第2回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成12年11月8日(水)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館 共用第1特別会議室

3. 議題:

個別紛争処理における機関間連携の強化について

4. 議事内容

  • 事務局より、日本商品先物取引協会は協議会への参加を見送ることとなったとの連絡があった。

  • 協議会の議事の公開方法について事務局から説明があった。

  • 事務局より、参加団体等による苦情・紛争処理の実績について説明があり、その後質疑応答を行った。主な内容は以下の通り。

    • 大部の資料を協議会開催当日に渡されても、すぐに議論を行うことはできないので、協議会開催前に資料を配布すべき。

    • 参加団体による苦情処理等の実績については今後議題として取り上げる予定であり、今回に限らず、そのときにも議論したいと考えている。

  • 国民生活センターにおける、他の個別紛争処理機関との連携の際の問題点等について、清水委員(国民生活センター)よりヒアリングを行った。

  • 全国銀行協会における個別紛争処理に関する機関間連携について、増田氏(全国銀行協会)よりヒアリングを行った。

  • 弁護士会仲裁センターについて、大川委員(東京第二弁護士会)よりヒアリングを行った。

  • 日本証券業協会の特別会員が行う登録等証券業務に係る苦情・紛争の処理について、北園委員(日本証券業協会)よりヒアリングを行った。

  • その後、個別紛争処理に関する機関間連携の強化について、質疑応答を行った。主な内容は以下の通り。

    • 証券業協会が行うあっせんはあまり利用されていないが、これは証券業協会があっせんを勧めていないからなのか、それともコストがかかる等の理由で証券会社があっせんを拒否するからなのか。

    • 証券業協会が平成11年度に行ったあっせんの件数は32件だが、それぞれ具体的にはどのような事例だったのか。

    • 証券業協会の苦情相談室において、あっせんよりも裁判を勧めるというようなことはなく、どちらを選ぶかについては、あくまでも相談者の意向を尊重している。なお、あっせんを行う場合の費用としては、最高5万円の申立金を徴収しており、また、遠方の方であれば交通費等の負担がかかる。

    • 証券業協会では、あっせん事案の内容を要約した資料を協会員向け(非公開)に、四半期に1回配布している。これを一般に公開するかどうかについては、協会の規則により守秘義務がかけられていることとの関係もあり、今後検討したい。

    • 現状の証券業協会のあっせん制度は使いにくいという指摘に対し、証券業協会ではどのように考えているのか。

    • 証券業協会に苦情相談を持ちこむと、国民生活センターから説明があったように、結果としてあっせんではなく裁判による解決になってしまうことが多い。また、費用負担についても、例えばPLセンターでは申立人が必ずしも交通費の全額を負担するものではないが、これと比べると申立人の負担が大きい。これらの点をどう考えているのか。

    • あっせん申立金の金額は比較的安価に設定している。証券業協会のあっせん制度は主に会員の会費により運営されており、交通費を負担するのは難しい。また、あっせん制度については申立て者の意向を尊重して手続きを進めており、門戸が開かれた制度になっていると考えている。なお、協会規則において、会員証券会社があっせん案を受諾しがたい場合にはあっせん案で示された和解金相当額を協会に預託した上で債務不存在確認訴訟を起こすこととしており、会員証券会社があっせん案を受諾するよう間接的に促している。

    • 証券業協会ではあっせんにまで至らない、苦情相談の段階にとどまっている案件についての情報収集、整理をどのように行っているのか。あるいは、これからやろうとしているのか。

    • 証券関係の苦情申立人が裁判で勝訴したことはほとんどないため、証券会社はあっせんではなく裁判を選ぶのではないか。

    • 証券業協会では全国銀行協会等に苦情処理業務を委託しているが、委託したあっせんの事例が証券業協会に再び戻ってくるということはないのか。

    • 証券業協会では特別会員(証券業務を行う金融機関)の証券業務に関するあっせんは他の業界団体に委託しておらず、あっせん申立てがあれば証券業協会で直接に対応している。委託しているのは相談業務・苦情処理業務のみである。

    • この協議会が立ち上がる前の金融審議会第一部会ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループにおける議論では個別具体的に、証券業協会のあっせん制度は使いにくいという指摘がされていたが、こういった指摘に対して、証券業協会ではどのような検討がされたのか。

    • 証券業協会としては、本日の協議会での意見を踏まえ問題点を整理し、改善できるところは改善していきたい。

    • 国民生活センターでは全ての相談の約1割が金融分野の案件となるなど、金融分野において、国民生活センターや消費生活センターなどの行政型ADR機関の活用が進展している。各業界団体のADR機関と行政型ADR機関の連携を進めていくべきと考えられるが、各業界団体では行政型ADR機関との連携についてどうお考えか。

    • 生命保険協会には本部の他に、全国に54ヵ所の地方協会があるが、本部ならびに各地方協会は最低年1回、地方の消費生活センター、国民生活センターの相談員あるいは所長との情報交換会を行っている。また、最近の生命保険会社の業務停止に関して、地方の消費生活センター等に相談が多数寄せられていることと思うが、生命保険協会の地方協会から消費生活センター等に対し情報提供を行っており、例えば、一部業務停止となった保険会社ができる業務とできない業務についてまとめた情報を、一部業務停止の翌々日ぐらいまでに提供するなどしている。さらに、消費生活センター等で処理しきれない案件に関しては、生命保険協会の地方協会あるいは生命保険協会本部の相談所に回付してもらうという体制を整えており、連携は十分に進んでいると考えている。

