第60回金融トラブル連絡調整協議会 議事録

1.日時:

令和3年6月11日(金曜日)10時00分~12時20分

2.場所:

中央合同庁舎第7号館9階 905B会議室(オンライン会議)

○神作座長
 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから第60回金融トラブル連絡調整協議会を開催いたします。

 座長を務めさせていただいております神作でございます。
 皆様方には、御多用のところを御参加いただき、誠にありがとうございます。
 冒頭、事務局より、会合に当たっての事務的な御連絡をしていただきます。それでは、どうかよろしくお願いいたします。

○今西室長
 事務局を務めます、金融庁金融トラブル解決制度推進室の今西でございます。よろしくお願いいたします。

 本日の会合につきましては、新型コロナウイルス感染症対策の観点からオンラインによることとさせていただいております。
 一般傍聴はなしとさせていただき、メディア等の方々には金融庁内部の別室にて傍聴いただいております。議事録は通常どおり作成の上、後日、金融庁のウェブサイトに掲載させていただきます。
 オンラインでございますので、会議中は皆様のお姿がシステムに映りますよう、ビデオ映像機能をオンにした状態で継続いただきますようお願いいたします。その上で、御自身の御発言まではシステムのマイクをミュートに設定したままでお願いいたします。

 事務局より、以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、議事を始めたいと思います。

 本日は、まず、各指定紛争解決機関の業務実施状況につきまして、事務局から御説明をいただきたいと思います。
 また、迅速・円滑な紛争解決手続の提供に向けた取組・工夫につきまして、指定8機関より御説明をお願いしたいと存じます。これらの説明が終わりましたところで、一度、御意見、御質問をいただきたいと考えております。
 次に、金融サービス利用者相談室における相談等の受付状況等、金融ADR連絡協議会の概要につきまして、金融庁金融サービス利用者相談室及び事務局から御説明をいただき、御意見、御質問を頂戴したいと存じます。

 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

○今西室長
 指定紛争解決機関による令和2年度の業務実施状況につきまして、各機関からの報告に基づき作成いたしました資料により御説明いたします。委員の皆様にお送りしております電子媒体番号では01番のファイルで、まず、右肩に資料1-1とございます苦情処理手続実施状況の表を御覧ください。
 表を御覧いただきますと、左手の(1)苦情処理手続件数の左から2番目の項目に当期の受付件数及び前年同期比がございます。その一番下の青色の欄で8機関合計を御覧いただきますと6,499件を受け付けており、前年と比べて9%の減少となっております。新型コロナによる外出自粛に伴う交通事故関連の減少、あるいは上場投資証券の早期償還により損失が発生した事案に係る苦情、これはFINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)でその対応を担われていたものですが、そうしたところでの件数減少などが認められるところです。このほか、全国銀行協会におかれては、外国為替関連等の申出が減少したと聞いております。

 続きまして、電子媒体番号02番のファイルで資料1-2、紛争解決手続実施状況の表を御覧ください。
 先ほどと同じく左手の(1)紛争解決手続件数の一番下、青色の欄で左から2番目のところを御覧いただきますと8機関合計で1,148件を受け付けており、前年と比べて16%の減少となっております。先ほどのFINMAC、全国銀行協会での件数減少などが認められるところでございます。
 続きまして、電子媒体番号03番のファイルで資料1-3に移っていただきたいと思います。表紙の次のファイル、右下にページ数がございますが1ページを御覧いただきますと、苦情処理受付件数の年度ごとでの推移を指定機関別に色分けをいたしております。
 また、ちょっとスクロールしていただきまして、5ページに紛争解決の受付件数がございます。あわせまして、先ほど申し上げたような足元での状況などが概観いただけるところかと思います。
 続きまして、8ページにお進みください。こちらは、本日この後に御議論いただきます紛争解決手続に関しまして、終結までに要した時間の長さ、月数が、8機関合計でございますが色分けで示されております。令和2年度、右側でございますが6か月以上、円の左上のところでございますが、割合、件数とも前年に比べまして大きくなっております。
 また、次のページにスクロールいただきまして9ページでは、手続により和解に至った割合について御覧いただけます。

 事務局からは以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。

 続きまして、迅速・円滑な紛争解決手続の提供に向けた取組・工夫について、各指定機関より御説明をお願いしたいと存じます。
 なお、恐縮ですが、時間との関係で8機関合わせて40分ほどでお願いしたいと存じますので、ポイントと思われるところに焦点を当てつつ御説明いただきますと幸いでございます。
 まず、御説明いただく趣旨等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

○今西室長
 迅速・円滑な紛争解決手続の提供に向けた取組・工夫、この後に指定8機関より報告いただくことになりますが、その趣旨等につきまして、事務局より口頭にて説明させていただきます。

 まず、趣旨でございますが、金融ADR制度が裁判外での簡易・迅速な紛争解決手段を消費者・利用者に提供するものであることも踏まえまして、指定機関におかれましては、それぞれ手続の入口から途上、さらに出口、終結までの標準となる仕組みや必要な体制を用意いたしまして、終結までにかかる時間の長さ、処理期間の目安も設けた上で、利用者の理解にも働きかけつつ、案件の円滑な進捗に向け、取り組んでおられるところでございます。
 一方で、先ほど触れさせていただきましたように処理期間、時間の長さがやや長引く状況も見られておりまして、このところはコロナの中での対応という状況もございます。迅速で円滑な手続進捗に向けた取組、手続の入口段階から手続途上も通じた利用者への所要のインフォメーションなどを通じ、利用者の一層の納得感、信頼感を得ていくことは重要なことと思われます。
 今回の会合におきましては、指定機関における手続の現状や取組状況、今後の方策等についての御報告も踏まえ、議論を深めていただければと考えております。
 御報告は指定8機関にお願いしているところでございますが、その上で有用な取組、利用者の納得感、信頼感に資する対応などにつきまして、指定機関に加えまして本日御参加の皆様方の知見や工夫、御見解を共有することができれば有意義かと思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、指定機関からの御報告で用いられます資料を御紹介いたします。2種類ございます。まず、1種類目がお送りしております電子媒体番号ではR04とさせていただいておりますが、資料の表紙右肩に資料2とあるものでございます。表紙の次の目次で御覧いただけますように、8機関からの提出資料を1つのファイルに順次編綴いたしております。
 内容を御覧いただきますと、左側の着眼点が1番から12番までございまして、これに答える形で各指定機関に記述いただいているものです。さらに8機関それぞれの末尾に参考計数を1枚それぞれ挟んでおります。
 続きまして、2種類目が電子媒体番号では05番及びR06でお送りしているものでございます。資料の右肩に2-1あるいは2-2とあるものです。先ほど御紹介いたしました資料2の内容を4機関ずつ、2-1及び2-2に編綴いたしております。内容を御覧いただきますと、先ほどと同様に左側の着眼点1番から12番に対応した各指定機関の記述がございます。

 資料は以上の2種類でございまして、着眼点及び各指定機関の記述は2種類とも同一でございます。ただしページは異なりますので、資料に基づく御発言に当たりましては、ページではなく着眼点の番号と対象となる指定機関の名称にてお願いできれば幸いでございます。
 また、先ほどお話しした参考計数に掲載されている内容や数字は、各指定機関において着眼点に対応するお答えの中で引用していただいているところですが、参考計数の資料そのものは1種類目としてお話しいたしました資料2、電子媒体番号ではR04のほうでございますが、こちらで各機関ごとの最後のところにとじ込んでおりますので、そちらで御覧ください。

 なお、着眼点にもお目通しをいただきますと、1番、1ポツでは手続にかかる時間の目安、標準処理期間について、2番では手続の入口段階での利用者へのインフォメーション、紛争申出前の相談、苦情申出段階も含めまして、続きまして、3番では手続の途上でのインフォメーション、利用者を孤立させないための取組につきまして、4番では事情聴取等での工夫、5番では案件が増加した際の体制面の工夫と、6番でその実例。続きまして、7番、8番は終結までにかかった時間や体制面との兼ね合いについて、参考計数資料も踏まえました分析、9番は終結までに時間がかかることによる影響と利用者の声、10番は終結までに長くかかった要因などを参考計数資料も踏まえて、さらに11番は利用者に納得感を得る取組、12番はコロナの後も見据えた取組、こういった構成になっております。

 ここまで資料の御紹介でございました。すみません、事務局からは以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、早速でございますけれども各指定機関より御説明をお願いしたいと存じます。はじめに、全国銀行協会の小林委員、お願いできますでしょうか。今回から新たな御参加となります。小林委員、どうかよろしくお願いいたします。

○小林委員
 ありがとうございます。全国銀行協会の小林でございます。先ほど座長から御案内がございましたけれども、今回初めて出席させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 早速ですけれども、資料2に沿って、順に当協会の取組などについて御説明させていただきます。

 まずは着眼点の1番、標準処理期間でございますけれども、6か月から8か月程度ということでございます。
 (2)標準処理期間の定義でございます。こちらに記載のとおり、申立てから適格性審査まで、それから和解契約締結の調印まで、各2か月程度ということでございますけれども、こちらに記載はございませんが若干補足させていただきますと、当協会が標準処理期間と呼んでいるものについては、申立書の受付日、これは事務局が申立人から申立書を受け付けた日でございますけれども、こちらが始まりでございまして、終わりは和解契約書の調印完了でございます。したがいまして、この間に申立てを受理するとか、あとは和解案を提示するといった出来事がございますけれども、ほかの機関さんによっては、もしかするとこの標準処理期間の始まりと終わりが、今日御提出させていただいているものと違うところがあるかなと思いますので補足させていただきます。具体的な申立て受理から和解案の提示までの期間がどのぐらいかと申し上げると、この記載のちょうど真ん中です。適格性審査から事情聴取までで2か月程度というのが当協会の標準処理期間となるかなと思ってございます。
 1番の(2)の御説明は以上でございます。

 ちょっと飛ばしていただいて着眼点の2番、入口段階における利用者様への説明について御説明させていただきます。利用者が紛争解決手続利用の意向を表明した段階で、利用者に対して手続の開始から終了までの標準的な進行について説明資料をお渡しいたしまして、こちらで説明を一律に実施しているということでございます。説明に過不足が生じるといけませんので、チェックシートを活用して説明させていただいております。
 それから、あっせん手続の利用可能性が高いと思われる利用者様に対しては、記載のとおりでございますが、話合いで納得がいかない場合には相談室に是非御連絡をいただきたいとお伝えしておりまして、利用者様があっせん手続を適切に御利用できるように案内することを徹底してございます。
 それから、以上の説明内容については電磁的に記録してございまして、当協会の担当役員まで回付して事後的な検証をしているということでございます。

 次は、またちょっと飛ばさせていただいて、着眼点4番を御覧いただきたいと存じます。4番は前半と後半がございます。前段が説明・主張を十分に把握するための取組・工夫ということでございます。当協会においては、事情聴取に先立ちまして申立書などを踏まえまして適合性の確認とか、商品説明の実施状況、それから説明に対するお客様の理解の状況についての判断の基礎となる情報について、あらかじめ当事者に照会して回答してもらいまして、その情報を委員間で共有するであるとか、あとは事情聴取の当日にも主張の内容について補足して確認して、それから途中で追加質問を行うなどしましてあっせん案の検討を効果的に行っているということでございます。
 以上、御説明のとおり当事者の主張を十分把握するように取り組みながらも、簡易・迅速ということを実現するために、事情聴取については原則として1回とさせていただいておりまして、1回の事情聴取においては、申立人と相手方銀行の双方から数時間をかけて事情聴取を行っているということでございます。

 それから、和解案の論拠の説明でございますけれども、和解案の原案につきましては事情聴取の場で口頭で御提示いたしまして、趣旨をあっせん委員から説明させていただいて、利用者様からの質問をそのときに受け付けて、回答させていただいているということでございます。
 それから、ポイントだけ説明させていただくと着眼点10番で、こちらで、6か月以内にあっせん案を提示していない事案というのを中心に御説明させていただきたいと存じます。10番の資料の3つ目のポツに記載がございますので、そちらを御覧いただきたいのですけれども、①と記載しているのが1点目でございます。新型コロナで事情聴取を延期したというのが最も主要な長期化要因でございます。このような事案についての対処でございますが、手続が長期化しないように事務局でフォローしてございます。例えば体調不良や新型コロナで事情聴取の出席が困難ということであれば、申立人様の自宅付近の会場で事情聴取を開催するといった御提案もさせていただいております。

