第41回金融トラブル連絡調整協議会議事録

1.日時:

平成23年2月14日(月曜日)14時00分~15時30分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長

皆さん、こんにちは。

それでは、所定の時間になりましたので、ただいまから第41回金融トラブル連絡調整協議会を開催いたしたいと思います。

本日は、皆様ご多忙のところをご参集頂きまして、ありがとうございます。

議事に入ります前に、今回から新たに委員にご就任頂いた方について、皆様にご了解を頂きたいと思います。3名の方ですけれども、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事の唯根妙子様、全国消費生活相談員協会常任理事の丹野美絵子様、本日はご欠席です。それから、早稲田大学法学学術院教授の犬飼重仁様の3名について、委員にご就任頂くことになりましたが、この点についてご了解頂けますでしょうか。よろしゅうございますか。

〔「異議なし」の声あり〕

○山本座長

それでは、ごく簡単に唯根さんと犬飼さんから自己紹介を頂けますか。ごく簡単で結構です。

○唯根委員

初めまして、社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事をさせて頂いております唯根妙子と申します。このたび前任者の土田あつ子から代わりまして、消費者相談の現場からの声を皆様にお伝えするという役割で参加させて頂くことになりました。よろしくお願いいたします。

○山本座長

よろしくお願いします。

それでは、犬飼委員。

○犬飼委員

早稲田大学法学学術院の犬飼と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私、早稲田大学に参りましたのが約3年前ということで、その前は内閣府の関係のシンクタンクの研究員を務めさせて頂いておりました。そのときから金融ADRについて研究をさせて頂いてきたわけですけれども、ようやく大変大きい進展が見られたということを、金融庁の方々をはじめ皆様のご尽力によるものと思っております。いささかなりとお役に立てればと思っております。よろしくお願いいたします。

○山本座長

よろしくお願いいたします。

それでは、本日の議事に入りたいと思いますが、まず事務局のほうから、人事異動等に伴う委員の交代のご紹介と資料の確認についてお願いいたします。

○小野委員

今回の協議会から事務局を務めさせて頂きます金融庁総務企画局企画課長の小野でございます。何とぞよろしくお願いいたします。

それでは座ってご説明させて頂きます。

今回は委員の交代も多く、時間も限られておりますので、所属団体とお名前のみをご紹介させて頂きます。

まず、消費者行政等機関といたしまして、本日はご欠席でございますが、消費者庁地方協力課長の林俊行様。

それから、東京都消費生活総合センター所長の佐藤直樹様。

次に、業界団体及び自主規制機関・指定紛争解決機関等といたしまして、金融先物取引業協会事務局長の廿日岩信次様。

信託協会相談所長の岡本康二様。

全国銀行協会業務部長の相澤直樹様。

全国労働金庫協会企画統括部業務担当部長の阪倉早苗様。

日本貸金業協会貸金業相談・紛争解決センター長の八木直人様。

日本少額短期保険協会少額短期ほけん相談室室長代行の齋藤博行様。

証券・金融商品あっせん相談センター長の飯島一夫様。

日本商品先物取引協会自主規制グループ長の中曽根淳様。

農林中央金庫総合企画部企画開発室長の小門賢一様。

また、金融当局といたしまして、経済産業省経済産業政策局産業資金課課長補佐の森本要様。

農林水産省経営局金融調整課組合金融指導官の柳沢修様。

金融庁からは、総務企画局政策課金融サービス利用者相談室長の嶋野でございます。

同じく監督局証券課長の栗田でございます。

人事異動等に伴う委員の紹介は以上でございますが、続けて配付資料の確認をさせて頂きたいと思います。

お手元の資料でございますけれども、資料は全部で7つございます。まずは、資料1-1としまして「金融ADR制度に関する取組状況について」、資料1-2として「金融ADR制度について」の絵でございます。資料1-3として「金融ADRガイドライン」、資料1-4として「紛争解決等業務を行う者の指定について」、続きまして、資料2-1として「金融ADR機関の苦情処理手続実施状況」、資料2-2として「金融ADR機関の紛争解決手続実施状況」、資料3-1としまして「金融審議会答申」の抜粋、資料3-2といたしまして「金融分野における裁判外紛争解決制度のあり方について」、資料3-3として、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」でございます。また、これに加えまして、皆様のお手元に、私ども金融庁の方でこの金融ADR制度を周知するために、このようなパンフレットを作成いたしましたので、ご参考までに添付させて頂いております。

今、私が読み上げました資料で、もしお手元に不足がある場合には、おっしゃって頂ければ直ちにお持ちいたします。皆様、よろしいでしょうか。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、本日の議事に入っていきたいと思います。本日の議事次第でありますが、お手元の議事次第を見て頂きますと、まず、本日は前回の協議会から既に1年以上経過しておりますので、その間の金融ADR制度全体の動きとしまして、「金融ADR制度に関する取組状況等」ということで、事務局のほうからご説明を受けたいと思います。その後、昨年10月から業務を開始しております「各指定紛争解決機関の業務の実施状況等」ということで、この点についても事務局のほうからご説明を受けたいと思います。そして最後に、本協議会の今後の進め方ということで、これについても事務局のほうから考え方をご説明して頂いた後、自由討議の時間を設けて、委員の皆様のご意見を承りたいというふうに考えております。

それでは、まず最初の議題ですが、「金融ADR制度に関する取組状況等」ということで、事務局のほうからご説明をお願いいたします。

○小野委員

それでは、お手元の資料1-1から資料1-4までを用いまして、「金融ADR制度に関する取組状況等」についてご説明させて頂きたいと思います。

まず、資料1-1をご覧頂きますと、この金融ADR制度が昨年10月に事実上稼働するに至った経緯について記載しているところでございます。平成21年6月に、金融商品取引法等の一部を改正する形で金融ADR制度が各業態に盛り込まれまして、昨年4月から金融ADR制度は施行されております。

また、その運用の詳細について規定いたしました当局の金融ADRガイドラインが昨年4月26日に公表されまして、後ほどご説明いたしますが、昨年9月15日に7つの団体を紛争解決機関として指定し、同年10月1日から金融ADR制度が本格的に稼働している状況にあります。

次に資料1-2で簡単に金融ADR制度の概要をご説明したいと思います。

日本の金融ADR制度というのは、イギリス等と違いまして、業態ごとに金融ADR機関を指定する形になっております。

まず、左側のイメージ図を見て頂きたいのですが、今般稼働した日本の金融ADR制度は、業態ごとに紛争解決機関というものを設けまして、行政庁の指定を受けます。その指定を受けるためには、まず申請をして頂き、私どもが当該申請をした機関が紛争解決機関として適切な処理能力を持っているかどうかということを審査しました上で、指定をいたします。指定を受けますと、紛争解決機関は、左側の絵の右下のほうにある金融機関とそれぞれ手続実施基本契約というものを結んで頂いて、利用者から紛争解決機関への申立てがあった場合には、必ずその金融機関は紛争解決手続の利用をしなくてはいけない、和解案を尊重しなくてはいけない等の契約をして頂くということでございます。そして実際に利用者から各業態の指定紛争解決機関に対して紛争解決の申立てがあった場合には、真ん中にございますような弁護士の先生や認定司法書士の先生等からなる中立的な紛争解決委員というものを選任しまして、そこで利用者と金融機関からそれぞれの言い分を聞きながら、最終的に和解案を策定・提示して、裁判外で紛争を解決していこうという制度であります。

右側に移りまして、このような金融ADR制度の趣旨といたしましては、先ほど申しましたように、行政庁が関与する、つまり行政庁が指定・監督することによって、その中立性・公正性を確保するということであります。また、これも先ほど申しましたように、指定紛争解決機関と金融機関の間できちっと手続実施基本契約を結んで頂いて、金融機関の方々には利用者から紛争解決の申立てが行われた場合には、その紛争解決手続の利用、また和解案の尊重等を求めまして、これによって紛争解決の実効性を確保するということであります。また、3番目には、金融分野に知見を有する弁護士の先生、司法書士の先生等々、そういう方々が紛争解決委員として紛争解決に当たることによりまして、その専門性というものを確保するということであります。

これによりまして、金融ADR制度というものは、まさに事案の性質や当事者の事情に応じた迅速・簡便・柔軟な紛争解決が可能になる。また、きちっとした法的な枠組みのもとで行うことによりまして、利用者の方々に納得感のあるトラブル解決を図っていく。よって金融商品・サービスへの利用者の信頼性の向上を図っていくというものであります。

