第53回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

平成29年6月19日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長
 皆さん、おはようございます。所定の時間になりましたので、ただいまから第53回金融トラブル連絡調整協議会を開催したいと思います。本日は、ご多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、事務局から人事異動等に伴う委員の交代についてご紹介をお願いいたします。

○西原室長
 おはようございます。事務局を務めます金融庁総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室の西原でございます。よろしくお願いします。着席させていただきます。

 まず、人事異動等に伴いまして、交代があった委員の方につきまして、所属団体とお名前のみになりますが、ご紹介します。
 
 まず指定紛争解決機関としまして、日本貸金業協会貸金業・紛争解決センター長、遠藤様。

 次に、消費者行政機関及び金融当局としまして、日本司法支援センター本部第一事業部長兼第一事業部情報提供課長、菅沼様、全国消費者団体連絡会事務局次長、小林様、全国労働金庫協会経営企画部長、関山様、厚生労働省労働基準局勤労者生活課労働金庫業務室室長補佐、高橋様、農林水産省経営局金融調整課組合金融指導官、志賀様。委員の交代は以上でございます。

 なお、交代ではございませんが、本日は全国信用金庫協会におかれまして、徳竹様が阿部委員の代理としまして出席しておられます。

 また、森委員、沖野委員、東京都消費生活総合センター、工藤委員、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、唯根委員、また、総務省、牛山委員、国土交通省、伊藤委員におかれましては、ご都合により欠席されています。

 人事異動に伴います委員の方々のご紹介は以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第のⅢでありますが、平成28年度における各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、資料1に基づいて、事務局から概要の説明をお願いいたします。

○西原室長
 それでは、28年度の指定紛争解決機関の業務実施状況につきましてご説明します。資料としましては資料1。これは1-1から1-3に分かれています。若干順番が前後しますが、1-3。これはホチキスでとめています1-3をご覧いただきたいと考えています。

 まず、この1-3の1ページ目としましては、苦情処理手続の受付件数の推移でございます。この棒グラフの一番右が28年度の実績でございまして、8機関合計で、苦情処理の受付件数が8,283件となっております。
 
 23年度以降、減少基調で推移しておりまして、27年度におきましては、苦情処理手続の案内が徹底されたことによりまして、損保協会、生保協会中心に大幅に増加しましたが、足元の28年度におきましては、損保協あるいはFINMAC等では減少が見られたことから、全体としまして、前期比マイナス3%の減少となっていまして、微減の傾向にあると認識をしております。

 機関ごとに見ていきますと、損保協、原因としては交通事故の減少、また、FINMACにおきましては株式市況の持ち直し等で、特に金融商品による損失を被った等のトラブルが減ったといったことが原因であると聞いております。
 
 一方、全銀協ほかで件数が増加していますが、この内容を見ていきますと、為替相場の変動等によりまして、外貨建ての保険商品でございますとか、あるいは投資信託等の証券業務におきまして、増えているという傾向も見えるところでございます。

 次に1-3の2ページ目でございます。苦情処理手続における、これは終結件数です。各年度で終結した件数の推移でございますが、これは先ほどの受付件数の推移をおおむね反映していると考えておりまして、詳細な説明は省略させていただきます。

 1-3の3ページ目でございます。これは苦情処理の手続の終結件数の推移につきまして、全銀協の為替デリバティブ事案を除いたものとしまして、お示ししております。27年度以降、終結件数全体を占める為替デリバティブ事案の影響は極めて少ないということで認識をしております。

 次に4ページ目でございますが、これは苦情処理手続におけます処理結果につきまして、対前年比で今、比較をしております。傾向としましては、前年度、今年度ともに、7割ないし8割が苦情処理手続段階で解決をしていまして、大きな変更はないのかなと考えております。

 5ページ目でございますが、これも苦情処理手続の終結案件におきまして、終結に要した案件を円グラフで示しておりまして。ただ、これまでのグラフと違いますのは、不応諾となった案件ですとか、移送された案件につきましては除外して集計をしております。

 傾向としましては、どちらも、おおむね7割程度は3カ月未満の期間で終結をみているということでございまして、大きな変化はないのかなと考えております。

 引き続きまして、紛争解決手続の状況でございます。お手元の資料の6ページ目をご覧ください。これは紛争解決手続の受付件数をお示ししておりまして、これらの苦情と同様、23年度をピークとしまして減少基調で推移しておりまして、それが前27年度で10%の増加が見られました。足元の28年度では、8機関合計で、紛争解決申し立てが1,267件となっていまして、対前年度で10%の増加をしております。

 増加の原因としまして、全銀協がプラス56%、これは対前期増加率でございますが、等の増加の影響によるところが大きいと。このうち全銀協におきましては、これは増加の要因としまして、苦情と共通してきますけれども、やはり外貨建て保険商品ですとか、証券業務の関係での事案の増加ということが多かったと聞いております。

 7ページ目としまして、これは紛争解決手続につきまして終結件数の推移でございまして、期ごとの推移としましては、おおむね、先ほどご覧いただきました受付件数の動きを反映しているのかなと考えております。

 8ページ目としましては、紛争解決手続の終結件数につきまして、全銀協の為替デリバティブ事案を除いたものであると。また、傾向としまして、苦情と共通しますけれども、27年度以降、終結件数全体を占めます為替デリバティブの事案の影響は極めて少ないということで認識をしております。

 9ページとしましては、紛争解決手続におきましての終了事案につきまして、これも対前期で円グラフで数字を示しておりまして、傾向としましては、和解成立割合では、27年度では39%が解決して和解成立。28年度では40%が成立しておりまして、大きな変化はないものと考えております。

 次、10ページでございますが、紛争解決の終結に要した期間の比較でございまして、これも2カ年で並べて、円グラフで表示しております。傾向としまして、1つの切り口としまして、6カ月未満で終結しました件数の全体に占める割合で見ていきますと、27年度が75%、28年度が74%になっておりまして、大きな変化はないということで、全般としまして、苦情紛争ともに大きな傾向の変化はなかったと認識をしているところでございます。

 最終の11ページでございます。これは指定紛争解決機関ごとの和解状況を示しておりまして、28年度では8機関全体での和解率は40%となっていまして、前年度とほぼ同数になると。また、機関別では、事案数が極端に少ない機関を除きまして、和解率はおおむね30%台から40%台の後半で推移しているのかなというところでは認識をしています。

 なお、若干資料戻りますけれども、資料1-1と1-2にございます。それぞれ1枚紙でつけておりますが、ただいまご説明しました内容につきまして、機関ごとに示したものでございます。時間の都合上、説明は省略させていただきます。

 業務実施状況に関します私からの説明は以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの概要の説明につきまして、ご質問あるいはご意見等があれば、お出しをいただければと思います。いかがでしょうか。

 特段この段階でなければ、また後の議論の際にも、この全体的なところにお触れいただくということで結構ですので、便宜、先に進ませていただきたいと思います。

 それでは、続きまして議事次第のⅣになります。これが本日のメインテーマでございます。より柔軟な紛争解決に向けた取り組み、特に不受理・不成立事案から見える課題という問題につきまして、ご議論をしていただければと思います。

 この点につきましては、まず事務局からテーマの選定の経緯等も含めた概要の説明をしていただいた後、各指定紛争解決機関からご報告をいただき、その後、質疑、ご議論を頂戴するということにさせていただきます。

 それでは、まず事務局から概要の説明をお願いいたします。

○西原室長
 まず、今回のテーマ選定の経緯でございますが、資料2-1をご覧ください。

 事務局説明の①としまして、テーマ選定につきまして簡単に書いてあります。

 説明をしますと、まずADR機関の和解に向けた努力の重要性につきましては、平成25年の金融ADR制度のフォローアップに関する有識者会議でも示されまして、その後も、第48回の金トラ協で問題提起を受け、和解不成立事案の理由ですとか経緯をご報告しました49回の金トラ協におきまして、当事者双方の開きが大きいとの理由で和解案が策定されないということについて問題提起がありました。

 また、顧客適合性等の抽象的な規範につきまして、各トラブルにおいてどう当てはめて解決を図っていくかということにつきまして、ADR機関としまして、ある程度そういった顧客適合性等の規範の適用のあり方につきまして、その考え方をある程度示しながら和解に向けた努力をしていくことにつきましても重要であるというご提言がございまして、あわせまして、この49回の金トラ協におきましては、和解案を伴わない不成立事案の多かった機関ということで、2機関につきまして、積極的な和解努力に向けた改善策が策定されております。これが過去の経緯でございます。

 このような経緯を踏まえまして、今回これらの改善策のフォローとあわせまして、各ADR機関におきましての和解努力の現状と、それを報告いただいた上で、各委員の方々、皆様方からたくさんの忌憚のないご意見をいただきまして、今後もより柔軟な和解解決を図っていくためにはどうすればいいかにつきまして討議をお願いしたいという趣旨でございます。

 続きまして次のページでございますが、事務局説明の②としております。これは柔軟な紛争解決に向けた取り組みの特徴点でございまして、この後につけています今回のメイン資料でございますが、資料2-2のAというのがございます。これにつきましては、概略を申し上げますと、より柔軟な紛争解決を図っていくために、各機関で取り組んでいることですとか、あるいは意思決定機関の方向性につきまして、いろいろと区分けした上で記載をいただいているという資料でございますが、何分大部でございますので、全体感を示すという意味で、この事務局説明の②という資料を作りました。内容、全体的な傾向を説明させていただきます。

 まず、この事務局説明の②の一番上の項目でございますが、意思決定機関、これは各ADR機関の意思決定機関、またはそれに代わり得るような機関の関与の仕方でございます。

 続きまして、その下の項目が、紛争の実態ですとか当事者の主張の把握。具体的に言いますと、柔軟な解決を図っていくための材料ですね。どういった解決の糸口があるのかというところを見つけ出すための工夫ということが言えるのかなと考えています。

 3つ目の項目としましては、可能な限り和解案を柔軟に提示していくと。主には事実認定が困難な事案でございますとか、当事者双方の主張が大きく開いているような事案におきまして、どういった形でもって解決に導くかといった工夫でございます。

 一番下の項目としましては、有識者による不調事案の検証でございますが、これは趣旨としまして、今申し上げました紛争の事態の把握ですとか、より柔軟な和解案提案ですとかにつきまして、また、各意思決定機関の方向性におきまして、これらの方向性や施策を踏まえた取り組みが、結果としまして柔軟な紛争解決につながっているかどうかを、第三者の方の目を入れてチェックを受けると。こういったことを行いまして、いわば紛争解決のPDCAサイクルのCに当たるものとしまして、この有識者による不調事案の検証という項目を入れております。

 全般的な傾向を申し上げますと、まず1つ目の意思決定機関の項目つきましては、詳細なご説明というのは、ここでは省かせていただきますけれども、1つには、ADRの意思決定機関は、非常に踏み込んだ方向性を示して、具体的にADRの所管部署がどのように動くのかということにつきましても方向づけをしている機関がある一方で、もう一つのタイプとしましては、例えば、できるだけ面談をするなど、やや概括的な方向性を示している意思決定機関もあるのかなという形で認識をしております。

