第7回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成13年10月2日(火)10時00分~12時10分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館 共用第1特別会議室

3. 議題:

機関間連携のあり方について

4. 議事内容

  • 9月19日及び10月1日にそれぞれ開催された第6・7回苦情・紛争処理のモデルに関するワーキンググループでの審議経過について、山本委員より報告があった。

  • 資料2「機関間連携に関するアンケートについて」、資料3「機関間連携に関するこれまでの主な発言」について事務局より説明があったのち、質疑応答を行った。主な議論の内容は以下の通り。

    • アンケート結果に目を通すと、機関間連携について関する皆さんの受け取り方がそれぞれ違っており、場面としては五つぐらいに分けられるようだ。一つ目は、業界団体と個別の金融機関の関係、二つ目は個々の金融業態間での個別事案の移送に係る連携、三つ目は行政型ADRである消費生活センターなどとの連携、四つ目は消費者団体との定期的な情報交流、五つ目は弁護士会仲裁センター等の専門的機関との交流といったものが場面としてはあると思うが、アンケートの回答はそれらが混在している。議論を少し分けたほうがよい。

      あとアンケートの回答を読んでの感想をいえば、機関間連携に関する議論は今日が初めてではないわりには、初めて書かれたような回答が多く、議論の振り出しに戻ったと思われる回答が散見する。本日の議事の進行は4月の協議会でも言っていたように「たらい回し」などをどうするかといった明確な形の議論を行うべきである。

    • 業界団体と個別金融機関との間の関係は、大きな問題である。例えば、業界の苦情相談窓口へ苦情案件を申し出た場合、その案件が個別の金融機関に振られた後、行方不明になったりフリーズしてしまう状況は多い。ここで議論をするのでなければ、また、違うところでの議論をお願いしたい。

    • アンケートの回答を見て「議論が振り出しに戻った」とする根拠は、機関関連携が特に必要がないとの回答があったこと、消費者団体等との交流でよいのではないかとの回答があったことなどである。一覧表を整備しておいて案件が来たらそちらに振ればよいとの回答にとどまっているところがあるのも気になる。明確に整理されて書かれている回答もあったが、苦情・紛争処理の責任の明確化にも言及するべきだったのでは。

    • 今回のアンケート結果では、事業者側のADRから出された意見が業務上の必要性からの機関間連携にかなり偏っていたような感じがする。今回のアンケートの趣旨がホールセール・リーテイルに関するワーキンググループの報告を受けてとのことだが、同報告は消費者保護の立場及び業界又は業態の信頼性確保の視点から出されたものなので、その点を留意して今日の議論をしていきたい。ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループ当時の議論において、統一的包括的ADR機関を設立することが理想であるとの考え方は誰も反対しなかった。ただ、中立委員がそれを基本的に進めるべきだと主張したのに対して、業界の方からコストの問題であるとか、各業界を通じた専門性の確保などの問題があるため、代替案として、まず協議会をつくって一年まわしてみようとの議論だったと思うが、一年まわって結果が今この時点にあるということである。もう2年の歳月が経過するぐらいになるので、金融コングロマリット化の進展や金融商品の販売の相互乗り入れ等への配慮のある議論、それからISO等の業界型ADRの標準化に関する国際的な流れも意識した議論として是非進めていただきたい。

[今後機関間連携として必要な取組及び優先すべき取組について]

  • 消費生活センターにかなり相談が寄せられているが、消費生活センターと個々の業界ADRとの連携は2年前の議論のときも整理不十分を思われるところがあり、行政が行うべきことと業界が行うべきことの話を詰めていきたい。アンケートの回答を見る限り、どこも連携の必要性を否定はしておらず、積極的に連携していきたいと言っているが、現在、地方の予算が大変厳しくなってきており、消費生活センターの相談機能が縮小傾向にある。その中で金融トラブルの増加傾向が顕著であり、こうしたトラブルの処理を業界型ADRではなくて、行政の相談機能に軸足を移すのはどうかと思うが、それについては各業界どのように考えているのか。

  • 業界からのアンケート回答によると消費者団体や消費生活センターとの意見交流を今後とも密にしていきたいとのことだが、消費者行政の側の予算の問題や、金融分野の専門性の問題がある。それを踏まえてまず金融業界として苦情や紛争をどう解決していくかの議論があって、それから行政型ADRとどう連携していくかの議論をすべきなのに、それをせず、従来型のように行政に頼りきった形とすることは望ましくない。金融業界として、あるいは金融業に携わる形のADRとしてすべきことの議論を是非して欲しい。