先ほども申し上げましたように、我が国の場合には、業態ごとに法律の中身が相当異なるということもありますし、実際に今までも、既に業態別にこのような苦情処理・紛争解決を行ってきたという現実にも鑑みまして、これまでの業態ごとの取組みを活用し、業態を単位とした金融ADR制度というものを、今般導入したということでございます。

次に、資料1-3を見て頂きますと、昨年4月から金融ADR制度を運用していくにあたっての当局のガイドラインを出しております。これには、主にどういう機関が指定紛争解決機関として適切かという、私どもが申請を受けて紛争解決機関を指定する際の審査の観点を書いているところでございます。

では、これからその概要をご説明させて頂きたいと思います。まず、3ページを開けて頂きますと、「紛争解決等業務を行う者の指定に係る事務処理上の留意点」ということで、紛争解決等業務を行うためには、経理的な基礎と技術的な基礎を有していなければならないというふうになっております。

その経理的な基礎とは何かというと、3ページのマル1に書いてありますように、紛争解決等業務というものを安定的かつ継続的に提供されることが可能になるような、経営的根拠があることが大事でございまして、そのために、適切に収支計画等が作成されているかどうかということが重要なチェックポイントになるということでございます。すなわち、( i )から( iii )に書いてありますように、適切な費用見込額が計上されているか、また適切な収入が確保されているかという点でございます。これを「経理的基礎」と呼んでおります。

もう一つは、この下のほうのマル2でございますが、「技術的基礎」ということでございまして、やはり苦情・紛争の発生状況等を考慮して、適切な規模の体制が確保される必要があることから、指定を受けようとする機関は、その組織としての態勢、知識及び能力が備わっているかということについて、下の( i )から( iv )に書いてあるような視点からチェックしていくということであります。

次に、おめくり頂きまして、役員又は職員の構成についてもチェックしてまいります。具体的には、4ページの上のほうの( i )から( iii )に書いてある観点でございますけれども、紛争解決等業務を公正に実施するに足りるような知識・経験を有している者が確保されているか、また、役職員の構成・配置というものが、例えば特定の金融機関に従事した経験を有する者に偏っていないかとか、紛争解決等業務の独立性を確保するため、役職員に対する不当な影響が排除されるような措置が講じられているかということをチェックするということであります。

また、4ページの下のほうでございますけれども、他の指定紛争解決機関等との連携もきちっとやってくださいということが書いてございます。

5ページでございますが、「連携に関する事項」とはどういうことなのかということでございます。5ページの上のほうでございますが、苦情処理・紛争解決の状況等に関する情報交換を行う。また、事案に応じて適切な紛争解決手段の紹介をする。またはこちらの機関に行ってくださいというような申立ての移送をする。また、職員に対する研修で、いろいろ連携してやっていくというようなことが、この連携の中身であるというふうに書いてございます。

また、5ページの下のほうでございますけれども、紛争解決等業務の周知というものをきちっと行ってくださいということが書いてございます。例えば、加入金融商品取引関係業者というものは、ホームページ・ポスター等で広く、また契約書・商品説明書等で広く、このような金融ADR制度があるということを周知するということが書かれてございます。

次に、6ページの真ん中ぐらいですが、「標準的な手続の進行」との項目がございます。これは、紛争解決手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行に関して、ADR法で標準的な手続の進行を定めるように規定しておりますが、その標準的な手続の進行の中身はどういうことかということについて、( i )から( iii )に書いてあるようなこと、すなわち手続の進め方が手続の進行の段階に応じて定められているかとか、手続の開始から終了に至るまでの標準的な処理期間を定めているかどうかということが重要であるということでございます。

最後に、負担金及び料金の問題についても非常に重要でございますので、そこに書いております。ここでは「負担金額等が著しく不当なものでないこと。」というふうに法律で規定されておりますけれども、これはどういう意味かといいますと、6ページの一番下に書いてございますような「負担金及び料金の額又は算定方法が、紛争解決等業務を継続していくために必要な経費を過度に上回らないように定められているか。」ということ、また、「負担金及び料金の額又は算定方法が、顧客及び各加入金融商品取引関係業者にとって合理的なものとなるように定められているか。特に、顧客の経済的負担が過大となり、指定紛争解決機関を利用する障害とならないように定められているか。」というところが、私どもが申請を受けた際に指定をするか否かのチェックポイントになっております。

このようなガイドラインを定めまして、各業態の皆様から紛争解決機関としての指定申請を受けました。それが資料1-4でございますが、その結果、今申しましたような観点から、私ども金融庁のほうで審査を行いまして、7つの団体を紛争解決等業務を行う者として指定したところでございます。そこに書いてございますように、生命保険協会、全国銀行協会、信託協会、日本損害保険協会、保険オンブズマン、日本少額短期保険協会、日本貸金業協会が、昨年9月15日をもって金融ADR制度の紛争解決機関としての指定を受けたということで、同年10月からいよいよこの制度が本格的に稼動してきているという状況にございます。

私からの説明は以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等があればご発言を頂きたいと存じます。いかがでしょうか。

特段、よろしいですか。この制度自体は、そもそも本協議会での議論も一つの契機としてできてきたものというふうに理解しておりますので、概要については委員の皆さん、既にご存じのところかと思いますが、もしまた何かありましたら、以下の審議の途中でもご発言を頂ければと思いますが、それではとりあえず議事を先に進めたいと思います。

次の議題でありますけれども、「各指定紛争解決機関の業務の実施状況等について」ということでございます。この点についても、まず事務局のほうからご説明をお願いいたします。

○小野委員

本来であれば指定紛争解決機関の皆様のほうから、それぞれご説明して頂いたほうがよろしいかと思ったのでございますけれども、時間の関係もございますし、また全体を眺めて、どういう状況にあるかということをご説明する意味で、私ども事務局のほうが皆様からご提出頂きました資料やデータをもとに分析いたしましたので、その結果を私のほうからご説明させて頂きたいと思います。

まず、資料2-1をご覧頂ければと思います。これは金融ADR制度が本格的に稼働いたしました昨年の10月1日から昨年末の12月31日までの3ヵ月の間の金融ADR機関の苦情処理手続の実施状況について、一覧表のような形でまとめたものでございます。データは各指定紛争解決機関の皆様からそれぞれご提出頂きました。お忙しい中、このようなデータをご提出頂きましたことに、この場をお借りいたしまして感謝を申し上げたいと思います。

それでは、簡単にご説明させて頂きたいと思います。

まず、この苦情処理手続件数でございますけれども、左側から2つ目のコラムに、当期の受付件数が書いてございます。これがまさに金融ADR制度がスタートしてから3ヵ月間、どれだけの苦情を受け付けたかということでございます。まず、全国銀行協会は440件ということで前年同期比486%のプラスでございます。それから、信託協会は9件で増減なし、生命保険協会は142件で前年同期比73%増、日本損害保険協会は570件で52%増、保険オンブズマンは106件で増減なし、日本少額短期保険協会は21件で前年同期比250%増、それから日本貸金業協会は52件でマイナス76%となってございます。

これらの特色を申しますと、まず全国銀行協会は指定前と比べて苦情が大幅に増加しているところでございます。この要因といたしましては、窓口を一括化して全国の案件を取り扱うようになったことや、協会及び銀行による金融ADR制度の周知活動で、皆さんに大分、金融ADR制度というものの存在が相当浸透してきたということ、また円高や株価低迷に伴いまして、投信やデリバティブといったリスク性商品にかかる苦情が増えてきたことが、この全国銀行協会の440件という数字に現われているのではないかということでございます。一方、信託協会のほうは、受付件数は若干増えていますが、特段大きな変化はないということでございます。生命保険協会につきましては、苦情の受付件数が増加しています。この原因としましては、やはり生命保険会社が金融ADR制度を周知して、この金融ADR制度の認知度が大分向上してきたためではないかということであります。日本損害保険協会につきましても苦情の件数が増えてきております。これも原因としましては、損害保険会社が金融ADR制度の周知・PRを行ったこと、また協会として受付態勢を強化したこと等が要因ではないだろうかというふうに見ているところでございます。保険オンブズマンにつきましては、苦情受付件数については、増減なしと書いてありますように、大きな変化は見られていないということであります。日本少額短期保険協会につきましては、苦情件数は大幅に増えております。特に一般消費者や代理店など契約者以外の方々の苦情が急増しているということがあります。やはり今回苦情が大幅に増えた要因としましては、金融ADR制度の周知というものが業者や協会の皆さんの取組みで進んでいることとか、先ほど申しましたように、私どもはこういうパンフレットを作りまして財務局に配り、財務局が一般利用者の方々に配っているのですが、そういう金融ADR機関の利用の働きかけというものが結構影響しているのではないかという分析でございます。一方、日本貸金業協会の場合には大幅に苦情が減少していますけれども、この原因としましては、昨今、貸金業者の方々の数が減っていることや、融資件数についても減少していることによるのではないかという分析でございます。