 ②に記載の事由というのが2点目でございます。利用者の意向を十分に把握して手続を進めるように配慮する結果として、手続期間が若干長くなっているというものがございます。こういった事案を少しでも減らすためには、例えば申立人の請求趣旨が不明確であるような場合もございますけれども、苦情処理の段階で、まずは事前に丁寧にヒアリングするといったこともして配慮してございます。

 着眼点11番でございます。十分に事情聴取を行いながら迅速に和解案を提示するため、当協会においては、答弁書の提出などについて、検討に必要な期間を確保しながらも提出期限を明示してございます。それから、先ほど着眼点4で御説明さしあげましたが、事情聴取に先立ちまして判断に必要となる情報を当事者に照会することによって、効果的に当事者の主張を把握するように努めてございます。

 最後、着眼点12番でございます。迅速かつ納得感ある処理に向けた方策・取組ということでございますけれども、これまでの着眼点で御説明させていただいた取組のほかに、当協会においては本年3月に業務規程等の改正をいたしまして、あっせん委員会関係書類について押印不要、それからペーパーレス化の取扱いというのを可能にしてございます。この取組によりまして書面提出の時間が短縮できるようになったということでございます。
 それから、昨年10月から事情聴取の開催についてウェブ会議システムの運用を開始してございまして、これによって同時に多拠点間で事情聴取を実施することが可能になってございます。高齢者などに対しては、先ほどの繰り返しになりますが自宅近くの施設での事情聴取を御案内することもできるようになってございます。

 途中ちょっと飛び飛びの御説明になりましたけれども、ポイントは以上でございます。

○神作座長
 小林委員、御説明ありがとうございました。
 続きまして、信託協会の西川委員、よろしくお願いいたします。

○西川委員
 西川でございます。よろしくお願いします。
 それでは、資料に沿いまして御報告申し上げます。資料2の8ページ以降でございます。

 まず、着眼点1でございますが、標準処理期間の定めは4か月となってございます。
 その定義でございますが、(2)「申立てを受理したときから原則として4か月以内にあっせん案の策定等を行う」ということになっております。
 業務規程の規定内容を以下に記載しておりますけれども、こちらは省略させていただきます。

 (3)でございます。標準処理期間の利用者、金融機関、紛争解決委員に対する伝達内容及び伝達方法でございます。標準処理期間に関する説明につきましては、紛争解決手続の開始から、期日、終了に当たっての手続の進め方と併せまして、あっせん申立ての意思を利用者が表明したときに、電話または書面によって利用者全員に対して行っているところでございます。
 また、金融機関、紛争解決委員に対しましても、あっせんの申立てがあったことを連絡する際に、電話または書面で標準処理期間に関する説明も併せて行っているところでございます。

 9ページでございます。(4)標準処理期間でございますが、「あっせん申立ての受理から、あっせん案の提示までの期間」とさせていただいています。
 また、あっせん案提示後の手続終結までの期間の進捗管理でございますが、特に具体的な方法を定めておりませんけれども、当協会の場合にはあっせんの事案が少ないということから個別にフォローすることができておりますので、これまでこれで特段の支障が生じたことはございません。
 その下、2.の紛争解決手続の仕組み・進め方・所要期間等に関する、入口段階における利用者への説明でございます。利用者が紛争解決手続利用の意向を表明した段階で、信託相談所から利用者に対しまして、事案手数料の説明、開始から終了に至るまでの標準的な進行等に関する事項を記載した説明資料を交付しまして、手続の説明を行っているところでございます。また、当協会のウェブサイトにもパンフレット等、あるいはFAQなどを掲示しておりまして、そちらでも説明しております。また、顧客から質問がありましたら、適宜回答しているというところでございます。

 2.の一番下の「さらに」で始まるところですが、相談・苦情段階における紛争解決手続の案内・見通し等につきましては、規程上は苦情の申立人から、申出から2か月以上にわたって苦情の解決が図られていないといった申立てを受けたときに、そういった紛争解決手続の利用が可能であるということを説明し、利用申込みに関する申出人の意思を確認するということになっております。「申出を受けたとき」ということで、ある程度受け身の対応として規定されているところでございますが、個々の事案によりましては、苦情の申出人からの申出を待たずに、適宜相談員の判断で説明を行うなど、今後、柔軟な対応を心がけていきたいと考えております。

 10ページの3.でございますが、紛争解決手続のどの段階にあるのかといったことなど、見込みの説明に関する現状の取組み等でございます。利用者に対する手続途上での現状と見通しに関する説明につきましては、実態といたしまして、あっせん委員会の際にあっせん委員から当事者に対してその都度行われており、これで特段問題は生じていないと考えております。ただ、今後はあっせん委員から当事者に対する手続途上での現状と見通しに関する説明が行われないという場合もあり得るため、そうした場合に備え、あらかじめあっせん委員に対しまして、進行上、利用者に対する手続途上の現状と見通しに関する説明を行うことを明示的に求める運用としてまいりたいと考えております。

 4.の紛争解決手続の事情聴取における、利用者等の説明・主張を十分に把握するための取組・工夫などでございます。苦情の段階から、私どもでは利用者の主張を十分把握するよう十分に傾聴しておりますので、苦情の段階で解決に至らず、あっせんが申立てられた事案につきましても、その相談の段階で、既に申立人の主張については十分理解できるということができているということが通常であり、特に面談によって事情聴取を行う必要性を感じたことはありません。そのような事情から、特段再度の面談要請なども受けたことはないというのが現状です。

 5.の紛争解決手続案件の増加による対応体制でございますが、令和2年度の紛争解決委員1人当たりの紛争手続処理件数の平均は1回程度、あるいはそれを下回る状況であり、近年の状況も同じ状況です。特に滞りもなく行えていることから、妥当な水準であるかと考えております。

 6.の紛争解決手続の対象事案が特に著しく特定の時期に増加した状況においての工夫などですが、当協会では、もともとあっせん事案の件数が少ないということがあり、特に件数が増加して困ったということがなかったというのが現状であり、そのための特段の工夫・取組に該当することは今まで行われてきていない状況でございます。

 11ページの7.の紛争解決業務の終結に要した期間別での、件数・構成比等、特徴・傾向に関する、令和2年度から28年度、令和2年度と前年度を対象とした分析です。当機関におきましては、ここ5年の終結までの期間においては、原則どおり対応できているという状況であり、また、令和2年度上期と前年度同期の計数を比較しても、おおむね前年並みであり、特に苦情や紛争が増加しているという傾向は、格別にはないと考えております。

 8.の紛争解決手続における担当の平均処理件数などを踏まえた、体制面での現状評価と課題、今後の方策です。令和2年度の紛争解決委員1人当たりの紛争解決手続処理件数の平均は、1回程度あるいはそれ以下であり、近年も同様の水準ですので、その面では特に問題はないと考えてございます。

 9.の紛争解決手続が長期間となった場合の影響ですが、現状は、いずれも長期化に伴う問題点等の指摘はなく、これまでは特に大きな問題がなかったと考えおります。

 12ページの10.の令和2年度の紛争解決手続の処理期間の状況、紛争解決手続が長期間となった事案の長期化の事由ですが、令和2年度に終結した事案は1件であり、これも標準処理期間内に解決、処理されて、和解に至っているという状況です。ただし、新型コロナの拡大によりまして、申立人の希望であっせん委員会の期日が延期となるというケースが生じております。あっせん委員会はウェブで開催することも可能な体制となっておりますが、申立人がウェブ開催に消極的であることが多く、今後、そのような場合には、標準処理期間内に紛争を処理することが難しくなるケースが出てくることが想定されております。

 11.の利用者等の納得感を得て手続等を終結する上で有用な手続管理の在り方、今後の方策です。
 まず、あっせん委員会の際に、利用者の主張を十分ヒアリングする時間を確保すること。また、実態上、あっせん委員から当事者に対しまして、手続途上での現状と見通しに関する説明が都度行われておりますが、この際、当事者が次回以降のスケジュールを明確に見通せるよう配慮すること。また、次回のあっせん委員会開催に向けて、当事者が行うべき事項があれば、可能な限りそれに期限を設けること。あっせん委員から当事者に対する手続途上での現状と見通しに関する説明が行われない場合に備え、進行上、それを確保するとともに、例えば当事者から関係書類を提出してもらう場合には、その提出期限を明確に設けること。こうしたことを進行上確保することにより、この期限を守らない場合には速やかに督促できる状況にしていくよう対応することを考えております。

 12.の紛争解決手続事案の迅速かつ納得感ある処理に向けた方策・取組については、緊急事態宣言の影響により、あっせん委員会の開催を延期した事案もあったことから、申出人が希望するかどうかにもよりますが、あっせん委員会のウェブ開催も具体的に視野に入れて、具体的な運営についてあらかじめ検討したいと考えておりまして、検討に着手しているところです。
 また、和解・手続終結の底上げの観点からは、あっせん委員会を開催する都度、進行上、申立人・相手方とも互譲の精神に基づいて解決を図るよう要請することに努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、生命保険協会の高橋委員、御説明、よろしくお願いいたします。

○高橋委員
 高橋でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、1の標準処理期間の定めですが、原則として4か月以内としてございます。
 (2)の標準処理期間の定義としましては、業務規程において、裁定開始決定時を始期、裁定手続終了日を終期としてございます。
 (3)の標準処理期間の伝達方法ですが、まず、利用者に対しましては、裁定申立書用紙を送付する際に、手続の開始から終了に至るまでの流れを記載した手引きを一律に同封し、その中で手続期間、これは実際に手続に要する時間の平均処理期間として「平均すると約5か月間」と記載してございます。また、苦情対応時も含め、利用者から個別の問合せを受けた場合には、相談員または事務局の担当者より、業務規程上の標準処理期間と実際の平均処理期間の説明を行っております。
 さらに、一番下になりますけれども、紛争解決委員には、全委員が集まる全体会で、年2回、半期ごとに審理状況の確認を行っておりまして、その際に、標準処理期間及び審理スタンスの確認を行っております。
 (4)標準処理期間の終期でございますが、資料に記載のとおり、例えば和解が成立し和解契約を締結した場合には和解契約締結日を終期とし、また、3つ目になりますが、和解による解決の見込みがなく裁定手続を終了した場合につきましては、裁定結果の提示を行った日を終期としております。
 事案管理方法につきましては、資料記載の手続終結まで、事案ごとに進捗管理表を作成しており、書面のやり取りや事情聴取の実施状況など、全ての手続を一覧にして管理しております。また、これは事務局だけではなく、部会開催ごとに紛争解決委員も含めて事案の状況確認を行い、手続疎漏ですとか遅延が生じないように対応しております。

 2の手続開始時の利用者への説明ですが、相談・苦情段階においては、苦情処理手続の案内後、次のステップの説明が求められた場合、あるいは相談員が必要と判断した場合に紛争解決手続について案内を行っております。なお、紛争解決手続の案内のタイミングは、申出時の利用者の状況や申出内容を踏まえて判断しております。
 その後、利用者から紛争解決手続への移行意思が示された後には、利用者に対して裁定申立書用紙を送付する際に手引きで説明するほか、個別の問合せを受けた場合には担当者より説明を行っております。

 次に、3番の手続途上での説明につきましては、利用者から問合せを受けた場合には、適宜審理状況や今後予定している手続について説明を行いますが、以前、利用者アンケートにおきまして、「手続の進捗状況を教えてほしかった」との意見もあったことから、一定期間、申立人に対して何ら手続に関するやり取りを行っていない場合には、事務局より、電話もしくは書面にて審理状況をこちらから報告するということとしております。