  • 金融先物取引業協会はあまりトラブルのないところだが、東京都の消費生活総合センター、国民生活センター、消費アドバイザー・コンサルタント協会のいずれからも当方にしばしば連絡がある。つい最近では東京都の消費生活総合センターを訪問して、「先物とは何か」という基本的なところから話をしてきた。連絡をもらえれば、当方からいつでも出向くし、資料も送る。決して閉鎖的な態度はとっていない。当方から説明に出向いた際は、金融先物取引は、個人顧客の多い商品先物取引の仕組みと基本的に同じなので、その仕組みの説明をする。その際に相談員の代表の方と会い、先物取引についてのやりとりをして感じるのは、相談員の方が必ずしも先物取引に詳しくはないことである。まずは、相談員が一般の顧客の相談内容を理解することが大事なので、協会としてはセミナーを開いたり、新しく出した刊行物を積極的に送るなど、常に門戸を開いている立場である。

  • 商品投資販売業協会は商品ファンドという金融商品に関する専門の自主規制団体であり、具体的な消費者団体との交流に関しては、今年の7月に消費生活センターの職員の方から、「今商品ファンドについてのトラブルがあるわけでないのだが、商品ファンドの内容が専門的で分からないところがあるから、資料一式を送って欲しい」との要望があり、資料一式を送った。こうした形での消費者団体との協力はこれからも積極的に行っていきたい。この協議会で取り上げている苦情処理は一般投資家から相談を受けたことに対する会員会社との間に立っての話し合いなどであるが、消費者側の方から要望があった場合にはこちらも前向きに検討していきたい。ただし、商品ファンドは業界の規模が小さいこともあって、協会も全体で職員が5人しかいないので、消費者団体の全部の事務所などに資料を配布することがマンパワー上無理なので、要望があったときに積極的に対応したいと思っている。

    先ほど話のあった金融商品全体の立場で議論すべきだとの話は正しい意見だと思うが、商品先物取引と商品ファンドが全く異なっていること、金融商品自体が非常に多岐にわたっていること、マンパワーの問題などがあり、当方としては、そこまで要求されると荷が重く、できる範囲ではやりたい。商品ファンドは商品取引の会社や総合商社等、いろいろな会社が取り扱っている。商品先物会社もかなり商品ファンドを取り扱っているが、当業界はかなり法律でがっちり規制されていることもあって商品先物取引会社が取り扱う商品ファンドに対するクレームは今のところほとんどない。ただし協会にかかってくる電話は商品先物取引業者がが取り扱う商品先物取引で非常に損をしたから何とか相談に乗ってくれとの質問が非常に多いので、「それは私どもの協会では扱っていません。それは商品先物取引を扱っている日本商品先物取引協会にお聞きください」と答えている。金融商品はそれぞれの商品性が異なっていて、法律による規制もあるので、こちらとしてもいい加減なことは言えないことと、僅かな人数で何もかもやっていい加減なことを言ったりするとかえって問題を起こすことがある。商品ファンドに関しては苦情等について誠意をもってマンパワーの範囲で取り組んでいきたいと考えている。消費者団体から要請があれば積極的に応じるが、こちらから消費者団体などに対して何かを働きかけることはできないというのが率直な意見である。

  • 商品内容の理解のための行政型ADRと業界型ADRとの交流について、現在は、基本的には消費者からの相談に基づいて、個々に具体的な話で情報収集や意見交換をすることが基本になっている。それに加えて、情報交換のために例えば日本商品先物取引協会、証券投資信託協会、金融先物取引協会と情報交換会を行った。また、協会主催で毎年一回職員等を参加させているのは生命保険協会と損害保険協会との懇談会、これは国民生活センターも参加していると聞いている。金融商品は多種多様で、新しい商品も次々と開発されているので、相談員を専門的分野にも対応できるような形で育てていきたいと考えている。

  • 行政型ADR機関に対する個々の相談案件に係る業界型ADRからの協力についてだが、東京都では、まず相談窓口で助言やあっせんを行い、都民の消費生活に著しく影響を及ぼすときには、消費者被害救済委員会に付託し、あっせん・調停を行うことになる。ただし、金融関係で付託した実績はない。

    金融商品の場合も、相談の際に、業界側のADRを紹介したり、個別に協力を求めたりすることは、ケースバイケースになる。なお、逆に業界型ADRに来た案件について紹介されてくる例はあまりないが、業界型ADRに相談している人から消費生活センターに相談が入ることはある。

