第13回金融トラブル連絡調整協議会議事要旨

1. 日時:

平成14年5月23日(木)10時00分~12時00分

2. 場所:

中央合同庁舎4号館 金融庁特別会議室

3. 議題:

金融トラブル連絡調整協議会の今後の取組みについて

4. 議事内容

  • モデルに対するパブリックコメントの際に業界団体からは、特段、御意見は出てこなかったので、モデルの通りに進められると思うが、業界団体の方からの発言が少ないので、今日は、評価やフォローアップの話に入る前に、業界団体の方がモデルにどう取り組むのかぜひ一言ずつ業界団体の方に発言をしてほしい。

  • 各業界団体の皆さんから、モデルが作成されたことを踏まえての今後の進め方やフォローアップについて意見をいただけたらと思う。消費者側の委員の意見ばかりというのは確かに問題だし、消費者側の意見に必ずしも納得できないことも当然ありうると思うので、率直に意見を伺えればと思う。

  • 日本証券業協会だが、今後の進め方ということであるが、本日は代理で出ているので持ち帰って検討させていただきたいと思う。

  • 投資顧問業協会だが、モデルをどう盛り込むかは新年度の課題として認識しており、いろいろと考えている。現実のところ、私どもの場合は年間で相談も含め50~60件のうち苦情が20件くらいと数が少ないので、残念ながら、今まであっせんや仲裁までは持っていなかった。数が少ないのでどこまでやるのかなというのが、今の率直な感想である。新年度に入り、金融庁からも通知が送られてきたので、具体的にどうするか検討中である。ただ、消費者やお客様からのご相談が少ないから、コストとの見合いがある。

  • 生保協会だが、現在、モデルを踏まえて相談所規定の見直しを事務局レベルで進めている。個人的な感想だが、このモデルのうち、紛争解決支援委員の欠格事由で裁判官の弾劾裁判を受けて罷免された者という条文はなじみづらい文章と考えており、この文章を盛り込むとしても、欠格事由よりは適格事由を書くことを今考えている。それ以外はモデルに即してそのまま規定化できるものと、現行の条文と齟齬がない形での規定化に今取り組んでいる最中である。機関の周知に関しては、私どもは紛争処理機関の運営を昨年始めているが、それにあわせてリーフレットを国民生活センターや各地の消費生活センター等460か所に送っている。それから生保協会の地方協会、各生命保険会社の本社及び支社レベルにまでリーフレットを配布している。

  • ルールの見直しに関連して機関間連携についても、生命保険協会として何か検討しているか。

    • 機関間連携に関しては、機関間連携に努めるという条文を入れると同時に、これから関係団体と話をしようと思っているが、相互にリーフレットを置き合うことを考えている。金融関係の窓口については金融庁が作った窓口一覧を生命保険会社の本社・支社、それから私どもの機関には備え置きをしているが、今後、関係団体のリーフレットを相互に置き合うことも考えている。また、案件の移送については、仮に名前を名乗られて、最終的に確認したら生命保険の苦情ではなかった場合は電話で紹介先に連絡するか、又は文章で連絡することになるかと思う。また、名前は名乗らない方の場合は、窓口の電話番号をお知らせすることにしている。全銀協では、苦情の申出を仮に受けた場合、生命保険に関する苦情は生命保険協会に移送するとの話が昨年の3月にあり、4月に銀行内部の通知連絡をされて、昨年5月31日開催の第5回協議会で銀行協会からその資料が提出されている。今後、できれば、全銀協並のペーパーを整理していきたいと考えている。

  • 損保協会だが、モデルには当方の意見をだいぶ反映してもらっているため、現在、調停委員会という紛争解決機関があるが、これを見直して対応することとしている。一番課題と思っているのが、消費者の皆様への周知の方法であり、業界内で論議をして、会員各社と業界団体による広報においてどのような形で周知を図っていくか検討しているところ。

  • 損保の場合、機関間連携の問題は出てくるのか。特に銀行の窓口での販売が広がることになるが。

    • 機関間連携については、保険の銀行窓口による販売に関する対応も含め、関係する機関すなわち全銀協、生保協会等と調整を行っていきたい。

  • 抵当証券業協会は、非常に規模的に小さな業界になってしまったが、私どもの協会では平成元年から設置されていて、当時より、苦情処理規則がある。モデルができたので、モデルに沿った形で苦情処理規則を大至急見直すコンセンサスがあり、早ければ来月中との計画を立てている。皆さんの業界から発表があるホームページについては昨年の終わりに立ち上げた。商品説明などに力を入れて、なおかつ時宜にあった法令の改正にあわせて内容の変更をして商品説明をするようにしている。これからもそのようなことで取り組んでいきたいと思っている。