 2つ目の紛争実態や当事者の主張の把握という項目につきましては、これ、改善策を策定した機関はもちろんでございますが、それ以外に、機関におきましても、当事者面談で、どのようなことを確認していけば解決に結びついていくのか。それを確認すべき事項を事前に割り出していくと。あるいは、機関によりましては面談を行わない機関もございますが、面談を行わない場合には、解決に向けた情報につきまして、申立人との対面等のコミュニケーションを通じまして不足を埋めていくといった工夫が見られるところでございます。

 3つ目の項目としましては、可能な限り和解案を柔軟に提示していくと。これにつきましては、各事案における業者の問題対応ですね。例えば業者の商品説明が不十分だったとか、そういった問題対応につきまして把握に努めた上で、和解案の提示につなげていくといった、積極的な取り組みをしている機関もあるのかなと。

 また、その一方で事案の特殊性。これ、保険分野等におきまして、専門知識が必要な場合に、専門家の知見を補完するといった工夫が見られると。そういった工夫が過半のADR機関で見られるのかなという形で認識をしております。

 4項目目の有識者による不調事案のチェックですが、これは先ほど申し上げました、いわば紛争解決のPDCAのCとも考えられますけれども、機関ごとに見ていきますと、今、個別事案の内容に踏み込んで、第三者、有識者の方々に見てもらっているという機関が多いのですが、中には、その中で特に有識者の方々の意見を基に、問題があれば、問題解決につなげていくということを明記している機関もございます。

 一方で、不調事案の件数ですとか、件数面のチェックを受けているといった機関もございまして、この点につきまして、やや8機関の中で区分されるのかなということを、我々としましては認識をしております。

 事務局からの概況説明は以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。

 それでは引き続きまして、各指定紛争解決機関から資料2-2の資料A、資料Bに基づきまして、解決につながる材料の把握や積極的な和解案提示の観点を踏まえ、現状と今後の対応について、ご報告をいただきたいと思います。

 なお、いつものことではございますが、時間の関係がございますので、大変恐縮ですけれども、各機関5分以内という時間を厳守していただくよう、あらかじめ、お願いを申し上げます。

 それでは、まずは全国銀行協会の阿部委員からお願いいたします。

○阿部委員
 阿部でございます。よろしくお願いします。今ご説明いただきましたように、柔軟な紛争解決に向けた現状と課題ということで、ポイントをご説明いたします。
 
 資料2-2の2ページをご覧いただきたいと思います。まず不受理に関するところでございます。これは①、②の真ん中の方に書いてありますけれども、全銀協の方でも形式的に、業務規程上の不受理要件に該当するかどうかではなくて、事案の内容に加味して、できる限り受理する運用ということを行っておりまして、受理率につきましては、27年度の78%から28年度の90%と向上をしております。

 3ページの下の方をご覧いただきたいと思います。このⅡの2.の紛争の実態や当事者の主張の把握であります。

 真ん中に書いてございますが、要点は、申立人が申立書を作る場合に、作成の可能な範囲ということでございまして、不足がありましても、当日の事情聴取において、申立人の年齢、性格、会話力、あるいは障害の状況などの属性を考慮いたしまして、その人に合った尋問に心がけているところであります。

 去る5月には、聴覚に障害をお持ちの方の事情聴取がありましたけれども、あっせん委員の3名が、地方の会場に出張いたしまして、筆談対応による事情聴取を行ったということであります。

 4ページに、ご覧いただきたいと思います。2.の③のところでありますが、このあっせんの委員会では、録音ですとか折衝記録などの物証ということに重きを置いた運用はしておりませんので、事情聴取における尋問を丁寧に行うことで、十分対応しているということであります。

 その上で、5ページの4の可能な限り和解案を柔軟に提示というところでございますが、この観点につきましては、あっせん委員会では端的に、一番上にございますけれども、主張の乖離が大きいから不調というような運用はしておりませんので、物証にこだわることもなく、法令、約款上の形式的な事項にとらわれずに、申立人の属性に見合った最善の販売体制をしているかどうかという観点から、解決の糸口を探る運用としてございます。

 そして、こういった努力においても、やはり不調事案というものは出てくるんですけれども、これ、11ページに飛んでいただきまして、この不調事案の内訳をご覧いただきたいと思います。

 ここにございますとおり、左から項番の4番のところですね。うち申立適格性ありという、これは55件ございます。このうち事情聴取で和解の内示。これは全銀協で、あっせん原案と呼んでおりますが、これを提示いたしまして、当事者の意向を打診したのが9件。そのうち業者のみが不応諾したのが2件とあります。

 この2件につきましては、右にも分析結果にございますとおり、業者側にほとんど問題はないですとか、軽微なもので、不調でも仕方がないですけれども、最大限の努力として、解決金程度の和解はどうだと。ちょっと言葉は悪いですが、だめもと的なものの提案で不調になったという限界事案でございます。

 その他が下の46件ございます。そして、あっせん原案の提示ができなかったものが、ここに入るんですけれども、経営方針上の事由で業者が拒絶した、1件ございまして、これを除きまして、45件が下の方にございます。

 この45件の内訳ですけれども、右の欄にありますとおり、申立人の要求水準が高過ぎるというものですとか、業者側に互譲を求めるほど問題がない、経済的負担がない、損失がないというもの、あるいは詳細な事実認定困難という類いのものがあります。

 この対策といたしましては、この申立人の要求水準が高いというものにつきましては、申立人にADRの趣旨、互譲の精神の意味を丁寧に説明して、このADR自体の周知、啓蒙を継続するということが重要と考えております。

 ほかの2つにつきましては、委員として粘り強い尋問と解決の糸口を見つけ努力を高めるということに尽きると思います。

 そして、こうした取り組みの実効性の評価につきましては、8ページを、ちょっと戻っていただきたいと思います。6の①、②の要点だけご説明いたしますと、こういった運用、不調を含むADRの運用につきましては、全銀協の担当理事ほか、担当部長を委員とするADRの運営会議、そして年2回、実開催しております、外部有識者委員の委員とします、あっせん委員会運営懇談会の検証を受けておりまして、これまで大きな問題があるとの指摘は受けておりません。

 最後に、今後の課題ということであります。このADRでは、和解をするということは当然重要であると考えておりますが、同時に利用者の不満足の表明を解消するということが大前提でございます。

 したがいまして、あっせん委員として引き続き柔軟な解決を図るための努力を継続するということと、業者側だけではなくて利用者に対するADRの目的、意味についても周知、啓蒙を充実させていくことが重要と考えております。和解をしても、しなくても、利用してよかったと思われる手続となるように、引き続き努力してまいりたいと考えております。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。

 続きまして、信託協会の岡本委員、よろしくお願いいたします。

○岡本委員
 信託協会です。私ども資料は13ページから22ページになります。ポイントを絞って、ご説明申し上げます。
 
 まず、資料15ページの2の紛争の実態や当事者の主張の把握に係る取り組みと実効性の評価という部分でございますけれども、こちらにつきまして、1ページ前の14ページの①をご覧いただければと思います。
 
 当協会では、あっせん依頼のあった全案件につきまして、両当事者から提出された資料に基づきまして、事務局が事案概要を説明し、当該あっせんを担当するあっせん委員に対しまして個別に面談の上、事案概要の説明を行っております。

 続きまして、適格性の審査を行い、あっせんに移行する際、15ページの①になりますが、両当事者に対しまして確認したい事項等がある場合には、あっせん委員から当相談所宛てにご連絡いただき、原則として面談の前までに追加資料当の提出を求めるという手続をとっております。

 この面に関する実効性の評価といたしましては、このように案件の概要を的確に把握できるような手続をとっていることから、面談の場での審議がスムーズに行われていると思っております。

 続きまして、17ページ目の4の可能な限り和解案を柔軟に提示し、というところです。この中で事実認定困難、当事者間の主張が大きく乖離等の事案で柔軟に和解案を提示する具体的な取り組みということなんですけれども、事実認定困難という事案は、我々では、これまでございませんでした。当事者間の主張が大きく乖離するような案件というのは、多かれ少なかれ、あっせんに上がってくる案件は、当事者間の主張が乖離しているわけですけれども、こちらにつきましては、両当事者に対し丁寧かつ粘り強く歩み寄りの余地を探ることとしております。その結果、平成22年10月のADR機関としての認定後、申立人が取り下げた事案、それから申立人が申立内容を変更したことにより実質的に解決した事案、それから17ページの①に記載しております打ち切り事案。この計3件以外では全て和解案を提示し、解決しております。

 なお、17ページの①の事案です。こちらは複数回の面談にもかかわらず議論が堂々めぐりし、あっせんを打ち切ったケースということなんですけれども、この方は面談の場では一定の理解を示すものの、次の面談では、また同じ話を持ち出すということで、その繰り返しになりましたので打ち切ったという、極めて特殊な事案であると考えております。

 当協会といたしましては、このように丁寧かつ粘り強く落としどころを探っていくことにより和解案を提示、解決に至っているケースが多いことから、引き続き丁寧な説明等に努めていきたいと考えております。

 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。

 続きまして、生命保険協会の酒巻委員、よろしくお願いいたします。

○酒巻委員
 資料でいいますと23ページ以下になります。

 まず23ページでございますけれども、柔軟な解決に向けた取り組みについてです。資料に記載をしておりますように、またこの場でも以前ご報告させていただいておりますように、第48回のこの会議における指摘等を踏まえまして、当会で紛争解決手続を担っております裁定審査会では、平成27年の7月より、申立人が希望しない場合を除きまして、全県で事情聴取を実施することにより、より柔軟な解決の糸口となる個別事情。具体的には保険会社側の不適切な対応等ということになりますが、個別事情の把握に努め、それを踏まえた積極的な和解提案を行うことといたしました。

 裁定審査会では、部会及び全体会の2段階で審理を行っておりますが、それぞれの段階で、各事案における和解を相当とする事情の有無、あるなしを確認しております。

 次に資料の24ページ、不受理の判定についてでございます。裁定審査会では、申し立てにつきましては、できる限り受理をするように運用しておりまして、実態といたしまして、例えば申立内容について、事実認定が困難であることのみを理由として不受理とすることは現状いたしておりません。また、不受理とするか否かは、受理審査を委任された委員による事前審査、担当の部会による審査、また、必要に応じ全委員で構成する全体会における審議、そういったものを経て慎重に決定をしております。

 次に資料の25ページ、紛争の実態、当事者の主張の把握についてでございますが、事情聴取につきましては、事前に紛争解決委員が、確認すべき事項等を事案ごとに協議し、明確化した上で実施をするようにしております。また、事情聴取におきましては、申立人の申立内容及び申し立ての理由、また、保険会社の主張に対する反論を聴取しまして、なかなか申立人、きちんと主張できないところもございますので、書面による主張を補うようにいたしております。

 次に26ページ、手続、利用者の納得感への配慮についてでございます。申し立てにつきましては、一般の消費者の方であることを踏まえまして、部会において申立書の記載内容や証拠書類を精査いたしまして、必要があれば申立人に対して必要な書類を明示して提出を促すなどの対応を行っております。