 4番目の事情聴取における主張把握につきましては、事情聴取は、利用者が希望しない場合を除き、原則として全事案で実施しております。令和2年度の実績では事情聴取実績は83%となっております。また、運営においては、紛争解決委員との質疑の後に、必ず自由発言の時間を設けることとしており、十分に自己の主張を尽くせるよう配慮してございます。
 再度の面談要請への対応につきましては、個別事案ごとに紛争解決委員が判断しておりますが、先ほど御説明いたしましたとおり、事情聴取においては十分に主張を確認していることから、再度の面談要請はごくまれとなっております。

 次に、5番目の紛争解決手続案件の増加への対応でございますが、これまで部会の増設、あるいは臨時部会の開催、テレビ会議機器の導入・追加、補佐弁護士制度の導入など、審理の効率化のための施策を講じてまいりました。とりわけ、特定の時期に事案が増加した場合には、6番に記載のとおり、原則として月2回開催しております部会に加えまして、臨時部会を開催することにより手続の遅延を防止してまいりました。

 少し飛びまして、8になりますが、平均処理件数は、1部会当たりおおむね年間約50件、平均処理時間は平成29年度、平成30年度では5.5か月でございましたが、直近2年間では5.1か月と短縮してございまして、和解率はおおむね30%程度で推移してございます。
 平均処理期間や和解率の状況あるいは推移につきましては、年に2回、第三者機関であります裁定諮問委員会に報告しております。これまで裁定諮問委員会の委員からは、「裁定型であれば事実確認のため、ある程度の時間がかかることはやむを得ない」、また「短期間で処理できるのであればそれが望ましいが、調べを尽くせる部分は尽くした上で結論を出すことにより満足感を得られる」と、このように一定の時間をかけてでも丁寧な審理を行うべきとの意見も示されております。

 次は9番目になります。紛争解決手続が長期化した際の影響でございますが、簡易迅速というADRのメリットが損なわれるほか、長期化することにより利用者や、あるいは私どもの事務担当者の精神的な負担も長期化するということも考えられますので、審理が滞らないように努めてまいります。

 次に、10番、令和2年度の処理状況、長期化要因ですが、全体として6か月以上の件数は115件、6か月以上を要した事案が全体の33%を占めておりまして、和解事案では約54%が長期化事案となってございます。
 一番下の丸になりますが、6か月以上の長期化の事由ですが、標準処理期間(4か月)内にあっせん案を提案している事案の2件は、申立人が和解案に対する態度を長期間保留、申立人の利害関係者が多数存在し、和解契約書の作成に時間を要したと、このような申立人側の事由によって長期化したものでございました。

 20ページになりますが、標準処理期間(4か月)以内にあっせん案を提示していない事案113件は、個別には様々な事由がございますが、主には緊急事態宣言による部会期日及び事情聴取の延期、申立人もしくは金融機関の主張書面・証拠・和解案の諾否回答等の提出遅延、主張整理、証拠資料や医事記録の取り寄せなど、丁寧かつ慎重な審理の実施といった事由によって長期化したものでございます。
 対応といたしましては、期日を延期した場合には審理状況を踏まえた臨時部会の開催により審理遅延を防止すること、また主張書面等の提出遅延につきましては、回答期限の明示のほか、個別事情も踏まえつつ、期限管理の徹底を図る、案内・説明の徹底を継続していくということでございます。
 また、丁寧かつ慎重な審理につきましては、個別事情を踏まえた納得感ある解決を図るため継続しつつ、ただいま申し上げました対応も並行して行ってまいりたいと考えております。

 11番の納得感を得て手続を終了させるための方策ですが、書面のやり取りに加えまして、事情聴取は原則として全事案で実施しており、その際には、先ほども御説明しましたとおり必ず自由発言の時間を設け、十分に自己の主張を尽くせるように配慮してまいります。なお、申立人・保険会社からの主張書面の提出があった場合には、必ず反論の機会を与えるということも行っております。
 また、申立人においては裁定申立書の提出、保険会社においては答弁書の提出時点といった当初の段階で、手持ちの証拠資料を可能な限り全て提出するよう、申立人に対しましては「『裁定申立書』作成・提出にあたって」という冊子において、また保険会社には答弁書の提出を要請する際に証拠資料を例示することにより、必要な書類の確認を手続の早い段階で漏れなく行い、かつ手続開始後の資料の追加提出要請が最小限となるよう努めております。

 最後に、12の今後の方向性でございますが、処理期間については、今後も半期ごとに裁定審査会全体会で確認するほか、第三者機関である裁定諮問委員会に状況報告を行うことで検証を受けることとしたいと考えております。審理期間が著しく延びるような状況になった場合には、臨時部会の開催のほか、部会増設などの体制強化を検討する一方、個別事情を踏まえた柔軟な解決を行うという基本的な審理スタンスは変更せず、引き続き、原則として全事案で事情聴取を実施するなど、丁寧な審理を継続してまいります。

 説明は以上でございます。

○神作座長
 御説明、ありがとうございました。
 続きまして、日本損害保険協会の森脇委員から御説明をお願いいたします。

○森脇委員
 損保協会の森脇でございます。よろしくお願いいたします。

 資料2の23ページの御説明となります。初めに、1の標準処理期間についてですが、(1)と(2)に記載のとおり、当センターの標準処理期間は申立てを受けた日から和解案を作成するまでの期間で、業務規程におきまして4か月と定めております。

 次に、2番、入口段階における利用者への説明についてですが、苦情の段階で苦情処理手続と紛争解決手続の双方による解決方法があることを説明しております。また、苦情処理手続を経ずに紛争解決手続を希望される場合にも、手続などについて御案内しているところでございます。

 3番、手続途上での見通しに関する利用者への説明についてですが、申立人から問合せを受けた場合には、事務局から現在の手続段階について説明を行っております。終結時期については、一般的な説明は行いますが、手続実施委員の判断・進行によることとなる旨を伝えております。

 続きまして、4番、意見聴取における主張を十分に把握するための取組・工夫についてですが、意見聴取に先立ち、申立人提出書類を精査して、聴取する事項をあらかじめ整理することで漏れなく主張を確認するということにつなげております。
 また、再度の面談要請を受けた場合には、手続実施委員が必要性を判断の上、実施いたします。
 和解案の論拠となる証拠資料に関する説明要請があった場合には、利用者及び保険会社双方から提出された反論書・答弁書を精査して、意見聴取の内容も踏まえた上で和解案を提示している旨の説明を行っております。

 5番、案件の増加、及び6番、著しく特定の時期に事案が増加した場合の対応についてですが、センター発足以降、申立件数の増加に応じて審査会を増やしており、最近の審査会や委員の平均処理件数などを踏まえると、件数の増加には一定対応可能というふうに考えております。これまで特定の時期に著しく事案が増加したようなケースはなく、また新型コロナの拡大による著しい事案の増加も見られませんので、必要に応じて審査会の開催頻度、あるいは審議方法などを工夫しながら対応してまいりたいと考えております。

 7番、期間別の分析についてですが、まず(1)の令和2年度から平成28年度につきましては、終結期間はおおむね5か月程度ということでありまして、和解率も4割強で推移しております。傾向に大きな変化は見られません。
 (2)令和2年度と前年度につきましては、令和2年度は新型コロナの感染拡大によります緊急事態宣言の発出に伴いまして審査会の開催を延期したり、申立人の希望によりまして意見聴取を延期した影響で長期化の傾向が見られます。

 8番、平均処理件数や期間等を踏まえた体制ですが、平均処理件数は資料に記載のとおり区分によって異なっておりまして、全体としてこの傾向に変化はございません。処理期間ですとか和解率は個々の事案の性質による部分が大きいものの、約6割以上が6か月未満で解決しており、和解率についても4割強で安定的に推移しているところでございます。

 1つ飛んで10番、長期化事由と取組についてですが、例えば過失割合や賠償額など争点が絞られる場合には比較的短期に解決する傾向がありますが、損害の程度や範囲の特定のために第三者機関に調査を委託するケースや、当事者双方の主張が多岐にわたるケースでは複数回にわたって意見聴取を実施するため、長期化することがあります。
 令和2年度は、4月から5月の緊急事態宣言下では、審査会や意見聴取を延期したことなどが影響して長期化しておりますが、宣言解除後は通常の運営体制に戻っているため、年度末では受付件数、終了件数とも前年度並みというふうになってございます。
 11番、迅速な解決に向けた手続管理についてですが、処理期間の長短にかかわらず、必要な手続が実施されていることをきちんと検証しながら丁寧に進めているところでございます。また、答弁書提出までの期間が長期化するような場合には、保険会社に状況の確認等を行っております。

 最後に12番、迅速かつ納得感のある処理に向けた体制の工夫についてですが、非対面によります意見聴取の推進に向けまして、現在使用しているテレビ会議システムに加えて、5月に電話会議システムを導入したところでございます。今後、ODRの流れなども踏まえながら、関係書類の電子化等の検討を行ってまいりたいと考えております。

 私からの御説明は以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、保険オンブズマンの小野委員、御説明をお願いいたします。

○小野委員
 それでは、一般社団法人保険オンブズマン、小野でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、本日のテーマであります迅速・円滑な紛争解決手続の提供に向けた取組・工夫ということで、資料2、私どものページで申し上げますと30ページ以降を御覧いただきながらお聞きいただければと思います。座長の神作先生から1機関当たり5分というお話でございますので、できる限り簡潔に申し上げたいと思っています。

 まず、全体的な流れで申し上げますと、私どもの場合、標準処理期間、これは8週間、2か月をめどとしておりまして、その起算点といいましょうか、起算日は申立者から申立てを受けた、紛争解決依頼の申立てを受けてからという、これは書面もしくはメール等で頂くのですけれども、その日から、最終的には和解案の作成を行って提示するという期間というふうに考えております。
 この旨は、申立者、利用者の方には、先ほど申しました紛争解決申立書、これを受理し、それをお受けした時点で文書でも御説明しております。それから、事業者には、私どもと手続契約を交わすときにこの点は確認かつ周知しております。紛争解決委員の方は、それぞれ就任時にその旨を周知徹底しているところでございます。

 この趣旨は、私ども、当法人設立以来変わっていないのですけれども、金融ADR制度の趣旨に鑑みまして、できるだけ迅速、簡便にといいましょうか、司法機関に代わる和解なり、利用者の合意をみるというような過程をつくりたいという趣旨で、当初より8週間としております。
 もう一つは、これは度々この場でも申し上げておりますけれども、私どもの場合はいわゆる苦情前置方式という形で、利用者からの御相談を含めた形でのお話を承っております。ということは、紛争解決に至る案件をいただきましても、ほとんどの場合、もう事前に苦情処理の段階でその案件の内容なり事実確認なりがある程度済んでいるということもございますので、できるだけここは短い期間で和解までたどり着けるようなプロセスにしたいと思っております。

 ただ、私どもの場合、もちろん迅速が第一なのですけれども、かといって、標準処理期間があるがゆえに、その期限が迫っているときに、本来尽くすべき丁寧な和解に至る過程・プロセス、業務、これを省くとか、はしょるとか、そういうことはもちろん本末転倒でございますので、むしろそちらは十分に配慮しつつ、できる限り標準処理期間の和解案の提示というのを目指しております。ただ、これもガイドラインでございまして、ある程度案件によってはディレイといいましょうか、案件が長引くケースも出てきます。
 今後についても、私どもの考え方としてはこれをさらに短縮、つまり標準処理期間より延びた場合の処理といいましょうか、できるだけ早くすることの方策の1つとしまして、特に申立者というより事業者に対してなのですけれども、証拠書面なり関係する書面の提出、あるいは説明というものを求めるわけですが、これも確かに重要なのですけれども、事業者側としてはその入手にちょっと時間がかかるとか、あるいは傷害保険のような場合ですと、担当された医師の方、医療機関の方の説明なり評価なり確認というのもそれ相応の時間がかかるということもございますものですから、事情はあるのですけれども、できる限りそこは早めに御提示いただいて、早い期間の和解案の提示に至りたいと思っております。

