第40回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成21年6月19日(金)10時00分~11時35分

2. 場所:

中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室

3. 議題:

  • (1)平成20年度における苦情・紛争解決支援について

  • (2)金融トラブル連絡調整協議会の今後の役割について

  • (3)「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル」の改正について

4. 議事内容:

  • 平成20年度における苦情・紛争解決支援について

    事務局から、資料1の「平成20年度の苦情・紛争解決支援の取組みについて」、資料2の「苦情・紛争解決支援の整備状況について」及び資料3の「苦情の定義について」に基づき説明が行われた。

  • 金融トラブル連絡調整協議会の今後の役割について

    事務局から、参考2の「金融商品取引法等の一部を改正する法律案要綱(抜粋)」、参考3の「平成21年4月22日衆議院財務金融委員会 金融商品取引法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」及び参考4の「平成21年6月16日参議院財政金融委員会 金融商品取引法等の一部を改正する法律案及び資金決済に関する法律案に対する附帯決議」に基づき、金融ADR制度について説明が行われた。

    引き続いて、本協議会及び「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル」(以下「モデル」という。)の今後の役割・位置付けについて議論が行われた。

  • 石戸谷委員本協議会については、国会の審議で紹介され、附帯決議でも言及されており、期待もあると思うが、責任も非常に重くなっている。また、国会では附則修正があり、施行後3年以内に、消費者庁の関与の在り方及び業態横断的かつ包括的な紛争解決体制の在り方も含めた指定紛争解決機関による裁判外紛争解決手続に係る制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずることとなった。附則修正で附帯決議よりも重い縛りが入っているが、これに対する取組みはどのようになるのか。

  • 事務局(中沢金融ADR推進室長)具体的な姿について、本協議会で議論していただくことが重要ではないか。

  • 原委員衆議院財金委において、参考人として話をさせていただいた。衆議院での附帯決議の2つ目の2行目から、「金融サービス利用者相談室の在り方について検証を行い、役割の拡充を図ること」とあるが、金融サービス利用者相談室だけではなく、本協議会も含めて検証してほしいというのが、私の参考人としての発言の趣旨である。

    本協議会の8年間の活動で、熱心にやっている業態は、自分のところはすごく頑張っていますと、玄関を出て目の前の見える範囲だけはきれいに掃除をしている印象だが、金融全体のトラブル解決にどれほど結びついているかは甚だ疑問だ。

    そういう意味で必要なのは、1つ目は、トップにつなげていく努力。

    2つ目は、政策へつなげていく努力。個々の事案の解決で完結するのではなく、政策へつなげていく、提言をしていくことが大事な機能としてあると思っている。

    それから、本協議会の枠組みを、もう少しフレキシブルなものに変えていく必要がある。本協議会は、現場の話ができるメリットがあるところなので、消費生活相談の現場の方や金融トラブルを扱っている弁護士など、もっと、現場の方に参画をしていただきたい。また、かんぽ、ゆうちょ、金融サービス利用者相談室、国民生活センターなどと一緒になって、もっとフレキシブルに次のステップへ進んでいくべきではないか。

    消費者にとって金融トラブルは業態ごとに分かれていないから、最終的には、金融審議会でも申し上げたように、横断的な法制化のスタイルが必要。その中で保険、預金のような担当に分かれることがあるかもしれないが、最終的な姿は横断的なスタイルであり、これに向けて検討する場を金融庁の中に設けてほしい。

  • 土田委員本協議会は、本当に8年間よく長続きしたと思っている。苦情・紛争解決支援の整備状況を見ても、苦情・紛争解決支援機関は、形だけは非常に充実してきて、パーフェクトに近づいている。

    本協議会が金融庁主導で行われて、金融ADR制度が法制化されると、業界団体は形を整備することに集中することになる。今後は、その内容が論議されていくのがよいのではないか。

    それから、金融ADRは、本来、民間が行う民と民との間の解決方法であって、もっと自由な解決方法・手続があってよいはずである。自由であり、創意工夫の余地があることが見えてこないので、もう一歩先へ進むとしたら、そこが大きなポイントになるのではないかと思っている。

  • 竹中委員今後の本協議会の在り方に関しては、我々業界団体委員として、どこまで何ができるのかという極めて大きな課題が出てくると思っている。大森委員が、以前、本協議会自体の位置付けは、苦情・紛争解決のレベルアップを目指すいろいろな立場の者が自主的に集まったもので、何か具体的な制度を決定する場ではないというお話をされたと思う。このような本協議会の枠組みの中で、横断化の議論を進めていくのは、今一度検討する必要がある。

