦情処理対応は、なかなか外からうかがい知れないので、今日、ご説明を伺い参考になりました。ただ、具体的な苦情処理の進め方については、今回の記述からは細かいところまでは分からなかったものの、例えば、協会の担当者の手続きへの関与度合い、協会は個別の案件で中継ぎして顧客と相手方金融機関との交渉に任せるのか、それとも協会のほうである程度アドバイスしたり、一定程度関与するのかどうか、その関与の度合い等も機関ごとに違っているように思いました。人員リソースの関係とか、いろいろな体制の違いがあると思うので、苦情処理の進め方について違いがあるのはもちろん当然だと思いますけれども、何がベストプラクティスなのか、について考えておくのはよいと思います。

先ほどオンブズマンさんから、協会の関与の度合いを深めたら解決率が高まったというコメントもありましたので、どのような関与の仕方、度合い、あるいは、相手方金融機関等にどのようなメッセージを送るのか等、そのあたり、何がベストプラクティスか、を議論するのはよいことだと思います。もし、ADR連絡協議会の中で機関同士でベストプラクティスについて議論されているとすれば、ぜひお伺いしたいと思いますし、ないのであれば、ぜひ、この辺は、まさに機関同士の連携でベストプラクティスを模索していただくことがいいのではないかと思います。

また、苦情処理から紛争解決への情報の連携も、おそらく機関ごとに手続きが違うと思います。予断排除で一切連携しないというのも1つの考え方だと思いますし、ある程度問題点を紛争解決手続きに連携するというのもあると思いますので、この辺もベストプラクティスは何なのか、もし議論されていることがあれば教えていただけるとありがたいと思います。

それから、個別の質問というか疑問点、少し細かいので、これは神作座長のほうで適当に質問はカットしていただいて結構なのですけれども、3つほど疑問点がございます。

1つは、損保協会さんと保険オンブズマン、これは両方とも損保という同じ業界で、日系企業中心か、外資系企業中心かの違いはあると思いますが、金融商品の商品性はそんなに違わないと思います。しかし、この苦情処理や紛争解決手続きでの解決率を見ると、かなり傾向が違っており、なぜかなと思いました。損保協会さんは苦情処理での解決率が非常に高い一方、オンブズマンさんのほうは半分程度。一方で、紛争解決の解決率はオンブズマンさんのほうがだいぶ高い。資料の記述からうかがわれる違いとしては、苦情処理段階での専門性を持った担当者の関与度合いの違いや、苦情処理前置かどうか、その辺りが紛争解決の解決率に影響があるのかというのはちょっと思いましたけれども、そのほかに何か原因があるのでしょうか。これもまさにこの2つの協会で連携してベストプラクティスを探求していただくといいのではないかと思いました。

それから、2つ目の個別質問ですけれども、これもかなり細かいのですが、全銀協さんにお伺いしたいんですけれども、これは金融庁の相談件数、資料5-2を見ると、令和2年の第2四半期と令和5年の第1四半期、これがいきなり預金融資等の相談が倍、普段は4,000件行ってないところが、この四半期だけは8,000件を超えているということで、これは何が背景事情にあるのでしょうか。全銀協に対する苦情処理もこれと同じに増えているのかどうか分かりませんけれども、もし増えているとすれば、どういう背景事情があるのでしょうか。急に相談数が倍というのは対応にもかなり影響があると思いますが、ある程度予測できた事態だったのか、予測できたとすればどういう対応を取られていたのか等、もし分かれば教えていただけるとありがたいです。

それから、3つ目ですが、信託協会さんの資料を見ると、これは前々からこの傾向ですけれども、非常に件数が少ないということが認められます。件数が少ないことは本当に悪いことではないのですけれども、信託協会の業界の規模からいうと、何か埋もれている不満というのがないのかどうかはやや気になります。つまり、これを見ると、大体10件、11件、6件ということで、私の肌感覚だと、例えば信託銀行の遺言書関係のビジネスなどは少しずつ拡大しているのではないかという気はするのですけれども、この件数が果たして適正なのか、埋もれているものがないのか。もちろんこの業界の全体の取引件数からして、この件数がそもそも適正ということかもしれませんし、あるいは各信託銀行の対応が非常に優れていてそこで解決しているのか。あるいはそもそも弁護士の方に相談に行ってしまうのか。いろいろな理由があると思うのですが、どういうふうに整理されているのか、もし分析されているのであれば教えていただきたいと思います。