 これが全体を通じた本日のテーマのお伝えする内容ではございますけれども、残りました時間で、資料に沿いまして主立った点だけは追加の御説明をしたいと思います。
 まず、ここにございます着眼点で申し上げますと、この中で案件が増えたときにどうするかという着眼点もありますけれども、当法人の場合は、何か案件が特に集中して著増して、そこの処理に時間がかかったということは幸いにして起きておりません。
 なおかつ、例えば今回のコロナによりまして調停委員なり、あるいは業務そのものが時間的に顕著に滞ったということもございません。逆にオンラインにより調停委員なり、申立者、事業者との連絡もしておりますので、特段その意味の悪い影響は出ていなくて、従来どおりの処理、あるいは業務遂行ができていると認識しております。

 あと、先ほども申しましたけど、今後につきましては、私ども、事業者に対しては最初の証拠書類の提出を、一応4週間をめどとしてお願いしたりしているのですけれども、案件によりましては、先ほど申しましたように苦情処理の段階からある程度状況が分かっているところもございますので、それをできるだけ前倒しで私どものほうにお出しいただき、調停委員会にかけるという形の努力をしたいと思います。当然その処置に伴いまして、私どもの工程管理といいましょうか、小まめな管理、徴求の要求、あるいはその整理なり確認というのもより高い頻度で行っていただく、あるいは行うということで考えております。
 以上でございます。

○神作座長
 御説明ありがとうございました。
 続きまして、日本少額短期保険協会の大槻委員に御説明をお願いしたいと存じます。大槻委員には、今回から新たに御参加いただきます。どうかよろしくお願いいたします。

○大槻委員
 皆さん、こんにちは。少額短期保険協会の大槻でございます。今回からよろしくお願いいたします。
 それでは、資料に基づきまして、着眼点に沿ってお話をさせていただきます。

 まず、着眼点1の(1)、(2)でございますけれども、業務規程上、標準処理期間を、裁定開始を決定したときを始期としまして、裁定結果の提示をしたとき、これを4か月としておりますけれども、こういった規程で運用しております。
 それから、着眼点の1の(3)標準処理期間の伝達でございます。当機関の相談員の方は、お二人ともベテランの相談員の方が全ての利用者に対して丁寧に御対応いただいているところでございます。標準処理期間の伝達につきましては、まず苦情申立ての段階で御説明しまして、今後の全体的な流れを御理解いただいております。その上で、紛争解決に移行する場合につきましては、申立書類の提出要請を行う際に、業務規程及びADR案内を送付し、確認いただくということをしております。こういった取組でございますが、2人のベテランの相談員がしっかりやっていただいていますので、利用者アンケートでも問題や指摘は全くないという状況でございます。

 それから、1の(4)進捗管理を含めまして、標準処理期間は裁定開始から裁定結果の提示としておりますけれども、確実な、そして円滑な対応を実現するために、進捗管理としましては申立書を受領したときから終結、つまり和解案が履行されたときまでとして管理しております。
 具体的に申し上げますと、裁定提示日から業者の受託意思の確認日、終了日等5段階のプロセスで行程管理をしているというところでございます。
 それから2番目です。手続当初のインフォメーションということでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり苦情受付時に今後の流れを利用者に御説明いただいておりますが、紛争解決手続へ移行した場合も、この5段階の管理と各プロセスでの利用者への説明が行われておりまして、この適切かどうかということにつきましては、私も参加しておりますが2週間に1回打合せ会を実施しております。また、両相談員につきましては毎週の打合せで確認しているところでございます。また、全体の振り返りとしましては半期に一度、ADRの諮問委員会もございますので、そういった中で管理しているところでございます。

 続きまして、3番目、途上でのインフォメーションということでございます。紛争解決手続のどの段階にあるかということにつきましても、申立書受領の通知書送付、必要に応じた求釈明書への回答書提出、それから裁定委員会開催案内等、都度、都度電話でフォローして、丁寧な御説明をいただいているというところでございます。

 それから4番目、事情聴取時の利用者の主張を十分に把握するという工夫でございますけれども、不足していると思われるケースにつきましては、原則書面ではございますけれども、当事者の意向をしっかり把握するために電話やメールを使いましてきめ細やかに御対応いただいているというところでございます。

 それから5番目、件数増加による体制への負荷というところは、今のところはございません。弁護士3名、それから消費生活相談員3名という体制でございますけれども、現体制での負担はなく、コロナによりましても裁定委員会をオンライン化して運営しておりまして、裁定委員の皆さんもオンライン化が進んでいるという状況でございますので迅速に対応できているというところでございます。

 それから、6番目です。特定の時期に特に著しく事案が増加した場合の対応です。ここは個別の対応というよりも、全体の取組について御説明させていただきますと、これは以前にも御説明させていただいておりますけれども、少額短期保険協会自体が新たに起業する保険のスタートアップ企業集団という性質もありまして、お客様のニーズに応える新しい商品を開発していくということが真骨頂でございます。したがいまして、お二人の相談員の方は常に商品研究していただいて、御努力いただいて対応いただいているというところでございます。

 そんな中で、例えば2019年の下期であれば費用保険に関わる苦情・紛争が増加する時期が一定ございましたけれども、ここに対しても、例えば費用保険の苦情・紛争が増加した会社に対しては、相談員自ら経営者あるいは役員に出向いて重要事項の説明の仕方、あるいは支払時の制限がある場合の説明の仕方等々を、社長あるいは役員の方にアドバイスあるいは指摘するというような具体的なアクションを起こしていただいております。
 また、これも以前に御報告しておりますけれども、当協会では年に2回、苦情あるいは紛争に関しての実態につきまして、経営層へのインフォメーションを発行しております。業界全体の苦情・紛争の動向と、それから当該会社に対して、あなたの会社につきましてはどんな苦情が何件ありますよというインフォメーションを経営者宛てに発行しているところでございまして、これによりまして、2020年度の下期におきましては110社中96社が苦情・紛争がゼロになっているということもございます。こういった取組を進めることによって、そもそもの事案の減少をさせていくという取組を継続しているところです。

 それから、7番以降、10番、11番を含めて参考計数への評価も含めて、期間、和解率等につきましてコメントさせていただきます。
 終結件数は年度単位での若干の差はありますけれども、先ほどの費用保険のような事例もありますが、処理期間は令和2年度も93%が6か月以内ということで、おおむね平成29年度以降は90%以上が半年未満という状況でございますし、平均処理月数も2.5か月から3.4か月ということで長期化の傾向もなく、コロナによる顕著な影響もないと理解しておりますし、和解率も大きな変動はないと評価しております。
 長期化するという案件は、例えば令和2年度につきましては2件ございましたけれども、これは本人の体調不良によるもの、それから建設に関わる専門的見知の見解が必要だったというようなことで、いずれも合理的な理由によりまして適正な処理をされているというところでございます。
 迅速化も必要ではございますけれども、事案解決の公平性を保って、御本人の納得感がある、それから了解の下、可能な限り事実の把握、それから専門家の詳細な意見を求めることも必要だと考えておりまして、こういったものには多少時間がかかってもしっかりと対応してきているというところでございます。
 それから、進捗管理等につきましては、先ほど来お話ししたとおり管理表におきましてプロセス管理をしているというところでございますし、データの電子化、あるいは裁定委員会のオンライン化等、迅速化に向けた努力をしているところでございます。
 これらを踏まえまして今後も丁寧な説明をするといったこと、それから利用者の意向・主張をしっかり把握するという努力をしつつ進捗管理もし、それからオンライン化等の工夫もしながら迅速な処理を実現させていきたいということで取り組んでおります。

 御説明は以上でございます。

○神作座長
 大槻委員、御説明ありがとうございました。
 続きまして、証券金融商品あっせん相談センター(FINMAC)の丸野委員に御説明をお願いいたします。丸野委員も今回からの御参加となります。丸野委員、どうかよろしくお願いいたします。

○丸野委員
 FINMACの丸野でございます。今回から参加させていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、着眼点の資料に基づきまして御説明させていただきます。まず、着眼点1、主に標準処理期間に係る部分でございますが、この標準処理期間につきましては、私どもでは4か月と定めております。こちらの根拠ですが、我々の業務規程におきまして、あっせん申立てを受理した日から手続終結まで、これを標準処理期間の4か月ということで考えてございます。
 また、(3)標準処理期間の説明方法などについてですが、まず利用者に対しましては、あっせん手続の開始から終了に至るまでの標準的な手続の進行に関して書面を用いて御説明しております。標準処理期間そのものにつきましては、利用者から御質問をいただければ説明させていただきますけれども、相談員から積極的に説明しているという状況にはございません。金融機関に対しましても同様でございます。
 また、紛争解決委員に対しましては、御就任いただく際に説明させていただくとともに、年に1回開催しております勉強会で周知を図っているところでございます。
 また、(4)の後段の進捗管理でございますけれども、これはまず、担当者ごとにあっせん進捗度チェック表に基づきまして管理しております。また、管理職者があっせん事案を全て網羅的に一覧できるあっせん進捗管理表、これにより進捗管理を二重でチェックを行っているというところでございます。

 続きまして、着眼点2でございます。入口段階における利用者への説明の関係でございます。まず、私どもでは、あっせん制度に関する質問を受けたときは、FINMACのホームページなどを案内し、適宜制度の説明や手続の仕組みなどについて御説明しております。
 利用者からあっせん申立ての意向が示されたときには、相談員は利用者にFINMACのあっせん手続について記載した書面、これは「あっせん申立てをなさる方へ」というものがあるのですけれども、それを郵送させていただいています。これが利用者の方に届いたということを確認してから、その書面に基づきまして項目別に丁寧に利用者が理解できるような説明に努めております。
 あっせん制度の説明の中で、FINMACのあっせんというのは、紛争解決委員の立会いの下、当事者が話し合うことによって解決を目指す制度だということなどを説明させていただいておりまして、そうした制度の性格上、個別事案ごとにあっせんの結果が異なる可能性があることなどに御留意いただきたい旨の説明をさせていただいております。
 また、これらの説明につきましては、実際の説明を行う者以外のほかの相談員または管理職者が傍らで聞いており、説明の適正性の確保に努めております。

 着眼点の3、手続途上での利用者への説明などについてですが、これは申立書の受理、期日設定、答弁書の受理、期日の直前などといった各段階で必ず連絡し、丁寧にフォローするように努めております。

 着眼点4、事情聴取における利用者の説明等を十分に把握するための取組でございます。紛争解決委員は、利用者からあっせん期日を再度設けてほしいという希望があれば、相手方事業者にも確認の上、期日を再設定するなど、できる限り利用者が納得感を得られるように努めております。また、和解案の論拠について説明要請があれば、できる限り丁寧に説明するようにしているところでございます。

 続きまして、着眼点5、こちらが紛争解決手続案件の増加への対応状況、また6番が特定の時期に著しく増加した場合の実際の対応状況ということでございますが、5番で一般的論を書いてございますけれども、私どもとしましては、増加の対策として相談員の増員などの体制強化を行っております。また現状、コロナの拡大によるあっせん事案の増加という状況は見られないと考えております。

 着眼点6でございますが、こちらは私ども、冒頭の事務局の御説明の中でもございましたが、平成30年2月に発生した上場有価証券(VIXインバースETN)の早期償還条項の発動に伴いまして、平成30年と令和元年度にあっせんの件数が急増したということを経験してございます。この際に、できる限り多くのあっせんを迅速に処理するために、工夫を行っております。このあっせんを利用される方が東京とか大阪に限らず特定の地方都市に数多くあったというようなこともありまして、私どもでは全国を9ブロックに分けまして、各地域に最低2名のあっせん委員を任命しているわけなのですけれども、東京は件数も多ございますので任命している人数が多いということもございますので、通常であれば地元のあっせん委員で対応いただくところですが、東京のあっせん委員に地方に応援に行っていただいたといったようなこともしております。
 また、基本的には1日に1事案のあっせんを行うということでしたが、関係者の了解が得られた場合には1日2事案のあっせんを行うというような形で迅速化を図っているところでございます。
 また、当センターの相談員も地方に出張することが多くなりましたので、東京における相談や苦情を受ける人員の不足が生じるということが想定されたため、期間限定で相談員を増員し、対応いたしました。