  • 投資信託協会だが、モデルの内容を私どもの業界としても高く評価しており、なるべくこの内容に沿った形で積極的に対応していきたい。ただ、業界団体によってかなりの差があると感じている。受ける電話のほとんどは相談であり、苦情はかなり少ない。しかも話を聞いてやれば収まり、あっせんや仲裁に近いものはまずないのが実態である。したがって、例えば紛争解決支援機関を設けるのは現状では実態にそぐわないといったこともある。モデルに書かれたことで、一体何ができるのかは前向きに検討している状況である。機関間連携について、投資信託の場合は、メーカーと販売会社は分かれている。このため、商品の設計とか運用の内容に関する問い合わせは対応できるが、販売は証取法のルールによるから、販売に関する苦情は取り扱えないので、古くから、日証協との間でかなり密接な連携ができている。これは、何かルールを設けたということではなく、自然にできあがったものである。それから最近投信の販売ルートが増えて、銀行に対する苦情もかなり入ってきているが、聞いてみると販売の問題であって、そういう場合、日証協を通じて銀行協会にこういう苦情があるとお知らせしている。

  • 今、相談だけで苦情がないという話をいただいたが、このモデルに沿った形で苦情と相談の定義づけをしたかと思う。その定義に基づき、もう一度モデルに沿った形で内容を見直すのか。

    • そのつもりでいる。

  • そうすると、例えばよく苦情がないというような話をいただくが、行政の立場や民間の第三者の立場から明らかに相談ではなく苦情になると思われる案件もあると思う。まだ内容は見ていないので、推測でものを言うのはいかがかとも思っているが、そうした見直しをしていただきたいと思う。

  • 農林中央金庫だが、昨年の2月に全国の相談所をJAバンクとして作った。今の苦情処理の流れに応じて、積極的に取り組む必要があると考えている。漁協系統も信用事業を営んでおり、昨年の秋に全国段階での苦情相談所を作っている。苦情対応は万全を期したいと思っているが、今回のモデル案について、内部的にはあっせんとか仲裁まで内部で持つのは負担が大きいため、弁護士会との提携といった方向で考えたい。それと、JAは1000を超える数があり、県段階で商品性や売り方も異なっており、全国レベルの機関は整備するが、全国で一手に受けるのは難しいので、基本的には県段階の整備も、全国段階と合わせて行っていく方向かと思っている。あわせて、農林中金自体も今の流れを受けて、苦情処理機関に加盟していきたいと思っており、JAバンクの全国相談所の中に入っていくと思う。組織の統合などにより多分商品性等に限らない苦情なども当然出てくると思っており、こうしたことに万全に対応していくのが、今の課題かと認識している。

  • JAの場合は、経済事業等の多様な事業を実施しているが、JAバンクのADRと経済事業等のADR的なものと一緒のものとして作るのか。

  • 将来的にはそのほうが顧客の利便性からも望ましいとは思っているが、個人的にはまず信用事業、特に県段階との連携ができてから、次のステップとして検討したいと思っており、今のところは経済事業までは荷が重い。

  • 不動産シンジケーション協議会は、従来の不動産特定共同事業法の商品に加えて、不動産を直接の裏付けとする資産流動化型や運用型の証券化商品まで団体の取扱対象範囲を拡大したため、現在規則改正を検討している。ただし、今後は不動産担保の貸出債権を裏付けとした商品も発展すると思われるが、現時点では直接不動産を裏付けとする商品の範囲に限っており、この点は今後の課題と思っている。それから、紛争の部分は商品が個人に浸透していないため、今後の問題とは思うが、他のADRの団体にいろいろ相談し助言をいただいて、弁護士会の仲裁センターとの提携での対応を協議している。また、資産流動化型商品や運用型商品が証取法上の有価証券であり、販売業者が、私どもの会員になっていないところもあるため、日証協、それから投信協会を中心に今後綿密に苦情の受付や移送に係るご相談をさせていただいて、機関間連携の議論をしていきたいと思っているが、まず我々として受け入れる体制を整えて、その上で、どう機関間連携を図るか考えていきたいと思っている。

  • 全国信用組合中央協会だが、現在、苦情相談については特に相談所を設けてはいないが、協会の業務部が窓口(兼務)となって対応している。年間50~60件ほどの相談があって、そのうち苦情は20件程度である。今後の対応については、本会の所管委員会で検討を行う予定であり、基本的には相談所を立ち上げる方向で考えている。ただ、小人数で運営している事情もあるため、兼務での対応とならざるを得ないが、モデルの趣旨を踏まえ、検討したい。