私の疑問は以上ですけれども、もう1つコメントとしては、前回、カスハラの問題がありましたけれども、カスハラの問題以外にも今回、ご説明を伺って散見されるのが、協会の立ち位置をあまり理解していない相談、例えば、顧客が、協会に相談すると協会が全て解決してくれるというような誤解に基づくものがあるというのが結構多いと理解しました。前回のテーマと被りますが、このような協会、ADR機関の役割について、どのように周知徹底していくのか、相談者にどのような御説明するのが良いのか、というところも課題だと思いました。

以上です。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

最初に、一般的な御質問をいただいたかと思います。具体的な苦情処理の進め方についてですとか、他機関との連携の仕方についてのベストプラクティスについての議論あるいは実践の状況についての御質問と、後半のほうでは個別の御質問を3ついただいたかと思います。

いかがでしょうか。まず、個別の御質問のほうから答えていただければと思いますけれども、損保協会と保険オンブズマンに対し、比較をされたことがあるのかといった点も含めて、ぜひ何か御感触とか、こういうことが違いの1つの原因ではないかというような思い当たるところがございましたら、御発言いただければ大変幸いに存じます。いかがでしょうか。

損保協会、それから、保険オンブズマンの順序で、お願いします。

【森脇委員】

御質問いただいた件に関しましては、やはり件数ですとか事案の内容等にもよってくるものがありますので、一概に特定の原因として何かというところは思い当たるところがないのが現状でございます。

ただ、今コメントをいただいたような部分が関連しているのではないかということは想像できるのですけれども、現状としては、特に特定の原因は持ち合わせていないということで御回答とさせていただきます。

【斎藤委員】

ありがとうございます。

【神作座長】

では、保険オンブズマン。

【種村委員】

保険オンブズマンとしてですけれども、実際のデータとか細かい内容を見比べたわけではないので、感覚的な分析ということになりますが、この資料をいただいてからうちの事務局内でも議論をしました。なぜだろうというのはあって、多分苦情の取り方自体は広く取るという方向はそれほどぶれていないので、多分そんな差はないだろうと思っております。それではその差は何だろうと考えたところ、当法人にお客様が苦情をしてくる、その対象の事業者や保険会社の性格を損保協会様と比べてみると、我々保険オンブズマンに対して、苦情を申し立てる方は基本的には個人の方であって、それ以外の保険契約者の方々は基本的に企業の方で、業務形態が(BtoB)となることから当法人には連絡してこないこととなります。また保険オンブズマンに所属しているその他の金融機関は、仲立人協会の人たちで、やはり企業相手に業務を行なっていることから、そこからも苦情は来ません。

もう1つ、保険会社、外国損害保険というのがメインのうちのメンバーの会社になりますが、その中のビジネスモデルというのですか、モノラインとして企業物件でやっている方が結構おられますので、そこからはやはり苦情は来ません。実際に来るのは、ダイレクトで自動車販売をされている保険会社、それから、代理店はありますけれども、その代理店は形ばかりで、保険についていろいろ相談乗ってくれるというよりは、例えば火災保険で、ある賃貸のところで借りたところはそこが持っているところが代理店となって、そこを通した保険に入ってくださいというようなところの苦情が出てくる。これもやはり個人のお客様より出てきます。

そうすると、これも想像の下ですけれども、損害保険協会様の、いわゆるメガと呼ばれている非常に大きな母数のあるところで、やはり代理店が間に入っていらっしゃるビジネス形態が大きく差を生むのではないかと思っています。やはりプロ代理店とかが間に入られるところはお客様との接触が多いところでは、「これは何でこうなったの?」とかの説明等のワンクッションが多分あるのだろうと思われる。

先ほど説明でも述べましたけれども、保険金支払いがやはり非常に多い。メジャーを比べていると、大きな部分を占めているということで、ちょっと狭めて見ると、例えば自動車保険の保険金となると、やはり疑問があれば代理店の方が大きなところはワンクッション入っているということで、それでも来るというのは、確認とかがあるのか。ただ、うちみたいなダイレクトで売っているところは、そこのクッションがないままおかしいと言って、そうすると、本当におかしいのではないかと、我々が思う、要するに解決ができないような苦情、やはり紛争に行かなきゃいけない。だから、そこが半々に分かれてくるのかと。

だから、我々のところに来るお客様が相手にしている事業者がダイレクトというビジネスモデルの違いが一番大きいのかと話をしていたところです。ただ、それを調べるつてはあまりないので、何とも言えない。