 次に27ページ、柔軟な解決に向けた取り組みについてでございます。こちらも繰り返しになりますが、申立人の主張が認められない場合でも、事情聴取等を通じまして把握した保険会社側の不適切な対応や紛争の早期解決の観点等を考慮しまして、積極的に和解提案を行う運用に改善をしております。また、両当事者の主張が対立し、申立人の主張を裏づける証拠資料がない場合にも、事情聴取における心証等も考慮しまして和解提案を行うこともございます。

 次、28ページ、特別調停案の活用についてでございます。裁定審査会では、ADRの指定取得前から業界の制度といたしまして同様の手続を実施していたということもございまして、和解提案を行う場合には原則として特別調停案を提示する形をとってございます。

 次に29ページ、不受理事案、不調事案に係る事後検証でございますけれども、諮問機関であります裁定諮問委員会の方に、平成27年9月以降、裁定審査会の審理状況等を報告し、検証を行っていただいております。

 次に31ページ、不受理事案の内訳でございますけれども、28年度につきましては、不受理事案としたものが315件のうち7件ございました。具体的な事案としては、単に謝罪を求めるもの、あるいは取り扱い代理店の変更を求めるもの、また、約款所定の診断書にかえて病院から交付される診療明細書の写しで対応するように求める。こういった事案について、一部不受理にしたものがございます。

 私からは以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。

 引き続きまして、日本損害保険協会、村田委員、よろしくお願いいたします。

○村田委員
 損害保険協会の村田でございます。よろしくお願いします。

 私どもの資料でございますが、まず36ページをご覧いただけますでしょうか。ここですね。①のところ。解決の糸口となる事情を上手に把握すると、こういった意味で、審査会の開催に当たっては、事前に紛争解決委員による打ち合わせを行いまして、確認事項について認識合わせをした上で面談を実施しているというところでございます。

 これについて利用者アンケートをとっておりますけれども、約8割の方が、とてもよかった、よかったと回答いただいているというところでございます。

 その下、2番の②のところでございますけれども、申立書は、なかなか普段から書き慣れている方はいらっしゃらないので、まず申立書の作成に関するアドバイスですとか、説明を行う担当者を設置しているというところ。あと、紛争申立の可能性がある方に対しては配付資料がございまして、ここに記載例ですとか、作成のポイント、こういったものを記載したものを作成しているというところでございます。

 こちらについてもアンケートを、同様でございますけれども、8割の方が、わかりやすい、まあ、わかりやすい、こういったところを回答いただいているというところでございます。

 その下、③のところは資料の提出義務について記載しておりますけれども、私どもの業務規程において、業者に資料提出義務を課しておりまして、運用においても内容に応じた期限を定めて提出状況を管理しているというところ。あと、追加の資料につきましても徴求可能な運用としているというところでございます。

 飛んで資料の38ページをご覧いただければと思います。こちらは紛争手続持ち込まれる事案は、当然のことながら、双方の主張に開きがあるところからスタートするというところが現状でございますけれども、この開きが大きいからといって、直ちに不調とすることはせず、和解に向けた方向性に関して、双方の主張を丁寧に確認し、どこまで譲歩できるかというところ、着地点を探るように努めているところでございます。

 こちらについても和解率、先ほどご紹介ありましたけれども、徐々にではありますが、上がってきているというところ。もう一つ、あと客観的な事実確認を行うためには、可能な限り必要な資料や情報を提出いただくよう協力を求めているというところでございます。

 飛んで資料43ページ、ご覧いただけますでしょうか。こちらは見込みなしで終了した290件の内訳を記載している資料でございます。和解案の提示という観点では、行ナンバーでいくと11番の61件が提示に対して、和解案が提示できなかった事案は行ナンバーの2番というところ、228件となっています。

 こちらにつきましては、保険金請求に関しては対象となった事故があったのか、なかったのか、これが争点となるところが少なからずございます。こういった事案については、割合的に支払ってくださいというような和解案を提示することにはなじまないため、和解案を提示できるレベルでの事実確認ができるのかどうかというところが重要になりますけれども、どちらの主張が確かであるというところまでたどり着けない、こういったケースがございます。

 また、裁判と異なりまして、あくまでもお願いベースでの資料の提出を求めたりすることが原則でございますので、そこまで至らずに和解案を提示することが難しかった、こういった事案もございます。

 これが見込みなし終了の主な状況でございますけれども、ご主張と根拠は丁寧に聞いたり、第三者の専門家の意見を聞くなどして、和解に向けた努力をしているというところでございます。

 繰り返しになりますけれども、和解率も徐々に上がってきておりますので、引き続き、こういった和解に向けた努力を継続していく必要があると、こういった認識でございます。

 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。

 続きまして、保険オンブズマン、小野委員、よろしくお願いします。

○小野委員
 小野でございます。よろしくお願いいたします。

 まず当保険オンブズマンにおけます不受理の指摘から、させていただいたほうがいいかと思います。資料でいいますと55ページにございます。ここでご覧いただきますように不受理事案、私ども1件ございますが、そもそも不受理をどういう扱いにしているかと申し上げますと、同じく資料の45ページに戻っていただきますと、不受理判定は、明らかに私ども事務局レベルで適合しないと思われる、具体的には一番左の欄に、1から3に書いていますけれども、こういったものを除きまして、調停委員会で決定していただくようなプロセスにしております。その調停委員会の不受理の決定の内容は、そこに、いわば箇条書きしておりますけれども、逆に、こういう案件であればということで、ほかにあまり申請がないような形で、不受理というのが、できるだけ少ない。基本的に言いますと、申立人の方のご要望なり、お話をできるだけお聞きする機会を最大限にするという趣旨から、この種の規定を踏まえた上で運営を行っております。

 たまたま、この表に掲げる1件は、もともと、これも最終的には調停委員会の不開始決定を受けたものですけれども、双方の保険会社を含めたところの損害保険額の確定がまず全然進んでいなかったことからありまして、まず当保険オンブズマンで最初に扱うには、ちょっと不適当であるということで、不受理の、あるいは受けないということの考え方を示したことはございます。

 翻りまして、本日のテーマでございます。私どもといたしましては、まず紛争解決手続申立書というのを申立人の方と同意の上で確認するわけですけれども、それを私どもが受理しました段階で意見書類を精査しまして、不足あるいは補充すべき追加資料等を求めまして、円滑にこの処理が進めるよう、私どもなりにアドバイスしていっております。そういう意味じゃ、当事者間の主張の把握という意味では、より、後々のことを考えまして、必要な書類なり事実確認を私どもの段階でいたすようにしております。

 それから事実認定困難、あるいは当事者間の主張が大きく乖離等の事案は確かにございますけれども、私どもを含めまして、調停委員の方も含めまして、いろいろな情報、補充、あるいは周辺情報収集、お互い行いまして、その知識なり事実確認のためのビークルとして使うようにしております。

 私ども、その関係で言いますと、これは最近始めたことでございますけれども、各調停委員も含めまして、あるいは事業者さん含めまして、ニュースレターなるものを出しまして、いろいろな微妙な案件のところの解釈を一般論で、こういうことがありますとか、こういう解釈になっていますということを共通に認識できるようなものも発信しながら、紛争解決の手続がスムーズに行われるようにいたしております。

 それから、見込みなし案件の分析結果を踏まえた対応等で言いますと、今申し上げましたけれども、いろいろな形の知識等が、いろいろな学会の書籍あるいはホームページ等もございますので、これも調停員の方と共有しながら、いわば円満な形、あるいは柔軟な解決に向かうよう努力いたしております。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。

 続きまして、日本少額短期保険協会の小泉委員、よろしくお願いいたします。

○小泉委員
 少短協会の資料は58ページからでございます。まず58ページの中では、1の「柔軟な紛争解決」に関連する意思決定機関からの指示事項のところを確認をしておきたいと思いますが、この1の右側から2つ目の欄のところですね。ここにも書いてございますけれども、とにかく当事者双方の話をよく聞き、理屈だけでなく気持ちの上で満足いただけるよう、十分なコミュニケーションをとりながら対応を行うことを心がけるようご指示を受けておりまして、それの完全実践に向けて日々やっているというところでございます。

 59ページをご覧ください。不受理判定の内容のところでございます。①の真ん中のところにありますけれども、相談室の職員は申立書、答弁内容を吟味して、不明な部分についてのきっちりとした確認を行う。また、場合によっては、専門家、顧問獣医師。私どもペット保険も扱ったりもしておりまして、その辺についての知見はなかなかない部分もございますので、そういった専門医の意見を求めたりして、解決を図っていくというようなことでございます。したがって、そういう努力もしていることもございまして、その右側に書いてございますように、現在までに不受理事案はないという状況でございます。

 次のページの60ページでございますけれども、紛争の実態や当事者の主張の把握のところであります。この実態と主張の把握の一番大事なところが、先ほど申し上げましたコミュニケーションをしっかりとるところに全てが入っていると思ってございます。

 ①の真ん中のところの行で書いてございますけれども、私どもは聴取内容などは定期的に合議しながら内容を書面化している。当然のことですけれども、主張内容をきっちりと何と何と何ということの明確化をしっかり行って、今後の論点をしっかりと、お互いの中の主張点をしっかりと掘り下げて聞くということ。それから私ども、相談員はわずか2名しかおりませんけれども、その2人が必ず合議して、この案件についてはこうやることがちょうどいいよねということで、ひとりよがりの判断にならないように、その辺の公平化に努めているというところでございます。

 それから、次の61ページのところでございますけれども、手続に対する利用者の納得感への配慮でございます。お客様の不満足の解消。先ほど、どちらかの機関もおっしゃいましたように、それをなくしていくこと、そして、ご契約いただいたことに満足をしていただくということが、この相談室の機能でございます。そういったことも踏まえて、ここのところにつきましては、真ん中に書かれてございますように、業務規程においては業者側は和解案を受諾するように規定上しておりますけれども、不調が見込まれる。実際は不調はゼロでございますけれども、見込まれる場合は、申立人がその理由を理解できるよう、わかりやすく丁寧に行っていく所存であります。これは決意事項でございます。

 62ページ、可能な限り和解案を柔軟に提示するというところであります。このところは、やはり相談室の相談員の方の前向きな気持ちというのはすごく重要になってくると思いますが、その辺につきまして、紛争解決手続に移行した段階においても、相談員の方から和解の促進を積極的に行っているというところであります。

 ②の真ん中の行の真ん中の段のところにも書いてございますけれども、根拠となる書類を全て提出いただき、相談員より紛争解決委員に詳細な状況説明を行った上、中立・公正な立場での和解案の提示をいただくようにし、先ほど言いましたように、その右側に書いてありますが、専門的な知見を持つ有識者の所見・助言を適時その和解案に盛り込むような形にしてございます。