    ただ、ここまで充実してきた本協議会の枠組みは活かしていっていただきたい。まずは、各業界団体において自前の取組みを充実させること。その上で、共通項がつくられていくと思っている。各団体でレベルがそろったときに初めて、次のステップとして横断化が考えられるのではないか。この1年2年は、今ある姿を充実させ、指定紛争解決機関の指定を受けることがステップとしてあるので、本協議会は、そこに向けて議論していく場として大切だ。

  • 井上委員私も参加していた金融ADRオンブズマン研究会でも、現実的に、金融分野全てに関する横断的な金融ADRを最初からつくるのは難しく、まずは、今回の法制化のように法制の助力を得て各金融ADRがその機能を充実させることが先決だということになった。その上で、一定の横断化というのが最終的に望ましいのであれば、それぞれの金融ADRがレベルアップを図り、それなりの共通項をシェアできるようにしていって、連携から進んでいくような形での横断化が進んでいくのではないか。そういったことを後押しする、あるいは、レベル感を整えるような役割を、この協議会が担うことができるのではないか。

  • 坂本委員金融分野の各業態における取組み状況については、本協議会において、既に今回の取組み状況の報告のような形で集約化されている。ただ、あくまで土田委員のご発言のとおり、形だけしか見えていないのかもしれない。

    各業態において法制化に沿った金融ADRの整備をしていく中で、紛争解決機関の内容的なレベルでの整合を図る必要もあるのであれば、取組みに関する実際ベースの情報交換があってもいい。例えば、損保協では、紛争解決手続について、白黒つけるようなものではなく、あくまで当事者間の歩み寄りを前提にするものとしている。団体間で紛争解決の性質に違いがあると思われる。そういったところも踏まえながら、更なる充実を図れればいいし、他にも何かできればいいのではないか。

  • 金子委員8年間かかったのは、それなりの理由や充実した議論があったからであり、非常に意味があったと思う。日証協との関係では、従前行われていた苦情の対応・あっせんの制度が証券取引法に法制化され、既に実施してきた協会員を拘束するあっせんが今回の金融商品取引法等の改正で特別調停案として法制化されている。民間でやってきたものが政策に活かされ、結果的に普遍化されていくことは非常に大事なことだ。本協議会は、消費者の目線、業者の目線、行政の目線のそれぞれの観点から議論ができる場であるので、ここでの議論が政策へ活かされることが、今後は大事なのではないか。

  • 辻委員衆議院財金委の附帯決議で言及されている本協議会の今後の役割を見ると、いくつかの点については、本協議会で既に行われている。毎年1回、情報の集約や分析、結果の取りまとめを行い、その結果は議事録を含めて公表して、他の団体との情報の共有化もある程度進んでいる。関係者の連携の強化についても、モデルなどを通じて連携を図っていくことができる。協議会の在り方は、今後もこの方向でよろしいのではないか。

  • 原委員モデルの策定・検証以外にも、銀行での保険の窓口販売、FX取引、無認可共済のような個別案件を随時取り上げてきた。現場での、具体的な課題・問題について取り上げるのも貴重である。そういう機能もあわせて、相談の現場にいる方が集まっているので、本協議会の場は貴重ではないかと思っている。

    また、業界全体で集まっているのは非常に珍しく、先駆的に集まり、ここでの枠組みがうまく機能していくと、他の業界の参考にもなると思っており、その意味でも先進的な役割を今後も期待している。

    横断化については、蜃気楼のように皆さん思っておられるのが残念。消費者からすると、例えば住宅ローンのトラブルなども、どこで解決してくれるのか分からないところがある。アメリカで金融版消費者庁の話も出ていたが、消費者から見て、どういう制度設計が望ましいか、この場に限らず金融政策・金融行政の場で検討し続けていただきたい。

  • 土田委員法律に附帯決議まで付されて制度設計をされると、事業者は、これに合わせて形をつくろうとする。事業者の努力もそれなりのものであるし、形づくりを促すという意味では、それで十分ではないかと思っている。

    本協議会は、横断化を念頭に置いても、このまま継続していっていいのか疑問。例えば、協議の場を分けて、小さい会場で、業務上の悩みとか、もっと本音が言えるようにするなど、活性化の方法があるのではないか。