【斎藤委員】

なるほど。苦情申立てが来るまでのプロセスがだいぶ違いそうですね。

【種村委員】

はい。そうではないかと考えております。

【斎藤委員】

ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

それでは、全銀協に御質問があったかと思います。

【寺内委員】

ありがとうございます。

【神作座長】

よろしいでしょうか。

【寺内委員】

金融庁様のほうの相談件数の推移は極端に増えており、私どもも極端に増えたわけではないのですが、当時は増加傾向にございました。いわゆる相談内容は、コロナが始まったときでございますので、融資の返済あるいは資金繰りの悪化とか、所得の減少によりローン返済についての相談が多く寄せられました。よって、どちらかというと、預金業務ではなくて、融資業務が著しく増えたところでございます。

こちらで大丈夫でしょうか。

【斎藤委員】

ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。よろしいですか。

それでは、信託協会、全体の件数が少ないことについてコメントしてください。

【西川委員】

まず、本日の配付資料のうち、「金融機関とトラブルに関する相談・苦情窓口(金融ADR機関)一覧」を御覧ください。私どもの信託協会のところでは、大きく「信託会社等」と「信託銀行等」に分かれており、「主なサービス」の内容は次の欄です。「信託会社が実施するサービス等」として、「信託業務」と記載しており、その下、「信託銀行等の実施するサービス」では、「信託業務」のほか「併営業務」が記載されております。このうち金融庁正式に報告しているものが、この「信託業務」に関するものであり、それ以外は任意業務としてADRの取扱いをしております。このうち今回、メインで報告している件数は、この「信託業務」に係るものであり、具体的には信託業法および信託兼営法に基づく業務が対象となっております。

その意味で、斎藤先生に御指摘いただきました相続関連業務に関しましては、御指摘のとおり相応の件数がありますが、(メインで報告している)正式な件数としては載ってこないということになっております。

なお、資料2-1の「業界団体における相談・苦情・紛争の件数」においては、任意業務を含めた件数を報告しておりますので、こちらを御覧いただければと思います。

信託協会の件数は、全銀協の次に掲載されております。「苦情」の件数は真ん中の欄になりますが、苦情は、令和5年度が30件、4年度35件、3年度33件となっており、概ね30件前後の苦情がございます。

その右の欄は「紛争」の件数です。これはちょっと少ないのですが、令和5年1件、4年2件、3年0件、2年が5件、元年が6件となっており、概ね平均する年間3件くらいの紛争があります。

このように、苦情は年30件前後、紛争は年3件程度となっており、これらが身の丈なのかどうか分かりませんが、実態といたしましては、この程度の件数があるということになります。

簡単でございますが、以上でございます。

【斎藤委員】

分かりました。

【神作座長】

よろしいでしょうか。

【斎藤委員】

適正な件数と整理されているわけですね。

【西川委員】

そうですね。こちらが信託協会全体として処理している件数でございまして、法令上、紛争解決が義務づけられているものを正式な件数として報告しているという事情があるため、若干件数が少なく見えます。ただ、御指摘のとおり、相続関連業務につきましては相応に件数がございますし、あと、証券代行業務も任意業務ですが、証券代行業務についても相応の件数が上がってきているというのが実情でございます。

【斎藤委員】

分かりました。ありがとうございます。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、斎藤先生からいただいた前半の大きな御質問があったかと思います。ベストプラクティスとは何かについて、機関の中で、あるいは、場合によっては、複数の機関相互間で連携の問題等について話し合っているようなことがあるのか、といった御趣旨の御質問があったかと思いますが、最初の御質問について、どなたかお答えいただくことはできますでしょうか。

【西川委員】

すみません。

【神作座長】

では、西川委員。

【西川委員】

先ほどの発言について若干補足いたします。

資料2-2の「金融ADR機関における相談・苦情・紛争の金融商品別内訳」の件数が掲載されておりますが、こちらは任意業務を含めた件数になっており、信託協会の欄を御覧いただきますと、下から2つの行は「相続関連業務」と「証券代行業務」となっており、それぞれの相談・苦情・紛争の件数が載っておりますので、追加情報ということで御参考までに報告いたします。

具体的には、「相続関連業務」が相談として77件、苦情として9件、紛争として1件あり、「証券代行業務」が相談として71件、苦情として5件、紛争としては0件という状況になっております。

補足は以上でございます。

【斎藤委員】

ありがとうございます。

【神作座長】

補足ありがとうございました。

前半、第1の質問、最初の質問については何かコメント等ございますか。

斎藤先生、何か聞き方をちょっと変えてご質問いただくことは可能でしょうか。

【斎藤委員】

そうですね。いや、特に議論されていなければけっこうなのですが、同じような問題点が浮かび上がってきていますので、具体的なプロセス、どこまであるいはどのように協会が苦情処理段階で関与するのか、とか苦情処理手続きと紛争解決手続きとの連携の仕方というところなどを、それぞれ人員体制が違うと思うので、全く一緒というわけにいかないと思いますけれども、どのような手続きが一番解決に資するベストプラクティスか、ということについて、機関の間で連携して議論していただくのは有意義だと思います。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

