第55回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

平成30年6月27日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

○山本座長
 皆さんおはようございます。定刻よりまだ10秒ぐらい前かもしれませんが、ただいまから第55回金融トラブル連絡調整協議会を開催したいと思います。本日は、ご多忙のところ、またお暑い中、ご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 
 それでは、議事に入ります前に、まず、事務局から人事異動等に伴う委員の交代のご紹介をお願いいたします。

○西原室長
 事務局を務めます金融庁総務企画局企画課金融トラブル解決制度推進室の西原でございます。よろしくお願いします。
 
 それでは、人事異動に伴い、交代があった委員の方々につきまして、所属団体とお名前のみになりますが、ご紹介させていただきます。着席させていただきます。
 
 まず、指定紛争解決機関としまして、全国銀行協会金融ADR部長、西村様。信託協会事務局長兼信託相談所長、高桑様。生命保険協会生命保険相談所事務局長、高橋様。続きまして、消費者行政機関及び金融当局としまして、国民生活センター相談情報部長、保木口様。東京都消費生活総合センター所長、戸澤様。日本司法支援センター本部第一事業部情報提供課長、諏訪様。全国労働金庫協会法務部長、菅谷様。経済産業省経済産業政策局産業資金課課長補佐、髙津戸様。農林水産省経営局金融調整課経営専門官、鈴木様でございます。
 
 委員の交代は以上でございます。
 
 なお、交代ではございませんが、総務省におかれましては、本日荻原様が牛山委員の代理で出席されておられます。また、田中委員、森下委員におかれましては、ご都合により欠席されています。
 
 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、議事に入りたいと思います。本日は、まず資料1、これはいつものことでありますけれども、各指定紛争解決機関の業務の実施状況につきまして、事務局から概要の説明を受け、ご質問等がありましたら、お出しをいただければと思います。
 
 それでは、事務局からご説明をお願いします。

○西原室長
 それでは、平成29年度の指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、資料に沿ってご説明します。クリップ留めしております資料のうち、資料の1-1から1-3を用いますが、まず資料の1-3をご覧ください。横長の資料でございます。1-3の1ページ目でございます。苦情処理手続の受付件数を年度別に示しております。27年度以降、減少傾向にありましたが、29年度では8機関合計で7,234件、これは前年度でございます28年度に比べ13%減少しております。
 
 内容を機関別に見てみますと、全銀協、損保協会、FINMAC等で減少が見られます。このうち、全銀協とFINMACに共通して見られますのは、為替相場や株式市況の落ち着きにより、市場性商品関係の苦情が減少したこと。また、損保協においては、主力の自動車保険関係の商品を含めて、全般的には減少していると聞いております。また、全銀協においては、先ほどの市場性の商品のほか、住宅ローン等の苦情も減少していると聞いております。
 
 次の2ページ目でございますが、これは苦情処理手続を終結した件数を年度別に示したものです。29年度では8機関合計で、7,341件。前年度でございます28年度に比べまして12%減少しています。
 
 次の3ページ目は、苦情処理手続を終結した件数から、為替デリバティブ事案を除外した件数を示したものです。2ページ目とほぼ同様の傾向ですので、詳細については割愛します。
 
 4ページ目でございますが、これは苦情処理手続における結果の比較でございます。右の円グラフが29年度の状況でございますが、約7割強ないし8割弱が解決ということで、左側の28年度とほぼ同様の傾向となっております。
 
 続きまして、5ページ目をお願いします。これは2ページ目の苦情処理手続の終結に要した期間の比較でございます。右側が29年度の状況でございますが、左側の28年度と同様に、全体として合計で約7割が、申し立て後3カ月未満で終結しております。依然としまして、大きな変化は見られないということかと思います。
 
 続きまして、6ページ目でございます。これは紛争解決手続の受付件数の年度別推移を示したものです。27年度、28年度においては、やや増加傾向も見られましたが、29年度においては、苦情処理受付件数の減少もございまして、8機関合計で1,091件。これは、前年度の28年度に比べ14%の減少となっております。機関別で見ますと、1ページ目の苦情受付件数と同様、全銀協、損保協、FINMAC等で減少幅が大きくなっております。
 
 7ページ目でございますが、紛争解決手続を終結した件数を、年度ごとに示しております。29年度では、8機関合計で1,158件。前年度に比べまして、7%の減少となっております。
 
 8ページ目でございますが、紛争解決手続を終結した件数から為替デリバティブ事案を除外した件数を示しておりますが、7ページ目とほぼ同様の傾向となっております。
 
 9ページ目でございますが、これは紛争解決手続における結果の比較でございます。右側の29年度では8機関合計で、特別調停によるものを含めた和解成立割合が42%になっておりまして、左側の28年度とほぼ同様となっております。
 
 続きまして、10ページ目でございますが、紛争解決の終結に要した期間の比較でございます。29年度においては、全体として合計で約7割程度の案件が6カ月未満で終結しておりまして、左側の28年度の状況と大きな変化はないと認識されます。
 
 11ページでございますが、9ページで触れました和解成立割合を各指定紛争解決機関別に示したものでございます。前後しますが、資料1-1と1-2にございます。それぞれ1枚つづりで、ただいま申し上げました内容につきまして、機関ごとの状況を示してございます。時間の都合上、説明は省略させていただきます。
 
 業務状況に関しての私からの説明は、以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、ただいまの概要説明につきまして、ご質問、ご意見等があれば、お出しをいただければと思います。
 
 お願いします。

○樋山委員
 相談員協会の樋山でございます。よろしくお願いいたします。
 
 苦情処理手続の終結に要した期間が3カ月以上というのが、約32%ということで、一方では紛争解決手続の終結に要した期間が1カ月から3カ月未満という数字が34%というふうになっております。そうすると、苦情処理手続で半年とか3カ月以上かかっているのであれば、紛争解決手続に移行することもある意味では考えられる、その方が解決が迅速にできるのではないかというようなことも考えられるのですが、このように苦情処理手続に時間がかかり、一方では、紛争解決手続に短期間でぱっと終わってしまうというようなケースも多々見られ、3分の1ほどそれぞれあるわけで、どんなケースでこのような状況になってしまうのか。苦情処理手続に時間がかかるのであれば、もうADR(紛争解決手続)の方に早く手続を移してしまった方が迅速に解決できていいのではないかなというような考え方もあるのではないか、と思われるのですが、この点について、何かございましたら、お願いいたします。

○山本座長
 ありがとうございました。これは本日のメーンテーマとも関わる部分かと思いますが、事務局の方からは何かありますか。

○西原室長
 まず、ただいまのご質問に関しまして、今、お手元の資料で申し上げますと、資料の2-1のA3の資料でございますが、資料2-1の2ページ目の4.の(2)でございまして、今回各機関の方から個別に資料提出をいただきました。これ、お手元の資料で言いますと資料2-2でございますけれども、ここに各機関から、今先ほどのご質問の趣旨に合致する内容を書かれておりまして、それをまとめたものが資料2-1となっております。
 
 私の方から、また、後ほど説明いたしますけれども、今の点私の方でも問題意識を持ちまして、どういう場合に苦情処理に長期間を要し、紛争解決に時間がかからず終わっているのか、もっと早く移行することはできないのか、という点について、先ほどのご質問の趣旨に沿った質問を設定しております。本題につきましては、概略はこのとおりですけれども、詳細は、後ほどメーンテーマの中でご回答させていただくという形でよろしいでしょうか。

○樋山委員
 はい。

○山本座長
 よろしいでしょうか。
 
 それでは、他にご質問等があればと伺いたいと思います。
 
 おおむね、よろしゅうございましょうか。
 
 全体的には、苦情紛争とも件数は落ちついているというか、やや減少傾向である。全体的な処理の傾向はそれほど大きく変わってはいないということかと思います。
 
 それでは、概要については以上で終わりまして、引き続きまして、これが本日のメーンテーマであり、今樋山委員からもご指摘があったところと関係しますが、迅速かつ誠実な苦情処理手続に向けた指定紛争解決機関の役割という点につきまして、これもまず事務局から概要の説明をお願いした後、各指定紛争解決機関から個別にご報告をお願いしたいと思います。
 
 まず、事務局からお願いいたします。

○西原室長
 それでは、今回のテーマに関して、私の方から説明をさせていただきます。まず、苦情処理手続受付件数については、過去の金トラ協における、相談事案から峻別の上で、確実に処理を実行すべき、とのご指摘もございまして、平成27年度で大幅に増加しておりますが、その後は、先ほど申したとおり、減少傾向にございます。
 
 一方で、処理期間に目を向けますと、比較的長期を要する。物理的に言いますと3カ月以上要する事案の構成比が約3割。その中で、6カ月以上かかる事案の構成比が約10%台前後では処理しているということで、長期を要する事案が高止まり傾向にあるのではないか、と思われます。
 
 ただ、誤解ないように申し上げますと、苦情処理に限らずADR手続と言いますのは、利用者の属性ですとか、事案内容に応じまして、丁寧かつ柔軟に進めていただくことが重要ですので、処理が長期化してはだめとは言いませんが、業者との相対交渉では解決が見込めないような場合につきまして、紛争解決手続への移行を促したり、業者の苦情処理手続に問題がある場合につきましては、改善を求めるといった指定機関側のきめ細やかな役割の発揮が、より迅速かつ誠実な手続の実施につながり、利用者の納得感を得やすいのではないかと考えまして、今回のテーマを設定しました。
 
 次に、お手元の資料に関しまして、ご説明します。各テーマに関します各指定機関の取組状況につきましては、お手元の資料の2-1と2-2でございます。この資料の関係を申し上げますと、各機関からいただいたものが、2-2でございまして、それをまとめたものが2-1となっております。項目構成としましては、共通しておりますので、2-1に沿ってご説明いたします。
 
 2-1をご覧ください。A3の横長の資料でございます。この2-1としましては、項目構成1.から5.の大項目で構成しております。1.は苦情処理手続に係ります業者と指定機関の日常的な連携ですとか、連絡体制について書いております。それで、2.でございますが、これは苦情申し出を受けた指定機関が、対象業者に対しまして処理要請を行うまでの手続。3.は、利用者と業者の間で交渉開始後に、その指定機関がその交渉状況を把握し、適宜介入を行うための手続でございます。そのときにおきます指定機関の役割と課題点をお示ししております。また、4.でございますが、実際に処理が長期化した事案におきましての、主な原因等。また最後5.でございますけれども、これは苦情処理手続の迅速性、誠実性等に問題ある業者に対します各指定機関の対応を示しております。
 
 各項目に沿ってご説明します。1.ですけれども、質問の主な趣旨としましては、実際に解決を担当します業者の苦情処理体制を指定機関があらかじめ把握していたり、また、あるいは処理困難な苦情事案を抱えた業者から、指定機関が適宜相談を受ける等の連携ですとか、情報連絡体制が構築されていれば、苦情事案の解決要請ですとか、その後の進捗フォローアップ等が、より的確に行えるんじゃないかということでございます。
 