受付件数計のうち、左から5番目のコラム、当期の既済件数とありますけれども、これは例えば全国銀行協会であれば、553件受け付けて、そのうち277件は処理が終わったというものでございます。そしてこれをどういうふうに処理したかというのが、次の(2)に「苦情処理手続の終了事由別の内訳件数」と書いてありますけれども、例えば全国銀行協会の場合には、277件のうち紛争解決手続を案内したものが移行欄の中に159件あるということでございます。小さい字で恐縮でございますけれども、右側の下のほうに凡例として、「不開始」、「解決」、「移行」、「不応諾」、「不調」、「移送」の意味を書いてあるところでございますけれども、例えば、「移行」とは、苦情処理手続を実施したが、申立人の納得が得られず、紛争解決手続を案内したというものでございます。それが「移行」という意味でございます。

一方、(3)は苦情処理手続の所要期間がどのぐらいかということを書いてございます。処理が終わったものにつきまして、どのぐらいの期間で終わっているかということでございます。

例えば、全国銀行協会の場合には、277件のうち1ヵ月未満で終わったものが216件となっております。また、上から4つ目の日本損害保険協会の場合でいいますと、受け付けた件数が570件ありまして、この10月から12月の間に終了した事案が226件、そのうち解決したのが193件、「移行」したのが23件であります。そしてこの終了した226件のうち、どのぐらいの期間がかかったかというのを見てみますと、1ヵ月未満が141件という数字になっているところでございます。あと保険オンブズマンで見ますと、同じように106件受け付けて、58件を当期に終了いたしまして、そのうち解決に至ったのが54件でございます。また、少額短期保険協会ですと、22件受け付けて、21件終了。終了事由別の内訳は、20件が解決に至ったということであります。日本貸金業協会は、新規に受け付けたのが52件で、当期に処理したのが54件、解決したのが52件であります。

ここで、前後してしまって恐縮でございますけれども、一つ申し上げなくてはいけないことは、(注2)というのがございますけれども、生命保険協会、日本損害保険協会及び保険オンブズマンの場合は、9月30日以前に受け付けて継続している苦情については、金融ADR機関と並行して存続している別の相談窓口で引き続き処理しているために、このような統計になっております。ほかの全国銀行協会、信託協会、日本少額短期保険協会及び日本貸金業協会は、引き続き同じところで対応しているために、9月30日以前の受付件数が出てきますけれども、生命保険協会、日本損害保険協会及び保険オンブズマンについては、別の窓口で対応しているために、9月30日までの受付件数がバーになっているということを最初に申し上げるべきところ、失念しておりましたので、申し添えたいと思います。

次のページでは、主な苦情例を出して頂いております。

まず、全国銀行協会の場合には、預金・貸出業務に関するものが多い。例えば、防犯の観点から口座開設を拒絶されたケースとか、返済条件変更に伴う違約金に関するもの等の苦情が多い。また最近では、先ほど申し上げましたように、投資信託やデリバティブなどのリスク性商品にかかる苦情も多い状況になってございます。

信託協会の場合には、信託銀行が販売した投資信託が元本割れしたことについて、契約時にリスク説明がなかったとの苦情が挙げられております。

生命保険協会の場合には、やはりここに書いてございますように、転換契約の無効を主張する苦情とか給付金の支払いに関する苦情が多くなっております。例えば、「入院の給付金を請求したが、約款の入院治療の必要性の要件に当たらないと言われた。」というような苦情が多かったということでございます。

日本損害保険協会につきましては、自動車保険につきまして、治療費等の支払額や示談後の支払い遅延に関する苦情が多かったということであります。

保険オンブズマンの場合には、やっぱり同じような傾向でございますけれども、ここに書いてございますように、自動車の保険の満期日というものを顧客が誤って申告してしまったために、無事故等級の継承が不可能になった。それによって追加的な保険料の支払いが必要になったということについて、顧客から、保険会社のオペレーターの対応について誤りがあったのではないかという苦情があったということです。

また、日本少額短期保険協会の場合には、保険会社の免責事故に関する顧客への説明不足によりまして、保険金の支払いの際に苦情になるというようなケースが多いということでございます。

日本貸金業協会の主な苦情といたしましては、融資枠が減額されたとか融資契約が打ち切られた等の融資関連の苦情が多いということでございます。

以上がこの3ヵ月間の苦情の受付状況及び処理状況でございます。

次に、資料2-2といたしまして、今度は紛争解決手続のほうでございます。資料2-2をご覧ください。紛争解決手続の実施状況について、先ほどの苦情と同じように、昨年10月1日から12月31日までに、各金融ADR機関でどのぐらいの件数を受け付け、それをどう処理していったかということが書いてございます。

まず、全国銀行協会から見ますと、当期の受付件数は98件ということで、前年同期比512%増、信託協会は受け付けたのが2件で、皆増でございます。生命保険協会は34件で3%増、それから日本損害保険協会は53件で211%の増となっております。一方、保険オンブズマン、日本少額短期保険協会及び日本貸金業協会の3つの機関につきましては、(注3)に書かせて頂きましたように、今回の金融ADR機関の指定を受けた後に紛争解決業務を始めましたので、前年の実績はないということでございまして、その点はご留意頂きたいと思います。保険オンブズマンが当期に受け付けたのは0件、日本少額短期保険協会は1件、日本貸金業協会は3件ということになってございます。

やはり全国銀行協会が512%と受付件数が大幅に増えておりますが、これは先ほど申し上げましたと同様に、円高などに伴いデリバティブ等のリスク商品にかかる紛争案件が多くなっているということで、件数が増えているものと思われます。また、日本損害保険協会の場合には、特に紛争受付件数が大幅に増加した要因といたしまして、これまで取り扱いを行っていなかった交通事故賠償事案というものをこの日本損害保険協会でも受け付けるようになったことから、その結果として、こちらに流れてきているのではないかという分析でございます。

次に、実際当期にどれだけの案件を処理したかということでございますけれども、保険オンブズマン、日本少額短期保険協会及び日本貸金業協会は、今回から新たに取扱いを開始したばかりですけれども、全国銀行協会の場合には、昨年の9月30日以前に取り扱っていた案件が54件あって、それに加え、当期受け付けたものが98件で、合計152件というもののうち、当期に既に処理したのが33件でございます。ではどのようにこの33件を処理したかという内訳が、次の終了事由別の内訳件数に書いてございまして、和解が11件、成立の見込みなしということになったものが21件でございます。紛争解決の場合は、苦情処理よりもどうしても時間がかかってしまうということでございますので、10月から12月の3ヵ月間ではなかなかすべて解決することは難しいということではないかと思いますが、実際、当期に終わった33件について、どのぐらい時間がかかったかということの内訳が、一番右側の紛争解決手続の所要期間という項目でございますけれども、そこに1ヵ月未満、1ヵ月から3ヵ月、3ヵ月から6ヵ月、6ヵ月以上と書いていますが、3ヵ月から6ヵ月が10件、6ヵ月以上が12件という数字になっております。また、日本損害保険協会の場合も、当期53件受け付けておりますけれども、当期に解決できたのは1件のみとなっており、その1件は和解が成立しているということでございます。そしてそれは1ヵ月以上3ヵ月未満の処理期間を要している状況でございます。

次に、保険オンブズマン、日本少額短期保険協会及び日本貸金業協会は、昨年10月から新たに取り扱いを始めたばかりということもございまして、今期に解決できた案件は、まだないということでございます。

それから、さらに追加的に申し上げますと、特に全国銀行協会と日本損害保険協会は、結構紛争案件が増えているわけでございますけれども、これに対しましては、対策もお考えになっておられまして、例えば、全国銀行協会であれば、この2月以降、既存の小委員会1回当たりの事情聴取件数を増やすようにするとか、また必要に応じて新たな小委員会を増設するなどの体制強化を現在検討されているということであります。また、日本損害保険協会も、やはり紛争の申立件数が急増して、現在、手続進行までに一定の待機期間が発生しているということでございますので、その対応策を検討されていると承知しております。