それでは、田中委員、どうぞ御発言ください。

【田中委員】

この細かい数値のデータを出していただきまして、本当にどうもありがとうございました。

金融ADRを設計するにあたり、イギリスのオンブズマン制度等を参考にされたと思うのですけれども、その際も苦情相談が8割で紛争解決が2割というような形の数字の推移がありました。当初の議論でも、我が国の金融ADRの中でも、苦情相談のところが一番大切だというところは、言われていたところでした。その意味で、今回このような数字が明らかに出てきて、それぞれの御対応が見えてくるというのは、我が国の金融ADRを考える上でとてもありがたい機会になったかと思います。どうもありがとうございました。

質問としては、斎藤先生と同じような質問を持っておりました。なぜ損害保険だけこれだけ苦情が桁違いに多いのか、突出して出ていたので、私も疑問でした。

ただ、今の御説明のように代理店が絡んできて、そこに関わる人も増えていっているので、多くなってくるというところが、先ほどの説明でよく分かりました。ありがとうございます。

オンブズマンさんのように商品形態がダイレクトや、通販になったり、いろいろな商品がこれから出てくると、ここの数字も多分いろいろ変わってくるのだろうと考えています。そして、いろいろな金融商品を予想する上で、この傾向がより、顕著になってくるのかとも考えています。

その上で、意見に近いのですけれども、何回もお話が出ているように、和解率や解決率が高いことイコール満足率が高いわけではないというところは改めて押さえておく必要があるのかと思っています。今回、数字が出てきたので、数字が独り歩きしないような形は、ぜひこれから資料を公表する上でも、注意喚起はしていただく必要があると思いますし、今後、今回、座長の御示唆の下に一覧表を出していただいたのですけれども、注意喚起や、先ほど坂先生からどうやってリンクしていくことが大切なのかというお話のように、併せて結果公開の中に何か注意喚起をする必要があるかと思います。この資料が公表された際に、この数字だけが独り歩きするのはちょっと怖いという感じはいたします。

少短さんからは御説明いただきましたが、今後の課題として、これだけ苦情のいろいろなものが出ているときに、それぞれに関わっているところの会社の偏りがあるかどうかというのは一度精査をしていただく必要が出てくるかと思いました。

というのは、この数字自体も解決率という問題というよりかは、これらの苦情とか紛争解決をどうやってそれぞれの各社にフィードバックするかというところが一番の大切な重要な要点だと思っておりますので、各社にフィードバックしていく上で、この数字だけではなく、各社に偏りがあると、何のための金融ADRなのかが分からなくなってしまうので、一度精査をしていただく必要があるかと思います。個別に会社名を私たちは知る必要はありませんけれども、どのように偏っているのかというところはある程度、今後、見ていく必要があるかというふうに、今回特に感じました。

もう1点、先ほどからアンケートというところがよく話が出ています。紛争解決のアンケートは取りやすいというのは間違いないと思うのです。それぞれ関わりが多くなってくるので、アンケートは取りやすいのですが、苦情や相談のところのアンケートは母数も多いですし、関わり方も違ってくるので、各紛争解決指定機関で取っていくのはなかなか難しい。コストもかかるし、人的な要素も関わっていくので、そこは難しいだろうと思っています。

そういうものこそ、逆に、金融庁さんが主導していただければと思います。もちろん、偽物のアンケートが出回るようでは困る、相談した人ではない人が答えるようでは困るので、IT技術等は必要になってくるとは思うのですが、個別の、例えばナンバーを記して、そこでQRコードから入っていくとか、何か工夫をした上で、各社ではなくて金融庁、第三者に直接答えられるような仕組みというのがあると、相談者や利用者の方も、ある意味答えやすくなり、正直な感想を伝えやすくなるし、こちらも第三者として意見が把握できるようになるのかと考えます。これだけIT技術が発展してきましたので、工夫いただきまして、金融庁さんのほうで考えていただけると、とてもこれからの発展に寄与できるのではないかと思いました。

【神作座長】

どうも御意見ありがとうございました。

それでは、寺内委員、大変失礼しました。よろしくお願いいたします。

【寺内委員】

すみません。冒頭にときちんと御報告するのを失念しておりました。私どももアンケートは実施しております。紛争解決手続の利用者に対して、紛争解決結果を問わず皆さんにアンケートを実施しております。回答率は6、7割でございます。