 この点につきまして、この1.でございますけれども、全8機関中6機関は、定期的な意見交換の場を、業者との間で設けまして、何らかの連携強化を図っております。なお、この点に関しまして、特に今後業者の新規参入が見込まれるような業態の指定機関におきましては、新規参入業者が金融ADR制度を十分に理解していない場合に、例えばADRの法令ですとか、手続実施基本契約への業者の理解を深めるための情報提供を行うといった、そういった追加的な観点もあるのかなと考えられます。
 
 次に2.でございますが、業者に対して指定機関が苦情案件の処理要請を行うまでの間ですけれども、この各項目の趣旨をご説明します。

 まず、2.の(1)の趣旨としまして、ややわかりにくいのですけれども、指定機関として、苦情を受け付けた相談員等に対しまして、どのような手続を周知するのかということでございます。

 ①としましては、業者・顧客間の情報量や交渉格差を是正するためにも、助言ですとか、事情調査等がございまして、これにつきましては、業者に比べて情報量や交渉力等で劣る苦情申出人が、業者との直接交渉、又は、間接的な交渉の場で、情理に適った、実情に即した解決に近づくための判断ができるように、苦情相談員が知見を生かしながら、申出人に助言を与えていく、そういった手続の中で、具体的にどういった助言を与えていくのか、ということでございます。
 
 ここで言う、知見を生かした助言と言いますのは、例えば、苦情申出人の知識経験や、業者側の問題点をある程度推察しながら、申し出のあった金融商品の内容説明でございますとか、販売契約の内容に照らした論点整理ですとか、あるいは業者との交渉を進めていく中で、ポイントや重要な留意事項的なものを提示するといったことになろうかと考えられます。
 
 ②としては、指定機関が苦情相談員に対して、利用者の苦情申し出を傾聴させつつ、単に聞き置くということではなくて、必要に応じまして、相談員が申出人に対して、質問等を行い、積極的に申出人の真意を引き出していく、そのことによって、真に問題解決を要するに論点は何かということに近づいていくという手続を示しております。
 
 この①と②に関してですけれども、一部の指定機関につきましては、まだ具体的に機関内での周知体制ができておらず、手続の明確化を今後図っていくという課題点を提示しておりますが、全体としては概ね取り組まれており、助言ですとか、申出人の真意を引き出すことの重要性を認識されているのかな、と考えております。
 
 中でも、全銀協においては、申出人が業者との交渉に際しまして、どのような材料を持ち込むかといった点に踏み込んだ助言に取り組んでおられる。また、少短協においては、利用者に対して、積極的に探索質問といいますか、先ほど申し上げましたような質問を行った上で、また、あるいは貸金協においては、カウンセリング的技法というものを行っておられ、これは申出人との間に信頼関係を築き、解決に向けた申出人の動機付けを高めていく、そのことで申出人の自己決定を促す、といった技法でございますけれども、そういった技法を相談員に浸透し、用いることで、業者に対し、利用者は行うべき主張をどのように構成するのかといった点に踏み込んだ対応も見られます。
 
 続きまして、③でございます。この趣旨としては、業者との間の相対交渉に納得がいかない場合に、指定機関への再相談、あるいは紛争解決手続への移行が可能である旨を、苦情申出人に相談員が適宜適切に伝えているのかという点にございます。
 
 この点、一部の機関におきましては、具体的な手続をまだ明確化していないということはございますけれども、その他の機関においては、重要性は認識されているのではないかと思います。例えば、機関への再相談が可能であることの説明を必要に応じて行うといった機関がございまして、再相談等の案内の要否が相談員の判断に委ねられてしまうのかなと思える点はございます。この点につきましては、本日のご意見の中で、もっと案内手続について徹底すべきではないかといったご意見もあろうかと考えております。
 
 ④、⑤につきましては、手続的な面で、特に追加説明も必要ないかと考えていますので、説明を省略します。
 
 続きまして、2.の(2)でございますが、これは2.の(1)の指定機関の相談員が、先ほど申し上げました①から⑤の手続を適切に執行したか否かを指定機関がどのように検証しているのかということでございます。この点につきましては、全8機関において、何らかの検証を行っております。検証手法別に見ますと、相談室長、各機関の相談室長クラスの方々が管理職として、受付記録をチェックしていくといったチェック手法がメインとなっております。その他に、独立したコンプライアンス部門によるチェックを行っている機関、これは全銀協でございますけれども、さらに牽制機能を高めているという取組みもあろうかと思います。
 
 また、検証頻度で申し上げますと、月次で各相談員による受付内容をチェックしているという機関が過半でございますが、一部の機関におきましては、年に1回のチェックということで、やや頻度に違いがあるのかなと考えられます。
 
 それらの検証を通じまして、確認された問題事例と改善の取組みは、その下の問題事例の表にございますところで、8機関中、問題事例を検出したのが2機関ということになっておりまして、これについても、検証体制そのものについて、この場で、私事務局としてここがこうであるといったことは申し上げませんが、こうした検証事例なども参照の上で、さらに検証の手法の見直しなどを進めていただくということも、ポイントなのかな、と考えています。

 続きまして、資料の大項目の3.でございます。3.の各設問の趣旨としましては、指定機関から処理要請を受けた業者が、事案の内容ですとか論点を正しく理解し、苦情申出人が求める解決に誠実に向き合い、対応したか否かを見ていくということでございます。
 
 まず(1)でございますが、指定機関が、例えば、業者から受け付けた結果報告等を活用しつつ、チェックしていく。(2)としては、業者から受領した報告等をもとに、どのように検証し、確認をとっていくのか。(3)では、(1)と(2)の結果として、どのような業者対応の問題点を検出して、更なる改善にどうつなげていくのか、というところでございます。
 
 なお、ここでいう業者の誠実な対応といいますのは、必ずしも、利用者が求める解決に至らず、普通に終わったとしましても、その理由を事案の内容や論点に沿って、分かり易く苦情申出人に説明したのかということも含まれます。
 
 (1)については、これは業者に対して求める結果報告等でございますが、具体的には手順の構築途上にある1機関を除きまして、何らかの報告を聴取し、また業者が不明瞭な理由で苦情処理を長期化することがないよう、フォロー体制に工夫を加えている機関は4機関ほどあるのかなと考えております。
 
 (2)として、業者対応の迅速性、誠実性について、全8機関において、何らかの検証をしております。検証手法で見ますと、やはり先ほどの点になりますけれども、各機関の管理職クラス、相談室長等の方々がチェックを入れていくというもの。また、併せまして、各機関の役員や諮問機関による両チェックも併用していくという機関が過半かなと考えていますが、中には直接申出人に対しまして、業者が本当に誠実に対応したのかどうかを照会している機関も一部ございます。この点につきましては、現状の検証手法をさらに見直しを行っていく中で、当然、申出人に対して確認をとっていくという選択肢もあり得ると考えております。
 
 これらの検証を通じて、確認されました問題点と改善の取組みにつきましては、3.の(3)に記載しているとおりでございます。ここにつきましては、全8機関中、全部で5機関におきまして、問題事由を検出しております。全ての事例をここで紹介する時間はありませんが、ポイントとしては、苦情処理手続が長期にわたり、かつ、それに対する指摘に対するレポーティングがちゃんとできていないような事例でございますとか、その長期化している理由がそもそも不明であるとか、そういったことが多いと。あと、保険関係では、例えば、オンブズマンの事例で言いますと、業者側の手続がうまくいっていなかったという事例や、少短協においては、苦情処理において、例えば、業者から申出人に対する説明内容が、誠実さ、丁寧さを欠いたものとなっているといった事例もございまして、そういった事例が過半の機関において検出されております。なおかつ、各事案における問題点を捉えた改善指導もなされているというのが現状かなと考えております。
 
 続きまして、4.でございます。先ほども申しましたが、苦情処理に長期を要した事案につきまして、その原因を(1)に記載しております。また、(2)につきましては、苦情処理に長期を要したものの、紛争解決手続に移行後、比較的短期、3カ月以内に終結した事案におきまして、そもそも早期に苦情処理のプロセス中に、早期に紛争解決ができなかった原因を調査の上で回答しております。
 
 概要を申し上げますと、まず(1)、3カ月超の事例につきましては、例えば、全銀協などにおいては、裁判手続の併用等要因が様々でございまして、一概に大きな傾向を掴めてはいないということはあろうかと思います。また、その他保険関係におきましては、これは保険の特性かもしれませんが、関係者、医療機関等との協議、被害認定、損害額の確定等にそもそも時間を要していることもあり、そういった特殊事由によるものといった面もございます。そういったこともございまして、一概にここで全て傾向として掴めるということではございません。
 
 続きまして、(2)について、もっと早くに紛争解決手続への移行ができたのではないかという視点で、回答を得た内容を簡単に申し上げますと、全銀協においては、預金の存在確認、手数料の妥当性など、そもそも紛争解決手続に移行したとしても、当該手続に馴染まないような案件があったということでございます。他の事例としましては、少短協において、苦情処理手続中に申出人が死亡して、跡を引き継いだ配偶者の方から一時中止の要請があったというケースですとか、あるいは、空き巣被害等に係る案件で、複数の関係人の話がバラバラで、申出人の説明内容の確認、事実の把握に時間を要してしまった事例もあります。
 
 また、FINMACにおいては、紛争解決手続の利用をするかどうかにつきまして、顧客側の検討にそもそも時間を要しているということでございます。これについては、こういった事例があるということは、一部ございますが、先ほど申し上げました紛争解決移行への案内、これを徹底していくということで、こういった事例の減少にもつながっていくということも、当然あり得るのかなと考えております。
 
 また、貸金協においては、これは個別の話ではございますけれども、クレジットカードの不正利用というものが増えておりまして、こういった案件において、特に家族カードを含めた事案においては、家族を含めました当事者の事情説明ですとか、申し立て受理の検討に時間を要したということもあろうかと思います。後ほど、また、適宜、各協会の方からも補足説明をいただければ、と考えております。
 
 4.としましては、ここでのご説明は以上でございます。
 
 5.でございますけれども、これは手続の迅速性、誠実性に問題ある業者への対応でございます。これは、先ほど3.で申し上げました業者対応の検証の結果、迅速・誠実性に問題があったに関わらず、改善が図られないような業者に対しましては、指定機関としまして、法令や業務規程等に基づく、毅然とした対応が必要であるということはございます。このうち、8機関の中で2機関におきましては、そうした対応を実際にとっておられます。そのような状況になる前に、迅速かつ誠実な苦情処理を進めるための手続ですとか方策が、各機関ですとかにおいて見直しがなされることは、今回のテーマにおきましては最善の方向性かなとも考えられます。
 