  • 信託協会だが、当協会は、既に「苦情紛争処理に関する規則」を定めており、モデルに即し、もう一度見直しをすることを考えているが、体制上今のままで良いのかどうかという事も合わせて見直しを考えて行きたい。信託銀行においても信託商品以外に窓口販売に係る取扱商品が増えてきているので、関係団体とも連携をとりながらやっていく必要があると思っている。

  • 全国労働金庫協会だが、現在、業態としての苦情相談等の組織はなく、全国労金協会の総合企画部を業界の苦情相談の窓口として登録をしており、日常業務を処理する中で兼務しているが、金融トラブル連絡調整協議会での議論もあり、先月4月25日の理事会で労金の相談所を7月から立ち上げることにして、今現在、細則やパンフレットを作成している。ただ、このモデルはすばらしい内容だと思っているが、業界として今までこの種の組織がなかった中で、ここまでのものを立ち上げるのは非常に難しい。例えば、紛争解決の機関を組織を内部に一気に設けるのは難しいので、前段階の苦情相談に注力して、最終的に解決しない場合には弁護士にお力を頂戴する形で立ち上げようと思っており、東京の三弁護士会との間で協定書を締結すべく話し合いをさせていただいている。これまで、相談所的な組織を持っていなかったのは、私どもの業態自体が社会的に認知度が足りないことがあるとともに、労働金庫は、労働組合等が行う福利共済活動を金融面から支援して労働者の経済的地位の向上を図るのが目的であるということがある。このため、他の業態とは違って、間に労働組合等が入っているので、個人の方との直接相対取引を想定しておらず、もし何か苦情等あれば、労働組合等で解決され、直接労働金庫に持ち込まれることが、他業態と比べれば少なく、組織を設ける必要性は感じていなかった。ところが、労働組合の組織率が年々低下をしており、労働組合に加入していない方との取引のシェアが拡大したことから、直接労働金庫に苦情が持ち込まれるケースも多くなってきた。この間の金融トラブル連絡調整協議会の議論も直接的に組織を作る契機にはなったが、労働金庫の環境変化も踏まえ組織を作ることとした。まずは小さく産んで運営していく中で、徐々に理想形に近づけるべく努力をしたいと思っている。

  • 全銀協だが、私はこの平成11年に全銀協の苦情紛争処理規則を制定した際に担当をしていた。当時は、やや先走ったような雰囲気があり、業界の中でもいろいろ意見があったが、国民生活審議会でも消費者保護の議論がなされており、これからの社会の大きな流れのひとつとして、何とか規則を取りまとめた。いくつかポイントがあったが、紛争処理はこれまでにない仕組みであり、業界にも経験がなく、いい知恵が出ずに非常に苦労した。苦情紛争とセットでと言っているが、あの当時の議論を振り返ってみると、紛争処理が主眼であって、国民生活審議会の定義もあったので、紛争処理につながるものが苦情と定義をした上で、苦情紛争処理の仕組みを作るのが一番納得的という考え方で規則を作った。もう一つは紛争処理を内部に作るのか、それとも外部の力を借りるか、それとも違う仕組みを作るのかいろいろと議論をした。その際に非常に大川先生にお助けいただいたが、弁護士会仲裁センターの存在を聞いて話をしているうちにこれは中立性からも非常にいいのではとなった。もちろん業界の中でそういう組織を作るのが、一つの考え方であり、納得いただける姿ではあるが、銀行業界としては、コストや体力も勘案した上で仲裁センターを利用させてもらうのが一番いい選択肢ということで、大川先生にお願いに上がった。ただ、仲裁センターでも初めてのケースであり、中ではいろいろな議論がされたと聞いている。今日モデルができていることはあの時の判断が間違っていなかったという思いをしている。このモデルの中にもいろいろ項目があるので、全銀協の規則に照らして見直すことがあれば、見直す必要があると思っているが、私どもの今の仕組みは、皆さん方に認知いただいていると考えている。そういう上で、見直すべきところは見直していきたいと考えている。それから、機関間連携の問題であるが、銀行の業務が非常に多様化しているので、そのためのルールを考えなくてはという議論をしており、全銀協の規則の中にも、関係する業務については、それぞれの関係の協会等に移送するというルールをある程度盛り込んだ。その後、保険業務など業務拡大をしているので、それを踏まえて、ルールを改正しているので、これからも、業務多様化の動きの中で、必要があれば、各団体との連携を考えてきたいと考えている。