その中で必ず質問させていただいているのが、苦情相談段階での相談員の対応、あっせん委員会事務局の対応、あっせん委員の説明の様子、あっせん委員の信頼度というものの4点、これを2012年からアンケートを実施させていただいておりまして、ウェブサイトで毎年6月に公表しております。いつでも見ていただければと思っております。

今、田中委員からいただきました相談員の対応、紛争解決手続に流れてしまった案件ではございますけれども、相談員の対応について約8割は肯定的な御意見をいただいております。しかしながら、残りの部分は相談員が威圧的だったと感じられたというような御意見もありますので、そのときにはきちんと録音を確認しているというところでございます。この場ではウェブサイトできちんと公表しておりますので、ぜひ皆さまにご覧いただきたいというところを失念しておりましたので、報告させていただきました。

【神作座長】

補足の御報告ありがとうございました。

ただいまの点につきまして、何か御発言ございますか。よろしゅうございますか。

それでは、オンラインで御参加の委員の方から御発言の希望をいただいております。

京都大学の山田先生、東京大学の沖野先生、それから、唯根委員、この順番で御発言をいただければと思います。

初めに、山田先生、お願いいたします。

【山田委員】

発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

本日の内容は私も大変勉強になりました。金融トラブルに関しては、言わばこの会議は横串の情報共有の場であって、他方で、法律上、縦方向で苦情処理から紛争解決まで手続がそろっている状況まで来て、顧客への安心感をもたらしていると思われるところ、今回、総合解決率という形で手続全体をトータルで見るという視点を出していただいたのは大変よかったのではないかと思います。

その上で、すでに議論がありましたけれども、定量的な数字的な問題と、それから、定性的な内容上の質的な問題と両方が見えてくるのかと思います。

まず、数的なほうですけれども、分母が苦情なのか、それとも情報提供なのかで異なるのではないかという点がございました。これは、恐らく消費生活センター等でも同様の問題意識があり、何らかの形で整理なさっているのではないかと思いますので、今後、この種のデータを外に出すということであれば、一層、各機関でできるだけ横並びにすることが望ましいと思います。とくに、苦情の定義を厳格にしてしまっていることがないかをチェックしながら調整していくということが必要なのかと思います。

それから、もう1つ数値のことを申しますと、苦情解決という概念ですが、ADRと異なりまして、どのような徴表があれば苦情解決になったのかも客観的にはかるのが難しいことだろうと思います。明らかに利用者が満足したとか、あるいは不満なのでADRに進んだという場合はともかくとしまして、単に連絡をしてこないという場合が諦めであったのか、そうでないのか。諦めも、いい諦めなのか、すなわち納得したからの諦めなのか、それとも、次には進むハードルが高くてやめたのかということもすぐには分からないということだと思います。この辺り、確かに非常に難しいのですけれども、少なくともどういうコンセプトでこの解決ということを考えているのかということは検討しておく必要があるのかと思いました。

今も少しお話ありましたけれども、苦情処理についてアンケートを行っているADRは多いということですので、そこから連絡をしてこなくなった理由というものをもう少し原因分析ということをして、手続の改善ということにつなげていければと思います。

質的な問題といたしましては、これも先ほど、出ておりますとおり、ADRでの和解率がまず、低い場合には、そのアンケートの結果がどうなのかということを見る必要があるだろうと思います。でも、ここで、例えば、数字としては総合解決率があまり高くはないのだけれども、質的には満足をしている場合があり得るということは、先ほどFINMACさんから御紹介があったとおりだろうと思いまして、ここは数字と質の2段構えでいく必要があるだろうと思います。

関連して、もし時間が許せば、保険オンブズマンの苦情処理の在り方の変更が非常に印象が強かったのですが、それによって業務過多になっていないか。この変更の契機は何かをお伺いできればと思います。

それから、FINMACでも金銭解決以外の心情を金融機関に伝えるということを言っておられました。これが非常に重要だと思いましたのは、顧客は金融機関とのやり取りでまず疲弊して、それから、やっとこのADR機関にたどり着いて、そこでかなり疲れているのだろうと思いますが、そこでテクニカルな話にとどまらず、金融機関が実際には受け入れるか否かともかくとして、そのADR機関が顧客から心情面についての話を聞くというのは、顧客を人として尊重していることを明示的に表すということであって、顧客に対して非常に重要なことではないかと思います。