 それから次の63ページ、可能な限り和解案を柔軟に提示するというところでございます。この和解案の中で、申立人がなかなか理解していただけないというケースと、業者がなかなか理解しないというケースと、2つあるわけでございますけれども、特に業者側の方で、まだまだその和解に対して拒否反応を示すような場合においては、これは全く一部の業者についてだけですけれども、やはり一般的な見解というものを、例えば弁護士にいろいろと依頼して、その見解を伝える。もし本当にこれが本格的な争いになったとしても、社会的に見たとき、一般的な見解としては、こういうことが言われますよというような話をすることによって、会社側の歩み寄りを求めていくと。そういったようなことには気をつけております。

 それから64ページの6、不受理・不調事案に係る事後的な検証のところでございますが、先ほども申しましたように、不受理事案は今のところございませんというところです。

 大体、資料に基づいたお話は以上でございますが、とにかく我々としては、相談室の陣容が大変に、残念ながら貧弱な状況ではございますが、人数が少ない分、お互いの知恵を出し合いながら、より正しい、そしてまた、公平な判断ができるよう、そして和解に向けて一生懸命努力するように、その辺を心がけながら運営しております。

 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。

 続きまして、FINMACの三森委員、よろしくお願いします。

○三森委員
 証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACの三森と申します。よろしくお願いいたします。

 私どものあっせんにおけます紛争解決に向けた取り組みにつきまして、主要な点に絞りまして、ご説明をさせていただきます。

 お手元の資料、70ページをご覧いただきたいと思います。2.の紛争の実態や当事者の主張の把握のところでございます。

 一番上の①の真ん中のあたりに書きましたが、私どもFINMACにおきましては、あっせんの手続を行う前の段階で、その顧客からの苦情の対応を行うことになっております。この苦情の段階での過程で、私どもFINMACの相談員が顧客、それからそれを取り次いだ先の事業者から、それぞれから事情聴取をするわけですけれども、そうした聴取した内容を記録しました苦情相談記録書というものを作成いたします。紛争解決委員には、制度に則って、当事者から申立書や答弁書が提出されるわけであります。それを当然、紛争解決委員にお渡しするわけですけれども、それだけではなくて、この苦情相談記録書も事前に提供いたしまして、紛争事案の詳細、かなり重なる部分は多いんですが、内容ですとか、これまでの当事者の双方からの事情聴取の内容なども把握をしております。その上で、さらに必要な証拠書類があるのか、あるいはあっせんでの事情聴取で確認すべき重要な部分は何か、こういったことを検討して、あっせん期日当日におきましては、より的確な事情聴取を行うように努めているというところでございます。

 その下の③の箱になりますけれども、事業者からは今、答弁書と申しましたが、答弁書と一緒に事業者側から証拠書類等が提出されることになっておりまして、紛争解決委員におきましては、この証拠書類等を確認の上、さらに追加の資料が必要な場合には、事業者に提出を依頼するということになっております。できるだけ事案の内容や、その当事者の双方の主張を詳細に把握することで、その中から解決につながる糸口を手繰り寄せまして、和解に向けたあっせん手続が円滑に進むように対応しているところでございます。

 続いて、次の71ページをご覧いただきたいと思います。当初、当事者間の主張が乖離している、隔たりがあるというケースにおきましても、紛争解決委員におきましては、あっせんにおきまして事情聴取を重ねまして、和解につながるのではないかと思われるような糸口が少しでも見えれば、その点について紛争解決委員としての見解を示して、当事者の得るべく事情聴取、そして意見も聴取を繰り返し行いまして、和解に向けて粘り強く協議を重ねております。多くの場合、あっせんの開催は1回というのがほとんどですけれども、ケースによっては複数回開催をするケースもございます。

 そのような努力をした上でも、それでも和解が困難と思われる事案も現にございますが、その場合には、できる限り申立人に、その理由をわかりやすく丁寧に説明をしまして、もちろん申立人、顧客側の反論も丁寧に聞きながら、できるだけ納得感が得られるように努めております。

 やはり、あっせんは裁判とは異なりまして、証拠の積み上げだけが全てということではございませんので、当事者双方がお互いに譲り合う、歩み寄ることで、紛争解決を目指すという点がベースにございます。このお互いに譲り合う姿勢を当事者双方から引き出すための工夫としまして、やはり丁寧でわかりやすい説明を粘り強く繰り返すと。そして当事者からの理解や納得感といったものを得るように努めることが大事ではないかと思っております。この点は今後とも重要視して取り組んでまいりたいと思っている次第でございます。

 私からは以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。

 それでは最後になりましたが、日本貸金業協会の遠藤委員、よろしくお願いいたします。

○遠藤委員
 日本貸金業協会、本日から出席させていただきました遠藤でございます。どうぞよろしくお願いします。

 資料79ページからでございます。まず79ページ、最初に書いてございますとおり、27年度以降、相談解決委員からの指示等々についてはございませんので、これから説明をさせていただきます。

 まず1番目の不受理判定でございます。80ページでございます。以前にも申し上げたとおり、私どもの業務規程の中に不受理という規定はございませんので、今まで不受理という手続はございません。ただし貸金業に係る不満足の表明のある事案につきましては基本的に受け付けるということで行っておりますので、不受理か否かの判断するものについては、今のところ、ございません。ただし、貸金業務に係る事案で微妙なケースというのはございます。事務局により判断をせず、顧問弁護士に照会いたしまして、この問題が紛争解決手続で対応可能なのかどうかの回答を求めたものもございます。

 その中で1つでございますが、住宅金融支援機構から貸金業者が債権譲渡を受けた際、その債権に係る紛争の事案につきましては、顧問弁護士と相談をいたしまして、照会の結果、これは紛争手続を対応しても構わないという内容になりましたので対応したという事案はございます。

 次に81ページでございます。紛争の実態や当事者の主張の把握でございますが、ほとんどの事案で聴聞を当然ながら実施をさせていただいております。申立人から事実関係を詳細に聴取した上で、申立人の事実関係の主張に矛盾がないかどうか、紛争委員が検討し、相手方業者の聴聞も実施をし、相手方の主張との溝がどうしても埋まらない場合、そういう場合には申立人に対しまして、自らの主張を立証するための資料を具体的に示した上で、その提出を求めさせていただいております。

 次に、不受理判定がないということを申し上げましたが、業者に違法性がなく、以前も申し上げたと思いますが、感情的な申し立てにより業者が対応困難な事例も、やはりございます。そのために、申立人に対しましては、立場をしっかりと考慮し、なるべく聴聞での聴取を充実させ、申立書以外の主張書面は求めないようにしながら、申立人への負担をかけないように、納得感を得るような対応をさせていただいております。

 次に聴聞または聴聞期日以外でも、紛争委員に必要な証拠等々につきまして検討を依頼し、申立人に対しましても立証責任のある場合でも、申立人の感情や状況を配慮し、極力負担をかけないように相手方にその提出を求めるようにしているところでございます。

 次に82ページでございます。手続に関する納得感への配慮でございますが、申立人の主張そのものが法律上成立しがたい場合には、法律上の根拠を示し、丁寧にわかりやすく、極力専門用語は使わないようにして、その内容について説明をし、考慮しているところでございます。

 証拠不足のため、申立人に有利な事実認定が困難な場合などでも、どの事実の認定ができないのかを説明した上で、追加の証拠提出を求め、それがなされない場合には、紛争手続には裁判所のような本人ないし承認尋問の手続がございませんので、わかりやすく丁寧に説明し、訴訟の手続などもこちらからお示しするということもございます。

 次、82ページでございますが、可能な限り和解案を柔軟に指示するということでございます。紛争解決委員の認識している訴訟等々の「相場感」や委員の心証、それから訴訟での争った場合の敗訴などのリスク等を示した上で、当事者双方に中間的な和解を勧めております。

 今のような対応のほか、申立人の請求が法律上認められない場合であっても、申立人の利益を考慮して、直ちに手続終了とはせずに、請求外の法律関係に係る和解成立を模索するなどをしております。

 その中で、業者に対しまして債務の不存在請求に関し、不存在の主張が認めない場合であっても、残債務の返済方法に関する和解なども検討するというような話し合いなども持っているところでございます。

 次に84ページでございます。特別調停案の有効活用というところでございますが、特別調停の指示、提示につきましては、過去発生しておりません。不調事案などでは法的な主張ではないために、相手方で対応困難なことが多く、訴訟に移行した場合の問題点なども詳細に説明し、申立人の理解に努めているところでございます。また、申立人の状況に応じましては、やはり専門家、法テラスなどの相談を助言するということもしているところでございます。

 次に、先週でございますが、6月14日、総会がございまして、年次報告書、それからホームページなどに、私どもの相談・苦情・紛争解決の状況などを公表させていただいているところでございます。現状では紛争解決事案の事例を抜粋して公表しているところでございます。今後、特別調停の事案の的確な情報を提供する場合が発生しても、年次報告書などを活用して公表の手続を可能にできると思っているところでございます。

 次に85ページでございます。不受理・不調事案にかけた事後的な検証・評価でございます。不調事案等は相談・紛争解決委員会への、当然ながら手続事案の進捗状況の報告を行っているところでございます。委員会とは別に、委員会の委員長及びオブザーバーなどにも、この内容についての検証をいただいているところでございます。

 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。

 それでは、これで各指定紛争解決機関から一通りご報告をいただいたところでありますが、今のご報告あるいは先ほどの事務局の説明についてのものでも結構ですので、ご質問あるいは、このより柔軟な紛争解決に向けた取り組みという観点から、委員の皆様方のご意見を頂戴できればと思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。どうぞ、お願いいたします。

○坂委員
 ご報告ありがとうございました。私の方から、まず質問を2点ないし3点させていただければと思います。事務局の説明資料の①にもありますとおり、この「和解に至らないことが明白である場合を除き、両当事者の和解に向けて努力することが適当」ということが言われ、より一層の柔軟な紛争解決ということが言われているわけですけれども、想定されている典型的な場面の一つとして、投資商品、金融商品についての勧誘について問題があり、そのトラブルになっているというケースがあると思います。商品でいいますと、おそらく外貨建ての保険ですとか、あるいは投資信託、こういったものがかなり多く最近もトラブルになっており、ADR等にもかかっているんじゃないかと承知をしております。

 これらの案件については、基本的には適合性の原則ですとか、あるいは説明義務。説明義務についても、特に顧客に理解ができる説明がされていたのかどうなのか。こういった点が論点となるケースが多いと思います。

 こういった案件について申請人、それから事業者双方の説得といいますか、和解に導いていくためには、紛争解決委員の方で、できる限り実態把握を図るということが非常に重要なポイントとなるのではないかと思います。実態把握のためには、こうした案件においては、申請人の取引歴ですとか、資産状況を確認した上で、事業者から客観的な資料の提供を得るということが非常に大事だと思います。

 具体的には勧誘資料ですとか、あるいは適合性の確認の書面ですとか、あるいは事業者の接触履歴ですとか、あるいは録音、こういったものが提出されることによって、紛争解決委員の方では、どういった事実主張の紛争といいますか、食い違いに幅があるのかということを知ることができますし、また、案件の具体的な中身を、かなり深く検討することも可能となっていくということであろうと思います。