  • 金融先物取引業協会だが、金融先物取引は、法人取引が圧倒的に多く、個人の参加は極めて少ないが、皆無ではなく、会員が78社あるうちのわずか1社のみ個人への勧誘を最近している。私どもはその1社に対するモニタリングの強化をすればトラブルを防げるという感覚である。他の業界の方からは信じられないような状態にあるが、個人取引は皆無ではないので、このモデルも非常に興味深く見せてもらった。ただ、何分当協会は、他の団体と比べて極めて小さく職員数はわずか8名でやっている。銀行協会や証券業協会といったそれなりの規模のところであれば、モデルもかなり実効性があると思うが、わずか8名のところに委員会を設けると委員会のほうが大きくなるなど、人的にもコスト的にも少し実効性の低い部分が含まれているのが正直な感想である。また、私どもへの問い合わせの電話で圧倒的に多いのは、商品先物との混同であり、また最近は、為替証拠金取引に関する問い合わせが非常に増えている。為替証拠金取引は、この協議会のいずれの業界団体にも含まれない取引なので、例えば、一つ私の勝手なアイデアで言えば金融庁の中に相談室を設けるとかいう考えがなければ、他に持って行きようがない。金融先物取引ではなく、基本的には外為の取引だと説明して、外為法を所管する財務省国際局に電話したところ、外為取引は原則自由になって誰でもできる取引なので、規制のしようがないという趣旨の返事しか来ない。この点について何か御意見があれば是非聞かせていただきたい。

  • いわゆる証拠金取引が相当最近増えており、それに関する苦情やトラブルが相当増加傾向にあるという認識をしている。法律的には財務省の説明のとおりとなる可能性もあるが、ただ、この取引の法律的な構成や、本当に法律の網がかけられないのかも含めて、少し勉強をしているところである。例えば一部の証券会社でもやっており、その辺りは比較的金販法的なリスク説明をしているようだが、それ以外の我々が直接的なコンタクトのない商品先物業者がやっているケースや、全く別の業者がやっているケースなど、中身について、もう少し実態を把握していこうとしている最中である。

  • 確かにこういう広い意味での金融商品で、現時点ではどこでも受け止めるものがないものが出てくるのでそうしたものを今後どうするか考えていかなくてはいけない。

  • 日本商品先物取引協会であるが、私どもの業界では、苦情と紛争のいずれも規則ができており、それに基づく体制もできている。苦情は相談センターで職員が受け付けているが、このモデル案の苦情の定義について、私どもは被害云々という表現は一切使っておらず規則上は定義はない。所管の経産省及び農水省に事故報告書を届けるが、その中に委託者(お客様)から業者に対して異議、不平、不満等が表明され、又は本会にその解決の申出があったものという注釈がある。モデルで示された被害という表現がどういう意味かは不明であるが、当方の業界では被害ではなく、何か不平、不満でもあれば苦情としてその解決を求めるという思想が入っていると思っている。被害と言うと、何か業者の方に非があったことをもって苦情として取り扱うという認識になるが、それとは少し違うのかなという感じがする。私どもでは、苦情は当事者間解決を前提にしており、当事者間の話し合いをする場を提供したり和解の勧奨はするが、決して仲立をする位置づけではない。それが解決しなかった場合はあっせん・調停に入って、弁護士先生や学者先生の第三者の専門家にお願いして間に入っていただいて、紛争処理として解決していただいている。そういう機構になっている形から言うと、このモデル案に示された内容はほとんど盛り込まれているかと思う。従って、その取り扱いの手続きに関して言えば、全て網羅されていると思う。お客様への周知については、私どものほうでは、委託のガイドといって、商品先物取引の受注を受けるに当たって事前に交付する書面に関する規定があり、その中に記載すべき事項が十数項目あるが、その中で相談窓口の記述があり、委託されているお客様には全て、日商協が苦情相談窓口であることが周知されているので、改めて何かをする必要はないかと思う。また、商品先物取引の苦情が他の団体に行ったりすることはまず考えられないので、機関間連携についても日商協のことを知っており、こちらに全部流れてくるので、特に機関間連携のための方策は今のところ必要ないと感じている。ただ、フリーダイヤルを導入するといった経費に関連する問題や、あるいは外部評価として運営委員会を設けて評価させたり、あるいはアンケートを取ってお客様から評価をもらったりというところはできていないが、ただ、私どもの機関は会員外の第三者の理事の方が過半数を占めていて、また、あっせん・調停の先生方は全部第三者である。このためその辺りの評価も、私どもの協会の中の組織の中ですでにそういう機構になっていると感じ受け止めている。いずれにしても、今このモデル案の逐一、逐条ごとに比較して、なお不足するものあるいは手当てを必要とするものはないか、検証しているところである。