    • 具体的な事例がおきた場合、生命保険協会から消費生活センター等に相談を移送することはあるのか。また、その逆はあるのか。

    • 生命保険協会と消費生活センターとの連携においては、消費生活センターの相談員の中には生命保険の分野について正確な情報を持っていない方もいることもあり、消費生活センターから相談が回ってくるケースがほとんどである。これは、ある意味では、消費生活センターに対する情報提供が不十分であるということであり、反省すべきと考えている。ただ、連携のあり方に関してはある程度の評価ができると考えている。

    • 全銀協では、消費生活センター等との連携を紹介できる具体的な事例はほとんどなく、情報交換にとどまっているのが実情。連携を進めていくべきと考えており、それを議論する場として消費者行政機関、消費者団体、弁護士会仲裁センターの有識者からなる「銀行よろず相談所運営懇談会」を設置し、問題点の所在等につき検討することとしている。

    • 国民生活センターとしては、生命保険協会との連携はうまく行っていると認識しており、協会との情報交換を年1回行っているほか、具体的案件の処理についても、当センターから個別の生命保険会社に対して直接照会することができる体制にある。損保協会とは年1回会合を持っている。銀行協会からは今後会合を開催したいと申し出があった。

    • 国民生活センターの苦情事例を調査した結果、協会の相談員の調査過程で、あっせんに付しても相手証券会社があっせん案を受け入れないと協会相談員が判断すると、あっせんに付することを勧めず、裁判を勧めていることが分かっている。

      証券業協会においては「相談」と「あっせん」は分かれており、消費者の方からあっせんの利用を申し立てることができることを消費者は知らないと思われる。

    • あっせん申立書が消費者に速やかに渡されなかった事例があるが、証券業協会のあっせんを受けるのは相談者の権利であり、あっせんを利用する意思が明らかである場合には、速やかにあっせん申立書を相談者に渡すべき。

    • 国民生活センターからの説明において提起された問題点について、証券業協会には、それぞれ対応可能かどうかを後日でもかまわないので、回答していただきたい。

    • 一般に、相談者は金融の知識を持っていないこともあり、中立、公平を図るためには、業界が行うADR機関の構成員の中に、金融にあまり詳しくない人も置くべきである。ADR機関の構成員について検討すべき。

    • 証券業協会ではあっせんを利用した案件の具体的内容は公表していないとのことであったが、非公表を定めている規則を改正すべき。また、弁護士会の仲裁センターの方でも、行政当局に対して必要な法令改正を要望するなど、できるところからやっていくべき。

    • 貸金業者が融資と同時に個別銘柄を推奨するという取引が、近年増加している。いわゆる二八商法と言われているものであり、例えば、500万円の取引を行いたいが100万円しか手元にないという人に、400万円を融資し個別銘柄を推奨するという取引である。この取引についての苦情は証券投資顧問業協会に持ってこられるが、本来は貸金業者の行為に対する苦情であることから、こうした事例に対処するためにも、証券投資顧問業協会では、貸金業協会へ連絡していく必要性があると考えている。

    • 信託協会の他機関との連携については、東京の3つの弁護士会と提携している。また、全国銀行協会とも連携しており、銀行よろず相談所で受け付けた信託業務に関する苦情は原則的には信託相談所に取次いでもらうほか、証券関係の苦情相談は、当協会は(証券業協会から)業務委託を受けていないので、全国銀行協会にお願いすることとしている。そのほか、全国銀行協会および弁護士会の各種連絡会等にも参加している。国民生活センターとは連携に向けた努力を行っているところである。なお、協会では、10月からフリーダイヤル回線を設置し、消費者からのアクセスの改善を図った。

    • 全国銀行協会では、証券業務に関する苦情は、証券業協会から委託を受けている証券監査室が担当しており、銀行よろず相談所は証券監査室に取り次ぐこととなっている。実際は、各地のよろず相談所でもいくつか証券関係の苦情相談を受け付けているが、あくまで受け付けているだけであり、証券業協会と連携して案件に対応できるのは証券監査室である。

    • 損害保険協会には、日本損害保険協会と外国損害保険協会があるが、外国損害保険協会では相談対応業務を行っていないと聞いている。外国の損害保険会社に関する苦情相談に対しては、日本損害保険協会ではどのように対応するのか。

    • 現在は、外国損害保険協会においても相談窓口があり、日本損害保険協会に持ちこまれた相談が、外国損害保険協会が扱うべきものである場合には、外国損害保険協会を紹介している。

    • 弁護士会のあっせんの申立を行っても、証券会社が拒否すれば裁判に持ちこむしかないという現状を改善すべき。

    • 証券業協会と国民生活センター等との連携の1つの方法として、あっせん申立書を国民生活センター等の窓口に置いておき、申立の意思が明白であると判断できる場合には、国民生活センター等の窓口を経由して、証券業協会まで送達できるようにするというやり方が考えられる。

    • 証券業協会への苦情及び相談の合計が5000件程度あるのに対して、あっせんで処理されているのがわずか32件にすぎないことから、あっせんは非常に使い勝手の悪いかたちで運用されていると考えざるを得ない。

    • 証券業協会のあっせん申立書は各地区の協会に備え置いてあり、相談者はすぐに入手可能な状態にあると認識しているが、実態を調査したい。

    • 12月15日に国民生活センター主催の消費者生活センターの相談員研修会が開かれるが、その研修会に証券業協会から講師を派遣するよう要請されており、これに応じて、証券取引に関する苦情相談処理の実情について説明を行うこととなっている。これをきっかけに今後、国民生活センター等との協力を行っていきたい。

  • 最後に、裁判外紛争処理制度の改善に向けた取り組みについて、金融庁、信託協会、全国貸金業協会連合会、全国銀行協会、日本証券業協会、日本商品投資販売業協会、不動産シンジケーション協議会から報告があった。

問い合わせ先

総務企画部企画課
電話 03-3506-6000 (内線 3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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