 続きまして、着眼点7、終結に要した期間別の分析などでございます。まず、こちらのほうでございますが、先ほども申し上げましたように平成30年度から令和元年度につきましては、VIXインバースETNの関係で非常に件数が増大したといったようなこともございまして、終結までに6か月以上かかった案件、それが平成28年度から30年度までは1%以下だったのですけれども、件数の増加によりまして令和2年度には14.5%まで上昇しているといったようなこともございました。しかしながら、こちらは令和2年度につきましてはVIXインバースの影響というよりも、緊急事態宣言が発令されたことによって期日が延期されたことによるものが大きな原因であると考えております。
 (2)の部分でございますけれども、先ほども御説明しましたが新型コロナの拡大による件数の増加というのは見られないという状況でございますが、期日が延びているということ、これの原因といたしましては、申立人からの期日延期の申出、これを原因としまして期日が延びているということがございます。

 着眼点8でございます。こちらは紛争解決の終結件数が、先ほど申し上げましたように30年度から増加しているということに伴いまして、1人当たりの平均処理件数、平均処理期間などが増加しておりますが、要因といたしましては、これはVIXインバースの状況でございます。令和2年度に入りましては、和解率は減少しているのですけれども、こちらはVIXインバースが非常に高い和解率があったということで、全体としての和解率が、VIXインバースの減少によって和解率も減少しているということでございます。
 処理期間につきましては、先ほど来から述べておりますように令和2年度は緊急事態宣言の影響によって期間が延びているという認識でございます。

 続きまして、着眼点9、長期化となった場合の影響などについてです。こちらにつきましては、私どもではあっせん終結後に利用者にアンケートを実施しておりまして、相談員間で共有するとともに、あっせん委員並びに理事会などにフィードバックしているところでございます。このアンケート結果によりますと、8割の利用者から「ちょうどよい」という御回答をいただいておりますけれども、記載のようなコメント、時間がもう少し短ければいいのではないかといったような御意見も頂戴しているところでございます。

 着眼点10でございます。長期化事由の分析でございますが、緊急事態宣言による期日の延期については、申立人が持病や高齢を理由にさらなる期日の延期を申し出る事案が多数あったということでございます。

 着眼点11でございますが、こちらは着眼点1のところでも申し上げましたように担当者ごとのチェック表、また管理者の管理表によって二重のチェックを行っているということでございます。

 着眼点12、迅速かつ納得感のある処理に向けた方策・取組関連でございます。こちらは、あっせん期日における紛争当事者からの事情聴取については、ほぼ対面による方法で実施していますので、緊急事態宣言中のあっせん期日の開催は、利用者の意向を確認し、利用者が期日の延期を希望する場合にあっては、延期する対応を行っておりました。このため、事案処理が長期化することもありますけれども、相談員から利用者に連絡するなど適宜ケアしており、さして深刻な問題にはなっていないと認識しているところでございます。
 対面以外の方法、例えばオンラインによる方法なども考えられますが、この点に関しましては、私どもでは利用者の意向を最大限尊重しつつ、関係当事者にとって最善と思われる方法を柔軟、かつ機動的に対応できるようにしております。

 以上でございます。

○神作座長
 丸野委員、御説明ありがとうございました。
 それでは、最後に日本貸金業協会の森委員、御説明をよろしくお願いいたします。

○森委員
 日本貸金業協会の森と申します。ポイントを絞り、御報告させていただきます。

 資料2の49ページ、紛争解決手続における標準処理期間についての定めですが、規則上、6か月を手続終了の目安としており、ホームページ等で留意事項として記載し、周知するとともに、苦情申立て時、ADR移行時においても、担当者から必ず申立人、相手方双方に分かりやすく説明しております。

 続きまして、50ページ、項番2の利用者への説明の取組ですが、相談・苦情・紛争の利用者に適切な説明を行うために、相談員全員に対して日頃から利用者の主訴を的確に丁寧に聴き取った上で、説明方法など適切な対応を行うように求めており、そのために紛争解決等業務マニュアル等を利用した研修を行いスキルの向上に努めており、相談員が入力した相談内容の回答について、管理者が全件の確認を行い、状況によっては説明時の会話録音を確認し、説明の仕方に問題があればフィードバックを行い個別指導し、相談の質の向上に努めております。
 当然紛争解決手続の説明についても、先に述べた基本的なスキルは持ち合わせており、ポイントを絞った説明と、書面による説明も行っており、説明の終了時には「内容は御理解いただけましたでしょうか」という理解度の確認を行っております。
 また、相談員が自身の相談対応を毎月自己点検し、振り返ることにより、意識して分かりやすい説明に努めるよう心がけ、自己点検は傾向などを分析して全職員が共有し、相談対応の質の向上に努めております。
 また、隔年、外部の評価会社に依頼し、相談員の電話対応、聴き取り方や説明の仕方の一連について客観的評価をしてもらい、その結果については各相談員にフィードバックを行い、適切な対応に心がけております。

 51ページ、項番4の利用者等の説明・主張を把握するための工夫ですが、申立書が提出された場合、事務局と管理職で記載されている内容の主訴を確認した上で申立人へ連絡し、事務局の理解に相違がないことを確認しております。その際、先入観を持たず、相談者の話を遮らずに聴き取ることに心がけております。
 その後、紛争解決委員に申立書、聴取内容を送付し、事務局・紛争解決委員双方で十分な主訴の把握に努めております。

 項番5の案件の増加への対応についてですが、過去10年6か月の年間平均が11件、月に約1件となっております。一番多く受理した2015年については月2件となっていますので、特に特別な対応は行っておりませんが、今後増加した場合、紛争解決委員会に報告し、対応等を検討する予定としております。

 52ページ、項番7の終結に要した期間ですが、54ページの参考資料に記載のとおり、期間内終結は60件中46件、76%が期間内となっており、新型コロナにおいても大きな変化はありませんので、今後も現状を継続した迅速な対応に心がけていきたいと思っております。

 項番8の紛争解決委員、個々の状況ですが、紛争解決委員3名に大きな違いはなく、終了後のアンケートにおいても特段問題になるような意見はいただいておらず、申立人の85%は「分かりやすい」と回答しており、納得感を得ていると考えておりますので、今後も継続した迅速な対応を心がけ、3名の委員とは意見交換会の場を設け、情報の共有にも継続して努めていきたいと考えています。

 53ページの項番11、納得感を得て手続を終結させる上での管理ですが、相談・苦情の相談の段階からカウンセリング的手法を用いた相談対応を基本とし、相談対応を管理しており、当たり前のことかもしれませんが申立人の言い分や主張を遮らず聴き取り、中立な立場での事細かな事情聴取を行い事案を進め、申立人の感情にもやもや感が残らない、納得感のある対応に心がけております。
 また、聴き取りの内容は管理職参加の判定会を行い方向性・見通しを確認するなど管理を行い、迅速な対応を行って納得感につなげております。

 以上で日本貸金業協会の報告を終わります。

○神作座長
 御説明、どうもありがとうございました。
 それでは、ここまでの御説明につきまして、御意見、御質問をお願いしたいと思います。また、消費者機関・団体、あるいは自主規制機関・業界団体の皆様を含め、参考となる取組などを是非御紹介いただければと存じます。
 冒頭に、事務局からこの質疑を進めるに当たっての事務的なお願いがございます。よろしくお願いいたします。

○今西室長
 御発言を希望される際には、オンラインで御参加の方は会議システムのチャット機能により、お名前と所属組織を入力され、それを全員に宛ててお送りください。チャットの初期設定は恐らく全員宛てになっていると思いますので、事務局宛てではなく、そのまま全員宛てでお願いいたします。座長がチャットを確認し、指名なさいますので、御自身の名前をおっしゃっていただいた後、御発言いただければと思います。ミュートの扱いにつきましては、引き続きよろしくお願いいたします。
 
以上です。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、御発言、どうかよろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。
 全国消費者団体連合会の大出様、御発言をお願いいたします。

○大出委員
 全国消団連の大出と申します。皆様、説明ありがとうございました。とても丁寧に対応されている内容がとてもよく分かりました。

 1つ質問なのですけれども、全国銀行協会のところで6ページのところです。時間短縮になるというところでペーパーレスという記載があったのですけれども、そのペーパーレスというところは内部資料のことなのでしょうか、ちょっとよく分からなかったのですが、利用者にとってもペーパーレスというのをしていくということなのか、ということをお聞きしたいです。
 それで、もし利用者にもペーパーレスを推進していくということを考えているのであれば、利便性というのももちろんあるのですけれども、デメリットとしてどのようなものがあるかということについても、3月なのでまだ始まったばかりだと思うのですけれども、利用者の感想とかがありましたらお願いします。
 それに関連して、損保協会さんもODRの流れを踏まえて関係書類の電子化というのを検討されているということなのですけれども、そこも同じような内容になるということなのでしょうか、2点の質問です。お願いいたします。

○神作座長
 どうもありがとうございました。書類の電子化につきまして、利用者にも求めるかどうかについて、デメリットも含めて御質問がございましたけれども、これにお答えいただけますでしょうか。

○小林委員
 全国銀行協会の小林でございます。発言させていただいてよろしいでしょうか。

○神作座長
 お願いいたします。

○小林委員
 かしこまりました。

 御質問ありがとうございます。まず、1点目、利用者にとってもペーパーレスかということでございますけれども、現状、先行して、まずは相手方の金融機関との間のペーパーレスを推進しているところでございます。具体的には、利用者様から申立書を頂くと、まず銀行側に答弁書を作成してもらいます。この答弁書をまずはペーパーレスで、PDFファイルにして私どもに提出してもらうところをペーパーレスにしているということでございます。
 一方で、利用者様についてですけれども、現状の取組としては、私どものウェブサイトであっせんの手続などについて情報を見ることができるようにしてございますので、そういったサイトを閲覧できる方についてはサイトを御案内して、入口段階での御説明をさせていただいているところでございます。
 提出書類のところなのですけれども、ここはまだ実施実績はございません。今、申立人様から受け取る場合の要件の整理などを私どもで進めさせていただいているところでございます。論点としては、やはり申立人様のITリテラシーのレベル感にも依存すると思いますし、あとはセキュリティーについても十分に対策を講じなければいけないと考えてございますので、その辺りを整理した上でということになろうかと思っております。

 2点目に御質問いただいたデメリットについても、今、最後に申し上げました点がデメリットに当たるかなと感じております。1つはITリテラシーの部分でございます。皆さんがペーパーレスに即時に対応できるような環境をお持ちではないと考えてございますので、そういったお客様、利用者様については、IT環境の状況も確認させていただきながら、現状の紙ベースのやり取り、あとは郵送でのやり取りをさせていただく対応を取っていくことになるかと考えてございます。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 損保協会の森脇様にも同じ御質問が投げられているかと思いますが、森脇委員、お答えいただけますでしょうか。

○森脇委員
 損保協会の森脇でございます。
 私どもは、まだ現状はペーパーベースということでございまして、今後検討していくということで予定しております。検討に当たりましては、ADRの全体のODR化の流れですとか、あるいはほかの機関さん、世の中の状況も参考にさせていただきながら、丁寧に進めていきたいというふうに考えております。
 デメリットにつきましては、やはり御利用される方の環境ですとかITリテラシーの問題、あるいはセキュリティーの状況等も踏まえまして進めていく必要があると思っておりまして、全銀協さんから先ほど御説明ありましたように、一気にということではなくて、まずはできるところから可能な範囲で進めていくということになろうかと考えております。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 大出委員、追加の御質問等はございますでしょうか。

○大出委員
 いえ、ありがとうございました。丁寧に説明していただいて、懸念のところも分かりましたので、慎重に進めていただければと思います。ありがとうございました。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、坂委員、御発言をお願いいたします。