  • 日本商品投資販売業協会であるが、苦情・相談の件数は数件であり、最近一般の方からのもので、もう興味がないと言ったのに、執拗な勧誘でなかなか帰らなかったという電話でのお叱りを受けた。これは今回のモデルにも書いてあった営業活動に起因して、何らかの被害が発生しているところに当たると思うし、その一般の方も商品ファンドを管轄している金融庁の金融会社室に直接電話されたので、その業者の苦情窓口責任者に対しては、二度とこういうことがないように徹底してくれと強く注意した。あと、代表的なものとして、商品ファンドを買ったけど損して、内容が商品先物であったと一般の方は言っていたが、よく調べてみると、プロが商品先物市場で運用するという商品ファンドの特質が目論見書に書かれているし、その内容を十分理解して契約すると投資家の方も署名・捺印していたので、こちらでその旨、説明したところ、その投資家の方も確かにそういうサインをしたことをお認めになり、当方の説明に納得されたといった感じのものが数件であった。苦情処理規則もできており、体制としては一応そろっているおり、今の形でやらせていただきたい。今言ったように件数自体が非常に少ないことと、こちらの協会がマンパワー的に、男3人女1人で4人でどうしようもない。規制緩和や例えば本人確認法による自主規制規則の改訂もやらなければいけないし、広告や目論見書のチェックも全部やり、それから日本の商品ファンドの資料を作らなければいけない。他の協会並の仕事はあって、それでこれだけの人間しかいない。協会に参加している会員からの会費で成り立っているが、今赤字経営だから人は増やせないため、できる範囲でこちらも誠実に取り組んでいるのでご理解いただきたいというのが率直なところである。金融商品販売法ができたときには、10ページぐらいの販売勧誘ガイドブックという小冊子を作って、セールスマンに持たせて、金融商品販売法に則った勧誘をするようにといったことを会員に言ってあるので、冒頭に言った過剰な勧誘等が起きた場合には厳重に注意するといった形で対応させていただきたい。

  • 貸金業協会だが、苦情紛争処理に対しては非常に関心のある。私どもの業界は貸金業規制法という法律にしたがって業務を行っており、同法第28条に苦情の解決があるが、我々の業界では苦情相談が圧倒的に多い。平成13年度には全国を5ブロックに分けて、それぞれのブロック別に回って、苦情や相談に関する情報交換を実施しており、業者の苦情処理担当者、開催県を所管する財務局、県の担当官、その地区の警察、消費者生活センター等の方に来てもらって、我々の業界に対する意見交換を行ってきた。また、その地区の弁護士会の先生にも来てもらっており、多く参加する地区では10名前後の弁護士会の消費者部会の先生方が来た地区もあった。我々の業界に対しては取り立て行為の問題とか、多重債務問題に関する苦情が出てくる。最近は取り立て行為について強い指摘は受けることはなくなったが、多重債務問題は、規制法に則って十分な指導はしているところであるが、債務超過に陥った場合の破産が非常に大きな問題になっており、全業態が真剣に取り組む問題というのが、実感である。貸金業だけでこの問題を解決することは不可能であり、全業態がこの問題に取り組む問題であることを実感した。このため、この問題に関する機関間連携が必要である。現在多重債務に陥った大半の方が相談に行くと、すぐ破産というケースが非常に多く、借り手と貸し手の間で話し合いをして解決することが非常に難しくなっている。私どもの業界では長い歴史の間に苦情解決の延長で債務整理が行われて、全国47都道府県の中で調べてみると、23の地区で債務整理を行っている。これは費用をとってはいけないので、費用はとらないで地元の弁護士会の先生方とも相談をしてやっていたが、この問題についても、日本弁護士会連合会から、債務整理を業界団体が行うのは中立公平性からみて問題があるから中止すべきという申し入れが現在来ている。私どもとしては、苦情の解決、特に債務問題は地元の弁護士会と十分連携をしながら債務処理にあたるとして、協会単独で公平中立性を欠くことは厳に慎むことを指導しているが、これも一貫した整備が必要がある。私どもの業界は、多重債務問題の起きる前のケアについて東京都1か所で行うことになり、この4月から立ち上がったが、約3億円必要であり、その費用を貸金業と信販、全銀協で、貸金業、信販が4:4、銀行が2という費用負担となった。そしてそのケアにあたる方は資格を持った弁護士の先生が一番適切という結論になったが、まだまだ私どもの業界としては各47都道府県に苦情・紛争処理についての一貫したマニュアルを作って、周知徹底を図って、今後健全な業界と言われるように今後整備をしていかなければならない。