次のページに、今度は紛争にどんな事案があるかということが、例として書かせて頂いてございます。

まず、全国銀行協会の主な紛争事例は、やはり苦情と同様に、円高などに伴ってデリバティブ等のリスク性商品にかかる紛争案件が多くなってきておりまして、実際に、昨年10月から12月で33件の処理をいたしましたと申し上げましたが、そのうち、デリバティブの業務に関するものが19件を占めております。具体的な事例では、デリバティブの案件について、1件書いてございますが、これは和解が成立した事例でございます。

次に、信託協会の主な紛争事例でございますけれども、信託契約の解約制限条項が発動され、現金化できない部分につきましては、信託報酬が安い有価証券管理信託への預け入れが、本来可能であったのに、信託銀行からそのような説明がなかったために、必要以上に信託報酬を支払わされることになったというような内容の紛争事案がございます。

次に、生命保険協会につきましては、やはり給付金、保険金請求関係や契約無効確認請求に関する紛争が多かったということでございます。例えば、がんを患ったので、保険会社に特定疾病保険金を請求したところ、約款に定める「悪性新生物」には該当しないと言われたが、診断書には「がん」と書いてあるのだから、給付金を支払ってほしい等、そういう約款をめぐる問題でございます。

次は日本損害保険協会でございますけれども、自動車保険金、火災保険金、傷害保険金の支払いに関する紛争が多かったということであります。例えば、損害算定額につきまして、申立人と加害者側保険会社とで意見が対立するなど、そういう紛争でございます。

保険オンブズマンは、今期間中の紛争申立事案がございません。

日本少額短期保険協会は、ペット保険の更改手続に際しまして、「特定疾病不担保特約」の付帯を条件に更改を行ったが、契約成立後、顧客がこれに不服を申立てたという事案。ペット保険の歴史がまだ浅いということがございまして、顧客の商品に対する認識不足が苦情や紛争につながるケースがどうしても多いということから、やはり日本少額短期保険協会といたしましても、こういう新しい商品の周知活動が必要だというふうに認識されているというお話を聞いているところでございます。

日本貸金業協会は、ここに書いておりますように、過払金利息の返還請求に際して、弁済率にかかる紛争事案があったというようなことでございます。

以上、昨年10月から12月の苦情処理手続と紛争解決手続の実施状況について、ご説明させて頂きました。

○山本座長

ありがとうございました。

それでは、今、事務局からは、各指定紛争解決機関の業務の実施状況等について、主として統計的な観点から取りまとめてご説明を頂きましたが、本日は実際に現場で実務を担当されておられる方々にもご出席を頂いておりますので、もし各機関におきまして、今のような統計に必ずしもあらわれないご苦労のようなものを含めて追加的にご説明、ご報告を頂けるような点がございましたら、ご発言を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。

どうぞ、竹中さん。

○竹中委員

それでは、ちょっと口火を切らせて頂きます。

ただいま私ども生命保険協会の紛争のところの件数、当期34件ということでご報告を頂きましたが、もう少し詳細に状況をご説明いたしますと、10月指定を受けた月については、当然苦情前置という形でやっておりますので、前から受け付けたものが苦情から紛争に移行するわけですけれども、10月が9件、11月が8件で、12月以降は17件、1月18件、2月に入って待機事案を含め30件という形で、かなりの件数で増えてきております。

増加要因を考えるにおいて、まず、私どもがほかの団体さんとちょっと違う部分というのは、指定の前と後で事業者数は変わらないということが一つございます。そういう意味においては激増するという状況にはないのかもしれませんが、苦情についてはおかげさまで、四半期のデータは毎回取っておりますが、逓減傾向がずっと続いています。その中で紛争が増える要件について考えますに、やはり周知の問題、あとは各社のほうが私どもで言う裁定審査会というものの存在をお客様に申し上げる機会が増えているということ、あと私どもは全国の消費生活相談員の方々との懇談会をずっとやってきておりますけれども、やはりお話を聞かせていただく中においては、生命保険であればその場でもいろいろアドバイスして頂いておるようですけれども、最終的には裁定審査会があるということの周知もして頂いているというお話も聞きますので、そういう部分での件数増ということもあらわれているのではないかなというふうに思っております。

以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、坂本委員。

○坂本委員

日本損害保険協会でございます。ちょっと補足させて頂きますと、まず、苦情処理手続の実施状況の日本損害協会の表の真ん中の(2)、終了事由の件数値ですけれども、解決193に対して移行23という数字になっております。ここの移行は、紛争解決手続の申し立てがあったものカウントしているので、案内をしたものというよりは、まさに紛争解決手続のほうへ移ったものということをカウントしております。一方、資料2-2、こちらの紛争解決手続実施状況のところですと、この期間中に53件の申立受付になっております。すなわち、苦情のほうの移行に比べると、さらに30件多い件数になっております。その差ですけれども、私どもは苦情として受け付けて、原則として60日間、当事者間交渉を進めて頂いて、それでも未解決なものは紛争解決にということにしていますが、あくまで原則としてということでありまして、お話を聞く中で、これはやはり紛争という局面で受け付けるべきだなというものは60日を待たずに、あるいは苦情手続を経ずに、紛争として直接に受け付けているものがございます。そのような、特に直接受け付けているようなものが結構あるということでございます。

統計上はそのようなことですけれども、先ほど小野さんからもご説明がありましたように、この紛争のほうはとりわけ急増しておりますので、こちらの体制の強化という意味では、紛争解決委員自体も増やさなくてはいけないと考えておりますし、今5名のボード形式の審査体制で審査しているところがありますけれども、そのあたりのところももう少し小回りが効くように、例えば分科会形式などで、もう少し事案を機動的かつ量的にもさばけるような体制を考えていかなくてはいけないということで、検討を進めております。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

もしよろしければ、何度か非常に事件数が増加しているというご指摘がありました全国銀行協会のほうから、もし何かございましたらお願いします。

○相澤(直)委員

先ほど小野課長からもご説明頂いておりまして、特にこれといって付け加えるものはないのですが、この件数を見て頂きますと、やはりこれは金融ADR制度に対する期待感のあらわれだというふうに考えておりますので、私どもも体制強化ということを考えていきたいということであります。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにはございますでしょうか。

どうぞ、瀧下委員。

○瀧下委員

保険オンブズマンの瀧下です。保険オンブズマン、耳慣れない言葉ですが、昨年10月1日に外国損害保険協会と日本保険仲立人協会が共同してつくった専門機関でございます。

ここで私が申し上げたいのは、始めてみて困ったなというものが幾つございまして、1つは、以前、業界団体として苦情処理をしていたときに比べて1件当たりの処理時間が格段に増えて、すごいろうどうロードがかかっているというのか1件。もう一つは、ADR機関の役割を誤解されているお客様がかなりおいでになって、自分の代わりに保険会社と交渉してくれるところだろうと思って来る方がかなりおいでになりまして、「いや、そうじゃないですよ。お客さん、自分で保険会社と交渉するのが原則ですよ。請求してください。文句言ってください」と言ってお願いしているというのが1つ。あるいは「診断書を取り付けてくれ」と言ってきたお客さんもおいでになります。

もう一つは、保険のもともとの原理原則を納得頂けないお客様が時々おいでになりまして、損害額の算定は時価によるということは法律に書いてあると言っても、「そんなのおれは認めない」というお客様とか、商品の内容にないことを求めてこられる。例えば個人賠償責任保険で示談代行を求めてくる方。これは自動車保険では当たり前ですが、個人賠責では商品によって示談代行するもの、しないものがあって、「これは約款上できないんですよ。法律上もできないんですよ」と言っても、なかなか納得して頂けないという事例がある。そういうことで、制度をご理解頂けないという方が多い。

もう一つ、複数の件数があるのですけれども、保険会社から書類を出してくださいと言っても、出してくれない。その前提には、ある程度話がこじれているという前提があるのですが、保険会社は信用できないから保険金請求書なんか書けないとか、それで平行線でずっと長いこと、もう3ヵ月ぐらいやっているものがありますけれども、お客さん、出してくださいとこちらからもお願いしているのですが、手続にご協力頂けないということがちょくちょく起きております。

この辺がとりあえず困ったところでございます。

○山本座長

ありがとうございました。最初に言われた処理時間が長くなっているというのは、どういうようなことでしょうか。

○瀧下委員

1つは、今まで任意に苦情対応していたときは、基本的には、電話で受け付けをして、メモを書いて、保険会社に「よろしくね」と言って終わりですね。ところが、今度は記録をきちんと取らなければいけない。これは法律で求められていることです。それともう一つは、スケジュールキーピング、スケジュール管理でございまして、それがちゃんと進んでいるかどうか、私どもの規定上ですと14日と28日にチェックして、60日にチェックして、先ほど坂本さんからお話がありました60日を一応めどにして、お客様にADRというやり方もありますよというご案内を出すということで、そのスケジュール管理していくのに大分時間と手間がかかっているということです。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