あと2点は、1点は質問で1点は意見です。1点は、損保協会で証明困難であるために和解提示ができない事案が多いというお悩みがあるというお話でした。これは証拠がおよそこの世にないという話なのか、それとも、相手方が出せば出るという話なのか。もし前者であるとすればこれは訴訟に行っても非常に困る事態ということになりまして、恐らく証明度を何とかしようという話になるのだと思います。そうであれば、ADRでは、訴訟よりも証明度を下げた形で紛争解決をするというのは1つのあり得ることだと思いますし、仮にそれが難しいとしても、今後、災害の激甚化が想定される中で、ADRに来ている事案というのは今後の訴訟において起きるだろうことの前兆(言わば坑道のカナリア)的な面があるかとも思いますので、これをきっかけに何か検討をされていることがあるのかをお伺いできればと思いました。

それから、最後に、今回、座長の御提案で情報提供するということで、これは非常にすばらしいことだと思います。この際、一種のポータル機能というのをぜひ持たせていただいて、先ほど田中委員からもお話あったようなことを付け加えていただき、かつ、スマホ画面でもぜひ視認ができるように御工夫いただければと思いました。

すみません、意見だけということにさせていただきます。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

せっかく御質問いただきましたので、保険オンブズマンと、それから、損保協会から、簡潔にお答えいただけると大変ありがたいと思います。

保険オンブズマンの種村委員、お願いします。

【種村委員】

御質問は、変更とおっしゃいましたか。御質問がちょっと理解できなかったので。ごめんなさい。

【山田委員】

ここに書いてあるのは、じっくりと話を聞くことにしましたとおっしゃっているので、何かこのように変更したことの契機があったのか。

【種村委員】

はい、分かりました。

担当者は長年勤めた者もおりまして、人数も限られたということもありまして、割と期間で、ここまでに苦情解決しないと、紛争のほうに渡して、お客様に紛争に行きますかという提案をしたというのが今までやってきたところなのですけれども、人数を増やしたのもあって、じっくり聞こうと。やはりお客様にもっと寄り添おうという方針を出した。何かよくしていきたいという中で、やってみたら、割とお客様のほうもちゃんと話してくれるという形が出てきたという。何か変えてみようというところでやりましたというところです。

【神作座長】

損保協会からお願いできますでしょうか。

【森脇委員】

証拠調べの部分につきましては、民間の機関においてできる範囲というのがやはり限られていると考えています。ただ、そのような中であったとしても、一律に終了するということではなくて、第三者の調査機関といったものも使いながら、和解ができるものについては和解を志向していくという取組はいたしております。

【神作座長】

よろしいでしょうか。

【山田委員】

ありがとうございます。

【神作座長】

それでは、続きまして、東京大学の沖野先生、お願いいたします。

【沖野委員】

ありがとうございます。

私から2項目申し上げたいと思います。

1点目は、和解率を評価することについて、和解率ありきではないだろうという点についてです。既に繰り返し御指摘のあった点なのですけれども、1つの指標ではありますけれども、和解率が低いというときに、それには十分な理由があるといいますか、原因があるというか、例えばクレーム自体がかなり問題のあるクレームが多いような事案というのもあるということが1つ説明されておりますけれども、きちんと説明ができるような数字になっているのかということの原因の究明ですとか、顧客からの聞き取りですとか、あるいは事案の検証ということが必要なのだろうと思います。

それは、しかし、和解率が低い場合だけではなくて、では、高ければ良いのかという問題もあり、和解率が高いというのも渋々和解に応じているという場合もあって、そういうこともあることを考えると、この数字さえ高ければ良いということでもやはりないので、顧客や、あるいは双方から、会社側からのアンケートなどもそうですし、それから、各事件の処理の検証の体制といったものが必要ではないかと思っております。その上で総合的なこのADRが目的を達せるのかという評価につながっていくのだろうと思います。それが1点目です。

2点目は、今回作成いただいた一覧についてです。こういう一覧を作っていただいて非常にありがたいと思ったのですけれども、この一覧が誰のために作られているのかということでこれを見ますと、金融機関との間でトラブルを抱えている利用者の皆様へということでこういう一覧が作られているのですが、これは使いやすい一覧なのだろうかというのがいささか分からないところがありまして、例えば検索の機能を持たせるとか、既にあるのかもしれませんが、こういうところのトラブルですというのを打ち込んでいくとここが出てくるとか、そういうようなことも考えたほうがよくはないかと思っております。各機関の代表ページに飛んでいくための窓口としての意味はとてもあると思うのですが、窓口の中での振り分けというのが、この一覧を自分で少しずつ探して、ようやくたどり着けるかたどり着けないかということだと、せっかく作ったものが残念に思いますので、この一覧自体に改良の余地はないか。特に利用者にとってのアクセス、アクセスというのはこのページにアクセスするということもありますけれども、このページの中で自分の欲しい情報を見つけ出すということができるかという観点からも改善の余地がないかというのは検討していただけると良いのかと思いました。