  • 各団体からのお話をうかがったが、公的な消費者相談機関からは何かあるか。連携その他について、やはり問題になると思うが。

  • 国民生活センターでは、ここの議論で興味があるのは、以前、横断的な機関を作る議論と窓口の一本化という2つの議論があって問題点や危惧を議論したと思うが、その後、国民生活センター、消費生活センターなどの公的な窓口における苦情が、金融だけではないが、毎年毎年多くなって70万件になり、それらに対して、1つ1つのあっせんをするのは人手の関係でかなり困難になっている。我々は皆さんのところに紹介せざるを得ない状況にあるが、紹介した場合に最後どう処理されたかが心配な部分であるため、きちんと処理されたか今度検証してほしいと思う。全国460数か所に消費生活センターがあるため、国民生活センターが直接個人から相談を受けることは段階的に縮小していくことが昨年12月19日の閣議決定がなされたので、こうしたことからも是非しっかりした透明性のある処理をしていただきたい。

  • 各ADRへの希望もそうだが、センターとして何かモデルを受けてはどうか。

  • このモデルに関しては、センターの規則を変えるといったこととはあまりリンクするものではないし、我々は我々なりに30数年前から公的なところとしての処理をしており、それを少しずつ変えながら、現代にあったものにしているので、モデルに沿って変えることは、とりあえず今はない。機関間連携に関しては、法定されたところ、例えば証券業協会等と情報交換を含めて、以前よりはかなり密にしている。

  • 機関間連携ということであれば、我々としても、全部の団体とはいえないが、いくつかの団体と協議会や連絡調整会議を設けているのが現状であり、それをもう少し広げていくことを考えてはいる。

  • 弁護士会の仲裁センターとの協力を考えているところがなかなか多いような感じを受けたが、どうか。

  • 弁護士会だが、今年度は兵庫県に仲裁センターがでて、単年度の取扱件数が50件を多少超える状況になっている。全国的に見ると50ある弁護士会のうち支部を含めて現在15しか仲裁センターを備えていない。各単位会が自主的に行うことなのでどうこう言えないが、活動中のセンターに対する支援と、新規に立ち上げる場合の援助を目的にして、日弁連の中に昨年の9月ADRセンターという委員会を作った。仲裁の全国的な統計は各単位会が協力して集計しているが、今年度からは日弁連が取り扱うように働きかけをした。日弁連が統計を扱うと、ホームページで、まとまった形での公表がいずれできるのではないか。また、内部で本格的な議論にはなっていないが、現在、他の団体から、日弁連に紛争解決の提携関係の申し入れがある。日弁連は直接の事業主体ではないが、もしできたら、仲裁人・あっせん人の候補者のリストを日弁連が備え付けるという話が出つつある状況である。特に東京では件数も多いし、組織的にも対応できるが、地方の単位会だと、センターを独自に持つのはなかなか難しい。そういう状況をみると、日弁連の中に候補者のリストを作って、地域に派遣するとか、地域からの人材をリストに載せるという形での運用の話が出はじめたところである。だから、ニーズが全国的にあることを踏まえると、おそらく日弁連レベルでそういうもの考えていく動きにつながっていくのではないか。

  • 皆さんのお話を聞いて、大変悩みを抱えている業態もあることが分かった。小さくて体制として非常にやりにくいとか、それから、モデルそのものの否定は特にはなかったと思うが、そういう体制でどうかといったことである。これから機関を立ち上げるところがある一方で、銀行協会のように先行しているところもあり、ばらつきが大きい状況と思う。前回のフォローアップの提案で使われていた評価という言葉が気になっており、ある程度のものさしがないと評価ができないが、今日の各業態の事情を聞くと、まだ、その段階ではないと考える。将来的にはチェックすることもあるかもしれないが、現段階ではばらつきが大きすぎてどうかと思う。前回は、その懸念は少し言ってヒアリング程度ならとも言ったが、どういうスタンスで臨むのか、それから、どれだけの情報が開示されるか、現場を見させていただけるのか、トップとインタビューできるのかということもある程度決めておかないと、労多くして実りなしのヒアリング結果に終わると思っている。文章には協議会メンバーによる評価の組み合わせと書かれてあったが、心境としてはやっていただきたいというところにある。自己評価はやることになっているので、これを丁寧な形で出されて、どこに困難があるか、どこを解決すべきかが第1ステップではないかと思っている。それから前回出なかった視点なのだが、評価やヒアリングには継続という視点が必要になるが、もう一回その評価やヒアリングし直すとかのではなく、モデルの中に外部評価を盛り込んでいるので、この外部評価を生かす形はどうか。運営懇談会を設けられているところは、何らかの形で、第三者や消費者側のメンバーが来ると思うので、その外部評価結果を持ってくるほうがいいと思っている。それから、今日出てこなかった話で外資系企業のことがある。外資系の企業がトラブルになったときに裁判志向が強く、解決が難しいと聞いている。今日は移送の話は随分出たが、外資系や為替証拠金取引のように落ちてしまうものには、金融庁に相談のセクションを設けることもあるが、今日の議題の中から、落ちているものも丁寧に拾ってはどうか。