 ここで言います手続方策につきましては、本資料で言いますと、指定機関内におきます2.の手続ですとか、業者との関係にもかかわります3.の手続でございますが、これに限らず今回のテーマに関しまして、実効性のある手続方策につきましても、忌憚のないご意見がいただければ幸いかと考えております。
 
 大変雑駁ではございますけれども、事務局説明は以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、ただいま報告いただいた点につきまして、次は、各指定紛争解決機関から、資料2-2に基づきまして、迅速かつ誠実な苦情処理を業者に促すという観点から、申出人に対する的確な助言、業者と申出人間の交渉状況の把握、あるいは、適時適切な紛争解決手続への誘導、情報の引継ぎ等の現状と今後の対応等について、ご報告をいただければと思います。
 
 大変恐縮ですが、時間の関係もございますので、各機関5分以内ということで、ご説明をいただければと思います。
 
 それでは、まず、全国銀行協会の西村委員からお願いいたします。

○西村委員
 全国銀行協会の西村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 資料2-2の1ページをご覧いただければと思います。当協会の苦情処理手続について、ご説明させていただきたいと思いますが、金融関連の苦情につきましては、受付段階においても、私ども相談員が丁寧に聞き取るということにしておりますけれども、金融知識の必要な事案ですとか、金融関係はかなり専門用語も多いというところもあります。また、商品性や法的関係が複雑なものもあるということで、相談員はそのことを常に意識しつつ対応するよう心掛けております。
 
 そうした中、迅速な苦情解決のためには、取引内容やお客様が不満に感じている内容を、正確に聞き取り、問題点を整理して、銀行に伝えることが最も重要だと考えております。聞き取りに当たりましては、お客様に寄り添いつつ、交渉力格差や情報量格差、こういったものがあることを前提にフォローするよう配慮しております。
 
 例えば、融資に関係する苦情でございますと、金利引き下げの条件、変更例。こういったものをアドバイスしたり、また、入院している高齢者の預金の払い戻しに関するトラブルでありますと、便宜的な支払い例など、こういったものがありますよというようなことを丁寧に具体的にお示ししてアドバイスをしてございます。
 
 その上で、お客様の具体的な要求事項がどこにあるのか、損失補塡を求めるのか、謝罪を求めるのか、業務改善を伝えるだけでよいのかというようなところを、主張内容を具体的にお伺いいたしまして、かつ、氏名や連絡先といった個人情報を銀行にお伝えしてよいのかというところを明確に確認するようにしてございます。
 
 また、銀行の苦情処理手続に不満がある場合につきましては、改めてご相談いただけることですとか、紛争解決手続があることについてお伝えしておりまして、特にリスク性商品に関しましては、その損失を補塡してもらいたいという苦情については、初期の段階で説明するよう相談員の方で心掛けているということであります。
 
 めくっていただきまして2ページの(2)をご覧いただけますでしょうか。受け付けた苦情につきましては、相談員が速やかにデータベースに入力をして、記録化しております。このことによりまして、他の相談員でも参照可能とするようにしておりますし、後日役席者などが検証できる体制。こういったものを整備しております。
 
 また、1枚おめくりください。3ページの3のところに銀行につないだ後の対応等をまとめさせていただいてございます。苦情事案を銀行に取り次ぐに当たりましては、銀行側でしっかり対応するよう依頼するとともに、手続が終了した際には、苦情対応報告。こういったものを、原則として書面で提出するよう求めております。
 
 いたずらに対応が長期化している事案がないかをフォローするため、初回受付日から60日以上経過した事案につきましては、銀行に対して直近の状況や、長期化の要因を確認して、その結果について、役員を含めた運営会議に毎月報告するようにしてございます。
 
 また、銀行から提出された苦情対応報告、これにつきましては、その内容が我々の認識と齟齬がないかについて、そういった観点で確認をしまして、安易に解決にしないよう留意しているということです。
 
 消費者の方に安心して金融ADRを利用していただくこと、これは非常に重要なことでありますが、すぐに紛争解決手続を案内するということではなく、極力、苦情処理段階で問題解決を図ることが望ましいと、こう考えておりますので、銀行とお客様が相対でお話をしているときには、話がすれ違うということですとか、感情的になっている、あるいは銀行からの連絡を受け付けないというような状況になっている場合もございますので、ADR機関という第三者が間に入って、問題点を整理することでスムーズに解決することに努めてございます。
 
 こうした対応のためには、相談員は金融や法律知識のみならず、電話の応対姿勢ですとか、消費者対応なども含めた研修への積極的な参加を促している。こういう状況であります。
 
 続きまして、樋山委員の方から、ご質問のございました事項につきまして、5ページ目の資料及び参考資料をご覧いただければと思います。ご質問の趣旨は、苦情処理段階で、手続が長く続いたんだけれども、紛争解決手続が短く終わったものがあるのではないかと。こういったものについては、迅速にADRの解決手続をご案内してはどうかと。こういうご指摘だったかと思います。弊協会相談室の対応を見ていただきますと、Bのところがその問題に対応する箇所かと思いますが、3カ月以上6カ月未満あるいは6カ月以上というところで苦情の処理にかかったもので、紛争解決手続でその赤い中に入るものは、1カ月以上3カ月未満の6件だけでございます。これについては、その下の紛争解決分の、網かけになっているところが0にありますとおり、全て不受理になっている事案でございます。
 
 当協会の手続といたしまして、申し立てを受けますと、その申立書を銀行側に送って、銀行から答弁書を受理いたしまして、その2つを持って、適格性審査というのをほぼ2カ月後に行うということに手続上なっておりますので、1カ月未満で終了する事案がないということ、また、1カ月以上3カ月未満で終了するというのは、その次の手続に進まないということですので、この案件は全て不受理になるということでございまして、具体的にはそうなんですけれども、西原室長からご説明のございました預金の存在確認ですとか、手数料の妥当性とか、そもそも紛争解決手続に馴染まないというような案件。こういったものが苦情処理手続でできるだけ納得をいただきたいということを考えておりますので、そういったところで、長引くこともございますが、いたずらに紛争解決手続を案内しないということではないということをご理解いただければと思います。
 
 全銀協からは以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、続きまして、信託協会、高桑委員、お願いいたします。

○高桑委員
 信託協会の高桑でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 6ページを開けていただきますと、信託協会の回答結果でございますけれども、体制のチェック確認というのは、まさに基本契約を結ぶときに確認しているわけですけれども、その後、苦情などがある場合には月次で確認しておりますので、その際にも確認すると。それから、苦情を受け付けた際のことでございますけれども、苦情者によって色々な方がいらっしゃいますので、これは当たり前のことなんですが、顧客の要望をよく理解するということがまず第一にあると思いますけれども、そこは各相談員ともそれは意識してやっているところでございます。
 
 ただ、苦情者によっては協会というのはまさに銀行が出資して作っているところだということも認識されている方もいらっしゃいますので、我々は銀行側サイドに立っているということにならないように注意しながら聞かなければいけないんですけれども、明らかに、例えば、信託の話ですと難しい取引もありますので、その辺のところをお客様が誤認しているようであればこちらからも説明するということはあるということでございます。とにかく要望をよく理解した上でそれをつないでいくということになろうかと思います。
 
 それから、あっせん委員会に関しましても、状況に応じては最初からそのことを説明したり、あるいは、少し時間がかかったときには、また電話がかかってきたときにはそういうことをお伝えするというようなところでございます。
 
 それから苦情に関しては、苦情は終了報告というのを求めますので、それによって、最終的にどのぐらい時間がかかっているかというのを確認いたします。これに関しては、苦情があると、毎月進捗状況の確認をとっているわけでございますけれども、次のページ7ページにございますが、途中経過などにつきましては、四半期ごとに我々役員クラスのところに報告するということがございますので、それは加盟会社が全部把握されることになりますので、そういうこともあって、しっかり苦情処理しなくちゃいけないというような牽制になろうかと思います。
 
 それから、有識者会合を開催しておりまして、そこでは個々の苦情処理について、全般について説明をいたしますので、これも1つ長引かないようにさせるということにつながるかなと思っております。
 
 3カ月を超えているところで、8ページに私どもの苦情処理の件数とBの表ということで、4件、0件となっておりますけれども、7ページに書いてございますが、最終的な苦情処理方法によって期間についてカウントしますが、3カ月以内に主に終わっているんですが、もう少し対応があるかないかということを確認した上で私どもの方に苦情処理の報告が来たものですから、3カ月を超えているということでございます。
 
 それから、信託協会は相談苦情全般の件数が少ないんですけれども、特に教育資金贈与とか、後見制度支援信託、特定贈与信託という、そういうようなものに関しての相談件数が非常に多かったんですが、わりと減少しております。これは色々な理由があるかと思いますけれども、1つは制度の定着があるのかなと。その業者の説明対応の向上もあろうかと思いますけれども、そういうことに関して解説本もたくさん出ておりますので、例えば、社会福祉法人の方からも相談などもよく受けたんですが、そういう方々の理解も深まったのではないかなとも思っております。
 
 私からは以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 続きまして、生命保険協会の高橋委員、よろしくお願いいたします。

○高橋(正)委員
 生命保険協会の高橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 資料では、9ページになりますのでご覧ください。まず、1番目の苦情処理体制に係る情報収集の手順でございますが、こちらにつきましては、当然のことながら手続実施基本契約を締結する際に確認をさせていただくほか、毎年1回会員会社に対してアンケート調査を行ってございまして、その結果を各社にフィードバックするということで進めてございます。
 
 次に2番目のところになりますが、顧客から苦情申し出を受けたときの手続につきましては、①の欄に記載してございますが、苦情処理手続へ移行するに当たりましては、トラブル発生時の状況、あるいは業者への請求内容を明確にすることが必要ということから、まずは苦情内容、あるいは経緯を丁寧に聞き取ることとしてございます。
 
 この中で顧客が求める解決の具体的な内容についても把握するようにしてございます。その上で、苦情処理手続に移行した際には、顧客における業者とのやりとりは一定程度必要だということから、業者への請求内容、あるいは交渉手順に係る必要な助言を行うということにしてございます。
 
 次に、③の欄をご覧いただけますでしょうか。顧客への再相談、あるいは、紛争解決手続の説明手段でございますが、こちら、先ほど樋山委員からもご質問いただいたこととも若干関係をいたしますが、私どもでは苦情受付時に苦情処理手続及び紛争解決手続について、確実に説明を行うということをしてございますので、その後、業者との直接交渉あるいは苦情処理手続への移行に当たりまして、なお解決に至らない場合には、再度連絡していただきたい旨を顧客の皆様にご案内してございます。その中で、紛争解決手続に移行する意向があれば、速やかに移行させるということで、先ほどご質問があった、なかなか移行しない事案があるのではないかということにつきましては、顧客の側から、意向を特にお示しいただかなかったという事案がほとんどでございます。
 
 続きまして、④の業者への苦情内容の通知方法でございますが、こちらにつきましては、専用のシステムを用いまして、会員会社に私どもが受け付けた苦情について、詳細を連絡してございまして、業者側は必ず毎日システムを確認するということにしてございます。
 