以上です。

【神作座長】

御意見どうもありがとうございました。

続きまして、唯根委員、御発言お願いいたします。

【唯根委員】

ありがとうございます。NACSの唯根です。

私も1点だけ、お時間がありませんので。

今、御意見のあった一覧なのですけれども、これが出来たことには感謝申し上げますが、消費者が利用するときに、この文章の特徴の中に書かれている内容や、一番下にある米印で、「苦情前置主義」でまた説明されていたり、苦情処理手続と紛争解決手続、これは第1段階と第2段階という流れの意味だと思うのですけれども、この辺の書き方や言葉や表現振りについても非常に消費者には分かりにくい、聞きなれない言葉だらけでまだまだ難しい表現だなと思いました。専門家ならすっと入るのかもしれないのですが、最初にここにたどり着いたときに、消費者はどうやって利用するのだろうということが分かるように工夫して頂けたらと感じましたので、この辺の御検討もぜひもう一度していただきたいと思います。

取りあえず以上です。ありがとうございました。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ほかに、渡邊委員、どうぞ御発言ください。

【渡邊委員】

いろいろ御説明ありがとうございました。相談員の立場から少しお願いしたいと思いました。

消費生活相談窓口は、そのADRのまだ1つ前の段階というか、一番身近に一般の消費者の方が相談をしてくる窓口です。窓口で解決できるものは金融商品であれ、情報であれ、解決してさしあげたいと、スムーズに早くストレスから解放してさしあげたいとは思っております。

できる相談はセンターの窓口で解決してあげたいのですけれども、金融商品というのは非常に難しくて、金融機関もセンターからあっせんなどの働きかけをしようとすると、ああ、それはADRでうちはやっていますからということをおっしゃるところもなくはないという状況で、実際交渉は難しく、なかなか簡単にセンターの窓口で解決というのはできないことは分かってはいるのですけれども、センターでも頑張って皆、勉強してやっていこうという姿勢は持っております。

先ほど銀行協会とかほかの機関からも行政やセンターとの連携をしたい、情報共有をしたいとおっしゃっていただいておりますので、どういう問題が今、あるのかとか、そういうことを具体的に連携し合えるようになれば、と思っております。

今日、お聞きしました中で、苦情の窓口でもきちんと体制を整えて聞いていこうという姿勢を持っていただいているということなので、大変安心いたしました。難しい案件はADRに、お願いしたいとは思いますけれども、できるものはセンターで解決していきたいと思いますので、行政に対する御協力も各金融機関等にお願いできればと思っております。よろしくお願いします。

【神作座長】

どうもありがとうございました。

ほかに御発言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。

それでは、次の議題に進ませていただきます。

すみません、私の不手際で時間を少し過ぎておりますけれども、もう少し延長するのをお許しいただければと思います。

次の議題でございます「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等について、金融庁金融サービス利用者相談室の森田委員から御説明をいただいた後、「金融ADR連絡協議会(第40回・第41回)」の概要について、事務局から簡潔に御報告お願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【森田委員】

それでは、相談室長の森田です。よろしくお願いいたします。

日頃からADR機関の皆様には大変お世話になっております。この場を借りまして、改めてお礼申し上げます。また、委員の皆様、大変お世話になっています。ありがとうございます。

時間がない中で大変恐縮ですが、相談室は平成17年7月に開設されまして、おかげさまで今年7月に開設20周年、そのような状況になっております。まだまだ発展していかないといけないところは多々ありますので、また、関係機関の皆様と協力しながらやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

それでは、資料の御説明をさせていただきます。相談室の資料は資料5-1、5-2となっております。

まず、最初に、相談件数の推移ということで、資料の5-2、A4の横のグラフを見ていただけますでしょうか。足元の状況を御報告させていただきます。

令和6年1月~3月までは、総件数1万3,000件台で推移しておりましたが、4~6月、7~9月、ここは1万1,000件台で減少しております。大きな要因として見ておりますのは、投資商品等の相談の減少と見ております。

先ほど御質問がございましたので、ピークについて少し過去の分を御説明させていただきたいと思います。グラフの左端のほう、令和2年4~6月期、預金・融資が伸びております。また、それに伴いまして、金融行政一般・その他というものも伸びておりますが、これはコロナの関連融資等につきまして相談が増えた時期でございます。

また、全体件数伸びております令和5年1月~3月でございますが、これは預金が伸びておりますが、これは個別金融機関につきましてテレビ報道があったということの跳ねということになっております。