 今回のこの金融庁さんからの質問の中では、資料2-2の中で、Ⅱの2の③のところで質問されている事項かと思うんですが。この中で、こういった資料提供についてどうですかという質問をされていますが、少し各機関において回答がわかりにくいところがございます。なので、この種の事案で関係するのは、全銀協さんですとか、あるいは生保協会ですとか、FINMACさん、ここらあたりの機関が関係するところかと思いますけれども、こういった機関で、勧誘資料ですとか、あるいは適合性の確認書面、それから接触履歴、録音、こういったものの提出を求めているのかどうなのか、提出、実際されているのかどうなのかということを、多分されているんじゃないかと思いますが、確認をしたいと思います。

 それからもう1点。次に、より柔軟な紛争解決の内容について少し理解を深めたいと考えておりまして、この点について、ご教示いただければと思います。
 1つは生保協会さんの方で、資料の中では29ページですけれども、柔軟な妥当な解決に向けたチェックリストというものを作っておられるとご回答いただいております。このチェックリストの具体的な中身について、少しご教示いただければと思います。

 それから全銀協さんの方では、9ページのところに利用者目線から見て一般的に求められる業務遂行かどうかという観点から判断するといったことが述べられているんですけれども、こういった利用者目線から見て一般的に求められる業務遂行かどうかという視点から判断をした具体的な事例といいますか、どんな検討といいますか、結論を導いているかについて、二、三教えていただければと思います。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございます。2点ご質問がありました。私の理解したところでは、1点目は全銀協、生保協、FINMACを主としてということで、2点目については生保協会と全銀協についてご質問であったかと思いますが。

 それでは恐縮ですが、まず全銀協の方から、阿部委員、お願いいたします。

○阿部委員
 ご質問ありがとうございます。最初の質問は、提出書類の中で業者側の方が確認書類とかやりとり、当日のメモみたいなものを提出しているかというところがあるのですが、これは基本的に提出しております。それは、銀行の方は当時の日誌というものがございますので、それを端的に答弁書に要約して提出される銀行もあれば、評価なんかの形で提出される銀行さんもあります。

 問題は、その確認書というのは、いわゆるお客様がそのリスクを理解したかどうかというチェック項目を含めたものでありまして、それも提出しております。

 これは大体の事案では出てくるのですが、問題は、その評価でありまして、紛争事案になりますと、お客様のご主張が銀行の提出する答弁書と大体乖離があるわけですね。説明して合った、合わないとかも、1個1個違ってくると。

 こういう場合は、じゃあどうなのかというところですけれども、委員としては、書面に書いてあることがそのまま何か強い事実になるかという見方はあまりしないで、お客様の当時の状況を聞いて、本当にどうでしょうか、本当に説明あったんでしょうか、こういう資料を持ったのでしょうか、渡されたのでしょうか、どう説明されたんでしょうか、こういった質問をしていくと、必ずしも銀行が提出しているものと合っている部分と合わない部分が出てくると。そこの指摘のところを、この銀行にかわってもらって、どうもここら辺、共有認識ができていないようですねという形で問題指摘に結びつけていく。あるいは確認書であれば、チェック項目のところも、じゃあどうやって、どういう経緯で、これをチェックしたのでしょうかねということで、まさにそこのヒアリングですね。

 ですので、さっきも物証に重きをあまり置いていないと申し上げたのは、そこはベースにはあるんだけれども、結局そこの販売担当者の実態を対面で聞くときもありますし、間接的に聞くこともありますけれども、そことの問題指摘がないかというところが委員の努力かなと思っております。

 そして私どもとして3番目の質問で、利用者目線からして一般的に求める業務遂行であるかということであります。これは非常に重要なところでございまして、銀行としても各行内ルールに基づいた販売達成方法に当然基づいて販売していますので、そこから大きく逸脱した売り方としては、基本的にない事案がほとんどであります。

 ただ、先ほどお話に出てきております外貨建ての商品に対して、為替リスクについて説明をいたしましたと、こういう事実があります。それをお客様側からすると、非常に高齢な方は比較的多いんですけれども、さて、この説明でおわかりになりますかと。非常に細かい字で書いてありますけれども、どういった説明があったんでしょうか。お客様も、いや、聞いていないと言うわけですね。銀行の方は、こうやった。じゃあ、お客様、高齢者がわかりやすい説明ってどうしたんでしょうかと。お客さん目線で質問したときに、そこは行内ルールに基づいてとなるんですけれども、お客様、もう少しゆっくり、一つ一つ質問しながらやったほうがいいんじゃないかなということを、お客様の立場、目線に立って、より踏み込んだ説明を求められたのではないかとか。

 あと外貨建てであれば、これもクーリングオフの事案というのはあります。クーリングオフにつきましては、外貨建て商品の場合は、クーリングオフをしたら外貨で戻ってくる。そうしますと為替リスクが発生しますね。そうすると当初、円でやったものと少ない額が戻ってきたと。その説明は確かに書いてあるんですけれども、じゃあお客様、一般論として、クーリングオフしたときに、この円と外貨で、自分が出した円がそのまま戻ってくるのがクーリングオフじゃないかと、こういったお客様の声がある場合に、じゃあ、より踏み込んで、その利用者に対して、もう少しそこの為替リスクとして踏み込んだ説明があるんじゃないですかというあたりを、一般目線でということ、一般的にという言い方をしていましたけれども、そういう見方で委員が指摘をしているということでございます。

 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。それでは生保協の酒巻委員、お願いします。

○酒巻委員
 ご質問のございました外貨建ての保険に関するトラブルでございますが、まず、例えば募集資料ですね。具体的には保険商品の提案にあたって確認をまず求める書類、それから設計書、契約概要、注意喚起情報、意向確認書、こういった一通り必要なものは全て提出を求めます。

 それから適合性の確認書も、もちろん求めます。それから社内の高齢者ルール、こういったものも全て求めますし、適合性確認書に関連しては、当該銀行あるいは証券会社等における取引履歴ですとか資産の状況を、どのように把握して、どのように認識していたか、そういった書類は全部求めます。そういったものを事前にチェックして、漏れがないように求めた上で、募集人、実際に募集に携わった方の事情聴取を行うわけですけれども、その中で、具体的にどの資料を使って、どのように説明したのかを再現してもらうような形で確認をいたしますし、例えば意向確認書であれば、どのようにして意向を確認したか。そういうことを全て、具体的にどのようにして行ったかということを事情聴取の中で確認するようにしております。

 あとは募集時の録音記録というのは、あまり提出を受けたことはないんですけれども、一般的なのは、そのときの記録として、銀行なり証券会社で保管している文書全て出してもらう、そういう形にしております。

 それから2つ目のご質問でございますけれども、より柔軟な解決に向けてのチェックリストでございます。10項目ぐらい、必ず事案ごとにチェックするようになっているんですけれども、一部ご披露させていただきますと、例えば柔軟な解決の糸口となる個別事情の把握に努め、それを踏まえた積極的な和解提案を行ったかどうかということで、具体的には保険会社側の不適切な対応としましては、募集時における説明不足、ご説明、意向把握の不十分さ、適合性に欠ける商品提案、事務取り扱いなどの支払いルールの不遵守とか、こういうことを全てリストに載せておりまして、そういうことを漏れなく確認したかどうかというのをチェックするようにしております。

 また、約款を形式的に適用すれば保険金、給付金等の支払いができない場合であっても、募集時や契約保全手続時、あるいは支払い手続時における募集人担当者や会社側の対応を考慮する。要するに、誤説明とか不適切な対応とか、そういったものがなかったかどうかと、そういったことを確認をすると。

 また、入院給付金とか手術給付金等の支払い請求に係る事案については、必要な医事照会機関への照会等を確実に行った上で結論を出したかとか、そういう形で10項目ぐらい、和解に向けて我々がチェックすべきと思われる項目を羅列しておりまして、個別の事案ごとに、漏れなくそれらの事項を行ったかということを確認している、そういう形になります。

○山本座長
 ありがとうございました。それではFINMAC、三森委員から。

○三森委員
 私どもFINMACも同じでございまして、事業者側の方から答弁書を提出いただく際には、あわせて証拠書類を提出いただいております。先ほどもお話のありましたとおり、証券会社の場合は通常、顧客カードと言われておりますけれども、そのお客様の属性が書いてある資料でございます。顧客自身が申告をするということで、知識や経験が記載がされていて、あるいは資産状況といったものが書いてあると。そういったものを提出をしていただきます。それから取引に関しての確認書も提出をいただきますし、特に一般的に多いのは、取引の履歴が記載されておりますけれども、金商法で求められております顧客勘定元帳といった帳票については、多くのケースで提出をいただくということになっております。録音につきましても提出を基本的にはいただいております。

 適合性の話がありましたが、どちらかというと録音の場合は、比較的、苦情段階でも当然そういった検証をさせていただくことがありまして、提出を求めたりするんですけれども、売買取引の苦情の中で、わりと多く見受けられるのが無断売買という。要は、顧客は売り買いをした意思がないんだけれども、後日、取引をしたということで取引報告書が自宅に送付されてきたということに関しての苦情につきましては、やはり、いわゆるそういった注文を発注したかどうかというところを押さえる証拠書類というのは非常に有効ではないかなと思っております。

 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。今のご説明。どうぞ。

○坂委員
 ありがとうございました。今お話ありましたように、資料の提供はいただいているということなので、是非、そういった客観的資料をきちんと確保した上でご審議をお願いしたいんです。

 全銀協さんの方からちょっとあったかと思うんですが、その資料をどう見るかということ、多分どう評価するかということは非常に難しいところだと思います。特に金融機関さんの方で作成される接触履歴なんかは、基本的には金融機関さん側で作成されるものなので、やや、ある意味、そういった性格の文書であることを見ながらということが必要になると思いますし、他方で録音というのは、当時のやりとりがそのまま残っていることになりますので、これは資料としては大変重要な資料ということになるのではないかと思います。

 是非、そういった資料の把握の仕方等も含めて、深度のある事実把握、実態把握をお願いできればと考えますし、また、今日のテーマになっております有識者による不調事案の検証というところでも、是非そういった深度のある事実把握等が十分できているのかどうなのかということも含めて、ご検討いただければと思っております。

 そういった中で、この一覧表を拝見しますと、具体的な事案の個別の事案について検討されている機関もありますが、そうでない機関もあるんですが、やはり不調事案の個別的な検討が必要ということになろうかと思いますので、実施をされていない機関については、是非そういった取り組みをお願いできればと思います。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。

 それでは、ほかに。どうぞ、森下委員。

○森下委員
 ありがとうございます。まず、ちょっと感想の点もありますけれども、お話の中で、例えば全銀協さんですとか、あるいは少額短期保険協会さんの方から、要は合意しなかったとしても利用してよかったと言ってもらえるような手続であることは非常に重要であるというお話がありました。それは本当に重要なことであって、結果的に和解の件数が高まること。それも大事かもしれませんが、利用していただくことによる満足度が高いということが、どちらかというと、もっと大事なのかなという印象を持っております。