 続きまして、10ページをご覧ください。3番目になります。業者に苦情事案の処理を求めた後の手続の内容等でございますが、①の欄の業者に苦情処理を求めた後の業者の対応状況につきましては、先ほど触れました専用のシステムによりまして、業者は適時進捗状況を私どもに報告する運用になってございます。これを私どもの方で確認するほか、業者は全苦情事案に係る月末の状況を毎月所定の期日までに改めて報告をし、これを当会にて確認するという運用をしてございます。
 
 具体的な報告内容といたしましては、業者が認識する申し出内容、業者側の見解、事実関係、具体的な進捗状況、今後の対応方針、結果などが含まれてございます。
 
 次に(2)の業者の対応状況に関する確認手続につきましては、業者からの報告において不適切な対応が確認された場合には、業者に対しまして、状況及び原因を確認するとともに再発防止を求めてございます。こちらに具体的な事例を記載してございますが、業者側の顧客への対応や報告に通常より時間がかかっているにもかかわらず、その具体的な理由が不明確であったケースがあり、このような事案におきましては、明確に調査期限を区切って対応するなど、指導をしてございます。
 
 最後に業者の苦情処理に問題が認められた場合の対応につきましては、業者が業務規程に反する行為を行ったことが判明した場合には、当会が必要と認めた場合に、当該行為に対する措置勧告の概要及び会社名を公表するということで対応してございます。
 
 苦情処理手続が長期に及んで、紛争解決手続が短く終わったという事案につきましては、もともと紛争解決手続利用の意向が示された場合には速やかに移行させるという前提で運営してございまして、まず、その意向が示されなかったということでございます。結果、苦情処理手続が長期に及んだものの、紛争解決手続に移行後、短期で終了した事案については、例えば、謝罪を求めるとかそういう請求内容でございまして、不受理とせざるを得ないということで不受理とした事案がほとんどでございます。
 
 私どもからは以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 続きまして、日本損害保険協会、村田委員、よろしくお願いいたします。

○村田委員
 損保協会、村田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 資料は13ページからになりますけれども、まず1番のところでございます。業者の体制に係る情報収集については、大手の会社とは個別に、その他の業者とは各社を集めた全体の会議における意見交換を行っておりまして、業者側からの意見やそれに至った背景等から体制を把握・確認をしているというところでございます。
 
 続いて、2の①の苦情処理を受け付けて、業者に苦情処理を求める際の手続において、お客様に対する助言ですとか、②お客様が求める解決の内容についてでございます。これは、まず、お客様のお話をよく聞くというところ。あと、必要な情報をお聞きして、言い分を的確に聞き取るといったコミュニケーションをとりながら、論点というか、ご不満の内容、これを整理して、その内容や申出人の方のご意向を踏まえて、対応をアドバイスするようにしているというところでございます。この対応については、相談員用のマニュアルですとか、相談員を統括する主任相談員。これを対象としたマニュアル類を作成をして、周知をしているというところです。
 
 続いて、③の苦情処理対応に不満がある場合の再相談や紛争解決の申し立てが可能である旨を説明する手順。これにつきましては、苦情処理手続実施後に申出人の方には、紛争解決手続も含めた今後の流れというハガキをご送付しております。苦情内容を業者に通知してからの話し合いの流れを案内して、また電話対応においても、お客様とのやりとりの中で必要に応じて再相談ですとか、紛争解決の手続、これが可能でありますということをご説明をしているというところです。
 
 次に業者とお客様との交渉状況の把握の観点では、④に記載がありますけれども、苦情内容の業者への解決依頼の通知から始まりまして、事実関係、対応状況の報告、解決等の報告。これはシステムを通じて行ってございます。また、これは一連の手続が進んだ段階で、解決等の報告を業者からもらうことになりますが、何をもって苦情の終了、解決と見るかの判断手順については、⑤に記載のとおり、苦情処理手続の終了判断のポイントを一覧化しておりまして、これに基づいて手続の終了を判断してございます。この判断は、原則として担当相談員ではなくて、いわゆる主任相談員という方が行っております。
 
 続いて、14ページになりますけれども、これらの手続については、本部の統括部門における業務点検ですとか、監査部門において、手続の踏襲状況を点検をしているというところです。
 
 次に3の苦情処理を依頼した後の手続内容ですけれども、これは業務規程というものを定めておりまして、これを周知しております。また、苦情処理手続において、業者が誠実かつ迅速な対応を行ったか否か。これを事後検証する手続については、業者からのシステムを通じて報告に来た内容を主任相談員が申し立てられた苦情にきちんと対応しているのかという観点で、全件チェックをしているというところです。
 
 続いて、4番。下の方になりますけれども、資料Bのご説明としては、14ページ下のコメントですけれども、3カ月を超える事案の中には、交通事故の被害者からの申し立てられるケースにおいては、状況の確認ですとか、原因調査、責任割合の確認、話し合いに時間を要することがあり、例えば、事故のお怪我との因果関係をめぐる事案ですとか、治療期間をめぐる事案等が多く存在しているというところです。
 
 続いて、15ページになりますけれども、早期に解決に移行できなかった理由ですが、これは一概には申し上げられないんですが、事案をひっくり返して見たところ、苦情から紛争に移行するケースでは、紛争の手続をご案内をして、必要書類をご送付します。そして、必要書類にご記入いただいて返送いただくんですけれども、普段書くことのない書類ですので、申し立て書類を記載いただくのに時間を要するケースがありました。苦情手続の終了というのは、紛争の申立書の受付をもって終了といたしますので、その期間も含めて長期となった事案があったというところです。比較的負担の軽い苦情を選ばれていたんじゃないかなというふうに推測するところはできます。
 
 当方からの説明は以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 続きまして、保険オンブズマン、小野委員、よろしくお願いいたします。

○小野委員
 私どもの具体的かつより詳しいご説明の資料としましては、ご覧いただいています17ページ以下にございます。併せまして、先ほど西原室長の方からご説明ありました資料2-1にも、本日のテーマについても私どもの考え方、あるいは実施方法というのを記載して、先ほどもご説明がありましたので、ある意味ここに尽きるかと思っております。そういう意味では、それを更に上塗りする形になるかもしれませんけれども、金融ADR制度そのものがより迅速にということでございますので、私どもとしましては手続面、あるいは実際の運用面では、できるだけそれが実行されるような色々な努力をしております。
 
 まず、1番に言えることは、事業者様とのコミュニケーションが一番私どもにとっては大事になります。なぜかといいますと、損害保険契約自体、最終的には保険契約。あるいはお客様とのあらかじめの取り決めに基づく損害額の確定ということが主になりますので、その事実確認なり、状況なり、これを私どもが間に入りまして、きっちり把握する必要がございます。
 
 併せまして、損害額。保険金支払い以外には、例えば、募集時に伴う色々な苦情等もございますので、それにつきましてもあらかじめ私どもとしては、あるいは事業者様の方で詳細な手続等がございますので、その確認も含めてより時間をかけて、できるだけ公正・中立なものになるように配慮しております。
 
 そういう意味では、事業者さんとのコミュニケーションという意味で言いますと、最初にございます個別業者ごとの苦情処理体制に係る情報収集の手順とございますけれども、これは当然ですけれども、私どもといたしましては、基本契約締結時には、相手方、事業者様の内容、あるいは、実際それに携わる方とよくお互い情報を熟知いたしまして、その前に私どもの手続もじっくりご説明いたしまして、ご理解いただいた上で始めます。個々の案件が出ますと、直接担当者の方なり、あるいは該当する部門に私どもから連絡をとりまして、できるだけ事実確認をした上で苦情申し立て者との間でやりとりをするよう心掛けております。
 
 併せまして、工程管理も所定のものございまして、この資料の方にもございますけれども、一定の日にちをもちまして、期限を区切りまして、事業者様には返信、返答なり、見解なりを示してもらって、苦情申し立て者の方にお伝えして、何らかの解決方法がないかということを探るようにいたしております。
 
 そういう意味で、繰り返しになりますけれども、事業者様との迅速なコミュニケーションを通じまして、できるだけ早く事実確認を済ませた上で、何らかの形で解決方法を見つけるように導いていきたいというふうに心掛けております。
 
 併せまして、紛争解決事案そのものも同時に案件によりましては、苦情申し立て者にご案内いたしまして、そちらにご要望されれば常にそちらへも移行できるような形の制度にはなっておりますので、苦情申し立て者によりましては、そういう意味ではオプションが既に与えられているという状況がご通知申し上げている次第でございます。
 
 あと、繰り返しになりますけれども、苦情申し立てから紛争解決に至るときの時間のかかり方なんですけれども、場合によっては、これ、先ほど申しました事業者様とのコミュニケーションになるんですが、特定の会社様、事業者様、あるいは特定の部門におきましては、ちょっと手続面でやや問題があるかなと思うケースもございます。そうした際、私どもの判断で直接申し出て、改善なり等をお願いして、できるだけいい形になるように、実際そういう事案もございましたし、そういうボトルネックがとれれば、本来の円滑かつ迅速な手続を済ませ、そのコミュニケーション、あるいは先方事業者様への促すことも心掛けております。
 
 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 続きまして、日本少額短期保険協会、小泉委員、よろしくお願いいたします。

○小泉委員
 少短協会の小泉でございます。
 
 私からはご報告するものは24ページからということになってございます。私ども、少短協会と他の協会さんとの違いの点というものを先にご説明しておきます。私どもの協会に加入している会社数というのが、実は今97社ということで、大変大きな社数になってございます。ただ、1社1社はどのぐらいの大きさなのかというと、大体10名から20名ぐらいの会社が多ございます。一番大きい会社は200名ぐらいありますけれども、ほぼそういうような状況になってございまして、こういった苦情の関係のことにつきましても、対応するコンプライアンス部というのは必ず会社を作るときに必要だということになっておりますので、当然それなりの人はいるんですが、ただ、それが他の協会さんの加盟会社のように、たくさんの方がいて、相互牽制をしながらやっているという状況ではなくて、その担当の判断が間違えると、おかしな方向に行ってしまう可能性がある。
 
 それから、経営者といっても常勤でいる方というのは2名ないし3名ぐらいしかおりません。特に、だから社長の見解というのがすごく重要になってくるだけに、社長が間違ったことをしないようにということも必要なことになってくるかと思います。
 
 どうしても、事業を始めたばかりの会社、スタートアップ企業が多いということがございます。大体この制度ができて12年経ちましたが、その間に増えた会社数というのが46社でございますので、大体三、四社毎年増えているという状況でございます。それだけに、この事業者に対する指導というものが十分になされないと、なかなかこの苦情だとか紛争解決というものがうまくいかないという認識のもと、保険相談室では主任相談員が日々奮闘しながら対応しているという状況でございます。
 