○坂委員
 御報告、ありがとうございました。手続の迅速・円滑、特に納得感がある手続を迅速かつ円滑に行うには、迅速かつ合理的な事実確認・実態把握が、大切と思います。迅速かつ合理的に、当事者双方に適切に情報や資料を提出してもらい、提出された情報や資料を金融専門の紛争解決機関として分析することです。迅速かつ合理的な事実確認・実態把握という観点から、4点ほど質問をさせていただければと思います。

 まず、1点目ですけれども、全銀協様のほうから事情聴取前に当事者に照会を行うという御報告。それから、生保協会様のほうからは答弁書提出時に証拠書類について、必要なものについて例示をするという御紹介がございました。こういった事前の照会、質問や資料提出要請については非常に重要だと思っておりますけれども、これはある程度類型化といいますか、定型化されたものができているのか、あるいは、そういった提出資料の分析・検討についてもある程度定型化・類型化されたものができつつあるのか、その辺りについて可能な範囲で教えていただければと思います。また、定型的なものができている場合には、逆に個別事情の拾い上げの工夫というのも必要になってくるかと思います。ここら辺りについても、もし御教示いただけるところがありましたらお願いします。

 2点目ですけれども、生保協会様から事情聴取につき、自由発言の時間を設けるというお話がございました。この自由発言の効用といいますか効能につきまして、教えていただければと思います。

 3点目ですけども、損保協会様のほうから第三者調査機関の意見を聴取するケースがある、あるいは少額短期保険協会様からは専門家の意見を求めることがあるというお話がございました。こういう第三者機関や専門家の意見を聴くということは、事案によっては非常に重要だと思いますが、もう少しどういったことなのかということを簡単に教えていただければということと、それから、専門家を迅速に見つけて、かつ法律的観点も踏まえた検討をお願いするには、それなりのノウハウも必要かと思います。ここら辺りについて、もしお聞かせいただけることがあればお願いできればと思います。
 長くなってすみません。4点目ですけども、FINMAC様の最近の解決事例を拝見しますと、録音記録を検討した事例というものが少なからずどうも見受けられます。迅速かつ合理的な実態把握という観点からは客観的な証拠・資料である録音記録の合理的な分析・活用というのは1つの重要な課題かと思っております。ここら辺りで何か実績といいますか、そういうことがありましたら教えていただければと思います。

 以上です。よろしくお願いします。

○神作座長
 どうもありがとうございました。4点、御質問いただきました。まず、第1点目につきまして、事前の照会ですとか事前の資料提供につきまして、全銀協と生保協会に対して御質問がなされたと思われます。順次、お答えいただけますでしょうか。

○小林委員
 かしこまりました。それでは、全銀協からまず御回答させていただきたいと存じます。

 1点目、坂委員から頂戴いたしました、事前の照会であるとか資料について、ある程度類型化といったものがあるかということでございます。結論から申し上げると、ある程度ございます。私どものあっせんの典型例といたしましては、例えばリスク性商品についてのあっせんというのがございます。例えば投信だとか、外貨建ての保険だとか、というものでございます。こうしたものについてのあっせんになりますと、着眼点といたしましてはいわゆる適合性の観点での検討と、それから説明義務の観点が重要になってこようかと思っております。
 申立人様からの申立書については、ともすると今申し上げたような2つの観点で十分に主張が尽くされていないものもございますので、事務局から、申立書面を拝見した上で、不足があればそういった論点について追加で御主張いただくお願いをしているところもございます。これは銀行側が策定する答弁書についても同じでございまして、銀行もあまり慣れていない銀行の場合がございまして、今申し上げたような論点が書かれていなければ、その部分について問うていくというのがある程度類型化されている論点かと考えてございます。
 そのほか、個別の案件としては、例えば双方の話を聴いてみて、双方で事実認識がそもそも食い違っているような案件というのもございまして、そこはその案件に応じて、双方の認識に隔たりが大きいところについて、個別に確認させていただくという要領かと思っております。

 御質問へのお答えになっているかどうかあれですけれども、説明は以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、生保協会の高橋委員、お願いできますでしょうか。

○高橋委員
 御説明申し上げます。

 今、御質問いただきましたところですが、私どもではこれまでの事案審理、あるいは経験を踏まえまして、請求内容ごとに必要な書類が大体決まってきています。例えば契約の効力を争う募集時の問題を扱う事案ですとか、あるいは給付金の請求を扱う事案等で使用する資料、検証する資料というのがある程度定型化されていますので、そうしたものについては、保険会社から答弁書を頂戴する際に一式出してくださいということをその段階で依頼しています。
 例えば具体的に申しますと、募集時の事案につきましては、設計書ですとか、あるいは提案書、申込書、重要事項の説明書などの募集時に使う資料一式の提出を依頼してございます。また、給付金の請求等につきましては給付金の請求書、あるいは診断書、場合によっては調査会社に調査をかけている場合がございますので、必要に応じて調査会社の報告書なども提出いただくよう依頼しております。
 個別事案の審理に入っていきますと足りない資料も出てまいりますので、その際には追加での書類提出を依頼しております。目的としましては、必要な書類を早い段階で入手することによって審理を迅速に進めるということで行っているものでございます。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 続けて、2番目の質問につきましても、生保協会の高橋委員、自由発言の機会ですとかそのような機会を設けていることの効用等について御質問があったと思いますので、続けて御回答をお願いできますでしょうか。

○高橋委員
 私どもで実施しております事情聴取ですが、まず進め方を簡単に御説明申し上げますと、私どもの紛争解決委員のほうから事案審理の中で聴きたいことを申立人にまず質問いたします。その質疑応答が終わった後に、言い残したこと、言い足りないことがあればどうぞお話しくださいということでお話ししています。我々が重要だと思っていることと、申立人の方が言いたいことというのは若干違うときがありまして、そういう場合には最後の自由発言の場で言いたいことを全てお話しいただくことで、それも踏まえて紛争解決委員が審理を行いますので、そういう意味では納得感といったものにもつながっているのではなかろうかと考えております。

 以上です。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、3点目の御質問について、第三者機関や専門家の意見について、その具体的な内容や詳細について御質問をいただきました。損保協会の森脇委員、及び少額短期保険協会の大槻委員、順次お答えいただけますでしょうか。もしよろしければ、森脇委員からお願いできますか。

○森脇委員
 損保協会の森脇でございます。
 御質問いただきました第三者機関のところでございますが、損害の範囲ですとか程度について専門的な知見を要するというふうに紛争解決委員が判断しますと、専門的な第三者機関に調査を依頼して、それを踏まえて判断していくと、審議していくという形になります。
 中身というのはどのようなものが事例としてあるのかというところでございますが、例えば地震とか、あるいは風水害の損害が発生したときに、その損害の範囲、あるいは原因が今回の自然災害や地震によって発生したものなのか、あるいは以前の地震で発生していたものなのか、あるいは風水害ということでお話をさせていただきますと、それが今回の風とか雨によって生じた損害なのか、あるいは、例えば自然劣化が関連しているのかといったところなどがございます。
 それと、今度は人のけがということについても事例としてはございまして、例えば後遺障害が生じたといったような場合に、その障害が今回の例えば交通事故によって生じたものなのか、あるいは以前からそれをお持ちであって、それが今回悪化したのかとか、そういった専門的な知見が必要な場合に第三者機関に調査を依頼するということにしております。
 それから、事案によりまして、それぞれの分野に明るい専門機関というのがございますので、第三者機関といいましても1か所に全てお願いするということではなくて、それぞれ専門的な知見を要する分野ごとに調査をお願いしているという状況でございます。

 私からの御説明は以上です。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、大槻委員、お答えいただけますでしょうか。

○大槻委員
 承知しました。少額短期保険協会の大槻でございます。お答えさせていただきます。
 私の御説明の中で、専門家の御意見を聴いたというところかと思います。具体的に申し上げますと、考え方は今の森脇委員のお考えと同様でございますけれども、具体的には、例えば家財の保険、これは賠償責任がついているものでございますけれども、水漏れを起こしてしまったというケースでその範囲とか、あるいは金額とか、こういったことにつきましてそれぞれの御主張はあろうかと思いますけれども、中立的にといいますか公正に判断するために建築家の御意見を伺った上で判断するというようなことがあったり、あるいは森脇委員のお話でも出ましたけれども医療保険の分野で言えば病気と、それから死亡の関係についてどうなのかというようなことでございます。こういったことにつきまして、ある意味セカンドオピニオン的に御意見をいただいた上で評価するといったようなことでございます。
 こういった専門家との関係につきましては、これまでの当機関での各相談員の経験あるいは人脈等から、例えば建築家であったりとかお医者さんであったり、あるいはペットの専門であったりとか、こういった者と提携して御意見をいただくと。当然のことながら業務契約をしっかりと結んで、情報漏えいがないようにという上で進めさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、坂委員からの4つ目の御質問はFINMACに向けられたものと存じます。FINMACの丸野委員、御回答をお願いできますでしょうか。

○丸野委員
 FINMACの丸野でございます。御回答いたします。
 まず、御説明しておきたいのは、私どもは全ての事案で通話録音を確認しているというわけではございません。確認する場合というのは必要に応じてということになりますけれども、より分かりやすく申し上げますと、紛争解決のために通話録音の確認ということが大きなポイントになるというふうにあっせん委員が判断したときに限って録音を確認させていただくというようなことになっております。先ほども申し上げましたように解決のためということが一義的にございますが、あわせて私どもの利用者の方の納得感、これを高めていただくというのが非常に重要だと思っておりますので、もう一つの目的あるいは効果といたしましては、録音を確認させていただくことによって利用者の納得感が高まるというような効果もあろうというようなことで、場合によっては録音を確認させていただいているというところでございます。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 坂委員、御回答いただきましたけれども、追加の御質問等はございますでしょうか。

○坂委員
 いえ、ありがとうございました。手続の迅速・円滑のためには、様々な事実確認・実態把握を実効的にといいますか、効率的に行っていただくことが非常に大事かと思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 続きまして、森下先生、御発言をお願いいたします。

○森下委員
 ありがとうございます。私のほうからは、時間も限られているので意見ということで申し上げたいと思います。
 利用者の方には、迅速に是非進めていただきたいという方もいらっしゃれば、是非話をしっかりと聴いてほしいと思っていらっしゃる方もいらっしゃると思うのです。今日頂いた資料を拝見すると、実際に6か月を経過して和解率が上がっているような紛争解決機関さんもいらっしゃると思います。迅速さという観点からは、手続の流れの中でトータルの時間がどれぐらいに収まるということよりも、やはり時間をかけるべきところはかけ、そうでなくてスピーディなところはスピーディと、一番フラストレーションがたまるのは放置されているという、分からないのに時間がたっているというのがやはり一番の不満の原因になると思いますので、めり張りのある時間の使い方と、小まめな情報提供というのがすごく大事なのかなというような気がいたします。
 他方で、多少時間をかけてもよく話を聴いてほしいというような方もいらっしゃると思うのです。先ほど生保協会さんからのお話で自由発言というようなことで、言いたいことは全部言っていただいて話を聴くような機会を設けているというお話があったと思うのですけれども、ケースロードが非常に過剰ということでなければ、じっくりと話を聴くといったようなタイプ、あまり時間を気にしなくて時間をかけてじっくりと話を聴き、金融機関さんとお客さんの間のお互いの本当にコアなインタレストに合致するような解決策を見いだすというようなものも、裁判ではできないADRの良さなのかなというような気もいたします。
 もう既に工夫されているところもあると思いますし、ある程度やはり定型的に効率的にということもあるとは思うのですけれども、そういった双方を追い求めていただき、もっと柔軟な処理もできるというような形で取り組んでいただけるといいのかなと考えております。

 以上でございます。

○神作座長
 森下先生、貴重な御意見ありがとうございました。
 続きまして、田中委員の代理でメディエーターズより御参加のレゾネイト法律事務所弁護士の川野様、御発言をお願いいたします。