 そういった観点から、損保協会さんで利用者アンケートをとられて、8割の方が非常によかったという評価をされたというようなことだと思うんですけれども、こういった利用者アンケート、実際に使われてみて不調になったかどうかに関わらず、例えば、本当によく話を聞いてもらえたのか、あるいは委員の方から創造的な柔軟な働きかけがあったのかとか、そういうようなことに関しても常にお聞きになられているのか。どれぐらい手間がかかるかはあるんですけれども、もし可能なのであれば、そのような形で、例えば、利用者の方に積極的にアンケートなり感想を聞いていき、そういった結果をチェックのツールとして利用していくというのは、1つ考えられる方向かなと思いましたので、可能であれば、損保協会さんのご経験などを踏まえながら、ちょっとお感じになられるところを教えていただければと思います。

○村田委員
 利用者アンケートということで少し、先ほどはパーセントしかご紹介していなかったんですけれども、どんなところを聞いているかというところを幾つかご説明させていただきますと、例えば、手続の期間についてはいかがでしたかとか、手続の終了までの流れについていかがでしたか。おおむね想像どおりだったとか、ほぼ想像どおりだった、こういったところ。あと、申立書の記入例はわかりやすいものでしたか。これは先ほど紹介したところでございます。あと、申立書以外の提出依頼の案内はわかりやすいものでしたかとか、こういった手続のポイントポイントに絞って、どう感じられたかというところを聞いて、ご回答いただいているところでございます。

○森下委員
 それは常に全ての利用者の方にお聞きになられているものでしょうか。

○村田委員
 そうですね。回収率につきましては100%ではございません。まず、回収状況としては、申立人の方からは30%ほど、保険会社からにも求めていますけれども、78%ほど。これが直近のところでございます。

○森下委員
 ありがとうございました。そういうアンケートの項目を工夫していく際に、今日の資料の項目でも、例えば実態把握ですとか、あるいは柔軟な和解案の提示ですとか、そういうようなこともありますので、やはり、ご負担との兼ね合いもあるかもしれませんけれども、そういう不調の確率を低くするために資するようなアンケートなり、利用者の実感というものを酌み取っていくと。そして、それは例えば有識者会議などでの検討に役立っていくということがなされるといいのかなというような感想を抱きました。どうもありがとうございました。

○山本座長
 ありがとうございました。

 どうぞ、田中さん。

○田中委員
 関連するところもありますので、すみません、続けてさせていただきます。資料のご作成、皆さん、どうもありがとうございました。大変だったろうなと思っています。

 今のところの関連なんですけれども、先にご質問としては、先ほど生保さんのチェックリストと、あと全銀協さんのご質問は坂先生と共通しているところですが、例えば、過度な要求を判断するような場合、または一般的に求められるというようなお話がありましたけれども、そこのガイドライン的なものは、どの程度、業界というか、団体として、機関として、考えられているのかなというところでした。

 ここから少し感想になりますけれども、ADRが訴訟と違うというところがとても柔軟的で魅力的なものであるところを打ち出しているというところは間違いないと思うんですが、そこの部分を書面等の証拠等じゃないものでADRとして柔軟に解決するとはいえ、利用者から見ると、そこがどうなっているのかなというのが一番不安なところなのかなと思っています。

 なので、例えばそういったガイドライン的なものがあれば、チェックリスト等も共通しているかと思いますけれども、教えていただきたいというのと、それに伴いまして、ニュースレター等で事案等は公表されているということでしたけれども、そういったガイドラインや、あるいは書面のサポートの仕方を、私たちはこうしていますよという、それは全部の機関にも当たると思いますが、いうところを、ADRとしての柔軟な解決に対する取り組みを利用者に対してどれだけ公開しているのかというところを、それぞれ。今日でなくても結構ですので、もしご回答がまとまれば、ご回答いただきたいなという点が1点です。

 あと感想のところで3点目なんですが、何か資料を拝見すると、互譲とか、円滑なコミュニケーションとか、そういった言葉がとてもひとり歩きしているような印象を正直受けました。まさしくここがADRの真髄というところだと思うんですけれども、業界というところでは業界的な考え方とか、慣例というものが業界の中であって、それが利用者にとって一番わかりにくい部分。幾ら見ても、そこが、書いてあることは書いてあるけれども理解ができないという部分が多いのかなと思っています。

 例えば訴訟リスクというところにお話になるにしても、業界に対して訴訟リスクを話すことはとてもわかりやすいと思うんですけれども、利用者に対して訴訟リスクを話すというのは、ある意味、脅し的なものに受け取られがちなときがあるんじゃないかなと思っています。

 その意味で、互譲や円滑なコミュニケーションというところを、言葉尻をとらえるようで申し訳ないのですが、それぞれの機関の研修なども含めて、どのように取り組まれているのか。あくまでADRという中立的な機関で、業界寄りじゃないというところを、利用者に対してわかってもらう、そのコミュニケーションのとり方を、どのように機関として構成されているのか、努力されているのかというところを、次の機会でも構いませんので、教えていただければと思っています。

○山本座長
 ありがとうございました。2点ご指摘がありました。次の機会でもということですが、もし今日の時点で何かお答えいただけるところがあればと思いますが。それでは阿部委員。

○阿部委員
 前半の方は、ちょっとあれですけれども、後半の方の円滑、互譲のあたり。ADRは、こういう柔軟な解決をしているんだよということを利用者にどうアピールするのかというのが、前回も消費者の委員も申し上げておりましたけれども、非常に重要なことでありまして、我々、何が困っているかというと、業界としてADRをつくっても、どうせ業界寄りじゃないかと、そういうイメージがあると。一方で利用していただいた皆様からのアンケートを見ますと、良かったというのが当然多くなるんですけれども、どうやってこのアピールをしていくかということを、我々も課題として思っております。

 例えば全銀協で考えているのは、お客様向けのADRのパンフレット、リーフレットを、よりわかりやすいものをつくって配付しようかなというのを今検討しているんですけれども、それが1つあります。あと、ホームページなどでは、東京都の消費者委員のコメントを、ADRの評価を載せてもらったり、うちのあっせん委員長の中立公正ですよとうたって出してはいるんですけれども。ホームページはなかなか限界あるので、これ非常に重要であり、かつ難しい課題かなと思っていますが、前向きに是非取り組んでいきたいと思っております。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。ほかの機関は。どうぞ。

○樋山委員
 今日、それぞれの柔軟な紛争解決に向けた取り組みということで、いろいろな事案を公表していただきまして、皆さん、いろいろADRの解決に向けて、たゆまぬ努力をしていらっしゃるということがよくわかりまして、ありがとうございました。

 中でも開きが大きいというようなところで着地点を見つけるために、和解に向けて粘り強く歩み寄るというような姿勢が、この資料の方から十分感じることができまして、その姿勢に対して敬意を表したいと思います。

 ただ1点、今気になっているところがございます。というのは、金融資産の大半を所有している高齢者のご相談が、実は私どものような消費者センターに非常に多く入っております。特に昨今は、外貨建ての保険などのご相談が多く、まさしく阿部委員がおっしゃっていたように、外貨で返ってきてしまうので、円転すると損してしまうというところも理解されていない方がいらっしゃいます。そして、今まで預貯金しかしてきていない高齢者が為替リスクというものを理解するのも、すごく大変な状況です。そして、どちらかというと80歳前後の方に売っておられる方が多いので、この商品自体、非常に難解で、なかなかご理解いただけないのではないかと考えておりまして、そうした場合に、ご本人は何が何だかわからないので、ここがわかりませんとか、ここに問題がありますという主張ができないんですね。

 そうすると家族が、父は全然理解していません、母は理解していないんですけど、ここどうなんでしょうねというお話になるのですが、私どもの方であっせん不調になった場合、ADRさんにお願いしたときに、本当にこの方、申立書を書けるだろうかとか、そういうことが非常に不安になってまいります。そういった場合に、今、後見制度があまり世の中で機能していないというところがございまして、どうしてもそういったような高齢者の商品を全く理解していないケースについては、家族とか、誰か代わりの方が、その高齢者がおっしゃりたいことを、申立書とか、面談のときとか、そういうときに一緒に補佐してあげるというような何か仕組みがあったほうが、多分その高齢者がどんなことを考え、どんなところが勧誘方法がまずかったというところがあぶり出されてくるのではないかなと感じることがございます。家族といっても、本人と家族と意見が違う場合なんかもございますので、なかなか難しい点は重々承知しておりますが、やはり高齢者お一人では、なかなか申立書とか、いろいろなものをやっていくことが難しい部分がありますので、そこをどういうふうに家族とか周りにいる人、地域包括支援センターとか、いろいろなところがあると思うんですが、そういうところが支え合いながらADRを利用していけるのかという観点が1つ重要になってくるのではないかなと思いまして、そこら辺をいろいろなADRの方たちが情報交換をしながら、1つモデルケースみたいなものを考えていただければ大変ありがたいなと思っておりますので、これはお願いです。どうぞよろしくお願いいたします。

○山本座長
 ありがとうございました。以前、本協議会でも議論になった高齢者対応の問題というのは、まさに待ったなしの状況だと思いますので、貴重なご意見であったかと思います。

 ほかにいかが。犬飼委員、どうぞ。

○犬飼委員
 今回、皆様にご作成をいただきました資料2-2ですね。ほかの委員の方々からも出ておりましたけれども、本当にご苦労さまでございました。大変にすばらしい資料をお作りいただいたと思っております。感謝申し上げます。

 そこで、先ほど田中委員の方からも少しご指摘はあったんですが、訴訟リスクの顕在化にどう対応するかという点の記載でございますけれども、各団体さんの記載を今ざっと拝見をいたしまして、例えば銀行協会さんですと資料2-2の6ページ、7ページ、信託さんですと18ページ、その次が28ページ、39ページ、保険オンブズマンさんですと51ページ、52ページ、少額短期さんですと63、64ページ、あと73ページ、84ページということで、それぞれ記載をされておられます。

 それで、この訴訟リスクの問題について、私自身も数回前のこちらの場で、いろいろと議論をさせていただいた記憶がございますけれども。銀行協会さんが、このご説明の中で、本当に非常に適切にご指摘をされておられますけれども、ちょっと読ませていただきますと、訴訟リスクが顕在化するから問題なのではなくて、業者側があっせん案を拒絶する理由が正当なものであるかどうかの判断が重要であると。まさにそのとおりでございまして、要するに、突然、訴訟するよということをブラフとして使うことがないようにというのが非常に重要なポイントではないかと思っています。

 それで、この訴訟リスクの説明の方法も、単に説明するということではなくて。もちろん、ほとんどの業態さんで、そういう問題はありませんと書いてございますので、そのとおりかと思っておりますけれども、過去、非常に嫌な例があったということをお聞きしておりましたものですから。こういう問題については、いわばイギリス型の完全な片面的仲裁合意がある世界ではなくて、日本では憲法上の裁判を提起する権利というものが金融機関にももちろんあるわけですから、そういう面で、完全な片面的仲裁合意ではなくて、部分的な片面的仲裁合意としての特別調停案というものが日本に導入されているわけでございますけれども、それを逆利用するようなことをいかに防ぐかという観点が非常に重要であろうと。