  • 業界型ADRに相談に行って膠着状態になった段階の人は、実際には、東京都の消費生活総合センターなどにも相談に行っているようである。私も連絡を受けたりするので、そうした方々は確実に存在しており、行政の消費者相談の機能のところに申し出ている。ただ、一旦業界型ADRに相談しているのであれば、行政としては何かできるのかということとなり、対応には苦慮しているようである。例えば消費者を中心とした集会等を開くと、そういう人がしばしばやって来て発言をするので、こういうことはかなりあると考えている。

  • 業界型ADRに来た案件がこじれて行政型ADRに行くことと、あるいは行政に来たものが複雑な事件なので、場合によっては業界型ADRから情報をとりたい、あるいは頼みたいことがあると思うが、そういう場合にどういった連携関係をつくることが必要か。

  • 金融商品は消費者にとって一番分かりにくい商品である。その分かりにくい商品をどうやったら分かりやすくするかをまず考えないと、苦情はなくならない。その辺は、例えば一般の商品に家庭用品の品質表示法があるように、金融商品にもルールに沿った表示のあり方があると思う。そういうことを考えるのがこうした協議会だろうし、それから私はこの協議会を狭く考えていて、この機関間連携というものを業態間の機関間連携と捉えていた。しかし、そもそも苦情とは何かということから考えないとなかなか事は進まないのではないか。アンケートにも書いたように、苦情・紛争処理のモデルの中で、苦情とは何かを検討した。金融業界の人が苦情とは何かということをきちんと捉えて、モデルに沿った規約に変えていく形で検討して、それを基に業態間で、自分の所はできるのかできないのか検討する必要があり、そういったことをまずは金融業界自身がやることが必要である。それから、自分達はこうしたことを行っているということを他の行政型ADRにPRをしていく必要がある。今のままで行政と連携をしたとしても、各個別の業界との連携だけであって、金融業界の大きな中の一つの連携とはなり得ないのではないか。だから、この協議会が大きな意味での連携の基になる形で運用していかないと各業界と行政機関が連携しても和解で終わってしまうとか、行政が入ったから、これは聞きましょうという形でトラブルが解決していくだけになってしまうのではないか。

  • 国民生活センターの場合、相談を受けると、消費者からの申出を聞くと同時にもう一方の当事者である事業者からも話を聞いて、どこに真実があるのかの解明に努める。しかし、事情聴取の要請を事業者が受け入れてくれない場合にはあっせんが成立しない。消費生活センター、国民生活センターが金融関連の商品について事情を聴かせてほしいという場合に全ての事業者に応じてもらえるわけではない実態がある。そうした場合に、業界としてADR的な相談室等を設けているところに案件を移送するケースはある。国民生活センターの場合は原則として消費者から相談を受けた場合は国民生活センターの方で処理したいと考えているが、各地の消費生活センターにおいては相談員が1名で勤務している小さなセンター等もあるので、マンパワーとの関係から金融に限らず全ての案件を処理できない実態もあるため、ADR的なものが業界団体にあれば、そうしたところに案件を移送するケースが見られるのが実態だと思う。そうした実態がある中で、消費者からは、業界型のADR等に相談しても業界寄りの処理をされてしまう懸念があるので行政の方に話を聞いて欲しいとの要望がある。アンケートでも回答したが、行政に持ちこまれた案件についても、最終的に民間に委ねたときの処理結果が行政にフィードバックされる形、そして当方のPIO-NETにその処理結果が確実に入力される形で透明性が担保できればよいのではないかと思っている。

    また、我々もすべての金融商品について専門知識があるわけではないので、案件が持ちこまれた段階でいろいろ調べたりすることはあるが、それでも、相談者から何を聴き取ったらよいか分からないケースもある。したがって最新の商品情報の提供のために我々も日々勉強しなければならない部分もあるが、全ての案件について処理しなければならないのかも含めて、より専門性の高いところで処理して頂いたほうがいいのかということもある。我々の方もこうすべきという固まった意見がない部分もあるが、相談も増えていることで、この分野に力を入れて取り組まなければいけないとの認識ではいる。