○川野委員
 川野です。今回の資料作成に当たって、各機関の方の御尽力に感謝申し上げます。田中を代理して、幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 まず、1点目は、今回の主たるテーマである迅速・円滑な紛争解決手続の提供というところの関係ですけれども、今ちょうど森下先生からも御指摘があったとおりですけれども、利用者側からすると迅速・円滑であるということと、それが円満な解決というところと必ずしも結びつくわけではないケースもあるだろうというふうに考えてございます。迅速・円滑であるということは双方にとって一定のメリットであることは言うまでもないことですけれども、円満な事案解決のために、場合によっては迅速・円滑さというのはある程度犠牲にしてでも、情報や力関係に格差のある点を踏まえて、機関側で利用者のほうに寄り添って必要なサポートをするという姿勢が重要ではないかと考えてございます。

 今回の御説明の中で保険オンブズマン様からも、標準処理期間が迫っているからといって丁寧な対応をなおざりにするということはないという旨の御説明がありましたし、ほかの機関の方々からも納得感が得られるような配慮をされているという旨の様々な御説明がございました。今回、この報告を全体で見たときの結果としての数値の比較というところについて、期間の長さ自体が数値で表しやすいということで今回の比較検討というような形になってございますけれども、この数字自体が独り歩きして、金融ADRにおいて、手続が早ければそれでよい、というようなイメージが定着してしまうということだけは避けるべきではないかと考えております。
 また、裁判所の調停等でもそうですけれども、当事者の方に強く不満が残る点としては、期間の長さという点よりも、その手続開催の頻度の問題があるではというふうに思います。今回の新型コロナ禍を受けて、特に家事調停については次の期日までの期間がかなり延びてしまっていたという現状もあったように感じておりますけれども、この頻度についてどのように扱うかというところもご検討いただければと思っております。

 それともう1点ですけれども、今後の課題についてコメントいたします。金融ADRのシステム構築時には、イギリスなどで取り入れられております片面的仲裁制度というもの自体は、時期尚早ということで見送られていたというふうに理解しております。
 ただ、今回の生命保険協会さんの資料等にも御指摘がありましたけれども、事業者側のほうで訴訟手続に移行したいというがために金融ADRを終了させたいという希望が出てくるというケースが一定数はあり得るということが、今回の資料でも感じたところであります。そういった事案について、場合によっては弱者たる利用者側を追い詰める結果になるのではないかというような危惧も感じているところです。

 もちろん、訴訟する権利というのは双方の当事者にあるわけでありますので、それを否定するということではないですけれども、やはり片面的仲裁制度がない中でのこの金融ADRシステムにおいて、事業者側が債務不存在確認訴訟を早期に提起したいというようなことで金融ADR終了の主張をするというケースについて、この金融ADRが誕生してからしばらく時間が経過した現時点においてどのように考えるべきなのかということについては、一度検討しておくべきではないのかなというふうに考えてございます。片面的仲裁制度の導入自体はまだ難しいということであるのだとしても、あるいはほかに利用者側の訴訟活動への資金扶助等を含めた様々な支援体制といったことについても今後検討していくべきなのではないかと考えていることについては、コメントとさせていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

○神作座長
 川野様、御意見、どうもありがとうございました。
 続きまして、唯根委員、御発言をお願いいたします。

○唯根委員
 ありがとうございます。NACSの唯根です。時間がないので手短にいたします。各機関の御報告の内容については、詳細な御説明をありがとうございました。大変勉強になりました。
 ただ1点、開始時期の件なのですが、機関によって申立てを受けた日からの換算だったり、それから裁定開始を決定した日からという言い方をなさっている機関などと、ちょっとばらつきがあるということを知りました。それを踏まえて、私が消費者センターの相談員だった時にこの申立書を書くお手伝いをした相談者から手続に関しての苦情を受けたことがございます。こういう手続を利用する方というのは初めての経験だと思います。この申立書を作成するという点で、相談者の方は難しいので諦めようと思うと言われたのです。完成させて提出するまでの期間が含まれているのかいないのか疑問に感じたものですから、この申立書を書くためのアドバイスなり、それから御説明なり、この辺についても是非今後、もしカウントはされていないのであれば御検討いただきたいと思います。申し立てに関する資料提供やホームページでの情報はあるのですが、それを見ただけでは自分がどこまでこれを書けているのか、そういうことが分からない方が非常に多いということを是非知っておいていただければと思います。

 以上です。

○神作座長】  どうもありがとうございました。
 続きまして、沖野先生、御発言をお願いいたします。

○沖野委員】  ありがとうございます。非常に詳細な情報提供や分析をありがとうございました。
 私のほうで、標準処理期間と、それから利用者への説明の点についてコメントさせていただければと思います。
 標準処理期間につきまして、一覧になりました表を拝見しますと、幾つかの機関におかれましてはこれを超えている、それぞれ設定された標準処理期間を超えたものになっているというところが相当の割合ある機関があるように思いました。具体名を申し上げさせていただきますと全国銀行協会、生命保険協会、損害保険協会、保険オンブズマンにおかれましては、かなりの割合がそちらになっているように思われます。
 その場合、その部分をどう評価するかが問題になります。期間だけが問題ではなくて、最終的には利用者の満足度、これを使ってよかったというその満足度と、それから利用の機会を封じないということ、そもそも入口から入らないというようなことにならないようにということが大事ですので、この期間自体を絶対視するものではないのですけれども、それなりに割合があることを考えますと、考えさせられる面があります。例えば全国銀行協会の分析では、むしろ標準処理期間を超えている部分のほうが和解率が圧倒的に高くて、そうしますと、恐らく利用者満足度はむしろそちらのほうが高いのだと思いますけれども、その部分についても、例えば標準処理期間としては、実は8か月程度まで想定されておりますので、多くのケースは大体8か月前後で終わっていると。ただ6か月で切っているためにこのような数値になっているとか、いろいろ事由があるかと思います。
 そこで、それなりにと言いますか、こうした満足度の高い形で、かつそれなりに標準処理期間を超えても早期で終わっているということなのかどうかというような情報もいただければというふうに思ったところです。イレギュラーで本来望ましくないようなものがこのくらいだというような、その内訳みたいなものがあるとよろしいのかなと思いました。
 もう一つは、顧客というか利用者、あるいは潜在的な利用者への情報提供なのですけれども、このシステムに何を期待するかについて、そうはいってもやはり裁判所に行くよりは迅速に解決してもらえるということへの期待はそれなりに高いということがあります。それだけに、裏切られたというような感覚を持つ人が多いということになるのは制度全体としても望ましくないと思いますので適切な情報提供が必要ですけれども、ただ入口のところであまり詳細にいろいろなケースがありますということを言うと、正確かもしれないけれども、あたかも利用を阻害しているような、もうそれならやめましょうかというようなことになりかねないので、非常にそのバランスが難しいと感じたところです。
 そういう点では、入口のときの一般的な情報提供とともに、個別の案件における個々の状況に応じた、そして森下委員がおっしゃったように放置されたと感じないような情報提供が必要なのではないかと思いました。入口のところでは、標準処理期間について具体的に明らかにされているという機関が幾つかあり、また今後明らかにされるというところがありますけれども、それについては、実際の数値からするとそれを超えているものが相当数あるようなときに、説明については注意が必要かなと思った点が1つです。
 期間中の情報提供については、それぞれの機関において既にかなり充実した提供をされていると思うのですけれども、しかしながら、問合せがあれば対応するというものについては、問合せをするというのはやはりしびれを切らして問合せをするとか、そこまではと思って置いておいて、不信感だけ募らせていくということもありますので、問合せがあれば適切に対応することはもとよりとしまして、ある程度の期間がたった後ですとか、イレギュラーな事態が生じたりですとか、そういうときにはイニシアティブを取って情報を提供するというようなものがあってしかるべきではないかと思ったところです。
 さらにその観点からしますと、恐らく内部的な処理としてだと思いますけれども、進捗管理表というのを作られて、内部的に適切な処理がされているかをチェックされているということなのですが、例えばそういった今どういうところにあって、こういったところになっていますというようなものを、利用者のほうにも手元にあってチェックできるとか、あるいはそれが提供されるとか、そういうような仕組みを考えてもいいのかと思いました。もっとも、コストの面もありますし、情報提供として有用でないということもあるかもしれませんので、ただそういったこともアイデアとしては考えられるかと思った次第です。
 長くなりましてすみません。以上です。

○神作座長
 御意見、どうもありがとうございました。
 続きまして、山田委員、お願いいたします。

○山田委員
 本日は大変興味深い御報告、分析をいただきまして大変勉強になりました。ありがとうございます。
 私からは、先生方がおっしゃったことと重なってしまうところも多いのですけれども、3点ほど申し上げたいと思います。
 まず第1には、統計的な観点です。今回話題になりました迅速性との関係では、手続処理期間がどれぐらいなのかということで、終期がいつなのかについては詳細な御議論がありましたけれども、最初に全銀協様がおっしゃいましたように、始期については必ずしも一定していないという印象がございます。
 すなわち、一部の機関においては申立書が事務局に到達した時点を開始としており、ほかの機関においては、それが手続的な要件を満たしているかという適格性審査後の実質的な受理時、あるいは裁定期間の開始決定を始期としているということのようですが、そうしますと、受理までに審査をしている期間により標準期間に差が出るということになりますし、利用者としては、素朴な感覚からしますと申立書を提出したときから解決への期待が生じるだろうと思います。各機関で様々な制度を取っておられ、多様性を維持することがよいと思いますけれども、数字を比べる際には留意が要るのかなと思いました。
 また、すでに言及があったとおりですけれども、成立した事案か否か、打切りがあったのかという結果ごとに期間が異なってくるというのはある意味当然のことでありまして、これとは別に期間を絶対視いたしますと、早々に打切りをしたほうがいいのではないかという極論も出てきかねないという不安もございます。むしろ、手続の中のどの段階でどの程度の時間がかかっていて、そこが当事者の満足度や提供するインフォメーションとの関係で適切なのかどうかという手続内部での内訳も考える必要があるのかなと思います。その意味では、金融ADR機関全体をまとめて数字で議論していくというのは難しい側面があるのかなと、それが統計的な観点です。
 第2に迅速性という観点ですが、これについては3つほど見方があるように思います。1つは、事件類型によるということでして、森下先生が言われたとおりですので省略いたします。
 第2の観点としては心理的な問題で、迅速かどうかは極めて主観的・心理的な問題だろうと思います。今、沖野先生も言われましたが、開始前にこの処理期間を見てどう思うのかということと、そのハードルを乗り越えて手続を開始した当事者にとって処理期間がどう映るのかは別の問題だろうと思います。開始前の方は確かに早いほうが良いということになりますけれども、その際にも期間だけではなくて、例えばどういう結果があり得るのかと、例えば金融ADRは業界型ではありますけれども、結果はこのようであるといったことも併せて提示するということが必要かなと思います。
 他方で、手続開始後の方との関係では、これはやはり手続の充実度ということと迅速性の観念というのは強く関連しているわけでございます。
 手続の段階に係る情報提供については、今日のお話ではFINMACさんがかなりきめ細かな対応をしておられると思いました。これも沖野先生がおっしゃったことと同じですけれども、当事者としては、自分が手続内でどのような地位に置かれているのかについてインフォームドな状態にしてもらうことが手続主体として、客体ではなくて主体としての地位や、手続における戦略を考える上で不可欠の情報だろうと思います。ですので、例えば相手方から書類が出された、答弁書が出された、あるいはあっせん委員会が開かれたといった情報については、問われなくても提供するという実務が非常によろしいのではないかと思いました。
 その点では、例えばオンラインの活用も非常に有用であって、お手紙で一々お知らせするのは大変ですけれども、メールでこういう状況ですとお知らせするところにも活用できるのかなと思いました。
 迅速性について最後の点は結果との関係で、仮に成立すればもちろん満足度は高いと思いますけれども、例えば事実認定をきちんとなさり、その結果が利用者に分かるような形で丁寧に提示されるのであれば、多少時間がかかっても、それはやむを得なかったというふうに考えてもらえるのではないか、と思いました。
 最後に、時間がないので指摘だけですけれども、事情聴取の担当者が事務局の方なのかにもよるのですが、例えば高齢者等多様な方に即した聴き取りの研修といったことをやっていく、今でもやっていらっしゃるのかなと思いますけれども、より進めてやっていただくということが、迅速性自体及び心理面からも非常に重要かなと思いました。
 時間を取りまして申し訳ありません。私からは以上です。