  • 石戸谷委員«本協議会は金融ADRの運用改善を目的としてきたが、今後は制度面についても検討していくということなのか。制度面も検討するのであれば、それにふさわしい体制を整えなくてはいけない。また、金融審議会が、制度面の検討を行うということも考えられる。

    消費者庁関連法案の国会審議では、金融分野について消費者庁が関与しないことを疑問視する質疑が多く行われた。本協議会が着実に実績をあげてきていることは確かだが、全体的な観点から十分だと見られていない。そのため、そういう質疑が出てきて、今回の法制でも消費者庁の関与の在り方を含めて見直す附則修正になっている。施行後3年以内の検討をどこで行っていくかはっきり決めたほうがいいのではないか。

    紛争解決の議論は、手続の問題だけではなくて、実体法の在り方の問題と関連しており、手続と実体法は車の両輪の関係となっている。実体法の在り方の問題について貴重な素材となる実態を把握しているのが本協議会である。こちらは手続の運用改善で金融審議会は制度論の理念的な部分にやるというように検討の場を分けてしまうことは必ずしも適当ではない。本協議会の検討の体制を検討しなくてはならない。

  • 原委員この構成のままで、運用改善をやるには限界があるように思える。テーマ設定とチーム編成をもう少し柔軟に工夫するといいのではないか。

  • 辻委員運用改善について、各団体における苦情・紛争解決支援の整備状況を見ると、紛争解決支援規則の整備状況にばらつきが見受けられる。以前この協議会でも、規模の小さい団体では、取扱件数と紛争解決支援機関をつくるコストとの釣り合いがとれないので、このようになっているとの話があった。今後は、このような団体がどうやってうまく紛争解決支援の運用改善に結びつけていくのか考えることも、一つのテーマではないかと思っている。具体的には既に紛争解決支援機関を持つ団体が連携するとか、現在紛争解決機関を持たない業態が共同で紛争解決支援機関をつくっていくことも含めて考えていけば、紛争解決支援の運用改善が図れるのではないか。

    また、チームを分ける話は、実質的な議論ができるのであればそれでかまわない。

  • 岩原座長ただいまの意見を踏まえ、今後の協議会の役割・位置付けについては、協議会において引き続き検討していきたい。

  • 事務局(中沢金融ADR推進室長)モデルについては、今後も、金融ADRにおける実務上のベストプラクティスとしての役割があるのではないか。モデルの改正作業も進んでいるところであるが、モデルについて、今後の役割・位置付けについて、ご議論いただきたい。

  • 井上委員モデルは、平成14年の策定当時のADRの整備が不十分な団体がほとんどであった状況において、非常に大きな役割を果たしたと認識している。ただ、今後の役割は変わってくるのではないか。

    ベストプラクティスという話があったが、モデルを金科玉条のように考える必要はないはずで、モデルとは、本来、何がベストかをそれぞれ検討する際の考え方を示したものだろうと思う。だが、モデル全体を見ると、決まった条文が最初にあって、その条文を解説しているという逐条解説のようになっているという印象。一番下の欄にある趣旨が基本にあって、その考え方を参考にしながら各業界がADRの規則をつくっていく、そのときの一つのサンプルとして具体的内容があるというのが本来の理解だと思う。そこで、順番を逆にして、モデルの考え方を、趣旨として打ち出し、整理した上で、参考までに具体例としての条項を示すということにしてみたらどうか。

  • 辻委員井上委員に賛成である。各項目における趣旨を明確にすることで、具体的内容には多様なことを定めることができ、さらに発展していくのではないか。

  • 竹中委員私も賛成である。モデルを参考に整備を進めてきた効果は大きかった。現行のモデルは趣旨が最後に記載されているが、まず趣旨ありきで、それぞれの業態において適切なものを条項として定めるのがいいのではと思っていた。それと、モデルについては、一つの行動規範的なものになっており、策定以降改正がされていないので、井上委員がおっしゃった方向性も含めて改正していただきたい。

  • 原委員モデルの策定の際には、ADRが具体的にどのようなものかわからないから、具体像を示すということだった。まず、具体的内容を決めて、解説として、留意すべき事項と趣旨を策定した。モデルの策定後、ADRの議論は、司法制度改革等を通じて進展があり、モデルについても、冒頭に考え方を示し、続いて、考え方を具体化した具体例を示すという構成に変更することについては異論がない。ただ、現在のモデルの具体的内容と趣旨とを、そのままで順序を逆にしたらできるものではなく、全面的な書き改めが必要になると思う。