 24ページのところをご覧ください。1.の業者ごとの苦情処理にかかわる情報収集の手順。要するに各社どういう体制で、本当にうまくいっているんですかということの確認をどうやってやるかということなんですが、先ほど言いましたように参入会社が多いということもありますので、参入、要するにこの協会に登録されて、活動を始める。そのときにきっちりとした苦情に対する対応説明をしないといけないということで、そのときは社長以下の方々にしっかりとご説明をさせていただいているということが、他の機関との大きな差かなと思います。
 
 それから、2番目の指定機関が、要はお客様の申し出内容をどのような形できっちりと真意を把握していくのかということでございますが、これは各機関とも一生懸命になって相談員の方がされていると思います。私どももやはり業者と申出人の方の説明力の差、情報力の差。そういったものがある中で、当然にお客様のお話というのは相当丁寧な形で申し出内容を何度も確認をして、その真意がどこにあるかは十分に確認してございます。
 
 当然にその苦情があったら、すぐに業者の方に連絡をして、早期解決をお願いしてございます。ただ、解決という形で決着が着くに当たっては、業者からの報告だけではなくて、必ず申出人に、これで本当によろしいんですかということの確認をとった上で終了を行っているということでございます。その辺が2の⑤の何をもって苦情事案の終了とみなすのかというところでございます。
 
 それから、円滑な対応がうまく進むようにということで、25ページの3.のところに書いてあります苦情事案の処理のやり方でございますけれども、①の業者に対してどういう形でやっていくのかということでございます。各機関とも同じでございますけれども、とにかく「調査中」を理由にいたずらに長期化させないということのためのフォローを行っているということで、②のところにどういう、何らかのトリガーと書いてありますが、その右側の方に、一応2週間に1回の割合で業者には連絡をしております。つまり、業者の方がお客様に対応したら必ず速やかに報告いただくことになっているんですが、それが2週間経ってもならない場合は、こちらからも業者の方に「どうなりましたか」というような形でフォローを行う形の中で、早期の解決を指示していると。そういうような対応でございます。
 
 それから、26ページの方で、4.がございまして、3カ月超のものというのはどういうものがあるのかというので、具体的に私どもの方で調べたやつを書いてございます。1番目が①手続途中で申出人と連絡がつかなくなってしまったと。それで、ファイナルレターを出して終了となったというのが4件。事実確認等の調査で時間を中断した、先ほど、冒頭西原室長の方からお話しいただいた相続の関係の件でございます。そういったようなお話、それが③です。それから、②は、事実確認の調査で時間を要したというのは、これは空き巣の件でございます。その他、4番目。申出人が自ら納得するまでに時間を要したというような形になってございます。
 
 私どもとしては、できる限り不慣れな業者も多い中で、できるだけ短い期間の中で終えるためにということで、今申し上げたような形の工夫を行いながら苦情解決に臨んで、できるだけお客様にとって納得のいく解決になるように心掛けているというところでございます。
 
 説明は以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 続きまして、証券・金融商品あっせん相談センター、三森委員、よろしくお願いします。

○三森委員
 証券・金融商品あっせん相談センター、FINMACの三森と申します。よろしくお願いいたします。
 
 資料の方は28ページからのところでございます。
 
 現在、私どもFINMACでは、東京と大阪に事務所がございまして、合計11名の相談員が日々顧客からの苦情相談に対応しております。
 
 相談員は、顧客からの苦情申し出を受けた場合には、まずは顧客の話を丁寧に聞き取り、その顧客の申し出内容をしっかりと把握することから始めます。そして、その内容に応じて相談員が、当然、情報の格差等に配慮しながら、可能な範囲でわかりやすく助言をすることですとか、あるいは顧客からの申し出内容を伺ったものの、その話の内容だけでは解決のためのポイントが不明な場合には、具体的な事実関係などもさらに顧客に確認をして、顧客の申し出の趣旨を的確に把握するように努めております。
 
 そして、顧客からの申し出内容の全容とその中にある不満の原因となっているポイント、つまり、顧客にとっての問題意識を相談員の方とも確認・共有をしまして、さらに解決に向けてのポイントを顧客と共有するといったことなどを行っております。その上で、相手方の事業者に顧客からの苦情をその趣旨やポイントも含めて取り次いで、その苦情に対する事業者としての見解を回答するよう指示をしております。
 
 事業者からは、その後に苦情内容に対しての会社としての見解が出てまいりますので、こちらから取り次いだ内容、ポイントに対してきちっと的を得た回答になっているのかということも含めて、確認・把握をした上で、その事業者見解というものを顧客にわかりやすく丁寧に伝達をしております。
 
 苦情の解決には当然迅速性も必要でございますので、もちろん事案によって一律ではないわけでありますけれども、事業者側からの回答が長期間かかっているような場合には、相談員から事業者に状況確認などをしております。
 
 多くの場合、こうしたやりとりによって、顧客の理解が進み解決していくわけですが、中にはやはり事業者見解に納得がいかないという顧客も当然いらっしゃいまして、そうした場合には、基本的に当センターの紛争解決制度を紹介しまして、あっせん制度が利用できますということを案内をするようにしております。
 
 それから、先ほど樋山委員からご質問のあったところにつきましては、30ページの一番下になります4.の(2)のところに主な理由を記載をしております。他の機関と重複といいますか、同じようなところでございますが、1つは顧客があっせんを利用するかどうかについての検討に時間を要したということで、長期間かかったというような点。それから、②は苦情処理段階での事実関係調査確認に長時間を要したということが、主だった理由となってございます。
 
 それから最後にですが、今回のテーマにつきまして、金融庁から質問事項をいただきまして、それに対する回答を作成していく中で、私どもとして、課題を認識いたしました。それが、先ほど来私が申し上げているような苦情相談の対応については、実際に各相談員が運用いたしまして、そのように取り組んでいるわけではありますけれども、そういった運用や取組みが当センターの実務対応マニュアルに盛り込まれていない部分がございました。例えば、顧客からの苦情申し出に対しての助言を行うということですとか、事情調査を行うといったこと、こういった実務的なことでございます。今回を機に、実務対応マニュアルを見直しまして、マニュアルの形でも改めて内部に周知をしていきたいと思っております。
 
 私からは、以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、最後になりますが、日本貸金業協会、遠藤委員、よろしくお願いします。

○遠藤委員
 日本貸金業協会の遠藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
 資料の方は33ページでございます。まず、業者の関係でございますが、貸金業協会は、貸金専業、クレジット信販、その他に担保を有する業者、住宅ローンやリース業など多岐に亘っておりますので、各業者の苦情体制につきましては、組織体制の変更などがあった都度、こちらの方に申し出をいただきまして、必ず確認をする。その都度、その内容についての流れをこちらも確認し、説明をするという形をとっております。
 
 その他当協会におきまして、苦情が発生した場合には、まず、事情関係につきまして、相談員が情報を必ず確認する。丁寧に時系列で確認をしていくということを徹底し、お客様とのやりとりについても慎重に行っているというところが1つでございます。
 
 その他に、各協会との意見交換を実施し始めました。昨日も2回目を実施したわけでございますが、より具体的に業務の内容を相互に理解することによって、解決をする目処が早く立つんではないかということが見えてまいりました。これも業界を跨いでの参加をしておりますので、各業態ごとの理解も進んでいるというところでございます。これについては、今後年3回ほど行っていきたいと思っております。
 
 それから、新規参入の業者につきましては、手続の実施、基本契約を締結する前に、まず内容についての説明を実施するとともに、その契約書を送付するときに、ADRに関するパンフレット、その他資料を同封し理解を求めるということを行っております。
 
 それから、苦情を受け付けた場合の処理の手順でございますが、各支部が、私どもでは全国にございます。その支部でまず受け付けた場合には、やはり、支部の担当者につきましては、知識不足等もございますので、本部の方で実際に引き継ぐということを行っております。ただし、皆様のお手元の36ページでございますが、苦情案件の引き継ぎ要綱というものを作成いたしまして、まずは初期の対応として、ゆっくりと支部の方で確認を聞いていただきながら、本人なのか、本人以外なのか。それともキャッシング、ショッピングなのかということで、ショッピングだけでありますと、私どもの方では扱うことができなくなってしまいますので、一部キャッシングが入っていればショッピングが入っていても行うということなども確認をし、主訴の内容を確認してから移行するという手順をとっているわけでございます。
 
 また、33ページに戻っていただきまして、実際には私どもの本部で、専門知識を有するものが確認し、時系列ごとにしっかりと内容を聞いていくということを、まず行っているところでございます。
 
 各業者によりましては、モニタリングの体制ができているところについては、その内容、録音内容を確認する。そういうところがないところにつきましては、相談記録などについて正確な内容を把握するということに努めさせていただいております。実際に解決の内容につきましては、相談対応の聞き取りの手引きなども含め、カウンセリング的な手法を用いて、主訴の確認を行い、その内容について正確であるかどうかということを担当課長はじめ、役席者の中で確認をし、確認を進めているというところでございます。
 
 結果、申し出に受け付けた内容が苦情受付手続であるという場合につきましては、苦情手続の担当者判断でそれが業者の不満が高い場合、ADRの担当者に引き継ぐという手順になっているところでございます。
 
 業者側への通知につきましては、聴取後、当日中に行うということを行っておりますが、郵送の場合については、その郵送物を送付する前にも事前に連絡をし、結果についての内容の手順を説明をしているところでございます。
 
 次の34ページでございますが、何をもって終了とするかと言いますと、苦情の終了解決については全ての案件ごとに双方への確認を徹底し、最終的に申立人の苦情申し立ての終了を承諾するかどうか否かを確認をし、意思の確認をした上で終了をするということを決めております。ただし、一旦終了した後もやはり不満が出たり、また問題点が発生することがありますので、再度申し出が可能であるということを伝えていることを徹底しているところでございます。
 
 それについての内容で、今まで手続で問題が発生したことを今回の事例で入れさせていただいておりますが、27年から29年度において、開示申請の中で、何件も重なった業者がおりました。これにつきましては、その内容の確認をし、行政庁との協力を得た上で、個別に1件1件を確認しながら行った結果、28年9月まで26件同じ業者だったわけでございますが、それが29年で10件、今年度これを進め0という形にしていこうということで進めているところでございます。この業者だけでございましたので、案件として例で入れさせていただきました。
 
 次に苦情の処理を求めた内容につきましては、当協会におきましては内容の確認を先ほどのように精査するとともに、コールセンターなどのマニュアル的な対応が、非常に各業者では多いものですから、初期の対応に対する実際の扱い方、取扱い方というものを、各業者に問題が発生した都度、研修の実施をお願いをしているところでございます。「カウンセリング的手法を用いた顧客対応」という研修を実施し、昨年も数件実施させていただいておりますけれども、その結果、その業者については、電話等による初期の対応での苦情というものが激減したという結果が出ているところでございます。
 