  • ホールセール・リテールに関するワーキンググループで話し合っていたとき、メンバーがそれぞれ意見書を出した。その中で国民生活センターから出されたものを読ませていただきたい。二点要望が出ていて、一点目は「事実認定機能の強化」で、「紛争処理する上で最も大きな問題点は、金融業者が話し合いのテーブルに付かない、担当セールスマンを同席させない、顧客カードの内容を顧客にも提示しない、紛争の解決に必要な書類・資料等の提出を拒む金融業者の不誠実な対応である。紛争を解決するためには、金融業者がこのような対応を是正するような方策が必要である。なお、行政型ADR機関では、相談者の申し出内容に見られる問題点を把握し、問題点について事実確認を行うという手順を踏む中で可能な限り真実に迫るやり方をとるので、担当セールスマンが同席したうえでの金融業者との話し合い、紛争の解決に必要な書類・資料の検討が欠かせない。顧客の側の問題点も把握するなど調査は公正に行っている。」。二点目は「行政型ADR機関での実効性を確保する上で、国民生活センターで損失補てんについて合意したことは金融再生委員会に確認を受けることなく届け出等のみで簡単に処理できるような方策を大蔵省若しくは金融監督庁で講じて頂きたい。」。それから、今のはADR機関として個社と国民生活センターとのやりとりの中でのことだが、苦情処理・ADR制度の統一化包括化に関する意見として、「行政型ADR機関では金融取引の苦情・紛争処理担当者を拡充し、必要な財政的措置を講ずることが必要になる。」、「苦情受付のみの一元的窓口の創設は、現状の紛争解決の改善に寄与しないので不要」である、「事案の移送について。証券業協会の苦情処理に不満で行政型ADRに再相談するケースが間々あるが、これらを再度証券業協会に移送する必要はない」と考えると、自分のところに来たものは自分のところで処理をするのが国民生活センターの考え方だったと思う。このワーキンググループでの検討をするときに包括的、一元的な機関のところでかなり国民生活センターには期待されるところが大きかったが、当時の経済企画庁からも意見が出されて、予算がもらえればやらないことはないが、金融分野のトラブルを経企庁に投げるのは如何なものかとの意見もあり、国民生活センターを統一的な窓口にしたり、連携の中核にすることはその時になくなったと理解している。

  • 国民生活センターが統一的な窓口という考え方はないと思う。それを言うと他の業界もということが出てきてしまうような気がする。また、全国の消費者行政、地方の消費生活センターを含めた体制で考えると、先ほども話に出てきたが、消費生活センターは千差万別であり、センターと名前をつけているところでも相談員が1人しかいないところもある。それで森羅万象の消費者問題を扱っているから、金融のような専門的なものは処理しきれないのが現状。市町村の場合は業界型ADRに移送する場合もあるだろうし、都道府県のセンターに移送し、それもかなわない場合は国民生活センターに持ち込むような形になっていると思う。だから、行政型機関のなかで国民生活センターがラストリゾートのような形になっているので、人員も予算も限られている中で困難であるが、消費者生活センターをバックアップする機関としての国民生活センターの役割は評価していかなくてはと考えている。

  • 個別の事案についての連携に関して、先ほど、ケースバイケースと言ったのは、想像するに、担当者が個別のケースをみて、それまでの経験その他に照らして、あるいは人的つながりその他で処理するという話かと思ったが、もし、消費者行政側でも都道府県や国民生活センターその他を含めての移送等の連携関係があるとするならば、それはどんな感じのものか。こういうものを言いたいのは一種制度化して、あらかじめこういうやり方で個別事案について、協力、連携しようということを決めていくようになっているのか、あるいはそういうことをやるメリットがあるのか。そこが、話を聞いたときにイメージが沸かなかったためである。件数が少ないので事前にそのようなことを合意することがはるかにコストがかかるという発想もあるだろうが、例えば、金融の監督や検査の世界では海外の監督当局と最初から、Memorandum of understanding(MOU)というものにより、こういうことをお互いやると事前に決めて、それに基づいてやっている。国民生活センターだと法律的には守秘義務その他の関係があるので難しいという点もあるが、例えば証券業協会のように比較的件数の多い所との関係はどうなのか。実態としてある種の制度化があるのか、それとも、こういう場で努力規定として対応しようとの合意のような形で進んでいるものなのか。

    • 国民生活センターの場合と各地の消費生活センターの場合とで分けて考えると、国民生活生活センターの方から事業者に電話をすると大体来てもらえるが、各地の消費生活センター、東京都のような大きいところは別として、相談員が1人しかいないようなセンターの方から、こういう相談があったので事業者の方に話を聞かせて欲しいといっても、なかなか応じてもらえない現実もある。行政型ADRと業界との間に何らかの取り決めがなされるのは意義があるのかもしれないが、国民生活センターが処理する場合と、消費生活センターが処理する場合では事情が違うと思う。