もしよろしければ、委員の皆様のほうからご質問、ご意見等があればお伺いしたいと思いますが、唯根さん、どうぞ。

○唯根委員

質問をさせて頂きたいのですが、今の保険オンブズマンの方の困ったご相談や何かというのは、受付件数の106件の中に入っているのでしょうか。

○瀧下委員

はい。

○唯根委員

そうしますと、(2)の苦情処理手続の終了事由のところでは、解決というところに入ってしまう部分になるのですか。

○瀧下委員

交渉中という中に入っております。

○唯根委員

48件のほうの未済のほうになるのですか。

○瀧下委員

48のほうに入っていまして、今申し上げたような事例は、まだ解決に至っていない事例でございます。

○唯根委員

御説明の中にあった質問したり、本来違うのではないかとおっしゃられたようなものは解決したということではないのですね。

○瀧下委員

今、現実に確認してまいりましたけれども、まだ解決しておりません。

○唯根委員

ありがとうございました。その辺の統計の取り方というか、不応諾とか不調とかの考え方について、注意書きがあるのですが、資料2-2の「見込みなし」とかいう件数も、結構全国銀行協会さんにあったりするようですが、こういう「見込みなし」の案件内容なんかをできれば教えて頂ければと思います。

○山本座長

いかがでしょうか、相澤委員。

○相澤(直)委員

「見込みなし」というのは、資料の注書きにありますとおり、「紛争解決委員が、紛争解決手続によっては、和解が成立する見込みがないと判断して終了したもの」でございます。内訳としては、まず、申立てを受理するかどうかという適格性の審査があるわけです。そこで不受理とされているものは、このうちの半分ございます。不受理というのは、あっせんのしようがない、内容的に無理だということで、不受理にするというものでございます。あとの半分が、あっせんをしようとして当事者から話を聞いたものの、当事者双方の妥協点が見出せないということで、打切りになったものです。このように、「見込みなし」には、申立ての内容からこれはあっせんになじまないと判断し不受理にしたものと、受理したものの、結果的に打切りとなってしまったもの、この2種類で、数字的には半々ということになります。

○山本座長

いかがですか、ご理解は。

どうぞ、依光委員。

○依光委員

例えばあっせんになじまないというのはどういう例があるのでしょうか。

○相澤(直)委員

業務規程で、紛争解決手続を行わない場合というものを規定し、公表しております。申立てを希望されるお客さまには事前にその内容をご説明していますが、それでも申立てをしたいということであれば、事務局では拒絶せずに申立書を受付けるということになっています。一番多いのは、事実関係を争っているもの、例えば入金した金額が足りないというような話です。当然、現金はその場限りなので、その場で確認できないと、後になってから、あるとか、ないとかいう話をあっせんの仕様がないということになってきます。そういうものは受理しないという規定になっていますので、不受理ということになります。内容的に、これはあっせんになじまないと判断されたものは不受理ということになります。

○山本座長

よろしいですか。

○唯根委員

公表されているというのはどういうことでしょうか。

○相澤(直)委員

ホームページに業務規程を掲載しております。

○唯根委員

規程の中を読んでみると、わかるということですか。

○相澤(直)委員

それとあっせん委員会の利用案内のページが業務規程とは別にありまして、そこにも掲載しております。お客さまに、あっせんというのはどういうものだということを聞かれた場合には、その部分を抜き出したものをお渡しして、こういうものは不受理になりますということを含めてご説明をしています。

○山本座長

よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。

○犬飼委員

恐れ入ります。1点だけなのですが、資料2-1のほうの真ん中の移行のところです。全国銀行協会さんは159が移行、生命保険協会さんは49が移行と書いてございまして、移行とは「紛争解決手続を案内したもの」とございますが、それで今度、資料2-2の左のほうを見てみますと、当期の受付件数で、銀行協会さんの159に対応するものかどうかわかりませんが、一応98ということで、この差がどこにいったのかなと。それと、生命保険協会さんの49に対して34ということなのですけれども、脱漏があったのか、ちょっとよくわからないんですが、申し訳ございません。教えてください。

○山本座長

相澤委員のほうからお願いします。

○相澤(直)委員

注書きにありますとおり、これは紛争解決手続を案内した件数でありますので、申立てがあった件数ではないということでございます。ADRの指定を受けてから、とにかくあっせんを受けたいんだということで、手続を教えてくれというお客さまが増えました。そういうお客さまには、「まず苦情段階での解決の努力をしていただくというのが先なのですよ」というご説明はするのですが、それでも案内をしてくれということであれば、やはり案内はするわけであります。その案内をした方が、先ほど申し上げましたとおり、こういう場合は受理されないということをお知りになって、これだと無理だなと判断されれば、申立てはしてこないということになろうかと思います。

○竹中委員

先生ご指摘の部分については、苦情の段階で移行させた49件というものは、お客様のほうに申立書をお送りしている件数ですね。紛争のほうの34件は、お客様からそれが返送されてきている件数です。ですから、この差分については、基本的にまだ返送されてきていない状況のものというふうにご理解頂ければと思います。

○山本座長

返送されてこなかったのが、どういうふうになっているかというような調査みたいなことはあるのでしょうか。

○竹中委員

お送りして一定期間後、もう一度こちらからご照会するというようなことはします。そうしないと、そのまま放置されている状況になりますので、そこは確認させて頂くということです。

○山本座長

よろしいですか。

そうすると、ちょっとあれですね。統計の取り方で、損保協会のお話は、案内した件数というよりは、紛争の解決手続を申し立てた件数であるというご説明だったですか。

○坂本委員

私どもデータベース上のカウントの仕方として、苦情を完全に終了扱いにするのは、紛争の申し立てがなされて、その段階で、完全にそれは「苦情」という段階を離れたという整理にしておりまして、このようになっております。

○山本座長

そうすると、案内したけれども、紛争解決の申し立てがされなかったというのは、結局はどういう形になりますか。

○坂本委員

そこは「不調」でカウントしているものがそうです。これはしばらく相手方にアプローチをかけて、一定期間待ちましたが、それでも結局音さたなしの状態で、紛争の申し立てもなされていない、連絡もつかないという状態になってしまいましたので、便宜上「不調」でカウントさせて頂いております。

○山本座長

これは統計の仕方の話ですか。

○小野委員

我々も今般このようなデータをとり始めたばかりですので、どのような分類が適切かということを、色々ご相談しながら、このような分類を考えてみたのですが、今後データを収集・分析していく中で、皆様に過重な負担をかけないよう配慮しながら、今の問題につきまして、どのような内訳のカテゴリーにするのが適切かご相談させて頂きたいと思います。

○山本座長

ご検討頂ければと思います。

ほかにいかがでしょうか。

よろしゅうございますか。

井上さん、何かございますか。

○井上委員

特にはないのですが、ちょっと一言だけ、すみません。運用の状況のご説明があったのですけれども、あっせんなり何なりの手続の具体的なプロセスの中で、どういうふうにそれぞれ進んでいるんだろう、それぞれの金融ADR機関の中で、似たようなものなのか、その業界によって違うのかということもあるんですけれども、私自身が興味を持っておりますのは、金融ADRが裁判所と一緒になっては意味がない。事実が何だったのだということを徹底的に究明しようなどといって時間をかけていたら、あまり意味がなくなってしまいますけれども、他方、あまりにずるずるになって、非常に言い方が悪いんですけれども、損失補てん温床のようになっても、もちろんいけないわけで、相応に事案を聞きながら、しかし相応のところで見切りをつけるのだろうなというふうに考えておるわけですが、そういったレベル観について、それぞれのADR機関というのはどういうレベル観をお持ちなのか、当人たちの意見を聞いて、おおよそそれを基本的には信頼して進めるというところでやっておられるのか、もうちょっと証拠資料などを確認しておられるのか、その辺の実務をちょっと聞きたいなとは思っておりました。

○山本座長

ありがとうございます。

いかがでしょうか。

齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員

日本少額短期保険協会の齋藤です。私どもサイズ的にも非常に少ないものですから、実際の実務は私が担当しておりますので、どんなことをやっているのか、ちょっと申し上げます。