○神作座長
 山田先生、ありがとうございました。
 予定の時間を超過しておりますけれども、もう少し延長することをお許しいただければと思います。大変恐縮ではございますが、簡潔に御発言いただきますと大変幸いに存じます。
全国消費生活相談員協会の渡邊委員、お願いいたします。

○渡邊委員 
 今回から参加させていただきます渡邊です。よろしくお願いいたします。今回の様々な御報告、ありがとうございました。大変参考になりました。
 やはりコミュニケーションということは消費者にとってはとても大事なことでありますが、こういう大きい機関に対して一消費者が申立てをするということは非常にハードルが高いものがありまして、その過程の中できちんと経過を教えていただけるとか、事情聴取をちゃんとやっていただける、あるいは自由発言をさせていただけるということはとても信頼感を増すものでありますので、是非進めていただきたいと思います。

 それと、当然のことながらデジタル化とか、それから電子化が進んでおりまして、手続についてもそういうことを取り入れていかなくてはいけないと思いますけれども、消費者は、残念ながら、私どもは相談窓口におりますが、とてもついていけているという現状ではないのです。今のようにきちんと書面を出して、対面で事情聴取をしていただけるという安心感、なかなかそれが様々なデジタルデバイスを使っての手続になってきますと、まずそこに抵抗を持ってしまって、やめておこうというようなことが十分起こり得ると思うのです。
 また、高齢者の方とか障害者の方がなかなかこういう機関にたどり着けないと、例えば消費生活相談窓口に行きまして、こういう機関がありますよという形で終わってしまったときに、その次のハードルをなかなか自身で越えることができないということがあります。手続に入れば様々な対応をしていただけているとは思いますけれども、そういう部分がまだまだ十分ではなくて、申立てをすべきような案件が、そのままどうしていいか分からないまま放置されているというか、潜在的な申立ての問題というのは残っているように思っております。上手な広報について御検討いただければと思います。

 以上です。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、生保協会の高橋委員、御発言はございますか。

○高橋委員
 先ほど、川野先生からADRを利用せずに裁判のほうに移行するのではないかということで、私どもの資料を引用されて御説明いただいたのですが、それで1点補足させていただきたいと思います。
 恐らく資料14ページの記載かと思いますが、私どもでは、保険会社から答弁書を頂戴する際に、保険会社のほうから、私どものADRではなく、訴訟手続で行いたいというお申出をいただくことも一応可能とはなっています。ただ、全てを認めるわけではなく、私どもの紛争解決委員がその申出内容を確認しまして、裁判で行うべきなのか、それとも申立人の希望に沿ってADRで行うべきか、というのを判断してございます。これまで、指定紛争解決機関になってから、裁判で行うことを認めたという事案は今まで1件もございません。また、手続が開始した後に訴訟手続に移行した事案はございませんので、その点だけ、まず補足させていただきたいと思います。

 あともう一点、先ほど山田先生から御指摘のありました事情聴取についてでございますが、こちらは、事情聴取を行う者は事務局の担当者ではなく、私ども、あるいはほかの機関も恐らくそうかと思いますが、紛争解決委員が直接話を伺うことを原則としているかと思いますので、その点を補足させていただきます。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 指定8機関以外の皆様で参考となる取組について御紹介、御意見等はございませんでしょうか。特にございませんか。
 国民生活センターにおかれましては、紛争解決業務を幅広く行っておられると思いますけれども、何か参考になる取組などを御紹介いただければと存じますが、よろしゅうございますでしょうか。

○枝窪委員
 御参考になればという観点でございますが、私どもも、今話題になっておりますデジタル化への対応について簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 政府の方針等を受けまして、私どももデジタル化を視野に入れて検討、取組を行ってきております。昨年の12月においては、消費者庁さんにおいて施行規則の改正を迅速に行っていただきまして、押印を省略したり廃止したり、また紙媒体の書面で提出しなければいけないというようなルールを変更し、メールで御提出いただいたり、押印を省略していただくという制度を運用してきております。確かに今、複数のご指摘があったように、デジタル化によるデメリットの部分についてもきちんと考えていかなくてはならないと思いますが、実際に運用してみて、このメリットを享受できる消費者の方も多いということも感じております。

 私どもの機関は様々な紛争を取り扱いますので、年齢については様々です。決して高齢者の方が少ないという状況ではございませんが、やはりメールでやり取りができるということにメリットを見いだされる高齢の消費者の方もいらっしゃいます。また、対面での事情聴取というのを私どもも行っておりましたが、この緊急事態宣言等を受けまして、私どものオフィスに出向いていただくということにリスクが伴うということがございましたので、昨年5月から試行的にオンラインでのこういったウェブ会議システムを使っての事情聴取というのを行ってきております。こちらについても、当初は事務局のほうで様々な懸念をいたしましたが、高齢の消費者の方も比較的スムーズにアクセスしていただいていて、むしろ事務局のほうでも意外なうれしい発見があったというところでございます。

 確かに機微な内容にかなり踏み込んで事情聴取を行わなければならないというときにはオンラインでは物足りないところもあるかとは思いますが、当委員会は、残念ながらオフィスが東京にしかございませんので、交通費をかけて東京に出向いていただくそのデメリットと、オンラインでできるメリットのバランスを取ったときに、さて、どちらがというようなところもかなりあるのかなというふうに感じているところではございます。
 ですので、デジタル化によるメリットというものも、十分に金融ADRの皆様におかれても御検討いただく価値があるのかなと。特に金融ADRにおいては、相手方となる機関がかなりしっかりした法人でいらっしゃるということもありますので、いざ制度を導入するとなったときにはスムーズに導入ができるのではないかなというふうに思っておりますので、私どももそれを手本にさせていただきたいというふうに思っているところです。

 一方で、高齢な消費者の方で、やはり書面は紙で出したいという方も多くいらっしゃいますし、御手元にある書面が紙なので、それをPDF化することが難しいという方もたくさんいらっしゃいます。そうした方のためには、引き続き郵便で送っていただいて構いませんよというような対応を残しておりますので、しばらくの間はそういった2方向でというのでしょうか、様々なアクセスの媒体を提供せざるを得ないのかなというふうには思っておりますが、デメリットのほうに特に目が行きがちではございますが、メリットがあるのだという部分、そしてそのメリットを享受できる世代の方はむしろ紙でやることが大きなハードルになるということもございますので、そういった方たちに紛争解決アクセスの道を開くというような観点もどこか頭の片隅に置いていただくのもよろしいのかなというふうに、お話を聞いていて思いました。

 すみません、参考になるか分かりませんが、私どもの取組として御紹介させていただきました。

○神作座長
 どうもありがとうございました。デジタル化、オンライン化への取組と、その御経験を踏まえた御所感を御披露いただきまして、誠にありがとうございました。
 指定8機関以外の皆様から、何か御発言はございますか。ほかに御発言がございましたらどうぞ。よろしゅうございますか。
 それから、紛争解決業務を弁護士会にお願いされているというところがございますけれども、そうしたお立場から相談・苦情段階での利用者向けの情報提供を含めて、今日の議論に関連して御発言いただければと存じます。信金協会の染川委員、御発言をお願いできますでしょうか。

○染川委員
 私どものほうでもホームページですとか、あるいは私どもが発刊しているリーフレットで、お客様に弁護士会に紛争解決をお願いするADRの制度について利用できることを周知しているところでございます。最近の利用件数は公表しているとおり年間で10件余りでございます。
 また、お客様からは私どもに電話で苦情・相談を受けることが多いのですが、特に苦情の中で、どうしても御満足、御納得いただけない場合には、全ての方にADRの御利用について、具体的には東京三弁護士会の方にADRという制度で御判断いただくという仕組みを御案内している次第です。

 簡単にはなりますが私どものADR制度については、以上のようにお客様に対して利用に向けた情報提供を努めているところでございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。
 まだ御意見、御発言はあるかと思いますけれども、時間も押しておりますので、斎藤委員から書面で御意見を提出していただいておりますので、最後に事務局より御紹介いただけますでしょうか。

○今西室長
 弁護士の斎藤委員からのコメントを読み上げさせていただきます。

 手続の迅速化と当事者が納得のいく解決、この2つの要請は、ときには相反することもあり、双方を満たすのは容易ではないと拝察いたします。弁護士会のあっせん手続の経験からも、特に顧客側である申立人は、もちろんケースによっては迅速な手続を求める場合はあるものの、意外と、迅速さよりも納得のいく手続を求めていらっしゃる場合が多いような印象を持っています。すなわち、時間はかかっても、あっせん委員に十分に主張を聴いてもらいたい、十分に検討してもらいたい、との思いが強いように感じます。十分な審理を重ねた場合には、仮に不調に終わったとしても一定の納得は得られると思いますが、拙速に終結すると、苦情や紛争処理の再申立てにつながりかねません。
 以上に鑑みますと、期日の設定や資料の提出期限等の進行手続に関しては速やかに進める必要があるものの、期日の回数については、いたずらに標準処理期間に拘泥、必要以上にこだわることはなく、期日の続行を柔軟に考慮すべきではないかと考えます。
 他方で、申立人の請求に法的根拠が乏しい場合に安易に期日続行すると、金融機関側の負担が増大し不満につながりますので、不合理に期日を重なることのないように注意する必要はあります。その際は、申立人の納得感を得ることが実質的に紛争解決に資することを理解していただくことが肝要と思われます。

 以上でございます。

○神作座長
 どうもありがとうございました。

 時間が随分超過しております。大変申し訳ございません。時間の都合上、議事次第のⅣ、「金融サービス利用者相談室」における相談等の受付状況等、及びⅤの「金融ADR連絡協議会(第26回~第27回)」の概要につきましては、説明を省略させていただきたいと存じます。議事次第のⅣにつきましては資料3-1と3-2、また議事次第のⅤにつきましては資料4を御参照いただきたいと存じます。どうかよろしくお願いいたします。

 本日も非常に熱心に御議論いただき、誠にありがとうございました。最後に一言、感想を申し上げさせていただきます。

 本日の紛争解決手続をめぐる議論におきましては、利用者の納得感ですとかあるいは満足感、満足度といった言葉が、多くの委員の方、あるいはプレゼンターの方から表明されたところでございます。利用者の納得感の中には手続、プロセスに伴うもの、例えば森下先生のお言葉を借りると放置されていないと感じる、さらにそれ以上に親身に聴いてもらっていると、親身に受け止めてもらっていると感じることが納得感とか満足感につながるということがあると思います。

 プロセスにつきましては、入口の段階と、それから手続の途上の問題がございまして、入口の段階では手続の概要ですとか標準的なスケジュールを書面で示す形と、それから、あとは個別に口頭で御説明するといった取組が見られたと思います。手続途上につきましては、担当者の進捗度のチェック表、あるいは全体管理の側面から進捗管理表というのを全件について作成して、それを用いた管理を行っているというような取組の御紹介もございました。入口の段階と、それから手続の途上の段階の双方におけるきちんとした情報管理と、情報提供が非常に重要だと感じたところでございます。

 何よりも特に入口での情報提供というのは、まさに利用者と直接対峙し、御対応いただいております相談員など第一線の方が利用者の第一印象を決するというところがあり、その後の納得感や満足感を大きく左右すると思われますので、是非本日の多様な取組を含めた御議論を参考に、引き続き取組を進めていただければと存じます。
 最後に一言申し上げさせていただきました。

 それでは、本日の協議会はこの辺りで終了したいと存じます。20分ほどオーバーしてしまいました不手際をおわびいたします。
 なお、次回、第61回の協議会につきましては、追って事務局から御連絡させていただきます。皆様、大変お忙しい中、誠にありがとうございました。本日はこれで終了いたします。

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