  • 土田委員趣旨を冒頭に置くのがよいと思う。各団体が、趣旨を受けて、ベストプラクティスについて十分に検討することがあった方がよい。その検討の中で、各業態の特殊性に合わせて創意工夫がされ、充実していくと思う。

  • 金子委員私も基本的に賛成。例えば、証券取引と保険の取引のように業態ごとに、取引の形態やお客様との接し方が違う面もあるので、業界ごとに創意工夫ができる余地は絶対に必要。具体例は、現行モデルは一つのみだが、ある程度バラエティがあっていいのではないか。

  • 坂本委員私も賛成。毎年、苦情・紛争解決支援の整備状況を検証しているが、これを意識するあまり、文面上だけで体裁を整えておくといった発想が全くないと言い切れない。ただ単純に趣旨と具体的内容の順番を入れ替えるだけでなく、もう一度慎重に文面を見直していく必要があると思う。

    規定を整備する場合においては、具体的な規定のイメージがある方がありがたいので、具体的内容は引き続き残すのがよいのではないか。

  • 石戸谷委員私は、反対。理想を言えば、ADRは、各団体が自らの創意工夫で整備していくべきものであるにもかかわらず、それがさっぱり進まないので、ADRの整備の指針としてモデルをわざわざつくった。モデルは、各段階に分けて、細部に渡って相当意見が出ていたものを、業界のコンセンサスも得てまとめたもの。そのときに議論したことを思い出すと、漠然とした趣旨に従ってADRを整備することとなったら、なし崩し的に中身が変わってしまう懸念がある。せっかく今回の法改正で指定紛争解決機関の業務規程の整備を行うものとされ、前進してきたのに、今の議論は全く方向が逆だと思う。

  • 森委員モデルの見直しの仕方については、いろいろと検討する必要がある。現行モデルのような構成では、具体的内容が、金科玉条のように、それ自体が目的化してしまう危険性があると思われる。特に、指定紛争解決機関の業務規程等の整備について、あたかもモデルに従っていれば指定が受けられるという誤解を招きかねない懸念がある。モデルとして、こういう規定であるべきと誤解されるような提示の仕方については、見直す必要があるのではないか。

    ただ、趣旨を守ればいいのだろうという形にしてしまうと、易き方向に流れることも否定できない。苦情の定義のように、金融分野全体として統一感を持って共通認識を得ておくべき項目は、それなりに一つに固めておくべきである。他方、柔軟性もADRの特長の一つであるから、複数の選択肢も示せる項目については、趣旨を示して、具体的内容については選択肢の一つという扱いとすることもできる。このように、項目ごとに検討することも必要ではないか。

  • 原委員もっと議論を尽くしたほうがいいと思う。単純に具体的内容と趣旨との順番を入れ替えるという話ではないはずだし、皆さんのイメージも一致していないと思われる。拙速はよくない。

  • 井上委員石戸谷委員のご意見と私が冒頭申し上げた意見はそれほど違わないと思っている。

    私の意見は、モデルの具体的内容を法令の条文のように捉えることによる弊害を直す努力をしたほうがよいというもの。モデルは、ある一つの言葉の解釈について金融庁に問合せをするようなものではないはず。このような弊害が、当初の条文案としてのわかり易さを追求したメリットを超えるようになりつつあり、今のモデルの位置付けとしては、少しウェイトが変わっているのではないか。ただ、いずれの方向をとるにせよ、ゆるい方向に流れないようにする工夫が必要だとは思うが、どちらから光を当てるかという意味でいえば、趣旨から光を当てて、その上で統一すべき項目を押さえていくのがよい。どの項目について統一し、どの項目について各団体の制度設計にある程度任せるのかということ自体は、まさに趣旨の中に表れてくるべきものと考える。

  • 瀧下委員実は、今回で本協議会がなくなり、モデルもなくなるのではないかと思っていた。法制化されて金融庁が監督権限を持ち、指定を受ける際には業務規程が審査の対象になり、業務規程の変更には認可を受けることとなる。さらに、ガイドラインという形で細かく予め審査方針を教えてもらえる。議論するまでもなく、きちんとしたガイドライン・監督指針としてモデルみたいなものができて、かつ、金融庁がそれらに従って監督してくれることになると思っていた。

    今までの話だと、このまま本協議会は続くし、モデルも存続するとのこと。金融ADR法制について、業態ごとに異なる部署が監督することになるのであれば、官庁側も業態ごとの整合性を考えなくてはいけなくなるのではないか。