基本的に、まず苦情という形で電話をお受けしたものにつきましては、業者と申立人との間で内容を聞いた上でお話し合いをしております。その期間は一応1ヵ月と見ています。その上で、どうしてもお話し合いがつかない場合に関して、申立てという形で、次に紛争解決にいく段階では、基本的にお客様のほうも含めて、事業者と契約者、申立人から、証拠調べではないですけれども、それなりの資料は提出して頂きまして、内容を全部拝見させて頂いて、その上に裁定委員会での裁定ケースにするかどうかというのを、弁護士の方とかいろいろな専門家の方の意見を聞きながら、まずフィルターを通します。正直言って、電話でお話をしているだけの場合ですから、本当のことを言っているのかどうかというのは全くわからない中でやっておりますので、最終的に、紛争ケースにするべきかどうかというのは、当協会の場合は、私なり紛争の委員が申立人のところにお邪魔をして、私どもは東京だけしか事務所がございませんので、地方の場合はわざわざ来て頂くということもできませんので、一応アポを取りまして、申立人からよく事情を聞き、申立書の作成のところまでは、ある程度そうした形で進めています。

やみくもに聞きますと、話が宙に浮いてしまったり、争点が決まらないことがございますので、実際の紛争ケースに関しましては、実際の裁定をするかどうかの結論も含めましてかなり慎重にやっております。今回の1件、ご報告させて頂いたケースは、まさにそのような案件を私どもご報告させて頂いております。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかの機関から、何か付加して頂くところはございますでしょうか。

どうぞ、竹中委員。

○竹中委員

ご参考になるかどうか、今までもいろいろな場面でお話をさせて頂いているので、繰り返しになるかもしれませんけれども、私ども生命保険の場合、やはり多数の契約者の方々からの保険料で成り立っているということも当然ございますので、公平性の概念で物事を見ていくというのが裁定審査会の委員の機軸、考え方としてあると思います。

先生がおっしゃるように、裁判とは当然違います。裁判と違う大きな点というのは、我々には調査権がないということが一つあります。新契約関係、契約時点のトラブルというのは、言った、言わないの話が当然多うございますけれども、やはり私どもとしては、例えば募集人の方、そしてお申立人の方、それぞれから別々に事情聴取をさせて頂いています。幸いにして我々は全国にテレビ会議網があるので、最寄りの場所まで来て頂いて、審査会と地方を回線ネットで結んだ形で事情聴取をさせて頂きますけれども、お客様の申立書と会社から出てくる、答弁書双方がそろった中で、事情聴取が必要なものは実施しています。その中で、消費生活相談員の方、弁護士の方、あと私ども協会の委員という3人のワンチームで、和解の余地があるかどうかということを中心にまず検討します。和解の余地があれば、それについて具体的なところを詰めていくわけです。和解の余地がない、ある意味お客様のほうの申し立てにちょっと無理があるというものについては、いわゆる裁定書という形でその理由を大体A4版で3、4枚ぐらい書きまして、当事者双方に通知しています。

ADRというのが裁判とは違う部分というのは、正直ベースで当然考えていかないと成り立たない制度なので、証拠調べということについてはかなり限界がありますけれども、大前提はそこにあるのかなというふうに思います。

あと私ども金融商品の中でも他の紛争解決機関と違うのは、医学的な問題があるということです。先ほど事例でも出しましたけれども、例えばがん一つとっても、かなり高度な判断をしなければいけないような状況があります。それについては、専門の委託業者を通じて、その専門の先生にコメントを求めています。それを参考意見として、和解の材料にするか、お客様の言っていることが通るかどうかという判断材料にさせて頂いております。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、瀧下委員。

○瀧下委員

まず、苦情処理手続は、お話がありましたように当事者間の話し合いですので、私どもは何の介入も原則していない、スケジュールキーピング、レコードキーピングをするというのが役割になっております。

紛争解決手続においては、まず法律上、我々は調停委員が何をどうするか、一切圧力をかけられない、何も話せない状態、独立性の確保というのが法律で決められていますので、私どもがどうこうするということはできなくて、業務規程に書かれているものを先生方にご理解頂いて、その範囲内で考えて頂く。その法律あるいは規程の中に、証拠方法とか、心証の形成とか、そんなことは一切書かれておりませんので、私ども保険オンブズマンとしてできるのは準備書面を用意することでございまして、お客様から申立書が来たら、それには証拠を添付して頂くと。その過程では、民事訴訟法に準じて、一体何を請求しているのか、一体どういうご主張なのか、大体素人の方が書かれているので、中は雑然としているので、それを整理して、請求とか主張とかを整理して、それを裏づける証拠を添付して頂いているのかどうか、その辺を準備して、その上で事業者の側に連絡して事業者の答弁を求める。準備書面と我々は呼んでいますけれども、準備書面を準備して頂いて、この主張に対して、それは否認する、自分の主張に対する証拠はこれだという形で添付して頂いて、整理した上で、調停委員の先生にお見せして、準備して、あとは調停委員の方がどういう判断をするか。調停の中身については法律上何の制約もございませんので、どういう判断をされるかは、あくまでも調停委員の方のご判断ということになろうかと思います。

○山本座長

よろしいですか。

○井上委員

今のお話で、証拠方法は、書面を添付する以外に何か第三者からお話を聞かれるということもあり得るわけですか。それとも基本的に書面なのですか。

○瀧下委員

事務局はあくまでも文書だけでございまして、調停委員に任命後、調停委員がその後新たにこういうことをしたいということがあれば、その段階で、例えば鑑定を求めたいとか、この方を参考人として呼びたいとかありましたら、やりますけれども、あくまでもそれは調停委員が判断することでございますので、私どもがあらかじめどうこうということはしない。調停委員に任命後、期日前にやることはあり得ますけれども、事務局として、これを鑑定しようとか、この参考人を呼ぼうとか、そういうことは一切判断しておりません。

○山本座長

井上委員、よろしゅうございますか。

○井上委員

はい。

○山本座長

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、相澤委員。

○相澤(直)委員

先ほどご説明したとおり、まず、俎上に乗せるかどうかという適格性の審査というのをやります。それは提出された書面の記載内容がすべて正しいという前提のうえでの判断になります。次に、受理したということになりますと、事情聴取というものをやります。その場合もいきなり事情聴取ということではなく、適格性の審査をして受理したものについて、あっせん委員がいろいろな疑問点を持ちますので、その疑問点について当事者双方にこういった説明・資料を追加で提出して欲しいというようなリクエストをすることになっています。すべての必要な書類をそろえた上で、当日、事情聴取に臨むということになります。事情聴取の結果、実際に書かれているものと当事者の言い分が大分違うというのがやはりあるわけでありまして、そういったところがやはり事情聴取の一番重要なところだと考えています。

○山本座長

ありがとうございました。

どうぞ、坂本委員。

○坂本委員

日本損害保険協会も、基本的にこれまでの竹中委員、瀧下委員、相澤委員の発言された内容と同じような手続を踏んでおりますけれども、特に私どもの特徴的なところは2点ありまして、1つは、先ほどもご紹介頂いたように、交通事故の賠償責任関係のトラブルを扱い始めたというところです。こちらのほうは賠償の金額を決める場というところでありますので、ここは1人の弁護士の方に間に入って頂いて、それぞれの当事者を呼んで話を聞きながら、最後はいわゆる示談行為的なことをやるわけで、両者そろった場で、これで和解されてはいかがでしょうかというような和解案の提示を行っております。

一方、保険契約者の方と保険会社とのトラブルのほうは、かなりトラブルに至るまでの紆余曲折の部分というものがございます。ですから、そういった部分については、当然ながら事前に書面を十分にいただくのみならず、実際に別々に来て頂いてお話を十分聞いて、その上で判断をする。その判断も、ここは先ほどボード形式という話を申し上げましたけれども、弁護士の方のみならず、消費生活相談員の方や学識者の方も含めたボード形式での審査を行っているということです。そういう中では、当然ながら、紛争解決委員の専門性を越えたような内容も出てまいります。建物の損傷度合いをどう見るのかというような点です。そういったときには、都度、建築の専門家にも意見を聞いて判断していくというような対応を行っております。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

井上委員の問題提起はADRの本質にもかかわる部分かと思いますが、また今後の協議会の中でいろいろとご議論頂ければと思います。

それでは、時間の関係もありますので、そろそろ最後の議題ということになりますけれども、金融トラブル連絡調整協議会の今後の進め方というところであります。これについても、まず事務局のほうからご説明をお願いいたします。