  • 各地の消費生活センターで意見を聞いていると、金融に関するトラブルあるいは金融商品に関して相談員が相当勉強する必要があるが、情報もなく、首都圏や大阪と違って、業界による勉強会の機会も非常に少なくて、金融トラブルの処理に非常に困っているという実態が挙げられる。それから、ホールセール・リーテイルに関するワーキンググループの時には、2年前の東京都の事例でも全体の相談の中の二桁台の比率で金融関係の相談が占めていた。それも含めて、東京都だけではなくて、国民生活センターからも、地方のほうからも、とにかく金融に関しては、金融業界がきちんとやって欲しいとの要望がある。各地の消費生活センターは、自分のところに来た事案は、金融に関する知識は不足していても相談の実務はプロなので、どこのセンターも相談を受けて、いろいろ情報収集をしながら責任持って処理しており、基本的には移送するという考え方はない。行政型ADRは解決支援が役割なので、金融に関するきちんとしたADR機関があれば、そこに行って相談するためのサポートはできるとのことである。金融に関するADR、まず横断的なものができるまで、に今のADR機関をきちんとして欲しいことと、いずれは、横断的包括的な谷間のない形を考えて欲しいと、大体どこに行ってもこのような意見を聞いている。

  • 現状ではどうしたらよいのかというレベルで考えると、一つはセンターがもっと金融についての知識を身につけるといった個別の対応能力を上げるための連携、例えば各業界の関係の商品説明会等を開催するといったようなことを強化していくのがよいのか、あるいは、むしろ個別事案のサポート、移送という形で完全に移してしまうのか、個別事案についての問い合わせや業者への協力要請といったことをするのがよいのか、何が一番期待されているのか。

    • 相談員達はもっと情報が欲しいと言っている。このため、実務のネットワークや、定期刊行物、インターネットなどのいろいろな手段により、地域差を解消する形で地方の人達にも今中央で起こっていることは知らせる必要がある。地方行政がしっかりしていないところに悪質業者が流れていく傾向もあり、悪質業者は消費者行政がきちんと行われていないところの地図を持っているとの話もよく聞く。金融等もきちんとやってくださいということは別な話としてするのだが、まさにきちんとやっていないと金融関係も含め悪質な商法が流れてくるので、やはり地方の情報は共有したい思いは持っているようだ。だから、情報提供と教育機会があるとよい。しかし、教育機会の問題は、例えば神奈川県では、市町村がみんなで勉強会をすることですら、年一回、二回でも困難でなかなかできないときく。業界型ADRの協会や団体が出前をして欲しいと思う。

  • 解決策として三つあると思う。一つは相談担当者に専門的な知識が不足しており、本人もそれは感じているので、行政型ADRに情報提供をしていただきたいということ。二つ目は、個別の事業者に案件を振ると事業者がなかなか応じないケースが多くあるので、そういうところは業界のADR機能をもっているところがリーダーシップをとって、個別の事業者に誠実に対応するように指導することが大原則であろうと思う。三点目は、移送はやむをえないと思うが、移送をする方も、受ける方もそれぞれ責任を持って欲しい。行政に来た事案を業界型ADRに持っていかざるをえないこともあるし、業界型ADRに移送されたものでも、そこが消費者にとって不満でまた行政型ADRに持ってこられることも両方あるが、移送を受けた側だけが責任を持つのではなく、移送したほうも受けた方も両方が責任をもって苦情を申し出た人に対応する形で解決を図っていただきたい。

  • 統計をとった訳ではないが、都道府県レベルではかなりインターネットへのアクセスはできるようになっているのと思うが、市町村レベルだとまだまだだと思う。また、職員がインターネットを使えても、相談員は使えないところがほとんどではないか。相談員が自由にインターネットにアクセスできるようなところはそんなにないのではないかとの感触がもっている。

  • 情報が欲しいとする場合も、一般的な金融商品の情報を得ることの他に、個別の案件について何が問題であってどう考えたらよいかを知りたい場合があると思う。そうなると一般的な教育だけでは不十分で、金融商品の情報をインターネットで知りたいといった場合も、多分そういう個別案件のレベルで知りたいということになる。そうなると地方だけではなくて、業界ADRの中央の人が揃っているところでそうした質問に答えてリスポンスするといったことも今後考えていかれるのではないか。そういう点での協力の余地はいろいろあるのではないか。