  • 今のお話で外資系の問題があったが、外資系が私どもの仕組みを利用しようという話もなくはない。外資系はコンプライアンスの問題を気にしており、ADRの仕組みが目に見える形でできれば、社内的に十分コンプライアンスのチェックに耐えうるとの考え方もあり、利用しやすくなるとの考えもあるのではという印象を持っている。

  • コンプライアンスにADR機能をどう組み込んでいくのかも1つの問題である。前回の第三者評価ではいろいろな議論では大きく分けて、なるべく金融庁が積極的に関与して欲しいという考えと、そうではなくて、消費者団体や業界団体といった、官でない自主的なところでフォローアップをしていくべきだという2つの考え方がある。前者の考え方はひとつ非常に徹底した考え方で、コンプライアンスの一部として取り組んで、金融検査等のチェック項目の1つにすることかもしれない。とはいえ、各ADR機関が業界団体によって非常に事情が違うのため、画一的なチェックは無理だろう。

  • 高橋さんも前回、第三者評価のことなどについてご意見を頂いたが、(ほかに)何かないか。

    • 法定化されてない団体が自主的に取り組むのことは非常に大変という率直な感想を持っている。それと座長の質問に対する保険の銀行窓販の答えを聞いていても、各団体の思惑や事情もあり、問題の解決が難しくなっていると思う。保険商品を銀行や証券で売っており、販売チャネルが拡大していく。今まで保険会社が売っている限りは保険業界で面倒見てくれると思っていたが、例えば募集代理店として銀行や証券会社等が入った場合に責任範囲はどうなるのか。保険会社は、例えばこの10月に銀行販売解禁が予定されている変額年金などに関しては自前のチャネルを持たずに都市銀行や地銀、信用金庫を使って販売する予定のところが出てきているが、どちらが販売時の説明に対する責任を持つのか。消費者がトラブルにあったときに、銀行か保険かが分かりにくいし、保険会社が責任を引き受け、銀行等をテーブルにつけさせられるかという問題が金融審議会で議論された。金融庁は、指示ではないが、生保と損保と全銀協にたらいまわしや抜け落ちを防ぐための措置を検討して、自主的にやって欲しいと伝えたとのことである。規則を書き換えて、呼び出しがあればテーブルにつくことを書くことは簡単だと思うが、例えば保険業界のADRの裁定審査会に非会員である銀行や証券会社が呼び出されたとしても、その裁定結果の尊重義務まで負うことができるのかという悩ましい問題がある。今日協議会があるので金融審の担当の方に、昨日照会させてもらったら、それはここ(当協議会)の議論に基づいて検討しているはずだとまた言われて、毎度金融審議会と金融トラブル連絡調整協議会と両方委員をやっていながら、意見を出してはたらい回しにあう状況になっている。こういう問題は消費者がトラブルにあうと生活設計に多大な損害が及ぶ可能性があるものだから、どこかがきちんと責任を持ってやらなければいけないと思うが、どこかが検討しているはずという形を私は非常に懸念をしている。自主的なものとして、規則は書くけれど実効性はないとなると、時間だけかけてもったいない気がしている。例えばそういう問題もざっくばらんに話し合われるのであれば、この協議会も非常に意味があると思うが、生保からは直接その答えをもらっていない。損保のほうは帰って検討するとのことであり、銀行のほうからは具体的に何もなかった。前回具体的に質問を出させていただいたのに、水を向けてもこの状態とは非常に寂しいと思う。もう1つ、今年1月から確定拠出年金の個人型が販売開始されている。個人型は郵便局や民間金融機関で販売されており、リスクのある商品も含んでいるが、ここのトラブルはどこがどのように処理するのか、調べても分からない。確定拠出年金に関しては確定拠出年金法が適用され、金融商品販売法の適用はないが、民間金融機関が売った場合や郵便局が売った場合、消費者に(トラブル処理についても)きちんと説明する必要があると思う。もし今日、厚生労働省の方がいらしているのであれば、大きな枠組みについて話していただきたいと思うし、郵政の方には郵便局としてはトラブルが起きたときにどうするのかとこともお答えいただきたいというふうに思う。