また、令和5年7月~9月期で保険が少し伸びております。これはコロナ関連の支払いということで、増加したものと考えております。

これが全体的な流れとなっております。

それでは、受付状況につきまして、資料5-1のほうをつけさせていただいておりますが、こちらのほうは時間の関係もございますので、また、過去の発表資料でもございますので、説明を割愛させていただきたいと思います。

その資料の中の27ページをお開けいただきたいと思います。これは、令和6年7月から9月末までの受付状況の詐欺的な投資勧誘に関する情報の受付情報について御説明させていただきます。

受付件数の推移というのが一番下の欄にございます。令和6年1~3月期は2,300件でございましたが、4~6月、7~9月は1,700件、1,600件と減少しております。これは関係各機関の御努力によるものと、また、詐欺集団の手口の変化によるものなのかと推測しております。金融庁といたしましては、詐欺的な投資勧誘に関する相談というのが増えておりましたので、資料の5-1の30ページをお開けください。一番最後のページになりますけれども、この資料は昨年6月19日に公表しました詐欺的な投資勧誘に関する相談ダイヤルの開設をしたということでお知らせしたものでございます。相談室の一般的なナビダイヤルとは別に専用回線を設けまして受付を行っているところでございます。ただし、相談員につきましては、一般の投資商品の相談員が兼務しております。

専用ダイヤルにはおおむね月200件程度の受電があっているところでございます。ただ、投資商品もしくは詐欺の相談件数というのは、代表電話から入ってきたり、一般のナビダイヤルから入ってきたり、この専用回線から入ってきたりということで、いずれかの回線で受付をさせていただいているということでございます。

あと、資料の1ページの下のほうにAIチャットボットについてということを表記させていただいております。これは令和4年9月1日から運用しておりますが、おおむね月700人前後、足元も同水準の動きとして動いております。多くの方に御利用いただきたいことから、運用委託業者とも相談しながらコンテンツの充実や利用しやすい工夫を重ねていっております。

それと、先ほど沖野委員のほうからADR機関の一覧表の御指摘といいますか、要望がございましたが、金融庁の相談室のほうで一元的に受け付けをさせていただいております。その中で、このような一覧表があることによりまして、相談員のほうがこのウェブサイトのほうを御案内させていただいた上で活用させていただく、そのようなことで相談室のほうは少し便利になったかと感じているところでございます。

また、今後、相談してみたいと思いますけれども、チャットボットにうまく組み込めるのか、その辺りも利用者の方の利用しやすい方策を考えていきたいと思っております。

相談室のほうからは報告は以上でございます。

【神作座長】

どうもありがとうございます。

【高島室長】

では、私のほうからADR連絡協議会の概要について説明させていただきます。資料6を御覧ください。

第40回の会合につきましては令和6年11月に開催いたしました。テーマといたしましては、金融機関とのトラブルに関する相談苦情窓口一覧について、各関係機関の皆様との間で議論をさせていただき、作成しました。本日、委員の皆様からいろいろと御提案をいただいたところかと思います。まず、金融庁のウェブサイトのほうで公表させていただき、その後も継続的に改善の検討というのは続けてまいりたいと事務局としては考えております。

2つ目の第41回につきましては、今回のテーマの2つ目であります指定紛争解決機関における苦情処理手続の対応について、持ち回り開催といたしまして、メールのやり取り等にて、指定機関の皆様に御協力いただきながら資料について検討、作成しました。

説明は以上になります。

【神作座長】

ありがとうございました。

ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問はございますでしょうか。よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。

それでは、最後に、本日のメインの議題との関係で若干申し添えさせていただきたいと思います。

本日、各機関から出していただいた数字そのものは非常に有意義なことだという御意見がある一方で、何点か留意すべきこともあるということを御指摘いただいたかと思います。そもそも定義が必ずしもそろっていないとか、数字が高ければ高いほど良いわけではない、逆に、低ければ低いほど良いわけでもないということと、それから、各機関の性格、とりわけ各機関が取り扱っている金融取引の性格というのも大きく影響してくると思います。

こういった留意事項に気をつけながら、しかし、せっかくこのような数字を出していただいておりますので、今後、どのような形でこれを公表して扱っていくかということにつきまして、事務局と私のほうで御相談させていただき、また、必要に応じて皆様に御相談させていただきたいと考えております。そのような方向でよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。

オンラインで御参加の先生方、よろしゅうございますか。どうもありがとうございます。

それでは、予定の時刻を十数分過ぎてしまいましたけれども、本日の協議会はこの辺りで終了したいと存じます。

次回、第68回の協議会につきましては、追って事務局から御連絡していただきます。

皆様、大変お忙しい中、建設的な御参加、御発言をいただき、誠にありがとうございました。

(参考)開催実績

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