 それについては、それぞれ皆さん、いろいろとご理解の上、こちらのレポートにも書いてはいただいていると思うんですけれども。銀行協会さんですとか、保険オンブズマンさんですとか、少額短期さんですとか、それぞれ具体的に、それを避けるための方法ということで書いておられると思って、それぞれ非常に説得的かなと思った次第でございますけれども、この問題についても引き続き皆様の中で相互に調整を図っていただいて、嫌な問題が、ブラフとして使われるような事態が生じないという方向性を目指していただけるといいかなと思っております。それが1点でございます。

 2点目は、少しポイントが変わって恐縮なんですけれども。いろいろな金融商品があるわけでございますけれども、ちょうど金融商品取引法施行10周年と。平成17年、2007年に施行されて10年が経って、当初、横断的な金融商品、金融サービス市場法制を目指すというのが、もちろん部分的に実現したということでございますけれども、こちらの金融ADRの対象になっていない商品があるのか、ないのかということで。

 例えば私の知る限り、イギリスなんかですと、クレジットカードについてはDTIですね。要するに経済産業省のようなところが主管していて、その後、オンブズマンの主管に変わったというのが、もう随分前になされておりますけれども。ご承知のように、クレジットカードというのはショッピングに使うことと同時にローンで使うのと2つあるわけでございますけれども、そういうものに関する金融ADRが含まれていないということなのかどうか。銀行系は含まれているのか、私、よくわからない部分もあるんですけれども。この際、金融ADRで取り扱うべき商品が十分な横断性を持っているのかという観点の検討も必要なのかもしれないなという感じがいたしております。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。第2点は制度的な話であったかと思いますが、事務局の方からご説明。

○佐藤委員
 事務局からご説明申し上げますと、クレジットカードについては、この金融ADRの対象に今現在なっていないと認識しております。これ、法制度自体がクレジットカード、もともとが、いわゆる割賦販売からスタートしたということもありまして、割賦販売全体について、割賦販売法のもとで経済産業省が所管しているということで、今のこの金融ADRの制度に入っていないというところでございます。

 ただ、今ご指摘がありましたクレジットカードですとか、あるいは最近いろいろなもの、新しいフィンテックの推進などに伴いまして、いろいろな金融関連の商品というのはどんどん登場しつつあり、また、おそらく今後とも登場していくのではないかと思っております。

 したがいまして、そういうところにつきまして、我々がそもそもの根底となる制度、例えば新しい商品ができたときに、どういうルールを導入していくのか。それは金融ADRの対象にするのがふさわしいのかどうか。そういうところ、非常に幅広い目をもって考えていきたいと思っております。

○犬飼委員
 ありがとうございました。大変に適切なご回答で、ありがとうございます。

○山本座長
 ありがとうございました。第1点でご指摘があった訴訟リスクの顕在化の問題も、私自身も、これ非常に重要な問題であると認識しておりまして、今回その特別調停案、不調後の利用者に対するフォローアップといいますか、法テラス等も含めたフォローの問題が提起されたということは非常に重要な点だと思っておりまして、各機関についても、ご配慮いただければと思っております。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○樋山委員
 ADRというところからは昨今、仮想通貨のご相談が結構たくさん入ってきています。今のところADRも何もありませんし、業界団体もしっかりしておりません。やはり、これ、もう全世界でとめられない動きだと思っておりますし、金融庁の管轄にもなっているということなので、やはり、是非仮想通貨についての業界団体、ADRみたいなものを積極的に考えていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本座長
 ありがとうございました。この点については先般、法改正がされた話をしています。

○佐藤委員
 仮想通貨につきましては昨年、法改正をいたしまして、資金決済法という法律の中に仮想通貨を取引する業者について登録が必要であると。またその中で、いわゆる自主規制機関の設立についても規定をしております。

 この法律が、今年の4月から施行されておりまして。ただ、一定の猶予期間がございます。すみません、今、私、正確に記憶していないんですが、たしか半年間の猶予期間中に登録を受けて、それで登録を受けた業者さんが中心になって業界団体、自主規制機関を作るということになっておりまして、今、私の知る限りでは、登録に向けて、いろいろな、私どもの財務局などに既に相談が開始されておりまして、さらに、その自主規制機関、業界団体の設立についても検討が進んでいるということで承知をしております。

 それは制度だけではなしに、実際に今年の秋以降、その制度が完全に施行されていく中で、我々のこの監督の面も含めまして、そういう仮想通貨の業者について不適切な行為がなされないように、また、自主規制とか、そういうかゆいところに手の届くような対応がなされるように、そこはまた、十分に注意を払っていきたいと考えております。

○山本座長
 ありがとうございました。このADRとの関係でも、さらに注視をしていく必要があるというご指摘であったかと思います。

 鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員
 ご説明ありがとうございました。各業界団体さんが十分努力なさっていることは理解しますし、今後も進めていっていただきたいと思うんですけれども。

 全銀協さんと生保協会さんにお伺いしたいんですが。私ども相談を受ける立場から見て、中央の方は十分ご理解なさっているんですけれども、各銀行さん、各支店さん、それで各生命保険会社さん、各支店さんになりますと、なかなかこの考えが理解されていなくて。ここにも利用者目線ということが書いてありますけれども、あっせん処理をしていく段階で、利用者目線に立っていないのではないかと思われることが多々あります。業界の常識があって、そこで推し進めていらっしゃるような姿勢が非常によく見られるんですが。

 こちらの全銀協さんの資料を見させていただきますと、利用者目線から見て一般的に求められる業務遂行であるかどうかという観点から判断しておりと、利用者目線が大切でありますよということが書いてあるんですけれども、それがどの程度、隅々まで行き渡っているのかということと、この業者については上記考え方について、全銀協、ADR研修会で周知徹底を図っているということなんですが、これが具体的にはどのように研修をなさっているかということをお伺いしたいです。

 生保協会さんにも、そのような取り組みはなさっているかと思うんですけれども、具体的にはどのようなことで進めていらっしゃっているのかということをお伺いできればと思います。

○山本座長
 それでは、阿部委員の方から、まずお願いできますか。

○阿部委員
 かなり、あっせん手続が始まって6年経ちますので、我々、こういう利用者目線から見た指摘事項というものを繰り返し繰り返し研修会でやっております。例えば投資信託、さっき高齢者の話が出ましたけれども、高齢者ルールがあるからいいというのではなくて、その方に属性に応じた説明。ゆっくり説明する、取り繕い反応に注意する、あるいは金融資産に注視、レ点についても十分に確認してからやりなさいと。そういった留意事項をまとめた資料を毎年作っておりまして、トピック的に、昨年であれば外貨建ての保険なんかをやるんですけれども、それを全国の5カ所で研修会を行いまして、指摘事項として説明しています。

 ここで重要なのは、当然、今おっしゃられたように、本部の方だけわかってもしようがないので、この内容をきちんと支店の方にも伝えていただきたい。ですから、銀行によっては、支店を統括するところも来ています。銀行さんもいらっしゃいますので、そこは全銀協としては十分注意をして、非常に現場に対して周知徹底を図るようにしてほしいということをしておりますので。まだそうではないというお話があるとすれば、もう少し粘り強く研修会で周知徹底を図っていきたいと思います。

 これはメガ銀行さんの話と、あと地方の銀行さんの、いろいろな経営方針の立場もありますので、違うところあるんですけれども。感覚としては、私どもの申し上げている利用者目線という、この研修制度については、極力徹底を図っているというのが、私どもとしての認識ではありましたけれども、さらに充実を図ってまいりたいと思っておりますので、もし何かありましたら、全銀協にご連絡をいただければと思います。よろしくお願いします。

○山本座長
 それでは酒巻委員。

○酒巻委員
 まず生保会社内での地方への徹底については、不徹底な部分があるというご指摘をいただきましたので、改めて個社を通じまして徹底をさせていただきたいと思います。

 あと、生保協会の対応といたしましては、生保協会、実は全国に、大体都道府県単位ごとに地方の協会というのがございまして、我々も全国の協会を回りまして、協会に所属する会社の苦情対応責任者、そういう方を集めまして、先週も行ってきたばかりなんですけれども、今こういうスタンスで苦情・紛争手続に当たっていますと。具体的には、こんな事案で、こういう和解提案していますとか、そういう話を繰り返し行っておりまして、そういう中で少しずつ徹底できているなとは思っていたんですけれども、不徹底な部分があるということであれば、そういう対応も含めまして、改めて徹底できるようにやっていきたいと思いますので、また何かございましたら、個別にご指導いただければと思います。

○山本座長
 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、田中委員。

○田中委員
 少し話題が1つ前に戻ってしまうんですけれども、金融商品の新しいものとして、クレジットカードは今回の中に入っていないということですが、銀行系のカードローンはいかがかなというのが、ちょっと思っています。そこの伸びが今、非常に高いという話は聞いているんですけれども、若者たちを中心なのか、高齢者なのか、わかりませんが、その辺が、これからいろいろトラブルも出てくるのかなという、ちょっと予想がつくのかなというところがあって、そこへの対応を1点教えていただきたいのと、あと、先ほどから高齢者のお話は出ているんですが、例えば発達障害のような障害者の対して、一般的に、ぱっと見た感じでは対応の仕方がよくわかりにくい。話していることが、例えば感情的な話がとても続くとか、話が繰り返してしまうとか、ちぐはぐしてしまうような方の障害者への対応というのを、高齢者と同様に。最近、私の実務からも、特にトラブルを起こしているような場合、そういう方が多いのかなと思うときもあるんですけれども、そういったことは実践的にあるのかどうかというのを、ちょっとお伺いしたいなと。数が多い、多分、全銀協さんと生保さん、損保さんあたりに、お聞かせいただければと思います。

○山本座長
 ありがとうございました。それでは阿部委員、お願いします。

○阿部委員
 最初のカードローンにつきましては、消費者ローンのくくりとして、28年度であれば179件の苦情がありました。多分、田中委員のご指摘は、今のいわゆる多重化。過度な貸し付けによる問題がADRに寄せられていないかというご趣旨だとすると、貸し過ぎであるとか、要は銀行系のカードが審査が甘くてという、そういったことの苦情はないんですね。むしろ審査が厳しいとか、返済に苦労しているというような類いのものでございますので、ADRに実際に来ている苦情は、今のテレビなどで放映されている悪質なものは来ていないというのが現状でありますが。承知のとおり、全銀協では、このカードローンの取り組みにつきましては、担当部署が担当していますけれども、3月に申し合わせを行い、そして過度な広告、あるいは販売体制の見直しを申し合わせており、アンケート調査をして公表していますけれども、引き続きADRと担当の業務の方と連携をとって情報共有を図っていきたいと考えております。

 もう一つ、2つ目の発達障害の方のお話であります。お寄せいただく苦情・相談の中で、確かにおっしゃるとおり、ちょっと契約するには問題がありそうな方に対して、結果的に販売をしてしまっているようなケースという苦情も全くないわけじゃないですね。ご不自由な方というのが結構いらっしゃいますので、そういう場合に、私ども苦情を受けましたら、銀行に取り次ぎまして、こういう状況を話して、まず個別対応していただくということが大切かなと思います。