○小野委員

それでは、お手元の資料3-1、3-2、3-3を用いまして、経緯と申しますか、ご説明をさせて頂きたいと思います。

皆様ご承知のとおり、金融トラブル連絡調整協議会は、この資料3-1にありますように相当の歴史がございまして、平成12年の金融審議会答申「21世紀を支える金融の新しい枠組みについて」の中で、資料3-1の下のほうにございますように、業態の枠を超えた情報・意見交換等を行い、金融分野における裁判外紛争処理制度の改善につなげるため、各団体等からなる「金融トラブル連絡調整協議会」を設置すべきであるという提言を受けまして、平成12年9月にこの協議会が設置されまして、今年でもう11年目になりますけれども、現在に至るまで活動を続けてきたところでございます。

まさにこの金融トラブル連絡調整協議会が生みの親になりまして、次の資料3-2でございますが、平成20年の金融審議会で「金融分野における裁判外紛争解決制度のあり方について」という答申が出されまして、金融ADR制度が誕生したわけでございますが、資料3-2の下のほうのまとめ(2)に、「金融トラブル連絡調整協議会」と書かれてございますが、ここに各業態における金融ADRに関する取組みを促すとともに各金融ADR機関相互の協力・連携等の取組みや制度の周知を進め、金融ADR全体の改善・発展につなげていくためには、今後も、金融トラブル連絡調整協議会は金融ADR改善の推進役として重要な役割を果たしていく必要があるというふうに答申でも言われております。

さらに、それを受けまして資料3-3でございますが、平成21年4月に金融ADR制度が国会において可決成立しましたときの附帯決議としまして幾つかございました。この一番最後のところでございますけれども、ここに書いてございますように、金融トラブル連絡調整協議会等の枠組みも活用し、指定紛争解決機関の実施する紛争解決等業務に係る情報等の集約・分析・結果の取りまとめを行い、関係機関において共有化を図るとともに、関係者の連携の強化を図るべきであるということが附帯決議で述べられております。

以上のようなことを鑑みますと、金融ADR制度がいよいよ本格的に施行された後のこの金融トラブル連絡調整協議会の今後の進め方をどう考えていくかということでございます。まだ3ヵ月間でございますけれども、指定紛争解決機関の業務実施状況のご報告を申し上げましたが、これから金融ADR制度が本格的に施行されていくということを踏まえますと、当面は金融ADR制度の円滑な定着や施行に重点を置くことが重要であるということを考えております。一方で、3ヵ月というと、今回もご説明させて頂きましたように、なかなかデータが十分集まりません。そこで今後は、例えば半年に1回のペースで、今日のようにデータをいろいろとまた収集・分析させて頂くとともに、指定紛争解決機関の業務運営状況とか、または連携状況についても報告をして頂きまして、それを踏まえまして、この金融ADR制度についてさらなる改善を図るべき点等について、まさに金融トラブル連絡調整協議会の場で議論を行っていってはどうかと考える次第でございます。

私からは以上でございます。

○山本座長

ありがとうございました。

ということで、事務局のご提案というか、ご説明といたしましては、本協議会は当面半年に1回程度の頻度で開催し、その議題としては、指定紛争解決機関の業務の運営状況、あるいは相互の連携の状況等についてご報告を頂き、それを受けて、この金融ADR全体のさらなる改善を図るべき点等について議論を行っていくということで、どうかということであったかと思います。この点につきましては、この協議会の今後のことということでありますので、委員の皆様から積極的なご発言を頂いて、フリーディスカッションといいますか、どういうふうに進めていけばよいかということを考えてまいりたいと思いますので、ご意見を頂ければと存じます。いかがでしょうか。

どうぞ、森委員。

○森委員

弁護士の森でございます。

幾つかあるのですが、1つ目は資料1-3の金融ADRガイドラインの中でも、今お話がありました他の指定紛争解決機関との連携ということで、この中に単位弁護士会とか国民生活センターとか挙がっておりますけれども、私、日弁連のほうのADRセンターの事務局長と国民生活センターの紛争解決委員をしておりますが、今のところ、金融ADRとの間の連携というのは必ずしも図られていないというのが現状認識でありまして、特に苦情処理から紛争処理に移るに当たって、どういった形で苦情処理の段階でお話がされていたのかというような情報が入ってくるかどうかとか、あと適切な各業法別に取り扱い分野がいろいろ分かれておられるかと思うんですけれども、そういうものについて横断的になる場合に、各指定紛争解決機関さんのほうで取り扱いができない場合に、どういった形でそういったものが弁護士会のほうに回ってくるのか、そういうお話もまだ必ずしも煮詰まっていないのではないかというところで、この連携の部分についてはこの場のみならず、ほかの部分等も含めてお話をしていく必要があるのではないかというところが1つ現状認識でございます。

もう一点、先ほど各機関さんの運用についてのお話がございましたけれども、実際に紛争を扱っている身、あるいはユーザーというのは、実際に消費者側あるいは相手となる金融機関側の方からも伺う話として、特にプロセスがよく見えないというようなことに対するご不満というのはたまに伺うことがあります。これは資料を出してくださいと言われて、資料をいろいろばたばたと用意して、ある日突然、裁定書が来ましたというのでは、先の見通しも何もない。実際に相手と面と向かって行う場面というのは、意外とADRの中では少ないのかもしれませんけれども、実際にどういう形での紛争解決を目指されていくのかということの流れが、ご自分たちには必ずしも見えないということに対するご不満とかご不安というのも、ある程度仄聞する機会もございます。そういうことも含めまして、ユーザー目線でいかに使いやすい仕組みにしていくかということについて、さまざまな情報共有や意見交換を行う場があってよろしいのではないかというふうに思うというのが第2点目でございます。

今まで申し上げたような連携とかユーザー目線での改革という部分について、例えばこうした大きな場でかくご発言をして頂くのはなかなか難しいかなというところもございますので、それはそれでテーマごとにいろいろと小規模なセッションなり、連携は連携で別のワーキンググループなりがあってもいいのかなというふうには思います。

以上です。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、唯根委員。

○唯根委員

私どもも消費者団体としてADR機関、法務省の認証を受けてやらせて頂きまして、皆様の金融ADRの方々の取組みも今伺っていて、やはりもう一歩進んで、消費者目線でADRを利用しやすくして頂く取組みをして頂くために、私どもも連携を組みたいとは思います。とはいえ、先ほど銀行協会さんが、乗せられる案件かどうか、ホームページで見て頂ければわかりますという、その内容を消費者が理解できるかどうかを見ていただきたい。ADRを利用するか、司法判断に取り組むかという自立した消費者ではない方々にADRをぜひ利用して解決して頂きたいと思うのであれば、これからは、御案内の内容について、その取組み方について、検討できるこういう機会を増やして頂けたらありがたいと思います。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

依光委員、どうぞ。

○依光委員

すみません。今日、本当にいろいろ資料を出して頂いたのですが、例えばこういうふうにADRを受けた方、一般の裁定をお願いした方たちが、このことについてどのぐらい満足度を得ているのかという、そういうような調査とかいうのはどうなのでしょう、されているのでしょうか。逆に言うと、解決されれば、多分ご自分のほうにうまく利益が来るようにというか、望んだように解決されれば、満足なのだとは思うのですけれども、裁定されなかった、うまく調停がいかなくても、それがあったために満足といいますか、よかったと思っていらっしゃる方はどのぐらいいるのかなとか、そんなことをちょっと今日感じたのですけれども、そういう意味では、私たち消費者側の立場に立ったADRの見方というのですか、そういうのはどうなのかなと、今日ちょっとそんな疑問がわきました。

○山本座長

ありがとうございました。

今の利用者の満足度調査みたいなものですか、そういうものをやっておられる機関というのは、おられますかね。特段、そういうことはないというふうに理解してよろしいのでしょうか。

どうぞ、相澤委員。

○相澤(直)委員

満足度といいますか、やはりおっしゃるとおりでありまして、あっせんの結果として和解が成立していれば、当然納得されているわけです。不受理の場合には、その理由を書面に書いてはいるのですが、それでもやはり不満を持たれる方はいらっしゃるということだと思います。かといって、現金の不足を争点にした案件はどうしてもやりようがないので、それはADRというか、あっせんとしては手の付けようがないものと思います。

○嶋野委員

利用者相談室の嶋野です。

私ども利用者相談満足度調査というものを今年の2月1日から始めております。その中に、今お話がありましたけれども、相談機関の相談を受けて満足したかどうかとか、そういうところについて直接質問項目は設けておりませんけれども、それに近い項目としては、他の相談機関の紹介を受けた場合、相談員から十分な説明を受けましたかとか、紹介を受けた先は適切な機関でしたかとか、少し遠いかもしれませんけれども、このような質問項目を設けております。