  • 先物取引のトラブルは商品先物取引が圧倒的に多く、当方に間違って商品先物取引に関する照会の電話がかかってくることが多い。その点で消費者団体の人に聞きたいのだが、この会議は金融庁が主催する協議会で、金融トラブルに限定したとのことで商品先物取引の団体は結果的に参加していないが、商品先物取引に係るこうした協議会的なものが既にあるのかどうか。経済産業省、農林水産省の方も来ているが、その辺をお聞きしたい。それから、アンケートにも書いたが、最近のトラブルの中で多くなっているものに為替証拠金取引がある。平成10年4月に外為法の大改正があって、それ以前はいわゆる為銀(外国為替公認銀行)以外、為替取引ができなかったのが、商品先物取引業者を含め一斉に出来るようになった。私達の会員には、銀行、証券会社が圧倒的に多く、そうした業者から個人が金融先物取引を勧誘されることはおそらくないと思うが、一方、商品先物取引業者は個人顧客に積極的に勧誘している。こうした問題の他、本業の商品先物取引に加えて、為替証拠金取引について、私達のほうに苦情が非常に多くなっている。この為替証拠金取引は、個々の業者によって条件が違うので概略を説明すると、例えば1万ドルを買いたい場合には換算額として約120万円の資金が必要だが、「120万円用意しなくても結構です。1割で結構です」とか、又は「12万円用意していただければ1万ドル買えますよ」と勧誘をする。これは、12万円もらっていれば、たとえ10円動いても、そのロス分は充分カバーできるとの発想である。これは違法ではない、外為法でやっても構わないとされている取引である。当協会には、商品先物取引業者も今日現在で13社が金融先物取引業の許可をとって加入しているが、その中で数社、当方から撤退を決めている業者が出てきている。これは、金融先物取引業の許可を取っても、取引の主流がホールセールであり、個人顧客はなかなか見込めないことが分かってやめていく動きが出てきており、それに対してこの為替証拠金取引にシフトしている動きがある。これに関するトラブルの持っていきようがないがどうしたらよいかとの問い合わせを私達も時々受けている。この辺はやはり、行政側、金融庁でいいのか、外為を管轄しているのは財務省なのか、はっきり線引きはわからないが、こうしたトラブルは今後も多くなっていくのではないか思う。金融庁にもこういったトラブルに関する電話が入ると思うが、そうした場合には多分、金融先物取引業協会で分かるだろうと思うから電話してみてくれと言っている担当者もいるのではないか。現に金融庁に電話をかけたがよくわからないので、金融先物取引業協会にかけたと言う人もいる。金融庁の人も忙しい人ばかりということは重々知っており、商品先物取引業者ばかりを悪者にするつもりは毛頭ないが、かなり、こうした苦情は多くなると思う。こうしたものを持っていく窓口を、金融庁か他の省庁になるのかよく分からないが、別途置くのも一つの方法ではないか。最初の質問の商品取引に関する定例的な集まりがあるのかと併せて、二点お伺いしたい。

    • 商品のほうはよく分からないが、別に他の団体を排除しているわけではなく、この協議会の趣旨に賛同していただける所にはぜひ参加して欲しいと考えている。確かに金融庁でも、担当部署の監督でも日中の3割くらいは苦情電話の対応に追われており結構大変なことになっている。もちろんいろんな情報が入ってきて、それを元にして考えるというポジティブな面もあるが、新しく出てきた商品やスキームは聞いた担当者もわからないのが現状である。商品先物の時も似たような話だったのだが、金融と金融の外縁のようなところとの区別がつきにくくなってきていて、どういう形で対応したらいいかがなかなか難しいのは事実である。おそらく金融商品販売法でも証拠金をベースにした一種の先渡し取引みたいなものになるのか、事前証拠金みたいなものを集めて、通常の、例えば3ヶ月後にどこかに旅行するが、ボーナスが入るまでは現実的には金がないため、その分だけ外貨の手当てをしておきたいとのようなレベルの取引になるのか、結果的にはある時点に逆向きの清算をやることを前提にした取引なのか、法律的には結構難しい問題がある。

  • 商品先物取引等が金融商品販売法に入っていないという法制上の欠陥があって、金融とそれ以外との線引きが現実に合わなくなってきている。金融商品とそれ以外のものが融合しつつある一方で、業界などの従来型の垣根を未だに持っていて、そのために法律が全てをカバーするかたちでは現実には規定されていない。先物取引でも海外のものなどあらゆるものが事件になっているが、それに対して法律の方が必ずしも追いついた形でのルールづくりができていないこともあって、非常に難しいことになっていると思う。そういう面では金融庁の方でもさらに努力をして、制度面での整備を今後図っていかなくてはならないと思う。しかし、法律作るのも時間がかかるので、それまでの間もそうしたトラブルを協議会の場を使って少なくとも現状で出来る範囲でよりよく対処できるように協力関係を作っていく必要があると思う。今出たのは一つの例だが、アンケート結果の中で不動産投資信託といった新しい商品の例が出てきており、アンケートの回答を見る限りそういう意味での努力をされているが、なお、必ずしも全面的に枠組みが出来ているわけでもないように思うので、今後各業態ごとのADRの間でさらに機関間連携を図ってもらう必要があるのではないか。