 その他、内容について、確認をする上では、私どもの苦情内容については、役員への週に1度の報告を徹底し、内容の検証を行っているところでございます。
 
 次の35ページでございますが、3カ月を超える事案でございますが、こちらに書かせていただきましたとおり、苦情処理が3カ月を超えるものは6件ございました。カードの不正利用が3件、個人情報が1件、事務処理が1件、それと過払いの関係が1件でございました。このADRの移行がそのうち2件、解決したものが3件、打ち切りというものが1件ということでございます。
 
 この5件中3件のカードの不正利用につきましては、海外での不正利用というものがあるものですから、時間が非常にかかるということでございます。そのうち1件が移行されずに終わっているものでございますが、移行までの申し立てについて、書類の提出をお願いしたのでございますが、電話による連絡でさえとれなくなったりということで、実際には申し出がされなかったということで、経過をしたということでございます。
 
 今までの3カ月超6カ月の中で非常に多かったものについては、クレジットカード不正利用の中で、先ほど事務局からも報告がございましたけれども、複数のカードの不正利用が重なり、家族カードなどもありますと、本人以外を巻き込んだ形での事情説明が入ってまいります。そういったところで非常に時間がかかるということと、私どもの弁護士等に対してのADRの申し立ての妥当性なども確認をするというようなことで時間をとったということが事案としてございました。
 
 最後の5.でございますが、こちらは私どもの方では、今まで事案は発生していないものですから、報告はなしとさせていただきます。
 
 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、以上で各指定紛争解決機関からご報告をいただきました。今のご報告、あるいは、その前の事務局のご説明、いずれについても結構ですので、ご質問あるいはご意見をご自由にお出しいただければと思います。
 
 どうぞ、樋山さん。

○樋山委員
 全相協の樋山でございます。
 
 先ほどの質問に対して、それぞれの業界さんが適切なご説明をしてくださったので、とてもよくわかりました。各業界団体さんが、それぞれの事案に合わせて苦情処理手続がいいのか、それとも紛争解決処理に持っていった方がいいのかなどを、総合的に考えた上で、苦情処理手続でしっかり時間をかけてやっていくのかということなどをきちんと踏まえた上で処理をしていただいていることがよくわかり、どうもありがとうございました。
 
 1つとてもいいことだなと思ったのは、損害保険協会さんの方で、苦情処理の対応をするときに、もうそのときに今後の流れということでハガキを郵送して、「今後こういうことができますよ。こういう流れになっていきますよ」というような一定のフロー、ロードマップを契約者の方にご案内しているというところが非常にいいのではないかなと思いました。
 
 一部銀行協会さんでも、高齢者に向けたADR手続などについてはご案内をしていただいているところなんですが、電話ですごく親切にご相談いただいたとしても、そういったフローについての手続の書面が自分のところに届くということは、後から何回も何回もこういうことができる、こういうことができるというふうに、それぞれのご契約者が色々と検討することができますので、損害保険協会さんの今後の流れというような書面については拝見したことはないのですけれども、高く評価できるのではないかなと思いました。
 
 どうもありがとうございました。

○山本座長
 ありがとうございます。
 
 それでは、他のご意見。どうぞ。

○大出委員
 全国消団連の大出です。
 
 今、樋山さんがおっしゃった、私も一消費者として、相談をしたときに、紛争解決までというところが理解するというのはすごく難しいなと思ったので、電話とか口頭で話されるより、紙ベースで欲しいなというふうに思いました。
 
 それから、大変興味深かったのが、日本貸金業協会さんのカウンセリング的手法を用いた顧客対応というところなんですが、これで対応することで、何かいい効果があったというところで、具体的にどんな内容なのかというのがちょっと教えていただきたいなというのと、これは別のところでも色々活用ができるのではないかなと、しているのではないかなと思いました。
 
 それから、今回のテーマの迅速かつ誠実なというところで、皆さん本当に丁寧にお話を聞いたりということで、もしかしてそれは普通のことで、より誠実なというところのポイントがありましたら教えていただきたいというふうに思いました。
 
 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、貸金業協会の方から、そのカウンセリングについて。

○遠藤委員
 今、カウンセリング的手法についてということでございますが、これは二十数年前、アメリカの方でクレジットカウンセリングというものがございまして、実際に横浜国大の西村先生がそれを研究され、本を出されるということで、協力をさせていただきまして、当時アメリカに10回ほど渡りまして、アイオワ州立大学、それからジョージア州立大学、オマハの大学などでそのカウンセリングの内容、クレジットにどういうものが聞き取れたらいいのか、お客様が使っているクレジットに対してどういう理解を示しているのかというところで確認をする。それについての家計管理について、どういうふうに指導していけば、というようなことで、企業側につきましては、数社確認をし、それを実際に確認をするために米国の財務省とか、カウンセリング機関などもまいりました。シティバンクなどでその状況などを確認した結果、お客様の内容を誠実に聞き取る内容と、お客様がリラックスをして話せる内容、自分が今どういう状況に陥っているのかをしっかりと自覚させ、今の内容を確認した上で、その方がどういう意向で動かれるのか、自分の行動をどのように思われているかということで、動かすことではなくて、動くことをサポートしていくということです。やれというよりはどう動くことができるかという形で接することで、その方が実際に自分の考えで行動されるので、実効性が高くなる。これがカウンセリング的な手法でございます。
 
 ですから、数回行うことによって、主訴の確認もできますし、実際に実効が促されているということがあります。
 
 これにつきましては、当時この協会ができたときに取り入れるということは当たり前でございますが、その前にクレジットカウンセリング協会の相談員の方々に対しても研修をさせていただいたり、最近では、全国の消費者センターの方への研修、それから、社会福祉協議会などから、困窮者の関係の相談を受けるということで、そのときにどういう受け方をしたらいいかということがあるものですから、その辺のところも各地方ばらばらでございますが、受付けたものをこちらからお伺いをし、大体3時間から4時間程度の研修を1回行う。それから多いところでは3回ぐらい続けて行うといようなことをやらせていただいているものでございます。
 
 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございます。大変興味深い手法のご指摘だったかと思います。最後のご質問について、ちょっと抽象的な感じもしたのですが、何か具体的な、より誠実なという点について、大出委員の方に何か具体的なイメージみたいなものがおありであれば、ご紹介いただいた方がいいかなと思います。

○大出委員
 いや、特にないんですけれども、この表題になっていたので、迅速というのは早めというので、誠実というところは、消費者にとってすごく大事なところで、最終的に満足することが一番誠実な対応だったんだろうなと思うんですけれども、苦情を言うことでファンになるというのはよくあることなので、やっぱり誠実な対応をすることで、消費者にとっては相談してよかったなというふうに思いたいと思います。そうしたときに、普通に丁寧に聞きましたとか、どういう状況かとか、今カウンセリングの話がありましたけれども、本当にその人がどういう気持ちで、相談するというのはすごくハードルが高いことだと思うんですけれども、そういうことを把握するまでにも誠実な対応というのは、何か特別なポイントがありますかということを聞いたんです。普通のこと以上にこういうことを意識して、誠実に対応していますということがありましたら、教えてくださいという質問でした。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 これは、各機関でもしあれば。どうぞ、西村委員。

○大出委員
 すみません。漠然としていて申し訳なく……。

○西村委員
 全国銀行協会です。ありがとうございます。
 
 これも先ほど申し上げたことでもあるんですけれども、銀行から最終的には苦情対応報告という形で書面で紙をいただきます。こちらのところにつきましては、安易な解決としないように個々の事案の記録と我々の認識も照らし合わせまして、本当にこれが解決でいいのか、終了でいいのかというようなところを確認するという点が1点ございます。
 
 また、高齢者のリスク性商品の苦情でよくあるケースなんですけれども、途中で連絡がとれない、もう諦めてしまうというようなケース等もございます。こういった場合につきましては、銀行の了承を得た上で、全銀協相談室の方から高齢者の申出人の方にご連絡をとりまして、今までの交渉経緯とか、これで納得されたんですかというような確認等をするというようなことも行ってございます。
 
 また、苦情申し出段階で銀行につないだときにも、今までずっとこの人とは苦情対応していました、非常にハードネゴシエーターなんですというようなことをおっしゃってなかなか対応されないというようなケースもなくはございません。こういった場合につきましても、指定紛争解決機関に一度苦情が来ているのですから、もう一度連絡をとってくださいというようなことを当方から説得をして、銀行の方に連絡をとっていただく。こういうような対応も行っているところでございます。
 
 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 他にございますでしょうか。
 
 それでは、じゃあ樋山委員、どうぞ。

○樋山委員
 度々で申し訳ありませんが、銀行協会さんのところで、問題事例として受け付けた相談員が喧嘩腰で反論してきたとか、相談者の話を傾聴しようとせずに相談員から一方的に話をされる云々というような特記がございました。
 
 それで、私どもは相談員の団体でございますので、常日頃クレームを受けることを仕事としている団体でございます。それで、ご相談者の方には、本当に一方的におっしゃり、理屈も何もなく非常に感情的になって、初めから感情的になってものをおっしゃる方もいらっしゃいます。
 
 ですから、それぞれのADRの相談員の方もその辺のところは大変苦慮されている部分がおありなのではないかなというふうに推察されるのですけれども、一相談員が何かそういうことが起こったとしても、やはりADR全体として、組織として、多分対応しなければいけないというところがあると思います。それは、そういった場合について、各業界団体さんは、組織としてマニュアル化したものがあるのか、そういった対応をしていらっしゃるのかというところがひとつ気になったものですから、お聞きしたいと思います。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、まず全銀協からお話しいただいた方がいいですね。
 
 西村委員、お願いします。

○西村委員
 ありがとうございます。
 
 今、樋山委員の方からご指摘があったところは、私ども資料2-2の2ページ目に異議事案の問題事例として掲げさせていただいたところをご指摘いただいたものだと思っています。2ページ目の真ん中ぐらいに問題事例として、受け付けた異議の主な内容として、喧嘩腰で反論してきたとか、相談員の対応が銀行寄りだと感じたとかいうようなご指摘をいただきまして、恥を忍んで書いた次第でございます。
 
 当方の枠組みといたしまして、こうした異議事案につきましては、受け付けますと、私どもコンプライアンス部門がございますので、そういったところにおつなぎをします。そして、対応記録は全て電話録音をとっておりますので、異議をコンプライアンス部門で再度聞き直して、どういったところが問題だったのか、これを異議として本当に計上するのかどうかというところを精査をしていただいて、報告を上げる。それは役員まで上がるというような形になってございます。
 
 そして、実際にこうした問題事例が発生した場合につきましては、担当相談員の方を呼びまして、そのときの記録をお互いに聞いて、ここら辺言ったところがよくなかったねということを管理職を含めて相談員と確認をし合うというような対応を行っております。
 