○山本座長

ありがとうございました。

確かにこのADRの利用者が実際に使ってみて、どういうふうに感じたかというのは、一つ大変興味深いところではありますね。

どうぞ、森さん。

○森委員

ご参考までに、弁護士会の中でも、例えば岡山とか仙台の弁護士会などでは、利用者に対してアンケートをとって、実際にプロセスや事務局の対応はどうでしたかということのアンケート調査を行っているということはございます。

もう一つ、あっせんとか和解が成立していれば満足しているかどうか、これも必ずしもそうでもない場合がありまして、例えば『判例タイムズ』に民事訴訟の分析などがされたと思うのですけれども、敗訴判決よりも敗訴的な和解を無理強いして、ごり押しされたというほうが不満足度が高いといった分析も出ているようなところでありまして、プロセスに納得がいくものでなければ、結果が成立に至っていても、ユーザーが納得しているとは限らないということがございますので、そういったところは検証のプロセスがあってしかるべきではないかなというふうには思います。

○山本座長

ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

特段のご意見もございませんか。

○依光委員

瑣末なことかもしれないのですけれども、以前伺ったときに、似たような業態で、また違うADRを持っていらっしゃるところがあるということで、例えば間違って違う業態のところのADRに相談されたときに、うちではありませんというふうにお断りになるということを伺ったんですが、そういうときに、その次の段階というのは皆さん、ここですよというような形で紹介されるものなのでしょうか。それとも、うちはそれを扱わないので、できませんということで、それで終わりというような、そのあたりはどうなのでしょう。フォローアップというのでしょうか。

○山本座長

いかがでしょうか。

竹中委員。

○竹中委員

ここに出させて頂いている金融機関は、横の情報連携ができています。例えば私どもであれば保険ということで、共済も含め、あと損害保険さんも、社名だけで判断して保険だと思ってこっちへ来るケースがありますけれども、そこは適切な申し出機関の電話番号等を全部お教えしておりますので、うちじゃないですというだけでは終わらない。そこは安心して頂いてよろしいかなとは思います。

○山本座長

それは大体どこもそのような形になっているというふうに理解してよろしいでしょうね。

どうぞ、小野委員。

○小野委員

私ども先ほどご説明しました金融ADRのガイドラインの中にも、5ページ目の上のほうでございますけれども、そこに書いてありますように、「連携に関する事項」として、申立てを受けた案件を事案の内容に応じ、申立人の意向を十分に確認した上で、他の適切な指定紛争解決機関がある場合には、当該指定紛争解決機関に速やかに移送する体制がとられているかということで、今ご指摘のあったような事案も含むものでございますので、当然そこは皆さんも留意してやって頂いているというふうに理解してございます。

○山本座長

よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ、唯根さん。

○唯根委員

すみません。最後に質問ですけれども、私ども昨年の11月に「サギ商法110番」というのをやりましたところ、7割ぐらいが金融関連のご相談になってしまいまして、その中に、今日お越し頂いているADR機関さんかどうかわかりませんが、それを利用できない高齢者の方のご相談が結構多かったのです。先ほど来の御説明を伺っていますと、自分で書類を書けるのかどうか、自分の主張をきちっと言えるかどうかというところが利用できるかどうかの分かれ目のように思われますが、私ども相談を受けていて自立はしているが判断能力が衰えた悩みどころのような方も結構いらして、そういう方は後見人のような方とかご家族がついていればいいのですが、誰もご協力できないようなケースについて、これから増えてくるのではないかと思うのです。こういう方々のADR利用という点についても、今後ご検討頂けているのかどうか、伺えればと思います。

○山本座長

いかがでしょうか。

どうぞ、相澤委員。

○相澤(直)委員

ご家族もいらっしゃらなくて、法定代理人もいらっしゃらないということになると、ちょっとやはり難しい部分は確かにあるのかなと思います。ただし、ご本人が書けなくても、基本的には、ご家族の方に書いて頂くとか、友人の方に書いて頂き、それをご本人が読んで、こういうことだというように説明できるのであれば、それは受け付けるということにしております。

○唯根委員

書き方の指導なんかもできるのでしょうか。

○相澤(直)委員

やはり整然と書くことができない場合もあるということは理解しておりますので、そこは状況をしんしゃくして、わからない点を追加でお聞きするというやりとりは、やはり発生するだろうと思います。

○山本座長

ほかにどうですか。大体そういう感じですか。

唯根委員の問題意識としては、やはりそういうような方々が申し立てられるように、代わりに書いてあげるとか、そういうようなことですか。

○唯根委員

消費生活相談の窓口ですと、結局、そういう方々をできるだけ何とか救済する方策としてADR機関があってほしいと思うのですが、そういうところの連携というのは今のところまだできていないと思いますし、そこまで受けて頂けるのかどうかが知りたくて、質問してみました。本当にご自分の主張が口ではできても文章に書けないという方々が、今、結構金融関連のご相談者に多く見受けられます。そういう方々の救済をどうにかできるのかなというのが、消費生活相談では課題になってきています。

○山本座長

どうぞ、齋藤委員。

○齋藤委員

参考になるかちょっとわかりませんけれども、実際は、当協会の事業者の契約者ではなかったですが、かつて契約者だった方で、八十数歳のお年寄りの方がございまして、やはり電話でお聞き取りしてもよくわからないということで、この種のケースの場合は、消費者センターと、ご契約についてお話し頂いた場合は、一応ご担当の方とお話をして、我々ができるかどうかという部分の細かい話は詰めさせて頂くつもりでおります。

ダイレクトに来た場合に、どうしてもよくわからない場合は、例えば当地で民生委員の方がいるとか、何らかの第三者のご相談される方がいると思いますので、そういう方を一回介してご連絡を頂きたいというやり方にします。というのは、現実問題として、痴呆にかかっている方かどうかもわからない場合もあるわけです。そうしますと、行って、また二度手間になるし、またその方にも余計な期待もかけますので、一回フィルターを通すといいますか、そういう形で第三者からお話を聞いて、その中で我々がやらなくてはいけないこと、ADRとしてやることであれば、我々はそこまで踏み込むつもりでおります。

○山本座長

よろしいでしょうか。

ほかにいかがでしょうか。

大体よろしゅうございますか。

それでは、今までご意見をお伺いした限りにおきましては、今後の進め方として、機関間の連携、移送の問題が非常に重要ではないか、あるいはユーザーの目線で改革をしていく必要があるのではないか、今の高齢者等の問題も含めて、消費者の目線に立った制度をつくっていくことが必要ではないかというようなご議論がありました。また、具体的な進め方としては、テーマごとのセッションというか、ワーキンググループというか、もう少し小さなグループでの密なる議論をする場があってもよろしいのではないかというようなご意見とか、ADRの利用者に対してその満足度等の調査というものを試みてもいいのではないか等々のご意見があったかと思います。

ただ、基本的な部分におきましては、先ほど事務局からご提案があった基本的な考え方、金融ADR制度が本格的に施行された直後であるということを踏まえれば、当面は半年に1回ぐらいのペースでこの協議会は開催をして、実際の運用状況、あるいは連携の状況等についてご報告を頂いて、それを受けてさらなる改善についての議論をしていくという基本的な進め方については、恐らくご異論はなかったように承りました。

そういうことですので、基本的には今のような形で進めさせて頂く。それで具体的な、この点についてもう少し検討したほうがいいのではないかというようなことが出てきますれば、その開催頻度をもっと頻繁にするということもありますでしょうし、あるいは森委員からご提案があったように、今までもこの協議会ではそういうワーキンググループを設けたこともありますので、ワーキンググループ的なものを設置して、そこでもう少し濃密に議論を頂くというようなこともありますでしょうが、とりあえずは、当面はそういうような形で、半年に1回程度のペースで進めていくということでよろしゅうございましょうか。

〔「異議なし」の声あり〕

○山本座長

それでは、当面の進め方については、そのような形で進めさせて頂けばと思います。

それでは、本日予定された議題につきましては以上でございます。私の不手際で若干時間を超過したことをおわびしたいと思いますが、次回は、今のようなことでありますれば、今、2月ですので、半年ということになれば8月というか、夏ごろということになろうかと思いますが、詳細につきましては、また事務局のほうから追ってご連絡をいたしたいと思います。

それでは、本日の協議会はこれにて終了いたしたいと思います。

大変活発なご議論を頂きまして、ありがとうございました。

(以上)

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金融庁Tel 03-3506-6000(代表)
総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室(内線3528)

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