  • 全銀協などはすでにルール作りを始めているようであるが、まだ全部の関連するところとの間での連携をルール化するところまでいっていないのか。

    • 全銀協の場合、銀行が取り扱える業務の範囲が広がってくることに伴って、日証協、生保協会、損保協会、信託協会との関係等を出来るだけ明確な形でルール化をしている。関係する機関の間で責任関係があいまいにならないようにするためにルール化を図っている。

      消費者団体、消費者行政機関との関係でも、一つは個別の商品等に関する照会に対して説明を行っている。あるいは当方のスタッフが国民生活センターやその他の消費者行政機関、消費者団体の講演会にいって話を聞いたり、場合によっては当方の相談担当スタッフが消費者行政機関が実施する講演会に講師として行くといったことも、実施している。

  • 不動産投資商品についていえば、投資信託協会にも関係するし、不動産シンジケーション協議会にも関係してくる。それに投資顧問業協会のアンケートの回答にも、狭間に落ちるようなものがあるとの指摘があったので、それぞれの業態のADRごとにそういった今後埋めていかなければならない問題があると思う。それは一般的な情報交換の他に場合によっては、個別の案件についても情報を提供してもらうとか、いろんな協力があり得るのではないか。

  • そうした谷間に落ちるものやこれから出てくるものに関しては、金融庁の関与が重要になってくるのではないか。大蔵省時代に各省庁の消費者関連予算を公開したものを見たら、大蔵省はゼロだった。それを何とか改善して欲しいと審議会で何度も提案したが、今、金融庁になってどうなったか分かれば教えて欲しい。それから、苦情相談の窓口のインターネット対応をずいぶん変えてもらっているようであるが、それについてさらなる要望がある。海外の監督官庁のホームページを見ると、苦情関係の窓口は一番目立つ位置に掲載されている。インターネットを使ってかなり効率的に情報提供をしていて、苦情申出者がホームページ上でクリックするとそのまま苦情が書けるようになっており、また、インターネットを持っていない人のための郵送の手段等も紹介している。ニューヨーク州やカリフォルニア州になると、個別業者の苦情の多さのワーストランキングも発表している。そういう形でないと消費者に警告を発することが難しくなってくる時代だと思うので、直接受付で何が狭間なのかなのかを把握するのと同時に、アメリカの場合だとFTCが認可業者ではないものや悪質な金融取引に関しては自らネット上でこういうものがあるからとの警告を発したり、にせ広告を打って消費者をわざと引っ掛けて、消費者教育をしていくとかいろんな工夫をしているようなので、是非その辺も金融庁の方で工夫して欲しい。

[今後の金融トラブル連絡調整協議会のあり方について]

  • アンケートの回答を見ると、この協議会を金融トラブルの研究の場としてはどうかとの意見については異論は少ないのではないか。大きな問題は統一的な窓口を作るという、かつてのホールセール・リーテイルに関するワーキンググループのときの課題との関係でこの協議会はどういうことができるかということではないかと思う。

  • 2年前の最初の議論のときに統一的な窓口の話をして、その話は入口だけ統一的にしても現状をみるとそのまま業界に割り振ったりするようなことになるので意味がないのでは、との意見もあり、拙速に過ぎるとして退けられた。しかし、先ほどからの話にでているように、狭間に落ちる商品が出てくるとか、これからの金融商品の設計とか販売もまた場所が違ってくることも考えると、やはり統一的な機関を念頭において置く必要があるのではないか。ここの協議会自体が当初スタートするときは、ADRの議論は結論をみていなかったので、各委員に集まってもらって、どういうところにまず現状があるのかというところからスタートしてきたが、ようやくここに来て、お互いどれぐらいの状況にあるか分かってきたので、問題はこれからだとに思っている。だから、モデル案をワーキングで今作っているので、それに沿った形で、なお一層の努力をしてもらって、統一的なところを念頭に置きながら、その時々の課題を探って解決のほうに持っていくために、是非継続した場としてここを活用させてもらえればと思う。