 また、組織としてそういったものをできるだけないようにすると。これは当然あるべき姿だと思っておりますので、研修体制として、先ほども申し上げましたが、金融問題ですとか法律事例等の研修だけではなくて、そもそもの電話対応の研修。色々種々クレーム対応の研修もございますので、そういったところにも積極的に行って、知識、あるいはスキルを学んでくると。こういうような対応を組織としてバックアップして行っている、こういう状況でございます。
 
 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 よろしいでしょうか。
 
 それでは、他にいかがですか。森委員、どうぞ。

○森委員
 先ほど損保協会さんのご紹介の中で15ページになりますけれども、苦情処理から移行する際に、長期にかかった理由の1つとして、紛争解決手続の申立書の記載に時間を要したというようなお話があったんですけれども、やはり紛争解決手続にスムーズに移行できるというためには、そういったところのサポートも必要なのかなというふうに思います。
 
 あと、せっかく相談段階というか、苦情処理段階において、相談員さんとある程度争点整理もし、かつ人間的な信頼関係も築いたものがまたゼロからスタートということになると、またそれによって時間もかかるし労力もかかるし、それは申立人にとっても、同じ説明をまた2回しなければいけないという負担もかかるというようなこともあるかと思うのです。もちろん争点整理については、ある程度書面の引き継ぎというところもあるのかもしれませんが、そうした相談員さんと構築された信頼関係を活かすような仕組みというものもないかなというところで、一応、以前日本ADR協会のシンポジウムの中でもご紹介のあった、例えば、京都府の消費者安心チームというようなところでは、相談員さんが相談を受けた事案があっせん手続に入ったときに、相談員さんは消費者側の補佐人的な役割を果たして、消費者の主張を代わりに言ってあげたりとか、問題点について、自分たちが認識したところを伝えたいというようなことの工夫もされていたりします。ですので、そうした取組みも含めてご検討いただければというのが1つございます。
 
 それと、先ほどのように申立書の記載に苦労するとか、書類の整理に苦労するというようなところについてのものも含め、もし何かそういうものをサポートするような仕組みというものを提供されているような機関がございましたら、ご紹介いただければと思います。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、損保協の方から、まず。

○村田委員
 ありがとうございます。苦情から紛争に手続が移行する場合は、先ほど申し上げましたとおり、書類を記載していただくんですけれども、そこの我々の組織の中には、相談を受ける担当者と紛争の事務局の担当者の間に移行手続きをサポートするという担当者を置いておりまして、書類を送った後、書き方がわからないだとか、そういったところをサポートするような担当者を置いて、スムーズに移行できるような体制はとっております。
 
 ただ、そこもやりとりが少し発生しますので、結果として時間がかかっちゃっているかなというところはございますので、引き続きその辺は注視していきたいと思います。

○山本座長
 ありがとうございます。
 
 他の機関で、何かそういう工夫をされているというようなところはございますか。
 
 よろしいですか。それでは、他に。どうぞ、犬飼委員。

○犬飼委員
 今回ご説明いただいた内容の取組みにつきましては、まず議論のポイントということで金融庁さんにお作りいただいたこの質問事例自体、非常にすばらしいものであると改めて感じております。この内容は、プロアクティブな対応が非常に重要であることを示していると思います。
 
 それに対し、それぞれの指定機関の皆様が誠実に取組みをされた結果として、資料2-2で皆様からただ今ご説明いただいたとおり、非常に充実した内容の説明資料をご披露していただいたということで、私個人的には、極めて感慨深いものがございます。
 
 もちろん、まだまだ色々と改善をしていかなければいけないポイントはあろうかと思いますけれども、私自身過去10年以上金融ADRの研究をやってまいりまして、いわゆる金融ADR法が施行されてからちょうど8年経っていることもあるのですが、ここまで来たのだなという感慨を深く持ちましたし、これは諸外国にも誇れる内容ではないかと感じた次第です。
 
 あと2点付け加えさせていただきます。1点は、先ほどどなたかもおっしゃっておられましたけれども、モンスタークレーマーのような方もいるわけで、そのときに対応する業者さんの中で、先ほど小泉委員もおっしゃっておられましたが、社長や幹部や当該部局の考え方が本来あるべきところから少しずれていた、あるいはおかしい場合など、実際に営業をされる営業職員の方が逆に社内で不当な取扱いをされるリスクもかなりあるのではないかなと感じます。
 
 これは、金融ADRに入ってくる前段階の話もかなりあろうかと思いますが、そういう点で、営業職員の方の誠実さと立場が守られるような仕組みを、将来考える必要が出てくるかもしません。今のところ答えはございませんが、業者サイドをひとくくりにして、「加害者としての業者」みたいなレッテルを張ったような見方は絶対よくないと思います。誠実に営業活動をされておられる方はたくさんいらっしゃると思いますし、そういう方々が社内の事情によって、不当な扱いを受けたり不利益を被ったりすることがあってはいけないと思います。
 
 例えば、社内のコンプライアンス部局で、モンスタークレーマーへの対応に関して、その営業職員の方に、何ら瑕疵がない場合でも、責任をとらされる、あるいは不利益を被ることがあってはいけないわけです。
 
 もう1つ申し上げたかったのは、金融庁の方も以前から非常に重要な取組みをされておられる、いわゆる仮想通貨の業者に関する問題でございますが、仮想通貨--通貨と言っても通貨ではありませんので、本当は通貨と言ってはいけないのだろうと思いますが--その仮想通貨業者の中で、先般仄聞したのですが、自主規制団体、あるいは業界団体を作られるような動きが出ているとのお話も聞いております。せっかくこちらで金融ADRの制度がこれだけ充実したものになっているわけですから、そのときには、こちらの制度についてもきちんと情報を提供していただけるような仕組みが必要ではないかと思われます。どういうふうに具体的に行えばいいのかはわかりませんが、ここまで皆さんのご尽力、ご努力によって金融ADRの制度的な充実が示されているわけですから、そういうことが新たな業界団体にも適用されるようにしていっていただくことが大事だと思います。
 
 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 その点、もし、金融庁の方から何かございましたら。
 
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員
 ただいま犬飼委員からお話しいただきました仮想通貨の業者の自主規制団体というのは、報道でも何度か出ております。今の状況としましては、自主規制団体、これは当局の認定を受けて、しっかりとした自主規制団体として機能するかどうか、認定を受ける必要がありますが、まだ認定という段階には至っていない状況にございます。
 
 これは、過去、仮想通貨の業者が2つの団体をそれぞれ設立をして、それを1本化し、新たな団体を設立するというところまでは合意がなされて、団体は設立されたのですが、まだその中身の体制とか、具体的に自主規制をどうやってルールを作り、なおかつ、それをどうやってモニタリングをしていくのか。まだ、準備途上ということで具体的な認定のところは今至ってはいないという状況でございます。
 
 ただ、私ども金融庁といたしましては、仮想通貨がこれだけ色々と注目を浴び、また、なおかつ、消費者サイドでの色々な不安ですとか懸念も発生しているところ、できるだけ早期にこの体制を作って、自主規制がうまくワークするようにということを業者にはお願いをし、早期の体制整備に向けて慫慂をしているというところでございます。
 
 自主規制団体が認定をされましたら、当然、このADRというところについても考えていく必要があるということと思っておりまして、私ども金融庁としましても、新たな認定団体ができあがったときには、やはりADRというものの重要性、なおかつ、これまで培われてきました色々なベストプラクティスですとかノウハウをきちんとお伝えをして、こういう紛争処理、苦情解決の上でも新たな団体が中核となってワークするように、そこはしっかりと目配せをして、対応していきたいと考えております。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 他にございますでしょうか。坂委員の方から。

○坂委員
 ありがとうございました。感想的なことを1点と、それから質問を2点お願いできればと思います。
 
 まず1点、感想的なところですけれども、今日のテーマの中では、迅速かつ誠実というところで、迅速という点は比較的見えやすいかと思うんですが、誠実というのはなかなか見えにくい面もあろうかと思います。誠実という場合に、苦情相談窓口が誠実に対応するという問題と、それから各会員金融機関における誠実な対応を促すという面と2つあるんだろうと思います。
 
 今日のご報告の中にも少し出ていたかと思うんですけれども、誠実対応という点で言うと、基本的には話をよく聞くことということが前提になろうかと思いますが、ポイントとして2点あるのではないかなという印象を持っております。
 
 1つは、情報格差という点で、これは特に金融機関の方と一般の方との間では前提となっている常識ですとか、前提知識がかなり異なっている場合もありますし、言葉遣いもわかりにくい面というのもあろうかと思います。その間を埋めるということは、是非お願いしたいと思います。
 
 それから、もう1点大事なのは、事実確認ということかと思います。やはり事実確認がどの程度きちんとされているかということが、顧客の方の信頼に反映するところもあろうかと思います。苦情処理段階でどこまでやるかという問題があろうかと思うんですけれども、やはり事実確認を、深度を持ってやっていくということが重要なんではないかと思います。
 
 それから、質問ですけれども、2点。まず1点目ですけれども、今日ご報告の中で、例えば、全銀協さんの方では、苦情相談情報のデータベース化を図られていると。それから、生保協会、損保協会さんの方では、専用のシステムで情報の共有をしているというご報告がありました。この情報の蓄積と共有ということについて、特に意を用いている点といいますか、工夫している点等がもしありましたら教えていただければと思います。それから、結局蓄積される情報というのは、ある種のビッグデータといいますか、ビッグというところまで言っていいかどうかわかりませんが、ある種の貴重なデータの蓄積ということになろうかと思います。もちろん相談対応のあり方について、モニタリングするということがあろうかと思うんですけれども、情報の活用について何か現在あるいは今後工夫といいますか。お考えになっているところがあれば、教えていただければと思います。
 
 それから、もう1点質問ですけれども、保険オンブズマンさんのご報告の中で、苦情相談件数の多いものについては、個々の苦情相談案件の解決だけではなくて、業務改善を求めるような対応もされているというようなご紹介があったかと思います。これは、苦情相談の件数が多いものがあればということになりますけれども、そのような場合に業務改善に向けた動きをすることがあるのかどうなのか。どういった対応がその他の協会さんの方でされているのかと、もしありましたら教えていただければと思います。
 
 以上です。

○山本座長
 2点質問があったかと思います。まずデータの蓄積あるいは活用という観点ですが、全銀協、お願いします。西村委員。

○西村委員
 全銀協でございます。質問ありがとうございます。
 
 私ども苦情データベースを作成しているということを申し上げました。こちらのところは、特に銀行につながっているわけではなくて、私どもの協会のクローズなシステムで、非常にセンシティブな情報を扱っていますので、その情報の管理というのも閉域網で扱っているということで、非常に慎重に扱っているというところがございます。
 
 ここで集積された情報をどう活用しているかという話でございますけれども、私ども研修会というのを年に5回開催してございまして、そちらのところでこういった苦情が増えているですとか、こういった事例がこういったところを変えればそういう苦情が未然に防げるというようなところを情報提供して、銀行の方に改善を促しているというようなことを行っておりまして、その際の重要なファクトとして、そこから情報を吸い上げて作成するというようなことで活用しているということが1点。
 