  • 郵政企画管理局だが、確定拠出年金法の関係で言うと、消費者あるいは年金の加入者に対する説明責任について、金販法の適用はないが、それに準拠した規定が確定拠出年金の法制にも書かれていると承知している。郵便局での取扱いについても、当然それに従った対応をしてまいりたい。確定拠出年金の年金の運用指図としての金融商品の契約については、運営管理機関が直接当事者となって行なうものではないが、その加入者の質問や苦情については我々のほうで対応する。例えばコールセンターといった仕組みを整えて、必要に応じて商品を提供する金融機関等とも連携を取り合いながら対応をしていくという仕組みになっている。

  • 販売の説明をやっていると思うが、問い合わせ先はコールセンターを明示しているというふうに認識してよいか。

    • 一義的にはそれもあるし、当然説明のできる運営管理機関としての郵便局でももちろん受ける。

  • 苦情・紛争に関しては、今回こういう民間の業界団体ではモデルを作っているわけだが、郵政のほうで何か対応されるとか、予定はあるか。

    • 確定拠出年金の対応と自社の郵便貯金又は簡易保険と少し違っているので、その辺りの対応方法は郵政事業庁と話をしていきたいと思う。

  • 簡易保険なども加入者から、そういった話が来たときは審査会のほうに行くことになるのか。

    • 一般の簡易保険は、一義的にはお客様相談窓口を設けているので、そちらで受けて、さらに納得してもらえないなら、審査会等といった手続きもある。

  • 年金だといろいろなところに関わってくる。提供している事業主体によって、信託の場合もあれば、保険会社の場合もあるということか。

  • やはり未来に予見される問題について、この協議会で積極的に話し合いをしていく必要がある。今後の取組みの中に是非入れていただきたい。

  • 私どもは、業界と言う発想を超えて、商品本位の団体として、都市銀行、信託銀行、証券会社、不動産会社、建設会社といったところで不動産の証券化に前向きに取り組んでいる方々が商品の普及、発展、定着のために作っている任意団体である。そういった中で議論していくと、苦情について今後予見される悩ましい問題がいろいろある。いわゆる運用型商品には投信法があるので、一義的には投信協会という業界団体があるが、資産流動化法に関してはいろいろな資産の流動化を1つの法律で消費者保護も含めて規定されている。裏付けの資産が不動産に限らない、いろいろな資産の流動化が行なわれているが、今後出てくる一番大きい話は、住宅金融公庫を含めた住宅ローン債権の証券化である。オリジネーターが住宅金融公庫であり、銀行であり、生保であり、あるいはノンバンク系のモーゲージバンクのような形態で住宅ローンを出しているところであり、そういったところが今後かなりの規模で商品を出していく。このような業界横断的な商品は機関間連携の枠を超えているように思う。

    そのうち、個人の方がお買いになる商品もあるが、資金運用難に困っている財団や宗教法人等のプロの機関投資家ではないが純粋な個人でもない中間の方々が買っている例も結構あり悩ましい。だから、個人が買わないからいいということではないと思っている。

    さらには不動産の証券化だけ考えても、販売商品は証取法上の有価証券であるが、法改正が行なわれて、オリジネーターによる募集取扱が可能なため現実に複数のオリジネーターたる不動産会社が有価証券の募集の取扱いを行う例も出てきている。その場合、我々の会員会社ではないことも1つの問題としてあるが、従来の金融商品を扱っていた業界ではないところが扱い始めており、先ほどの外為の問題もあるが、早晩議論すべきテーマと思っている。

    このように我々の活動の範囲をどこまでにしたらいいのかがいつも悩ましく、内部で議論をしているテーマである。

  • 今後の取組みについては、本日の意見を踏まえて、岩原座長及び山本委員により修正案を作成して次回の協議会に提示することとされた。

  • 資料の公表について了承された。

  • 裁判外紛争処理制度の改善に向けた取り組みについて、金融庁から報告があった。

  • 次回協議会は、引き続き、今後の取組みを議題とすることとされた。

問い合わせ先

総務企画局企画課
電話03-3506-6000(内線3517)
本議事要旨は暫定版であるため、今後修正がありえます。

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