  • 今までの議論を聞いていると行政機関の受け付けたトラブル、つまり国民生活センター、地方の消費生活センターのやりとりも一定のルール化、システム化が必要だと思うし、それから行政機関と民間の間の個別事案の引渡しも一定のルールとシステム化が必要だと思う。今は個別に対応しているわけだから実態がよく分からないとの問題も発生してくるし、きちん苦情が処理されているかも見えてこないこともある。したがって、民間でのいわゆる金融業界全体としての金融ADRセンターのようなものを、すぐ作るのはおそらく難しいだろうが、将来作っていく見通しを立てた上で、具体的にどうやっていくかを議論しなければいけない状況になっているのではないかと思う。一方、行政が何もかも請け負うことは今後非常に難しいと思う。今後、金融及び金融関連商品が複雑化していく中で、行政が主導権をもって解決にあたることは難しいので、業界が業界の責任としてやらざるをえないと思っている。業界の人の意見では「商品が違うから一緒になっても共通項がない。したがって、関連している商品のところが情報交換をしたりすればよい」といったようなものが多い。商品として考えればそうなのだが、どう紛争を解決していくかといったISOの基準や消費者契約法、金融商品販売法といった法律等との関係でどう考えるかといった基本的な大きな問題に関しては共通している部分があるので、全体金融商品ADRセンターのようなものは今後必要な組織であろうと思っている。その中に個別ADRがあるような仕組みがいいのではないかと考えている。

  • 不動産シンジケーション協議会は任意団体であり、不動産の証券化の中で不動産特定共同事業法に基づく商品の苦情相談窓口の役割を担いたいとのことで活動している。ただ、不動産の証券化商品が多岐にわたってきて、なおかつ、不動産の裏づけをした商品なのか、例えば、不動産が後にあって、その入居保証金の証券化商品のようなものまで幅広くなってきていて、私達の任意団体でどこまで取り扱えるのかということは毎日のように議論をしている状況である。そういったなかで、先ほどから出ている話の中で業界団体との話があったが、まだ業界にならない新しい商品がいろいろなものが出てきている。そういったところでクレーム、苦情のようなものも出てきている。例えば、あらゆる資産の流動化としてSPC法が改正されて、資産の流動化に関する法律になったが、その中の不動産証券化の部分では場合によっては私達が一部役割を担うことがあるかもしれない。しかし、この法律はあらゆる資産の流動化を規定しており、中には映画やゲームソフトの開発権を証券化する話も出ていて、そういった場合にそもそも投資家はどこが苦情申出の窓口になるのかを分からないまま買っているのではないか。この場合は、現実に業界が存在しない状況かと思う。先ほどから穴があいているとの話が出ていたが、ここにいない業界、業界がそもそもまだない、あるいは従来の金融業界ではないところに新しい金融商品が出てきている、そういったところにどう対応していくのかというところ。それから、私達の立場とすれば、同じ資産を裏づけとした商品との観点で見たときに、そういったまだ業界となっていないところとどういう連携がとれていくのかが問題意識となってこちらに参加している。解決策になるかどうか分からないが、そういう法律に基づいた商品の場合には、例えば特定目的会社は財務局に届出をする制度になっているので、そういったところでこの商品を売るにあたって、必ず苦情なり照会の窓口を業者が必ず指定して販売させるような指導が必要になるではと思っている。

  • 自治体の話が出たが、公的な消費生活センターのほうでは現在何か行われているか。

    • 各協会のホームページとのリンクは張っていない。情報誌や消費者団体交流集会等による情報提供を行うにあたり、必要に応じて金融庁等から情報を得ている。

  • 今後は年1、2回開催することにより、業界団体、消費者団体、消費者行政機関の意見交換、情報交換の場として引き続きこの機能を活用していくべきだと意見を書いたが、この1年ぐらいの間に本協議会に幅広い人、団体が集まって、相当密度の濃い、いろいろな意見が交わされて、いいアイディアもいろいろ披露された。今後は、こういったものをどういうふうに消化して実際に生かしていくのかについて、年1、2回、会合を開いて意見交換、情報交換の場として活用していったらどうか。その後については具体的に何らかの制度や組織となると、実際にそうした制度や組織をどうサポートしていくのか、この点を具体化することが難しいのが実情ではないかと思う。今後はそのようなサポート体制がどこまでできるかを見極めていくことが、本協議会の機能をスムーズに展開していく上では必要ではないか。いずれにしても、これだけたくさんの団体等が集まっているので、その中にはいろいろな立場があると思う。

  • 資料の公表について了承された。

  • 裁判外紛争処理制度の改善に向けた取り組みについて、全国銀行協会、日本証券業協会及び金融庁から報告があった。

  • 次回の協議会では苦情・紛争処理のモデルの中間試案について議論することとなった。

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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