 もしそこで、当然お一人では困難でございますので、ご家族の方と共同してご対応いただくなどのアドバイスはさせてはいただいておりますが、それほど、特に増えているとか、多いという感触は、今のところ持っておりません。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。酒巻、村田委員、何か補足。酒巻委員。

○酒巻委員
 発達障害の方については、これまで私が今この仕事を始めてからは、まだございませんでしたけれども、視覚障害の方などは事例がございまして、基本的には個別で、個々の状況を踏まえて対応するということでございまして、その視覚障害の事例について言いますと、申立内容を口頭でお聞きしまして、我々がそれをもとに審議を行うというやり方をさせていただきました。また、その結果につきましても、点字文書にしまして交付させていただいたと。そういう形で個別に、個々の状況に応じまして対応するというのを基本スタンスとしておりますので、今後、例えば、聴覚障害の方とかが、もしおられれば、手話通訳者を交えた対応するとか、そういうふうに個別に対応していく形で、できるだけきちんと対応していきたいと考えております。

○山本座長
 ありがとうございました。

 あと、よろしいでしょうか。どうぞ。

○阿部委員
 すみません。今の視覚障害に対しましては、全銀協も生保協会さんと同様でございます。極力、弱視の方にしろ、読みやすい資料を用意したり、手話対応を検討しているというわけであります。

○山本座長
 ありがとうございました。

 どうぞ、田中さん。

○田中委員
 すみません、私の説明の仕方が悪くて、ご質問の趣旨があまり伝わらなかったのかもしれないんですが、販売に対しても注意はもちろん大切だと思う中でも、特に、例えば人間関係が伴うような販売で、代理店とか、生保レディさんと人間関係が伴いながら販売するような、窓口ではないような場合に、そこのところがうまくコミュニケーションがとれないで苦情になるようなケースがあるんじゃないのかなという、ちょっと認識がありました。なので、苦情に上がっている中でも、例えば説明不足とか、そういったことで上がっているかもしれないけれども、背景にはそういうこともあるかもしれないというのを、どこまで業界や機関として、研修や教育の一環として、いろいろな特徴があらわれる方がいらっしゃって、そこにはきちんとした対応をしないとコミュニケーションがとれない、とりにくいような研修をどこまでやられているのかなというのが1点でした。

○山本座長
 ご意見としてお伺いするということで、よろしゅうございましょうか。

○田中委員
 はい。

○山本座長
 いかがでしょうか。そろそろ予定された……。坂先生、どうぞ。

○坂委員
 2点だけ、お願いします。

 1点は、先ほどの対象とする範囲の問題ですけれども、今回の国会で不動産特定共同事業法が改正をされて、小規模な不動産特定共同事業が、これから全国に広がっていくという、おそらく状況になると思うんです。そうしますと、こちらの範囲の問題になるのかどうなのか、よくわからないところもあるんですけれども、やはり紛争がもし起こったときには、こういったADRで解決するという体制も必要かと思いますので、そういったところにも目配りをいただけるかというのが1点です。

 それからもう1点なんですけれども。これは柔軟な紛争解決に向けた取り組みの、もしかしたら、ちょっと延長線上の話になるのかもしれないんですけれども、やはり個別の案件や全体のあり方を検討する際に、トラブルの原因分析というものを、是非お願いできないかなと思っております。これは個別の紛争の解決にあたっても非常に大事な視点かと思っておりますけれども、やはり、例えば勧誘経過に関する事実主張が大きく対立するということが1つ論点として上がったりしますが、そういった形で事実主張が大きく対立すること自体が検討の対象といいますか、改善のテーマとなり得るようなことなのではないかと思います。そういった少し広い視点をもって、是非ご検討いただければと思っています。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。

 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員
 最後に参考情報でございます。以前、私の方から柔軟な紛争解決の先輩格としまして、英国のフィナンシャル・オンブズマン・サービス、FOSのことを何回か、この場でお伝えしたことがあったかと思うんですけれども、ペイメント・プロテクション・インシュアランスとか、あるいはモーゲージ・エンドウメントというような名前の金融商品、金融サービスに関して、金融サービス利用者に英国内で大変な迷惑をかけたということで、その際に、私の方からは、学ぶべき相手と思っていた先輩格が、もはや反面教師になったのではないかというようなご指摘を以前させていただいたこともありました。その問題は依然として残っておるんですけれども、私、継続反復的にイギリスの同制度をウオッチしておりまして、やはり学ぶべきところは非常にたくさんあるなと今、思っております。

 先ほど来、皆様からのお話が出てきております、いろいろな事象を検討する際に、商品であるとか、その内容であるとかも含めまして、同国のFOSの制度を、さらにしっかり見ていただくというのが参考になるように思います。ホームページだけではなくて、スマホからも大変に見やすい内容になっておりますので、是非。フィナンシャル・オンブズマン・サービスの宣伝するわけじゃないんですけれども、非常に参考になりますので、見ていただければと思います。

 それと、彼らは完全片面的な仲裁合意が成立している制度でございますけれども、最終的なオンブズマン・デシジョンですね。ファイナル・オンブズマン・デシジョンについては、ほとんど例外なくだと思うんですけれども、それぞれのオンブズマンが各ケースの背景、いきさつ、どういう経緯で、どういうデシジョンをしたかというレポートを、もう数年前から蓄積しておりまして、大変な財産になっていると思います。そういうものも非常に参考になると思います。

 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。

 さまざまなご意見を頂戴しました。この不受理・不調事案に対する対応というのは、ある意味では、この金融ADRのアルファであり、オメガであると。私の承知している限り、この協議会の最初から、この問題というのは、通奏低音のように重要な課題であったと認識をしております。

 ただ、もちろんADRである限り、事案の100%を解決するということはあり得ないわけでありまして、一定の割合で、そういう不調等の案件が出ることは当然のことであります。ただ問題は、ADRで解決できる、あるいは解決すべき案件が解決できていないとすれば、そこは、やはり問題であると。

 したがって、この問題は、結局この具体の事案に踏み込んでいかざるを得ない問題で、そこは、これを検討するについて非常に難しいポイントであると思っております。

 かつて、この金トラ協では、委員の側から各ADR機関の方に出向いていって、個別の案件を見て、本当にちゃんと処理されているかどうかを検討したらどうかという、かなりラジカルなご提案も出た。それは無理だし、適当でもないだろうということで。

 ただ、この一種のPDCAサイクルを回すに当たって、各機関の方で、そこはご配慮いただくと。現在は第三者的な機関を設けていただいて、そこで利用者目線から適切な解決、解決されるべき事件が全て解決されているのかどうかをチェックしていただき、そこでのご意見を改善につなげていくということをしていただいていると認識をしている次第であります。

 今日も何度か出てきましたけれども、利用者目線というのは、このADRの命であると思われますので、それを基点にチェック、改善につなげていただくことが必要不可欠なんだろうと思います。そういう意味では、各ADR機関、特に不受理・不調事案が多い機関におかれては、このチェック、そしてそれに基づく改善を充実させていくための方策に引き続きお取り組みをいただきたいと思います。今後も、この問題につきましては、この協議会の、先ほど申し上げた永遠の課題というところでもありますので、おそらく次回以降も引き続き議論を続けていただければと考えております。

 私の不手際で、既にほぼ時間になっております。若干の延長をさせていただいて、残る議題である「金融サービス利用者相談室」の状況、それから「金融ADR連絡協議会」の概要につきまして、引き続き事務局からご報告をお願いいたします。

○橋本委員
 金融サービス利用者相談室長の橋本でございます。私の方からは簡単に28年度下半期の相談室の受付状況、これについてご説明したいと思います。

 お手元の資料の3-1と3-2は、相談等の受付状況等ということを具体的に記載したものでございます。これはホームページで公表しておりますので、説明は省かせていただきます。

 資料3-3をご覧いただきたいんですが、資料3-3は、相談件数の推移を四半期ベースで表したものでございます。一番右の方の数字として8,115と9,268という2つの数字があるかと思いますが、これが28年度の下半期の数字でございます。

 実は10月から12月のところは相談件数が増加しております。これは実は10月の犯罪収益移転防止法、これの改正に伴いまして、本人確認手続に関する照会が多く寄せられております。
 これに加えまして、実はNHKで、高齢者に対する投資商品の勧誘をテーマにした番組が放送されまして、その中で当相談室が紹介されたことから、一時的に相談件数が増加したということが要因でございます。

 逆に、その1月から3月期は、こうした特殊な要因がなくて、相談件数が減少傾向となっております。

 下半期に寄せられた相談の中で目立ったのは、今お話ししました犯罪収益移転防止法の本人確認手続に伴う相談とか、あるいは高齢者に対する投資商品の勧誘、こういったものに加えまして、高齢化社会を反映いたしまして、後見人とか代理人による取引、それから相続に関する取引、相談、こういったものが目立っております。

 また、4月からの登録制というのを控えまして、先ほどお話のありましたような仮想通貨ですね。これに関する相談・照会というのも多く見られております。

 なお、もう1枚の資料として3-4という資料ございますけれども、これは相談室における詐欺的な投資勧誘の資料でございます。具体的な説明は省かせていただきますが、減少したとはいえ、引き続き投資的な詐欺ではないかという相談が多く寄せられております。

 以上でございます。


○西原室長
 続きまして、金融ADR連絡協議会の開催状況につきましてご説明します。資料4の1枚紙にございます。

 本年3月には第10回、5月には第11回の連絡協議会を開催しております。第10回では、今回のテーマとも重なりますが、「不受理・不成立事案から見える紛争解決業務上の課題点」をテーマにしまして、本日、各機関からも報告いただいた内容などにつきまして討議をしたということでございまして、内容は省略させていただきます。

 11回としましては、紛争解決手続における指定機関側の課題点としていますけれども、主には紛争解決手続との連携の中で、苦情処理手続をより迅速に行っていくために、各機関での課題点といいますか、より一層これから増加が見込まれる案件等につきまして対応すべき問題、課題点につきまして討議させていただいたということでございます。具体的な例としまして、高齢者事案につきましては常に各機関とも、こういった社会状況の中で苦労しておられて、どのように解決を図っていくことがADRの目的に資するかという点につきまして、また、各機関の運営上の問題としまして、苦情相談員のスキルアップですとか、一部機関におきましては、苦情相談員のメンタルケア的な話につきましても意見交換をしたということでございます。

 私の方から説明は以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。ただいまの説明について、ご質問等ございますでしょうか。よろしゅうございましょうか。

 それでは、私の不手際で若干の時間超過になりましたが、本日の協議会はこの程度にさせていただきます。

 次回、第54回の協議会につきましては、本年12月、あるいはちょっと年明けにずれ込むかもしれませんが、詳細は追って事務局からご連絡をさせていただきます。

 それでは、本日はこれで終了したいと思います。いつもながら熱心なご議論、どうもありがとうございました。
 

(以上)

お問い合わせ先

金融庁総務企画局企画課 金融トラブル解決制度推進室

03-3506-6000(代表)(内線3516)

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