    金融ADR制度の施行後、どのようになっていくか教えていただきたい。

  • 大森委員今の議論は、表面上見えるほど違わないのだろうと思う。金融審議会で制度の議論などをしていると、業界サイドからは、きちんと詳細に決めてくれないと困るという意見がよく出てくる。先ほど土田委員もおっしゃったように、形を整えることはそんなに難しいことではないので、どうすれば守ったことになるのかをはっきりさせてもらいたいという意見が出てくるのは自然なのかもしれない。一方で、趣旨・プリンシプルをもとに、自分でどうすればお客さんのために一番いい対応なのかを考えていただくことは大変大事なことだ。本協議会の業界団体委員から、前向きな趣旨・プリンシプルの重視という意見が出てきたのはありがたいことだなと思って伺っていた。法令もそうだが、実際のところ、細かくしていけばいくほどきりがなく、それだけ隙間や漏れる部分も大きくなるので、ルールがどういう形をしていても、どうしてそういうルールがあるのかという趣旨に常に立ち返って考えていただくことは必要なことである。皆さんおっしゃっていることはそんなに違いがないとは思うが、そういった意見を踏まえモデルの作業をしていただきたい。

    それに関連して、石戸谷委員から、本協議会と金融審議会の役割分担のような意見をいただいたが、この協議会で運用の現状を検証してレベルアップを図ることと、よりよい制度の議論をしていくということは実はあまり違いがないことであると感じている。金融ADR制度も、本協議会で昨年の6月にまとめていただいた岩原座長のメモを法律に翻訳するとこの法律になるというようなものである。実際にも、両方とも、仕切っているのは岩原座長であり、一番しゃべるのは原委員なので、どちらも同じようなものであり、役割分担は形式的には違うが、そんなにどっちでどっちをというように考える必要はないのではないかという感じがしている。

  • 辻委員金融商品取引法等の改正との関連で、今後モデルの検討をしていく際に、2点だけ留意いただきたい。1点目は、金融ADRの法律に関して、今後政省令で定められる制度の細かい部分とモデルとで不整合が生じないようにしていただきたい。2点目は、モデルの改正は、かなり細かい部分の話にもなるので、ワーキンググループをつくって検討し、ワーキンググループで決着がつかないものについて、本協議会にあげるような形にしていただきたい。それから、本協議会については、金融ADRの基本や制度の方向性みたいなものを検討する場にしたほうが、住み分けができてよろしいのではないか。

  • 岩原座長かなり根本的な問題もあるので、モデル改正ワーキンググループにおいてモデルの改正という観点から検討いただくということにさせていただきたいが、よろしいか。

    <異議を唱えるものなし。>

  • 「金融分野の業界団体・自主規制機関における苦情・紛争解決支援のモデル」の改正について

    モデルの位置付けも含めて、モデルの改正について、引き続き、モデル改正ワーキンググループにおいて検討することとなった。なお、ワーキンググループの進行役は、前回に引き続き、山本委員が務めることとなった。

  • 辻委員苦情解決支援が不調となった場合の紛争解決支援への移行に関して、「相当期間内に紛争解決手続を利用しない意思を明示しないときは、紛争解決支援の申立てがあったものとみなす」という事務局案が示されているが、ワーキンググループでもかなり反対意見があったものであり、方向性として違っていると思う。実際にあっせん委員会を運営してみたところ、申立ての趣旨が何であるかを申立書に明確に書いていただく必要性を感じている。また、個人情報保護との関係もあり、金融ADR機関が勝手に申立人の情報を相手方に伝えることには慎重にならざるを得ない。これらの理由で、みなし申立ては実務上できないと考えている。

  • 土田委員顧客の利便性向上と費用の負担軽減の明確化は、大事なことだと思っている。また、お客の中には俎上に上げてもらい、丁寧な対応に感謝する方もいるはず。もし不満足な点があれば、そこの業界のADRに何かしら問題があったのかどうかの検証にもなるので、ADR利用者の満足度をとられてはどうか。

  • 岩原座長ただいまの意見等を踏まえ、今後、モデル改正ワーキンググループにおいて議論していただきたい。また、山本委員には引き続きワーキンググループの進行役を務めていただきたい。

  • 座長の交代について

    岩原座長から、山本委員へ座長が交代となった。今後は、山本委員が座長として協議会の議事進行を行うこととなった。

以上

お問い合わせ先

金融庁総務企画局企画課内 金融トラブル連絡調整協議会事務局
Tel 03-3506-6000(内線3682、3516)
本議事要旨は暫定版であるため、今後変更があり得ます。

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