 あと、私ども、ディスクロージャーの資料を作って、対外的にも公表していますし、銀行さんにも、あるいは消費生活センターさん等にも還元しているというところでございますけれども、こういったところでも実際に増えてきている情報、金融犯罪に関する苦情等が増えていますよとかいうところを拾い出して、トピック的なところを皆さんの方にご周知していると。こういうような対応をしているということでございます。
 
 以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 生保、高橋委員。

○高橋(正)委員
 私ども、苦情関係のシステムは大きく2つございまして、1つは苦情自体を溜めていくシステムです。これ自体は、クローズな環境になってございまして、私どもの中で苦情を管理するためのシステムというのが1つございます。
 
 もう1つございますのは、先ほど、ご説明いたしましたが、私どもの業者、会員会社との間でつなぐシステムがございまして、こちらは私どもから苦情解決依頼を行う際に使っているシステムでございます。このシステムを使うことで、当該会社に、私どものところに寄せられた苦情を転送いたしまして、その中で定期的な報告を受けるということで、苦情解決手続の進捗を確認するシステムが2つ目でございます。
 
 苦情の情報の使い方という意味では、前者の、私どもで苦情を管理するシステムに溜めた情報が活用の対象になるのですが、こちらはやはりディスクロージャー等で私どもに寄せられている苦情の状況を公表するために分析するのが1つでございます。
 
 併せまして、会員会社ごとに苦情データをまとめまして、全体と当該会社との比較というものをできるようにしてございまして、その当該会社には私どもに寄せられた全体の苦情とその会社の苦情の双方をフィードバックすることで、特定の会社の状況を理解していただくという使い方もしてございます。
 
 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、もう1つのご質問の関係では、これは保険オンブズマンについてということでしょうか。他のところで業務改善に関して、どういうふうに対応しているかということですかね。それについては、じゃあどこか。

○坂委員
 今のお話で若干あったかとは。

○山本座長
 そうですよね。他に付け加えていただけるようなことはございますか。
 
 小野委員、どうぞ。

○小野委員
 今の、恐らく私ども以外の方ということだろうと思うんですけれども、前申したことに補足いたしますと、再三私の発言で申し上げましたが、事業者さんとのコミュニケーションといいましょうか。遡れば事実関係ということもありますので、それが第一義なものですので、できるだけ案件ごとにフォローしながら、何がボトルネックになっているのか、何が問題になるのか。あるいはどういう事実なのかと確認しながら行っております。
 
 一般論としましては、データベースも含めまして、データベースといいますと、私ども一般社団法人保険オンブズマンだけのデータにしております。これは個人情報の問題もありますし、秘匿性はプロテクションを掛けておりますけれども、案件によりましては、これ私ども加盟の事業者さんに共通する事柄かもしれないと。私どもが判断した場合は匿名性の情報にしまして、事業者さんにある意味正直言いまして、再発防止策を促すための一方策ではあるんですけれども、こういう事案はこういうことの現象はあるんで、事業者さんにおいて、考え方なりシステムなり、あるいはプロセスを変えるとより理解が早いですよ、より解決行きますよとか、そういったある意味私どもからの再発防止策の提案という意味で、不定期ではあるんですけれども、ニューズレターを適宜案件によって流しておりまして、定期的な会合でもそれは促すような形にしております。
 
 すみません。補足長くなりましたけれども。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、坂委員、よろしいですか。
 
 唯根委員、手を挙げておられましたか。

○唯根委員
 ありがとうございます。NACSの唯根です。
 
 証券・金融商品あっせん相談センターさんの2.で、皆様、各機関様、非常に申出人の内容を真摯に受け止めていただくことについてご説明があったんですが、こちらだけ申出人への説明として、解決できない場合があるとか、相談員は顧客の代理人になれないとか、双方の主張が異なる場合には解決できない場合があるというようなことについて、説明を相談当初になさるというところをしっかり書かれていらっしゃるのですが、他の機関さんも申出人に、最初にご相談があったときにこの辺について、どういうふうに説明の工夫をされたり、出資者の方に伝えていらっしゃるか、もし、ご苦労がある面もあると思うんですけれども、伺えたらと思います。
 
 以上です。

○山本座長
 いかがでしょうか。どうぞ。西村委員。

○西村委員
 全銀協でございます。質問ありがとうございます。
 
 私どももできること、できないことというのは、非常に大きな問題だと思いまして、特に消費者の方が私どもに期待するのというのは、業者に対して指導してくれとか、監督してくれとか、あるいは銀行協会の見解を示せというようなところ等言ってこられる方が多くいらっしゃいます。やはりそういったところは、私ども権能上できませんというところはしっかりと申し上げて、私どもにできるのは、いうならば銀行さんにつないで、誠実な対応を求めるというようなところですということをしっかりと説明していると、こういうところです。
 
 以上です。

○山本座長
 ありがとうございます。
 
 よろしいでしょうか。そろそろ予定されていた時間に到達しつつありますが、どうぞ、樋山委員。

○樋山委員
 すみません。最後にお願いしたいことなんですけれども、私ども消費生活センターでご相談を受けている中では、いわゆる仮想通貨についてのご相談が大変増えております。そういった意味からは、是非金融庁さんにご努力をいただきまして、例えば、次回とかその次ぐらいにこの席に交換業者さんが出席されるようなテンポで、是非ご尽力いただきたいなというお願いが1つでございます。
 
 あと、もう1つは、実は外国人の方が大変増えてきておりまして、私どものセンターにも外国人からのご相談がとても多く入っています。それで、手前味噌なんですが、東京都では韓国語と中国語と英語については同時通訳を交えましてご相談をお受けしているというような工夫をしております。
 
 これから、国の施策としても、外国人をどんどん入れていきましょうということになりまして、金融用語についてはなかなか外国人が理解できない点がございます。そういった意味からは、多分外国人のご相談が今後増えていくのではないかというふうに考えておりまして、そこら辺について、是非業界団体さんとして、これから積極的に何かご検討いただければありがたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○山本座長
 ありがとうございます。
 
 後段の問題は確かに非常に今後間違いなく重要になる点のご指摘だと思いますので、準備をいただきたいというご趣旨かと思います。よろしくお願いします。
 
 他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 
 ありがとうございました。この苦情処理の問題というのは、苦情処理というシステムを持っているというのは、この金融ADRが他のADRと比べて非常に大きな特色だというふうに思っておりますし、件数的にも7、8,000件の件数がある。それに対して紛争処理というのは1,000件ぐらいですから、非常に大きな役割を果たしているというところだと思います。
 
 この金融ADR制度、あるいは金トラ協発足以来、苦情処理のところが業者に丸投げにならないかということが大きな課題として、ずっと追求されてきたところであったかと思います。本日のモニタリングといいますか、フォローアップの状況を伺って、私も犬飼委員などと同じように非常に充実したものになりつつあるということで、感慨深いものがありました。
 
 1点だけ私の意見というか、希望を申し上げれば、恐らくこの苦情処理、各業者それぞれで対応にばらつきがあるんだろうというふうに思っています。
 
 本日の質問の中でも、問題のある業者についての対応ということがあり、それについて、一定の対応をとっていただくということはもちろん必要だろうと思いますが、他方でその苦情の処理について、非常によくやっている。あるいは熱心な事業者というものもあるんだろうというふうには推測します。そういう良い業者のある意味では苦情処理についてのグッドプラクティスみたいなものを業界全体に普及していただくというのもADR機関の重要な役割かなというふうに思っておりますので、是非そういった点についても、既にもうやっておられることも多いかとは思いますけれども、ご配慮をいただければということを最後に希望したいと思います。
 
 それでは、例によって時間が非常になくなってきたわけでありますが、次の議題である金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況。これについては、金融庁の金融サービス利用者相談室長の岡根委員からご説明を受け、引き続きまして、金融ADRの連絡協議会についても事務局からご報告をお願いいたします。
 
 それでは、岡根委員、よろしくお願いいたします。

○岡根委員
 相談室の岡根でございます。よろしくお願いいたします。
 
 資料の3-3をご覧いただきたいと思います。毎回使用している資料でございますけれども、相談件数の推移を四半期ごとにまとめたものでございます。一番上の折れ線グラフを見ていただければと思うんですけれども、この数年は8千件から9千件ぐらいのレンジで相談件数が推移しておりましたけれども、直近の1-3月期、ここでは11,000件というふうに大きく増加をしているところでございます。
 
 この要因につきましては、下段の方に分野別の件数の推移表が出ておりますけれども、先ほど来出ております仮想通貨が大きく増加をしているところでございます。具体的には、仮想通貨交換業者としての登録があるのかないのかといった確認でございますとか、個別業者の業務運営などに関しての相談が多く寄せられているところでございます。1-3月期、大きく増加しておりますけれども、直近の足元を見ている限りでは、このペースで増加をしていくという状況ではないのかなというふうには思っております。
 
 また、仮想通貨以外の投資預金等の相談件数につきましては、概ね横ばいで推移しているところでございます。
 
 以上でございます。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 それでは、事務局の方から、お願いします。

○西原室長
 それでは、お手元の資料4に沿いましてご説明します。
 
 第14回の金融ADR連絡協議会ですけれども、金融ADR業務の評価・改善に向けた各指定機関の指定紛争解決機関の取組みをテーマとしまして、本年3月に開催しまして、ADR業務の評価・改善を図る上で、1つには、提言・諮問機関の提言や利用者アンケートの活用のあり方。2つ目といたしまして、金融ADR業務の自己評価に資する新たな指標値。3つ目としましては、過去の金トラ協の提言を踏まえた業務改善等について、意見交換をお願いしました。
 
 また、第15回につきましては、より迅速かつ誠実な苦情処理手続に求められる指定紛争解決機関の関与をテーマとしまして、本年5月に開催しまして、1つには、業者に対する事情調査や申出人への助言の励行。2つ目としましては、利用者・業者間の交渉状況の把握手法等につきまして、意見交換をお願いしました。
 
 金融ADR連絡協議会に関するご説明は以上です。

○山本座長
 ありがとうございました。
 
 ただいまのご説明等につきまして、何かご意見とかご質問ございますでしょうか。
 
 よろしいでしょうか。
 
 何人かの委員からご指摘があった仮想通貨の問題は、利用者相談の状況からも1つの大きな問題になりつつあるということが明らかになっているかと思います。
 
 それでは、本日はこの程度ということにさせていただきたいと思います。
 
 次回第56回の協議会につきましては、本年12月頃を予定しておりますけれども、詳細については追って事務局の方からご連絡をいただきたいと思います。
 
 それでは、本日の協議会はこれで終了したいと思います。
 
 長時間にわたりまして、熱心なご議論をありがとうございました。

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